特許異議申立
2019-700810
光コネクタ清掃工具及び光コネクタの清掃方法
- 審判番号
- 2019-700810
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-076622
- 登録番号
- 特許第6498814号(P6498814)
- 請求日
- 2019年10月09日
- 審決日
- 2020年02月28日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社フジクラ
- 【権利者代理人】一色国際特許業務法人
- 【異議申立人】御園 貴美代
- 【異議申立人代理人】石井 豪
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 博之
- 審判官 松川 直樹
- 審判官 山村 浩
- 分類
- P1652.121-Y (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6498814号発明「光コネクタ清掃工具及び光コネクタの清掃方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6498814号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第6498814号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成30年4月12日に出願され、平成31年3月22日にその特許権の設定登録がされ、平成31年4月10日に特許掲載公報が発行されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年10月 9日 :特許異議申立人御園貴美代(以下「申立人」という。)による請求項1に係る特許に対する特許異議の申立
令和元年11月18日付け:取消理由通知
令和2年 1月20日 :意見書の提出(特許権者)
令和2年 1月28日付け:審尋(申立人に対して)
令和2年 2月14日 :回答書(申立人)
2.請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)について
なお、A~Eは、本件特許発明を分説するために当審で付した。
「【請求項1】
A 工具本体と、
B 前記工具本体と相対移動可能に設けられ、前記工具本体から延び出た延出部と
を有する光コネクタ清掃工具であって、
C 前記延出部は、テープ状の粘着体で形成された清掃体を光コネクタに押し付けるヘッドを備え、
D 前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする
E ことを特徴とする光コネクタ清掃工具。」
3.取消理由の概要
当審において、本件特許発明に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
・本件特許発明は、後記甲第1号証ないし甲第4号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
・甲各号証
(1)甲第1号証:特許第5439557号公報
(2)甲第2号証:特開2014-81445号公報
(3)甲第3号証:特許第4101486号公報
(4)甲第4号証:特開2003-232962号公報
4.甲各号証に記載された事項及び発明
(1)甲第1号証について
ア 本件出願の出願前に頒布された甲第1号証には、下記の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同じ。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ清掃工具及び光コネクタ清掃方法に関する。」
(イ)「【0022】
===第1実施形態===
<光コネクタ清掃工具の概要>
図1Aは、第1実施形態の光コネクタ清掃工具(以下、単に「清掃工具」ということがある)の斜視図である。図1Bは、カバー5を外した状態の斜視図である。
【0023】
清掃工具1は、工具本体10と、工具本体10から延び出た延出部60とを備えている。工具本体10は、カバー5(前カバー5A及び後カバー5B)によって覆われている。延出部60は、前カバー5Aの開口から延び出ており、カバー5の外部に露出している。
【0024】
延出部60は、ヘッド61を有している。ヘッド61は、光コネクタの接合端面に清掃体3を押し付けるための部材である。ヘッド61は、延出部60の端部に位置しており、光コネクタに清掃体3を押し付けられるように清掃体3が外部に露出している。
【0025】
なお、第1実施形態の清掃工具1は、例えばMPOコネクタの清掃に用いられる。MPOコネクタは、MT型のプラスチック多心光コネクタ(JIS,C5981)を光コネクタフェルールとして用いた光コネクタであり、光アダプタにより抜き差し自在に結合される光コネクタである。多心光コネクタを清掃対象としているため、清掃体3は、糸状ではなく、幅のあるテープ状である。但し、清掃工具1は、他の種類の光コネクタを清掃対象としても良く、清掃対象が単心光コネクタであれば清掃体3が糸状であっても良い。
(途中省略)
【0029】
清掃工具1を用いて光コネクタを清掃するとき、作業者は、カバー5越しに工具本体10を保持し、延出部60の前側のヘッド61を光アダプタに挿入して、光アダプタ内の光コネクタにヘッド61の清掃体3を押し付け、その状態で工具本体10を前側に向かって移動させる(プッシュ動作)。これにより、清掃工具1は、図2Aの通常状態から図2Bや図2Cのプッシュ状態になる。更に、作業者は、光アダプタに挿入されているヘッド61を引き出して清掃工具1を取り出すために、保持している工具本体10を後側に移動させる(プル動作)。これにより、清掃工具1は、図2Bや図2Cのプッシュ状態から図2Aの通常状態に戻る。
【0030】
このように、作業者は、1回の清掃動作の中で、プッシュ動作とプル動作とを行うことになる。プッシュ動作では、工具本体10が延出部60に対して前側に移動することになる(工具本体10側から見れば、延出部60が工具本体10に向かって移動することになる)。プル動作では、工具本体10が延出部60に対して後側に移動することになる(工具本体10側から見れば、延出部60が工具本体10から離れるように移動することになる)。
【0031】
作業者の行うプッシュ動作及びプル動作によって、工具本体10と延出部60とが前後方向に相対移動する。清掃工具1は、工具本体10と延出部60との間の相対移動(直線運動)を利用して、未使用の清掃体3の供給と、使用済みの清掃体3の巻き取りを行っている。」
(ウ)「【0078】
図7A~図7Cは、定量送出し機構83の動作の説明図である。図7Aは、プッシュ動作前の通常状態の説明図である。図7Bは、プッシュ状態における定量送出し機構83の説明図である。図7Cは、プル動作後の通常状態の説明図である。図中において清掃体3の経路を太線で示している。
【0079】
供給リール31から供給された清掃体3は、供給側ガイド筒41Aによって工具本体10から延出部60に案内されている。延出部60に案内された清掃体3は、ヘッド61の押圧面61Aにおいて上側から下側に巻き掛けられるとともに、延出部60のヘッド側引掛部68に引っ掛けられることによって、ヘッド61とヘッド側引掛部68との間に掛け渡されている(右から見たとき、S字状に掛け渡されている)。また、清掃体3は、延出部60のヘッド側引掛部68に引っ掛けられるとともに、工具本体10の本体側引掛部42に引っ掛けられることによって、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42との間に掛け渡されている(右から見たとき、逆S字状に掛け渡されている)。そして、清掃体3は、巻取側ガイド筒41Bによって巻取リール35に案内され、巻取リール35に巻き取られている。
【0080】
まず、プッシュ動作によって清掃工具1が通常状態(図7A参照)からプッシュ状態(図7B参照)になるときの定量送出し機構83の動作について説明する。
【0081】
プッシュ動作では、ヘッド61により清掃体3を光コネクタに押し付けた状態で、工具本体10が延出部60に対して前側に移動する。延出部60のヘッド側引掛部68が工具本体10の本体側引掛部42よりも後側に配置されているため、プッシュ動作では、延出部60に対する工具本体10の移動量の分だけヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が離間する。
【0082】
ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42との間には清掃体3が掛け渡されているため、ヘッド61から本体側引掛部42までの間の清掃体3の長さは、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が離間した分(すなわち、延出部60に対する工具本体10の移動量の分)だけ長くする必要がある。言い換えると、ヘッド61より下流側の清掃体3の長さは、移動量の分だけ長くする必要がある。但し、巻取リール35はラチェット機構82によって巻取方向とは逆方向に回転することが制限されており、清掃体3が本体側引掛部42からヘッド側引掛部68へ送られること(清掃体3が逆送りされること)が制限されているため、長くなる分の清掃体3を巻取リール35から供給することはできない。このため、ヘッド61の上流側から下流側へ、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が離間した分(すなわち、延出部60に対する工具本体10の移動量の分)の清掃体3が送り出されることになる。つまり、延出部60に対する工具本体10の移動量の分の未使用の清掃体3がヘッド61に供給され、延出部60に対する工具本体10の移動量の分の使用済みの清掃体3がヘッド61から送り出される。
【0083】
一方、供給側ガイド筒41Aからヘッド61までの間の距離は、延出部60に対する工具本体10の移動量の分だけ近接する。この結果、供給側ガイド筒41Aからヘッド61までの間の清掃体3の長さ(若しくは、供給リール31からヘッド61までの間の清掃体3の長さ)は、移動量の分だけ短くなる。言い換えると、ヘッド61より上流側の清掃体3の長さは、移動量の分だけ短くなる。このため、この分の清掃体3がヘッド61の下流側に送り出されることになる。
【0084】
言い換えると、プッシュ動作のとき、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42との間には清掃体3が掛け渡されている状態でヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が離間するため、ヘッド61よりも下流側の清掃体3の張力が高くなる。一方、プッシュ動作のとき、ヘッド61よりも上流側の清掃体3の張力は低くなる。このため、ヘッド61の上流側と下流側の張力差によって、ヘッド61の上流側の清掃体3がヘッド61の下流側に送り出されることになる。
【0085】
なお、プッシュ動作時には、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42との間の清掃体3に働く張力によって、巻取リール35に巻取方向とは逆方向の力が働くが、ラチェット機構82の作用により巻取リール35は回転しない。また、プッシュ動作時には、ヘッド61の上流側の清掃体3がヘッド61の下流側に移動するだけなので、供給リール31も回転しない。
【0086】
次に、プル動作によって清掃工具1がプッシュ状態(図7B参照)から通常状態(図7C参照)になるときの定量送出し機構83の動作について説明する。
【0087】
プル動作では、工具本体10が延出部60に対して後側に移動する。延出部60のヘッド側引掛部68が工具本体10の本体側引掛部42よりも後側に配置されているため、プル動作では、延出部60に対する工具本体10の移動量の分だけヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が近接する。
【0088】
ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42との間には清掃体3が掛け渡されているため、ヘッド61から本体側引掛部42までの間の清掃体3の長さは、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が近接した分(すなわち、延出部60に対する工具本体10の移動量の分)の余剰が生じる。一方、プル動作では、巻取リール35が巻取方向に回転することになる(後述)。このため、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が近接した分(すなわち、延出部60に対する工具本体10の移動量の分)の清掃体3は、巻取リール35によって巻き取られることになる。
【0089】
一方、供給側ガイド筒41Aからヘッド61までの間の距離は、延出部60に対する工具本体10の移動量の分だけ離間する。このため、供給側ガイド筒41Aからヘッド61までの間の清掃体3の長さ(若しくは、供給リール31からヘッド61までの間の清掃体3の長さ)は、移動量の分だけ長くする必要がある。但し、通常状態に戻る前までは、ヘッド61の清掃体3はヘッド61と光コネクタとの間に挟まれており、ヘッド61の下流側の清掃体3がヘッド61の上流側に逆送りされ難い状態になっている。このため、延出部60に対する工具本体10の移動量の分の清掃体3が供給リール31から供給されることになる。つまり、延出部60に対する工具本体10の移動量の分の清掃体3が供給リール31から引っ張り出されることになる。
【0090】
なお、プル動作のとき、摩擦伝動機構84(及びラックアンドピニオン機構81)によって清掃体3に所定の張力が作用するため(後述)、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が近接しても、ヘッド61よりも下流側の清掃体3の張力は低下せず、所定の張力に維持されている。このため、仮にヘッド61の清掃体3がヘッド61と光コネクタとの間に挟まれていなかったとしても(仮に空の清掃動作が行われても)、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が近接するときに、ヘッド61の下流側の清掃体3がヘッド61の上流側に逆送りされることはない。
【0091】
上記の通り、定量送出し機構83は、工具本体10に設けられた本体側引掛部42と、延出部60に設けられたヘッド側引掛部68とから構成されている。本体側引掛部42とヘッド側引掛部68との間に清掃体3が掛け渡されており、プッシュ動作時の工具本体10と延出部60との間の相対移動(直線運動)によって本体側引掛部42とヘッド側引掛部68とが離間することにより、その離間した分の清掃体3がヘッド61の上流側から下流側に送り出される。これにより、巻取リール35に巻き取られている清掃体3の外径に関わらず、ヘッド61に供給される清掃体3の量が一定になる。
【0092】
また、上記の清掃工具1は、ラチェット機構82によって、清掃体3が本体側引掛部42からヘッド側引掛部68へ送られること(清掃体3が逆送りされること)を制限している。これにより、本体側引掛部42とヘッド側引掛部68とが離間するときに、ヘッド61の上流側から下流側へ、ヘッド側引掛部68と本体側引掛部42が離間した分(すなわち、延出部60に対する工具本体10の移動量の分)の清掃体3が送り出されることになる。」
イ 上記アによれば、甲第1号証には、下記の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(a~hは、甲1発明を分説するために当審で付した。
「a 工具本体と(上記「ア」「(イ)」段落【0023】)、
b 前記工具本体から延び出た延出部と(上記「ア」「(イ)」段落【0023】)、
c 前記延出部はヘッドを有し、前記ヘッドは、光コネクタの接合端面に清掃体を押し付けるための部材である延出部と(上記「ア」「(イ)」段落【0024】)、幅のあるテープ状である清掃体(上記「ア」「(イ)」段落【0025】)と、を有する光コネクタ清掃工具であって(上記「ア」「(ア)」段落【0001】)、
d 作業者が、1回の清掃動作の中で、プッシュ動作とプル動作とを行い、前記プッシュ動作では、工具本体が延出部に対して前側に移動し、前記プル動作では、工具本体が延出部に対して後側に移動し(上記「ア」「(イ)」段落【0030】)、前記作業者の行う前記プッシュ動作及び前記プル動作によって、工具本体と延出部とが前後方向に相対移動する光コネクタ清掃工具において、工具本体と延出部との間の相対移動(直線運動)を利用して、未使用の清掃体の供給と、使用済みの清掃体の巻き取りを行い(上記「ア」「(イ)」段落【0031】)、
e 供給リールから供給された清掃体は、供給側ガイド筒によって工具本体から延出部に案内され、前記延出部に案内された清掃体は、ヘッドの押圧面において上側から下側に巻き掛けられるとともに、延出部のヘッド側引掛部に引っ掛けられることによって、ヘッドとヘッド側引掛部との間に掛け渡され(上記「ア」「(ウ)」段落【0079】)、
f 前記プッシュ動作では、ヘッドにより清掃体を光コネクタに押し付けた状態で、工具本体が延出部に対して前側に移動し(上記「ア」「(ウ)」段落【0081】)、前記延出部に対する工具本体の移動量の分の未使用の清掃体がヘッドに供給され、延出部に対する工具本体の移動量の分の使用済みの清掃体がヘッドから送り出され(上記「ア」「(ウ)」段落【0082】)、
g 前記プル動作では、工具本体が延出部に対して後側に移動し(上記「ア」「(ウ)」段落【0087】)、前記プル動作では、巻取リールが巻取方向に回転することにより清掃体は、巻取リールによって巻き取られ(上記「ア」「(ウ)」段落【0088】)、延出部に対する工具本体の移動量の分の清掃体が供給リールから引っ張り出される(上記「ア」「(ウ)」段落【0089】)、
h 光コネクタ清掃工具(上記「ア」「(ア)」段落【0001】)。」
(2)甲第2号証について
ア 本件出願の出願前に頒布された甲第2号証には、下記の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に着脱可能な光コネクタの光接続端面以外の内部も清掃できる光コネクタ清掃装置、及び光コネクタの清掃方法に関する。」
(イ)「【0015】
次に、本実施形態の光コネクタ清掃装置1の構成について説明する。
図1Aに示すように、本実施形態に係る光コネクタ清掃装置1は、例えば、光コネクタ清掃装置1の先端側に設置され、光コネクタ10のフェルール12の先端面に当接する先端部材2と、図1Bに示すような光コネクタの内部要素に当接するように変形する変形部3(第1の支持部)と、変形部3の変形を維持するための係止機構を有する係止部材4と、光コネクタ清掃装置1の先端から基端に設置されている支持部材5と、光コネクタ清掃装置の基端側に設置されている保持部6と、を有している。さらに、光コネクタ清掃装置1は、変形部3の表面に沿って配置される清掃部7、を有する。清掃部7は、例えば、クリーニングテープであり、以下で清掃部7をクリーニングテープ7として説明する。光コネクタ清掃装置1において、先端部材2側を先端と称し、保持部材6側を基端と称する。光コネクタ清掃装置1は、基端側で図示しない他の光コネクタの先端に装着可能に形成されている。」
(ウ)「【0023】
クリーニングテープ7は、保持部6から係止部材4を通り、変形部3の表面に従って設置されている。クリーニングテープ7は、回転駆動部8を介して一方方向に搬送され得る。クリーニングテープ7は、異物を清掃、例えば、吸着若しくは払拭できる部材で形成され、例えば、不織布若しくは粘着力のあるテープ等で形成されている。クリーニングテープ7は、両面で異物を清掃することができる。」
イ 上記アによれば、甲第2号証には、下記の事項(以下「甲第2号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「光コネクタ清掃装置において、清掃部に異物を清掃、例えば、吸着若しくは払拭できる部材である粘着力のあるテープを用いて、光コネクタを清掃すること。」
(3)甲第3号証について
ア 本件出願の出願前に頒布された甲第3号証には、下記の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタの突き合わせ接続用の接合端面の清掃に用いられる光コネクタ端面清掃具に関するものである。」
(イ)「【0015】
然るに、この光コネクタ端面清掃具1では、開口部51に露出されている清掃体6を光コネクタ10の接合端面12(詳細にはフェルール11の接合端面12)に当接させた状態で、操作ハンドル2の引き操作と引き操作の解除(以下「操作と操作解除」と略称する場合がある)とを繰り返すことで、順次、巻き取りリール8から引き出し部7のリール7aに向けて清掃体6を送り移動させ、接合端面12を清掃するようになっている。このとき、順次、巻き取りリール8から送り出された清浄な清掃体6が接合端面12に接触されることになり、接合端面12の清掃を効果的に行える。
【0016】
図3等に示すように、清掃体6は、筐体50の開口部51に露出されており、この清掃体6の前記開口部51に露出された外面によって、前記光コネクタ10の接合端面12に接触される清掃面6aが形成されている。
清掃体6は、全体が粉塵の吸着性に優れた布帛等の清掃材によって形成された構成や、前記清掃材が清掃面6a側に付着されている構成等、各種構成が採用可能である。前記清掃材としては、例えば綿等のアルコールの含浸に適した素材や、柔軟性を有する樹脂基材に粘着材を混入して自粘着性を有するシート状に形成したもの等が採用可能である。ここで、自粘着性を有する清掃材(ここではシート状に形成されたもの)の自粘着性とは、清掃材の他の部材に対する接着強度が該清掃材の切断強度に比べて小さく、他の部材に接着させた清掃材を引き剥がしても、清掃材を形成する素材の相手側の部材への転移が生じないようになっていることを指す。自粘着性を有する清掃材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンまたはモノマーを含む共重合体などが特に好ましい。粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム等の合成ゴム、ポリ塩化ビニルと可塑剤との混合物等が用いられる。例えば、このような基材と粘着剤とからなるシート材を所望の形状、例えばテープ状に切り出すことで、清掃材あるいは清掃体が得られる。」
イ 上記アによれば、甲第3号証には、下記の事項(以下「甲第3号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「光コネクタ端面清掃具において、テープ状に切り出した自粘着性を有する清掃体を用いて、光コネクタの接合端面を清掃すること。」
(4)甲第4号証について
ア 本件出願の出願前に頒布された甲第4号証には、下記の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光コネクタ先端の清掃に用いられる光コネクタ清掃具に関するものである。」
(イ)「【0015】然るに、この光コネクタ清掃具1では、開口部51に露出されている清掃体6を光コネクタ10の接合端面12(詳細にはフェルール11の接合端面12)に当接させた状態で、操作ハンドル2の引き操作と引き操作の解除(以下「操作と操作解除」と略称する場合がある)とを繰り返すことで、順次、巻き取りリール8から引き出し部7のリール7aに向けて清掃体6を送り移動させ、接合端面12を清掃するようになっている。このとき、順次、巻き取りリール8から送り出された清浄な清掃体6が接合端面12に接触されることになり、接合端面12の清掃を効果的に行える。
【0016】図3等に示すように、清掃体6は、筐体50の開口部51に露出されており、この清掃体6の前記開口部51に露出された外面によって、前記光コネクタ10の接合端面12に接触される清掃面6aが形成されている。清掃体6は、全体が粉塵の吸着性に優れた布帛等の清掃材によって形成された構成や、前記清掃材が清掃面6a側に付着されている構成等、各種構成が採用可能である。前記清掃材としては、例えば綿等のアルコールの含浸に適した素材や、柔軟性を有する樹脂基材に粘着材を混入して自粘着性を有するシート状に形成したもの等が採用可能である。ここで、自粘着性を有する清掃材(ここではシート状に形成されたもの)の自粘着性とは、清掃材の他の部材に対する接着強度が該清掃材の切断強度に比べて小さく、他の部材に接着させた清掃材を引き剥がしても、清掃材を形成する素材の相手側の部材への転移が生じないようになっていることを指す。自粘着性を有する清掃材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンまたはモノマーを含む共重合体などが特に好ましい。粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム等の合成ゴム、ポリ塩化ビニルと可塑剤との混合物等が用いられる。例えば、このような基材と粘着剤とからなるシート材を所望の形状、例えばテープ状に切り出すことで、清掃材あるいは清掃体が得られる。」
イ 上記アによれば、甲第4号証には、下記の事項(以下「甲第4号証に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「光コネクタ清掃具において、テープ状に切り出した自粘着性を有する清掃体を用いて、光コネクタの接合端面を清掃すること。」
5.当審の判断
5-1 取消理由通知に記載した取消理由について
・本件特許発明について
ア 対比
本件特許発明と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「工具本体」(構成a)は、本件特許発明の「工具本体」(構成A)に相当するとともに、甲1発明の「光コネクタ清掃工具」(構成h)は、本件特許発明の「光コネクタ清掃工具」(構成E)に相当する。
(イ)甲1発明の「前記工具本体から延び出た延出部」(構成b)であって、「前記プッシュ動作及び前記プル動作によって、工具本体と延出部とが前後方向に相対移動する」(構成d)「延出部」「を有する光コネクタ清掃工具」(構成c)は、本件特許発明の「前記工具本体と相対移動可能に設けられ、前記工具本体から延び出た延出部とを有する光コネクタ清掃工具」(構成B)に相当する。
(ウ)甲1発明の「前記延出部はヘッドを有し、前記ヘッドは、光コネクタの接合端面に清掃体を押し付けるための部材である延出部」であって「幅のあるテープ状である清掃体」(構成c)である「延出部」は、本件特許発明の「テープ状の粘着体で形成された清掃体を光コネクタに押し付けるヘッドを備え」る「延出部」(構成C)と、「テープ状の清掃体を光コネクタに押し付けるヘッドを備え」る「延出部」(以下「構成C´」という。)の点で一致する。
(エ)甲1発明の「作業者が、1回の清掃動作の中で、プッシュ動作とプル動作とを行い、前記プッシュ動作では、工具本体が延出部に対して前側に移動し、前記プル動作では、工具本体が延出部に対して後側に移動し、前記作業者の行う前記プッシュ動作及び前記プル動作によって、工具本体と延出部とが前後方向に相対移動する光コネクタ清掃工具において、工具本体と延出部との間の相対移動(直線運動)を利用して、未使用の清掃体の供給と、使用済みの清掃体の巻き取りを行い」(構成d)、「供給リールから供給された清掃体は、供給側ガイド筒によって工具本体から延出部に案内され、前記延出部に案内された清掃体は、ヘッドの押圧面において上側から下側に巻き掛けられるとともに、延出部のヘッド側引掛部に引っ掛けられることによって、ヘッドとヘッド側引掛部との間に掛け渡され」(構成e)、「前記プッシュ動作では、ヘッドにより清掃体を光コネクタに押し付けた状態で、工具本体が延出部に対して前側に移動し、前記延出部に対する工具本体の移動量の分の未使用の清掃体がヘッドに供給され、延出部に対する工具本体の移動量の分の使用済みの清掃体がヘッドから送り出され(構成f)、「前記プル動作では、工具本体が延出部に対して後側に移動し、前記プル動作では、巻取リールが巻取方向に回転することにより清掃体は、巻取リールによって巻き取られ、延出部に対する工具本体の移動量の分の清掃体が供給リールから引っ張り出される」(構成g)ことは、プッシュ動作及びプル動作によって工具本体と延出部とが前後方向に相対移動する光コネクタ清掃工具において、工具本体と延出部との間の相対移動(直線運動)を利用して、前記プッシュ動作では未使用の清掃体がヘッドに供給され、前記プル動作では清掃体は巻取リールによって巻き取られることであるといえる。
したがって、引用発明の上記dないしgの構成は、本件特許発明の「前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」(構成D)ことと、「前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、前記ヘッドに前記清掃体を搬送」する(以下「構成D´」という。)点で一致する。
(オ)上記(ア)ないし(エ)での検討によれば、本件特許発明と甲1発明とは、
「A 工具本体と、
B 前記工具本体と相対移動可能に設けられ、前記工具本体から延び出た延出部と
を有する光コネクタ清掃工具であって、
C´ 前記延出部は、テープ状の清掃体を光コネクタに押し付けるヘッドを備え、
D´ 前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送する、
E 光コネクタ清掃工具。」
の点で一致し、以下の相違点1、2で相違する。
〔相違点1〕
テープ状の清掃体が、本件特許発明は、「粘着体で形成された」のに対して、甲1発明は、このように特定されない点。
〔相違点2〕
本件特許発明は、「前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」のに対して、甲1発明は、このように特定されない点。
イ 判断
事案に鑑みて相違点2から検討する。
(ア)甲1発明の光コネクタ清掃工具は、「プッシュ動作」において、「ヘッドにより清掃体を光コネクタに押し付けた状態で、工具本体が延出部に対して前側に移動し、前記延出部に対する工具本体の移動量の分の未使用の清掃体がヘッドに供給され、延出部に対する工具本体の移動量の分の使用済みの清掃体がヘッドから送り出され」(構成f)るものであるから、「ヘッドに清掃体を搬送」している間と、「ヘッドに清掃体を搬送」した後のいずれも、当該清掃体は「光コネクタに押し付けた状態」にあるもの、つまり、「清掃体を光コネクタに接触可能にする」ものであるといえる。
(イ)一方、本件特許発明の構成Dにおける「前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」において、「前記ヘッドに前記清掃体を搬送し」の記載の後に「前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」と記載されており、他に何らかの追加の前提を示す記載などもないことから、文章の流れに沿って読めば、前段の「前記ヘッドに前記清掃体を搬送し」における搬送する行為と、後段の「前記ヘッドに前記清掃体を搬送した(後)」における搬送する行為は、同じ行為を指していると解することが自然である。
そして、上記清掃体を搬送する行為の後に「前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」とあえて明示して記載していることから、上記清掃体を搬送する行為の後に、清掃体は光コネクタに接触可能、つまり接触すると解することが文章の流れから見て、自然といえる。
このような解釈は、本件特許発明の清掃体は粘着体であり、本件特許明細書の段落【0036】に「レンズ結合型のフェルールのフェルール端面91にはレンズが配置されている。したがって、フェルール端面91は、平面のみで形成されておらず、レンズが配置されている部分は凸部が形成されていることになる。このような凸部を有するフェルール端面の場合、清掃布や清掃糸で拭き取る場合と比べて、粘着体を押し付ける方がフェルール端面全体を適切に清掃することができる。この点、本実施形態の清掃工具10は、テープ状の粘着体で形成された清掃体1を使用しているので、レンズ部分を含めたフェルール端面91全体に清掃体1を接触させることが容易となる。」と記載されているように、拭き取るのではなく、押し付けることにより清掃することを前提としていること、
及び、本件特許明細書に
「【0040】
本実施形態では、清掃体1を搬送することでヘッド60に未使用の清掃体1を供給し、使用済みの清掃体1をヘッド60から送り出す動作(図2B参照)の後に、清掃体1をフェルール端面91に接触させる動作(図2C参照)が行われている。仮に、清掃体1をフェルール端面91に接触した状態で清掃体1を搬送しようとすると、清掃体1がフェルール端面91に貼り付いて清掃体1を円滑に搬送することができないことがある。また、清掃体1が異物に接触したまま清掃体1を搬送することで、清掃体1が異物から剪断力を受け、清掃体1を形成する粘着体が小片にちぎれてしまうおそれもある。この小片にちぎれた清掃体1がフェルール端面91上に残滓として付着してしまい、伝送損失の増大を引き起こす原因となることもある。
【0041】
このため、本実施形態では、ヘッド60へ清掃体1を搬送することが完了した(図2B参照)後に、清掃体1をフェルール端面91に接触させている(図2C参照)。これにより、清掃体1を円滑に搬送すると共に、清掃体1を形成する粘着体が小片にちぎれてしまうことを抑制することができる。」
との記載があることや、本件特許明細書中に、上記解釈に反する記載、例えば、清掃体を搬送する行為中において清掃体が光コネクタに接触可能であることなどを示唆する記載がないことからも裏付けられることである。
(ウ)これに対して、上記(ア)のとおり、甲1発明は、「ヘッドに清掃体を搬送」している間と、「ヘッドに清掃体を搬送」した後のいずれも、当該清掃体は「光コネクタに押し付けた状態」つまり「清掃体を光コネクタに接触可能にする」ものであるところ、これを「ヘッドに清掃体を搬送」している間は当該清掃体を「光コネクタに押し付けた状態」とせず、「ヘッドに清掃体を搬送」した後に、当該清掃体を「光コネクタに押し付けた状態」とする構成(上記相違点2に係る本件特許発明の構成)とすべき必要性はなく、甲第2~4号証に記載された技術的事項を見ても、このように構成することを示唆する記載はなく、甲1発明において上記相違点2に係る本件特許発明の構成となすことは、甲1発明及び甲第2~4号証に記載された技術的事項から、当業者が容易に想到し得えたとはいえない。
ウ 小括
したがって、本件特許発明は、相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても、甲1発明及び甲第2~4号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとは認められない。
5-2 申立人の回答書での主張について
(1)申立人は、回答書において概略、下記のとおり主張する。
ア 「構成Dは、『○○した後に、△△する』といった表現を採用しております。この『○○した後に、△△する』といった表現は、『△△する』タイミングが、『○○した後』であることのみを表すものであります。すなわち、『○○しているとき(最中に)』に何をしているかを表すものではなく、『○○しているとき(最中に)』にも『△△する』ことを限定できるものではありません。具体的には、『走った後に、水を飲む』という文章において『水を飲む』タイミングは、『走った後に』を包含することは明らかですが、『走る前』及び『走っているとき』を除外できる表現ではありません。」(回答書2頁10~16行)
イ 「すなわち、(A)『前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、』は、(B1)『前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、』と、(B2)『前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする』との双方に等しく係ると解釈することができます。また、(B2)の前段は、『『前記ヘッドに前記清掃体を搬送し』た後に』、であり、(B1)と共通する表現が用いられております。
してみると、構成Dは、『前記工具本体と前記延出部との相対移動によって(A)、前記ヘッドに前記清掃体を搬送し(B1)、』、『前記工具本体と前記延出部との相対移動によって(A)、前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする(B2)』と解するのが妥当であると存じます。
つまり、構成Dは、『前記工具本体と前記延出部との相対移動によって』、『前記ヘッドに前記清掃体を搬送』するとともに、『前記工具本体と前記延出部との相対移動によって』、『前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする』ことを規定するものであります。」(回答書3頁14~25行)
ウ 「したがって、『清掃体を搬送し、清掃体を搬送した後に、清掃体を光コネクタに接触可能にする』こと、つまり、『清掃体を搬送し、清掃体の未だ清掃に使用していない箇所をヘッドに搬送した後に、光コネクタに接触可能にする』ことは、甲1発明において開示されている技術であるといえます。
また、『相対移動によって清掃体を搬送』する技術も異議申立書にて説明した通り、甲1発明において開示された技術です(段落0031等)。
さらに、『清掃具』において、『未だ清掃に使用していない箇所』を用いて清掃することは当然ながら自明のことです。加えて、『未だ情掃に使用していない箇所』を搬送するのが清掃前または清掃後のいずれかを選択することは、自明のことです。」(回答書4頁10~18行)
(2)しかしながら、申立人の上記「(1)」「ア」の主張については、上記「5-1」「イ」で検討したとおりであって、本件特許発明の構成Dは、清掃体を搬送する行為の後に、清掃体は光コネクタに接触可能、つまり接触すると解すべきものであるから、申立人の上記「(1)」「ア」の主張は採用できない。
(3)また、申立人の上記「(1)」「イ」及び「ウ」の主張に関して、本件特許発明の構成Dは、あくまで、
「 前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」と特定するものであって、
「 前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、
前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、
前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」とは特定していないから、
あえて、「前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、」および「前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」のように構成を分断して解すべき格別の事由はなく、
「前記工具本体と前記延出部との相対移動によって、」「前記ヘッドに前記清掃体を搬送し、前記ヘッドに前記清掃体を搬送した後に、前記清掃体を前記光コネクタに接触可能にする」と一連の構成を規定しているものと解するのが相当である。
そして、本件特許明細書及び図面を見ても、本件特許発明の構成Dを上記のように分断して解した場合に対応する構成は記載されていない。
したがって、申立人の上記「(1)」「イ」及び「ウ」の主張は採用できない。
6.むすび
したがって、請求項1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2019-700810