特許拒絶査定不服審判
2020-006175
撮像装置
- 審判番号
- 2020-006175
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-195725外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年05月07日
- 審決日
- 2020年12月21日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソー
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-195725号「撮像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年4月12日出願公開、特開2018-59986号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年10月3日を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 9月27日付け:拒絶理由通知書
令和元年12月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 1月24日付け:拒絶査定(謄本発送 同年2月4日)
令和2年 5月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和2年5月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年5月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
車両の前方を撮像する撮像装置(1)であって、
レンズ(30)と、
前記レンズを内部に保持する本体部(21)と、前記本体部の外面から突出して設けられ、ネジ(71,72)が貫通可能な貫通孔(221a,231a)を有する板状の部位である少なくとも1つの羽根部(22,23)と、を有するレンズモジュール(20)と、
前記本体部に固定され、撮像素子(51)を有する基板(50)と、
前記レンズ、前記レンズモジュール及び前記基板を収容し、前記ネジが螺合可能な少なくとも1つのネジ穴(641,642)が内面に形成されたケース(60)と、
を備え、
前記少なくとも1つの羽根部は、前記本体部において、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向における前記レンズ側の端部に設けられ、
前記レンズモジュールが、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向に沿って前記ネジが前記貫通孔を貫通して前記ネジ穴に螺合されることにより、前記基板を介さずに前記ケースに固定されている、撮像装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年12月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
車両の前方を撮像する撮像装置(1)であって、
レンズ(30)と、
前記レンズを内部に保持する本体部(21)と、前記本体部の外面から突出して設けられ、ネジ(71,72)が貫通可能な貫通孔(221a,231a)を有する板状の部位である少なくとも1つの羽根部(22,23)と、を有するレンズモジュール(20)と、
前記本体部に固定され、撮像素子(51)を有する基板(50)と、
前記レンズ、前記レンズモジュール及び前記基板を収容し、前記ネジが螺合可能な少なくとも1つのネジ穴(641,642)が内面に形成されたケース(60)と、
を備え、
前記レンズモジュールが、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向に沿って前記ネジが前記貫通孔を貫通して前記ネジ穴に螺合されることにより、前記ケースに固定されている、撮像装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「羽根部」について、「前記少なくとも1つの羽根部は、前記本体部において、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向における前記レンズ側の端部に設けられ」るとの限定を付加するとともに、「ケースに固定されている」「レンズモジュール」について、「前記基板を介さずに」固定されているとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1」「(1)」に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された出願前に頒布された引用文献である特開2015-193366号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
a 「【技術分野】
【0001】
本願発明は、様々な車種に取り付けられる車載機器の車載カメラ用筐体の製造方法、および車載カメラ用筐体、および車載カメラに関する。」
b 「【0012】
本願発明の実施形態に係る筐体(車載カメラ用筐体)3は、様々な車種への取り付けを想定した、車載機器用の汎用的な筐体である。図1に示すように、本実施形態では、筐体3が車載カメラ(車載機器)100に用いられる。
【0013】
(車載カメラの全体構成)
最初に、図1~図3を参照し、車載カメラ100の全体構成を説明する。
図1~図3に示すように、車載カメラ100は、走行中の映像を撮像するものである。この車載カメラ100は、基板1と、カメラ本体部(車載機器本体部)2と、基板1およびカメラ本体部2を収容する筐体3と、を有する。
【0014】
基板1は、カメラ本体部2の撮像および撮像した映像を記憶あるいは他の装置に伝送するためのものである。この基板1には、カメラ本体部2、処理回路素子4、コネクタ6などが実装されている。また、図示しないが、電源回路素子、コンデンサ、マイコン、ICなどの車載カメラ100として必要な部材も設けられている。
【0015】
カメラ本体部2は、対象物である視覚情報を撮像する装置である。カメラ本体部2は、筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられており、レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子(図示省略)が収納されている。
【0016】
レンズ部21は、カメラ本体部2の前方の位置に突出して配置されるとともに、被写界深度が一般的なデジタルカメラと同じように構成されるように複数のものが併せて使用される。また、撮像素子は、外界の視覚情報を画像として撮像するものである。撮像するときに使用される素子は、CMOSなどが用いられている。
【0017】
カメラ本体部2は、レンズ部21の光軸が後記する基準取付方向を向くように、カバー筐体3aの台座34(図6)に固定されている。なお、ここでは便宜上、カメラ本体部2をカバー筐体3aから離した状態で図示している。
【0018】
具体的には、カメラ本体部2は、その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23を有する。そして、カメラ本体部2は、この固定部材23により台座34に固定される。 本実施形態において、固定用突起部22はアルミニウム製又はアルミニウム合金である。また、固定用突起部22は塗装されておらず、固定用突起部22が台座に接触する面は、金属面が露出している。しかし、この構成は本発明において必須ではない。必要に応じて固定用突起部22は塗装されても良い。また、固定用突起部22を樹脂製の部材としても良い。」
c 「【0029】
次に、車載カメラ100の取り付け状態について説明する。
図4及び図5に示すように、車載カメラ100は、車両のフロントガラス50の室内側に、カバー筐体3aがフロントガラス50側になるとともに、車載カメラ100の前方が斜め下側(斜め前方側)を向くように取り付ける。すなわち、車載カメラ100は、カメラ本体部2がフロントガラス50側になるとともに、車載カメラ100の後方が天井70側になるように取り付ける。このように、車載カメラ100は、筐体3がフロントガラス50に沿うように取り付けられるので、乗員の前方視野の妨げとならない。」
d 図2、6及び7は次のとおりである。
【図2】
【図6】
【図7】
(イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「カメラ本体部2がフロントガラス50側になるように取り付けられる(【0029】)車載カメラ100(【0001】)であって、
前記カメラ本体部2は、筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ(【0015】)、
前記カメラ本体部2は、その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23を有し(【0018】)、
前記カメラ本体部2には、前記レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子が収納され(【0015】)、
前記カメラ本体部2は、カバー筐体3aの台座34に固定されている(【0017】)、
車載カメラ100。」
イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された出願前に頒布された引用文献である特開2013-55539号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや車載カメラ(例えば、バックモニタカメラなど)等の撮像装置の製造方法に関する。」
b 「【0016】
図3は、カバー6及び接続コード7を取り外した状態の撮像装置1の背面側を示す図である。図3に示すように、撮像素子4を保持した基板5は、レンズセル3の背面側に突出するように設けた4つの基板固定用部材8a,8b,8c,8dの端面に位置決めされて接着剤で固定されている。」
c 図2及び3は次のとおりである。
【図2】
【図3】
ウ 引用文献4
原査定の拒絶の理由で引用文献4として引用された出願前に頒布された引用文献である特開2016-14564号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニットに関する。」
b 「【0018】
2台の単眼カメラ11、12でそれぞれ被写体を撮影する。単眼カメラ11、12は、裏側からネジ35(図2では、1台の単眼カメラにつき3箇所)によって筐体15に固定される。」
c 「【0035】
撮像ユニット1に備えられる単眼カメラ11は、ホルダ31と、ホルダ31の前面側に設けられるレンズ32と、レンズ32を保持するレンズ固定部材(レンズセル)33と、を含んで構成されている。単眼カメラ11には撮像素子基板22aが備えられており、撮像素子基板22aには、撮像素子22bが実装されている。なお、本実施形態において、被写体側を前面側とする。単眼カメラ12の構成も、単眼カメラ11の構成と基本的に同じである。」
d 図2及び3は次のとおりである。
【図2】
【図3】
エ 引用文献5
原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された出願前に頒布された引用文献である中国実用新案第201957147号明細書(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある(日本語訳は当審が作成した。)。
a 「
」
(日本語訳:[0018] カバー9は設置してある撮像部のレンズ7を露出させる係合穴11は、カバー9は撮像部外に覆って、レンズは7の前端はカバー9の係合穴11によってカバー9外に露出する。大円の形ゴムリング8はレンズ7の防水カードスロットに組み立て、カバー9と撮像部は2個のねじ14によって締結し、大円の形ゴムリング8は組立完了である場合カバー9の係合穴11の側壁とレンズ7のカードスロットの間に介在して、あり一定であることは圧縮量に、このような構造は車を乗り換えのカメラを車尾に取り付けた後、車両洗浄である時防水作用をさらに果たすことができさせられる。カバー9の両側はまた車尾の貼り付けと一緒にいることができるボス12が設けられていて、ボス12はまたライセンスライトの固定ねじの互いに合わした固定孔13と設置してある。)
b 図2は次のとおりである。
【図2】
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「カメラ本体部2がフロントガラス50側になるように取り付けられる車載カメラ100」は、本件補正発明の「車両の前方を撮像する撮像装置」に相当する。
(イ)引用発明の「レンズ部21」は、本件補正発明の「レンズ」に相当する。
(ウ)引用発明の「ネジである固定部材23」は、本件補正発明の「ネジ」に相当する。
また、引用発明の「ネジである固定部材23」を「固定用突起部22の穴に挿入」する「光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」は、「光軸から離れる方向に伸びる部位」であるから、板状の部位であるといえる。
したがって、引用発明の、「レンズ部21が設けられ」る「筒型形状のレンズ収納部」からなる部位の「後方に」おいて、「穴に」「ネジである固定部材23」が「挿入」される「光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」は、本件補正発明の「本体部の外面から突出して設けられ、ネジが貫通可能な貫通孔を有する板状の部位である少なくとも1つの羽根部」に相当する。
(エ)引用発明の本体部2は、「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23を有し」、「前記レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子が収納され」、「カバー筐体3aの台座34に固定されている」部材であるから、当該本体部2のうち、「レンズ部21が設けられ」る「筒型形状のレンズ収納部」からなる部位は、本件補正発明の「前記レンズを内部に保持」する「本体部(21)」に相当する。
(オ)引用発明の本体部2は、「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23を有し」、「前記レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子が収納され」、「カバー筐体3aの台座34に固定されている」部材であるから、当該本体部2のうち、「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」からなる部位は、本件補正発明の「前記レンズを内部に保持する本体部(21)と、前記本体部の外面から突出して設けられ、ネジ(71,72)が貫通可能な貫通孔(221a,231a)を有する板状の部位である少なくとも1つの羽根部(22,23)と、を有するレンズモジュール(20)」に相当する。
(カ)撮像素子及び「レンズ部21が設けられ」る「筒型形状のレンズ収納部」がカメラ本体部2に固定されていることは明らかであるから、引用発明の「カメラ本体部2には、前記レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子が収納され」ることは、撮像素子と「レンズ部21が設けられ」る「筒型形状のレンズ収納部」も結果として固定されているということができる。
したがって、引用発明の「カメラ本体部2には、前記レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子が収納され」ることは、本件補正発明の「撮像素子(51)」が「前記本体部に固定され、撮像素子(51)を有する基板(50)」により「本体部に固定され」ていることと、「撮像素子(51)」が「本体部に固定され」ていることの点で一致する。
(キ)引用発明の「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」からなる部位は、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23を有し」、「カバー筐体3aの台座34に固定されている」から、「カバー筐体3aの台座34に」ネジ穴が形成され、当該ネジ穴に「ネジである固定部材23」で固定されるものであると解される。
したがって、引用発明の「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」からなる部位が、「カバー筐体3aの台座34に固定されている」「カバー筐体3a」は、本件補正発明の「前記レンズ、前記レンズモジュール及び前記基板を収容し、前記ネジが螺合可能な少なくとも1つのネジ穴が内面に形成されたケース」と、「前記レンズ及び前記レンズモジュールを収容し、前記ネジが螺合可能な少なくとも1つのネジ穴が内面に形成されたケース」の点で一致する。
(ク)引用発明の「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」からなる部位が、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23を有し」、「カバー筐体3aの台座34に固定されている」ことは、本件補正発明の「レンズモジュールが、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向に沿って前記ネジが前記貫通孔を貫通して前記ネジ穴に螺合されることにより、前記基板を介さずに前記ケースに固定されている」ことと、「レンズモジュールが、前記ネジが前記貫通孔を貫通して前記ネジ穴に螺合されることにより、前記ケースに固定されている」ことの点で一致する。
イ 以上アによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「車両の前方を撮像する撮像装置であって、
レンズと、
前記レンズを内部に保持する本体部と、前記本体部の外面から突出して設けられ、ネジが貫通可能な貫通孔を有する板状の部位である少なくとも1つの羽根部と、を有するレンズモジュールと、
前記本体部に固定される撮像素子を有し、
前記レンズ及び前記レンズモジュールを収容し、前記ネジが螺合可能なネジ穴が内面に形成されたケースと、
を備え、
前記レンズモジュールが、前記ネジが前記貫通孔を貫通して前記ネジ穴に螺合されることにより、前記ケースに固定されている、撮像装置。」
【相違点1】
撮像素子の固定に関して、
本件補正発明は、「撮像素子」を基板が有し、当該基板が「本体部に固定され」、「ケース」が当該基板を収容し、「レンズモジュール」が当該基板を介さずに「ケースに固定されている」と特定されるのに対し、引用発明は、このような基板を備えると特定されない点。
【相違点2】
羽根部に関して、
本件補正発明は、「前記本体部において、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向における前記レンズ側の端部に設けられ」ると特定されるのに対し、引用発明の「固定用突起部22」はこのように設けられると特定されない点。
【相違点3】
レンズモジュールに関して、
本件補正発明は、「前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向に沿って」前記ネジが前記貫通孔を貫通して前記ネジ穴に螺合されることにより、前記基板を介さずに前記ケースに固定されているのにして、引用発明の「筒型形状のレンズ収納部にレンズ部21が設けられ」、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22」からなる部位は、「レンズと撮像素子とが配置される方向に沿って」と特定されない点。
(4)判断
ア 相違点1について検討する。
引用発明の「撮像素子」は、「カメラ本体部2」において、「レンズ部21の光軸線上で焦点位置に」「収納され」るものであるところ、通常CCDチップのような構造である「撮像素子」をそのまま使用するのではなく、基板に取り付けてから使用することは本願出願日当時の技術常識であり、また、ことのことは、引用文献2に「撮像素子4を保持した基板5は、レンズセル3の背面側に・・・固定されている」(【0016】)「車載カメラ」(【0001】)が記載されているように周知の事項である。
そして、引用発明において、撮像素子を基板に取り付けた上でカメラ本体部2に収納し固定すれば、当該基板が、カバー筐体3aに収容されることは明らかである。
また、当該基板はカメラ本体部2に収納されているから、カメラ本体部2を固定用突起部22でカバー筐体3aの台座34に固定すれば、当該基板を介さずにカバー筐体3aの台座34に固定されることも明らかである。
したがって、引用発明において、「撮像素子」を基板に取り付ける構成となし、上記相違点1に係る本件補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について検討する。
本件補正発明における、「少なくとも1つの羽根部は、前記本体部において、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向における前記レンズ側の端部に設けられ」るとの発明特定事項(以下「特定事項A」という。)は、その意味するところが必ずしも明瞭であるとはいえず、また、発明の詳細な説明の【0019】、及び、図3、5の記載に対応しないが、発明の詳細な説明の【0009】の効果に鑑みて、特定事項Aのような位置に設けることは当業者が適宜なし得ることであり、特定事項Aのような位置に設けることに格別の技術的意義はなく、設計的事項である。
そして、引用発明も、ネジである固定部材23がカメラ本体部2を貫通していないことに照らして、本件補正発明と同じ効果を奏するものであると認められる。
したがって、相違点2は格別のものではない。
ウ 相違点3について検討する。
引用発明において、「カメラ本体部2」を、「その後方に、光軸から離れる方向に伸びる部位である固定用突起部22と、この固定用突起部22の穴に挿入されたネジである固定部材23」を用いて、「カバー筐体3aの台座34に固定」する(以下単に「ネジとめ」という。)に際して、ネジである固定部材23をどの方向で固定するかは設計事項である。
引用発明が、「カメラ本体部2には、前記レンズ部21の光軸線上で焦点位置に撮像素子が収納され」るものであることに照らせば、当該光軸線方向であるレンズ部と撮像素子とが配置される方向に沿ってネジとめすることは当業者が適宜なし得ることであり、また、レンズ部と撮像素子とが配置される方向にネジとめすることは引用文献4の特に図2、3、ないし、引用文献5の図2に見られるとおり従来周知の事項にすぎない。
また、引用発明においてこのような方向にネジとめすることに阻害要因もない。
したがって、引用発明において、レンズ部と撮像素子とが配置される方向にネジとめすることにより上記相違点3に係る本件補正発明の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2、4、5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年12月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]「1」「(2)」に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、
(理由1)この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。
引用文献1:特開2015-193366号公報
引用文献2:特開2010-107544号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2016-14564号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:中国実用新案第201957147号明細書(周知技術を示す文献)
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2、4、5の各記載事項及び引用発明は、前記第2[理由]「2」「(2)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]「2」で検討した本件補正発明から、「羽根部」について、「前記少なくとも1つの羽根部は、前記本体部において、前記レンズと前記撮像素子とが配置される方向における前記レンズ側の端部に設けられ」る点(相違点2)、及び、「ケースに固定されている」「レンズモジュール」について、「前記基板を介さずに」固定されている点(相違点1の一部)に係る限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項(相違点1の一部、相違点2)を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2」[理由]「2」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2、4、5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、引用発明及び引用文献2、4、5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-006175