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特許異議申立

2019-700252

カチオン重合性組成物

審判番号
2019-700252
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-526295
登録番号
特許第6400006号(P6400006)
請求日
2019年04月02日
審決日
2020年03月23日
公報発行日
2020年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ADEKA
  • 【権利者代理人】特許業務法人翔和国際特許事務所
  • 【権利者代理人】中野 廣己
  • 【権利者代理人】原田 知子
  • 【権利者代理人】藤井 望
  • 【権利者代理人】松嶋 善之
  • 【権利者代理人】成瀬 源一
  • 【異議申立人】小松 一枝
  • 【異議申立人】前田 知子
  • 【異議申立人】田村 良介
審判長/審判官
  • 審判長 近野 光知
  • 審判官 佐藤 健史
  • 審判官 武貞 亜弓
分類
P1651.113-YAA(C08G) / P1651.121-YAA(C08G) / P1651.16 -YAA(C08G) / P1651.537-YAA(C08G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第1項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6400006号発明「カチオン重合性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6400006号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7、9〕、〔8、10〕について訂正することを認める。 特許第6400006号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯及び証拠方法 1 手続の経緯 特許第6400006号(請求項の数9)は、平成26年7月3日(優先権主張:平成25年7月9日)を国際出願日とする特許出願(特願2015-526295号)に係るものであって、平成30年9月14日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、平成30年10月3日である。)。 その後、本件特許の請求項1~9に係る特許に対して、平成31年4月2日に特許異議申立人である小松 一枝 外一名(以下、「申立人A」という。)及び田村 良介(以下、「申立人B」という。)により、特許異議の申立てがされた。 その後の手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 1年 5月28日付け   取消理由通知書 同年 7月16日     特許権者と当審合議体との面接 同年 7月23日~25日 特許権者と当審合議体との電話及びファ                クシミリによる応対 同年 7月29日     訂正請求書、意見書(特許権者) 同年 9月 2日     意見書(申立人A) 同年 9月 5日     意見書(申立人B) 同年 9月26日付け   取消理由通知書(決定の予告) 同年11月12日~20日 特許権者と当審合議体との電話及びファ                クシミリによる応対 同年11月29日     訂正請求書、意見書、上申書(特許権者                ) 令和 2年 1月24日     意見書(申立人B) なお、令和1年11月29日提出の訂正請求書に対して、申立人Aからは応答がなかった。 2 申立人A及びBが提出した証拠方法 (1)申立人Aが異議申立書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開2011-111598号公報 甲第2号証:特開2005-157247号公報 甲第3号証:特開昭58-89616号公報 甲第4号証:特開2005-325312号公報 甲第5号証:特開2003-313274号公報 甲第6号証:特開2005-194357号公報 甲第7号証:特開2005-68382号公報 (2)申立人Bが異議申立書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開2011-118105号公報 甲第2号証:特開2008-266629号公報 甲第3号証:特開2011-38090号公報 甲第4号証:特開2001-2760号公報 甲第5号証:特開2012-140501号公報 甲第6号証:国際公開第2011/136084号 甲第7号証:特開2002-322241号公報 甲第8号証:特開2007-262132号公報 甲第9号証:国際公開第2010/119706号 甲第10号証:特開2008-274090号公報 甲第11号証:国際公開第2014/007219号 甲第12号証:特開2010-126622号公報 甲第13号証:特開2007-70472号公報 甲第14号証:特開2014-162855号公報 甲第15号証:特開2013-256637号公報 (3)申立人Aが令和1年9月2日に提出した意見書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。 特開昭58-89616号公報(申立人Aが提出した甲第3号証) 特開2011-118105号公報(申立人Bが提出した甲第1号証) 特開2002-322241号公報(申立人Bが提出した甲第7号証) (4)申立人Bが令和1年9月5日に提出した意見書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第16号証:特開平11-302358号公報 (5)特許権者が令和1年11月29日に提出した訂正請求書に添付した書類は、以下のとおりである。 参考資料1:高耐久性・柔軟強靱エポキシ樹脂 EPICLON EXA-4816 DIC株式会社 ウエブページ、 2019年11月9日印刷(http:www.dic-global.com/ja/products/epoxy/high_performance/exa4816.html) 参考資料2:EHPE3150 株式会社ダイセル ウエブページ、 2019年11月11日印刷 (https://www.daicel.com/yuuki/product/index.php?act=detail&page=1&id=111) (6)申立人Bが令和2年1月24日に提出した意見書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第17号証:特公昭52-14278号公報 甲第18号証:EPICLON EXA-4816の試験表 DIC(株)千葉工場 (以下、申立人Aによる甲第1~7号証を「甲1A」等といい、申立人Bによる甲第1~18号証を「甲1B」等という。) 第2 訂正の適否についての判断 特許権者は、特許法第120条の5第1項の規定により審判長が指定した期間内である令和1年11月29日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1~10について訂正することを求めた(以下「本件訂正」という。また、本件願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を「本件特許明細書等」という。)。 なお、令和1年7月29日付けでなされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 1 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が25~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であることを特徴とするカチオン重合性組成物。」とあるのを、 「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であり、 かつ、 下記条件1~条件5の何れかの条件を満たすことを特徴とするカチオン重合性組成物。 (条件1) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下であり、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ下記(1-7)、(1-8)及び(1-9)から選ばれる少なくとも一つを満たす。 (1-7)上記カチオン重合性組成物は、下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表されるエポキシ当量が403の液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であり、下記(A)液状エポキシ樹脂として、二官能脂肪族エポキシ樹脂を含み、 下記(B)の固形樹脂が、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物を除くものである。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 (1-8)上記芳香族エポキシ化合物が、エポキシ当量が80~300である化合物を含む。 (1-9)上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する。 (条件2) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件3) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含有する。 (条件4) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含み、 かつ、下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件5) 上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 上記脂肪族エポキシ化合物(1B)として、単官能エポキシ化合物又は多官能の脂肪族エポキシ化合物(ただし、3官能以上を除く)を含有し、芳香族エポキシ化合物がエポキシ当量が80~300の化合物を含み、かつ 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。 芳香族エポキシ化合物(1A)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物(1A)の量及び多官能の芳香族エポキシ化合物の量並びに上記主成分の特定の際の芳香族エポキシ化合物の量はいずれも、該高分子量体(1D)の量を含めた量とする。 脂肪族エポキシ化合物(1B)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂肪族エポキシ化合物の量は該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂肪族エポキシ化合物(1B)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 脂環式エポキシ化合物(1C)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂環式エポキシ化合物の量は当該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂環式エポキシ化合物(1C)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2において、「上記脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)として、多官能エポキシ化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1記載のカチオン重合性組成物。」とあるのを、 「上記脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)として、多官能エポキシ化合物を少なくとも一種含有し、 条件1、条件2及び条件3では上記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たすことを特徴とする請求項1記載のカチオン重合性組成物。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3において、「上記芳香族エポキシ化合物(1A)として、フェノール類のグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のグリシジルエーテル化物、安息香酸類のグリシジルエステル、多塩基酸類のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物の群から選ばれる少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン重合性組成物。」とあるのを、 「上記芳香族エポキシ化合物(1A)として、フェノール類のグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のグリシジルエーテル化物、安息香酸類のグリシジルエステル、多塩基酸類のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物の群から選ばれる少なくとも一種含有し、 条件1、条件2及び条件3では上記(1-1)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン重合性組成物。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8において、「水分量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物。」とあるのを、 「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、 (1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であり、 かつ、 下記条件1、条件2CL8、条件3、条件4CL8、条件5CL8の何れかの条件を満たし、水分量が5質量%以下であることを特徴とするカチオン重合性組成物。 (条件1) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下であり、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ下記(1-7)、(1-8)及び(1-9)から選ばれる少なくとも一つを満たす。 (1-7)上記カチオン重合性組成物は、下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表されるエポキシ当量が403の液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であり、下記(A)液状エポキシ樹脂として、二官能脂肪族エポキシ樹脂を含み、 下記(B)の固形樹脂が、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物を除くものである。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 (1-8)上記芳香族エポキシ化合物が、エポキシ当量が80~300である化合物を含む。 (1-9)上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する。 (条件2CL8) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、下記(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。 (条件3) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含有する。 (条件4CL8) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含み、 下記(1-4)、(1-5)又は(1-6)を満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。 (条件5CL8) 上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 上記脂肪族エポキシ化合物(1B)として、単官能エポキシ化合物又は多官能の脂肪族エポキシ化合物(ただし、3官能以上を除く)を含有し、芳香族エポキシ化合物がエポキシ当量が80~300の化合物を含み、かつ 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ 下記(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。 但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。 芳香族エポキシ化合物(1A)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物(1A)の量及び多官能の芳香族エポキシ化合物の量並びに上記主成分の特定の際の芳香族エポキシ化合物の量はいずれも、該高分子量体(1D)の量を含めた量とする。 脂肪族エポキシ化合物(1B)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂肪族エポキシ化合物の量は該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂肪族エポキシ化合物(1B)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 脂環式エポキシ化合物(1C)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂環式エポキシ化合物の量は当該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂環式エポキシ化合物(1C)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9において、「請求項1~8のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物からなることを特徴とする接着剤。」とあるのを、 「請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物又は下記カチオン重合性組成物Aからなることを特徴とする接着剤。 (カチオン重合性組成物A) (1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、 (1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であり、かつ、 下記条件A1~A6のいずれかの条件を満たす、カチオン重合性組成物。 (条件A1) 上記芳香族エポキシ化合物(1A)のエポキシ当量が80~300であり、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件A2) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下であり、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 (条件A3) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件A4) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含む。 (条件A5) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、かつ 上記接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤を除き、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件A6) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、上記脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤を除き、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。 芳香族エポキシ化合物(1A)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物(1A)の量及び多官能の芳香族エポキシ化合物の量並びに上記主成分の特定の際の芳香族エポキシ化合物の量はいずれも、該高分子量体(1D)の量を含めた量とする。 脂肪族エポキシ化合物(1B)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂肪族エポキシ化合物の量は該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂肪族エポキシ化合物(1B)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 脂環式エポキシ化合物(1C)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂環式エポキシ化合物の量は当該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂環式エポキシ化合物(1C)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10を新しく設け、「請求項8に記載のカチオン重合性組成物からなることを特徴とする接着剤。」とする。 (7)一群の請求項 訂正事項1~6に係る訂正前の請求項1~9について、請求項2~9はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものである。 よって、本件訂正は、一群の請求項に対してなされたものである。 2 判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が25~70質量部であり」であったものを「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり」とする訂正(以下「訂正事項1-1」という。)、カチオン重合性組成物が、条件1~条件5(各条件の内容については省略)の何れかの条件を満たすことを特定する訂正(内容については省略する。以下「訂正事項1-2」という。)及び「但し」以降に記載される内容を付加する訂正(以下「訂正事項1-3」という。)である。 ア 訂正事項1-1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-1は、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物の量が「25~70質量部」であったものを、「30~70質量部」と減縮する訂正である。 したがって、訂正事項1-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 (イ)実質上の特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項1-1は、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。 (ウ)新規事項の追加について 本件特許明細書等の段落【0013】には、「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が25~70質量部含有することが好ましく、30~60質量部含有することが更に好ましい。」と記載されているから、訂正事項1-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるといえる。 イ 訂正事項1-2について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-2は、本件訂正前の「カチオン重合性組成物」について、さらに条件1~条件5のいずれかの条件を満たすことを限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 (イ)実質上の特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項1-2は、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。 (ウ)新規事項の追加について 以下においては、条件1~条件5、条件2CL8、条件4CL8、条件5CL8、条件A1~条件A6における(1-1)~(1-9)の記載より前に記載された特定を、「前段」といい、(1-1)~(1-9)の記載による特定を「後段」という。 a 条件1について (a)条件1の前段について i 条件1のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有」することについては、本件特許明細書等の特許請求の範囲の請求項1に「脂環式エポキシ化合物(1C)」の量が0~45質量部であることが記載されている。 ii 同じく「上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下で」あることについては、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0013】に、「芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能エポキシ化合物を少なくとも一種含有することが、・・・好ましい。本発明のカチオン重合性組成物は、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対し、多官能の芳香族エポキシ化合物(1A)を、25~70質量部含有することが好ましく、30~60質量部含有することが更に好ましい」ことが記載され、同【0064】の【表2】中の実施例12として、多官能の芳香族エポキシ化合物を、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対し、61質量部で含むカチオン重合性有機物質混合物が具体的に記載されている。 iii 同じく「上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して」、「上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下である」ことについては、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0026】には、「上記(1)カチオン重合性有機物質混合物において、上記芳香族エポキシ化合物(1A)、脂環式エポキシ化合物(1C)、脂肪族エポキシ化合物(1B)、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の使用割合は、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して」、「脂環式エポキシ化合物(1C)0~45質量部、特に0~30質量部」と記載されている。 iv よって、条件1の前段は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (b)条件1の後段について i 条件1のうち「(1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く」こと、「(1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く」こと、及び「(1-7)上記カチオン重合性組成物は、下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表されるエポキシ当量が403の液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であり、下記(A)液状エポキシ樹脂として、二官能脂肪族エポキシ樹脂を含み、 下記(B)の固形樹脂が、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物を除くものである。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 」であることは、単に、訂正前の請求項1で特定されるカチオン重合性組成物から特定の態様を除くものである。 ii 同じく「(1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である」ことは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0052】には、「本発明のカチオン重合性組成物は、塗工性の観点から粘度が200mPa・s以下であるのが好ましく」と記載され、同【0066】の【表4】中、実施例24として、カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・sであることが具体的に記載されている。 iii 同じく「(1-8)上記芳香族エポキシ化合物が、エポキシ当量が80~300である化合物を含む」ことは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0011】に芳香族エポキシ化合物(1A)の説明の中に「芳香族エポキシ化合物としては、エポキシ当量が80~500であるものが、硬化性に優れるため好ましい」と記載され、同【0065】の【表3】中、実施例20として、エポキシ当量が300の芳香族エポキシ化合物(1A)である「化合物1A-11」を使用したカチオン重合性組成物が具体的に記載されている。 iv 同じく「(1-9)上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する」ことは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0014】に「上記脂環式エポキシ化合物(1C)の具体例としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。」と記載されている。 (c)条件1の全体について そして、条件1の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-7)、(1-8)及び(1-9)から選ばれる少なくとも一つを満たすカチオン重合性組成物が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 b 条件2について (a)条件2の前段について i 条件2のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有」すること、及び「上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であ」ることは、上記a(a)iiで述べたとおりである。 ii 同じく「上記脂環式エポキシ化合物(1C)はシクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する」ことは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0014】に「上記脂環式エポキシ化合物(1C)の具体例としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。」と記載されている。 iii よって、条件2の前段は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (b)条件2の後段について i 条件2の後段のうち(1-1)~(1-3)は、上記a(b)i及びiiで述べたとおりである。 ii 同「(1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する」ことは、脂環式エポキシ化合物から、単に、オキセタニル基を有する脂環式エポキシ化合物の態様を除くものである。 iii 同「(1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する」ことは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0016】に脂肪族エポキシ化合物(1B)の説明として、「脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。」と記載されており、そして、単に、三官能以上の脂肪族エポキシ化合物を除くものである。 (c)条件2の全体について そして、条件2の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たすカチオン重合性組成物が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 c 条件3について (a)条件3のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含有する」ことは、本件特許明細書等の特許請求の範囲の請求項6に「(1)カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)」を含有することが記載され、また、発明の詳細な説明の段落【0019】に「エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)としては、ラジカル重合により得られる重合体が挙げられ、カチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体一種を単独重合した重合体あるいはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体が好ましい」ことが記載されている。 (b)そして、条件3を満たすカチオン重合性組成物が、例えば実施例24として具体的に記載されているから、条件3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 d 条件4について (a)条件4の前段について i 条件4のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であ」ることは、上記a(a)iiで述べたとおりである。 ii 同「上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含む」ことは、本件特許明細書等の特許請求の範囲の請求項6に「(1)カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含む請求項1~5のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物。」と記載されている。 (b)条件4の後段について 条件4の後段は、上記b(b)ii及びiiiで述べたとおり本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (c)条件4の全体について そして、条件4の前段を満たし、また、後段の(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たすカチオン重合性組成物が、例えば実施例24として具体的に記載されているから、条件4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 e 条件5について (a)条件5の前段について i 条件5のうち「上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有」することについては、上記b(a)iiで述べたとおりである。 ii 同「上記脂肪族エポキシ化合物(1B)として、単官能エポキシ化合物又は多官能の脂肪族エポキシ化合物(ただし、3官能以上を除く)を含有」することは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0016】に脂肪族エポキシ化合物(1B)の説明として、「脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。」と記載されており、そして、単に、三官能以上の脂肪族エポキシ化合物を除くものである。 iii 同「芳香族エポキシ化合物がエポキシ当量が80~300の化合物を含む」ことは、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0011】に芳香族エポキシ化合物(1A)の説明の中に「芳香族エポキシ化合物としては、エポキシ当量が80~500であるものが、硬化性に優れるため好ましい」と記載され、同【0065】の【表3】中、実施例20として、エポキシ当量が300の芳香族エポキシ化合物(1A)である「化合物1A-11」を使用したカチオン重合性組成物が具体的に記載されている。 (b)条件5の後段について 条件5の後段は、上記b(b)で述べたとおり本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (c)条件5の全体について そして、条件5の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たすカチオン重合性組成物が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 ウ 訂正事項1-3について 訂正事項1-3は、請求項1の「主成分」という記載に関して、「但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。」という定義を追加する訂正と、(1A)~(1C)が(1D)を含む場合の、各成分の計算方法についての事項を特定した訂正である。 (ア)訂正の目的について 訂正事項1-3は、訂正前の請求項1に、主成分についての定義を追加する訂正と、(1A)~(1C)が(1D)を含む場合の、各成分の量の計算方法についての事項を特定した訂正であり、2つ目の訂正は、令和1年5月28日付けの取消理由通知において、「(1D)」が「(1B)」又は「(1C)」にも該当するものであるとき、「(1D)」の配合量を、「(1B)」又は「(1C)」の配合量に含めるのか否か、判然としない、と指摘したものに対応するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更について a 訂正事項1-3のうち、主成分の定義を追加する訂正について 本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0026】には、「主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。」と記載されている。 b 訂正事項1-3のうち、(1A)~(1C)が(1D)を含む場合の、各成分の計算方法についての事項を特定した訂正について 本件特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0013】には、「本発明のカチオン重合性組成物は、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対し、多官能の芳香族エポキシ化合物(1A)を、25~70質量部含有することが好ましく、30~60質量部含有することが更に好ましい。ここで上記(1A)の量は(1D)に該当するものを含む量である。」と記載され、また、同【0026】には、「上記(1)カチオン重合性有機物質混合物において、上記芳香族エポキシ化合物(1A)、脂環式エポキシ化合物(1C)、脂肪族エポキシ化合物(1B)、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の使用割合は、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)25~70質量部、特に30~60質量部、脂環式エポキシ化合物(1C)0~45質量部、特に0~30質量部、脂肪族エポキシ化合物(1B)0~45質量部、特に10~40質量部、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)0~50質量部、特に0~15質量部、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)0~30質量部、特に0~25質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)と脂肪族エポキシ化合物(1B)の和は0ではなく、芳香族エポキシ化合物(1A)が主成分となるように用いるのが好ましい。ただし、ここで(1B)及び(1C)の量は上記(1D)に該当するものは除く量であり、(1A)の量は(1D)に該当するものを含む量である。」と記載され、さらに、同段落には、「主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。ここでいう各種類のエポキシ化合物の合計量には、(1D)に該当するものを含む。」と記載されている。 c そして、訂正事項1-3のいずれの訂正も、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更ではないことは明らかである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項1に係る発明において、条件1、条件2及び条件3では、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たすことを限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 イ 実質上の特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項2は、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。 ウ 新規事項の追加について 上記(1)イ(ウ)a(c)及び同b(c)で述べたこと、並びに条件3を満たし、また、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たすカチオン重合性組成物が、例えば実施例24として具体的に記載されていることから、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、請求項1又は2に係る発明において、条件1、条件2及び条件3では、(1-1)を満たすことを限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 イ 実質上の特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項3は、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。 ウ 新規事項の追加について 上記(2)ウで述べたとおり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内であるといえる。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項8が、訂正前の請求項1~7のいずれか1項を引用する記載であったものを、請求項1~7の記載を引用しないものとする訂正(以下「訂正事項4-1」という。)、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が25~70質量部であり」であったものを「(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり」とする訂正(以下「訂正事項4-2」という。)、カチオン重合性組成物が、条件1、条件2CL8、条件3、条件4CL8、条件5CL8の何れかの条件(各条件の内容については省略)の何れかの条件を満たすことを特定する訂正(以下「訂正事項4-3」という。)、及び、「但し」以降に記載される内容を付加する訂正(内容については省略する。以下「訂正事項4-4」という。)である。 ア 訂正事項4-1について (ア)訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 訂正事項4-1は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正に該当する。 また、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更するものではないこと、及び新規事項の追加に当たらないことは明らかである。 イ 訂正事項4-2について (ア)訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 上記(1)アで述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更するものではなく、及び新規事項の追加に当たらない。 ウ 訂正事項4-3について 訂正事項4-3と訂正事項1-2とを対比すると、訂正事項4-3は、訂正事項1-2の「条件2」、「条件4」及び「条件5」という記載を、「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」という記載に改め、訂正事項1-2の条件2、条件4及び条件5における後段において、「(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす」という条件に、「(1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。」を追加し、「(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとも一つを満たす」とする訂正(以下「条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8の訂正」という。)を含む。そして、訂正事項4-3のうち、その他の訂正は、訂正事項1-2と同じである。 訂正事項4-3のうち訂正事項1-2と同じ訂正は上記(1)イで述べたとおりであるから、以下では、条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8の訂正のみを検討する。 (ア)訂正の目的について 条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8の訂正は、本件訂正前の「カチオン重合性組成物」について、さらに 条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8のいずれかの条件を満たすことを限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 (イ)実質上の特許請求の範囲の拡張・変更について 条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8の訂正は、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。 (ウ)新規事項の追加について i 条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8において「(1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。」を加えることは、単に、訂正前の請求項1で特定されるカチオン重合性組成物から特定の態様を除くものという条件を加えることである。 ii 条件4CL8において、上記(1-6)の条件を加えることは、新規事項の追加に当たらないことは明らかである。 iii 条件2CL8及び条件5CL8において、(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとも一つを満たすカチオン重合性組成物は、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件2CL8、条件4CL8及び条件5CL8の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 エ 訂正事項4-4について (ア)訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 上記(1)ウで述べたとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更するものではなく、及び新規事項の追加に当たらない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項9が、「請求項1~8のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物からなることを特徴とする接着剤。」とあったものを、「請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物又は下記カチオン重合性組成物Aからなることを特徴とする接着剤。」と訂正したものとし、「カチオン重合性組成物A」についての特定を追加し、及び「但し」以降に記載される内容を付加する訂正である。 ア 「請求項1~8」を引用するものを「請求項1~7」を引用するものとする訂正(以下「訂正事項5-1」という。)について (ア)訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 訂正事項5-1は、引用する請求項8を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではなく、新規事項の追加にも当たらない。 イ 「請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物」「からなることを特徴とする接着剤。」とする訂正(以下、「訂正事項5-2」という。)について (ア)訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 上記(1)~(3)で述べたとおり、本件訂正前の請求項1~3について、訂正事項1~3により、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正がされ、当該訂正事項1~3は、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことから、訂正事項5-2も、実質的に、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 「下記カチオン重合性組成物Aからなることを特徴とする接着剤。」とする訂正(以下、「訂正事項5-3」という。)について 本件訂正前の請求項9は、請求項1~8を引用するものであるが、このうち請求項1を引用するものとしてこれを書き下すと、「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が25~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であることを特徴とするカチオン重合性組成物からなる接着剤。」である。 一方、本件訂正後の請求項9の「下記カチオン重合性組成物Aからなることを特徴とする接着剤。」の「下記カチオン重合性組成物A」は、「カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であ」るカチオン重合性組成物であって、かつ、条件A1~A6のいずれかを満たすものである。 そうすると、訂正事項5-3は、 ・「カチオン重合性有機物質混合物」において、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物の量が「25~70質量部」であったのを「30~70質量部」とし(以下、「訂正事項5-3-1」という。)、 ・「カチオン重合性組成物」を「カチオン重合性組成物A」とし、当該「カチオン重合性組成物A」が、条件A1~A6の条件を満たすことを特定する(以下、「訂正事項5-3-2」という。)ものである。 (ア)訂正事項5-3-1 a 訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 上記(1)ア述べたとおり、訂正事項5-3-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (イ)訂正事項5-3-2 a 訂正の目的について 訂正事項5-3-2は、カチオン重合性組成物について、さらに条件A1~A6の条件を満たすことを特定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項5-3-2は、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。 c 新規事項の追加について (a)条件A1について i 条件A1の前段について (i)条件A1の前段のうち「上記芳香族エポキシ化合物(1A)のエポキシ当量が80~300であ」ることは、上記(1)イ(ウ)e(a)iiiで述べたとおりであるから、新規事項の追加に当たらない。 (ii)同「上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下である」ことは、上記(1)イ(ウ)a(a)iiで述べたとおりであるから、新規事項の追加に当たらない。 ii 条件A1の後段について (i)条件A1の後段のうち、(1-1)及び(1-3)は、上記(1)イ(ウ)a(b)i及びiiで述べたとおりである。 (ii)同(1-4)及び(1-5)は、(1)イ(ウ)b(b)ii及びiiiで述べたとおりである。 iii 条件A1の全体について そして、条件A1の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たす接着剤が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件A1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (b)条件A2について i 条件A2の前段について (i)条件A2の前段のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有」することは、上記(1)イ(ウ)a(a)iで述べたとおりであるから、新規事項の追加に当たらない。 (ii)条件A2の前段のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下である」ことは、上記(1)イ(ウ)a(a)iiiで述べたとおりであるから、新規事項の追加に当たらない。 ii 条件A2の後段について (i)条件A2の後段のうち、(1-1)及び(1-3)は、上記(1)イ(ウ)a(b)i及びiiで述べたとおりである。 (ii)よって、条件2の後段は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 iii 条件A2の全体について そして、条件A2の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たす接着剤が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件A2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (c)条件A3について i 条件A3の前段について (i)条件A3の前段のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有」することについては、上記(1)イ(ウ)a(a)iで述べたとおりであるから、新規事項の追加に当たらない。 (ii)条件A3の前段のうち「上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する」ことについては、上記(1)イ(ウ)b(a)iiで述べたとおりであるから、新規事項の追加に当たらない。 ii 条件A3の後段について 上記(a)iiで述べたとおりであり、新規事項の追加に当たらない。 iii 条件A3の全体について そして、条件A3の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たす接着剤が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件A3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (d)条件A4について i 条件A4のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有」することは、上記(1)イ(ウ)a(a)iで述べたとおりである。 ii 同「上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含む」ことは、上記(1)イ(ウ)d(a)iiで述べたとおりである。 iii そして、条件A4を満たす接着剤が、例えば実施例24として具体的に記載されているから、条件A4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。よって、条件A4は、新規事項の追加には当たらない。 (e)条件A5について i 条件A5の前段について (i)条件A5の前段のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であ」ることは、上記(1)イ(ウ)a(a)iiで述べたとおりである。 (ii)同「上記接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤を除く。」ことは、単に「接着剤」から、特定の用途の態様を除くものである。 ii 条件A5の後段について 上記(a)iiで述べたとおりであり、新規事項の追加に当たらない。 iii 条件A5の全体について そして、条件A5の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たす接着剤が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件A5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 (f)条件A6について i 条件A6の前段について (i)条件A6の前段のうち「上記カチオン重合性有機物質混合物は、上記脂環式エポキシ化合物(1C)を含有」することは、上記(1)イ(ウ)a(a)iで述べたとおりである。 (ii)同「上記接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤を除く。」ことは、単に「接着剤」から、特定の用途の態様を除くものである。 ii 条件A6の後段について 上記(a)iiで述べたとおりであり、新規事項の追加に当たらない。 iii 条件A6の全体について そして、条件A6の前段を満たし、また、後段のうち、(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、かつ(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも一つを満たす接着剤が、例えば実施例1として具体的に記載されているから、条件A6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるということができる。 エ 「但し」以降に記載される内容を付加する訂正(以下、「訂正事項5-4」という。)について 訂正事項5-4の内容は、訂正事項1-3と同じであり、この訂正事項が認められることは、上記(1)ウで述べたとおりである。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項9が、「請求項1~8のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物からなることを特徴とする接着剤。」とあったものを、請求項10を新しく設け、請求項1~7の引用を削除し、「請求項8に記載のカチオン重合性組成物からなることを特徴とする接着剤。」と訂正するものである。 ア 訂正の目的、実質上の特許請求の範囲の拡張・変更及び新規事項の追加について 上記(4)で述べたとおり、本件訂正前の請求項8について、訂正事項4により特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正がされた。また、当該訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 そうすると、訂正事項6も、実質的に、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)申立人Bの主張 申立人Bは、令和2年1月24日に提出した意見書において、訂正事項1の中の訂正事項(1-7)における、エポキシ当量が403である液状エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を除くという訂正は、後記「第5 1(2)」で述べる先願1にはエポキシ当量という文言が記載も示唆もされていないから、新規事項を追加するものである旨の主張をする。 そこで、この点について検討すると、訂正事項1の中の訂正事項(1-7)は、先願1で認定した発明を除くことを目的とした訂正であるといえ、先願1で認定する発明のうち、芳香族エポキシ化合物に相当する化合物は、後に、第5 1(2)アで述べるように、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」であり、この化合物は、特許権者が令和1年11月29日に提出した訂正請求書に添付された参考資料1によると、エポキシ当量は403といえるものである。 そうすると、訂正事項1の中の訂正事項(1-7)に関する訂正は、先願1で認定した発明を除くものであるといえるから、先願1にエポキシ当量という記載がなくとも、新規事項の追加には当たらない。 よって、申立人Bの主張は採用できない。 (8)訂正事項のまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1~6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3及び4号に掲げる目的に適合し、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。 (9)引用関係の解消の求めについて そして、特許権者から、訂正後の請求項1~7、9について訂正が認められるときは、他の請求項とは別の訂正単位とする求めがあったことから、訂正後の請求項1~7、9について請求項ごとに訂正することを認める。 (10)小括 よって、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7、9〕、〔8,10〕について訂正することを認める。 第3 特許請求の範囲の記載 上記のとおり、本件訂正は認められたので、特許第6400006号の特許請求の範囲の記載は、訂正後の特許請求の範囲の次のとおりのものである(以下、請求項1~10に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」~「本件発明10」といい、これらをまとめて「本件発明」ともいう。)。 「【請求項1】 (1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、 (1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であり、 かつ、 下記条件1~条件5の何れかの条件を満たすことを特徴とするカチオン重合性組成物。 (条件1) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下であり、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ下記(1-7)、(1-8)及び(1-9)から選ばれる少なくとも一つを満たす。 (1-7)上記カチオン重合性組成物は、下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表されるエポキシ当量が403の液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であり、下記(A)液状エポキシ樹脂として、二官能脂肪族エポキシ樹脂を含み、 下記(B)の固形樹脂が、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物を除くものである。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 (1-8)上記芳香族エポキシ化合物が、エポキシ当量が80~300である化合物を含む。 (1-9)上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する。 (条件2) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件3) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含有する。 (条件4) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含み、 かつ、下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件5) 上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 上記脂肪族エポキシ化合物(1B)として、単官能エポキシ化合物又は多官能の脂肪族エポキシ化合物(ただし、3官能以上を除く)を含有し、芳香族エポキシ化合物がエポキシ当量が80~300の化合物を含み、かつ 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。 芳香族エポキシ化合物(1A)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物(1A)の量及び多官能の芳香族エポキシ化合物の量並びに上記主成分の特定の際の芳香族エポキシ化合物の量はいずれも、該高分子量体(1D)の量を含めた量とする。 脂肪族エポキシ化合物(1B)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂肪族エポキシ化合物の量は該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂肪族エポキシ化合物(1B)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 脂環式エポキシ化合物(1C)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂環式エポキシ化合物の量は当該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂環式エポキシ化合物(1C)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 【請求項2】 上記脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)として、多官能エポキシ化合物を少なくとも一種含有し、 条件1、条件2及び条件3では上記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たすことを特徴とする請求項1記載のカチオン重合性組成物。 【請求項3】 上記芳香族エポキシ化合物(1A)として、フェノール類のグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のグリシジルエーテル化物、安息香酸類のグリシジルエステル、多塩基酸類のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物の群から選ばれる少なくとも一種含有し、 条件1、条件2及び条件3では上記(1-1)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン重合性組成物。 【請求項4】 上記芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能エポキシ化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物。 【請求項5】 上記芳香族エポキシ化合物(1A)のエポキシ当量が80~500であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物。 【請求項6】 (1)カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含む請求項1~5のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物。 【請求項7】 (2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤が、[A]r+[B]r-(式中、Aは陽イオン種を表し、Bは陰イオン種を表し、rは価数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩である請求項1~6のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物。 【請求項8】 (1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、 (1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であり、 かつ、 下記条件1、条件2CL8、条件3、条件4CL8、条件5CL8の何れかの条件を満たし、水分量が5質量%以下であることを特徴とするカチオン重合性組成物。 (条件1) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下であり、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ下記(1-7)、(1-8)及び(1-9)から選ばれる少なくとも一つを満たす。 (1-7)上記カチオン重合性組成物は、下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表されるエポキシ当量が403の液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であり、下記(A)液状エポキシ樹脂として、二官能脂肪族エポキシ樹脂を含み、 下記(B)の固形樹脂が、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物を除くものである。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 (1-8)上記芳香族エポキシ化合物が、エポキシ当量が80~300である化合物を含む。 (1-9)上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有する。 (条件2CL8) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、下記(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。 (条件3) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含有する。 (条件4CL8) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含み、 下記(1-4)、(1-5)又は(1-6)を満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。 (条件5CL8) 上記脂環式エポキシ化合物(1C)として、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 上記脂肪族エポキシ化合物(1B)として、単官能エポキシ化合物又は多官能の脂肪族エポキシ化合物(ただし、3官能以上を除く)を含有し、芳香族エポキシ化合物がエポキシ当量が80~300の化合物を含み、かつ 下記(1-1)、(1-2)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-2)上記カチオン重合性組成物が粘度200cP以上であるものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ 下記(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。 但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。 芳香族エポキシ化合物(1A)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物(1A)の量及び多官能の芳香族エポキシ化合物の量並びに上記主成分の特定の際の芳香族エポキシ化合物の量はいずれも、該高分子量体(1D)の量を含めた量とする。 脂肪族エポキシ化合物(1B)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂肪族エポキシ化合物の量は該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂肪族エポキシ化合物(1B)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 脂環式エポキシ化合物(1C)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂環式エポキシ化合物の量は当該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂環式エポキシ化合物(1C)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 【請求項9】 請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン重合性組成物又は下記カチオン重合性組成物Aからなることを特徴とする接着剤。 (カチオン重合性組成物A) (1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、 (1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であり、かつ、 下記条件A1~A6のいずれかの条件を満たす、カチオン重合性組成物。 (条件A1) 上記芳香族エポキシ化合物(1A)のエポキシ当量が80~300であり、 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件A2) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、上記脂環式エポキシ化合物(1C)の量が30質量部以下であり、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 (条件A3) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記脂環式エポキシ化合物(1C)は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物を含有し、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件A4) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記カチオン重合性有機物質として、さらにエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方を含む。 (条件A5) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、芳香族エポキシ化合物(1A)として、多官能の芳香族エポキシ化合物を含有し、 上記カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、多官能の芳香族エポキシ化合物の量が61質量部以下であり、かつ 上記接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤を除き、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 (条件A6) 上記カチオン重合性有機物質混合物は、上記脂環式エポキシ化合物(1C)を含有し、 上記接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤を除き、 下記(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも一つを満たし、 (1-1)エポキシ当量200以下のビスフェノールA型エポキシ化合物を光カチオン重合性化合物中50重量%~100重量%含有するものを除く。 (1-3)上記カチオン重合性組成物の粘度が190mPa・s以下である。 かつ、 下記(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとの一つを満たす。 (1-4)オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物を含有する。 (1-5)多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)を含有する。 但し、主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い、カチオン重合性有機物質混合物がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含む場合、数種類のエポキシ化合物のうち合計量が一番多い種類の該合計量は、エポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量よりも多いものとする。 芳香族エポキシ化合物(1A)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する芳香族エポキシ化合物(1A)の量及び多官能の芳香族エポキシ化合物の量並びに上記主成分の特定の際の芳香族エポキシ化合物の量はいずれも、該高分子量体(1D)の量を含めた量とする。 脂肪族エポキシ化合物(1B)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂肪族エポキシ化合物の量は該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂肪族エポキシ化合物(1B)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 脂環式エポキシ化合物(1C)がエポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)を含む場合、上記主成分の特定の際の脂環式エポキシ化合物の量は当該高分子量体(1D)の量を含めた量とし、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対する脂環式エポキシ化合物(1C)の量は該高分子量体(1D)の量を含めない量とする。 【請求項10】 請求項8に記載のカチオン重合性組成物からなることを特徴とする接着剤。」 第4 特許異議申立書で申立てられた取消理由及び取消理由通知の概要 1 特許異議申立書で申立てられた取消理由 (1)申立人A ア 申立理由1A 訂正前の請求項1~4、6、7及び9に係る発明は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲1Aに記載された発明であるか、または、訂正前の請求項1~4、6~9に係る発明は、甲1Aに記載された発明及び甲6A及び甲7Aに記載された事項から当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、訂正前の請求項1~4、6~9に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 イ 申立理由2A 訂正前の請求項1~5及び7に係る発明は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲3Aに記載された発明であるか、または、訂正前の請求項1~5、7~9に係る発明は、甲3Aに記載された発明及び甲6A及び甲7Aに記載された事項から当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、訂正前の請求項1~5、7~9に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 ウ 申立理由3A 訂正前の請求項1~9係る発明は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲5Aに記載された発明及び甲1A、甲2A、甲6A及び甲7Aに記載された事項から当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、訂正前の請求項1~9に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (2)申立人B ア 申立理由1B 訂正前の請求項1~9に係る発明は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲1B、甲2B又は甲3Bに記載された発明であるか、または、甲1B、甲2B又は甲3Bに記載された発明及び甲7B~甲14Bに記載された事項から当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、訂正前の請求項1~9に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 イ 申立理由2B 訂正前の請求項1~5、7~9に係る発明は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲4Bに記載された発明であるか、または、訂正前の請求項1~9に係る発明は、甲4Bに記載された発明及び甲5B、甲6B及び甲15Bに記載された事項から当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、訂正前の請求項1~9に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 ウ 申立理由3B 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は、同各項に記載された特許を受けようとする発明が明確とはいえないから、特許法第36条第6項第2号に適合するものでない。 よって、本件の訂正前の請求項1~9に係る発明の特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。 2 取消理由通知の概要 当審が令和1年5月28日付け取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下の取消理由1-1~1-3に示すとおりである。 (1)取消理由1-1 本件訂正前の請求項1~9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲1A、甲3A、甲1B、甲3B又は甲4Bに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、それらの発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。 (2)取消理由1-2 本件訂正前の請求項6~9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲1Bに記載された発明に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、それらの発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)取消理由1-3 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6~9の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものでなく、本件訂正前の請求項6~9に係る発明の特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。 3 取消理由通知(決定の予告)の概要 当審が令和1年9月26日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、以下の取消理由2-1~2-4に示すとおりである。 (1)取消理由2-1 令和1年7月29日に提出された訂正請求書で訂正された請求項1~9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲16B又は下記の引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、それらの発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 記 引用文献1:特開2002-275446号公報 (2)取消理由2-2 令和1年7月29日に提出された訂正請求書で訂正された請求項1~9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲16B及び引用文献1に記載された発明に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、それらの発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)取消理由2-3 令和1年7月29日に提出された訂正請求書で訂正された請求項1~4、7及び8に係る発明は、下記の本件特許の優先日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 記 先願1:特願2012-54324号(特開2013-186462号) (4)取消理由2-4 令和1年7月29日に提出された訂正請求書で訂正された請求項1~9の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものでなく、上記請求項1~9に係る発明の特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 当審は、本件発明1~10の特許は、当審が通知した取消理由1-1~1-3及び2-1~2-4並びに申立人A及びBが申し立てた申立理由1A~3Bによっては、いずれも、本件発明1~10に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 その理由は以下のとおりである。 1 当審が令和1年9月26日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由2-1~2-4について (1)取消理由2-1及び2-2 ア 甲16Bを主引例とした場合の検討 (ア)甲16Bに記載された事項と甲16Bに記載された発明 甲16Bには、以下の記載がある。 (ア-16B)「【請求項1】 光カチオン重合性化合物と、光酸発生剤とを少なくとも含有する光硬化性樹脂組成物において、該光カチオン重合性化合物が、50~100重量%のビスフェノールA型エポキシ化合物と0~50重量%の希釈剤とからなることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」 (イ-16B)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は光硬化性樹脂組成物に関するもので、特に該樹脂組成物が低硬化収縮率であるために、精密な位置固定精度を要求される光部品、電子部品の組立等に使用される接着剤として有用な素材に関するものである。」 (ウ-16B) 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の有する問題点を解決するためになされたものであり、接着性に優れ、低硬化収縮率に由来する優れた寸法安定性を有する光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、このような光硬化性樹脂組成物を電子部品、光部品等の精密固定用接着剤として利用するには、作業性の面から、200~20000cP程度の使用用途に適度な粘度を有し、かつ、硬化収縮率が4%未満であることが好ましく、本発明は、この条件を満たす光硬化性樹脂組成物を提供するものである。 ・・・ 【0011】また、本発明の光カチオン重合性化合物の主成分として使用されるビスフェノールA型エポキシ化合物は、25℃での粘度が4000~17000cP程度で、エポキシ当量が200(g/eq.)以下、好ましくは190(g/eq.)以下である。エポキシ当量が200(g/eq.)を超えると、ビスフェノールA型エポキシ化合物自体の粘度が非常に高くなるか、固体となるため、光硬化性樹脂組成物を調製する時の作業性が悪くなる。」 (エ-16B) 「【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。なお、実施例において部とは重量部を示す。 【0022】実施例1~10および比較例1~5 表1に示した配合成分を用いた処方で、光硬化性樹脂組成物を調製し、下記評価方法に従い、粘度、硬化収縮率、接着強度を評価した。 ・・・ 【0023】 【表1】 【0024】注1):油化シェルエポキシ社製 ビスフェノールA型エポキシ化合物〔エポキシ当量(g/eq.):187〕 注2):共栄社化学社製 25℃における粘度が17cPのネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物〔エポキシ当量(g/eq.):140〕 注3):ユニオンカーバイド社製 25℃における粘度が360cPの3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物〔エポキシ当量(g/eq.):132〕 注4):共栄社化学社製 3官能アクリレート化合物 注5):油化シェルエポキシ社製 25℃における粘度が2100cPのビスフェノールF型エポキシ化合物〔エポキシ当量(g/eq.):166〕 注6):ユニオンカーバイド社製 光酸発生剤 注7):チバガイギー社製 光ラジカル重合開始剤 注8):龍森社製 石英フィラー」 記載事項(エ-16B)(特に、実施例3、7及び8)から、甲16Bには以下の発明が記載されていると認められる。 実施例3から、 「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828を100重量部、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NPを50重量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110を15重量部、光酸発生剤であるUVI-6990を3.5重量部含む光硬化性樹脂組成物。」(以下、「甲16B発明1」という。) 実施例7から 「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828を100重量部、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NPを70重量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110をを30重量部、光酸発生剤であるUVI-6990を4重量部、石英フィラーであるクリスタライト5Xを60重量部含む光硬化性樹脂組成物。」(以下、「甲16B発明2」という。) 実施例8から 「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828を100重量部、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NPを70重量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110をを30重量部、光酸発生剤であるUVI-6990を4重量部、石英フィラーであるクリスタライト5Xを200重量部含む光硬化性樹脂組成物。」(以下、「甲16B発明3」という。) さらに、上記実施例3、7、及び8の光硬化性樹脂組成物は、請求項1(記載事項(ア-16B))の具体例であるところ、請求項1の光硬化性樹脂組成物は接着剤として有用なものであり(記載事項(イ-16B))、実施例3、7及び8でも接着強度が測定されている(記載事項(エ-16B))ことから、甲16Bには、以下の発明も記載されているといえる。 「甲16B発明1~甲16B発明3のいずれか一つの光硬化性樹脂組成物からなる接着剤。」(以下、「甲16B発明4」という。) (イ)対比、判断 a 本件発明1について (a)甲16B発明1との対比、判断 i 甲16B発明1の「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」は、それぞれ本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」、「脂肪族エポキシ化合物(1B)」及び「脂環式エポキシ化合物(1C)」に相当する。そしてこれらはいずれも、「カチオン重合性有機物質」に相当し、「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するものといえる。 甲16B発明1の「光酸発生剤であるUVI-6990」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、甲16B発明1の「光硬化性樹脂組成物」は、本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 ii 甲16B発明1の「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の合計100重量部に対する、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の量は、それぞれ、60.6重量部(=[100/(100+50+15)]×100)、30.3重量部(=[50/(100+50+15)]×100))、9.0重量部(=[15/(100+50+15)]×100)であり、それぞれ、本件発明1の「30~70質量部」、「10~45質量部」、「0~45重量部」の範囲に包含される。 iii 甲16B発明1の組成物はエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質を含まず、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」は、含有される量が一番多いエポキシ化合物であるから、当該「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」は「主成分」であるといえる。 iv 条件1、条件2及び条件5の前段について 甲16B発明1の組成物の「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」は多官能の芳香族エポキシ化合物であり、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」は3官能以上ではない多官能の脂肪族エポキシ化合物であり、「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」はシクロヘキセンオキサイド含有化合物であり、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の合計100重量部に対する、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の量は、それぞれ、60.6重量部及び9.0重量部であり、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」の187のエポキシ当量は、「80~300」の範囲内であることから、甲16B発明1の組成物は、本件発明1の条件1、2及び5の前段を満たす。 v 条件1、条件2及び条件5の後段について 条件1、条件2及び条件5の後段は、いずれも(1-1)~(1-3)から選ばれる少なくとも1つを満たすことを条件とするから、まず、これらの点について検討する。 (i)同一性について 甲16B発明1は、エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828を光カチオン重合性化合物中60.6重量%含有するから、(1-1)で除かれるものであり、この点は実質的な相違点であるといえる。 また、甲16B発明1は、粘度が400cPであり(摘記(ウ-16B))、400cPは、400mPa・sであることは明らかであるから、(1-2)で除かれ、さらに(1-3)を満足しないものであり、これらの点は実質的な相違点であるといえる。 よって、甲16B発明1は、(1-1)~(1-3)の特定により、本件発明1と同一でない。 そうすると、(1-4)及び(1-5)又は(1-7)~(1-9)について検討するまでもなく、甲16B発明1は、条件1、条件2及び条件5の後段の特定により、本件発明1と同一ではない。 (ii)容易性について 甲16Bの段落【0011】(記載事項(ウ-16B))には、光硬化性樹脂組成物は、50~100重量%のビスフェノールA型エポキシ化合物を含むものであり、ビスフェノールA型エポキシ化合物は、エポキシ当量が200(g/eq.)以下であることが記載され、200(g/eq.)を越えると作業性が悪くなる旨の記載がされているから、甲16B発明1において(1-1)の規定により除かれないものとすることに動機付けがあるとはいえない。また、同段落【0006】(記載事項(ウ-16B))には、甲16Bに記載された光硬化性樹脂組成物は、接着剤として使用するには、作業性の面から200~20000cP程度の粘度を有することが好ましい旨の記載がされているから、甲16B発明1において(1-2)の規定により除かれないものとすること、及び(1-3)を満たすものとすることに動機付けがあるとはいえない。 vi 小括 よって、本件発明1は、甲16Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到することができたものでもない。 (b)甲16B発明2との対比、判断 i 甲16B発明2は、甲16B発明1と、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」、「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」及び「光酸発生剤であるUVI-6990」の含有量がそれぞれ、100重量部、70重量部、30重量部及び4重量部である点と石英フィラーを60重量部含む点で相違する。 これらを踏まえて甲16B発明2と本件発明1とを対比する。 ii 甲16B発明2における、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の合計100重量部に対する、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」の量は50重量部であって「30~70質量部」の範囲内であり、かつ「61質量部以下」であり、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」の量は35重量部であって「10~45質量部」の範囲内であり、「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の量は15重量部であって、「0~45重量部」の範囲内であり、かつ、「30質量部以下」である。 そして、甲16B発明2において、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」が主成分であることは,上記(a)iiiで述べたとおりである。 そうすると、甲16B発明2は、条件1、条件2及び条件5の前段を満たすといえる。 iii 条件1、条件2及び条件5の後段について (i)同一性について 甲16B発明2は、エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828を光カチオン重合性化合物中50重量%含有するから、(1-1)で除かれるものであり、この点は実質的な相違点であるといえる。 また、甲16B発明2は、粘度が600cPであり(摘記(ウ-16B))、600cPは、600mPa・sであることは明らかであるから、(1-2)で除かれ、さらに(1-3)を満足しないものであり、これらの点は実質的な相違点であるといえる。 そうすると、(1-4)及び(1-5)又は(1-7)~(1-9)について検討するまでもなく、甲16B発明2は、条件1、条件2及び条件5の後段の特定により、本件発明1と同一ではない。 (ii)容易性について 上記(a)v(ii)で述べたとおり、上記相違点について動機付けがあるとはいえない。 iv 小括 よって、本件発明1は、甲16Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到することができたものでもない。 (c)甲16B発明3との対比、判断 i 甲16B発明3は、甲16B発明2と、石英フィラーの含有量が200重量部である点及び粘度が15000である点でのみ相違し、カチオン重合性有機物質混合物は、甲16B発明2と同じである。 ii そうすると、本件発明1との対比、判断は、上記(b)ii~iiiで述べたとおりである。 iii 小括 よって、本件発明1は、甲16Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到することができたものでもない。 (d)申立人Bの主張 申立人Bは、令和2年1月24日に提出した意見書において、甲16Bに記載された発明について、(1-1)に関し、ビスフェノールA型エポキシ化合物のエポキシ当量を200を越えるとすること、(1-2)に関し、カチオン重合性化合物の粘度を200cP未満とすること、又は、(1-3)に関し、カチオン重合性化合物の粘度を190mPa・s以下とすることは、それぞれ阻害事由が存在しないから、当業者が容易に想到でき、また、顕著な効果もない旨の主張をする。 そこで、これらの点について検討すると、上記(a)v(ii)で述べたように、甲16Bには、エポキシ当量が200(g/eq.)を越えると作業性が悪くなること、また、作業性の面から粘度は200~20000cP程度であることが記載されているから、上記申立人Bが主張するように変更することには阻害事由があるといえ、動機付けがあるとはいえない。そうすると、効果について検討するまでもなく、申立人Bの主張は採用できない。 (e)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲16Bに記載された発明ではなく、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 b 本件発明2~5、7について 本件発明2~5、7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、甲16Bに記載された発明ではないし、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 c 本件発明8について 本件発明8と本件発明1とを対比すると、本件発明8は、カチオン重合性組成物が、水分量が5質量%以下であることを特定し、また、「条件2」、「条件4」及び「条件5」を、それぞれ「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」とし、各条件の後段において、「(1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。」を追加し、「(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとも一つを満たす」とする発明である。 以上のとおりであるので、以下において本件発明8を検討するに当たっては、上記したカチオン重合性組成物の水分量が5質量%以下である点と「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」の点についてのみ検討する。 (a)「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」について 事案に鑑み、まず、「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」について検討するが、 上記a(a)iv、(b)ii及び(c)iiで述べたとおり、甲16B発明1~3は条件1,2及び5と一致するから、「条件2CL8」及び「条件5CL8」について検討する。 上記a(a)vで述べたとおり、甲16B発明1~3は、「条件2CL8」及び「条件5CL8」の(1-1)~(1-3)において、本件発明8と実質的に相違し、また、当業者が容易であるともいえない。 そうすると、(1-6)について検討するまでもなく、甲16B発明1~3は、(1-1)~(1-3)の特定により本件発明8と同一ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 (b)小括 したがって、カチオン重合性組成物の水分量が5質量%以下であることについて検討するまでもなく、本件発明8は、甲16Bに記載された発明ではないし、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 d 本件発明9について (a)本件発明9が、本件発明1~5、7のいずれか一に記載のカチオン重合性組成物を引用する場合 甲16B発明4の「甲16B発明1~甲16B発明3のいずれか一つの光硬化性樹脂組成物」が、本件発明1~7のカチオン重合性組成物と同一ではないし、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもないことは、上記a及びbで述べたとおりである。 そうすると、本件発明9は、甲16B発明4と同一でもなく、当業者が容易に想到できたものともいえない。 (b)本件発明9が、「カチオン重合性組成物A」からなる接着剤である場合 i 甲16B発明4の「甲16B発明1~甲16B発明3のいずれか一つの光硬化性樹脂組成物」は、上記a(a)i~iii、(b)i及びii、並びに(c)iiで述べたとおり本件発明9の「カチオン重合性組成物A」のうち、「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であ」るという特定を満たす。 ii  条件A1~A3、A5及びA6の前段について 甲16B発明4の「甲16B発明1~甲16B発明3のいずれか一つの光硬化性樹脂組成物」において、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」は、多官能の芳香族エポキシ化合物であって、そのエポキシ当量は187であること、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の、「エポキシ当量が187のビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828」、「ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルからなる脂肪族エポキシ化合物であるエポライト1500NP」及び「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」の合計100重量部に対する含有量はそれぞれ、60.6重量部、9.0重量部(甲16B発明1の場合)、又は、50重量部、15重量部(甲16B発明2及び甲16B発明3の場合)であること、「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’、4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ化合物であるUVR-6110」はシクロヘキセンオキサイド含有化合物であること、甲16B発明4の接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤ではないことから、甲16B発明4の接着剤における「甲16B発明1~甲16B発明3のいずれか一つの光硬化性樹脂組成物」は、本件発明9の条件A1~A3、A5及びA6の前段を満たす。 iii 条件A1~A3、A5及びA6の後段について 上記a(a)v(i)及び(ii)、(b)iii(i)及び(ii)並びに(c)iiで述べたように、甲16B発明4が引用する甲16B発明1~3は、(1-1)で除かれるものであり、また、(1-3)を満足しないものであり、これらの点は実質的な相違点であるといえる。さらに、これらの相違点は、当業者が容易に想到できたものともいえない。 そうすると、(1-4)及び(1-5)について検討するまでもなく、本件発明9は、甲16B発明4と同一でもなく、当業者が容易に想到できたものともいえない。 e 本件発明10について 本件発明8のカチオン重合性組成物が甲16B発明4の「甲16B発明1~甲16B発明3のいずれか一つの光硬化性樹脂組成物」と同一ではないし、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもないことは、上記cで述べたとおりである。 よって、本件発明10は、甲16B発明4と同一でもなく、また、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 (ウ)まとめ 本件発明1~5、7~10は、甲16Bに記載された発明ではないし、甲16Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 イ 引用文献1を主引例とした場合の検討 (ア)引用文献1に記載された事項と引用文献1に記載された発明 引用文献1には、以下の記載がある。 (ア-引1)「【0061】 【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例の中の「部」は特に断りの無い限り質量部である。 ・・・ 【0063】エピコート828:油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂XDO:東亞合成社製、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン BGE-C:坂本薬品工業製、ブチルグリシジルエーテル ・・・ UVI-6990:ユニオンカーバイド社製、光カチオン重合開始剤 ・・・ 【0077】(実施例6)エピコート828(75質量部)、BGE-C(20質量部)、UVI-6990(5質量部)をヘラを用いて混合して粘稠な液状の表面実装用接着剤組成物を調製した。この組成物をガラスエポキシ基板(FR-4)に0.3±0.05g塗布し、メタルハライドランプ(ウシオ電気社製:UVC-302/1MN:302/5XX-DX01、搭載ランプUVL-30000M2-N1)を用いて100mJ/cm2の活性エネルギー線を照射した後に2125抵抗体チップを搭載し、25℃で1時間放置して抵抗体チップを接着した。この接着された1個の抵抗体チップを引き剥がすために要する力をプッシュプルゲージにより測定した結果、41.2N(4.2kgf)であった。 【0078】(保存安定性)実施例1と同様、硬化前の接着剤組成物を室温(25℃)で保存し、粘度が2倍になるまでの期間を保存安定性とした 【0079】(実施例7~10及び比較例3)表面実装用接着剤組成物の組成を表2記載の配合にする以外は、実施例6と全く同様の評価を行った。結果を表2に示す。 【0080】 【表2】 」 記載事項(ア-引1)(特に実施例7及び8)から、引用文献1には以下の発明が記載されていると認められる。 実施例7から 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828を50質量部、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンであるXDOを30質量部、ブチルグリシジルエーテルであるBGE-Cを15質量部、光カチオン重合開始剤であるUVI-6990を5質量部含む接着剤組成物。」(以下、「引用1発明1」という。) 施例8から 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828を50質量部、6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナンを30質量部、ブチルグリシジルエーテルであるBGE-Cを15質量部、光カチオン重合開始剤であるUVI-6990を5質量部含む接着剤組成物。」(以下、「引用1発明2」という。) また、引用1発明1及び引用1発明2の「接着剤組成物」は、接着剤であるといえるから、引用文献1には以下の発明も記載されていると認められる。 「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物からなる接着剤。」(以下、「引用1発明3」という。) (イ)対比、判断 a 本件発明1について (a)引用1発明1との対比、判断 i 引用1発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンであるXDO」及び、「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」は、それぞれ本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」、「オキセタン化合物(1E)」及び「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。そして、これらはいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するものといえる。 引用1発明1の「光カチオン重合開始剤であるUVI-6990」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、引用1発明1の「接着剤組成物」は、本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 ii 引用1発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンであるXDO」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計100質量部に対する、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の含有量は、それぞれ、52.6質量部、15.7質量部と計算され、いずれも、本件発明1の「30~70質量部」及び「10~45質量部」の範囲に包含される。 引用1発明1の「接着剤組成物」において、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」は、含まれる量が一番多いエポキシ化合物であり、「1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンであるXDO」よりも多く含まれるから、「主成分」であるといえる。 iii 条件4の前段について 引用1発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」は多官能芳香族エポキシ化合物であり、当該「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」の、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンであるXDO」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計100質量部に対する含有量は52.6質量部であって「61質量部以下」であり、引用1発明1の「1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンは、本件発明1の「オキセタン化合物(1E)」に相当するから、引用1発明1の「接着剤組成物」は本件発明1の条件4の前段を満たす。 iv 条件4の後段について (i)同一性について 引用1発明1は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、(1-4)を満足せず、また、脂肪族エポキシ化合物はブチルグリシジルエーテルという単官能のエポキシ化合物であるから、(1-5)も満足しない。そして、これらの点は実質的な相違点である。 よって、引用1発明1は、(1-4)及び(1-5)の特定により、本件発明1と同一でない。 (ii)容易性について 引用文献1の特許請求の範囲の請求項1には、「分子内に少なくとも一個のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物(a)、分子内に少なくとも一個のオキセタニル基を有し、エポキシ基を有しない化合物(b)および同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも一個のエポキシ基とを有する化合物(c)の中から選ばれた1種以上の化合物と、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(d)とを含むことを特徴とする表面実装用接着剤組成物。」が記載され、発明の詳細な説明の段落【0004】をみると、硬化性が良好であり、保存安定性に優れ、活性エネルギー線照射により硬化させる場合、活性エネルギー線の届かない陰の部分の硬化不良という問題の解消された表面実装用接着剤組成物を提供することを課題とするものといえる。 また、分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物(a)の具体例として、同【0011】には、オキセタニル基を有さない(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートなどの脂環式エポキシ化合物や、同【0012】には、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルなどの2官能の脂肪族エポキシ化合物が例示されてはいる。 しかしながら、これらの化合物は、分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物(a)として挙げられる化合物の一部にすぎないといえるものであり、引用文献1の特許請求の範囲に記載された発明の具体例であるといえる引用1発明1において、上記した例示された化合物を選択して使用する動機付けは記載されていない。 そうすると、いくら当業者であっても、引用1発明1において、(1-4)又は(1-5)を満たすことが容易に想到できるものであるとはいえない。 そして、本件発明1は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるという引用文献1に記載されない当業者の予測を超える作用効果を奏するものであるといえる。 したがって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 iv 小括 よって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到することができたものでもない。 (b)引用1発明2との対比、判断 引用1発明2の「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」は、脂環式エポキシ構造もオキセタン構造も有しているから、本件発明1の「脂環式エポキシ化合物(1C)」であるともいえるし「オキセタン化合物(1E)」であるともいえる。 そこで、以下、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」を「脂環式エポキシ化合物(1C)」としてみた場合と、「オキセタン化合物(1E)」としてみた場合とに分けて検討する。 i 「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」を「脂環式エポキシ化合物(1C)」としてみた場合 (i)引用1発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」は、それぞれ本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」、「脂環式エポキシ化合物(1C)」及び「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。そして、これらはいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するものといえる。 引用1発明2の「光カチオン重合開始剤であるUVI-6990」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、引用1発明2の「接着剤組成物」は本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 引用1発明2の、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計100質量部に対する、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の含有量は、それぞれ、52.6質量部、31.5質量部及び15.7質量部と計算され、いずれも、本件発明1の「30~70質量部」、「0~45質量部」及び「10~45質量部」の範囲に包含される。 (ii)引用1発明2の「接着剤組成物」において、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」は、含有される量が一番多いエポキシ化合物であるから、「主成分」であるといえる。 (iii)条件2及び条件5の前段について 引用1発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」はエポキシ当量187の(要すれば、甲16の記載事項(ウ-16B)参照)の多官能の芳香族エポキシ化合物であり、当該「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」の、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計100質量部に対する量は52.6質量部であって「61質量部以下」であり、引用1発明2の「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物であり、引用1発明2の「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」は単官能エポキシ化合物であるから、引用1発明2の「接着剤組成物」は、本件発明1の条件2及び5の前段を満たす。 (iv)条件2及び条件5の後段について 条件2及び条件5の後段は、いずれも(1-1)~(1-3)から選ばれる少なくとも1つを満たし、かつ、(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも1つを満たすことを条件とする。事案に鑑み、ここでは、まず、(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも1つを満たすことについて検討する。 あ 同一性について 引用1発明2の「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」は、シクロヘキセンオキサイド含有化合物であるが、オキセタン基を含有する化合物であるから、(1-4)を満足せず、また、脂肪族エポキシ化合物はブチルグリシジルエーテルという単官能のエポキシ化合物であるから、(1-5)も満足しない。そして、これらの点は実質的な相違点である。 い 容易性について 上記(a)iv(ii)で述べたように、引用文献1には、分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物(a)の具体例として、(1-4)又は(1-5)を満足する化合物は例示されてはいる。 しかしながら、引用文献1には、引用1発明2において、上記条件を満足する化合物を選択して使用する動機付けは記載されていない。 そうすると、いくら当業者であっても、引用1発明2において、(1-4)又は(1-5)を満たすことが容易に想到できるものであるとはいえない。 そして、本件発明1は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるという引用文献1に記載されない当業者の予測を超える作用効果を奏するものであるといえる。 したがって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 ii 「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」を「オキセタン化合物(1E)」としてみた場合 (i)引用1発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」は、それぞれ本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」及び「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当し、引用1発明2の「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」は本件発明1の「オキセタン化合物(1E)」に相当する。そしてこれらはいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するものといえる。 引用1発明2の「光カチオン重合開始剤であるUVI-6990」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、引用1発明2の「接着剤組成物」は本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 引用1発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計100質量部に対する、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の含有量は、それぞれ、52.6質量部、15.7質量部と計算され、いずれも、本件発明1の「30~70質量部」、「10~45質量部」の範囲に包含される。 (ii)引用1発明2の「接着剤組成物」において、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」は、含有される量が一番多いエポキシ化合物であり、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」よりも多く含まれるから、「主成分」であるといえる。 (iii)条件4の前段について 引用1発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」は多官能の芳香族エポキシ化合物であり、当該「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」の、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計100質量部に対する含有量は52.6質量部であって「61質量部以下」であり、引用1発明2の「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」はオキセタン化合物であるから、引用1発明2の「接着剤組成物」は、本件発明1の条件4の前段を満たす。 (iv)条件4の後段について あ 同一性について ここでは、引用1発明2のうち「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」は脂環式エポキシ化合物とみておらず、引用1発明2では、脂環式エポキシ化合物を含まないから、(1-4)を満足せず、また、脂肪族エポキシ化合物はブチルグリシジルエーテルという単官能のエポキシ化合物であるから、(1-5)も満足しない。そして、これらの点は実質的な相違点である。 よって、引用1発明1は、(1-4)及び(1-5)の特定により、本件発明1と同一でない。 い 容易性について 上記i(iv)い で述べたとおり、いくら当業者であっても、引用1発明2において、(1-4)又は(1-5)を満たすことが容易に想到できるものであるとはいえない。 そして、本件発明1は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるという引用文献1に記載されない当業者の予測を超える作用効果を奏するものであるといえる。 したがって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 (c)申立人Bの主張 申立人Bは、令和2年1月24日に提出した意見書において、引用文献1に記載された発明について、(1-4)に関し、オキセタニル基を有さない脂環式エポキシ化合物を使用すること、又は、(1-5)に関し、2官能の脂肪族エポキシ化合物を使用することは、それぞれ阻害事由が存在しないから、当業者が容易に想到でき、また、顕著な効果もない旨の主張をする。 そこで、この点について検討すると、各相違点について、本件発明1で特定される事項とすることに阻害事由が存在しなければ、必ず動機付けられるとは直ちにはいえず、そして、上記(a)iv(ii)で述べたように、(1-4)又は(1-5)についての相違点について、本件発明1で特定される事項とする動機付けはないのであるから、効果について検討するまでもなく、いずれにしても申立人Bの主張は採用できない。 (d)小括 よって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到することができたものでもない。 b 本件発明3~7について 本件発明3~7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、引用文献1に記載された発明と同一ではないし、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 c 本件発明8について 上記ア(イ)cで述べたとおり、本件発明8は、カチオン重合性組成物が、水分量が5質量%以下であることを特定し、また、「条件2」、「条件4」及び「条件5」を、それぞれ「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」とし、各条件の後段において、「(1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。」を追加し、「(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとも一つを満たす」とする発明である。 ここでも本件発明8を検討するに当たっては、上記したカチオン重合性組成物の水分量が5質量%以下である点と「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」の点についてのみ検討する。 (a)「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」について 事案に鑑み、まず、「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」における追加された(1-6)の特定について検討する。 引用文献1の【特許請求の範囲】の【請求項1】には、「分子内に少なくとも一個のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物(a)、分子内に少なくとも一個のオキセタニル基を有し、エポキシ基を有しない化合物(b)および同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも一個のエポキシ基とを有する化合物(c)の中から選ばれた1種以上の化合物と、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(d)とを含むことを特徴とする表面実装用接着剤組成物。」が記載され、【発明の詳細な説明】の段落【0001】には【発明の属する技術分野】として「本発明は基板に表面実装される電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物及びその接着剤組成物を用いた電子部品実装方法に関する。」と記載されていることからすると、引用1発明1及び2は、電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物を前提とする発明であるといえるから、(1-6)の特定により除かれるものであり、この点は実質的な相違点であるといえる。 また、引用文献1には、電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物を前提とする内容が記載されているから、引用1発明1及び2において、(1-6)の特定により除かれないものとすることに動機付けがあるとはいえない。 そうすると、引用1発明1及び2は、(1-4)~(1-6)の特定により本件発明8と同一ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 (b)まとめ したがって、カチオン重合性組成物の水分量が5質量%以下であることについて検討するまでもなく、本件発明8は、引用文献1に記載された発明と同一ではないし、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 d 本件発明9について (a)本件発明9が、本件発明1~7のいずれか一に記載のカチオン重合性組成物を引用する場合 引用1発明3の「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物」が、本件発明1、3~7のカチオン重合性組成物と同一ではないし、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもないことは、上記a及びbで述べたとおりである。 そうすると、本件発明9は、引用1発明3と同一でもなく、当業者が容易に想到できたものともいえない。 (b)本件発明9が「カチオン重合性組成物A」からなる接着剤である場合 i 引用1発明3の「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物」は、上記a(a)i及びii並びに(b)i(i)(ii)及びii(i)(ii)で述べたものと同様の理由により、本件発明9の「カチオン重合性組成物A」についての特定である、「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であ」るという特定を満たす。 ii 条件A1、A3、A5及びA6の前段について そして、引用1発明3の「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物」において、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」は、多官能の芳香族エポキシ化合物であって、その含有量は、引用1発明1の接着剤組成物の場合、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンであるXDO」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計量100質量部に対して52.6質量部であり、引用1発明2の接着剤組成物の場合、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート828」、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」及び「ブチルグリシジルエーテルであるBGE-C」の合計量100質量部に対して52.6質量部であって、いずれも「61質量部以下」であり、そのエポキシ当量は187であること(要すれば、甲16の記載事項(ウ-16B)参照)、「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物」のうち引用1発明2の接着剤組成物において、「6,7-エポキシ-2-オキサ-スピロ[3.5]ノナン」を「脂環族エポキシ化合物(1C)」としてみた場合、当該化合物はシクロヘキセンオキサイド含有化合物であること、引用1発明3の接着剤は、互いに対向する第1の基板及び第2の基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられる液晶パネルシール剤ではないことから、引用1発明3の接着剤における「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物」は、本件発明9の条件A1、A3、A5及びA6の前段を満たす。 iii 条件A1、A3、A5及びA6の後段について 条件A1、A3、A5及びA6の後段は、いずれも(1-1)及び(1-3)から選ばれる少なくとも1つを満たし、かつ、(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも1つを満たすことを条件とする。事案に鑑み、ここでは、まず、(1-4)及び(1-5)から選ばれる少なくとも1つを満たすことについて検討する。 上記a(a)iv、(b)i(iv)及びii(iv)で述べたように、引用1発明1又は引用1発明2は、(1-4)を満足せず、また、(1-5)も満足しない。そして、これらの点は実質的な相違点である。そして、いくら当業者であっても、(1-4)又は(1-5)を満たすことが容易に想到できるものであるとはいえない。 iv 小括 そうすると、本件発明9は、引用1発明3と同一ではなく、また、当業者が容易に想到することができたものでもない。 e 本件発明10について 本件発明8のカチオン重合性組成物は引用1発明3の「引用1発明1又は引用1発明2の接着剤組成物」と同一ではないし、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもないことは、上記cで述べたとおりである。 よって、本件発明10は、引用1発明3と同一でもなく、また、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 (ウ)まとめ 本件発明1、3~10は、引用文献1に記載された発明ではないし、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでもない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、取消理由2-1及び2-2によっては、本件発明1~10を取り消すことはできない。 (2)取消理由2-3 ア 先願1に記載された事項及び先願1に記載された発明 先願1の明細書等には、以下の記載がある。 (ア-先1)「【請求項1】 下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 」 (イ-先1)「【0047】 〔実施例1〕 まず、実施例となる光導波路の作製に先立ち、クラッド層形成材料およびコア層形成材料である各感光性ワニスを調製した。 【0048】 <クラッド層形成材料の調製> 遮光条件下にて、液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂(EXA-4816、DIC社製)50g、固形多官能脂肪族エポキシ樹脂(EHPE3150、ダイセル社製)20g、液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂(PG-207N、新日鐵化学社製)30g、光酸発生剤(アデカオプトマーSP-170,アデカ社製)2.0g、を乳酸エチル20gに混合し、85℃加熱下にて撹拌完溶させ、その後室温(25℃)まで冷却した後、直径1.0μmのメンブレンフィルタを用いて加熱加圧濾過を行なうことにより、クラッド層形成材料となる感光性ワニスを調製した。 ・・・ 【0052】<オーバークラッド層の作製> 形成されたコア層上に、スピンコーターを用いて、上記クラッド層形成材料である感光性ワニスを塗工した後、ホットプレート上にて有機溶剤を乾燥させる(130℃×10分間)ことにより、未硬化状態のオーバークラッド層を形成した。形成された未硬化のオーバークラッド層をUV照射機〔5000mJ/cm2(I線フィルタ)〕にて露光を行ない、後加熱を行った(130℃×10分間)。その後、γ-ブチロラクトン中にて現像(25℃×3分間)し、水洗いをした後、ホットプレート上で水分を乾燥(120℃×10分間)させることにより、オーバークラッド層(厚み10μm)を作製した。 ・・・ 【0054】 〔実施例2〕 クラッド層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合割合を、液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂(EXA-4816、DIC社製)60g、固形多官能脂肪族エポキシ樹脂(EHPE3150、ダイセル社製)20g、液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂(PG-207N、新日鐵化学社製)20gに変えた。それ以外は実施例1と同様にして光導波路を作製した。 ・・・ 【0069】 」 先願1の明細書等には、記載事項(ア-先1)及び(イ-先1)(特に実施例1及び2)から、以下の発明が記載されていると認められる。 実施例1から、 「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816を50gと、液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207Nを30gと、固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150を20gと、光発生剤であるアデカオプトマーSP-170を2g含むエポキシ樹脂組成物。」(式(1)は省略、以下、「先願1発明1」という。) 実施例2から、 「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816を60gと、液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207Nを20gと、固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150を20gと、光発生剤であるアデカオプトマーSP-170を2g含むエポキシ樹脂組成物。」(式(1)は省略、以下、「先願1発明2」という。) イ 対比、判断 (ア)本件発明1について a 先願1発明1との対比、判断 (a)先願1発明1の「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」は、芳香環を有するエポキシ樹脂であるところ、本件特許明細書の【0011】には、「芳香族エポキシ化合物(1A)とは、芳香環を含むエポキシ化合物を指し」とあるから、上記「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」は、本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」に相当する。 先願1発明1の「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」は、本件発明1の「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 先願1発明1の「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」は、脂環構造を有するエポキシ樹脂であるから(要すれば、特開2003-50294号公報の請求項1の構造式(2)及び【0036】参照)、本件発明1の「脂環式エポキシ化合物(1C)」に相当する。 先願1発明1の「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」、「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」及び「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」は、いずれもカチオン重合性有機物質であり、これらは、「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するものといえる。 先願1発明1の「光発生剤であるアデカオプトマーSP-170」は本件発明1の「(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、先願1発明1の「エポキシ樹脂組成物」は本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 (b)先願1発明1の「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」、「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」及び「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」の合計量100質量部に対する、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」、「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」及び「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」の含有量はそれぞれ「50質量部」、「30質量部」及び「20質量部」で、本件発明1の「30~70質量部」、「10~45質量部」及び「0~45質量部」の範囲に包含される。 先願1発明1の「エポキシ樹脂組成物」において、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」が主成分であることは明らかであるといえる。 (c)条件1の前段について 先願1発明1の「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」は、多官能の芳香族エポキシ化合物であり、上記したとおり、先願1発明1の「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」及び「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」の「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」、「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」及び「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」の合計量100質量部に対する含有量がそれぞれ、60質量部、20質量部であることから、先願1発明1のエポキシ樹脂組成物は本件発明1の条件1の前段を満たす。 (d)条件1の後段について 条件1の後段は、(1-7)~(1-9)から選ばれる少なくとも1つを満たすことを条件とするから、まず、これらの点について検討する。 先願1の特許請求の範囲の請求項1には、「下記(A)~(C)を含有する光導波路形成用エポキシ樹脂組成物であって、下記(A)の液状エポキシ樹脂の主成分が、下記の一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂であり、その含有割合が、樹脂成分全量中50~80重量%の範囲であることを特徴とする光導波路形成用エポキシ樹脂組成物。 (A)液状エポキシ樹脂。 (B)固形樹脂。 (C)光酸発生剤。 」が記載され、その具体例として先願1発明1である実施例1が記載され、特許権者が令和1年11月29日に提出した訂正請求書に添付された参考資料1によると、先願1発明1で芳香族エポキシ化合物として用いられている「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA-4816」のエポキシ当量は403であるといえるから、先願1発明1は、(1-7)で除かれるものであり、また、(1-8)を満足しないものであり、これらの点は実質的な相違点であるといえる。 また、先願1発明1で脂環式エポキシ化合物として用いられている「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150、ダイセル社製」は、例えば、特開2003-50294号公報発明の詳細な説明の段落【0035】に「多官能脂環型エポキシ樹脂(ダイセル化学(株)製、EHPE3150(構造式(2)))」記載されており、その特許請求の範囲の請求項1中にある構造式(2)は、 と記載されているから、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイドを含有しない化合物である。そうすると、(1-9)も満足しないものであり、実質的な相違点であるといえる。 そうすると、本件発明1は、先願1発明1と同一であるとはいえない。 b 先願1発明2との対比、判断 (a)先願1発明2は、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」及び「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」をそれぞれ60g、20g含む点においてのみ、先願1発明1と相違する。 この点を踏まえて先願1発明2と本件発明1とを対比する。 (b)先願1発明2における、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」、「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」及び「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」の合計量100質量部に対する、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」含有量は「60質量部」であって、「30~70質量部」の範囲内であり、また「61質量部以下」であり、「液状長鎖二官能脂肪族エポキシ樹脂であるPG-207N」の含有量は「20質量部」であって、「10~45質量部」の範囲内であり、「固形多官能脂肪族エポキシ樹脂であるEHPE3150」の含有量は「20質量部」であって「0~45質量部」の範囲内にあり、また「30質量部以下」である。 先願1発明2の「エポキシ樹脂組成物」において、「式(1)で表される液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂であるEXA4816」が主成分であることは明らかであるといえる。 そうすると、先願1発明2は、条件1の前段を満たすといえる。 (c)条件2の後段について 上記a(d)で述べた理由と同じ理由により、本件発明1は、先願1発明2と同一であるとはいえない。 c 申立人Bの主張 申立人Bは、令和2年1月24日に提出した意見書において、(1-7)により除かれた発明に関して、概略、以下のような主張をする。 先願1には、液状エポキシ樹脂について、エポキシ当量という文言は記載も示唆もされていないから、エポキシ当量という概念を導き出して本件発明1を狭く除いたとしても先願1で認定された発明と実質的に同一である。 仮に両者の間に相違点があるとしても、周知技術、慣用技術の転換であって、新たな効果を奏するものではないから、両者は実質的に同一である。 甲18Bは、DIC(株)千葉工場が発行した試験表であり、甲18には、EPICLON EXA-4816(DIC株式会社)のエポキシ当量の規格値が300-500(g/eq)であること、試験値が411(g/eq)であることが記載されているから、エポキシ当量が403のもののみを除いたとしても、相違することにはならない。 そこで、この点について検討する。 先願1には、実施例で実際に用いられたEXA-4816のエポキシ当量は記載されていない。そこで、このEXA-4816のエポキシ当量について他の文献等をみてみると、参考資料1には、403(g/eq)と記載され、また、甲18には、規格値が300-500(g/eq)であること、試験値が411(g/eq)であることが記載されており、両者の値は一致していない。参考資料1は、EXA-4816を製造する者が公表する値であるのに対し、甲18は、申立人Bが購入したEXA-4816の値であることからすると、先願1の実施例におけるEXA-4816のエポキシ当量は、甲18に記載された値よりも参考資料1に記載された403(g/eq)である蓋然性が高いと解される。 よって、申立人Bの主張は採用できない。 d 小括 よって、本件発明1は、先願1に記載された発明と同一でない。 (イ)本件発明2~4、7について 本件発明2~4、7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記(ア)で述べた理由と同じ理由により、先願1に記載された発明と同一でない。 (ウ)本件発明8について 上記ア(イ)cで述べたとおり、本件発明8は、カチオン重合性組成物が、水分量が5質量%以下であることを特定し、また、「条件2」、「条件4」及び「条件5」を、それぞれ「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」とし、各条件の後段において、「(1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。」を追加し、「(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとも一つを満たす」とする発明である。 上記(ア)で述べたとおり、先願1発明1及び2は、条件1の前段を満たすものであり、条件1は本件発明1と同じであるから、その判断も上記(ア)で述べたとおりである。 よって、本件発明8は、先願1に記載された発明と同一でない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、取消理由2-3によっては、本件発明1~4、7及び8を取り消すことはできない。 (3)取消理由2-4 取消理由2-4は、概略、特許請求の範囲の請求項1及び9には、「高分子量体(1D)」と「高分子体(1D)」という記載が混在しており、両者の意味が不明であるというものであるといえる。 この点については、令和1年11月29日に提出された訂正請求書により「高分子量体(1D)」という記載に統一される訂正が求められ、上記第2で述べたとおり訂正が認められた。 よって、取消理由2-4は解消されたことは明らかである。 2 当審が令和1年5月28日付け取消理由通知で通知した取消理由1-1~1-3について (1)取消理由1-1及び1-2 ア 各甲号証の記載及び各甲号証に記載された発明 (ア)甲1Aには、以下の記載がある。 (ア-1A)「【0058】 (実施例1) カチオン重合性化合物として、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(宇部興産社製、「ETERNACOLL EHO」)35重量部、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製、「jERYL-7410」)30重量部、及び、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「jER4004P」)35重量部と、光カチオン重合開始剤(ローディア社製、「RP2074」)1重量部と、シランカップリング剤としてγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM-403」)1重量部と、増感剤として4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド(日本化薬社製、「KAYACUREBMS」)0.1重量部とを混合し、80℃に加熱した後、ホモディスパー型攪拌混合機(プライミクス社製、「ホモディスパーL型」)を用い、攪拌速度3000rpmで均一に攪拌混合して、光硬化性樹脂組成物を作製した。 ・・・ 【0064】 (比較例3) 3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの配合量を5重量部、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルの配合量を25重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量を50重量部とし、ポリカーボネートジオールとしてT5650J(旭化成ケミカルズ社製、水酸基価130~150mgKOH/g)20重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を作製した。 【0065】 (比較例4) 3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを配合せず、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量を50重量部とし、ポリカーボネートジオールとしてT5650J(旭化成ケミカルズ社製、水酸基価130~150mgKOH/g)20重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を作製した。 ・・・ 【0073】 (7)接着性 (ガラス-ガラス間) スライドガラス(26×76mm、1mm厚)上に、実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物を直径4~5mmになるように調整しながら塗布し、もう1枚のスライドガラスを交差させて張り合わせ、1500mJ/cm2の紫外線を照射した後、80℃にて30分間保持して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、実施例及び比較例に係るサンプルを作製した。得られたサンプルについて、LRX(Ametek Lloyd Instruments社製)を用いて剥離強度を測定し、ガラス-ガラス間の接着性について以下の基準で評価した。 ・・・ 【0074】 (PETフィルム-PETフィルム間) スライドガラス(26×76mm、厚さ1mm)の前面に、厚さ188μmのPETフィルムを貼り合わせたものを2枚用意した。次いで、片方のスライドガラスにおけるPETフィルム上に、実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物を直径4~5mmになるように調整しながら塗布し、もう1枚のスライドガラスをPETフィルム同士が重なるように交差させて張り合わせ、1500mJ/cm2の紫外線を照射した後、80℃にて30分間保持して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、実施例及び比較例に係るサンプルを作製した。得られたサンプルについて、LRX(Ametek Lloyd Instruments社製)を用いて剥離強度を測定し、PETフィルム-PETフィルム間の接着性について以下の基準で評価した。」 (イ-1A)「【0075】 」 記載事項(ア-1A)及び(イ-1A)(特に比較例3及び4)から、甲1Aには、以下の発明が記載されていると認められる。 「カチオン重合性化合物としての、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン「ETERNACOLL EHO」を5重量部と、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」を25重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」を50重量部と、ポリカーボネートジオールとしての「T5650J」を20重量部と、光カチオン重合開始剤としての「RP2074」を1重量部と、シランカップリング剤を1重量部と、増感剤を0.1重量部とを含む、光硬化性樹脂組成物。」(以下、「甲1A発明1」という。) 「カチオン重合性化合物としての、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」を30重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」50重量部と、ポリカーボネートジオールとしての「T5650J」を20重量部と、光カチオン重合開始剤としての「RP2074」を1重量部と、シランカップリング剤を1重量部と、増感剤を0.1重量部とを含む、光硬化性樹脂組成物。」(以下、「甲1A発明2」という。) (イ)甲3Aには、以下の記載がある。 (ア-3A)「比較例2 フエノールノボラツク系エポキシ樹脂(エポキシ当量170~180)50部、ビスフエノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量180~200)15部、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(エポキシ当量180~200)15部、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(エポキシ当量135~165)20部、シリコーン系界面活性剤0.5部及び光重合開始剤FC-508(ミネソタ・マイニング・アンド・マニフアクチユアリング社製)4部からなる本発明以外の比較例組成物を実施例3と同様の方法で紫外線照射を行なつたところ最大線速度は20m/分であり、本発明組成物よりはるかに硬化速度が遅かつた。また、この被覆された光フアイバの最小曲げ径は5mmφであり、本発明の樹脂組成物で被覆された光フアイバよりも曲げ強度が劣つた。」(7頁左下欄19行~右下欄17行) 記載事項(ア-3A)から、甲3Aには以下の発明が記載されていると認められる。 「フェノールノボラック系エポキシ樹脂(エポキシ当量170~180)50部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量180~200)15部、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(エポキシ当量180~200)15部、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(エポキシ当量135~165)20部、シリコーン系界面活性剤0.5部及び光重合開始剤FC-508(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)4部からなる組成物。」(以下、「甲3A発明」という。) (ウ)甲1Bには、以下の記載がある。 (ア-1B)「【0023】 (その他のカチオン重合性化合物) また本発明の効果を損なわない範囲において、前記グリシジル化合物以外の他のカチオン重合性化合物を混合して使用してもよい。 その他のカチオン重合性化合物としては、UV硬化の分野で一般的に使用されるような、オキセタニル基、ビニルエーテル基を有する公知慣用の化合物であれば特に限定はない。 上記1個以上のビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物の市販品としては、例えば4-ビニロキシブタノール(BASF社製の商品名「Vinyl-4-hydroxybutylether」)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(ISP社製の商品名「Rapi-Cure DVE-3」),1,4-シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル(日本カーバイド工業社製の商品名「CHDVE」)等が挙げられる。 【0024】 一分子中に1個以上のオキセタニル基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン(東亜合成社製の商品名「OXT-211」)、3-エチル-3-(シクロヘキシル)メチルオキセタン(東亜合成社製の商品名「CHOX」)等が挙げられる。オキセタン環を2個以上有する化合物としては、1,4-ビス[{(3-エチルオキセタン-1イル)メトキシ}メチル]ベンゼン(東亜合成社製の商品名「OXT-121」)、1,3-ビス[(3-エチルオキセタン-3イル)メトキシ]ベンゼン(東亜合成社製の商品名「OXT-223」)、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル(東亜合成社製の商品名「OXT-221」)、フェノールノボラックオキセタン(東亜合成社製の商品名「PNOX-1009」)、4,4’-ビス[{(3-エチルオキセタン-1イル)メトキシ}メチル]ビフェニル(宇部興産社製の商品名「OXBP」)が挙げられる。」 (イ-1B)「【0035】 以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。実施例、比較例中の「部」は特に断りがない限り、「重量部」を示す。」 (ウ-1B)「【0043】 <電圧保持率試験用の液晶パネルの作成> 1.液晶パネル作製1(遅延硬化) EHC社製のITO付きガラス基板「RZ-B107N1N」1枚に、早川ゴム社製のスペーサ-「LH11S」の5%エタノール分散液を噴霧した。次にもう1枚のITO付きガラス基板に、シール用光硬化性組成物を、それぞれディスペンサーを用いて、基板の外縁部に2箇所の液晶注入口が設けられるように約1mm幅で塗布した後、高圧メタルハライドランプを使用して500W/m2の紫外線を20秒間該シール剤部分に照射し、2枚のガラス基板を対向させて貼り合わせ2穴セルを作製した。2穴セルに真空下で下記に示した組成から成るTFT(薄膜トランジスタ)駆動用液晶組成物を注入し、前記液晶組成物が紫外線に直接さらされない様にマスクした後、シール用光硬化性組成物で2穴を封止し、高圧メタルハライドランプを使用して500W/m2の紫外線を20秒間再照射して、液晶パネルを作製した。」 (エ-1B)「【0048】 [実施例1](グリシジル基に隣接するエーテル基を有する脂肪族グリシジル化合物使用例 シール剤全樹脂固形分100gに対するエーテル基濃度が248[mmol/100g]) DIC化学工業社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EPICLON 850CRP」)を70部、式(1)で表される化合物である1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製の商品名 [デナコールEX-212-L])を30部加え、均一になるまで攪拌した。次に、スルフォニウム塩系光カチオン開始剤(旭電化社製の商品名「SP150」)2.5部、シラン系カップリング剤(信越化学工業株式会社の商品名「KBM403」)5.0部、を加えて攪拌した後、日本アエロジル社製の商品名「RY-200S」を10部添加して、3本ロールにて混練し、シール剤全樹脂固形分100gに対するエーテル基濃度が248[mmol/100g]のカチオン光硬化性液晶パネルシール剤Aを得た。 カチオン光硬化性液晶パネルシール剤Aについて、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。 【0049】 【0050】 [実施例2](グリシジル基に隣接するエーテル基を有する脂肪族グリシジル化合物、グリシジル基に隣接するエーテル基を有する脂環式構造を有するグリシジル化合物使用例シール剤全樹脂固形分100gに対するエーテル基濃度が487[mmol/100g]) DIC化学工業社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EPICLON 1050」)を40部、式(2)で表される化合物であるトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(DIC化学工業社製の商品名「EPICLON725」)を20部、式(3)で表される化合物であるグリシジル基に隣接するエーテル基を有する脂環式構造を有するグリシジル化合物(ナガセケムテックス社製の商品名[デナコールEX216-L]を40部加え、均一になるまで攪拌した。 スルフォニウム塩系光カチオン開始剤(旭電化社製の商品名「SP170」)2.5部、シラン系カップリング剤(信越化学工業株式会社の商品名「KBM403」)5.0部、を加えて攪拌した後、日本アエロジル社製の商品名「RY-200S」を10部添加して、3本ロールにて混練し、シール剤全樹脂固形分100gに対するエーテル基濃度が487[mmol/100g]のカチオン光硬化性液晶パネルシール剤Bを得た。 カチオン光硬化性液晶パネルシール剤Bについて、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。 【0051】 【0052】 」 (オ-1B) 「【0057】 」 記載事項(イ-1B)、(エ-1B)及び(オ-1B)(特に実施例1、実施例2)より、甲1Bには以下の発明が記載されていると認められる。 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」70重量部、式(1)で表される化合物である「デナコールEX-212-L」30重量部、スルフォニウム塩系光カチオン開始剤「SP150」2.5重量部、シラン系カップリング剤「KBM403」5.0重量部、フィラー「RY-200S」10重量部を含む、カチオン光硬化性液晶パネルシール剤。」(式(1)は省略。以下、「甲1B発明1」という。) 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1050」40重量部、式(2)で表される化合物である「EPICLON 725」20重量部、式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」40重量部、スルフォニウム塩系光カチオン開始剤「SP170」2.5重量部、シラン系カップリング剤「KBM403」5.0重量部、フィラー「RY-200S」10重量部を含む、カチオン光硬化性液晶パネルシール剤。」(式(2)及び(3)は省略。以下、「甲1B発明2」という。) (エ)甲3Bには、以下の記載がある。 (ア-3B)「【0104】 [実施例1~13および比較例1~7] 組成物を調製するために下記成分を準備した。 【0105】 (A)成分:エポキシ樹脂 ・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:エピクロンEXA-835LV 大日本インキ化学工業株式会社製 ・フェノールノボラック型エポキシ樹脂:エピクロンN-770 大日本インキ化学工業株式会社製 ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エピクロン2050 大日本インキ化学工業株式会社製 (B)成分:1分子内にエポキシ基と脂肪族アルコール基(水酸基)を有する脂肪族化合物 ・ポリグリセロールポリグリシジルエーテル:SR-4GL 阪本薬品工業株式会社製 ・ポリグリセロールポリグリシジルエーテル:デナコールEX-512 ナガセケムテックス株式会社製 ・ポリグリセロールポリグリシジルエーテル:デナコールEX-521 ナガセケムテックス株式会社製 ・・・ (C)成分:エネルギー線によりカチオン種を発生する開始剤 ・・・ ・トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(プロピレンカーボネート希釈):CPI-100P サンアプロ株式会社製 ・・・ (A)成分と(B)成分または(B’)成分を30分間撹拌した。その後、(C)成分を添加して追加で30分間撹拌した。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。 【0106】 ・・・ 【0110】 ・・・ [硬化性確認] 25mm×50mm×0.7mmの無アルカリガラスのテストピースを用いる。一方のテストピースに3mgを塗布してから、コンベアー式紫外線照射装置により500mJ/cm2を照射して、1分以内にもう一方のテストピースを貼り合わせて固定する。その後、30分放置した時に強度が発現していない場合は、60℃で20分加熱する。それでも、強度が発現していない場合は、さらに40分加熱する。硬化性と評価目安を以下に示す。括弧内の数値は総合評価する際の点数である。 ・・・ [十字はく離強度測定] 25mm×50mm×0.7mmの無アルカリガラスのテストピースを用いて十字はく離試験を行う。一方のテストピースに約3mgを塗布してから、コンベアー式紫外線照射装置により500mJ/cm2を照射して、1分以内にもう一方のテストピースを十字状に貼り合わせて固定する。接着面積は25mm×25mmとする。その後、60℃で60分間加熱した後、テストピースを24時間放置した後、はく離方向の強度を測定する。はく離強度と評価目安を以下に示す。括弧内の数値は総合評価する際の点数である。」 甲3Bには、記載事項(ア-3B)(特に比較例7)から、以下の発明が記載されていると認められる。 「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」を80質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」を20質量部、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-512」を50質量部、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩「CPI-100P」を1.5質量部含む組成物。」 (以下、「甲3B発明」という。) (オ)甲4Bには、以下の記載がある。 (ア-4B)「【0013】(6)熱・光分解型硬化促進剤が下記一般式III又はIVで示されるオニウム塩の少なくとも1種を含む化合物である上記(4)又は(5)に記載された感光性樹脂組成物。 【0014】 」 (イ-4B)「【0046】(実施例12)表3に示されるように、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂〔旭チバ(株)社製:商品名アラルダイトAER-260〕74.8重量部、グリセロールポリグリシジルエーテル〔ナガセ化成工業(株)社製:商品名デナコールEX-314〕12.9重量部、およびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル〔ナガセ化成工業(株)社製:商品名デナコールEX-211〕9.6重量部に対し、サンエイドSI-80L〔三新化学(株)製商品名:カチオン系熱・光重合開始剤;一般式III〕1.70重量部、DAICAT-11〔ダイセル化学工業(株)製商品名:光カチオン重合開始剤;カチオン系光重合開始剤〕1.0重量部を配合し感光液とした。 ・・・ 【0048】(実施例13~16)表3に示す樹脂組成で試験を行う以外は、実施例12と同様の条件にて試験を行った。結果は表2にまとめた。 ・・・ 【0050】 」 記載事項(ア-4B)及び(イ-4B)(特に実施例13)から、甲4Bには以下の発明が記載されていると認められる。 「ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」58.4重量部、グリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-314」39.0重量部、カチオン系熱・光重合開始剤「サンエイドSI-80L](一般式III)2.1重量部、カチオン系光重合開始剤「DAICAT-11」0.5重量部を配合した樹脂組成物。」(一般式IIIは省略。以下、「甲4B発明」という。) イ 対比・判断 (ア)甲1Aを主引用例とした場合 a 本件発明1 (a)甲1A発明1との対比、判断 i 甲1A発明1の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」及び「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」は、それぞれ、本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」及び「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 ii 甲1A発明1の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」及び「3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン「ETERNACOLL EHO」」はいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100重量部に対する「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」及び「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」の配合量は以下のとおり計算され、 <ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」> 63(重量部)=[50÷(5+25+50)]×100 <1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」> 31(重量部)=[25÷(5+25+50)]×100 いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」及び「10~45質量部」の範囲に包含される。また、 甲1A発明1の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」が主成分であることは明らかである。 iii 甲1A発明1の「光カチオン重合開始剤としての「RP2074」」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、甲1A発明1の「光硬化性樹脂組成物」は、カチオン重合性有機物質を含むから、本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 iv 条件1~条件5の前段について 甲1A発明1は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件1、2及び5を満たさない。 また、甲1A発明1は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まないから、条件3を満たさない。 さらに、甲1A発明1は、上記iiで述べたとおり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量が63重量部であるから、条件4を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲1A発明1は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 v 小括 よって、本件発明1は、甲1A発明1と同一ではない。 (b)甲1A発明2との対比、判断 i 甲1A発明2は、「3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン「ETERNACOLL EHO」」を配合しない点、及び、「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」の配合量を30重量部とする点で、甲1A発明1と相違する。 これらを踏まえて甲1A発明2と本件発明1とを対比する。 ii 甲1A発明2では「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」の50重量部と、「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」の30重量部とが「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100重量部に対する「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」及び「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」の配合量は以下のとおり計算され、 <ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」> 63(重量部)=[50÷(30+50)]×100 <1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」> 38(重量部)=[30÷(30+50)]×100 いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」及び「10~45質量部」の範囲に包含される。また、 甲1A発明1の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」が主成分であることは明らかである。 iii 条件1~条件5の前段について 甲1A発明2は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件1、2及び5を満たさない。 また、甲1A発明2は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まないから、条件3を満たさない。 さらに、甲1A発明2は、上記iiで述べたとおり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量が63重量部であるから、条件4を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲1A発明2は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 iv 小括 よって、本件発明1は、甲1A発明2と同一ではない。 (c)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1Aに記載された発明ではない。 b 本件発明2~4、6及び7 本件発明2~4、6及び7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、甲1Aに記載された発明ではない。 c 本件発明8 (a)上記1(1)ア(イ)cで述べたように、本件発明8は、カチオン重合性組成物が、水分量が5質量%以下であることを特定し、また、「条件2」、「条件4」及び「条件5」を、それぞれ「条件2CL8」、「条件4CL8」及び「条件5CL8」とし、各条件の後段において、「(1-6)上記カチオン重合性組成物が電子部品を基板に固着する表面実装用接着剤組成物であるものを除く。」を追加し、「(1-4)、(1-5)及び(1-6)から選ばれる少なくとも一つを満たす」とする発明である。しかしながら、条件1~条件5CL8における前段は、本件発明1と同じである。 (b)このように、本件発明8は、条件1~条件5CL8における前段が本件発明1と同じであるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、本件発明8は、甲1Aに記載された発明ではない。 d 本件発明9 (a)本件発明9が、本件発明1~7のいずれか一に記載のカチオン重合性組成物を引用する場合 甲1Aに記載された発明は、上記a及びbで述べたとおり、本件発明1~4、6及び7のカチオン重合性組成物と同一ではない。 したがって、本件発明9は、甲1Aに記載された発明ではない。 (b)本件発明9が、「カチオン重合性組成物A」からなる接着剤である場合 まず、甲1Aに記載された発明が、カチオン重合性組成物Aと同一か否かを検討する。 i 上記a(a)i~iii並びに(b)i及びiiで述べたように、甲1A発明1及び2は、本件発明9の「カチオン重合性組成物A」のうち、「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であ」るという特定を満たす。 ii 条件A1~A6の前段について 甲1A発明1又は甲1A発明2のビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量は、上記a(a)ii又は(b)iiで述べたように、両者とも63重量部であるから、条件A1及び条件A5を満たさない。 また、甲1A発明1及び甲1A発明2は、両者とも脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件A2~条件A4及び条件A6を満たさない。 したがって、条件A1~条件A6の後段について検討するまでもなく、本件発明9は、甲1Aに記載された発明ではない。 e 本件発明10 本件発明10は、本件発明8を引用する発明であり、本件発明8が甲1Aに記載された発明でないことは、上記cで述べたとおりであるから、本件発明10は、甲1Aに記載された発明ではない。 f まとめ 本件発明1~4、6~10は、甲1Aに記載された発明ではない。 (イ)甲3Aを主引用例とした場合 a 本件発明1 (a)甲3A発明の「フェノールノボラック系エポキシ樹脂」及び「ビスフェノールAジグリシジルエーテル」はいずれも本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」に相当し、「ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート」は本件発明1の「脂環式エポキシ化合物(1C)」に相当し、「トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル」は本件発明1の「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 (b)甲3A発明の「フェノールノボラック系エポキシ樹脂」、「ビスフェノールAジグリシジルエーテル」、「ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート」及び「トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル」はいずれも本件発明1の「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100質量部に対する各エポキシ成分の配合量は以下のとおり計算され、 <フェノールノボラック系エポキシ樹脂及びビスフェエノールAジグリシジルエーテル> 65質量部=[(50+15)÷(50+15+15+20)]×100 <ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート> 15質量部=[15÷(50+15+15+20)]×100 <トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル> 20質量部=[20÷(50+15+15+20)]×100 いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」、「0~45質量部」及び「10~45質量部」の範囲に包含される。また、甲3A発明の「フェノールノボラック系エポキシ樹脂」及び「ビスフェノールAジグリシジルエーテル」が主成分であることは明らかである。 (c)条件1~条件5の前段について 甲3A発明は、上記(b)で述べたとおり、フェノールノボラック系エポキシ樹脂及びビスフェエノールAジグリシジルエーテルの配合量が65質量部であるから、条件1、条件2及び条件4を満たさない。 また、甲3A発明は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まないから、条件3を満たさない。 さらに、甲3A発明は、脂肪族エポキシ化合物としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが配合され、これは、3官能の脂肪族エポキシ化合物であるから、条件5を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲3A発明は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 (d)小括 よって、本件発明1は、甲3A発明と同一ではない。 b 本件発明2~5及び7 本件発明2~5及び7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、甲3Aに記載された発明ではない。 c 本件発明8 (a)上記1(1)ア(イ)cで述べたとおり、本件発明8と本件発明1とを対比すると、本件発明8の条件1~条件5CL8における前段は、本件発明1と同じである。 (b)そうすると、本件発明8は、上記a(c)で述べた理由と同じ理由により、甲3Aに記載された発明ではない。 d まとめ 本件発明1~5、7及び8は、甲3Aに記載された発明ではない。 (ウ)甲1Bを主引用例とした場合 a 本件発明1 (a)甲1B発明1との対比、判断 i 甲1B発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」」及び「式(1)で表される化合物である「デナコールEX-212-L」」は、それぞれ、本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」及び「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 ii 甲1B発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」」及び「式(1)で表される化合物である「デナコールEX-212-L」」はいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100重量部に対する「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」」及び「式(1)で表される化合物である「デナコールEX-212-L」」の含有量はそれぞれ、70重量部、30重量部で、いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」、「10~45質量部」の範囲に包含される。また、甲1B発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」」が主成分であることは明らかである。 iii 甲1B発明1の「スルフォニウム塩系光カチオン開始剤「SP150」」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、甲1B発明1の「カチオン光硬化性液晶パネルシール剤」は、本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 iv 条件1~条件5の前段について 甲1B発明1は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件1、2及び5を満たさない。 また、甲1B発明1は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まないから、条件3を満たさない。 さらに、甲1B発明1は、上記iiで述べたとおり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」の配合量が70重量部であるから、条件4を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲1B発明1は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 v 小括 よって、本件発明1は、甲1B発明1と同一ではない。 (b)甲1B発明2との対比、判断 i 甲1B発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1050」」、「式(2)で表される化合物である「EPICLON 725」」及び「式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」」は、それぞれ、本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」、「脂肪族エポキシ化合物(1B)」及び「脂環式エポキシ化合物(1C)」に相当する。 ii 甲1B発明2の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1050」」、「式(2)で表される化合物である「EPICLON 725」」及び「式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」」はいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100重量部に対する「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1050」」、「式(2)で表される化合物である「EPICLON 725」」及び「式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」」の配合量は、それぞれ、40重量部、20重量部及び40重量部で、いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」、「10~45質量部」及び「0~45質量部」の範囲に包含される。また、甲1B発明1の「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」」が一番多い成分であるから主成分である。 iii  甲1B発明2の「スルフォニウム塩系光カチオン開始剤「SP150」」は、本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、甲1B発明2の「カチオン光硬化性液晶パネルシール剤」は、本件発明1の「カチオン重合性組成物」に相当する。 iv 条件1~条件5の前段について 甲1B発明2は、上記iiで述べたとおり、脂環式エポキシ化合物を40重量%含むから、条件1を満たさない。 また、甲1B発明2は、「脂環式エポキシ化合物(1C)」に対応する化合物が「式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」」であり、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物ではないから、条件2及び5を満たさない。 さらに、甲1B発明2は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まず、及びビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方も含まないから、条件3及び4を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲1B発明2は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 v 小括 よって、本件発明1は、甲1B発明2と同一ではない。 (c)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1Bに記載された発明ではない。 b 本件発明2、4及び5 本件発明2、4及び5は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、甲1Bに記載された発明ではない。 c 本件発明6及び7 (a)本件発明6は、本件発明1、2、4及び5を引用する発明であるから、甲1Bに記載された発明と対比すると、上記a(a)iv及び(b)ivで述べた相違点があるが、甲1Bには、上記相違点を動機付ける記載はない。 そうすると、本件発明6は、当業者が容易に想到できたものということはできない。 (b)本件発明7は、本件発明1、2、4~6を引用する発明であるから、甲1Bに記載された発明と対比すると、上記a(a)iv及び(b)ivで述べた相違点がある。そして、上記(a)で述べたとおり、これらの相違点を動機付ける記載はない。 そうすると、本件発明7は、甲1Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到できたものということはできない。 d 本件発明8 (a)上記1(1)ア(イ)cで述べたとおり、本件発明8と本件発明1とを対比すると、本件発明8の条件1~条件5CL8における前段は、本件発明1と同じである。 (b)そうすると、本件発明8は、条件1~条件5CL8における前段が本件発明1と同じであるから、上記a(c)で述べた理由と同じ理由により、本件発明8は、甲1Bに記載された発明ではない。 (c)また、上記cで述べたとおり、当業者が容易に想到できたものということはできない。 e 本件発明9 (a)本件発明9が、本件発明1、2、4~7のいずれか一に記載のカチオン重合性組成物を引用する場合 甲1Bに記載された発明は、上記a及びbで述べたとおり、本件発明1~5及び7のカチオン重合性組成物と同一ではない。 したがって、本件発明9は、甲1Bに記載された発明ではない。また、上記cで述べたとおり、当業者が容易に想到できたものということはできない。 (b)本件発明9が、「カチオン重合性組成物A」からなる接着剤である場合 まず、甲1Bに記載された発明が、カチオン重合性組成物Aと同一か否かを検討する。 i 上記a(a)i~iii並びに(b)i~iiiで述べたように、甲1B発明1及び2は、本件発明9の「カチオン重合性組成物A」のうち、「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であ」るという特定を満たす。 ii 条件A1~A6の前段について (i)甲1B発明1との対比 甲1B発明1は、上記a(a)iiで述べたとおり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」の配合量が70重量部であるから、条件A1及びA5を満たさない。 また、甲1B発明1は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件A2~A4及びA6を満たさない。 (ii)甲1B発明2との対比 甲1B発明2は、芳香族エポキシ化合物として「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1050」」が配合されているところ、甲8Bの段落【0095】には、このエポキシ樹脂のエポキシ当量は475g/当量と記載されているから、条件A1を満たさない。 また、甲1B発明2は、上記a(b)iiで述べたように、脂環式エポキシ化合物を40重量%含むから、条件A2を満たさない。 さらに、甲1B発明2は、「脂環式エポキシ化合物(1C)」に対応する化合物が「式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」」であり、シクロヘキセンオキサイド含有化合物又はシクロペンテンオキサイド含有化合物ではないから、条件A3を満たさない。 加えて、甲1B発明2は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まず、及びビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方も含まないから、条件A4を満たさない。 そして、甲1B発明2は、液晶パネルシール剤であり、互いに対向する基板の何れか一方に枠状のシールを形成するために用いられているから、条件A5及びA6を満たさない。 (iii)小括 以上のとおりであるので、条件A1~条件A6の後段について検討するまでもなく、甲1B発明1及び2は、条件A1~条件A6の前段において本件発明9と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 (iv)容易性について そして、甲1Bには、上記相違点を動機付ける記載はない。 そうすると、本件発明9は、当業者が容易に想到できたものということはできない。 f 本件発明10 本件発明10は、本件発明8を引用する発明であり、本件発明8が甲1Bに記載された発明でないこと及び甲1Bに記載された発明から当業者が容易に想到できたものではないことは、上記dで述べたとおりであるから、本件発明10は、甲1Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到できたものということはできない。 g まとめ 本件発明1、2、4~10は、甲1Bに記載された発明ではない。 (エ)甲3Bを主引用例とした場合 a 本件発明1 (a)甲3B発明の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」」及び「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」」はいずれも本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」に相当し、甲3B発明の「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-512」」は本件発明1の「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 (b)甲3B発明の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」」、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」」及び「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-512」」はいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100質量部に対する、「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」」及び「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」」の含有量、並びに「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-512」」の含有量は、以下のとおり計算され、 <ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」及びビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」> 67質量部=[(80+20)÷(80+20+50)]×100 <ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-512」> 33質量部=[50÷(80+20+50)]×100 いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」「10~45質量部」の範囲に包含される。また、甲3B発明のビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」及びビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」が主成分であることは明らかである。 (c)条件1~条件5の前段について 甲3B発明は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件1、2及び5を満たさない。 また、甲3B発明は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まないから、条件3を満たさない。 さらに、甲3B発明は、上記(b)で述べたとおり、芳香族エポキシ化合物に相当する樹脂の含有量が67重量部であるから、条件4を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲3B発明は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 (d)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3Bに記載された発明ではない。 b 本件発明2~7 本件発明2~7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、甲3Bに記載された発明ではない。 c 本件発明8 (a)上記1(1)ア(イ)cで述べたとおり、本件発明8と本件発明1とを対比すると、本件発明8の条件1~条件5CL8における前段は、本件発明1と同じである。 (b)そうすると、本件発明8は、上記a(c)で述べた理由と同じ理由により、甲3Bに記載された発明ではない。 d 本件発明9 (a)本件発明9が、本件発明1~7のいずれか一に記載のカチオン重合性組成物を引用する場合 甲3Bに記載された発明は、上記a及びbで述べたとおり、本件発明1~7のカチオン重合性組成物と同一ではない。 したがって、本件発明9は、甲3Bに記載された発明ではない。 (b)本件発明9が、「カチオン重合性組成物A」からなる接着剤である場合 まず、甲3Bに記載された発明が、カチオン重合性組成物Aと同一か否かを検討する。 i 上記a(a)及び(b)で述べたように、甲3B発明は、本件発明9の「カチオン重合性組成物A」のうち、「(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有し、(1)カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であり、脂環式エポキシ化合物(1C)の量が0~45質量部であり、脂肪族エポキシ化合物(1B)の量が10~45質量部であ」るという特定を満たす。 ii 条件A1~A6の前段について 甲3B発明は、上記a(b)で述べたとおり、芳香族エポキシ化合物に相当する樹脂の含有量が67重量部であるから、条件A1及びA5を満たさない。 また、甲3B発明は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件A1~A4及びA6を満たさない。 以上のとおりであるので、条件A1~条件A6の後段について検討するまでもなく、甲3B発明は、条件A1~条件A6の前段において本件発明9と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 e 本件発明10 本件発明10は、本件発明8を引用する発明であり、本件発明8が甲3Bに記載された発明でないことは、上記cで述べたとおりであるから、本件発明10は、甲3Bに記載された発明ではない。 f まとめ 本件発明1~10は、甲3Bに記載された発明ではない。 (オ)甲4Bを主引用例とした場合 a 本件発明1 (a)甲4B発明の「ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」」は本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」に相当し、甲4B発明の「グリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-314」」は本件発明1の「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 (b)甲4B発明の「ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」」及び「グリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-314」」はいずれも「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100重量部に対する、「ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」」及び「グリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-314」」の配合量は、以下のとおり計算され、 <ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」> 60重量部=[58.4÷(58.4+39.0)]×100 <グリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-314」> 40重量部=[39.0÷(58.4+39.0)]×100 いずれもそれぞれ、本件発明1の「30~70質量部」及び「10~45質量部」の範囲に包含される。また、甲4B発明のビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」が主成分であることは明らかである。 (c)甲4B発明の「カチオン系熱・光重合開始剤「サンエイドSI-80L」(一般式III)」及び「カチオン系光重合開始剤[DAICAT-11]」は、いずれも本件発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」に相当し、甲4B発明の組成物は、カチオン重合性有機物質を含むから、カチオン重合性組成物であるといえる。 (d)条件1~条件5の前段について 甲4B発明は、脂環式エポキシ化合物を含まないから、条件1、2及び5を満たさない。 また、甲4B発明は、エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)であって、ラジカル重合により得られるカチオン重合性置換基を有するエチレン性不飽和単量体を単独重合した重合体或いはカチオン重合性置換基を有さないエチレン性不飽和単量体と共重合した重合体を含まず、及びビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方も含まないから、条件3及び4を満たさない。 以上のとおりであるので、条件1~条件5の後段について検討するまでもなく、甲4B発明は、条件1~条件5の前段において本件発明1と相違し、そして、これらの相違点は実質的な相違点である。 (e)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3Bに記載された発明ではない。 b 本件発明2~5及び7 本件発明2~5及び7は、本件発明1を引用する発明であるから、上記aで述べた理由と同じ理由により、甲4Bに記載された発明ではない。 c 本件発明8 (a)上記1(1)ア(イ)cで述べたとおり、本件発明8と本件発明1とを対比すると、本件発明8の条件1~条件5CL8における前段は、本件発明1と同じである。 (b)そうすると、本件発明8は、条件1~条件5CL8における前段が本件発明1と同じであるから、上記a(c)で述べた理由と同じ理由により、本件発明8は、甲4Bに記載された発明ではない。 d まとめ 本件発明1~5、7及び8は、甲4Bに記載された発明ではない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1-1及び1-2によっては、本件発明1~10を取り消すことはできない。 (2)取消理由1-3 取消理由1-3は、概略、特許請求の範囲の請求項6及びそれに関係する発明の詳細な説明の記載をみる限り、「(1D)」が「(1A)」にも該当するものであるときには、当該「(1D)」の配合量を「(1A)」の配合量に含めるものと認められるが、「(1D)」が、「(1B)」又は「(1C)」にも該当するものであるときには、「(1D)」の配合量を、「(1B)」又は「(1C)」の配合量に含めるのか否か、判然としないから、請求項6の記載では、同項に係る発明は明確でない、というものである。 この点については、令和1年11月29日に提出された訂正請求書により、請求項1に、上記不明確とした点を明確にする「但し」以降の記載(詳細は省略する。)がなされる訂正が求められ、上記第2で述べたとおり訂正が認められた。 よって、取消理由1-3は解消されたことは明らかである。 (3)申立人Bの主張 申立人Bは、令和2年1月24日に提出した意見書において、本件発明1と甲3A発明、甲1B発明2又は甲4B発明2との対比における相違点、並びに、本件発明9と甲3A発明、甲1B発明2、甲4B発明2、甲1B発明2又は甲4B発明との対比における相違点を、それぞれ、本件発明1で特定する事項とすることについて、概略、阻害事由が存在しないから、当業者が容易に想到でき、また、顕著な効果もない旨の主張をする。 しかしながら、阻害事由が存在しなければ、必ず動機付けられるとは直ちにはいえず、上記(1)で述べたように、本件発明1又は9と、各引用発明との相違点を本件発明で特定される事項とすることが動機付けられる記載や技術常識があるとはいえないから、効果について検討するまでもなく、いずれにしても申立人Bの主張は採用できない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立人がした申立理由について (1)申立人A ア 申立理由1Aのうち同一性について (ア)甲1Aに記載された実施例3を引用発明とする主張 a 甲1Aの実施例3に記載された発明 甲1Aの実施例3から、甲1Aには、以下の発明が記載されていると認められる。 「カチオン重合性化合物としての、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン「ETERNACOLL EHO」を35重量部と、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」を15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」を35重量部と、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「jER YX-8040」)15重量部と、光カチオン重合開始剤としての「RP2074」を1重量部と、シランカップリング剤を1重量部と、増感剤を0.1重量部とを含む、光硬化性樹脂組成物。」(以下、「甲1A発明3」という。) b 対比、判断 (a)本件発明1 i 甲1A発明3の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」及び「1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル「jER YL-7410」」は、それぞれ、本件発明1のカチオン重合性有機物質のうちの「芳香族エポキシ化合物(1A)」及び「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 ii 芳香族エポキシ化合物(1A)である「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」の配合量は35重量部であるところ、エポキシ以外のカチオン重合性有機物質であるといえる3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン「ETERNACOLL EHO」の配合割量も35重量部であり、そうすると、芳香族エポキシ化合物(1A)である「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER 4004P」」がエポキシ化合物以外のカチオン重合性有機物質の合計量より多いものではない。 そうすると、甲1A発明3は、本件発明1の「但し」の1段落目で特定される主成分には相当しない。 したがって、甲1A発明3は、本件発明1と同じではない。 (b)本件発明2~4、6、7及び9 本件発明2~4、6及び7は、本件発明1を引用する発明であり、上記で述べた理由と同じ理由により甲1A発明3と同一ではない。 また、本件発明9は、本件発明1と同じ「但し」以下の特定がされているから、上記で述べた理由と同じ理由により甲1A発明3と同一ではない。 イ 申立理由1Aのうち容易性について 申立人Aは、甲1に記載を参酌すれば、甲1A発明1~3において、各成分の種類や配合量を、適宜、変更して選択することは当業者が容易に相当することができるものであると主張する。 そこで、この点について検討する。 (ア)本件発明1~4、6、7及び9 a 甲1A発明1及び2との相違点における判断 上記2(1)ア(ア)で示したように、甲1A発明1及び2は、それぞれ比較例3及び4であり、比較例は実施例等で具体化される発明の効果等を説明するための具体例であることからすると、特段の事情がない限り、その相違点を本件発明1で特定した事項とする動機付けがあるとはいえない。 b 甲1A発明3との相違点における判断 甲1Aの特許請求の範囲の請求項1には、「カチオン重合性化合物と光カチオン重合開始剤とを含有するタッチパネル用光硬化性樹脂組成物であって、前記カチオン重合性化合物は、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、及び、炭素数が4~6のアルキル鎖を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含有し、前記カチオン重合性化合物全体における前記3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの含有量が30重量%以上であることを特徴とするタッチパネル用光硬化性樹脂組成物。」が記載され、発明の詳細な説明の段落【0006】をみると、高い誘電率を有し、基材との接着性及び硬化物の透明性に優れる光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものといえる。 また、同【0017】には、芳香族環を有するエポキシ樹脂をその他のカチオン重合性化合物として含有してもよいことは記載されているが、その配合割合については明示されていない。 そうすると、いくら当業者であっても、甲1A発明3において、上記ア(ア)b(a)iiで示した相違点を本件発明1で特定した事項とする動機付けはあるとはいえない。 c 小括 したがって、本件発明1~4、6、7及び9は、甲1Aに記載された発明に基いて当業者が容易に相当することができたということはできない。 (イ)本件発明8 a 上記2(1)イ(ア)c(a)で述べたとおり、本件発明8と本件発明1とを対比すると、本件発明8の条件1~条件5CL8における前段までは、本件発明1と同じである。 b 甲1A発明1及び2との相違点における判断 本件発明8は、条件1~条件5CL8における前段までが本件発明1と同じであるから、本件発明8と甲1A発明1及び2に記載された発明と対比すると、上記2(1)イ(ア)a(a)iv及び(b)iiiで示した点で相違する。 この相違点については、甲6A及び甲7Aの記載によらず、上記(ア)aで述べた理由により、その相違点を本件発明1で特定した事項とする動機付けがあるとはいえない。 c 甲1A発明3との相違点における判断 この相違点については、甲6A及び甲7Aの記載によらず、上記(ア)bで述べた理由により、その相違点を本件発明1で特定した事項とする動機付けがあるとはいえない。 d 小括 したがって、本件発明8は、甲1Aに記載された発明に基いて当業者が容易に相当することができたということはできない。 ウ 申立理由2Aのうち容易性について (ア)本件発明1 本件発明1と甲3A発明とを対比すると、上記2(1)イ(イ)a(c)で示した点で相違する。 この相違点について検討すると、上記2(1)ア(イ)で示したように、甲3A発明は、比較例2であり、比較例は実施例等で具体化される発明の効果等を説明するための具体例であることからすると、特段の事情がない限り、その相違点を本件発明1で特定した事項とする動機付けがあるとはいえない。 (イ)本件発明2~5、7~9 これらの相違点については、甲6A及び甲7Aの記載によらず、上記(ア)で述べた理由と同じ理由により、容易ではない。 エ 申立理由3A (ア)甲5Aの記載及び甲5Aに記載された発明 甲5Aには、以下の記載がある。 (ア-5A)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 エポキシ当量が少なくとも200である脂肪族エポキシ化合物(A)、エポキシ当量が200未満である脂肪族エポキシ化合物(B)、芳香族または脂肪族の環状エポキシ化合物(C)および光カチオン重合開始剤(D)とを含有する紫外線硬化型組成物。 【請求項2】 前記エポキシ化合物(A)が、紫外線硬化型組成物に対して、5~50質量%である請求項1記載の紫外線硬化型組成物。 【請求項3】 2枚の光ディスク基板を接着剤を用いて貼り合わせた貼り合わせ型光ディスクにおいて、前記接着剤が、前記請求項1または請求項2に記載の紫外線硬化型組成物からなることを特徴とする貼り合わせ型光ディスク。」 (イ-5A)「【0020】 【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 <実施例1、2および比較例1~4> (1)紫外線硬化型組成物の調製 表1に示した組成により、実施例および比較例の各紫外線硬化型組成物を調製した。 ・・・ 【0023】 【表1】表1.実施例と比較例の組成および評価結果 【0024】表1中の略号は、以下の化合物を示す。 A1:ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル SR-4PG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量308 A2:トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル SR-TPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量206 B1:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル SR-NPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量145 B2:1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル SR-16HL(阪本薬品工業社製)エポキシ当量124 C1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エピクロン1050(大日本インキ化学工業社製)エポキシ当量477 C2:プロピレンオキサイド変性のビスフェノールA型エポキシ樹脂 EX-250(ナガセケムテックス社製)エポキシ当量311 C3:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂 EXA-7015(大日本インキ化学工業社製)エポキシ当量212 D1:フォトイニシエイター2074(ローディア社製) E1:イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ社製) E2:アエロジルR972(日本アエロジル社製) E3:アデカスタブAO-80(旭電化社製) E4:IXE600(東亜合成社製)」 記載事項(イ-5A)(特に実施例1及び2)から、甲5Aには、以下の発明が記載されていると認められる。 「脂肪族エポキシ化合物(A)として、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル SR-4PG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量308を20重量部、脂肪族エポキシ化合物(B)として、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル SR-NPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量145を30重量部、環状エポキシ化合物(C)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エピクロン1050(大日本インキ化学工業社製)エポキシ当量477を50重量部、光カチオン重合開始剤(D)として、フォトイニシエイター2074(ローディア社製)を1重量部、光ラジカル発生剤として、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ社製)を0.5重量部、シリカ微粉として、アエロジルR972(日本アエロジル社製)を3重量部、及び、安定剤として、アデカスタブAO-80(旭電化社製)を0.5重量部からなる紫外線硬化型組成物」(以下「甲5A発明1」という。) 「脂肪族エポキシ化合物(A)として、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル SR-TPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量206を20重量部、脂肪族エポキシ化合物(B)として、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル SR-NPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量145を30重量部、環状エポキシ化合物(C)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エピクロン1050(大日本インキ化学工業社製)エポキシ当量477を50重量部、光カチオン重合開始剤(D)として、フォトイニシエイター2074(ローディア社製)を1重量部、シリカ微粉として、アエロジルR972(日本アエロジル社製)を3重量部、及び、安定剤として、アデカスタブAO-80(旭電化社製)を0.5重量部からなる紫外線硬化型組成物」(以下「甲5A発明2」という。) (イ)対比、判断 a 本件発明1 (a)甲5A発明1との対比 i 甲5A発明1のビスフェノールA型エポキシ樹脂 エピクロン1050(大日本インキ化学工業社製)エポキシ当量477は、本件発明1の芳香族エポキシ化合物(1A)に相当し、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル SR-4PG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量308、及び、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル SR-NPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量145は、脂肪族エポキシ化合物(1B)に相当する。 ii 甲5A発明1における脂肪族エポキシ化合物の配合量は、以下のとおり計算され 50(重量部)=[50÷(20+30+50)]×100 これは、本件発明1の「10~45重量部」と相違する。 (b)甲5A発明2との対比 i 甲5A発明2のビスフェノールA型エポキシ樹脂 エピクロン1050(大日本インキ化学工業社製)エポキシ当量477は、本件発明1の芳香族エポキシ化合物(1A)に相当し、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル SR-TPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量206、及び、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル SR-NPG(阪本薬品工業社製)エポキシ当量145は、脂肪族エポキシ化合物(1B)に相当する。 ii 甲5A発明1における脂肪族エポキシ化合物の配合量は、以下のとおり計算され 50(重量部)=[50÷(20+30+50)]×100 これは、本件発明1の「10~45重量部」と相違する。 (c)相違点の判断 上記で示した二つの相違点は同じであるから併せて検討する。 甲5Aの特許請求の範囲の請求項1には、「エポキシ当量が少なくとも200である脂肪族エポキシ化合物(A)、エポキシ当量が200未満である脂肪族エポキシ化合物(B)、芳香族または脂肪族の環状エポキシ化合物(C)および光カチオン重合開始剤(D)とを含有する紫外線硬化型組成物。」が記載され、発明の詳細な説明の段落【0006】をみると、光ディスク基板に対する接着性に優れた貼り合わせ用紫外線硬化型接着剤組成物の提供が発明の目的であるといえる。 また、同【0011】には、エポキシ化合物(A)は、紫外線硬化型組成物100重量部あたり、5~50重量部であることが好ましいこと、5重量部より少ないと、接着性および可撓性が不十分になり、50重量部より多いと、硬化が非常に遅くなることが記載されているが、エポキシ化合物(B)及び芳香族または脂肪族の環状エポキシ化合物(C)については、その配合割合については記載がない。 そうすると、いくら当業者であっても、甲5A発明1又は2において、上記iで示したエポキシ化合物A及びBの合計量を10~45重量部とする動機付けはあるとはいえない。 (d)効果について そして、本件発明1は、硬化性、接着性及び耐水性に優れることが、実施例において、具体的なデータと共に記載されており(同【0058】以降を参照。)、この効果は当業者の予測を超えるものであるといえる。 (e)小括 したがって、甲6A及び甲7Aの記載によらず、本件発明1は、甲5Aに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたということはできない。 b 本件発明2~9 本件発明2~9も、上記a(a)iiで示した相違点を有するのであるから、甲6A及び甲7Aの記載によらず、同じ理由により当業者が容易に想到することができたということはできない。 オ まとめ 以上のとおりであるから、取消理由通知において採用しなかった申立人Aがした申立理由は理由がない。 (2)申立人B ア 申立理由1Bのうち甲1Bに記載された発明との対比、判断について 令和1年5月28日付け取消理由通知では、請求項6に係る発明については取消理由を通知していなかったので、以下では、請求項6に係る発明についてのみ検討する。 (ア)本件発明6について a 甲1B発明1及び2は、上記2(1)ア(ウ)で示したとおりの発明であり、以下に再掲する。 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 850CRP」70重量部、式(1)で表される化合物である「デナコールEX-212-L」30重量部、スルフォニウム塩系光カチオン開始剤「SP150」2.5重量部、シラン系カップリング剤「KBM403」5.0重量部、フィラー「RY-200S」10重量部を含む、カチオン光硬化性液晶パネルシール剤。」(式(1)は省略。以下、「甲1B発明1」という。) 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1050」40重量部、式(2)で表される化合物である「EPICLON 725」20重量部、式(3)で表される化合物である「デナコールEX216-L」40重量部、スルフォニウム塩系光カチオン開始剤「SP170」2.5重量部、シラン系カップリング剤「KBM403」5.0重量部、フィラー「RY-200S」10重量部を含む、カチオン光硬化性液晶パネルシール剤。」(式(2)及び(3)は省略。以下、「甲1B発明2」という。) b 対比、判断 甲1B発明1及び2には、本件発明6で特定される「エポキシ基を有する重量平均分子量1000~1000000の高分子量体(1D)、ビニルエーテル化合物又はオキセタン化合物(1E)の少なくとも一方」は配合されておらず、これは、実質的な相違点である。 そうすると、本件発明6は、甲1B発明1又は2と同一ではない。 よって、本件発明6は、甲1Bに記載された発明ではない。 また、この相違点を本件発明6で特定される事項とする動機付けはない。 c まとめ よって、本件発明6は、甲1Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 イ 申立理由1Bのうち甲2Bに記載された発明との対比、判断について (ア)甲2Bの記載及び甲2Bに記載された発明 甲2Bには、以下の記載がある。 (ア-2B)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 有機樹脂成分を含む樹脂組成物であって、 該樹脂組成物は、可とう性を有する成分を含むことを特徴とする樹脂組成物。」 (イ-2B)「【発明を実施するための最良の形態】 【0134】 以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。 ・・・ 【0143】 合成例9(828EL/JER1007/SiO2(シリコーンオリゴマーPPSQ-E)/2021P=60/20/10/10(wt%)) ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量187)240.0gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998)80.0gとメチルエチルケトン100.0gを均一になるように混合した。90℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量322.6gであった。その後、80℃でセロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)40.0gを混合し、シリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ-E、数平均分子量850)4.0gを均一になるように混合した。収量402.6g、粘度50Pa・sであった。(実施例6用樹脂組成物) ・・・ 【0147】 合成例13(828EL/JER1007/SiO2(シリコーンオリゴマーPPSQ-E)/2021P/YL-7217=57/18/8/7/10(wt%)) 実施例6用樹脂組成物を90g、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL-7217、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上))を10gをそれぞれ秤量し、50℃で均一になるように混合した。収量100g、粘度34Pa・sであった。(実施例10用樹脂組成物) ・・・ 【0149】 (硬化用樹脂組成物の調製) 上記樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を樹脂組成物100部に対して1部となるように、80℃で均一混合した。 50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI-80L,固形分50%)を樹脂組成物100部に対して1部(固形分換算で0.5部)となるように添加し均一になるように混合した。 ・・・ 【0153】 上記合成例1~14で作成した樹脂組成物について、原材料とした樹脂等の含有量については、下記表1に示し、無機成分の含有量及び上記評価の結果等については下記表2に示している。 【0154】 」 記載事項(イ-2B)(特に実施例10)から、甲2Bには、以下の発明が記載されていると認められる。 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量187)57重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998)18重量部、セロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)7重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL-7217、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上))10重量部からなる樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を樹脂組成物100部に対して1部、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI-80L,固形分50%)を樹脂組成物100部に対して1部(固形分換算で0.5部)添加した樹脂組成物」(以下「甲2B発明」という。) (イ)対比、判断 a 本件発明1 甲2B発明のうち、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量187)」及び「ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998)」は、本件発明1の芳香族エポキシ化合物(1A)に相当し、セロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)7重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL-7217、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上))は、カチオン重合性化合物に相当するといえるところ、カチオン重合性組成物中の芳香族エポキシ化合物の配合量は、以下のとおり計算され、 81.5重量部=[(57+18)÷(57+18+7+10)]×100 これは、本件発明1の30~70質量部と異なる。 そうすると、甲9B及び甲10Bについて検討するまでもなく、甲2B発明は、本件発明1と同一ではない。 よって、本件発明1は、甲2Bに記載された発明ではない。 また、この相違点を本件発明1で特定される事項とする動機付けはない。 (ウ)まとめ よって、本件発明1は、甲2Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 b 本件発明2~10 本件発明2~10も、本件発明1と同様に、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であるという発明特定事項を有するから、上記aで述べた理由と同じ理由により甲2B発明と同一ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 ウ 申立理由1Bのうち甲3Bに記載された発明との対比、判断について 令和1年5月28日付け取消理由通知では、甲3Bに記載された発明のうち、実施例7、8及び11に基づく発明については取消理由を通知していなかったので、以下では、これらの発明との対比、判断を述べる。 (ア)記載事項(ア-3B)(特に実施例7、8及び11)から、甲3Bには以下の発明が記載されていると認める。 「フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」を80質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」を20質量部、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「SR-4GL」を40質量部、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩「CPI-100P」を1.5質量部含む組成物。」 (以下、「甲3B発明2」という。) 「フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」を50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」を50質量部、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「SR-4GL」を40質量部、、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩「CPI-100P」を1.5質量部含む組成物。」 (以下、「甲3B発明3」という。) 「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」を80質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」を20質量部、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-521」を40質量部、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩「CPI-100P」を1.5質量部含む組成物。」 (以下、「甲3B発明4」という。) (イ)対比、判断 a 本件発明1について (a)甲3B発明2~4の「ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-835LV」」、フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」及び「ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン2050」」はいずれも本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」に相当し、甲3B発明2~4のポリグリセロールポリグリシジルエーテル「SR-4GL」及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-521」は本件発明1の「脂肪族エポキシ化合物(1B)」に相当する。 (b)甲3B発明2~4のカチオン重合性組成物中の芳香族エポキシ化合物の配合量は、以下のとおり計算される。 i 甲3B発明2 71.4重量部=[(80+20)÷(80+20+40)]×100 これは、本件発明1の30~70質量部と異なる。 ii 甲3B発明3 71.4重量部=[(50+50)÷(50+50+40)]×100 これは、本件発明1の30~70質量部と異なる。 iii 甲3B発明4 71.4重量部=[(80+20)÷(80+20+40)]×100 これは、本件発明1の30~70質量部と異なる。 そうすると、甲14Bについて検討するまでもなく、甲3B発明2~4は、本件発明1と同一ではない。 よって、本件発明1は、甲3Bに記載された発明ではない。 また、この相違点を本件発明1で特定される事項とする動機付けはない。 (ウ)まとめ よって、本件発明1は、甲3Bに記載された発明ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 b 本件発明2~10 本件発明2~10も、本件発明1と同様に、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(1A)の量が30~70質量部であるという発明特定事項を有するから、上記aで述べた理由と同じ理由により甲3B発明と同一ではなく、また、当業者が容易に想到できたものでもない。 エ 申立理由2Bのうち本件発明9及び10との対比、判断について 令和1年5月28日付け取消理由通知では、請求項9に係る発明については通知していなかったので、以下では、本件発明9及び10(本件訂正により請求項9に係る発明が本件発明9及び10に訂正された。)について、対比、判断を述べる。 (ア)本件発明9 甲4B発明は、上記2(1)ア(オ)で示したとおりの発明であり、以下に再掲する。 「ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂「アラルダイトAER-260」58.4重量部、グリセロールポリグリシジルエーテル「デナコールEX-314」39.0重量部、カチオン系熱・光重合開始剤「サンエイドSI-80L](一般式III)2.1重量部、カチオン系光重合開始剤「DAICAT-11」0.5重量部を配合した樹脂組成物。」(一般式IIIは省略。以下、「甲4B発明」という。) (イ)対比、判断 a 本件発明1と本件発明9とを対比すると、本件発明1がカチオン重合性組成物であるのに対して、本件発明9は接着剤であるので、まず、本件発明9が接着剤である点について甲4B発明と対比するが、甲4B発明では接着剤ではない点で本件発明9と相違する。 以下にこの相違点が実質的な相違点であるかについて検討する。 b 実質的な相違点であるかの検討(同一性について) 甲4Bの特許請求の範囲の請求項1には、「可視光線を照射した際、樹脂内部にカチオンを発生させて樹脂の硬化を行い、その硬化反応熱により熱・光分解型硬化促進剤を分解させてカチオンを発生させる連鎖反応を伴い、樹脂組成中の反応熱エネルギー及びカチオンのエネルギーにより樹脂内にエネルギー線遮蔽物の存在の有無に関わらず連鎖硬化するようにした感光性樹脂組成物において、(a) 光カチオン重合開始剤0.1~2.0重量部 (b) 熱・光分解型硬化促進剤0.9~4.0重量部 (c) カチオン重合または架橋反応により高分子量化する化合物1種以上100重量部を含有することを特徴とする上記感光性樹脂組成物」が記載され、発明の詳細な説明の従来の技術の項目において、情報記録分野や情報関連分野において用いられている光硬化性樹脂については、可視光線又は紫外線レーザ光を用いる光重合反応による硬化方法が盛んに検討されていること、可視光線等のエネルギー線は、樹脂を透過する過程での減衰や光吸収作用により、エネルギー線の到達する表層数μm~数mm程度を硬化するのに限られるので、主に適用できる分野としてフォトレジスト、コーティング、塗料、接着剤が記載されている。しかしながら、接着剤の記載はこれだけであり、他に接着剤に関係する記載はない。 そうすると、甲4Bの感光性樹脂組成物の具体例である実施例13は、接着剤であるとはいえないから、上記相違点は実質的な相違点であるといえる。 よって、甲4B発明は、本件発明9と同一ではない。 したがって、本件発明9は、甲4Bに記載された発明ではない。 c 容易性について 次に、容易性について検討する。 甲4Bの特許請求の範囲には、上記bで示した事項が記載され、発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題として、可視光を光源とすることで人体に無害でかつ安価な装置により連鎖硬化を可能とするような感光性樹脂組成物を提供することを目的とすることが記載されており、具体的な感光性樹脂組成物として甲4B発明として認定した実施例13が記載されている。 そして、発明の詳細な説明の従来の技術の項目において、情報記録分野や情報関連分野において用いられている光硬化性樹脂については、可視光線又は紫外線レーザ光を用いる光重合反応による硬化方法が盛んに検討されていること、可視光線等のエネルギー線は、樹脂を透過する過程での減衰や光吸収作用により、エネルギー線の到達する表層数μm~数mm程度を硬化するのに限られるので、主に適用できる分野としてフォトレジスト、コーティング、塗料、接着剤が記載されている。 しかしながら、この記載はあくまで従来技術における適用技術を述べただけであって、甲4Bに記載された発明における適用技術を述べたものではない。 そして、上記したとおり、甲4Bには可視光を光源とすることで人体に無害でかつ安価な装置により連鎖硬化を可能とするような感光性樹脂組成物を提供することが記載されているのであり、当業者であっても接着剤とすることに動機付けがあるとはいえない。 さらに効果について検討すると、本件発明9は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるという甲4Bに記載されない当業者の予測を超える作用効果を奏するものであるといえる。 したがって、本件発明9は、甲4Bに記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 d まとめ 本件発明9は、甲4Bに記載された発明ではなく、また、甲4Bに記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものでもない。 (ウ)本件発明10 本件発明10も本件発明9と同様に接着剤であるから、上記(イ)で述べた理由と同じ理由により本件発明10は甲4Bに記載された発明ではなく、当業者が容易に想到できたものでもない。 オ 申立理由2Bのうち容易性について 申立書の中で申立人Bが実質的に容易性について主張しているのは、請求項6に係る発明に対して、甲4Bに記載された発明を主引用例として検討した場合だけであるから、以下では、この点についてのみ検討する。 (ア)本件発明6について 甲5Bの実施例には、芳香族エポキシ化合物とともに、オキセタン樹脂を含有する組成物の具体例が記載されているが、甲5Bには、屈折率の向上を図りつつ、透明性、耐熱性、取扱性の向上を課題とすることが記載され(段落【0006】、【0007】)、段落【0081】~【0088】には、オキセタン樹脂を配合すること、これにより、組成物の硬化性の向上を図ることが記載されている。 また、甲6Bには、芳香族エポキシ化合物とともに、エポキシがポリブタジエンを含有する組成物の具体例が記載されているが、甲6Bには、プリント配線板の製造に用いられるソルターレジストなどをスクリーン印刷法により描画することができるスクリーン印刷用硬化性樹脂組成物を提供することが課題であることが記載されている(段落[0006])。 このように、甲4B発明と甲5B及び甲6Bの記載事項とは、発明が解決する課題が異なるものであり、いくら当業者であったとしても、甲4B発明において、甲5B及び甲6Bに記載された技術的事項を適用することに動機付けがあるとはいえない。 そして、本件発明9は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるという甲4B~甲6Bに記載されない当業者の予測を超える作用効果を奏するものであるといえる。 したがって、本件発明9は、甲4Bに記載された発明並びに甲5B及び甲6Bに記載された技術的事項に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 カ 申立理由3Bについて (ア)主成分の意味が不明であることについて 組成物の発明において、「主成分」とは一番多い多い成分を指すことが技術常識であるといえ、また、本件訂正により「但し」の記載に続き、「主成分とは、エポキシ化合物を数種類混ぜて、同じ種類のエポキシ化合物の合計量が一番多いものを言い」と記載されている。 よって、申立理由3Bの上記の点は理由がない。 キ まとめ 以上のとおりであるから、取消理由通知において採用しなかった申立人Bがした申立理由は理由がない。 4 その他 申立人Bは、令和2年1月24日に提出した意見書において以下の点を新たな取消理由として主張しているので検討しておく。 (1)明確性 申立人Bは、特許請求の範囲に記載された下記ア~オの記載は不明確であると主張するが、それぞれ以下に述べる理由により不明確であるとはいえない。 ア 請求項1の(1-1)等に記載された「光カチオン重合性化合物」という記載について 光カチオン重合性化合物は、光カチオンにより重合をする化合物として理解されるものであるから、この記載があるからといって特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 イ 請求項1の(1-8)に記載された「上記芳香族エポキシ化合物」という記載について 文脈からみれば、「上記芳香族エポキシ化合物」は、芳香族エポキシ化合物(1A)を意味することは明らかであるから、特許請求の範囲の記載が不明確であるとはいえない。 ウ オキセタニル基とエポキシ基の両方の官能基を有する化合物について 本件明細書をみる限り、オキセタニル基とエポキシ基の両方の官能基を有する化合物を、エポキシ化合物として扱うのか、それとも、オキセタン化合物として扱うのかは明記されていない。 しかしながら、いずれも、カチオン重合性有機物質であることは明らかであり、エポキシ化合物としてみた場合であっても、オキセタン化合物としてみた場合であっても、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤により重合するといえ、この化合物を含むカチオン重合性組成物は、接着剤として有用であるといえる。 そうすると、カチオン重合性組成物のうちのこのような化合物は、エポキシ化合物としてもみることができるし、又はオキセタン化合物としてもみることもでき、いずれの場合であっても、本件発明におけるカチオン重合性組成物の一つの成分として理解することが自然であるといえる。 したがって、このような化合物は、本件発明におけるエポキシ化合物として、又は、オキセタン化合物として、それぞれの場合に分けて理解すればよいといえ、不明確であるとはいえない。 エ 請求項1の(1-4)に記載された「オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物」という記載について 文脈からみれば、「オキセタニル基を有しない脂環式エポキシ化合物」のうち脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ化合物(1C)を意味することは明らかであるから、特許請求の範囲の記載が不明確であるとはいえない。 オ 請求項1の(1-5)に記載された「多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)」という記載について 文脈からみれば、「多官能の脂肪族エポキシ化合物(但し、三官能以上を除く)」のうち脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族エポキシ化合物(1B)を意味することは明らかであるから、特許請求の範囲の記載が不明確であるとはいえない。 (2)甲17B 甲17Bは、令和2年1月24日に提出された意見書に添付された文献であり、特許異議の申立のできる期間の後に提出された文献であって、その内容からみて、特許異議申立時に提出できたといえ、時機に遅れた主張であるといえるから、この証拠に基づく審理をすることはできない。 念のため、以下に検討しておく。 ア 甲17Bの記載及び甲17Bに記載された発明 甲17Bには、以下の記載がある。 (ア-17B)「特許請求の範囲 1(A)高分子量状態に重合可能なエポキシ樹脂と、 (B)輻射エネルギーを受けてルイス酸触媒を放出することによつて(A)の硬化を行なわしめる第IVa族元素の輻射線感知性芳香族オニウム塩の有効量と、よりなる硬化可能組成物。」 (イ-17B)「実施例14 4-ビニルシクロヘキセンジオキシド50部と、エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂40部と、n-オクチルグリシジルエーテル10部とからなるエポキシ樹脂混合物を、完全に混合した。この100重量部をとり、ヘキサフルオロ砒酸トリフエニルスルホニウムを加えた。この混合物を、オニウム塩が溶解するまで攪拌した。上記混合物を、3インチ×6インチの鋼板に塗布し、3インチの距離をおいた450W中圧水銀アーク灯に曝した。2秒で、光沢ある乾燥した塗膜が得られた。この塗膜は、沸騰水の4時間処理に耐えた。又、アセトンで摩擦しても除去されなかつた。」 記載事項(イ-17B)(特に実施例14)から、甲17Bには、以下の発明が記載されていると認められる。 「4-ビニルシクロヘキセンジオキシド50部と、エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂40部と、n-オクチルグリシジルエーテル10部とからなるエポキシ樹脂混合物100重量部に、ヘキサフルオロ砒酸トリフエニルスルホニウムを加えた樹脂組成物」(以下「甲17B発明」という。) イ 対比、判断 (ア)本件発明1 a 甲17B発明の「エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂」、「n-オクチルグリシジルエーテル」及び「4-ビニルシクロヘキセンジオキシド」は、それぞれ、本件発明1の「芳香族エポキシ化合物(1A)」、「脂肪族エポキシ化合物(1B)」及び「脂環式エポキシ化合物(1C)」に相当し、「ヘキサフルオロ砒酸トリフエニルスルホニウム」は、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤に相当する。 b 甲17B発明の「エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂」、「n-オクチルグリシジルエーテル」及び「4-ビニルシクロヘキセンジオキシド」は、いずれも本件発明1の「カチオン重合性有機物質」であり、これらは「カチオン重合性有機物質混合物」を形成するといえるところ、当該「カチオン重合性有機物質混合物」100質量部に対する各エポキシ成分の配合量は以下のとおり計算され、 <エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂> 40重量部=[40÷(50+40+10)]×100 <n-オクチルグリシジルエーテル> 10重量部=[10÷(50+40+10)]×100 <4-ビニルシクロヘキセンジオキシド> 50重量部=[50÷(50+40+10)]×100 脂環式エポキシ化合物(1C)の配合量が、本件発明1では「0~45質量部」であるのに対して、甲17B発明では、50重量部である点、また、甲17B発明の「エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂」が主成分でない点で両者は相違する。 ここでは、まず、この相違点について検討し、この相違点が容易である場合には、本件発明1で特定されている条件1等について検討をすることにする。 c 甲17Bの特許請求の範囲には、「(A)高分子量状態に重合可能なエポキシ樹脂と、 (B)輻射エネルギーを受けてルイス酸触媒を放出することによつて(A)の硬化を行なわしめる第IVa族元素の輻射線感知性芳香族オニウム塩の有効量と、よりなる硬化可能組成物」と記載され、エポキシ樹脂としてどのようなエポキシ化合物(例えば、本件発明1のように、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物など)の混合物を使用するのかについては明示されていない。また、発明の詳細な説明をみても、どのようなエポキシ化合物の混合物を使用するかの一般的な記載はない。 そうすると、いくら甲17Bの具体例に、実施例14として甲17B発明が記載されていたとしても、甲17B発明のうち、4-ビニルシクロヘキセンジオキシドの配合量を減少させて0~45重量部の範囲とし、そして、エポキシ当量172~178を有するノボラック-エポキシ樹脂の配合量を増加させて主成分とすることに動機付けがあるとはいえない。 そして、本件発明1は、硬化性、接着性及び耐水性に優れることが、実施例において、具体的なデータと共に記載されており(同【0058】以降を参照。)、一方、甲17Bには、このような効果は具体的に記載されておらず、本件発明1のこの効果は当業者の予測を超えるものであるといえる。 そうすると、本件発明1で特定されている条件1等について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲17Bに記載された発明に基いて、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 (イ)本件発明2~10 本件発明2~10、本件発明1と同様に、カチオン重合性有機物質混合物100質量部に対して、脂環式エポキシ化合物(1A)の量が0~45質量部であるという発明特定事項及び芳香族エポキシ化合物(1A)が主成分という発明特定事項を有するから、上記(ア)で述べた理由と同じ理由により当業者が容易に想到することができたとはいえない。 第6 むすび したがって、当審が通知した取消理由及び特許異議申立の理由によっては、本件発明1~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700252

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