2020-003175
空気調和機
- 審判番号
- 2020-003175
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-530996外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年03月06日
- 審決日
- 2021年04月09日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F25B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 19項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016年(平成28年)8月1日(日本国受理)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成30年11月19日に国内書面、上申書及び手続補正書の提出
令和元年9月17日付けで拒絶の理由の通知
令和元年11月11日に意見書及び手続補正書の提出
令和元年12月26日付けで拒絶査定
令和2年3月6日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出
令和2年5月28日に上申書の提出
令和2年10月9日付けで当審における拒絶の理由の通知
令和2年11月24日に意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明は、令和2年11月24日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び平成30年11月19日に提出された手続補正書により補正された図面の記載によれば、特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機に接続された流路切替装置と、前記流路切替装置に接続され、第1熱交換部および第2熱交換部を有する第1熱交換器と、続きを表示(全11行)前記第1熱交換部および前記第2熱交換部の周囲に空気を流すファンと、前記第1熱交換器に接続された絞り装置と、前記絞り装置に接続された第2熱交換器とを備え、前記流路切替装置は、前記圧縮機により圧縮された前記冷媒を前記第1熱交換器に流すか、前記第2熱交換器に流すかを切り替えるように構成されており、冷房運転時および暖房運転時に前記第1熱交換部および前記第2熱交換部のいずれかは前記ファンが流す空気の風下側に配置された冷媒入口と風上側に配置された冷媒出口とを有し、前記第1熱交換部は、前記ファンに対して前記第2熱交換部と反対側に配置されており、前記冷媒は、暖房運転時に前記第1熱交換器が凝縮器として用いられる場合に前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに順に流れ、かつ冷房運転時に前記第1熱交換器が蒸発器として用いられる場合に前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに並行して流れる、空気調和機。」
第3 令和2年10月9日付けで通知した拒絶の理由
当審において、令和2年10月9日付けで通知した拒絶の理由のうち、本願の請求項1に係る発明についての理由は、概略以下のとおりである。
<理由1(進歩性)について>
本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
第4 引用文献
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された引用文献1には、「空気調和機」に関し、次の記載がある(なお、下線は理解の一助として当審において付したものである。以下同様。)。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、冷房、暖房兼用のヒートポンプ式空気調和機に係わり、とくに、代替冷媒を使用するものの効率を向上させたものに関する。【0002】【従来の技術】従来、図3の冷凍サイクルの系統図に示すように、圧縮機1の吐出口から吐出される冷媒を、四方弁2、室外熱交換器3、減圧器4、室内熱交換器5、四方弁2を経て圧縮機1の吸込口に循環するヒートポンプ式冷凍サイクルを備える空気調和機は、室内熱交換器5と室外熱交換器3の冷媒流路を例えば2流路設け、冷房時、暖房時共に同じ、直列流路または並列流路として動作させていた。即ち、平成7年度日本冷凍協会講演論文集(7-10-31,11-1,2,東京)に掲載の「HFC混合冷媒を用いたルームエアコンの性能評価」に示されるように、熱交換器のパス数(流路数)を減少すると、伝熱性能の向上により凝縮器としての性能は上昇するが、圧力損失が増大するため、蒸発器として使用した場合はサイクル効率の低下を招くため、通常、上述のように、凝縮器としての伝熱性能と、蒸発器としての圧力損失をバランスさせて熱交換器のパス数(流路数)を決定していた。しかし、この方法では、凝縮器または蒸発器として最も効率の良い状態で使用しておらず、より高い効率の向上が求められていた。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は以上述べた問題点を解決し、凝縮器としても、蒸発器としても最も効率の良い状態で使用可能なヒートポンプ式の空気調和機を提供することを目的としている。」
「【0007】【実施例】以下、図面に基づいて本発明による空気調和機を詳細に説明する。図1は本発明による空気調和機の一実施例を示す冷凍サイクルの系統図、図2は同電磁弁の動作を示す動作表である。図において、図3と同一機能は同一記号を使用しており、従来の技術の項で説明したので、説明を省略する。図において、3a、3bは室外熱交換器3の冷媒管の挿通される冷媒流路、5a、5bは室内熱交換器5の冷媒管の挿通される冷媒流路である。6は二方弁で、室外機と室内機との冷媒管の接続に使用される。7は三方弁で、二方弁6と同様に室外機と室内機との冷媒管の接続に使用される他、冷媒の追加等に使用される。11、21は第1の電磁弁で、冷媒流路3bと四方弁2の間、または、冷媒流路5bと四方弁2(三方弁7)の間に各々介装され、各々の冷媒流を開閉するように制御される。12、22は第2の電磁弁で、減圧器4と室外熱交換器3の冷媒流路3a、3bの合流点Aとの間、減圧器4(二方弁6)と室内熱交換器5の冷媒流路5a、5bの合流点Bとの間に各々介装され、各々の冷媒流を開閉するよう制御される。13、23は第3の電磁弁で、前記冷媒流路3bと第1の電磁弁11との間の点Cと減圧器4と第2の電磁弁12との間の点E間、冷媒流路5bと第1の電磁弁21との間の点Dと減圧器4と第2の電磁弁22との間の点F間に各々連結され、各々の冷媒流を開閉するよう制御される。【0008】以上の構成において、つぎにその動作を説明する。図2は前記各電磁弁の動作を示す動作表である。図に示すように、冷房時は、室外側の第1の電磁弁11、第2の電磁弁12は閉塞され、第3の電磁弁13が開放されるので、冷媒流路3aと冷媒流路3bが直列に接続され、冷媒は図の実線で示す矢印の方向に流れる。また、室内側の第1の電磁弁21、第2の電磁弁22は開放され、第3の電磁弁23が閉塞されるので、冷媒流路5aと冷媒流路5bが並列に接続され、冷媒は図の実線で示す矢印の方向に流れる。【0009】暖房時は、室外側の第1の電磁弁11、第2の電磁弁12は開放され、第3の電磁弁13が閉塞されるので、冷媒流路3aと冷媒流路3bが並列に接続され、冷媒は図の点線で示す矢印の方向に流れる。また、室内側の第1の電磁弁21、第2の電磁弁22は閉塞され、第3の電磁弁23が開放されるので、冷媒流路5aと冷媒流路5bが直列に接続され、冷媒は図の実線で示す矢印の方向に流れる。【0010】従って、室外熱交換器3および室内熱交換器5は、凝縮器として働く時は、その冷媒流路を直列に接続することにより、熱交換器のパス数(流路数)を減少して、伝熱性能の向上させ、蒸発器として働くときは、その冷媒流路を並列に接続することにより、熱交換器のパス数(流路数)を増加して、圧力損失を減少させるので、冷房時、暖房時共、最も効率のよい空気調和器の冷凍サイクルを構成することができる。」
「」
(2)上記(1)記載から認められること
ア 上記(1)(特に、段落0001、0003及び0007並びに図1の記載)によれば、引用文献1には、空気調和機が記載されている。
イ 上記(1)(特に、段落0002及び0007並びに図1の記載)によれば、空気調和機は、冷媒を圧縮する圧縮機1を備えている。
ウ 上記(1)(特に、段落0002及び0007並びに図1の記載)によれば、空気調和機は、圧縮機1に接続された四方弁2を備えている。
エ 上記(1)(特に、段落0002及び0007並びに図1の記載)によれば、空気調和機は、四方弁2に接続され、冷媒流路5aが設けられた部分および冷媒流路5bが設けられた部分を有する室内熱交換器5を備えている。
オ 上記(1)(特に、段落0002及び0007並びに図1の記載)によれば、空気調和機は、室内熱交換器5に接続された減圧器4を備えている。
カ 上記(1)(特に、段落0002及び0007並びに図1の記載)によれば、空気調和機は、減圧器4に接続された室外熱交換器3を備えている。
キ 上記(1)(特に、段落0002及び0007~0009並びに図1の記載)によれば、四方弁2は、圧縮機1により圧縮された冷媒を室内熱交換器5に流すか、室外熱交換器3に流すかを切り替えるように構成されている。
ここで、段落0008には、冷媒の流れについて、冷房時は実線で示し、暖房時は点線で示すことが記載され、上記図1の記載から上記の四方弁2による冷媒の切り替えが見て取れる。
ク 上記(1)(特に、段落0002、0007~0010並びに図1及び2の記載)によれば、空気調和機において、冷媒は、暖房運転時に室内熱交換器5が凝縮器として用いられる場合に冷媒流路5aと冷媒流路5bが直列に接続されて前記冷媒流路5aが設けられた部分と前記冷媒流路5bが設けられた部分とに順に流れ、かつ冷房運転時に前記室内熱交換器5が蒸発器として用いられる場合に前記冷媒流路5aと前記冷媒流路5bが並列に接続されて前記冷媒流路5aが設けられた部分と前記冷媒流路5bが設けられた部分とに並行して流れるようにされている(なお、図1の室内熱交換器5における、冷房時の実線で示された冷媒の流れ及び暖房時の点線で示された流れを参照のこと。)。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「冷媒を圧縮する圧縮機1と、前記圧縮機1に接続された四方弁2と、前記四方弁2に接続され、冷媒流路5aが設けられた部分および冷媒流路5bが設けられた部分を有する室内熱交換器5と、前記室内熱交換器5に接続された減圧器4と、前記減圧器4に接続された室外熱交換器3とを備え、前記四方弁2は、前記圧縮機1により圧縮された前記冷媒を前記室内熱交換器5に流すか、前記室外熱交換器3に流すかを切り替えるように構成されており、前記冷媒は、暖房運転時に前記室内熱交換器5が凝縮器として用いられる場合に前記冷媒流路5aと前記冷媒流路5bが直列に接続されて前記冷媒流路5aが設けられた部分と前記冷媒流路5bが設けられた部分とに順に流れ、かつ冷房運転時に前記第1熱交換器が蒸発器として用いられる場合に前記冷媒流路5aと前記冷媒流路5bが並列に接続されて前記冷媒流路5aが設けられた部分と前記冷媒流路5bが設けられた部分とに並行して流れる、空気調和機。」
2 引用文献2
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献2には、「空気調和装置の室内機」に関し、次の記載がある。
「[0009] 実施形態1.以下、図面を参照しながら本発明の空気調和装置の室内機の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の空気調和装置の室内機の実施形態1を示す斜視図、図2は本発明の空気調和装置の室内機の実施形態1を示す断面図である。図1及び図2の室内機1は、例えば室内の壁に設置される壁掛け型の室内機であって、ケース2と、ケース2内に収容された送風ファン3と、ケース2内に収容され送風ファン3により送風される熱交換器ユニット10とを有している。[0010] ケース2は、例えば樹脂等の材料からなる背面ケース2a及び前面ケース2bを有しており、背面ケース2aは壁等に固定され、前面ケース2bは背面ケース2aに取り付けられている。また、背面ケース2aには送風ファン3及び熱交換器ユニット10が装着されている。背面ケース2aは、送風ファン3に対向する位置に吸引した空気を流通させるための風路を形成する風路壁2wを有しており、風路壁2wは例えば円弧形状に傾斜した形状を有している。[0011] 前面ケース2bには、上面に空気の吸込口2xが形成されているとともに、熱交換器ユニット10において熱交換された調和空気を吹き出す吹出口2zが形成されている。この吹出口2zには上下風向調整板(フラップ)が回動可能に配置されており、上下風向調整板は吹出口2zから吹き出される調和空気の風向きを調整する。続きを表示(全18行)[0012] 送風ファン3は、例えばクロスフローファンまたは貫流ファン等のラインフローファンからなり、吸込口2xから吹出口2zまでの風路のうち、熱交換器ユニット10の下流側であって吹出口の上流側に設けられている。そして、送風ファン3は、吸込口2xから室内空気を吸い込み、吹出口2zから空調空気を吹き出す。送風ファン3の一端側は、背面ケース2aにベアリング等を介して回転可能に支持されており、モータに接続されている。[0013] 熱交換器ユニット10は、冷房運転時には蒸発器として機能して空気を冷却し、暖房運転時には凝縮器として機能して空気を加温するものであって、送風ファン3の上流側であって、送風ファン3の前面及び上面を取り囲むような形状になっている。熱交換器ユニット10は、前面ケース2b側であって送風ファン3の前方側に位置する第1熱交換器20と、背面ケース2a側であって送風ファン3の後方側に傾斜した第2熱交換器30とを有している。[0014] 図3は図2の空気調和装置の室内機における第1熱交換器の一例を示す模式図である。図2及び図3に示すように、第1熱交換器20は、ケース2の幅方向(矢印X方向)及び空気流れ方向にそれぞれ配列された複数の第1伝熱管21と、複数の第1伝熱管21の下端に接続された第1下部ヘッダ22と、複数の第1伝熱管21の上端に接続された第1上部ヘッダ23とを有している。第1伝熱管21は、例えば空気流れ方向(熱交換器ユニット10の厚み方向)に複数の冷媒流路を有する扁平管がケース2の幅方向(矢印X方向)に複数配列された構造を有している。あるいは、第1伝熱管21は1つの冷媒流路を有する管からなっており空気流れ方向に複数配列されたものであってもよい。[0015] この複数の第1伝熱管21は、鉛直方向(矢印Z方向)に延びるように配置されている。特に、複数の第1伝熱管21は、前面ケース2b側に向かって凸形状になるように曲線状に形成されており、直線形状に形成される場合に比べて実装面積を向上させた形状を有している。また、第1熱交換器20は、ケース2の幅方向(矢印X方向)に配列された複数の第1伝熱管21の間に配置された第1放熱フィン24を有し、第1放熱フィン24は第1伝熱管21を流通する冷媒と空気との間で熱交換を行うようになっている。[0016] 第2熱交換器30は、図3に示す第1熱交換器20と同様の構造を有するものであって、ケース2の幅方向(矢印X方向)及び空気流れ方向にそれぞれ配列された複数の第2伝熱管31と、複数の第2伝熱管31の下端に接続された第2下部ヘッダ32と、複数の第2伝熱管31の上端に接続された第2上部ヘッダ33とを有している。第2伝熱管31は、例えば空気流れ方向(熱交換器ユニット10の厚み方向)に複数の冷媒流路を有する扁平管がケース2の幅方向(矢印X方向)に複数配列された構造を有している。あるいは、第2伝熱管31は1つの冷媒流路を有する管からなっており空気流れ方向に複数配列されたものであってもよい。第2伝熱管31は、鉛直方向(矢印Z方向)に延びるように直線状に形成されている。また、第2熱交換器30は、ケース2の幅方向(矢印X方向)に配列された複数の第2伝熱管31の間に配置された第2放熱フィン34を有し、第2放熱フィン34は第2伝熱管31を流通する冷媒と空気との間で熱交換を行うようになっている。[0017] なお、図2において、第1上部ヘッダ23、第1下部ヘッダ22、第2上部ヘッダ33及び第2下部ヘッダ32はそれぞれ断面略矩形状である場合について例示しているが、この形状に限られず、例えば断面円形状等に形成したものであってもよい。また、第1熱交換器20及び第2熱交換器30は、第1伝熱管21及び第2伝熱管31が鉛直方向(矢印Z方向)に延びて形成されているものであれば、図3のようなフィン構造を有する場合に限定されない。例えば第1熱交換器20及び第2熱交換器30は、伝熱管(扁平管)自体がフィンとして機能し、冷媒流路を流れる冷媒と空気との間で熱交換が行われるものであってもよい。[0018] このように、熱交換器ユニット10には、第1上部ヘッダ23、第1下部ヘッダ22、第2上部ヘッダ33及び第2下部ヘッダ32という複数のヘッダが設けられている。ここで、第1熱交換器20の第1上部ヘッダ23及び第1下部ヘッダ22は、空気流れ方向に配列された複数の第1伝熱管21を分割して接続する複数の分割ヘッダになっている。一方、第2熱交換器30において、第2上部ヘッダ33は分割ヘッダになっており、第2下部ヘッダ32は空気流れ方向に冷媒流路を折り返すリターンヘッダになっている。このように、熱交換器ユニット10は、第1熱交換器20又は第2熱交換器30の少なくとも一方に、分割ヘッダとリターンヘッダとが設けられた状態になっている。[0019] 具体的には、第1熱交換器20の第1下部ヘッダ22は、厚み方向の複数の第1伝熱管21を異なる冷媒流路に分割する第1下部分割ヘッダ22a、22bを備え、第1上部ヘッダ23は、空気流れ方向の複数の冷媒流路を分割する第1上部分割ヘッダ23a、23bを備えている。第1下部分割ヘッダ22aと第1上部分割ヘッダ23aとは、空気流れ方向に配列された複数の冷媒流路のうち、前面側の1本もしくは複数本の冷媒流路に接続されている。第1下部分割ヘッダ22bと第1上部分割ヘッダ23bとは背面側の1本もしくは複数本の冷媒流路に接続されている。これにより、第1熱交換器20は空気流れ方向において2つの大きな冷媒流路が形成された状態になる。[0020] 一方、図4は、図2の空気調和装置の室内機における第2熱交換器の一例を示す模式図である。図2及び図4の第2熱交換器30において、第2上部ヘッダ33は、空気流れ方向の複数の冷媒流路を分割する第2上部分割ヘッダ33a、33bを備えている。一方、第2下部ヘッダ32はリターンヘッダになっており、空気流れ方向に配列された複数の冷媒流路31a、31b同士を接続して折り返した冷媒流路を形成する。第2上部分割ヘッダ33a、33bはそれぞれ第1熱交換器20の第1上部分割ヘッダ23a、23bに接続されており、第1熱交換器20と第2熱交換器30との間で連続して冷媒が流れるようになっている。この際、第1熱交換器20及び第2熱交換器30内には、対向流になる冷媒流路が形成されるようになっている。[0021] 例えば第1熱交換器20の第1下部分割ヘッダ22aから流入した冷媒は、第1伝熱管21における前面側の冷媒流路を通って前面側の第1上部分割ヘッダ23aに流入する。その後、第1上部分割ヘッダ23aの冷媒は、第2熱交換器30の第2上部ヘッダ33へ流れ、背面側の第2上部ヘッダ33から複数の第2伝熱管31における背面側の冷媒流路を通り、第2下部ヘッダ32に流入する。冷媒は第2下部ヘッダ32において折り返されて第2熱交換器30における第2伝熱管31の前面側の冷媒流路内を流通し、第2上部分割ヘッダ33bに流入する。第2上部分割ヘッダ33b内の冷媒は、背面側(送風ファン側)の第1上部分割ヘッダ23bに流入し、第1伝熱管21の背面側の冷媒流路を通って第1下部分割ヘッダ22bへ流入し、熱交換器ユニット10から流出する。[0022] 上記実施形態1によれば、熱交換器ユニット10の第1熱交換器20と第2熱交換器30とがいわゆるパラレルフロー型の熱交換器であるため、重力の影響を受けることなく冷媒を複数の第1伝熱管21及び第2伝熱管に均等に分配することができる。このため、冷媒が熱交換器の一部の領域に偏って流れるによる熱交換効率の低下を抑制することができる。この際、熱交換器ユニット10が分割ヘッダとリターンヘッダを有することにより、冷媒流れ方向において対向流になる複数の冷媒流路が形成されることになるため、伝熱面積を拡大し空調性能の向上を図ることができる。また、複数の第1伝熱管21が、曲線状に形成されていることによりケース2内における実装面積が拡大するため、空調性能の向上を図ることができる。[0023] 特に、第1熱交換器20及び第2熱交換器30内には、対向流になる複数の冷媒流路が形成されるような流路になっている場合、熱交換器ユニット10の上側部分と下側部分とを通過した空気の温度差の発生を抑制することができる。[0024] なお、上記実施形態1において、第2熱交換器30側にリターンヘッダが設けられており、第1熱交換器20及び第2熱交換器30に連続的に冷媒が流れる場合について例示しているが、冷媒の流れはこの場合に限られず、例えば第1熱交換器20及び第2熱交換器30のそれぞれに冷媒が流れるようにしてもよい。図5は本発明の空気調和装置の室内機の実施形態1の変形例を示す断面図である。図5に示すように、第1熱交換器20の第1下部ヘッダ22はリターンヘッダからなっていてもよい。[0025] そして、第1熱交換器20の第1上部ヘッダ23及び第2熱交換器30の第2上部ヘッダ33からそれぞれ冷媒が流入され、第1伝熱管21及び第2伝熱管31を通り、第1下部ヘッダ22及び第2下部ヘッダ32に流入する。その後、冷媒は第1下部ヘッダ22及び第2下部ヘッダ32において折り返され、第1伝熱管21及び第2伝熱管31を通り、第1上部ヘッダ23及び第2上部ヘッダ33から室外機へ流出するようにしてもよい。この場合であっても、熱交換器ユニット10にリターンヘッダが設けられていることにより、伝熱面積を拡大し空調能力の向上を図ることができる。」
「」
3 引用文献3
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献3には、「空気調和機の室内機及び空気調和機」に関し、次の記載がある。なお、「・・・」は記載の省略を示す。
「【0017】図2に示すように、室内機1は、壁面に取付けられる背面側フレーム3と、この背面側フレーム3の前面に取付けられる前面側フレーム4とを有する本体ケーシング2を備えている。前面側フレーム4には、室内機1の前面に位置して前面吸込口5と上面吸込口6とが設けられている。前面吸込口5及び上面吸込口6にはそれぞれ、格子パネル7,8が取付けられている。また、前面吸込口5及び上面吸込口6に沿って防塵用フィルタ9が装着されている。【0018】本体ケーシング2の下部前面側には吹出口11が形成されており、吹出口11には水平フラップ(図示せず)及び垂直フラップ(図示せず)が設けられている。本体ケーシング2の内部中央部には、例えばクロスフローファンで構成された送風機12が配置されている。クロスフローファンは、長さ方向(図2の紙面に直交する方向)に平行な羽根が円周方向に沿って設けられる略円筒形状のものであり、回転軸に対して直交する方向に空気流を生成することが可能な送風機である。続きを表示(全40行)【0019】本体ケーシング2内には、送風機12によって生成される空気流中に室内熱交換器13が配置されている。室内熱交換器13は、間隔をあけて配列された複数のフィン20と、各フィン20に挿通されると共に、フィン20の配列方向両端部において順次接続されて冷媒経路を構成する複数の伝熱管21とを備えている。そして、冷媒経路の一方の端部が冷媒回路の液管110に接続され、他方の端部がガス管120に接続されている。【0020】室内熱交換器13は、送風機12によって生成される空気流と接触し、接触した空気と伝熱管21を通過する冷媒との間で熱交換することによってこの空気を冷却する。この室内熱交換器13は、前面側熱交換器13Aと背面側熱交換器13Bとを逆V字形状に組み合わせた構成を有している。【0021】前面側熱交換器13Aは前面吸込口5に対向して配置され、前面吸込口5及び上面吸込口6からの空気流の下流側に開いた“く”の字形状に構成されている。更に詳しくは、前面側熱交換器13Aは、下方部位に位置する前面下方熱交換器13ALと上方部位に位置する前面上方熱交換器13AUとを備えている。そして、前面下方熱交換器13ALは上部側が空気流上流側に傾斜して配置されており、前面上方熱交換器13AUは上部側が空気流下流側に傾斜して配置されている。【0022】背面側熱交換器13Bは、前面側熱交換器13Aの背面側に配置され、上部側が上面吸込口6からの空気流の下流側に傾斜して配置されている。そして、前面側熱交換器13Aと背面側熱交換器13Bとの間に送風機12が配置されている。・・・【0026】なお、この空気調和機100は冷房運転可能に構成されているが、四方切換弁等を用いて冷媒流れを切り換えられるようにし、冷房運転と暖房運転とを選択的に実行可能に構成してもよい。【0027】図4は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機に配置された室内熱交換器における冷房運転時の冷媒経路の模式図である。なお、図4において伝熱管21同士を繋ぐ点線は紙面に直交する方向の奥側で冷媒が折り返される流路部分、実線は紙面に直交する方向の手前側で冷媒が折り返される流路部分を示している。【0028】室内熱交換器13は、伝熱管21が、空気流の方向に対して交差する重力方向である段方向へと複数段設けられ、且つ、空気流の方向である列方向に2列以上(ここでは2列)、設けられた構成を有している。【0029】次に、伝熱管21により構成される冷媒経路について説明する。まず、室内熱交換器全体の冷媒の流れについて説明し、続いて各熱交換器における冷媒の流れについて説明する。【0030】室内熱交換器13を蒸発器として用いる冷房運転時に、減圧装置102(図1参照)から流出した二相冷媒は5つの冷媒経路に分配され、前面下方熱交換器13AL、前面上方熱交換器13AU及び背面側熱交換器13Bのそれぞれに設けられた入口a1~a5から流入する。入口a1~a5から流入した冷媒は、前面下方熱交換器13AL、前面上方熱交換器13AU及び背面側熱交換器13Bのそれぞれを通過し、各出口b1~b5から流出する。そして、各出口b1~b5から流出した冷媒は合流した後、ガス管120(図1参照)を通過して圧縮機101に向かう。・・・【0034】以下、前面上方熱交換器13AU、前面下方熱交換器13AL及び背面側熱交換器13Bのそれぞれにおける冷房運転時の冷媒の流れ方向について説明する。前面上方熱交換器13AU、前面下方熱交換器13AL及び背面側熱交換器13Bのそれぞれにおいて、複数の伝熱管列のうち、重力方向最下列L1、L2、L3に冷媒入口を設ける。そして、重力方向最下列L1、L2、L3のそれぞれに流入した冷媒が、同列内を段方向の下から上へ流れるように冷媒経路(第1冷媒経路)を設定する。つまり、重力方向最下列L1で言えば、冷媒は伝熱管21a→伝熱管21b→伝熱管21c→伝熱管21d→伝熱管21e→伝熱管21fの順で流れることになる。【0035】但し、ドレンパン14、15のすぐ上に位置する冷媒経路(第2冷媒経路)については、配管取り回しの関係上、図4に示したように重力方向最下列L2、L3内において上段側から下段側へ冷媒が流れるように伝熱管21の端部同士を接続するようにしてもよい。すなわち、下端にドレンパン14、15を有する前面下方熱交換器13AL及び背面側熱交換器13Bについては、ドレンパン14、15との干渉を回避可能な伝熱管21g、21hに上記第1冷媒経路とは別の冷媒経路(第2冷媒経路)の入口a3、a5を設ける。そして、その入口a3、a5から流入して流入段の伝熱管21g、21hを通過した冷媒を、流入段よりも下段側の伝熱管21i、21jを経て、他の列に流入するように第2冷媒経路を設けるようにしてもよい。・・・【0039】そして、前面上方熱交換器13AU、前面下方熱交換器13AL及び背面側熱交換器13Bのそれぞれにおける第1冷媒経路において、重力方向最下列L1、L2、L3に設けた冷媒入口a1、a2、a4から流入した冷媒は、同列内を下段側から上段側に向かって流れる。このため、重力方向最下列L1、L2、L3において冷媒が過熱ガス状態となる場合でも、重力方向最下列において下段側から上段側に向かうに連れ、フィン表面が乾いた状態となる。つまり、フィン表面が乾燥する可能性のある部分が、フィン表面が湿った状態となる部分よりも上方に位置するため、フィン表面で生成された凝縮水が、その落下途中で、乾燥したフィン表面に差し当たって玉となり、表面から剥離して滴下することを抑制することができる。【0040】そして、前面上方熱交換器13AU及び背面側熱交換器13Bについては、重力方向最下列L1、L3を通過後の冷媒は、空気流上流側の列に流入して上段から下段に向けて流れた後、出口b1、b4から流出する。前面下方熱交換器13ALにおいては、重力方向最下列L2を通過後の冷媒は、空気流下流側の列に流入して上段から下段に向けて流れた後、出口b2から流出する。【0041】また、ドレンパン14、15のすぐ上に位置する第2冷媒経路については、上述したように、重力方向最下列L2、L3に設けた冷媒入口a3、a5から冷媒が流入し、その流入段よりも下段の伝熱管21へ流れる構成としてもよい。このため、ドレンパン14、15を比較的小さく構成しても、伝熱管21g、21hに接続される冷媒入口配管(図示せず)とドレンパン14、15との干渉を回避することができる。また、ドレンパン14、15のすぐ上に位置する第2冷媒経路において冷媒が過熱ガス状態となり、フィン表面が乾燥することによって凝縮水がフィン表面から離れて滴下した場合でも、直下にドレンパン14、15があるため、その凝縮水を受け取ることができ、機外への放出を防止できる。【0042】以上のように、本実施の形態1では、室内熱交換器13を構成する前面上方熱交換器13AU、前面下方熱交換器13AL及び背面側熱交換器13Bのそれぞれの複数列のうち、重力方向最下列L1、L2、L3内に、冷房運転時に液冷媒が流入する冷媒入口を設けると共に、同列において冷媒が下段側から上段側へ流れるようにした。よって、フィン表面が乾燥しやすくなる領域を、重力方向最下列L1、L2、L3内において上段側とすることができる。したがって、重力方向最下列L1、L2、L3において冷媒が過熱ガス状態となる場合でも、フィン表面が乾燥する可能性のある部分が、フィン表面が湿った状態となる部分よりも上方に位置する。よって、冷房運転時に重力方向最下列L1、L2、L3内において重力方向下側におけるフィン表面の乾燥を抑制できるため、凝縮水が重力方向に流れ落ちる際に、乾燥したフィン表面に差し当たって玉となり、表面から剥離して滴下することを防止することができる。・・・【0044】一方、前面下方熱交換器13ALにおいては、重力方向最下列L2は空気流上流側となり、前面上方熱交換器13AU及び背面側熱交換器13Bとは逆となるが、暖房運転時に以下の効果が得られる。すなわち、暖房運転時は冷房運転時と冷媒の流れ方向が逆となるため、前面下方熱交換器13ALにおける空気流の向きと冷媒流の向きとが対向流となり暖房性能の向上を図ることができる。」
「」
4 引用文献4
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献4には、「空気調和機」に関し、次の記載がある。
「【0014】【発明の実施の形態】以下、本発明に係る空気調和機の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、いわゆる壁掛け式の空気調和機10を側面から見た概略的な構成図である。空気調和機10は、筐体11と、この筐体11内に配置される熱交換器12とクロスフローファン13とを備えて構成されている。【0015】筐体11は、ベースに対してフロントパネル21、上面パネル25が組み合わされ、全体として箱型に形成されている。このフロントパネル21と上面パネル25は、一体に形成される場合もある。フロントパネル21には、前面に空気吸込口22が形成されるとともに、下方に空気吹出口23が形成されている。また、上面パネル25にも空気吸込口26が形成されている。なお、空気吹出口23には、空気吹出し方向を可変するためのルーバ24が設けられている。【0016】図2及び図3は、熱交換器12の基本構成を模式的に示す図である。熱交換器12は、絞り加工を施された複数の板状部材30が重ね合わされ内部に略U字状の熱媒体流路が設けられた複数の積層タイプの扁平チューブ31(以下、積層扁平チューブという)と、熱交換を促進させる複数の波形フィン(コルゲートフィン)32とを含み、これらが交互に積層された構成となっている(積層チューブタイプ)。板状部材30には、連通孔33,34が設けられており、複数の板状部材30の各連通孔33,34が互いに連結されて熱媒体用のタンク(入口タンク35及び出口タンク36)が形成されている。熱交換器12では、不図示の供給配管から入口タンク35内に熱媒体(冷媒を含む)が供給されるとともに、出口タンク36から不図示の排出配管に熱媒体が排出される。また、各積層扁平チューブ31において、略U字状の熱媒体流路内を入口タンク35側から出口タンク36側に熱媒体が流れる。そして、フィン32を介した熱交換により、空気調和機の筐体内に導入された空気が冷却または加熱される。続きを表示(全18行)【0017】図1に戻り、本例の熱交換器12は、筐体11の空気吸込口22とクロスフローファン13との間に空気吸込口22と対向して配置される第1段部分40と、空気吸込口26とクロスフローファン13との間に空気吸込口26と対向して配置される第2段部分41とを含む。第1段部分40は、空気吸込口22よりも大きく形成され、筐体11の空気吸込口22から導入される空気の流れに対して斜めに配置されている。また、第1段部分40の各フィン32は、上記空気の流れに対してほぼ平行となるように配置されている。さらに、上記空気の流れに対する抵抗が小さくなるように、フィン32同士の間隔が定められている。このフィン32は、例えば上方ほど疎で下方ほど密となるなど、空気抵抗が小さくかつ効率よく熱交換が行われるように、領域によって異なる密集度で配置してもよい。なお、本発明において、フィン32の配置は、上述したものに限定されず種々変更可能である。【0018】また、本例では、熱交換器12の第1段部分40は、少なくとも一部が筐体11内に空気を導入するファン13の周面に沿って湾曲して形成されている。本例では、第1段部分40の下方において、湾曲部40aがファン13の周面とほぼ同等の曲率で形成されている。なお、この湾曲部40aの形状は、上述したものに限定されず任意に設定可能である。【0019】熱交換器12の第2段部分41は、クロスフローファン13の上方において空気吸込口26とクロスフローファン13との間に空気の流れに対して斜めに配置されており、第1段部分40との間でクロスフローファン13を挟むように、クロスフローファン13の吸込み側周面を囲って略Λ形状に配設されている。【0020】なお、本例では、熱交換器12の第1段部分40及び第2段部分41の双方に、熱媒体用の供給配管及び排出配管が接続されており、それらの配管を介して、第1段部分40及び第2段部分41内にそれぞれ独立して熱媒体が流れるようになっている。また、熱交換器12は、その第1段部分40及び第2段部分41における積層扁平チューブ31の扁平面が、空気流れ方向に平行になるように、又、積層された複数本の積層扁平チューブ31が上下方向に平行に配列されるようにして設置されており、更に第1段部分40及び第2段部分41の下部には、それぞれドレンパン27,28が設置され、積層扁平チューブ31に沿って流下するドレンを受けることができるように構成されている。【0021】上記構成の空気調和機10では、クロスフローファン13が駆動すると、フロントパネル21の空気吸込口22及び上面パネル25の空気吸込口26を介して筐体11内に空気が導入される。筐体11内に導入された空気は、熱交換器12の第1段部分40及び第2段部分41を通過して熱交換され、冷却または加熱される。そして、筐体11内で熱交換された空気は、ファン13の駆動によって空気吹出口23から室内に送風される。【0022】ここで、熱交換器12は、空気流れ方向に沿って平行に扁平面を配置して上下方向に平行に配列した多数の扁平チューブ31と該扁平チューブ31間に各々配設された波形フィン32とから構成されるとともに、筐体11の前面の空気吸込口22に対向する第1段部分40と上面の空気吸込口26に対向する第2段部分41とからなる略Λ形状をなし、クロスフローファン13の吸込み側周面を囲むように配置されているため、限られた空間の筐体11内に大きな熱交換面積を有する熱交換器12を容易に配置することができる。そして、この熱交換器12に対して、図2に矢印で示す如く或いはその逆方向に冷媒を流通させることにより室内空気と熱交換させ、室内を冷房又は暖房することができる。したがって、本例によると、熱交換器を高密度化し空調性能の向上を図ることができるとともに、ディストリビューターや余計な接続配管を必要としないため、熱交換器周りの配管構造の簡素化を図ることができ、しかも、扁平チューブ31を上下方向に配列しているため、冷房時及び除湿時に発生するドレンをその表面を流下させて速やかにドレンパン27、28に回収することができる。【0023】また、熱交換器12の第1段部分40が、ファン13の周面に沿って湾曲していることから、限られた空間の筐体11内により大きな熱交換面積を有する熱交換器12を容易に配置し、熱交換器を一層高密度化することができる。なお、本例では、熱交換器12は、絞り加工を施された複数の板状部材30が重ね合わされて内部に熱媒体流路が設けられた積層扁平チューブ31と、波形のフィン32とが交互に積層された構成からなることから、第1段部分40を容易に湾曲させることができる。つまり、積層扁平チューブ31の部品となる板状部材30を予め湾曲して形成しておくことで、上記湾曲部40aを容易に形成できる。【0024】また、本例では、熱交換器12の第1段部分40及び第2段部分41が筐体11の空気吸込口22、26から導入される空気の流れに対して斜めに配置されていることから、熱交換器12の厚みに対してフィン32の熱交換面積を広くできる。さらに、第1段部分40の各フィン32は、上記空気の流れに対してほぼ平行となるように配置されていることから、空気の流れに対する抵抗を小さくすることができる。なお、空気抵抗が小さくかつ効率よく熱交換が行われるように、領域によって異なる密集度でフィン32を配置してもよく、これによって空調性能の一層の向上を図ることができる。【0025】ここで、空気調和機に用いる熱交換器の形態は、上述した例に限らず、他の形態の熱交換器を用いてもよい。・・・【0027】図5は、熱交換器の別の形態の他の一例を示し、この熱交換器60は、図4と同様に、交互に積層される扁平チューブ61とフィン(不図示)とを備え、各扁平チューブ61は、熱媒体用タンク63,64に接続されている。また、この熱交換器60は図4の例と異なり、熱媒体用タンク63,64内、及び各扁平チューブ61内を熱媒体が任意の回数蛇行しながら流れる、いわゆるマルチフロータイプの熱交換器となっている。【0028】図5において、扁平チューブ61は、熱媒体用タンク63,64間で空気流れ方向に上下2段に配設され、扁平チューブ61内を熱媒体が上下で互いに異なる方向に流れる。各タンク63,64は、内部が図6の断面図に示すように、所定の形状に区画されており、この区画(パス構造)により熱媒体の流れが決定される。熱交換器60では、第1段部分65において、図7に示すようなフローパターンによって、各扁平チューブ61内、及びタンク63,64内を熱媒体が流れる。また、図には示していないが、第2段部分66についても同様なマルチフローで熱媒体を流すことができる。なお、パス構造は、図6に示した例に限定されるものではなく、種々のフローパターンが考えられ、最も熱ムラが少なくなるパターンを選択すればよく、このようなマルチフローによる熱媒体の流動により、熱交換器における熱ムラを抑制し、一層の高効率化を達成することができる。【0029】なお、図4及び図5に示した熱交換器では、扁平チューブが水平に対してほぼ垂直な方向、すなわち縦方向に延在して配設されている。従来、扁平チューブを水平に配設する場合が多く、この場合、チューブ及びフィン表面で空気中の水分が結露して発生したドレンが成長し、落下しやすい。しかしながら、本例のように、扁平チューブを縦方向に配設することにより、ドレン露は扁平チューブに沿って流れるので、適切にドレンパン27、28に回収できる。また、扁平チューブタイプの熱交換器を用いることにより、熱媒体を供給したり排出したりする配管の構造を簡素化できる。【0030】以上説明した図4、及び図5の熱交換器のいずれも、本発明の空気調和機に適用できる。なお、これまで説明した各熱交換器では、熱交換器の第1段部分及び第2段部分の双方に、熱媒体用の供給配管及び排出配管を接続し、それらの配管を介して、第1段部分及び第2段部分内にそれぞれ独立して熱媒体を流しているが、第1段部分と第2段部分との熱媒体流路を接続し、供給配管及び排出配管をまとめてもよい。」
「」
5 引用文献5
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献5には、「熱交換器」に関し、次の記載がある。
「【0014】【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕本発明の第1実施形態が採用される空気調和機の室内機の縦断面図を図1に示す。室内機1は、壁面に取り付けられる背面側フレーム3と、この背面側フレーム3の前面に取り付けられる前面側フレーム4とからなる本体ケーシング2を備えている。【0015】前面側フレーム4には、室内機1の前面に位置して前面吸引口5と上面吸引口6とが設けられている。前面吸引口5および上面吸引口6にはそれぞれ格子パネル7,8が取り付けられている。また、前面吸引口5および上面吸引口6に沿って防塵用フィルタ9が装着されている。本体ケーシング2の下部前面側には、水平フラップ10および垂直フラップ(図示せず)が設けられる送風口11が形成されている。本体ケーシング2の内部中央部には、クロスフローファン12が設けられている。このクロスフローファン12は、長さ方向(図2鉛直方向)に平行な羽根が円周方向に沿って設けられる略円筒形状のものであり、回転軸に対して直交する方向に空気流を生成することが可能となっている。【0016】クロスフローファン12によって生成される空気流中に熱交換器13が配置されている。熱交換器13は、所定の間隔で配列されるフィンと、各フィンに挿通されるとともにフィンの配列方向両端部において順次接続されて冷媒経路を構成する伝熱管とを備え、クロスフローファン12によって生成される空気流と接触し接触した空気との間で熱交換することによってこの空気を冷却または加熱する。この熱交換器13は、前面側熱交換器13Aと背面側熱交換器13Bとを逆V字形状に組み合わせた構成でなる。この前面側熱交換器13Aと背面側熱交換器13Bとの間にクロスフローファン12が配置されている。続きを表示(全19行)【0017】本体ケーシング2には、前面側熱交換器13Aの下端部下方に位置して、前面側熱交換器13Aで発生した凝縮水を受け取るためのドレンパン14が設けられている。同様にして、本体ケーシング2には、背面側熱交換器13Bの下端部下方に位置して、背面側熱交換器13Bで発生した凝縮水を受け取るためのドレンパン15が設けられている。【0018】このような構成の室内機1では、クロスフローファン12が駆動されると、室内の空気が前面吸引口5および上面吸引口6から吸引され、防塵用フィルタ9を介して本体ケーシング2内部に吸引される。前面吸引口5から吸引された室内空気は、前面側熱交換器13Aを通過し、このときに所定の温度に冷却または加熱されて温度調整される。また、上面吸引口6から吸引された室内空気は、前面側熱交換器13Aの上部と背面側熱交換器13Bとを通過し、このときに所定の温度に冷却または加熱されて温度調整される。このように温度調整された空気は、クロスフローファン12によって送風口11を介して室内に排出される。【0019】図1に示す熱交換器13における冷媒経路を図2に模式図として示す。ここでは、熱交換器13を前半部と後半部とに分け、ドライ運転時に一方を凝縮器として用い、他方を蒸発器として用いる再熱ドライ運転が可能なものについて説明する。熱交換器13に形成される冷媒経路は、前面側熱交換器13Aに位置する第1区画21、第2区画22と背面側熱交換器13Bに位置する第3区画23に分けられる。【0020】第1区画21は、上流側フィン部31と、下流側フィン部32,33,34とによって構成されている。上流側フィン部31には、4本の伝熱管41,42,43,44が挿通されている。伝熱管41に液管側の冷媒配管Aが接続されるとともに、伝熱管41、42および伝熱管43、44が図2紙面鉛直下方において接続され、伝熱管42、43が図2紙面鉛直上方において接続されている。【0021】下流側フィン部32には伝熱管45,46,47,48が挿通されており、伝熱管45,46が空気流に対して上流側に配置され、伝熱管47,48が空気流に対して下流側に配置されている。同様にして、下流側フィン部33には、空気流に対して上流側に位置する伝熱管49,50と空気流に対して下流側に位置する伝熱管51,52とが挿通されており、下流側フィン部34には、空気流に対して上流側に位置する伝熱管53,54と空気流に対して下流側に位置する伝熱管55,56とが挿通されている。【0022】伝熱管44からの配管は、分岐路101を介して伝熱管45,49に接続されている。伝熱管45からの冷媒経路は、伝熱管46,47,48,51,52に順次接続されて構成されている。また、伝熱管49からの冷媒経路は、伝熱管50,53,54,55,56に順次接続されて構成されている。伝熱管52,56は、再熱ドライ運転を行う際に減圧するためのドライ弁102に接続されている。ドライ弁102の出口側では中間配管B、Cに分岐しており、一方の中間配管Bが第2区画22側に、他方の中間配管Cが第3区画23側に接続されている。【0023】第2区画22は、フィン部35,36,37によって構成されている。フィン部35には伝熱管57,58,59,60が挿通されており、伝熱管57,58が空気流に対して下流側に配置され、伝熱管59,60が空気流に対して上流側に配置されている。同様にして、フィン部36には、空気流に対して下流側に位置する伝熱管61,62と空気流に対して上流側に位置する伝熱管63,64とが挿通されており、フィン部37には、空気流に対して下流側に位置する伝熱管65,66と空気流に対して上流側に位置する伝熱管67,68とが挿通されている。【0024】中間配管Bは伝熱管57に接続されており、この後空気流の下流側に位置する伝熱管58,61,62,65,66に順次接続され、さらに、空気流の上流側に位置する伝熱管67,68,63,64,59,60に接続されている。最後の伝熱管60は、ガス管側の冷媒配管Dに接続されている。第3区画23は、フィン部38,39,40により構成されている。フィン部38には伝熱管69,70,71,72が挿通されており、伝熱管69,70が空気流に対して下流側に配置され、伝熱管71,72が空気流に対して上流側に配置されている。【0025】同様にして、フィン部39には、空気流に対して下流側に位置する伝熱管73,74と空気流に対して上流側に位置する伝熱管75,76とが挿通されており、フィン部40には、空気流に対して下流側に位置する伝熱管77,78と空気流に対して上流側に位置する伝熱管79,80とが挿通されている。中間配管Cは伝熱管69に接続されており、この後空気流の下流側に位置する伝熱管70,73,74,77,78に順次接続され、さらに、空気流の上流側に位置する伝熱管79,80,75,76,71,72に接続されている。最後の伝熱管72は、ガス管側の冷媒配管Dに接続されている。【0026】このような熱交換器13を有する室内機1では、冷房運転を行う際には、液管側の冷媒配管Aよりガス管側の冷媒配管Dに向けて冷媒を循環させるとともに、クロスフローファン12を回転駆動して、前面吸引口5および上面吸引口6から送風口11に至る空気流を生成する。室内機1内に吸引された空気は、各伝熱管およびフィンに接触して熱交換され、冷却されて送風口11より排出される。【0027】このとき、ガス管側の冷媒配管Dに近い伝熱管では、内部を流れる冷媒が完全に気化している可能性がある。したがって、第2区画22では、伝熱管59,60の内部を流れる冷媒が完全に気化して、フィン部35の伝熱管59,60が挿通されている付近において熱交換機能が低下している可能性がある。同様に、フィン部36の伝熱管63,64が挿通されている付近、フィン部37の伝熱管67,68が挿通されている付近においても熱交換機能が低下している可能性がある。【0028】同様に、第3区画についても、フィン部38の伝熱管71,72が挿通されている付近、フィン部39の伝熱管75,76が挿通されている付近、フィン部40の伝熱管79,80が挿通されている付近において熱交換機能が低下している可能性がある。伝熱管59,60がフィン部35に挿通されている位置は、空気流に対して上流側であり、フィン部35の下流側位置には伝熱管57,58が挿通されている。この伝熱管57,58はガス管側の冷媒配管Dから遠いため、内部の冷媒が完全に気化している状態となることは少ないと考えられる。したがって、フィン部35の伝熱管57,58が挿通されている付近では、熱交換機能が低下しておらず、凝縮水が付着した状態を維持する。このことから、フィン部35の上流側(伝熱管59,60が挿通される位置)においてフィン表面が乾燥しても、下流側(伝熱管57,58が挿通されている位置)で水濡れ性を維持しているため、空気流によって水滴が吹き飛ばされて送風口11より滴下することを防止できる。【0029】同様にして、フィン部36ではガス管側の冷媒配管Dに近い伝熱管63,64が空気流に対して上流側に配置され、ガス管側の冷媒配管Dから遠い伝熱管61,62が空気流に対して下流側に配置されており、フィン部37ではガス管側の冷媒配管Dに近い伝熱管67,68が空気流に対して上流側に配置され、ガス管側の冷媒配管Dから遠い伝熱管65,66が空気流に対して下流側に配置されているため、いずれも空気流によって水滴が吹き飛ばされて滴下することを防止できる。【0030】第3区画23側においても、同様であり、フィン部38ではガス管側の冷媒配管Dに近い伝熱管71,72が空気流に対して上流側に配置され、ガス管側の冷媒配管Dから遠い伝熱管69,70が空気流に対して下流側に配置されており、フィン部39ではガス管側の冷媒配管Dに近い伝熱管75,76が空気流に対して上流側に配置され、ガス管側の冷媒配管Dから遠い伝熱管73,74が空気流に対して下流側に配置されており、フィン部40ではガス管側の冷媒配管Dに近い伝熱管79,80が空気流に対して上流側に配置され、ガス管側の冷媒配管Dから遠い伝熱管77,78が空気流に対して下流側に配置されているため、いずれも空気流によって水滴が吹き飛ばされて滴下することを防止できる。【0031】冷房運転時には、第1区画21において空気流と冷媒流の方向が同じ方向となるいわゆる平行流が発生するが、第2区画22、第3区画23において対向流となるため、熱交換効率の低下は抑制することができる。また、暖房運転時には、第2区画22,第3区画23において平行流が発生するが、第1区画21において対向流となり、この場合も熱交換効率の低下を抑制することができる。」
「」
6 引用文献6
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献6には、「空気調和機」に関し、次の記載がある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図1および図2を用いて説明する。図2において、1は圧縮機、2は四方弁、3は室外熱交換器、11は減圧機構としての膨張弁、12は室内熱交換器、10は室外送風ファン、13は室内送風ファンである。図1において、4は風上側フィン、5は風下側フィンで両フィンは熱的に分離している、7a~7pは風下側伝熱管、8a~8pは風上側伝熱管、6は第一の分流器、9は第二の分流器である。室外送風ファン10により空気は図中右から左側に流れる。各伝熱管は図1に示すように接続されている。」
「【0016】さらに各々の流路入口は風下側列、流路出口が風上側列に配置しているので、列毎の冷媒の流れ方向が熱交換を行なう空気の流れ方向に対して対向流となっているため熱交換効率が良い。対向流の熱交換効率が良いのは、対向流は風上側で熱交換をして温度が上昇した空気が風下側に流入しても、高温域である冷媒入口部が風下側となるので、どちらの列でも空気との温度差が確保できるので、温度効率が向上するからである。」
「」
7 引用文献7
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献7には、「熱交換器ユニット及び該熱交換器ユニットを備えた空気調和装置」に関し、次の記載がある。
「【0002】【従来の技術】従来より、空気調和装置においては、熱交換器における冷媒の流れ方向と風の流れ方向との関係を、これら両者が対向する所謂「対向流」状態とすることで能力向上を図る思想があり、これを実現するための技術として従来より種々の構造が提案されている(例えば、特開平9-196489号公報参照)。【0003】例えば、図19に示す冷媒回路を備えた空気調和装置では、複数のパスを備えた利用側熱交換器53において、該各パスの入口側を複数の分流管66,66,・・を介して分流器56に接続し、また該各パスの出口側を冷媒集合管58に接続するとともに、上記分流器56と上記冷媒集合管58とを、四つの逆止弁71~74を備えたブリッジ回路64を介して、圧縮機51の吐出側と吸入側とに選択的に接続される冷媒管61と、膨張弁55を介して熱源側熱交換器54側に接続された冷媒管63とに接続する一方、該利用側熱交換器53の出口側にはファン81を配置している。」
「」
8 引用文献8
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献8には、「熱交換器及び空気調和機」に関し、次の記載がある。
「[0004] また、従来の空気調和機は、室内熱交換器103の内部を流れる冷媒と室内の空気との熱交換を促進する室内ファン106と、室外熱交換器105の内部を流れる冷媒と室外の空気との熱交換を促進する室外ファン107と、を備えている。」
「[0017] この構成によれば、凝縮運転時において、第1熱交換部における冷媒の流れと空気の流れとが対向流になっている。また、凝縮運転時と蒸発運転時の両時において、第2熱交換部における冷媒の流れと空気の流れとが対向流になっている。これにより、高い熱交換効率を得ることができる。」
「[0062] 本第1実施形態によれば、凝縮運転時において、第1熱交換部30における冷媒の流れと空気の流れとが対向流になっている。また、凝縮運転時と蒸発運転時の両時において、第2熱交換部31における冷媒の流れと空気の流れとが対向流になっている。これにより、高い熱交換効率を得ることができる。また、第2熱交換部31は第1熱交換部30より伝熱面積が大きくなるように構成されている。このため、凝縮運転時と蒸発運転時の両時において、室外熱交換器10の大部分が冷媒の流れと空気の流れとが対向流になっている。これにより、高い熱交換効率を得ることができる。」
「」
9 引用文献9
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献9には、「熱交換器、空気調和装置および熱交換器の製造方法」に関し、次の記載がある。
「【0003】ここで、例えば、以下に示す特許文献1に記載の空気調和装置では、クロスフローファンを包み込むようにして、熱交換器を多段曲げして配置させたものが提案されている。この空気調和装置では、内部に冷媒が流れる伝熱管とフィンとの配置を工夫することにより、空気流れ方向と冷媒流れ方向とが対向流となる部分を増やし、熱交換効率の低下を抑制している。また、この空気調和装置では、熱交換器の空気流れにおける下流側の水濡れ性が維持されるため、凝縮水の下流側への飛散を抑えている。特開2001-4162号公報 」
第5 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者の「圧縮機1」は、前者の「圧縮機」に相当し、同様に、「四方弁2」は「流路切替装置」に、「冷媒流路5aが設けられた部分」は「第1熱交換部」に、「冷媒流路5bが設けられた部分」は「第2熱交換部」に、「室内熱交換器5」は「第1熱交換器」に、「減圧器4」は「絞り装置」に、「室外熱交換器3」は「第2熱交換器」に、「空気調和機」は「空気調和機」に、それぞれ相当する。
・後者の「前記冷媒」が、「暖房運転時に前記室内熱交換器5が凝縮器として用いられる場合に前記冷媒流路5aと前記冷媒流路5bが直列に接続されて前記冷媒流路5aが設けられた部分と前記冷媒流路5bが設けられた部分とに順に流れ」る態様は、前者の「前記冷媒」が、「暖房運転時に前記第1熱交換器が凝縮器として用いられる場合に前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに順に流れ」る態様に相当する。
また、後者の「前記冷媒」が、「冷房運転時に前記第1熱交換器が蒸発器として用いられる場合に前記冷媒流路5aと前記冷媒流路5bが並列に接続されて前記冷媒流路5aが設けられた部分と前記冷媒流路5bが設けられた部分とに並行して流れる」態様は、前者の「前記冷媒」が、「冷房運転時に前記第1熱交換器が蒸発器として用いられる場合に前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに並行して流れる」態様に相当する。
したがって、両者の間に次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機に接続された流路切替装置と、前記流路切替装置に接続され、第1熱交換部および第2熱交換部を有する第1熱交換器と、前記第1熱交換器に接続された絞り装置と、前記絞り装置に接続された第2熱交換器とを備え、前記流路切替装置は、前記圧縮機により圧縮された前記冷媒を前記第1熱交換器に流すか、前記第2熱交換器に流すかを切り替えるように構成されており、前記冷媒は、暖房運転時に前記第1熱交換器が凝縮器として用いられる場合に前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに順に流れ、かつ冷房運転時に前記第1熱交換器が蒸発器として用いられる場合に前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに並行して流れる、空気調和機。」
[相違点]
本願発明では、「前記第1熱交換部および前記第2熱交換部の周囲に空気を流すファン」を備え、「冷房運転時および暖房運転時に前記第1熱交換部および前記第2熱交換部のいずれかは前記ファンが流す空気の風下側に配置された冷媒入口と風上側に配置された冷媒出口とを有し」、「前記第1熱交換部は、前記ファンに対して前記第2熱交換部と反対側に配置されて」いるのに対して、引用発明では、そのような構成を有するかは不明である点(以下「相違点」という。)。
第6 判断
1 相違点の検討
上記相違点について検討する。
例えば、上記第4の2~5で摘記した引用文献2~5の記載から認められるように、空気調和機において、室内熱交換器の第1熱交換部および第2熱交換部の周囲に空気を流すファンを備え、前記第1熱交換部および前記第2熱交換部の少なくともいずれかが前記ファンが流す空気の風下側に配置された一方の冷媒出入口(冷媒流路の風下側の列の部分に設けられた冷媒出入口)と風上側に配置された他方の冷媒出入口(冷媒流路の風上側の列の部分に設けられた冷媒出入口)とを有するものとし、前記第1熱交換部を、前記ファンに対して前記第2熱交換部と反対側に配置することは、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
そして、引用発明と周知技術は空気調和機という技術分野において共通するとともに、室内熱交換器が第1熱交換部および第2熱交換部を有する点で基本的構造が共通し、加えて、室内機の筐体内に大きな熱交換面積を有する熱交換器を容易に配置することが期待できる(引用文献4の段落0022)から、引用発明に周知技術を適用することは、当業者にとって格別困難ではない。
また、上記適用の際、引用発明において、冷暖房時共に冷媒が同じ方向に流れる冷媒流路5bが設けられた部分における、冷媒入口及び冷媒出口は、周知技術の第1熱交換部と第2熱交換部のいずれかの熱交換部における一方の冷媒出入口と、他方の冷媒出入口のいずれかから選択されることとなり、熱交換部及び冷媒出入口の選択のしかた次第で、冷暖房時共に冷媒の流れが、ファンが流す空気と常に対向流となる接続の態様を含んでいる。ここで、“空気調和機において、熱交換器の熱交換効率を向上させるために、ファンが熱交換器の周囲に流す空気の流れと、熱交換器の冷媒の流れとを対向流とすることは、上記第4の3,5~9で摘記した引用文献3,5~9の記載(引用文献3については、段落0044の記載、引用文献5については、段落0031の記載)からも認められるように本願の出願前に技術常識”であり、かつ、“冷媒流路5bは冷房運転時及び暖房運転時のいずれの時にも冷媒が同じ方向に流れるのに対して、冷媒流路5aは冷房運転時と暖房運転時とで冷媒が逆方向に流れる”ことを踏まえると、冷房運転時及び暖房運転時のいずれの時にも対向流が得られるように、冷媒流路5bが設けられた部分に、周知技術の第1熱交換部と第2熱交換部のうち、ファンが流す空気の風下側に配置された一方の冷媒出入口と風上側に配置された他方の冷媒出入口とを有する熱交換部を採用して、冷媒流路5bが設けられた部分の冷媒入口としてファンが流す空気の風下側の冷媒出入口を選択し、冷媒出口として風上側の冷媒出入口を選択することは、当業者が適宜なし得ることである。
そうすると、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、請求人は、令和2年11月24日に提出された意見書の2頁35行~3頁4行において、「上記拒絶理由通知書での審判官殿のご指摘は、いわゆる「容易の容易」の議論に該当すると思料致します。つまり、引用文献1に記載された発明に「空気調和機において、室内熱交換器の第1熱交換部および第2熱交換部の周囲に空気を流すファンを備え、前記第1熱交換部および前記第2熱交換部の少なくともいずれかが前記ファンが流す空気の風下側に配置された一方の冷媒出入口と風上側に配置された他方の冷媒出入口とを有するものとし、前記第1熱交換部を、前記ファンに対して前記第2熱交換部と反対側に配置する」との周知技術1を適用することが容易であったとしても、引用文献1には「第1熱交換部および第2熱交換部の周囲に空気を流すファン」は開示されておらず、また、「前記第1熱交換部および前記第2熱交換部の少なくともいずれかが前記ファンが流す空気の風下側に配置された一方の冷媒出入口と風上側に配置された他方の冷媒出入口とを有するものとし、前記第1熱交換部を、前記ファンに対して前記第2熱交換部と反対側に配置する」ことは開示されておりません。そのため、「空気調和機において、熱交換器の熱交換効率を向上させるために、ファンが熱交換器の周囲に流す空気の流れと、熱交換器の冷媒の流れとを対向流とすることは、引用文献5~9に記載があるように本願の出願前に技術常識」であったとしても、「冷媒流路5bが設けられた部分(第2熱交換部)の冷媒入口としてファンが流す空気の風下側の冷媒出入口を選択し、冷媒出口として風上側の冷媒出入口を選択する」ことは、引用文献1に記載された発明に上記周知技術1を適用した構成を前提として上記技術常識を組み合わせた構成に想到するものです。したがいまして、上記拒絶理由通知書での審判官殿のご指摘は、いわゆる「容易の容易」の議論に該当すると思料致します。」と主張する。
しかしながら、引用発明に周知技術を適用することに付随して、冷媒流路5bが設けられた部分として、周知技術の第1及び第2熱交換部のどちらかを選択して、さらに冷媒の流し方を決定する必要があるところ、“熱交換器の熱交換効率を向上させるために、『ファンが熱交換器の周囲に流す空気の流れと、熱交換器の冷媒の流れとを対向流とする』(冷媒入口として風下側に配置された冷媒出入口を選択する)という技術常識”と、“冷媒流路5bは冷房運転時及び暖房運転時のいずれの時にも冷媒が同じ方向に流れるのに対して、冷媒流路5aは冷房運転時と暖房運転時とで冷媒が逆方向に流れること”を考慮すれば、「冷媒流路5bが設けられた部分の冷媒入口としてファンが流す空気の風下側の冷媒出入口を選択し、冷媒出口として風上側の冷媒出入口を選択する」ことは、「冷房運転時及び暖房運転時のいずれの時にも対向流が得られる(風下側に配置された冷媒出入口を冷媒入口として使用する)」ようにすることで、おのずと決定されるという程度の事項である。
したがって、上述の通り、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に想到し得たことであり、請求人の上記主張は採用することができない。
2 効果について
そして、本願発明1を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明、周知技術及び技術常識から、当業者が予測し得る範囲のものである。
3 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-003175