特許拒絶査定不服審判
2019-012768
光源ユニット
- 審判番号
- 2019-012768
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-560166外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月26日
- 審決日
- 2020年09月28日
- 公報発行日
- 2020年11月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人光陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (B41J) / P18 .537-WY (B41J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-560166「光源ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月26日国際公開、WO2016/080257、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)11月11日(優先権主張 平成26年11月21日)を国際出願日とする出願であって、令和1年5月15日付けで拒絶理由が通知され、同年6月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月28日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年8月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月6日付けで前記令和1年8月30日提出の手続補正書による手続補正が補正却下されるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して、同年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、令和2年4月24日付けで当審により拒絶理由(最後)(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、令和2年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
複数の発光素子を含む発光基板と、
前記発光素子の不要光を遮光するための遮光体と、
複数のレンズを含むレンズアレイと、を備え、
前記遮光体が前記発光基板と前記レンズアレイとの間に位置決めされた状態で、前記レンズアレイが前記発光基板に直接固定されており、
前記遮光体が前記発光基板に固定され、
前記発光素子は前記発光基板の、前記レンズアレイが固定されている面とは反対側の面に固定されており、前記発光素子から射出された光は前記発光基板を透過して前記レンズアレイに到達することを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光源ユニットにおいて、
前記レンズアレイは前記遮光体を跨ぐように配置された脚部を有し、
前記レンズアレイの脚部が前記発光基板に固定されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の光源ユニットにおいて、
前記レンズアレイの脚部が接着剤または溶着によって前記発光基板に固定されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニットにおいて、
前記レンズアレイが所定数のレンズを含む複数のユニットから構成され、
前記レンズアレイがユニット単位で前記発光基板に固定されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の光源ユニットにおいて、
前記遮光体が複数の導光孔を有し、
前記遮光体が所定数の導光孔を含む複数のユニットから構成され、
前記遮光体がユニット単位で前記発光基板に固定されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の光源ユニットにおいて、
前記遮光体が、前記所定数のレンズを含む複数のユニットより少ない数の、前記所定数の導光孔を含む複数のユニットから構成されることを特徴とする光源ユニット。
【請求項7】
請求項4に記載の光源ユニットにおいて、
前記遮光体が複数の導光孔を有する単一のユニットから構成されることを特徴とする光源ユニット。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニットにおいて、
前記レンズアレイが個々のレンズごとに分割された複数の単ユニットから構成され、
当該単ユニットが前記発光基板に固定され、
前記遮光体が複数の導光孔を有し、
前記遮光体も個々の導光孔ごとに分割された複数の単ユニットから構成され、
当該単ユニットが前記発光基板に固定されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載の光源ユニットにおいて、
前記レンズアレイには、他のレンズアレイがユニット単位またはレンズ単位で積み重ねられていることを特徴とする光源ユニット。」
第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2007-230075号公報)には、次の事項が記載されている(なお、下線は当審において付したもので、以下同じである。また、改行を省略した箇所がある。)。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】 上記の発光装置とレンズアレイとを備える露光装置の結像性能を十分に高くするには、有機EL素子からの光を当該有機EL素子と重なっているレンズのみに入射させる必要、すなわち光学的なクロストークを避ける必要がある。また、有機EL素子からの光の多くを当該有機EL素子と重なっているレンズに入射させる必要、すなわち光の利用効率を十分に高くする必要もある。よって、有機EL素子とレンズアレイとの間隔を十分に狭くすべきである。
【0005】 上記の間隔としては、100μm~500μmが妥当であり、この範囲内でより短い方がよい。一方、有機EL素子が配列される素子基板の厚さは、通常、500μm程度である。よって、必然的に、露光装置を構成する発光装置は、光源からの光を素子基板側から出射するボトムエミッションタイプではなく、その反対側から出射するトップエミッションタイプとなる。トップエミッションタイプの発光装置では、有機EL素子からの光が、有機EL素子を覆って外気から保護する封止層側から出射する。封止層の厚さは、露光装置の信頼性向上(例えば有機EL素子の長寿命化)の観点に基づくと、厚い方がよい。しかし、封止層を十分に厚くすると、封止層の外側に配置されるレンズアレイと有機EL素子との間隔が広くなってしまう。つまり、従来の技術では、上記の間隔の短縮と信頼性の向上とが二律背反の関係になっている。
【0006】 そこで、本発明は、レンズアレイを備えながらも、レンズアレイと有機EL素子との間隔を十分に狭くすること、および信頼性を十分に高くすることを共に達成することができる露光装置および画像形成装置を提供する。」
イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<露光装置> 以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態に係る露光装置10を説明する。ただし、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。露光装置10は、電子写真方式を利用した画像形成装置における像担持体(例えば感光体ドラム)の表面に光を照射して潜像を書き込むライン型の光ヘッドとして用いられる。
【0013】 露光装置10の斜視図を図1に、平面図を図2に、断面図を図3に示す。図3は、図2のA-A線矢視断面図であり、以降の説明における「上下」は、この図における上下を意味する。露光装置10は、ガラス、プラスチック、セラミックまたは金属などの適切な材料により形成された平板状の素子基板20と、断面がコ字状で素子基板20と接合された板状の封止体30とを備える。
【0014】 封止体30は、板状の封止基板31と、封止基板31の表面の一部に形成された反射防止膜32とを有する。封止基板31は、断面がコ字状であり、二つの部分から構成されている。一方の部分は平板状の天板311であり、他方の部分は天板311の周端から下方に延びた筒状の壁312である。天板311の中央部には反射防止処理が施されており、当該中央部の表面は反射防止膜32により完全に覆われている。反射防止膜32は、当該表面での光の反射を防止するための膜であり、一般的なARコーティングにより形成可能である。壁312の先端面は同一平面内にあり、この先端面の全面が接着剤40を介して素子基板20に面している。つまり、素子基板20と封止体30との接合は、接着剤40による接着である。
【0015】 接着剤40としては、ガスバリア性に優れたもの(例えば、エポキシ系の接着剤)が用いられている。上記の接合により、接着剤40素子基板20上には、直方体状の閉空間SPが画定されている。この閉空間SP内に、照射に用いられる光を発する光源が存在する。つまり、光源は封止体30により封止されている。なお、素子基板20と封止体30との接合の形態は上記の形態に限らない。例えば、壁312の先端面の一部または全面が素子基板20に接する形態であってもよい。また、封止体30(封止基板31)の断面形状もコ字状に限らない。
【0016】 素子基板20上には、光源となる複数の発光素子14が、素子基板20の長手方向に二列千鳥状に配列されている。この配列方向は、画像形成装置において、像担持体の被照射ライン(像担持体が感光体ドラムであればその母線)に平行である。本実施の形態では、発光素子14として、面発光する有機EL素子を用いている。したがって、発光素子14は、有機材料から形成されて電流に応じて発光する発光層と、この発光層を挟んで当該発光層に電流を流すための陽極および陰極を有する。具体的には、発光機能層141、陽極142および共通陰極143を有する。発光機能層141は発光層のみから構成されてもよいし、発光層の他に、正孔や電子を発光層に向けて輸送したり注入したりする各種の層を含んでいてもよい。共通陰極143は複数の発光素子14に共通する陰極であり、ITO(Indium Tin Oxide)のように光透過性が十分に高い材料から形成されている。
【0017】 閉空間SPにおいて、素子基板20上には、複数の発光素子14を駆動および制御するための配線やトランジスタ等の回路要素が配置された配線層が形成されている。この配線層上には絶縁層15が形成されており、絶縁層15内には複数の陽極142が配置されている。絶縁層15は例えば酸化珪素から形成されている。各陽極142には配線層内の回路要素が接続されている。各陽極142の上面の一部は絶縁層15から露出しており、絶縁層15上には、各陽極142の露出面を囲むように隔壁16が形成されている。隔壁16は例えばポリイミドから形成されている。絶縁層15および隔壁16は複数の凹部を画定しており、発光機能層141は、これらの凹部内に形成されている。絶縁層15、隔壁16および発光機能層141上には、これらを覆うように共通陰極143が形成されている。したがって、発光機能層141の上面が、照射に用いられる光を発する発光面Pとなる。発光面Pは円形であり、その直径は、例えば40μm程度である。
【0018】 共通陰極143上には、共通陰極143および絶縁層15を覆うようにパッシベーション層17が形成されている。パッシベーション層17は、光透過性が高くガスバリア性に優れた材料(例えば酸化珪素)から形成されている。よって、発光機能層141(発光面P)からの光は、共通陰極143およびパッシベーション層17を透過して進行する。
【0019】 封止基板31は、光透過性が高くガスバリア性に優れた材料から形成されている。このような材料としては、例えばガラスが挙げられる。なお、本実施の形態を変形し、封止基板31を二層構成とした形態とすることも可能である。この形態では、例えば、光透過性が高いプラスチックの内面にガスバリア性に優れた薄膜を形成することにより、光透過性とガスバリア性とを両立させることができる。ガスバリア性に優れた薄膜としては、窒酸化珪素から形成された薄膜を例示することができる。
【0020】 反射防止膜32と、天板311の反射防止膜32に挟まれた部分は、マイクロレンズアレイLAを構成している。マイクロレンズアレイLAは、光学特性が共通の複数のマイクロレンズLを有する。各マイクロレンズLは、天板31において厚さが他の部分よりも厚くなっている部分と当該部分を挟む反射防止膜32とから構成されている。両部分の材質は同一である。複数のマイクロレンズLに共通の光学特性は、対応する発光素子14の発光面Pの像を、露光装置10外の結像面に結ぶことができるように定められており、その一つとして焦点距離を例示することができる。
【0021】 複数のマイクロレンズLは、天板311に平行な面上で二列千鳥状に配列されており、その配列方向は複数の発光素子14の配列方向と同一である。各マイクロレンズLは、両凸レンズであり、マイクロレンズアレイLAを天板311の厚さ方向に貫通しており、その光軸の方向(以降、「光軸方向」と称する)は、素子基板20の上面に垂直である。また、複数のマイクロレンズLは複数の発光素子14にそれぞれ重なっている。つまり、複数の発光素子14と複数のマイクロレンズLは、光軸方向における重なりの観点において、1対1で対応している。なお、各マイクロレンズLの光軸は当該マイクロレンズLに対応する発光素子14の発光面Pの中心を通っており、各マイクロレンズLは光軸方向において当該マイクロレンズLに対応する発光素子14の発光面Pの全面に重なっている。
【0022】 閉空間SPにおいて、パッシベーション層17と封止体30との間には、遮光壁50が存在する。遮光壁50は、各発光素子14から当該発光素子14に対応するマイクロレンズLへ進行する光を遮ることなく他の発光素子14から当該マイクロレンズLへ進行する光を遮る壁であり、光透過率が十分に低く、発光素子14に与える悪影響(例えば汚染)が小さい材料から形成され、封止体30に固定されている。上記の材料としては、例えば、チタンや、チタン合金、チタンやチタン合金を含む黒色樹脂、黒色顔料がコートされたアルミニウム箔を挙げることができる。上記の形成の方法としては、例えば、パンチングやエッチングが挙げられる。上記の固定の方法としては、例えば、マイクロレンズアレイLA(反射防止膜32)への接着が挙げられる。
【0023】 閉空間SPの一部は、不活性気体が充填された空洞Cになっている。空洞Cは、パッシベーション層17上に広がっており、パッシベーション層17と遮光壁50との間に介在する。つまり、遮光壁50はパッシベーション層17に接していない。また、空洞Cは、パッシベーション層17と各マイクロレンズLとの間にも介在し、各マイクロレンズLには空洞C内の不活性気体が接している。また、閉空間SPには、空洞C内の不活性気体を乾燥させるための乾燥剤60が存在する。乾燥剤60は封止基板31に固定されている。この固定の方法としては、例えば、封止基板31への塗布が挙げられる。なお、乾燥剤60としては、有機EL素子の封止性を向上させるために用いられる一般的な乾燥剤を使用可能である。不活性気体には例えば、窒素、又は、ヘリウム、アルゴン、キセノンなどが用いられる。
【0024】 一方、図4に示すように、露光装置10の製造工程では、遮光壁50および乾燥剤60が固定された封止体30と、パッシベーション層17まで形成された素子基板20とが、不活性気体中で、接着剤40により接合される。この接合に先立って、封止基板31の壁311の高さdが、当該接合により定まる発光素子14とマイクロレンズアレイLAとの間隔Dが所定の範囲(例えば100μm~400μm)内の予め定められた一定の長さ(マイクロレンズLの光学特性から定まる理想的な距離)となるように定められる。したがって、露光装置10において、間隔Dは十分に狭くなっている。」
ウ 「【0025】 以上、説明したように、露光装置10によれば、発光素子14とマイクロレンズLとの間に、素子基板20はもちろん、封止基板31すら存在しないから、発光素子14とマイクロレンズアレイLAとの間隔Dを十分に狭くすることができる。また、封止体30の一部がマイクロレンズアレイLAとなっているから、間隔Dを十分に狭くしつつ封止体30を十分に厚くすることができる。これは、発光素子14の長寿命化などの信頼性向上に寄与する。よって、露光装置10によれば、間隔Dを十分に狭くすると、および信頼性を十分に高くすることを共に達成することができる。この効果は、次に述べる因果関係により、十分に高い結像性能につながる。
【0026】 間隔Dが十分に狭いと、光源の発光素子14からの光の多くが当該発光素子14に対応するマイクロレンズLに入射することになる。この入射光は、当該マイクロレンズLにより集束されて閉空間SPの反対側から出射するものであり、前述の結像面に結像可能なものであるから、間隔Dが十分に狭いと、光の利用効率が十分に高くなる。また、間隔Dが十分に狭いと、発光素子14から発してパッシベーション層17を透過し、空洞Cを進む光のうち、当該発光素子14に対応するマイクロレンズLとは異なる他のマイクロレンズLへ向かう光が少なくなる。つまり、間隔Dが十分に狭いと、光学的なクロストークが十分に低減される。まとめると、間隔Dが十分に狭いと、光の利用効率が十分に高くなるとともに、光学的なクロストークが十分に低減される。よって、結像性能が十分に高くなるのである。」
(2)上記(1)の記載事項によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「平板状の素子基板20と、断面がコ字状で素子基板20と接合された板状の封止体30とを備える露光装置10であって、
素子基板20上には、光源となる複数の発光素子14が、素子基板20の長手方向に二列千鳥状に配列されており、
封止体30は、板状の封止基板31と、封止基板31の表面の一部に形成された反射防止膜32とを有し、
封止基板31は、断面がコ字状であり、平板状の天板311と、天板311の周端から下方に延びた筒状の壁312から構成され、壁312の先端面は同一平面内にあり、この先端面の全面が接着剤40を介して素子基板20に面し、接着剤40による接着により素子基板20と封止体30が接合され、上記接合により、素子基板20上には、直方体状の閉空間SPが画定されており、
反射防止膜32と、天板311の反射防止膜32に挟まれた部分は、マイクロレンズアレイLAを構成し、マイクロレンズアレイLAは、光学特性が共通の複数のマイクロレンズLを有し、各マイクロレンズLは、天板311において厚さが他の部分よりも厚くなっている部分と当該部分を挟む反射防止膜32とから構成され、各マイクロレンズLの光軸は当該マイクロレンズLに対応する発光素子14の発光面Pの中心を通っており、
閉空間SPには、遮光壁50が存在し、遮光壁50は、各発光素子14から当該発光素子14に対応するマイクロレンズLへ進行する光を遮ることなく他の発光素子14から当該マイクロレンズLへ進行する光を遮る壁であって、封止体30に固定されており、
発光素子14とマイクロレンズLとの間に、素子基板20が存在しない、露光装置10。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2011-62948号公報)には、次の事項が記載されている(なお、改行を省略した箇所がある。)。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】 ところで、上述のような画像形成装置では、光学系の光の結像位置と像担持体との距離が重要となる。なぜなら、これらの距離が余りに離れると、光学系によって像担持体に形成されるスポットがぼやけてしまって、良好な潜像を形成できないおそれがあるからである。そこで、光学系の光の結像位置が像担持体(の表面)の近くに位置するように、露光ヘッドと像担持体とを位置決めする技術が求められていた。
【0005】 この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光学系の光の結像位置が像担持体の近くに位置するように、露光ヘッドと像担持体とを位置決めして、露光ヘッドによる良好な潜像の形成を可能とする技術の提供を目的とする。」
イ 「【0027】 図3は、ラインヘッドの概略を示す部分斜視図である。同図では、ラインヘッド29の厚さ方向TKDの構成を理解しやすくするために、ラインヘッド29の長手方向LGDの端部(図3の左下端部)が断面で示されている。ここで、厚さ方向TKDは、長手方向LGDおよび幅方向LTDに垂直もしくは略垂直な方向であり、後述する発光素子Eが光を射出する側(つまり、ラインヘッド29から感光体ドラム21に向う側)を向いた方向とする。また、以後の実施形態の説明において、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)を「(厚さ方向TKDの)一方側」と称し、厚さ方向TKDの上流側(図3の下側)を「(厚さ方向TKDの)他方側」と称する。また、基板あるいは平板の一方側の面を表面と称し、基板あるいは平板の他方側の面を裏面と称することとする。
【0028】 なお、この厚さ方向TKDは、レンズアレイLA1のレンズLS1とレンズアレイLA2のレンズLS2とが構成する結像光学系の光軸(図9の光軸OA)に平行である。また、本実施形態のラインヘッド29では、複数の結像光学系LS1、LS2が配列されているが、各結像光学系の光軸OAは互いに平行となっている。また、以下に説明するように、発光素子Eと感光体ドラム21表面との間には、空気と屈折率が異なる部材として、レンズLS1、ガラス基板SB、レンズLS2、ガラス基板SBおよび支持ガラスSSがこの順番で並んでおり、これらの部材が協働して1つの結像光学系として機能する。ただし、本実施形態では、この結像光学系を結像光学系LS1、LS2(あるいはLS1s、LS2s)と略称する。
【0029】 ここで、光軸は次のように定義される。結像光学系は多くの場合、主走査方向MDに垂直な対称面に関して面対称(鏡映対称)であり、かつ、副走査方向SDに垂直な対称面に関して面対称(鏡映対称)である。このように、結像光学系は、主走査方向MDに垂直な第1対称面、および当該主走査方向MDと直交する副走査方向SDに垂直な第2対称面を有し、第1対称面と第2対称面の交線が定まる。結像光学系が回転対称である場合には、前述の第1対称面と第2対称面の交線は光軸と一致する。結像光学系が回転対称でない場合、厳密には結像光学系の光軸が定義されない場合があるが、そのような場合には、前述の交線を光軸として取り扱えばよい。
【0030】 ラインヘッド29は、ヘッド基板293、遮光部材297、絞り平板295、レンズアレイLA1およびレンズアレイLA2をこの順番で厚さ方向TKDに配置した概略構成を備えている。ヘッド基板293の裏面には、複数の発光素子Eが所定個数毎に発光素子グループEGとしてグループ化されて二次元的かつ離散的に配置されている。また、ヘッド基板293の裏面には、これら複数の発光素子Eを封止するための封止部材294が取り付けられており、さらに、この封止部材294の裏面にはラインヘッド29を構成する上記各部材を支持するための剛性部材299が取り付けられている。
【0031】 ヘッド基板293とレンズアレイLA1との間にはスペーサーSP1が設けられており、このスペーサーSP1がヘッド基板293とレンズアレイLA1との間隔を規定する。なお 、ヘッド基板293とレンズアレイLA1との間には遮光部材297および当該遮光部材297に載設された絞り平板295が配置されており、スペーサーSP1は、絞り平板295に対して厚さ方向TKD一方側で若干の間隔を空けてレンズアレイLA1を支持する。また、レンズアレイLA1とレンズアレイLA2との間にはスペーサーSP2が設けられており、このスペーサーSP2がレンズアレイLA1とレンズアレイLA2との間隔を規定しながらレンズアレイLA2を支持する。
【0032】 こうしてラインヘッド29では、ヘッド基板293、遮光部材297、絞り平板295およびレンズアレイLA1、LA2がこの順番で並んでいる。そして、ヘッド基板293の発光素子Eからの光が、遮光部材297の導光孔2971と絞り平板295の開口絞り2951を通過して、レンズアレイLA1、LA2のレンズLS1、LS2により結像される。次に、各部材の詳細な構成について、図3、図4および図5を用いつつ説明する。」
ウ 「【0034】 ヘッド基板293は光を透過するガラス基板(光透過性基板)で構成されており、ヘッド基板裏面293-tでは、ボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である発光素子Eが複数形成されて、封止部材294により封止されている(図3、図5)。これら複数の発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有しており、光ビームを感光体ドラム21表面へ向けて射出する。また、図4に示すように、ヘッド基板裏面293-tに形成された複数の発光素子Eの配置態様は、グループ構造を有している。つまり、15個の発光素子Eが長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループEGが構成されており、さらに複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに3行千鳥で離散的に配置されている。」
エ 「【0037】 このようにヘッド基板293の裏面293-tには、複数の発光素子グループEGが二次元的かつ離散的に配置されている。一方、ヘッド基板293の表面293-hには、遮光部材297が配置されている。遮光部材297には厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が複数形成されている。各導光孔2971は厚さ方向TKDからの平面視において円形状を有しており、その内壁には黒色メッキが施されている。この導光孔2971は、発光素子グループEG毎に1個ずつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループEGに対して1個の導光孔2971が開口している。こうして、遮光部材297は、導光孔2971を発光素子グループEGに開口させた状態でヘッド基板表面293-hに当接して固定されている。
【0038】 このような遮光部材297を設ける目的は、いわゆる迷光がレンズLS1、LS2に入射するのを抑制するためである。つまり、各発光素子グループEGには、レンズ対LS1、LS2の対からなる結像光学系がそれぞれ専用に設けられている。このような構成では、光ビームは、それ自身の射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2にのみ入射して結像されることが望ましい。しかしながら、光ビームの一部には、その射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に向わずに迷光となってしまうものもある。そして、このような迷光が、それ自身の射出源でない発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に入射してしまうと、いわゆるゴーストが発生してしまうおそれがある。これに対して、この実施形態では、発光素子グループEGと結像光学系LS1、LS2との間に遮光部材297が設けられている。この遮光部材297には、内壁に黒色メッキが施された導光孔2971が発光素子グループEGに開口して設けられているため、迷光の多くは導光孔2971の内壁で吸収されることとなる。その結果、先ほどのゴーストを抑制して、良好な露光動作の実現が図られる。」
オ 「【0040】 そして、上述のとおり、これらヘッド基板293、遮光部材297および絞り平板295の厚さ方向TKDの一方側には、レンズアレイLA1、LA2が設けられており、これらレンズアレイLA1、LA2はスペーサーSP1、SP2により支持されている。以下に、これらレンズアレイLA1、LA2の支持構造の詳細について、図3~図5に加えて図6を用いて説明する。
【0041】 図6は、ラインヘッドの部分側面図であり、幅方向LTDからラインヘッド29を平面視した場合に相当する。ヘッド基板293の表面では、互いに同一の形状・大きさを有する複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに間隔CL1を空けて一列に並んでいる。また、このスペーサーSP1の列は、幅方向LTDの両側に設けられている(図3、図5)。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、スペーサーSP1の列が、ヘッド基板裏面293-tの発光素子Eが形成された領域を幅方向LTDから挟んで2列配置されることとなる(換言すれば、遮光部材297を幅方向LTDから挟んで2列配置されることとなる)。なお、これらのスペーサーSP1は、ヘッド基板293の表面293-hに接着剤等により固定されている。
【0042】 このようにして、2列に配置されたスペーサーSP1に対して、レンズアレイLA1が幅方向LTDに架設されており、これにより、レンズアレイLA1がヘッド基板293の厚さ方向TKDの一方側で位置決めされる。このとき、レンズアレイLA1のレンズLS1が形成された領域が、幅方向LTDに並ぶ2列のスペーサーSP1の列の間に位置するように、レンズアレイLA1は配置される。このレンズアレイLA1は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBを有している。そして、このガラス基板SBの裏面には、光硬化性樹脂で形成された複数のレンズLS1がアレイ配置されている。これら複数のレンズLS1は、対向する発光素子グループEGの配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
【0043】 そして、図3、図6に示すように、複数のレンズアレイLA1が長手方向LGDに並んで配設されている。つまり、この実施形態では、長手方向LGDに並ぶ複数のレンズアレイLA1をスペーサーSP1が支持して、1つの長尺レンズアレイL-LA1が構成されている。ちなみに、直方形状を有するスペーサーSP1の長さは、レンズアレイLA1の幅方向LTDの端辺の長手方向LGDの長さより短く、1枚のレンズアレイLA1は、長手方向LGDに並ぶ複数のスペーサーSP1で支持される。具体的には、これらスペーサーSP1のうち、中央スペーサーSP1-bはレンズアレイLA1の長手方向LGDの略中央を支持し、端部スペーサーSP1-aは長手方向LGDに隣り合う2枚のレンズアレイLA1、LA1の隙間BD1を跨いで、該レンズアレイLA1、LA1を支持する。なお、スペーサーSP1とレンズアレイLA1とは接着剤等により固定されている。
【0044】 このようにして構成された長尺レンズアレイL-LA1の厚さ方向TKDの一方面には 、互いに同一の形状・大きさを有する複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに間隔CL2を空けて一列に並んでいる。また、このスペーサーSP2の列は、幅方向LTDの両側に設けられている(図3、図5)。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、スペーサーSP2の列が、レンズアレイLA1のレンズLS1が形成された領域を幅方向LTDから挟んで2列配置されることとなる。なお、これらのスペーサーSP1は、レンズアレイLA1のガラス基板SBの表面に接着剤等により固定されている。」
カ 「【0046】 そして、図3、図6に示すように、複数のレンズアレイLA2が長手方向LGDに並んで配設されている。つまり、この実施形態では、長手方向LGDに並ぶ複数のレンズアレイLA2をスペーサーSP2が支持して、1つの長尺レンズアレイL-LA2が構成されている。ちなみに、直方形状を有するスペーサーSP2の長さは、レンズアレイLA2の幅方向LTDの端辺の長手方向LGDの長さより短く、1枚のレンズアレイLA2は、長手方向LGDに並ぶ複数のスペーサーSP2で支持される。具体的には、これらスペーサーSP2のうち、中央スペーサーSP2-bはレンズアレイLA2の長手方向LGDの略中央を支持し、端部スペーサーSP2-aは長手方向LGDに隣り合う2枚のレンズアレイLA2、LA2の隙間BD2を跨いで、該レンズアレイLA2、LA2を支持する。なお、スペーサーSP2とレンズアレイLA2とは接着剤等により固定されている。」
(2)上記(1)の記載事項によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「ヘッド基板293、遮光部材297、絞り平板295、レンズアレイLA1およびレンズアレイLA2をこの順番で厚さ方向TKDに配置したラインヘッド29であって、
ヘッド基板293とレンズアレイLA1との間には、ヘッド基板293とレンズアレイLA1との間隔を規定し、絞り平板295に対して厚さ方向TKD一方側で若干の間隔を空けてレンズアレイLA1を支持するスペーサーSP1が設けられており、スペーサーSP1はヘッド基板293の表面293-hに接着剤により固定されており、レンズアレイLA1と接着剤により固定されており、
レンズアレイLA1とレンズアレイLA2との間には、レンズアレイLA1とレンズアレイLA2との間隔を規定しながらレンズアレイLA2を支持するスペーサーSP2が設けられており、
スペーサーSP2とレンズアレイLA2とは接着剤により固定されており、
ヘッド基板裏面293-tでは、ボトムエミッション型の有機EL素子である発光素子Eが複数形成され、15個の発光素子Eが長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループEGが構成されており、
ヘッド基板293の表面293-hには、表面293-hに当接して固定される遮光部材297が配置されており、遮光部材297には、厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が複数形成されており、1個の発光素子グループEGに対して内壁に黒色メッキが施された1個の導光孔2971が開口しているため、迷光の多くは導光孔2971の内壁で吸収され、
ヘッド基板293の発光素子Eからの光が、遮光部材297の導光孔2971と絞り平板295の開口絞り2951を通過して、レンズアレイLA1、LA2のレンズLS1、LS2により結像される、
ラインヘッド29。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「発光素子14」、「遮光壁50」、「マイクロレンズL」及び「露光装置10」は、それぞれ、本願発明1の「発光素子」、「遮光体」、「レンズ」及び「光源ユニット」に相当する。
イ 引用発明は「素子基板20上には、光源となる複数の発光素子14が、素子基板20の長手方向に二列千鳥状に配列されて」いるものであるから、引用発明の『「素子基板20」及び「(素子基板20上に配列されている)複数の発光素子14」』が、本願発明1の「複数の発光素子を含む発光基板」に相当する。
ウ 引用発明の「他の発光素子14から当該マイクロレンズLへ進行する光」は、本願発明1の「前記発光素子の不要光」に相当する。してみれば、引用発明の「(他の発光素子14から当該マイクロレンズLへ進行する光を遮る壁である)遮光壁50」は、本願発明1の「前記発光素子の不要光を遮光するための遮光体」に相当する。
エ 引用発明の「封止体30」は、「板状の封止基板31と、封止基板31の表面の一部に形成された反射防止膜32とを有し」、「反射防止膜32と、天板311の反射防止膜32に挟まれた部分は、マイクロレンズアレイLAを構成」するものであるため、本願発明1の「複数のレンズを含むレンズアレイ」に相当する。
オ 引用発明の「遮光壁50」は、「平板状の素子基板20と、断面がコ字状で素子基板20と接合された板状の封止体30」により画定される「閉空間SP」に存在し、「封止体30に固定」されるものであるから、『「素子基板20」及び「(素子基板20上に配列されている)複数の発光素子14」』と「封止体30」との間に位置決めされているといえるから、本願発明1と引用発明とは、「前記遮光体が前記発光基板と前記レンズアレイとの間に位置決めされた状態で」ある点において相当する。
カ 本願明細書の【0016】の、「・・・本願発明において「直接固定」とは、レンズアレイ60のレンズ66、67のほぼ光軸方向に、レンズアレイ60を発光基板40に位置決め固定するように、接着や溶着などの方法を用いて、レンズアレイ60と発光基板40とを固定することを意味する。レンズアレイ60と発光基板40との間に接着剤が介在している構成、またはレンズアレイ60と発光基板40との間に接着剤以外の別体のシート状の部材が介在している構成も、直接固定に含まれる。・・・」との記載を踏まえれば、引用発明の「(接着剤40による接着により素子基板20に接合される)封止体30」は、『「素子基板20」及び「(素子基板20上に配列されている)複数の発光素子14」』に直接固定されているといえるから、本願発明1と引用発明とは、「前記レンズアレイが前記発光基板に直接固定されて」いる点においても相当する。
したがって、本願発明1と引用発明は、次の一致点において一致し、相違点1及び2において相違する。
<一致点>
「複数の発光素子を含む発光基板と、
前記発光素子の不要光を遮光するための遮光体と、
複数のレンズを含むレンズアレイと、を備え、
前記遮光体が前記発光基板と前記レンズアレイとの間に位置決めされた状態で、前記レンズアレイが前記発光基板に直接固定されている光源ユニット。」
<相違点1>
本願発明1の「遮光体」は「発光基板に固定」されるものであるのに対し、引用発明の「遮光壁50」はそのようなものでない点。
<相違点2>
本願発明1は「前記発光素子は前記発光基板の、前記レンズアレイが固定されている面とは反対側の面に固定されており、前記発光素子から射出された光は前記発光基板を透過して前記レンズアレイに到達する」のに対し、引用発明は「発光素子14とマイクロレンズLとの間に、素子基板20が存在しない」ものと特定される点。
(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑みて、相違点2について検討する。
イ 相違点2に係る本願発明1の「前記発光素子は前記発光基板の、前記レンズアレイが固定されている面とは反対側の面に固定されており、前記発光素子から射出された光は前記発光基板を透過して前記レンズアレイに到達する」との発明特定事項は、本願発明1の光源ユニットが、いわゆるボトムエミッションタイプのものであることを特定するものである。
ウ これに対し、引用発明は、「発光素子14とマイクロレンズLとの間に、素子基板20が存在しない」、いわゆるトップエミッションタイプのものであることが特定されるものである。
ところで,引用文献1には、上記「第3 1(1)ア」のとおり、露光装置の結像性能を十分に高くするためには、有機EL素子とレンズアレイとの間隔を十分に狭くすべきであり、当該間隔としては、100~500μmが妥当であるが、有機EL素子が配列される素子基板の厚さは通常500μmであるため、必然的に、露光装置を構成する発光装置は、ボトムエミッションタイプでなく、トップエミッションタイプとなる旨が記載されていることに照らせば、「発光素子14とマイクロレンズLとの間に、素子基板20が存在しない」と特定される、すなわち、トップエミッションタイプのものと特定される引用発明を、ボトムエミッションタイプのものに変更することには、阻害要因が存在するというべきである。
エ してみると、引用文献2に、ボトムエミッションタイプのラインヘッドの技術が開示されているとしても、引用発明に引用文献2のボトムエミッションタイプのラインヘッドの技術を適用することに阻害要因が存在する以上、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものということはできない。
オ したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9も、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、令和1年6月21日に提出された手続補正書による補正後の請求項1ないし4に係る発明は、上記引用文献1及び上記引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、当該補正された特許請求の範囲の請求項5ないし10に係る発明は、上記引用文献1に記載された発明、上記引用文献2に記載された発明及び引用文献3、4(特開2009-37200号公報、特開2009-37199号公報)等に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、令和2年5月18日に提出された手続補正書により補正された請求項1は、上記相違点2に係る本願発明1の「前記発光素子は前記発光基板の、前記レンズアレイが固定されている面とは反対側の面に固定されており、前記発光素子から射出された光は前記発光基板を透過して前記レンズアレイに到達する」という事項を有するものとなっており、引用発明の構成を当該事項とする点に阻害要因がある以上、引用文献3、4に記載の周知技術を参酌したとしても、上記のとおり、本願発明1ないし9は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)請求項5について
当審では、請求項5が引用する請求項1には、「前記遮光体が前記発光基板に固定され」と記載される一方で、請求項5には、遮光体を構成する各ユニットと、発光基板との関係が記載されていないため、請求項5に係る発明において、遮光体を構成する各ユニットが、発光基板に固定されるのか、そうでないのか不明であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年5月18日に提出された手続補正書による補正により、請求項5に「前記遮光体がユニット単位で前記発光基板に固定されている」との事項が追加され、請求項5に係る発明において、遮光体を構成する各ユニットが発光基板に固定されることが特定されたため、この拒絶の理由は解消した。
(2)請求項8について
ア 当審では、請求項8には、「前記レンズアレイが個々のレンズごとに分割されて構成され、前記レンズアレイがレンズ単位で前記発光基板に固定され」と記載されているが、請求項1に記載されるように「レンズアレイ」は「複数のレンズを含む」ものであるところ、「レンズアレイ」が「複数のレンズを含む」ことと、「レンズアレイ」が「個々のレンズごとに分割されて構成され」「レンズ単位で前記発光基板に固定され」ることとは両立しないから、請求項8の上記記載は不合理であるとの拒絶の理由を通知したが、令和2年5月18日に提出された手続補正書による補正により、請求項8が「レンズアレイが個々のレンズごとに分割された複数の単ユニットから構成され、当該単ユニットが前記発光基板に固定され」と補正されて、「レンズアレイ」が「個々のレンズごとに分割された複数の単ユニットから構成され」るものであることと、発光基板に固定されるものが「単ユニット」であることが特定されることになり、上記不合理が解消することとなったため、この拒絶の理由は解消した。
イ 当審では、請求項8には、「前記遮光体が複数の導光孔を有し、前記遮光体も個々の導光孔ごとに分割されて構成されている」と記載されているが、「遮光体」が「複数の導光孔を有する」ことと、「遮光体」が「個々の導光孔ごとに分割されて構成され」ることとは両立しないから、請求項8の上記記載は不合理である、との拒絶の理由を通知したが、令和2年5月18日に提出された手続補正書による補正により、請求項8が「前記遮光体が複数の導光孔を有し、前記遮光体も個々の導光孔ごとに分割された複数の単ユニットから構成され、当該単ユニットが前記発光基板に固定されている」と補正されて、「遮光体」が「個々の導光孔ごとに分割された複数の単ユニット」から構成されるものであることと、発光基板に固定されるものが「単ユニット」であることが特定されることになり、上記不合理が解消されたため、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし9は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、当審が通知した記載不備に係る拒絶の理由は、補正により解消した。
したがって、原査定の理由及び当審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-012768