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特許無効審判

2018-800071

セレコキシブ組成物

審判番号
2018-800071
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2000-584884
登録番号
3563036
請求日
2018年06月04日
審決日
2019年09月03日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日本ケミファ 株式会社
  • 【請求人代理人】小椋 正幸
  • 【請求人代理人】寺本 光生
  • 【請求人代理人】丹治 彰
  • 【請求人代理人】松村 啓
  • 【請求人代理人】大槻 真紀子
  • 【請求人】ダイト 株式会社
  • 【請求人代理人】小椋 正幸
  • 【請求人代理人】寺本 光生
  • 【請求人代理人】丹治 彰
  • 【請求人代理人】松村 啓
  • 【請求人代理人】大槻 真紀子
  • 【参加人】テバ・ホールディングス合同会社
  • 【参加人代理人】実広 信哉
  • 【被請求人】ジー.ディー.サール、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー
  • 【被請求人代理人】四本 能尚
  • 【被請求人代理人】宮澤 純子
  • 【被請求人代理人】龍田 美幸
審判長/審判官
  • 審判長 滝口 尚良
  • 審判官 村上 騎見高
  • 審判官 穴吹 智子
分類
P1113.832-YAA(A61K) / P1113.841-YAA(A61K) / P1113.851-YAA(A61K) / P1113.852-YAA(A61K) / P1113.854-YAA(A61K) / P1113.121-YAA(A61K) / P1113.536-YAA(A61K) / P1113.537-YAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法135条特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第184条の19、特許法第29条第2項、特許法第123条第1項第4号、特許法第134条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条、特許法第135条、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第3563036号発明「セレコキシブ組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第3563036号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~19〕について訂正することを認める。 特許第3563036号の請求項6に係る発明についての審判請求を却下する。 特許第3563036号の請求項1~5、7~19に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人及び参加人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 本件特許第3563036号(以下、「本件特許」ともいう。)の請求項1~19に係る発明についての出願(以下、「本件特許出願」ともいう。)は、平成11年11月30日(パリ条約による優先権主張 1998年11月30日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日として出願されたものであり、平成16年6月11日に特許権の設定登録がなされた。 これに対して、平成28年9月30日に東和薬品株式会社を請求人とする特許無効審判(無効2016-800112号)が請求され、それに対して、 「特許第3563036号の特許請求の範囲を平成30年5月7日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~19〕について訂正することを認める。 特許第3563036号の請求項6に係る発明についての審判請求を却下する。 特許第3563036号の請求項1~5、7~19に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 」 を結論とする審決が平成30年6月26日付けでなされた。 その後、この審決に対する審決取消訴訟が提起され、この審決は確定していない。 請求人 日本ケミファ株式会社 及び ダイト株式会社は、平成30年6月4日付けで、本件特許の請求項1~19に係る発明についての特許を無効とすることを求めて、本件特許無効審判を請求し、これに対して被請求人は、平成30年9月28日付けで審判事件答弁書及び訂正請求書を提出した。そして、平成31年3月18日に行われた第1回口頭審理において、請求人は平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書に沿って第1回口頭審理調書に記載のとおりの陳述をし、被請求人は平成31年3月1日付け口頭審理陳述要領書に沿って第1回口頭審理調書に記載のとおりの陳述をした。その後、被請求人は平成31年3月28日付け上申書を提出し、請求人は平成31年4月15日付け上申書を提出した。 参加人 テバ・ホールディングス合同会社は、平成31年4月16日付け参加申請書を提出して請求人側への参加を申請し、令和1年6月26日付け参加許否の決定により、参加を許可された。 第2 訂正請求について 1 訂正の内容 平成30年9月28日付けの訂正請求は、その請求の趣旨を「特許第3563036号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~19について訂正することを求める。」とするものである。 すなわち、本件訂正前特許請求の範囲は 「【請求項1】 一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤と密に混合させた10mg乃至1000mgの量の微粒子セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な単位投与量を含む製薬組成物であって、粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する製薬組成物。 【請求項2】 前記粒子の最大長において、前記セレコキシブ粒子のD90が100μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の製薬組成物。 【請求項3】 前記粒子の最大長において、前記セレコキシブ粒子のD90が40μm未満であることを特徴とする請求項2に記載の製薬組成物。 【請求項4】 前記粒子の最大長において、前記セレコキシブ粒子のD90が25μm未満であることを特徴とする請求項3に記載の製薬組成物。 【請求項5】 前記同じ投与量のセレコキシブを含有する経口運搬された溶液と比較して最低約50%であるセレコキシブの相対的な生物学的利用能を有することを特徴とする請求項1記載の製薬組成物。 【請求項6】 前記同じ投与量のセレコキシブを含有する経口運搬された溶液と比較して最低約70%であるセレコキシブの相対的な生物学的利用能を有することを特徴とする請求項5記載の製薬組成物。 【請求項7】 前記単位投与量は、錠剤、ピル、硬質若しくは軟質カプセル、ロゼンジ、サシェイ、又はパステルから選択されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の製薬組成物。 【請求項8】 前記賦形剤は薬剤学的に許容な希釈剤、崩壊剤、結着剤、加湿剤及び潤滑剤から選択される前記単位投与量のカプセル又は錠剤の形態であることを特徴とする請求項7記載の製薬組成物。 【請求項9】 (a)前記製薬組成物の約10質量%乃至約85重量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な希釈剤と、 (b)前記製薬組成物の約0.2質量%乃至約10質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な崩壊剤と、及び (c)前記製薬組成物の約0.75質量%乃至約15質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な結着剤とを含有することを特徴とする請求項8記載の製薬組成物。 【請求項10】 前記製薬組成物の約0.4質量%乃至約10質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な加湿剤をさらに含有することを特徴とする請求項9に記載の製薬組成物。 【請求項11】 前記製薬組成物の約0.2質量%乃至約8質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な潤滑剤をさらに含有することを特徴とする請求項9に記載の製薬組成物。 【請求項12】 前記製薬組成物の約0.2質量%乃至約8質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な潤滑剤をさらに含有することを特徴とする請求項10に記載の製薬組成物。 【請求項13】 (a)前記希釈剤はラクト-スを含み、(b)前記崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムを含み、(c)前記結着剤はポリビニルピロリドンを含むことを特徴とする請求項9に記載の製薬組成物。 【請求項14】 ラウリル硫酸ナトリウムを含有する加湿剤をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の製薬組成物。 【請求項15】 ステアリン酸マグネシウムを含有する潤滑剤をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の製薬組成物。 【請求項16】 ラウリル硫酸ナトリウムを含有する加湿剤と、ステアリン酸マグネシウムを含有する潤滑剤とをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の製薬組成物。 【請求項17】 シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤による治療を必要とする被験者における病状又は疾患を治療するために、前記製薬組成物は被験者に好ましくは1日に1回又は2回経口投与することを特徴とする請求項1乃至16の何れか一項に定義される製薬組成物。 【請求項18】 シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤による治療を必要とする被験者における病状又は疾患の治療及び/又は予防処置での薬剤調製のための請求項1乃至16の何れか一項に定義される製薬組成物の使用。 【請求項19】 前記状態又は疾患は、リウマチ様関節炎、骨関節炎又は痛みである請求項18による使用。」 (以下、本件訂正前特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本件訂正前発明1」、同請求項2に係る発明を「本件訂正前発明2」、以下同様に「本件訂正前発明3」、「本件訂正前発明4」、……「本件訂正前発明18」、「本件訂正前発明19」ともいう。) であるところ、それを本件訂正特許請求の範囲のとおりに訂正しようとするものであって、訂正事項は下記訂正事項1~7のとおりである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において「一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤と密に混合させた10mg乃至1000mgの量の微粒子セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な単位投与量を含む製薬組成物であって、粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する製薬組成物。」とあるのを、「一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤と密に混合させた10mg乃至1000mgの量の微粒子セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物であって、粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する製薬組成物。」に訂正する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7において「前記単位投与量は、錠剤、ピル、硬質若しくは軟質カプセル、ロゼンジ、サシェイ、又はパステルから選択されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の製薬組成物。」とあるのを、「前記投与量単位は、錠剤、ピル、硬質若しくは軟質カプセル、ロゼンジ、サシェイ、又はパステルから選択されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の製薬組成物。」に訂正する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8において「前記賦形剤は薬剤学的に許容な希釈剤、崩壊剤、結着剤、加湿剤及び潤滑剤から選択される前記単位投与量のカプセル又は錠剤の形態であることを特徴とする請求項7記載の製薬組成物。」とあるのを、「前記賦形剤は薬剤学的に許容な希釈剤、崩壊剤、結着剤、加湿剤及び潤滑剤から選択される単位投与量のカプセル又は錠剤の形態であることを特徴とする請求項7記載の製薬組成物。」に訂正する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7において「請求項1乃至6」とあるのを、「請求項1乃至5」に訂正する。 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項17において「請求項1乃至16」とあるのを、「請求項1乃至5及び7乃至16」に訂正する。 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項18において「請求項1乃至16」とあるのを、「請求項1乃至5及び7乃至16」に訂正する。 2 訂正の可否に対する判断 これらの訂正事項について検討する。 (1)訂正の目的 訂正事項1は、外国語特許出願に基づく本件特許において、外国語特許出願の特許請求の範囲の原文に記載された“dose units”の邦訳を、「単位投与量」から「投与量単位」に変更するものである。 本件特許明細書の段落【0041】の記載を、対応する外国語特許出願の明細書13頁20~30行の記載と対比すると、“unit dose”は「単位投与量」と邦訳され、一方、“dose units”は「投与量単位」と邦訳されている。 また、本件訂正前特許請求の範囲の請求項1における「経口運搬可能な単位投与量」との記載に対応すると認められる本件特許明細書の発明の詳細な説明における記載(段落【0008】、段落【0011】、段落【0017】、段落【0019】、段落【0021】)は、すべて「経口運搬可能な投与量単位」とされている。 したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 訂正事項2は、外国語特許出願に基づく本件特許において、外国語特許出願の特許請求の範囲の原文に記載された“dose units”の邦訳を、「単位投与量」から「投与量単位」に変更するものである。 本件特許明細書の段落【0041】の記載を、対応する外国語特許出願の明細書13頁20~30行の記載と対比すると、“unit dose”は「単位投与量」と邦訳されるとともに、被験者への1回の経口投与を意図する活性成分の量であるとされる一方、“dose units”は「投与量単位」と邦訳されるとともに、錠剤又はカプセルのような個々の物品の形態であるとされている。 ここで、訂正前の請求項7における「錠剤、ピル、硬質若しくは軟質カプセル、ロゼンジ、サシェイ、又はパステル」は1回の経口投与を意図する活性成分の量ではなく、物品の形態である。 したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 訂正事項3については、本件訂正前特許請求の範囲の請求項1~7において「単位投与量」なる記載はないため、訂正前の請求項8の「前記」なる記載が誤記であることは明らかである。 したがって、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 訂正事項4は、請求項6を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 訂正事項5は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項7において引用する請求項6を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 訂正事項6は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項17において引用する請求項6を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 訂正事項7は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項18において引用する請求項6を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項1は、「一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤と密に混合させた10mg乃至1000mgの量の微粒子セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な単位投与量を含む製薬組成物……」における「単位投与量」の誤訳を「投与量単位」に訂正するものである。 本件特許明細書に、「本願で利用する用語「単位投与量」とは、シクロオキシゲナーゼ-2媒介状態又は疾患の治療若しくは予防のため、被験者への1回の経口投与を意図する活性成分の量のことをいう。」(本件特許明細書の段落【0041】)と記載されるとともに、「本願で利用する用語「投与量単位」とは、活性成分の1回の単位投与量を含む製薬組成物の部分のことをいう。」(本件特許明細書の段落【0041】)と記載されていることを参酌すると、訂正事項1は製薬組成物中の活性成分の量を変更するものではない。 また、本件特許明細書に、「本発明の目的では、投与量単位は、錠剤又はカプセルのような個々の物品の形態であり、活性成分の単位投与量を含有する溶液、懸濁液などの測定可能な体積を有している。」(本件特許明細書の段落【0041】)とも記載されており、医薬の分野において、1回の経口投与を意図する活性成分の量は錠剤又はカプセル等の剤形に含まれるのが通常であることを考慮すると、訂正事項1は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項2は、誤訳の訂正を目的とするものであって、「錠剤、ピル、硬質若しくは軟質カプセル、ロゼンジ、サシェイ、又はパステル」の剤形を変更するものではないから、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。 したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項3は、「前記」なる誤記を削除するものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項4は、請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項5は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項7において引用する請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項6は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項17において引用する請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項7は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項18において引用する請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1~訂正事項3は、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであって、特許法第184条の19で読み替える、同法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 訂正事項4は、請求項6を削除するものであって、特許法第184条の19で読み替える、同法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 訂正事項5は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項7において引用する請求項6を削除するものであって、特許法第184条の19で読み替える、同法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 訂正事項6は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項17において引用する請求項6を削除するものであって、特許法第184条の19で読み替える、同法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 訂正事項7は、訂正事項4により請求項6が削除されることに伴い、訂正前請求項18において引用する請求項6を削除するものであって、特許法第184条の19で読み替える、同法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (4)一群の請求項ごとに訂正の請求をするものであることについて 訂正前の請求項1~19は、請求項2~19が直接又は間接に請求項1を引用する関係にあるから、訂正前の請求項1~19を訂正の請求の対象とするこの訂正は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。 (5)小括 以上のとおり、訂正請求書(第2回)による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とするものであり、同法134条の2第3項の規定に適合し、同法第134条の2第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 本件発明 前記訂正の結果、本件特許第3563036号の特許請求の範囲の請求項1~19に係る発明は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定される以下のものである。 「【請求項1】 一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤と密に混合させた10mg乃至1000mgの量の微粒子セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物であって、粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する製薬組成物。 【請求項2】 前記粒子の最大長において、前記セレコキシブ粒子のD90が100μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の製薬組成物。 【請求項3】 前記粒子の最大長において、前記セレコキシブ粒子のD90が40μm未満であることを特徴とする請求項2に記載の製薬組成物。 【請求項4】 前記粒子の最大長において、前記セレコキシブ粒子のD90が25μm未満であることを特徴とする請求項3に記載の製薬組成物。 【請求項5】 前記同じ投与量のセレコキシブを含有する経口運搬された溶液と比較して最低約50%であるセレコキシブの相対的な生物学的利用能を有することを特徴とする請求項1記載の製薬組成物。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記投与量単位は、錠剤、ピル、硬質若しくは軟質カプセル、ロゼンジ、サシェイ、又はパステルから選択されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の製薬組成物。 【請求項8】 前記賦形剤は薬剤学的に許容な希釈剤、崩壊剤、結着剤、加湿剤及び潤滑剤から選択される単位投与量のカプセル又は錠剤の形態であることを特徴とする請求項7記載の製薬組成物。 【請求項9】 (a)前記製薬組成物の約10質量%乃至約85重量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な希釈剤と、 (b)前記製薬組成物の約0.2質量%乃至約10質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な崩壊剤と、及び (c)前記製薬組成物の約0.75質量%乃至約15質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な結着剤とを含有することを特徴とする請求項8記載の製薬組成物。 【請求項10】 前記製薬組成物の約0.4質量%乃至約10質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な加湿剤をさらに含有することを特徴とする請求項9に記載の製薬組成物。 【請求項11】 前記製薬組成物の約0.2質量%乃至約8質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な潤滑剤をさらに含有することを特徴とする請求項9に記載の製薬組成物。 【請求項12】 前記製薬組成物の約0.2質量%乃至約8質量%の量の一つ以上の薬剤学的に許容な潤滑剤をさらに含有することを特徴とする請求項10に記載の製薬組成物。 【請求項13】 (a)前記希釈剤はラクト-スを含み、(b)前記崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムを含み、(c)前記結着剤はポリビニルピロリドンを含むことを特徴とする請求項9に記載の製薬組成物。 【請求項14】 ラウリル硫酸ナトリウムを含有する加湿剤をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の製薬組成物。 【請求項15】 ステアリン酸マグネシウムを含有する潤滑剤をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の製薬組成物。 【請求項16】 ラウリル硫酸ナトリウムを含有する加湿剤と、ステアリン酸マグネシウムを含有する潤滑剤とをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の製薬組成物。 【請求項17】 シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤による治療を必要とする被験者における病状又は疾患を治療するために、前記製薬組成物は被験者に好ましくは1日に1回又は2回経口投与することを特徴とする請求項1乃至5及び7乃至16の何れか一項に定義される製薬組成物。 【請求項18】 シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤による治療を必要とする被験者における病状又は疾患の治療及び/又は予防処置での薬剤調製のための請求項1乃至5及び7乃至16の何れか一項に定義される製薬組成物の使用。 【請求項19】 前記状態又は疾患は、リウマチ様関節炎、骨関節炎又は痛みである請求項18による使用。」 (以下、請求項の順に、請求項1に係る発明を「本件発明1」、請求項2に係る発明を「本件発明2」、……、請求項19に係る発明を「本件発明19」ともいい、本件発明1~19を合わせて「本件発明」ともいう。) 第4 当事者の主張及び提出した証拠方法 1 請求人の主張及び提出した証拠方法 請求人が提出した審判請求書、平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書及び平成31年4月15日付け上申書によれば、請求人は、請求の趣旨として「特許第3563036号の特許を無効とする。審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と述べ、その理由として、以下の無効理由1~無効理由4を主張し、証拠方法として、甲第1号証~甲第23号証を提出している。 (1)無効理由1(甲第1号証に記載された発明を主引例とする進歩性欠如) ア 本件発明1~本件発明4はいずれも、甲第1号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 イ 本件発明5及び本件発明6はいずれも、甲第1号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 ウ 本件発明7は、甲第1号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 エ 本件発明8~本件発明16はいずれも、甲第1号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第7号証~甲第11号証の記載)及びセレコキシブについての公知の知見(甲第12号証及び甲第13号証)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 オ 本件発明17~本件発明19はいずれも、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の記載事項及び甲第13号証の記載事項、並びに本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 カ 本件発明1~19の効果は、甲第2号証の記載に本件特許出願の優先日時点における技術常識を組み合わせることによって当業者が予測し得る効果に過ぎない。 キ したがって、本件発明1~本件発明19は、甲第1号証~甲第13号証の記載事項及び本件特許出願の優先日における技術常識を組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効にされるべきものである。 (2)無効理由2(甲第2号証に記載された発明を主引例とする進歩性欠如) ア 本件発明1~本件発明4はいずれも、甲第2号証に記載された発明に、本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)及びセレコキシブについての公知の知見(甲第12号証及び甲第13号証)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 イ 本件発明5及び本件発明6はいずれも、甲第2号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 ウ 本件発明7は、甲第2号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 エ 本件発明8~本件発明16はいずれも、甲第2号証に記載された発明に本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第7号証~甲第11号証の記載)及びセレコキシブについての公知の知見(甲第12号証及び甲第13号証)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 オ 本件発明17~19はいずれも、甲第2号証に記載された発明に、甲第13号証の記載及び本件特許出願の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第11号証の記載)を組み合わせることにより当業者が容易になし得た発明である。 カ 本件発明1~19の効果は、甲第2号証の記載に本件特許出願の優先日時点における技術常識を組み合わせることによって当業者が予測し得る効果に過ぎない。 キ したがって、本件発明1~本件発明19は、甲第2号証~甲第13号証の記載事項及び本件特許出願の優先日における技術常識を組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効にされるべきものである。 (3)無効理由3(サポート要件違反) 本件発明1~本件発明19は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 (4)無効理由4(実施可能要件違反) 発明の詳細な説明は、本件発明1~本件発明19を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 (証拠方法) 甲第1号証 :A. Karim, et al.,“SC-58635(CELECOXIB): A HIGHLY SELECTIVE INHIBITOR OF CYCLOOXYGENASE-2. DISPOSITION KINETICS IN MAN AND IDENTIFICATION OF ITS MAJOR CYP450 ISOZYME IN ITS BIOTRANSFORMATION.”,1997 AAPS ANNUAL MEETING CONTRIBUTED PAPERS ABSTRACTS, 1997年, S-617頁 甲第2号証 :特表平9-506350号公報 甲第3号証 :「英中日工業技術大辞典」,株式会社 工業調査会,1998年10月20日,表題頁、352頁、奥付 甲第4号証 :Zak T. Chowhan, “Drug Substance Physical Properties and Their Relationship to the Performance of Solid Dosage Forms”, Pharmaceutical Technology, 1994年3月,,44、46-50、52、54、56、58、60頁 甲第5号証 :「経口投与製剤の処方設計」,株式会社 薬業時報社,平成10年4月15日,奥付、46-55、102-103頁 甲第6号証 :「医薬品の投与剤形」,医歯薬出版株式会社,昭和58年5月14日,奥付、53-54頁 甲第7号証 :「新製剤開発システム総合技術-基剤・添加物篇」,R&Dプランニング,昭和60年7月12日,奥付168-172頁 甲第8号証 :「製剤学(改訂第3版)」,株式会社南江堂,1997年4月1日,表題頁、71頁、168頁、奥付 甲第9号証 :「経口投与製剤の設計と評価」株式会社 薬業時報社,平成7年2月10日,表題頁、167-171頁、奥付 甲第10号証:「医薬品の溶出」,株式会社地人書館,昭和52年10月30日,表題頁、104-111頁、奥付 甲第11号証:特開平3-148224号公報 甲第12号証:GenMed. a division of Pfizer Canada Inc.,“PRODUCT MONOGRAPH PrGD*-celecoxib Capsules, 100 mg and 200 mg ATC Code: M01AH01 Anti-inflammatory and anti-rheumatic products, non-steroids”,1-58頁 甲第13号証:LEE S. SIMON et al.,“PRELIMINARY STUDY OF THE SAFETY AND EFFICACY OF SC-58635, A NOVEL CYCLOOXYGENASE- 2 INHIBITOR Efficacy and Safety in Two Placebo-Controlled Trials in Osteoarthritis and Rheumatoid Arthritis, and Studies of Gastrointestinal and Plate;et Effects”,ARTHRITIS & RHEUMATISM,Vol.41,No.9,1998年,1591-1602頁 甲第14号証:白石弘二,実験報告書「特許3563036号セレコキスブ組成物」生物学的利用能の確認,2018年4月13日作成,1-3頁 (以上、審判請求書に、甲第1号証~甲第13号証は写しを原本として添付し、甲第14号証は原本を添付) 甲第15号証:「新総合薬剤学<1>」,医歯薬出版株式会社,昭和56年10月20日,244頁、奥付 甲第16号証:JI Woon Cho, et al.,“Effect of Crystal Form(Habit) on Dissolution Rate of Aspirin and Phenacetin”,Journal of Korean Pharmaceutical Science,Vol.20,No.2,1990年,65-71頁 甲第17号証:S. CHAKRABARTI, et al.,“Studies on the Crystalline Form of Phenytoin”,Pharmazie,Vol.33,No.6,1978年,338-339頁 甲第18号証:Englebert L. Rowe, et al.,“Thermodynamic Studies of Tolbutamide Polymorphs”,Journal of Pharmaceutical Science,Vol.73,No.11,1984年,1673-1675頁 甲第19号証:P. V. Marshall, et al.,“Crystallisation solvent induced solid-state and particulate modifications of nitrofurantoin”,International Journal of Pharmaceutics,Vol.55,No.2-3,1989年,257-263頁 甲第20号証:特開平2-282381号公報 甲第21号証:特公平6-87884号公報 甲第22号証:「医薬品インタビューフォーム 非ステロイド性消炎・鎮痛剤(COX-2選択的阻害剤) セレコックス(R)錠100mg セレコックス(R)錠200mg」,製造販売 アステラス製薬株式会社,販売提携 ファイザー株式会社,2016年5月改訂,表題頁、「IF利用の手引きの概要」の頁(2頁分)、目次頁(2頁分)、97-100頁 甲第23号証:「セレコキシブ 非臨床に関する概括評価 医薬品第一部会用資料」,アステラス製薬株式会社 ファイザー株式会社,作成時期不明,表題頁,目次頁,1-52頁 (以上、平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書に、いずれも写しを原本として添付) (以下、甲第1号証、甲第2号証、……、甲第23号証を順に、甲1、甲2、……、甲23と省略して記載する。) 2 被請求人の主張及び提出した証拠方法 請求人が提出した審判事件答弁書、平成31年3月1日付け口頭審理陳述要領書及び平成31年3月28日付け上申書によれば、被請求人は、答弁の趣旨として「訂正の請求を認める、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と述べ、証拠方法として、乙第1号証~乙第9号証を提出している。 (証拠方法) 乙第1号証:平成19年(行ケ)第10120号審決取消請求事件に係る知的財産高等裁判所による判決,平成20年4月21日判決言渡し 乙第2号証:平成20年(行ケ)第10291号審決取消請求事件に係る知的裁判高等裁判所による判決,平成21年3月25日判決言渡し 乙第3号証:「経口投与製剤の処方設計」,株式会社 薬業時報社,平成10年4月15日,表題頁、2-4頁、70-90頁、157-159頁、奥付 乙第4号証:「製剤学(改訂第3版)」,株式会社 南江堂,1997年4月1日,表題頁、68-70頁、奥付 乙第5号証:特許第3563036号発明「セレコキシブ組成物」の特許無効審判事件(無効2016-800112)に係る審決,平成30年6月26日 乙第6号証:「第十三改正 日本薬局方解説書」,株式会社 廣川書店,平成8年7月10日,「通則 製剤通則 一般試験法」編の表題頁、総目次頁、A-97、「生薬総則 第二部医薬品各条 参照赤外吸収スペクトル 参考情報 附録」編の表題頁、「第十三改正 日本薬局方第二部」の表題頁、「ii 第二部 医薬品各条・目次」の頁、D-202頁、D-203頁、奥付 乙第7号証:「有機化学 基礎の基礎」,(株)化学同人,1998年5月1日,表題頁、244-245頁、奥付 乙第8号証:「医薬品添加物事典」,株式会社 薬事日報社,2000年4月28日,表題頁、209頁、奥付 (以上、答弁書に、いずれも写しを原本として添付) 乙第9号証: (以上、平成31年3月28日付け上申書に、写しを原本として添付) (以下、乙第1号証、乙第2号証、……、乙第9号証を順に、乙1、乙2、……、乙9と省略して記載する。) 3 請求人の提出した証拠方法のうち、甲1~甲2、甲4~甲6、甲8~甲9、甲11、甲15及び甲13の記載事項 (1)甲1の記載事項(原文は英語であるので、当審による邦訳で示す。) 記載事項(甲1-1) 「SC-58635(セレコキシブ):シクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤。ヒトにおける体内動態およびその生体内変化におけるその主要なCYP450アイソザイムの同定」(2~4行) 記載事項(甲1-2) 「背景.SC-58635(セレコキシブ)は、シクロオキシゲナーゼの誘導型(COX-2)を選択的に(375倍)阻害する新規の抗炎症薬である。目的:ヒトにおけるCOX-2の高選択的阻害薬(SC-58635)の体内動態を明らかにし、SC-58635の生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定する。 方法.被験者に、微細懸濁液として[14C]・SC-58635(100μCi)の単回経口用量300mgを投与し、15日間のウォッシュアウト期間後にSC-58635の300mgカプセル剤を投与した。SC-58635のin vitro代謝経路を、ヒト肝ミクロソームおよび異種発現したCYP450タンパク質を用いて評価した。」(8~17行) 記載事項(甲1-3) 「結果.血漿中の主要な薬剤関連物質は、SC-58635であった。…(中略)…。[14C]・SC-58635経口懸濁液の投与後に、投与量の[平均(SD)]28.9%(6.8)および52.1%(28.6)が、それぞれ尿および糞便中で回収された。SC-58635は広範に代謝され、未変化での回収は尿中では投与量の<0.1%、糞便中では2.6%であった。…(中略)…。総[14C]及び未変化SC-58635は容易に吸収され、Cmax値は、それぞれ1527(638)及び1077(649)ng/mLであった。SC-58635に対するTmax、t1/2及びAUC(0~48)値は、1.9(0.6)時間、15.6(3.5)時間及び8763(2274)ng/mL・時間であった。」(17~33行) (2)甲2の記載事項 記載事項(甲2-1) 「1.式I: [式中、……(中略)……]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。 2.請求の範囲第1項に記載の化合物であって、……(中略)……、上記化合物、またはその薬剤学的に許容される塩。 3.請求の範囲第2項に記載の化合物であって、……(中略)……、上記化合物、またはその薬剤学的に許容される塩。 4.請求の範囲第3項に記載の化合物であって、……(中略)……、上記化合物、またはその薬剤学的に許容される塩 5.請求の範囲第4項に記載の化合物であって、……(中略)……、上記化合物、またはその薬剤学的に許容される塩 6.請求の範囲第5項に記載の化合物であって、……(中略)……、上記化合物、またはその薬剤学的に許容される塩。 7.以下よりなる群の化合物から選択される請求の範囲第6項記載の化合物、およびその薬剤学的に許容される塩:……(中略)……。 8.化合物は、4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド、またはその薬剤学的に許容される塩である、請求の範囲第6項に記載の化合物。 ……(後略)。」(2頁1行~101頁4行) 記載事項(甲2-2) 「式Iの化合物は、患者の炎症の治療、および他の炎症関連疾患の治療(例えば疼痛および頭痛の治療における鎮痛薬として、または発熱の治療のための解熱薬として)に有用であるが、これらに限定されるものではない。例えば、式Iの化合物は、関節炎(慢性関節リウマチ、脊椎関節症(spondyloarthopathies)、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、および若年性関節炎を含むが、これらに限定されない)の治療に有用である。」(108頁9~12行) 記載事項(甲2-3) 「実施例2 [図:0001385458000001.jpg] 4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド 工程1:1-(4-メチルフェニル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオンの調製 4’-メチルアセトフェノン(5.26g、39.2mmol)をアルゴン下で25mLのメタノールに溶解して、メタノール中のナトリウムメトキシド12mL(52.5mmol)(25%)を添加した。この混合物を5分間撹拌して、5.5mL(46.2mmol)のトリフルオロ酢酸エチルを添加した。24時間還流後、この混合物を室温に冷却して濃縮した。100mLの10%HClを添加して、この混合物を4×75mLの酢酸エチルで抽出した。この抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過して濃縮して、8.47g(94%)の褐色油状物を得て、これをさらに精製することなく次に進んだ。 工程2:4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミドの調製 75mLの無水エタノール中の工程1からのジオン(4.14g、18.0mmol)に、4.26g(19.0mmol)の4-スルホンアミドフェニルヒドラジン塩酸塩を添加した。この反応物をアルゴン下で24時間還流した。室温に冷却して濾過後、この反応混合物を濃縮して、6.13gの橙色の固体を得た。この固体を塩化メチレン/ヘキサンから再結晶して、淡黄色の固体として3.11g(8.2mmol、46%)の生成物を得た:融点157~159℃;元素分析:C17H14N3O2SF3の理論値:C,53.54;H,3.70;N,11.02。実測値:C,53.17;H,3.81;N,10.90。」(181頁17行~182頁16行) 記載事項(甲2-4) 「本発明には、1つまたはそれ以上の非毒性の薬剤学的に許容しうる担体および/または希釈剤および/または補助剤(集合的に本明細書では「担体」物質と呼ぶ)と一緒にした、そして必要であれば、他の活性成分と一緒にした、1つまたはそれ以上の式Iの化合物を含む薬剤組成物の群も含まれる。本発明の化合物は、任意の適切な経路により、好ましくはこのような経路に適する薬剤組成物の形で、かつ目的とする治療に有効な用量で投与することができる。本化合物と組成物は、例えば、血管内、腹腔内、皮下、筋肉内または局所に投与することができる。」(281頁1~8行) 記載事項(甲2-5) 「経口投与のために、本薬剤組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁剤または液剤の形にすることができる。本薬剤組成物は、好ましくは特定量の活性成分を含有する投薬単位の形に製造される。このような投薬単位の例は、錠剤またはカプセル剤である。本活性成分はまた、適切な単体として例えば生理食塩水、デキストロースまたは水が使用される組成物として注射により投与してもよい。」(281頁9行~282頁2行) 記載事項(甲2-6) 「投与される治療活性のある化合物の量、および本発明の化合物および/または組成物により疾患症状を治療するための投薬は、患者の年齢、体重、性別および健康状態、疾患の重篤度、投与の経路と頻度、および使用される特定の化合物を含む、種々の因子に依存し、従って広く変化しうる。本薬剤組成物は、約0.1~2000mgの範囲で、好ましくは0.5~500mgの範囲で、そして最も好ましくは約1と100mgの間で活性成分を含有してよい。1日用量は、約0.01~100mg/kg体重、好ましくは0.1と約50mg/kg体重の間、そして最も好ましくは約1~20mg/kg体重が適切であろう。この1日用量は、1日に1~4回の投薬で投与することができる。」(282頁3~11行) 記載事項(甲2-7) 「治療目的のために、本発明の化合物は普通、必要な投与経路に適切な1つまたはそれ以上の補助剤と合わせられる。経口投与される場合本化合物は、ラクトース、ショ糖、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合して、次に投与に便利なように錠剤化またはカプセル化される。このようなカプセル剤または錠剤は、活性化合物をヒドロキシプロピルメチルセルロース中に分散して提供するなど、放出制御処方を含有してもよい。非経口投与のための処方は、水性または非水性の等張性無菌注射液または懸濁液の形であってよい。これらの液剤および懸濁剤は、経口投与のための処方に使用のための1つまたはそれ以上の担体または希釈剤を含む無菌粉末または顆粒から調製することができる。この化合物は水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウムおよび/または種々の緩衝液に溶解することができる。他の補助剤や投与の様式は、製薬分野で周知である。」(282頁12~27行) (3)甲4の記載事項(原文は英語であるので、当審による邦訳で示す。) 記載事項(甲4-1) 「原薬の水溶解度および製剤の薬物濃度は、粒度分布調節の重要性を決定する。ケーススタディにより、粒子径と粒子形状が薬物吸収および製造工程に及ぼす影響は開発段階で検討されるべきであるということが示された。本研究は、粒径規格の根拠を明らかにするものである」(44頁左欄7~13行) 記載事項(甲4-2) 「本稿は、製剤性能に対する粒径分布および粒子形状の影響について検討する。原薬の水溶解度および製剤内の原薬濃度は重要なパラメーターであり、製薬の最適性能を得るためには、原薬の粒径分布および粒子形状調節の根拠を確立する前に検討、評価されるべきである。in vitro 溶解性、in vivo 吸収性のほか、水和性、含量均一性、顆粒密度、造粒および凝集の全工程、成形性を含む製造性パラメーターなどの製剤性能基準について評価する必要がある。」(44頁右欄4~14行) 記載事項(甲4-3) 「要約すると、ケーススタディ2は、原薬含有濃度1%または2%で湿式造粒されたほとんど溶けない中性原薬の粒径分布による影響を分析した。圧縮錠の原薬の粒子径が小さいほど、in vitro での溶解およびin vivo での吸収が速いことが示された。in vitro での溶解は、ヒト被験者に1錠ずつ投与した後の吸収性パラメーターと高い相関を示した。」 記載事項(甲4-4) 「要約すると、ケーススタディ3は、ヒトでのin vitro での溶解とin vivo での吸収について、非常に小さい固有溶解度を有する有機酸の粒径分布-100 mg 用量をカプセル化-の効果を分析した。2つの遊離酸カプセルの溶解速度は同様であったにもかかわらず、微粉化遊離酸を含有するカプセルは粉砕遊離酸を含有するカプセルと比較して遅い速度で吸収された。10分の時点で、ナトリウム塩カプセルの溶解速度は、他の2つのカプセルの溶解と比較して、高かった(図6)。遊離カプセルは、遊離酸の溶液及び遊離酸のナトリウム塩を含有するカプセルと比較して遅い速度で吸収された(図7)。」(52頁左欄下から9行~最終行および54頁左欄1~2行) 記載事項(甲4-5) 「ケーススタディ3とケーススタディ1aで使用された原薬は、同様の水溶性を示した。しかしながら、ケーススタディ3において、直接ブレンドカプセル中の粉砕遊離酸と微粉化遊離酸(それぞれ36%及び23%)を比較すると、微粉化原薬を含有するカプセルのin vivo 吸収は遅くなった。in vitro 溶解データは微粉化原薬と粉砕原薬で同等であった。」(60頁右欄26~32行) (4)甲5の記載事項 記載事項(甲5-1) 「粉砕は,固体試料に衝撃,圧縮,摩擦などの機械的な外力を加えて粒子径を小さくする操作であり10,11),その目的は,粒子径を小さくし,溶解速度を大きくする,難水溶性薬物の経口吸収性を改善する11),混合状態を均一にする13,14),打錠時の成形性を高めることなどである。 一般に粉砕・微細化された粉体は表面エネルギーが高く,静電気の影響を受け易く付着凝集性も高くなるので,取扱いは煩雑となる。また,結晶状態の変化に伴い安定性の低下を来す場合もあるので,製造工程に粉砕操作を組み入れる場合には,製剤品質への影響を見極めることが必要である。」(51頁下から11~4行) (5)甲6の記載事項 記載事項(甲6-1) 「薬物が吸収されるには,まず吸収部位で体液中に溶解されねばならない.たとえば,錠剤またはカプセル剤のかたちで経口投与された薬物は,その薬物粒子が胃腸管内のどこかの部位で溶解されてはじめて吸収される.」(53頁左欄2~5行) 記載事項(甲6-2) 「ある薬物粒子の溶出過程が速いか,あるいは薬物が溶液で投与され,かつ体内でも溶液のままであるような場合,薬物が吸収される速度は主として生体膜障壁を透過する能力に支配されるであろう.しかしながら,薬物もしくは投与剤形の物理化学的特性にもよるが,薬物粒子の溶解速度が遅い場合,溶出過程自身が吸収過程の律速段階になるであろう.溶出の遅い薬物は吸収速度が小さいだけでなく,吸収が不完全となることもある.」(53頁左欄18~25行) 記載事項(甲6-3) 「薬物粒子が多数のより小さな粒子に細分化されると,形成される総表面積は増大する.溶解度が低いか,溶解速度が遅い薬物物質の細粒化を行なうと,一般にその溶解速度は増大することになる.しかし,薬物そのものの実際の溶解度は不変である. 粒子径を小さくすると,薬物の治療効果が増大するという報告は数多くの薬物についてみられる.……表面積を増大させるために,製薬企業は固形投与剤形の製造にあたって,微粉化された粉末をしばしば使用する.微粉化された粉末は,粒子径が約5μ以下の小さな薬物粒子でできている.」(53頁右欄21行~54頁左欄9行) (6)甲8の記載事項 記載事項(甲8-1) 「粉末医薬品が難溶性で,消化液への溶解が,その薬品の吸収の律速段階である場合,薬効の促進という考えに基づけば,微細であるものが望ましい.」(71頁2~3行) 記載事項(甲8-2) 「粉砕は,固体粒子の粒子径を適切な大きさに小さくするための単位操作である.粉砕の目的は,製剤工学的観点からは,溶解速度の増大といった物性の改善のみにとどまらず,固形製剤の添加剤を含めた原料粉粒体間の混合の均一性の向上,造粒性の増大,さらには顆粒や錠剤の機械的強度の増大などを期待することにある.粉砕のメカニズムは,圧縮,衝撃,摩擦,せん断などが単独または複合して働くものである.」(72頁10~14行) (7)甲9の記載事項 記載事項(甲9-1) 「溶解速度が小さいため吸収が悪い難溶性薬物の溶解性および吸収性の改善は,製剤設計者が直面する最も重要な解決課題の1つである。……溶解速度を改善するために製剤側で制御可能なファクターは,表面積と溶解度であることがわかる。」(168頁2~6行) 記載事項(甲9-2) 「1)微細化 表面積を増大する方法として,薬物粒子を微細化する手段が最もよく利用される。一般に数μmのオーダーまでは機械的な破砕・粉砕方式が有効であるが,1μm以下になると反応による結晶の析出などが有効な手段となる。 (1)粉砕 薬物粒子は多くの場合,粉砕機を用いて粉砕される。……通常有機薬物結晶では十数μmから数μm程度まで微細化できる。 微細化により粒子径が小さくなると,表面積の増加により溶解速度が増大する。……しかし,粒子サイズの減少により溶解度に大きな影響を与えるためには,サブミクロン以下のサイズであることが必要であり1,2),多くの医薬品の通常の粉砕ではサイズによる溶解度増加効果はあまりないと考えて良い。 微細化によりバイオアベイラビリティーを改善できることが多くの難溶性薬物,……で報告されている。……しかし,微粉になればなるほど凝集が起こりやすく,粉砕により水に接する表面積(有効表面積)が逆に小さくなり,溶解速度が小さくなることがある。特に疎水性物質は凝集性が強い。……ここに,界面活性剤が存在すると,微粒子は凝集せずに均一に溶液中に分散され,粒子サイズが小さいほど溶出速度は大きくなる。また,この例では界面活性剤の可溶化効果も認められている。 このような場合,凝集を防ぐ目的で,流動化剤や界面活性剤を微細化助剤として加えて粉砕する手段が採られる。この手法を発展させ,微細化に応用したのが混合粉砕である。」(168頁9行~169頁4行) (8)甲10の記載事項 記載事項(甲10-1) 「粒子径を細かくして表面積を増加させると,溶解速度を増大させることができるはずである.しかし,単に表面積を増やすだけでは不十分で,増加すべきなのは有効表面積である.有効表面積とは薬物が試験液に接触する表面積である.薬物が疎水性で溶媒による濡れが劣る場合には,粒子径を小さくすると凝集が起こり,有効表面積がかえって小さくなる結果,溶解速度が遅くなることがある. …… 図示した3例では,いずれも溶解速度は予期に反し,粒子径が大きくなるにつれて増加している.……すなわち,研究に使用した3つの薬物の表面はいずれも疎水性なので,粒子径が小さくなるほど全表面積が,したがって吸着空気量が増加する.その結果,試験液に触れる面積が減少し,溶解速度が低下するのである. ……ポリソルベート80を添加すると,溶媒が薬物粉末の表面をよく濡らすようになるため,溶解速度が粉砕の程度に従って増すものと考えられる.」(104頁7行~最終行、106頁1~6行) (9)甲11の記載事項 記載事項(甲11-1) 「ピリドンカルボン酸は針状晶や板状晶、柱状晶などの形態をとり、一般に流動性を欠くことが多く、その取扱いに様々の困難がつきまとう。流動性を改善するために、一般に賦形剤や結合剤の助けをかりて造粒が行われる。また、ピリドンカルボン酸の流動性は、ピリドンカルボン酸の結晶自体の形状を変化させることによっても改善される。例えば板状晶のピリドンカルボン酸を粉砕し球状ないし類球状となすことが行われる。この方法はピリドンカルボン酸の性質とはほぼ無関係に実施できるが、その粒径がつねに減少する。」(2頁右上欄2~12行) (10)甲15の記載事項 記載事項(甲15-1) 「製剤の分野でも,粒子が細かいと一般に薬効が増大することについてはLevy1)をはじめとして,多くの報告がある.また,混合操作や錠剤をつくる際にも,粉の大きさや分布がその操作の難易に関係する. また,製剤の中にはspansules のように,一つのカプセルの中に数種の粒が混合されている場合,ごく少量の粉末が大量の粉末に混合される場合などは,粒の大きさが揃っているほうが均一な混合が得られる.打錠の際には,粒度の小さなもののほうが造粒しやすい.したがって,製剤原料の調整と製剤操作のなかでの粉砕は,重要な単位操作の一つと考えられる.」(244頁17~23行) (11)甲13の記載事項(原文は英語であるので、当審による邦訳で示す。) 記載事項(甲13-1) 「 [図:0001385458000002.jpg] 図1 SC-58635(セレコキシブ)の化学構造」 4 被請求人の提出した証拠方法のうち、乙3及び乙4の記載事項 (1)乙3の記載事項 記載事項(乙3-1) 「製薬企業において,医薬品製剤の開発は一般に図1-1の上部に示すプロセスに沿って行われる4)。これに対し,製剤研究は医薬品の候補物質が決定された後最終製品の開発までを担当し,図の下部のように全体の開発と並行して進められる。……。 [図:0001385458000003.jpg] 基本的に製剤設計は医薬品開発の後半段階に位置づけられ,開発対象となる主薬が決定された後,プレフォーミュレーション(preformulation)研究で得られる物理化学的特性,治療目的と作用機序,体内動態特性などの情報の総合のもとに行われる。」(2頁5行~下から3行) 記載事項(乙3-2) 「 [図:0001385458000004.jpg] 経口投与製剤の機能特性は,基本的に主薬の吸収効率により評価される。経口投与において,投与された薬物量のうち消化管から吸収され循環血流中にまで到達したものの割合,すなわちバイオアベイラビリティー(bioavailability:生物学的利用能)は…,(1)消化管内容物中薬物溶解度,(2)消化管管腔内での薬物の安定性,(3)溶解状態にある薬物分子の消化管粘膜障壁投下効率,(4)吸収過程中小腸および肝臓における薬物の分解率,(5)血行性とリンパ行性の二つの吸収経路の振り分け率など,図1-2中の“主薬の生物学的性質”および“主薬の物理化学的性質”に含まれる要因によって定まる4)。一方,製剤の消化管内における移動特性あるいは放出特性など製剤側の機能特性も,同様に薬物の吸収性ひいては治療効果を決定する重要な要因となる。」(4頁1行~下から7行) 記載事項(乙3-3) 「前項までにおいて,プレフォーミュレーション研究では有効性や毒性などの前臨床試験への製剤の提供,さらには臨床製剤の処方化研究に用いる基礎的知見の集積を大きな研究の柱にすることを明らかにした。たとえば,毒性試験では安全域の見極めを目的として,有効用量に比べて過剰量の被験物質を動物に経口投与する。ここで難溶性薬物では,生体への曝露量(吸収量)と投与量との間に比例性を得るために溶解性の向上が必須であるが,検討期間が短いプレフォーミュレーション研究の中で高度な製材技術の導入は難しい。また,毒性試験では多量の薬物を投与するため,添加剤の配合量は1回に投与できる絶対量という観点から量的な制限を受ける。したがって,溶解性を向上させる方法論としては,薬物特性を活用したシンプルかつ再現性の良好な手法,すなわち塩の選択や結晶多形の利用に主眼がおかれる3)。」(70頁下から11~3行) 記載事項(乙3-4) 「3 溶解特性の改善への製剤的アプローチ ▲1 結晶多形 難溶性薬物では,溶解性改善は経口吸収性の向上を一般に導く。そこで,結晶多形が存在する場合,溶解性が最も良好な結晶形を選択する21,22)。事実,結晶多形による溶出性の変化は経口吸収性へ影響を及ぼすため,たとえば局方収載の医薬品にインドメタシンカプセル,トルブタミド錠ならびにプレドニゾロン錠では,結晶多形の影響を考慮して溶出試験が規定されている。一方,溶解性が良好な多形が存在しない場合,親水性高分子などの水溶性単体を用いた固体分散体などの非晶質化は,溶解性改善の方策として積極的に用いられる23-26)。…… 原薬物性の特定は,新薬開発の重要なポイントである。結晶多形が認められた場合,物理化学的特性である溶解性や安定性,さらには生物薬剤的特性である経口吸収性などを総合的に判断し,開発候補品としての結晶形を限定する。…… ▲2 塩 イオン性の薬物で溶解速度が遅い場合,解離定数の大きいカウンター・イオンを用いた塩を原薬として選択することは,経口吸収性の改善のための有効な手段になる34)。カチオン性(塩基性)薬物では塩酸塩が多く選択されるが35),乾燥などの製剤化工程での脱塩酸,あるいはゼラチンカプセルとの相互作用による溶出不良をしばしば経験する。また,アニオン性(酸性)薬物ではナトリウム塩の選択が多いものの,吸湿性の増大を伴うこともあり,同様に注意が必要である。 ▲3 溶媒和物 ……。このように溶質(薬物)に溶媒(水)が結合した溶媒和物(水和物)の形成は,水への溶解性を変化させる可能性があり,経口吸収性への影響を考慮しなければならない。一方,こうした薬物では,湿度条件により無水物と水和物との間に相互転移がたびたび認められる37,38)。そのため,湿式造粒における工程中の無水物から水和物への転移,あるいは乾燥工程での水和物から無水物への変換が生じる可能性がある。」(なお、冒頭「3 溶解と構成の改善への製剤的アプローチ」中の「3」は、原文では「□」内に「3」である。また、「▲」は、原文では右向き黒三角記号である。)(73頁下から13行~75頁14行) 記載事項(乙3-5) 「3 処方設計のポイント ……。以下、項目別に散剤に関する処方設計のポイントを述べる。 ▲粉体特性の改善 散剤は,もともと粉末に近い製剤であることから,改善すべき粉体特性は数多い。ここでは流動性,付着・凝集性に絞って回折する。 (1)流動性の確保 ……。この流動性を確保するには,次のような方法がある。 (a)造粒による粒子径の増大 粉体の流動性は,粒子径が小さくなるほど悪くなる傾向にある。 ……。 したがって,何らかの方法で粒子径の増大を図れば流動性を改善することができるというわけである。すなわち,造粒操作による粒子径の増大がこれに当たり,これが最近造粒散剤が汎用される理由でもある。」(なお、冒頭「3 処方設計のポイント」中の「3」は、原文では「□」内に「3」である。また、「▲」は、原文では右向き黒三角記号である。)(157頁1行~159頁4行) (2)乙4の記載事項 記載事項(乙4-1) 「2. 流動性 粉体の流動性は,粒子径,粒子形状,粒子表面状態,粒子密度,粒子間付着凝集性などの影響をうける.流動性を具体的な数値で表すには,安息角,内部摩擦角,流出速度などが考えられる.そのうちの二,三を以下に説明する. a) 安息角 …… 一般に安息角が大きいほど粉体の流動性は悪くなる.安息角と粒子径の関係は……,安息角は粒子径が大きくなるに従い小さくなる。 b) 内部摩擦係数 …… c) 流動性の改善 粉体の流動性を改善するには以下の方法が試みられる. …… (3)造粒により粒子径を大きくする(…). ……」(なお、「(3)」は、原文では「○」内に「3」である。)(68頁下から9行~70頁9行) 第5 当審の判断 1 無効理由1(甲1に記載された発明を主引例とする進歩性欠如) 前記訂正が認められた結果、無効理由1の対象とされる本件発明6は削除された。 (1)本件発明1について ア 甲1に記載された発明 甲1には、ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の高選択的阻害薬であるSC-58635の体内動態を明らかにし、SC-58635の生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定することを目的として、被験者に、微細懸濁液として[14C]・SC-58635(100μCi)の単回経口用量300mgを投与し、15日間のウォッシュアウト期間後にSC-58635の300mgカプセル剤を投与したことが記載されている(記載事項(甲1-2))。 甲1には、SC-58365が、シクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であってセレコキシブと呼称されるものであることも記載されているところ(記載事項(甲1-1)、記載事項(甲1-2))、本件特許出願の優先日前に頒布された甲13にSC-58365すなわちセレコキシブの構造式が記載されている(1592頁左欄最上部)ことから、本件特許出願の優先日における当業者は、甲1に記載されたSC-58365を、甲13に示される構造式を有し、シクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブと認識したといえる。 したがって、甲1には、 「シクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブを300mg含む経口投与用カプセルであって、 ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定することを目的として、被験者に対し、微細懸濁液としての[14C]・SC-58635(100μCi)単回経口用量300mgの投与、及び、15日間のウォッシュアウト期間後に経口投与されるカプセル」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 なお、請求人は、 「シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤としてヒトに経口投与される、300mgのセレコキシブを含む経口投与用カプセル」を甲1発明としている(審判請求書35頁11~13行)。しかし、甲1は、ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の高選択的阻害薬であるSC-58635の体内動態を明らかにし、SC-58635の生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定することを目的としておこなった試験結果を報告するものであることから、請求人のいう甲1発明が甲1に記載されていると認めることはできない。 イ 本件発明1と甲1発明との対比 甲1発明におけるセレコキシブの含量「300mg」は、甲1発明が経口投与用カプセルであることから、本件発明1における「経口運搬可能な投与量単位」及び「10mg乃至1000mgの量」の両方に相当する。また、甲1発明における「カプセル」は本件発明1における「一つ以上の個別な固体」に相当する。すると、甲1発明における「セレコキシブを300mg含む経口投与用カプセル」は本件発明1における「セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物」に相当する。 また、甲1発明は「ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定することを目的として」投与されるものであるが、本件発明1は投与目的を発明特定事項としていないので、投与目的は両発明の相違点とはならない。 したがって、本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、 「10mg乃至1000mgの量のセレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物」で一致し、 [相違点1-1]: 製薬組成物が含む賦形剤について、本件発明1では、「一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤と密に混合させた……セレコキシブを含み、」として、セレコキシブと密に混合させた一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤を含むことが特定されているのに対し、甲1発明では、賦形剤を含むものとはされていない点、及び [相違点1-2]: 製薬組成物に含まれるセレコキシブが、本件発明1では「粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する」微粒子セレコキシブであることが特定されているのに対し、甲1発明ではセレコキシブの形状は特定されていない点、 で相違する。 ウ 相違点についての検討 (ア)[相違点1-1]について 請求人は、 甲2、甲4及び甲10の記載を示して「甲1発明において、セレコキシブに、医薬品の製造に汎用されている各種賦形剤を混合してカプセル化することは、本件特許の優先日時点における周知技術を組み合わせたにすぎず、相違点1-1aは実質的な相違点とはいえない。」(審判請求書42頁17行~43頁10行)(ここで請求人のいう「相違点1-1a」は、[相違点1-1]に対応するものである。)、及び 「微細化の際に凝集しやすい難溶性薬物については,微細化による生物学的利用能改善効果を得るために,界面活性剤や親水性賦形剤等の適切な賦形剤を使用することは,本件特許の優先日時点における周知技術である。本件発明に係る製薬組成物は,賦形剤を含有するものであり,このような周知技術を適用したものを含む。」(平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書4頁4~8行) などと主張する。 しかし、甲1発明は「ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定する」ことを目的とするものであって治療を目的とするものではなく、甲1発明に対して、セレコキシブと密に混合させた一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤をさらに加える動機づけがあるといえる根拠は甲1には見出せない。 甲2には「治療目的のために、本発明の化合物は普通、必要な投与経路に適切な1つまたはそれ以上の補助剤と合わせられる。経口投与される場合本化合物は、…(中略)…と混合して、次に投与に便利なように錠剤化またはカプセル化される。」(前記記載事項(甲2-7))との記載があるものの、甲1発明は「ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定する」ことを目的とするものであって治療を目的とするものではなく、甲2、甲4及び甲10を含む各甲号証の記載及び技術常識を参酌しても、「ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定する」ことを目的とする甲1発明に対して、当業者が、セレコキシブと密に混合させた一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤をさらに加える動機づけがあるとはいえない。 したがって、[相違点1-1]は実質的な相違点であり、甲1発明に対して[相違点1-1]に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (イ)[相違点1-2]について 請求人は、 (i)甲4、甲5、甲6、甲8、甲9、甲10及び甲11の記載を示した上で 「錠剤や顆粒、カプセル剤等の固体の経口投与用医薬品において、薬効成分を微細化して用いることは、本件特許の優先日時点における周知技術である。……。固体試料を粉砕することによって、粒子径を小さくして溶解速度を大きくし、難水溶性薬物の経口吸収性(生物学的利用能)が改善できること、固形製剤の添加剤を含めた原料粉粒体間の混合の均一性を向上できること、打錠時の成形性を高められることも、広く知られている(……)。……。固体の経口投与用製剤において、原料とする薬効成分を予め粉砕処理して粒子サイズを小さくしておくことは、本件特許の優先日時点における周知技術であり、その際に有機薬物結晶の粉砕処理は、粒子サイズが十数μmから数μm程度(例えば、1~30μm、一般には5μm以下)にまで微細化することも、一般的であったといえる。また、セレコキシブは、甲第4号証のCase Study2 の薬物と同様に生体内pHで中性の難溶性薬物であり(記載事項12-1)、Case Study2 と同様に粉砕処理という周知技術を適用することに何ら技術的困難性があるとはいえない。」(審判請求書43頁11行~44頁27行)、 (ii)甲1及び甲9の記載を示した上で 「甲1発明には当然に、固体の経口投与用製剤において、原料とする薬効成分を予め粉砕処理して粒子サイズを十数μmから数μm程度にまで微細化するという周知技術を適用することができる。」(審判請求書44頁28行~45頁15行)、 (iii)「甲1発明において、セレコキシブのカプセル化に際して、セレコキシブを予め粉砕処理して粒子サイズを小さくしておくことは、周知技術の適用にすぎず、この際に、粒子サイズをどの程度にまで小さくするかは、当業者が通常行う設計事項にすぎない。また、充分な生物学的利用能の向上を期待して、甲第4号証に記載の難溶性薬物の超微粉砕物(Micronized)と同程度にまで微細化することも、当業者が容易になし得ることである。」(審判請求書45頁16~24行)、 (iv)甲4の記載を示した上で 「粗大粒子は目的の効果を奏さず、特定の大きさよりも小さい粒子サイズの粒子が効果を奏する粉体の場合には、その粒度分布を、平均粒子径ではなく、「所望の大きさよりも小さい粒子サイズの粒子が粉末全体に占める割合」で特定することは理にかなったことであり、医薬品の原料粉末では一般的である(……)。そして、この際に、より薬効の高い粉末とするために、「所望の大きさよりも小さい粒子サイズの粒子が全体に占める割合」を高く、例えば90%程度とすることは当業者が通常行う設計事項に過ぎない。」(審判請求書45頁25行~46頁19行)、及び (v)甲5、甲6、甲8、甲9、甲10、甲15の記載を示した上で 「本件発明の課題である生物学的利用能やブレンド均一性の改善は,医薬品の薬効製剤における一般的な課題であり,本件発明における解決手段である薬効成分の微細化(粒子サイズを小さくすること)は,生物学的利用能やブレンド均一性を改善するための手段として本件特許の優先日時点において広く知られていた技術常識である。つまり、本件発明は,セレコキシブについて,本件特許の優先日時点における周知技術を適用して,医薬製剤における一般的な課題を解決した創作性の低い発明に過ぎない。 …… ……セレコキシブにその形状や凝集性等に他の難溶性薬物とは異なる特徴があったとしても,生物学的利用能やブレンド均一性の改善のために行われたのは,微細化と適切な賦形剤の使用という周知技術に過ぎない。そして,周知技術を適用することは,当業者にとって容易になし得ることであるし,仮に,セレコキシブの凝集性が他の難溶性薬物よりも強かったとしても,これらの周知技術の適用を試みることは容易である。 …… ……甲第1号証に、セレコキシブの物理的性質について特段の記載がなく,セレコキシブに凝集性等の問題があったとしても,一般的な製造工程として粉砕を試みることは,当業者にとって極当たり前のことであった。また,甲第1号証に,300mgの[14C]標識セレコキシブの微細懸濁液を経口投与したことが記載されている(…)ことから,甲第1号証に記載の実験と同程度の薬物動態となることを期待して,同じく経口投与される錠剤やカプセル剤に含有させるセレコキシブを微細化することは,当業者であれば容易に想到し得ることである。 …… ……本件発明の効果であるセレコキシブの生物学的利用能等の改善は,医薬製剤において一般的な課題を一般的な解決手段によって解決されることで得られる効果に過ぎず,当業者が予測し得る程度のものにすぎないといえる。」(平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書2頁11行~6頁13行)などと主張する。 しかし、甲1発明は、「ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定する」ことを目的とするものであるところ、甲1発明に対して、請求人が上記(i)で述べるような、経口吸収性(生物学的利用能)の改善、添加剤を含めた原料粉粒体間の混合の均一性の向上及び打錠時の成形性向上を図る動機づけとなる記載は甲1には見出せない。 また、各甲号証の記載及び技術常識を参酌しても、「ヒトにおけるシクロオキシゲナーゼ-2の高選択的阻害剤であるセレコキシブの体内動態を明らかにし、セレコキシブの生体内変化経路に関与する主要なCYP450アイソザイムを同定する」ことを目的とし、しかも賦形剤を含まない甲1発明に対して、当業者が、セレコキシブの吸収性や生物学的利用能の改善、添加剤を含めた原料粉粒体の混合の均一性の向上を図る動機づけとなる根拠は見出せず、セレコキシブとして「粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する」微粒子セレコキシブを採用する動機づけがあるとはいえない。 したがって、甲1発明に対して[相違点1-2]に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (ウ)相違点についての小括 以上(ア)及び(イ)に示したとおり、甲1発明に対して[相違点1-1]及び[相違点1-2]に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 エ 本件発明1についての小括 以上より、本件発明1は、その効果について検討するまでもなく、甲1発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明1について、無効理由1は理由がない。 (2)本件発明2~5及び本件発明7~19について 本件発明2~5及び本件発明7~19は、本件発明1における発明特定事項すべてを、その発明特定事項とするものである。 上記(1)に記したとおり、本件発明1が、甲1発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明2~5及び本件発明7~19も、甲1発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明2~5及び本件発明7~19について、無効理由1は理由がない。 (3)無効理由1についての小括 上記(1)及び(2)のとおり、本件発明1~5及び本件発明7~19はいずれも、甲1発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明1~5及び本件発明7~19について、無効理由1は理由がない。 2 無効理由2(甲2に記載された発明を主引例とする進歩性欠如) 前記訂正が認められた結果、無効理由2の対象とされる本件発明6は削除された。 (1)本件発明1について ア 甲2に記載された発明 甲2に記載された 「4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド」(記載事項(甲2-1)及び記載事項(甲2-3))は、その構造が本件特許出願の優先日前に頒布された甲13(1592頁左欄最上部)に記載されたセレコキシブの構造と一致することから、本件特許出願の優先日において当業者は、甲2に記載された 「4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド」を、甲13に示される構造式を有するセレコキシブと認識したといえる。 すると、記載事項(甲2-1)、記載事項(甲2-3)~記載事項(甲2-5)及び記載事項(甲2-7)から、甲2には 「以下の工程1~工程2によって得られるセレコキシブの結晶を投与経路に適切な1つ又はそれ以上の補助剤と合わせた錠剤またはカプセル剤の形態の経口投薬単位である製薬組成物。 工程1:1-(4-メチルフェニル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオンの調製 4’-メチルアセトフェノン(5.26g、39.2mmol)をアルゴン下で25mLのメタノールに溶解して、メタノール中のナトリウムメトキシド12mL(52.5mmol)(25%)を添加した。この混合物を5分間撹拌して、5.5mL(46.2mmol)のトリフルオロ酢酸エチルを添加した。24時間還流後、この混合物を室温に冷却して濃縮した。100mLの10%HClを添加して、この混合物を4×75mLの酢酸エチルで抽出した。この抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過して濃縮して、8.47g(94%)の褐色油状物を得て、これをさらに精製することなく次に進んだ。 工程2:セレコキシブの調製 75mLの無水エタノール中の工程1からのジオン(4.14g、18.0mmol)に、4.26g(19.0mmol)の4-スルホンアミドフェニルヒドラジン塩酸塩を添加した。この反応物をアルゴン下で24時間還流した。室温に冷却して濾過後、この反応混合物を濃縮して、6.13gの橙色の固体を得た。この固体を塩化メチレン/ヘキサンから再結晶して、淡黄色の固体として3.11g(8.2mmol、46%)の生成物を得た。」の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 なお、請求人は、 「以下の工程1及び工程2によって得られるセレコキシブ結晶を投与経路に適切な1つ又はそれ以上の補助剤とあわせた錠剤またはカプセル形態の経口投薬単位である製薬組成物。 工程1:1-(4-メチルフェニル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオンの調製 4’-メチルアセトフェノン(5.26g、39.2mmol)をアルゴン下で25mLのメタノールに溶解して、メタノール中のナトリウムメトキシド12mL(52.5mmol)(25%)を添加した。この混合物を5分間撹拌して、5.5mL(46.2mmol)のトリフルオロ酢酸エチルを添加した。24時間還流後、この混合物を室温に冷却して濃縮した。100mLの10%HClを添加して、この混合物を4×75mLの酢酸エチルで抽出した。この抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過して濃縮して、8.47g(94%)の褐色油状物を得て、これをさらに精製することなく次に進んだ。 工程2:4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミドの調製 75mLの無水エタノール中の工程1からのジオン(4.14g、18.0mmol)に、4.26g(19.0mmol)の4-スルホンアミドフェニルヒドラジン塩酸塩を添加した。この反応物をアルゴン下で24時間還流した。室温に冷却して濾過後、この反応混合物を濃縮して、6.13gの橙色の固体を得た。この固体を塩化メチレン/ヘキサンから再結晶して、淡黄色の固体として3.11g(8.2mmol、46%)の生成物を得た。」を甲2発明としている(審判請求書56頁25行~57頁21行)。 しかし、「投与経路に適切な1つ又はそれ以上の補助剤とあわせた」は記載事項(甲2-7)の記載に対応するものであり、「錠剤またはカプセル形態」、「経口投与」及び「投薬単位」は記載事項(甲2-5)の記載に対応するものであるところ、これらの記載は記載事項(甲2-1)に示されるきわめて多くの化合物全般についての記載である。セレコキシブについては「投与経路に適切な1つ又はそれ以上の補助剤とあわせた」、「錠剤またはカプセル形態」、「経口投与」及び「投薬単位」に直接対応する記載はなく、またセレコキシブの投与に際しての補助剤、形態、投与経路及び投薬単位を具体的に示す記載もないことから、「甲2発明」を上記のとおり認定する。 イ 本件発明1と甲2発明との対比 本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明における「投与経路に適切な1つ又はそれ以上の補助剤」、「合わせた」、「錠剤又はカプセル剤の形態の経口投薬単位である製薬組成物」はそれぞれ、本件発明1における「一つ以上の薬剤的に許容な賦形剤」、「密に混合させた」、「一つ以上の個別な個体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物」に相当するので、本件発明1と甲2発明とは以下の[相違点2-1]及び[相違点2-2]で少なくとも相違する。 [相違点2-1]: 製薬組成物に含まれるセレコキシブの粒子サイズが、本件発明1では「粒子の最大長において、セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する」とされているのに対し、甲2発明では規定されていない点。 [相違点2-2]: 製薬組成物に含まれるセレコキシブの量が、本件発明1では「10mg乃至1000mg」とされているのに対し、甲2発明では規定されていない点。 ウ 相違点についての検討 (ア)[相違点2-1]について 請求人は、 「相違点2-2a、……はいずれも、相違点1-2a……と同様、本件特許の優先日時点における技術常識に基づいて当業者が容易になし得ることである。したがって、相違点2-2a……は、甲第2号証の記載に本件特許の優先日時点における技術常識(必要であれば、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証~甲第13号証の記載)を組み合わせることにより、当業者が容易になし得ることである。」(ここで請求人のいう「相違点2-2a」は、[相違点2-1]に対応するものである。)(審判請求書63頁17~24行)、及び 甲5、甲6、甲8、甲9、甲10、甲15の記載を示して 「本件発明の課題である生物学的利用能やブレンド均一性の改善は,医薬品の薬効製剤における一般的な課題であり,本件発明における解決手段である薬効成分の微細化(粒子サイズを小さくすること)は,生物学的利用能やブレンド均一性を改善するための手段として本件特許の優先日時点において広く知られていた技術常識である。つまり、本件発明は,セレコキシブについて,本件特許の優先日時点における周知技術を適用して,医薬製剤における一般的な課題を解決した創作性の低い発明に過ぎない。 …… ……セレコキシブにその形状や凝集性等に他の難溶性薬物とは異なる特徴があったとしても,生物学的利用能やブレンド均一性の改善のために行われたのは,微細化と適切な賦形剤の使用という周知技術に過ぎない。そして,周知技術を適用することは,当業者にとって容易になし得ることであるし,仮に,セレコキシブの凝集性が他の難溶性薬物よりも強かったとしても,これらの周知技術の適用を試みることは容易である。 …… ……甲第1号証に、セレコキシブの物理的性質について特段の記載がなく,セレコキシブに凝集性等の問題があったとしても,一般的な製造工程として粉砕を試みることは,当業者にとって極当たり前のことであった。また,甲第1号証に,300mgの[14C]標識セレコキシブの微細懸濁液を経口投与したことが記載されている(…)ことから,甲第1号証に記載の実験と同程度の薬物動態となることを期待して,同じく経口投与される錠剤やカプセル剤に含有させるセレコキシブを微細化することは,当業者であれば容易に想到し得ることである。 …… ……本件発明の効果であるセレコキシブの生物学的利用能等の改善は,医薬製剤において一般的な課題を一般的な解決手段によって解決されることで得られる効果に過ぎず,当業者が予測し得る程度のものにすぎないといえる。」(平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書2頁11行~6頁13行)などと主張する。 ここで、請求人が提出した、「製剤化において薬効成分を微粉砕することが周知技術であること」を立証の趣旨とする甲4~甲6及び甲8~甲9の記載、「製剤化において薬効成分を微粉砕することや賦形剤を使用することが周知技術であることを示す証拠」を立証の趣旨とする甲10の記載、「針状結晶である薬効成分を微粉砕することが一般的であったことを示す証拠」を立証の趣旨とする甲11の記載、及び「製剤化において原料粉体を予め粉砕処理しておおよその粒子の大きさを揃えておくことが周知技術であることを示す証拠」を立証の趣旨とする甲15の記載、並びに、被請求人が提出した、「請求人の技術常識の認定が誤りであること」を立証の趣旨とする乙3~乙4の記載を検討すると、前記 第4 3(3)~(10)及び4(1)~(2)に示した記載事項から、以下のa.~g.の事項が本件特許出願の優先日時点における技術常識であったと認められる。 技術常識a. 医薬品の製剤設計は、候補物質が決定された後に、プレフォーミュレーション研究で得られる物理化学的特性、治療目的と作用機序、体内動態特性などの情報を総合して、進められること(記載事項(乙3-1))、 技術常識b. 経口投与製剤の生物学的利用能は、消化管内容物中薬物溶解度、消化管腔内での薬物の安定性、溶解状態にある薬物分子の消化管粘膜障壁透過効率、吸収過程中小腸および肝臓における薬物の分解率、血行性とリンパ行性の二つの吸収経路の振り分け率など、主薬の生物学的性質および主薬の物理化学的性質に含まれる要因によって定まる一方、製剤の消化管内における移動特性あるいは放出特性などの機能特性も、薬物の吸収性・治療効果を決定する重要な要因となること(記載事項(乙3-2))、 技術常識c. 粒度分布及び粒子形状調節の前に、原薬の水溶解度および製剤内の原薬濃度を検討すべきであること(記載事項(甲4-1)~記載事項(甲4-2)) 技術常識d. 難溶性薬物の溶解性を向上させるために、塩の選択、結晶多形や溶媒和物の利用がされること(記載事項(乙3-3)、記載事項事項(乙3-4))、 技術常識e. 経口投与された薬物粒子は、胃腸管内での溶解後に吸収され、溶出の遅い薬物は吸収速度が小さいだけでなく、吸収が不完全となることがあること(記載事項(甲6-1)~記載事項(甲6-2))、 技術常識f. 溶解度が低いか、溶解速度が遅い薬物粒子の表面積を増加させて溶解速度を増大させるために、粒子を粉砕して十数μmから数μm程度の大きさに微粉化することが行われることがあり(記載事項(甲6-3)、記載事項(甲8-1)、記載事項(甲9-1))、粉砕により、添加剤を含めた混合均一性の向上、造粒性の増大、顆粒や錠剤の機械的強度の増大が図れること(記載事項(甲8-2)、記載事項(甲15-1))、難溶性薬物の粒子径を小さくすると生物学的利用能や治療効果が増大するという報告が数多くあること(記載事項(甲6-3)、記載事項(甲9-2)、記載事項(甲15-1))、 技術常識g. 微細化により溶解速度が速くなっても吸収速度も速くなるとは必ずしもいえず(記載事項甲4-3)~記載事項(甲4-5))、粉砕・微細化された粉体は一般に凝集性が高くなり、溶解速度が小さくなることや薬物安定性の低下を来すこともあること(記載事項(甲5-1)、記載事項(甲9-2)、記載事項(甲10-1)) 技術常識h. 粉砕をおこなう目的には、固形製剤の添加剤を含めた原料粉粒体間の混合の均一性の向上が含まれ(記載事項(甲5-1)、記載事項(甲8-2))、一つのカプセルの中に数種の粒が混合されている場合やごく少量の粉末が大量の粉末に混合される場合などは、粒の大きさが揃っているほうが均一な混合が得られることが知られる一方(記載事項(甲15-1))、粉砕・微細化された紛体は一般に凝集性が高くなり、取扱いが煩雑となる等の問題が生じることがあるため、製剤工程に粉砕操作を組み入れる場合には、製剤品質への影響を見極める必要があること(記載事項(甲5-1)) 一方、セレコキシブの生物学的利用能又はセレコキシブ結晶粒子及び賦形剤粒子の大きさ及びそれらの大きさのばらつきに関しては、甲2に記載がなく、各甲号証の記載、各乙号証の記載及び技術常識に照らして、当業者に明らかであったとする根拠も見出せない。また、セレコキシブの溶解性、並びにセレコキシブを微細化した場合の凝集性、安定性、吸収速度、セレコキシブ製剤のブレンド均一性及び取扱いの煩雑さに関しても、甲2に記載がなく、各甲号証の記載、各乙号証の記載及び技術常識に照らして、当業者に明らかであったとする根拠も見出せない。 してみると、甲2発明に対して、当業者がセレコキシブの生物学的利用能又はセレコキシブ製剤のブレンド均一性の改善を図る動機づけとなる根拠は見出せず、甲2発明に対して[相違点2-1]に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 仮に、甲2発明に対して、セレコキシブの生物学的利用能を改善させる必要性のあることは当業者にとって容易に判明し得たことであるとしても、当業者がセレコキシブの生物学的利用能を改善させる手段を決定するためには、上記技術常識a.~g.に照らして、当業者が、製剤設計に際して、プレフォーミュレーション研究で得られる物理化学的特性、治療目的と作用機序、体内動態特性などの情報を総合し、セレコキシブの生物学的性質および物理化学的性質に含まれるさまざまな要因、製剤の消化管内における移動特性あるいは放出特性などの機能特性、セレコキシブの水溶解度および製剤内のセレコキシブ濃度など、さまざまな要因や特性などを総合的に検討しなければならない。 しかも、たとえ当業者が、それらの検討により、セレコキシブが難溶性物質であることを見出して、その溶解速度を改善させることを想到し得たとしても、溶解速度を改善させる手段としては、微細化以外に結晶多形などの複数の手段が考えられ(技術常識d.)、しかも微細化をすると凝集性及び安定性の問題が起こる可能性がある(技術常識g.)にもかかわらず、当業者があえて微細化を想到し得たとは認められない。 また仮に、甲2発明に対して、セレコキシブ製剤のブレンド均一性を改善させる必要性のあることは当業者にとって容易に判明し得たことであるとしても、当業者がセレコキシブ製剤のブレンド均一性を改善させる手段として微細化を選択するためには、まず、セレコキシブ粒子及び賦形剤粒子の大きさが同程度に揃う微細化条件を見出す必要があり(技術常識h.)、しかも微細化をすると凝集性及び安定性の問題が起こる可能性がある(技術常識g.)ばかりか、取扱いが煩雑となる等の問題が生じる可能性があり(技術常識h.)、微細化による製剤品質への影響を見極める必要がある(技術常識h.)にもかかわらず、当業者があえて微細化を想到し得たとは認められない。 してみると、仮に、甲2発明に対して、セレコキシブの生物学的利用能又はセレコキシブ製剤のブレンド均一性を改善させる必要性のあることは当業者にとって容易に判明し得たことであるとしても、甲2発明に対して[相違点2-1]に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 したがって、甲2発明に対して[相違点2-1]に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (イ)相違点についての小括 以上より、[相違点2-2]について検討するまでもなく、甲2発明に対して、本件発明1と甲2発明との相違点に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。 エ 本件発明1の効果 本件発明1は、セレコキシブの相対的に高い生物学的利用能が得られるという、甲2の記載及び技術常識に照らしても、当業者が予想し得ない効果を奏するものである。 オ 本件発明1についての小括 以上より、本件発明1は、甲2発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明1について、無効理由2は理由がない。 (2)本件発明2~5及び本件発明7~19について 本件発明2~5及び本件発明7~19は、本件発明1における発明特定事項すべてを、その発明特定事項とするものである。 上記(1)に記したとおり、本件発明1が、甲2発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明2~5及び本件発明7~19も、甲2発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明2~5及び本件発明7~19について、無効理由2は理由がない。 (3)無効理由2についての小括 上記(1)及び(2)のとおり、本件発明1~5及び本件発明7~19はいずれも、甲2発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明1~5及び本件発明7~19について、無効理由2は理由がない。 3 無効理由3(サポート要件違反)及び無効理由4(実施可能要件違反) 前記訂正が認められた結果、無効理由3の対象とされる本件発明6は削除された。 いわゆるサポート要件については、特許請求の範囲が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくても、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであるとされる。 また、いわゆる実施可能要件を定めた特許法36条4項1号は、明細書の発明の詳細な説明の記載は、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したもの」でなければならないと定めるところ、この規定にいう「実施」とは、物の発明においては、当該発明にかかる物の生産、使用等をいうものであるから、実施可能要件を満たすためには、明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が当該発明に係る物を生産し、使用することができる程度のものでなければならない。 そして、医薬の用途発明においては、一般に、物質名、化学構造等が示されることのみによっては、当該用途の有用性及びそのための当該医薬の有効量を予測することは困難であり、当該医薬を当該用途に使用することができないから、医薬用途発明において実施可能要件を満たすためには、明細書の発明の詳細な説明は、その医薬を製造することができるだけでなく、出願時の技術常識に照らして、医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載される必要があるとされる。 (1)請求人の主張の概要 ア 本件発明1~12、及び本件発明17~19について 請求人は、 「本件発明1~本件発明12、本件発明17~本件発明19は、セレコキシブ粒子と密に混合する賦形剤は特に限定されておらず、疎水性賦形剤のみを使用する製薬組成物も含まれている。 …… これらの記載から、溶出速度の改善には、界面活性剤や親水性賦形剤の作用が大きいこと、疎水性薬物の場合には、粒子サイズを小さくすることによって溶出速度がかえって悪化する場合があるが、この場合でも界面活性剤や親水性賦形剤と混合することで溶出速度を改善できることが、本件特許の優先日時点において技術常識であったといえる。 …… ここで、セレコキシブも水に難溶性の医薬化合物である。このため、当業者であれば、上記技術常識から当然に、セレコキシブ粉末の生物学的利用能を改善するために「粒子サイズを小さくすること」を試み、仮に粒子サイズを小さくしただけでは改善できない場合であっても、さらに「界面活性剤や親水性賦形剤と密に混合すること」によって改善できるだろうと予測する。 これに対して、本件明細書に開示されている実施例のうち、粒子サイズを減少させることによる効果が確認されている実施例ではいずれも、セレコキシブに親水性賦形剤と界面活性剤の少なくも一方を混合している。例えば、例11-2の場合、組成物A~組成物Cは、セレコキシブに、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、tween 80)と親水性賦形剤である微結晶性セルロース(アビセル 101)が混合されている。 つまり、本件明細書には、界面活性剤と親水性賦形剤の何れも混合していないセレコキシブ粒子の溶解速度や生物学的利用能は調べられていない。…… このように、本願明細書において、例11-2の記載が正しかったとした場合に客観的な証拠(実施例)と共に開示されているのは、「セレコキシブの固形製剤化において、粒子サイズを小さくし、かつ少なくとも界面活性剤や親水性賦形剤と密に混合させることにより、生物学的利用能を改善できたこと」である。界面活性剤や親水性賦形剤と混合しない状態で、粒子サイズを小さくするだけで生物学的利用能を改善できるかどうかは、本件明細書の記載からは当業者には理解できない。」などと主張し(審判請求書67頁22行~69頁23行)、 「…… このように,賦形剤の影響を排除した実験データが開示されていない本件明細書の記載からは,仮に本件発明に当業者が予測できない顕著な効果があるとしても,当該効果が本件明細書の実施例に開示されている特定の賦形剤を含む製薬組成物以外でも得られる効果であるとは,当業者には理解できない。」などと主張する(平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書6頁15行~7頁7行)。 イ 本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、本件発明17~19について 請求人は、 「本件発明1~本件発明8、本件発明17~本件発明19は、セレコキシブ粒子と密に混合する賦形剤は特に限定されておらず、崩壊剤と湿潤剤を含まない製薬組成物も含まれている。また、本件発明9、本件発明11、及び本件発明12は、崩壊剤を含むものの、ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤(又は加湿剤)を含まない製薬組成物も含まれている。 …… 一方で、本件明細書の例11-3には、ラウリル硫酸ナトリウム(0乃至5%重量)とクロスカルメロースナトリウム(0乃至5重量%)とを含有するさまざまな調合の顆粒材料について、相対的濡れ性及び崩壊傾向を調べており(段落【0177】~【0179】、特に表11-3B)、この結果について……。 錠剤又はカプセル剤のかたちで経口投与された薬物の生物学的利用能を良好にするためには、当該薬物の溶解性が重要であり(記載事項6-1)、当該薬物が速やかに溶解するためには、錠剤やカプセル剤から迅速に溶出されることが重要である。この点から、浸透時間が長く、崩壊し残りが残存した組成物C及びDは、生物学的利用能が良好であるとは考えられない。つまり、本件発明の効果(生物学的利用能が改善されるという効果)を奏するものではない。 このように、本件明細書の例11-3の結果は、本件発明の効果を奏するためには、少なくとも崩壊剤と湿潤剤の両方をある程度の量含有していることが必要であることを示している。崩壊剤と湿潤剤のいずれも含有しない状態で、粒子サイズを小さくするだけで生物学的利用能を改善できるかどうかは、本件明細書の記載からは当業者には理解できない。 したがって、セレコキシブ粒子と密に混合する賦形剤に崩壊剤と湿潤剤が含まれていない本件発明1~本件発明9、本件発明11、本件発明12、本件発明17~本件発明19は、本件明細書に記載された発明ではなく、サポート要件を充足しない。また、本件明細書には、これらの発明を当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されているとはいえず、実施可能要件を充足しない。」などと主張する(審判請求書69頁24行~71頁8行)。 ウ 本件発明1~19について 請求人は、 「本件発明1~4は、実質的に、セレコキシブ粒子の粒子径をある程度小さくすることと、賦形剤と密に混合することの2点しか特定しておらず、本件明細書によれば、これだけで、相対的に高い生物学的利用能、例えば「同じ投与量のセレコキシブを含有する経口運搬された溶液と比較して最低約50%である生物学的利用能」(…)が得られる、とされている。 ここで、例11-2については、……。つまり、本件明細書には、例11-2の組成物Fは「D90が約60μmである未粉砕、未調合セレコキシブ」を含む組成物であり、組成物A及びBが「D90が約60μmである未粉砕、未調合セレコキシブを微粉化してD90粒子サイズを約30μmに減少させセレコキシブ」を含む組成物であって、組成物A及びBの生物学的利用能は、組成物Fよりも改善された、と記載されている。 しかしながら、甲第14号証に示すように、表11-2Bの血清セレコキシブ濃度の経時的な測定値から、薬物動態解析に一般的に使用されている生物学的同等性試験システムを用いて,血中濃度の時間推移曲線(薬物血中濃度-時間曲線)を描き、AUCを算出したところ、算出されたAUCは、本件明細書の表11-2Cが示す結果とは全く異なる(……)。つまり、表11-2Bは測定値であり、表11-2Cはその測定値から算出された値であることから、表11-2Cの結果が計算ミスによると考えるのが妥当である。 そして、表11-2Bの血清セレコキシブ濃度の測定値から算出された生物学的利用能の結果では、組成物Fは7時間までの測定値しかないにもかかわらず、組成物A及び組成物Bの相対生物学的利用能(……)は、組成物Fとほぼ同程度の過ぎない(…)。つまり、D90が約30μmである粉砕後のセレコキシブを含む組成物A及びBは、D90が約60μmである未粉砕のセレコキシブを含む組成物Fに比べて、生物学的利用能が改善されているとはいえない。 このように、本件明細書には、セレコキシブの粒子サイズを「小さくするだけ」で生物学的利用能を改善できることを示す客観的な証拠となる実験データは開示されているとはいえない。このため、本件明細書の記載からは、粒子サイズを小さくし、特に限定されていない賦形剤と密に混合するだけで生物学的利用能を改善できるかどうか、当業者には理解できない。 …… したがって、本件発明1~本件発明19は、本件明細書に記載された発明ではなく、サポート要件を充足しない。また、本件明細書には、これらの発明を当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されているとはいえず、実施可能要件を充足しない。」などと主張し(審判請求書72頁下から16行~74頁10行)、 「…… また,表11-2C(メス犬)と表11-2D(オス犬)の結果を比較すると,組成物A,B,D,及びEの生物学的利用能はいずれも,オス犬の方がメス犬よりも高い。そうであれば,組成物Fの生物学的利用能も,メス犬の場合にはメス犬(16.9%)よりも高いと予想される。 にもかかわらず,表11-2Dに記載されている組成物Fは例11の結果であり,メス犬の結果である。つまり,各組成物のオス犬の結果を,組成物Fを投与したメス犬の結果と比較しており,性差を無視している。 このように,オス犬の組成物Fの結果が開示されていない本件明細書の記載からは,組成物Aや組成物Bが,組成物Fよりも生物学的利用能が高いかどうかは理解できず,本件発明の効果が証明されているとはいえない。 …… 個体差を考慮し,静脈投与して計測される[AUC(0→∞)]iv/DOSEivと,経口投与して計測される[AUC(0→∞)]po/DOSEpoは,同位置の動物個体に対して計測されることが好ましい。しかし,代謝の個体差の小さい薬剤の場合は,静脈投与して計測される[AUC(0→∞)]iv/DOSEivと,経口投与して計測される[AUC(0→∞)]po/DOSEpoは,同一の動物個体に対して計測されることが好ましい。しかし,代謝の個体差の小さい薬剤の場合は,静脈投与して計測される[AUC(0→∞)]iv/DOSEivは,生物種と性別が同じ個体同士ではほぼ同程度の値となる。このため,生物学的利用能の算出において,各経口投与実験についてそれぞれ,経口投与実験を行った個体と同一の個体に対して静脈投与実験を行うべきところを,ある個体の静脈投与により計測された[AUC(0→∞)]iv/DOSEivを他の個体の[AUC(0→∞)]iv/DOSEivとして使用して生物学的利用能を算出することが許容される。特に,犬のような大型の実験動物の場合には,マウス等の小型動物よりも実験コストが高額となるため,このような省略が行われる場合も多い。 …… このように,例11-1では静脈投与を行った具体的な記載があるにもかかわらず,例11-2にはそのような記載がないこと,例11-1で求めたカプセル(組成物F)の生物学的利用能をそのまま組成物A等の結果に対する比較対象としていること,例11-1と例11-2では,静脈投与のAUCデータの取得が共通して行われていると本件明細書の記載から理解できることから,例11-2の実験においても,組成物A~Eをそれぞれ投与した場合の生物学的利用能は,組成物Fを投与した場合と同様に,例11で(1)の静脈投与された固体の[AUC(0→∞)]iv/DOSEivを利用して算出されていると理解できる。 …… 仮に,例11-2の実験において,例11-1とは独立して行われた静脈投与実験により得られたAUCデータで割って生物学的利用能を算出していた場合であっても,……,例11-1において,経口溶液投与とカプセル投与における生物学的利用能を,別の個体の静脈投与で計測された[AUC(0→∞)]iv/DOSEivに基づいて算出されていることから,セレコキシブは,メス犬において代謝の個体差が小さく,静脈投与して計測される[AUC(0→∞)]iv/DOSEivは,メス犬同士であればほぼ同程度の値であるといえる。…… ……。したがって,例11-2Bのデータから算出された[AUC(0→∞)]DO(甲第14号証)に基づいて各組成物の生物学的利用能を比較することは妥当である。 そして,甲第14号証の表に示すように,表11-2Bの血清セレコキシブ濃度の測定値から算出された結果では,……,いずれも同程度である。つまり,粉砕後のセレコキシブを含む組成物A及びBの生物学的利用能は,未粉砕のセレコキシブを含む組成物Fの生物学的利用能に比べて,特段優れているというものではない。 ……。」などと主張する(平成31年3月4日付け口頭審理陳述要領書8頁5行~12頁最終行)。 (2)本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載事項 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載事項(本-1)~記載事項(本-17)が記載されている。 記載事項(本-1) 「【0001】 発明の分野 本発明は、活性成分として、セレコキシブ(celecoxib)を含有する経口運搬可能な製薬組成物と、かかる組成物の調製方法と、かかる組成物を被験者へ経口投与することを含むシクロオキシゲナーゼ-2媒介疾患の治療方法と、医薬品製造における、かかる組成物の使用に関する。 【0002】 発明の背景 4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド(本願では、以下「セレコキシブ」という)化合物は、かかる化合物の合成方法とともに、1,5-ジアリールピラゾール及びそれらの塩のクラスを説明し、特許請求の範囲として記載した、Talleyらへの米国特許第5,466,823号に、以前報告した。セレコキシブは以下の構造を有している。 【0003】 【化1】 ……(中略)…… 米国特許第5,466,823号に報告した1,5-ジアリールピラゾール化合物は、本願では炎症及び炎症関連疾患を治療する際に有用であるとして説明されている。米国特許第5,466,823号では、錠剤及びカプセルのような経口運搬可能な薬量を含み、上記1,5-ジアリールピラゾールの投与調合の一般的な基準が含まれている。Talleyらの米国特許第5,466,823号では、シクロオキシゲナーゼ-2の選択的阻害剤として説明し、慢性関節リウマチ及び骨関節炎と関連した他の状態、疾患、病的状態を治療するために投与されるセレコキシブを含む1,5-ジアリールピラゾールのクラスを報告している。 【0004】 J. Med. Chem. 40 (1997): 1347-1365でのPenningらによる「Synthesis and Biological Evaluation of the 1,5-Diarylpyrazole Class of Cyclooxygenase-2 Inhibitor: Identification of 4-[5-(4-MethylPhenyl-3-(trifluoromethyl)-1H-pyrazol-1-yl)benzenesulfonamide(SC-58635, Celecoxib)]では、セレコキシブを含む一連のスルホンアミド含有1,5-ジアリールピラゾール誘導体の合成と、シクロオキシゲナーゼ阻害剤としての上記誘導体の評価が開示されている。 【0005】 Arthritis&Rheumatism, Vol.41, No. 9, September 1998, pp. 1591-1602でのSimonらによる「Preliminary Study of the Safety and Efficacy of SC-58635, a Novel Cyclooxygenase 2 Inhibitor」では、慢性関節リウマチ及び骨関節炎の治療におけるセレコキシブの効力及び安全性の研究が報告されている。 【0006】 J. Rheumatology, Vol. 24, Suppl. 49, pp. 9-14 (1997)でのLipskyらによる「Outcome of Specific COX-2 Inhibitor in Rheumatoid Arthritis」では、慢性関節リウマチを患っている患者において、セレコキシブによるシクロオキシゲナーゼ-2の特異的阻害は、炎症病気の活性の症状及び徴候を十分に抑制することを開示している。 【0007】 1998年9月9日に公開された欧州特許出願第0863134A1号では、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)及びステアリン酸マグネシウムを含む賦形剤と組合わせて、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、具体的には、2-(3,5-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチル-スルホニル)フェニル」-2-シクロペンテン-1-オンを含む組成物が開示されている。」(段落【0001】~【0007】) 記載事項(本-2) 「セレコキシブは、水溶性媒体には異常なほど溶解しない。例えば、カプセル形態で経口投与させた場合、未調合のセレコキシブは胃腸管にて急速に吸収されるために、容易には溶解せず、分散もしない。加えて、長く凝集した針を形成する傾向を有する結晶形態を有する未調合のセレコシブは、通常、錠剤成形ダイでの圧縮の際に、融合して一枚岩の塊になる。他の物質とブレンドさせたときでも、セレコキシブの結晶は、他の物質から分離する傾向があり、組成物の混合中にセレコキシブ同士で凝集し、セレコキシブの不必要な大きな塊を含有する、非均一なブレンド組成物になる。」(段落【0008】) 記載事項(本-3) 「後述するように、セレコキシブ治療は、シクロオキシゲナーゼ-2媒介状態及び疾患の幅広い分野でその必要性が指摘され、潜在的に指摘されている。したがって、さまざまな適応に特別に作られた生物学的利用能特性を有する、ある範囲の調合を提供することには、非常に有益である。未調合セレコキシブで可能であるよりも、急速に効き目のある薬物速度論を示す調合を提供することは、特に有益である。 【0010】 かかる調合は、シクロオキシゲナーゼ-2媒介状態及び疾患の治療において、顕著な進歩をもたらすであろう。」(段落【0009】~段落【0010】) 記載事項(本-4) 「さらに別の実施例では、組成物は、粒子の最長の大きさで、D90が約200μm以下であるように(サンプル粒子の90%はD90値よりも小さい)、セレコキシブ一次粒子サイズの分布を有する。」(段落【0013】) 記載事項(本-5) 「本発明の経口運搬された組成物では、驚くべきほど相対的に高い生物学的利用能が得られることが判明した。よって、本発明の一つの実施例では、経口投与されると、各経口運搬可能な投与量単位は、等量のセレコキシブを含有するセレコキシブの経口運搬された溶液と比較して、約50%以上、好ましくは70%以上の相対的な生物学的利用能を有する。後述するように、生物学的利用能は経口投与後のある時間に亘り、セレコキシブの血清濃度の総合測定から導かれる。 【0022】 本発明の組成物は微粒子の形態のセレコキシブを包含する。セレコキシブの一次粒子は、例えば、製粉若しくは粉砕により、又は溶液から沈殿させて生成させ、凝集して二次の集合体粒子が形成される。本願で利用する用語「粒子サイズ」とは、特に本願で指摘しない限り、一次粒子の最長の大きさのことをいう。粒子サイズは、セレコキシブの臨床的効果に影響を与える重要なパラメータであると考えられる。よって、別の実施例では、発明の組成物は、粒子の最長の大きさで、粒子のD90が約200μm以下、好ましくは約100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、最も好ましくは約25μm以下であるように、セレコキシブの粒子分布を有する。通常、本発明の上記実施例によるセレコキシブの粒子サイズの減少により、セレコキシブの生物学的利用能が改良される。」(段落【0021】~【0022】) 記載事項(本-6) 「【0024】 セレコキシブと賦形剤とを混合するに先立ち、ピンミル(pin mill)のような衝撃式ミルでセレコキシブを粉砕させて、本発明の組成物を作製することは、改善された生物学的利用能を提供するに際して効果的であるだけでなく、かかる混合若しくはブレンド中のセレコキシブ結晶の凝集特性と関連する問題を克服するに際しても有益であることを発見した。ピンミルを利用して粉砕されたセレコキシブは、未粉砕のセレコキシブ又は液体エネルギーミルのような他のタイプのミルを利用して粉砕されたセレコキシブよりは凝集力は小さく、ブレンド中にセレコキシブ粒子の二次集合体には容易に凝集しない。減少した凝集力により、ブレンド均一性の程度が高くなり、このことはカプセル及び錠剤のような単位投与形態の調合において、非常に重要である。これは、調合用の他の製薬化合物を調合する際のエアージェットミルのような液体エネルギーミルの有用性に予期せぬ結果をもたらす。特定の理論に拘束されることなく、衝撃粉砕により長い針状からより均一な結晶形へ、セレコキシブの結晶形態を変質させ、ブレンド目的により適するようになるが、長い針状の結晶はエアージェットミルでは残存する傾向が高いと仮定される。 【0025】 ブレンド均一性は、セレコキシブをキャリア材料と湿式顆粒化させて製薬成分を調製させることにより、特に、出発物質として利用したセレコキシブを衝撃式ミルで粉砕させた際に、さらに改善されることをも発見した。セレコキシブ出発物質を前述した粒子サイズになるように衝撃粉砕し、その後湿式顆粒化を行うことが特に望ましい。」(段落【0024】~【0025】) 記載事項(本-7) 「【0028】 発明の組成物の有用性 本発明の組成物は、シクロオキシゲナーゼ-2による媒介される幅広い範囲の疾患の治療及び予防に有効である。現在考えている組成物は、以下のものに限定されないが、被験者の炎症の治療に有用であり、例えば、痛み及び頭痛の治療における鎮痛剤として、発熱の治療における解熱薬として有用である。例えば、かかる組成物は、以下のものに限定されないが、慢性関節炎リウマチ、脊髄関節炎、痛風関節炎、骨関節炎、全身性エリテマトーゼス及び若年性関節炎を含む関節疾患の治療に有用である。」(段落【0028】) 記載事項(本-8) 「【0040】 本願で使用する用語「賦形剤」とは、被験者へ活性成分を運搬するためのビヒクルとして使用される物質のことをいい、活性成分に添加された物質は、例えば、取扱いを改善させ、若しくはその結果生じた組成物を、所望及び一貫した経口運搬可能な単位投与量に形成させることを可能にする。賦形剤には、例に示すが、それに限定されないが、希釈剤、崩壊剤、結着剤、接着剤、加湿剤、潤滑剤、グリンダント(glidant)、マスクするために添加する物質があり、悪い味若しくは臭気を打ち消し、フレーバ、色素、投与形態の外観を改善させるために添加した物質、及び経口投与形態の調製に従来から利用されている活性成分以外の他の物質がある。」(段落【0040】) 記載事項(本-9) 「本願で利用する用語「生物学的利用能」とは、胃腸管を経由して血流に吸収された活性成分の量の尺度に関係している。具体的には、本願で利用する「生物学的利用能」は、AUC(0‐∞)で表わされ、同じ投与量で静脈を介して運搬された活性成分に対するAUC(0‐∞)の割合として表現された、特に経口投与された成分で表わされる。」(段落【0044】) 記載事項(本-10) 「本願での用語「相対的生物学的利用能」とは、同じ投与量で活性成分の経口投与された溶液に対するAUC(0‐∞)の割合として表現された特定経口投与成分のAUC(0‐∞)で表わされる。」(段落【0045】) 記載事項(本-11) 「本願での用語「AUC(0‐24)」、「AUC(0‐48)」及び「AUC(0‐72)」とは、リニアトラペゾイダルルール(linear trapezoidal rule)を利用して決定し、(ng/ml)hの単位で表現され、血清濃度が投与後0からそれぞれ24時間、48時間若しくは72時間と関係する曲線下での領域を意味している。」(段落【0046】) 記載事項(本-12) 「【0054】 特定の状態及び疾患の治療 本発明の製薬組成物は、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤の投与が必要とされう場合に有用である。上記組成物は、例えば、リウマチ様関節炎および骨関節炎の治療、一般に、痛みの管理(特定の口腔外科手術後の痛み、一般の外科手術後の痛み、整形手術後の痛み及び骨関節炎の急性拡大)に対して、アルツハイマー凝の治療及び結腸癌化学的予防に、特に有効である。 【0055】 リウマチ様関節炎の治療では、本発明の組成物は、約50mgから約1000mg、好ましくは約100mgから約600mg、より好ましくは約150mgから約500mg、さらに好ましくは約175mgから約400mg、例えば、200mgのセレコキシブの毎日の投与量のために利用することが可能である。本発明の組成物を投与する際に、体重当たり約0.67から13.3mg、好ましくは体重当たり約1.33から約8.00mg、より好ましくは体重当たり約2.00から約6.67mg、さらに好ましくは体重当たり約2.33mgから約5.33mg、例えば、体重当たり約2.67mgのセレキコシブの1日の投与量は、通常、適当である。1日の投与は、1日に1回から4回、好ましくは1日に1回若しくは2回の投与がよい。多くの患者にとっては、1日の2回、1回100mgの割合で本発明の組成物を投与することが好ましいが、ある患者では、1日に2回で1回200mgの投与量若しくは1回100mgを2回の投与が有益であることもある。 【0056】 骨関節炎の治療では、本発明の組成物は、約50mgから約1000mg、好ましくは約100mgから約600mg、より好ましくは約150mgから約500mg、さらに好ましくは約175mgから約400mg、例えば、約200mg のセレコキシブの1日の投与量を提供するために利用可能である。本発明の組成物を投与する際に、kg体重当たり約0.67mgから約13.3mg、好ましくはkg体重当たり約1.33から約8.00mg、より好ましくは約2.00mgから約6.67mg、さらに好ましくはkg体重当たり約2.33から約5.33mg、例えば、kg体重当たり約2.67mgのセレコキシブの1日の投与量は、通常、適当である。1日の投与は1日1回から4回、好ましくは1日1回若しくは2回の投与が好ましい。1日に2回の投与では1回100mg、若しくは1回で200mgの投与の割合で、本発明の組成物を投与することが好ましい。」(段落【0054】~段落【0056】) 記載事項(本-13) 「【0062】 本発明の組成物の形態 本発明の製薬組成物は、経口投与に適した、一つ又はそれ以上の好ましい非毒性であり、薬剤学的に許容なキャリア、賦形剤及びアジャバント(本願では、まとめて「キャリア材料」又は「賦形剤」という)と組合わせたセレコキシブを含む。そのキャリア材料は組成物の他の成分と相溶性があるという意味において、許容されなければならず、さらに、賦形剤にとって有害であってはならない。本発明の組成物は、適当なキャリア材料の選択及び目的の治療に効果的であるセレコキシブの投与量により、適当な経口ルートによって投与されるのに適する。したがって、利用するキャリア材料は固体若しくは液体である、又はその両方であり、組成物は約1%から約95%、好ましくは約10%から約90%、より好ましくは約25%から約85%、さらに好ましくは約30から約80%重量のセレコキシブを含有する。本発明のかかる製薬組成物は、成分を混合することを含み、何れかの周知の薬学に関する技術により調製可能である。」(段落【0062】) 記載事項(本-14) 「【0067】 キャリア材料又は賦形剤 前記したように、本発明の製薬組成物は、経口投与に適する一つ又はそれ以上の薬剤学的に許容なキャリア材料と組合わせて、投与量単位あたり治療に若しくは予防処置的に有効な量のセレコキシブを含む。本発明の組成物は、薬剤学的に許容な希釈剤、崩壊剤、結着剤、接着剤、加湿剤、潤滑剤及びアンチ付着剤からなる群から選択された一つ又はそれ以上のキャリア材料と混合させた所望の量のセレコキシブを含むことが好ましい。さらに好ましくは、かかる組成物は、即座に解放するカプセル又は錠剤の形態で、従来の投与のために錠剤化又はカプセル化される。 【0068】 本発明の製薬組成物に利用されるキャリア材料の選択及び組合わせにより、組成物は、効き目、生物学的利用能、クリアランス時間、安定性、セレコキシブとキャリア材料の相溶性、安全性、溶解プロファイル、崩壊プロファイル及び/又は他の薬物速度論的、化学及び/又は物理的性質に関して、改善された性能を示す。キャリア材料は水溶性若しくは水分散性であることが好ましく、セレコキシブの低水溶液溶解性及び疎水性を相殺する湿潤的性質を有する。組成物が錠剤として調合されると、選択されたキャリア材料の組合わせにより、溶解及び崩壊プロファイル、硬度、破砕強度及び/又は破砕性において改善される。 【0069】 希釈剤 本発明の製薬組成物は、キャリア材料として、一つ又はそれ以上の薬剤学的に許容な希釈剤を任意に含む。適当な希釈剤には、個々に又は組合わせて利用され、ラクトースUSP ;ラクトースUSP無水物;ラクトースUSP噴霧乾燥;スターチUSP;直接圧縮させたスターチ;マンニトールUSP;ソルビトール;デキストローズ一水和物;微結晶性セルロースNF;二塩基性リン酸カルシウム二水和物NF;スクロースベース希釈剤;粉砂糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物NF;乳酸カルシウム三水和物顆粒NF;デキストレート、NF(例えば、エムデックス(Emdex));セルタブ(Celutab);デキストローズ(例えば、セレローズ(Cerelose));イノシトール;マルトロン(Maltron)及びモル‐レックス(Mor-Rex)のような加水分解穀物;アミロース;レクセル(Rexcel);粉末セルロース(例えば、エルセマ(Elcema));炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ポリビニルピロリドンなどがある。存在するならば、かかる希釈剤は、組成物の全重量に対して、希釈剤全体で約5%から約99%、好ましくは約10%から約85%、より好ましくは約20%から約80%を含むことが好ましい。選択された希釈剤又は希釈剤類は、錠剤が好ましいときには、適当な流動性と、圧縮性を示すことが好ましい。 【0070】 単独で又は組合わせて利用するラクトース及び微結晶性セルロースは希釈剤として好ましい。双方の希釈剤はセレコキシブと化学的に相溶性を有する。エクストラグラニュラ微結晶性セルロース(つまり、乾燥工程後に湿式顆粒組成物に微結晶性セルロースを添加)の使用により、(錠剤の)硬度及び/又は崩壊時間が改善される。ラクトース、具体的にはラクトース一水和物が特に好ましい。通常、ラクトースは、比較的低希釈剤コストで、適当なセレコキシブ放出速度、安定性、予め圧縮させるための流動性及び/又は乾燥性質を有する製薬組成物を提供する。(湿式顆粒が利用される場合、)顆粒化中の高密度化を促進する高密度の物質を提供し、したがって、ブレンド流動性が改善される。 【0071】 崩壊剤 本発明の製薬組成物は、特に錠剤調合用に、キャリア材料として、一つ又はそれ以上の薬剤学的に許容な崩壊剤を任意に含む。単独で若しくは組合わせて利用される適当な崩壊剤には、スターチ;スターチグリコール酸ナトリウム;(ベエガン(Veegum)HVのような)粘度;(精製セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムやカルボキシメチルセルロースのような)セルロース;アルギン酸類;(ナショナル1551及びナショナル1550のような)予めゼラチン化させたコーンスターチ;クロスポビドン(crospovidone)USP NF;(寒天、グアラ(guar)、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン及びトラガカントのような)ゴムがある。崩壊剤は、製薬組成物の調製中の適当な工程で添加することが可能であり、特に、顆粒化前若しくは圧縮前の潤滑工程中が好ましい。存在するならば、かかる崩壊剤は、組成物の全重量に対して、全体の崩壊剤で約0.2%から約30%、好ましくは約0.2%から約10%、より好ましくは約0.2%から約5%の量を含む。 【0072】 クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)は、錠剤又はカプセル崩壊剤として好ましい崩壊剤であり、存在するならば、組成物の全重量に対して、約0.2%から約10%、好ましくは約0.2%から約6%、より好ましくは約0.2%から約5%の量を含む。クロスカルメロースナトリウムにより、本発明の組成物に優れた顆粒内崩壊能力が付与される。 【0073】 結着剤及び接着剤 本発明の組成物は、特に錠剤調合用に、キャリア材料として、一つ又はそれ以上の薬剤学的に許容な結着剤若しくは接着剤を任意に含む。かかる結着剤及び接合剤により、サイジング、潤滑、圧縮及びパッケージングのような通常の処理を可能にするように、錠剤化されるべきパウダーに十分な凝集力を付与することが好ましいが、錠剤が崩壊可能であり、組成物は摂取により吸収される。単独で若しくは組合わせて利用される適当な結着剤及び接着剤には、アラビアゴム;トラガカント;スクロース;ゼラチン;グルコース;スターチ;以下のものに限定されないが、メチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース(例えば、タイロース(Tylose))のようなセルロース材料;アルギン酸及びその塩;珪酸マグネシウムアルミニウム;ポリエチレングリコール;グアラゴム(guar gum);多糖酸;ベントナイト;ポリビニルピロリドン;ポリメタクリレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel);エチルセルロース(Ethocei);(ナショナル1511及びスターチ1500のような)予めゼラチン化させたスターチがある。存在するならば、かかる結着剤及び/又は接着剤は、組成物の全重量に対して、結着剤及び/又は接着剤全部で約0.5%から約25%、好ましくは約0.75%から約15%、より好ましくは約1%から約10%の量を含む。 【0074】 ポリビニルピロリドンは、セレコキシブ調合の顆粒化のため、セレコキシブパウダーブレンド及び他の賦形剤に凝集性を与えるために利用される、好ましい結着剤である。存在するならば、ポリビニルピロリドンは、組成物の全重量に対して、約0.5%から約10%、好ましくは約0.5%から約7%、より好ましくは約0.5%から約5%の量を含む。約20cPsまでの粘度のポリビニルピロリドンが利用されるが、約6cPs又はそれ以下の粘度が好ましく、特に約3cPs又はそれ以下が好ましい。ポリビニルピロリドンにより、パウダーブレンドに凝集力が付与され、必要な結合が容易に起こり、湿式顆粒化中に顆粒を形成させる。加えて、ポリビニルピロリドンを含む本発明の組成物は、特に湿式顆粒化により調製され、他の組成物に対して相対的に改善された生物学的利用能を示すことが判明した。 【0075】 加湿剤 セレコキシブは水溶液にかなり溶解しにくい。したがって、本発明の製薬組成物は、任意であるが、好ましくは、キャリア材料として、一つ又はそれ以上の薬剤学的に許容な加湿剤を含む。かかる加湿剤は、水と親和性があるようにセレコキシブを維持させるように選択することが好ましく、その状態が製薬組成物の相対的生物学的利用能を改善させると考えられる。単独で又は組合わせて利用される適当な加湿剤には、オレイン酸;モノステアリン酸グリセリン;ソルビタンモノオレイン酸エステル;ソルビタンモノラウリン酸エステル;トリエタノールアミンオレイン酸塩;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル;オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウムがある。アニオン性界面活性剤である加湿剤が好ましい。存在するならば、かかる加湿剤は、組成物の全重量に対して、全部の加湿剤で約0.25%から約15%、好ましくは約0.4%から約10%、より好ましくは約0.5%から約5%の量を含む。 【0076】 ラウリル硫酸ナトリウムは好ましい加湿剤である。存在するならば、ラウリル硫酸ナトリウムは、組成物の全重量の対して、約0.25%から約7%、好ましくは約0.4%から約6%、より好ましくは約0.5%から約5%の量を含む。 【0077】 潤滑剤 本発明の製薬組成物は、キャリア材料として一つ又はそれ以上の薬剤学的に許容な潤滑剤及び/又はグリダント(glidant)を任意に含む。単独で或いは組合わせて利用する適当な潤滑剤及び/又はグリダントには、グリセリルベハペート(glyceryl behapate)(Compritol 888);ステアリン酸塩類(マグネシウム、カルシウム及びナトリウム)、ステアリン酸;硬化植物油(例えば、ステロテックス(Sterotex));タルク;ワックス;ステアロウェット(Stearowet);ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL‐ロイシン;ポリエチレングリコール(例えば、カルボワックス4000及びカルボワックス6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸 マグネシウムがある。存在するならば、かかる潤滑剤は、組成物の全重量に対して、潤滑剤全体で約0.1%から約10%、好ましくは約0.2%から約8%、より好ましくは約0.25%から約5%の量を含む。 アテアリン酸マグネシウムは好ましい潤滑剤であり、例えば、錠剤調合の圧縮中の装置と顆粒化混合物との摩擦を減少させるために利用される。(アンチ付着剤、色剤、着香剤、甘味料及び保存剤のような)他のキャリア材料は、製薬技術の分野では周知であり、本発明の組成物に含有させることが可能である。例えば、酸化鉄を組成物に添加して色を黄色にさせることもできる。 【0078】 カプセル及び錠剤 本発明のある実施例では、製薬組成物は単位投与量のカプセル及び錠剤の形であり、所望の量のセレコキシブと結着剤とを含む。好ましい組成物は、薬剤学的に許容な希釈剤、崩壊剤、結着剤、加湿剤及び潤滑剤からなる群から選択された一つ又はそれ以上のキャリア材料をさらに含む。より好ましくは、その組成物はラクトース、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースからなる群から選択された一つ又はそれ以上のキャリア材料を含む。さらに好ましくは、組成物はラクトース一水和物及びクロスカルメロースナトリウムを含む。さらに好ましくは、組成物は一つ又はそれ以上のキャリア材料であるラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースをさらに含む。」(段落【0067】~段落【0078】) 記載事項(本-15) 「【0124】 カプセル及び錠剤中でのセレコキシブの粒子サイズ カプセル若しくは錠剤の形で経口投与されると、セレコキシブ粒子サイズの減少により、セレコキシブの生物学的利用能が改善されるを発見した。したがって、セレコキシブのD90粒子サイズは約200μm以下、好ましくは約100μm以下、より好ましくは約75μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、最も好ましくは25μm以下である。例えば、例11に例示するように、出発材料のセレコキシブのD90粒子サイズを約60μmから約30μmに減少させると、組成物の生物学的利用能は非常に改善される。加えて又はあるいは、セレコキシブは約1μmから約10μmであり、好ましくは約5μmから約7μmの範囲の平均粒子サイズを有する。」(段落【0124】) 記載事項(本-16) 「例11:犬モデルでの生物学的利用能 9乃至13ポンド(4.1乃至5.9kg)の重量のある健康なメスのビーグル犬は、以下のセレコキシブの1回の投与を受けた:(1)kg体重当たり5.0mgのセレコキシブの静脈注入に続き、kg体重当たり5.0mgのセレコキシブの第二の静脈注入;(2)経口溶液形態のkg体重当たり5mgのセレコキシブ;(3)経口カプセルの形態のkg体重当たり5.0mgのニートな未調合セレコキシブを投与する。静脈及び経口溶液投与のビヒクルは、体積比で2:1の比率である平均分子量400(PEG‐400)を有するポリエチレングリコールと水の混合物であった。各静脈注入は、2回の注入に分け、15乃至30分で15分の間隔をおいて与えた。 【0171】 多くの血液サンプルを、ヘパリン化チューブへの静脈穿刺又は留置カテーテルにより各動物から集めた。血清中のセレコキシブ濃度はHPLCにて測定し、その結果データを、以下の表11-1に示す薬物速度論パラメータを計算するために利用した。 【0172】 【表12】 [図:0001385458000005.jpg] 例11-2:犬モデルでの調合の相対的生物学的利用能 セレコキシブ粒子サイズ、湿潤剤の増加濃度、pH及び懸濁液としてのセレコキシブの分散液のような調合パラメータの効果は、犬モデルの生物学的利用能への経口溶液に対して評価した。調合する前にセレコキシブを微粉化(平均粒子サイズ10乃至20μm)させる効果は、組成物Aにて試験した。微粉化、添加湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)と増加したマイクロ環境pH(Na3PO412H2O)の組合わせ効果を、組成物Bにて試験した。湿潤剤(Tween80)をセレコキシブと密に接触させる効果(単純な乾燥混合に対する共沈殿の効果)を、組成物Cにて試験した。さらに微細化させた粒子サイズ(約1μm)と粒子を懸濁液に分散させた効果を、組成物Dにて試験した。例11-1(組成物E)にて利用したのと同様なセレコキシブ溶液を、参考として用いた。加えて、カプセル(組成物F)中の未粉砕、未調合セレコキシブの例11-1のデータも、参考として入れた。調合A、B、C、D、E及びFの特定の組成を表11-2Aにまとめる。 【0173】 【表13】 [図:0001385458000006.jpg] (1)アンチソルベントとして5%のポリソルベート80の水溶液を利用して、エタノール溶液から沈殿させた。 (2)粒子が顕微鏡で評価した際に約1μm径になるまで、ポリソルベート80とポリビニルピロリドンのスラリーにて、薬をボールミルさせて、懸濁液として調製した。 (3)体積比2:1のPEG‐400と水の溶液。 上記組成物を3つのオス犬と3つのメス犬のグループに投与した。グループ1の犬には、選択乗換設計にて、kg体重当たり5mgのセレコキシブを含む溶液Eとカプセル調合A及びBを投与した。グループ2の犬には、選択乗換設計にて、kg体重当たり5mgのセレコキシブを含むカプセル調合Cと懸濁液Dを投与した。血漿サンプルを24時間かけて集め、HPLCによりセレコキシブを解析した。 【0174】 上記実験の結果(表11-2B,11-2Cおよび11-2C)から、粒子サイズを小さくする(組成物A)又は湿潤剤とともにセレコキシブを共沈殿させる(組成物C)は、例11-1に示す未調合の初期の研究と比較して、セレコキシブの生物学的利用能(AUC(0‐24)として測定)が増大した。セレコキシブの生物学的利用能は、PEG‐400/水溶液(組成物E)から懸濁液(組成物D)へと大きくなった。約1μmの粒子サイズを有する懸濁液からの生物学的利用能は、溶液からの生物学的利用能と同様であり、湿式顆粒された固体組成物からのセレコキシブ生物学的利用能は小さなセレコキシブ粒子サイズ(例えば、調合に先立ち、セレコキシブのピンミルによるもの)、セレコキシブの増大した濡れ性(例えば、顆粒液体にラウリル硫酸ナトリウムを含有させることによるもの)や分散改良(例えば、顆粒化にてクロスカルメロースナトリウムを含有させることによる)により改善可能であることを、強く示唆している。各調合に対する表11-2Cおよび11-2Dに示される生物学的利用能は、例11-1と例11-2の研究間の掛け橋として、溶液データ(組成物E)を利用して、セレコキシブの静脈投与に対する実験的に測定された生物学的利用能の割合として、上記調合の生物学的利用能を表わす。 【0175】 【表14】 [図:0001385458000007.jpg] 【0176】 【表15】 [図:0001385458000008.jpg] 【0177】 【表16】 [図:0001385458000009.jpg] 例11-3 ラルリル硫酸(0乃至5%重量)とクロスカルメロースナトリウム(0乃至5重量%)とを含有するさまざまな調合を、相対的濡れ性及び崩壊傾向を調べるためにスクリーニングした。相対的濡れ性は、各調合から調製された顆粒材料のカラムへ水が浸透するのに必要とする時間を測定することにより評価した。崩壊傾向は、5分間37℃の水の材料を浸漬させた後に、20メッシュ(850mm)スクリーンの保持された顆粒材料の重量を測定することにより評価した。評価した組成物A乃至Hの特定の組成を、表11-3Aにまとめる。 【0178】 【表17】 [図:0001385458000010.jpg] (1)ラウリル硫酸ナトリウムを乾燥パウダーとして添加した。 結果を表11-3Bにまとめる。浸透試験は3回行った。崩壊試験は二回行った。浸透実験の結果から、ラウリル硫酸ナトリウム(組成物B)のよる湿付与は乾燥付与(組成物A )よりも優れており、3%乃至5%のラウリル硫酸ナトリウムを含有する調合(組成物B、G及びH)はより少ない量のラウリル硫酸ナトリウムの調合(組成物C乃至F)よりも優れていたことが分かる。3%のラウリル硫酸ナトリウムを含有する調合(組成物B及びG)は5%のラウリル硫酸ナトリウムを含有する調合(組成物H)と同様であった。崩壊実験の結果から,完全な崩壊は3%濃度の湿潤剤で、1%程の低いクロスカルメロースナトリウム濃度により達成された。さらに、完全な崩壊は湿潤剤の濃度に関係なく、多い量の崩壊剤(組成物B、F及びH)により達成される。組成物Gは、必要とされる最小量の賦形剤により優れた浸透と完全な崩壊の双方を示した。 【0179】 【表18】 [図:0001385458000011.jpg] 」(段落【0170】~段落【0179】) 記載事項(本-17) 「【0183】 例13 以下の調合を有するカプセルを調製し、評価した。 【0184】 【表20】 [図:0001385458000012.jpg] セレコキシブは、連続した小さなスクリーンサイズ(#14、#20、#40)を備えた振動ミルを介して何回も粉砕した。上記混合物に添加したセレコキシブ粒子のD90粒子サイズは、約37μm以下であった。セレコキシブ、ラクトース及びポリビニルピロリドンを遊星型ミキサーボールにて混合し、水を用いて湿式顆粒化させた。その後顆粒を60℃でトレイにて乾燥させ、40メッシュスクリーンを通して粉砕し、V―ブレンダーにてステアリン酸マグネシウムにより湿潤化させてドソナー型カプセル化器にてカプセル化させた。カプセルのインビトロ溶解プロファイルは、USP2法と溶解媒体として15mMのリン酸緩衝液とを利用して求めた。15分後には約50%のインビトロ溶解が達成され、約30分後には95%以上のインビトロ溶解が達成された。 【0185】 上記の100mg単位投与量カプセルの吸収、分散、代謝及び排除プロファイルは、14C‐セレコキシブの懸濁液プロファイルと比較した。その研究は、健康なオスの被験者にて行ったオープンラベルで、ランダム交差研究であった。懸濁液は、5%のポリソルベート80を含むエタノールにセレコキシブを溶解させて調製し、投与に先立ち、その混合物をアップルジュースに添加した。懸濁液を受けた被験者はセレコキシブの300mg投与量を摂取した。カプセル形態のセレコキシブを受けた被験者は、全体でセレコキシブを300mg投与させるために、100mg投与量単にのカプセルを3つ受け入れた。カプセルからの吸収速度は、懸濁液のそれよりも遅かったが、AUC(0-48)にて測定した際には、懸濁液同等であった。平均結果を、以下の表13Bに報告する。セレコキシブは尿又は大便の何れかに、約2.56%のみの放射線投与にて殆ど代謝された。 【0186】 【表21】 [図:0001385458000013.jpg] 」(段落【0183】~段落【0186】) (3)検討 本件発明1~4、本件発明7~19の課題は、訂正特許請求の範囲の記載並びに上記記載事項(本-1)~記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、以下のとおりであると認める。 (本件発明1~4、本件発明7~19の課題) 未調合セレコキシブ及び一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物に比して、セレコキシブの凝集力が小さく、ブレンド均一性が高く、生物学的利用能に優れる、セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む、製薬組成物又はその使用方法の提供 本件発明5の課題は、訂正特許請求の範囲の記載並びに上記記載事項(本-1)~記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、以下のとおりであると認める。 (本件発明5の課題) 未調合セレコキシブ及び一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む製薬組成物に比して、セレコキシブの凝集力が小さく、ブレンド均一性が高く、同じ投与量のセレコキシブを含有する経口運搬された溶液と比較して最低50%であるセレコキシブの相対的な生物学的利用能を有する、セレコキシブを含み、一つ以上の個別な固体の経口運搬可能な投与量単位を含む、製薬組成物の提供。 ア 本件発明1~12、及び本件発明17~19(但し、前記訂正により削除された本件発明6を除く)について 上記記載事項(本-2)及び上記記載事項(本-6)からは、針状の形態を有する未粉砕セレコキシブが、水溶性媒体に溶解しにくく、組成物の混合中に凝集する傾向を有するものであるのに対し、未粉砕セレコキシブをピンミルなどを利用して衝撃粉砕することで得られる微粒子セレコキシブは、凝集力が小さく、組成物の混合中にも凝集しにくいことが示されており、上記記載事項(本-5)、記載事項(本-15)及び記載事項(本-16)(特に、段落【0174】)には、セレコキシブを微粉化することでその生物学的利用能が改善することが示されている。 ここで、甲9には 「微細化によりバイオアベイラビリティーを改善できることが多くの難溶性薬物,たとえば……などで報告されている。……。しかし,微粉になればなるほど凝集が起こりやすく,粉砕により水に接する表面積(有効表面積)が逆に小さくなり,溶解速度が小さくなることがある。特に疎水性物質は凝集性が強い。図 7-2 に示すように,グリセオフルビン酸粉砕品は未粉砕品に比べ逆に溶出速度が低下している。ここに,界面活性剤が存在すると,微粒子は凝集せずに均一に溶液中に分散され,粒子サイズが小さいほど溶出速度は大きくなる。また,この例では界面活性剤の可溶化効果も認められている。 このような場合,凝集を防ぐ目的で,流動化剤や界面活性剤を微細化助剤として加えて粉砕する手段が取られる。この手法を発展させ,微細化に応用したのが混合粉砕である。」 168頁23行~169頁4行)と記載され、 甲10には 「4.1 溶出速度に及ぼす薬物の粒子径の影響 次式は,薬物の溶解速度が薬物の表面積に正比例することを示している。 …… 粒子径を細かくして表面積を増加させると,溶解速度を増大させることができるはずである。しかし,単に表面積を増やすだけでは不十分で,増加すべきは有効表面積である。有効表面積とは薬物が試験液に接触する表面積である。薬物が疎水性で溶媒による濡れが劣る場合には,粒子径を小さくすると凝集が起こり,有効表面積がかえって小さくなる結果,溶解速度が遅くなることがある。」(104頁4~11行)、及び 「われわれは実験薬物として,フェノバルビタール(…),アスピリン(…),およびフェナセチン(…)を用いて,この現象を明らかに示した。……。 図示した3例では,いずれも溶解速度は予期に反し,粒子径が大きくなるにつれて増加している。……。すなわち,研究に使用した3つの薬物の表面はいずれも疎水性なので,粒子径が小さくなるほど全表面積が,したがって吸着空気量が増加する。その結果,試験液に触れる面積が減少し,溶解速度が低下するのである。 ここで,溶出液にポリソルベート80を0.2%加えると,フェナセチンは速やかに溶けるようになり,この場合には溶解速度は粒子径が小さくなるにつれて増大する。ポリソルベート80を添加すると,溶媒が薬物粉末の表面をよく濡らすようになるため,溶解速度が粉砕の程度に従って増すものと考えられる。」(104頁12行~106頁6行)と記載されている。 しかし、これらの記載は、疎水性薬物では粒子径を小さくすることで溶解速度が低下する現象が生じる場合のあること、その現象が生じる場合でも界面活性剤を添加すれば、粒子径を小さくすると溶解速度が増大するようになること、を、その現象が生じる具体的な薬物の例を挙げて示すものにとどまり、疎水性薬物を含む錠剤のすべてで薬物の粒子径を小さくすると、界面活性剤または親水性賦形剤を混合しない限り、必ず薬物の溶解速度は遅くなりその生物学的利用能が悪化するということが技術常識であることを示すものではない。 また、請求人の主張にもかかわらず、本件明細書の発明の詳細な説明の記載並びに各甲号証の記載及び各乙号証の記載を検討しても、記載事項(本-16)に示された例11-2の組成物A~組成物Cにおいて用いられる「アビセル101」が、疎水性薬物の粒子径を小さくして溶解速度を増大させるために添加された親水性賦形剤であるという根拠を見出すことはできず、記載事項(本-16)に示された例11-2の組成物A~組成物Cにおいて「アビセル101」が共存しなければセレコキシブの微粉化によるバイオアベイラビリティ改善は起こりえないという根拠を見出すこともできない。 また、組成物Bはラウリル硫酸ナトリウムを25%含むにもかかわらず、その生物学的利用能は、ラウリル硫酸ナトリウムを2%含む組成物Aに比して低いこと、及び、上記記載事項(本-17)に示された、界面活性剤を含まない微粉化セレコキシブから得られたカプセルのインビトロ溶解が、15分後には約50%、約30分後には95%以上であることから、組成物A~組成物Cにおいて界面活性剤が共存しなければセレコキシブの微粉化によるバイオアベイラビリティ改善は起こりえないとすることもできない。 したがって、本件発明1~12、及び本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)において、賦形剤が界面活性剤又は親水性賦形剤に限定されていないことをもって、本件発明1~12、及び本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではないということはできず、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでないとはいえない。 また、本件発明1~12、及び本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)において、賦形剤が界面活性剤又は親水性賦形剤に限定されていないことをもって、上記記載事項(本-1)から記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件発明1~12、及び本件発明17(但し、本件発明6を除く)に係る物を生産し,使用することができる程度のものでないとすることも、出願時の技術常識に照らし本件発明1~12、及び本件発明17(但し、本件発明6を除く)の医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載されていないとすることもできず、上記記載事項(本-1)から記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件発明18~19に係る使用を実施することができる程度のものでないということもできない。 イ 本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)について 上記記載事項(本-2)及び上記記載事項(本-6)からは、針状の形態を有する未粉砕セレコキシブが、水溶性媒体に溶解しにくく、組成物の混合中に凝集する傾向を有するものであるのに対し、未粉砕セレコキシブをピンミルなどを利用して衝撃粉砕することで得られる微粒子セレコキシブは、凝集力が小さく、組成物の混合中にも凝集しにくいことが示されており、上記記載事項(本-5)、記載事項(本-15)及び記載事項(本-16)(特に、段落【0174】)には、セレコキシブを微粉化することでその生物学的利用能が改善することが示されている。 また、請求人の主張にもかかわらず、例11-3(上記記載事項(本-16))は、相対的濡れ性及び崩壊傾向を調べるために、ラウリル硫酸(0乃至5%重量)とクロスカルメロースナトリウム(0乃至5重量%)とを含有する様々な組成物を比較したものであって、セレコキシブを微粉化しても崩壊剤と湿潤剤の両方をある程度の量含有していなければ、未粉砕のセレコキシブを含む組成物に比して、生物学的利用能が改善されないことを示すものとはいえない。 したがって、本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)において、崩壊剤及び湿潤剤を含むことが特定されていないことをもって、本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではないということはできず、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでないということもできない。 また、本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、本件発明17~19(但し、本件発明6を除く)において、崩壊剤及び湿潤剤を含むことが特定されていないことをもって、上記記載事項(本-1)から記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、及び本件発明17(但し、本件発明6を除く)に係る物を生産し,使用することができる程度のものでないとすることも、出願時の技術常識に照らし本件発明1~9、本件発明11、本件発明12、及び本件発明17(但し、本件発明6を除く)の医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載されていないとすることもできず、上記記載事項(本-1)から記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件発明18~19に係る使用を実施することができる程度のものでないということもできない。 ウ 本件発明1~19(但し、本件発明6を除く)について 上記記載事項(本-2)及び上記記載事項(本-6)からは、針状の形態を有する未粉砕セレコキシブが、水溶性媒体に溶解しにくく、組成物の混合中に凝集する傾向を有するものであるのに対し、未粉砕セレコキシブをピンミルなどを利用して衝撃粉砕することで得られる微粒子セレコキシブは、凝集力が小さく、組成物の混合中にも凝集しにくいことが示されており、上記記載事項(本-6)、記載事項(本-15)及び記載事項(本-16)(特に、段落【0174】)には、セレコキシブを微粉化することでその生物学的利用能が改善することが示されている。 また、請求人の主張にもかかわらず、各甲号証の記載及び各乙号証の記載を検討しても、セレコキシブが「代謝の個体差の小さい薬剤」であることが出願時の技術常識であったという根拠を見出すことはできず、記載事項(本-16)に示された表11-2Cの値が、セレコキシブが「代謝の個体差の小さい薬剤」であることを前提にして個体差を実質的に無視した推算で得られたものであるとすることはできない。してみると、記載事項(本-16)に接した当業者が、例11-2の結果を示す表11-2Bの血清セレコキシブ濃度の経時的な測定値を基に、セレコキシブを代謝の個体差の小さい薬剤であることを前提にしたAUCの推算値と表11-2Cの値の差異を見出した上で、表11-2Bの値が正しく、表11-2Cに示された値が計算ミスであると認識することは、そもそもあり得ないことといえる。 したがって、本件発明1~19(但し、本件発明6を除く)において、セレコキシブを、崩壊剤及び湿潤剤を含む賦形剤と密に混合することが特定されていないことをもって、本件発明1~19(但し、本件発明6を除く)が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではないということはできず、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでないということもできない。 また、本件発明1~19(但し、本件発明6を除く)において、セレコキシブを、崩壊剤及び湿潤剤を含む賦形剤と密に混合することが特定されていないことをもって、上記記載事項(本-1)から記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件発明1~17(但し、本件発明6を除く)に係る物を生産し,使用することができる程度のものでないとすることも、出願時の技術常識に照らし本件発明1~17(但し、本件発明6を除く)の医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載されていないとすることもできず、上記記載事項(本-1)から記載事項(本-17)を含む本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件発明18~19に係る使用を実施することができる程度のものでないということもできない。 (6)無効理由3及び無効理由4についての小括 上記ア~ウのとおり、無効理由3及び無効理由4は、本件発明1~5、本件発明7~19について理由がない。 第6 結び 以上のとおり、本件発明6は訂正により削除されたので、本件発明6に係る特許に対する無効審判請求は不適法な請求であり、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下する。 無効理由1~無効理由4によって、本件発明1~5、7~19に係る特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人及び参加人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-800071

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