特許拒絶査定不服審判
2024-018880
適応的映像符号化装置及び方法
- 審判番号
- 2024-018880
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-010431
- 請求日
- 2024年11月26日
- 審決日
- 2026年01月27日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】吉元 弘
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 圓道 浩史
- 分類
- P18 .161-Z (H04N) / P18 .575-Z (H04N) / P18 .121-Z (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第4項、特許法第184条の4第1項、特許法第184条の9第1項、特許法第184条の6第2項、特許法第184条の4第3項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 10431「適応的映像符号化装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月10日出願公開、特開2023- 33648〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)12月16日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2009年12月16日 大韓民国(KR)、2010年5月28日 大韓民国(KR)、2010年12月14日 大韓民国(KR))を国際出願日とする特願2012-544386号の一部を、平成25年7月18日に新たな特許出願とした特願2013-149911号のさらに一部を、平成28年1月4日に新たな特許出願とした特願2016-273号のさらに一部を、平成30年9月11日に新たな特許出願とした特願2018-169870号のさらに一部を、令和2年10月12日に新たな特許出願とした2020-171743号のさらに一部を、令和5年1月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 1月23日付け 拒絶理由通知書
令和6年 4月26日 手続補正書及び意見書の提出
令和6年 7月22日付け 拒絶査定
令和6年11月26日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和7年 3月14日付け 前置報告書
令和7年 4月11日 上申書の提出
第2 令和6年11月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年11月26日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、令和6年4月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から11を、令和6年11月26日に提出された手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1から11に補正するものであって、本件補正前の請求項6を本件補正後の請求項6とする次の補正を含むものである。
なお、下線は、本件補正により補正された箇所を示す。また、記号「A」から「B112」は、分説するために当審において付したものであり、記号「A」から「B112」に対応する発明特定事項を、以下「構成A」から「構成B112」という。
(1) 本件補正前の請求項6
A 画面間予測を用いて対象ブロックに対して符号化を行う映像符号化方法であって、
B 参照ブロック識別子を生成すること、
C 前記対象ブロックに対する前記画面間予測を行うことによって、符号化された対象ブロック情報を生成すること
A を含み、
B1 前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示し、
A1 前記符号化は、前記対象ブロックの動き情報を決定すること、および前記対象ブロックに対して符号化を行うことを含み、
A11 前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され、
A111 前記動き情報は、動きベクトルと参照ピクチャインデックスとを含み、
B11 前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示し、
B111 前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される
A ことを特徴とする映像符号化方法。
(2) 本件補正後の請求項6
A 画面間予測を用いて対象ブロックに対して符号化を行う映像符号化方法であって、
B 参照ブロック識別子を生成すること、
C 前記対象ブロックに対する前記画面間予測を行うことによって、符号化された対象ブロック情報を生成すること
A を含み、
B1 前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示し、
A1 前記符号化は、前記対象ブロックの動き情報を決定すること、および前記対象ブロックに対して符号化を行うことを含み、
A11 前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され、
A111 前記動き情報は、動きベクトルと参照ピクチャインデックスとを含み、
B11 前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示し、
B112 前記現在ピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの左側に隣接するブロック、前記対象ブロックの上側に隣接するブロック、及び前記対象ブロックの左上に隣接するブロックを備え、
B111 前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される
A ことを特徴とする映像符号化方法。
2 本件補正の適否について
(1) 本件補正の目的について
本件補正は、上記1(2)のとおり、本件補正前の請求項6に記載された構成B11における「現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロック」について、「前記対象ブロックの左側に隣接するブロック、前記対象ブロックの上側に隣接するブロック、及び前記対象ブロックの左上に隣接するブロックを備え」ること(構成B112)を限定するものである。
そして、本件補正前の請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)と本件補正後の請求項6に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、本件補正のうち請求項6についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、また、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たすものである。
そこで、本件補正発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(2) 独立特許要件について
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものと認める。
イ 優先権について
本願は、韓国特許出願10-2009-0125305(出願日:2009年12月16日。以下、「優先基礎出願1」という。)、韓国特許出願10-2010-0050034(出願日2010年5月28日。以下、「優先基礎出願2」という。)、及び韓国特許出願10-2010-0127500(出願日:2010年12月14日。以下、「優先基礎出願3」という。)に基づく優先権が主張されている。
ここで、本件補正発明の構成Bの「参照ブロック識別子を生成すること」、構成B1の「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示し」、及び構成B11の「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示し」との発明特定事項に関して、優先権基礎出願3には、以下(ア)から(ケ)の記載がある。下線は、強調のため当審において付したものである。
(ア)
[図:0001436806000001.jpg]
(当審仮訳:
<64> 現在ブロックを符号化するにおいて、DIP又はTMがそのまま利用され、又は前述された又は後述される他の方法を使用して復元されたブロックの中から、参照ブロックが決定されうる。)
(イ)
[図:0001436806000002.jpg]
[図:0001436806000003.jpg]
(当審仮訳:
<98> 参照ブロックの符号化パラメータによる現在ブロックの画面内符号化方法が符号化器で使われる場合、復号化器は、省略された符号化パラメータ情報を参照ブロックから導出でき、導出された情報を現在復号化対象ブロックに適用し、現在ブロックで省略された符号化パラメータ情報を正しく使用できる。このとき、必要な場合、符号化器は、どの参照ブロックが選択されたかに対する参照ブロック識別子を復号化器に伝送することができ、復号化器は、当該参照ブロックから省略された符号化パラメータ情報を導出することができる。)
(ウ)
[図:0001436806000004.jpg]
(当審仮訳:
<104> 符号化器が参照ブロックの符号化パラメータによる現在ブロックの画面間符号化方法を使用した場合、復号化器は省略された符号化パラメータ情報を参照ブロックから導出することができる。復号化器は、前記導出された情報を現在復号化対象ブロックに適用することによって、現在ブロックで省略された符号化パラメータ情報を正しく使用できる。
<105> このとき、必要な場合、符号化器は、どの参照ブロックが選択されたかを示す(又は、どの参照ブロックが選択されたかに対する情報を含む)参照ブロック識別子を復号化器に送信することができる。参照ブロック識別子を使用することによって、復号化器は、識別された参照ブロックから省略された符号化パラメータ情報を導き出すことができる。)
(エ)
[図:0001436806000005.jpg]
(当審仮訳:
<153> 現在ブロック740の輝度及び色差画面内予測方向760は、復号化器に伝送されない。この時、現在ブロック740の参照ブロックが上端ブロック752であることが参照ブロック識別子を通じて復号化器に知らされる。復号化器は、参照ブロック識別子を通じて、上端ブロック732が現在ブロック740の参照ブロックであることを識別できる。)
(オ)
[図:0001436806000006.jpg]
(当審仮訳:
<162> 現在ブロック940の画面間マクロブロックパーティション960は復号化器に伝送されない。上端ブロック932が現在ブロック940の参照ブロックであることが参照ブロック識別子を通じて復号化器に知らされる。復号化器は、参照ブロック識別子を通じて、上端ブロック932が現在ブロック940の参照ブロックであることを識別できる。)
(カ)
[図:0001436806000007.jpg]
(当審仮訳:
<166> 現在ブロック1040の動きベクトル1060は復号化器に伝送されない。上端ブロック1032が現在ブロック940の参照ブロックであることが参照ブロック識別子を通じて復号化器に知らされる。復号化器は、参照ブロック識別子を通じて、上端ブロック1032が現在ブロック1040の参照ブロックであることを識別できる。)
(キ)
[図:0001436806000008.jpg]
[図:0001436806000009.jpg]
(当審仮訳:
<170> 現在ブロック1140の参照映像インデックス1160は復号化器に伝送されない。上端ブロック1132が現在ブロック1140の参照ブロックであることが参照ブロック識別子を通じて復号化器に知らされる。復号化器は、参照ブロック識別子を通じて、上端ブロック1132が現在ブロック1140の参照ブロックであることを識別できる。)
(ク)
[図:0001436806000010.jpg]
(当審仮訳:
<174> 現在ブロック1240の参照画像リスト1260は復号化器に伝送されない。上端ブロック1232が現在ブロック1240の参照ブロックであることが参照ブロック識別子を通じて復号化器に知らされる。復号化器は、参照ブロック識別子を通じて、上端ブロック1232が現在ブロック1240の参照ブロックであることを識別できる。)
(ケ)
[図:0001436806000011.jpg]
(当審仮訳:
<178> 現在ブロック1340の予測方向1360は復号化器に伝送されない。上端ブロック1332が現在ブロック1340の参照ブロックであることが参照ブロック識別子を通じて復号化器に知らされる。復号化器は、参照ブロック識別子を通じて、上端ブロック1332が現在ブロック1340の参照ブロックであることを識別できる。)
(コ)
上記(イ)から(ケ)によれば、本件補正発明の構成Bの「参照ブロック識別子を生成すること」及び構成B1の「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」すことは、優先権基礎出願3に記載されているといえる。
また、上記(ア)によれば、当該段落<64>の前述された又は後述される他の方法を使用して復元されたブロックの中から、参照ブロックが決定されうるから、上記(イ)の画面内符号化方法や、上記(ウ)段落<104>の画面間符号化方法を使用して復元されたブロックの中から、参照ブロックが決定されうるといえる。
そうすると、本件補正発明の構成B11における「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」すことは、優先権基礎出願3に記載されているといえる。
一方、優先基礎出願2においては、段落<46>に優先基礎出願3の上記(ア)と同じ内容が記載されているものの、「参照ブロック識別子」に関する記載はない。
また、優先基礎出願1においては、優先基礎出願3の上記(ア)と同じ又は同旨の記載はなく、さらに「参照ブロック識別子」に関する記載もない。
以上のとおり、本件補正発明の構成B、B1、及びB11は、優先基礎出願3により初めて開示されたものであるから、本件補正発明に対して、優先基礎出願1及び2に基づく優先権主張の効果は認められず、特許法第29条の2を適用する際の判断の基準日は、優先基礎出願3の出願日である2010年12月14日とする。
ウ 先願明細書等に記載された事項、及び先願発明
(ア)先願明細書等に記載された事項
当審で新たに引用する、2011年(平成23年)11月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年11月4日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする外国語でされた国際特許出願(PCT/EP2011/069408)であって、本願の国際出願後の2012年(平成24年)5月10日に国際公開され(国際公開第2012/059577号)、その後特許法184条の4第1項に規定する翻訳文が提出され、さらに特許法第184条の9第1項の規定により国内公表された(特表2013-542691号公報)外国語特許出願(特願2013-537146号、以下「先願」という。)について、特許法第184条の6第2項の規定により願書に添付して提出した明細書、及び図面とみなされる国際出願日における明細書の翻訳文、及び図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。
ここで、先願の発明者は、SCHWARZ, Heiko(シュヴァルツ ハイコ)、KIRCHHOFFER, Heiner(キルヒホーファー ハイナー)、HELLE, Philipp(ヘレ フィリップ)、OUDIN, Simon(オーディン ジーモン)、STEGEMANN, Jan(シュテーゲマン ヤン)、BROSS, Benjamin(ブロス ベンヤミン)、MARPE, Detlev(マルペ デトレフ)、及びWIEGAND, Thomas(ウィーガント トーマス)であって本願発明者と同一の者でなく、かつ、本願出願時における先願の出願人は、FRAUNHOFER-GESELLSCHAFT ZUR FO(当審注:Oウムラウト)RDERUNG DER ANGEWANDTEN FORSCHUNG E.V.(フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ)であって本願出願人とは異なる。
a
「【0027】
(中略)符号化パラメータは、例えば、インター予測パラメータなどの予測パラメータを示すことができる。この種のインター予測パラメータは、例えば、参照画像インデックス、動きベクトル(motion vector)などを含むことができる。(以下略)」
b
「【0070】
(中略)スキップモードは、(PおよびBピクチャの)H.264の16x16マクロブロックを符号化するために使用されることができるだけであり、ダイレクトモードは、16x16マクロブロックまたは8x8サブマクロブロックを符号化するために使用されることができる。(以下略)」
c
「【0092】
2.統合フラグとCBFフラグとの組み合わせおよびスキップ/ダイレクトモード
スキップ(SKIP)/ダイレクト(DIRECT)モードは、特定のブロックサイズおよび/またはブロック形状の全て又はそれのみのためにサポートされうる。最新の技術ビデオ符号化標準H.264に特定されるようなスキップ/ダイレクトモードの拡張において、候補ブロックのセットは、スキップ/ダイレクトモードのために使用される。スキップとダイレクトとの違いは残差パラメータが送られるかどうかである。スキップおよびダイレクトの(例えば予測に関する)パラメータは、対応する候補のいずれかから推定されることができる。どの候補が符号化パラメータを推定するために使用されるかについてシグナリングする候補インデックスは、符号化される。複数の予測が(H.264 B-フレームにおいて使用される双予測的なブロックのような)現在ブロックのための最終的な予測信号を形成するために組み合わされる場合、あらゆる予測は異なる候補に関しうる。このようにあらゆる予測のために、候補インデックスは、符号化されることができる。
【0093】
本発明の好ましい実施形態において、スキップ/ダイレクトのための候補リストは、統合モードのための候補リストとは異なる候補ブロックを含むことができる。1つの例が、図10に示される。候補リストは、以下のブロックを含むことができる(現在ブロックは、Xiで示される)
●動きベクトル(Motion Vector)(0,0)
●中央値(Median)(左(Left)、上(Above)、角(Corner)間)
●左ブロック(Left block)(Li)
●上ブロック(Above block)(Ai)
●角ブロック(順番に:右上(Above Right)(Ci1)、左下(Below Left)(Ci2)、左上(Above Left)(Ci3))
●異なるが、すでに符号化された画像のコロケートブロック(Collocated block)」
d
「
[図:0001436806000012.jpg]
」(図10)
(イ)先願発明
a
上記(ア)cの段落0092における「ビデオ符号化標準H.264に特定されるようなスキップ/ダイレクトモードの拡張」との記載から、先願明細書等には、スキップ/ダイレクトモードに関するビデオ符号化方法が記載されているといえる。
また、上記(ア)bの「スキップモードは、(PおよびBピクチャの)・・・マクロブロックを符号化するために使用されることができるだけであり、ダイレクトモードは、・・・マクロブロックまたは・・・サブマクロブロックを符号化するために使用されることができる」との記載から、先願明細書等に記載されたスキップモード及びダイレクトモードは対象とするブロックを符号化するモードといえる。
さらに、前記P及びBピクチャがピクチャ間予測に用いられることは、ビデオ符号化分野における技術常識である。
そうすると、先願明細書には、ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化するビデオ符号化方法、が記載されているといえる。
b
上記(ア)cの段落0092には、「候補ブロックのセットは、スキップ/ダイレクトモードのために使用される」、及び「スキップおよびダイレクトの(例えば予測に関する)パラメータは、対応する候補のいずれかから推定されることができる。どの候補が符号化パラメータを推定するために使用されるかについてシグナリングする候補インデックスは、符号化される。」との記載がある。
ここで、前記「対応する候補」は“対応する候補ブロック”を意味し、また、前記「どの候補」とは“どの候補ブロック”を意味し、さらに、「(例えば予測に関する)パラメータ」及び「符号化パラメータ」は、ともに“予測に関する符号化パラメータ”を意味すること、加えて、「候補インデックス」は符号化される前に生成されること、はいずれも明らかである。
そうすると、先願明細書等には、ビデオ符号化方法において、スキップおよびダイレクトの予測に関する符号化パラメータは、対応する候補ブロックのいずれかから推定され、前記予測に関する符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする候補インデックスを生成して符号化すること、が記載されているといえる。
c
上記(ア)aにおける「符号化パラメータは、・・・インター予測パラメータなどの予測パラメータを示すことができる。この種のインター予測パラメータは、・・・参照画像インデックス、動きベクトル(motion vector)などを含むことができる」との記載によれば、先願明細書等には、符号化パラメータは、参照画像インデックスと動きベクトルを含むこと、が記載されているといえる。
d
上記(ア)cの段落0093には、「スキップ/ダイレクトのための候補リストは、・・・候補ブロックを含むことができる。1つの例が、図10に示される。候補リストは、以下のブロックを含むことができる(現在ブロックは、Xiで示される)
・・・
●左ブロック・・・(Li)
●上ブロック・・・(Ai)
●角ブロック(・・・左上・・・(Ci3))
●異なるが、すでに符号化された画像のコロケートブロック」との記載がある。
また、上記(ア)dからは、記号Xiの四角形に対して、記号Liの四角形は左側に隣接し、記号Aiの四角形は上側に隣接し、記号Ci3の四角形は左上に隣接する様子が見てとれる。
したがって、先願明細書等には、スキップ/ダイレクトのための候補リストは、現在ブロック(Xi)に対して、左側に隣接する左ブロック(Li)、同じく上側に隣接する上ブロック(Ai)、同じく左上に隣接する角ブロック(Ci3)、及び異なるがすでに符号化された画像のコロケートブロック、を含むこと、が記載されているといえる。
以上aからdをまとめると、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、記号「a」から「d」は、分説するために当審において付したものであり、記号「a」から「d」に対応する発明特定事項を、以下「構成a」から「構成d」という。
〔先願発明〕
a ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化するビデオ符号化方法であって、
b スキップおよびダイレクトの予測に関する符号化パラメータは、対応する候補ブロックのいずれかから推定され、前記予測に関する符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする候補インデックスを生成して符号化すること、
a を含み、
c 符号化パラメータは、参照画像インデックスと動きベクトルを含み、
d スキップ/ダイレクトのための候補リストは、現在ブロック(Xi)に対して、左側に隣接する左ブロック(Li)、同じく上側に隣接する上ブロック(Ai)、同じく左上に隣接する角ブロック(Ci3)、及び異なるがすでに符号化された画像のコロケートブロック、を含む
a ビデオ符号化方法。
(ウ)先願発明の優先権について
a 先願の優先基礎出願に記載された事項
先願は、パリ条約による優先権主張を伴う出願であるところ、本願の有効な優先日である2010年12月14日より前の2010年11月4日に出願された、先願の優先権主張の基礎となる米国仮特許出願(US61/410246)の明細書及び図面(以下、「先願の優先基礎出願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
(a)
「The sample sets are associated with particular coding parameters, which may specify prediction information or residual coding modes, etc.」(1ページ15及び16行)
(当審仮訳:
サンプルセットは特定の符号化パラメータに関連付けられており、これには予測情報や残差符号化モードなどが指定される場合がある。)
(b)
「For all samples of a block (or the corresponding blocks of sample arrays) the decoding of the associated coding parameters is specified in a certain way. In the example, all samples in a block are predicted using the same set of prediction parameters, such as reference indices (identifying a reference picture in the set of already coded pictures), motion parameters (specifying a measure for the movement of a blocks between a reference picture and the current picture), parameters for specifying the interpolation filter, intra prediction modes, etc. The motion parameters can be represented by displacement vectors with a horizontal and vertical component or by higher order motion parameters such as affine motion parameters consisting of six components. It is also possible that more than one set of particular prediction parameters (such as reference indices and motion parameters) are associated with a single block.」(3ページ12から21行)
(当審仮訳:
ブロックのすべてのサンプル(またはサンプル配列の対応するブロック)について、関連する符号化パラメータの復号は特定の方法で指定される。この例では、ブロック内のすべてのサンプルは、同じ予測パラメータのセットを使用して予測される。これには、参照インデックス(すでに符号化された画像のセット内の参照画像を特定する)、動きパラメータ(参照画像と現在の画像の間のブロックの動きを示す指標)、補間フィルタを指定するためのパラメータ、イントラ予測モードなどが含まれる。動きパラメータは、水平方向および垂直方向の成分を持つ変位ベクトルとして表現されるか、6つの成分からなるアフィン動きパラメータのような高次の動きパラメータとして表現されることもある。また、特定の予測パラメータのセット(参照インデックスや動きパラメータなど)が単一のブロックに関連付けられることも可能である。)
(c)
「The SKIP mode can only be used for coding 16x16 macroblocks in H.264 (in P and B pictures) and the DIRECT mode can be used for coding 16x16 macroblocks or 8x8 sub-macroblocks.」(5ページ23から25行)
(当審仮訳:
スキップモードは、H.264において16x16マクロブロック(PおよびBピクチャで)を符号化するためにのみ使用でき、ダイレクトモードは16x16マクロブロックまたは8x8サブマクロブロックを符号化するために使用できる。)
(d)
「3.2 Combination of the merging flag and the CBF flag and a modified SKIP/DIRECT mode
The SKIP/DIRECT modes may be supported for all or only particular block sizes and/or block shapes. In an extension of the SKIP/DIRECT modes as specified in the state-of-the-art video coding standard H.264, a set of candidate blocks is used for the SKIP/DIRECT modes. The difference between SKIP and DIRECT is whether residual parameters are sent or not. The parameters (e.g., for prediction) of SKIP and DIRECT can be inferred from any of the corresponding candidates. A candidate index is coded, which signals which candidate is used to infer the coding parameters. If multiple predictions are combined to form the final prediction signal for the current block (as in bi-predictive blocks used in H.264 B-frames) every prediction can refer to a different candidate. Thus for every prediction a candidate index can be coded.
In a preferred embodiment of the invention, the candidate list for SKIP/DIRECT may contain different candidate blocks. An example is illustrated in Figure 4. The candidate list may include the following blocks (the current block is denoted by Xi):
・ Motion Vector (O,O)
・ Median (between Left, Above, Corner)
・ Left block (Li)
・ Above block (Ai)
・ Corner blocks (In order: Above Right (Cil), Below Left (Ci2), Above Left (Ci3))
・ Collocated block in a different, but already coded picture」(9ページ1から20行)
(当審仮訳:
3.2 マージフラグとCBFフラグの組み合わせおよび修正されたスキップ/ダイレクトモード
スキップ/ダイレクトモードは、すべてのブロックサイズおよび/または特定のブロック形状に対してサポートされる場合がある。H.264の最先端ビデオ符号化標準で指定されているスキップ/ダイレクトモードの拡張において、スキップ/ダイレクトモード用の候補ブロックのセットが使用される。スキップとダイレクトの違いは、残差パラメータが送信されるかどうかである。スキップとダイレクトのパラメータ(例えば、予測用)は、対応する候補のいずれかから推定される。候補インデックスが符号化され、どの候補が符号化パラメータを推定するために使用されるかがシグナリングされる。複数の予測が組み合わされて現在ブロックの最終予測信号を形成する場合(H.264のBフレームで使用される双方向予測ブロックのように)、各予測は異なる候補を参照することができる。したがって、各予測に対して候補インデックスを符号化することができる。
本発明の好ましい実施形態において、スキップ/ダイレクト用の候補リストには異なる候補ブロックが含まれる場合がある。例は図4に示されている。候補リストには以下のブロックが含まれる(現在のブロックはXiで示される):
・ 動きベクトル (0,0)
・ 中央値(左、上、角の間)
・ 左ブロック (Li)
・ 上ブロック (Ai)
・ 角ブロック(順番:右上 (Ci1)、左下 (Ci2)、左上 (Ci3))
・ 異なるがすでに符号化された画像内のコロケートブロック)
(e)
「
[図:0001436806000013.jpg]
Figure 4: Example for the candidate blocks for SKIP/DIRECT」(9ページ)
(当審仮訳:
図4:スキップ/ダイレクト用の候補ブロックの例)
b 先願の優先権基礎出願明細書等に記載された発明
(a)
上記a(d)における「H.264の最先端ビデオ符号化標準で指定されているスキップ/ダイレクトモードの拡張」との記載から、先願の優先基礎出願明細書等には、スキップ/ダイレクトモードに関するビデオ符号化方法が記載されているといえる。
また、上記a(c)の「スキップモードは、H.264において・・・マクロブロック(PおよびBピクチャで)を符号化するためにのみ使用でき、ダイレクトモードは・・・マクロブロックまたは・・・サブマクロブロックを符号化するために使用できる」との記載から、先願の優先基礎出願明細書等に記載されたスキップモード及びダイレクトモードは対象とするブロックを符号化するモードといえる。
さらに、前記P及びBピクチャがピクチャ間予測に用いられることは、ビデオ符号化分野における技術常識である。
そうすると、先願の優先基礎出願明細書には、ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化するビデオ符号化方法、が記載されているといえる。
(b)
上記a(d)には、「スキップ/ダイレクトモード用の候補ブロックのセットが使用される」、及び「スキップとダイレクトのパラメータ(例えば、予測用)は、対応する候補のいずれかから推定される。候補インデックスが符号化され、どの候補が符号化パラメータを推定するために使用されるかがシグナリングされる。」との記載がある。
ここで、前記「対応する候補」は“対応する候補ブロック”を意味し、また、前記「どの候補」とは“どの候補ブロック”を意味し、さらに、「パラメータ(例えば、予測用)」及び「符号化パラメータ」は、ともに“予測用符号化パラメータ”を意味すること、加えて、「候補インデックス」は符号化される前に生成されること、はいずれも明らかである。
そうすると、先願の優先基礎出願明細書等には、ビデオ符号化方法において、スキップおよびダイレクトの予測用符号化パラメータは、対応する候補ブロックのいずれかから推定され、前記予測用符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする候補インデックスを生成して符号化すること、が記載されているといえる。
(c)
上記a(a)における「サンプルセットは特定の符号化パラメータに関連付けられており、これには予測情報や残差符号化モードなどが指定される場合がある」との記載、及び上記a(b)における「ブロック内のすべてのサンプルは、同じ予測パラメータのセットを使用して予測される」との記載によれば、「符号化パラメータ」には「予測パラメータのセット」が指定される場合があるといえる。
また、上記a(b)における「同じ予測パラメータのセットを使用して予測される。これには、参照インデックス(すでに符号化された画像のセット内の参照画像を特定する)、動きパラメータ・・・などが含まれる。」、及び「予測パラメータのセット(参照インデックスや動きパラメータなど)」との記載によれば、「予測パラメータ」には、「すでに符号化された画像のセット内の参照画像を特定する参照インデックス」や「動きパラメータ」などが含まれるといえる。
さらに、上記a(b)における「動きパラメータ(参照画像と現在の画像の間のブロックの動きを示す指標)・・・などが含まれる。動きパラメータは、水平方向および垂直方向の成分を持つ変位ベクトルとして表現されるか、6つの成分からなるアフィン動きパラメータのような高次の動きパラメータとして表現されることもある」との記載によれば、「動きパラメータ」は、参照画像と現在の画像の間のブロックの動きを示す指標、水平方向および垂直方向の成分を持つ変位ベクトル、又は6つの成分からなるアフィン動きパラメータのような高次の動きパラメータとして表現されることがある、といえる。
そうすると、先願の優先基礎出願明細書等において、符号化パラメータには、予測パラメータのセットが指定される場合があり、前記予測パラメータには、すでに符号化された画像のセット内の参照画像を特定する参照インデックスや動きパラメータなどが含まれ、前記動きパラメータは、前記参照画像と現在の画像の間のブロックの動きを示す指標、水平方向および垂直方向の成分を持つ変位ベクトル、又は6つの成分からなるアフィン動きパラメータのような高次の動きパラメータとして表現されること、が記載されているといえる。
(d)
上記a(d)には、「スキップ/ダイレクト用の候補リストには異なる候補ブロックが含まれる場合がある。例は図4に示されている。候補リストには以下のブロックが含まれる(現在のブロックはXiで示される):
・・・
・ 左ブロック (Li)
・ 上ブロック (Ai)
・ 角ブロック(・・・左上 (Ci3))
・ 異なるがすでに符号化された画像内のコロケートブロック」との記載がある。
また、上記a(e)からは、記号Xiの四角形に対して、記号Liの四角形は左側に隣接し、記号Aiの四角形は上側に隣接し、記号Ci3の四角形は左上に隣接する様子が見てとれる。
したがって、先願の優先基礎出願明細書等には、スキップ/ダイレクト用の候補リストは、現在のブロック(Xi)に対して、左側に隣接する左ブロック(Li)、同じく上側に隣接する上ブロック(Ai)、同じく左上に隣接する角ブロック(Ci3)、及び異なるがすでに符号化された画像内のコロケートブロック、を含むこと、が記載されているといえる。
以上(a)から(d)をまとめると、先願の優先基礎出願明細書等には、次の発明(以下、「先願の優先基礎出願発明」という。)が記載されていると認められる。
〔先願の優先基礎出願発明〕
a ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化するビデオ符号化方法であって、
b’ スキップおよびダイレクトの予測用符号化パラメータは、対応する候補ブロックのいずれかから推定され、前記予測用符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする候補インデックスを生成して符号化すること、
a を含み、
c’ 符号化パラメータには、予測パラメータのセットが指定される場合があり、前記予測パラメータには、すでに符号化された画像のセット内の参照画像を特定する参照インデックスや動きパラメータなどが含まれ、前記動きパラメータは、前記参照画像と現在の画像の間のブロックの動きを示す指標、水平方向および垂直方向の成分を持つ変位ベクトル、又は6つの成分からなるアフィン動きパラメータのような高次の動きパラメータとして表現され、
d’ スキップ/ダイレクト用の候補リストは、現在のブロック(Xi)に対して、左側に隣接する左ブロック(Li)、同じく上側に隣接する上ブロック(Ai)、同じく左上に隣接する角ブロック(Ci3)、及び異なるがすでに符号化された画像内のコロケートブロック、を含む
a ビデオ符号化方法。
c 先願発明と先願の優先基礎出願発明の対比
先願発明における構成aは、先願の優先権基礎出願発明の構成aと一致する。
また、先願の優先権基礎出願発明の構成b’における「予測用符号化パラメータ」は、先願発明の「予測に関する符号化パラメータ」に相当するから、先願発明における構成bは、先願の優先権基礎出願発明の構成b’と実質的に一致する。
さらに、先願の優先権基礎出願発明の構成c’における「すでに符号化された画像のセット内の参照画像を特定する参照インデックス」は、先願発明の構成cにおける「参照画像インデックス」に相当する。
加えて、先願の優先権基礎出願発明の構成c’における「動きパラメータ」は、「前記参照画像と現在の画像の間のブロックの動きを示す指標、水平方向および垂直方向の成分を持つ変位ベクトル、又は6つの成分からなるアフィン動きパラメータのような高次の動きパラメータとして表現でき」るものであるから、先願発明の構成cにおける「動きベクトル」を含むといえる。
そうすると、先願発明の構成cにおいて「符号化パラメータは、参照画像インデックスと動きベクトルを含」むことは、先願の優先権基礎出願発明の構成c’において、「符号化パラメータ」には、「予測パラメータ」のセットが指定される場合があり、前記「予測パラメータ」には、「参照インデックス」や「動きパラメータ」などが含まれることとして、実質的に記載されていたといえる。
そして、先願の優先権基礎出願発明の構成d’における「スキップ/ダイレクト用の候補リスト」、及び「現在のブロック(Xi)」は、先願発明の構成dにおける「スキップ/ダイレクトのための候補リスト」、及び「現在ブロック(Xi)」にそれぞれ相当するから、先願発明における構成dは、先願の優先権基礎出願発明の構成d’と実質的に一致する。
したがって、先願発明は、先願の優先権基礎出願明細書等にも記載されていたといえる。
d 先願の優先権についてのまとめ
以上のとおり、先願発明は、先願の優先権基礎出願明細書等にも記載されているから、特許法第29条の2本文の規定の適用について、先願は、優先権主張の基礎となる米国仮特許出願(US61/410246)の出願日である2010年11月4日に出願されたものとして扱う。
エ 本件補正発明と先願発明との対比、及び判断
本件補正発明と、先願発明とを対比する。
(ア)構成Aについて
先願発明の構成aにおける「ピクチャ間予測」、「対象とするブロック」及び「ビデオ符号化方法」は、本件補正発明の構成Aにおける「画面間予測」、「対象ブロック」及び「映像符号化方法」にそれぞれ相当するから、本件補正発明と先願発明は、「画面間予測を用いて対象ブロックに対して符号化を行う映像符号化方法であ」る点で一致する。
(イ)構成B、及びAについて
下記(エ)で後述するとおり、先願発明の「候補インデックス」は、本件補正発明の「参照ブロック識別子」に相当するから、先願発明の構成bにおいて候補インデックスを生成することは、本件補正発明の構成Bにおいて「参照ブロック識別子を生成すること」に相当する。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「参照ブロック識別子を生成すること」「を含」む点で一致する。
(ウ)構成C、及びAについて
先願発明は、「ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化する」(構成a)方法であるから、上記(ア)を考慮すると、対象ブロックに対する画面間予測を行うことによって、対象ブロックを符号化する方法であるといえる。
ここで、前記「対象とするブロックを符号化する」ことは、対象ブロックの情報を符号化して符号化された情報を生成することを含むといえるから、先願発明の構成aにおける「ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化する」ことは、本願発明の構成Cにおける「前記対象ブロックに対する前記画面間予測を行うことによって、符号化された対象ブロック情報を生成すること」に相当するといえる。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記対象ブロックに対する前記画面間予測を行うことによって、符号化された対象ブロック情報を生成すること」「を含」む点で一致する。
(エ)構成B1について
先願発明の構成bによれば、「候補インデックス」は、「予測に関する符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする」ものである。
ここで、予測に関する符号化パラメータを推定するために使用される「候補ブロック」は参照されるブロックであり、また、「どの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする」ことは候補ブロック(参照されるブロック)の識別情報を伝達することを意味するから、前記「候補インデックス」は、ブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示す参照ブロック識別子であるといえる。
また、候補ブロック(参照ブロック)が復元されていないと、当該候補ブロック(参照ブロック)を使用して予測に関する符号化パラメータを推定することができないから、候補ブロック(参照ブロック)は、以前に復元されたブロックの中から示されるといえる。
そうすると、先願発明の構成bにおける「候補インデックス」は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示すものであり、本願発明の構成B1における「参照ブロック識別子」に相当するといえる。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」す点で一致する。
(オ)構成A1について
先願発明の構成bについて、「予測に関する符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする候補インデックスを生成して符号化する」ことが、候補インデックスを受信する復号側において、符号化側と同じ候補ブロックを使用して「予測に関する符号化パラメータ」について、符号化側と同じ推定を行うことができるようにするためであることは、ビデオ符号化分野の当業者には自明であるから、先願発明において、候補インデックスを生成して符号化する前に、「予測に関する符号化パラメータ」を決定することは明らかである。
また、「予測に関する符号化パラメータ」が符号化対象のブロックについてのパラメータであることも自明である。
さらに、下記(キ)で後述するとおり、先願発明の「予測に関する符号化パラメータ」は、本件補正発明の「動き情報」に相当する。
そうすると、「ピクチャ間予測を用いて対象とするブロックを符号化するビデオ符号化方法」(構成a)である先願発明における「符号化」は、符号化対象のブロックについての動き情報を決定すること、及び符号化対象のブロックに対して符号化を行うことを含むといえる。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記符号化は、前記対象ブロックの動き情報を決定すること、および前記対象ブロックに対して符号化を行うことを含」む点で一致する。
(カ)構成A11について
下記(キ)で後述するとおり、先願発明の「予測に関する符号化パラメータ」は、符号化対象のブロックについてのパラメータであり、また、本件補正発明の「動き情報」に相当する。
さらに、ビデオ符号化の技術分野において、符号化対象のブロックと参照するブロックとの間の類似性を利用してパラメータを決定することは一般的であるから、先願発明の構成bにおける「予測に関する符号化パラメータは、対応する候補ブロックのいずれかから推定され」ることは、符号化対象のブロックの予測に関する符号化パラメータは、対応する候補ブロック(参照ブロック)の予測に関する符号化パラメータに基づいて決定されることを意味すると解される。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され」る点で一致するといえる。
(キ)構成A111について
先願発明の構成cにおける「動きベクトル」、及び「参照画像インデックス」は、本件補正発明の構成A111における「動きベクトル」、及び「参照ピクチャインデックス」にそれぞれ相当する。
そうすると、「参照画像インデックスと動きベクトルを含」む先願発明の「予測に関する符号化パラメータ」は、本件補正発明の「動き情報」に相当する。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記動き情報は、動きベクトルと参照ピクチャインデックスとを含」む点で一致する。
(ク)構成B11について
先願発明の構成bによれば、先願発明の「候補インデックス」は、「スキップおよびダイレクトの予測に関する符号化パラメータ」「を推定するためにどの候補ブロックが使用されるかについてシグナリングする」ものであり、また、先願発明の構成dによれば、「スキップ/ダイレクトのための候補リスト」は、「現在ブロック(Xi)」に対する「左ブロック(Li)」、「上ブロック(Ai)」、及び「角ブロック(Ci3)」、並びに「コロケートブロック」を含むから、前記「候補インデックス」は、左ブロック(Li)、上ブロック(Ai)、角ブロック(Ci3)、及びコロケートブロックを含む候補リストから、予測に関する符号化パラメータを推定するためにどの候補ブロックが使用されるかをシグナリングするものと解される。
ここで、先願発明の「候補インデックス」が本件補正発明の「参照ブロック識別子」に相当すること、及び、候補ブロック(参照ブロック)が以前に復元されたブロックの中から示されることは、上記(エ)で述べたとおりである。
また、構成dにおける「現在ブロック(Xi)」は、本件補正発明の構成B11における「対象ブロック」に相当する。さらに、現在ブロック(Xi)に対して「隣接」する(構成d)「左ブロック(Li)」、「上ブロック(Ai)」、及び「角ブロック(Ci3)」は、現在ブロック(Xi)を含むピクチャ内に含まれるといえるから、構成B11における「前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロック」に相当する。
加えて、構成dにおける「コロケートブロック」は、「異なるがすでに符号化された画像」のブロックであるから、構成B11における「以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロック」に相当する。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」す点で一致する。
(ケ)構成B112について
先願発明の構成dにおける「左ブロック(Li)」、「上ブロック(Ai)」、及び「角ブロック(Ci3)」は、本件補正発明の構成B112における「前記対象ブロックの左側に隣接するブロック」、「前記対象ブロックの上側に隣接するブロック」、及び「前記対象ブロックの左上に隣接するブロック」、にそれぞれ相当する。
したがって、上記(ク)を考慮すると、本件補正発明と先願発明は、「前記現在ピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの左側に隣接するブロック、前記対象ブロックの上側に隣接するブロック、及び前記対象ブロックの左上に隣接するブロックを備え」る点で一致する。
(コ)構成B111について
「コロケートブロック」が符号化対象ブロックの位置に基づいて決定されることは、ビデオ符号化分野における技術常識であるから、先願発明の構成dにおける「コロケートブロック」は、「現在ブロック(Xi)」(対象ブロック)の位置に基づいて決定されることが明らかである。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される」点で一致する。
(サ)
以上(ア)から(コ)をまとめると、本件補正発明と先願発明は、構成Aから構成B112の全てにおいて一致する。
したがって、本件補正発明は、先願発明と同一である。
(シ) 特許法第29条の2についての判断
本件補正発明に対して、特許法第29条の2を適用する際の判断の基準日は、優先基礎出願3の出願日である2010年12月14日であること(上記イ)、先願は優先権主張の基礎となる米国仮特許出願(US61/410246)の出願日である2010年11月4日に出願されたものであること(上記ウ(ウ)c)、先願は本願の国際出願後に国際公開されたこと(上記ウ(ア))、本件補正発明は先願発明と同一であること(上記(サ))、及び先願の発明者は本願発明者と同一の者でなく、かつ、本願出願時における先願の出願人は本願出願人とは異なること(上記ウ(ア))を総合すると、本件補正発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた上記の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。
(ス)請求人の主張について
a 請求人の主張
令和7年4月11日に提出された上申書の「上申の内容」(3)において、請求人は、以下のとおり主張している。下線は請求人が付したものである。
「 引用文献4(当審注:上記先願である「特願2013-537146号」(特表2013-542691号公報)を意味する。)に開示されているように、参照ピクチャインデックスなどの予測パラメータのサブセットは、現在ブロックの動き情報を導出するために伝送されます。
一方、本願の請求項では、対象ブロックの動き情報は、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを含む参照ブロックの動き情報に基づいて決定されることが明確に定義されています。
すなわち、本願の請求項の記載を参照すると、参照ピクチャインデックスに関する情報は伝送されておらず、したがって引用文献4の記載内容とは明らかに異なります。
さらに審査官殿は、補正された請求項1、6、11の一部の技術的特徴「前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される」を引用文献4の記載内容と比較されていないものと思料致します。
したがって、出願人は、補正された請求項1~11の技術的特徴は、引用文献4の記載内容と実質的に同一ではないものと思料致します。」(4ページ1から12行)
b 請求人の主張についての検討
(a)構成A11に関して
先願発明の「予測に関する符号化パラメータ」は、本件補正発明の「動き情報」に相当すること、また、先願発明の構成bにおける「予測に関する符号化パラメータは、対応する候補ブロックのいずれかから推定され」ることが、符号化対象のブロックの符号化パラメータは対応する候補ブロック(参照ブロック)の符号化パラメータに基づいて決定されることを意味すると解されることから、本件補正発明と先願発明が、「前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され」る点(構成A11)で一致することは、上記(カ)で指摘したとおりである。
したがって、「本願の請求項の記載を参照すると、…引用文献4の記載内容とは明らかに異なります」とする請求人の主張を採用することはできない。
(b)構成B111に関して
先願発明の構成dにおける「コロケートブロック」は、「現在ブロック(Xi)」(対象ブロック)の位置に基づいて決定されることが明らかであるから、本件補正発明と先願発明は、「前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックが、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される」点で一致することは、上記(コ)で指摘したとおりである。
したがって、「審査官殿は、補正された請求項1・・・の一部の技術的特徴「前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される」を引用文献4の記載内容と比較されていない」とする請求人の主張を採用することはできない。
オ 独立特許要件についてのまとめ
上記エ(シ)のとおり、本件補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでない。
(3) 本件補正の適否についてのまとめ
上記(2)オのとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2の[補正の却下の決定の結論]のとおり却下されたので、本願の請求項6に係る発明は、令和6年4月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定されるものであるところ、当該請求項6に係る発明(本願発明)は、上記第2の[補正の却下の決定の理由]1(1)に記載したとおりのものと認める。
2 優先権について
上記第2の[補正の却下の決定の理由]2(2)イと同様に、優先基礎出願1及び優先基礎出願2には、本願発明の構成B、B1、及びB11に関わる「参照ブロック識別子」が記載されていないことから、本願発明についても、優先基礎出願1及び2に基づく優先権の主張の効果は認められず、本願発明に対して、特許法第29条を適用する際の判断の基準日は、優先基礎出願3の出願日である2010年12月14日とする。
3 令和6年7月22日付け拒絶査定の理由
令和6年7月22日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)における拒絶の理由は、次のとおりのものである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1から11
・引用文献等 3及び1又は2
<引用文献等一覧>
1."Test Model under Consideration" (draft003), Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 2nd Meeting: Geneva, CH, 2010-09-24, [JCTVC-B205], <JCTVC-B205_draft003.doc>
2.Martin Winken et al., "Description of video coding technology proposal by Fraunhofer HHI", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC)
of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 1st Meeting: Dresden, DE, 15-23 April, 2010, [JCTVC-A116]
3.J. Jung et al., "Core Experiment 9: Motion Vector Coding", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC), 2010-11-19, [JCTVC-C509] (version 5)
4 各引用文献に記載された事項、並びに引用発明、及び引用文献1技術事項
(1) 引用文献3について
ア 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先基礎出願3の出願日(2010年12月4日)前の2010年11月19日にアップロードされた「J. Jung et al., "Core Experiment 9: Motion Vector Coding", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC), 2010-11-19, [JCTVC-C509] (version 5)(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、当審にて付したものである。
(ア) 引用文献3の文献名称
「Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP 3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 3rd Meeting: Guangzhou, CN, 7-15 October, 2010」(1ページ1から3行)
(当審仮訳:
国際電気通信連合(ITU)電気通信標準化部門及びISO/IEC JTC1/SC29/WG11による映像符号化に関する共同作業部会第3回会合:クワンチョウ、中華人民共和国、2010年10月7-15日)
(イ)
「1 Introduction
Some input documents were proposed to the Guangzhou meeting related to motion vector coding. This includes three categories: prediction unit based Merge and Skip tools, the adaption of the set of motion vector predictors at the slice level, and the temporal motion vector memory compression.
This core experiment addresses these topics, and evaluates the performance of the different motion vector coding methods proposed and some possible combinations.」(1ページ15から20行)
(当審仮訳:
1 序論
いくつかの入力文書は、動きベクトル符号化に関連してクワンチョウ会議に提案された。これは、3つのカテゴリ、すなわち、予測ユニットベースのマージツール及びスキップツールと、スライスレベルにおける動きベクトル予測子のセットの適応と、時間的動きベクトルメモリ圧縮とを含む。
このコア実験は、これらのトピックに対処し、提案された異なる動きベクトル符号化方法及びいくつかの可能な組合せの性能を評価する。)
(ウ)
「3.1.2 Modified merge
The block merging mode at the PU/(CU) level was modified as well. The default PU/(CU) based configuration uses the motion vectors left and above of the current block. The modified versions use more than the two motion vectors. The motion vectors used are listed in the following table.」(4ページ5から8行)
(当審仮訳:
3.1.2 修正されたマージ
PU/(CU)レベルでのブロックマージングモードも同様に修正された。デフォルトのPU/(CU)ベースの構成は、現在のブロックの左及び上の動きベクトルを使用する。修正されたバージョンは、2個以上の動きベクトルを使用する。使用した動きベクトルを以下の表に示す。)
(エ)
「
[図:0001436806000014.jpg]
** In this case, the corner MV is not above right or below left or above left as in AMVP but above right and below left if both are available.」(4ページ上記(ウ)の記載の直後から5ページ2行)
(当審仮訳:
この場合、コーナーMVは、AMVPのように右上又は左下又は左上ではなく、両方が利用可能である場合、右上及び左下である。)
イ 引用発明
(ア)
上記ア(ア)から、引用文献3は、ITU-Tすなわち国際電気通信連合(ITU)下部組織の電気通信標準化部門におけるJoint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC)すなわち映像符号化に関する共同作業部会において提案された文献であるため、映像符号化方法に関する文献であるといえる。
(イ)
上記ア(ウ)から、引用文献3には、ブロックマージングモードを修正するものであり、2個以上の動きベクトルを使用すること、が記載されているといえる。
(ウ)
上記ア(ウ)及び(エ)から、引用文献3には、Mod. PU/(CU) based 2及びMod. PU/(CU) based 3において、上記(ウ)の動きベクトルは、現在のブロックの左(left)及び上(above)の動きベクトルだけでなく、コロケーテッド(collocated)の動きベクトルも使用すること、が記載されている。
上記ア(ア)から(エ)の摘記事項及び上記(ア)から(ウ)によれば、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、記号「x」から「z」は、分説するために当審が付したものであり、記号「x」から「z」に対応する発明特定事項を、以下「構成x」から「構成z」という。
〔引用発明〕
x 映像符号化方法であって、
y 動きベクトル符号化に関連し、予測ユニットベースのマージツール及びスキップツールと、スライスレベルにおける動きベクトル予測子のセットの適応と、時間的動きベクトルメモリ圧縮を含むトピックに対処し、
z ブロックマージングモードを修正するものであり、2個以上の動きベクトルを使用し、その動きベクトルは、現在のブロックの左及び上の動きベクトルだけでなく、コロケーテッドの動きベクトルも使用する、
x 映像符号化方法。
(2) 引用文献1について
ア 引用文献1に記載された事項
同じく原査定の拒絶の理由で引用された「"Test Model under Consideration" (draft003), Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 2nd Meeting: Geneva, CH, 2010-09-24, [JCTVC-B205], <JCTVC-B205_draft003.doc>」(以下、「引用文献1」という。)には、引用文献3の公表時におけるJCT-VCでのブロックマージの技術的前提に関して、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、当審にて付したものであり、また、下記(ウ)及び(エ)における「Fig.3」との記載は「Fig.4」の誤記であると認める。
(ア)
「6.3.1.3 Derivation process for luma motion vectors for merge_flag equal to 1
This process is only invoked if merge_flag is equal to 1 for the current partition.
Input to this process is a prediction partition index puPartIdx.
Outputs of this process are
- the luma motion vectors mvL0 and mvL1,
- the reference indices refIdxL0 and refIdxL1,
- the prediction list utilization flags predFlagL0 and predFlagL1,
- a motion vector count variable subMvCnt.
The motion vectors mvLXA and mvLXB, the reference indices refIdxLXA and refIdxLXB, and the prediction utilization flag predFlagLXA and predFlagLXB (with X being 0 and 1) are derived as specified by the following ordered steps:
1. The derivation process for neighbouring partitions in subclause 4.3.4.4 is invoked with lcuAddr, puIdx and puPartIdx as input and the output is is assigned to lcuAddrN, puIdxN and puPartIdxN with N being replaced by A and B.
2. Depending on the partition lcuAddrN/puIdxN/puPartIdxN (with N being A and B), the following applies.
- If the partition lcuAddrN/puIdxN/puPartIdxN is not available, predFlagL0N and predFlagL1N are set equal to 0.
- Otherwise, predFlagL0N, predFlagL1N, mvL0N, mvL1N, refIdxL0N, and refIdxL1N are set equal to the variables predFlagL0, predFlagL1, mvL0, mvL1, refIdxL0, and refIdxL1, respectively, of the partition lcuAddrN/puIdxN/puPartIdxN.
The variable mergeLeft is derived as follows:
- If (predFlagL0B is equal to 0 and predFlagL1B is equal to 0) or merge_left_flag is equal to 1, mergeLeft is set equal to 1.
- Otherwise, mergeLeft is set equal to 0.
Depending on mergeLeft, the following applies:
- If mergeLeft is equal to 1, predFlagL0, predFlagL1, mvL0, mvL1, refIdxL0, and refIdxL1 are set equal to predFlagL0B, predFlagL1B, mvL0B, mvL1B, refIdxL0B, and refIdxL1B, respectively.
- Otherwise, predFlagL0, predFlagL1, mvL0, mvL1, refIdxL0, and refIdxL1 are set equal to predFlagL0A, predFlagL1A, mvL0A, mvL1A, refIdxL0A, and refIdxL1A, respectively.
The motion vector count variable subMvCnt is set equal to predFlagL0 + predFlagL1.」(86ページ1から30行)
(当審仮訳:
6.3.1.3 1に等しいmerge_flagについてのルーマ動きベクトルの導出プロセス
このプロセスは、現在のパーティションについてmerge_flagが1に等しい場合にのみ呼び出される。
このプロセスへの入力は、予測パーティションインデックスpuPartIdxである。
このプロセスの出力は次のとおりである。
- ルマ動きベクトルmvL0及びmvL1
- 参照インデックスrefIdxL0及びrefIdxL1
- 前記予測リスト利用フラグpredFlagL0及びpredFlagL1
- 動きベクトルカウント変数subMvCnt。
動きベクトルmvLXA及びmvLXB、参照インデックスrefIdxLXA及びrefIdxLXB、並びに予測利用フラグpredFlagLXA及びpredFlagLXB(Xは0及び1である)は、以下の順序付けられたステップによって指定されるように導出される。
1. 4.3.4.4項における隣接パーティションのための導出プロセスは、lcuAddr、puIdx、及びpuPartIdxを入力として呼び出され、出力は、NがA及びBによって置き換えられて、lcuAddrN、puIdxN、及びpuPartIdxNに割り当てられる。
2. 区分lcuAddrN/puIdxN/puPartIdxN(NはA及びBである)に応じて、以下が適用される。
- パーティションlcuAddrN/puIdxN/puPartIdxNが利用可能でない場合、predFlagL0N及びpredFlagL1Nは0に等しく設定される。
- そうでない場合、predFlagL0N、predFlagL1N、mvL0N、mvL1N、refIdxL0N、及びrefIdxL1Nは、パーティションlcuAddrN/puIdxN/puPartIdxNの変数predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1にそれぞれ等しく設定される。
変数mergeLeftは、以下のように導出される。
- (predFlagL0Bが0に等しく、predFlagL1Bが0に等しい)又はmerge_left_flagが1に等しい場合、mergeLeftは1に等しく設定される。
- そうでなければ、mergeLeftは0に等しく設定される。
mergeLeftに応じて、以下が適用される。
- mergeLeftが1に等しい場合、predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1は、それぞれpredFlagL0B、predFlagL1B、mvL0B、mvL1B、refIdxL0B、及びrefIdxL1Bに等しく設定される。
- そうでない場合、predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1は、それぞれpredFlagL0A、predFlagL1A、mvL0A、mvL1A、refIdxL0A、及びrefIdxL1Aに等しく設定される。
動きベクトルカウント変数subMvCntは、predFlagL0+predFlagL1に等しく設定される。)
(イ)
「8.2 Prediction unit (PU)
・・・
All information related to prediction is signaled on a PU basis, for instance, the direction of intra prediction for intra or the motion vector difference and reference index for inter. Motion vector prediction and motion compensation are also performed on a PU basis.
For each inter predicted blocks, individual motion parameters are transmitted. In order to achieve an improved coding efficiency, the block merging process enables to merge neighbouring blocks into so-called regions. By doing so, the motion parameters do not need to be transmitted for each block of the region individually, but instead the parameters are transmitted only for once for the whole region.
For each inter prediction block, the set of all prediction blocks that are coded before that block in processing order is called the “set of causal blocks”. The set of blocks that is admissible for merging with a particular block is called the “set of available blocks” and is always a subset of the set of causal blocks. If a particular block is encoded and its set of available blocks is not empty, it is signaled whether this block is to be merged with one block out of this set and if so, with which of them. Otherwise, merging cannot be used for this block.
The set of available blocks is formed as follows. Starting from the top-left sample position of the current block, its left neighbouring sample position and its top neighbouring sample position is derived. The set of available blocks can have only up to two elements, namely those blocks out of the set of causal blocks that contain one of the two sample positions. Thus the set of available blocks can only have the two direct neighbouring blocks of the top-left sample position of the current block as its elements. Note that only inter predicted blocks can be members of the set of available blocks.
If the set of available blocks is not empty, one flag called merge_flag is signaled, specifying whether the current block is merged with any of the available blocks. Otherwise, or if the merge_flag is equal to 0 (for “false”), this block is not merged with one of its causal blocks and all parameters are transmitted ordinarily. If the merge_flag is equal to 1 (for “true”), the following applies. If the set of available blocks contains one and only one block, this block is used for merging. Otherwise the set of available blocks contains exactly two blocks. If the motion parameters of these two blocks are identical, these motion parameters are used for the current block.
Otherwise (the two blocks have different motion parameters), a flag called merge_left_flag is signaled. If merge_left_flag is equal to 1 (for “true”), the block containing the left neighbouring sample position of the top-left sample position of the current block is selected out of the set of available blocks. If merge_left_flag is equal to 0 (for “false”), the other (i.e., top neighbouring) block out of the set of available blocks is selected. The motion parameters of the selected block are used for the current block.」(151ページ22行から153ページ26行)
(当審仮訳:
8.2 予測ユニット(PU)
・・・
予測に関係するすべての情報は、PUベースでシグナリングされ、例えば、イントラの場合はイントラ予測の方向、又はインターの場合は動きベクトル差分及び参照インデックスである。
動きベクトル予測及び動き補償も、PUベースで実行される。
各インター予測ブロックに対して、個々の動きパラメータが送信される。改善された符号化効率を達成するために、ブロックマージプロセスは、隣接するブロックをいわゆる領域にマージすることを可能にする。そうすることによって、動きパラメータは、領域の各ブロックについて個別に送信される必要はなく、代わりに、パラメータは、領域全体について一度だけ送信される。
各インター予測ブロックについて、処理順序においてそのブロックの前に符号化されるすべての予測ブロックのセットは、「因果ブロックのセット」と呼ばれる。特定のブロックとマージするために許容されるブロックのセットは、「利用可能なブロックのセット」と呼ばれ、常に因果ブロックのセットのサブセットである。特定のブロックが符号化され、その利用可能なブロックのセットが空でない場合、このブロックがこのセットからの1つのブロックとマージされるべきかどうかがシグナリングされ、そうである場合、それらのうちのどれとマージされるかがシグナリングされる。そうでなければ、このブロックに対してマージを使用することができない。
利用可能なブロックのセットは以下のように形成される。現在のブロックの左上のサンプル位置から開始して、その左の隣接サンプル位置及びその上の隣接サンプル位置が導出される。利用可能なブロックのセットは、最大2つの要素、すなわち、2つのサンプル位置のうちの1つを含む因果ブロックのセットからのブロックのみを有することができる。したがって、利用可能なブロックのセットは、その要素として現在のブロックの左上のサンプル位置の2つの直接隣接するブロックのみを有することができる。インター予測されたブロックのみが利用可能なブロックのセットのメンバーであり得ることに留意されたい。
利用可能なブロックのセットが空でない場合、merge_flagと呼ばれる1つのフラグがシグナリングされ、現在のブロックが利用可能なブロックのいずれかとマージされるかどうかを指定する。そうでない場合、又はmerge_flagが0に等しい場合(「false」の場合)、このブロックは、その因果ブロックのうちの1つとマージされず、すべてのパラメータが通常どおり送信される。merge_flagが1に等しい場合(「真」の場合)、以下が適用される。利用可能なブロックのセットが1つのブロックのみを含む場合、このブロックはマージに使用される。そうでなければ、利用可能なブロックのセットは正確に2つのブロックを含む。これら2つのブロックの動きパラメータが同一である場合、これらの動きパラメータは現在のブロックに対して使用される。そうでない場合(2つのブロックが異なる動きパラメータを有する)、merge_left_flagと呼ばれるフラグがシグナリングされる。merge_left_flagが1に等しい場合(「真」の場合)、現在のブロックの左上サンプル位置の左に隣接するサンプル位置を含むブロックが、利用可能なブロックのセットから選択される。merge_left_flagが0に等しい場合(「偽」の場合)、利用可能なブロックのセットから他の(すなわち、上部隣接)ブロックが選択される。選択されたブロックの動きパラメータは、現在のブロックに対して使用される。)
(ウ)
「
[図:0001436806000015.jpg]
」(153ページ)
(当審仮訳:図3(当審注:「図4の誤記」と認める。):因果ブロックのセット(灰色)と利用可能ブロックのセット(A、B)を示す2つの例。)
(エ)
「 Fig. 3 shows two examples for a quadtree-based division of a picture into prediction blocks. On the left side of Fig. 4, the top two blocks of the biggest size are so-called macroblocks, i.e., they are prediction blocks of the maximum possible size. The other blocks in this left figure are obtained as a subdivision of their corresponding macroblock. The current block is marked with an “X”. All the grey-shaded blocks are encoded before the current block, so they form the set of causal blocks. As explicated in the description of the derivation of the set of available blocks, only the blocks containing the direct (i.e. top or left) neighbouring samples of the top-left sample position of the current block can be members of the set of available blocks. Thus the current block can be merged with either block“A” or block “B”. If merge_flag is equal to 0 (for “false”), the current block “X” is not merged with any of the two blocks. If blocks “A” and “B” have identical motion parameters, no distinction needs to be made, since merging with any of the two blocks will lead to the same result. So, in this case, the merge_left_flag is not transmitted. Otherwise, if blocks “A” and “B” have different prediction parameters, merge_left_flag equal to 1 (for “true”) will merge blocks “X” and “B”, whereas merge_left_flag equal to 0 (for “false”) will merge blocks “X” and “A”.
In Fig. 4 (right) another example is shown. Here the current block“X” and the left neighbour block “B” are macroblocks, i.e., they have the maximum allowed block size. The size of the top neighbour block “A” is one quarter of the macroblock size. The blocks which are element of the set of causal blocks are grey-shaded. Note that the current block “X” can only be merged with the two blocks “A” or “B”, not with any of the other top neighbouring blocks.」(153ページ27行から154ページ5行)
(当審仮訳:
図3(当審注:「図4の誤記」と認める。)は、予測ブロックへのピクチャの四分木ベースの分割の2つの例を示す。
図4の左側では、最大サイズの上部の2つのブロックはいわゆるマクロブロックであり、すなわち、それらは最大可能サイズの予測ブロックである。この左図における他のブロックは、それらの対応するマクロブロックの再分割として得られる。現在のブロックは「X」でマークされる。すべてのグレー陰影付きブロックは、現在のブロックの前に符号化されるので、それらは因果ブロックのセットを形成する。利用可能なブロックのセットの導出の説明において詳述されるように、現在のブロックの左上のサンプル位置の直接の(すなわち、上又は左の)隣接するサンプルを含むブロックのみが、利用可能なブロックのセットのメンバーであり得る。したがって、現在のブロックは、ブロック「A」又はブロック「B」のいずれかとマージされ得る。merge_flagが0に等しい場合(「偽」の場合)、現在のブロック「X」は、2つのブロックのいずれともマージされない。ブロック「A」及び「B」が同一の動きパラメータを有する場合、2つのブロックのいずれかとのマージが同じ結果をもたらすので、区別する必要はない。したがって、この場合、merge_left_flagは送信されない。そうではなく、ブロック「A」及び「B」が異なる予測パラメータを有する場合、1に等しいmerge_left_flag(「真」の場合)はブロック「X」及び「B」をマージし、0に等しいmerge_left_flag(「偽」の場合)はブロック「X」及び「A」をマージする。
図4(右)には別の例が示されている。ここでは、現在のブロック「X」及び左隣接ブロック「B」はマクロブロックであり、すなわち、それらは最大許容ブロックサイズを有する。上部隣接ブロック「A」のサイズは、マクロブロックサイズの4分の1である。因果ブロックの集合の要素であるブロックには、灰色の陰影が付けられている。現在のブロック「X」は、2つのブロック「A」又は「B」とのみマージすることができ、他の上部隣接ブロックのいずれともマージすることができないことに留意されたい。)
イ 引用文献1に記載された技術事項
上記アの摘記事項から、引用文献1には、次の技術事項(以下、「引用文献1技術事項」という。)が記載されていると認められる。なお、各段落末尾の( )は上記アの対応箇所を示す。
〔引用文献1技術事項〕
「 このプロセスは、現在のパーティションについてmerge_flagが1に等しい場合にのみ呼び出され、(ア)
このプロセスへの入力は、予測パーティションインデックスpuPartIdxであり、(ア)
このプロセスの出力は、ルマ動きベクトルmvL0及びmvL1、参照インデックスrefIdxL0及びrefIdxL1、前記予測リスト利用フラグpredFlagL0及びpredFlagL1、動きベクトルカウント変数subMvCntであり、(ア)
変数mergeLeftは、merge_left_flagが1に等しい場合、mergeLeftは1に等しく設定され、(ア)
そうでなければ、mergeLeftは0に等しく設定され、(ア)
mergeLeftが1に等しい場合、predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1は、それぞれpredFlagL0B、predFlagL1B、mvL0B、mvL1B、refIdxL0B、及びrefIdxL1Bに等しく設定され、(ア)
そうでない場合、predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1は、それぞれpredFlagL0A、predFlagL1A、mvL0A、mvL1A、refIdxL0A、及びrefIdxL1Aに等しく設定され、(ア)
改善された符号化効率を達成するために、ブロックマージプロセスは、隣接するブロックをいわゆる領域にマージすることを可能にし、そうすることによって、動きパラメータは、領域の各ブロックについて個別に送信される必要はなく、代わりに、パラメータは、領域全体について一度だけ送信され、(イ)
merge_left_flagが1に等しい場合(「真」の場合)、現在のブロック「X」の左上サンプル位置の左に隣接するサンプル位置を含むブロック「B」が、利用可能なブロックのセットから選択され、merge_left_flagが0に等しい場合(「偽」の場合)、利用可能なブロックのセットから他の(すなわち、上部隣接)ブロック「A」が選択され、選択されたブロックの動きパラメータは、現在のブロックに対して使用され、(イ)
ブロック「A」及び「B」が異なる予測パラメータを有する場合、1に等しいmerge_left_flag(「真」の場合)はブロック「X」及び「B」をマージし、0に等しいmerge_left_flag(「偽」の場合)はブロック「X」及び「A」をマージすること。(エ)」
5 対比、及び判断
ア 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成A、C、A1、及びA11について
引用発明の構成x及びyによれば、引用発明は、「映像符号化方法であって」、「動きベクトル符号化に関連」する発明であり、「予測ユニットベースのマージツール」を含むトピックに対処するものである。
ここで、「予測ユニットベースのマージ」とは、引用発明の技術的前提である引用文献1技術事項にあるように、「隣接するブロックをいわゆる領域にマージすることを可能にし、そうすることによって、動きパラメータは、領域の各ブロックについて個別に送信される必要はなく、代わりに、パラメータは、領域全体について一度だけ送信され」、「選択されたブロックの動きパラメータは、現在のブロックに対して使用され」るものであるから、引用発明には、「前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され」ること(本願発明の構成A11)に相当する構成があるといえる。
そして、引用発明は、「動きベクトル符号化に関連」する発明であるから、「動きベクトル符号化」の技術常識を考慮すると、引用発明には、本願発明の「画面間予測を用いて対象ブロックに対して符号化を行う映像符号化方法」(構成A)に関して、「前記対象ブロックに対する前記画面間予測を行うことによって、符号化された対象ブロック情報を生成すること」(構成C)「を含」むこと、及び「前記符号化は、前記対象ブロックの動き情報を決定すること、および前記対象ブロックに対して符号化を行うことを含」むこと(構成A1)、にそれぞれ相当する構成もあるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、構成A、C、及びA1を備える点で一致する。
(イ) 構成B、Aについて
本願発明では、映像符号化方法が「参照ブロック識別子を生成すること」(構成B)を「含」むのに対して、引用発明では、映像符号化方法が「参照ブロック識別子を生成すること」を含むのか否か不明である点で両発明は相違する。
(ウ) 構成B1について
本願発明では、「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」すのに対して、引用発明では、上記(イ)で指摘したとおり「参照ブロック識別子を生成する」のか否か不明であることから、「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」すのか否かも不明である点で両発明は相違する。
(エ) 構成A111について
引用発明では、「動きベクトル符号化」を行うことから、動き情報に「動きベクトル」を含む点で、本願発明の構成A111のうち「前記動き情報は、動きベクトル・・・を含」む点で共通する。
しかしながら、本願発明では、「前記動き情報」は、動きベクトルに加えて「参照ピクチャインデックス」をも「含」むのに対し、引用発明では、動き情報が「参照ピクチャインデックス」を含むのか否か不明である点で両発明は相違する。
(オ) 構成B11について
引用発明の構成zによれば、「動きベクトルは、現在のブロックの左及び上の動きベクトルだけでなく、コロケーテッドの動きベクトルも使用する」ものであることから、引用発明は、参照ブロックについて「前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロック」がある点で本願発明の構成B11の一部と共通する。
しかしながら、本願発明では、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」す(構成B11)との発明特定事項を有するのに対して、引用発明では、上記(イ)で述べたとおり「参照ブロック識別子を生成する」のか否か不明であることから、当該発明特定事項を有するのか否か不明である点で両発明は相違する。
(カ) 構成B111について
引用発明の構成zによれば、引用発明は、「コロケーテッドの動きベクトルも使用する」ところ、「コロケーテッド」の位置に関する技術常識を考慮すると、引用発明には、本願発明の「前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される」こと(構成B111)に相当する構成があるといえるから、本願発明と引用発明は、構成B111を備える点で一致する。
(キ) 一致点及び相違点
上記(ア)から(カ)をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
A 画面間予測を用いて対象ブロックに対して符号化を行う映像符号化方法であって、
C 前記対象ブロックに対する前記画面間予測を行うことによって、符号化された対象ブロック情報を生成すること
A を含み、
A1 前記符号化は、前記対象ブロックの動き情報を決定すること、および前記対象ブロックに対して符号化を行うことを含み、
A11 前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され、
A111’ 前記動き情報は、動きベクトルを含み、
B11’ 前記参照ブロックは、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとがあり、
B111 前記以前に復元されたピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの位置に基づいて決定される
A 映像符号化方法。
〔相違点1〕
本願発明では、映像符号化方法が「参照ブロック識別子を生成すること」(構成B)を含み、また、「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」し(構成B1)、さらに、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」す(構成B11)のに対して、引用発明では、映像符号化方法が「参照ブロック識別子を生成すること」を含むのか否か不明であり、また、「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」すのか否か不明であり、さらに、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」すのか否か不明である点。
〔相違点2〕
構成A111’の「前記動き情報」について、本願発明では、動きベクトルに加えて「参照ピクチャインデックス」をも「含」むのに対して、引用発明では、「参照ピクチャインデックス」を含むのか否か不明である点。
イ 判断
上記各相違点について検討する。
(ア) 相違点1について
引用文献1技術事項では、「merge_left_flag」が、1に等しい場合、「predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1は、それぞれpredFlagL0B、predFlagL1B、mvL0B、mvL1B、refIdxL0B、及びrefIdxL1Bに等しく設定され」、そうでない場合、「predFlagL0、predFlagL1、mvL0、mvL1、refIdxL0、及びrefIdxL1は、それぞれpredFlagL0A、predFlagL1A、mvL0A、mvL1A、refIdxL0A、及びrefIdxL1Aに等しく設定され」、「merge_left_flagが1に等しい場合(「真」の場合)、現在のブロック「X」の左上サンプル位置の左に隣接するサンプル位置を含むブロック「B」が、利用可能なブロックのセットから選択され、merge_left_flagが0に等しい場合(「偽」の場合)、利用可能なブロックのセットから他の(すなわち、上部隣接)ブロック「A」が選択され、選択されたブロックの動きパラメータは、現在のブロックに対して使用され、ブロック「A」及び「B」が異なる予測パラメータを有する場合、1に等しいmerge_left_flag(「真」の場合)はブロック「X」及び「B」をマージし、0に等しいmerge_left_flag(「偽」の場合)はブロック「X」及び「A」をマージする。」
そうすると、引用文献1技術事項における「merge_left_flag」は、マージの際に左のパーティションを参照するのかを示すためのフラグであり、これはマージの際に、以前に復元されたパーティションの中からどのパーティションを予測の際に参照するのかを示すためのフラグの一種であるから、本願発明における「以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」す「参照ブロック識別子」に対応するといえる。
そして、引用文献1技術事項は、引用文献3の公表時におけるブロックのマージに関する技術的前提に関する技術であり、また、引用発明においても、予測の際にどのブロックを参照するのかを示さなければ復号することができないことは明らかであるから、引用発明において引用文献1技術事項における「merge_left_flag」及びこれと同様のフラグを生成して復号の際にどのブロックを参照するのかを示す構成を採用することは、当業者にとって自明なこと、又は当業者が容易になし得ることである。
また、引用発明では、マージの際に「現在のブロックの左及び上の動きベクトルだけでなく、コロケーテッドの動きベクトルも使用する」ことから、引用発明において引用文献1技術事項と同様のフラグを生成する場合、引用文献1技術事項における「merge_left_flag」のように予測の際に以前に復元されたブロックのうち、左又は上のいずれかのブロックを参照することを示すだけでなく、以前に復元されたピクチャにおいて、現在ピクチャと同じ位置であるコロケーテッドの位置のブロックを参照することを示すフラグを生成することは当業者が当然考慮すべきことである。
そうすると、引用発明において、相違点1に係る、映像符号化方法が「参照ブロック識別子を生成すること」を含み、また、「前記参照ブロック識別子は、以前に復元されたブロックの中から一つのブロックを参照ブロックとして示」し、さらに、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」すようにすることは、引用発明の技術的前提となる引用文献1技術事項を勘案することにより、当業者が容易になし得たことである。
(イ) 相違点2について、
引用文献1技術事項では、「プロセスの出力」に、「ルマ動きベクトルmvL0及びmvL1」だけでなく、「参照インデックスrefIdxL0及びrefIdxL1」が含まれており、この「参照インデックスrefIdxL0及びrefIdxL1」は、本願発明における「参照ピクチャインデックス」に相当するから、引用発明の「動き情報」において、動きベクトルに加えて「参照ピクチャインデックス」をも「含」むようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
6 本願発明についてのまとめ
本願発明は、原査定の拒絶の理由で通知したとおり、引用発明及び引用文献1技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
7 請求人の主張について
(1) 請求人の主張
ア 審判請求書における主張
令和6年11月26日に提出された審判請求書において、請求人は、次のとおり主張している。下線は請求人が付したものである。
「 引用文献1及び引用文献2によれば、参照ブロックは、上側に隣接するブロック又は左側に隣接するブロックの中から決定される。引用文献1及び引用文献2によれば、参照ブロックは、mergeLeftまたはmerge_left_flagに基づいて決定される。
したがって、mergeLeftまたはmerge_left_flagは、現在ブロックを参照ブロックとして含むピクチャ内の上側に隣接するブロック又は左側に隣接するブロックのみを示す。
さらに引用文献3は、左側に隣接するブロック、上側に隣接するブロック、コロケーテッドブロック、右上又は左下に位置するコーナーブロックの動きベクトルを使用するマージモードについてのみ記載している。
しかしながら、引用文献3は、対象ブロックの左上に隣接するブロックを参照ブロックとして使用することができるという技術的特徴については何も開示していない。
また引用文献3は、復元されたブロックのうちの1つのブロックを示す参照ブロック識別子についても何も開示していない。
これに対し請求項1の参照ブロック識別子は、現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックだけでなく、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックも示すことができる。
さらに、現在ピクチャ内に含まれる復元ブロックは、i)対象ブロックの左側に隣接するブロック、ii)対象ブロックの上側に隣接するブロック、iii)対象ブロックの左上に隣接するブロックを含む。
請求項1の補正された技術的特徴を考慮すると、参照ブロック識別子は、i)対象ブロックの左側に隣接するブロック、ii)対象ブロックの上側に隣接するブロック、iii)対象ブロックの左上に隣接するブロックのうちの1つのブロックを示すことができる。
一方、引用文献1~3のmergeLeftまたはmerge_left_flagは、左側に隣接するブロック又は上側に隣接するブロックを示すのみであり、フラグが、対象ブロックの左上に隣接するブロック又は以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックが参照ブロックとして使用されるか否かを示すことができない。
したがって引用文献1~3の開示内容とは異なり、請求項1の参照ブロック識別子は、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロック又は対象ブロックの左上に隣接するブロックをさらに示すことができ、引用文献1~3の記載に対して進歩性を有するものである。」(8ページ2行から9ページ24行)
イ 上申書における主張
令和7年4月11日に提出された上申書において、請求人は、次のとおり主張している。下線は請求人が付したものである。
「 審査官殿は、引用文献3には、コーナーMVとは、AMVPのように右上、左下、または、左上ではなく、両方が利用可能な場合、右上及び左下である、と記載されていると述べられています。
そして、引用文献3の記載によれば、マージにおいて左上の隣接ブロックを用いることは記載されていないといえるが、上記記載は、左上の隣接ブロックの利用可能性までを否定しているものではないと解され、
そして、上記記載のとおり、AMVPでは、左上の隣接ブロックは用いられているのであり、マージとAMVPは、いずれも、動きベクトルの符号化の技術であるという点で共通するものであるから、引用文献3に記載された発明において、マージの候補として、左上の隣接ブロックを用いることは、当業者が容易に想到し得ることである、と認定されました。
AMVPでは、追加の参照ピクチャインデックスが伝送され、現在ブロックの参照ピクチャ情報を導出するために使用されます。
一方、本願の請求項では、対象ブロックの動き情報が、動きベクトル及び参照ピクチャインデックスを含む参照ブロックの動き情報に基づいて決定されることが明確に定義されています。
すなわち、本願の請求項の記載を参照すると、参照ピクチャインデックスに関する情報は伝送されず、したがってAMVPとは無関係です。
さらに、引用文献3には、左下ブロックまたは左上ブロックを含むマージモードのコーナーMVが、左上ブロックをさらに含むAMVPのコーナーMVとは異なることが明確に記載されています。
このため、引用文献3の記載内容は、左上の隣接ブロックが利用可能であることを認めていないものと思料致します。
したがって、本願請求項1~11に係る発明における復元されたブロックに関連する技術的特徴は、引用文献1~3の記載内容とは異なるものであり、請求項1~11に係る発明は、引用文献3及び引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基づいて当業者によって容易に発明をすることができたものではないと思料致します。」(5ページ8行から6ページ1行)
(2) 請求人の主張に対する検討
ア 審判請求書における主張に対して
まず、引用発明が、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」す(構成B11)のか否か不明である点において本願発明と相違することは、上記5ア(キ)の〔相違点1〕で指摘したとおりである。
しかしながら、引用発明において、相違点1に係る、「前記参照ブロック識別子は、前記対象ブロックを含む現在ピクチャ内に含まれる復元されたブロックと、以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックとのうちの一つのブロックを示」すようにすることが、引用発明の技術的前提となる引用文献1技術事項を勘案することにより、当業者が容易になし得たことであることは、上記5イ(ア)で説示したとおりである。
したがって、「引用文献1~3の記載に対して進歩性を有するものである。」とする請求人の主張を採用することはできない。
また、請求人の主張のうち、「引用文献1~3のmergeLeftまたはmerge_left_flagは、左側に隣接するブロック又は上側に隣接するブロックを示すのみであり、フラグが、対象ブロックの左上に隣接するブロック又は以前に復元されたピクチャ内に含まれる復元されたブロックが参照ブロックとして使用されるか否かを示すことができない。」とする部分は、本件補正発明の構成を前提とする主張であるところ、上記第2の[補正の却下の決定の結論]のとおり本件補正は却下されたから、当該主張を前提とした「引用文献1~3の記載に対して進歩性を有するものである。」とする請求人の主張を採用することはできない。
イ 上申書における主張に対して
まず、請求人の主張のうち、「本願の請求項の記載を参照すると、参照ピクチャインデックスに関する情報は伝送されず、したがってAMVPとは無関係です。」とする部分は、令和7年3月14日付け前置報告書において審査官が以下のとおり指摘したことへの反論と解される。下線は、当審が付したものである。
「 以下、今回の補正により追加された「前記現在ピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、前記対象ブロックの左側に隣接するブロック、前記対象ブロックの上側に隣接するブロック、及び前記対象ブロックの左上に隣接するブロックを備え」という事項について検討する。
(中略)
また、引用文献3の第5頁第1~2行目には、コーナーMVとは、AMVPのように右上、左下、または、左上ではなく、両方が利用可能な場合、右上及び左下である、と記載されている。
(中略)
そして、上記記載のとおり、AMVPでは、左上の隣接ブロックは用いられているのであり、マージとAMVPは、いずれも、動きベクトルの符号化の技術であるという点で共通するものであるから、引用文献3に記載された発明において、マージの候補として、左上の隣接ブロックを用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。」(前置報告書2ページ13から28行)
しかしながら、「前記現在ピクチャ内に含まれる前記復元されたブロックは、・・・及び前記対象ブロックの左上に隣接するブロックを備え」という事項は、上記第2の[補正の却下の決定の結論]で却下された本件補正を前提とするから、当該事項についての審査官の上記指摘及びこれに対する請求人の上記主張は、本願発明には当たらない。
また、上記第3の5イの判断は、AMVPが左上の隣接ブロックを用いることに基づくものではない。
さらに、請求人の上記主張のうち、「本願の請求項の記載を参照すると、参照ピクチャインデックスに関する情報は伝送され」ないとする点について念のため検討すると、引用発明の技術的前提である引用文献1技術事項によれば、引用発明には、「前記対象ブロックの動き情報は、前記参照ブロックの動き情報に基づいて決定され」ること(本願発明の構成A11)に相当する構成があるといえ(上記ア(ア))、また、引用文献1技術事項によれば、引用発明の「動き情報」において、動きベクトルに加えて「参照ピクチャインデックス」をも「含」むようにすることは、当業者が容易になし得たことである(上記イ(イ))。
そうすると、請求人の主張のうち、「本願の請求項の記載を参照すると、参照ピクチャインデックスに関する情報は伝送されず、したがってAMVPとは無関係で」あることを前提とした、「請求項1~11に係る発明は、引用文献3及び引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基づいて当業者によって容易に発明をすることができたものではない」とする部分を採用することはできない。
次に、請求人の主張のうち、「引用文献3の記載内容は、左上の隣接ブロックが利用可能であることを認めていない」とする部分は、本件補正発明の構成を前提とする主張であるところ、上記第2の[補正の却下の決定の結論]のとおり本件補正は却下されたから、当該主張を前提とした「引用文献1~3の記載に対して進歩性を有するものである。」とする請求人の主張を採用することはできない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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