特許拒絶査定不服審判
2024-007829
遊技機
- 審判番号
- 2024-007829
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-073236
- 請求日
- 2024年05月10日
- 審決日
- 2025年02月03日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三洋物産
- 【請求人代理人】山田 強
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 酒井 保
- 審判官 澤田 真治
- 分類
- P18 .57 -Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .55 -Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第126条、特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第36条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-73236「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和4年6月23日出願公開、特開2022-93476〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月17日に出願された特願2018-235627の一部を分割して、令和4年4月27日に新たな特許出願(特願2022-73236)としたものであって、本願出願後の手続の経緯の概略は次のとおりである。
令和5年 6月 5日付け:拒絶理由通知書(最初)
8月 9日 :意見書、手続補正書の提出
10月11日付け:拒絶理由通知書(最後)
12月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 2月 2日付け:補正の却下の決定、拒絶査定(以下「原査 定」という。)
2月13日 :原査定の謄本の送達
5月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年5月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年5月10日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
令和6年5月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和5年8月9日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に、
(本件補正前)
「【請求項1】
複数種の絵柄が周方向に付された複数の周回体と、
各前記周回体について一部の絵柄を視認可能とする表示部と、
操作された場合に各前記周回体の周回が開始される始動操作手段と、
操作された場合に各前記周回体の周回が停止される停止操作手段と、
前記始動操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を開始させ、前記停止操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を停止させる駆動制御手段と、
前記始動操作手段の操作に基づき、遊技者に特典を付与するか否かの抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果が所定結果である場合、前記所定結果に対応する特典を付与可能な特典付与手段と、
を備える遊技機であって、
前記抽選手段による抽選結果として、前記停止操作手段が第1の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第1結果と、前記停止操作手段が前記第1の操作態様とは異なる第2の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第2結果と、を有し、
前記抽選手段による抽選結果に基づいて、前記停止操作手段の操作態様に関する態様報知を実行可能な態様報知実行手段を備え、
前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態が設定されており、
所定の条件が成立した場合、前記特定状態を終了させることが可能な手段と、
前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。」
とあったものを、
(本件補正後)
「【請求項1】
複数種の絵柄が周方向に付された複数の周回体と、
各前記周回体について一部の絵柄を視認可能とする表示部と、
操作された場合に各前記周回体の周回が開始される始動操作手段と、
操作された場合に各前記周回体の周回が停止される停止操作手段と、
前記始動操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を開始させ、前記停止操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を停止させる駆動制御手段と、
前記始動操作手段の操作に基づき、遊技者に特典を付与するか否かの抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果が所定結果である場合、前記所定結果に対応する特典を付与可能な特典付与手段と、
を備える遊技機であって、
前記抽選手段による抽選結果として、前記停止操作手段が第1の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第1結果と、前記停止操作手段が前記第1の操作態様とは異なる第2の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第2結果と、を有し、
前記抽選手段による抽選結果に基づいて、前記停止操作手段の操作態様に関する態様報知を実行可能な態様報知実行手段を備え、
前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態が設定されており、
所定の場合に、前記特定状態を終了させることが可能な手段と、
前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段と、
前記所定の条件を保持している状態で前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする所定状況を生じさせる手段と、
を備え、
前記所定の条件が成立することなく前記特定状態が終了した場合は、前記所定状況が生じないことを特徴とする遊技機。」
とする補正を含むものである(下線は補正箇所を示すために当審合議体が付した。)。
2 本件補正の適否
(1) 本件補正の目的について
ア 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定の条件が成立した場合、前記特定状態を終了させることが可能な手段」を、「所定の場合に、前記特定状態を終了させることが可能な手段」とする補正を含んでいるところ、この補正によれば、補正前には「所定の条件が成立した場合」に「前記特定状態を終了させる」ことが可能な手段として特定されていたものが、補正後には「所定の条件が成立した場合」に限られることなく「前記特定状態を終了させる」ことが可能なものが含まれることになるから、特許請求の範囲を拡張するものであり、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
もっとも、他の補正事項と相俟って実質的に特許請求の範囲を減縮しているといえる場合もあるが、本件補正により追加された「前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段」などの補正事項をみても、「前記特定状態を終了させる」手段に関するものではないし、その他、補正後の「所定の場合」を限定していると認められる根拠も見いだせないから、補正前の「所定の条件が成立した場合、前記特定状態を終了させることが可能な手段」を限定したものとみることはできない。
イ なお、本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする手段」について、「前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段と、前記所定の条件を保持している状態で前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする所定状況を生じさせる」「手段」として限定し、さらに、「前記所定の条件が成立することなく前記特定状態が終了した場合は、前記所定状況が生じない」を追加して限定することを含むものであるところ、当該補正が、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当するとしても、上記アで指摘した、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない補正を含むという瑕疵は治癒されるものではない。
ウ したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
(2) 独立特許要件について
ア 上記(1)で検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反し認められないが、上記(1)イで示した補正については、特許請求の範囲を減縮するものと一応認められる。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について、付加的に検討しておく。
イ 本願補正発明の「前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段」との記載における「所定の条件」について、「条件」とは「ある物事の成立または生起のもととなることがらのうち、それの直接の原因ではないが、それを制約するもの」(広辞苑第6版)を意味するところ、上記「所定の条件」が、いかなる事象の生起のもととなるものであるのか、また、かかる事象の生起をどのように制約するものであるのか不明確である。そして、「所定の条件」がどのようなものであるのかが不明確であるから、「当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持する」との記載における「所定の条件が成立した状態」がどのような態様で「保持される」のかが理解できないし、「前記所定の条件を保持している」との記載もあるところ、「所定の条件が成立した状態」が「保持」されることと「所定の条件」が「保持」されることとがどのように区別されるものであるのかも理解できない。さらに、本願補正発明において「生じさせる」「所定状況」が「所定の条件が成立した状態」や「所定の条件」とどのような関係にあるのかが理解できないし、「所定状況」との記載では、いかなるタイミングにおいてどのような態様で生じるものであるのかが理解できない。
以上のとおり、本願補正発明においては、「所定の条件」や「所定状況」の意味するところが理解できず、本願補正発明は明確でないから、特許法36条6項2号の規定に違反するものである。
ウ したがって、本件補正が仮に特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は特許法126条7項の規定を準用する同法17条の2第6項の規定に違反し、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
(3) 新規事項について
ア 上記(1)、(2)に示したとおり、本件補正は却下すべきものであるが、上記(1)イで示した補正、すなわち、本件補正により、請求項1に追加されることとなる「前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段」(以下「状態の保持に係る補正事項」という場合がある。)、「前記所定の条件を保持している状態で前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする所定状況を生じさせる手段と、を備え、前記所定の条件が成立することなく前記特定状態が終了した場合は、前記所定状況が生じない」(以下「所定状況に係る補正事項」という場合がある。)について、新規事項に当たらないか、付加的に検討しておく。
イ 上記(2)に示したとおり、上記「状態の保持に係る補正事項」及び「所定状況に係る補正事項」の意味するところが不明確であり、その具体的態様も理解しがたいところ、審判請求人(以下「請求人」という。)は、審判請求書において、【0223】~【0224】に記載される、1ベットゲームにて第1RB入賞や第2RB入賞を成立させようとする場合には、ステップS703の乱数シフト処理が実行されないこと、【0326】~【0335】に記載される、有利区間のゲーム数のカウントや終了判定は遊技状態やベット数にかかわらず実行されること、【0646】~【0665】に記載される、「所定の条件」として、特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態で「特定状態」としての有利区間が終了すると、「前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする所定状況」として、特定範囲内のATカウンタC(通常区間だとAT当選し易いATカウンタC)に基づくATモード移行抽選が実行可能となる状況が生じるようになる一方、特定範囲内のATカウンタCが取得されることなく有利区間が終了してしまうと、特定範囲内のATカウンタCに基づくATモード移行抽選が実行可能となる状況は生じないことを、補正の根拠として特に挙げていることからみて、本件補正の「所定の条件」、「特定状態」が、「特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態」、「有利区間」に対応するものとして特定した趣旨と解される。
以上を踏まえて、以下、上記「状態の保持に係る補正事項」及び「所定状況に係る補正事項」が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか検討する。
ウ 当初明細書等の記載事項
上記「状態の保持に係る補正事項」及び「所定状況に係る補正事項」に関連して、請求人が審判請求書において補正の根拠として挙げる当初明細書等の記載は、以下のとおりである。なお、下線は当審合議体が付した。
(ア)「【0216】
ATモードとは、押し順ベル当選時と、押し順リプレイ当選時と、のいずれにおいてもストップスイッチ42~44の操作順序が報知される表示モードである。ATモードは、初期ゲーム数を所定回数(例えば50回)として開始されるモードであり、ゲーム数の上乗せ等が行われずに当該所定回数のゲームが行われた場合や、上乗せ分も含めた回数のゲームが行われた場合には、ATモードから通常モードに移行する。
・・・
【0223】
ステップS701では、現状の遊技状態を把握する処理を行う。より詳しくは、RB状態やCB状態であるか、それともそれ以外の状態(通常遊技状態、各RT状態、第1RB状態、第2RB状態)であるか、を把握する。既に説明した通り、RB状態やCB状態であれば、ベットの規定数として2が設定されており、それ以外の状態であれば、ベットの規定数として1又は3が規定されている。そして、ステップS702では、今回のゲームのベット数が、ステップS701にて把握した状態において規定されている一の規定数(特定規定数)であるか否かの判定を行う。より詳しくは、RB状態やCB状態であれば、ベットの規定数は2だけであるため、ステップS702では必ず肯定判定する。RB状態やCB状態以外であれば、ベットの規定数は上記のように1と3であり、本実施形態では、RB状態やCB状態以外の状態の特定規定数として3が設定されており、RB状態やCB状態以外の状態でベット数が3である場合には、ステップS702にて肯定判定する。この場合、ステップS703以降の表示モード用の処理(指示機能用の処理)が行われる。これに対して、RB状態やCB状態以外の状態でベット数が1である場合には、ステップS702にて否定判定し、そのまま抽選結果対応処理を終了する。この場合、ステップS703以降の表示モード用の処理は行われない。そのため、例えば、第1RBや第2RBに当選し、1ベットゲームにて第1RB入賞や第2RB入賞を成立させようとする場合、表示モード用の処理は行われないことになる。
【0224】
ステップS703では、乱数シフト処理を実行する。かかる処理は、ATモード抽選に用いられる乱数用の処理であり、後に詳細に説明する。」
(イ)「【0326】
<区間表示第2処理>
次に、区間表示第2処理について、図44のフローチャートを参照しながら説明する。既に説明したとおり、区間表示第2処理は、リール制御処理のステップS415にて実施される処理であり、1ゲームの終了に際して、メダルの払出(払出判定処理)及び入賞結果に基づく遊技状態の移行等(入賞結果対応処理)が行われてから実施される。
【0327】
ステップS1501では、有利区間フラグがセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、そのまま区間表示第2処理を終了する。有利区間フラグがセットされている場合にはステップS1502にて、有利区間中のゲーム数をカウントする処理を実行する。具体的には、上記有利区間ゲーム数AGを1加算する処理を行う。ステップS1502の処理を実行した後は、ステップS1503にて、各種カウンタエリア106eに設けられた有利区間増減枚数MYの更新処理を実行する。有利区間増減枚数MYは、有利区間中のメダルの増減枚数(有利区間中の各ゲームでベットされた枚数と払い出された枚数との差枚数)をCPU102が把握するためのカウンタであり、ステップS1503では、今回のゲームの入賞結果(直前の入賞結果対応処理や払出判定処理)に基づいて、今回のゲームのメダル増減数(今回のゲームのメダル払出数-今回のゲームのベット数)を把握し、そのメダル増減数を有利区間増減枚数MYに加算する処理を行う。
【0328】
具体的には、図45のフローチャートの示すように、ステップS1503のMY更新処理では、ステップS1601にて、今回のゲームの遊技結果がいずれかの再遊技入賞であるか否かを判定する。いずれかの再遊技入賞である場合には、有利区間増減枚数MYの更新を行わず、そのままMY更新処理を終了する。いずれかの再遊技入賞ではない場合、ステップS1602に進む。
【0329】
ステップS1602では、今回のゲームの遊技結果に基づいて払出枚数から投入枚数(ベット数)を減算する処理を実行する。ステップS1602は、ゲームで使用したメダルと獲得したメダルとの差し引きで、メダル増加数やメダル減少数を把握するための処理である。例えば、3ベットゲームにおいて第1小役入賞が成立している場合、3枚ベットして9枚のメダル払出が発生しているため、差し引き6枚のメダル増加が生じている。また、3ベットゲームにおいて第2小役入賞が成立している場合、3枚ベットして3枚のメダル払出が発生しているため、差し引き0枚のメダル増加(減少)が生じている。そして、3ベットゲームにおいていずれの小役入賞も成立していない場合、3枚ベットして0枚のメダル払出が発生しているため(メダル払出が発生していないため)、差し引き3枚のメダル減少が生じている。
【0330】
続くステップS1603では、ステップS1602の演算結果を有利区間増減枚数MYに加算する処理を行う。例えば、ステップS1602の演算結果が6枚のメダル増加が生じているとする結果であれば、有利区間増減枚数MYに6を加算する処理を実行し、ステップS1602の演算結果が3枚のメダル減少が生じているとする結果であれば、有利区間増減枚数MYから3を減算する処理を実行する。そして、ステップS1604にて、有利区間増減枚数MYが0以上であるか否かを判定し、有利区間増減枚数MYが0よりも小さく、有利区間においてメダル増加が生じておらずメダルが減少している状況であれば、ステップS1605にて、有利区間増減枚数MYを0にクリアする処理を行ってから、MY更新処理を終了する。有利区間増減枚数MYが0以上であって、有利区間においてメダル増加が生じている状況であれば、そのままMY更新処理を終了する。
【0331】
区間表示第2処理において、ステップS1503のMY更新処理を実行した後は、ステップS1504にて、残ゲーム数管理処理を実行し、続くステップS1505にて、残枚数管理処理を実行する。残ゲーム数管理処理は、ATモードの残りゲーム数等に基づき、現状の残りゲーム数で有利区間が上限ゲーム数(1500ゲーム)に達する状況となっているか否かの管理を行うための処理である。残ゲーム数管理処理では、例えば、ATモードの残りゲーム数が100ゲームであって、有利区間ゲーム数AGが1450となっている等、このままATモードを行っても、そのATモードの終了条件(ATモード残りゲーム数=0)よりも先に有利区間の上限ゲーム数に達するような状況か否かを把握する。そして、そのような状況であれば、その状況を特定するためのフラグとして、各種フラグ格納エリア106dに第1超過フラグをセットする。また、残枚数管理処理は、ATモードの残りゲーム数等に基づき、現状の残りゲーム数で有利区間が上限増加数(2400枚)に達する状況となっているか否かの管理を行うための処理である。残枚数管理処理では、例えば、ATモードの残りゲーム数が100ゲームであって、有利区間増減枚数MYが2300となっている等、このままATモードを行っても、そのATモードの終了条件(ATモード残りゲーム数=0)よりも先に有利区間の上限増加数に達する可能性が高い状況か否かを把握する。なお、この場合、ATモードの1ゲーム当たりのメダルの期待増減枚数と、ATモードの残りゲーム数と、現状の有利区間増減枚数MYと、から、上記の有利区間の上限増加数に達する可能性が高いか否かの判定を行う。そして、そのような状況であれば、その状況を特定するためのフラグとして、各種フラグ格納エリア106dに第2超過フラグをセットする。
【0332】
これら第1超過フラグや第2超過フラグがセットされることにより、以降のATモードの上乗せが行われなくなったり(制限されたり)、上乗せ抽選に当選した場合に、ゲーム数の上乗せとは異なる特典(設定値の示唆やレア画像の表示等)が行われるようになる。これにより、残りゲーム数が多い等して、既に上限ゲーム数や上限増加数に達する可能性が高いような状況で、更に無意味な上乗せが発生することを回避し、上記のような状況であっても、遊技を楽しませることが可能となる。
【0333】
ステップS1505の処理を実行した後は、ステップS1506にて、上記有利区間ゲーム数AGが上限ゲーム数である1500に達したか否か、又は有利区間増減枚数MYが上限増加数である2400以上となったか否かを判定する。これらいずれかの強制終了条件が成立している場合には、ステップS1507にて、有利区間ゲーム数AG及び有利区間増減枚数MYを0にクリアする。続くステップS1508では、区間表示器としての第8表示用セグメントN8の表示を終了させる処理を行う。そして、ステップS1509にて、有利区間中の各種フラグやカウンタ等のパラメータ、情報を初期化する処理を行ってから、本区間表示第2処理を終了する。
【0334】
ステップS1509のデータ初期化処理について、より詳しくは、今回の有利区間への移行に際して設定されたフラグやカウンタ、及び、今回の有利区間中に設定されたフラグやカウンタを初期値に戻す処理である。例えば、前兆フラグや疑似前兆フラグ、CZモードフラグ、ATモード当選フラグ、AT用報知フラグや、ATモードフラグ等がセットされていれば、これらのフラグをクリアする。さらに、前兆モード、ATモード等の継続ゲーム数用のカウンタ等が0より大きければ、これらのカウンタを全て0にリセットする。つまり、初期化処理では、押し順報知を用いた有利な状態としての有利区間に関し、押し順報知に係る性能に及ぼす全ての変数乃至パラメータを初期化するものであり、かかる変数乃至パラメータに関してRAMクリアを行う処理である。
【0335】
ステップS1506にて有利区間ゲーム数AGが上限値に達していないと判定した場合や有利区間増減枚数MYが上限増加数に達していないと判定した場合は、ステップS1510に進み、有利区間の通常終了条件が成立したか否かを判定する。より詳しくは、CZモードフラグ、ATモード当選フラグ及びATモードフラグのいずれもセットされておらず、ATモード等の残り継続ゲーム数が0となったか否かを判定する。これらいずれのフラグもセットされていない場合、ステップS1511にてAT終了フラグがセットされているか否かを判定する。AT終了フラグはATモードの終了に際してセットされるフラグである。AT終了フラグがセットされている場合には、ステップS1507へ進み、ステップS1507~ステップS1509の有利区間終了用の処理を行ってから、区間表示第2処理を終了する。ステップS1510やステップS1511にて否定判定した場合は、そのまま区間表示第2処理を終了する。この場合、区間表示器(第8表示用セグメントN8)の点灯表示は継続することになる。すなわち、ATモード中だけでなく、有利区間移行後であって、ATモードへの移行が生じていない状態では有利区間は終了せず、有利区間移行後、ATモードへ移行し、当該ATモードが終了することで有利区間が終了することになる。」
(ウ)「【0542】
<第2の実施形態>
本実施形態では、ATカウンタCを事前取得する構成において、有利区間と通常区間とのATモード移行抽選の差を利用した新たな遊技性を創出する。図86は、本実施形態におけるAT抽選用処理を示すフローチャートである。既に説明した通り、AT抽選用処理は抽選結果対応処理(図33)においてATモードに当選していない状況で実行される処理である。
【0543】
ステップS3601では、今回のゲームの抽選結果を把握する。そして、ステップS3602にて有利区間フラグがセットされているか否かを判定する。有利区間フラグがセットされておらず、通常区間である場合、ステップS3603に進む。ステップS3603では、今回のゲームの抽選結果が通常区間におけるATモード移行抽選の契機役として設定されている第1特定役であるか否かを判定する。第1特定役として、本実施形態では、図87に示すように、通常リプレイ、強チェリー、弱チェリー、強スイカ、弱スイカ、チャンスA、チャンスB、中段ベル、不問ベル、押し順ベルが設定されている。これらの結果は、いずれも、通常遊技状態、第1RT状態、第2RT状態及び第3RT状態といったようにボーナス状態を除く各種遊技状態に関わらず当選確率が同じ確率として設定されている結果である。なお、図87に示すように、本実施形態では、第1の実施形態とは各結果の当選確率が異なっている。但し、遊技状態によって、特に押し順リプレイの当選確率が変化する点は、第1の実施形態と共通している。これら第1特定役は、押し順リプレイとボーナス重複役やボーナス単独役を除く結果である。本実施形態では、今回の抽選結果が第1特定役ではない場合には、ステップS3604以降のATモード移行抽選用の処理を実行することなく、そのままAT抽選用処理を終了する。
【0544】
第1特定役である場合には、ステップS3604に進み、通常区間用のATモード抽選テーブルを取得する。通常区間用のATモード移行抽選テーブルでは、図88(a)に示すように、ATモード移行抽選に当選となるATカウンタCが、第1特定役のうちの結果に関わらず、共通の値として設定されている。より詳しくは、通常リプレイ、押し順ベル、強チェリー等のいずれの結果であっても、第1特定役であれば、ATカウンタCが「0」~「56」である場合にATモード移行抽選に当選となるように設定されている。なお、本実施形態におけるATカウンタCは、「0」~「9999」の間で1ずつ更新可能であって、所定周期で更新されるとともに、最大値(9999)に達した場合に初期値(0)に戻るループカウンタとして設定されている。すなわち、通常区間用のATモード移行抽選テーブルでは、約176分の1の確率でATモード移行抽選に当選となるように、第1特定役に対してATカウンタCが割り振られている。図87に示すように、各遊技状態の抽選テーブルにおいて第1特定役にはポイント値PVが合計28800となるように設定されており、遊技状態に関わらず、いずれかの第1特定役に当選となる確率は約2.27分の1である。そのため、各遊技状態において通常区間中に第1特定役を契機としてATモード移行抽選に当選となる確率は約399分の1である。
【0545】
ステップS3602にて有利区間フラグがセットされていないと判定した場合、ステップS3605にて有利区間当選ゲームフラグがセットされているか否かを判定する。有利区間当選ゲームフラグがセットされている場合には、ステップS3603に進み、第1特定役であることを条件にATモード移行抽選を行う。有利区間当選ゲームフラグがセットされていない場合には、ステップS3606に進み、今回のゲームの抽選結果が有利区間におけるATモード移行抽選の契機役として設定されている第2特定役であるか否かを判定する。第2特定役として、本実施形態では、図87に示すように、強チェリー、弱チェリー、強スイカ、弱スイカ、チャンスA、チャンスB、中段ベルが設定されている。これらの結果は、いずれも、通常遊技状態、第1RT状態、第2RT状態及び第3RT状態といったようにボーナス状態を除く各種遊技状態に関わらず当選確率が同じ確率として設定されている結果であり、第2特定役は第1特定役のうちの当選確率の比較的高い通常リプレイ、不問ベル及び押し順ベルを除いた結果であって、所謂レア役と称されるものである。今回の抽選結果が第2特定役ではない場合には、ステップS3607以降のATモード移行抽選用の処理を実行することなく、そのままAT抽選用処理を終了する。
【0546】
第2特定役である場合には、ステップS3607に進み、CZモードフラグがセットされているか否かを判定する。そして、CZモードフラグがセットされていない場合には、ステップS3608にて有利区間用のATモード移行抽選テーブルを取得し、CZモードフラグがセットされている場合には、ステップS3609にてCZ用のATモード移行抽選テーブルを取得する。有利区間用のATモード移行抽選テーブルでは、図88(b)に示すように、ATモード移行抽選に当選となるATカウンタCが、第2特定役のうちの結果に関わらず、共通の値として設定されている。より詳しくは、強チェリー、弱チェリー等のいずれの結果であっても、第2特定役であれば、ATカウンタCが「0」~「4098」である場合にATモード移行抽選に当選となるように設定されている。すなわち、有利区間用のATモード移行抽選テーブルでは、約2.44分の1の確率でATモード移行抽選に当選となるように、ATカウンタCが割り振られている。図87に示すように、各遊技状態の抽選テーブルにおいて第2特定役にはポイント値PVが合計800となるように設定されており、遊技状態に関わらず、いずれかの第2特定役に当選となる確率は約81.9分の1である。そのため、各遊技状態において有利区間用のATモード移行抽選テーブルを用いてATモード移行抽選が行われる場合において、第2特定役を契機としてATモード移行抽選に当選となる確率は約199分の1であり、上記通常区間の場合よりも高い確率である。
【0547】
また、CZ用のATモード移行抽選テーブルについても、ATモード移行抽選に当選となるATカウンタCが、第2特定役のうちの結果に関わらず、共通の値として設定されており、ATカウンタCが「0」~「8264」である場合にATモード移行抽選に当選となるように設定されている。すなわち、CZ用のATモード移行抽選テーブルでは、約1.21分の1の確率でATモード移行抽選に当選となるように、第2特定役に対してATカウンタCが割り振られている。そのため、各遊技状態においてCZ用のATモード移行抽選テーブルを用いてATモード移行抽選が行われる場合において、第2特定役を契機としてATモード移行抽選に当選となる確率は約99分の1であり、上記通常区間の場合よりも高く、更に、有利区間用のテーブルを用いた場合よりも高い確率である。
【0548】
ステップS3604、ステップS3608及びステップS3609のいずれかでATモード移行抽選テーブルを取得した後は、ステップS3610にてATカウンタCを取得する処理を行う。ここで、図89に示すように、本実施形態における抽選用情報記憶エリア106fでは、ATモード抽選用の乱数としてATカウンタCを10ゲーム分記憶可能に構成されている。より詳しくは、抽選用情報記憶エリア106fは、実行エリアAEと記憶エリアREとを備えており、記憶エリアREには第1記憶エリアRE1~第10記憶エリアRE10が設けられている。ステップS3610では、このうち今回のゲームにて利用するATカウンタCを記憶する領域としての実行エリアAEからATカウンタCを取得する。
【0549】
その後、ステップS3611にてATモード移行抽選を実行する。すなわち、通常区間用のATモード移行抽選テーブルを用いる場合、ATカウンタCが「0」~「56」であればATモード移行当選となり、それ以外の値であればATモード非当選となる。また、有利区間用のATモード移行抽選テーブルを用いる場合、ATカウンタCが「0」~「4098」であればATモード移行当選となり、それ以外の値であればATモード非当選となる。そして、CZ用のATモード移行抽選テーブルを用いる場合、ATカウンタCが「0」~「8264」であればATモード移行当選となり、それ以外の値であればATモード非当選となる。
【0550】
続くステップS3612では、ステップS3611の抽選結果が、ATモード移行当選であるか否かを判定する。移行当選である場合には、ステップS3613~ステップS3615にて通常区間中のATモード移行当選である場合の処理を行う。かかる処理は、上記ステップS912~ステップS914の処理と同様である。その後、ステップS3616~ステップS3619にてATモード当選フラグをセットする処理や前兆モード用の処理を行ってから、AT抽選用処理を終了する。なお、本実施形態ではRB状態中のATモード移行抽選についての構成を省略しているが、上記第1の実施形態のようにRB状態中であるか否かによってATモード移行抽選の有無を異ならせたり、当選時の報知態様についての処理を行う構成としてもよい。
【0551】
ステップS3612にてATモード移行抽選に非当選であると判定した場合、ステップS3620に進む。ステップS3620~ステップS3627の処理は、上記ステップS922~ステップS929の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0552】
<乱数取得用処理>
本実施形態における乱数取得用処理では、図90のフローチャートに示すように、ステップS3701にてATカウンタCの取得を行った後は、ステップS3702にて抽選用情報記憶エリア106fの各記憶エリアREのうち最も番号の若いエリア(基本的には第10記憶エリアRE10)にATカウンタCを格納する処理を行う。そして、ステップS3703にて有利区間フラグがセットされているか否かを判定し、有利区間中であることを条件として、ステップS3704にてATコマンドを表示制御装置81への出力対象としてセットする処理を行ってから、乱数取得用処理を終了する。有利区間中ではない場合には、ATコマンドを出力設定することなく、そのまま乱数取得用処理を終了する。
【0553】
すなわち、上記第1の実施形態では、RB状態中であることを条件にATコマンドを出力設定していたところ、本実施形態では、有利区間中であることを条件にATコマンドを出力設定する点で相違している。これに対して、ATコマンドを出力するか否かに関わらず、ATカウンタCの取得を行う点は上記第1の実施形態と同様である。
【0554】
<乱数シフト用処理>
本実施形態における乱数シフト用処理では、図91のフローチャートに示すように、ステップS3801にて第1記憶エリアRE1に記憶されているATカウンタCを実行エリアAEにシフトするとともに、当該第1記憶エリアRE1に記憶されているATカウンタCをクリアする処理を行う。続くステップS3802では、各記憶エリアRE2~RE10に格納されている情報を下位エリア側にシフトする処理を行う。この場合、第10記憶エリアRE10は空きエリアとなる。続くステップS3803では、今回終了するゲームが有利区間中のゲームであるか否かを判定する。有利区間中である場合には、ステップS3804にてシフト時コマンドを表示制御装置81への出力対象としてセットする処理を実行してから、乱数シフト用処理を終了する。ステップS3803にて通常区間である場合には、そのまま乱数シフト用処理を終了する。
【0555】
すなわち、上記第1の実施形態では、RB状態中であることを条件にシフト時コマンドを出力設定していたところ、本実施形態では、有利区間中であることを条件にシフト時コマンドを出力設定する点で相違している。これに対して、シフト時コマンドを出力するか否かに関わらず、ATカウンタCのシフトを行う点は上記第1の実施形態と同様である。
【0556】
<区間表示第2処理>
次に、本実施形態における有利区間の終了条件の変更点について説明する。
【0557】
図92のフローチャートに示すように、本実施形態における区間表示第2処理では、ステップS3901~ステップS3911にて、上記ステップS1501~ステップS1511と同様の処理を実行する。本実施形態では、有利区間における強制終了条件が成立しておらず(ステップS3906:NO)、更に、通常の終了条件も成立していない場合(ステップS3910:NO、ステップS3911:NO)であっても、ステップS3912にて第2再遊技入賞が成立すると、ステップS3907に進み、有利区間終了用の処理を行う。第2再遊技入賞が成立していない場合には、有利区間は継続される。
【0558】
既に説明した通り、第2再遊技は、転落リプレイ当選時に入賞が成立し得るようになり、入賞が成立すると第1RT状態への移行が生じる再遊技である。そして、AT用報知フラグがセットされている場合には、転落リプレイ当選時に第2再遊技入賞を成立させないような押し順報知が発生することで、RT状態を上位のRT状態に維持することが可能となっている。図87に示すように、本実施形態では、押し順リプレイのうちの転落リプレイの当選確率が上記第1の実施形態と異なり、通常遊技状態や第1RT状態においても転落リプレイに当選し得る構成としている。この場合、RT状態処理(図21)では、通常遊技状態にて移行出目が停止した場合だけでなく、通常遊技状態にて第2再遊技入賞が成立した場合にも第1RT状態に移行させ、また、第1RT状態にて第2再遊技入賞が成立した場合には、第1RT状態に再設定する構成とするとよい。そして、本実施形態では、当該第2再遊技入賞が成立することで、第1RT状態への移行が生じるとともに、有利区間中であれば通常区間への移行が生じるようにしている。つまり、本実施形態では、転落リプレイ当選ゲームにおいて、第2再遊技入賞に対応する操作順序でストップスイッチ42~44が操作されると有利区間から通常区間への移行が生じる一方、第2再遊技入賞に対応しない操作順序でストップスイッチ42~44が操作されると有利区間から通常区間への移行が生じない。
【0559】
<保留表示用処理>
次に、本実施形態における保留表示用処理を、図93のフローチャートを参照しながら説明する。
【0560】
ステップS4001ではATコマンドを受信しているか否かを判定する。ATコマンドを受信している場合、すなわち、有利区間中である場合には、ステップS4002にて受信したATコマンドに含まれるATカウンタCの値を把握する処理を行い、ステップS4003にて当該把握したATカウンタCを対応する記憶エリアに記憶させる処理を行う。そして、ステップS4004にて今回取得したATカウンタCが通常区間での当選範囲内として特定範囲内の値であるか否かを判定する。すなわち、現状が有利区間ではあるものの、仮に通常区間であって第1特定役にてATモード移行抽選を受けることができればATモード移行当選となる値(0~56)であるか否かを判定する。特定範囲内である場合、ステップS4005にて各種カウンタエリア183bに設けられた特定範囲カウンタTCに、今回のATカウンタCを記憶する記憶エリアに対応する数(基本的には第10記憶エリアに対応する10)を入力する処理を実行してから、本保留表示用処理を終了する。特定範囲カウンタTCは、抽選用情報記憶エリア106fに記憶されているATカウンタCのうち特定範囲に含まれるATカウンタCが記憶されているエリアを、表示制御装置81側のCPU181が把握するためのカウンタである。
【0561】
ステップS4001にてATコマンドを受信していない場合や、ステップS4004にて今回取得したATカウンタCが特定範囲内ではない場合には、そのまま本保留表示用処理を終了する。
【0562】
すなわち、本実施形態では、通常区間において第1特定役にてATモード移行抽選を受けることができればATモード移行当選となるようなATカウンタCが取得された場合、そのATカウンタCが記憶されている記憶エリアの位置を、特定範囲カウンタTCとして表示制御装置81が把握する。
【0563】
<保留シフト用処理>
本実施形態における保留シフト用処理では、図94のフローチャートに示すように、先ず、ステップS4101にてシフト時コマンドを受信しているか否かを判定する。シフト時コマンドを受信している場合には、ステップS4102にて、上記の特定範囲カウンタTCが0よりも大きいか否かを判定する。0よりも大きい場合、ステップS4103にて特定範囲カウンタTCを1減算する処理を行う。
【0564】
ステップS4102にて否定判定した場合、又はステップS4103の処理を実行した後は、ステップS4104に進む。ステップS4104では、実行用表示領域Dpに対応する実行エリアに記憶されているATカウンタCの情報と保留表示としての特別画像用の画像データとをクリアする処理を行う。そしてステップS4105にて、第1単位保留表示領域Dr1に対応する第1記憶エリアに記憶されているATカウンタCの情報と保留表示として特別画像用の画像データを、上記の実行エリアにシフトする。続くステップS4106では、各単位保留表示領域に表示される保留表示用のデータを下位の記憶エリアへシフトする処理を行う。この場合、第10記憶エリアのデータはクリアされ、第10記憶エリアはデータが記憶されていない空き領域となる。
【0565】
ステップS4107では、特定範囲カウンタTCが3よりも大きいか否かを判定し、3以下となった場合には、ステップS4108にて特定範囲カウンタTCが0ではないことを条件として、ステップS4109にてATモード中であるか否かを判定する。そして、今回のシフト処理によって特定範囲カウンタTCが特定数(3)以下となり、それがATモード中ではない場合には、ステップS4110にて特定報知フラグをセットする処理を実行してから、本保留シフト用処理を終了する。ステップS4108にて特定範囲カウンタTCが0である場合には、ステップS4111にて特定報知フラグをクリアする処理を行ってから、本保留シフト用処理を終了する。なお、ステップS4111にて特定報知フラグがセットされていなければ、その状態を維持する。
【0566】
ステップS4101にてシフト時コマンドを受信していない場合の他、上記ステップS4107にて特定範囲カウンタが特定数より大きい場合や、ステップS4109にてATモード中ではない場合は、特定報知フラグをセットすることなく、そのまま本保留シフト用処理を終了する。
・・・
【0570】
ステップS4205にて押し順報知コマンドを受信していない場合とは、ATモード中ではない状況や、ATモード移行抽選に当選していない状況であり、この場合、ステップS4207にて、上記の特定報知フラグがセットされているか否かを判定する。特定報知フラグがセットされていなければ、そのまま本押し順報知用処理を終了する。特定報知フラグがセットされている場合とは、上記のように、事前取得されているATカウンタCに、通常区間にて第1特定役であればATモード移行当選となる特定範囲内の値のATカウンタCが含まれている場合であって、3ゲーム以内にそのATカウンタCがATモード移行抽選に利用される場合である。この場合、ステップS4208にて第2再遊技入賞を成立させて有利区間を終了させることを可能とする特定報知を、補助表示部65にて行うための処理を実行する。
【0571】
特定報知としては、図96(a)に示すように、補助表示部65において第2再遊技入賞に対応する操作順序を報知するとともに、その操作順序にて操作を行って有利区間を終了させたうえで第1特定役にてATモード移行抽選を受けることができればATモード移行当選となることを示唆するように、例えば、当該第2再遊技入賞に対応する操作順序を指し示しながら「通常役モード」と表示する。なお、図23(b)に示すように、本スロットマシン10では、転落リプレイ1~3当選時において、最初に停止操作するストップスイッチ42~44によって、第1再遊技入賞が成立するか、第2再遊技入賞が成立するか、が異なっており、例えば、転落リプレイ1では左ストップスイッチ42が最初に操作された場合には第1再遊技入賞が成立し、中ストップスイッチ43又は右ストップスイッチ44が最初に操作された場合には第2再遊技入賞が成立する構成としている。そのため、上記特定報知として、転落リプレイ当選時の第2再遊技入賞に対応する操作順序の報知を行う場合、最初に停止操作すべきストップスイッチ42~44の報知だけで足りる。また、最初に停止操作すべきストップスイッチ42~44のうち、第2再遊技入賞に対応するものは、3通りのうち2通りのものが対応しており、本実施形態では、そのうち1通りのストップスイッチ42~44を報知する構成としている。すなわち、例えば、転落リプレイ1当選時における特定報知として、中ストップスイッチ43と右ストップスイッチ44のうちの、中ストップスイッチ43を第2再遊技入賞に対応するストップスイッチ42~44として報知する。
・・・
【0576】
既に説明した通り、第1特定役は、通常リプレイ、強チェリー、弱チェリー、強スイカ、弱スイカ、チャンスA、チャンスB、中段ベル、不問ベル、押し順ベルの総称であり、これらの第1特定役に当選した場合には、通常区間においてはATカウンタCが「0」~「56」の特定範囲内であればATモード移行抽選に当選する。
【0577】
そうすると、上記のように、事前取得されているATカウンタCとして特定範囲内に含まれるATカウンタCがある場合に、有利区間から通常区間に移行させ、その特定範囲内であるATカウンタCにてATモード移行抽選が行われるゲームにて、第1特定役に当選させることに成功すればATモード移行抽選に当選させることが可能となる。この場合、図88(a)に示すように、第1特定役当選となる確率は約2.27分の1であることから、当該特定範囲内であるATカウンタCが通常区間にてATモード移行抽選が行われた場合の当選率は約2.27分の1であり、比較的高確率でATモード移行抽選に当選する。」
(エ)「【0589】
有利区間中において、通常区間にてATモード移行抽選を受ければ高確率でATモード移行当選となる特定範囲内のATカウンタCが取得された場合、有利区間から通常区間へ移行させることを可能とする特定報知が行われ得るようにした。これにより、ATモード移行抽選の当選確率が通常区間よりも有利区間の方が高い、といった前提のもと、一旦、通常区間への移行を生じさせることでATモード移行抽選に当選し易くなる、といった斬新な遊技性が実現される。」
(オ)「【0638】
<変形例3>
本変形例では、特定報知が所定の報知抽選に当選した場合に行われるようにする。図106は、本変形例における保留シフト用処理を示すフローチャートである。
【0639】
本変形例では、特定範囲カウンタTCが3以下となり、あと3ゲーム以内で特定範囲内のATカウンタCに基づくATモード移行抽選が行われる状況である場合の処理が異なっている。すなわち、ステップS4807にて特定範囲カウンタTCが3以下であると判定した場合、ステップS4808にて特定範囲カウンタTCが0ではないことを条件として、ステップS4809にてATモード中ではないことの判定を行う。ATモード中ではない場合、本変形例では、ステップS4810にて特定報知抽選処理を実行する。
【0640】
特定報知抽選処理では、各種テーブル記憶エリア182aから、特定報知抽選テーブルを取得するとともに、有利区間中のゲーム数(主制御装置101側の有利区間ゲーム数AGに相当するゲーム数)と、当選確率の設定処理により設定される設定値の情報を把握し、抽選用のカウンタ等を用いて、特定報知を実行するか否かの抽選を行う。特定報知抽選テーブルは、図107に示すように、有利区間中のゲーム数と、設定値とにより、特定報知抽選の当選確率が異なるように設定されている。具体的には、概して、高設定ほど特定報知抽選に当選し易くなり、設定1,3,5の奇数設定では、有利区間中のゲーム数が100ゲーム台、300ゲーム台、500ゲーム台、700ゲーム台、900ゲーム台である場合に特定報知抽選に当選し易く、設定2,4では、有利区間中のゲーム数が200ゲーム台、400ゲーム台、600ゲーム台、800ゲーム台である場合に特定報知抽選に当選し易く、設定6では、有利区間中のゲーム数が多くなるほど特定報知抽選に当選し易くなるように設定されている。また、有利区間中のゲーム数が100ゲーム未満では、設定4~設定6では特定報知抽選に当選し得る一方、設定1~設定3では当選しないように設定されている。そして、有利区間中のゲーム数が1000ゲームを超えると、特定報知抽選の当選確率が高まり、本変形例では必ず当選するように設定されている。
【0641】
ステップS4810にて特定報知抽選を行った後は、ステップS4811にて報知抽選に当選したか否かを判定する。当選している場合には、ステップS4812にて特定報知フラグをセットする処理を実行してから、保留シフト用処理を終了する。報知抽選に当選していない場合には、特定報知フラグをセットすることなく、そのまま保留シフト用処理を終了する。
【0642】
ステップS4801~ステップS4809、ステップS4812~ステップS4813の処理は、上記ステップS4101~ステップS4111の処理と同様である。
【0643】
このように、通常区間へ移行させることでATモードへの移行抽選の当選確率が高くなり得る特定報知を利用して、有利区間への移行後のATモード移行抽選に当選し易いチャンスゾーンとして設定することが可能である。そして、有利区間中のゲーム数が多くなるほど特定報知抽選に当選し易くなるように設定したため、当該チャンスゾーンを利用して、なかなかATモードへ移行しないことへの救済とすることが可能となる。
【0644】
この場合、上記のように特定報知抽選に当選して、特定報知フラグがセットされた場合であっても、特定報知フラグがクリアされるまでに転落リプレイに当選しなければ特定報知は行われないことから、有利区間は継続され得る。言い換えると、特定報知が行われた場合には、有利区間から通常区間への移行が生じ、有利区間中のゲーム数はリセットされる。このようにすることで、特定報知に従って通常区間への移行を生じさせたのであるならば、何としてでもATモード移行抽選に当選となるように、より一層、第1特定役当選を願って遊技を行うようになり、当該ATカウンタCに基づいて有利区間を終了させる遊技の興趣が格段に高められる。
【0645】
また、特定報知抽選の当選確率を設定値による差を設けたことから、通常区間においてATモード移行抽選の当選率に設定差を設けなくても、有利区間から通常区間への移行を可能とする特定報知の実行率によってATモード移行抽選の当選率を間接的に調節することが可能となる。よって、仮に、通常区間においてはATモード等の指示機能に関する構成に設定差を設けることができないような事情があっても、その事情の範囲内でうまく調節することが可能となる。
【0646】
<変形例4>
本変形例では、特定報知を、ATモード中において実行する構成としたうえで、有利区間におけるメダルの増加数が上限増加数(2400枚)近くになると、特定報知が行われ得るようになる。図108は、本変形例における保留シフト用処理を示すフローチャートである。
【0647】
ステップS4901~ステップS4906の処理は、上記ステップS4101~ステップS4106の処理と同様であり、シフト時コマンドを受信したことに基づいて、各記憶エリアのデータのシフトを行うとともに、特定範囲内のATカウンタCの位置情報(特定範囲カウンタTC)の更新処理を行う。
【0648】
ステップS4107では、特定報知抽選処理を実行する。図109(a)は、本変形例における特定報知抽選処理を示すフローチャートである。
【0649】
ステップS5001では、主制御装置101側で管理する有利区間増減枚数MY(MYカウンタ)に相当する値を把握する処理を行う。例えば、主制御装置101側のMY更新処理を行う度に、現状のMYカウンタの値を示すMYコマンドを表示制御装置81へ出力する構成とし、当該表示制御装置81でもMYカウンタの最新情報を把握可能な構成とするとよい。
【0650】
続くステップS5002では、ステップS5001にて把握した情報に基づいて、MYカウンタが2350以上となっているか否か、すなわち、上限増加数である2400枚まで残り僅か(特定数以下、50枚以下)である状況であるか否かの判定を行う。2350枚未満である場合には、そのまま特定報知抽選処理を終了する。この場合、特定報知抽選は実行されないため、特定報知も行われない。上限増加数まで残り僅かであれば、ステップS5003にて各種フラグ格納エリア183aに抽選済みフラグがセットされているか否かを判定する。抽選済みフラグは、今回の有利区間において特定報知抽選が既に実行されていることをCPU181が特定するためのフラグである。抽選済みフラグがセットされている場合には、そのまま特定報知抽選処理を終了する。
【0651】
抽選済みフラグがセットされていない場合、ステップS5004にて、主制御装置101側で管理する超過フラグの有無に対応する情報を把握する処理を実行する。既に説明した通り、超過フラグは区間表示第2処理(図44)において残ゲーム数管理処理(ステップS1504)や残枚数管理処理(ステップS1506)にてセットされるフラグであり、現状の有利区間ゲーム数AGや有利区間増減枚数MYと残りATモードゲーム数から、既に強制終了条件が成立することが特定されている状況であることを示すフラグである。より詳しくは、現状の有利区間ゲーム数AGとATモードの残りゲーム数(後乗せ分も含む)との合計が、上限ゲーム数(1500ゲーム)を超過している場合には、残ゲーム数管理処理にて第1超過フラグがセットされ、現状の有利区間増減枚数MYと、ATモードの残りゲーム数(後乗せ分も含む)と各ゲームの平均純増枚数から算出される予定払出枚数との合計が、上限増加数(2400枚)を超過している場合には、残枚数管理処理にて第2超過フラグがセットされる。すなわち、ステップS5004では、主制御装置101側で既に第1超過フラグや第2超過フラグがセットされている状況か否かを判定する。なお、主制御装置101側で第1超過フラグや第2超過フラグをセットした際に対応する情報を含むコマンドを表示制御装置81へ出力する構成とし、当該コマンドを特定することで上記の判定を行う構成とするとよい。
【0652】
そして、ステップS5005にて、各種テーブル記憶エリア182aから特定報知抽選テーブルを取得する処理を実行し、ステップS5006にて特定報知抽選を実行する。特定報知抽選テーブルは、図109(b)に示すように、いずれかの超過フラグがセットされている場合と、いずれの超過フラグもセットされていない場合とで、特定報知抽選の当選確率が異なるとともに、設定値によっても当選確率が異なるように設定されている。より詳しくは、いずれかの超過フラグがセットされている場合には、設定値の高低に関わらず、超過フラグがセットされている場合よりも高確率で特定報知抽選に当選するように設定されており、本変形例では100%の確率で当選するように設定されている。いずれの超過フラグもセットされていない場合には、低設定ほど特定報知抽選に当選しにくく、高設定ほど特定報知抽選に当選し易いように設定されており、例えば、設定1では50%の確率で当選するところ、設定6では100%の確率で当選するように設定されている。
【0653】
ステップS5006にて特定報知抽選を行った後は、ステップS5007にて当該報知抽選に当選したか否かを判定する。当選している場合には、ステップS5008にて各種フラグ格納エリア183aに特定報知当選フラグをセットする処理を行う。ステップS5007にて非当選であると判定した場合や、ステップS5008にて特定報知当選フラグをセットした後は、ステップS5009にて抽選済みフラグをセットする処理を実行してから、本特定報知抽選処理を終了する。
【0654】
保留シフト用処理において、上記ステップS4907にて特定報知抽選処理を実行した後は、ステップS4908にて特定範囲カウンタTCが3以下であるか否かの判定を行う。3よりも大きい場合には、そのまま保留シフト用処理を終了し、3以下である場合には、ステップS4909にて特定範囲カウンタTCが0であるか否かを判定する。0ではなく、特定範囲カウンタTCが1~3である場合、ステップS4910にて、ATモード中であるか否かを判定する。本変形例では、ATモード中に特定報知を行う構成であるため、ATモード中ではない場合には、そのまま保留シフト用処理を終了する。ATモード中である場合、ステップS4911にて、上記の特定報知当選フラグがセットされているか否かを判定する。特定報知当選フラグがセットされている場合には、ステップS4912にて特定報知フラグをセットする処理を実行してから、保留シフト用処理を終了する。特定報知当選フラグがセットされていない場合には、特定報知フラグをセットすることなく、そのまま保留シフト用処理を終了する。また、ステップS4909にて特定範囲カウンタTCが0である場合には、ステップS4913にて特定報知フラグの有無を把握し、セットされている場合にはそれをクリアし、セットされていない場合にはその状態を維持する。その後、保留シフト用処理を終了する。
【0655】
図110は、本変形例における押し順報知用処理を示すフローチャートである。本変形例では、転落リプレイ当選時の処理と、押し順ベル当選時の処理とが、異なっている。
【0656】
すなわち、ステップS5104にて転落リプレイ当選であると判定した場合、ステップS5105にて特定報知フラグがセットされているか否かを判定する。特定報知フラグがセットされていない場合、ステップS5106にて押し順報知コマンドを受信しているか否かを判定し、受信している場合には、ステップS5107にて第1再遊技用の押し順報知演出を行ってから、本押し順報知用処理を終了する。ステップS5106にて押し順報知コマンドを受信していない場合には、そのまま押し順報知用処理を終了する。
【0657】
ステップS5105にて特定報知フラグがセットされている場合、ステップS5108にて特定報知を実行するための処理を行い、ステップS5109にて第2再遊技用の押し順報知、ステップS5107にて第1再遊技用の押し順報知を行うための処理をそれぞれ行ってから、本押し順報知用処理を終了する。この場合、補助表示部65にて、第2再遊技に対応する押し順の報知が行われて、有利区間を終了させることを可能とする報知が行われるとともに、第1再遊技に対応する押し順の報知も行われて、有利区間を継続させることを可能とする報知が行われる。
【0658】
ステップS5122にて押し順ベル当選であると判定した場合、ステップS5123にて押し順報知コマンドを受信しているか否かを判定し、受信している場合には、ステップS5123にて特定報知当選フラグがセットされているか否かの判定を行う。セットされていない場合には、ステップS5124にて第1小役(9枚払出小役)に対応する押し順報知演出用の処理を行ってから、本押し順報知用処理を終了する。これに対して、ステップS5123にて特定報知当選フラグがセットされている場合、ステップS5124にて第2小役~第26小役(3枚払出小役)に対応する押し順報知演出用の処理を行ってから、本押し順報知用処理を終了する。
【0659】
すなわち、特定報知当選フラグがセットされることにより、押し順ベル当選時にメダル払出数が少ない第2小役~第26小役用の押し順報知が行われるようになり、更に、特定範囲内のATカウンタCが取得されると特定報知フラグがセットされて、ATモード中において転落リプレイ当選時に特定報知が行われるようになる。なお、押し順報知用処理において、上記説明した処理以外の他の処理については、図100のものと同様であるため、その説明を省略する。
【0660】
図111(c)に示すように、例えば、ATモード中のMYカウンタが上限付近(2350未満)ではない状況であるt1のタイミングで、特定範囲内のATカウンタCが取得されたとしても、特定報知抽選は行われないので特定報知当選フラグはセットされない。そうすると、特定報知フラグもセットされないため、仮に、特定範囲カウンタTCが1~3になり、且つ転落リプレイに当選した場合であっても特定報知は行われない。この場合、第1再遊技入賞用の押し順報知演出が発生し、有利区間及びATモードは継続し得る。また、このMYカウンタが上限付近ではない状況では、特定報知当選フラグがセットされていないため、図111(a)に示すように、押し順ベル当選時の押し順報知演出は第1小役に対応するものであり、その押し順報知演出に従ってストップスイッチ42~44の操作を行うことで、9枚のメダル払出(6枚の増加)を受けることができ、持ちメダルを増やすことが可能である。
【0661】
t2のタイミングでMYカウンタが上限付近に達すると、特定報知抽選が行われる。当該特定報知抽選に当選した場合、特定報知当選フラグがセットされる。その結果、例えば、t3のタイミングで押し順ベルに当選した場合、図111(b)に示すように、第1小役ではなく第2小役~第26小役に対応する押し順報知演出が行われるようになる。その結果、当該押し順報知演出に従ってストップスイッチ42~44の操作を行うと、3枚のメダル払出(0枚の増加)を受けることとなり、メダルの増加スピードが低下し、本変形例では、メダルが増加しないようになる。つまり、MYカウンタが上限付近になると、押し順ベル当選時に上限に達しないようにするための押し順報知が発生することになる。
【0662】
そして、t4のタイミングよりも若干前に特定範囲内のATカウンタCが取得され、当該ATカウンタCが第3記憶エリアRE3以下のエリアに記憶されている状況となるt4のタイミングで転落リプレイに当選すると、特定報知が発生する。当該特定報知のうち、第2再遊技入賞を成立させる報知に従って操作することで、有利区間は終了し、ATモードも終了する。この場合、有利区間の終了用の処理において、有利区間ゲーム数AGやMYカウンタの初期化処理が行われる。その後、通常区間中であるt5のタイミングで、上記特定範囲内のATカウンタCがATモード移行抽選に用いられる場合に、第1特定役当選となると、ATモード移行抽選に当選となり、有利区間へも再度移行することとなる。
【0663】
以上のように、有利区間の上限付近で特定報知が行われることにより、有利区間を再セットするチャンスを付与することが可能となり、ATモードの連荘性を実現することができる。しかも、有利区間の上限に達して強制終了されるということは、遊技者としては、まだまだATモードが継続するであろうと目論んでいるであろう最中に強制終了されることとなり、遊技意欲の低下が懸念されるところ、上記のようにその上限付近にてATモードが再セットされ得るようにすることで、当該遊技意欲の低下を抑制することが可能となる。
【0664】
特に、残りゲーム数が有利区間の上限ゲーム数を超過していたり、上限増加数を超過するであろう場合には、特定報知抽選に当選し易くしたため、上記のような遊技意欲の低下をより好適に抑制することが可能である。
【0665】
この場合、有利区間の上限付近となった場合であっても、特定範囲内のATカウンタCが取得されることと、そのATカウンタCが取得されている状況で転落リプレイに当選することと、更に通常区間に移行させた場合であっても、当該ATカウンタCがATモード移行抽選に利用されるゲームよりも前に有利区間に移行しないことや、当該ATカウンタCがATモード移行抽選に利用されるゲームにて第1特定役当選する必要があること、といったようにATモードの連荘が発生するためには多くの条件がある。つまり、これらの条件がうまく成立した場合にだけ当該連荘となるようにしているため、ATモードが連荘し過ぎないようにうまく調節することが可能となるし、その各条件を潜り抜ける遊技の面白みを提供することができ、興趣向上を好適に図ることが可能となる。」
エ 「所定状況に係る補正事項」について
本件補正における「前記特定状態」は、補正前に記載の「前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態」を指すから、「ATモード」を意味すると解すべきである。
したがって、「前記所定の条件を保持している状態で前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となる」における「終了した」「前記特定状態」と「次に開始される特定状態」は、いずれも「ATモード」を意味する。しかし、「ATモード」の内容については、当初明細書の【0216】に「ATモードとは、押し順ベル当選時と、押し順リプレイ当選時と、のいずれにおいてもストップスイッチ42~44の操作順序が報知される表示モードである。ATモードは、初期ゲーム数を所定回数(例えば50回)として開始されるモードであり、ゲーム数の上乗せ等が行われずに当該所定回数のゲームが行われた場合や、上乗せ分も含めた回数のゲームが行われた場合には、ATモードから通常モードに移行する。」と記載されるのみで、「ATモード」において有利さにおいて差を設けることは記載されていない。
以上のとおりであるから、「前記所定の条件を保持している状態で前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となる」ことは、当初明細書等に記載されているものではない。
オ 「状態の保持に係る補正事項」について
請求人は、上記イに示したとおり、本件補正の根拠は、当初明細書の【0223】~【0224】、【0326】~【0335】、【0542】~【0665】であると主張するが、上記エに示したとおり、「前記特定状態」は「ATモード」に対応するものと解すべきところ、請求人の主張は、当初明細書に記載の「有利区間」に対応させるものであるから採用することができない。
仮に、請求人の主張を踏まえ、「前記特定状態」が「有利区間」に対応し、「所定状況」が、「特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態」での「通常区間」に対応するものと解した場合、「状態の保持に係る補正事項」における「所定の条件が成立した状態」が、「有利区間」が終了した後の「通常区間」においても保持されることが特定されている必要があるところ、「状態の保持に係る補正事項」においては、「所定の条件が成立した状態を前記特定状態(有利区間)の終了まで保持する」との特定に留まることから、「上記特定状態」が「有利区間」に対応し、「所定状況」が「特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態」での「通常区間」に対応することと整合しない。
なお、当初明細書等を改めて参酌すると、【0428】~【0495】には、RB状態において取得した特定範囲内のATカウンタCをRB状態の終了時に用いてATモード移行抽選を行うことが記載されているから、「状態の保持に係る補正事項」における「前記特定状態」、「所定の条件」を、当初明細書等における「RB状態」、「特定範囲内のATカウンタCが取得される」に対応させることも考えられるが、「RB状態」は、補正前に記載の「前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態」に対応する余地はない。
以上のことから、「前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段」は、当初明細書等に記載されているものと理解することはできない。
カ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張の概要
請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」において、以下のとおり主張する。
「(2)補正について
特許請求の範囲において、請求項1中、「前記特定状態において所定の条件が成立した場合、当該所定の条件が成立した状態を前記特定状態の終了まで保持することが可能な手段と、」とした補正は、出願当初明細書における段落0223欄~段落0224欄、段落0326欄~段落0335欄、段落0542欄~段落0665欄等の記載に基づいている。・・・よって、上記構成の技術的思想は十分に開示されている。
請求項1中、「前記所定の条件を保持している状態で前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする所定状況を生じさせる手段と、を備え、前記所定の条件が成立することなく前記特定状態が終了した場合は、前記所定状況が生じない」とした補正は、出願当初明細書における段落0542欄~段落0665欄等の記載に基づいている。
すなわち、かかる箇所には、「所定の条件」として、特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態で「特定状態」としての有利区間が終了すると、「前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする所定状況」として、特定範囲内のATカウンタC(通常区間だとAT当選し易いATカウンタC)に基づくATモード移行抽選が実行可能となる状況が生じるようになる一方、特定範囲内のATカウンタCが取得されることなく有利区間が終了してしまうと、特定範囲内のATカウンタCに基づくATモード移行抽選が実行可能となる状況は生じないことが記載されており、上記補正の根拠が明示されている。
・・・
よって、上記各補正は何ら新規事項を追加するものではない。また、特許請求の範囲についてした補正は、所謂限定的減縮に相当し、審判請求時の補正の規定に沿うものである。」
(イ)請求人の主張についての検討
上記エ、オで検討したとおり、上記「所定状況に係る補正事項」と「状態の保持に係る補正事項」における「前記特定状態」は、補正前に記載の「前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態」を指し、「ATモード」を意味するから、「前記特定状態」を「有利区間」に対応することを前提とする請求人の主張は採用することができない。また、仮に「前記特定状態」が「有利区間」に対応し、「所定状況」が「特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態」での「通常区間」に対応するものと解した場合、「状態の保持に係る補正事項」における「所定の条件が成立した状態」は「前記特定状態(有利区間)の終了まで保持する」との特定に留まり、「所定状況」が「特定範囲内のATカウンタCが取得されている状態」での「通常区間」に対応することと整合しない。
したがって、審判請求書における請求人の主張は採用できない。
キ 新規事項についてのむすび
したがって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであるから、本件補正は、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
3 本件補正についてのむすび
上記2(1)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
また、上記2(2)のとおり、本件補正は特許法126条7項の規定を準用する同法17条の2第6項の規定に違反し、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
また、上記2(3)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであるから、本件補正は、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年8月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1の記載は上記第2[理由]1に(本件補正前)として記載したとおりのものであるところ、本願発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。)。
(本願発明)
「【請求項1】
A 複数種の絵柄が周方向に付された複数の周回体と、
各前記周回体について一部の絵柄を視認可能とする表示部と、
操作された場合に各前記周回体の周回が開始される始動操作手段と、
操作された場合に各前記周回体の周回が停止される停止操作手段と、
前記始動操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を開始させ、前記停止操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を停止させる駆動制御手段と、
前記始動操作手段の操作に基づき、遊技者に特典を付与するか否かの抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果が所定結果である場合、前記所定結果に対応する特典を付与可能な特典付与手段と、
を備える遊技機であって、
B 前記抽選手段による抽選結果として、前記停止操作手段が第1の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第1結果と、前記停止操作手段が前記第1の操作態様とは異なる第2の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第2結果と、を有し、
C 前記抽選手段による抽選結果に基づいて、前記停止操作手段の操作態様に関する態様報知を実行可能な態様報知実行手段を備え、
D 前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態が設定されており、
E 所定の条件が成立した場合、前記特定状態を終了させることが可能な手段と、
F 前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1
<引用文献等一覧>
1.特開2018-94192号公報(新たに引用された文献)」
3 引用文献について
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018-94192号公報(平成30年6月21日公開)(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。)。
(1) 記載事項
ア「【0015】
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、図1に示すように、四角箱状の筐体11と、筐体11の正面側に開閉自在に取り付けられる前扉31を有する。この前扉31には、遊技者側に向かって臨む表示窓12が形成されている。
【0016】
また、前扉31の高さ方向略中央部には、スロットマシン10を作動させるための操作部31Aおよびメダル投入口14が設けられている。操作部31Aには、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50などが設けられている。
・・・
【0018】
上記した前扉31の表示窓12には、背後の回転リール40の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。回転リール40は、図柄表示窓13の裏側に配置されて、回転可能にスロットマシン10に取り付けられており、外周表面に表示された複数の図柄を変動表示又は停止表示するためのものである。本実施形態においては、左リール41、中リール42、右リール43の3個の回転リール40が設けられており、それぞれの回転リール40が個別に回転可能となっている。
【0019】
上記した図柄表示窓13からは、3個の回転リール40のそれぞれについて、上段、中段、下段の3段の図柄が表示されるようになっており、計9個の図柄が図柄表示窓13を通して表示されるようになっている。そして、この計9個の図柄の表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。有効ラインとは、3個の回転リール40のそれぞれについて表示位置にある図柄を1個ずつ繋いでできるラインのうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。この有効ラインに沿って役に対応付けられた図柄組合せが表示されると、当該役に入賞となる。」
イ「【0025】
(スタートスイッチ30)
スタートスイッチ30は、図1に示すように、操作部31Aの正面左側に位置するレバーである。遊技を開始可能な状態でスタートスイッチ30を操作すると、後述するリールユニット60の駆動が開始し、回転リール40の図柄が変動表示される。
【0026】
(ストップスイッチ50)
ストップスイッチ50は、後述するリールユニット60の駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、図1に示すように、各回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)に対応した3個のスイッチ(左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53)から構成され、各回転リール40の下方に一個ずつ配置されている。回転リール40に対応したストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止し、回転リール40の図柄が停止表示されるようになっている。
・・・
【0028】
(リールユニット60)
リールユニット60は、特に図示しないが枠体に固定あるいは支持された3個のステッピングモータと、各々のステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)とから構成されている。各回転リール40は、短円筒状の回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、それぞれ20乃至21個の図柄が等間隔で表示されている。」
ウ「【0041】
(当せん抽せん手段110)
当せん抽せん手段110は、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行うためのものである。すなわち、予め定めた抽せん確率に基づいて当せん役に係る抽せんを行うものである。そして、当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんである場合に当せんフラグが成立し、この当せんフラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
【0042】
具体的には、当せん抽せん手段110は、乱数を所定の範囲内で発生させる乱数発生手段を備え、この乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより抽せんを行う。本実施形態に係る当せん抽せん手段110は、16bitで乱数を発生させるため、0~65535までの65536通りの乱数を発生させるようになっている。後述する役抽せんテーブル120には、この65536通りの乱数のそれぞれに当せん役またはハズレが割り当てられているため、乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより当せん役またはハズレを特定することができる。
・・・
【0044】
(リール制御手段130)
リール制御手段130は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40を回転させると共に、特に図示しないがリール回転検知センサの検知信号に基づいて図柄の現在位置を認識しつつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果および有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づいて、回転リール40の停止を制御するためのものである。
エ「【0049】
なお、後述する押し順小役に当せんしており、正解の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、当該押し順小役に係る図柄を有効ライン上に引き込んで、押し順小役を入賞させる。一方、その正解の押し順以外の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、当該押し順小役に係る図柄が有効ライン上に揃わないようにして、押し順小役が入賞しないように制御する。
【0050】
(入賞判定手段140)
入賞判定手段140は、ストップスイッチ50の操作により3個の回転リール40が停止したときに、その表示態様に基づいて、入賞したか又は入賞なしかの判定を行うためのものである。具体的には、すべての回転リール40の回転が停止した際に、いずれかの有効入賞ライン上に所定の図柄配列が揃うことを条件として、当該図柄配列に対応した当せん役に入賞したと判定する。そして、入賞がメダル払い出しを伴う場合には、ホッパーユニット65に払い出し入賞信号を出力する(もしくはメダルを払い出す代わりにクレジットに加算する)。また、入賞が遊技状態を移行させるものであれば、遊技状態制御手段100に通知して遊技状態を移行させる。また、リプレイ役が入賞した場合には、自動ベット処理を行い、遊技メダルを新たに投入することなく次ゲームを開始できるようにする。」
オ「【0054】
(押し順報知制御手段210)
押し順報知制御手段210は、後述する有利区間において実施されるゲームにおいて押し順報知を制御するものである。具体的には、この押し順報知制御手段210は、押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役を入賞させるための正解の押し順(ストップスイッチ50の操作順)を報知する。押し順小役は所定の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される小役である。押し順が報知されない場合、どの押し順小役に当せんしたかが分からず、正解の押し順も分からないため、押し順小役を狙って入賞させることは困難となっている。一方で、正解の押し順が報知される場合には、押し順報知に従ってストップスイッチ50を操作することで容易に押し順小役を入賞させることができるようになっている。
本実施形態においては、特定遊技であるART(後述)の実行中に押し順報知が実行される。」
カ「【0059】
(特定遊技制御手段230)
特定遊技制御手段230は、特定遊技としてのARTの実行を制御するためのものである。すなわち、本実施形態に係るスロットマシン10では、リプレイ役の当せん確率が通常よりも高く設定されたリプレイ高確率状態において押し順報知が行われ、これによりART(アシストリプレイタイム)が実行されるようになっている。このようなARTでは、手持ちのメダルの目減りが少なくなるだけでなく、押し順報知に従ってストップスイッチ50を操作することで獲得メダル数が確実に増えていくようになっている。
【0060】
この特定遊技制御手段230は、後述する有利区間のゲーム中に(例えば有利区間において実行されるゲームにおいてスタートスイッチ30が操作されてゲームが開始するタイミングで)特定遊技抽せんを実行し、特定遊技抽せんに当せんしたときにARTを開始する制御を実行する。特定遊技制御手段230による特定遊技抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を特定遊技抽せんテーブルに照合することにより行われる。特定遊技抽せんテーブルにおいては、抽出可能なすべての乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数を特定遊技抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。」
キ「【0066】
(遊技区間制御手段240)
遊技区間制御手段240は、遊技区間を制御するためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は、遊技区間として、ストップスイッチ50の押し順が報知されない通常区間と、ストップスイッチ50の押し順を報知可能な有利区間と、を備えている。
・・・
【0069】
この遊技区間制御手段240は、通常区間のゲーム中(例えばゲームの開始時)に有利区間抽せんを実行し、有利区間抽せんに当せんしたときに遊技区間を有利区間に移行する制御を実行する。遊技区間制御手段240による有利区間抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより行われる。有利区間抽せんテーブルにおいては、抽出可能なすべての乱数にそれぞれ当せん領域が割り当てられているため、乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより、有利区間に当せんしたか否かを特定することができる。
【0070】
ところで、本実施形態に係る有利区間は、第1有利区間と、第1有利区間よりも特定遊技への移行確率が高く設定された第2有利区間と、を備えている。上記した有利区間抽せんにおいては、これらのいずれかの有利区間に当せんしたか、またはハズレかが決定される。
・・・
【0072】
上記した有利区間抽せんに当せんしていずれかの有利区間(第1有利区間または第2有利区間)に移行すると、押し順報知制御手段210による押し順報知が可能となる。なお、有利区間においてはすべてのゲームにおいて押し順が報知されるわけではなく、ARTの実行中など、所定の条件下でのみ押し順が報知される。
【0073】
この有利区間は、後ほど詳述するように、所定の終了条件を達成するまで継続する。所定の終了条件を達成したら、遊技区間制御手段240は有利区間を終了させ、遊技区間を通常区間に移行させる。」
ク「【0081】
具体的には、第1有利区間には、図4に示すような3つの終了条件が設定されている。すなわち、(1)設定差ありボーナス役に当せんするか、(2)予め設定されたゲーム数を有利区間において消化したか、(3)特定遊技抽せんに当せんして開始した特定遊技(ART)が終了したか、のいずれかの終了条件を達成したときに第1有利区間が終了し、遊技区間が通常区間に移行するようになっている。」
(2) 認定事項
上記(1)オに摘記した【0054】の記載(押し順が報知されない場合、どの押し順小役に当せんしたかが分からず、正解の押し順も分からない)を踏まえると、以下の事項が認められる。
(認定事項)
「押し順小役には、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される押し順小役が複数あること。」
(3) 引用発明
上記(1)ア~クの記載事項及び上記(2)の認定事項から、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
(引用発明)
「スロットマシン10は、四角箱状の筐体11と前扉31を有し、前扉31には、表示窓12が形成され(【0015】)、前扉31には、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50が設けられ(【0016】)、前扉31の表示窓12には、背後の回転リール40の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成され(【0018】)、図柄表示窓13からは、3個の回転リール40のそれぞれについて、上段、中段、下段の3段の図柄が表示され(【0019】)、3個の回転リール40が、図柄表示窓13の裏側に配置され(【0018】)、各回転リール40は、短円筒状の回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備え、リールテープの外周面には、それぞれ20乃至21個の図柄が等間隔で表示され(【0028】)、スタートスイッチ30を操作すると、回転リール40の図柄が変動表示され(【0025】)、ストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止し(【0026】)、リール制御手段130は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40を回転させると共に、有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づいて、回転リール40の停止を制御し(【0044】)、当せん抽せん手段110は、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより抽せんを行い(【0042】)、当せん抽せん手段110は、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行うためのもので、当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんである場合に当せんフラグが成立し、この当せんフラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与され(【0041】)、入賞判定手段140が、入賞したか又は入賞なしかの判定を行う(【0050】)、スロットマシン10であって、
押し順小役には、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される押し順小役が複数あり(認定事項)、押し順報知制御手段210は、押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役を入賞させるための正解の押し順を報知し(【0054】)、遊技区間として、ストップスイッチ50の押し順が報知されない通常区間と、ストップスイッチ50の押し順を報知可能な有利区間と、を備え(【0066】)、所定の終了条件を達成したら、遊技区間制御手段240は有利区間を終了させ、遊技区間を通常区間に移行させ(【0073】)、有利区間は、第1有利区間と、第1有利区間よりも特定遊技への移行確率が高く設定された第2有利区間と、を備え(【0070】)、遊技区間制御手段240は、通常区間のゲーム中に有利区間抽せんを実行し、有利区間抽せんに当せんしたときに遊技区間を有利区間に移行する制御を実行し(【0069】)、有利区間抽せんに当せんして第1有利区間または第2有利区間に移行すると、押し順報知制御手段210による押し順報知が可能となり(【0072】)、特定遊技制御手段230は、有利区間のゲーム中に特定遊技抽せんを実行し、特定遊技抽せんに当せんしたときに特定遊技としてのARTを開始し(【0059】~【0060】)、第1有利区間には、3つの終了条件が設定され、いずれかの終了条件を達成したときに第1有利区間が終了して、遊技区間が通常区間に移行する(【0081】)、
スロットマシン10(【0015】)。」
4 対比・当審合議体の判断
(1) 対比
ア 特定事項Aについて
引用発明の「回転リール40」、「図柄」は、本願発明の特定事項Aの「周回体」、「絵柄」に相当し、「20乃至21個の図柄」が複数種の図柄であること、「20乃至21個の図柄」が「リールテープの外周面」の周方向に表示されることは技術常識であることを踏まえると、引用発明の「20乃至21個の図柄」が「リールテープの外周面に」「表示され」る「3個の回転リール40」は、本願発明の特定事項Aの「複数種の絵柄が周方向に付された複数の周回体」に相当する。
引用発明の「図柄表示窓13」は、本願発明の特定事項Aの「表示部」に相当し、引用発明において、「図柄表示窓13からは、3個の回転リール40のそれぞれについて、上段、中段、下段の3段の図柄が表示され」る「3段の図柄」は、「各回転リール40」に「表示され」る「20乃至21個の図柄」の一部であることを踏まえると、引用発明の「3個の回転リール40のそれぞれについて」「3段の図柄が表示され」る「図柄表示窓13」は、本願発明の特定事項Aの「各前記周回体について一部の絵柄を視認可能とする表示部」に相当する。
引用発明の「スタートスイッチ30」、「図柄が変動表示され」ることは、本願発明の特定事項Aの「始動操作手段」、「周回が開始される」ことに相当するから、引用発明の「操作すると、回転リール40の図柄が変動表示され」る「スタートスイッチ30」は、本願発明の特定事項Aの「操作された場合に各前記周回体の周回が開始される始動操作手段」に相当する。
引用発明の「ストップスイッチ50」、「回転を停止」することは、本願発明の特定事項Aの「停止操作手段」、「周回が停止される」ことに相当するから、引用発明の「操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止」する「ストップスイッチ50」は、本願発明の特定事項Aの「操作された場合に各前記周回体の周回が停止される停止操作手段」に相当する。
引用発明の「有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づ」くこと、「有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づ」くこと、「リール制御手段130」は、本願発明の特定事項Aの「始動操作手段が操作された場合」、「停止操作手段が操作された場合」、「駆動制御手段」に相当するから、引用発明の「有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40を回転させると共に、有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づいて、回転リール40の停止を制御」する「リール制御手段130」は、本願発明の特定事項Aの「前記始動操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を開始させ、前記停止操作手段が操作された場合に各前記周回体の周回を停止させる駆動制御手段」に相当する。
引用発明の「複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行う」ことは、本願発明の特定事項Aの「遊技者に特典を付与するか否かの抽選を行う」ことに相当するから、引用発明の「スタートスイッチ30の操作タイミング」で「乱数発生手段が発生する乱数を」「抽出し、抽出した乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより抽せんを行い、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行う」「当せん抽せん手段110」は、本願発明の特定事項Aの「前記始動操作手段の操作に基づき、遊技者に特典を付与するか否かの抽選を行う抽選手段」に相当する。
引用発明の「所定の当せん役に当せん」すること、「回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与される」ことは、本願発明の特定事項Aの「所定結果」、「前記所定結果に対応する特典を付与可能な」ことに相当するから、引用発明の「当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんである場合に当せんフラグが成立し、この当せんフラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与される」ように「入賞したか又は入賞なしかの判定を行う」「入賞判定手段140」は、本願発明の特定事項Aの「前記抽選手段による抽選結果が所定結果である場合、前記所定結果に対応する特典を付与可能な特典付与手段」に相当する。
引用発明の「スロットマシン10」は、本願発明の特定事項Aの「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Aを備えている。
イ 特定事項Bについて
引用発明において、「複数あ」る「押し順小役」の「正解の押し順」が同じ押し順であると、どの押し順小役が当選したかが分からず、正解の押し順も分からないという事象は生じえないことは技術常識であることを踏まえると、「複数あ」る「押し順小役」の一つの、ある「押し順小役」の「正解の押し順」と、ある「押し順小役」とは別の「押し順小役」の「正解の押し順」は、異なるといえるから、引用発明の、ある「押し順小役」の「正解の押し順」、ある「押し順小役」とは別の「押し順小役」の「正解の押し順」は、本願発明の特定事項Aの「第1の操作態様」、「第1の操作態様とは異なる第2の操作態様」に相当する。これを踏まえると、引用発明の「当せん抽せん手段110は、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行」い、「当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんである場合に当せんフラグが成立」し、「押し順小役には」、「正解の押し順」で「ストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃う」ある「押し順小役」と、ある「押し順小役」の「正解の押し順」とは異なる「正解押し順」で「ストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃う」別の「押し順小役」があることは、本願発明の特定事項Bの「前記抽選手段による抽選結果として、前記停止操作手段が第1の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第1結果と、前記停止操作手段が前記第1の操作態様とは異なる第2の操作態様にて操作された場合に入賞が可能となる第2結果、を有」することに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Bを備えている。
ウ 特定事項Cについて
引用発明の「押し順を報知」、「押し順報知制御手段210」は、本願発明の特定事項Cの「停止操作手段の操作態様に関する態様報知」、「態様報知実行手段」に相当するから、引用発明の「押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役を入賞させるための正解の押し順を報知」する「押し順報知制御手段210」を備えることは、本願発明の特定事項Cの「前記抽選手段による抽選結果に基づいて、前記停止操作手段の操作態様に関する態様報知を実行可能な態様報知実行手段を備え」ることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Cを備えている。
エ 特定事項Dについて
引用発明の「押し順を報知可能」なこと、「有利区間」は、本願発明の特定事項Dの「態様報知が実行され易くなる」こと、「特定状態」に相当し、上記ウで検討したとおり、「押し順報知制御手段210」が「押し順を報知」することから、引用発明の「押し順報知制御手段210」が「押し順を報知」し、「遊技区間として、ストップスイッチ50の押し順が報知されない通常区間と、ストップスイッチ50の押し順を報知可能な有利区間と、を備え」ることは、本願発明の特定事項Dの「前記態様報知実行手段による前記態様報知が実行され易くなる特定状態が設定されて」いることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Dを備えている。
オ 特定事項Eについて
引用発明の「所定の終了条件を達成」することは、本願発明の特定事項Dの「所定の条件が成立した場合」に相当するから、引用発明の「所定の終了条件を達成したら」「有利区間を終了させ」る「遊技区間制御手段240」は、本願発明の特定事項Eの「所定の条件が成立した場合、前記特定状態を終了させることが可能な手段」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Eを備えている。
カ 特定事項Fについて
引用発明において、「第1有利区間よりも」「特定遊技としてのART」「への移行確率が高く設定された第2有利区間」は、「第1有利区間」よりも有利な状態といえ、引用発明では、「3つの終了条件」の「いずれか」「を達成し」て「第1有利区間が終了して」「移行」した「通常区間」で「有利区間抽せんに当せん」すると「第2有利区間に移行する」ことがあるから、これらを踏まえると、引用発明の「第1有利区間」で「3つの終了条件」の「いずれか」「を達成し」て「第1有利区間が終了して」「移行」した「通常区間」で「有利区間抽せんに当せん」すると「第2有利区間に移行する」ことがあるように「制御」する「遊技区間制御手段240」は、本願発明の特定事項Eの「前記特定状態が終了した後、次に開始される特定状態において、前記終了した特定状態よりも有利な状態となることを可能とする手段」に相当する。
また、上記アで述べたように、引用発明の「スロットマシン10」は、本願発明の特定事項Fの「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の特定事項Fを備えている。
(2) 当審合議体の判断
上記(1)ア~カからみて、本願発明と引用発明とは相違するところがなく、本願発明は引用発明である。
また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 請求人の主張について
ア 請求人の主張の概要
請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」において、以下のとおり主張する。なお、審判請求書における「引用文献2」は、本審決における引用文献1(引用発明)が対応するものである。
「(3)拒絶査定(補正却下)に対する意見
本願発明では、特定状態としての有利区間が終了すると必ず有利となるわけではなく、有利区間中に所定の条件が成立して当該有利区間が終了することで、次の有利区間が有利な状態となる構成であることが明確化したうえで、所定の条件が成立した場合には、それを保持した状態で有利区間を終了させることができるようにしているため、せっかく有利に進行させることが可能な所定の条件が成立したのにもかかわらず、特定状態がなかなか終了しないことによって所定の条件が成立していない状況となってしまう、といった不都合を生じさせないようにすることが可能となる。・・・
また、令和5年12月15日付提出の意見書にて主張しているとおり、引用文献2では、ボーナス当選で第1有利区間が終了して、次の有利区間が第2有利区間となる可能性があるものの、有利区間移行時の振分は前回の有利区間中の情報にかかわらず一律なものであり(図9(a)、図11等)、本願発明とは異なるし、本願発明のようにすることの動機付けとなるような記載もない。つまり、引用文献2においては、第1有利区間が終了した後、必ず第2有利区間となるわけではなく、第1有利区間が終了した後、再度第1有利区間となることもあるし、一の有利区間中の情報を次の有利区間に引き継がないようにすることが必要(有利区間の終了時に初期化が必要)である、といった本願出願時の本分野における技術常識からすると、引用文献2に接した当業者が、第1有利区間の終了時の条件の成立の有無によって、次の有利区間の種類を異ならせるようにするとは到底考えられない。
よって、本願発明は、引用文献2に記載された発明ではないし、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもないことは明らかである。」
イ 請求人の主張についての検討
上記アの請求人の主張は、上記第2[理由]1に(本件補正後)として記載した請求項1に対する主張であるところ、本件補正は、上記第2[補正の却下の決定の結論]に示したとおり、却下されている。
そして、上記第2[理由]1に(本件補正前)として記載した本願発明は、上記アで請求人が主張する「所定の条件が成立」することや、「所定の条件が成立した場合には、それを保持した状態で有利区間を終了させること」は特定されていないから、請求人の主張は、本願発明の記載に基づくものでない。
したがって、審判請求書における請求人の主張は採用できない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-007829