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特許拒絶査定不服審判

2020-002170

ゴルフ支援装置及びプログラム

審判番号
2020-002170
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-059120
請求日
2020年02月18日
審決日
2021年02月16日
公報発行日
2021年06月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社ユピテル
審判長/審判官
  • 審判長 吉村 尚
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 清水 康司
分類
P18 .121-Z (A63B) / P18 .575-Z (A63B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018- 59120「ゴルフ支援装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月26日出願公開、特開2018-114320〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年2月12日(以下「分割原出願日」という。)に出願した特願2014-24635号の一部を平成30年3月27日に新たな特許出願としたものであって、平成31年3月28日付けで拒絶理由が通知され、同年6月3日に意見書が提出され、令和1年11月15日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、令和2年2月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和2年2月18日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和2年2月18日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成30年3月27日の新たな特許出願時の)特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1へと補正することを含むものである。(下線は審決で付した。以下同じ。) (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 ゴルフコースの二点間の水平距離を求めるための位置情報を記憶し、 ボールを打つ地点と設定された位置の二点間の高低差の情報を取得する機能、 その取得した高低差の情報と前記記憶した位置情報から、前記ボールを打つ際の高低差に基づいたアドバイス情報を表示部に出力する機能を備え、 前記アドバイス情報を、前記設定された位置までの水平距離と同じ表示画面に出力する機能を備えること を特徴とするゴルフ支援装置。 【請求項2】 クラブの番手毎の飛距離を記憶し、その記憶した飛距離に基づいて前記使用すべきクラブの番手を報知する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ支援装置。 【請求項3】 前記クラブの番手毎の飛距離は、測定したユーザの飛距離と使用したクラブの番手を関連づけたものであり、 前記使用したクラブの番手の登録は、前記クラブに取り付けた近距離無線通信対応の番手の情報を登録したタグから、近距離無線通信を利用して読み取ることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ支援装置。 【請求項4】 前記ゴルフの番手の登録を、近距離無線通信以外の手段で行われた場合、前記タグの存在を報知する機能を備えたことを特徴とする請求項3に記載のゴルフ支援装置。 【請求項5】 クラブの番手毎の飛距離を記憶し、 前記表示部にプレイ中のコースレイアウトを表示する機能、 現在位置を基準としたクラブの番手別の推定飛距離に基づく情報を前記コースレイアウトに重ねて表示する機能 を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のゴルフ支援装置。 【請求項6】 前記推定飛距離に基づく情報は、現在位置に対する高低差を加味して決定したボールの到達予想地点を示すものであることを特徴とする請求項5に記載のゴルフ支援装置。 【請求項7】 前記クラブの番手毎の飛距離は、少なくとも上限値と下限値を有し、 前記推定飛距離に基づく情報は、選択された番手のクラブを使用した場合に前記上限値と下限値に基づいて設定されるボールの到達予想領域を示すものであることを特徴とする請求項5または6に記載のゴルフ支援装置。 【請求項8】 プレイ中のコースレイアウトを表示部に表示し、その表示したコースレイアウト上のタッチされた地点を前記設定された位置とし、前記高低差の情報を求めることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のゴルフ支援装置。 【請求項9】 前記タッチした後、設定された方向へのフリックを検知したら、前記高低差の情報を取得する機能、前記ボールを打つ際の高低差に基づいたアドバイス情報を出力する機能が起動することを特徴とする請求項8に記載のゴルフ支援装置。 【請求項10】 前記アドバイス情報は、前記高低差の情報、ボールを打つ場合に目標とする水平距離、前記設定された位置までの水平距離に対する調整飛距離、使用すべきクラブの番手の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のゴルフ支援装置。 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載のゴルフ支援装置における機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 ゴルフコースの二点間の水平距離を求めるための位置情報を記憶し、 ボールを打つ地点と設定された位置の前記二点間の高低差の情報を取得する機能と、 前記ボールを打つ際の前記高低差の情報に基づいた数値情報と、前記設定された位置までの水平距離とを同じ表示画面に同時に出力する機能を備えること を特徴とするゴルフ支援装置。 【請求項2】 クラブの番手毎の飛距離を記憶し、その記憶した飛距離に基づいて前記使用すべきクラブの番手を報知する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ支援装置。 【請求項3】 前記クラブの番手毎の飛距離は、測定したユーザの飛距離と使用したクラブの番手を関連づけたものであり、 前記使用したクラブの番手の登録は、前記クラブに取り付けた近距離無線通信対応の番手の情報を登録したタグから、近距離無線通信を利用して読み取ることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ支援装置。 【請求項4】 前記ゴルフの番手の登録を、近距離無線通信以外の手段で行われた場合、前記タグの存在を報知する機能を備えたことを特徴とする請求項3に記載のゴルフ支援装置。 【請求項5】 クラブの番手毎の飛距離を記憶し、 前記表示部にプレイ中のコースレイアウトを表示する機能、 現在位置を基準としたクラブの番手別の推定飛距離に基づく情報を前記コースレイアウトに重ねて表示する機能 を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のゴルフ支援装置。 【請求項6】 前記推定飛距離に基づく情報は、現在位置に対する高低差を加味して決定したボールの到達予想地点を示すものであることを特徴とする請求項5に記載のゴルフ支援装置。 【請求項7】 前記クラブの番手毎の飛距離は、少なくとも上限値と下限値を有し、 前記推定飛距離に基づく情報は、選択された番手のクラブを使用した場合に前記上限値と下限値に基づいて設定されるボールの到達予想領域を示すものであることを特徴とする請求項5または6に記載のゴルフ支援装置。 【請求項8】 プレイ中のコースレイアウトを表示部に表示し、その表示したコースレイアウト上のタッチされた地点を前記設定された位置とし、前記高低差の情報を求めることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のゴルフ支援装置。 【請求項9】 前記タッチした後、設定された方向へのフリックを検知したら、前記高低差の情報を取得する機能、前記ボールを打つ際の前記高低差に基づいた数値情報を出力する機能が起動することを特徴とする請求項8に記載のゴルフ支援装置。 【請求項10】 前記高低差に基づいた数値情報は、前記高低差の値または前記設定された位置までの水平距離に対する調整飛距離の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のゴルフ支援装置。 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載のゴルフ支援装置における機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。」 2 補正事項について 本件補正により、本件補正前の請求項1の「ゴルフ支援装置」における「出力する機能」について、「前記ボールを打つ際の前記高低差の情報に基づいた数値情報と、前記設定された位置までの水平距離とを同じ表示画面に同時に」と限定し(以下「補正事項1」という。)、本件補正前の請求項9の「ゴルフ支援装置」における「出力する機能」について、「前記ボールを打つ際の前記高低差に基づいた数値情報を」と限定し(以下「補正事項2」という。)、本件補正前の請求項10の「ゴルフ支援装置」について、「前記高低差に基づいた数値情報は、前記高低差の値または前記設定された位置までの水平距離に対する調整飛距離の少なくとも一つであること」と限定する(以下「補正事項3」という。)ものである。 (1)補正事項1について 上記補正事項1は、本件補正前の請求項1の「ゴルフ支援装置」における「出力する機能」に関して、本件補正前の「その取得した高低差の情報と前記記憶した位置情報から、前記ボールを打つ際の高低差に基づいたアドバイス情報を表示部に出力する機能を備え、前記アドバイス情報を、前記設定された位置までの水平距離と同じ表示画面に出力する機能を備えること」との事項が、「前記ボールを打つ際の前記高低差の情報に基づいた数値情報と、前記設定された位置までの水平距離とを同じ表示画面に同時に出力する機能を備えること」と補正するものである。 補正事項1により、本件補正前の請求項1の「表示部」及び「記憶した位置」との発明特定事項が削除された。 本件補正後の請求項1の「数値情報」が、本件補正前の請求項1の「アドバイス情報」の下位概念であったとしても、本件補正後の「数値情報」は、単に、「ボールを打つ際の高低差の情報」に基づいたものであるところ、本件補正前の「アドバイス情報」は、「高低差の情報と記憶した位置情報から、ボールを打つ際の高低差」に基づいたものであって、「記憶した位置情報」を加味していたのであるから、「記憶した位置から」との発明特定事項を削除することは、特許法第17条の2第5項の各号に規定するいずれの目的に該当するものではない。 また、仮に、本件補正前の請求項1の「表示部」が「表示画面」の誤記であったとしても、本件補正前の請求項5及び8の「表示部」は、本件補正後の請求項5及び8においても、依然として「表示部」のままで、「表示画面」と補正しないのであるから、本件補正前の請求項1の「表示部」が「表示画面」の誤記であったとはいえない。 そうすると、本件補正前の請求項1の「表示部」との発明特定事項を削除することは、特許法第17条の2第5項の各号に規定するいずれの目的に該当するものではない。 (2)補正事項2について 上記補正事項2は、本件補正前の請求項9の「ゴルフ支援装置」における「出力する機能」に関して、「前記ボールを打つ際の高低差に基づいたアドバイス情報を」出力する機能から、「前記ボールを打つ際の前記高低差に基づいた数値情報を」出力する機能へと補正するものである。 そして、前記補正事項における「アドバイス情報」は、発明の詳細な説明(特に、【0020】)を参酌すると、「高低差の情報、ボールを打つ場合に目標とする水平距離、設定された位置までの水平距離に対する調整飛距離、使用すべきクラブの番手」の情報を包含するものであることから、「アドバイス情報」を「数値情報」とする補正は、「アドバイス情報」を数値に関わる情報へと具体的に限定するものと認める。 そして、本件補正前の請求項9に記載された発明とその補正後の当該請求項9に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、上記補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、上記補正事項2は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。 (3)補正事項3について 上記補正事項3は、本件補正前の請求項10の「ゴルフ支援装置」に関して、「前記アドバイス情報は、前記高低差の情報、ボールを打つ場合に目標とする水平距離、前記設定された位置までの水平距離に対する調整飛距離、使用すべきクラブの番手の少なくとも一つであること」から、「前記高低差に基づいた数値情報は、前記高低差の値または前記設定された位置までの水平距離に対する調整飛距離の少なくとも一つであること」へと補正するものである。 そして、上記(2)の通り、本願発明の「アドバイス情報」とは、「数値情報」の上位概念であるところ、補正事項3は、「アドバイス情報」を「前記高低差に基づいた数値情報」へと限定し、本件補正前にあった4つの選択肢を、本件補正後に、2つの選択肢へと限定する補正である。 そして、本件補正前の請求項10に記載された発明とその補正後の当該請求項10に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、上記補正事項3は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、上記補正事項3は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。 してみると、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反してされたものというほかないから、同法第159条第1項において読み替えて適用される同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件について 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当するものではないが、念のため、本件補正が限定的減縮であると仮定して、本件補正後の前記請求項1に係る発明(令和2年2月18日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】(以下、「本願補正発明」という。)における本願補正発明1が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。 (2)引用例 ア 引用例1 原査定の拒絶の理由において引用された特開2003-62145号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフコースの状況や個人の能力などを判断して、ゴルフクラブの選択を支援するゴルフクラブ選択支援装置に関するものであり、より詳細には、PDA(Personal Digital Assistance)などのハンディタイプの情報機器を用いて最適なゴルフクラブの選択を支援するゴルフクラブ選択支援装置に関するものである。」 (イ)「【0019】図2は、本発明のゴルフクラブ選択支援装置の機能を示すブロック図である。つまり、この図は、図1に示すPalmデバイスを機能的に表現したブロック図である。図2において、ゴルフクラブ選択支援装置は、タッチパネルからなる入力装置21と、所望のゴルフ関連情報などを表示させる表示装置22と、CPUなどからなる演算装置23と、地図情報やゴルフに関する個人情報を記憶する記憶装置24と、外部との通信インタフェースとなるモデムなどの通信装置25とによって構成されている。ここで、入力装置21と表示装置22が図1に示す液晶パネル2に相当する。また、演算装置23や記憶装置24や通信装置25は、図1に示すPalmデバイス1の内部に構成されていて、図1には表れていない。」 (ウ)「【0021】演算装置23はCPUによって構成されていて、ゴルフクラブ選択支援装置の全てのデバイスをコン卜ロールしたり、始点となるP1点と終点となるP2点との間の距離の測定や、最適なクラブを選択するために必要な演算などを行う。記憶装置24は、ゴルフクラブ選択支援装置の本体内部にある主記憶装置以外に、外部記憶装置としてのメモリカードなども含まれる。つまり、記憶装置24は、距離の測定に必要な地図などのコース情報や、個人の打球能力情報の入力結果などを保存している。また、メモリカードの場合は、抜き差しによってコース情報を変更することも可能である。つまり、別のゴルフ場に行く度にメモリカードを交換することによってそのゴルフ場のコース情報を表示させることができる。また、通信装置25は、モデムを含むモバイルコミュニケーションアダプタなどのデバイスであって、外部装置から通信によってコース情報などを受け取り、これらの情報を記憶装置24に書き込むことにより、メモリカードを差し換えたのと同様の結果を実規することができる。 【0022】次に、図2に示すゴルフクラブ選択支援装置の動作の概要を説明する。先ず、CPUからなる演算装置23が、記憶装置24や通信装置25から所望のコース情報を取得して、これらの情報を表示装置22に画像として表示させる。そして、プレーヤが、表示装置22に表示されたコース情報の画像を見ながら、入力装置21のタッチパネル上の2点をタッチペン26で触れて指定する。つまり、タッチペン26によって、最初に、始点P1(つまり、ボールの置かれた位置)を指定し、次に、終点P2(つまり、ボールの到達予想位置)を指定する。【0023】これによって、演算装置23は、P1とP2との間の直線距離の演算を開始する。さらに、演算装置23は、P1とP2との間の直線距離とコースの状況によって決められている定数とによって、ショット距離を演算する。そして、演算装置23は、ショット距離と、予め記憶装置24に記憶されているクラブ毎の最大飛距離の個人情報とを比較して、最適なクラブ選択情報やボールへのスイング強度情報などを演算する。さらに、演算装置23は、上述のように演算された演算結果に基づいて、最適に選択されたクラブやスイング強度などを表示装置22に表示させる。つまり、本発明のゴルフクラブ選択支援装置によれば、プレーヤが予め入力したコース情報や個人情報に基づいて、最適なクラブ選択の支援を行うことができる。」 (エ)「【0039】尚、演算装置23は、スイング強度を演算して表示装置22にスイング強度情報を数値として表示させることもできる。前述の例で述べれば、3Iの最大飛距離は220ヤードであり、終点P2を狙うためのショット距離Sは208ヤードであるので、スイング強度は、208/220=95%と演算される。したがって、図4に示すように、[Selection]の項目には、選択されたクラブとして“3I”、スイング強度として“95%”が表示される。これによって、プレーヤは、第2打目には3I(3番アイアン)を用いて95%の強度でスイングすればよいことが分かる。」 (オ)図4より、選択されたクラブ及びスイング強度が表示装置22に同時に表示させることが看取できる。 そうすると、上記(ア)乃至(オ)の記載事項から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「ゴルフコースの状況や個人の能力などを判断して、ゴルフクラブの選択を支援するゴルフクラブ選択支援装置であって、 ゴルフクラブ選択支援装置は、タッチパネルからなる入力装置21と、所望のゴルフ関連情報などを表示させる表示装置22と、CPUなどからなる演算装置23と、距離の測定に必要な地図などのコース情報やゴルフに関する個人情報を記憶する記憶装置24と、外部との通信インタフェースとなるモデムなどの通信装置25とによって構成され、 プレーヤが、表示装置22に表示されたコース情報の画像を見ながら、入力装置21のタッチパネル上で、始点P1(つまり、ボールの置かれた位置)、及び終点P2(つまり、ボールの到達予想位置)を指定すると、演算装置23は、P1とP2との間の直線距離を演算し、さらに、演算装置23は、P1とP2との間の直線距離とコースの状況によって決められている定数とによって、ショット距離を演算し、そして、演算装置23は、ショット距離と、予め記憶装置24に記憶されているクラブ毎の最大飛距離の個人情報とを比較して、最適なクラブ選択情報やボールへのスイング強度情報などを演算し、さらに、演算装置23は、演算された演算結果に基づいて、最適に選択されたクラブやスイング強度を数値として表示装置22に同時に表示させる、 ゴルフクラブ選択支援装置。」 イ 引用例2 原査定の拒絶の理由において引用された特表2013-506529号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】【0001】本発明は、一般的には、ナビゲーション、調査、および解析システムに関する。本発明は、より具体的には、ゴルファがハンドヘルド型パーソナルデジタルアシスタント(PDA)および全地球測位システム(GPS)装置を使用しゴルフコースの目標および回避位置を容易く調査し、および/または電子的に入力し、それらの位置を記録し、物体データをもとに物体までの相対距離および相対高度を判断することを可能にする、システムに関する。本発明はまた、ハンドヘルド型パーソナルデジタルアシスタント(PDA)や全地球測位システム(GPS)装置等の電子または電算装置で距離、経過時間、統計、および他のゴルフ関係情報を図式的に表示するシステムおよび方法と、電算システムによりゴルフ地理情報サービス(GIS)データを収集、処理、および配布する方法とに、関する。」 (イ)「【0047】ゴルファはゴルフを実際にプレイしているときにPDA画面で「ボールマーク」仮想ボタンを押すことによってボール位置をマークし、図8に見られるように、種々目標および回避物までの距離、および/または目標/回避物までの相対高度、ならびにボールの飛距離を、自動的に判断できる。さらにゴルファは、ショットのたびにボール位置を記録し、使用するクラブや他の関係データを、例えばフェアウェイポジション、ボール軌道(ストレート、フック、スライス等)、ライポジション、サンドセーブ、パーオン率、パット数等を、選択できる。ゴルファはクラブ距離や他のショット特性を保存し、PDAで直ちに見ることができるほか、後ほどPDAや他の計算装置で分析できる。この分析は、単一または複数プレイラウンドからのデータに基づき各クラブの平均飛距離を計算することを含み、ただしこれに限定されない。システムは、各クラブの平均距離と目標までの現在の距離に基づきプレイ中にショットに適したクラブを推奨できる。【0048】図8のサブルーチンにおいて、新たな画面が表示されるときには地上のゴルファの現在位置の緯度当たりのヤード数と経度当たりのヤード数が表示される。これは、表示される全目標までの距離のリアルタイム計算および更新に要する時間と複雑さを軽減する。代替方法では、緯度および経度点間の距離を計算するため大円式(greatcircleformula)を使用する(引用例2の優先権主張の基礎出願の国際公開第2011/043915号の「An alternative method is to use the great circle formula to compute the distance between all latitude and longitude points.」との記載から「全ての点の緯度及び経度の差から距離を計算する」との誤記と認める。)。高度差を計算し表示することもできる。」 (ウ)上記(イ)の「緯度及び経度の差から」「計算する」「距離」とは、高度差を加味しない距離であることから、水平距離といえ、ゴルファの現在位置から全目標までの距離を表示するのであるから、前記水平距離も表示することは明らかである。 そうすると、上記(ア)乃至(ウ)の記載事項から、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。「ゴルファの現在位置から、目標までの距離を、緯度及び経度の差からその水平距離を計算し表示し、並びに高度差を計算し表示するシステム。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、 ア 後者の「ゴルフコース」、「P1とP2との間の直線距離」、「始点P1(つまり、ボールの置かれた位置)」、「終点P2(つまり、ボールの到達予想位置)」、「表示装置22」及び「ゴルフクラブ選択支援装置」は、それぞれ、前者の「ゴルフコース」、「『二点間』の『距離』」、「ボールを打つ地点」、「設定された位置」、「表示画面」及び「ゴルフ支援装置」に相当する。 イ 後者の「ゴルフクラブ選択支援装置」は、「地図などのコース情報」を用いて「距離の測定」を行っているところからすれば、少なくともコース上の地点の緯度及び経度情報を有しているものと認められる。これに対し、前者の「位置情報」について、願書に添付した明細書の【0036】に「位置情報は、例えば経度・緯度情報等の水平位置を特定する情報である。」と記載されていることからすれば、後者の「地図などのコース情報」は、前者の「位置情報」に相当する。 ウ 後者の「ゴルフクラブ選択支援装置」の「記憶装置24」は、地図などのコース情報を記憶するものであるから、前者の「ゴルフ支援装置」と後者の「ゴルフクラブ選択支援装置」とは、「ゴルフコースの二点間の距離を求めるための位置情報を記憶」する機能を備える点で共通する。 ウ 後者の「ゴルフクラブ選択支援装置」の「演算装置23」は、P1とP2との間の直線距離を演算するものであって、P1及びP2の位置の情報を取得していることは明らかといえるから、前者の「ゴルフ支援装置」と後者の「ゴルフクラブ選択支援装置」とは、「ボールを打つ地点と設定された位置の前記二点間の情報を取得する機能」を備える点で共通する。 エ 後者の「最適なクラブ選択情報やボールへのスイング強度情報」は、いわゆるアドバイス情報として、数値で表示されるものであるから、後者の「最適なクラブ選択情報やボールへのスイング強度情報」は、前者の「ボールを打つ際の数値情報」に相当し、「表示画面に出力する」との概念で共通する。 したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 [一致点] 「ゴルフコースの二点間の距離を求めるための位置情報を記憶し、 ボールを打つ地点と設定された位置の前記二点間の情報を取得する機能と、 前記ボールを打つ際の数値情報を表示画面に出力する機能を備える、 ゴルフ支援装置。」 [相違点1] 本願補正発明は、「ゴルフコースの二点間の水平距離」を求めるものであるのに対し、引用発明1は、「P1とP2との間の直線距離」を求めるものであって、水平距離か否か定かでない点。 [相違点2] 本願補正発明が、二点間の「高低差」の情報を取得し、ボールを打つ際の「高低差の情報に基づいた」数値情報と、「設定された位置までの水平距離とを同じ」表示画面に「同時に」出力する機能を備えるものであるのに対し、引用発明1は、P1とP2との間の直線距離に基づいて最適に選択されたクラブやスイング強度を同時に表示装置22に表示させる点。 (4)判断 上記各相違点について、以下、検討する。 ア [相違点1]について 引用発明2の「ゴルファの現在位置から、目標までの距離」であって、「緯度及び経度の差から」「計算した」「水平距離」は、本願補正発明の「ゴルフコースの二点間の水平距離」に相当する。 そうすると、上記相違点1に係る構成は引用発明2に示されているといえる。 そして、引用発明1は、始点P1(つまり、ボールの置かれた位置)と終点P2(つまり、ボールの到達予想位置)との間の直線距離が水平距離か否か定かでないところ、地図などのコース情報を用いて始点P1と終点P2との距離を演算して求めていることからして、引用発明2の緯度及び経度の差からその水平距離を計算することを適用することは、当業者にとって何ら困難性のないことである。 してみると、引用発明1のP1とP2との間の直線距離に、引用発明2の緯度および経度点間の距離を適用し、上記相違点1とすることは、当業者が容易になし得る程度のことである。 イ [相違点2]について ゴルフコースの二点間の距離を表示するゴルフ支援装置の分野において、二点間の情報から演算した二点間の高度差及び水平距離を同時に画面出力することは、本願の出願時において周知の技術手段といえる(例えば、特開平8-75449号公報(【0036】、【0048】等参照。)、特開2004-105350号公報(【0044】等参照。)及び特開2011-33606号公報(【0032】参照。)以下「周知技術」という。)。 そして、引用発明1は、二点間の情報から演算した最適に選択されたクラブやスイング強度を表示装置に同時に表示させているところ、二点間の情報から演算し、その演算結果を表示するに際し、上記周知技術を適用し、二点間の高度差及び水平距離を演算し同時に表示するようにすることは、当業者が容易になし得るものである。 してみると、引用発明1において、P1及びP2の情報から演算しその演算結果を表示するに際し、上記周知技術を適用し、上記相違点2とすることは、当業者が容易になし得る程度のことである。 そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1、引用発明2及び上記周知技術から、当業者が予測しうる範囲内のものである。 請求人は、「引用文献2は、「水平距離」という「高低差の情報と連関」しない情報を単に表示するものであって、本願のような、「同じ表示画面に出力する」という思想は開示されていない。」と主張する。 しかし、引用発明2は、距離と高度差を表示するものであって、少なくとも、同じ表示画面に出力する点では差異がない。 また、請求人は、「引用文献1に具体的に開示されている構成やその根本にある「最適なクラブを表示する」という課題から生じる思想は、引用文献2との組み合わせの阻害要因となるものである。またこうした引用文献1の具体的な記載及びその根底にある「最適なクラブを表示する」という課題から生じる思想は、本願発明に至る阻害要因となるものである。」と主張する。 しかし、引用文献1、引用文献2及び上記周知技術を組み合わせることにより、水平距離と高度差が同時に表示されることとなるのであるから、ゴルファーにとって、クラブ選択情報及びボールへのスイング強度情報に対する誤った理解を与えることとにはならない。 よって、上記請求人の主張は採用できない。 よって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ない。 したがって、本願補正発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に違反する。 4 補正却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、上記2で検討したように、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 また、本件補正は、上記3で検討したように、仮に特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当したとしても、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、出願時(平成30年3月27日)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ゴルフコースの二点間の水平距離を求めるための位置情報を記憶し、 ボールを打つ地点と設定された位置の二点間の高低差の情報を取得する機能、 その取得した高低差の情報と前記記憶した位置情報から、前記ボールを打つ際の高低差に基づいたアドバイス情報を表示部に出力する機能を備え、 前記アドバイス情報を、前記設定された位置までの水平距離と同じ表示画面に出力する機能を備えること を特徴とするゴルフ支援装置。」(以下「本願発明」という。) 2 引用例 平成31年3月28日付けの拒絶理由通知に引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用例」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、実質的に、本願補正発明の「数値情報」を「アドバイス情報」とし、「同時に」との限定を省くものである。 そうすると、本願発明と引用発明1とを対比すると、上記「第2 3 (3)対比」での検討を勘案すると、両者は、 「ゴルフコースの二点間の距離を求めるための位置情報を記憶し、 ボールを打つ地点と設定された位置の二点間の情報を取得する機能、 その取得した前記記憶した位置情報から、前記ボールを打つ際のアドバイス情報を表示部に出力する機能を備え、 前記アドバイス情報を、表示画面に出力する機能を備える、 ゴルフ支援装置。」 の点で一致し、以下の点で、相違する。 [相違点1] 本願発明は、「ゴルフコースの二点間の水平距離」を求めるものであるのに対し、引用発明1は、「P1とP2との間の直線距離」を求めるものであって、水平距離か否か定かでない点。 [相違点2’] 本願補正発明が、二点間の「高低差」の情報を取得し、「その取得した高低差の情報」から、ボールを打つ際の「高低差」に基づいたアドバイス情報を、「設定された位置までの水平距離と同じ」表示画面に出力する機能を備えるものであるのに対し、引用発明1は、P1とP2との間の直線距離に基づいた最適に選択されたクラブやスイング強度を同時に表示装置22に表示させる点。 そして、上記「第2 3 (4)判断 ア」で検討したとおり、引用発明1に引用発明2を適用し、相違点1とすることは、当業者にとって容易になし得る程度のことであるところ、上記相違点2’について検討すると、引用発明1は、始点P1(つまり、ボールの置かれた位置)と終点P2(つまり、ボールの到達予想位置)との間の直線距離が水平距離か否か定かでないところ、直線距離とコース状況によって、最適なクラブ選択情報やボールへのスイング強度情報などを演算しているのであるから、引用発明1に、引用発明2を適用すれば、「高低差」の情報が取得されることとなるのであるから、引用発明1において、最適なクラブ選択情報やボールへのスイング強度情報など演算するに際して、当業者は、当然、高低差を加味し、より有益なアドバイス情報を表示させようとするのが自然といえる。 また、引用発明2は、ゴルファの現在位置から、目標までの距離を、緯度および経度点間の距離及び高度差を表示するものであるのだから、引用発明1に、引用発明2を適用することにより、「高度差」の情報を取得し、「高度差」に基づいたアドバイス情報及び水平距離を表示するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 その際、アドバイス情報及び水平距離は、一つのゴルフクラブ選択支援装置の画面、すなわち、同じ画面に表示されることとなるのは、明らかといえる。 そうすると、引用発明1に、引用発明2を適用し、二点間の「高低差」の情報を取得し、「その取得した高低差の情報」から、ボールを打つ際の「高低差」に基づいたアドバイス情報を、「設定された位置までの水平距離と同じ」表示画面に出力するようにし、以て上記相違点2’とすることは、当業者が容易になし得るもの出る。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-002170

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