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意匠拒絶査定不服審判

2019-006984

マスク

審判番号
2019-006984
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2018-011761外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1650832
請求日
2019年05月29日
審決日
2019年11月18日
公報発行日
2023年01月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .3 -WY (C4-0)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法10条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第10条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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意願2018- 11761「マスク」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 平成30年 5月29日 意匠登録出願 平成30年11月12日付け 拒絶理由通知書 平成30年12月17日 意見書 平成31年 2月26日付け 拒絶査定 令和 1年 5月29日 審判請求書 第2 本願意匠 本願は物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「マスク」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の「意匠の説明」の欄には「薄墨を塗った部分以外の部分(当審注:以下「本願部分」という。)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されている(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び願書に記載した本意匠 1 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠(意願2018-11757の意匠。)に類似する意匠と認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって、具体的には以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下、「本願意匠」と記載します)と、本願の本意匠の表示の欄に記載された意匠の対応する部分(以下、「本意匠」と記載します)を全体として比較すると、正面視右端から左端にかけて凸部と凹部を交互に配して正面視上部の輪郭を構成する態様については共通するものの、当該部について頂部を平らにした凸部と略V字型凹部を組み合わせる本願意匠の態様と、略放物線状の曲凸部と浅底のU字型曲凹部を組み合わせる本意匠の態様には差異が認められ、この差異点は看者に別異の印象を与えています。 したがって、意匠全体として観察する場合においては、共通点はあるものの、それ以上に差異点が看者に与える印象が大きく、各意匠は異なる美感を醸成していますので、本願意匠は本意匠に類似するものとは認められません。」 2 願書に記載した本意匠 願書に記載した本意匠(以下、単に「本意匠」という。)は、平成30年(2018年)5月29日に意匠登録出願(意願2018-11757)され、同年12月28日に意匠権の設定の登録(意匠登録第1622914号)がなされ、平成31年(2019年)1月28日に意匠公報が発行されたものであり、本意匠の意匠に係る物品は、本意匠の出願の願書の記載によれば「マスク」であり、本意匠の形態は、同願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の「意匠の説明」の欄には「薄墨を塗った部分以外の部分(当審注:以下「本意匠部分」という。)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されている(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 以下、本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて検討する。 1 本願意匠 当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「マスク」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。 「本願意匠に係る物品は、例えば、就寝時に使用されるものであって、マスク本体の内面に塗布された保湿剤等により、肌への美容効果を得ることが可能なものである。また、マスク本体の正面側は疎水性を有するものであって保湿剤等の蒸発が抑制されるため、長時間にわたって美容効果を得ることができるものである。」 この記載によれば、本願物品は、就寝時に使用する用途を有し、マスク本体の内面に保湿剤が塗布されており、その蒸発を抑制するマスク本体正面側の疎水性によって長時間にわたる美容効果をもたらす機能を有している。 (2)本願部分の用途及び機能 本願部分は、本願意匠のマスク本体正面表面の上部中央やや左寄りから上部右端までの部分であって、耳掛け部の位置から推認すると、顔への装着時において上部中央は目の下端に近接し、上方に盛り上がった上部右端寄りは目尻に近接することから、目の周辺を覆う用途を有しており、また、上述の美容効果をもたらす機能を有している。 (3)本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分は、マスク本体正面表面の上部中央やや左寄りから上部右端までの位置にあり、マスク本体左端に配された略弓状接合部の上部左端から垂下した区画と、耳掛け部の上側接合部のやや下の水平状区画によって区切られた大きさ及び範囲(本願部分の全高と全幅)は、マスク本体全体(略弓状接合部を含む。)の約3/10(縦方向)、約5/7(横方向)を占めている。 (4)本願部分の形態 ア 隆起部と陥没部 本願部分の略右半部の上部は上方に隆起しており、略左半部の上部は下方に窪んでいる(以下、隆起した部分を「隆起部」、窪んだ部分を「陥没部」という。)。 隆起部の頂部は、本願部分の左上角(略弓状接合部の上部左端に相当)よりも若干高く、その差分と本願部分の全高(隆起部頂部から本願部分下端までの長さ)の比は約1:8.5である。 陥没部の底部は、同左上角よりも低く、その差分と、底部から本願部分の下端までの長さの比は、約4:7である。 イ 隆起部の形状 隆起部の略上半部端部は略台形状であり、その右端下方は、本意匠部分の右下角付近で垂直線状になっている。 ウ 陥没部の形状 陥没部は、左に傾いた略逆J字状を形成しており、最も窪んだ箇所が弧状であって本願部分の中央やや左寄りであり、同弧状から本願部分の左上角までが直線状になっている。 エ 隆起部左端部と陥没部右端部の連続態様 隆起部左端部と陥没部右端部は、略S字形状に連続し、その略S字形状はやや間延びして中間部が直線状に形成されている。 2 本意匠 当審では、本意匠について、以下のとおり認定する(別紙第2参照)。 (1)意匠に係る物品 本意匠の意匠に係る物品(以下「本意匠物品」という。)は「マスク」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。 「本願意匠(当審注:本意匠を指す。)に係る物品は、例えば、就寝時に使用されるものであって、マスク本体の内面に塗布された保湿剤等により、肌への美容効果を得ることが可能なものである。また、マスク本体の正面側は疎水性を有するものであって保湿剤等の蒸発が抑制されるため、長時間にわたって美容効果を得ることができるものである。」 この記載によれば、本意匠物品は、就寝時に使用する用途を有し、マスク本体の内面に保湿剤が塗布されており、その蒸発を抑制するマスク本体正面側の疎水性によって長時間にわたる美容効果をもたらす機能を有している。 (2)本意匠部分の用途及び機能 本意匠部分は、本意匠のマスク本体正面表面の上部中央やや左寄りから上部右端までの部分であって、耳掛け部の位置から推認すると、顔への装着時において上部中央は目の下端に近接し、上方に盛り上がった上部右端寄りは目尻に近接することから、目の周辺を覆う用途を有しており、また、上述の美容効果をもたらす機能を有している。 (3)本意匠部分の位置、大きさ及び範囲 本意匠部分は、マスク本体正面表面の上部中央やや左寄りから上部右端までの位置にあり、マスク本体左端に配された略弓状接合部の上部左端から垂下した区画と、耳掛け部の上側接合部のやや下の水平状区画によって区切られた大きさ及び範囲(本意匠部分の全高と全幅)は、マスク本体全体(略弓状接合部を含む。)の約3/10(縦方向)、約5/7(横方向)を占めている。 (4)本意匠部分の形態 ア 隆起部と陥没部 本意匠部分の略右半部の上部は上方に略山状に隆起しており、略左半部の上部は下方に窪んでいる(以下、隆起した部分を「隆起部」、窪んだ部分を「陥没部」という。)。 隆起部の頂部は、本意匠部分の左上角(略弓状接合部の上部左端に相当)よりも若干高く、その差分と本意匠部分の全高(隆起部頂部から本意匠部分下端までの長さ)の比は約1:7.2である。 陥没部の底部は、同左上角よりも低く、その差分と、底部から本意匠部分の下端までの長さの比は、約1:2である。 イ 隆起部の形状 隆起部の端部は略放物線状を呈しており、その右端下方は、本意匠部分の右下角付近で垂直線状になっている。 ウ 陥没部の形状 陥没部は、略凹弧状を形成している。 エ 隆起部略左半部と陥没部右半部の連続態様 隆起部略左半部の端部と陥没部右半部の端部は、略S字形状に連続し、その略S字形状は滑らかに変化している。 3 本願意匠と本意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「マスク」であるから一致する。 (2)本願部分と本意匠部分の用途及び機能 本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)は、いずれも目の周辺(目の下端や目尻)を覆う用途を有しており、また、上述の美容効果をもたらす機能を有しているから、両部分の用途及び機能は一致する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲 両部分は、いずれもマスク本体正面表面の上部中央やや左寄りから上部右端までの位置にあり、区画された大きさ及び範囲(全高と全幅)がマスク本体全体の約3/10(縦方向)、約5/7(横方向)を占めているから、両部分の位置、大きさ及び範囲は共通する。 (4)両部分の形態 両部分の形態を対比すると、以下の共通点と相違点が認められる。 ア 形態の共通点 (共通点1)隆起部と陥没部 両部分の略右半部の上部は上方に隆起しており、略左半部の上部は下方に窪んでいる。隆起部の頂部は両部分の左上角よりも若干高く、陥没部の底部は同左上角よりも低い。 (共通点2)隆起部の右端下方の形状 隆起部の右端下方において、両部分の右下角付近の端部形状が垂直線状になっている。 (共通点3)陥没部の形状 陥没部には、弧状の部分が形成されている。 (共通点4)隆起部略左半部と陥没部右半部の連続態様 隆起部の左側端部と陥没部の右側端部は、略S字形状に連続している。 イ 形態の相違点 (相違点1)隆起部の高さと陥没部の深さ 隆起部の頂部と左上角の差分と、全高の比が約1:8.5であるか(本願部分)、約1:7.2であるか(本意匠部分)で相違し、陥没部の底部と同左上角の差分と、底部から下端までの長さの比が約4:7であるか(本願部分)、約1:2であるか(本意匠部分)で相違する。 (相違点2)隆起部の形状 本願部分では、隆起部の略上半部端部が略台形状であるのに対して、本意匠部分では、隆起部の端部が略放物線状を呈している。 (相違点3)陥没部の形状 本願部分の陥没部は左に傾いた略逆J字状であり、本願部分の左上角までが直線状になっているのに対し、本意匠部分の陥没部は略凹弧状である。 (相違点4)略S字形状の程度 隆起部の左側端部と陥没部の右側端部の連続態様について、本願部分の略S字形状はやや間延びして中間部が直線状に形成されているが、本意匠部分の略S字形状は滑らかに変化している。 4 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、同一である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は共通する。 (4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価 ア 形態の共通点の評価 両部分の共通点1、すなわち、両部分の略右半部の上部が上方に隆起し、略左半部の上部が下方に窪んだ共通点は、従来のマスクには見られない特徴であって、前記3(2)で摘示したとおり、両部分の一致した用途及び機能として目の周辺を覆う用途を有するから、目の下端に沿うように、略左半部の上部を下方に窪ませて、略右半部の上部を上方に略山状に隆起させている独特の形状を呈しており、この共通点1に対して需要者は確たる美感を抱くということができる。 併せて、隆起部の右端下方において両部分の右下角付近の端部形状が垂直線状になっている共通点2についても、その垂直線状の端部は顔への装着時に耳のすぐ近くに当たり、すなわち、顔の美容効果を最大にもたらすために頬のほぼ全域に当たるように、両部分の右下角付近の端部形状を垂直線状にしていることから、需要者はその形状に着目するというべきである。 したがって、共通点1及び共通点2が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 また、陥没部に弧状の部分が形成されている共通点3と、隆起部の左側端部と陥没部の右側端部が略S字形状に連続している共通点4についても、需要者に共通した視覚的印象を与えており、特に、略S字形状に連続した態様は、隆起部と陥没部が滑らかに繋がる印象を需要者に与えているから、共通点3及び共通点4が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 このように、共通点1ないし共通点4が両部分の類否判断に及ぼす影響はいずれも大きいといえる。 イ 形態の相違点の評価 これに対して、前記3(4)イで認定した相違点1ないし相違点4が両部分の類否判断に及ぼす影響は、以下のとおり評価される。 相違点1で指摘した、隆起部の頂部と左上角の差分と全高の比の相違(約1:8.5-約1:7.2)はそれほど大きいものではないので、需要者がその相違に着目するとはいい難い。また、陥没部の底部と同左上角の差分と底部から下端までの長さの比の相違(約4:7-約1:2)についても、本意匠部分の比が約4:8に相当するから同様である。したがって、相違点1が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そして、隆起部の略上半部端部が略台形状であるか(本願部分)、隆起部の端部が略放物線状を呈しているか(本意匠部分)の相違点2、及び略S字形状が滑らかであるか否かの相違点4については、隆起部の頂部が両部分の左上角よりも若干高く、陥没部の底部が同左上角よりも低いという共通点1、陥没部に弧状の部分が形成されているという共通点3、及び隆起部の左側端部と陥没部の右側端部が略S字形状に連続しているという共通点4を損ねる程の相違ではなく、むしろこれらの共通点に埋没する相違であるというべきであるから、これらの共通点がもたらす美感を圧して需要者に異なる視覚的印象を与えるほどのものではない。したがって、相違点2及び相違点4が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 他方、相違点3、本願部分の陥没部は左に傾いた略逆J字状であり、本願部分の左上角までが直線状になっているのに対し、本意匠部分の陥没部は略凹弧状である相違点は、需要者に一定の視覚的印象を与えているから、両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。 そうすると、相違点3が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められるものの、相違点を総合すると、相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいといわざるを得ない。 (5)両意匠の類否判断 両意匠は意匠に係る物品が同一であり、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一又は共通し、両部分の形態についても、共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響がいずれも大きいのに対して、相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は総じて小さい。 したがって、本願意匠は本意匠に類似する。 5 本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて 本意匠は、本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから、意匠法第10条第1項に規定されている本意匠の要件を満たしている。 また、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日以後であって本意匠の意匠公報の発行の日前であるから、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。 さらに、前記4(5)のとおり、本願意匠は、本意匠に類似するものと認められるので、意匠法第10条第1項に規定されている、本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たしている。 したがって、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当する。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当するから、本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができる。そうすると、原査定における拒絶の理由は成り立たない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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