特許異議申立
2019-700001
異常通報システム
- 審判番号
- 2019-700001
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-252107
- 登録番号
- 特許第6351125号(P6351125)
- 請求日
- 2019年01月04日
- 審決日
- 2020年01月30日
- 公報発行日
- 2020年06月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】能美防災株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人朝日特許事務所
- 【異議申立人】市東 勇
- 審判長/審判官
- 審判長 北岡 浩
- 審判官 衣鳩 文彦
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P1651.121-ZAA(G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6351125号発明「異常通報システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6351125号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。
特許第6351125号の請求項1に係る特許を取り消す。
特許第6351125号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
特許第6351125号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成23年10月19日を出願日とする特願2011-230192号の一部を、平成28年12月26日に新たな特許出願としたものあって、平成30年6月15日にその特許権の設定登録がされ、平成30年7月4日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
平成31年 1月 4日 :特許異議申立人 市東 勇(以下、「異議申立人」という。)による請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立て
平成31年 4月23日付け:取消理由通知書
令和 1年 6月25日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
令和 1年 8月14日 :異議申立人による意見書の提出
令和 1年10月24日付け:取消理由通知書(決定の予告)
なお、特許権者は、上記取消理由通知書(決定の予告)に対して、指定した期間に、応答しなかった。
2 訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「通報操作を示すソフトウェアボタンを表示手段に表示させる表示制御手段と、」と記載されているのを、「前記異常監視設備から受信する表示命令に基づいて、前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す一の画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0006】に「通報操作を示すソフトウェアボタンを表示手段に表示させる表示制御手段と、」と記載されているのを、「前記異常監視設備から受信する表示命令に基づいて、前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す一の画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、」に訂正する。
エ 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2は請求項1を引用しているものであるから、訂正前の請求項1,2は一群の請求項を構成し、上記ア、イの訂正事項1,2は、当該一群の請求項に対して請求されたものである。
したがって、本件訂正は、特許法120条の5第4項の規定に適合する。
さらに、訂正事項3による明細書の訂正に係る請求項は、訂正事項1による訂正に係る請求項と同じであって、当該一群の請求項すべてについて行われたものであり、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条第4項の規定に適合する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1
訂正事項1に係る請求項1についての訂正は、訂正前の請求項1の「表示制御手段」について、「通報操作を示すソフトウェアボタンを表示手段に表示させる」を「前記異常監視設備から受信する表示命令に基づいて、前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す一の画面を表示手段に表示させる」と、さらに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、願書に添付した明細書には、「図7は、火災受信機300からの表示命令に基づいて携帯電話400の表示部430に表示される画面の一例を示す模式図である。図7に示すように、表示部430の表示画面は、情報表示エリア431、映像表示エリア432、及び操作エリア433の3つのエリアに分けられている。最上段の情報表示エリア431には、表示命令に含まれる火災が感知された施設名、当該施設の住所、感知器の設置場所(部屋番号)、火災感知日時が表示される。中央の映像表示エリア432には、火災を感知したカメラ付火災感知器200のカメラ250により撮影された映像が表示される。最下段の操作エリア433には、通報操作を示す表示が表示される。本例において、通報操作を示す表示は、「通報」の文字を含むソフトウェアボタン434である。」(段落【0031】)と記載されており、訂正事項1は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 訂正事項2
訂正事項2に係る請求項2についての訂正は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ 訂正事項3
訂正事項3は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、上記訂正事項1と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)小括
上記のとおり、本件訂正の請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。
3 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が平成31年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第8号証記載の技術、甲第9号証及び第10号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
(3)請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第5~7号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第5~7号証に記載された周知技術、甲第8号証記載の技術、甲第9号証及び第10号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
(4)請求項1に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第5~7号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、及び甲第5~7号証に記載された周知技術、甲第8号証記載の技術、甲第9号証及び第10号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
(5)請求項1に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び甲第5~7号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び甲第5~7号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
・甲第1号証:特表2009-520262号公報
・甲第2号証:特開2004-80294号公報
・甲第3号証:特開2004-246624号公報
・甲第4号証:特開2002-183864号公報
・甲第5号証:特開2011-8337号公報
・甲第6号証:特開2010-108069号公報
・甲第7号証:特開2009-68878号公報
・甲第8号証:特開2011-108191号公報
・甲第9号証:特開2004-265191号公報
・甲第10号証:特開2004-129777号公報
4 当審の判断
取消理由通知に記載した取消理由のうち、(2)について
ア 訂正後の請求項1に係る発明
上記訂正の請求により訂正された訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりものである。
「【請求項1】
監視対象の施設に設置された異常感知器を有する異常監視設備と、前記異常監視設備と通信可能で施設を管理する管理者が携帯する端末装置とを有する異常通報システムであって、
前記端末装置は、
前記異常感知器により異常が感知されたとき、前記異常を感知した異常感知器が設置された施設に対応した通報先の情報を取得する通報先情報取得手段と、
前記異常監視設備から受信する表示命令に基づいて、前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す一の画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記施設を管理する管理者により操作される操作手段に対し前記ソフトウェアボタンの選択操作がなされたことを特定する操作特定手段と、
前記操作手段に対し前記ソフトウェアボタンの選択操作がなされたことが前記操作特定手段によって特定されるのに応じて、前記通報先情報取得手段により取得された通報先の情報に基づいて通報先への通報動作を行う通報手段と
を有することを特徴とする異常通報システム。」
イ 引用文献の記載、甲1発明、及び周知技術
イ-1 甲第1号証、甲1発明
取消理由通知において引用した甲第1号証(特表2009-520262号公報)には以下の事項が記載されている。
(ア)「【0005】
このような問題は、センサ装置が検出した潜在的な問題に対して、建物や複合施設または他の関係者に警報する携帯監視ユニット(PMU)にセンサ情報を提供するセンサシステムを備えることによって解決される。
【0006】
だれかが監視場所に物理的に存在する必要はなく、PMUによってセンサ装置との通信において建物または複合施設を管理することができる。これにより、センサが警報または他の警告を送信することによって、建物または複合施設の管理者に素早く通知する。管理者は、早期警報で状態を評価して早期に対応することによって、建物と居合わせた居住者の危険性を減少させる。」
(イ)「【0027】
図1は、多くのリピータユニット110~111を通してベースユニット112と通信する複数のセンサユニット100を含むセンサシステムを示す図である。センサユニット102~106は建物101内に設置されている。センサユニット102~104はリピータ110と通信する。センサユニット105~106はリピータ111と通信する。リピータ110~111はベースユニット112と通信する。ベースユニット112は、例えば、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット(登録商標)、ファイヤーワイヤ(登録商標)ポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、ブルートゥース(登録商標)などのコンピュータネットワーク接続を通して監視コンピュータシステム113通信する。コンピュータシステム113は、1つ以上の通信システム例えば、PMU125、電話121、ポケットベル122、携帯電話123(例えば、直接通話、ボイスメール、テキストなど)および/またはインターネットおよび/またはローカルエリアネットワーク124(例えば、メール、インスタントメッセージング、ネットワーク通信などを介した)を用いて建物管理者、メンテナンスサービス、警報サービスまたは他の責任者120に連絡する。一実施形態では、監視コンピュータ113に対して複数のベースユニット112を備える。一実施形態では、監視コンピュータ113は1つ以上のコンピュータモニタを備える。これにより、1つのモニタよりも多くのデータを都合よく表示することができる。一実施形態では、監視コンピュータ113は、別の場所に位置する複数のモニタを備える。これにより、監視コンピュータ113からのデータを複数の場所で表示することができる。
【0028】
センサユニット102~106は、例えば、煙、温度、湿気、水、水温、湿度、一酸化炭素、天然ガス、プロパンガス、警報機、盗難予防警報器(例えば、門戸開放、窓破壊、窓開放など)、他の可燃性ガス、ラドン、毒ガスなどの状態を測定するセンサを含む。様々なセンサユニットは、様々なセンサまたはセンサの組合せによって構成されてもよい。したがって、例えば1つの設置では、センサユニット102および104は煙および/または温度センサで構成され、センサユニット103は湿度センサで構成されてもよい。
【0029】
以下の説明では、一般にセンサユニット102は、センサユニット102の記載は多くのセンサユニットに適用できるという理解によって、センサユニットの例として参照される。同様に以下の説明では、一般にリピータ110は非限定例として言及される。また、リピータは、センサユニット102~106の範囲で拡張するのに有用であるが、すべての実施形態では必要とされないことが当業者によって理解される。したがって、例えば一実施形態ではセンサユニット102~106のうち1つ以上は、リピータを通さずにベースユニット112と直接通信してもよい。また、図1は、説明目的で5つのセンサユニット(102~106)および2つのリピータユニット(110~111)のみを示しているが、限定するものでないことが当業者によって理解される。通常、大規模なアパート建物または複合施設では、多くのセンサユニットとリピータユニットが設置される。更には、1つのリピータユニットが比較的多くのセンサユニットを通信できることが、当業者によって認識される。一実施形態では、センサユニット102は、リピータ111を通らずにベースユニット112と直接通信してもよい。
【0030】
センサユニット102は,異常状態(例えば、煙、火災、水など)を検出すると,適したリピータユニットと通信して異常状態に関するデータを供給する。リピータユニット110はベースユニット112にデータを転送し、ベースユニット112はコンピュータ113に情報を転送する。コンピュータ113は、データを評価して適切な処理を実行する。コンピュータ113は、状態が緊急事態(例えば、火災、煙、大量の水)であると判断する場合、適切な要員120に連絡する。コンピュータ113は、その状態が報告する必要があるが緊急事態でないと判断する場合、後に報告するためにデータを記録してもよく、あるいはPMU125に警告メッセージを送信してもよい。このように、センサシステム100は建物と建物101の周囲の状態を監視してもよい。」
(ウ)「【0048】
一実施形態では、PMU125はセンサシステム100と通信する。PMU125が様々なセンサシステムと通信できることが当業者によって理解される。PMU125に関する記載は、その内容を説明することを意図するのであって、制限することを意図しない。一実施形態では、監視コンピュータ113は、管理者120に情報を伝えるPMU125に必要なあらゆる通信する。監視コンピュータ113は、ベースユニット112または他のあらゆる通信チャネルを通して通信してもよい。任意に、センサユニットおよびリピータユニットはPMU1と直接通信してもよい。」
(エ)「【0102】
図9は、PMUの一実施形態の実施例を示す図である。PMU125は電子部品(図示せず)を覆うPMUハウジング905を含む。スクリーン903はPMUケーシング905の前部に取り付けられる。また任意に、PMUケーシング905は、例えば、応答ボタン907、OKボタン909、診断チェック実行ボタン911、消防署へ通報ボタン913、テナントへ通報ボタン915、他者への警報ボタン917、電源ON/OFFボタン919、通話ボタン921などのPMUファンクションキーの他にカーソルコントローラ923および音量コントローラ925を有してもよい。
【0103】
スクリーン903は、カラーまたは白黒のものであってよい。スクリーン903は、暗いところで視認するためにバックライトを有してもよい。スクリーン903は、例えば、LCD、LED、カラーLCDなどの電子信号を表示するために用いられるあらゆるスクリーンであってよい。一実施形態では、スクリーン903は、タッチスクリーンディスプレイを使用することによって、1つまたはすべてのボタンを置き換えてもよい。一実施形態では、PMU125は、ボタンまたはボタンの代わりに音声認識を用いてもよい。一実施形態では、PMU125は、タッチスクリーンディスプレイ、ボタンおよび音声認識の組合せを用いてもよい。
【0104】
一実施形態では、PMUファンクションキーは、応答ボタン907、OKボタン909、診断チェック実行ボタン911、消防署へ通報ボタン913、テナントへ通報ボタン915、他者への警報ボタン917、電源ON/OFFボタン919、通話ボタン921を含んでもよい。また、PMUファンクションキーは建物または複合施設監視システム113で有用であると考えられる他のコントロールキーを含んでもよい。PMUファンクションキーは、PMUケーシング905上のあらゆる便利な位置に設置されてもよく、あらゆる色、形、大きさまたは材料のものであってもよい。また、PMUファンクションキーのうち1つのみを含む、あるいは全く含まないあらゆる組合せは、PMU125に組み込んでもよい。
【0105】
応答ボタン907は、ユーザが受信確認した監視コンピュータ113に応答を返信するようにPMU125に指示する。OKボタン909は、ユーザが状態を調査し、その状態が誤報または解決されると判断した監視コンピュータ113に応答を返信するようにPMU125を指示する。消防署への通報ボタン913は、地元の消防署に通報して救助を求めるように監視コンピュータ113に指示する監視コンピュータ113に応答を返信するようにPMU125を指示する。また、一実施形態では、消防署への通報ボタン913は、固定電話または携帯電話をかけるように構成されるセカンダリトランシーバ1313によって消防署とユーザを直接接続するようにPMU125を指示してもよい。一実施形態では、消防署への通報ボタン913は、ユーザがPMU125のセカンダリトランシーバ1313を必要とせずに消防署と直接話すことができるように、消防署に通報してPMU125を消防署に接続するために監視コンピュータ113に応答を返信するようにPMU125を指示してもよい。この実施形態では、監視コンピュータ113は消防署との電話接続と無線周波送信またはPMU125からの他の種類の送信との間のリピータとして機能する。
【0106】
テナントへの通報ボタン915は、センサがそのユニットに居住者がいるかどうかを確認するために配置されるユニットのテナントまたは居住者に通報するように監視コンピュータ113に指示を送信するようにPMU125を指示してもよい。一実施形態では、テナントへの通報ボタン915は、トランシーバ1309を通してユニットの居住者に通報し、PMU125装置をテナントに直接接続するように監視コンピュータを指示する。一実施形態では、テナントへの通報ボタン915は、セカンダリトランシーバ1313を通してテナントに直接電話をするようにPMU125に指示する。これによって、PMUユーザが直接テナントと話すことができる。
【0107】
他者への通報ボタン917は、他の装置(例えば電話、携帯電話、ファックス、インターネットなど)によって他のPMUまたは他の管理者に連絡するように監視コンピュータ113に指示を送信するようにPMU125を指示してもよい。また、一実施形態では、他者への通報ボタンボタン917は、監視コンピュータが状況を説明するために接続する他者(例えば近くのアパート、他のPMUユーザ、他の装置を用いる管理者)にPMUユーザを接続するように監視コンピュータ113を指示してもよい。一実施形態では、他者への通報ボタンボタン917は、セカンダリトランシーバ1313を使用することによって他の管理者に直接通話するようにPMU125を指示してもよい。」
(オ)「【0116】
図10~12は、PMU125によって受信される通信の様々な実施形態の例を示す。図10は、警告メッセージの一実施形態を示す。警告メッセージは、PMU125のスクリーン1003に表示され、警報に関するあらゆる関連情報も含んでもよい。関連情報は、温度または煙の上昇率、アパート番号またはユニット番号、センサが設置されるアパートの部屋警報を示すセンサの数、居住者の電話番号、他者が通知されたかどうかおよび/または他者が受信確認したかどうかの他に状態の評価に関連する他のあらゆる更新情報も含んでもよい。」
(カ)図1
(キ)図9
(ク)図10
上記(オ)の【0116】、(ク)図10の記載、及び、(エ)の【0103】、(キ)図9の記載から、甲1号証には、携帯監視ユニットの警告メッセージを表示するスクリーン1003に、タッチスクリーンディスプレイを使用することによって、「テナントへの通報ボタン915」を含むすべてのボタンを置き換え、携帯監視ユニットの警告メッセージを表示するスクリーンに「タッチスクリーンディスプレイを使用してテナントへの通報ボタンを表示する」ことが記載されているといえる。
以上より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「 建物内に設置されたセンサユニットと監視コンピュータシステムと、監視コンピュータシステムと通信する建物管理者の携帯監視ユニットとを有するシステムであって、
携帯監視ユニットは、
センサユニットが異常状態を検出すると、監視コンピュータから通信を受け、警告メッセージはスクリーンに表示され、警報に関するあらゆる関連情報を含んでもよく、関連情報は、温度または煙の上昇率、アパート番号またはユニット番号、センサが設置されるアパートの部屋警報を示すセンサの数、居住者の電話番号、他者が通知されたかどうかおよび/または他者が受信確認したかどうかの他に状態の評価に関連する他のあらゆる更新情報を含み、
携帯監視ユニットのスクリーンには、タッチスクリーンディスプレイを使用して表示されるテナントへの通報ボタンが表示され、テナントへの通報ボタンはセカンダリトランシーバを通して、センサがそのユニットに居住者がいるかどうかを確認するために配置されるユニットのテナントまたは居住者に直接電話をするように携帯監視ユニットに指示することでPMUユーザが直接テナントまたは居住者と話すことができるシステム。」
イ-2 甲第5号証、甲第7号証、及び周知技術
取消理由通知において引用した甲第5号証(特開2011-8337号公報)には以下の事項が記載されている。
(ケ)「【0049】
ハンディ端末200は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を備える表示部214と、スピーカを備える報知部216と、ハンディ端末200を保持している本人(保持者)にのみ報知できるようにバイブレータを備える秘密報知部218とを備える。また、表示部214は、タッチパネル形式とすることによって表示画面に画面ボタン214bを構成することが可能である。つまり、画面ボタン214bにタッチすることによって、より迅速に通報処理を実行することが可能となる。」
(コ)「【0092】
図7は、本発明の実施の形態に係るPOSシステムでハンディ端末からの通報を受けたPOS端末の表示部の表示状態を模式的に例示する模式図である。
【0093】
ハンディ端末200cからの通報をPOS端末100で受信した場合、表示部114には、通報を発信したハンディ端末200cの端末番号HTNo.003を表示する「ハンディ端末No.003」、「使用者」の氏名(山田太郎)、通報内容「強盗」(強盗が侵入したこと)が表示される。
【0094】
また、表示部114は、さらに他の通報先への通報を実行するか否かの判断を求める表示をする構成とされている。例えば、「0:通報不要」、「1:警察通報」(警察署への通報)、「2:消防通報」(消防署への通報)、「3:各H/Tのみ通知」(各ハンディ端末200のみへの通知)が画面ボタン114bとして表示される。したがって、これらの表示に対して必要に応じた対応をすることが可能となる。」
取消理由通知において引用した甲第7号証(特開2009-68878号公報)には以下の事項が記載されている。
(サ)「【0023】
図4の画面には、さらに通報スイッチ24と注意喚起情報25が表示されている。通報スイッチ24は、自車両に事故や各種トラブルなどの非常事態が発生した場合に、ユーザが非常事態の発生を通報するための操作用のスイッチである。この通報スイッチ24がタッチパネル操作等によってユーザに選択されると、制御部10はその操作に応じて、通信端末2を制御して所定の無線信号を通信センターに対して送信させる。これにより、ナビゲーション装置1から通信センターへ非常事態の発生が通報され、必要に応じて救助の要請などが行われる。すなわち、自車両が危険地帯21内を走行しているときには、ユーザが非常事態の発生を通報するための操作画面として、図4のような画面が表示モニタ15に表示される。」
(ケ)、(コ)における、甲第5号証の、表示部に表示されるタッチパネル形式の画面ボタンは、「通報操作を示すソフトウェアボタン」であり、通報内容は、「メッセージ」であり、また、(サ)における、甲第7号証の、タッチパネル操作等によってユーザに選択される通報スイッチは、「通報操作を示すソフトウェアボタン」であり、注意喚起情報は、「メッセージ」である。
したがって、甲第5号証、甲第7号証には、「メッセージとソフトウェアボタンとを示す一の画面を表示手段に表示すること」(以下、「周知技術」という。)が記載されている。
ウ 対比・判断
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「センサユニット」、「携帯監視ユニット」は、それぞれ、本件発明1の「異常感知器」、「端末装置」に対応し、甲1発明の「センサユニットと監視コンピュータシステム」、「建物」は、それぞれ、本件発明1の「異常監視設備」、「監視対象の施設」に対応する。
(イ)甲1発明のスクリーンに表示される「警告メッセージ」は、「温度または煙の上昇率、、アパート番号またはユニット番号、センサが設置されるアパートの部屋警報を示すセンサの数、居住者の電話番号、他者が通知されたかどうかおよび/または他者が受信確認したかどうかの他に状態の評価に関連する他のあらゆる更新情報」を含む、警報に関する関連情報であるから、本件発明1の「異常に関する情報」に相当する。
(ウ)甲1発明の「タッチスクリーンディスプレイ」は、タッチ操作を行うディスプレイであり、本件発明1の「操作手段」の機能を有するものである。また、甲1発明の「タッチスクリーンディスプレイを使用して表示されるテナントへの通報ボタン」は、「通報操作を示すボタン」であって、タッチスクリーンディスプレイに表示されるボタンであるから、本件発明1の「通報操作を示すソフトウェアボタン」に対応する。
(エ)甲1発明の、警告メッセージを表示する「スクリーン」は、「タッチスクリーンディスプレイを使用して表示されるテナントへの通報ボタンが表示され」るから、本件発明1と甲1発明とは、上記(ア)から(ウ)を踏まえると、「前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す画面」を表示する「表示手段」である点で共通する。また、甲1発明において、「スクリーン」への表示が行われているのだから、甲1発明は、スクリーンへの表示を制御する手段を備えているといえる。
(オ)甲1発明の「テナントまたは居住者に直接電話をする」ための「セカンダリトランシーバ」は、本件発明1の「通報先への通報動作を行う通報手段」に対応する。また、甲1発明において、「テナントへの通報ボタン」が押されることにより、直接電話をするように制御が行われることから、「テナントへの通報ボタン」が選択操作されたことを特定するための手段を有するものといえ、甲1発明においても、「テナントへの通報ボタン」の選択操作がなされたことが選択操作を特定するための手段によって特定されるのに応じて、通報先への通報動作を行うものである。
(カ)甲1発明において、「テナントへの通報ボタン」により直接電話をする通報先は、「建物内に設置されたセンサユニット」が「異常状態を検出」した際に、「センサがそのユニットに居住者がいるかどうかを確認するために配置されるユニットのテナントまたは居住者」であるから、「異常を感知した異常感知器が設置された施設に対応した通報先」といえる。そして、警報監視ユニットは、警報に関する関連情報に含めて居住者の電話番号を取得しているから、異常を感知した異常感知器が設置された施設に対応した通報先の情報を取得する通報先情報取得手段を有しているといえる。
(キ)甲1発明において、通報先情報である居住者の電話番号は、上記(カ)のように、携帯監視ユニットによって受信される通信の警告メッセージに含まれる情報であり、当該通信は、センサユニットによって異常状態を検出したときに、監視コンピュータシステムからなされるものであるから、甲1発明の携帯監視ユニットは、センサユニットによって異常状態が感知されたとき、通報先の情報を取得することに含まれるといえる。
(ク)甲1発明の「システム」は、本件発明1の「異常通報システム」に対応する。
上記(ア)から(ク)を総合すると、本件発明1と甲1発明とは、
「 監視対象の施設に設置された異常感知器を有する異常監視設備と、前記異常監視設備と通信可能で施設を管理する管理者が携帯する端末装置とを有する異常通報システムであって、
前記端末装置は、
前記異常感知器により異常が感知されたとき、前記異常を感知した異常感知器が設置された施設に対応した通報先の情報を取得する通報先情報取得手段と、
前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記施設を管理する管理者により操作される操作手段に対し前記ソフトウェアボタンの選択操作がなされたことを特定する操作特定手段と、
前記操作手段に対し前記ソフトウェアボタンの選択操作がなされたことが前記操作特定手段によって特定されるのに応じて、前記通報先情報取得手段により取得された通報先の情報に基づいて通報先への通報動作を行う通報手段と
を有する異常通報システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:表示制御手段が表示手段に表示させる「前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す画面」について、本件発明1では、「一の画面」であり、「前記異常監視設備から受信する表示命令に基づいて、」表示させるのに対して、甲1発明は、当該構成について、明記されていない点。
上記相違点1について検討する。
相違点1について
甲1発明において、携帯監視ユニットは、監視コンピュータからの通信を受け、警告メッセージをスクリーンに表示することから、当該監視コンピュータからの通信は、監視コンピュータが警告メッセージを携帯監視ユニットのスクリーンに表示させる通信であり、監視コンピュータによる表示命令の機能を有するものである。
そして、「ソフトウェアボタンとメッセージを示す一の画面を表示すること」は、上記イ-2のとおり周知技術であり、甲1発明に当該周知技術を適用して、一のスクリーンに表示される「警告メッセージ」と「テナントへの通報ボタン」とを示す画面を「一の画面」として表示すること、すなわち、甲1発明において、「前記異常に関する情報と通報操作を示すソフトウェアボタンとを示す画面」を「一の画面」として、「前記異常監視設備から受信する表示命令に基づいて、」表示させることは、当業者が容易になし得る。
したがって、本件発明1は、上記引用発明、及び甲第5号証、甲第7号証に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、引用発明、及び甲第5号証、甲第7号証に記載される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、請求項1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項1に係る特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項2に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てにおける、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2019-700001