特許異議申立
2019-700018
基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法および研磨用組成物
- 審判番号
- 2019-700018
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-078150
- 登録番号
- 特許第6362385号(P6362385)
- 請求日
- 2019年01月15日
- 審決日
- 2019年12月27日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社フジミインコーポレーテッド
- 【権利者代理人】安部 誠
- 【権利者代理人】大井 道子
- 【権利者代理人】谷 征史
- 【異議申立人】相見 彩
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 小池 正彦
- 分類
- P1651.121-YAA(G11B) / P1651.537-YAA(G11B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6362385号発明「基板の製造方法および研磨用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6362385号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4〕、〔2、5〕、〔3、6〕について訂正することを認める。
特許第6362385号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6362385号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成26年4月4日の出願であって、平成30年7月6日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成30年7月25日)がされ、平成31年1月15日に特許異議申立人相見彩により請求項1~4に対して特許異議の申立てがされたものである。
そして、その後の経緯は次のとおりである。
平成31年 4月 8日付け 取消理由通知
令和 元年 6月10日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 8月 5日 意見書の提出(特許異議申立人)
同年 8月20日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年10月28日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年12月 4日 意見書の提出(特許異議申立人)
第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨、訂正の内容
(1)請求の趣旨
令和元年10月28日に特許権者により行われた、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許第6362385号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める、というものである。
(2)訂正の内容
本件訂正の内容は、以下ア~ニのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「研磨パッドをパッドドレッシングする工程(a)」と記載されているのを、「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記パッドドレッシングされた研磨パッドおよび研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)」と記載されているのを、「前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含み、」と記載されているのを、「研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「前記研磨液は、コロイダルシリカ砥粒とパッド表面調整剤とを含む」と記載されているのを、「前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項2に「前記工程(c)において前記工程(b)の研磨液を用いる、請求項1に記載の製造方法。」と記載されているのを、「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、ここで該パッドドレッシングは、該研磨パッドの発泡部分(ポア)が2μm以上の平均開口径で表面に現れるまで削りとるように行われる工程である;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、前記パッドドレッシング後の該研磨パッド表面に存在する毛羽立った部分を除去する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含み、前記工程(c)において前記工程(b)の研磨液を用いる、基板の製造方法。」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3~4も同様に訂正する)。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項3に「前記基板は磁気ディスク基板である、請求項1または2に記載の製造方法。」と記載されているのを、「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、ここで該パッドドレッシング後の該研磨パッドの表面には、平坦に削りとられることによって、気泡が開口してできたポアが多数存在し、毛羽立った部分が存在している;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、前記毛羽立った部分を除去する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む、基板の製造方法。」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4も同様に訂正する)。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項4に「コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含む」と記載されているのを、「コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される」に訂正する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法」と記載されているのを、「請求項1に記載の製造方法」に訂正する。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲に、「請求項2に記載の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる研磨用組成物であって、コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される、研磨用組成物。」を記載される請求項5を追加する。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲に、「請求項3に記載の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる研磨用組成物であって、コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される、研磨用組成物。」を記載される請求項6を追加する。
サ 訂正事項11
発明の名称に「基板の製造方法および研磨用組成物」と記載されているのを、「基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法および研磨用組成物」に訂正する。
シ 訂正事項12
明細書の【0001】【0005】にそれぞれ「基板」と記載されているのを、「基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板」に訂正する。
ス 訂正事項13
明細書の【0006】に「本発明によると、基板の製造方法が提供される。この方法は、研磨パッドをパッドドレッシングする工程(a)と;前記パッドドレッシングされた研磨パッドおよび研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む。そして、前記研磨液は、コロイダルシリカ砥粒とパッド表面調整剤とを含む。」と記載されているのを、「本発明によると、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法が提供される。ここに開示される技術は、微小うねりの低減がより強く求められている磁気ディスク基板の製造方法に適用される。この方法は、ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法である。そして、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む。」に訂正する。
セ 訂正事項14
明細書の【0007】に「ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記工程(c)において前記工程(b)の研磨液を用いる。」と記載されているのを、「ここに開示される技術の好ましい一態様では、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法は、ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、ここで該パッドドレッシングは、該研磨パッドの発泡部分(ポア)が2μm以上の平均開口径で表面に現れるまで削りとるように行われる工程である;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、前記パッドドレッシング後の該研磨パッド表面に存在する毛羽立った部分を除去する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む。また、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む。そして、前記工程(c)において前記工程(b)の研磨液を用いる。」に訂正する。
ソ 訂正事項15
明細書の【0008】に「ここに開示される技術は、微小うねりの低減がより強く求められている磁気ディスク基板の製造方法に好ましく適用される。したがって、上記基板は磁気ディスク基板であることが好ましい。」と記載されているのを、「ここに開示される技術は、ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、ここで該パッドドレッシング後の該研磨パッドの表面には、平坦に削りとられることによって、気泡が開口してできたポアが多数存在し、毛羽立った部分が存在している;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、前記毛羽立った部分を除去する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法に好ましく適用される。ここで、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む。」に訂正する。
タ 訂正事項16
明細書の【0009】に「また、この明細書によると、研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、ここに開示される基板の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる。また、この組成物は、コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含む。」と記載されているのを、「また、この明細書によると、研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、上記基板の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる。また、この組成物は、コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含む。そして、前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される。」に訂正する。
チ 訂正事項17
明細書の【0011】に「<基板の製造方法> ここに開示される技術は、基板を製造する方法を包含する。」と記載されているのを、「<磁気ディスク基板の製造方法> ここに開示される技術は、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板を製造する方法を包含する。」に訂正する。
ツ 訂正事項18
明細書の【0012】に「(基板) ここに開示される研磨方法において、被研磨物となる基板は特に限定されない。例えば、磁気ディスク基板や、シリコンウエハ等の半導体基板のように、高精度な表面が要求される各種基板の製造に適用され得る。好ましい適用対象として、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板(Ni-P基板)が例示される。」と記載されているのを、「(磁気ディスク基板) 上記製造方法において、被研磨物となる磁気ディスク基板は、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板(Ni-P基板)である。」に訂正する。
テ 訂正事項19
明細書の【0013】に「ここに開示される方法に用いられる研磨パッドは、全体が発泡ポリウレタンにより構成されているパッド、発泡ポリウレタンの層が不織布等のパッド基材に支持されたパッド等のポリウレタン製研磨パッドであり得る。研磨パッドは、スウェードタイプのバフパッドであってもよいが、典型的には、表面をバフ加工していないノンバフ状態にある研磨パッド(いわゆるノンバフパッド)を用いることが好ましい。」と記載されているのを、「ここに開示される方法に用いられる研磨パッドは、発泡ポリウレタンの層が不織布等のパッド基材に支持されたポリウレタン製研磨パッドであり、表面をバフ加工していないノンバフ状態にある研磨パッド(いわゆるノンバフパッド)である。」に訂正する。
ト 訂正事項20
明細書の【0014】に「工程(a)において、上記研磨パッドはパッドドレッシング処理される。この工程(a)は、典型的には、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態で行われる。」と記載されているのを、「工程(a)において、上記研磨パッドはパッドドレッシング処理される。この工程(a)は、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態で行われる。」に訂正する。
ナ 訂正事項21
明細書の【0020】を削除する。
ニ 訂正事項22
明細書の【0034】に「パッド表面調整剤としては、研磨液中において上記の機能を発揮し得るものであればよく、その限りにおいて特に制限はない。パッド表面調整剤としては、例えばスルホン酸系化合物等の有機化合物から選択され得る。なお、ここでいうスルホン酸系化合物の概念には、スルホン酸系化合物およびその塩が包含される。具体的には、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸等のスルホン酸系化合物、その塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)等から選択され得る。」と記載されているのを、「パッド表面調整剤は、研磨液中において上記の機能を発揮し得るものである。パッド表面調整剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、およびその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)から選択される。」に訂正する。
2 請求項1~請求項6に係る訂正について
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項2~4は、それぞれ請求項1を引用し、請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正事項1~22は、一群の請求項1~4についてされたものであるから、特許法第120条の5第4項及び同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正前の請求項1の「研磨パッドをパッドドレッシングする工程(a)」と記載されているのを、「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)」に訂正するものは、研磨パッド及びパッドドレッシングに限定を加えるものであるから、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項1により訂正された事項は、明細書の段落0014、0066に記載されている。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項2、4について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正前の請求項1の「前記パッドドレッシングされた研磨パッドおよび研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)」及び「前記研磨液は、コロイダルシリカ砥粒とパッド表面調整剤とを含む」と記載されているのを、「前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)」及び「前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む」に訂正するものは、パッド表面調整剤に限定を加えるものであるから、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項2及び4により訂正された事項は、明細書の段落0034に記載されている。
よって、訂正事項2及び4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項2及び4は、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項2及び4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項3は、訂正前の請求項1に係る発明である「基板の製造方法」における「基板」を、「基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板」に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項3により訂正された事項は、明細書の段落0012に記載されている。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項3は、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項5は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、当該引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項5は、訂正前に引用していた訂正前の請求項1に「研磨パッドをパッドドレッシングする工程(a)と;前記パッドドレッシングされた研磨パッドおよび研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含み、前記研磨液は、コロイダルシリカ砥粒とパッド表面調整剤とを含む」と記載されていたのを、「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、ここで該パッドドレッシングは、該研磨パッドの発泡部分(ポア)が2μm以上の平均開口径で表面に現れるまで削りとるように行われる工程である;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、前記パッドドレッシング後の該研磨パッド表面に存在する毛羽立った部分を除去する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メランホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含み」に特定することにより、研磨パッド、パッドドレッシング、工程(b)、基板及びパッド表面調整剤に限定を加えるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項5により訂正された事項は、明細書の段落0012、0014、0016、0033、0034、0066に記載されている。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項5は、訂正前の請求項2に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項6について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項6は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、当該引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項6は、訂正前に引用していた訂正前の請求項1に「研磨パッドをパッドドレッシングする工程(a)と;前記パッドドレッシングされた研磨パッドおよび研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含み、前記研磨液は、コロイダルシリカ砥粒とパッド表面調整剤とを含む」と記載され、かつ、訂正前の請求項3に「前記基板は磁気ディスク基板である」と記載されていたのを、「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、ここで該パッドドレッシング後の該研磨パッドの表面には、平坦に削りとられることによって、気泡が開口してできたポアが多数存在し、毛羽立った部分が存在している;前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、前記毛羽立った部分を除去する工程(b)と;研磨対象基板を研磨する工程(c)と;を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む」に特定することにより、研磨パッド、パッドドレッシング、工程(b)、磁気ディスク基板及びパッド表面調整剤に限定を加えるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項6により訂正された事項は、明細書の段落00012、0014、0033、0034、0066に記載されている。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項6は、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
カ 訂正事項7について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正前の請求項4に「コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含む」と記載されているのを、「コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される」に訂正するものは、パッド表面調整剤に限定を加えるものであるから、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項7により訂正された事項は、明細書の段落0034に記載されている。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項7は、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
キ 訂正事項8について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項8は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1~3のいずれか一項の記載を引用する記載であったものを、請求項1のみの記載を引用するものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項8は、上記(ア)のとおり何ら実質的な内容の変更をともなうものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項8は、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ク 訂正事項9、訂正事項10について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項9及び10は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1~3のいずれか一項の記載を引用する記載であったものを、一の請求項のみの記載を引用するものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項9及び10は、上記(ア)のとおり何ら実質的な内容の変更をともなうものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項9及び10は、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項9及び10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ケ 訂正事項11、12、17、18について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項11、12、17及び18は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項11、12、17及び18により訂正された事項は、上記ウ(イ)と同じく、明細書の段落0012に記載されている。
よって、訂正事項11、12、17及び18は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項11、12、17及び18は、上記ウ(ウ)と同じく、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項11、12、17及び18は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
コ 訂正事項13~16について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項13~16は、上記訂正事項1~7に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項13~16により訂正された事項は、上記ア~カの各(イ)と同じく、明細書の段落0012、0014、0016、0033、0034、0066に記載されている。
よって、訂正事項13~16は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項13~16は、上記ア~カの各(ウ)と同じく、訂正前の請求項1~3に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項13~16は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
サ 訂正事項19~21について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項19~21は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項19~21により訂正された事項は、上記ア(イ)と同じく、明細書の段落0014、0066に記載されている。
よって、訂正事項19~21は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項19~21は、上記ア(ウ)と同じく、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項19~21は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
シ 訂正事項22について
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項22は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無について
訂正事項22により訂正された事項は、上記イ(イ)と同じく、明細書の段落0034に記載されている。
よって、訂正事項22は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項22は、上記イ(ウ)と同じく、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項22は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ス 独立特許要件について
本件特許異議申立事件においては、全ての請求項について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1~22に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
上記2のとおり、訂正事項1~22に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項で準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
ここで、本件発明1~6の各構成には、(A)~(H)の符号を当審において付した。以下、構成A~構成Hと称する。
(本件発明1)
【請求項1】
(A)ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と;
(B)前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)と;
(C)研磨対象基板を研磨する工程(c)と;
(D)を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、
(E)前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む、
(D)基板の製造方法。
(本件発明2)
【請求項2】
(A)ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、
(A1)ここで該パッドドレッシングは、該研磨パッドの発泡部分(ポア)が2μm以上の平均開口径で表面に現れるまで削りとるように行われる工程である;
(B)前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、
(B1)前記パッドドレッシング後の該研磨パッド表面に存在する毛羽立った部分を除去する
(B)工程(b)と;
(C)研磨対象基板を研磨する工程(c)と;
(D)を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、
(E)前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含み、
(F)前記工程(c)において前記工程(b)の研磨液を用いる、
(D)基板の製造方法。
(本件発明3)
【請求項3】
(A)ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)と、
(A2)ここで該パッドドレッシング後の該研磨パッドの表面には、平坦に削りとられることによって、気泡が開口してできたポアが多数存在し、毛羽立った部分が存在している;
(B)前記パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨を行い、
(B2)前記毛羽立った部分を除去する
(B)工程(b)と;
(C)研磨対象基板を研磨する工程(c)と;
(D)を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法であって、
(E)前記研磨液は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む、
(D)基板の製造方法。
(本件発明4)
【請求項4】
(G1)請求項1に記載の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる研磨用組成物であって、
(H)コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、
(E1)前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される、
(G1)研磨用組成物。
(本件発明5)
【請求項5】
(G2)請求項2に記載の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる研磨用組成物であって、
(H)コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、
(E1)前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される、
(G2)研磨用組成物。
(本件発明6)
【請求項6】
(G3)請求項3に記載の製造方法において前記工程(b)の研磨液として用いられる研磨用組成物であって、
(H)コロイダルシリカ砥粒と、パッド表面調整剤と、を含み、
(E1)前記パッド表面調整剤は、ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される、
(G3)研磨用組成物。
2 取消理由(決定の予告)の概要
令和元年8月20日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(進歩性(特許法第29条第2項))
令和元年6月10日付けの訂正の請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2、4に係る発明は、甲第5号証又は甲第6号証に記載の発明及び甲第1号証に記載の周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1、2、4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
甲第1号証:米国特許出願公開第2008/0146129号明細書
甲第5号証:特開2012-135863号公報
甲第6号証:特開2010-135052号公報
3 取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由
上記取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由は、以下のとおりである。
(明確性(特許法第36条第6項第2号))
特許請求の範囲の請求項1~4における「パッド表面調整剤」がいかなる化学物質であるのか不明である。
よって、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
4 甲号証について
(1)甲第6号証について
ア 甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「【0019】
本発明の研磨剤組成物は、シリカ、酸、界面活性剤、酸化剤、及び水を含有する研磨剤組成物であって、界面活性剤は、分子中に繰り返し単位と、スルホン酸(塩)基とを有し、さらに繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する陰イオン界面活性剤である。ここでいう「スルホン酸(塩)基」は「スルホン酸基およびスルホン酸塩基」を表わし、以下同様の表現を用いる。シリカ粒子の安定性の観点から陰イオン界面活性剤を含むことが好ましく、発泡の問題から分子中に繰り返し単位を有する陰イオン界面活性剤であることが好ましい。分子中に繰り返し単位を有する界面活性剤は、優れた界面機能を示すため、シリカ粒子の分散性を向上させてスクラッチの原因となる凝集物の発生を抑えることにより、スクラッチを低減することができるのではないかと考えられる。また、著しい表面張力の低下が認められないため、泡立ちがなく、容器や研磨機の研磨剤供給タンクおよび研磨機に付着した泡が乾燥、固化することにより生じたシリカの固化成分によるスクラッチも低減し、効率よく研磨工程を行うことが可能となる。」
「【0030】
本研磨剤組成物に含まれる研磨材の砥粒であるシリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。研磨材としての砥粒は、これに限定されるものではなく、アルミナ、チタニア、ジルコニア等を使用することができる。ただし、砥粒は、シリカであることが好ましく、より好ましくは、コロイダルシリカである。コロイダルシリカを研磨材の砥粒として用いた場合には、磁気ディスク基板のスクラッチを低減することができる。」
「【0034】
本発明の研磨剤組成物は、磁気ディスク基板の研磨に用いることができる。研磨される磁気ディスク基板としては、例えば、アルミニウムのディスク(以下、アルミディスクという)が挙げられる。例えば、両面研磨機を用いて、上定盤及び下定盤の各々に研磨パッドを貼り付け、上定盤と下定盤の間にアルミディスクを挟み、アルミディスクの表裏両面を同時に研磨する。
【0035】
この場合に、この研磨パッドに本発明の研磨剤組成物を供給しながら、アルミディスクに所定の単位荷重で研磨パッドを押し付けて研磨を行う。研磨パッドは、ウレタンタイプ、スウェードタイプ、不織布タイプ、その他いずれのタイプも使用することができる。本発明の研磨剤組成物は、第1研磨(粗研磨、ポリシング)、第2研磨(仕上げ研磨、ポリシング)のいずれも使用することができる。本発明の研磨剤組成物を使用すれば、研磨レートを低下させることなく、被研磨面にスクラッチ、ピットが無く、被研磨面の表面粗度に優れた鏡面研磨をすることができる。」
「【0038】
(実施例1~39、比較例1~20)
シリカ、分子中に繰り返し単位と、スルホン酸基とを有し、さらに繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する陰イオン界面活性剤、酸、過酸化水素、純水を混合、攪拌し、表1および表2に示す組成からなる研磨剤組成物を得た。分子中に繰り返し単位と、スルホン酸基とを有し、さらに繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する陰イオン界面活性剤として、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物(実施例1~12)、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物(実施例13~15)、リグニンスルホン酸ナトリウム(実施例16~21)、ナフタレンスルホン酸系化合物(実施例22~33、混合物の割合は表4に示す。)、芳香族アミノスルホン酸系化合物(実施例34~39、混合物の割合は表4に示す。)を用いた。また、酸としては、HEDP、リン酸、硫酸を用いた。」
「【0042】
(研磨装置および研磨条件)
表1においては、基板としてNiP無電解メッキした外径95mmφのアルミディスクを粗研磨した基板を使用した。研磨試験機は、両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム(株)製)、研磨パッドCF4301N(フジボウ製)を用いて、スラリー供給速度を5ml/min/pcsとして研磨剤組成物をアルミディスク上に供給した。定盤回転数は、下定盤を16rpm、上定盤を16/3rpm、加工圧力は100g/cm2とし、研磨時間は390秒とした。」
イ 甲6発明
以上より、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。
(甲6発明)
研磨パッドに研磨材の砥粒であるコロイダルシリカと、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸系化合物又は芳香族アミノスルホン酸系化合物とを含有する研磨剤組成物を供給しながら、NiPメッキしたアルミニウムの磁気ディスク基板に研磨パッドを押し付けて研磨を行う方法であって、
前記研磨パッドは、ウレタンタイプ、スウェードタイプ、不織布タイプ、その他いずれのタイプも使用することができる方法。
(2)甲第5号証について
ア 甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、次の記載がある。
「【0008】
本発明は一態様において、研磨材、水溶性重合体、及び水を含有する研磨液組成物であって、前記水溶性重合体が、スルホン酸基を有し、かつ、主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を有する研磨液組成物に関する。
【0009】
本発明はその他の態様において、本発明の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして研磨する工程を含む、基板の製造方法に関する。」
「【0038】
[研磨材]
本発明の研磨液組成物に使用される研磨材としては、研磨用に一般的に使用されている研磨材を使用することができ、金属、金属若しくは半金属の炭化物、窒化物、酸化物、又はホウ化物、ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8族由来のものである。研磨材の具体例としては、酸化珪素(以下、シリカという)、酸化アルミニウム(以下、アルミナという)、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム(以下、セリアという)、酸化ジルコニウム等が挙げられ、これらの1種以上を使用することは研磨速度を向上させる観点から好ましい。中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタン、セリア、酸化ジルコニウム等が、半導体素子用基板や磁気ディスク基板等の精密部品用基板の研磨に適している。表面粗さを低減する観点、スクラッチを低減する観点から、さらに、コロイダルシリカ、コロイダルセリア、コロイダルアルミナが好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。」
「【0065】
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
【0066】
研磨パッドの表面部材の平均開孔径は、スクラッチ低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、開孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均開孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの開孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。」
「【0070】
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板、ガラス基板が好適である。中でも、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板や、アルミノシリケートガラス基板に適しており、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板がさらに適している。アルミノシリケートガラス基板には、結晶構造を有しているもの、化学強化処理を施したものが含まれる。化学強化処理は研磨後に行ってもよい。
【0071】
また、本発明によれば、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりが低減された基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される磁気ディスク基板、とりわけ垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。」
「【0082】
[比較対象化合物]
上記水溶性重合体の比較対象として以下の化合物を用いた。
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物(表面張力:66.3 mN/m)
(商品名:バニオールHDP-100、日本製紙ケミカル社製)
・リグニンスルホン酸ナトリウム (表面張力:67.3 mN/m)
(商品名:パールレックスNP、日本製紙ケミカル社製)
・ナフタレンスルホン酸系化合物 (表面張力:66.3 mN/m)
(商品名:フローリックPSR110、フローリック社製)
・芳香族アミノスルホン酸系化合物 (表面張力:71.8 mN/m)
(商品名:フローリックSF200S、フローリック社製)
・アクリル酸/アクリルアミドー2-メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA-AMPS)(表面張力:63.0 mN/m)(モル比90/10、重量平均分子量2000、東亜合成社製)
・ポリスチレン/ポリスチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St-SS)(表面張力:57.3 mN/m)(モル比80/20、重量平均分子量8000、花王社製)」
イ 甲第5号証に記載の技術的事項
上記アに摘記した記載から、甲第5号証には、以下(ア)、(イ)の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア)段落0008、0009、0038、0071、0082の記載によれば、「研磨材であるコロイダルシリカと、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸系化合物又は芳香族アミノスルホン酸系化合物を含有する研磨液組成物を、磁気ディスク基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記磁気ディスク基板を動かして研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。」が記載されている。
(イ)Ni-Pメッキされたアルミニウム基板は、特開平7-240025号公報(特許異議申立人が令和元年8月5日付け意見書で提示した参考資料)の段落0021に記載されているように磁気ディスク基板として周知であることから、上記(1-2-1)の段落0070の「Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板」は、段落0071の磁気ディスク基板として用いられるものと認められる。
ウ 甲5発明
上記イより、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されている。
(甲5発明)
研磨材であるコロイダルシリカと、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸系化合物又は芳香族アミノスルホン酸系化合物とを含有する研磨液組成物を、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記磁気ディスク基板を動かして研磨する工程を含む、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板の製造方法であって、
研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい方法。
(3)甲第1号証について
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、次の記載がある。
[0006] Currently,new polishing pads do not result in sufficiently flat wafers immediately after installing the pads on the polishing tool. Instead, the polishing pads are typically “broken-in” after first affixing them to the platens of a polishing tool. A typical break-in process often includes diamond dressing the pads and/or running “dummy” wafers in order to improve the stability of the polishing pad performance. Dummy wafers are often processed under the same conditions which polishing of actual production wafers takes place.This ensures that subsequent polished wafers are acceptably flat and uniform.」
(仮訳)
[0006]現状では、新しい研磨パッドは、研磨器具にパッドを取り付けた直後には、十分平坦なウェハをもたらさない。そのため、研磨パッドは、最初に研磨パッドを研磨機の取付盤に取り付けた後、通常は「調整」を行う。通常の調整プロセスは研磨パッドの性能の安定性を改善するために、パッドのダイヤモンドドレッシング及び/又は「ダミー」ウェハの動作を大抵含む。ダミーウェハは、大抵、実際の製品ウェハの研磨が行われるのと同じ条件で処理される。これにより、次に研磨されるウェハが十分に平坦で均一であることが保証される。
イ 甲第1号証に記載の周知技術
上記アの摘記部分は、「Currently,」(仮訳:「現状では、」)との記載からすれば、出願当時の従来技術を説明したものと認められるから、同摘記部分に記載された技術は、周知技術であると認められる。
ここで、同摘記部分の『「ダミー」ウェハの動作』がダミー研磨のことを意味していることは、当業者に明らかな事項である。
以上から、甲第1号証の同摘記部分に記載された次の技術は、周知技術(以下、「甲1周知技術」という。)であると認められる。
(甲1周知技術)
最初に研磨パッドを研磨機の取付盤に取り付けた後、研磨パッドのドレッシング、及び、実際の製品ウェハの研磨が行われるのと同じ条件で処理されるダミー研磨を含む調整プロセスを行う技術。
5 当審の判断
(1)甲6発明を主引例とした場合
(1-1)本件発明1について
(1-1-1)対比
本件発明1と甲6発明とを対比する。
甲6発明の「NiPメッキしたアルミニウムの磁気ディスク基板に研磨パッドを押し付けて研磨を行う方法」は、本件発明1の構成C及の「研磨対象基板を研磨する工程(c)」を含む構成Dの「基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法」に相当する。
すると、本件発明と甲6発明との間の一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
(C)研磨対象基板を研磨する工程(c)と;
(D)を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法。
(相違点1)
基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法について、本件発明1は、構成Aの「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)」を備えるのに対し、甲6発明は、スウェードタイプの研磨パッドを用いるものではあるものの、パッドドレッシングに係る構成を備えることが特定されていない点。
(相違点2)
基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法について、本件発明1は、「パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)」(構成B)を備え、さらに前記ダミー研磨に用いられる研磨液が、「ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む」(構成E)ものであるのに対し、甲6発明は、「研磨パッドに研磨材の砥粒であるコロイダルシリカと、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸系化合物又は芳香族アミノスルホン酸系化合物とを含有する研磨剤組成物を供給しながら、研磨を行う」ものである点。
(1-1-2)判断
上記相違点のうち、まず相違点1について検討する。
上記4(3)イのとおり、最初に研磨パッドを研磨機の取付盤に取り付けた後、研磨パッドのドレッシングを含む調整プロセスを行うことは、周知技術である。前記「研磨パッドを研磨機の取付盤に取り付けた後」は、本件発明1の「研磨パッドが研磨装置に装着された状態」に相当する。
ここで、一般に、基板の研磨技術が各種基板を共通的に対象とするものであることは、甲第5号証の段落0070に「被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。」と記載され、また、特許異議申立人により甲第7号証として提示された特開2005-1019号公報の段落0056にも「研磨液組成物が対象とする基板の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属又は半金属およびこれらの合金、及びガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。」と記載されているように、当業者に周知の事項といえる。
すると、甲1周知技術についても各種基板が対象とされうるものとして、各種基板に適用を試みることは、当業者が容易に想到しうることである。よって、スウェードタイプの研磨パッドを用いた甲6発明において、当該周知技術を適用することにより、スウェードタイプの研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程を備えるようにすることは、当業者が容易に想到しうることである。
しかしながら、甲6発明の「NiPメッキしたアルミニウムの磁気ディスク基板」を研磨対象とする研磨パッドとして「ノンバフパッド」を使用することについては、上記甲第6号証、甲第5号証、甲第1号証、及び、特許異議申立人が提出したその他の証拠及び文献である甲第2号証:特開2008-87099号公報、甲第3号証:特開2005-199427号公報、甲第4号証:特開2007-81145号公報、甲第7号証:特開2005-1019号公報、甲第8号証:特開2005-153053号公報、甲第9号証:特開2010-179431号公報、参考文献:特開平7-240025号公報のいずれにも記載されていない。
よって、甲6発明のNiPメッキしたアルミニウムの磁気ディスク基板に用いる研磨パッドとしてノンバフパッドを使用することは、当業者であっても容易に想到しうるものとはいえない。
また、令和元年10月28日に提出された意見書に添付された実験成績証明書によれば、バフパッドを使用した場合には、本件特許明細書の実施例で示されているノンバフパッドを使用した場合と比べて有意な微小うねり低減効果は認められなかったことが示されている。よって、仮に、甲6発明のNiPメッキしたアルミニウムの磁気ディスク基板を研磨対象とする研磨パッドとしてノンバフパッドを使用することに想到し得たとしても、その結果として、バフパッドを使用した場合と比べて改善された微小うねり低減効果が得られるという格別顕著な効果を得られることを、当業者が予測し得たとは認められない。
したがって、本件発明1は、その他の相違点である相違点2について検討するまでもなく、当業者であっても甲6発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(1-2)本件発明2~6について
本件発明2~6も、上記相違点1に係る構成である構成Aを備えるものであるから、上記(1-1)と同じ理由により、甲6発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)甲5発明を主引例とした場合
(2-1)本件発明1について
(2-1-1)対比
本件発明1と甲5発明とを対比する。
甲5発明の、「研磨液組成物を、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記磁気ディスク基板を動かして研磨する工程」を含む「Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板の製造方法」は、本件特許発明1の、「研磨対象基板を研磨する工程(c)」を含む「基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法」に相当する。
すると、本件発明と甲5発明との間の一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
(C)研磨対象基板を研磨する工程(c)と;
(D)を含む、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法。
(相違点3)
基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法について、本件発明1は、構成Aの「ポリウレタン製でスウェードタイプのノンバフパッドである研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程(a)」を備えるのに対し、甲5発明は、スウェードタイプの研磨パッドを用いるものではあるものの、パッドドレッシングに係る構成を備えることが特定されていない点。
(相違点4)
基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の製造方法について、本件発明1は、「パッドドレッシングされた研磨パッド、および、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を用いてダミー研磨する工程(b)」(構成B)を備え、さらに前記ダミー研磨に用いられる研磨液が、「ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択されるパッド表面調整剤を含む」(構成E)ものであるのに対し、甲5発明は、「研磨材であるコロイダルシリカと、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸系化合物又は芳香族アミノスルホン酸系化合物とを含有する研磨液組成物」を「基板の研磨対象面に供給」して「研磨する」ものである点。
(2-1-2)判断
上記相違点のうち、まず相違点3について検討する。
上記(1-1-2)のとおり、甲1周知技術についても各種基板が対象とされうるものとして、各種基板に適用を試みることは、当業者が容易に想到しうることである。よって、スウェードタイプの研磨パッドを用いた甲5発明において、当該周知技術を適用することにより、スウェードタイプの研磨パッドを、該研磨パッドが研磨装置に装着された状態でパッドドレッシングする工程を備えるようにすることは、当業者が容易に想到しうることである。
しかしながら、甲5発明の「Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板」を研磨対象とする研磨パッドとして「ノンバフパッド」を使用することについては、上記甲第5号証、甲第6号証、甲第1号証、及び、特許異議申立人が提出したその他の証拠及び文献である甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証、参考文献のいずれにも記載されていない。
よって、甲5発明のNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板に用いる研磨パッドとしてノンバフパッドを使用することは、当業者であっても容易に想到しうるものとはいえない。
また、令和元年10月28日に提出された意見書に添付された実験成績証明書については、上記(1-1-2)のとおりであるから、仮に、甲5発明のNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板である磁気ディスク基板を研磨対象とする研磨パッドとしてノンバフパッドを使用することに想到し得たとしても、その結果として、バフパッドを使用した場合と比べて改善された微小うねり低減効果が得られるという格別顕著な効果を得られることを、当業者が予測し得たとは認められない。
したがって、本件発明1は、その他の相違点である相違点4について検討するまでもなく、当業者であっても甲5発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2-2)本件発明2~6について
本件発明2~6も、上記相違点3に係る構成である構成Aを備えるものであるから、上記(2-1)と同じ理由により、甲5発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、特許異議申立書において上記3の主張を行っている。
しかしながら、いかなる化学物質であるのか不明であると主張されていた「パッド表面調整剤」は、本件訂正によって「ポリアルキルアリールスルホン酸系化合物、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物、ポリイソプレンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリアリルスルホン酸およびその塩、ならびに、ポリイソアミレンスルホン酸およびその塩から選択される」ものであることが特定されたことにより、化学物質が明確となった。
したがって、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものであるから、特許異議申立人の当該主張は、採用することができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、令和元年8月20日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-700018