特許拒絶査定不服審判
2020-006758
ゲームプログラム、及びゲームプログラム制御方法
- 審判番号
- 2020-006758
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-534987
- 請求日
- 2020年05月18日
- 審決日
- 2021年02月24日
- 公報発行日
- 2021年06月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社スクウェア・エニックス
- 【請求人代理人】須藤 浩
- 【請求人代理人】海田 浩明
- 【請求人代理人】上田 侑士
- 【請求人代理人】浅見 浩二
- 審判長/審判官
- 審判長 藤本 義仁
- 審判官 古川 直樹
- 審判官 尾崎 淳史
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .537-Z (A63F) / P18 .57 -Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第184条の6第2項、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-534987「ゲームプログラム、及びゲームプログラム制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月 7日国際公開、WO2018/158835〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)2月28日を国際出願日とする出願であって、平成30年7月3日付けで手続補正書及び上申書が提出され、令和1年7月1日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月6日付けで手続補正書及び意見書が提出され、令和2年2月12日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、その謄本は同月18日に請求人に送達された。それに対して、同年5月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和2年5月18日付けの手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年5月18日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の記載を全文にわたって補正するものであり、以下の(1)及び(2)の補正事項を含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
(1)令和1年9月6日付けの手続補正書により補正された、以下のアのとおりの特許請求の範囲の請求項11を、以下のイのとおりの特許請求の範囲の請求項11とする補正事項(以下、「補正事項1」という。)
ア 本件補正前の請求項11
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と、プレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置とを備えるゲームシステムにおいて実行されるゲーム制御方法であって、
コンピュータ装置において、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信ステップと、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップと
を含み、
前記記憶ステップにおいて、ゲーム媒体群に関する情報として、ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率を記憶し、
前記送信ステップにおいて送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれており、
プレイヤ端末において、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報をコンピュータ装置に送信する位置情報送信ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をコンピュータ装置から受信するゲーム媒体群情報受信ステップと、
ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップとを含むゲーム制御方法。」
イ 本件補正後の請求項11
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と、プレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置とを備えるゲームシステムにおいて実行されるゲーム実行方法であって、
コンピュータ装置において、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信ステップと、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップと
を含み、
前記記憶ステップにおいて、ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶し、
前記送信ステップにおいて送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれており、
プレイヤ端末において、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報をコンピュータ装置に送信する位置情報送信ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をコンピュータ装置から受信するゲーム媒体群情報受信ステップと、
ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップと、を有し、
前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、
前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する
ゲーム実行方法。」
(2)令和1年9月6日付けの手続補正書により補正された、以下のアのとおりの特許請求の範囲の請求項12を、以下のイのとおりの特許請求の範囲の請求項12とする補正事項(以下、「補正事項2」という。)
ア 本件補正前の請求項12
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、
コンピュータ装置を、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶手段、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信手段、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信手段
として機能させ、
前記記憶手段が、ゲーム媒体群に関する情報として、ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率を記憶しており、
前記送信手段が送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれている、
ゲームプログラム。」
イ 本件補正後の請求項12
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、
コンピュータ装置を、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶手段、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信手段、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信手段
として機能させ、
前記記憶手段が、ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶しており、
前記送信手段が送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれており、
前記送信手段が、前記表示手段により表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末に送信する
ゲームプログラム。」
2 補正の目的等について
(1)補正事項1について
ア 補正の目的について
補正事項1は、本件補正前の請求項11について以下の(ア)及び(イ)の補正をしている。
(ア)「前記記憶ステップにおいて、ゲーム媒体群に関する情報として、ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率を記憶し、」を「前記記憶ステップにおいて、ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶し、」とする補正
(イ)「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する」を追加する補正
特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りようでない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
上記(ア)の補正は、原査定の拒絶の理由において指摘された「出現確率がどのように設定されることとなるのかが明確でない」に対応した補正であるから、同項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
上記(イ)の補正は、本件補正前の請求項11に係る発明の「前記送信ステップ」、すなわち、「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップ」において、「ゲーム媒体群に関する情報」とは異なる「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報」を「プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末に送信する」というものであるから、「送信ステップ」として実質的に新たな手順を追加するものである。
また、本件補正前の請求項11に係る発明の「前記表示ステップ」、すなわち、「ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップ」において、「プレイヤ端末」は「第2端末として機能する場合」に、出現確率に基づく「ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体」とは異なるものである、受信した付与情報に基づいて「ゲーム媒体」を表示するというものであるから、「表示ステップ」として実質的に新たに手順を追加するものである。
以上のとおりであるから、上記(イ)の補正は、発明を特定するために必要な事項を限定することで、「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップ」及び「ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップ」を、概念的に、より下位の発明特定事項としたものとはいえないから、いわゆる特許請求の範囲の限定的減縮に相当するものとはいえない。
審判請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」の「(1)補正の内容」において、「出願時明細書の段落[0074]の記載などを根拠として、「記憶手段」の構成を明確化した。また、出願時明細書の段落[0032]-[0037],[0145]の記載などを根拠として、「送信手段」と「表示手段」の構成を明確化した。この補正は、限定的減縮を目的とするものである。」と主張しているが、上記のとおり、「送信手段」と「表示手段」にそれぞれ対応する「送信ステップ」と「表示ステップ」を、概念的に、より下位の発明特定事項としたものとはいえないから、審判請求人の主張は採用できない。
したがって、上記(イ)の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとはいえない。
また、上記(イ)の補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当しないことは明らかである。
してみると、補正事項1による補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反してされたものである。
イ 新規事項の追加の有無について
補正事項1は、特許法第184条の6第2項の規定により本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面とみなされる日本語でなされた国際特許出願(PCT/JP2017/007868)に係る国際出願日における明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらをあわせて、単に「当初明細書等」という。)の【0032】~【0037】、【0093】~【0094】、【0104】、【0130】~【0132】、【0139】~【0145】、図13、図18等の記載に基づいており、当初明細書等に記載した事項の範囲内において補正するものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
(2)補正事項2について
ア 補正の目的について
補正事項2は、本件補正前の請求項12について以下の(ア)及び(イ)の補正をしている。
(ア)「前記記憶手段が、ゲーム媒体群に関する情報として、ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率を記憶しており、」を「前記記憶手段が、ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶しており、」とする補正
(イ)「前記送信手段が、前記表示手段により表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末に送信する」を追加する補正
上記(ア)の補正は、原査定の拒絶の理由において指摘された「出現確率がどのように設定されることとなるのかが明確でない」に対応した補正であるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
上記(イ)の補正は、本件補正前の請求項12に係る発明の「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信手段」が有する機能として、「ゲーム媒体群に関する情報」とは異なる「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報」をプレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末に送信するという機能を備えるものであることを特定しているから、「送信手段」に実質的に新たな機能を追加するものであって、発明を特定するために必要な事項を限定することで、「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信手段」を、概念的に、より下位の発明特定事項としたものとはいえず,いわゆる特許請求の範囲の限定的減縮に相当するものとはいえない。
審判請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」の「(1)補正の内容」において、「出願時明細書の段落[0074]の記載などを根拠として、「記憶手段」の構成を明確化した。また、出願時明細書の段落[0032]-[0037],[0145]の記載などを根拠として、「送信手段」と「表示手段」の構成を明確化した。この補正は、限定的減縮を目的とするものである。」と主張しているが、上記のとおり、「送信手段」を、概念的に、より下位の発明特定事項としたものでないから、審判請求人の主張は採用できない。
したがって、上記(イ)の補正は、同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとはいえない。
また、上記(イ)の補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当しないことは明らかである。
してみると、補正事項2による補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反してされたものである。
イ 新規事項の追加の有無について
補正事項2は、当初明細書等の【0032】~【0037】、【0093】~【0094】、【0104】、【0130】~【0132】、【0139】~【0145】、図13、図18等の記載に基づいており、当初明細書等に記載した事項の範囲内において補正するものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
(3)まとめ
上記で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3 独立特許要件について
上記2の補正却下に係る補正の目的が、仮に、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項11に係る発明(以下、「本願補正発明11」という。)、及び、本件補正後の請求項12に係る発明(以下、「本願補正発明12」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、本件の特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、念のため検討しておく。
(1)本願補正発明
本願補正発明11及び本願補正発明12は、それぞれ上記1(1)イ及び上記1(2)イにおいて摘示したとおりの発明特定事項により特定されるとおりのものであって、再掲すると以下のとおりのものである。
ア 本願補正発明11
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と、プレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置とを備えるゲームシステムにおいて実行されるゲーム実行方法であって、
コンピュータ装置において、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信ステップと、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップと
を含み、
前記記憶ステップにおいて、ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶し、
前記送信ステップにおいて送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれており、
プレイヤ端末において、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報をコンピュータ装置に送信する位置情報送信ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をコンピュータ装置から受信するゲーム媒体群情報受信ステップと、
ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップと、を有し、
前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、
前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する
ゲーム実行方法。」
イ 本願補正発明12
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、
コンピュータ装置を、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶手段、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信手段、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信手段
として機能させ、
前記記憶手段が、ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶しており、
前記送信手段が送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれており、
前記送信手段が、前記表示手段により表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末に送信する
ゲームプログラム。」
(2)特許法第36条第6項第2号に規定する要件について
ア 本願補正発明11
(ア)本願補正発明11では、「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、」と特定されている。
このとき、本願補正発明11では、「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合」とそうでない場合とで、「送信ステップ」で実行する内容について場合分けがされているとはいえるが、本願補正発明11には、「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与され」る手順については何ら特定されておらず、ましてや、「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体」が、何らかの手順により、プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与されたり付与されなかったりするような手順を備えることについても何ら特定されていないことから、本願補正発明11で特定される「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、」という事項が、技術的にいかなる事項を特定しているのかを明確に把握することができない。
また、その点を差し措いたとしても、本願補正発明11における「送信ステップ」は、「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップ」と特定されるものであって、表示されたゲーム媒体がプレイヤ端末を操作するプレイヤに付与されたか否か判断し得るものではないので、「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、」と特定することによって、どのような時系列的な手順が特定されることになるのかが、「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報」と「付与情報」をそれぞれ送信するタイミングを含めて明確ではない。
(イ)本願補正発明11では、「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、
前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する」と特定されているが、「受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する」ための前提となる、第2端末が付与情報を受信する手順を欠いていることは明らかであるから、ゲーム実行方法の発明として、どのような時系列的な手順が特定されることになるのかが明確ではない。
(ウ)上記(ア)及び(イ)により、本願補正発明11は、不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができない。
イ 本願補正発明12
本願補正発明12では、「前記表示手段」と特定されているが、「前記表示手段」以前に「表示手段」については何ら特定されていないことから、「前記表示手段」が、いかなる技術的事項を特定しているのかが明確ではない。
よって、本願補正発明12は、不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができない。
(3)特許法第29条第2項に規定する要件について
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された本願の国際出願日前である平成24年2月9日に頒布された刊行物である特開2012-24416号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を用いて行われるゲームの中で、現在の位置に応じた、ゲームのアイテムデータを取得できるデータ処理システム、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末では、ゲームサーバと通信することによって、種々のゲームを楽しむことができる。また、携帯端末は、GPS(Global Positioning System)機能を備えたものがあり、表示部に表示された地図の中に現在位置を示すナビゲーション装置として用いることもできる(特許文献1参照)。特許文献1では、携帯端末の位置を確実に追跡する技術が記載されている。」
b 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能化が図られた携帯端末で行われるゲームにおいて、更に、ゲームの娯楽性を高めるためには、携帯端末の機能を複合的に用いることが考えられる。
【0005】
本発明は、このような点に着目したものであって、携帯端末を用いて行われるゲームの中で、現在の位置に応じたゲームのアイテムデータを取得できるようにして、ゲームの娯楽性を高めることができるデータ処理システム、データ処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。」
c 「【0008】
また、本発明に係るデータ処理方法は、上記課題を解決するために、携帯端末固有の端末IDデータと該携帯端末のGPS(Global Positioning System)による現在の位置データを受信すると共に、ゲーム処理データを該携帯端末に送信する通信部と、上記携帯端末との間で実行されるゲームプログラムを格納するゲームプログラムメモリと、上記携帯端末毎のゲームの進捗データを、上記端末IDデータに関連付けて管理するゲーム管理データベースと、上記ゲームで使用されるアイテムデータを地図上の場所IDデータと関連付けて管理するアイテム管理データベースとを備えるデータ処理システムのデータ処理方法であって、上記ゲーム管理データベースは、更に、上記端末IDデータに関連付けてアイテムデータを管理しており、上記携帯端末とのゲーム処理動作中に、上記通信部で、上記携帯端末より送信された端末IDデータ及び現在の位置データを受信し、上記位置データを上記場所IDデータと関連付けて管理する地図データベースにアクセスし、受信した現在の位置データに対応する場所IDデータを取得し、上記アイテム管理データベースにアクセスし、当該場所IDデータに関連付いたアイテムデータを特定し、上記特定したアイテムデータを、上記ゲーム管理データベースにおいて、上記携帯端末より送信された端末IDデータに関連付ける。」
d 「【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯端末の現在の位置データに対応するアイテムデータを、位置データを送信した携帯端末の端末IDデータと関連付け、当該携帯端末のユーザのものになるようにしている。したがって、携帯端末のユーザが赴く先々で携帯端末を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができる。したがって、携帯端末で行うゲームの娯楽性を高めることができる。」
e 「【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用されたデータ処理システムの構成を示す図である。
【図2】携帯電話のブロック図である。
【図3】ゲームサーバのブロック図である。
【図4】地図サーバのブロック図である。
【図5】松山城周辺の地図データである。
【図6】本発明が適用されたデータ処理方法のフローチャートである。
【図7】本発明の他の例のデータ処理システムの構成を示す図である。
【図8】ゲームサーバの他の例を示すブロック図である。
【図9】本発明の他の例のデータ処理方法のフローチャートである。
【図10】ゲーム管理データベースを示す図であり、アイテムデータの名義の書換えを示す。
【図11】アイテム管理データベースの変形例を示す図である。」
f 「【0013】
1.全体構成
図1に示すように、本発明が適用されたデータ処理システム1は、ユーザ個人が管理する携帯端末である携帯電話10と、この携帯電話10でゲームを行うことができるようにするゲームサーバ20と、地図データを管理する地図サーバ30とを備えている。このデータ処理システム1では、例えば、ゲーム実行中に、ユーザが携帯電話10でゲームをしている場所の位置データをゲームサーバ20に送信し、ゲームサーバ20に現在位置を知らせることで、ユーザに対して、現在位置に関連付いたゲームで使用可能なアイテムデータが送信されるようになっている。したがって、データ処理システム1では、ユーザが例えばとある観光地に旅行に行ったとき、その観光地で携帯電話10のゲームを行うと、その観光地に関連したゲームのアイテムデータを取得でき、娯楽性を高めることができる。また、このデータ処理システム1において、全国各地にいる携帯電話10のユーザは、それぞれの居住地に応じたゲームのアイテムデータを所有していることになる。したがって、携帯電話10のユーザは、自分と異なる地域に居住する携帯電話10のユーザとの間でアイテムデータを移転することができ、一層の娯楽性を高めることができる。
【0014】
2.携帯電話10の説明
図2に示すように、携帯電話10は、アンテナ等の通信I/F11と、電話機能を実現する電話機能部12と、画像や動画を表示する表示部13と、操作信号を入力する操作部14と、携帯電話10の固有の識別データとなる端末IDデータ等を格納するメモリ15と、現在の位置データを取得するGPS(Global Positioning System)機能部16と、全体の動作を制御する制御部18とを備えている。」
g 「【0033】
ここで、図5を用いて地図データベース32について説明する。図5は、愛媛県松山市松山城周辺の地図データである。図4の地図データベース32の場所IDデータ「A0006」の「松山城」は、図5に示すように、地図上の松山城を含む城山公園を囲む領域を経度緯度によって定義するようにしている。また、場所IDデータ「A0001」は、「松山市」を定義しており、この「松山市」の定義データは、「松山市」全域を経度緯度データで定義するようにしている。このように、地図データベース32では、場所IDデータに関連付いた所定の場所(所定の領域)を経度緯度データで定義するようにしている。例えば、都道府県単位や市町村単位や名所旧跡等のランドマークの単位で定義するようにしている。このような定義は、日本だけでなく世界中で行っても良い。」
h 「【0048】
6.データ処理システム1の変形例
以上説明したデータ処理システム1では、ゲームサーバ20と地図サーバ30とが異なる装置で構成されていたが、本発明の変形例となるデータ処理システム40では、図7及び図8に示すように、ゲームサーバ50が地図データベース32を備え、図1の地図サーバ30を省略している。
【0049】
具体的に、図8に示すように、このゲームサーバ50は、携帯電話10や地図サーバ30とデータ通信をする通信I/F21と、複数のゲームプログラムを格納したゲームプログラムメモリ22と、提供するそれぞれのゲームに関しユーザ毎のゲームの進捗を管理するゲーム管理データベース23と、各ゲームで使用されるアイテムを管理するアイテム管理データベース24と、携帯電話10との間で通信を行い、ゲームの進捗を制御するゲーム制御部25と、地図を管理する地図データベース32を備えている。」
i 「【0051】
以上のように構成されたデータ処理システム40では、ユーザが携帯電話10でゲームを開始すると、図9に示すような処理を行う。
【0052】
ステップS31において、携帯電話10の制御部18は、操作部14のアプリケーションキーが操作されると、ゲームサーバ20に対して、ユーザが契約しているゲームのゲームIDデータを、携帯電話10を特定する端末IDデータと共に送信する。ステップS32において、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、通信I/F21で、ゲームIDデータ及び端末IDデータを受信すると、ゲームIDデータで特定されるゲームプログラム
をゲームプログラムメモリ22より読み出し、通信I/F21より携帯電話10に送信する。
【0053】
ステップS33において、携帯電話10の制御部18は、通信I/F11で、ゲームプログラムを受信すると、受信したゲームプログラムに従ってゲーム処理を開始する。また、ゲームサーバ20のゲーム制御部25も、ステップS34において、携帯電話10と開始したゲームについてのゲーム処理を開始する。
【0054】
ステップS35において、携帯電話10の制御部18は、ダウンロードしたゲームプログラムに従ってGPS機能部16で、携帯電話10の現在の位置データをGPS衛星より取得する。ステップS36において、携帯電話10の制御部18は、ユーザが操作部14の所定ボタンを操作することによって、取得した現在の位置データをゲームサーバ20に送信する。このとき、制御部18は、時計部17で現在の時刻データを取得し、現在の位置データと共に時刻データをゲームサーバ20に送信する。なお、現在の位置データは、ゲームプログラムの制御で、自動的に、ゲームサーバ20に送信するようにしても良い。
【0055】
なお、ここで、携帯電話10が地下等にありGPS衛星より位置データを取得することができないとき、位置取得部によって、現在の携帯電話10と通信する基地局の位置データ、すなわち経度緯度データを取得し、ユーザの操作に応じて又は自動的にゲームサーバ20に送信する。
【0056】
ステップS37において、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、通信I/F12で携帯電話10から送信された現在の位置データを受信すると、ステップS38において、地図データベース32にアクセスし、受信した位置データに対応する場所IDデータを検索し特定する。例えば、携帯電話10の現在の位置データが「松山城」外の「松山市」内にあるとき、「松山市」の「A0001」を特定する。
【0057】
ステップS39において、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、アイテム管理データベース24にアクセスし、特定された場所IDデータに対応するアイテムデータを検索し特定する。そして、ゲーム制御部25は、ステップS40において、特定されたアイテムデータを通信I/F21より携帯電話10に送信する。これと共に、ゲーム制御部25は、ゲーム管理データベース23にアクセスし、携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け、ゲーム管理データベース23を更新する。
【0058】
例えば、端末IDデータが「09012345678」の携帯電話10の現在の位置データで特定される場所IDデータが「A0001」のとき、ゲーム制御部25は、場所IDデータ「A0001」と共に「お遍路セット」の画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータを、ゲームプログラムメモリ22より読み出して携帯電話10に送信する。これと共に、ゲーム制御部25は、「A0001」の「お遍路セット」を端末IDデータ「09012345678」に関連付けてゲーム管理データベース23を更新する。
【0059】
ステップS41において、携帯電話10の制御部18は、通信I/F11でアイテムデータを受信する。かくして、携帯電話10のユーザは、自分が例えば「松山市」に由来する「お遍路セット」を取得したことを知ることができる。
【0060】
以上のように構成されたデータ処理システム40においても、携帯電話10のユーザが赴く先々で携帯電話10を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができる。したがって、携帯電話10で行うゲームの娯楽性を高めることができる。」
j 「【0061】
7.アイテムデータの移転
ところで、携帯電話10のユーザは全国各地におり、従って、以上のようなデータ処理システム1,40によれば、地域毎に、ユーザは異なったアイテムデータを有していることになる。そこで、データ処理システム1,40では、ユーザ間でアイテムデータの交換、すなわち移転を行うことができるようになっている。
【0062】
具体的に、携帯電話10の制御部18は、ゲームの処理中において、譲渡要求データと共に、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータ又はアイテムのIDを通信I/F21よりゲームサーバ20に送信する。
【0063】
ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、通信I/F21で、譲渡要求データと共に、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータ又はアイテムのIDを受信すると、受信した内容に応じてゲーム管理データベース23を更新する。
【0064】
これを図10を用いて説明する。図10(A)は、譲渡処理前のゲーム管理データベース23を示し、図10(B)は、譲渡処理後のゲーム管理データベース23を示している。そして、端末IDデータ「09012345678」の「A0001」の「お遍路セット」を、端末IDデータ「09087654321」に譲渡する場合を示している。
【0065】
この場合、端末IDデータ「09012345678」の携帯電話10は、譲渡要求データと共に、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータ「09087654321」とアイテムデータの「お遍路セット」のID、すなわち「A0001」をゲームサーバ20に送信する。
【0066】
ゲームサーバ20のゲーム制御部25では、ゲーム管理データベース23にアクセスし、No.2の端末IDデータ「09087654321」にアイテムデータの「お遍路セット」のID「A0001」を関連付ける。これと共に、ゲーム制御部25は、譲渡元の端末IDデータ「09012345678」よりアイテムデータの「お遍路セット」のID「A0001」の関連付けを解除する。なお、ゲーム制御部25は、譲渡元の端末IDデータ「09012345678」の携帯電話10に譲渡処理完了のデータを通信I/F21より送信するようにしても良い。
【0067】
そして、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、通信I/F21より、譲渡先となる端末IDデータ「09087654321」の携帯電話10に、場所IDデータ「A0001」と共に「お遍路セット」の画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータを、ゲームプログラムメモリ22より読み出して携帯電話10に送信する。
【0068】
かくして、端末IDデータ「09012345678」から端末IDデータ「09087654321」への「A0001」の「お遍路セット」への譲渡の処理を完了する。これにより、ユーザは、各地に由来するアイテムデータを、実際にその場所に行って携帯電話10でゲームをするまでもなく、様々なアイテムデータを取得することができ、娯楽性を高めることができる。例えば、北海道在住のユーザは、松山市在住のユーザから、松山市を訪れるまでもなく、四国に由来した「お遍路セット」のアイテムデータを取得することができる。」
k 「【0069】
8.アイテム管理データベース24の変形例
図11に示すアイテム管理データベース24は、1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータが関連付けられている。そして、複数の時間管理IDデータには、それぞれに時間(時刻)の定義が関連付けられ、更にアイテムデータが関連付けられている。
【0070】
例えば、場所IDデータ「A0001」には、時間管理IDデータ「A0001-1」と「A0001-2」が関連付いている。「A0001-1」には、「午前」が定義づけられ、「お遍路セット」が関連付いている。また、「A0001-2」には、「午後」が定義づけられ、「銅銭」が関連付けられている。
【0071】
上述のように、携帯電話10の制御部18は、取得した現在の位置データをゲームサーバ20に送信する。このとき、制御部18は、時計部17で現在の時刻データを取得し、現在の位置データと共に時刻データをゲームサーバ20に送信する(図6のステップS6、図9のステップS36参照)。
【0072】
ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、通信I/F12で携帯電話10から送信された現在の位置データを受信すると、地図データベース32にアクセスし、受信した位置データに対応する場所IDデータを検索し特定する(図6のステップS12、図9のステップS39参照)。
【0073】
例えば、地図データベース32で場所ID「A0001」特定されたとき、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、次に、携帯電話10から送信された時刻データを参照し、この時刻データが「午前」か「午後」かどうかを判断する。そして、ゲーム制御部25は、時刻データが「午前」を示しているとき、時間管理IDデータ「A0001-1」を選択し、アイテムデータを「お遍路セット」とする。また、ゲーム制御部25は、時刻データが「午後」を示しているとき、時間管理IDデータ「A0001-2」を選択し、アイテムデータを「銅銭」とする。
【0074】
そして、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、特定されたアイテムデータを通信I/F21より携帯電話10に送信する。これと共に、ゲーム制御部25は、ゲーム管理データベース23にアクセスし、携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け、ゲーム管理データベース23を更新する(図6のステップS13、図9のステップS40参照)。例えば、図3や図8に示すゲーム管理データベース23のアイテムデータ(場所IDデータ)の欄を更新する。
【0075】
以上のようなデータ処理システム1,40では、携帯電話10のユーザが赴く先々で携帯電話10を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができる。そして、ユーザが取得するアイテムデータは、ゲームをする時間によって異なるものとなる。したがって、携帯電話10で行うゲームの娯楽性を高めることができる。また、時間管理IDデータの定義次第では、取得するアイテムデータに希少価値を生じさせることができ、上述したアイテムデータの移転処理と合わせることで、一層の娯楽性を高めることができる。
【0076】
なお、この例では、時間管理IDデータは、期間に従って定義づけしても良い。例えば、時間管理IDデータ「A0001-1」は、7月16日から7月31日までと定義し、時間管理IDデータ「A0001-2」は、8月1日から8月15日までと定義するようにしても良い。」
(イ)引用文献1の記載事項から認定できる事項
a 上記(ア)fの【0013】には、「データ処理システム1は、ユーザ個人が管理する携帯端末である携帯電話10と、この携帯電話10でゲームを行うことができるようにするゲームサーバ20と、地図データを管理する地図サーバ30とを備えている。」と記載され、上記(ア)hの【0048】には、「以上説明したデータ処理システム1では、ゲームサーバ20と地図サーバ30とが異なる装置で構成されていたが、本発明の変形例となるデータ処理システム40では、図7及び図8に示すように、ゲームサーバ50が地図データベース32を備え、図1の地図サーバ30を省略している。」と記載され、上記(ア)hの【0049】には、「具体的に、図8に示すように、このゲームサーバ50は、携帯電話10や地図サーバ30とデータ通信をする通信I/F21と、複数のゲームプログラムを格納したゲームプログラムメモリ22と、提供するそれぞれのゲームに関しユーザ毎のゲームの進捗を管理するゲーム管理データベース23と、各ゲームで使用されるアイテムを管理するアイテム管理データベース24と、携帯電話10との間で通信を行い、ゲームの進捗を制御するゲーム制御部25と、地図を管理する地図データベース32を備えている。」と記載されていることから、引用文献1のデータ処理システム40は、ユーザ個人が管理する携帯端末である携帯電話10と、携帯電話10との間で通信を行うゲームサーバ50とを備えること。
b 上記(ア)eの【0011】には、「【図9】本発明の他の例のデータ処理方法のフローチャートである。」と記載され、上記(ア)hの【0048】には、「本発明の変形例となるデータ処理システム40では、図7及び図8に示すように、ゲームサーバ50が地図データベース32を備え、図1の地図サーバ30を省略している。」と記載され、上記(ア)iの【0051】には、「以上のように構成されたデータ処理システム40では、ユーザが携帯電話10でゲームを開始すると、図9に示すような処理を行う。」と記載されていることから、図9は、携帯電話10とゲームサーバ50とを備えるデータ処理システム40のデータ処理方法を特定しているとともに、図9のフローチャートについて記載されている、上記(ア)iの【0052】~【0057】に記載の「ゲームサーバ20」は、いずれも「ゲームサーバ50」の誤記であって、「ゲームサーバ50」と読み替えることができること。
c 上記(ア)jの【0061】の「そこで、データ処理システム1,40では、ユーザ間でアイテムデータの交換、すなわち移転を行うことができるようになっている。」との記載、上記(ア)kの【0075】の「以上のようなデータ処理システム1,40では、携帯電話10のユーザが赴く先々で携帯電話10を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができる。」との記載より、上記(ア)jの【0061】~【0068】の「7.アイテムデータの移転」に関する処理、及び、上記(ア)kの【0069】~【0076】の「8.アイテム管理データベース24の変形例」に関する処理はデータ処理システム1とデータ処理システム40の両方で適用可能であることは明らかであるから、上記(ア)jの【0061】~【0068】の「7.アイテムデータの移転」に関する処理、及び、上記(ア)kの【0069】~【0076】の「8.アイテム管理データベース24の変形例」に関する処理における「ゲームサーバ20」は、いずれも「ゲームサーバ50」と読み替えることができること。
d 上記(ア)k【0069】には、「図11に示すアイテム管理データベース24は、1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータが関連付けられている。そして、複数の時間管理IDデータには、それぞれに時間(時刻)の定義が関連付けられ、更にアイテムデータが関連付けられている。」と記載されていること、及び、上記(ア)kの【0069】~【0076】の「8.アイテム管理データベース24の変形例」に関する処理に先立って、アイテム管理データベース24にゲームに用いるデータを記憶する処理を行っていることは明らかであるから、ゲームサーバ50が、場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータを関連付けるとともに、時間管理IDデータそれぞれに時間(時刻)の定義とアイテムデータを関連付けてアイテム管理データベース24に記憶すること。
e 上記(ア)k【0069】には、「図11に示すアイテム管理データベース24は、1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータが関連付けられている。そして、複数の時間管理IDデータには、それぞれに時間(時刻)の定義が関連付けられ、更にアイテムデータが関連付けられている。」と記載され、上記(ア)kの【0073】には、「例えば、地図データベース32で場所ID「A0001」特定されたとき、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、次に、携帯電話10から送信された時刻データを参照し、この時刻データが「午前」か「午後」かどうかを判断する。そして、ゲーム制御部25は、時刻データが「午前」を示しているとき、時間管理IDデータ「A0001-1」を選択し、アイテムデータを「お遍路セット」とする。また、ゲーム制御部25は、時刻データが「午後」を示しているとき、時間管理IDデータ「A0001-2」を選択し、アイテムデータを「銅銭」とする。」と記載され、上記(ア)kの【0074】には、「そして、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、特定されたアイテムデータを通信I/F21より携帯電話10に送信する。」と記載されていることから、上記b及びcの説示も踏まえれば、ゲームサーバ50は、受信した位置データに対応する場所IDデータが特定されたとき、特定された場所IDデータ及び受信した時刻データに対応する時間管理IDデータ、及び、当該時間管理IDデータに関連付けられているアイテムデータを特定し、特定されたアイテムデータを携帯電話10に送信すること。
f 上記(ア)iの【0057】には、「ステップS39において、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、アイテム管理データベース24にアクセスし、特定された場所IDデータに対応するアイテムデータを検索し特定する。そして、ゲーム制御部25は、ステップS40において、特定されたアイテムデータを通信I/F21より携帯電話10に送信する。これと共に、ゲーム制御部25は、ゲーム管理データベース23にアクセスし、携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け、ゲーム管理データベース23を更新する。」と記載され、上記(ア)iの【0058】には、「例えば、端末IDデータが「09012345678」の携帯電話10の現在の位置データで特定される場所IDデータが「A0001」のとき、ゲーム制御部25は、場所IDデータ「A0001」と共に「お遍路セット」の画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータを、ゲームプログラムメモリ22より読み出して携帯電話10に送信する。これと共に、ゲーム制御部25は、「A0001」の「お遍路セット」を端末IDデータ「09012345678」に関連付けてゲーム管理データベース23を更新する。」と記載されていることから、アイテムデータは、画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータであること。
g 上記(ア)jの【0067】において、譲渡先の携帯電話に送信する「画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータ」は、上記(ア)jの【0063】に記載の「譲渡するアイテムデータ」であることは明らかであること、また、上記(ア)jの【0067】には、「そして、ゲームサーバ20のゲーム制御部25は、通信I/F21より、譲渡先となる端末IDデータ「09087654321」の携帯電話10に、場所IDデータ「A0001」と共に「お遍路セット」の画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータを、ゲームプログラムメモリ22より読み出して携帯電話10に送信する。」と記載されていることからすれば、上記e及びfの説示も踏まえれば、譲渡先となる携帯電話10は、ゲームサーバ50から譲渡するアイテムデータを受信することは明らかであること。
(ウ)引用発明1について
上記(ア)及び(イ)の事項から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ユーザ個人が管理する携帯端末である携帯電話10と、携帯電話10との間で通信を行うゲームサーバ50とを備えるデータ処理システム40のデータ処理方法であって、
ゲームサーバ50は、
経度緯度で定義された所定の領域が関連付いた1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータを関連付けるとともに、時間管理IDデータそれぞれに時間(時刻)の定義とアイテムデータが関連付けて記憶し、
携帯電話10は、
現在の位置データと時刻データをゲームサーバ50に送信し、
ゲームサーバ50は、
携帯電話10から送信された現在の位置データ及び時刻データを受信し、
受信した位置データに対応する場所IDデータを特定するとともに、特定された場所IDデータ及び受信した時刻データに対応する時間管理IDデータ、及び、当該時間管理IDデータに関連づけられ、画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータであるアイテムデータを特定し、
特定されたアイテムデータを携帯電話10に送信すると共に、携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け、
携帯電話10は、
特定されたアイテムデータを受信し、携帯電話10のユーザは、受信したアイテムデータを取得したことを知ることができ、
携帯電話10は、
譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを送信し、
ゲームサーバ50は、
譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを受信し、
譲渡するアイテムデータを、譲渡先となる携帯電話10に送信し、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータに譲渡するアイテムデータを関連付けると共に、譲渡元の端末IDデータより譲渡するアイテムデータの関連付けを解除し、
譲渡先となる携帯電話10は、
ゲームサーバ50から譲渡するアイテムデータを受信する、
データ処理方法。」
イ 引用文献2について
(ア)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された本願の国際出願日前である2016年(平成28年)8月20日に頒布された刊行物である、「現実世界を歩いてポケモンと出会う全世界注目のVRを体験しよう,『Pokemon GO』トレーナーズBOOK,株式会社KADOKAWA,2016年8月20日,電撃Nintendo 2016年10月号付録,第2~24頁」(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
a 「実際にお出かけしてポケモンを集めよう」(p.3中央の画像の左下の記載)
b 「『ポケットモンスター』のゲーム内に入り込んだような感覚が味わえるアプリに大注目!」(上記aの下の記載)
c 「『ポケモンGO』の基礎知識」(p.6のタイトル部分)
d 「スマホを使い現実世界を歩いて遊ぶゲーム」(p.6のタイトル部分の下の記載)
e 「プレイヤーは現実世界のいろいろな場所を歩き、見つけたポケモンを捕まえていくことになる。また、集めたポケモンを使ってジムでのバトルも楽しめる。」(上記dの左下の記載)
f 「ポケモンを集めて…」「<|(黒い左向きの三角形を「<|」とする。以下同様。)現れたポケモンにモンスターボールを投げて捕まえよう。捕まえたポケモンはニックネームを付けたり、育成することができる。」(上記dの右下の画像についての説明)
g 「歩く プレイヤーが実際に歩いて冒険する」(p.7のタイトル部分)
h 「スマホの位置情報(GPS)機能を使い、プレイヤーが歩くことで画面のトレーナーも動く。現実世界で実際にプレイヤーが冒険しながらポケモンを探す、ポケモントレーナーの気分を体験できるゲームとなっている。」(上記gの左下の記載)
i 「収集 マップ上に隠れているポケモンを探す!」(p.8のタイトル部分)
j 「移動しているとポケモンが出現する。ポケモンが近くに現れると、振動と音で教えてくれるので、歩きながらスマホを見る必要はない。その後、マップ上のポケモンをタップするとポケモンと遭遇し、モンスターボールを投げて捕まえることができる。」(上記iの左下の記載)
k 「歩いているとポケモンが出現!」「|>(黒い右向きの三角形を「|>」とする。以下同様。)歩いていると、近くにポケモンが現れることがある。時間が経つといなくなるので、ポケモンが現れたらすぐにタップをしておこう。」(p.8上部左側の画像の説明)
l 「ボールにポケモンが入れば捕まえられる!」「|>ポケモンがモンスターボールに入れば捕まえられる。失敗すると、そのままポケモンが逃げることもある。」(p.8上部右側の画像の説明)
(イ)引用文献2に記載の事項
上記(ア)より、引用文献2には、「スマホの位置情報(GPS)機能を使い、プレイヤーが歩くことで画面のトレーナーも動き、移動していると、時間が経つといなくなるポケモンが出現し、マップ上のポケモンをタップするとポケモンと遭遇し、モンスターボールを投げてポケモンがモンスターボールに入れば、ポケモンを捕まえることができる、『ポケモンGO』のゲームアプリ。」が記載されていると認められる。
ウ 引用文献3について
(ア)引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された本願の国際出願日前である2016年(平成28年)10月1日に頒布された刊行物である「友人に遅れをとるな! ポケモンGOの常識,ゲームラボ No.254,株式会社三才ブックス,2016年10月1日,2016年10月号,第50~55頁」(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
a 「ポケモン出現の法則」(p.052上部のタイトル)
b 「野生出現ポケモンは2種類」「野生で出現するポケモンは大きく2種類に分けられる。」「丸囲み1(以下、丸囲み数字を「丸囲み1」のように表記する。以下同様。)自然に出現するポケモン」「丸囲み2「ルアーモジュール」や「おこう」の仕様によって出現するポケモン」(上記aの下部の記載)
c 「ポケソースとは」(p.052中央部のサブタイトル)
d 「野生のポケモンのうち、丸囲み1の自然に出現するポケモンは常に決まった場所に出現し、その出現場所は“ポケソース”と呼ばれている。ポケソースのポケモンはぴったり1時間ごとに出現し、12~15分程度その場所にとどまる。通勤・通学時など、毎日同じ時間の同じ場所にポケモンが出現するのは、そこにポケソースが存在するからである。」「出現するポケモンはポケソースごとに複数体設定されていて、その中からランダムで抽選される。なお、ポケモンの巣と呼ばれる場所にあるポケソースは特定のポケモンが出現する確率が高く設定されているため、他のポケソースとは出現するポケモンが異なる。」(上記cの下部の記載)
e 「ポケモン巣のポケモンは弱い」(p.054上部のタイトル)
f 「レアポケモンを大量にゲットできる場所としておなじみの“ポケモンの巣”。普段の生活圏ではなかなか捕まえられないポケモンをたくさん捕獲できるのはありがたいことだが、トレーナーの間では「ポケモンの巣で捕まえたポケモンは弱い」という噂がまことしやかに流れている。ポケモンの巣で捕まえたポケモンはどのくらい弱いのであろうか? 実際に調べてみた。」(上記eの下部の記載)
(イ)引用文献3に記載の技術事項
上記(ア)より、引用文献3に記載の「ポケモンGO」は、“ポケソース”と呼ばれているポケモンの出現場所において出現するポケモンは、ポケソースごとに複数体設定されていて、その中からランダムで抽選され、ポケモンの巣と呼ばれる場所にあるポケソースは特定のポケモンが出現する確率が高く設定され、ポケモンの巣では、ポケモンを捕獲できるものであって、「ポケソースごとに複数体設定されていて、その中からランダムで抽選され」ること、及び、「出現する確率」が「設定され」るものであることからすれば、引用文献3には、「現実の場所に対応したポケソースと関連付けて複数体設定されたゲーム媒体であるポケモンそれぞれに出現する確率が設定され、設定された確率に基づいて抽選されたポケモンを出現、すなわち、表示させる」という技術事項が記載されていると認められる。
(4)当審における判断
ア 本願補正発明11について
上記(2)ア(ア)~(ウ)で説示したように、本願補正発明11は明確でないが、ゲーム実行方法として、
(ア)コンピュータ装置が「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体」を「当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与」するステップと、
(イ)コンピュータ装置が「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体」を「当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与」した後で、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信」するステップと、
(ウ)前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記付与情報を受信するステップと、
(エ)前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示するステップと、
があることを前提として、本願補正発明11の「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する」という手順が特定されているものであると善解した上で、以下検討を行う。
イ 対比
本願補正発明11と引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明1の「ユーザ個人が管理する携帯端末である携帯電話10」は、ユーザがプレイヤとしてゲームを実行するために操作する端末であるから、本願補正発明11の「プレイヤ端末」に相当する。
(イ)引用発明1の「ゲームサーバ50」、「データ処理システム40」は、本願補正発明11の「コンピュータ装置」、「ゲームシステム」に相当する。また、引用発明1の「データ処理システム40のデータ処理方法」は、「ゲームサーバ50」と「携帯電話10」とで実現されるゲームシステムにおいてゲームを実行する際に行われるデータ処理方法であることは明らかであるから、引用発明1の「データ処理システム40のデータ処理方法」は、本願補正発明11の「ゲームシステムにおいて実行されるゲーム実行方法」に相当する。
(ウ)引用発明1の「経度緯度で定義された所定の領域が関連付いた1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータが関連付けられているとともに、複数の時間管理IDデータには、それぞれに時間(時刻)の定義とアイテムデータが関連付けられているアイテム管理データベース24」について、引用発明1の「経度緯度で定義された所定の領域」は、本願補正発明11の「現実世界における領域」に相当する。
(エ)引用発明1の「経度緯度で定義された所定の領域が関連付いた1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータが関連付けられているとともに、複数の時間管理IDデータには、それぞれに時間(時刻)の定義とアイテムデータが関連付けられているアイテム管理データベース24」について、1つの場所IDデータに対して、複数のアイテムデータが関連づけられているものであることを踏まえれば、引用発明1の「アイテム管理データベース24」において、1つの場所IDデータに対して関連づけられている複数の「アイテムデータ」は、本願補正発明11の「現実世界における領域と関連付け」られている「複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報」に相当する。
(オ)引用発明1のゲームサーバ50が「経度緯度で定義された所定の領域が関連付いた1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータを関連付けるとともに、時間管理IDデータそれぞれに時間(時刻)の定義とアイテムデータが関連付けて記憶し、」は、上記(ウ)及び(エ)の説示も踏まえれば、一つの「経度緯度で定義された所定の領域」に関連付けて、複数の「アイテムデータ」を記憶する手順を特定していることは明らかであるから、本願補正発明11の「複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶ステップ」に相当する。
(カ)引用発明1の「携帯電話10から送信された現在の位置データ及び時刻データを受信し、」は、ゲームサーバ50が、少なくとも現在の携帯電話10の位置データを受信しているものであるといえるから、引用発明1の「携帯電話10から送信された現在の位置データ及び時刻データを受信し、」は、本願補正発明11の「プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信ステップ」に相当する。
(キ)引用発明1の「現在の位置データと時刻データをゲームサーバ50に送信し、」は、携帯電話10が、少なくとも現在の携帯電話10の位置データをゲームサーバ50に送信していることから、引用発明1の「現在の位置データと時刻データをゲームサーバ50に送信し、」は、本願補正発明11の「プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報をコンピュータ装置に送信する位置情報送信ステップ」に相当する。
(ク)引用発明1の「特定されたアイテムデータを携帯電話10に送信する」について、送信する「アイテムデータ」は、上記(エ)の説示も踏まえれば、受信した位置データに対応して特定された、経度緯度で定義された所定の領域が関連付いた場所IDデータに関連づけられたものであって、受信した位置データが示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体に関する情報であるといえることから、本願補正発明11の「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップ」と、引用発明1の「特定されたアイテムデータを携帯電話10に送信する」とは、「受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップ」の点で一致する。
(ケ)引用発明1の携帯電話10が「特定されたアイテムデータを受信し、」について、上記(ク)の説示を踏まえれば、引用発明1の携帯電話10が「アイテムデータを受信し、」と、本願補正発明11の「プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をコンピュータ装置から受信するゲーム媒体群情報受信ステップ」とは、「プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応するゲーム媒体に関する情報をコンピュータ装置から受信する」ものである限りにおいて一致する。
(コ)引用発明1の携帯電話10が「特定されたアイテムデータを受信し、携帯電話10のユーザは、受信したアイテムデータを取得したことを知ることができ」るものである以上、受信したアイテムデータを取得した、ということを携帯電話10のユーザが知ることができるように、携帯電話10が受信した「アイテムデータ」を表示することは当業者にとって自明の事項であるから、本願補正発明11の「ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップ」と、引用発明1の「特定されたアイテムデータを受信し、携帯電話10のユーザは、受信したアイテムデータを取得したことを知ることができ、」とは、「ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体を表示する」点で一致する。
(サ)引用発明1のゲームサーバ50が「携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け」ることは、携帯電話10を所持するユーザにアイテムデータを付与することを意味することは明らかであること、及び、上記(コ)の説示を踏まえれば、付与するアイテムデータは携帯電話10に表示されたアイテムデータであるといえることから、本願補正発明11の「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、」と、引用発明1のゲームサーバ50が「携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け」ることとは、「表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された」という点で一致する。
(シ)引用発明1の「ゲームサーバ50は、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを受信し、譲渡するアイテムデータを、譲渡先となる携帯電話10に送信し、」における「譲渡先となる携帯電話10」は、ゲームサーバ50が受信する、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータの送信元である携帯電話10とは異なる携帯電話であることは明らかであるから、引用発明1の「譲渡先となる携帯電話10」は、本願補正発明11の「当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)」に相当するものと言い得る。
(ス)引用発明1の「携帯電話10は、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを送信し、ゲームサーバ50は、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを受信し、譲渡するアイテムデータを、譲渡先となる携帯電話10に送信し、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータに譲渡するアイテムデータを関連付けると共に、譲渡元の端末IDデータより譲渡するアイテムデータの関連付けを解除し、」について、携帯電話10が、「譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを送信」することができるのは、「携帯電話10より受信した端末IDデータに新たにアイテムデータを関連付け」た場合、すなわち、上記(サ)で説示したように、携帯電話10に表示されたアイテムデータが付与された場合であることは明らかである。
また、上記(サ)の説示も踏まえれば、譲渡先となる携帯電話10に送信する「譲渡するアイテムデータ」は、譲渡先となる携帯電話10のユーザに付与するものであって、譲渡先となる携帯電話10のユーザに付与するための情報であることは明らかである。
してみれば、上記(シ)の説示も踏まえれば、本願補正発明11の「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、」と、引用発明1の「ゲームサーバ50は、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータと譲渡するアイテムデータを受信し、譲渡するアイテムデータを、譲渡先となる携帯電話10に送信し、譲渡先となる携帯電話10の端末IDデータに譲渡するアイテムデータを関連付けると共に、譲渡元の端末IDデータより譲渡するアイテムデータの関連付けを解除し、」とは、「前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤに」「付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、」の点で一致する。
(セ)上記(ア)ないし(ス)から、本願補正発明11と引用発明1とは、以下の点で一致する。
[一致点]
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と、プレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置とを備えるゲームシステムにおいて実行されるゲーム実行方法であって、
コンピュータ装置において、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信ステップと、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップと
を含み、
プレイヤ端末において、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報をコンピュータ装置に送信する位置情報送信ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応する情報をコンピュータ装置から受信するステップと、
を有し、
前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤに付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信する
ゲーム実行方法。」
(ソ)そして、本願補正発明11と引用発明1とは、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明11が、コンピュータ装置において、「ゲーム媒体群に関する情報として、各ゲーム媒体の出現確率を記憶し、」「前記出現確率が含まれて」いる「ゲーム媒体群に関する情報」をプレイヤ端末に送信し、プレイヤ端末において、「ゲーム媒体群に関する情報」を受信し、「受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する」のに対し、引用発明1は、ゲームサーバ50が、「特定された場所IDデータ及び受信した時刻データに対応する時間管理IDデータ、及び、当該時間管理IDデータに関連づけられ、画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータであるアイテムデータ」を特定し、「特定されたアイテムデータを携帯電話10に送信」し、携帯電話10が「アイテムデータを受信する」点。
[相違点2]
本願補正発明11は、ゲーム媒体がプレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」を他のプレイヤ「にも」付与するための情報を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末に送信するのに対し、引用発明1は、譲渡するアイテムデータを受信した場合、「譲渡するアイテムデータ」を譲渡先の携帯電話10に送信するものであるが、「譲渡するアイテムデータ」が、本願補正発明11における他のプレイヤ「にも」付与するための「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」に相当するか否かは不明である点。
[相違点3]
本願補正発明11は、プレイヤ端末が、「前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する」のに対し、引用発明1は、譲渡先となる携帯電話10が譲渡するアイテムデータを受信するものの、譲渡するアイテムデータを表示しているのか否かが不明である点。
ウ 判断
上記相違点1ないし3について、以下に検討する。
(ア)[相違点1]について
a 上記(3)ウ(イ)に説示したとおり、引用文献3には、「現実の場所に対応したポケソースと関連付けて複数体設定されたゲーム媒体であるポケモンそれぞれに出現する確率が設定され、設定された確率に基づいて抽選されたポケモンを出現、すなわち、表示させる」という技術事項が記載されていると認められる。
b そして、引用文献3の「ポケモンGO」が、スマホの位置情報(GPS)機能を使い、プレイヤーが歩くことで画面のトレーナーも動き、移動していると、時間が経つといなくなるポケモンが出現し、マップ上のポケモンをタップするとポケモンと遭遇し、モンスターボールを投げてポケモンがモンスターボールに入れば、ポケモンを捕まえることで、プレイヤーがポケモンを集めることができるゲームアプリであることは一般によく知られていることであって、例えば引用文献2からもその点が裏付けられるものである。
c ここで、引用文献1には、発明の効果として、「本発明によれば、携帯端末の現在の位置データに対応するアイテムデータを、位置データを送信した携帯端末の端末IDデータと関連付け、当該携帯端末のユーザのものになるようにしている。したがって、携帯端末のユーザが赴く先々で携帯端末を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができる。したがって、携帯端末で行うゲームの娯楽性を高めることができる。」(【0010】)と記載されていることから、引用発明1は、携帯端末のユーザが赴く先々で携帯端末を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができるゲームであるといえる。
また、引用文献3に記載の「ポケモンGO」も、上記bで説示したように、スマホの位置情報(GPS)機能を使い、プレイヤーが歩くことで画面のトレーナーも動き、移動していると、時間が経つといなくなるポケモンが出現し、マップ上のポケモンをタップするとポケモンと遭遇し、モンスターボールを投げてポケモンがモンスターボールに入れば、ポケモンを捕まえることで、プレイヤーがポケモンを集めることができるものであって、携帯端末であるスマホのプレイヤーが移動しているときに、プレイヤーのいる場所に関連したポケモンが出現し、モンスターボールを投げてポケモンを捕まえるというゲームをすると、ポケモンを集めることができるゲームであるといえることから、引用発明1のゲームと、引用文献3に記載の「ポケモンGO」とは、「携帯端末のユーザが赴く先々で携帯端末を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができるゲーム」の点で共通するものと認められる。
d また、引用発明1は、「経度緯度で定義された所定の領域が関連付いた1つの場所IDデータに対して複数の時間管理IDデータを関連付けるとともに、時間管理IDデータそれぞれに時間(時刻)の定義とアイテムデータが関連付けて記憶し」ていることから、同じ場所であっても、「ユーザが取得するアイテムデータは、ゲームをする時間によって異なるものとなる」ため、「携帯電話10で行うゲームの娯楽性を高めることができる」(引用文献1の【0075】)ものであるから、一の場所に関連付けられている複数のアイテムデータから一のアイテムデータを所定の条件で選択することによって、ゲームの娯楽性を高めているものといえる。
そして、引用文献3に記載の「ポケモンGO」も、「現実の場所に対応したポケソースと関連付けて複数体設定されたゲーム媒体であるポケモンそれぞれに出現する確率が設定され、設定された確率に基づいて抽選されたポケモンを出現、すなわち、表示させる」ものであるため、一の場所に関連付けられている複数のポケモンから所定の条件で一のポケモンを選択することによって、同じ場所であっても出現するポケモンが異なることとなり、それによりゲームの娯楽性が高まることも当業者にとって自明の事項である。
e してみれば、引用発明1と引用文献3に記載の「ポケモンGO」は、「携帯端末のユーザが赴く先々で携帯端末を用いてゲームをすると、今いる場所に関連したアイテムデータを取得することができるゲーム」である点で共通するとともに、いずれも、一の場所に関連付けられている複数のアイテムから一のアイテムを所定の条件で選択することによって、ゲームの娯楽性を高めるという同種の作用・効果を奏する点でいずれも共通するものであること、を踏まえれば、引用発明1において、一の所定の領域に関連付けられた複数のアイテムデータのうちの一つを選択するための所定の条件として、引用発明1のように、時刻を採用するか、あるいは、引用文献3のように、出現する確率を採用するかは、必要に応じて選択し得る程度の設計的事項にすぎない。
また、そのような構成を採用する場合、サーバ(ゲーム端末)とクライアント(携帯電話)から構成されるゲームシステムにおいて、ゲームに係る処理の主体が、サーバとクライアントのいずれであってもよいことは、文献を例示するまでもなく広く知られている周知の技術常識であることを踏まえれば、場所IDデータとアイテムデータの出現する確率に関するデータを記憶する処理と、位置データとアイテムデータの出現する確率に応じてアイテムデータを特定する処理とを、ゲームサーバ50と携帯電話10のいずれでそれぞれ実行するかは、ゲームサーバ50と携帯電話10の処理能力、送受信されるデータ容量などを勘案して、当業者が適宜選択しうる設計的要素というべきである。
そして、場所IDデータとアイテムデータの出現する確率に関するデータを記憶する処理をゲームサーバ50で実行し、位置データとアイテムデータの出現する確率に基づいてアイテムデータを特定する処理を、携帯電話10で実行するよう設計した場合は、特定した場所IDデータに関連付けられたアイテムデータの出現する確率に関するデータを含むアイテムデータをゲームサーバ50から携帯電話10に送信する処理が行われる必要があることは、技術常識に照らせば明らかであるから、当業者であれば、当然採用すべき技術事項であるというべきである。
してみると、引用発明1において、引用文献3に記載されている技術事項を適用して上記相違点1に係る本願補正発明11の構成のようにすることは当業者が容易に想到し得るものである。
(イ)[相違点2]について
本願補正発明11では、「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与する」と特定されているところ、この特定は、「プレイヤに付与されたゲーム媒体」を「他のプレイヤ」にも「付与する」ことが特定されるにとどまるから、当該特定からは、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与」した際に、当該プレイヤが依然としてそのゲーム媒体を保持しているか否かについてまで特定されているとは解されない。
そして、請求項11に記載されたその他の発明特定事項においては、他のプレイヤに「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」を付与する場合に、「当該プレイヤ」が「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」を保持し続けるか否かについては何ら特定されていないことから、本願補正発明11においては、他のプレイヤに「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」を付与する場合に、「当該プレイヤ」が「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」を保持しない、いわゆるゲーム媒体を譲渡する場合についても排除されていないものと解するのが相当である。そして、上記(3)ア(ア)iの【0061】、【0064】及び【0066】、並びに、上記(3)ア(ア)jの【0074】及び【0075】の記載からすれば、引用発明1は、譲渡元となる携帯電話10のユーザが取得した「譲渡するアイテムデータ」を、譲渡の完了によって、譲渡先となる携帯電話10のユーザが取得するものであるから、引用発明1の「譲渡するアイテムデータ」は、本願補正発明11における他のプレイヤ「にも」付与するための「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体」に相当するものといえるから、上記相違点2は実質的な相違点とはいえない。
仮に、本願補正発明11における「「当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与する」との特定が「他のプレイヤ」にもゲーム媒体を付与した後においても、当該プレイヤがそのゲーム媒体を保持することが特定されていると解することができるとしたとしても、そのように解した場合の上記相違点2は、以下のとおり当業者が容易になし得たことにすぎない。
すなわち、ユーザがアイテムを取得することを可能とするゲームにおいて、「一のユーザがアイテムを取得した場合に、他のユーザに対して、当該一のユーザが取得したアイテムを取得可能であることの通知を行うとともに、前記通知を当該他のユーザの端末の画面に表示する」という技術は、本願の国際出願日前である平成24年2月23日に頒布された刊行物である特開2012-38150号公報(以下、「引用文献4」という。)の【0006】-【0009】、【0143】-【0147】、図10、及び、本願の国際出願日前である平成27年6月25日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-116413号公報(以下、「引用文献5」という。)の【請求項1】、【請求項5】、【請求項7】、【請求項8】、【0118】、図6に示されるように、本願の国際出願日前における周知の技術(以下、「周知技術」という。)であったと認められる。
そして、ゲーム媒体を譲渡する構成を有する引用発明1と上記周知技術が、いずれも、一のユーザがアイテムを取得した場合に、そのアイテムを他のユーザが取得することを可能としている点で共通する同種の作用・効果を奏するものであることからすれば、引用発明1において、携帯電話10のユーザがゲームアイテムを取得した際に、取得したゲームアイテムを他の携帯電話10のユーザでも取得可能とするために、引用発明1のように、携帯電話10のユーザが取得したゲームアイテムを他の携帯電話10のユーザに譲渡可能な構成とするか、上記周知技術のように、携帯電話10のユーザが取得したゲームアイテムを他の携帯電話10のユーザでも取得可能であることの通知を行い、前記通知を他の携帯電話10のユーザの携帯電話10に表示するかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る程度の設計的事項にすぎないから、引用発明1において、上記周知技術を適用することで、上記相違点2に係る本願補正発明11の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)[相違点3]について
引用発明1の「アイテムデータ」は、「画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータ」であって、譲渡先の携帯電話10が、譲渡するアイテムデータを受信することで、譲渡先の携帯電話10のユーザが「アイテムデータを取得することができ」(引用文献1の【0068】)るものであることからすれば、引用発明1において、携帯電話10において、受信した画像データ等で構成されたアイテムの実際のデータであるアイテムデータを「表示」させることは、引用発明1において当業者にとって記載されているに等しい事項であるといえるから、上記相違点3は実質的な相違点とは言えないか、少なくとも、当該記載されているに等しい技術事項に基づいて、引用発明1において、上記相違点3のように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。
(エ)効果について
そして、本願補正発明11の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1、引用文献3に記載の技術事項及び周知技術から、当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(オ)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、審判請求書において、「1.引用文献1には、ユーザ間でアイテムデータを交換すること、具体的には携帯電話が、ゲームの処理中において、譲渡要求データと共に、譲渡先となる携帯電話の端末IDデータと譲渡するアイテムデータ又はアイテムのIDをゲームサーバ20に送信することが記載されているだけである。2.すなわち、引用文献1には、ユーザが所有するアイテムを他ユーザに譲渡することだけが開示されており、ユーザに付与されたアイテムを、譲渡の目的でなく他ユーザに表示することについては、示唆すらされていない。3.また、引用文献2,3にも、上記ユーザに付与されたアイテムを他ユーザに表示することについて、示唆すらされていない。4.一方、本願発明は、プレイヤに付与されたゲーム媒体を他プレイヤの端末に譲渡するのではなく、プレイヤに付与されたゲーム媒体と同じゲーム媒体を他プレイヤの端末でも付与可能に表示する構成であることが明確になっている。5.そして、プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するために表示する構成を備えることで、本願発明は、ゲーム媒体の出現方法のバリエーションを増やすことができるようになる。6.よって、引用文献1-3の記載から本願発明を構成することは、当業者が容易に想到し得えたものではないと思料する。」と主張している。
しかしながら、上記(イ)でも検討したように、そもそも、本件補正発明11において、「譲渡」を明示的に排除するものであるとは解されないこと、また、仮にそのように解せるとしても、ユーザに付与されたアイテムを譲渡の目的ではなく他ユーザに表示することは周知の技術にすぎないから、審判請求人の主張は採用できない。
(カ)小括
したがって、本願補正発明11は、引用発明1及び引用文献3に記載の技術事項、若しくは、引用発明1、引用文献3に記載の技術事項及び上記周知技術に基いて、国際出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
また、仮に本件補正1及び2が、同法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると解したとしても、本件補正1及び2による本件補正後の請求項11及び12に係る発明は、独立して特許を受けることができないものであるから、やはり、本件補正は、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和1年9月6日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項11に係る発明(以下「本願発明11」という。)は、前記第2[理由]1(1)アに記載したとおりの以下のものである。
「プレイヤにより操作されるプレイヤ端末と、プレイヤ端末と通信により接続可能なコンピュータ装置とを備えるゲームシステムにおいて実行されるゲーム制御方法であって、
コンピュータ装置において、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群に関する情報を、現実世界における領域と関連付けて記憶する記憶ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報を受信する受信ステップと、
受信した位置情報が示す位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をプレイヤ端末に送信する送信ステップと
を含み、
前記記憶ステップにおいて、ゲーム媒体群に関する情報として、ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率を記憶し、
前記送信ステップにおいて送信するゲーム媒体群に関する情報に、前記出現確率が含まれており、
プレイヤ端末において、
プレイヤ端末の現実世界における位置に関する位置情報をコンピュータ装置に送信する位置情報送信ステップと、
プレイヤ端末の現実世界における位置が属する領域に対応するゲーム媒体群に関する情報をコンピュータ装置から受信するゲーム媒体群情報受信ステップと、
ゲーム媒体群情報受信ステップで受信したゲーム媒体群に関する情報に含まれる前記出現確率に基づいて、ゲーム媒体群を構成する1以上のゲーム媒体を表示する表示ステップとを含むゲーム制御方法。」
2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、以下の(1)及び(2)の理由を含むものである。
[理由1]
本願発明11は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
[理由2]
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1、2及び3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
[理由1]について
請求項11には「ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率」と記載されている。
しかし、上記記載より前には、ゲーム媒体群が、「複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群」と特定されているので、上記記載によって、出現確率が、どのように設定されることとなるのか明確ではない。
なお、上記記載について、明細書等で説明されている部分もない。
よって、請求項11に係る発明は明確でない。
[理由2]について
引用文献1:特開2012-24416号公報
引用文献2:現実世界を歩いてポケモンと出会う全世界注目のVRを体験しよう,『Pokemon GO』トレーナーズBOOK,株式会社KADOKAWA,2016年8月20日,電撃Nintendo 2016年10月号付録,第2~24頁
引用文献3:友人に遅れをとるな! ポケモンGOの常識,ゲームラボ No.254,株式会社三才ブックス,2016年10月1日,2016年10月号,第50~55頁
3 当審の判断について
(1)特許法第36条第6項第2号に規定する要件について
請求項11には「ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体毎に設定された出現確率」と記載されているが、当該記載より前には、ゲーム媒体群が、「複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群」と特定されているので、上記記載によって、出現確率が、どのように設定されることとなるのか明確ではない。
具体的には、出現確率が、「ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体」の単位、すなわち、「複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体群」の単位で設定されるのか、「ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体」を構成するそれぞれのゲーム媒体の単位で設定されるのかが明確ではない。
してみると、請求項11に係る発明は、明確でない。
よって、請求項11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)特許法第29条第2項に規定する要件について
ア 引用文献について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2及び3は、それぞれ前記第2の[理由]3(3)ア、イ及びウに記載した引用文献1、2及び3と同一であり、その記載事項は、それぞれ前記第2の[理由]3(3)ア(ア)及び(イ)、イ(ア)及び(イ)、並びに、ウ(ア)及び(イ)において摘示及び認定したとおりであり、引用発明1は、同(ウ)において認定したとおりである。
イ 対比・判断
本願発明11は、上記3で指摘したように明確でないが、明細書【0074】の記載を参酌して、出現確率が「ゲーム媒体群を構成する複数のゲーム媒体」を構成するそれぞれのゲーム媒体の単位で設定されるものであると解すれば、前記第2の[理由]3(3)で検討した本願補正発明11から、「前記送信ステップでは、前記表示ステップにて表示されたゲーム媒体が当該プレイヤ端末を操作するプレイヤに付与された場合、当該プレイヤに付与されたゲーム媒体を他のプレイヤにも付与するための情報(以下「付与情報」という。)を、当該プレイヤ端末とは異なるプレイヤ端末(以下「第2端末」という。)に送信し、前記プレイヤ端末が前記第2端末として機能する場合、前記表示ステップでは、受信した前記付与情報に基づいて前記ゲーム媒体を表示する」という限定を省いたものに相当すると認められる。
そうすると、本願発明11と引用発明1とを対比したとき、上記相違点1のみで相違し、その余の点で一致する。
そして、上記相違点1については、前記第2[理由]3(4)ウ(ア)で検討した理由と同様の理由により、引用発明1において、引用文献3に記載されている技術事項を適用して上記相違点1に係る本願発明11の構成のようにすることは当業者が容易に想到し得るものである。
よって、本願発明11は、引用発明1及び引用文献3に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明11は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもあるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-006758