特許訂正審判
2019-390093
MHCクラスIIを発現する悪性腫瘍の治療薬
- 審判番号
- 2019-390093
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-537723
- 登録番号
- 特許第5884139号(P5884139)
- 請求日
- 2019年08月05日
- 審決日
- 2019年10月09日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】国立研究開発法人 理化学研究所
- 【請求人代理人】熊倉 禎男
- 【請求人代理人】箱田 篤
- 【請求人代理人】渡辺 光
- 【請求人代理人】滝澤 敏雄
- 【請求人代理人】小林 正和
- 【請求人代理人】山崎 一夫
- 【請求人】学校法人 順天堂
- 【請求人代理人】熊倉 禎男
- 【請求人代理人】箱田 篤
- 【請求人代理人】渡辺 光
- 【請求人代理人】滝澤 敏雄
- 【請求人代理人】小林 正和
- 【請求人代理人】山崎 一夫
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 聖子
- 審判官 天野 貴子
- 審判官 長井 啓子
- 分類
- P141 .853-Y (C07K) / P141 .851-Y (C07K) / P141 .854-Y (C07K) / P141 .855-Y (C07K) / P141 .856-Y (C07K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5884139号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5884139号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第5884139号に係る出願は、平成23年10月4日に出願され、その請求項1~12に係る発明について平成28年2月19日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和1年8月5日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5884139号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1~12のとおりである。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「軽鎖CDR1(配列番号54の49~54位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR2(配列番号54の69~84位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR3(配列番号54の117~128位で表わされるアミノ酸配列)、重鎖CDR1(配列番号56の46~55位で表わされるアミノ酸配列)、重鎖CDR2(配列番号56の71~77位で表わされるアミノ酸配列)、及び重鎖CDR3(配列番号56の100~108位で表わされるアミノ酸配列)を含み、」とあるのを、「軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3、重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3を含み、ここで、軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3は、それぞれ配列番号54及び56において、Kabatらの番号付け(Kabat, E. A. ,et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., 1991, Bethesda:US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH.)により規定され、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~10も同様に訂正する)。
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
4.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか1項」とあるのを、「請求項1」に訂正する。
5.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項」とあるのを、「請求項1又は4」に訂正する。
6.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか1項」とあるのを、「請求項1、4及び5のいずれか1項」に訂正する。
7.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び4~7のいずれか1項」に訂正する。
8.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~7のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び4~7のいずれか1項」に訂正する。
9.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~7のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び4~7のいずれか1項」に訂正する。
10.訂正事項10
明細書段落【0007】に「軽鎖CDR1(配列番号54の49~54位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR2(配列番号54の69~84位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR3(配列番号54の117~128位で表わされるアミノ酸配列)、重鎖CDR1(配列番号56の46~55位で表わされるアミノ酸配列)、重鎖CDR2(配列番号56の71~77位で表わされるアミノ酸配列)、及び重鎖CDR3(配列番号56の100~108位で表わされるアミノ酸配列)から選ばれる少なくとも一つを含む」と記載されているのを、「軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3、重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3から選ばれる少なくとも一つを含む」に訂正する。
11.訂正事項11
明細書段落【0016】に「相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)として軽鎖CDR1(配列番号54の49~54位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR2(配列番号54の69~84位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR3(配列番号54の117~128位で表わされるアミノ酸配列)、軽鎖CDR1(配列番号56の46~55位で表わされるアミノ酸配列)、重鎖CDR2(配列番号56の71~77位で表わされるアミノ酸配列)、及び重鎖CDR3(配列番号56の100~108位で表わされるアミノ酸配列)から選ばれる少なくとも一つを含む」と記載されているのを、「相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)として軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3、軽鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3から選ばれる少なくとも一つを含む」に訂正する。
12.訂正事項12
明細書段落【0071】に「配列番号54において、Kabatらの番号付け(Kabat,E.A.,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,1991,Bethesda:US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH.)によれば1~18位がリーダー配列、49~54位がCDR1、69~84位がCDR2、117~128位がCDR3に相当する。同様に、配列番号56において、1~22位がリーダー配列、46~55位がCDR1、71~77位がCDR2、100~108位がCDR3に相当する。」と記載されているのを、「配列番号54において、Kabatらの番号付け(Kabat,E.A.,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,1991,Bethesda:US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH.)によりリーダー配列、CDR1、CDR2、CDR3が規定される。同様に、配列番号56において、リーダー配列、CDR1、CDR2、CDR3が規定される。」に訂正する。
第3 当審の判断
事案に鑑み、訂正事項1、同12、同10~11、同2~9の順に判断する。
1.訂正事項1について
(1)訂正事項1による請求項1の訂正について
ア 訂正の目的
訂正事項1による請求項1の訂正は、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1に記載された「(配列番号54の49~54位で表わされるアミノ酸配列)」、「(配列番号54の69~84位で表わされるアミノ酸配列)」、「(配列番号54の117~128位で表わされるアミノ酸配列)」、「(配列番号56の46~55位で表わされるアミノ酸配列)」、「(配列番号56の71~77位で表わされるアミノ酸配列)」、及び「(配列番号56の100~108位で表わされるアミノ酸配列)」(以下、これら6つの記載をまとめて「かっこ書きのアミノ酸配列」という。)を削除し、かつ、「ここで、軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3は、それぞれ配列番号54及び56において、Kabatらの番号付け(Kabat, E. A. ,et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., 1991, Bethesda:US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH.)により規定され、」を挿入するものである。
設定登録時の特許請求の範囲の請求項1に記載される抗体は、その記載から、「アミノ酸配列CRHNYGVGESFT(配列番号:1)を含むエピトープと、アミノ酸配列RNQKGHSGLQPRGFLS(配列番号:28)、アミノ酸配列FFNGTERVRLLERHF(配列番号:8)、及びアミノ酸配列RHNYGAVESFTVQRR(配列番号:15)から選ばれる少なくとも一つを含むエピトープと結合する認識部位を有し、且つ悪性腫瘍に発現しているMHCクラスIIを構成するタンパク質を認識する」という性質を有する抗体であり、かつ、その相補性決定領域である軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3(以下、これらをまとめて「CDRs」ともいう。)が、4713mAbの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のアミノ酸配列を示す配列番号54及び56を用いて特定されている。そして、4713mAbは、上述の性質を有する抗体として設定登録時の明細書の発明の詳細な説明に具体的に開示された唯一の抗体であるから、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1に記載される抗体が4713mAbに基づく発明であることは明らかである。
一方、設定登録時の明細書の段落【0071】には、「以上の方法により取得した4713mAb重鎖及び軽鎖の可変領域の遺伝子配列及びアミノ酸配列をそれぞれ図15及び16に示す。軽鎖の可変領域の遺伝子配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列番号53及び54に示す。重鎖の可変領域の遺伝子配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列番号55及び56に示す。配列番号54において、Kabatらの番号付け(Kabat, E. A. ,et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., 1991, Bethesda:US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH.)によれば・・・位がCDR1、・・・位がCDR2、・・・位がCDR3に相当する。同様に、配列番号56において、・・・位がCDR1、・・・位がCDR2、・・・位がCDR3に相当する。」と記載されているから、設定登録時の明細書において、4713mAbのCDRsがKabatらの番号付け(Kabat, E. A. ,et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., 1991, Bethesda:US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH.)により規定されたことは明らかであり、そうすると、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1に記載されたCDRsが、4713mAbの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のアミノ酸配列を示す配列番号54及び56においてKabatらの番号付け(Kabat, E. A. ,et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., 1991, Bethesda:US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH.)により規定されたCDRsであることも明らかである。
そして、Kabatらの番号付け(Kabat, E. A. ,et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., 1991, Bethesda:US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH.)により規定された抗体のCDRsの位置を確認する種々の手段が当該技術分野の当業者に知られているところ、例えば、米国の国立生物工学情報センター(NCBI)が提供する、免疫グロブリン(IG)とT細胞受容体(TR)のVドメイン配列の検索ツール「IGBLAST」(https//www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を用いて取得される、4713mAbのCDRsの位置はそれぞれ、甲第1号証に示されるとおり、軽鎖CDR1~CDR3について配列番号54における46~55位、71~77位、110~118位、重鎖CDR1~CDR3について配列番号56における49~54位、69~84位、117~128位であり、これらの位置がKabatらの番号付けにより規定される4713mAbのCDRsの正しい位置であることが技術的に理解される。
しかしながら、これらの位置は、設定登録時の明細書の段落【0071】に記載され、あるいは、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1の軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3のそれぞれの記載の後にかっこ書きで示されている、配列番号54における49~54位、69~84位、117~128位、配列番号56における46~55位、71~77位、110~118位とは異なっており、これらの位置がKabatらの番号付けにより規定される4713mAbのCDRsの位置として誤りであることが技術的に理解される。
そうすると、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1の軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3のそれぞれの記載の後のかっこ書きのアミノ酸配列は、配列番号54及び56におけるCDRsの位置として誤った位置に対応するアミノ酸配列を示しているという不合理を生じているから、そのような不合理な記載を訂正し、当該CDRsがそれぞれ、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定される本来の意味のものであるとする訂正事項1の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、訂正事項1による請求項1の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アで述べたとおり、設定登録時の明細書の段落【0071】に記載され、あるいは、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1の軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3のそれぞれの記載の後にかっこ書きで示されている、配列番号54及び56におけるCDRsの位置は、Kabatらの番号付けにより規定されるCDRsの位置として技術的にみて誤りであって、その正しい位置は当業者にとって明らかである。
そうすると、前記の誤った記載を訂正し、特許請求の範囲の請求項1に記載されるCDRsがそれぞれ、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定される本来の意味のものであるとする訂正事項1の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるし、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1による請求項1の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(2)訂正事項1による請求項2~10の訂正について
訂正事項1による訂正後の請求項2~10は、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1を直接又は間接に引用することにより、請求項1中の不合理を生じている記載を含んでいた、設定登録時の特許請求の範囲の請求項2~10について、請求項1と同様に訂正するものであるから、訂正事項1による請求項1の訂正について前記(1)アで述べたのと同様に、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、前記(1)イで述べたのと同様に、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるし、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1による請求項2~10の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項乃至第6項の規定に適合する。
(3)まとめ
以上のとおり、訂正事項1による請求項1~10の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項乃至第6項の規定に適合する。
2.訂正事項12について
訂正事項12の訂正は、設定登録時の明細書の段落【0071】の4713mAbの重鎖及び軽鎖の可変領域に関する記載である「配列番号54において、Kabatらの番号付け(・・・)によれば1~18位がリーダー配列、49~54位がCDR1、69~84位がCDR2、117~128位がCDR3に相当する。同様に、配列番号56において、1~22位がリーダー配列、46~55位がCDR1、71~77位がCDR2、100~108位がCDR3に相当する。」を、「配列番号54において、Kabatらの番号付け(・・・)によりリーダー配列、CDR1、CDR2、CDR3が規定される。同様に、配列番号56において、リーダー配列、CDR1、CDR2、CDR3が規定される。」に訂正するものである。
そして、前記1(1)アで述べたとおり、設定登録時の明細書の段落【0071】に記載される、配列番号54及び56におけるCDRsの位置は、Kabatらの番号付けにより規定されるCDRsの位置として技術的にみて誤りであって、その正しい位置は当業者にとって明らかである。
そうすると、設定登録時の明細書の段落【0071】の4713mAbの重鎖及び軽鎖の可変領域に関する記載は、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定されるCDRsの位置として誤った位置を記載しているという不合理を生じており、そのような不合理な記載を訂正し、当該CDRsがそれぞれ、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定される本来の意味のものであるとする訂正事項12の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上述のとおり、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定されるCDRsの正しい位置は当業者にとって明らかであるから、配列番号54及び56におけるCDRsの位置として誤った記載を訂正し、それらがそれぞれKabatらの番号付けにより規定される本来の意味のものであるとする訂正事項12の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるし、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項12の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項乃至第6項の規定に適合する。
3.訂正事項10及び11について
訂正事項10の訂正は、設定登録時の明細書の段落【0007】において、また、訂正事項11の訂正は、設定登録時の明細書の段落【0016】において、軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3のそれぞれの記載の後のかっこ書きのアミノ酸配列を削除するものであるところ、当該かっこ書きのアミノ酸は、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1の軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3のそれぞれの記載の後のかっこ書きのアミノ酸配列と同じものである。
そして、前記1(1)アで述べたとおり、設定登録時の明細書の段落【0071】に記載され、あるいは、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1の軽鎖CDR1~3及び重鎖CDR1~3のそれぞれの記載の後にかっこ書きで示されている、配列番号54及び56におけるCDRsの位置は、Kabatらの番号付けにより規定されるCDRsの位置として技術的にみて誤りであって、その正しい位置は当業者にとって明らかである。
そうすると、設定登録時の明細書の段落【0007】及び同【0016】に記載されたかっこ書きのアミノ酸配列も、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定されるCDRsの位置として誤った位置を記載しているという不合理を生じているから、そのような不合理な記載を削除することにより当該CDRsがそれぞれ、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定される本来の意味のものであるとするする訂正事項10及び11の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上述のとおり、配列番号54及び56においてKabatらの番号付けにより規定されるCDRsの正しい位置は当業者にとって明らかであるから、訂正事項10及び11の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるし、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項10及び11の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項乃至第6項の規定に適合する。
4.訂正事項2及び3について
訂正事項2及び3はそれぞれ、訂正前の請求項2及び3を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2及び3はそれぞれ、訂正前の請求項2及び3の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
また、訂正事項2及び3はそれぞれ、訂正前の請求項2及び3を削除するものであって、独立特許要件について判断すべき対象が存在しないから、特許法126条7項に適合するか否かの判断を要しない。
よって、訂正事項2及び3の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項乃至第6項の規定に適合する。
5.訂正事項4~9について
訂正事項4~9のそれぞれによる請求項4~6、8~10の訂正はいずれも、請求項2及び3を削除する訂正事項2及び3の訂正に伴い、請求項4~6、8~10のそれぞれ、及び、請求項4~6、8~10を直接または間接に引用する請求項における、引用請求項の一部を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4~9のそれぞれによる請求項4~6、8~10の訂正はいずれも、請求項2及び3を削除する訂正事項2及び3の訂正に伴い、請求項4~6、8~10のそれぞれ、及び、請求項4~6、8~10を直接または間接に引用する請求項における、引用請求項の一部を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
また、訂正事項4~9のそれぞれによる請求項4~6、8~10の訂正はいずれも、請求項2及び3を削除する訂正事項2及び3の訂正に伴い、請求項4~6、8~10のそれぞれ、及び、請求項4~6、8~10を直接または間接に引用する請求項における、引用請求項の一部を削除するものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、本訂正により特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもないから、独立特許要件を満たす。
よって、訂正事項4~9のそれぞれによる請求項4~6、8~10の訂正はいずれも、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項乃至第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、訂正事項1~12に係る本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項乃至第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり、訂正することを認める。
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2019-390093