特許異議申立
2018-700894
作業計画作成装置
- 審判番号
- 2018-700894
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-264046
- 登録番号
- 特許第6320024号(P6320024)
- 請求日
- 2018年11月08日
- 審決日
- 2019年05月28日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱重工業株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】桜井 裕
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 渡邊 聡
- 審判官 田中 秀樹
- 分類
- P1651.121-YAA(G06Q) / P1651.113-YAA(G06Q) / P1651.536-YAA(G06Q) / P1651.537-YAA(G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6320024号発明「作業計画作成装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6320024号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、請求項9について訂正することを認める。
特許第6320024号の請求項1ないし8、請求項10、請求項11に係る特許を維持する。
特許第6320024号の請求項9に係る特許について特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第6320024号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成25年12月20日に特許出願され、平成30年4月13日にその特許権の設定登録がされ、平成30年5月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年11月8日に特許異議申立人桜井裕により特許異議の申立てがされ、平成31年1月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成31年3月29日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人桜井裕から平成31年4月25日付けで意見書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のアないしウのとおりである。
ア 訂正事項1
請求項1の「生成量変換テーブル」の記載を「生成物変換テーブル」の記載に訂正する。
イ 訂正事項2
請求項2の「生成量変換テーブル」の記載を「生成物変換テーブル」の記載に訂正する。
ウ 訂正事項3
請求項9を削除する。
(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正前の発明の詳細な説明には、「生成量変換テーブル」(記載箇所【0009】、【0011】)、「生成物変換テーブル」(同上【0037】、【0038】、【0053】)の両者の記載が存在するものの、段落【0009】、【0011】は「【課題を解決するための手段】」として、特許請求の範囲(訂正前)の記載をそのまま繰り返し記載したのみの部分であるから、「生成量変換テーブル」についてどのような技術的意味を有するテーブルであるか開示しているとはいえない。
一方、【0037】、【0038】、【0053】の記載をみると、
「ここで、生成物変換テーブルは、中間体生成工程時における廃棄物から中間体への生成量の変換、廃棄体生成工程時における中間体から廃棄体への生成量の変換、廃棄体生成工程時における廃棄物から廃棄体への生成量の変換を行うときに用いられるテーブルである。つまり、生成物変換テーブルは、廃棄物の生成量から廃棄体の生成量に変換する第1変換テーブルと、廃棄物の生成量から中間体の生成量に変換する第2変換テーブルと、中間体の生成量から廃棄体の生成量に変換する第3変換テーブルとを含んで構成されている。」(【0037】) 、
「具体的に、制御部14は、作業計画作成プログラムを実行することで、工程情報、及び記憶部に記憶された生成物変換テーブルに基づいて、廃棄物処理作業の作業計画に関する計画工程表を作成するスケジュール処理を実行したり、計画工程表及び工程情報に基づく山積み計算を実行したりする。」(【0038】)、
「制御部14の変換処理部18は、計画工程表G1を作成すると、作成された計画工程表G1と、工程情報と、記憶部13に記憶された生成物変換テーブルとに基づいて、生成物を変換する生成変換処理を実行する(ステップS13)。つまり、制御部14の変換処理部18は、解体工程、中間体生成工程及び廃棄体生成工程の作業期間が確定すると、生成物変換テーブルを用いて、廃棄物、中間体及び廃棄体の生成量を変換する。具体的に、制御部14は、解体工程の工程情報に含まれる廃棄物生成情報から得られる廃棄物の生成量から、生成物変換テーブルを用いて廃棄体の生成量へ変換する第1生成変換処理を実行し、第1生成変換処理によって導出された廃棄体の生成量を、廃棄体生成工程の廃棄体生成情報として対応付ける。また、制御部14は、解体工程の工程情報に含まれる廃棄物生成情報から得られる廃棄物の生成量から、生成物変換テーブルを用いて中間体の生成量へ変換する第2生成変換処理を実行し、第2生成変換処理によって導出された中間体の生成量を、中間体生成工程の中間体生成情報として対応付ける。同様に、制御部14は、中間体生成工程の工程情報に含まれる中間体生成情報から得られる中間体の生成量から、生成物変換テーブルを用いて廃棄体の生成量へ変換する第3生成変換処理を実行し、第3生成変換処理によって導出された廃棄体の生成量を、廃棄体生成工程の廃棄体生成情報として対応付ける。」(【0053】)、
との記載があり、「生成物変換テーブル」の技術的意味が開示されている。
これらの記載からみて、「生成物変換テーブル」は、「中間体生成工程時における廃棄物から中間体への生成量の変換、廃棄体生成工程時における中間体から廃棄体への生成量の変換、廃棄体生成工程時における廃棄物から廃棄体への生成量の変換を行うときに用いられるテーブルであり、生成物変換テーブルは、廃棄物の生成量から廃棄体の生成量に変換する第1変換テーブルと、廃棄物の生成量から中間体の生成量に変換する第2変換テーブルと、中間体の生成量から廃棄体の生成量に変換する第3変換テーブルとを含む」ものであるといえるところ、請求項1(訂正前)の「前記廃棄物の生成量から前記廃棄体の生成量に変換する第1変換テーブルを含む生成量変換テーブル」の記載と照らしてみれば、請求項1に記載された「生成量変換テーブル」は、上記発明の詳細な説明に記載された「生成物変換テーブル」と同一のものであることが理解できる。
すなわち、請求項1の「生成量変換テーブル」を「生成物変換テーブル」と訂正することは、本来(発明の詳細な説明と照らしてみれば)「生成物変換テーブル」の記載であるべき箇所を、「生成量変換テーブル」と誤った記載とした誤記を訂正することを目的とするものであるといえる。
そして、訂正前の「生成量変換テーブル」の記載は、発明の詳細な説明に、特許請求の範囲の記載を繰り返して記載した部分以外にその記載はなく、発明の詳細な説明の記載からみて、「生成物変換テーブル」の誤記であることは明白であって、当該訂正により、新規事項が追加されたということはできず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。
そして、当該訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。
イ 訂正事項2について
訂正前の発明の詳細な説明には、「生成量変換テーブル」、「生成物変換テーブル」の両者の記載が存在するものの、「生成量変換テーブル」についてどのような技術的意味を有するテーブルであるか開示している記載はないのに対し、「生成物変換テーブル」については、具体的な技術的事項が記載されていることは、上記アにて検討したとおりである。
そして、請求項2の「前記生成量変換テーブルは、前記廃棄物の生成量から前記中間体の生成量に変換する第2変換テーブルと、前記中間体の生成量から前記廃棄体の生成量に変換する第3変換テーブルとを含み」、「前記記憶部に記憶された前記生成量変換テーブルに基づいて、前記廃棄物生成情報から得られる前記廃棄物の生成量から、前記中間体の生成量へ変換する第2生成変換処理を実行し、前記第2生成変換処理で導出された前記中間体の生成量から、前記廃棄体の生成量へ変換する第3生成変換処理を実行」の記載からみて、請求項2に記載された「生成量変換テーブル」は、上記発明の詳細な説明に記載された「生成物変換テーブル」と同一のものであることが理解できる。
したがって、訂正事項2は、訂正事項1と同様、誤記の訂正を目的とするものであって、当該訂正により新規事項が追加されたということはできず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。
そして、当該訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。
ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、請求項の削除を目的とするものであり、当該訂正は特許請求の範囲を減縮することを目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-8〕、請求項9について訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1-11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(1A、1B、・・・等の記号は当審で付与した。また、下線は、訂正箇所がわかるように当審で付与した。)
【請求項1】
(1A)廃棄物処理作業に関する計画工程表を作成する作業計画作成装置において、
(1B)前記廃棄物処理作業は、作業者に影響を与える作業工程を含む複数の作業工程によって構成されており、
(1C)複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、
(1D)複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記廃棄物処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と、
(1E)作成された前記計画工程表と、前記工程情報に含まれる前記作業工程の前記作業者への前記影響に関する影響情報とに基づいて、前記廃棄物処理作業の作業期間における前記作業者への前記影響を山積み計算する山積み計算部と、を備え、
(1F)複数の前記作業工程は、前記構造物を解体して廃棄物とする解体工程と、前記廃棄物を収納容器に収容して廃棄体を生成する廃棄体生成工程とを含み、
(1G)前記解体工程に関する前記工程情報には、前記廃棄物の生成量に関する廃棄物生成情報が含まれると共に、前記廃棄体生成工程に関する前記工程情報には、前記廃棄体の生成量に関する廃棄体生成情報が含まれており、
(1H)前記廃棄物の生成量から前記廃棄体の生成量に変換する第1変換テーブルを含む生成物変換テーブルを記憶する記憶部と、
(1I)前記記憶部に記憶された前記生成物変換テーブルに基づいて、前記廃棄物生成情報から得られる前記廃棄物の生成量から、前記廃棄体の生成量へ変換する第1生成変換処理を実行する変換処理部と、をさらに備え、
(1J)前記変換処理部は、前記第1生成変換処理によって導出された前記廃棄体の生成量を、前記廃棄体生成工程の前記廃棄体生成情報として対応付け、
(1K)前記山積み計算部は、作成された前記計画工程表、前記廃棄物生成情報及び前記廃棄体生成情報に基づいて、前記廃棄物処理作業の作業期間における前記廃棄物の生成量及び前記廃棄体の生成量を山積み計算することを特徴とする作業計画作成装置。
【請求項2】
(2A)複数の前記作業工程は、前記廃棄物を前記廃棄体となる前の状態である中間体として生成する中間体生成工程を含み、
(2B)前記中間体生成工程に関する前記工程情報には、前記中間体の生成量に関する中間体生成情報が含まれており、
(2C)前記生成物変換テーブルは、前記廃棄物の生成量から前記中間体の生成量に変換する第2変換テーブルと、前記中間体の生成量から前記廃棄体の生成量に変換する第3変換テーブルとを含み、
(2D)前記変換処理部は、
(2D-1)前記記憶部に記憶された前記生成物変換テーブルに基づいて、前記廃棄物生成情報から得られる前記廃棄物の生成量から、前記中間体の生成量へ変換する第2生成変換処理を実行し、前記第2生成変換処理で導出された前記中間体の生成量から、前記廃棄体の生成量へ変換する第3生成変換処理を実行し、
(2D-2)前記第2生成変換処理によって導出された前記中間体の生成量を、前記中間体生成工程の前記中間体生成情報として対応付け、前記第3生成変換処理によって導出された前記廃棄体の生成量を、前記廃棄体生成工程の前記廃棄体生成情報として対応付け、
(2D-3)前記山積み計算部は、作成された前記計画工程表、前記廃棄物生成情報、前記中間体生成情報及び前記廃棄体生成情報に基づいて、前記廃棄物処理作業の作業期間における前記廃棄物の生成量、前記中間体の生成量及び前記廃棄体の生成量を山積み計算することを特徴とする請求項1に記載の作業計画作成装置。
【請求項3】
(3A)表示部と、
(3B)前記計画工程表と前記工程情報とに基づいて山積み計算される計算結果から山積みグラフを作成する山積みグラフ作成部と、をさらに備え、
(3C)前記表示部には、作成した前記山積みグラフと前記計画工程表とが表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の作業計画作成装置。
【請求項4】
(4A)前記表示部に表示される前記計画工程表には、前記各作業工程の期間の長さを示す期間バーがそれぞれ表示され、
(4B)前記表示部は、前記操作入力部によって前記期間バーが選択操作されると、前記計画工程表において、選択操作された前記期間バーを、前記各作業工程上で移動可能に表示し、
(4C)前記山積みグラフ作成部は、移動後の前記期間バーに基づいて、前記山積みグラフを新たに作成することを特徴とする請求項3に記載の作業計画作成装置。
【請求項5】
(5A)前記表示部に表示される前記計画工程表には、前記各作業工程の期間の長さを示す期間バーがそれぞれ表示され、
(5B)前記表示部は、前記期間バーに対して前記操作入力部による作業期間の伸縮に関する操作が行われると、前記計画工程表において、操作された前記期間バーを、前記各作業工程上で伸縮可能に表示し、
(5C)前記山積みグラフ作成部は、伸縮後の前記期間バーに基づいて、前記山積みグラフを新たに作成することを特徴とする請求項3または4に記載の作業計画作成装置。
【請求項6】
(6A)前記表示部には、前記山積みグラフに、上限となる超過線が、前記廃棄物処理作業の作業期間に亘って表示されることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の作業
計画作成装置。
【請求項7】
(7A)前記工程情報には、前記作業工程において必要となるリソースに関するリソース情報と、前記作業工程における前記リソースの状態を表す工程モデルに関するモデル情報とが含まれており、
(7B)前記工程モデルとしては、割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの前記工程モデルが用意され、
(7C)前記割当解放モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に一定量の前記リソースを占有し、前記作業工程の終了後において、前記リソースを解放する前記工程モデルであり、
(7D)前記割当モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に前記リソースが増加すると共に、前記作業工程の終了後においても、前記作業工程の終了時における前記リソースを占有し続ける前記工程モデルであり、
(7E)前記解放モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に前記リソースが減少すると共に、前記作業工程の終了後においても、前記作業工程の終了時における前記リソースを占有し続ける前記工程モデルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作業計画作成装置。
【請求項8】
(8A)前記工程情報には、前記作業工程における影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報が含まれており、
(8B)前記計画工程作成部は、複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記廃棄物処理作業の前記計画工程表を作成し、
(8C)前記山積み計算部は、作成された前記計画工程表と前記工程情報とに基づいて、影響度別に山積み計算を実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の作業計画作成装置。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(10A)廃棄物処理作業に関する計画工程表を作成する作業計画作成装置において、
(10B)前記廃棄物処理作業は、作業者に影響を与える作業工程を含む複数の作業工程によって構成されており、
(10C)複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、
(10D)複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記廃棄物処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と、
(10E)作成された前記計画工程表と、前記工程情報に含まれる前記作業工程の前記作業者への前記影響に関する影響情報とに基づいて、前記廃棄物処理作業の作業期間における前記作業者への前記影響を山積み計算する山積み計算部と、を備え、
(10F)前記工程情報には、前記作業工程において必要となるリソースに関するリソース情報と、前記作業工程における前記リソースの状態を表す工程モデルに関するモデル情報とが含まれており、
(10G)前記工程モデルとしては、割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの前記工程モデルが用意され、
(10H)前記割当解放モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に一定量の前記リソースを占有し、前記作業工程の終了後において、前記リソースを解放する前記工程モデルであり、
(10I)前記割当モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に前記リソースが増加すると共に、前記作業工程の終了後においても、前記作業工程の終了時における前記リソースを占有し続ける前記工程モデルであり、
(10J)前記解放モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に前記リソースが減少すると共に、前記作業工程の終了後においても、前記作業工程の終了時における前記リソースを占有し続ける前記工程モデルであることを特徴とする作業計画作成装置。
【請求項11】
(11A)廃棄物処理作業に関する計画工程表を作成する作業計画作成装置において、
(11B)前記廃棄物処理作業は、作業者に影響を与える作業工程を含む複数の作業工程によって構成されており、
(11C)複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、
(11D)複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記廃棄物処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と、
(11E)作成された前記計画工程表と、前記工程情報に含まれる前記作業工程の前記作業者への前記影響に関する影響情報とに基づいて、前記廃棄物処理作業の作業期間における前記作業者への前記影響を山積み計算する山積み計算部と、を備え、
(11F)前記工程情報には、前記作業工程における影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報が含まれており、
(11G)前記計画工程作成部は、複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記廃棄物処理作業の前記計画工程表を作成し、
(11H)前記山積み計算部は、作成された前記計画工程表と前記工程情報とに基づいて、影響度別に山積み計算を実行することを特徴とする作業計画作成装置。
(2)取消理由通知についての判断
ア 取消理由の概要
訂正前の請求項1-9に係る特許に対して平成31年1月24日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(ア)(サポート要件)請求項1-8に係る本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(イ)(明確性)請求項1-8に係る本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(ウ)(進歩性)本件特許の請求項9に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された特公平6-27812号公報(甲第1号証、以下甲1という。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
イ 判断
(ア)理由(ア)、(イ)について
理由(ア)、(イ)の具体的な理由は、
「請求項1には「生成量変換テーブル」の記載があるが、発明の詳細な説明(特許請求の範囲を単に繰り返し記載した部分は除く)には当該記載がない。
したがって、上記記載を含む請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない。
また、当該記載について発明の詳細な説明に記載がないため、当該記載が意味する技術事項が不明瞭である。
また、請求項1を引用する他の請求項(請求項2-8)についても同様である。
したがって、請求項1-8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないし、明確でもない。」
というものであるところ、平成31年3月29日付けの訂正請求にて、特許請求の範囲の「生成量変換テーブル」の記載が、「生成物変換テーブル」の記載となった。
当該訂正により、特許請求の範囲に記載された特定事項は、発明の詳細な説明に具体的に説明された事項となり、また、発明の詳細な説明に具体的に記載された事項となることにより、特許請求の範囲に記載された事項は明確となった。
よって、本件発明1-8は、取消理由通知で通知した取消理由(ア)、(イ)を解消している。
異議申立人は、平成31年4月25日付け意見書において、上記訂正によっても段落【0009】、【0011】には、依然として「生成量変換テーブル」の記載が存在しており、当該記載は、本件特許明細書の「生成物変換テーブル」とどのような関係であるか不明であり、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、請求項に係る発明を実施できる程度に明確にかつ十分に記載されたものではない旨主張している。
確かに異議申立人の主張するように、本件特許明細書において、変換テーブルとして「生成物変換テーブル」、「生成量変換テーブル」 の記載が混在するが、段落【0009】、【0011】は、訂正前の特許請求の範囲を繰り返し記載したのみであって、具体的な技術を開示した部分ではなく、これ以外の記載において存在する「生成物変換テーブル」は、本件発明1ないし8の「生成物変換テーブル」を実施できる程度に具体的な構成を開示しているから、本件特許明細書全体を通してみれば、本件発明1ないし8を実施できる程度に明確にかつ十分に記載されたものでないということはできない。
(イ)理由(ウ)について
当審が理由(ウ)で指摘した請求項9は削除されたため、当該理由は解消した。
(ウ)まとめ
以上のことから、本件発明1-9について当審が通知した取消理由は解消している。
(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての判断
ア 申立理由の概要
特許異議申立人桜井裕は、概略、以下の4つの理由に基づき、請求項1~11に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(ア)本件発明1の「前記構造物を解体して廃棄物とする解体工程と、前記廃棄物を収納容器に収容して廃棄体を生成する廃棄体生成工程」、本件発明2の「前記廃棄物を前記廃棄体となる前の状態である中間体として生成する中間体生成工程」に記載された、「廃棄物」、「中間体」、「廃棄体」の具体的な構成が不明であり、また、「廃棄物」から「廃棄体」を生成する具体的な内容も不明であるから、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者がその発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではなく(特許法第36条第4項違反)、また、当該「廃棄物」、「中間体」、「廃棄体」の記載を含む請求項に係る発明は明確ではない(特許法第36条第6項第2号違反)。
(イ)(訂正前の)本件請求項1、請求項2の「生成量変換テーブル」は、発明の詳細な説明にどのようなテーブルであるか記載がなく、当該記載を含む発明は明確ではない(特許法第36条第6項第2号違反)。
(ウ)本件発明10の3つのモデル(「割当解放モデル」、「割当モデル」、「解放モデル」)が作業工程作成の際どのように用いられるか請求項に記載されておらず、本件発明の課題を解決することはできず、本件発明10は明確ではない(特許法第36条第6項第2号違反)。
(エ)主たる証拠として特公平6-27812号公報(甲1)及び従たる証拠として特開2004-54716号公報(以下「甲2」という。)を提出し、請求項1ないし請求項8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、また、請求項9ないし11に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反されたものである、もしくは、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
イ 各証拠の記載
(ア)甲1には以下のとおりの記載がある。(下線は当審にて付与した。)
(a)「〔発明の目的〕
(産業上の利用分野)
本発明は、原子力発電設備等の放射線管理区域内作業が行われる事業所の放射線作業管理装置に関し、とりわけ放射線被ばく線量の計画値及び工程進捗に伴う放射線被ばく線量の変化状況を自動的に出力し、かつ設定した計画に対応する実績データをすみやかに出力表示する放射線作業管理装置に関する。」(1頁1欄下から2行-2欄4行)
(b)「(実施例)
以下、本発明の実施例を、図面に参照して説明する。第1図は、本実施例の全体構成図である。図面において符号1は、この登録装置に実績項目や作業計画項目等を入力する入力装置である。この入力装置1により入力された過去の作業に係る各種放射線被ばく線量や工数等の実績項目を登録する登録装置2が設置されている。さらに作業の総被ばく線量計画値並びに推移状況予測を演算出力する中央処理装置3、入力された作業被ばく線量実績値に対して作業計画の見直し及び可否判定を行なう判断装置4が設置されている。これらの入力装置1、登録装置2、中央処理装置3、判断装置4は図中破線で示す信号線5によって図面に示すように接続されている。」(2頁4欄13行-25行)
(c)「このように構成からなる本実施例の作用を説明する。まず被ばく線量計画や可否を判定する前に、準備作業として初期入力を行う。
まず第2図に示すギーボード6のオンオフスイッチ23をオンにし電源投入後(S1、以下第3図のブロック図の各プロセスも併用して示す)、モード切替部7の初期入力モードキー15を押す。これにより第1図に示す登録装置2と入力装置1が、中央処理装置3をバイパスして信号線5により結ばれる。この状態で、あらかじめコード化されている次の項目をキーボード6の文字入力キー19及び数字入力キー20で順次入力する(S3)。すなわち、弁の分解点検やポンプの分解点検等の作業件名、原子炉建屋や各階や室名等の作業場所、正味作業日数及び作業時間等の作業期間、作業件名よりもより具体的な弁分解点検、ポンプ分解点検等の作業内容、被ばく線量(計画値と実績値)及び人工数(計画値と実績値)等の作業被ばく線量及び人工数、作業場所の代表的空間線量率をmax ~min で表示した作業場所代表放射線量率を入力する。」(3頁5欄20行-38行)
(d)「次に被ばく線量計画作成モードについて説明する。まず、モード切換部7の計画作成モードキー16を選択する。これ以降、キーボード6からの信号は、信号線5を介し、モード切替部7により中央処理装置3に送られる。次にキーボード6の文字入力キー19及び数字入力キー20により画面表示に従い次項目を指定する。すなわち、放射線被ばく線量計画に必要な具体的な作業件名、作業場所、作業内容、作業予定期間、作業投入予定工数を指定する(S2)。これにより、登録データ部9に記憶されているデータのなかから、指定された各データが抽出されてその信号は、信号線5を介して入出力処理部12で受け、判断演算部11をバイパスしてデータ抽出部10に送信される。データ抽出部10は、入力した信号により、登録装置2の登録データ部8より入力された信号と照合し(S6)、一致するメモリーを個数分抽出し(S7)、判断演算部11に送信する。CRT5の画面表示に従い、キーボード6の数字入力キー20及び文字入力キー19を用いて、下記の付加条件(S8a)及び付加条件(S8b)を順次入力する。なお、この付加条件は、前述した作業予定期間と作業投入予定工数に対して、種々の事情によりさらに限定される条件であり、許容される作業延人員数の最大値、許容される最長工事期間(日数)等である。この付加条件を満足するデータが選択される(S9a、S9b)。
次にCRT5の画面表示に従い、ソート条件番号Sを数字入力キー20で入力する(S10)。この場合、ソート条件番号は、照合して合致したデータの作業開始日の新しい順位、照合して合致したデータの総被ばく線量の少ない順位、照合して合致したデータの総人工数の少ない順位、照合して合致したデータの作業期間(日数の少ない順位)のように設定されている。ソート可能か否か判断された後(S11)、ソート条件を満足するデータが選択される(S12)。次に、出力すべきソート順位Nを数字入力キー20で入力する(S13)。これによりN=5なら上位から5件分出力される(S14)
以上の処理により選択されたデータは、ソート条件番号Sで指定されたソート条件により順位づけされ(S14)、さらにソート順位Nで指定された個数分の実績データに相当するメモリーが判断演算部11より、入出力処理部12に送られる。入出力処理部12は、送られた選択処理済みのデータを、磁気ディスク13(S16)及びラインプリンター14に出力する(S17)とともに、入力装置1のCRT5に結果を表示する(S15)。
次に、上述したソート条件を満足し、選択表示された“作業件名”“作業場所”“作業期間”“作業内容”“作業被ばく線量実績値”“作業場所代表線量率”を確認し、これから実施しようとする作業に最も合致するデータ群を最終的に選択する。そしてこれらのデータをもとに、「作業に係わる総被ばく線量計画値」を算出する。さらに再度磁気ディスク13に登録し、他のデータは棄却しておく。以上の手順の必要とする作業計画項目に相当する回数分繰り返し実施しようとする作業項目に最適な実績データを磁気ディスク13に繰り返し登録する。
以上の操作を行なう事により、磁気ディスク13には、作業件名、作業場所、作業内容、作業予定期間、作業予定工数の実績データから求められた最適の「作業に係わる総被ばく線量計画値」がメモリー変換されて蓄えられる。従って、定期検査等複数の作業を複合して実施する場合は、磁気ディスク13のデータを判断演算部11によって、作る予定期間毎に集計していくことにより、予想被ばく線量の推移位状況が得られる。」(3頁5欄50行-4頁7欄12行)
(e)「次に、管理区域内作業の実施による各実績値入力の運用手順について述べる。まずモード切替部7の実績値入力モードキー17を指定する。次に、キーボード6の文字入力キー19及び数字入力キー20により、管理区域内作業の実施による実績値である、作業件名、作業場所、作業内容、、作業実施期間、作業実績工数、作業被ばく線量実績値、作業場所代表線量率を入力する。以上の各入力項目は、入力装置1のCRT7に入力中順次表示されるため、誤入力した場合はキーボード6のクリアキー22を押して、クリアした後再入力する。
以上の操作を作業の進捗に伴い順次入力することにより、前述の「計画作成モード」にて入力した計画値の内、「実績入力モード」にて入力した項目は、メモリーが置換され、実績値に置きかわっていく。この際、「計画作成モード」にて入力した計画値と「実績入力モード」にて入力した実績値は、作業件名をスタートキーとして判別し、その差異を判断演算部11にて計算し、メモリー変換したのち、磁気ディスク13に蓄える。
次に被ばく線量計画値に対する実績値の妥当性を評価する可否判定モードついて説明する。まずモード切替部7の可否判定モードキー18を選択する。これ以降キーボード6からの信号は、信号線5を介して、モード切替部7により中央処理装置3に送られる。さらにキーボード6の文字入力キー19及び数字入力キー20により次項目を入力する。すなわち、被ばく線量と工期の差異(日数)、被ばく線量と作業工数の差異、被ばく線量と作業場所代表線量率の差異、工期と作業工数の差異、工期と作業場所代表線量率の差異、作業工数と作業場所代表線量率の差異のデータを入力する。これらの各項目は、あらかじめ判断演算部11に計算用プログラムとして入力された下記の判定基準により可否判定演算計算され、入力装置1のCRT7に表示される。」(4頁7欄12行-8欄21行)
(f)「判定結果が、「不可」となった場合は、「計画作成モード」を選択し、再度作業計画の見直しを行なう。
以上、本発明の一実施例を示したが、他の実施例として第4図に示すようにCRT5の表示を、数値のみでなくグラフとして出力してもよい。このグラフ表示により、視覚的効果を向上することができ、さらに計画立案精度を向上することができる。
次に他の実施例として付加条件を、“許容される作業計画線量の最大値”“許容される作業延人員数の最大値”を追加してもよい。このように付加条件を追加することにより、総放射線被ばく線量の管理を向上させることができる。」(4頁7欄35行-46行)
第4図
以上の記載によれば、
「原子力発電設備等の放射線管理区域内作業が行われる事業所の放射線作業管理装置において、((a)の記載による)
準備作業の初期入力として、弁の分解点検やポンプの分解点検等の作業件名、原子炉建屋や各階や室名等の作業場所、正味作業日数及び作業時間等の作業期間、作業件名よりもより具体的な弁分解点検、ポンプ分解点検等の作業内容、被ばく線量(計画値と実績値)及び人工数(計画値と実績値)等の作業被ばく線量及び人工数、作業場所の代表的空間線量率をmax ~min で表示した作業場所代表放射線量率を入力し、((c)の記載による)
被ばく線量計画作成モードでは、放射線被ばく線量計画に必要な具体的な作業件名、作業場所、作業内容、作業予定期間、作業投入予定工数を指定すると、磁気ディスク13には、作業件名、作業場所、作業内容、作業予定期間、作業予定工数の実績データから求められた最適の「作業に係わる総被ばく線量計画値」がメモリー変換されて蓄えられ、((d)の記載による)
実績値入力モードでは、管理区域内作業の実施による実績値である、作業件名、作業場所、作業内容、、作業実施期間、作業実績工数、作業被ばく線量実績値、作業場所代表線量率を入力しすることにより、前述の「計画作成モード」にて入力した計画値の内、「実績入力モード」にて入力した項目は、メモリーが置換され、実績値に置きかわり、((e)の記載による)
CRT5の表示を、数値のみでなくグラフとして出力してもよい、((f)の記載による)
放射線作業管理装置。」
の発明が記載されている。(以下、甲1発明という。)
(イ)甲2には以下のとおりの記載がある。
(a)「【0046】
ユーザは、図4において、作業人数確認欄102を参照する。作業人数の総和104の内、作業人数の総和104Aに相当する期間について、作業人数が違反されていることが確認される。次に、ユーザは、作業リスト101のうち、作業人数の総和104Aに関連する作業である作業Aおよび作業Bを確認する。そして、ユーザは、作業Bに対応する作業区間印105Aを、作業Aに対応する作業区間印105と重ならないように、図5における、作業区間印105Bの位置にマウスのドラッグアンドドロップ操作により移動する。すると、図5において、作業人数確認欄102に表示された作業人数の総和104が、作業区間印105Bへの移動に伴い、作業人数の上限線103内に収まることが、ユーザに確認される。以上、作業期間を移動することによる作業人数の調整操作について説明した。」
ウ 判断
(ア) 上記ア(ア)の「「廃棄物」、「中間体」、「廃棄体」の具体的な構成が不明であり、また、「廃棄物」から「廃棄体」を生成する具体的な内容が不明である」との主張について。
「廃棄物」、「中間体」、「廃棄体」については、本件特許明細書
【0032】に「解体工程は、設備を解体して廃棄物とする作業工程である。中間体生成工程は、解体工程で発生した廃棄物を中間体とする作業工程である。中間体生成工程としては、例えば、廃棄物を洗浄し、洗浄した廃棄物を中間体とする洗浄工程等がある。廃棄体生成工程は、解体工程で発生した廃棄物を廃棄体としたり、中間体生成工程において生成された中間体を廃棄体としたりする作業工程である。また、複数の作業工程としては、廃棄物、中間体及び廃棄体等の生成物を所定のエリアに搬入する搬入工程、及び生成物を所定のエリアから搬出する搬出工程等がある」、
【0065】に「構造物が化学設備である場合、廃棄物としての廃棄溶液に、中和剤を投入して中間体とし、中間体を密閉容器に収納して廃棄体を構成してもよい。」
の記載があるから、「廃棄物」は設備を解体等を行って得られた物、「中間体」は廃棄物に対して「洗浄」や「中和剤を投入」等の処理をした物、「廃棄体」は廃棄物あるいは中間体を密閉容器に収納した物であることが理解できるから、上記異議申立人の主張は採用することができない。
(イ)上記ア(イ)の「本件請求項1、請求項2の「生成量変換テーブル」は、発明の詳細な説明にどのようなテーブルであるか記載がなく、当該記載を含む発明は明確ではない」との主張について。
上記請求項の記載は訂正され、「生成物変換テーブル」となり、(2)イ(ア)で検討したとおり明確となった。したがって、上記異議申立人の主張する申立の理由は解消した。
(ウ)上記ア(ウ)の「本件発明10の3つのモデル(「割当解放モデル」、「割当モデル」、「解放モデル」)が作業工程作成の際どのように用いられるか、請求項に記載されておらず、本件発明の課題を解決することはできず、本件発明10は明確ではない」との主張について。
本件発明10は上記3.(1)の【請求項10】に記載されたとおりのものである。
上記請求項10の
(10C)の記載では、「複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、」と特定され、
(10D)の記載では、「複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記廃棄物処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と」と特定され、
(10F)の記載では、「前記工程情報には、前記作業工程において必要となるリソースに関するリソース情報と、前記作業工程における前記リソースの状態を表す工程モデルに関するモデル情報とが含まれており」と特定され、
(10G)では「前記工程モデルとしては、割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの前記工程モデルが用意され」と特定されている。
これらの記載からみて、作業工程に関する工程情報には、リソースの状態を表す工程モデル(割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの工程モデル)に関するモデル情報とが含まれ、工程情報に基づいて計画工程表を作成していることが理解できる。
すなわち、計画工程表の作成は、リソースの状態を表す工程モデル(割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの工程モデル)に関するモデル情報を含む作業工程に関する工程情報に基づいて行われることが特定されているのであるから、少なくとも、計画工程表の作成に際しては、工程モデル(割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの工程モデル)に基づいていることが理解でき、工程モデルに基づいて計画工程表を作成するということは、工程モデルが異なると計画工程表の作成も異なる構成であることが特定されているといえる。そして、本件発明10の特定事項としては、各モデルにおいてどのような計画工程表が作成されるかは特定されていないものの、工程モデルが異なると計画工程表の作成も異なる構成であることが特定されているという点において明確であり、また各モデルの定義は、上記請求項10の記載及び本件特許明細書の【0047】-【0050】の記載から明らかであるから、本件発明10の構成が明確でないということはできない。
したがって、上記異議申立人の主張は採用することができない。
(エ)上記ア(エ)の「請求項1ないし請求項8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、また、請求項9ないし11に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反されたものである、もしくは、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである」との主張について。
(a)請求項1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
「処理作業に関する計画工程表を作成する作業計画作成装置において、
前記処理作業は、作業者に影響を与える作業工程を含む複数の作業工程によって構成されており、
複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、
複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と、
作成された前記計画工程表と、前記工程情報に含まれる前記作業工程の前記作業者への前記影響に関する影響情報とに基づいて、前記処理作業の作業期間における前記作業者への前記影響を山積み計算する山積み計算部と、を備えた作業計画作成装置。」
の点で一致し、
処理作業が、本件発明1では「廃棄物処理作業」であるのに対し、甲1発明では「廃棄物処理作業」との特定が為されていない点(相違点1)、
本件発明1は「(1F)複数の前記作業工程は、前記構造物を解体して廃棄物とする解体工程と、前記廃棄物を収納容器に収容して廃棄体を生成する廃棄体生成工程とを含み、
(1G)前記解体工程に関する前記工程情報には、前記廃棄物の生成量に関する廃棄物生成情報が含まれると共に、前記廃棄体生成工程に関する前記工程情報には、前記廃棄体の生成量に関する廃棄体生成情報が含まれており、
(1H)前記廃棄物の生成量から前記廃棄体の生成量に変換する第1変換テーブルを含む生成物変換テーブルを記憶する記憶部と、
(1I)前記記憶部に記憶された前記生成物変換テーブルに基づいて、前記廃棄物生成情報から得られる前記廃棄物の生成量から、前記廃棄体の生成量へ変換する第1生成変換処理を実行する変換処理部と、をさらに備え、
(1J)前記変換処理部は、前記第1生成変換処理によって導出された前記廃棄体の生成量を、前記廃棄体生成工程の前記廃棄体生成情報として対応付け、
(1K)前記山積み計算部は、作成された前記計画工程表、前記廃棄物生成情報及び前記廃棄体生成情報に基づいて、前記廃棄物処理作業の作業期間における前記廃棄物の生成量及び前記廃棄体の生成量を山積み計算する」という事項を有するのに対して甲1発明は当該事項を有しない点(相違点2)で相違する。
相違点2について検討する。
異議申立人は、当該相違点2について、甲1発明が想定する「弁の分解点検やポンプの分解点検等の作業」において、廃棄物が生成されることは周知であり、本件発明1において、「廃棄物」、「中間体」、「廃棄体」はどのようなものを表すか明確ではないことから「生成物変換テーブル」、「変換処理部」は具体的な構成が不明であって、単に上記周知の廃棄物の生成を予測することを特定しているに過ぎないから、本件発明1は、上記甲1発明および周知の事項により当業者が容易に発明をすることができた旨主張している。
しかし、先に検討したとおり、「廃棄物」、「中間体」、「廃棄体」は、発明の詳細な説明も参酌すればどのようなものを表すか明確であり、仮に甲1発明が想定する「弁の分解点検やポンプの分解点検等の作業」において、廃棄物が生成されることは周知であったとしても、廃棄物を廃棄体(中間体を経由することも含めて)に変換することを前提に、本件発明1の特定事項である構成要件(1G)-(1K)を採用することは、当業者が容易に為し得たことであるということはできない。
また、当該相違点2に相当する事項は、甲2にも記載がない。
以上のことからみて、異議申立人が主張する本件発明1に対する異議申立の主張に理由はない。
(b)請求項2-8について
請求項2-8に係る発明は、請求項1の記載を引用し、さらに限定する技術的事項を追加したものである。よって、上記(a)に示した理由と同様の理由により、請求項2-8に係る発明は、上記甲1に記載された発明及び文献2に記載された技術的事項に基いて当業者が容易になし得るものではない。
(c)請求項10について
本件発明10と甲1発明とを対比すると、
「処理作業に関する計画工程表を作成する作業計画作成装置において、
前記処理作業は、作業者に影響を与える作業工程を含む複数の作業工程によって構成されており、
複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、
複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と、
作成された前記計画工程表と、前記工程情報に含まれる前記作業工程の前記作業者への前記影響に関する影響情報とに基づいて、前記処理作業の作業期間における前記作業者への前記影響を山積み計算する山積み計算部と、を備えた作業計画作成装置。」
の点で一致し、
処理作業が、本件発明10では「廃棄物処理作業」であるのに対し、甲1発明では「廃棄物処理作業」との特定が為されていない点(相違点3)、
本件発明10は「(10F)前記工程情報には、前記作業工程において必要となるリソースに関するリソース情報と、前記作業工程における前記リソースの状態を表す工程モデルに関するモデル情報とが含まれており、
(10G)前記工程モデルとしては、割当解放モデル、割当モデル及び解放モデルの少なくとも1つの前記工程モデルが用意され、
(10H)前記割当解放モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に一定量の前記リソースを占有し、前記作業工程の終了後において、前記リソースを解放する前記工程モデルであり、
(10I)前記割当モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に前記リソースが増加すると共に、前記作業工程の終了後においても、前記作業工程の終了時における前記リソースを占有し続ける前記工程モデルであり、
(10J)前記解放モデルは、前記作業工程の開始から終了までの作業期間に前記リソースが減少すると共に、前記作業工程の終了後においても、前記作業工程の終了時における前記リソースを占有し続ける前記工程モデルである」という事項を有するのに対して甲1発明は当該事項を有しない点(相違点4)で相違する。
相違点4について検討する。
上記相違点4に係る構成について、甲1には直接的な記載がないが、異議申立人は概略以下のとおりの主張を行い、本件発明10は、甲1発明と実質的に同一である、あるいは甲1発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたと主張している。なお、異議申立人は、本件発明7に対する主張を援用しているので、以下では、本件発明7に対してなされた主張について検討する。
「本件発明のリソース情報は、作業工程において作業者に与えられる汚染量または線量等の影響に関する影響情報、作業工程における人的資源及び設備資源等の情報といえるところ、甲1発明でも、「作業内容」、「作業被ばく線量」及び「人工数」の情報を有していることから、リソース情報を有していることは明らかである。そして、本件発明の「モデル情報」は、ある作業工程における山積みの推移を表すものと考えられるところ、甲1発明においても、各作業工程毎に被爆の線量が、単調増加したり、一定状態となったり、漸減したりするといった複数のパターンを有することは明らかであるから、当該相違点に関する構成は、当業者であればすぐに予測のつくことであり、単なる設計事項に過ぎない。」(異議申立書28頁-30頁の「(キ)本件特許発明7について」の項の主張の要約)
仮に、リソースのモデルとして異議申立人の主張のとおり何らかのパターンがあったとしても、そのパターンを本件発明10の構成要件(10G)-(10J)のモデルとし、当該モデルの情報を工程情報に含む(構成要件(10F))ことまでは、当業者が容易に為し得たことであるということはできない。
また、当該相違点4に相当する事項は、甲第2号証にも記載がない。
以上のことからみて、異議申立人が主張する本件発明10に対する異議申立の主張に理由はない。
(d)請求項11について
本件発明11と甲1発明とを対比すると、
「処理作業に関する計画工程表を作成する作業計画作成装置において、
前記処理作業は、作業者に影響を与える作業工程を含む複数の作業工程によって構成されており、
複数の前記作業工程に関する工程情報をそれぞれ入力可能な操作入力部と、
複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記処理作業の前記計画工程表を作成する計画工程作成部と、
作成された前記計画工程表と、前記工程情報に含まれる前記作業工程の前記作業者への前記影響に関する影響情報とに基づいて、前記処理作業の作業期間における前記作業者への前記影響を山積み計算する山積み計算部と、を備え
前記計画工程作成部は、複数の前記工程情報に基づいて、複数の前記作業工程を組み合わせた前記処理作業の前記計画工程表を作成する作業計画作成装置。」
の点で一致し、
処理作業が、本件発明11では「廃棄物処理作業」であるのに対し、甲1発明では「廃棄物処理作業」との特定が為されていない点(相違点5)、
本件発明11は「(11F)前記工程情報には、前記作業工程における影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報が含まれており、
(11H)前記山積み計算部は、作成された前記計画工程表と前記工程情報とに基づいて、影響度別に山積み計算を実行する」という事項を有するのに対して甲1発明は当該事項を有しない点(相違点6)で相違する。
相違点6について検討する。
上記相違点6に係る構成について、甲1には直接的な記載がないが、異議申立人は概略以下のとおりの主張を行い、本件発明11は、甲1発明と実質的に同一である、あるいは甲1発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたと主張している。なお、異議申立人は、本件発明8に対する主張を援用しているので、以下では、本件発明8に対してなされた主張について検討する。
「本件発明の「影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報」は、ある作業工程における放射線レベルの高低を表す情報と解される。一方、甲1発明では、工程情報として作業場所別の被曝線量を有しており、作業場所に応じて被曝線量に高低差があることは明らかであるから、甲1発明も、工程情報として作業工程における影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報を有することは明白であるから、当該相違点6に係る構成は甲1に実質的に記載されている。」(異議申立書30頁-32頁の「(ク)本件特許発明8について」の項の主張の要約)
また、平成31年4月25日付け意見書でも同様の主張をしている。
甲1発明で工程情報として有している情報は「弁の分解点検やポンプの分解点検等の作業件名、原子炉建屋や各階や室名等の作業場所、正味作業日数及び作業時間等の作業期間、作業件名よりもより具体的な弁分解点検、ポンプ分解点検等の作業内容、被ばく線量(計画値と実績値)及び人工数(計画値と実績値)等の作業被ばく線量及び人工数、作業場所の代表的空間線量率をmax ~min で表示した作業場所代表放射線量率」である。請求人の主張どおり「作業場所に応じて被曝線量に高低差があ」り、甲1発明では作業場所に応じて被曝線量の情報を仮に有しているとしても、作業場所ごとの被曝線量と影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報とは異なる情報であり、作業場所ごとの被曝線量が影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報と一致するとか、作業場所ごとの被曝線量を影響度別の内訳に関する影響度別内訳情報とすることが容易であるということはできない。
また、当該相違点6に相当する事項は、甲第2号証にも記載がない。
以上のことからみて、異議申立人が主張する本件発明11に対する異議申立の主張に理由はない。
(e)まとめ
以上のとおり、請求項1ないし請求項8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできないし、また、請求項10、11に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反されたものである、もしくは、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。
(オ)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての判断のまとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項の規定に違反する旨の特許異議申立理由は何れも理由がない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-8、10、11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1-8、10、11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
なお、請求項9に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項9に対してなされた特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700894