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特許拒絶査定不服審判

2020-007109

ゲーム装置及びプログラム

審判番号
2020-007109
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-167387外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年05月25日
審決日
2021年10月19日
公報発行日
2022年01月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-167387「ゲーム装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月15日出願公開、特開2018- 23792〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この審判事件に関する出願(以下、「本願」という。)は、平成21年3月23日(以下「分割原出願日」という。)に出願した特願2009-69999号の一部を、平成23年3月18日に新たな特許出願とした特願2011-60409号の一部を、平成26年3月11日に新たな特許出願とした特願2014-47386号の一部を、平成27年6月23日に新たな特許出願とした特願2015-125272号の一部を、平成29年8月31日に新たな特許出願としたものであって、同年10月23日に手続補正書が提出され、平成30年8月3日付けで拒絶理由が通知され、同年12月6日に手続補正書及び意見書が提出され、令和1年5月15日付けで拒絶理由が通知され、同年9月19日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、令和3年4月26日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月28日付けで手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)及び意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「タッチパネルとディスプレイとを備えるゲーム装置に、 前記ディスプレイに1個以上のオブジェクトを表示する表示機能と、 前記ディスプレイに表示されている前記オブジェクトが所定状態にある際、前記ディスプレイに対するタッチ操作の座標位置に基づいて特定される座標位置を当該オブジェクトの移動先とする制御機能と、 前記所定状態が継続している場合に所定の操作を受け付けると、当該移動先を前記オブジェクトの移動先として後のゲームが進行するように前記オブジェクトの位置を確定させる確定機能とを実現させ、 前記制御機能では、前記ディスプレイに対するタッチ操作の座標位置とは異なる座標位置を前記移動先として前記オブジェクトを移動表示し、当該タッチ操作の座標位置が移動した場合、移動後のタッチ操作の座標位置に対して前記オブジェクトが表示される座標位置が、当該移動前における前記タッチ操作の座標位置と前記オブジェクトが移動表示される位置の相対位置関係を保持する機能を実現させ、 前記表示機能では、前記ディスプレイに対するタッチ操作の座標位置に基づいて特定される座標位置が特定された後、前記移動先が確定されるまで、前記タッチ操作の座標位置の移動に同期する形で移動するように前記オブジェクトを表示する機能を 実現させるためのプログラム。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由において通知した理由は、次に概略を記した理由を含むものである。 理由2(新規性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) 理由2(新規性) ・請求項 1 ・引用文献等 1 引用文献1:国際公開第2008/015783号([0015]、[0024] 、[0029] 、[0032] 、[0047]~[0053]、[0086]、図6A、図6B参照。) 第4 当審の判断 1 理由2(特許法第29条第1項第3号)について (1)引用文献に記載された事項及び引用発明 ア 引用文献1 当審拒絶理由において引用した本願の分割原出願日(平成21年3月23日)前である2008年2月7日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2008/015783号(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審決で付した。以下同じ。) (ア)「[0001] 本発明は,表示装置に表示される複数のオブジェクトの選択制御方法,これを用いたゲーム装置及び,前記方法を実行制御するためのプログラムに関する。 背景技術 [0002] コンピュータ制御によるゲーム装置として,ゲームセンター等の施設に据え置かれる態様のゲーム装置(以下,かかるゲーム装置をアーケードゲーム装置という),あるいは,家庭用のコンピュータ装置として据え置かれる家庭用ゲーム装置(以下,家庭用ゲーム装置)や,遊戯者により携帯可能なゲーム装置(以下,携帯ゲーム装置という)がある。 [0003] また,ゲーム装置で実行されるゲームの一種類として対戦ゲームがあり,更に,対戦ゲームの一種として,遊戯者が操作する一のオブジェクトと,コンピュータあるいは,対戦相手の遊戯者が操作するオブジェク卜とを1対1の関係で対戦させるゲーム,あるいは,遊戯者が複数のオブジェクトを同時的に操作してコンピュータあるいは対戦相手の遊戯者と対戦を進めるゲームがある。 [0004] 後者のゲームは,サッカーゲームあるいは,戦国合戦ゲーム等の単数,または複数のユニットで構成されたユニット群同士で戦うゲームであって,同時的にゲーム中の複数のオブジェクトを移動操作する必要から,例えば,特許文献1に記載されるように,大型の入力パネルを用い,両手で入力パネルに載置される複数の操作部材を操作することによってそれに対応したゲーム画面中に表示されるオブジェクトを操作するものであって,専らアーケードゲーム装置において実行されてきた。 [0005] 一方,先に言及したような家庭用ゲーム装置や携帯ゲーム装置にあっては,タブレットあるいはタッチパネルにスタイラスペン等で触れることによりポインティング操作を検知し,これに対応したゲーム画面中に表示されるオブジェクトを操作させるという構成である(例えば,特許文献2,3)。 特許文献1:特許第3736440号公報 特許文献2:特開2006-136638号公報 特許文献3:特開平11-184585号公報 発明の開示 発明が解決しようとする課題 [0006] 上記の特許文献1に記載の発明に従うゲーム装置において,詳しくは,対戦ゲームに登場するそれぞれのキャラクタあるいはオブジェクトをそれぞれのカードに対応させ,識別用の光線を透過する特殊なパネル上に置かれた複数のカードの配置を遊戯者により操作させる。 [0007] パネル配下に置かれる検知手段で,個々のカードを識別し,その配置位置の変化を操作信号として入力することができる。そして,カードの配置位置の変化に応じてそれぞれのカードに対応するゲーム中のオブジェク卜の操作信号を入力信号として検知することでゲームの展開を変化してゲームを進めることができる。 [0008] かかるアーケードゲーム装置で実行されるゲームを携帯ゲーム装置において同様に実行しようとする場合,複数のゲーム中に存在するオブジェクトを同時的に制御するために対応する複数の操作部材であるカード等を同時的に特定する処理が必要である。 [0009] さらに,携帯ゲーム装置において,ゲーム画面に表示されるキャラクタ等のオブジェク卜の特定並びに移動等の操作に関する制御は,従来の方向入力キーの他,昨今ではタッチパネルとスタイラスペンを用いて行うことが一般的である。タッチパネル型のポインティングデバイスには,抵抗膜方式,電磁誘導方式などの様々な方式があるが,現状普及しているものの多くは,同時に複数個所のポインティング入力を検出できないという欠点があり,そのためリアルタイム性の高いゲームにおいて同時的に複数のオブジェク卜の指定や移動,回転などの操作制御が出来ないという問題があった。 [0010] 本発明は,上記の点に鑑みて,タッチパネルとスタイラスペン(ポインティングデバイス)を用いるゲーム装置において,複数のキャラクタオブジェクトを同時的に特定可能とし,特定された複数のキャラクタオブジェクトを同時的に制御を可能とする方法,この方法を用いたゲーム装置及び,前記方法を実行制御するためのプログラムを提供することにある。 (イ)「[0015] 上記の課題を達成する本発明に第3の側面は,オブジェクトを表示する表示手段と,ポインティングの有無とポインティングされた座標を検出するポインティング検出手段と,ポインティングが継続されているか否かを判定する継続判定手段と,選択されたオブジェクトをアクティブオブジェクトとして記憶するアクティブ状況記憶手段とを有するゲーム装置において実行されるプログラムであって,前記表示手段によりオブジェクトを表示するステップと,前記ポインティング検出手段により,ポインティング有無の状況と,ポインティング開始位置を認識するポインティング状況を検出するステップと,前記継続判定手段により,前記ポインティング状況検出ステップにおける検出結果から,ポインティングが実行されていると判断された場合に,前記ボインティングのボインティング開始位置がオブジェクト領域か否かを判定する判定ステップと,前記判定ステップでの判定結果がオブジェクト領域でなかった場合に,ポインティングの継続判定がされている間,ポインティングされたオブジェクトをアクティブオブジェクトとして前記記憶手段に記憶するステップと,前記判定ステップでの判定結果がオブジェクト領域であった場合に,ポインティングの継続判定がされている間,前記オブジェクト操作入力手段によりアクティブオブジェクトを操作するステップとを実行させることを特徴とする。」 (ウ)「[0018] 図1は,本発明のオブジェク卜の選択移動制御に関する操作入力方法を適用する携帯型のゲーム装置の外観を示す図である。 [0019] 本体部1の側に第1の表示画面10を有し,折りたたみ式の蓋部2の側に第2の表示画面20を有している。 [0020] 本体部1には,十字方向入力キー4,各種制御ボタン5及び電源ON/OFFスイッチ6を有している。蓋部2には,スピーカ7が備えられている。 [0021] 図2は,図1のゲーム装置の制御ブロック図である。本体部1に図2における主制御回路部100が内蔵されている。 [0022] 外部メモリであるメモリカード110が,本体部1の背面側に形成されたコネクタ8に挿入されて主制御回路部100に接続される。 [0023] 主制御回路部100は,構成機能部同士が内部バス200により接続されている。構成機能部として,装置全体を制御するCPUコア101,プログラム実行中のデータを格納するRAM102,第1の表示画面10及び第2の表示画面20のそれぞれを表示制御する第1のグラフィック処理ユニット(GPU)103と第2のGPU104を有する。 [0024] 第1の表示画面10及び第2の表示画面20は,例えば,液晶表示パネル(LCD)で構成される。」 (エ)「[0029] ここで,第1の表示画面10の表面には,タッチパネル120が形成されている。このタッチパネル120の出力がインタフェース回路108を通して入力される。」 (オ)「[0031] すなわち,図3Aは,タッチパネル120の電極構造を示し,複数のX座標電極(x0~xn)と,Y座標電極(y0~ym) がそれぞれ電極膜として形成された2枚の透明シートが第1の表示画面10に重ねられている。 [0032] 例えば,一方のシートの電極に共通に一定電圧を付与し,本体部1の裏面の保持部30に保持されている,ポインティングデバイスとしてのスタイラスペン3でX座標電極(x0~xn)と,Y座標電極(y0~ym)の交点に押圧を与えると,交点が接触して電圧変化が生じる。これを図3Bに示す走査タイミングで X方向レジスタ120x,Y方向レジスタ120yで走査検知して,スタイラスペン3の位置するX,Y座標を検知する。 [0033] かかる上記のタッチパネル120の構造についての説明は,一例であり,タッチパネル120の構成方式は種々可能であり,本発明の適用において,その構成方式は問われない。要するに,第1の表示画面10のスタイラスペン3で指示したX,Y座標位置が検知されるものであればよい。」 (カ)「[0035] 図4A,図4Bは,対戦ゲームにおいて第1の表示画面10及び第2の表示画面20に表示されるゲーム画像の例を示している。 [0036] 図4A,図4Bに示される例では,第1の表示画面10は,そこに表示されるキャラクタオブジェクトをタッチパネル120を通して移動制御するために用いられる。図4Aは,キャラクタオブジェクトC2とC3が,図4Bは,キャラクタオブジェクトC1,C2とC3が,移動制御のために選択されている。 [0037] さらに,第2の表示画面20には,第1の表示画面10において,制御されたキャラクタオブジェク卜の移動に伴い,ゲームプログラムに従ってゲームの進行中のゲーム画像が表示される。 [0038] すなわち,図4A,図4Bにおいて,第1の表示画面10に,合戦ゲームにおいて登場する複数の武将,軍師等の戦士キャラクタのそれぞれが,カード状に表示され,先の特許文献1について説明した遊戯者により配置位置,及び角度が操作されるカードと同様に並べられた状態で表示される。 [0039] さらに,第1の表示画面10に自陣領域10Aと,敵陣領域10Bが表示され,遊戯者により選択したあるいは,プログラムに従って決められる前記カード状の複数のキャラクタオブジェクトC1~C5が初期設定として,自陣領域内に表示される。 [0040] したがって,遊戯者は,自陣領域内に表示される複数のキャラクタオブジェクトC1~C5を自軍の戦士として移動制御して第2の表示画面20に表示されるゲームシーンを観察しながらゲームを進めることになる。 [0041] この時,ゲームの展開において,複数のキャラクタを同時的に操作させることが,ゲームを有利に展開するために必要となる場合が有る。 [0042] 従来,かかる場合,遊戯者は,予め複数のキャラクタを移動する制御モードとするために,考えられる方法として,図示しない制御ポタンを押して複数キャラクタの選択モードにし,次いで前記対象となる複数のキャラクタを選択することで事前にアクティブ状態にしておくという処理が必要であった。しかし,そのような処理の場合,遊戯者は片手で携帯ゲーム機本体を保持したまま,もう片方の手でスタイラスペンを操作し,さらにペンもしくは本体を保持するのに空いた指などで別途制御ポタンを押下する等非常に複雑な作業が発生するため,操作性が悪くなり,結果として興をそぐこととなる欠点があった。 [0043] したがって,本発明は,かかる複雑な処理を回避して,容易にスタイラスペンのみの操作により複数のキャラクタを同時的に移動制御可能とするものである。」 (キ)「[0045] 図5A,図5Bは,それぞれ図4A,図4Bに対応し,第1の表示画面10における,カード状に表示される複数のキャラクタオブジェクトC1~C5のみを示している。 [0046] 図5Aは,キャラクタオブジェクトC1~C5のうちキャラクタオブジェクトC2とC3がアクティブ状態とされ,図5Bは,キャラクタオブジェクトC1~C5のうちキャラクタオブジェクトC1,C2,C3がアクティブ状態とされた状態を示している。 [0047] このようにキャラクタオブジェクトをアクティブ状態とするために,スタイラスペン3を第1の表示画面10のキャラクタオブジェクトが表示される領域以外の点Sに当接する。この状態では,スタイラスペン3が表示画面10のキャラクタオブジェクト以外のフィールドがポイントされたことが検知される。 [0048] そして,最初のポイントした点Sをスタートにして第1の表示画面10に当接した状態のまま,アクティブ状態としたいゲーム画面上のキャラクタオブジェクト(図5AではキャラクタオブジェクトC2,C3,図5BではキャラクタオブジェクトC1,C2,C3)上をなぞりながら移動する。 [0049] この状態では,スタイラスペン3により表示画面10に対し,タッチ(当接)が継続していると判断され,且つキャラクタオブジェクト上をなぞる時は,ポイント位置がキャラクタオブジェクト上であるか否かが検知される。そして,スタイラスペン3によりなぞられたキャラクタオブジェクトが,アクティブ状態とされる。 [0050] この時のポイント位置がキャラクタオブジェクト上に一致したか否かの検知の方法は,後に説明するように衝突判定処理を用いて行われ,その詳細は後に説明する。 [0051] 本発明は,次いで,アクティブ状態とされた複数のキャラクタオブジェクトのいずれかのキャラクタオブジェクトをドラッグ(表示画面上での移動)すると,アクティブ状態である他のキャラクタも同時に同じ移動量だけ移動制御される。図6A,図6Bは,かかる状態を示している。 [0052] 図6Aは,キャラクタオブジェクトC3を矢印方向にドラッグすると,アクティブ状態とされているキャラクタオブジェクトC2も同様に同じ方向に同じ量だけ移動制御される。 [0053] 図6Bは,キャラクタオブジェクトC1を矢印方向にドラッグすると,アクティブ状態とされている他のキャラクタオブジェクトC2,C3も同様に同じ方向に同じ量だけ移動制御される。」 (ク)「[0086] なお,上記実施例説明で,スタイラスペン3を用いて表示画面に座標位置がポイントされる場合を説明したが,指先等によっても表示画面上の位置をポイントすることが可能である。したがって,本発明において,スタイラスペンという時は,かかるスタイラスペンに代わりポイントできる場合をも含む意味である。」 (ケ)上記(キ)の[0045]の「第1の表示画面10における,カード状に表示される複数のキャラクタオブジェクトC1~C5」との記載から、ゲーム装置が、第1の表示画面10に複数のオブジェクトを表示するものであることは明らかである。 (コ)上記(オ)の[0032]の「ポインティングデバイスとしてのスタイラスペン3でX座標電極(x0~xn)と,Y座標電極(y0~ym)の交点に押圧を与えると、・・・(略)・・・スタイラスペン3の位置するX,Y座標を検知する」との記載、同[0031]の「タッチパネル120の電極構造を示し,複数のX座標電極(x0~xn)と,Y座標電極(y0~ym) がそれぞれ電極膜として形成された2枚の透明シートが第1の表示画面10に重ねられている」との記載、同[0033]の「第1の表示画面10のスタイラスペン3で指示したX,Y座標位置が検知されるものであればよい」との記載から、上記(イ)の[0015]に記載の「ポインティング検出手段」が検出しているのは、タッチパネル120へのポインティングの有無と、ポインティングされた座標位置であることは明らかである。 (サ)上記(キ)の[0047]には、「このようにキャラクタオブジェクトをアクティブ状態とするために,スタイラスペン3を第1の表示画面10のキャラクタオブジェクトが表示される領域以外の点Sに当接する。この状態では,スタイラスペン3が表示画面10のキャラクタオブジェクト以外のフィールドがポイントされたことが検知される。」と、当接(ポインティング)の開始位置がオブジェクト領域ではない場合について記載され、次いで、その場合において、「そして,最初のポイントした点Sをスタートにして第1の表示画面10に当接した状態のまま,アクティブ状態としたいゲーム画面上のキャラクタオブジェクト(図5AではキャラクタオブジェクトC2,C3,図5BではキャラクタオブジェクトC1,C2,C3)上をなぞりながら移動する。」(同[0048])及び「この状態では,スタイラスペン3により表示画面10に対し,タッチ(当接)が継続していると判断され,且つキャラクタオブジェクト上をなぞる時は,ポイント位置がキャラクタオブジェクト上であるか否かが検知される。そして,スタイラスペン3によりなぞられたキャラクタオブジェクトが,アクティブ状態とされる。」(同[0049])と、ポインティングが継続している間、複数のオブジェクトのうち、スタイラスペン3によりなぞられた、すなわち、ポインティングされたオブジェクトをアクティブ状態としていることが記載されている。 そして、上記(イ)の[0015]には「ポインティングの継続判定がされている間,ポインティングされたオブジェクトをアクティブオブジェクトとして前記記憶手段に記憶する」と記載されていること、及び、上記(イ)の[0015]の記載から、「前記記憶手段」が「アクティブ状況記憶手段」のことを指すことは明らかであることからすれば、ポインティングされたオブジェクトをアクティブ状態としていることは、ポインティングされたオブジェクトをアクティブ状態とし、アクティブオブジェクトとしてアクティブ状況記憶手段に記憶することであるといえる。 してみれば、上記(イ)の[0015]に記載の「ポインティングの継続判定がされている間,ポインティングされたオブジェクトをアクティブオブジェクトとして前記記憶手段に記憶する」とは、ポインティングの継続判定がされている間、複数のオブジェクトのうち、ポインティングされたオブジェクトをアクティブ状態とし、アクティブオブジェクトとしてアクティブ状況記憶手段に記憶することであると認められる。 (シ)上記(ク)の[0086]には、「スタイラスペン3を用いて表示画面に座標位置がポイントされる場合を説明したが,指先等によっても表示画面上の位置をポイントすることが可能である」と記載されていることから、上記(イ)の[0015]に記載の「アクティブオブジェクトを操作する」ための「オブジェクト操作入力手段」が、スタイラスペンや指先等を含む概念のものであることは明らかである。 (ス)上記(キ)の[0051]には、「本発明は,次いで,アクティブ状態とされた複数のキャラクタオブジェクトのいずれかのキャラクタオブジェクトをドラッグ(表示画面上での移動)すると,アクティブ状態である他のキャラクタも同時に同じ移動量だけ移動制御される。」と記載されているところ、当該記載の処理が、当接(ポインティング)の開始位置がオブジェクト領域である場合の処理であることは明らかであるから、上記(イ)の[0015]に記載の「前記判定ステップでの判定結果がオブジェクト領域であった場合に,ポインティングの継続判定がされている間,前記オブジェクト操作入力手段によりアクティブオブジェクトを操作するステップ」で、上記(キ)の[0051]に記載の処理が行われるものであるといえる。 (セ)上記(ア)ないし(ク)の記載事項、及び、上記(ケ)ないし(ス)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「第1の表示画面10及び第2の表示画面20を有する液晶表示パネル(LCD)と、 第1の表示画面10の表面に形成されたタッチパネルと、 複数のオブジェクトを第1の表示画面10に表示する表示手段と、 タッチパネルへのポインティングの有無とポインティングされた座標位置を検出するポインティング検出手段と、 ポインティングが継続されているか否かを判定する継続判定手段と、 選択されたオブジェクトをアクティブオブジェクトとして記憶するアクティブ状況記憶手段と を有し、第1の表示画面10において、制御されたオブジェク卜の移動に伴い、ゲームの進行中のゲーム画像が第2の表示画面20に表示されるゲーム装置において実行されるプログラムであって、 前記表示手段により複数のオブジェクトを表示するステップと、 前記ポインティング検出手段により、ポインティング有無の状況と、ポインティング開始位置を認識するポインティング状況を検出するステップと、 前記継続判定手段により、 前記ポインティング状況検出ステップにおける検出結果から,ポインティングが実行されていると判断された場合に、前記ポインティングのポインティング開始位置がオブジェクト領域か否かを判定する判定ステップと、 前記判定ステップでの判定結果がオブジェクト領域でなかった場合に、ポインティングの継続判定がされている間、複数のオブジェクトのうち、ポインティングされたオブジェクトをアクティブ状態とし、アクティブオブジェクトとして前記アクティブ状況記憶手段に記憶するステップと、 前記判定ステップでの判定結果がオブジェクト領域であった場合に、ポインティングの継続判定がされている間、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段によりアクティブオブジェクトを操作するステップと を実行させ、 アクティブオブジェクトを操作するステップでは、複数のアクティブオブジェクトのいずれかのアクティブオブジェクトをドラッグすると、アクティブ状態である他のアクティブオブジェクトも同時に同じ方向に同じ量だけ移動制御される、 プログラム。」 (2)本願発明と引用発明の対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「液晶表示パネル(LCD)」、「タッチパネル」は、それぞれ本願発明の「ディスプレイ」、「タッチパネル」に相当する。 イ 引用発明の「複数のオブジェクトを第1の表示画面10に表示する表示手段」であって、「前記表示手段によりオブジェクトを表示するステップ」をプログラムによってゲーム装置が実行することで、ゲーム装置に、ディスプレイにオブジェクトを表示する機能を実現させることは明らかであるとともに、「複数」は、「1個以上」に包含されるから、引用発明は、本願発明の「前記ディスプレイに1個以上のオブジェクトを表示する表示機能」に相当する構成を有していると認められる。 ウ 本願発明は、オブジェクトの「所定状態」について何ら特定していないことから、オブジェクトの「所定状態」とは、オブジェクトのあらゆる状態を包含する概念であると認められる。 そして、引用発明は「前記判定ステップでの判定結果がオブジェクト領域であった場合に、ポインティングの継続判定がされている間、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段によりアクティブオブジェクトを操作するステップ」では、「複数のアクティブオブジェクトのいずれかのアクティブオブジェクトをドラッグすると、アクティブ状態である他のアクティブオブジェクトも同時に同じ方向に同じ量だけ移動制御される」ものであるところ、液晶表示パネル(LCD)の第1の表示画面10に表示されているオブジェクトが、「アクティブ状態」、かつ、ポインティング開始位置の判定結果が当該オブジェクトのオブジェクト領域に含まれていないが、当該オブジェクト以外のアクティブ状態であるオブジェクトのオブジェクト領域に含まれている状態、すなわち、引用発明における「他のアクティブオブジェクト」の状態である際、当該「他のアクティブオブジェクト」の移動先の座標位置は、同じ方向に同じ量だけ移動する、「アクティブ状態」、かつ、ポインティング開始位置の判定結果がオブジェクト領域に含まれている状態である「アクティブオブジェクト」をドラッグする操作を行った際に検出されたポインティングの座標位置に基づいて特定されるといえるため、引用発明において、オブジェクトが、「アクティブ状態」、かつ、ポインティングの開始位置の判定結果が当該オブジェクトのオブジェクト領域に含まれていないが、当該オブジェクト以外のアクティブ状態であるオブジェクトのオブジェクト領域に含まれている状態、すなわち、引用発明における「他のアクティブオブジェクト」の状態であることが、本願発明のオブジェクトが「所定状態」であることに相当するといえ、引用発明の「複数のアクティブオブジェクトのいずれかのアクティブオブジェクトをドラッグする」操作は、本願発明の「前記ディスプレイに対するタッチ操作」に相当するといえる。 また、「アクティブオブジェクト」をドラッグする操作を行った際に検出されたポインティングの座標位置と、「他のアクティブオブジェクト」の移動先の座標位置が異なる座標位置であることは明らかであるとともに、「他のアクティブオブジェクト」とドラッグする対象の「アクティブオブジェクト」は、いずれもポインティング開始位置からドラッグする操作を行った際に同じ方向に同じ量だけ移動表示するものであるから、移動後のポインティングの座標位置に対して、移動表示される「他のアクティブオブジェクト」の移動先の座標位置が、移動前におけるポインティングの座標位置と「他のアクティブオブジェクト」の移動表示される位置の相対位置関係を保持した座標位置であることも明らかであるため、引用発明の「ポインティング開始位置」、及び、「複数のアクティブオブジェクトのいずれかのアクティブオブジェクトをドラッグ」したときの「ポインティングされた座標位置」は、それぞれ本願発明の「移動前における前記タッチ操作の座標位置」、及び、「移動後のタッチ操作の座標位置」に相当する。 してみれば、引用発明は、本願発明の「前記ディスプレイに表示されている前記オブジェクトが所定状態にある際、前記ディスプレイに対するタッチ操作の座標位置に基づいて特定される座標位置を当該オブジェクトの移動先とする制御機能」、及び、「前記制御機能では、前記ディスプレイに対するタッチ操作の座標位置とは異なる座標位置を前記移動先として前記オブジェクトを移動表示し、当該タッチ操作の座標位置が移動した場合、移動後のタッチ操作の座標位置に対して前記オブジェクトが表示される座標位置が、当該移動前における前記タッチ操作の座標位置と前記オブジェクトが移動表示される位置の相対位置関係を保持する機能を実現させ、」に相当する構成を有していると認められる。 エ 本願発明は、「前記所定状態が継続している場合に所定の操作を受け付けると、当該移動先を前記オブジェクトの移動先として確定させる」における「所定の操作」の具体的な操作内容について何ら限定するものではないから、本願発明の「所定の操作」は、所定状態が継続している場合において行われるあらゆる操作を含むものである。 このとき、引用発明は、「ポインティングの継続判定がされている間」、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段により「他のアクティブオブジェクト」を含むアクティブオブジェクトを操作するものであることから、ポインティングの継続判定がされなくなる、すなわち、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段をタッチパネルから離す操作を行ったことを検出すると、ドラッグ操作によって移動する対象である「他のアクティブオブジェクト」の移動が行われない、すなわち、「他のアクティブオブジェクト」の移動先を確定させる制御を行っているといえる。 また、引用発明は、「第1の表示画面10において、制御されたオブジェク卜の移動に伴い、ゲームの進行中のゲーム画像が第2の表示画面20に表示される」ものであることから、上述した「他のアクティブオブジェクト」の移動先を確定させる制御は、ドラッグによる「他のアクティブオブジェクト」の移動先を、後のゲームが進行するための移動先としてその位置を確定させるための制御であると認められる。 さらに、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段をタッチパネルから離す操作が、「アクティブ状態」、かつ、ポインティングの位置がオブジェクト領域に含まれていない状態、すなわち、引用発明における「他のアクティブオブジェクト」の状態が継続している場合に行われる操作であるものであることも明らかである。 してみれば、「アクティブ状態」、かつ、ポインティングの位置がオブジェクト領域に含まれていない状態、すなわち、引用発明における「他のアクティブオブジェクト」の状態が継続している場合に行われる「スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段をタッチパネルから離す操作」が、本願発明の所定状態が継続している場合の「所定の操作」に相当するといえるとともに、引用発明は、本願発明の「前記所定状態が継続している場合に所定の操作を受け付けると、当該移動先を前記オブジェクトの移動先として後のゲームが進行するように前記オブジェクトの位置を確定させる確定機能」に相当する構成を有していると認められる。 オ 引用発明は、「ポインティングの継続判定がされている間、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段によりアクティブオブジェクトを操作する」ものであるとともに、「複数のアクティブオブジェクトのいずれかのアクティブオブジェクトをドラッグすると、アクティブ状態である他のアクティブオブジェクトも同時に同じ方向に同じ量だけ移動制御される」ものであることから、アクティブオブジェクトのドラッグ操作によって他のアクティブオブジェクトの移動先が特定され、他のアクティブオブジェクトの移動制御がされた後も、上記エを踏まえれば、引用発明において、「他のアクティブオブジェクト」の移動先を確定させるための操作である、スタイラスペンや指先等のオブジェクト操作入力手段をタッチパネルから離す操作を行って、「他のアクティブオブジェクト」の移動先が確定されるまでは、アクティブオブジェクトのドラッグ操作、すなわち、タッチ位置の移動に同期する形で移動するように、他のアクティブオブジェクトの移動先の特定と移動制御が繰り返されるとともに、他のアクティブオブジェクトの移動制御を行う際に、「前記表示手段によりオブジェクトを表示するステップ」により、他のアクティブオブジェクトの移動制御を反映した、表示手段による他のアクティブオブジェクトの表示が行われていることは当業者にとって自明の事項であるから、引用発明は、本願発明の「前記表示機能では、前記ディスプレイに対するタッチ操作の座標位置に基づいて特定される座標位置が特定された後、前記移動先が確定されるまで、前記タッチ操作の座標位置の移動に同期する形で移動するように前記オブジェクトを表示する機能」に相当する構成を有していると認められる。 カ 上記ア~オからすれば、本願発明と引用発明との間の発明特定事項に差異はない。 キ よって、上記ア~カからすれば、本願発明は、引用発明に該当するものであって特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない発明である。 (3)審判請求人の主張について 審判請求人は、令和3年6月28日付け意見書において、 「一方、補正後の請求項1は、 「移動後のタッチ操作の座標位置に対して前記オブジェクトが表示される座標位置が、当該移動前における前記タッチ操作の座標位置と前記オブジェクトが移動表示される位置の相対位置関係を保持する機能を実現させ、」 という構成を含むことで、選択されたオブジェクトが選択後に移動される表示位位置と、当該オブジェクトを選択した際のタッチ位置との相対位置関係を保持した状態で、タッチ位置を移動させながらオブジェクトを移動させることができるようになります。 そして、上記構成について、引用文献1-4には示唆すらされていません。」と主張している。 しかしながら、上記(2)ウで示したとおり、引用発明の「ポインティング開始位置」、及び、「複数のアクティブオブジェクトのいずれかのアクティブオブジェクトをドラッグ」したときの「ポインティングされた座標位置」が、それぞれ本願発明の「移動前における前記タッチ操作の座標位置」、及び、「移動後のタッチ操作の座標位置」に相当するのであるから、審判請求人が主張する、引用文献1-4には示唆すらされていないとする構成は、引用発明が有する構成である。 よって、審判請求人の上記主張は採用できない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に該当するものであって特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない発明である。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-007109

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