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特許拒絶査定不服審判

2020-007632

ストリーミングデータの再生装置、ストリーミングデータの配信システム、及び、ストリーミングデータの生成再生方法

審判番号
2020-007632
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-195273外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年06月03日
審決日
2022年01月18日
公報発行日
2022年04月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-195273「ストリーミングデータの再生装置、ストリーミングデータの配信システム、及び、ストリーミングデータの生成再生方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月30日出願公開、特開2021- 69084〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和1年10月28日に出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 1年11月 6日付け:拒絶理由通知 令和 1年12月12日 :意見書提出および手続補正 令和 1年12月24日付け:拒絶理由通知(最後) 令和 2年 2月 6日 :意見書提出および手続補正 令和 2年 2月26日付け:補正の却下の決定および拒絶査定 令和 2年 6月 3日 :拒絶査定不服審判請求および手続補正 令和 2年 8月28日 :前置報告 令和 3年 9月17日付け:当審拒絶理由通知 令和 3年11月22日 :意見書提出および手続補正 第2 本件発明について 本件特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、本件発明という)は、令和3年11月22日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。(下線部は上記補正により補正された箇所であり、以下、「本件補正」という。符号A~G1は請求項の記載を分説するため当審で付したものであり、請求項の記載を、符号A~G1を用いて、以下、「発明特定事項A」~「発明特定事項G1」と称する。) 【請求項1】 A1 ハイレゾの音声信号と、HDTV信号に変換された4Kの映像信号とを取得し、当該音声信号を当該映像信号に重畳するエンベッダーと、 A2 前記エンベッダーから、前記音声信号を前記映像信号に重畳した重畳信号を取得し、当該重畳信号をロスレス圧縮して符号化するエンコーダーと、 A3 前記エンコーダーから、符号化された符号化データを取得し、当該符号化データをストリーミングデータに変換し、当該ストリーミングデータを暗号化して出力するパッケージャーと、 A を備えた生成装置から当該暗号化されたストリーミングデータを受信して再生するストリーミングデータの再生装置であって、 B 前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データであって、当該再生装置が有する秘密鍵に対応する公開鍵を含む要求データを暗号化する暗号化部と、 C 前記暗号化部が暗号化した要求データを送信する送信部と、 D 前記要求データの送信先である認証サーバーから前記公開鍵で暗号化された復号化キーを取得する取得部と、 E 前記生成装置から前記暗号化されたストリーミングデータを受信する受信部と、 F 前記受信部が受信した前記暗号化されたストリーミングデータを、前記秘密鍵によって復号化された前記復号化キーを用いて復号化し、復号化されたストリーミングデータを再生する再生部と、 を備え、 G 前記要求データは、 G1 前記認証サーバーが、前記送信部から送信された要求データを復号化し、当該要求データが示す要求に従って、鍵サーバーに前記公開鍵を送信して、且つ前記鍵サーバーによって当該公開鍵で暗号化された復号化キーを前記鍵サーバーから取得するためのデータであり、 F1 前記再生部は、 前記復号化されたストリーミングデータを再生する場合に、当該ストリーミングデータに含まれる音声データのサンプリングレートと、当該再生装置での再生時における前記音声データのサンプリングレートとを共に提示する A ことを特徴とするストリーミングデータの再生装置。 第3 当審の拒絶の理由 当審の拒絶の理由である令和3年9月17日付け拒絶理由は以下のとおりである。 (進歩性) 本件出願の請求項1-8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.遠藤 真,金次 保明,日本発世界初4Kハイレゾライブストリーミング実証実験報告,JAS Journal,https://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2017/07/201707_016-021.pdf,2017年 7月,Vol.57 No.4,pp.16-21(当審において新たに引用する文献) 2.遠藤 真,「ハイレゾ」と放送、通信 ダウンロードからストリーミングへ,JAS Journal,https://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2016/01/2016-059-063.pdf,2016年 1月,Vol.56 No.1,pp.59-63(当審において新たに引用する文献) 3.特表2005-512468号公報(拒絶査定における引用文献2) 4.特開2018-191232号(当審において新たに引用する文献、前置報告における引用文献3) 以下、上記刊行物1~4をそれぞれ引用文献1~引用文献4という。 第4 当審の判断 1 引用文献の記載 (1)引用文献1には以下の記載がある。 ア 「 3.1. 4Kライブ映像・ハイレゾ音声収録系 ライブ会場となった東京国際フォーラム5階D5ホールの後壁ほぼ中央に設置されたイントレ(台)の上に、映像収録のための4Kカメラ(SONY F55)を配置しました。撮影された映像信号は、光信号に変換し、室間の光回線で地下1階の機械室まで伝送しました。ここで、再び電気信号に変換し、映像収録機であるASTRO HR-7512に入力しました。一方、D5ホールのステージ両袖に、観客の近接音や拍手の音を収録する超単一指向性マイクロホン(Schoeps CMC-64を2本)と、観客のオフの音や全体的な拍手の音などを収録する全指向性マイクロホン(NEUMANNTLM50を2本)を設置しました。PAに用いるボーカルマイクロホンや、カラオケのCDを再生する機器からの15チャンネルの信号と、ステージ両脇の4本のマイクロホンからの信号は、会場内に設置したヘッドアンプ(HA:Stage Tec Nexus)に入力し、ここで光信号に変換され、映像信号と同様に室間の光回線にて地下1階の機械室に伝送しました。地下1階のStage Tec Nexusの受信機は、ミキサー(YAMAHA DM1000)と接続し、ここで各信号のバランスを調整して、MADI信号に変換して音声収録機であるAvid PtoTools HDに入力しました。複数の映像機器は映像同期信号で同期されることで映像乱れがなく伝送、収録されます。同様に、音声機器は96kHzのワードクロック同期信号で同期され、ノイズを生じることなく伝送、収録することができました。さらに、映像収録機と音声収録機はタイムコード信号で同期され、映像と音声がずれることなく収録される仕組みとしました。 映像収録機、音声収録機からは、収録された信号と同じ信号を出力し、それぞれMPEG-4 ALSハイレゾ対応4K HEVCエンコーダに入力し、そこで圧縮された信号を会場内に配信しました。」(pp.18第3~21行) イ 「3.2. 4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブIP伝送系 本系で4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブIP伝送を実現しました。映像は会場の70インチTVに映し出しました。96kHz/24bit音声信号はエンベッダーと呼ばれる装置で3G-SDI映像信号に重畳されて、MPEG-4 ALSハイレゾ対応4K HEVCエンコーダに入力されます。4K映像ではH.264より圧縮率の高いHEVCの採用が一般的で、既に数社で4K HEVCエンコーダが販売されていますが、MPEG-4 ALSハイレゾ音声に対応したものはこれが世界初です。」(pp.19第1~6行) ウ 「3.4. 4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング系 本系はMPEG-4 ALSハイレゾ対応4K HEVCエンコーダのTS出力をMPEG-DASHライブサーバー(図2中MPEG-DASH Server2)がMPEG-DASHに変換して、日本発世界初の4Kハイレゾライブストリーミングを実現しました。使用したサーバはLinuxベースのPCです。配信先(クライアント)は1箇所で、25Mbps以上のストリーム配信を問題なく実現できました。 本系のクライアントには、OSがWindows10でグラフィックボードを搭載したPCを用いました。アプリケーションはオープンソースのVLC[6]でMPEG-DASHをサポートしているNightly Bulid(開発版)です。4K60P HEVC映像と96kHz/24bit/2ch MPEG-4 ALS音声を安定してデコード再生できました。」(pp.19下から8行~p.20第1行) エ 「3.5. 720P H.264 映像+MPEG-4 AAC HLS ライブストリーミング OTOTEN ライブの模様を来場者のスマホへ配信するために、映像は 4K から 2K に、音声は96kHz から 48kHz にそれぞれ変換してメディアトランスコーダに入力しています。」(pp.20第4~6行) オ 「■参考文献 [1]遠藤「「ハイレゾ」と放送、通信 ダウンロードからストリーミングへ」 JAS Journal 2016 Vol.56 No.1(1月号)pp.59-pp.63」(pp.21第17~19行) カ 「 [図:0001382651000001.jpg] 配信系は図2の上から以下のように分かれます。 (1)4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブIP伝送 (2)MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング (3)4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング (4)720P H.264映像+MPEG-4 AAC HLSライブストリーミング」(p.17の図2、p.17下から7~3行) (2)引用文献2は、引用文献1のp.21の■参考文献において、[1]として引用されている文献であり、以下の記載がある。 キ 「4. ハイレゾストリーミングと放送の類似 前述したPrimeSeat[9]ではDSD 5.6MHzで12Mbpsのネットワーク帯域を必要としています。まだ始まったばかりですが、実際に聴取できるユーザの範囲は次第に明らかになって来ると思います。非圧縮のPCMでは96kHz/24bit/2chで5Mbps弱ですが、MPEG-4 ALSで圧縮した場合には3Mbps程度になります。現在のインターネットによるH.264ビデオのストリーミングサービスはHDTVの比較的品質の高いもので3-4Mbps程度ですから、MPEG-4 ALSによるハイレゾストリーミングもインターネットでほぼ聴取できるものと期待されます。また、12Mbpsで問題ないネットワークであれば、HDTV映像とハイレゾオーディオを組合せたコンテンツのストリーミング視聴が十分可能ということになります。ともすれば画像サイズをHDTVから4K、8Kへ拡大するために映像の圧縮方式がMPEG-2からH.264/MPEG-4 AVCさらにH.265/HEVCへと改良が進んでいるように思えますが、HDTVサイズのままで映像の帯域が下がる分をオーディオの高音質化に振り向けるサービスが出てきても良いのではないかと思います。」(pp.61第26行~pp.62第1行) (3)引用文献3には以下の記載がある。 ク 「【0007】 他の態様から本発明を見ると、ブロードキャスト・コンテンツ項目に対してアクセスできるようにするための装置が提供され、この装置は、公開キーと秘密キーのペアを有する受信機サブシステムと、コンテンツ・キーに基づいてコンテンツ項目を暗号化して暗号化されたコンテンツ項目を生成するための第1の暗号化ユニットと、コンテンツ・キーに対応するブロッキングnonceを生成するためのnonceジェネレータと、暗号化ユニットおよびnonceジェネレータに接続され、コンテンツ・キー、ブロッキングnonce、および暗号化されたコンテンツ項目を伝送するための第1の送信機とを有するコンテンツ・プロバイダ・サブシステムと、コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからのコンテンツ・キーおよびブロッキングnonceと受信機サブシステムの公開キーとを受信するための第1の受信機と、第1の受信機に接続され、コンテンツ項目へのアクセスを求める要求に応答して、公開キーに基づいてコンテンツ・キーを暗号化して公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを生成し、ブロッキングnonceに基づいて公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化して二重に暗号化されたコンテンツ・キーを生成するための第2の暗号化ユニットと、第2の暗号化ユニットに接続され、二重に暗号化されたコンテンツ・キーを受信機サブシステムに伝送するための第2の送信機とを有するクリアリング・ハウス・サブシステムとを含み、受信機サブシステムが、クリアリング・ハウス・サブシステムからの二重に暗号化されたコンテンツ・キーと、コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ項目およびブロッキングnonceとを受信するための第2の受信機と、受信機に接続され、ブロッキングnonceに基づいて二重に暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化解除して公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを回復し、公開キーと秘密キーのペアのうちの秘密キーに基づいて公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化解除してコンテンツ・キーを回復し、コンテンツ・キーに基づいて暗号化されたコンテンツ項目を暗号化解除して要求されたコンテンツ項目を回復するための暗号化解除ユニットとをさらに含む。 【0008】 受信機サブシステムは好ましくは、アクセスを求める要求を生成するように配置される。本発明の好ましい一実施形態では、受信機サブシステムは、公開キーと秘密キーのペアのうちの秘密キーに基づいてアクセスを求める要求を暗号化するように配置される。」 ケ 「【0017】 ・・・ コンテンツ・プロバイダ・サブシステム120は、ネットワーク50に接続された受信機サブシステム110に対し、暗号化されたコンテンツ項目とそれに対応するブロッキングnonceをネットワーク50を介して伝送する。コンテンツ・プロバイダ・サブシステム120から当初生成されたブロッキングnonceを受信すると、加入者の受信機サブシステム110は、プログラム・コードの制御下で、その秘密キーを使用して、暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化解除する。次に受信機サブシステム110は、プログラム・コードの制御下で、暗号化解除されたコンテンツ・キーを使用して、コンテンツ・プロバイダ・サブシステム120から受信した所望のコンテンツ項目を暗号化解除する。」 コ 「【0025】 図4に移行すると、受信機110は、公開キー160と秘密キー(図示せず)からなる公開キーと秘密キーのペアを含む。動作時に、受信機サブシステム110を処理する加入者は初めに、コンテンツ項目へのアクセスに関する注文170とともに、通信経路180が示すようにネットワークを介してクリアリング・ハウス・サブシステム100に公開キー160を伝送する。キー160を受信すると、クリアリング・ハウス・サブシステム100は加入者を登録する。本発明の一部の実施形態では、注文170は、アクセス課金を伴うコンテンツおよびサービスに対する加入者のアクセスを容易にするために、クレジット・カード取引などの金融取引を含むことができる。本発明の特に好ましい実施形態では、対応する公開キーが登録されたクリアリング・ハウス・サブシステム100が受信したときにデコードするために、受信機サブシステム110がその秘密キーによってコンテンツ項目に関するその後の注文を暗号化することによってセキュリティの強化をもたらすことができる。」 サ 「【0040】 本発明の特に好ましい一実施形態はEureka-147ディジタル・オーディオ・ブロードキャスト配布ネットワークと、特にDABネットワークによるマルチメディア・ファイル転送(MOT)と互換性がある。本発明のこのDAB互換実施形態では、コンテンツ・キーを取得して記憶するために汎用パケット化無線システム(GPRS)電話などのモバイル・インターネット接続を使用し、暗号化ブロック・チェーン(CBC)および電子コード・ブック(ECB)モードの拡張暗号化規格(AES)ブロック暗号を暗号化プロセスに使用する。本明細書ではファイル転送に関してDAB実施形態について説明するが、これは、DABオーディオ、ビデオ、IPストリーミングなどの他のデータ形式またはオブジェクトの転送にも等しく適用可能である。」 (4)引用文献4は本件発明者により発明され、本件審判請求人により出願されて本件出願前に公開された文献であって、以下の記載がある。 シ 「【0001】 本発明は、4Kや8Kなどの高画素数の映像(動画と静止画を含む)とハイレゾ化された音声のストリーミングコンテンツを受信し、高い臨場感のある再生を可能にした音声映像再生装置に関するものである。」 ス 「【0019】 以上のような構成による作用を図3に基づき説明する。 (a)音声・映像機器本体52のスイッチを入れてスタートし、タッチパネル操作部36により、コントローラー31へ取り込もうとするデータの該当するアドレスを指定する。ストリーミングサーバー30には、4K、8Kなどの高画素数の映像とハイレゾ化された音声が多重化されてMPEG-DASHなどに変換されてファイルアップされている。 (b)前記アドレスの設定により、音声・映像機器本体52の内部で音声出力フォーマットの設定を処理する。 (c)映像ファイルをストリーミングサーバー30からストリーミングでダウンロードする。音声・映像機器本体52のメモリに記憶することなく、閲覧だけ行い、ファイル自体は残さない。 (d)MPEG-DASHなどに変換されているデータをコントローラー31でデコードし、このコントローラー31で画面出力の指示と、音声出力の指示を行う。 (e)非同期で音声解析処理を行う。 (f)音声出力部34で音声を出力し、かつ、映像表示部35で動画または静止画が表示される。 (g)曲が再生中の場合は、(b)に戻って繰り返す。 【0020】 同時に、コントローラー31に取り込まれた音声データから音声ファイル形式出力部37では、ファイル名が出力し、音源データ表示部49のファイル名表示部41に表示される。サンプリングレート出力部38では、音声データの周波数を解析し、サンプリングレートに変換し、数値データとして例えば「192kHz」とディジタル表示されるとともに、一見して確認できるように0~192kHzまでの細かな間隔の棒グラフで第1の棒グラフ表示部43にアナログ表示される。 【0021】 コントローラー31から音声出力部34側に出力されている再生データは、機器データ出力部39で音声・映像機器本体52の機種名が出力されて音声再生データ表示部50の音声再生機種名表示部44に表示される。同時に、第2の数値表示部45では、音声・映像機器本体52の持つ周波数データに基づき再生時のサンプリングレートが出力され、数値データとして例えば「96kHz」とディジタル表示されるとともに、一見して確認できるように0~96kHzまでの細かな間隔の棒グラフで第2の棒グラフ表示部46にアナログ表示される。」 2 引用発明および引用文献記載事項 (1)引用発明および引用文献1記載事項 上記1(1)ウにおける「図2中MPEG-DASH Server2」について、上記1(1)オにおけるp.17の図2に記載のMPEG-DASH Server2から4K TV&PC(VLC)に矢印が延びていることが読み取れ、「4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング」という記載、および上記1(1)ウの「本系のクライアントには」「PCを用い」という記載と合わせると、MPEG-DASH Server2からPCに対して「4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング」が配信されているものと認められる(以下、認定事項ウオという)。 そうすると、上記1(1)から、引用文献1には以下の発明(以下、引用発明という)が記載されているものと認められる。引用発明の各構成は、符号a~fを用いて、以下、構成a~fと称する。 (引用発明) a1、a2 4Kライブ映像・ハイレゾ音声収録系において、映像収録のための4Kカメラによって撮影された映像信号は映像収録機に入力され、ステージ両脇の4本のマイクロホンからの信号は音声収録機に入力され、音声機器は96kHZワードクロック同期信号で同期されており、映像収録機、音声収録機からは、収録された信号と同じ信号を出力し、それぞれMPEG-4 ALSハイレゾ対応4K HEVCエンコーダに入力されるものであって(ア)、 a11 96kHZ/24bit音声信号はエンベッダーで3G-SDI映像信号に重畳され(イ)、 a21 MPEG-4 ALSハイレゾ対応4K HEVCエンコーダに入力され(イ) a3 エンコーダのTS出力をMPEG-DASHライブサーバー(図2中MPEG-DASH Server2)がMPEG-DASHに変換して(ウ)、MPEG-DASH Server2からPCに対して4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミングからなる4Kハイレゾライブストリーミングを実現するものであり(ウ、認定事項ウオ)、 a,e,f 本系のクライアントには、PCを用い、4K60P HEVC映像と96kHZ/24bit/2ch MPEG-4 ALS音声を安定してデコード再生できるものである(ウ)、 a 4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング系における本系のクライアントであるPC(ウ)。 また、上記1(1)エから「ライブの模様をスマホへ配信するために、映像は4Kから2Kに変換する」こと(引用文献1記載事項という)が記載されているものと認められる。 (2)引用文献2記載事項 上記1(2)から、引用文献2には以下の事項(以下、引用文献2記載事項という)が記載されているものと認められる。 (引用文献2記載事項) 「HDTV映像とハイレゾオーディオを組み合わせたコンテンツのストリーミング視聴において、画像サイズをHDTVから4K、8Kへ拡大するために映像の圧縮方式がMPEG-2からH.264/MPEG-4 AVCさらにH.265/HEVCへと改良が進んでいるように思えるが、HDTVサイズのままで映像の帯域が下がる分をオーディオの高音質化に振り向けるサービスが出てきても良い」ということ。 (3)引用文献3記載事項 上記1(3)ク~サから、引用文献3には以下の事項(以下、引用文献3記載事項1~4という。記号(a)~(e)は当審で付した)が記載されているものと認められる。 (引用文献3記載事項1) 「(a)ブロードキャスト・コンテンツ項目に対してアクセスできるようにするための装置が提供され、この装置は、 (b)公開キーと秘密キーのペアを有する受信機サブシステムと、 (c1)コンテンツ・キーに基づいてコンテンツ項目を暗号化して暗号化されたコンテンツ項目を生成するための第1の暗号化ユニットと、 (c2)暗号化ユニットに接続され、コンテンツ・キーおよび暗号化されたコンテンツ項目を伝送するための第1の送信機 とを有する (c)コンテンツ・プロバイダ・サブシステムと、 (d1)コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからのコンテンツ・キーと受信機サブシステムの公開キーを受信するための第1の受信機と、 (d2)コンテンツ項目へのアクセスを求める要求に応答して、公開キーに基づいてコンテンツ・キーを暗号化して公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを生成するための第2の暗号化ユニットと、 (d3)暗号化されたコンテンツ・キーを受信機サブシステムに伝送するための第2の送信機 とを有する (d)クリアリング・ハウス・サブシステムと、 (b1)クリアリング・ハウス・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ・キーと、コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ項目を受信するための第2の受信機と、 (b2)公開キーと秘密キーのペアのうちの秘密キーに基づいて公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化解除してコンテンツ・キーを回復し、コンテンツ・キーに基づいて暗号化されたコンテンツ項目を暗号化解除して要求されたコンテンツ項目を回復するための暗号化解除ユニットとを含む (b)受信機サブシステムからなり、 (b3)受信機サブシステムは、公開キーと秘密キーのペアのうちの秘密キーに基づいてアクセスを求める要求を暗号化する」こと。 (引用文献3記載事項2) 「(c3)コンテンツ・プロバイダ・システムは、受信機サブシステムに対し、暗号化されたコンテンツ項目をネットワークを介して伝送し、 (b4)受信機サブシステムは、その秘密キーを使用して、暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化解除し、暗号化解除されたコンテンツ・キーを使用して、コンテンツ・プロバイダ・サブシステムから受信した所望のコンテンツ項目を暗号化解除する」こと。 (引用文献3記載事項3) 「(b5)受信機サブシステムを処理する加入者は始めに、コンテンツ項目へのアクセスに関する注文とともに、ネットワークを介してクリアリング・ハウス・サブシステムに公開キーを伝送し、 (d4)キーを受信すると、クリアリング・ハウス・サブシステムは加入者を登録し、 (b6)受信機サブシステムが、その秘密キーによってコンテンツ項目に関するその後の注文を暗号化することによってセキュリティの強化をもたらす」こと。 (引用文献3記載事項4) (e)「本明細書の説明は、IPストリーミングにも適用可能である」こと。 (4)引用文献4記載事項 上記1(3)シ~スから、引用文献4には以下の事項(以下、引用文献4記載事項という。)が記載されているものと認められる。 「4K映像とハイレゾ化された音声のストリーミングコンテンツを受信し、再生を可能にした音声映像再生装置に関し、4K映像とハイレゾ化された音声が多重化されてMPEG-DASHなどに変換されてファイルアップされているストリーミングサーバーからファイルをストリーミングでダウンロードし、MPEG-DASHに変換されているデータをコントローラーでデコードし、音声出力部で音声を出力し、映像表示部で動画が表示され、同時にコントローラーに取り込まれた音声データについて、サンプリングレート出力部では、音声データの周波数を解析し、サンプリングレートに変換し、表示され、第2の数値表示部では、周波数データに基づき再生時のサンプリングレートが出力され、表示される」こと。 3 本件発明と引用発明との対比 (a)引用発明の構成a1、a2において、「4Kライブ映像・ハイレゾ音声収録系において、映像収録のための4Kカメラによって撮影された映像信号は映像収録機に入力され、ステージ両脇の4本のマイクロホンからの信号は音声収録機に入力され、音声機器は96kHZワードクロック同期信号で同期されており」、引用発明の構成a11において、「96kHZ/24bit音声信号はエンベッダーで3G-SDI映像信号に重畳され」ることから、ハイレゾの音声信号と4Kの映像信号とがエンベッダーで重畳されるといえ、上記構成a1、a2を踏まえたa11は本件発明の発明特定事項A1の「エンベッダー」に対応する。 ただし、上記構成a11における映像信号はHDTV信号に変換された4Kの映像信号ではない点で本件発明の発明特定事項A1と相違する。 (b)引用発明は、構成a1、a2において、「映像収録機、音声収録機からは、収録された信号と同じ信号を出力し、それぞれMPEG-4 ALSハイレゾ対応4K HEVCエンコーダに入力され」、構成a3において「エンコーダのTS出力」を、「MPEG-DASHライブサーバー(図2中MPEG-DASH Server2)がMPEG-DASHに変換して、MPEG-DASH Server2からPCに対して4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミングからなる4Kハイレゾライブストリーミングを実現する」ことから、エンベッダーからの音声信号を映像信号に重畳した重畳信号をロスレス圧縮するMPEG-4 ALS対応の4K HEVCエンコーダによって符号化するとともに、MPEG-DASHライブサーバーが符号化したデータをストリーミングデータであるMPEG-DASHに変換し、PCにストリーミングデータを出力することでストリームミングを実現するものといえる。 そうすると、上記構成a1、a2、a11を踏まえた構成a21の「エンコーダ」が本件発明の発明特定事項A2の「前記エンベッダーから、前記音声信号を前記映像信号に重畳した重畳信号を取得し、当該重畳信号をロスレス圧縮して符号化するエンコーダー」に相当する。 また、上記構成a3の「MPEG-DASHライブサーバー」のうち「MPEG-DASHに変換する」ための構成が、それぞれ本件発明の発明特定事項A3の「前記エンコーダーから、符号化された符号化データを取得し、当該符号化データをストリーミングデータに変換し」て「出力するパッケージャー」に対応する。 ただし、上記構成a3において、暗号化されたストリーミングデータを出力するものではない点で本件発明の発明特定事項A3と相違する。 さらに、上記(a)で示したとおり、構成a1、a2を踏まえた構成a11の「エンベッダー」と構成a21の「エンコーダ」、および構成a3の「MPEG-DASHライブサーバー」のうち「MPEG-DASHに変換する」ための部分と、構成a3の「MPEG-DASHライブサーバー」のうち「PCに対して4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミングからなる4Kハイレゾライブストリーミングを実現する」ための構成を合わせた部分が、本件補正発明の構成Aの「生成装置」に対応する。 (c)引用発明の構成a、e、fの「本系のクライアント」である「4K60P HEVC映像と96kHZ/24bit/2ch MPEG-4 ALS音声を安定してデコード再生できる」「PC」は、「MPEG-DASHライブサーバー」から配信されるHEVC映像とMPEG-4 ALS音声を受信してデコードするものといえ、本件発明の発明特定事項Aの「生成装置から」「ストリーミングデータを受信して再生するストリーミングデータの再生装置」に対応するものであり、発明特定事項Eの「生成装置から」「ストリーミングデータを受信する受信部」、発明特定事項Fの「再生部」に対応する構成を具備するものといえる。 ただし、上記構成a、e、fは、受信して再生する「ストリーミングデータ」が暗号化されておらず、暗号化されたストリーミングデータを復号化キーを用いて復号化しない点で、本件発明の発明特定事項A、E、Fと相違する。 (d)引用発明の構成aの「4K HEVC映像+MPEG-4 ALSハイレゾライブMPEG-DASHストリーミング系における本系のクライアントであるPC」は、本件発明の発明特定事項Aの「ストリーミングデータの再生装置」に相当する。 以上から、本件発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) A1’ ハイレゾの音声信号と、映像信号とを取得し、当該音声信号を当該映像信号に重畳するエンベッダーと、 A2 前記エンベッダーから、前記音声信号を前記映像信号に重畳した重畳信号を取得し、当該重畳信号をロスレス圧縮して符号化するエンコーダーと、 A3’ 前記エンコーダーから、符号化された符号化データを取得し、当該符号化データをストリーミングデータに変換し、当該ストリーミングデータを出力するパッケージャーと、 A’ を備えた生成装置から当該ストリーミングデータを受信して再生するストリーミングデータの再生装置であって、 E’ 前記生成装置から前記ストリーミングデータを受信する受信部と、 F’ 前記受信部が受信した前記ストリーミングデータを再生する再生部と、 を備える A’ ことを特徴とするストリーミングデータの再生装置。 (相違点) (相違点1) エンベッダーにより音声信号が重畳される映像信号について、本件発明はHDTV信号に変換された4Kの映像信号であるのに対して、引用発明のエンベッダーは4Kの映像信号である点。 (相違点2) 符号化データから変換され、パッケージャーから出力されて、再生装置において受信され再生される「ストリーミングデータ」について、本件発明はパッケージャーにおいて暗号化されているのに対して、引用発明のMPEG-DASHに変換したストリーミングデータは暗号化されていない点。 (相違点3) 本件発明は、発明特定事項Aの「暗号化されたストリーミングデータを受信して再生する再生装置」に関して、暗号化されたストリーミングデータを復号化する処理を行うために、 発明特定事項Bの「前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データであって、当該再生装置が有する秘密鍵に対応する公開鍵を含む要求データを暗号化する暗号化部」と、 発明特定事項Cの「前記暗号化部が暗号化した要求データを送信する送信部」と、 発明特定事項Dの「前記要求データの送信先である認証サーバから前記公開鍵で暗号化された復号化キーを取得する取得部」とを備え、 さらに、発明特定事項Eの「前記生成装置から」前記暗号化された「ストリーミングデータを受信する受信部」について、当該「ストリーミングデータ」は暗号化されており、 発明特定事項Fの「前記受信部が受信した」「ストリーミングデータを」「再生する再生部」について、当該ストリーミングデータは暗号化されており、これを「前記秘密鍵によって復号化された前記復号化キーを用いて復号化し、復号化された」「ストリーミングデータを再生する」のに対して、 引用発明においては、相違点2のように、ストリーミングデータは暗号化されていないため、 構成aのPCは、上記発明特定事項A、Eの「暗号化されたストリーミングデータを受信」するものではなく、 暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求するための上記発明特定事項Bの「暗号化部」、Cの「送信部」を有するものではなく、 該復号化キーを取得するための上記発明特定事項Dの「取得部」を有するものではなく、 構成a,e,fの「4K60P HEVC映像と96kHZ/24bit/2ch MPEG-4 ALS音声を安定してデコード再生できる」PCは、ストリーミングデータを再生する処理を行うものにすぎず、上記発明特定事項Fの「前記秘密鍵によって復号化された前記復号化キーを用いて復号化し、復号化された」ストリーミングデータを再生するための処理を行うための構成を有するものではない点。 (相違点4) 本件発明の発明特定事項Bの「前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データ」を踏まえた発明特定事項Gの「前記要求データ」は、発明特定事項G1における「前記認証サーバーが、前記送信部から送信された要求データを復号化し、当該要求データが示す要求に従って、鍵サーバーに前記公開鍵を送信して、且つ前記鍵サーバーによって当該公開鍵で暗号化された復号化キーを前記鍵サーバーから取得するためのデータであ」るのに対して、引用発明は「前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データ」を有するものではなく、発明特定事項G1を有するものではない点。 (相違点5) 本件発明の発明特定事項Aの「ストリーミングデータの再生装置」における発明特定事項Fの「再生部」は、「前記復号化されたストリーミングデータを再生する場合に、当該ストリーミングデータに含まれる音声データのサンプリングレートと、前記再生装置での再生時における前記音声データのサンプリングレートとを共に提示する」発明特定事項F1を備えるのに対して、引用発明の「クライアント」である「PC」は、ストリーミングデータを再生する場合に、音声データのサンプリングレートに関する情報を提示するものではなく、発明特定事項F1を有するものではない点。 4 判断 (1)相違点1についての判断 引用文献1記載事項には、「ライブの模様をスマホへ配信するために、映像は4Kから2Kに変換する」こととあり、また引用文献をあげるまでもなく、ストリーミング配信を受信する受信機に応じて、4Kの映像を2K(HDTV)に変換すること自体はおよそ周知の技術である。 また、引用文献2記載事項によれば、「HDTV映像とハイレゾオーディオを組み合わせたコンテンツのストリーミング視聴において、画像サイズをHDTVから4K、8Kへ拡大するために映像の圧縮方式がMPEG-2からH.264/MPEG-4 AVCさらにH.265/HEVCへと改良が進んでいるように思えるが、HDTVサイズのままで映像の帯域が下がる分をオーディオの高音質化に振り向けるサービスが出てきても良い」ということがいえる。 そして、引用発明の構成a1、a2において、引用文献1記載事項のように4Kライブ映像を2Kに変換するという周知技術を適用し、その際に映像の帯域が下がる分を引用文献2記載事項のようにオーディオの高音質化に振り分けることは、当業者にとって何ら困難を要するものではない。 このとき、引用文献2記載事項を踏まえて引用発明の4K60Pの映像をHDTVとして、映像の帯域が下がる分をオーディオの高品質化に振り向けるようにしてストリーミング配信するために、構成a3のMPEG-DASHライブサーバーへの入力をHDTVサイズにしてHEVCで圧縮することで映像の帯域を下げ、その分をMPEG-4 ALSのようなハイレゾの音声信号に用いるようにすることは、当業者にとって適宜なし得る設計的変更にすぎないといえる。 そして、引用発明の構成aに当該設計的変更を施したものは本件発明の発明特定事項A1に他ならない。 (2)相違点2、3についての判断 (2-1)まず、引用文献3記載事項1の(a)の「ブロードキャスト・コンテンツ項目に対してアクセスできるようにするための装置」は、引用文献3記載事項4の(e)にあるように、IPストリーミングにも適用可能であるといえるから、引用文献3記載事項1~3における(a)~(d4)も、ストリーミング配信を行うシステムのためのものであり、「コンテンツ項目」とは「ストリーミングデータ」であるといえる。 (2-2)そこで、本件発明の各発明特定事項と引用文献3記載事項1~3について検討する。 (2-2-1)相違点2および相違点3のうちの発明特定事項A、Eの「暗号化されたストリーミングデータを受信」するものについて 引用文献3記載事項1の(c1)および(c2)を踏まえた(c)、(b1)を踏まえた(b)によれば、コンテンツ・プロバイダ・システムにおいて、コンテンツ項目を暗号化して暗号化されたコンテンツ項目を生成し、暗号化されたコンテンツ項目を伝送する第1の送信機を有すること、および受信機サブシステムにおいて、コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ項目を受信するための第2の受信機を含むこと、は引用文献3に記載されている。 そして、「コンテンツ項目を暗号化して暗号化されたコンテンツ項目を生成し、暗号化されたコンテンツ項目を伝送する第1の送信機」を有する「コンテンツ・プロバイダ・システム」は、本件発明の発明特定事項A3の「ストリーミングデータを暗号化して出力するパッケージャー」を備えた発明特定事項Aの「生成装置」に、「コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ項目を受信するための第2の受信機」は、本件発明の発明特定事項A、Eの「(前記)生成装置から前記暗号化されたストリーミングデータを受信する」「受信部」に相当する。 (2-2-2)相違点3のうちの暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求するための発明特定事項B、Cの「暗号化部」、「送信部」について 引用文献3記載事項1,3の(b3)を踏まえた(b5)によれば、「受信機サブシステム」は、「公開キーと秘密キーのペアのうちの秘密キーに基づいてアクセスを求める要求を暗号化する」ものであり、「受信機サブシステムを処理する加入者は始めに、コンテンツ項目へのアクセスに関する注文とともに、ネットワークを介してクリアリング・ハウス・サブシステムに公開キーを伝送」するといえる。 また、引用文献3記載事項1の(d1)~(d3)を踏まえた(d)は、「受信機サブシステムの公開キーを受信する」と、「コンテンツ項目へのアクセスを求める要求に応答して、公開キーに基づいてコンテンツ・キーを暗号化して公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを生成」し、「暗号化されたコンテンツ・キーを受信サブシステムに伝送する」といえる。 以上から、上記(d2)の「コンテンツ項目へのアクセスを求める要求」とは、「コンテンツ項目へのアクセスに関する注文」であり、「暗号化されたコンテンツ・キー」を求める要求であって、「受信機サブシステムの公開キー」を含むものであり、受信機サブシステムはこの要求を「暗号化する」とともに「クリアリング・ハウス・サブシステム」に「伝送する」といえる。 そうすると、上記「受信機サブシステムのコンテンツへのアクセスを求める要求」を「暗号化」し、「注文とともに」「公開キーを伝送」する受信機サブシステムは、本件発明の発明特定事項Bの「前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データであって、当該再生装置が有する秘密鍵に対応する公開鍵を含む要求データを暗号化する暗号化部」と、発明特定事項Cの「暗号化部が暗号化した要求データを送信する送信部」に相当する構成を具備しているといえる。 (2-2-3)相違点3のうちの復号化キーを取得するための発明特定事項Dについて 引用文献3記載事項2の(b1)を踏まえた(b)によれば、「受信機サブシステム」は「クリアリング・ハウス・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ・キー」「を受信する」ものであり、上記(2-2-2)のとおり、「受信機サブシステム」は「クリアリング・ハウス・サブシステム」に要求を送信することから、該「クリアリング・ハウス・サブシステム」は要求の送信先であるといえる。 さらに、一般にクリアリング・ハウスとは、アクセスを行った者の認証処理を行うものであることから、「クリアリング・ハウス・サブシステム」は「認証サーバ」としての機能を有するものといえる。 したがって、上記「クリアリング・ハウス・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ・キー」「を受信する」「受信機サブシステム」は、発明特定事項Dの「前記要求データの送信先である認証サーバーから前記公開鍵で暗号化された復号化キーを取得する取得部」に相当する構成を具備しているといえる。 (2-2-4)相違点3のうちの発明特定事項Fについて 引用文献3記載事項1の(b2)を踏まえた(b)によれば、「受信機サブシステム」は、「公開キーと秘密キーのペアのうちの秘密キーに基づいて公開キーで暗号化されたコンテンツ・キーを暗号化解除してコンテンツ・キーを回復」することから、発明特定事項F同様に、「前記秘密鍵によって復号化された前記復号化キー」を得るものであるといえる。 さらに、引用文献3記載事項1の(b1)(b2)を踏まえた上記「受信機サブシステム」は、「第2の受信機」が「コンテンツ・プロバイダ・サブシステムからの暗号化されたコンテンツ項目を受信」し、「コンテンツ・キーに基づいて暗号化されたコンテンツ項目を暗号化解除して要求されたコンテンツ項目を回復する」ことから、発明特定事項F同様に「前記受信部が受信した前記暗号化されたストリーミングデータを」「前記復号化キーを用いて復号化」する構成を具備しているといえる。 加えて、受信機サブシステムは「暗号化されたコンテンツ項目を暗号化解除して要求されたコンテンツ項目を回復する」以上、回復されたコンテンツ項目は最終的には再生されるものといえ、発明特定事項Fの「復号化されたストリーミングデータを再生する」ことを示唆するといえる。 (2-3)ところで、ストリーミング配信において、サーバからコンテンツを暗号化して配信し、クライアントでは暗号化されたコンテンツを復号して再生することは、周知慣用技術でありかつコンテンツの配信形態として一般的なものであることや、上記(2-1)を踏まえると、引用文献3記載事項1~4を、引用発明の前提となるハイレゾライブのストリーミング系に適用することは、およそ当業者であれば普通に想到しうることである。 そして、上記(2-2-1)~(2-2-4)のとおり、引用文献3記載事項1~4は、本件発明の発明特定事項B~Fに関する事項を具備ないし示唆するものであるから、引用発明の前提となる系に対して上記引用文献3記載事項1~4を適用したものにおけるPCは、上記相違点2,3に係る事項をすべて備えるものといえる。 (3)相違点4についての判断 発明特定事項Gを踏まえた発明特定事項G1の「前記要求データは、前記認証サーバーが、前記送信部から送信された要求データを復号化し、当該要求データが示す要求に従って、鍵サーバーに前記公開鍵を送信して、且つ前記鍵サーバーによって当該公開鍵で暗号化された復号化キーを前記鍵サーバーから取得するためのデータ」は、認証サーバーが、鍵サーバーから復号化キーを取得するための処理において、「前記要求データ」がどのように用いられるかを特定している一方、「前記要求データ」に関して、本件発明の「ストリーミングデータの再生装置」が行う処理や機能等を何ら特定しておらず、上記相違点4に係る発明特定事項G1によっては、引用発明のPCと本件発明の「ストリーミングデータの再生装置」の構造、機能等には何ら差異を生じない。 したがって、相違点4は実質的なものではない。 (4)相違点5についての判断 引用文献4記載事項によれば、4K映像とハイレゾ化された音声のストリーミングコンテンツを受信し再生を行う音声映像再生装置に関し、音声データの周波数を解析し、サンプリングレートに変換し、表示するとともに、再生時のサンプリングレートを出力することは公知の技術にすぎず、引用発明のハイレゾライブストリーミング系におけるクライアントのPCに、4K映像とハイレゾ化された音声のストリーミングコンテンツを受信し再生を行う音声映像再生装置に関する上記引用文献4記載事項を適用することで、本件発明の発明特定事項Fにおける「再生部」が、発明特定事項F1の「ストリーミングデータを再生する場合に、当該ストリーミングデータに含まれる音声データのサンプリングレートと、当該再生装置での再生時における前記音声データのサンプリングレートとを共に提示する」構成をとるようにすることは、当業者にとって格別の困難性を要さない。 5 審判請求人の主張 審判請求人は、令和3年11月22日付け意見書の「2.理由1(特許法第29条第2項違反)に対する意見」の「(2)本願発明と引用文献に記載の発明との対比」において、以下のとおり主張している。 「本願発明1は、上述した本願明細書の段落0087~0091の記載に対応する構成であって、「前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データであって、当該再生装置が有する秘密鍵に対応する公開鍵を含む要求データを暗号化する暗号化部と、前記暗号化部が暗号化した要求データを送信する送信部と、前記要求データの送信先である認証サーバーから前記公開鍵で暗号化された復号化キーを取得する取得部と、前記生成装置から前記暗号化されたストリーミングデータを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記暗号化されたストリーミングデータを、前記秘密鍵によって復号化された前記復号化キーを用いて復号化し、復号化されたストリーミングデータを再生する再生部と、を備え、前記要求データは、前記認証サーバーが、前記送信部から送信された要求データを復号化し、当該要求データが示す要求に従って、鍵サーバーに前記公開鍵を送信して、且つ前記鍵サーバーによって当該公開鍵で暗号化された復号化キーを前記鍵サーバーから取得するためのデータ」であるという構成(以下、構成Aとも称します。)を有する点で、各引用文献に記載された発明と明らかに相違します。 構成Aによれば、再生装置が、鍵サーバーにおいて管理される復号化キーを、認証サーバーを介して、より高いセキュリティーによって取得することが可能となるという有利な効果を奏します。 認定なされましたように、引用文献1には、ストリーミングデータを復号化するための処理についての記載自体がありません。コンテンツの暗号化に関する相違点2及び3に対応する引用文献3には、段落0025等において、受信機サブシステム110からクリアリング・ハウス・サブシステム100に公開キーが送信されることがせいぜい記載されているに留まり、構成Aについては記載されておらず、引用文献3に記載の発明は、構成Aを明らかに備えていません。 その他の引用文献にも構成Aは、記載も示唆もされておらず、引用文献1に記載の発明に、引用文献3及びその他の引用文献に記載の発明を当業者が仮に組み合わせたとしても、構成Aを有する本願発明1には全く想到しません。 以上のように、本願発明1は、引用文献に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができた発明ではなく、引用文献に記載の発明では得られない特有の効果を奏するものです。それゆえ、本願発明1は、十分に進歩性の要件を満たしていると考えます。」 上記主張について検討する。 まず、審判請求人が主張する「構成A」のうち、 上記発明特定事項Bの「前記暗号化されたストリーミングデータの復号化キーを要求する旨を示す要求データであって、当該再生装置が有する秘密鍵に対応する公開鍵を含む要求データを暗号化する暗号化部」と、 上記発明特定事項Cの「前記暗号化部が暗号化した要求データを送信する送信部」と、 上記発明特定事項Dの「前記要求データの送信先である認証サーバーから前記公開鍵で暗号化された復号化キーを取得する取得部」と、 上記発明特定事項Eの「前記生成装置から前記暗号化されたストリーミングデータを受信する受信部」と、 上記発明特定事項Fの「前記受信部が受信した前記暗号化されたストリーミングデータを、前記秘密鍵によって復号化された前記復号化キーを用いて復号化し、復号化されたストリーミングデータを再生する再生部」と、 を備えることについては、上記4(2)の相違点2、3についての判断において説示したとおり、上記発明特定事項は引用文献3記載事項1~4に示されており、かつ、これら記載事項を引用発明に適用することは、およそ当業者であれば普通に想到しうることである。 そして、引用発明の前提となる系に上記記載事項を適用したものは、上記発明特定事項B~Fを備えるものといえる。 また、審判請求人が主張する「構成A」のうち、上記発明特定事項G、G1の「前記要求データは、前記認証サーバーが、前記送信部から送信された要求データを復号化し、当該要求データが示す要求に従って、鍵サーバーに前記公開鍵を送信して、且つ前記鍵サーバーによって当該公開鍵で暗号化された復号化キーを前記鍵サーバーから取得するためのデータ」については、上記4(3)の相違点4についての判断において説示したとおり、当該事項によっては引用発明のPCと本件発明の「構成A」のうちの「ストリーミングデータの再生装置」の構造、機能等には何ら差異を生じるものではない。 そして、引用発明に上記引用文献2~4記載事項を適用したものは、本件発明と同様に、「再生装置が、復号化キーを、認証サーバーを介して、より高いセキュリティーによって取得することが可能となる」という効果を奏するものである。 また、本件発明の「再生装置」は、復号化キーが鍵サーバによって管理されることを特定することによっては、そのような特定がない再生装置と比較して、暗号化された復号化キーが認証サーバーから取得するという再生装置の構造、機能等には何ら差異はない。 以上のとおり、審判請求人の主張は採用できない。 6 まとめ したがって、本件発明は、引用発明および引用文献2~4記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本件発明は、引用発明および引用文献2~4記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-007632

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