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特許拒絶査定不服審判

2019-014122

ウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置

審判番号
2019-014122
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-176290外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年10月24日
審決日
2020年08月04日
公報発行日
2020年11月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-176290「ウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月16日出願公開、特開2017- 54872〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は,平成27年9月8日の出願であって,その手続の概要は,以下のとおりである。

平成31年 3月18日:拒絶理由通知(起案日)
令和 元年 5月20日:意見書,手続補正書
令和 元年 7月19日:拒絶査定(起案日)
令和 元年10月24日:審判請求,手続補正書
令和 元年12月24日:上申書

第2 令和元年10月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和元年10月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により,特許請求の範囲の請求項2の記載は,次のとおり補正された。

「【請求項2】
ウェーハの表面に形成された複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿って前記ウェーハの表面側から前記ウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後,前記表面に保護テープが貼り付けられた前記ウェーハの表面側をテーブルによって保持し,前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置であって,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を粗研削する粗研削手段と,
前記テーブルに保持されたウェーハの裏面に接触して前記ウェーハの厚さを測定する接触式厚さ測定手段と,
続きを表示(全11行)
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を精研削する精研削手段と,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面に対して離れた位置から前記ウェーハの厚さ測定する非接触式厚さ測定手段と,
前記接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで前記粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって,前記粗研削が行われた後,前記非接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記非接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さとなるまで前記精研削手段によって前記ウェーハの裏面を精研削させる制御手段と,
を備え,
前記制御手段は,前記粗研削手段及び前記精研削手段の送込速度を,前記ウェーハの厚さが薄くなるに従って連続的に遅くする手段であって,前記精研削手段の送り込みを停止して,前記精研削手段によってスパークアウトを実行させる手段であり,
さらに前記制御手段は,前記粗研削手段による加工時間と,前記スパークアウトを含む前記精研削手段による加工時間とが略等しくなるように,前記粗研削手段及び前記精研削手段の研削条件を設定する手段である,
ウェーハ研削装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の特許請求の範囲の請求項3の記載は次のとおりである。

「【請求項3】
ウェーハの表面に形成された複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿って前記ウェーハの表面側から前記ウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後,前記表面に保護テープが貼り付けられた前記ウェーハの表面側をテーブルによって保持し,前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置であって,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を粗研削する粗研削手段と,
前記テーブルに保持されたウェーハの裏面に接触して前記ウェーハの厚さを測定する接触式厚さ測定手段と,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を精研削する精研削手段と,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面に対して離れた位置から前記ウェーハの厚さ測定する非接触式厚さ測定手段と,
前記接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで前記粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって,前記粗研削が行われた後,前記非接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記非接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さとなるまで前記精研削手段によって前記ウェーハの裏面を精研削させる制御手段と,
を備え,
前記制御手段は,前記粗研削手段及び前記精研削手段の送込速度を,前記ウェーハの厚さが薄くなるに従って連続的に遅くする,
ウェーハ研削装置。」

2 補正の適否

本件補正は,本件補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項について限定を付加して補正後の請求項2とする補正事項を含む。

そして,補正前の請求項3に記載された発明と補正後の請求項2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。

したがって,本件補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項について限定を付加して補正後の請求項2とする補正は,特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の請求項2に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

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ア 引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2010-199227号公報(以下「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(下線は,当審で付加した。以下同じ。)

「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体ウェーハ等の薄板状のワークを研削して薄化加工する際などに用いる研削装置に関する。」
「【0016】
以下,図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]半導体ウェーハ(ワーク)
一実施形態では,図1に示す円板状の半導体ウェーハ(以下,ウェーハ)1を研削対象物であるワークとしている。ウェーハ1はシリコンウェーハ等であって,研削前の厚さは例えば700μm程度である。このウェーハ1の表面には格子状の分割予定ライン2によって複数の矩形状のチップ3が区画されている。これらチップ3の表面には,ICやLSI等の図示せぬ電子回路が形成されている。また,ウェーハ1の周面の所定箇所には,半導体の結晶方位を示すV字状の切欠き(ノッチ)4が形成されている。
【0017】
ウェーハ1は,図2に示す研削装置10Aによって裏面が研削されて,例えば50~100μm程度の厚さに薄化される。研削装置10Aに供されるウェーハ1の表面全面には,上記電子回路の保護のために保護テープ5が貼着される。保護テープ5は,例えば,厚さ70~200μm程度のポリオレフィン等の樹脂製基材シートの片面に5~20μm程度の粘着剤を塗布した構成のものが用いられ,粘着剤をウェーハ1の表面に合わせて貼着される。」
「【0019】
[2]研削装置の全体構成および動作
図2に示す研削装置10Aは,上記ウェーハ1を負圧吸着式のチャックテーブル(保持手段)30に吸着して保持し,2台の研削ユニット(粗研削用と仕上げ研削用)40A,40Bによりウェーハ1に対し粗研削と仕上げ研削を順次行ってウェーハ1を薄化加工するものである。以下,該研削装置10Aの構成ならびに動作を説明する。」
「【0023】
加工ステージ11上には,R方向に回転駆動されるターンテーブル17が設けられている。そしてこのターンテーブル17上の外周部には,複数(この場合,3つ)の円板状のチャックテーブル30が,周方向に等間隔をおいて配設されている。これらチャックテーブル30は,図示せぬ回転駆動機構により所定回転速度で自転する。
【0024】
仮置きテーブル16上で位置決めがなされたウェーハ1は,旋回アーム21の先端にウェーハ1を負圧作用で吸着する吸着パッド22が装着された供給手段20によって仮置きテーブル16から取り上げられ,ワーク着脱位置に位置付けられて負圧発生運転がなされている1つのチャックテーブル30の上方まで搬送される。そしてウェーハ1は,そのチャックテーブル30上に被加工面である裏面を上に向けた状態で同心状に載置され,保持される。ワーク着脱位置はチャックテーブル30が最も供給/回収ステージ12に近接した位置であり,ターンテーブル17の回転によってチャックテーブル30はワーク着脱位置に位置付けられる。
続きを表示(全38行)
【0025】
図3に示すように,チャックテーブル30は,ステンレス等からなる円板状の枠体31と,内部に無数の気孔を有する多孔質材からなる円板状の吸着部32とを備えている。枠体31の上面の大部分には,外周縁部31aを残して円形の凹所31bが同心状に形成されており,この凹所31bに吸着部32が嵌合されている。吸着部32の上面は水平で枠体31の外周縁部31aの上面と面一となっており,この吸着部32の上面が,ウェーハ1を吸着して保持する保持面32aとして構成されている。チャックテーブル30には,吸着部32内の空気を吸引して負圧状態とする図示せぬ負圧発生手段が接続されており,該負圧発生手段が運転されると,吸着部32の上側の空気が吸引され,これによりウェーハ1の被保持面である表面側(この場合,保護テープ5の表面)が保持面32aに吸着して保持されるようになっている。
【0026】
ワーク着脱位置はチャックテーブル30が最も供給/回収ステージ12に近接した位置であり,ターンテーブル17の回転によってチャックテーブル30はワーク着脱位置に位置付けられる。供給手段20は,供給/回収ステージ12の,ワーク着脱位置に近接した位置に設けられている。
【0027】
ワーク着脱位置でチャックテーブル30に保持されたウェーハ1は,ターンテーブル17がR方向へ所定角度回転することにより,粗研削用研削ユニット40Aの下方の一次加工位置に送り込まれ,この位置で該研削ユニット40Aによりウェーハ1の裏面が粗研削される。次いでウェーハ1は,再度ターンテーブル17がR方向へ所定角度回転することにより,仕上げ研削用研削ユニット40Bの下方の二次加工位置に送られ,この位置で該研削ユニット40Bによりウェーハ1の裏面が仕上げ研削される。
【0028】
加工ステージ11のY方向奥側の端部には,X方向に並ぶ2つのコラム50A,50Bが立設されており,これらコラム50A,50Bの前面に,各研削ユニット40A,40Bが,それぞれZ方向(鉛直方向)に昇降自在に設置されている。各研削ユニット40A,40Bは,各コラム50A,50Bの前面に設けられたZ方向に延びるガイド51にスライダ52を介して摺動自在に装着されており,サーボモータ53によって駆動されるボールねじ式の送り機構54により,スライダ52を介してZ方向に昇降するようになっている。
【0029】
各研削ユニット40A,40Bは同一構成であり,装着される砥石が粗研削用と仕上げ研削用と異なることで,区別される。研削ユニット40A,40Bは,軸方向がZ方向に延びる円筒状のスピンドルハウジング41を有しており,このスピンドルハウジング41内には,スピンドルモータ42によって回転駆動される図示せぬスピンドルシャフトが支持されている。そしてこのスピンドルシャフトの下端に,フランジ43を介して,ウェーハ1を研削する複数の砥石44が環状に配列された砥石ホイール45が取り付けられている。
【0030】
砥石44はウェーハ1に応じたものが選択され,例えば,ガラス質のボンド材中にダイヤモンド砥粒を混合して成形し,焼結したものなどが用いられる。各研削ユニット40A,40Bには,被加工面の冷却や潤滑あるいは研削屑の排出のための研削液を供給する研削液供給機構(図示略)が設けられている。
【0031】
砥石ホイール45は上記スピンドルシャフトと一体に回転し,該砥石ホイール45の,回転する砥石44の最外径である研削外径は,ウェーハ1の直径と同等か,もしくは小さく設定されている。図6で,1P,1A,1Bは,ウェーハ1のワーク着脱位置,一次加工位置,二次加工位置をそれぞれ示しており,研削ユニット40A,40Bは,一次加工位置1A,二次加工位置1Bの外周側にそれぞれ配設されている。また,ターンテーブル17が所定角度回転して定められる一次加工位置1Aおよび二次加工位置1Bは,チャックテーブル30が回転することによって自転するウェーハ1の回転中心Oを研削ホイール45の外縁部が通過して,ウェーハ1の裏面全面が研削され得る位置に設定される。
【0032】
ウェーハ1の裏面は,粗研削および仕上げ研削の各加工位置において,各研削ユニット40A,40Bにより研削される。裏面研削は,チャックテーブル30を回転させてウェーハ1を自転させ,送り機構54によって研削ユニット40A(40B)を下降させる研削送りをしながら,回転する砥石ホイール45の砥石44をウェーハ1の露出している裏面に押し付けることによりなされる。
【0033】
ウェーハ1は,粗研削から仕上げ研削を経て目標厚さまで薄化される。なお,粗研削では,仕上げ研削後の厚さの例えば30~40μm手前まで研削され,残りが仕上げ研削で研削される。ウェーハ1の厚さは,一次加工位置1Aおよび二次加工位置1Bの近傍にそれぞれ設けられた第1厚さ測定ゲージ60,および第2厚さ測定ゲージ70によって測定される。ウェーハ1の裏面研削は,それら厚さ測定ゲージ60,70によってウェーハ1の厚さを測定しながら行われ,各厚さ測定ゲージ60,70の測定値に基づいて,上記送り機構54による研削送り量が制御手段19により制御される。
【0034】
この場合,第1厚さ測定ゲージ60は接触式であり,第2厚さ測定ゲージ70は非接触式である。接触式の第1厚さ測定ゲージ60は,図3に示すように,加工ステージ11に立設される真っ直ぐなポスト61と,このポスト61の上端からチャックテーブル30の上方に向かって延びる2つのプローブ62,63とを備えるものである。2つのプローブ62,63は,それぞれ基準プローブ62,変動プローブ63であって,ポスト61に対して上下に揺動可能に装着されている。
【0035】
基準プローブ62は,先端がウェーハ1で覆われないチャックテーブル30の枠体31の外周縁部31aの上面に接触させられる。一方,変動プローブ63は,先端がチャックテーブル30に保持されるウェーハ1の上面すなわち被加工面に接触させられる。第1厚さ測定ゲージ60では,基準プローブ62によりチャックテーブル30の高さ位置が検出され,変動プローブ63によりウェーハ1の上面の高さ位置が検出される。そして,両者の検出データの差に基づいてウェーハ1の厚さが算出される。
【0036】
なお,この場合はウェーハ1の表面に保護テープ5が貼着されているので,保護テープ5の厚さも考慮してウェーハ1の厚さが算出される。すなわち,「(変動プローブ63の検出データ-基準プローブ62の検出データ)-保護テープ5の厚さ」が,ウェーハ1の厚さとされる。この厚さ測定値が制御手段19に送られ,制御手段19は送られた厚さ測定値に基づいて送り機構54による研削送り量を制御する。
【0037】
一方,非接触式の第2厚さ測定ゲージ70は,図4に示すように,加工ステージ11に立設され先端がチャックテーブル30の上方に延びる逆L字状のポスト71と,このポスト71の先端に設けられた円筒状のヘッド部72とを備えている。図5に示すように,ヘッド部72の内部には,図示せぬ超音波発振部から発振されるパルス超音波等の超音波Sを所定角度で下方のウェーハ1に向けて送る送波部73と,送波部73から送波されてウェーハ1に反射した超音波Sの反射波を受ける受波部74とが配設されている。
【0038】
ヘッド部72の内部には,図示せぬ給水管から純水等の水Wが供給されるようになっており,ヘッド部72内における送波部73および送波部73の下端部とウェーハ1の表面間の空間が常に水Wで満たされるようになっている。このように水Wが供給されることにより,超音波Sは空気中よりも減衰が少なくなって伝播性が良好になり,測定精度が向上する。なお,供給される水Wは,ヘッド部72の下端面とウェーハ1の上面との間に形成される僅かな隙間から排水されていく。
【0039】
この構成からなる第2厚さ測定ゲージ70によれば,送波部73から水W中を通してウェーハ1に向けて送波された超音波Sは,ウェーハ1の上面(被加工面)と下面とで反射し,それぞれが第1反射波S1,第2反射波S2として,受波部74で受波される。第2反射波S2は,ウェーハ1の厚さ分だけ第1反射波S1よりも遅れて受波部74に到達するので,この時間差に基づいてウェーハ1の厚さが測定される。
【0040】
厚さ測定値は制御手段19に送られ,制御手段19は送られた厚さ測定値に基づいて,研削ユニット40Bの送り機構54による研削送り量を制御する。なお,制御手段19には,研削前に予めウェーハ1の研削後の目的厚さが入力され,制御手段19はこの目的厚さまでウェーハ1が研削されるように,各研削ユニット40A,40Bの研削送り量を制御する。
【0041】
なお,本実施形態の第2厚さ測定ゲージ70は超音波を利用した非接触式であるが,非接触式の形態は任意に選択可能であり,例えばレーザ光を用いた形態の測定器を用いることもできる。」

(イ)上記記載から,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。),及び,技術的事項が記載されていると認められる。

<引用発明>

「ICやLSI等の電子回路が表面に形成されている矩形状の複数のチップが,格子状の分割予定ラインによって区画されている,円板状の半導体ウェーハ(以下,ウェーハ)の表面全面に貼着された,上記電子回路の保護のための保護テープを,負圧吸着式のチャックテーブル(保持手段)に吸着して保持し,2台の研削ユニット(粗研削用と仕上げ研削用)40A,40Bによりウェーハに対し粗研削と仕上げ研削を順次行ってウェーハを目標厚さまで薄化加工する研削装置であって,
加工ステージ上に設けられた,R方向に回転駆動されるターンテーブルと,
このターンテーブル上の外周部に,周方向に等間隔をおいて配設された,3つの円板状の,回転駆動機構により所定回転速度で自転するチャックテーブルと,
ワーク着脱位置でチャックテーブルに保持されたウェーハが,ターンテーブルのR方向への所定角度の回転により送り込まれる一次加工位置で,ウェーハの裏面を粗研削する,サーボモータによって駆動されるボールねじ式の送り機構により,スライダを介してZ方向(鉛直方向)に昇降自在に設置されている,粗研削用の砥石が装着された粗研削用研削ユニット40Aと,
ターンテーブルの再度のR方向への所定角度の回転により送られる二次加工位置で,ウェーハの裏面を仕上げ研削する,サーボモータによって駆動されるボールねじ式の送り機構により,スライダを介してZ方向(鉛直方向)に昇降自在に設置されている,仕上げ研削用の砥石が装着されている研削ユニット40Bと,
各研削ユニット40A,40Bに設けられた,被加工面の冷却や潤滑あるいは研削屑の排出のための研削液を供給する研削液供給機構と,
ウェーハの厚さを測定する,一次加工位置および二次加工位置の近傍にそれぞれ設けられた接触式である第1厚さ測定ゲージ60,および非接触式である第2厚さ測定ゲージ70と,
これら厚さ測定ゲージ60,70によってウェーハの厚さを測定しながら行なうウェーハの裏面研削において,各厚さ測定ゲージ60,70の測定値に基づいて,上記送り機構による研削送り量を制御する,研削前に予めウェーハの研削後の目的厚さが入力され,この目的厚さまでウェーハが研削されるように,各研削ユニット40A,40Bの研削送り量を制御する制御手段と,
を備えた研削装置。」

イ 引用文献2

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2003-17442号公報(以下「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,半導体ウェーハの表面に裏面まで貫通しない切削溝を形成した後,裏面を研削して切削溝を表出させることにより個々の半導体チップに分割する半導体ウェーハの分割システム及び分割方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体チップを薄く形成するための技術として,半導体ウェーハの表面に形成された複数の半導体回路を区画するストリートに裏面まで貫通しない比較的浅い切削溝を形成した後,その半導体ウェーハの裏面を研削砥石により研削することにより裏面側から切削溝を表出させて個々の半導体チップに分割する先ダイシングと呼ばれる技術が本出願人等によって開発されている。
【0003】この先ダイシング技術によれば,チップの厚みが50μm以下となるように加工することも可能となるため,携帯電話機等の各種機器の小型化,薄型化の要求に応えることができる。
【0004】先ダイシングにおいては,図15に示すように,表面に切削溝402が形成された半導体ウェーハWの表面に保護テープTを貼着し,この保護テープTを下にしてチャックテーブル400において半導体ウェーハWを保持し,回転する研削砥石401を下降させて裏面を研削することにより切削溝402を表出させて個々の半導体チップCに分割する。
【0005】通常,研削は種類の異なる研削砥石を用いて粗研削,仕上げ研削の2段階に分けて行われるが,粗研削の段階で切削溝402を表出させてしまうと,分割によって形成された半導体チップCの角に粗研削用の研削砥石が接触してその半導体チップに欠け等の破損が生じるおそれがある。そこで,粗研削の段階では切削溝402が表出する直前で研削を終了させ,仕上げ研削ではじめて切削溝402を表出させるのが一般的である。」

(イ)上記記載から,引用文献2には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

・半導体チップを薄く形成するための技術として,半導体ウェーハの表面に形成された複数の半導体回路を区画するストリートに裏面まで貫通しない比較的浅い切削溝を形成した後,その半導体ウェーハの裏面を研削砥石により研削することにより裏面側から切削溝を表出させて個々の半導体チップに分割する先ダイシングと呼ばれる技術が開発されており,この先ダイシング技術によれば,チップの厚みが50μm以下となるように加工することも可能となるため,携帯電話機等の各種機器の小型化,薄型化の要求に応えることができること。

・先ダイシングにおいては,表面に切削溝が形成された半導体ウェーハの表面に保護テープを貼着し,この保護テープを下にしてチャックテーブルにおいて半導体ウェーハを保持し,回転する研削砥石を下降させて裏面を研削することにより切削溝を表出させて個々の半導体チップに分割するところ,通常,研削は種類の異なる研削砥石を用いて粗研削,仕上げ研削の2段階に分けて行われるが,粗研削の段階で切削溝を表出させてしまうと,分割によって形成された半導体チップの角に粗研削用の研削砥石が接触してその半導体チップに欠け等の破損が生じるおそれがあるので,粗研削の段階では切削溝が表出する直前で研削を終了させ,仕上げ研削ではじめて切削溝を表出させるのが一般的であること。

ウ 引用文献3

(ア)原査定で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開平6-8136号公報(以下「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,研削加工される工作物が既定寸法に近づくにしたがい切込み速度を次第に減少させるように制御する研削装置に関する。」
「【0027】上記のような本実施例においては,切込み量X,切込み時間T,減速方式およびその演算回数Nを指定し,これらの指定データに基づいて砥石台の初期切込み速度V(o)および減速情報V(t)を求め,そして,砥石台の切込み開始後は,減速情報V(t)を利用して切込み速度を,従来の粗研削,精研削時の切込み時間より十分小さい一定の周期,例えば切込み時間Tの10分の1以下の周期で減速方向に連続的に変化させるように構成したので,従来の粗研,精研,微研のような切込み方式に比べ初期切込み速度を大きくしても砥石台の切込み量と工作物の実加工径との差,すなわち工作物の撓み変形などによって生ずる切り残し量が増加することがなく,むしろ減少することになる。その結果,工作物の加工サイクルタイムが短くなり,設定切込み時間内で工作物を目標寸法に確実に仕上げることができるとともに,工作物の円筒度,面粗さなどの加工精度を向上できる。
【0028】なお,上記実施例では,本発明を円筒研削盤に適用した場合について説明したが,本発明はこれに限定されない。例えば,内面研削盤,平面研削盤,その他の研削盤にも同様に適用することができる。また,本発明の減速方式は,図3に示す方式のものに限定されない。さらにまた,本発明の切込み制御方式は,上記実施例に示した構成のものに限らず,請求項に記載した範囲を逸脱しない限り,種々に変形することができる。」

(イ)上記記載から,引用文献3には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

・研削装置の制御において,切込み速度を,従来の粗研削,精研削時の切込み時間より十分小さい一定の周期,例えば切込み時間Tの10分の1以下の周期で減速方向に連続的に変化させるように構成することで,従来の粗研,精研,微研のような切込み方式に比べ初期切込み速度を大きくしても砥石台の切込み量と工作物の実加工径との差,すなわち工作物の撓み変形などによって生ずる切り残し量が増加することがなく,むしろ減少することになり,その結果,工作物の加工サイクルタイムが短くなり,設定切込み時間内で工作物を目標寸法に確実に仕上げることができるとともに,工作物の円筒度,面粗さなどの加工精度を向上できること,そして,これは,平面研削盤にも同様に適用することができること。

エ 引用文献4

(ア)原査定で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2004-158537号公報(以下「引用文献4」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「【0043】
この研削工程は,まず,20~30μmのダイヤモンド粒子をビトリファイド(ガラス系セラミック)又はレジンボンド(有機樹脂)で結合した研削ホイール(砥石)を用いて,半導体チップ20の厚みを100μm程度まで粗研削する。砥石スピンドル回転数は3000~5000rpm程度で,研削送り速度は半導体チップ20の厚みが薄くなるにつれて低速度になるようにする(例えば,1ステップ目(5~3μm/sec),2ステップ目(2~0.5μm/sec),3ステップ目(1~0.3μm/sec))。
【0044】
その後,1~10μmダイヤモンド粒子をビトリファイド又はレジンボンド(有機樹脂)で結合した研削ホイール(砥石)を用いて,半導体チップ20の厚みを25μm程度まで仕上げ研削する。砥石スピンドル回転数は3000~5000rpm程度で,研削送り速度は半導体チップ20の厚みが薄くなるにつれて低速度になるようにする(例えば,1ステップ目(1~0.5μm/sec),2ステップ目(0.5~0.2μm/sec),3ステップ目(0.2~0.05μm/sec))。」

(イ)上記記載から,引用文献4には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

・研削ホイール(砥石)を用いて,半導体チップの厚みを粗研削,及び仕上げ研削する際に,研削送り速度を半導体チップの厚みが薄くなるにつれて低速度になるようにすること。

オ 引用文献5

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2007-335458号公報(以下「引用文献5」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「【0001】
本発明は,半導体ウエーハ等のウエーハを研削して薄化する研削装置に係り,特に,デバイス形成面の表面に保護テープ等の保護部材が貼られたウエーハを研削する際にウエーハのみの厚さを正確に得る技術に関する。」
「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,仕上げ研削部において,接触式と非接触式の厚さ測定器をウエーハの厚さに応じて切り替えることにより,ウエーハの厚さや,ウエーハ裏面の酸化膜や窒化膜の有無や面粗度などの面状態に影響を受けることなく,保護部材を除いたウエーハのみの厚さを正確に測定することができ,これによって目的厚さのウエーハを確実に得ることができるといった効果を奏する。」
「【0046】
仕上げ研削が進行する間,制御手段70には非接触式厚さ測定器54によるウエーハ1の厚さが逐一入力され,制御手段70は,その測定値に基づいて仕上げ研削ユニット20Bのモータ34を制御してカップホイール25の送り量すなわち研削量を制御する。そして,仕上げ研削が進み,制御手段70が,非接触式厚さ測定器54の測定値が記憶部71の記憶する仕上げ厚さに達したと判断したら,送り機構33によるカップホイール25の下降を停止し,一定時間そのままカップホイール25を回転させた後,粗研削ユニット20Bを上昇させ,仕上げ研削を終える。」
「【0050】
本実施形態のウエーハ研削装置10では,まず,粗研削側厚さ測定ユニット40の接触式厚さ測定器43によって保護テープ4を含むウエーハ1の総厚(t)を測定しながら,粗研削ユニット20Aでウエーハ1を粗研削し,例えば仕上げ厚さまであと30μm程度までウエーハ1を薄化する。次いで,仕上げ研削では,接触式厚さ測定器53によって改めてウエーハ1の厚さを測定して安全が確認されてから,非接触式厚さ測定器54によってウエーハ1のみの厚さを測定しながら研削を行い,ウエーハ1が仕上げ厚さまで薄くなったら研削を終えるといった工程が採られる。粗研削時には保護テープ4を含むウエーハ1の厚さが測定されるが,その測定値は,仕上げ研削ではないので,例え保護テープ4の厚さにばらつきがあっても許容される。そして,仕上げ研削に移行したら,非接触式厚さ測定器54でウエーハ1のみの厚さを測定するので,ウエーハ1の厚さが正確に測定され,保護テープ4やウエーハ1自体の厚さのばらつきに関係なく,ウエーハ1を確実に目的厚さに加工することができる。」

(イ)上記記載から,引用文献5には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

・仕上げ研削部において,接触式と非接触式の厚さ測定器をウエーハの厚さに応じて切り替えることにより,ウエーハの厚さや,ウエーハ裏面の酸化膜や窒化膜の有無や面粗度などの面状態に影響を受けることなく,保護部材を除いたウエーハのみの厚さを正確に測定することができ,これによって目的厚さのウエーハを確実に得ることができるといった効果が得られる研削装置において,

仕上げ研削ユニットのモータを制御してカップホイールの送り量すなわち研削量を制御する制御手段には,仕上げ研削が進行する間,非接触式厚さ測定器によるウエーハの厚さが逐一入力され,仕上げ研削が進み,制御手段が,非接触式厚さ測定器の測定値が記憶部の記憶する仕上げ厚さに達したと判断したら,制御手段は,送り機構によるカップホイールの下降を停止し,一定時間そのままカップホイールを回転させた後,粗研削ユニットを上昇させ,仕上げ研削を終えるという制御を行うこと。

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「円板状の半導体ウェーハ(以下,ウェーハ)」,「ICやLSI等の電子回路」,「電子回路の保護のための保護テープ」,「負圧吸着式のチャックテーブル(保持手段)」,及び「目標厚さ」は,それぞれ,本件補正発明の「ウェーハ」,「半導体素子」,「保護テープ」,「テーブル」,及び「仕上げ厚さである第1厚さ」に相当する。

したがって,引用発明の「ICやLSI等の電子回路が表面に形成されている矩形状の複数のチップが,格子状の分割予定ラインによって区画されている,円板状の半導体ウェーハ(以下,ウェーハ)の表面全面に貼着された,上記電子回路の保護のための保護テープを,負圧吸着式のチャックテーブル(保持手段)に吸着して保持し,2台の研削ユニット(粗研削用と仕上げ研削用)40A,40Bによりウェーハに対し粗研削と仕上げ研削を順次行ってウェーハを目標厚さまで薄化加工する研削装置」と,本件補正発明の「ウェーハの表面に形成された複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿って前記ウェーハの表面側から前記ウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後,前記表面に保護テープが貼り付けられた前記ウェーハの表面側をテーブルによって保持し,前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置」とは,以下の相違点1を除き,「区画」されるように「複数の半導体素子」が「形成された」「ウェーハの表面」「に保護テープが貼り付けられた前記ウェーハの表面側をテーブルによって保持し,前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置」である点で一致する。

(イ)引用発明の「ワーク着脱位置でチャックテーブルに保持されたウェーハが,ターンテーブルのR方向への所定角度の回転により送り込まれる一次加工位置で,ウェーハの裏面を粗研削する,サーボモータによって駆動されるボールねじ式の送り機構により,スライダを介してZ方向(鉛直方向)に昇降自在に設置されている,粗研削用の砥石が装着された粗研削用研削ユニット40A」,

「ターンテーブルの再度のR方向への所定角度の回転により送られる二次加工位置で,ウェーハの裏面を仕上げ研削する,サーボモータによって駆動されるボールねじ式の送り機構により,スライダを介してZ方向(鉛直方向)に昇降自在に設置されている,仕上げ研削用の砥石が装着されている研削ユニット40B」,

「ウェーハの厚さを測定する,一次加工位置」「の近傍に」「設けられた」「接触式である第1厚さ測定ゲージ60」,

「ウェーハの厚さを測定する,」「二次加工位置の近傍に」「設けられた」「非接触式である第2厚さ測定ゲージ70」は,それぞれ,

本件補正発明の「前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を粗研削する粗研削手段」,

「前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を精研削する精研削手段」,

「前記テーブルに保持されたウェーハの裏面に接触して前記ウェーハの厚さを測定する接触式厚さ測定手段」,

「前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面に対して離れた位置から前記ウェーハの厚さ測定する非接触式厚さ測定手段」に相当する。

(ウ)引用発明の「これら厚さ測定ゲージ60,70によってウェーハの厚さを測定しながら行なうウェーハの裏面研削において,各厚さ測定ゲージ60,70の測定値に基づいて,上記送り機構による研削送り量を制御する,研削前に予めウェーハの研削後の目的厚さが入力され,この目的厚さまでウェーハが研削されるように,各研削ユニット40A,40Bの研削送り量を制御する制御手段」と,

本件補正発明の「前記粗研削手段及び前記精研削手段の送込速度を,前記ウェーハの厚さが薄くなるに従って連続的に遅くする手段であって,前記精研削手段の送り込みを停止して,前記精研削手段によってスパークアウトを実行させる手段であり,さらに前記制御手段は,前記粗研削手段による加工時間と,前記スパークアウトを含む前記精研削手段による加工時間とが略等しくなるように,前記粗研削手段及び前記精研削手段の研削条件を設定する手段である」「前記接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで前記粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって,前記粗研削が行われた後,前記非接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記非接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さとなるまで前記精研削手段によって前記ウェーハの裏面を精研削させる制御手段」とは,以下の相違点2を除き,

「前記接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで前記粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって,前記粗研削が行われた後,前記非接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記非接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さとなるまで前記精研削手段によって前記ウェーハの裏面を精研削させる制御手段」である点で一致する。

イ 以上のことから,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

【一致点】

「区画されるように複数の半導体素子が形成されたウェーハの表面に保護テープが貼り付けられた前記ウェーハの表面側をテーブルによって保持し,前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置であって,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を粗研削する粗研削手段と,
前記テーブルに保持されたウェーハの裏面に接触して前記ウェーハの厚さを測定する接触式厚さ測定手段と,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面を精研削する精研削手段と,
前記テーブルに保持された前記ウェーハの裏面に対して離れた位置から前記ウェーハの厚さ測定する非接触式厚さ測定手段と,
前記接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで前記粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって,前記粗研削が行われた後,前記非接触式厚さ測定手段によって前記ウェーハの厚さを測定しながら,前記非接触式厚さ測定手段によって測定される前記ウェーハの厚さに基づき,前記ウェーハの厚さが前記第1厚さとなるまで前記精研削手段によって前記ウェーハの裏面を精研削させる制御手段と,
を備える,
ウェーハ研削装置。」

【相違点1】

ウェーハ研削装置が,本件補正発明では,「ダイシングラインに沿って前記ウェーハの表面側から前記ウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後」のウェーハを研削するものであるのに対して,引用発明は,そのような特定がされていない点。

【相違点2】

制御手段が,本件補正発明では,「前記粗研削手段及び前記精研削手段の送込速度を,前記ウェーハの厚さが薄くなるに従って連続的に遅くする手段であって,前記精研削手段の送り込みを停止して,前記精研削手段によってスパークアウトを実行させる手段であり,さらに前記制御手段は,前記粗研削手段による加工時間と,前記スパークアウトを含む前記精研削手段による加工時間とが略等しくなるように,前記粗研削手段及び前記精研削手段の研削条件を設定する手段である」のに対して,引用発明は,そのような特定がされていない点。

(4)判断

以下,相違点について検討する。

ア 相違点1について

上記(2)イ(イ)のとおり,引用文献2には,携帯電話機等の各種機器の小型化,薄型化の要求に応えるため,半導体ウェーハの表面に形成された複数の半導体回路を区画するストリートに裏面まで貫通しない比較的浅い切削溝を形成した後,その半導体ウェーハの裏面を研削砥石により研削することにより裏面側から切削溝を表出させて個々の半導体チップに分割する先ダイシングと呼ばれる半導体チップを薄く形成するための技術が開発されており,先ダイシングにおいては,表面に切削溝が形成された半導体ウェーハの表面に保護テープを貼着し,この保護テープを下にしてチャックテーブルにおいて半導体ウェーハを保持し,回転する研削砥石を下降させて裏面を研削することにより切削溝を表出させて個々の半導体チップに分割するところ,通常,研削は種類の異なる研削砥石を用いて粗研削,仕上げ研削の2段階に分けて行われるが,粗研削の段階で切削溝を表出させてしまうと,分割によって形成された半導体チップの角に粗研削用の研削砥石が接触してその半導体チップに欠け等の破損が生じるおそれがあるので,粗研削の段階では切削溝が表出する直前で研削を終了させ,仕上げ研削ではじめて切削溝を表出させることが一般的であることが記載されている。

一方,引用発明は,半導体ウェーハの表面に保護テープを貼着し,この保護テープを下にしてチャックテーブルにおいて半導体ウェーハを保持し,回転する研削砥石を下降させて裏面を研削する装置であって,当該研削を種類の異なる研削砥石を用いて粗研削,仕上げ研削の2段階に分けて行う装置に係る発明である。

そうすると,当業者であれば,引用発明に係る研削装置を引用文献2に記載される先ダイシングと呼ばれる方法で使用して,「ダイシングラインに沿って前記ウェーハの表面側から前記ウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後」のウェーハを研削するために使用すること,すなわち,相違点1について本件補正発明に係る構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について

(ア)上記(2)ウ(イ)のとおり,引用文献3には,研削装置の制御において,切込み速度を,従来の粗研削,精研削時の切込み時間より十分小さい一定の周期,例えば切込み時間Tの10分の1以下の周期で減速方向に連続的に変化させるように構成することで,従来の粗研,精研,微研のような切込み方式に比べ初期切込み速度を大きくしても砥石台の切込み量と工作物の実加工径との差,すなわち工作物の撓み変形などによって生ずる切り残し量が増加することがなく,むしろ減少することになり,その結果,工作物の加工サイクルタイムが短くなり,設定切込み時間内で工作物を目標寸法に確実に仕上げることができるとともに,工作物の円筒度,面粗さなどの加工精度を向上できること,そして,これは,平面研削盤にも同様に適用することができることが記載されており,

上記(2)エ(イ)のとおり,引用文献4には,研削ホイール(砥石)を用いて,半導体チップの厚みを粗研削,及び仕上げ研削する際に,研削送り速度を半導体チップの厚みが薄くなるにつれて低速度になるようにすることが記載されていることからも明らかなように,研削手段の送込速度を,研削対象物の厚さが薄くなるに従って連続的に遅くする制御は周知の方法である。

(イ)上記(2)オ(イ)のとおり,引用文献5には,仕上げ研削部において,接触式と非接触式の厚さ測定器をウエーハの厚さに応じて切り替えることにより,ウエーハの厚さや,ウエーハ裏面の酸化膜や窒化膜の有無や面粗度などの面状態に影響を受けることなく,保護部材を除いたウエーハのみの厚さを正確に測定することができ,これによって目的厚さのウエーハを確実に得ることができるといった効果が得られる研削装置において,仕上げ研削ユニットのモータを制御してカップホイールの送り量すなわち研削量を制御する制御手段には,仕上げ研削が進行する間,非接触式厚さ測定器によるウエーハの厚さが逐一入力され,仕上げ研削が進み,制御手段が,非接触式厚さ測定器の測定値が記憶部の記憶する仕上げ厚さに達したと判断したら,制御手段は,送り機構によるカップホイールの下降を停止し,一定時間そのままカップホイールを回転させた後,粗研削ユニットを上昇させ,仕上げ研削を終えるという制御を行うことが記載されている。

一方,引用発明に係る研削装置においても,目的厚さを確実に得ることができることが望ましいことは自明の課題といえる。

そうすると,非接触式である第2厚さ測定ゲージ70によってウェーハの厚さを測定して,当該測定ゲージ70の測定値に基づいて,制御手段が,仕上げ研削用の砥石が装着されている研削ユニット40Bの送り機構による研削送り量を制御する引用発明に係る研削装置において,仕上げ研削が進み,制御手段が,非接触式厚さ測定器の測定値が記憶部の記憶する仕上げ厚さに達したと判断したら,制御手段は,送り機構によるカップホイールの下降を停止し,一定時間そのままカップホイールを回転させた後,粗研削ユニットを上昇させ,仕上げ研削を終えるという制御を行うこと,すなわち,「前記精研削手段の送り込みを停止して,前記精研削手段によってスパークアウトを実行させる」ことは適宜なし得たことである。

(ウ)下記の周知文献1及び2の記載からも明らかなように,ワークの保持手段を粗研削位置,精研削位置に移動させる移動手段を設けた研削装置において,各研削位置における加工時間を略等しくすることで,夫々の加工手段の稼働率を落とすことなく,有効稼働させる技術は周知である。

そうすると,加工ステージ上に設けられた,R方向に回転駆動されるターンテーブルと,このターンテーブル上の外周部に,周方向に等間隔をおいて配設された,3つの円板状の,回転駆動機構により所定回転速度で自転するチャックテーブルとを備えた研削装置を用いて,2台の研削ユニット(粗研削用と仕上げ研削用)40A,40Bによりウェーハに対し粗研削と仕上げ研削を順次行ってウェーハを目標厚さまで薄化加工するにあたり,夫々の加工手段の稼働率を落とすことなく,有効稼働させるために,研削装置の制御について前記周知の技術を適用して,粗研削用の研削ユニット40Aによりウェーハに対し粗研削を行う位置における加工時間と,仕上げ研削用の研削ユニット40Bによりウェーハに対し仕上げ研削を行う位置における加工時間とが略等しくなるように,粗研削手段及び精研削手段の研削条件を設定することは当業者が当然に考慮することである。

そして,当該研削装置が,上記(イ)で検討したように,精研削手段によってスパークアウトを実行させる工程を含むものである場合には,粗研削用の研削ユニット40Aによりウェーハに対し粗研削を行う位置における加工時間と,仕上げ研削用の研削ユニット40Bによりウェーハに対し仕上げ研削を行う位置における加工時間とが略等しくなるように,粗研削手段及び精研削手段の研削条件を設定するにあたり,仕上げ研削を行う位置における加工時間として,当該スパークアウトの実行に必要とされる時間を含めるようにすることは当業者が当然に行うことである。

・周知文献1:特開2000-254857号公報
「【請求項10】 ワークを保持する保持手段と,
該保持手段で保持されたワークを粗研削する粗研削手段と,
該粗研削手段で粗研削されたワークを,前記保持手段で保持したまま精研削する精研削手段と,
該精研削手段で精研削されたワークを,前記保持手段で保持したまま研磨する研磨手段と,
前記保持手段を粗研削手段による粗研削位置,精研削手段による精研削位置,及び研磨手段による研磨位置に移動させる移動手段と,
を備えたことを特徴とする平面加工装置。」

「【0022】請求項10記載の発明によれば,平面加工装置に粗研削手段,精研削手段,及び研磨手段を設けたので,これらの手段によってワークを自動で粗研削,精研削,研磨することができる。更に,ワークの保持手段を粗研削位置,精研削位置,及び研磨位置に移動させる移動手段を設けたので,夫々単数又は複数の粗研削手段,精研削手段,及び研磨手段を組合わせ配置された構成であっても,夫々の加工手段の稼働率を落とすことなく,有効稼働させることができる。」

「【0050】一例をあげて説明すると,φ200mmで初期厚みが725μmのウェーハを50μmの厚みに加工する場合,この時の粗研削速度を図12の如く,225(μm/sec)に設定し,精研削速度を65(μm/sec)に設定し,ポリッシュ(研磨)速度を6(μm/sec)に設定し,粗研削加工量510μm,精研削加工量150μm,ポリッシュ加工量14.9μmに設定すれば,各加工時間(2.27~2.48)が略等しくなるので,稼働率を落とすことなくウェーハ28を725μmから50μmの厚みに加工できる。」

・周知文献2:特開2007-301697号公報
「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体ウェハ等の基板の表面を研磨加工する研磨装置における研磨方法に関する。
【背景技術】
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【0002】
上述のような研磨装置として,例えば,半導体ウェハ基板における層間絶縁膜上の金属膜を化学機械研磨法(CMP法)で精密に研磨加工する研磨装置(CMP装置と称される)が知られている。この研磨装置は,例えば,インデックステーブルが4つの領域に分割されており,各分割領域にはそれぞれ半導体ウェハ基板(以下基板という)を保持する真空チャックが設けられている(例えば,特許文献1を参照)。インデックステーブルは90度ごとに回動送りされ,位置決めされた停止位置にはインデックステーブルの分割に対応して4つのステージが設けられている。
【0003】
4つのステージは,1つの搬送ステージと,3つの研磨ステージとから構成される。研磨ステージは基板を研磨加工する領域であり,研磨面を有する研磨ヘッドが設けられている。研磨ステージでは真空チャックされた基板を高速回転させるとともに,この基板の表面に研磨ヘッドの研磨面を押し付けて基板表面を平坦に加工する。搬送ステージには,未加工の基板を搬入するとともに,加工を終えた加工済み基板を搬出する搬送ロボットが設けられている。
【0004】
上記研磨装置では,搬送ロボットが未加工の基板を搬送ステージに搬入し,インデックステーブルを90度回動させて第1研磨ステージに位置決めさせる。第1研磨ステージで粗加工を行った後,インデックステーブルを90度回転させて第2研磨ステージに位置決めさせ,第2研磨ステージで中間加工を行った後,インデックステーブルを90度回転させて第3研磨ステージに位置決めさせる。そして,第3研磨ステージで仕上げ加工を行った後,インデックステーブルを90度回動させて搬送ステージに位置決めさせ,搬送ロボットで加工済み基板を搬出させる。このような作動を順次繰り返して行うことにより,インデックステーブルを回動停止させるごとに,搬送ステージから加工済み基板を搬出させるとともに,新たな未加工基板を搬送ステージに搬入させ,連続して研磨加工を行うことができる。
【0005】
このような構成の研磨装置によれば,一つの研磨ステージごとに全研磨を行う場合と比較して,インデックステーブルを回動停止させる際に生じる待ち時間が少なくなるため,基板のスループットを向上させることができる。なお,スループットの関係から,各研磨ステージにおいて,研磨ヘッドおよびチャックの回転速度,研磨時間等の研磨条件が同じに設定されることが好ましい。」

(エ)上記(ア)ないし(ウ)のとおりであるから,相違点2について本件補正発明に係る構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

ウ そして,これらの相違点1及び2を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

エ したがって,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和元年10月24日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項3に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1ないし4に係る発明は,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

1.特開2010-199227号公報

2.特開2003-17442号公報

3.特開平6-8136号公報

4.特開2004-158537号公報

5.特開2007-335458号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし5及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から限定事項を削除したものである。

そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(3),(4)に記載したとおり,引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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2019-014122

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