2019-700913
二重容器の製造方法
- 審判番号
- 2019-700913
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-166829外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月15日
- 審決日
- 2020年01月23日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社平和化学工業所
- 【権利者代理人】村社 厚夫
- 【異議申立人】鎌田 亜希子
- 分類
- P1651.113-Y (B29C) / P1651.121-Y (B29C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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特許第6516122号(設定登録時の請求項の数は7。以下「本件特許」という。)は、平成26年8月19日の特許出願に係るものであって、平成31年4月26日に、その特許権が設定登録された。
そして、本件特許に係る特許掲載公報は、令和1年5月22日に発行されたところ、特許異議申立人 鎌田亜希子(以下、単に「異議申立人」という。)は、同年11月15日に請求項1~7に係る特許に対して特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、請求項の番号に応じて各発明を「本件発明1」などという。)。
「【請求項1】成形後互いに剥離可能な剛性外層容器部と柔軟性内層容器部とを形成する内層及び外層の少なくとも2層を有するパリソンから、一対の部分金型を組み合わせた割金型を使用して容器を成形し、前記剛性外層容器部と前記柔軟性内層容器部との間に外気を導入して、前記剛性外層容器部の形状を維持しながら、前記柔軟性内層容器部の容量を縮小させる二重容器の製造方法において、前記一対の部分金型が組み合わされて前記割金型を作るために相互に近寄る際に、前記一対の部分金型の合わせ面の少なくとも一部が、パリソンの前記内層及び外層を水平対向位置の両側部分で挟み込み、該挟み込みによって形成されてパリソンの円筒中心線を含む平面内で延びる隙間ばりを形成し、該隙間バリを取り去った跡に露出している前記剛性外層容器部及び柔軟性内層容器部の端部の剥離空間から外気を導入させることを特徴とする二重容器の製造方法。【請求項2】続きを表示(全15行)前記一対の部分金型の合わせ面の少なくとも一部が、パリソンの剛性外層を水平対向位置の両側部分で挟み込むことを特徴とする請求項1に記載の二重容器の製造方法。【請求項3】前記一対の部分金型の合わせ面の少なくとも一部が、パリソンの剛性外層と柔軟性内層を水平対向位置の両側部分で挟み込むことを特徴とする請求項1に記載の二重容器の製造方法。【請求項4】前記一対の部分金型の合わせ面の一部が前記パリソンを挟み込む部分の外側に、前記パリソンから作られる摘み突起部を形成することを特徴とする請求項1に記載の二重容器の製造方法。【請求項5】前記一対の部分金型の当たり面の一部が前記パリソンを挟み込む部分は、二重容器の首肩部であることを特徴とする請求項1に記載の二重容器の製造方法。【請求項6】前記一対の部分金型の当たり面の一部が前記パリソンを挟み込む部分は、二重容器の口部であることを特徴とする請求項1に記載の二重容器の製造方法。【請求項7】前記一対の部分金型の当たり面の一部が前記パリソンを挟み込む部分は、二重容器の螺合口部であることを特徴とする請求項1に記載の二重容器の製造方法。」
第3 申立理由の概要
異議申立人の主張は、概略、次のとおりである。
1 取消理由1
異議申立人は、証拠として特開平7-315435号公報(以下「甲1」という。)を提出し、本件発明1~7は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 取消理由2
異議申立人は、本件発明1~7は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
第4 刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明
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1 甲1に記載された事項
本件特許に係る出願日前に頒布された刊行物である甲1には、以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】 ブロー成形により、定形の外殻を形成する合成樹脂製の外層(2) と、該外層(2) に剥離自在に積層され、内袋を形成する可撓性合成樹脂製の内層(3) とから構成され、上端に連設した円筒状の口部(5) を含めた胴部(4) の上端部に成形した金型喰切り部(9) の前記外層(2) の端縁間に、前記外層(2) と内層(3) との間への外気の侵入口としてのスリット(10)が形成される壜体。」
・「【0021】壜体1の口部5を含めた胴部4の上部に成形される金型喰切り部9は、ブロー成形金型である両割金型または駒金型で、ブロー成形前のパリソン12またはブロー成形後の壜体1の中間成形品の一部を喰い切ることにより成形されるが、この喰い切りは、内層3を重ねた状態で,外層2と内層3との積層物を押し潰しながら切断するので、図9に示すように、内層3同士は充分に溶着するものの、外層2同士は、間に位置した内層3の一部に邪魔されて、その尖塔状となった喰い切り端縁間を殆ど接触させることができない状態となる。
【0022】このため、外層2と内層3とが剥離自在であることも加わって、この金型喰切り部9に指先で適当に力を加えることにより、外層2の喰い切り端縁間を、外層2と内層3とを剥離させながら離反させてスリット10を容易に形成することができる。」
・「【図9】
」
2 甲1発明
甲1には、特に、段落【0021】~【0022】記載の製造工程及び請求項1などの記載から見て、次のとおりの発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「ブロー成形により、定形の外殻を形成する合成樹脂製の外層と、該外層に剥離自在に積層され、内袋を形成する可撓性合成樹脂製の内層とから構成され、上端に連設した円筒状の口部を含めた胴部の上端部に成形した金型喰切り部の前記外層の端縁間に、前記外層と内層との間への外気の侵入口としてのスリットが形成される壜体の製造方法であって、壜体の口部を含めた胴部の上部に成形される金型喰切り部は、ブロー成形金型である両割金型または駒金型で、ブロー成形前のパリソンまたはブロー成形後の壜体の中間成形品の一部を喰い切ることにより成形されるが、この喰い切りは、内層を重ねた状態で、外層と内層との積層物を押し潰しながら切断されたものであり、この金型喰切り部に指先で適当に力を加えることにより、外層の喰い切り端縁間を、外層と内層とを剥離させながら離反させてスリット形成する方法。」
第5 当合議体の判断
当合議体は、以下述べるように、取消理由1~2には、いずれも理由はないと判断する。
1 本件発明1について
(1) 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ブロー成形金型である両割金型または駒金型」は、本件発明1の「一対の部分金型を組み合わせた割金型」に相当するを使用するものと認められる。
また、甲1発明における「内層を重ねた状態で、外層と内層との積層物」の「金型喰切り部」を形成するためには、ブロー成形後の壜体から「内層を重ねた状態で、外層と内層との積層物」が、壜体表面から外側にはみ出した状態で成形されることが明らかであるから、本件発明1の「隙間バリ」が形成されているものと認められる。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、それぞれ次のとおりである。
ア 一致点
「成形後互いに剥離可能な剛性外層容器部と柔軟性内層容器部とを形成する内層及び外層の少なくとも2層を有するパリソンから、一対の部分金型を組み合わせた割金型を使用して容器を成形し、前記剛性外層容器部と前記柔軟性内層容器部との間に外気を導入して、前記剛性外層容器部の形状を維持しながら、前記柔軟性内層容器部の容量を縮小させる二重容器の製造方法において、パリソンに隙間ばりを形成し、該隙間バリを取り去った跡に露出している前記剛性外層容器部及び柔軟性内層容器部の端部の剥離空間から外気を導入させる二重容器の製造方法。」
イ 相違点1
本件発明1は、「一対の部分金型の合わせ面の少なくとも一部が、パリソンの前記内層及び外層を水平対向位置の両側部分で挟み込み、該挟み込みによって形成されてパリソンの円筒中心線を含む平面内で延びる隙間ばりを形成」するものであるが、甲1発明においては、一対の部分金型は用いるものの、パリソンの両側部分で挟み込む特定がなされていない点。
ウ 相違点2
外気を導入する部位の形成に関し、本件発明1は、「隙間バリを取り去った跡に露出している前記剛性外層容器部及び柔軟性内層容器部の端部の剥離空間から外気を導入させる」のに対し、甲1発明は、金型によって金型喰切り部を喰切り、その後の端縁間を、さらに外層と内層とを剥離させながら離反させて形成するものである点。
(2)相違点1についての検討
甲1発明の金型喰切り部に関し、「この喰い切りは、内層を重ねた状態で、外層と内層との積層物を押し潰しながら切断されたもの」と特定されるが、この「外層と内層との積層物」が、本件発明1のように、部分金型の合わせ面で「パリソン」を挟み込んで形成されるものではない。そして、ブロー前のパリソンを金型で挟む点につき、甲1には記載も示唆もされておらず、また、部分金型の合わせ面でパリソンの内層及び外層を挟み込むことが当業者において通常行われていることともいえない。
そして、本件発明1は、ブロー前に、部分金型の合わせ面で「内層を重ねた状態で、外層と内層との積層物」を挟み込むことによって、二重容器において外気を入れるための開口を、極めて容易に且つ確実に形成できるという顕著な効果を得るものである。この効果は、本件特許明細書の【発明が解決しようとする課題】欄における、特許文献1~4記載の技術において、開口形成の除去片を外層と内層との積層物からブローによって形成する困難性等の課題についての記載からも理解することができる。
(3)異議申立人の主張について
異議申立人は、上記相違点1に関し、「両割金型でパリソンをブロー成形する場合、パリソンを水平対向位置の両側部分で挟み込むことは至極当然のことである。」(申立書第11ページ第16~18行)と主張している。
しかしながら、両割金型でパリソンをブロー成形する場合に、パリソンの内層及び外層の両方を部分金型の合わせ面で挟み込むことは当然とはいえない。このことは、例えば、本件特許明細書で開示される特許文献4においても、パリソンの内層につき部分金型の合わせ面で挟み込まれていない点からも理解できる。
よって、異議申立人の上記主張には理由がない。
(4)本件発明1についての小括
そうすると、本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、甲1に記載された発明とはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件発明2~7について
本件発明2~7は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明2~7もまた、甲1に記載された発明であるといえないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 まとめ
以上のとおり、本件発明1~7は、本件特許の出願前に日本国内において、頒布された甲1に記載された発明であるといえないし、甲1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、取消理由1及び2には、理由がない。
第6 むすび
したがって、異議申立人の主張する特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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