商標取消審判
2019-300603
フフフ
- 審判番号
- 2019-300603
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2011-044723
- 登録番号
- 5458965
- 請求日
- 2019年08月02日
- 審決日
- 2021年10月26日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】高橋 隆二
- 【請求人代理人】生田 哲郎
- 【被請求人】韮澤 拓
- 【被請求人代理人】三田 大智
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 半田 正人
- 審判官 平澤 芳行
- 分類
- T132 .1 -Z (X35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条、商標法第50条、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5458965号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5458965号商標の指定役務中,第35類「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,豆、米、脱穀済みのえん麦、脱穀済みの大麦、あわ、きび、ごま、そば(穀物)、とうもろこし(穀物)、ひえ、麦、籾米、もろこし、食用粉類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は,被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5458965号商標(以下「本件商標」という。)は,「ふふふ」の文字を横書きしてなり,平成23年6月14日に登録出願,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同年12月22日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和元年8月20日である。
以下,本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成28年8月20日ないし令和元年8月19日)を「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第35類「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,豆,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,食用粉類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定役務」という場合がある。)について,継続して3年以上日本国内において,使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は本件商標の使用権者である株式会社ふふふの会社登記簿(乙1)を,同社が小売業務を行っている事実を主張して提出しているが,会社登記簿の目的欄の記載は実際の事業活動の存在を証明するものではないので,失当である。
(2)乙第2号証に係る書証は,被請求人のfacebookの投稿記事のようである。
しかし,当該投稿記事の投稿日(2018年10月20日)の横に示されている図マーク(人を示すマーク)は,当該投稿の公開設定の範囲を特定の友人に限定していることを示すマークであり,当該投稿は一般公衆による閲覧可能な状態にはなっていない(甲2)。
フェイスブックの公開設定において,一般公衆に公開される場合は,図マーク(地球を示すマーク)が表示されるが,乙第2号証にはそのようなマークがない。被請求人のフェイスブックのアカウント(甲3)を見ると,2014年3月19日以前のフェイスブックの投稿には,図マーク(地球を示すマーク)が付されており,一般公衆が閲覧可能な状態とされているが,以後の投稿はすべて公開を特定の友人に限定している。
したがって,乙第2号証は,一般公衆に頒布(商標法第2条第3項第8号)されたものではないので,被請求人の使用証明の根拠にはならない。
この点,知財高裁平成22年12月15日判決[エコルクス事件](判例時報2108号127頁)は,「商標法2条3項8号所定の標章を付した広告等の「頒布」とは,同号に並列して掲げられている「展示」及び「電磁的方法により提供する行為」と同視できる態様のもの,すなわち,標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれることをいい,標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれていない場合には,商標法2条3項8号所定の標章を付した広告の「頒布」に当たらないものと解するのが相当である。」と判示しているところである。
また,乙第2号証は,米の小売役務に係る便益の提供の事実を示すものではないので,本件商標の使用事実の立証はない。
(3)乙第3号証について
ア 乙第3号証に係るホームページの記載は,単にコメ販売の開始を記載するにすぎず,小売役務の便益の提供に関する本件商標の使用の事実に関するものではない。
乙第3号証(3頁)には「ふふふおすすめの新潟県産米の販売を開始しました。」,「ふふふと老舗米穀店がコラボ」と記載されているが,これらの記載中の「ふふふ」は,第三者とコラボしたり,第三者の商品をおすすめしたりする業務主体たる株式会社ふふふを示すものであり,商品・役務の出所表示としての使用ではないこと明らかである。
イ また,同号証に係る被請求人の行為は,仮に使用に当たると解したとしても,以下のとおり,商標法第50条第3項の駆け込み使用に該当し,登録商標の使用に該当しない。
乙第3号証は,令和元年7月3日に株式会社ふふふのホームページが改定されて販売開始の記載がなされたものと思われる。
しかし,この乙第3号証の記載内容も,米の小売役務における便益の提供の使用を裏付けるものではないばかりか,以下のとおり駆け込み使用に該当する。
本件審判は,令和元年8月2日に請求され,同月20日に登録された。
乙第3号証は,株式会社ふふふが自身のホームページに令和元年7月3日に初めて掲載されたものであるので,上記の請求前3か月(令和元年5月2日)から登録日までの使用であることは明らかである。そして,その使用は以下の事情により,本件取消審判がされることを知った後であるので,本件商標の使用には該当しない(商標法50条3項)。
ウ 富山県は県で開発した新品種の米について品種名の公募を行い,JAライフ富山らを含むJAグループはその新種米の販売を担当することとなった。平成29年3月,その新品種名が「富富富」と決定された後,販売に向けての準備が開始された。被請求人はその新品種の名称が「フフフ」の称呼を含むことから平成30年11月,12月,富山県及びJAライフ富山の親会社である全農に対して本件商標の商標権侵害に基づく使用禁止の警告書面を送付した。株式会社ふふふはその当時,商品「味噌汁」の製造販売は行っていたが,小売業務を行っていた事実はなく,また,商品「米」の製造又は販売を行っていた事実はない。富山県と被請求人間の本件商標権の侵害交渉は協議不成立となり,被請求人は平成31年4月26日,富山県とJAライフ富山に対して,本件商標権に基づく商標権侵害差止請求,損害賠償請求を提訴した(乙5の1,乙6)。
商標権侵害に基づく差止請求訴訟においては,請求原因となる商標権が不使用取消審判によって取消されるべきことが明らかな場合は,差止請求は権利濫用として許されないことになる(東京地裁平成26年10月30日[平成26年(ワ)第768号])。
したがって,差止請求を提訴された上記訴訟事件の被告であるJAライフ富山(又は富山県)は,本件商標権について不使用取消審判を請求する蓋然性は高く,被請求人においても,その提訴当時「米」等の商品を扱っていなかったことから,本件商標に対して不使用取消審判の請求がなされることは充分認識していたとみられる。特に,上記提訴の平成31年4月26日以降は,その可能性が高いことは認識し得るものであり,現にJAライフ富山の代理人である請求人は本件審判を請求し,富山県は,その事実を援用している。
よって,乙第3号証は,本件商標の使用証明の証拠たり得ない。
(4)乙第4号証について
ア 乙第4号証の1の作成日は不明である。同号証の2は,2019年1月との記載はあるが,その作成日や頒布日を客観的に裏付ける資料はない。仮にそれがインターネット上のウェブサイトに係る掲載であるとしても,その掲載日は不明であり,同号証自体の作成日は2019年10月7日であるので,取消審判登録日前の使用を裏付けるものではない。
イ 乙第4号証は,業者に対して,75mmのカプセルに1合の米を入れた商品を当該業者の広告宣伝用のノベルティグッズとして納品することを宣伝するものであり,その製造受託品を「米ガチャ」と称している。これらは一般消費者に対して販売するものではない。そのことは,カプセル中に広告宣伝を入れることができること,機械本体の全面表示に広告等を表示できること,依頼者のオリジナル米カプセルを製造することができること等の記載から明らかである。「ふふふ」の記載は,その製造受託者の業務主体を表示しているものである。
乙第4号証は,「広告宣伝物の企画及び制作」(類似商品・役務審査基準35A01)に関する使用事実を示すものではあっても,米穀類等の小売役務において行われる顧客に対する便益の提供に関する使用事実を裏付けるものではない。
以上のとおり,乙第4号証は事業者に対して,業者の広告宣伝用のノベルティグッズの制作(広告宣伝物の企画及び制作)を表示しているものであって,小売業務・卸業務に関するものではないし,顧客に対する便益の提供に関するものでもない。
乙第4号証は,本件商標の使用を証明するものでないこと明らかである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 被請求人による商標使用実態
(1)被請求人は,商標権者として,又は自身が代表取締役を務める「株式会社ふふふ」(乙1)を通常使用権者として,本件審判の請求登録日(令和元年8月20日)前3年以前から現在に至るまで,日本国内において,継続して下記複数の使用商標を本件指定役務の内,「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」又は「米の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について並行して使用している(乙2~乙4)。
記
使用商標1:ふふふ
使用商標2:別掲
(2)具体的には,本件通常使用権者は,即席味噌汁をはじめとした飲食料品の小売を行っており(乙1),被請求人のSNSサイト(乙2)にて,使用商標1を用いて「米穀類」又は「米」の小売等役務を告知し,通販用のサイト(乙3)においては使用商標1を使用する他,使用商標2を使用して「米穀類」又は「米」の小売等役務を提供している。
(3)さらに,本件通常使用権者は,使用商標1を用いて「米ガチャ」なる「米穀類」又は「米」の小売等役務を提供している(乙4の1,2)
(4)上記のとおり,被請求人が自身又は本件通常使用権者を通じて,本件審判の請求登録日前3年よりも前から現在に至るまで,日本国内において,継続して上記複数の使用商標を本件指定役務の内,「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」又は「米の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用していることは明白である。
2 使用商標について
(1)被請求人及び本件通常使用権者が使用している使用商標は本件商標と同一又は社会通念上同一の商標である。
(2)使用商標1は,本件商標と同一の商標である。
(3)使用商標2は,平仮名「ふふふ」を特殊な書体にてロゴ化しているものの,平仮名「ふふふ」を表したものと十分認識することができるから,本件商標と社会通念上同一の商標である。
(4)上記のとおり,被請求人及び本件通常使用権者が使用する使用商標1は本件商標と同一の商標であるとともに,本件通常使用権者が使用する使用商標2は本件商標と社会通念上同一の商標(商標法第50条第1項括弧書き)であり,これらの使用は商標法第50条第1項規定の商標権者又は通常使用権者による登録商標の使用に当たることは明らかである。
3 結論
以上の事実からすれば,日本国内において要証期間内に,商標権者又は本件通常使用権者たる「株式会社ふふふ」が本件商標を本件指定役務の内,「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」又は「米の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用していたものというべきである。
第4 当審における令和3年7月6日付け審尋及び被請求人の回答
1 審尋の要旨
株式会社ふふふのウェブサイト(乙3)から顧客が4種類の米を注文し,株式会社ふふふから顧客に対し当該商品が販売されたかを確認することができない。
2 被請求人の回答
被請求人から,上記審尋に対する回答はなかった。
第5 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)株式会社ふふふに係る履歴事項全部証明書(乙1)には,会社成立の年月日の欄に「平成23年7月6日」,目的の欄に「1.食品の製造,卸売,販売及び輸出入」,役員に関する事項の欄に,住所を新潟県三条市北新保二丁目2番9号とする「取締役 韮澤拓」及び「代表取締役 韮澤拓」との各記載がある。
(2)被請求人の2018年(平成30年)10月20日付けSNSサイト(乙2)には,4種類の米の写真が掲載され,コメント欄に【笑顔になれる新潟県産米セット4(フォー)を発売致します!】,「贈って喜ばれ,もらってうれしいふふふおすすめの『新潟県産米セット』です。」の記載があるが,商品単価や注文方法等の記載はなく,当該商品の注文書,納品書,受領書等取引書類の提出もない。
(3)2019年(令和元年)7月3日にウェイバックマシンにより保存された株式会社ふふふに係るウェブサイト(乙3)において,上記(2)の4種類米の写真が掲載され,「ふふふおすすめの新潟県産米の販売を開始しました!」の見出しの下,「贈って喜ばれ,もらってうれしいふふふおすすめの『新潟県産米セット』です。」の記載があるが,商品単価や注文方法等の記載はなく,当該商品の注文書,納品書,受領書等取引書類の提出もない。
(4)株式会社ふふふを問合せ先とする「米ガチャ」のウェブサイト(乙4)において,カプセルの中に米を入れたカプセルトイに関する企画及び制作について記載がある。
2 判断
(1)使用者について
上記1(1)によれば,本件商標権者と株式会社ふふふの代表取締役は同一人であるから,使用許諾を示す契約書等の提出はないとしても,本件商標権者は,株式会社ふふふに対して,本件商標の使用について,黙示の許諾を与えていたものと認められる。
したがって,株式会社ふふふは,本件商標の通常使用権者であると認めることができる。
(2)本件通常使用権者による「米」の小売販売について
ア 上記1(2)のとおり,本件商標権者のSNSサイト(乙2)において,新潟県産米の注文を受け付けるための掲載はなく,当該商品が顧客に販売されたという証拠もない。
イ 上記1(3)のとおり,本件通常使用権者のウェブサイト(乙3)において,新潟県産米の注文を受け付けるための掲載はなく,当該商品が顧客に販売されたという証拠もない。
ウ 上記1(4)のとおり,本件通常使用権者の「米ガチャ」のウェブサイト(乙4)における掲載記事は,カプセルの中に米を入れたカプセルトイに関する企画及び制作に関するものであり,「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」,「米の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に関するものではない。
エ したがって,本件商標権者のSNSサイト及び本件通常使用権者のウェブサイトにおいて,要証期間内に「米」を小売販売していたと認めることはできない。
(3)小括
以上のとおり,株式会社ふふふは,本件商標の通常使用権者であると認めることができるが,本件商標権者のSNSサイト及び本件通常使用権者のウェブサイトにおいて,「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」,「米の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」がされたということはできない。
その他,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件審判の請求に係る指定役務について,本件商標の使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定役務のいずれかについて,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定役務について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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