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特許異議申立

2018-700792

缶印刷装置

審判番号
2018-700792
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-196884
登録番号
特許第6310666号(P6310666)
請求日
2018年10月01日
審決日
2020年04月09日
公報発行日
2020年08月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】アイマー・プランニング株式会社
  • 【権利者代理人】松村 直都
  • 【権利者代理人】渡邉 彰
  • 【権利者代理人】岸本 瑛之助
  • 【権利者】日本ナショナル製罐株式会社
  • 【権利者代理人】松村 直都
  • 【権利者代理人】渡邉 彰
  • 【権利者代理人】岸本 瑛之助
  • 【異議申立人】伊澤 武登
審判長/審判官
  • 審判長 吉村 尚
  • 審判官 森次 顕
  • 審判官 尾崎 淳史
分類
P1651.121-ZDA(B41F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6310666号発明「缶印刷装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6310666号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6310666号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。 特許第6310666号の請求項3に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許6310666号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成25年9月24日に特許出願され、平成30年3月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、同年10月1日に特許異議申立人伊澤武登(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成31年3月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年5月23日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下「先の訂正請求」といい、先の訂正請求による訂正を「先の訂正」という。)がなされ、同年7月2日に異議申立人より意見書が提出され、同年10月31日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年12月27日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がなされたものである。 なお、先の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなされる。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は当審で付した。以下同様。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「画像処理装置は、缶に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段を有しており、」 とあるのを、 「缶撮影装置は、缶全体の画像を撮影する第1のカメラと、缶の開口側端部の画像を撮影する第2のカメラとを有し、画像処理装置は、第1のカメラで撮影された画像を使用して、マスター画像と比較して正しく印刷されているかを検査する画像検査手段と、第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段とを有しており、」 に訂正する。 請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「印刷機は、検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置を有し、」 とあるのを、 「缶を印刷機に供給して、印刷された缶を後流に送っていく主ラインと、主ラインにある多数の缶の内の一部を検缶機に送る抜き取りラインと、検缶機において良品とされた缶を主ラインに戻す戻しラインとを有する搬送装置をさらに備えているとともに、印刷機は、検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置を有し、」 に訂正する。 請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「印刷機の各版胴は、各版胴の印刷ズレ値検出のために使用される検査用マークを缶の開口側の端部に印刷するものとされている」 とあるのを、 「印刷機の各版胴は、各版胴の印刷ズレ値検出のために使用される検査用マークを缶の開口側の端部に印刷するものとされており、 印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果は、即座に印刷機にフィードバックされ、印刷ズレ値測定結果に基づいて、見当合わせ装置によって、自動的に版胴の位置が調整される」 に訂正する。 請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。 2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 上記訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「缶撮影装置」について、「缶撮影装置は、缶全体の画像を撮影する第1のカメラと、缶の開口側端部の画像を撮影する第2のカメラとを有」することを、訂正前の請求項1の「画像処理装置」について、「第1のカメラで撮影された画像を使用して、マスター画像と比較して正しく印刷されているかを検査する画像検査手段」を有することを、また、訂正前の請求項1の「印刷ズレ値測定手段」について、「第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する」ことを、それぞれ限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、上記訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の「検缶機は、例えば、缶を回転させる回転装置と、回転する缶の画像を撮影する撮影装置と、撮影した画像を処理する画像処理装置とを備え、缶の印刷状態の検査を行う缶検査装置において、撮影装置は、缶全体の画像を撮影する第1のカメラと、缶の開口側端部の画像を撮影する第2のカメラとを備えており、画像処理装置は、第1のカメラで撮影された画像を使用して、マスター画像と比較して正しく印刷されているかを検査する画像検査手段と、第1のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに指定された位置における濃度を測定する濃度測定手段と、第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段とを備えているものとされる。」(段落【0014】)との記載等から導き出される事項であるから、上記訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 また、上記訂正事項1に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。 (2)訂正事項2について 上記訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1の「缶印刷装置」について、「缶を印刷機に供給して、印刷された缶を後流に送っていく主ラインと、主ラインにある多数の缶の内の一部を検缶機に送る抜き取りラインと、検缶機において良品とされた缶を主ラインに戻す戻しラインとを有する搬送装置をさらに備えている」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正事項2は、本件特許明細書の「搬送装置(50)は、缶(C)を印刷機(2)に供給して、印刷された缶(C)を後流に送っていく主ライン(50a)と、乾燥機(4)を通過した多数の缶(C)の内の一部を検缶機(5)に送る抜き取りライン(50b)と、検缶機(5)において良品とされた缶(C)を主ライン(50a)に戻す戻しライン(50c)とを有している。」(段落【0025】)との記載や図2(「主ライン(50a)」、「抜き取りライン(50b)、「検缶機(5)」及び「戻しライン(50c)」を看取できる)等から導き出される事項であるから、上記訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 また、上記訂正事項2に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。 (3)訂正事項3について 上記訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項1の「缶印刷装置」について、「印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果は、即座に印刷機にフィードバックされ、印刷ズレ値測定結果に基づいて、見当合わせ装置によって、自動的に版胴の位置が調整される」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正事項3は、本件特許明細書の「印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果は、印刷機にフィードバックされ、印刷ズレ値測定結果に基づいて、見当合わせ装置によって、自動的に版胴の位置が調整される。」(段落【0008】)との記載等から導き出される事項であるから、上記訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 また、上記訂正事項3に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。 (4)一群の請求項について 訂正事項1ないし3に係る訂正前の請求項1ないし3は、請求項2及び3が請求項1の記載を引用するものであるから、これらの訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 3.小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」ないし「本件訂正特許発明3」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 異なる色を印刷するための複数の版胴を有し缶への印刷を行う印刷機と、印刷状態の検査を行う検缶機とを備えている缶印刷装置であって、 検缶機は、缶を回転させる缶回転装置と、缶の画像を撮影する缶撮影装置と、撮影した画像を処理する画像処理装置とを備え、 缶撮影装置は、缶全体の画像を撮影する第1のカメラと、缶の開口側端部の画像を撮影する第2のカメラとを有し、画像処理装置は、第1のカメラで撮影された画像を使用して、マスター画像と比較して正しく印刷されているかを検査する画像検査手段と、第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段とを有しており、 缶を印刷機に供給して、印刷された缶を後流に送っていく主ラインと、主ラインにある多数の缶の内の一部を検缶機に送る抜き取りラインと、検缶機において良品とされた缶を主ラインに戻す戻しラインとを有する搬送装置をさらに備えているとともに、印刷機は、検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置を有し、 印刷機の各版胴は、各版胴の印刷ズレ値検出のために使用される検査用マークを缶の開口側の端部に印刷するものとされており、 印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果は、即座に印刷機にフィードバックされ、印刷ズレ値測定結果に基づいて、見当合わせ装置によって、自動的に版胴の位置が調整されることを特徴とする缶印刷装置。 【請求項2】 見当合わせ装置は、版胴を軸方向に移動させる軸方向移動手段と、版胴を周方向に移動させる周方向移動手段とを備えており、 軸方向移動手段は、回転不可能かつ軸方向に移動可能にハウジングに支持されて版胴軸と一体で軸方向に移動する軸方向移動部材を備え、軸方向移動部材を移動させる軸方向駆動手段は、軸方向に移動不可能に支持された第1回転軸と、回転不可能に支持されて第1回転軸に設けられたおねじ部にねじ合わされた第1めねじ部材と、第1回転軸を駆動する第1モータとを備えており、 周方向移動手段は、一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に版胴軸に取り付けられるとともに、軸方向移動不可能に設けられたはす歯歯車と噛み合わされ、軸方向に移動することで版胴軸を周方向に移動させる周方向移動部材を備えており、周方向移動部材を移動させる周方向駆動手段は、軸方向に移動不可能に支持された第2回転軸と、回転不可能に支持されて第2回転軸に設けられたおねじ部にねじ合わされた第2めねじ部材と、第2回転軸を駆動する第2モータとを備えており、 第1モータを制御する制御装置は、印刷ズレ値測定手段における缶の高さ方向の印刷ズレ値に応じて第1モータを駆動させることで版胴の軸方向位置を調整し、第2モータを制御する制御装置は、印刷ズレ値測定手段における缶の周方向の印刷ズレ値に応じて第2モータを駆動させることで版胴の周方向位置を調整するものとされていることを特徴とする請求項1の缶印刷装置。 【請求項3】 印刷機のインキ供給装置は、インキ壺を構成するインキ壺ローラに近接して、インキ壺ローラの長さ方向に分割された複数のインキ呼び出しローラが配置され、各インキ呼び出しローラが、インキ壺ローラに接触する呼び出し位置とインキ壺ローラから離れる非呼び出し位置とに個別に切り換えられるようになされており、インキ供給装置の制御装置は、所定の間隔をおいた呼び出しタイミングごとに、所要のインキ呼び出しローラの位置を切り換えてインキを呼び出し、インキ呼び出しローラごとに、インキ壺ローラに接触してから離れるまでのインキ壺ローラの回転角度を制御することにより、インキ呼び出しローラとインキ壺ローラとの接触長を制御するものであり、 検缶機の画像処理装置は、缶に印刷された画像の濃度を各色ごとにかつ各インキ呼び出しローラに対応する所定箇所ごとに測定して、インキ供給装置の制御装置に出力する濃度測定手段をさらに有しており、インキ供給装置の制御装置は、検缶機の濃度測定手段から出力された各濃度値に基づいて各色ごとに各インキ呼び出しローラとインキ壺ローラとの接触長を調整することを特徴とする請求項1または2の缶印刷装置。」 第4 取消理由(決定の予告)の概要 先の訂正によって訂正された請求項1及び2に係る特許に対して、当審が平成31年3月22日に特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 本件特許の1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献1ないし8に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。 <引用文献等一覧> 1 国際公開第2012/054655号(特許異議申立書における甲第1号証) 2 特開平5-120412号公報(同甲第2号証) 3 特開平7-186374号公報(同甲第3号証) 4 特開平7-195812号公報(同甲第6号証) 5 特開2002-282977号公報(同甲第7号証) 6 特開平2-4625号公報(令和1年7月2日提出の意見書における参考資料2) 7 特開昭58-223715号公報(同参考資料3) 8 特開平4-315943号公報(同参考資料4) 第5 取消理由(決定の予告)についての判断 1.引用文献 (1)引用文献1 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2012/054655号(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(括弧内は当審で作成した日本語訳である。)。 ア.「1 . A system for printing patterns on peripheral surfaces of cylindrical containers comprising: a mandrel wheel having a plurality of mandrels disposed thereon, each mandrel being operative to carry an individual cylindrical container around a periphery of the mandrel wheel; a print blanket wheel having a plurality of print blankets disposed thereon, the print blanket wheel being adjustable, each print blanket being operative to print a pattern on a peripheral surface of individual cylindrical container carried by a mandrel of the mandrel wheel; an inspection system operative to inspect the cylindrical container for faults or variations in the printed pattern on the individual cylindrical containers, the inspection system being operative to identify the individual mandrel which carried an individual cylindrical container and a corresponding print blanket that printed on the individual cylindrical container, and operative to generate fault or variation information ; and, a control system operative to receive the fault or variation information to facilitate correction of the system ... 7. A system according to any of the preceding claims wherein the cylindrical containers are cans ...」(CLAIMS) (1.円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、 複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、 複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットは、前記マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、 個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、 個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、 前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、 を備えるシステム。 …… 7.前記円筒状容器は缶である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。 ……) イ.「[0009] The pin chain is a #60 roller chain that has metal pins every 5.25" continuously along its length. The purpose of the pin chain is to carry the wet can away from the decorator and pass the wet can through an oven that will provide enough heat to "cure" the wet exterior coating.」 ([0009] ピンチェーンは、その長さに沿って連続的に5.25インチごとに金属ピンを有する#60ローラー・チェーンである。ピンチェーンの目的は、乾いていない缶をデコレータから運び出して、乾いていない外装コーティングを「硬化」させるのに十分な熱を与えるオーブンの中を通過させることである。) ウ.「[0047] Continuing the example, in order to fully optimize the decorator, the individual machine structure responsible for holding each print blanket should have its positional or printing contact pressure adjustment changed. Lacking the correct information regarding the performance of each of the blankets results in avoiding making changes to the individual blanket in favor of resorting to making only a global adjustment. Changing the global adjustments, however, will actually take one or some of the blankets in the wrong direction statistically while taking others in the right direction. Blindly making a global adjustment is often just as likely to cause as much damage to the process integrity as positive change. To be more specific, and in a blanket print wheel, it may be that only one of the print blankets needs to be adjusted to correct the problem, but they all get moved by way of the global central adjustment. If a specific print blanket needs more contact pressure, the global adjustment may accomplish that at the penalty of making the contact pressure too high for all the other seven blankets. While this might not push the other seven blanket printing results out of an acceptable range, it would certainly sub optimize the overall output of the decorator.」 ([0047] 上記の例を続けて、デコレータを完全に最適化するためには、印刷用ブランケットの各々の保持を担う個々の機械構造について、その位置又は印刷接触圧の調整が変更される必要がある。ブランケットの各々の性能に関する正確な情報が欠如していることによって、結果的に、個々のブランケットの変更を避けて、全体的な調整のみに頼ることになる。ところが、全体的な調整を変更することは、実際には、統計的にブランケットのうち1つ又はいくつかを誤った方向に変化させて、その他を正しい方向に変化させることになる。むやみに全体的調整を行うことで、積極的な変化としてプロセス整合性を同じくらい損なうようなことが多い。具体的には、印刷用ブランケットホイールにおいて、問題を解決するために、その印刷用ブランケットのうち1つのみの調整が必要である可能性があるにもかかわらず、全体的な中心調整によってすべてのブランケットが動かされる。特定の印刷用ブランケットの接触圧を大きくする必要がある場合に、全体的調整によると、他の7つのブランケットのすべてにおいて接触圧が高くなりすぎるという代償を伴って、それが達成されることになり得る。これによって他の7つのブランケットの印刷結果が許容範囲から外れることはないかもしれないが、デコレータの全体的な出力の準最適化にすぎないことは確かである。) エ.「[0055] As an example, Figure 1 represents a skeleton functional diagram of the side view of an exemplary 8-color can decorator. In this example, the main print blanket wheel (10) rotates (in this view) in a counter-clockwise direction as indicated bythe arrow. The print blankets (12) which are typically formed of a polyester material with an adhesive back, are adhered to the periphery of the print blanket wheel (10). As the wheel (10) rotates, each respective print blanket (12) has ink applied to it by the raised 3D printing plate which is attached to the inker wheel (20) while the inker reservoir (25), corresponding to each respective inker wheel (20), functions to smooth on an even coating of ink to the respective individual printing plates mounted on inker wheel (20). Figure 1 shows eight different inkers (25) which are used to apply the respective colors of ink which are to be printed on to the cylindrical containers or cans (81). As the final inked printing plate (11) approaches the spinning mandrels, it is ready to print the outer peripheral surface of the container or can. The mandrels on the periphery of the mandrel wheel (30) are spinning the cans (81) such that their peripheral angular velocity exactly matches the angular velocity of the printing plate (11).」 ([0055] 例として、図1は、典型的な8色缶デコレータの側面から見た機能構造図を示している。本例では、矢印で示すように、メイン印刷用ブランケットホイール(10)が(この図で)反時計回りに回転する。印刷用ブランケット(12)は、一般に粘着裏面を有してポリエステル材で形成されており、印刷用ブランケットホイール(10)の周囲に貼付されている。ホイール(10)が回転すると、インカーホイール(20)に取り付けられた凸状3D印刷版によって、それぞれの印刷用ブランケット(12)にインクが施され、このとき、それぞれのインカーホイール(20)に対応するインカー壷(25)は、インカーホイール(20)にそれぞれ取り付けられた個々の印刷版に対して、インクの均一な塗膜を滑らかにするように機能する。図1では、円筒状容器又は缶(81)の上に印刷されるそれぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカー(25)を示している。インク付けが終了した印刷版(11)が回転するマンドレルに近づくと、容器又は缶の外周面に印刷できる状態になる。マンドレルホイール(30)の周囲のマンドレルは、缶(81)を、その周角速度が印刷版(11)の角速度に正確に一致するように回転させる。) オ.「[0058] As the printed cans (83) continue to rotate around on their respective mandrel on the mandrel wheel (30), they come into matched peripheral speed contact with the over varnish wheel (18). After varnishing, the completely varnished and printed cans (84) continue along the rotary path on the mandrel wheel (30) until they are passed to the pin chain transfer wheel (40). The cans (85) on the pin chain transfer wheel (40) are each mated with a pin on the pin chain (63) to be carried away on the pin chain conveyance system (60) for curing in the pin chain oven which is not show on Figure 1. [0059] According to the present invention, thorough analysis of the images of the printed cans will allow building a database which correlates to each individual print blanket and specific aspects as to that print blanket's process variation, drift, anomalies, color accuracy and all types of defects. When statistically significant amounts of information have been verified by subsequent inspections, one of multiple things can happen. Human intervention can recommend a particular machine adjustment or course of action to correct the problem and the system can learn what those corrections are over time so the inspection system will know how to make similar corrections in the future. Alternatively, the expert inspection system can be taught by a human operator how to respond and make corrections or adjustments under a variety of circumstances and fault types. The expert inspection system (which, in at least one form, is a visual inspection system) will have kept track of every can and every machine component so that it knows which machine components acted or were related to a particular can so it knows which print blanket (12) and which inker (20-25) and which mandrel (81) were responsible for the production of each corresponding can. The present embodiments would use suitably configured and positioned encoders, position-one sensors, photo-detectors such as part detection photo detectors, photo cells, proximity sensors, other types of sensors and counters, and/or the like in order to track all the related information from the respective cans and machine components. [0060] In this regard, in one form, after the can has been decorated and it proceeds to exit the can decorator machine on the pin chain conveyor (63), it follows the path (60) and then proceeds through the region (64) of the pin chain conveyor path. Region (64) indicates twist section in the pin chain conveyor which may or may not exist on any application. It is shown conceptually to twist the can conveyance attitude so that the can (87) passes around the outer periphery of a curve so that the can (87) and the can further along the curve (88) are no longer parallel to one another. As the cans proceed through the inspection tunnel (90), the cameras from the vision inspection system are taking pictures of the periphery of the can from at least one direction. It is more likely that there are at least three, perhaps four, cameras in the inspection tunnel (90) imaging the complete circumference of the periphery of the can. The cameras must be equipped with the appropriate optics to image the cylindrical containers' decoration with sufficient resolution to inspect the decoration for a wide variety of different kinds of variations from normalcy. The proper illumination must also be designed and implemented so that the image is substantially evenly illuminated to allow good color definition and contrast without specular glare back to the lens. Therefore, a soft and even illumination from slightly above the camera's center line is desirable.」 ([0058] 印刷された缶(83)は、マンドレルホイール(30)のそれぞれのマンドレル上で回転を続けながら、オーバーバニッシュ・ホイール(18)に、一致した周速度で接触する。ワニスの塗布の後に、ワニス塗布及び印刷が完了した缶(84)は、マンドレルホイール(30)上の回転経路に沿って進み、ピンチェーン移載ホイール(40)に渡される。ピンチェーン移載ホイール(40)上の缶(85)は、それぞれピンチェーン(63)のピンとかみ合って、ピンチェーン搬送システム(60)で、図1に示していないピンチェーン・オーブンでの硬化に向けて運び出される。 [0059] 本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である。統計的に有意な量の情報が、その後に続く検査によって検証されたら、複数のことのうち1つが起こり得る。人間の介入によって、特定の機械調整、又は問題を解決するための方針を提言することができ、また、システムは、そのような修正がどのようなものであるのか経時的に学習することが可能であり、これによって、検査システムは、今後、同様の修正をいかにして行うかについての知識を得る。あるいは、検査エキスパートシステムが、様々な状況下や故障タイプに対して、いかにして対応し、修正又は調整を行うかについて、人間のオペレータによる教示を受けることが可能である。検査エキスパートシステム(これは、少なくとも一形態において視覚検査システムである。)は、すべての缶とすべての機械部品について、どの機械部品が特定の缶に作用又は関係したのか分かるように追跡記録することで、どの印刷用ブランケット(12)と、どのインカー(20~25)と、どのマンドレル(81)が、それぞれの缶の製造に関与したのかについての知識を得る。本実施形態では、それぞれの缶及び機械部品からのあらゆる関連情報を追跡記録するために、適切に設定及び配置されたエンコーダ、ポジション・ワン・センサ、部品検出光センサなどの光センサ、フォトセル、近接センサ、他のタイプのセンサ及びカウンタ、及び/又は類似のものを、使用する。 [0060] これに関連して、一形態では、装飾された缶がピンチェーンコンベヤ(63)でデコレータ機械を出るように進んだ後に、それは経路(60)に沿って進み、次にピンチェーン搬送経路の領域(64)を通って進む。この領域(64)は、ピンチェーンコンベヤのツイストセクションを示しており、これは、適用例に応じて、存在する場合もあれば、存在しない場合もある。これは、概念的に、缶の搬送姿勢をねじるように示されており、これによって、缶(87)が湾曲部の外周に沿って進むときの、この湾曲部(88)での缶と缶(87)は、もはや互いに平行ではない。缶が検査トンネル(90)を通って進むときに、ビジョン検査システムのカメラが、少なくとも1つの方向から缶の周面を撮影している。少なくとも3つのカメラ、おそらくは4つのカメラが、検査トンネル(90)内にあって、缶の周面の全周を撮影することの方が多い。カメラは、正常からの幅広く様々な変動について装飾を検査するのに十分な解像度で円筒状容器の装飾を撮影するための適切な光学系を装備したものでなければならない。さらに、適切な照明が、レンズへの反射グレアがなく、優れた鮮明度及びコントラストが可能となるように略均等に画像を照らすように、設計及び実装される必要がある。従って、カメラの中心線の少し上からの柔らかく均等な照明であることが望ましい。) カ.「[0063] The computer vision inspection system (100) will be aware of the timing and location of each can flowing through the decorating process from the moment the cans (80) enter the mandrel wheel (30) including which mandrel has been associated with each can. This may be accomplished using the aforementioned encoders, cells, counters, sensors, detectors and the like. Its software will track each of the cans (81) through the entire decorating process and will also know which print blanket (11) of the print blankets which surround the print blanket wheel (10) has been associated with each can. If indeed a variation has been discovered from the vision inspection for a particular can, as has been discussed herein, a recommendation may be made to either move the print blanket wheel (11) in the direction (14A) for greater printing pressure or in the direction (14B) for less printing pressure. In the event that the decorating machine has been manufactured with individual mandrel (33) adjustments, such as directions (35A) and (35B), then the information as to increasing or decreasing the print blanket pressure could be made for the particular mandrel that corresponded to the variation. In this regard, in one form, the inspecting is executed in a realtime manner while the decorator is actively running and providing nearly immediate fault information. In addition, in one form, the control system examines the cans on a realtime basis, while the decorator is actively decorating, but employs algorithms to determine if any of the observed process variations are statistically significant before utilizing the inspection data to recommend a change to the process. 」 ([0063] コンピュータビジョン検査システム(100)は、装飾プロセスを流れるそれぞれの缶のタイミングと位置を、その缶(80)がマンドレルホイール(30)に入る時点から、どのマンドレルが各缶に関連付けられたのかを含めて、把握している。これは、上述のエンコーダ、セル、カウンタ、センサ、検出器などを用いて達成され得る。そのソフトウェアによって、装飾プロセス全体を通して缶(81)の各々を追跡し、また、印刷用ブランケットホイール(10)の周囲の印刷用ブランケットのうちどの印刷用ブランケット(11)がそれぞれの缶に関連付けられたのかを把握する。実際に、ビジョン検査で特定の缶に変動が発見された場合は、本明細書で説明しているように、印圧を増加させる方向(14A)に印刷用ブランケットホイール(11)を動かすか、又は印圧を減少させる方向(14B)に動かすか、いずれかの勧告が行われることがある。装飾機が方向(35A)及び(35B)で示すような個々のマンドレル(33)の調整を備えて作られている場合には、印刷用ブランケットの圧力の増減に関する情報を、その変動に対応する特定のマンドレルに提供することができる。これに関連して、一形態では、検査は、デコレータが盛んに動作している間にリアルタイムで行われ、欠陥情報が略即時に提供される。また、一形態では、制御システムは、デコレータが盛んに装飾を行っている間に、リアルタイムで缶を検査するが、検査データを利用してプロセスへの変更を勧告する前に、観測されたプロセス変動のいずれかが統計的に有意であるかどうか判断するための、アルゴリズムを採用している。) キ.「[0068] The side view shows the pin chain conveyor (63/60) holding the can (88) on the carrier pin (63) as it proceeds on, ideally, its circular path through the inspection tunnel (90). The cameras are mounted on brackets (97) which hold them solidly and rigidly on an engineered infrastructure so that they are imagining the cans consistently. The power supply for the cameras (91) and the illumination strobe (94) and the control therefor could either be mounted in the enclosure (90) or could be mounted in the enclosure (100) and cabled through the umbilical wireway (101). Although it is possible to do processing in the cameras themselves, it is more likely because the images need to be stitched together in some form, that the image information will be transmitted through the umbilical wireway (101) to the central vision computer in the enclosure (100) for further processing. The system (100) can also be operatively connected to a plant monitoring network or any other communications network either directly or through the umbilical cable wireway (101) and then ultimately through the cable wireway (104). The simplest of interfaces is also shown as a multi-colored beacon (115) which would illuminate flash different color indicator lights to indicate the status of the decorating process. The operator would be able to program the system to illuminate these lights in accordance with whatever notifications are deemed to be valuable to the decorator operator. An audible horn could also be incorporated but for simplicity has not been shown in the diagrams.」 ([0068] 側面図は、ピンチェーンコンベヤ(63/60)を示しており、これは、キャリアピン(63)上に缶(88)を保持して、理想的にはその円形路を、検査トンネル(90)を通って進むものである。カメラは、ブラケット(97)に取り付けられて、これによって、常に缶を撮像しているように、設計された下部構造に堅固に剛性保持されている。カメラ(91)と照明ストロボ(94)及びこれらのコントロールのための電源装置は、この筐体(90)内に取り付けられるか、又は筐体(100)内に取り付けられてアンビリカル配線路(101)を通してケーブル接続されるか、いずれかとすることができる。カメラ自体で処理を行うこともできるが、画像を何らかの形で1つに綴じ合わせる必要があるため、画像情報は、アンビリカル配線路(101)を通して、筐体(100)内の中央ビジョンコンピュータに、更なる処理のために伝送されることのほうが多い。また、システム(100)を、直接、又はアンビリカルケーブル配線路(101)と最終的にケーブル配線路(104)を通して、プラント監視ネットワーク又は他の通信ネットワークに作動的に接続することもできる。さらに、最も簡単なインターフェースを、多色ビーコン(115)として示しており、これは、様々な色の閃光表示灯を点灯させることで、装飾プロセスのステータスを表示するものである。デコレータのオペレータにとって重要と認められる通知に従って、これらの表示灯を点灯させるように、オペレータはシステムをプログラムすることができる。音響ホーンを導入することもできるが、簡単にするため図示はしていない。) ク.「[0075] Further, in one form, according to the presently described embodiments, a method for controlling and optimizing the printing of patterns on peripheral surfaces of cylindrical can bodies comprises configuring a can decorator machine which is integrally connected to an automated vision inspection system to inspect each can at production speed soon after printing. A pattern is printed on the peripheral surface of each individual can carried by a mandrel of the mandrel wheel by making rolling contact with a print blanket which is carried on a speed synchronized print blanket wheel. The method further includes inspecting the can body for visual faults or variations in the printed pattern on each individual can body, identifying at least one of the individual mandrel, print blanket, colors, and other machine components which were in contact with each individual can in the decorator machine, generating and associating fault or variation information related to specific machine component adjustments that may be needed to further optimize or correct the decorating process, and sending electrical signals to a control system operative to automatically make the recommended adjustments to the specific machine components in need of adjustment. The method also includes the additional step of checking the decorated cans related to the change that was made to verify that the changes that were enacted did actually properly correct the process variation. If the enacted change did not correct the decoration, further changes are recommended to optimize the decoration process further. Further electrical signals are sent to the control system to automatically make the new recommended changes to further optimize the decoration.」 ([0075] また、一形態において、本明細書に記載の実施形態により、円筒状の缶胴の周面へのパターンの印刷を制御及び最適化する方法は、各缶を印刷後直ぐに生産速度で検査するための自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することを含む。パターンは、マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の缶の周面に、速度同期した印刷用ブランケットホイールに保持された印刷用ブランケットと転がり接触させることにより、印刷される。この方法は、さらに、個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、缶胴を検査することと、装飾機において個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品のうち少なくとも1つを特定することと、装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、その調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する制御システムに対して、電気信号を送ることと、を含む。この方法は、さらに、定められた変更によって実際にプロセス変動が適切に修正されたことを検証するために、その行われた変更に関連する装飾された缶をチェックする追加ステップを含む。定められた変更によって装飾が修正されなかった場合には、装飾プロセスを更に最適化するために、更なる変更が勧告される。そして、その装飾を更に最適化するための新たな推奨変更を自動で実行するため、制御システムに対して更なる電気信号が送られる。) ケ.上記「エ.」の「それぞれのインカーホイール(20)に対応するインカー壷(25)は、インカーホイール(20)にそれぞれ取り付けられた個々の印刷版に対して、インクの均一な塗膜を滑らかにするように機能する。図1では、円筒状容器又は缶(81)の上に印刷されるそれぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカー(25)を示している。」との記載から、「インカー壷(25)」は「インカー(25)」と同じ部材を指しており、「印刷版」は「インカー(25)」に対応するといえる。 コ.上記「カ.」の「コンピュータビジョン検査システム(100)は、装飾プロセスを流れるそれぞれの缶のタイミングと位置を、その缶(80)がマンドレルホイール(30)に入る時点から、どのマンドレルが各缶に関連付けられたのかを含めて、把握している。」との記載を踏まえると、Fig.2からは、符号50で示される装置が、缶(80)をマンドレルホイール(30)に供給する装置である点を看取することができる。 サ.上記「キ.」の「カメラ自体で処理を行うこともできるが、画像を何らかの形で1つに綴じ合わせる必要があるため、画像情報は、アンビリカル配線路(101)を通して、筐体(100)内の中央ビジョンコンピュータに、更なる処理のために伝送されることのほうが多い。」との記載から、「画像情報」がカメラで撮影された「画像情報」であることは明らかである。 上記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「缶である円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、 複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、 複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットは、前記マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、 個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査し、欠陥又は変動情報を生成する検査システムと、 前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能し、調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する、制御システムと、 を備え、 円筒状容器をマンドレルホイールに供給する装置を有し、 円筒状容器の上に印刷されるそれぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカーと、インカーに対応する印刷版が取り付けられたインカーホイールを有し、 印刷された円筒状容器は、マンドレルホイールのそれぞれのマンドレル上で回転を続けながら、オーバーバニッシュ・ホイールに、一致した周速度で接触し、ワニスの塗布の後に、ワニス塗布及び印刷が完了した円筒状容器は、マンドレルホイール上の回転経路に沿って進み、ピンチェーン移載ホイールに渡され、ピンチェーン移載ホイール上の円筒状容器は、それぞれピンチェーンのピンとかみ合って、ピンチェーン搬送システムで、ピンチェーン・オーブンでの硬化に向けて運び出され、 装飾された円筒状容器がピンチェーンコンベヤで進んだ後に、円筒状容器が検査トンネルを通って進むときに、ビジョン検査システムの4つのカメラが、検査トンネル内にあって、円筒状容器の周面の全周を撮影し、 カメラで撮影された画像情報は、中央ビジョンコンピュータに、更なる処理のために伝送されるシステム。」 (2)引用文献2 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平5-120412号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【請求項5】 模様印刷した規格標準円筒缶と、同一模様を印刷して製造工程途中から抜取った被検査円筒缶とにつき外表面を撮影して比較検査する装置であって、 円筒缶の缶定速回転装置と、被検査円筒缶を製造ラインから順次抜き取ってその缶定速回転装置に設置する移設装置と、その缶定速回転装置で回転する円筒缶を筒長方向に全幅に渡って線走査して外表面の全体映像データを得る一次元走査カメラと、円筒缶の外表面の特定細部を面走査して特定細部映像データを得る二次元走査カメラと、各走査カメラから映像データを受け取って比較検査する画像処理装置とを備え、 画像処理装置は、規格標準円筒缶の映像データを記憶するメモリーを有し、各走査カメラが順次送る映像データと記憶してある映像データとを比較し、全体映像データからは被検査円筒缶の全体の相違を認識し、特定細部映像データからは被検査円筒缶の特定細部のデータ又は/及び該特定細部の相違を算定する判別回路を併設していることを特徴とする円筒缶の外表面検査装置。」 イ.「【0009】本発明の第1の円筒缶の外表面検査装置は、模様印刷した標準缶20aと、同一模様を印刷して製造工程途中から抜き取った被検査缶20bとにつき外表面を撮影して比較検査する装置である。円筒缶の缶定速回転装置1と、被検査缶20bを製造ラインから順次抜き取ってその缶定速回転装置1に設置する移設装置16と、その缶定速回転装置1で回転する円筒缶20a、20bを筒長方向に全幅に渡って線走査して外表面の全体映像データを得る一次元走査カメラ(ラインセンサカメラ)8と、円筒缶20a、20bの外表面の特定細部を面走査して特定細部映像データを得る二次元走査カメラ(CCDカラーカメラ)11と、各走査カメラ8、11から映像データを受け取って比較検査する画像処理装置5、13とを備えている。(後略)」 ウ.「【0019】缶定速回転装置1を回転させる。回転にともなってバーコードリーダ3がバーコード21を検知すると、読取タイミング信号を制御用パーソナルコンピュータ4に送る。制御用パーソナルコンピュータ4は、読取タイミング信号を受信した時点からパルスモータコントローラ9に一定角度、所定のパルス数をカウントさせ、ラインセンサカメラ8の対物レンズ7の方向に撮影開始点を合わせる。クロック発振回路6からはクロック信号がラインセンサカメラ8に送られる。ラインセンサカメラ8はクロック信号を同期信号とし、撮影開始点から規格標準缶20aの筒長方向を全幅に渡り周期的に線走査することで主走査し、缶定速回転装置1の定速回転で缶を副走査する。 ラインセンサカメラ8は規格標準缶20aの全周を撮影し、全体映像データであるアナログ画像信号を第1の画像処理装置5に送る 。」 エ.「【0022】次いで、細部を精密検査する特定の単数又は複数の検査エリアをCCDカラーカメラ11で走査する。パーソナルコンピュータ4には1又は2以上の検査エリアの位置がバーコード21を基準に、第1のパルスモータ2のパルス数でプログラムしてある。更に、その場合のCCDカラーカメラ11の設定高さも第2のパルスモータ17のパルス数でプログラムしてある。これらの1又は2以上の検査エリアには、色の違う模様相互間の相対印刷位置誤差、すなわち模様の見当ずれについて端的にその有無を識別させる小さな見当マークも含んでいる。制御用パーソナルコンピュータ4は位置的に近い順番に各検査エリアをパルスモータコントローラ9に指定し、缶定速回転装置1の回転角度とCCDカラーカメラ11の高さを調整する。顕微鏡の鏡筒10は各検査エリアごとに焦点を上記の各検査エリアに合わせ、CCDカラーカメラ11で各検査エリア約4mm四方を拡大撮影する。この時CCDカラーカメラ11は各画素ごとの画像情報を赤、緑、青に分離し、特定細部映像データに関するアナログ信号として第2の画像処理装置13に送る。」 オ.「【0026】第1の画像処理装置5は規格標準缶20a全周の映像データをメモリーから呼び出す。次いで、撮影開始地点が互いに一致している規格標準缶20a全周の映像データと被検査缶20bの全周の映像データとを、バーコード21からの回転角度が同じ位置にあるライン情報同士、第1の画像処理装置5内蔵の第1の比較判別回路によって突き合わせる。 【0027】データの対比は、画素ごとに規格標準缶20aと被検査缶20bとの明度の相違を求めて行う。第1の画像処理装置5は規格標準缶20aと被検査缶20bとの間の明度差がしきい値を超えている画素の有無を認識し、その画素数をパーソナルコンピュータ4に送る。」 カ.「【0030】第2の画像処理装置13は第2の比較判別回路を有し、先に記憶していた規格標準缶20aの特定細部映像データと新たに得た被検査缶20bの特定細部映像データとを検査エリアごとに同一座標位置の画素同士で順に突き合わせる。 【0031】突き合わせにあたっては予め画像位置のずれを補正する。具体的には、二次元に表れる画素座標上の模様につき座標軸を基にそれぞれの模様位置を計算した上で重ね合わせる。位置合わせは各検査エリアごとに行う。 【0032】デジタル信号を突き合わせ、色度を測定する。赤、青、緑の平均値を求め、それをL*a*b*色度値に換算する。これらの情報は制御用パーソナルコンピュータ4に送る。 【0033】被検査缶20bに模様幅の拡大が認められればその拡大幅、縮小が認められればその縮小幅を計算する。見当マークは模様装飾に用いている各インクの種類ごとに設けてある。被検査缶20bに見当マークの位置ずれがあればその距離を測定する。これらの算定結果はいずれも制御用パーソナルコンピュータ4に送る。 【0034】パーソナルコンピュータ4は、明度や色度の異常、印刷の欠落、表面の傷、汚れ、印刷インキの拡大付着、縮小付着、見当ずれについての上記の検査結果を表示するため、それらの情報を所定の信号に変換したり、製造条件の修正のためのフィードバック信号に変換して出力する。」 キ.「【0036】 【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に関する円筒缶の外表面検査方法、あるいは装置は、従来は人の目で行っていた缶全体の検査と、細部の検査を自動的に短時間のうちにできるものである。検査にあたり人の目に頼らないので客観的な検査ができるし、熟練を必要としない。検査結果は、電気的な信号で得られるので検査結果を表示するための信号に変換したり、製造条件の修正のためのフィードバック信号に変換して利用できる。 【0037】生産ラインの制御方向が不良品を発生させるおそれのある方向にあれば、自動的な修正も可能になる。検査や製造条件の修正にあたり熟練を必要とせず、いったん条件を設定してしまえば自動的な処理が可能である。」 ク.上記「ア.」の「被検査円筒缶を製造ラインから順次抜き取ってその缶定速回転装置に設置する移設装置と、その缶定速回転装置で回転する円筒缶を筒長方向に全幅に渡って線走査して外表面の全体映像データを得る一次元走査カメラと、円筒缶の外表面の特定細部を面走査して特定細部映像データを得る二次元走査カメラ」との記載によれば、「一次元走査カメラ」及び「二次元走査カメラ」が外表面の特定細部を面走査する「円筒缶」は「被検査円筒缶」であるといえ、これを踏まえると「各走査カメラから映像データを受け取って比較検査する画像処理装置」との記載における「映像データ」は「被検査円筒缶の映像データ」であるといえる。 そして、以上を踏まえると、上記「ア.」の「画像処理装置は、規格標準円筒缶の映像データを記憶するメモリーを有し、各走査カメラが順次送る映像データと記憶してある映像データとを比較」するとの記載における「各走査カメラが順次送る映像データ」は「各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データ」であり、「記憶してある映像データ」は「記憶してある規格標準円筒缶の映像データ」であるといえる。 ケ.上記「イ.」の「一次元走査カメラ(ラインセンサカメラ)8」及び「二次元走査カメラ(CCDカラーカメラ)11」との記載から、「ラインセンサカメラ8」は「一次元走査カメラ」であり、「CCDカラーカメラ11」は「二次元走査カメラ」であるといえる。 そして、これを踏まえると、上記「ウ.」の「ラインセンサカメラ8は規格標準缶20aの全周を撮影し、全体映像データであるアナログ画像信号を第1の画像処理装置5に送る。」との記載から、「一次元走査カメラは缶の全周を撮影し、全体映像データであるアナログ画像信号を第1の画像処理装置に送る」といえ、上記「エ.」の「細部を精密検査する特定の単数又は複数の検査エリアをCCDカラーカメラ11で走査する。」及び「CCDカラーカメラ11は各画素ごとの画像情報を赤、緑、青に分離し、特定細部映像データに関するアナログ信号として第2の画像処理装置13に送る。」との記載から、「細部を精密検査する特定の単数又は複数の検査エリアを二次元走査カメラで走査する」及び「二次元走査カメラは各画素ごとの画像情報を赤、緑、青に分離し、特定細部映像データに関するアナログ信号として第2の画像処理装置に送る」といえる。 上記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「模様印刷した規格標準円筒缶と、同一模様を印刷して製造工程途中から抜取った被検査円筒缶とにつき外表面を撮影して比較検査する装置であって、 円筒缶の缶定速回転装置と、被検査円筒缶を製造ラインから順次抜き取ってその缶定速回転装置に設置する移設装置と、その缶定速回転装置で回転する円筒缶を筒長方向に全幅に渡って線走査して缶の全周を撮影し外表面の全体映像データを得る一次元走査カメラと、被検査円筒缶の外表面の特定細部を面走査して特定細部映像データを得る二次元走査カメラと、各走査カメラから映像データを受け取って比較検査する画像処理装置とを備え、 一次元走査カメラは缶の全周を撮影し、全体映像データであるアナログ画像信号を第1の画像処理装置に送り、 細部を精密検査する特定の単数又は複数の検査エリアを二次元走査カメラで走査し、検査エリアには、色の違う模様相互間の相対印刷位置誤差、すなわち模様の見当ずれについて端的にその有無を識別させる小さな見当マークも含んでおり、見当マークは模様装飾に用いている各インクの種類ごとに設けてあり、二次元走査カメラは各画素ごとの画像情報を赤、緑、青に分離し、特定細部映像データに関するアナログ信号として第2の画像処理装置に送り、 画像処理装置は、各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較し、全体映像データからは被検査缶の全体の相違の有無を認識し、特定細部映像データからは被検査円筒缶の特定細部のデータ又は/及び該特定細部の相違を算定する判別回路を併設し、 第1の画像処理装置は、規格標準缶全周の映像データと被検査缶の全周の映像データとを、第1の比較判別回路によって突き合わせ、規格標準缶と被検査缶との間の明度差がしきい値を超えている画素の有無を認識し、その画素数をパーソナルコンピュータに送り、 第2の画像処理装置は第2の比較判別回路を有し、規格標準缶の特定細部映像データと被検査缶の特定細部映像データとを検査エリアごとに突き合わせ、色度を測定し、赤、青、緑の平均値を求め、それをL*a*b*色度値に換算し、これらの情報は制御用パーソナルコンピュータに送り、被検査缶に見当マークの位置ずれがあればその距離を測定し、これらの算定結果は制御用パーソナルコンピュータに送り、 パーソナルコンピュータは、明度や色度の異常、印刷の欠落、表面の傷、汚れ、印刷インキの拡大付着、縮小付着、見当ずれについての検査結果の情報を、製造条件の修正のためのフィードバック信号に変換して出力し、 生産ラインの制御方向が不良品を発生させるおそれのある方向にあれば、自動的な修正も可能である 円筒缶の外表面検査装置。」 (3)引用文献3 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平7-186374号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(なお、以下の「ア.ないしエ.」はいずれも、引用文献3のうち、平成4年6月16日提出の手続補正書の部分(第13~22ページ)に記載されたものである。)。 ア.「【請求項2】 料紙の走行路に沿って配設された複数の印刷部と、印刷部の版胴を軸方向に分割しその各々の版胴部を別々に軸方向に移動可能及び/又は円周方向に回動可能とした見当調整機構付分割版胴と、一番目の印刷部の上流側に配設され走行する料紙に幅を伸ばす向きの力を付与する料紙伸幅手段と、印刷部間に配設され走行する料紙に幅を縮める向きの力を付与する料紙調幅手段と、印刷部の下流側に印刷部で印刷された適宜の画線を検出する検出器を配設し印刷部の見当を制御する見当制御手段とからなることを特徴とする多色刷平版印刷機。」 イ.「【0032】この発明の実施例では、図1に図示されるように又、従来の技術において説明し且つ図12に示した多色刷用平版輪転印刷機と同様に、版胴PCとブランケット胴BCの組み合わせを2組、それぞれのブランケット胴BCを圧接可能に左右に配設して印刷部P1、P2、P3、P4とし、これら印刷部P1、P2、P3、P4を重ねて設置するとともに、それぞれの版胴PCを軸方向に分割しその各々の版胴部を別々に軸方向に移動可能及び/又は円周方向に回動可能とした見当調整機構付分割版胴とする。更に、図1はウェブ料紙Wの走行方向において重ねられた印刷部P1の上流側の適宜の位置に、後に説明する料紙伸幅手段300を設け、印刷部P1、P2、P3、P4の中間の適宜の位置に、後に説明する料紙調幅手段20を設け、かつ、印刷部P4の下流側に印刷部P1、P2、P3、P4で印刷された適宜の画線、例えばレジスターマークを検出する検出器401を配設し印刷部P1、P2、P3、P4の見当を制御する見当制御手段402を設けた平版輪転印刷機を示す。」 ウ.「【0078】見当調整手段130は、版胴の長手方向に沿った左右微動調整手段101と、版胴の周方向に沿った版胴円周微動調整手段102とを含む。 【0079】版胴左右微動調整手段101は、本体側版胴PCa,PCa’もしくは分割側版胴PCb,PCb’ごとに取り付けられ、それらの胴を個別的に軸線と平行する方向に微変位させることによって、ブランケット胴BC,BC’の各胴周面に対する接触位置が個別的に幅方向に微小移動するのを利用して、印刷画線のズレを調整するものであって、その構成の一例を次に示す。 【0080】左右微動調整作用駆動部131は、前記フレーム125または126から外方へ突設されたブラケット133に支承され、その出力軸132に固着されたピニオン134を回動操作し得る。ピニオン134は、軸受ホルダー135と一体の大径ギヤ136と係合して、その回動を大径ギヤ136に伝える。軸受ホルダー135の外周面には雄ねじ137が刻設され、その雄ねじ部137(当審注:「雄ねじ部137」は「雄ねじ部137」の誤記と認める。)が、ブラケット133と一体の雌ねじ部138と螺合する。従って、軸受ホルダー135は雌ねじ部138に案内されて回転変位すると同時に、軸方向に直線変位させられる。ところで、本体側版胴PCa(PCa’もしくは分割側版胴PCb,PCb’も同じ、以下省略)の軸PCe(PCe’もしくはPCd,PCd’も同じ、以下省略)と一体の補助軸139は軸受140を介して前記軸受ホルダー135に回転自在に保持されている一方、軸受140の両端面は、軸受ホルダー135に突設されたあご部135aと、大径ギヤ136の脚部136aとによって規制されている一方、補助軸139の大径部139aと、軸端キャップ141の環端部141aによっても規制されているので、前記軸受ホルダー135の軸方向に平行な直線変位が、軸受140、補助軸139、軸PCeを介して、本体側版胴PCaに伝達され、かくして、軸方向に平行な直線微変位が本体側版胴PCaに付与される。 【0081】版胴円周微動調整手段102は、本体側版胴PCa,PCa’もしくは分割側版胴PCb,PCb’ごとに取り付けられ、それらの胴を個別的に円周方向に沿って微変位させることによって、ブランケット胴BC,BC’の各胴周面に対する接触位置が個別的に円周方向微小移動するのを利用して、印刷画線のズレを調整するものであって、その構成の一例を次に示す。 【0082】円周方向微動調整操作用駆動部142は、前記フレーム125または126から外方へ突設されたブラケット133に支承され、その出力軸143に固着されたピニオン144を回動操作し得る。ピニオン144は、軸受ホルダー145と一体の大径ギヤ146と係合して、その回動を大径ギヤ146に伝える。軸受ホルダー145の外周面には雄ねじ部147が刻設され、その雄ねじ部147が、ブラケット133と一対(当審注:「一対」は「一体」の誤記と認める。)の雌ねじ部148に案内されて回転変位すると同時に、軸方向に直線変位させられる。ところで、軸受ホルダー145は、左右方向から規制された軸受149を介して内歯ギヤ117を回転自在に保持する。そして、内歯ギヤ117は、軸PCeとキー119を介して一体の外歯ギヤ118と軸方向の摺動変位可能に係合する一方、本体側版胴PCa駆動用のはすばギヤ116が取り付けられており、そのはすばギヤ116はブランケット胴駆動用のはすばギヤ115と係合する。従って、内歯ギヤ117の軸方向に沿った微小直線変位がはすばギヤ115の歯すじのねじれによって円周方向の微小変位に変換され、かくして、本体側版胴PCaの周面が円周方向に沿って微小回転させられる。」 エ.「【0097】図1において401は検出器である。検出器401は、ウエブ料紙Wにつけられたレジスターマークの位置を検知する。402は、見当制御手段であり、印刷稼働中に検出器401から伝送されたレジスターマーク情報を受領すると、ウエブ料紙の印刷見当ズレの変化を演算する。見当制御手段402は、各見当調整付き分割版胴PCの各見当調整機構の駆動モーターに接続され、モーターの駆動を制御し、適宜の印刷部における版胴から生ずる色の画線を基準にし、版胴の周面に装着された刷版のブランケット胴周面に対する接触位相を、円周方向および軸方向に変位させ、刷版で印刷される画線が基準の画線に対してずらすことで印刷見当ズレを修正する。403は操作部であり、オペレーターの操作により、作動の要否、作動量を決定することが可能である。」 オ.上記「イ.」の「印刷部P1、P2、P3、P4で印刷された適宜の画線、例えばレジスターマーク」との記載から、「(適宜の)画線」は「レジスターマーク」であるといえる。 上記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。 「複数の印刷部と、見当調整機構付分割版胴と、印刷部の下流側に印刷部で印刷されたレジスターマークを検出する検出器を配設し印刷部の見当を制御する見当制御手段とからなり、 検出器は、レジスターマークの位置を検知し、 見当制御手段は、検出器から伝送されたレジスターマーク情報を受領すると、印刷見当ズレの変化を演算し、版胴の各見当調整機構の駆動モーターに接続され、モーターの駆動を制御し、適宜の印刷部における版胴から生ずる色のレジスターマークを基準にし、版胴の周面に装着された刷版のブランケット胴周面に対する接触位相を、円周方向および軸方向に変位させ、刷版で印刷される画線が基準の画線に対してずらすことで印刷見当ズレを修正し、 見当調整手段は、版胴の長手方向に沿った左右微動調整手段と、版胴の周方向に沿った版胴円周微動調整手段とを含み、 版胴左右微動調整手段は、版胴を個別的に軸線と平行する方向に微変位させ、 左右微動調整作用駆動部は、ブラケットに支承され、その出力軸に固着されたピニオン134を回動操作し得、ピニオン134は軸受ホルダー135と一体の大径ギヤ136と係合して、その回動を大径ギヤ136に伝え、軸受ホルダー135の外周面には雄ねじ部137が刻設され、その雄ねじ部137が、ブラケット133と一体の雌ねじ部138と螺合し、軸受ホルダー135は雌ねじ部138に案内されて回転変位すると同時に、軸方向に直線変位させられ、版胴の軸と一体の補助軸は軸受140を介して前記軸受ホルダー135に回転自在に保持される一方、軸受140の両端面は、軸受ホルダー135に突設されたあご部と、大径ギヤ136の脚部とによって規制され、補助軸の大径部と、軸端キャップの環端部によっても規制されているので、前記軸受ホルダー135の軸方向に平行な直線変位が、軸受140、補助軸、軸を介して、版胴に伝達され、かくして、軸方向に平行な直線微変位が本体側版胴に付与され、 版胴円周微動調整手段は、版胴を個別的に円周方向に沿って微変位させ、 円周方向微動調整操作用駆動部は、ブラケットに支承され、その出力軸に固着されたピニオン144を回動操作し得、ピニオン144は、軸受ホルダー145と一体の大径ギヤ146と係合して、その回動を大径ギヤ146に伝え、軸受ホルダー145の外周面には雄ねじ部147が刻設され、その雄ねじ部147が、ブラケットと一体の雌ねじ部148に案内されて回転変位すると同時に、軸方向に直線変位させられ、軸受ホルダー145は、左右方向から規制された軸受149を介して内歯ギヤ117を回転自在に保持し、内歯ギヤ117は、軸とキー119を介して一体の外歯ギヤ118と軸方向の摺動変位可能に係合する一方、版胴駆動用のはすばギヤ116が取り付けられており、そのはすばギヤ116は、はすばギヤ115と係合し、内歯ギヤ117の軸方向に沿った微小直線変位がはすばギヤ115の歯すじのねじれによって円周方向の微小変位に変換され、かくして、版胴の周面が円周方向に沿って微小回転させられる 多色刷印刷機。」 (4)引用文献4 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平7-195812号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0011】本実施例においては、6色の塗色を用いて缶の表面に内容物を示す図柄や商標、あるいは内容量、原材料、製造者の名前・住所等を示す文字を印刷する。そして、図1に示すように、本実施例においては、缶の上端部の缶蓋が取り付けられた時に缶蓋により覆われて見えなくなる位置に、第1番目の塗色により印刷される第1から第5までの5個の位置決め基準マーク10が印刷されていると共に、これらの位置決め基準マーク11~15とそれぞれ中心を合わせるように、第2番目の塗色により印刷された第1の位置決めマーク21、第3番目の塗色により印刷された第2の位置決めマーク22、第4番目の塗色により印刷された第3の位置決めマーク23、第5番目の塗色により印刷された第4の位置決めマーク24、第6番目の塗色により印刷された第5の位置決めマーク25が印刷されている。」 イ.「【0019】 【発明の効果】本発明の缶の多色印刷方法は上述のように構成されたので、以下のような優れた効果を得ることができた。すなわち、本発明によれば、第1番目の塗色による印刷に対して、第n番目の塗色による印刷が位置ずれして印刷された際には、第1番目の塗色により印刷された十字形の位置決め基準マークの縦線および横線に対して、第n番目の塗色により印刷された位置決めマークが位置ずれ方向に隙間を明けて印刷されるので、微細な位置ずれであっても、容易に識別することができる。また、第n番目の塗色による印刷の位置ずれを、第1番目の塗色による印刷に対して検出するので、缶の印刷に用いられる塗色の数がどのように増えても、すべての塗色の印刷の位置ずれを容易にかつ確実に検出することができる。さらに、位置決め基準マークを仲立ちにして、印刷に用いられるすべての塗色の内の任意の塗色間の相対位置ずれを容易に検出することができる。これにより、缶の表面を複数の塗色を用いて多色印刷する際に、複数の塗色の印刷位置の位置ずれを容易に修正することができるから、缶の多色印刷の作業効率を大幅に向上させることができるとともに、微細な位置ずれをも容易に検出することができるから、複雑な色調や、グラデーション等の微細で複雑な図柄を正確に再現することができる。」 ウ.上記「ア.」の「第1番目の塗色により印刷される第1から第5までの5個の位置決め基準マーク10」、「第2番目の塗色により印刷された第1の位置決めマーク21」、「第3番目の塗色により印刷された第2の位置決めマーク22」、「第4番目の塗色により印刷された第3の位置決めマーク23」、「第5番目の塗色により印刷された第4の位置決めマーク24」、「第6番目の塗色により印刷された第5の位置決めマーク25」は、「位置決めマーク」と総称することができる。また、これらの「位置決めマーク」は「第1番目の塗色」ないし「第6番目の塗色」により印刷されたものであるから、「6色の塗色により印刷された」といえる。 エ.上記「イ.」の記載から見て、上記「ウ.」の「位置決めマーク」は「複数の塗色の印刷位置の位置ずれを修正する」ためのものであるといえる。 上記の記載事項を総合すると、引用文献4には、次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「缶の上端部の缶蓋が取り付けられた時に缶蓋により覆われて見えなくなる位置に、6色の塗色により印刷された、複数の塗色の印刷位置の位置ずれを修正するための位置決めマーク。」 (5)引用文献5 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開2002-282977号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【請求項1】 缶胴の外面に印刷された模様と、 前記模様に位置合わせして加工される凹部及び凸部の少なくとも一方と を有する缶体において、 前記外面に前記位置合わせ用のマークを備え、 前記マークは、前記缶胴の接地部を基準として15mmより高い位置に設けられていることを特徴とする缶体。 (中略) 【請求項3】 請求項1に記載の缶体において、 前記マークは、前記缶胴の開口端部近傍に設けられていることを特徴とする缶体。」 イ.「【0008】請求項3に記載の缶体は、請求項1に記載の缶体において、前記マークは、前記缶胴の開口端部近傍に設けられていることを特徴とする。本発明によれば、缶胴の開口端部近傍にマークを設けることによって、缶胴に内容物(飲料)を充填した後、缶胴と缶蓋とを巻き締めることにより、マークは巻き締め部に隠れて見えなくなる。したがって、飲用の際、不快感を与えない。」 上記の記載事項を総合すると、引用文献5には、次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「缶胴の外面に印刷された模様を有する缶体において、 前記外面に前記位置合わせ用のマークを備え、 前記マークは、前記缶胴の開口端部近傍に設けられており、 缶胴に内容物(飲料)を充填した後、缶胴と缶蓋とを巻き締めることにより、マークは巻き締め部に隠れて見えなくなる 缶体。」 (6)引用文献6 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平2-4625号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「図面は本発明の自動サンプリング検査システムの実施例を示すものである。 第1図はその全体の配置図を示し、図中、1はフィラー、2はシーマー、3はサンプリング装置、4はフィラーからシーマ-に充填済み缶を搬送する供給コンベヤ、5は巻締終了缶詰を次工程に搬送する排出コンベヤである。10はサンプリング缶詰自動検査ラインを示し、排出コンベヤ5からサンプリングされた缶詰を検査室9に搬送するサンプリングコンベヤ11、該サンプリングコンベヤ11から分岐した第1検査コンベヤ12、第2検査コンベヤ13、検査済み缶詰を缶詰製造ラインの排出コンベヤ5に戻す戻しコンベヤ14とから構成されている。」(第2ページ右下欄第9行~第3ページ左上欄第2行) 上記の記載事項を総合すると、引用文献6には、次の事項(以下「引用文献6記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「自動サンプリング検査システムが、 フィラー、シーマー、サンプリング装置、フィラーからシーマーに充填済み缶を搬送する供給コンベヤ、巻締終了缶詰を次工程に搬送する排出コンベヤを有し、 サンプリング缶詰自動検査ラインが、排出コンベヤからサンプリングされた缶詰を検査室に搬送するサンプリングコンベヤ、該サンプリングコンベヤから分岐した第1検査コンベヤ、第2検査コンベヤ、検査済み缶詰を缶詰製造ラインの排出コンベヤに戻す戻しコンベヤとから構成されている点。」 (7)引用文献7 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開昭58-223715号公報(以下、「引用文献7」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「空缶リンザー1で洗浄された空缶はシユート2でロータリーフイラー3へ送られ、内容物を充填された後、巻締機4に送られ巻締められる。巻締められた缶はコンベヤ5によつて各種チエツカー、キヤンクーラー等を経て送られ、ケース詰される。 本発明のサンプリング装置においては、この搬出コンベヤ5の一部にこれと並列にバイパスコンベヤ6を設け、その途中に充填量チェックのためのウエイトチエツカ等の検査装置7を設けたものである。バイパスコンベヤ6の始端と終端はそれぞれ搬出コンベヤ5と接続される。」(第2ページ左上欄第19行~右上欄第11行) イ.「検査装置7を通過した缶はバイパスコンベヤ6の終端からメインコンベヤ5上に戻る。」(第3ページ左上欄第11~12行) ウ.上記「ア.」における「コンベヤ5」が「搬出コンベヤ5」であることは明らかである。 上記の記載事項を総合すると、引用文献7には、次の事項(以下「引用文献7記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「内容物を充填された後、巻締められた缶は搬出コンベヤによつて送られ、 サンプリング装置において、搬出コンベヤの一部にこれと並列にバイパスコンベヤを設け、その途中に検査装置を設け、バイパスコンベヤの始端と終端はそれぞれ搬出コンベヤと接続され、 検査装置を通過した缶はバイパスコンベヤの終端からメインコンベヤ上に戻る点。」 (8)引用文献8 本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平4-315943号公報(以下、「引用文献8」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0009】 【実施例】図面は本発明の缶詰製造ラインにおける自動サンプリング検査システムの実施例を示すものである。 図1は本実施例装置の全体配置図を示し、まず、その缶詰製造ラインから説明する。本実施例では、2本の缶詰製造ラインが併設され、両ラインは缶詰のサイズに応じて型換えができ、両ラインで異なるサイズ又は同じサイズの缶詰を製造することができるが、その配置は両ラインともほぼ同様であるので、両ラインとも同符号を付して説明する。空缶は空缶供給コンベヤ1で搬送され、缶洗浄装置2を通過することによって缶内外面が洗浄されて充填装置3に供給され、そこで内溶液が充填される。 内溶液が充填された缶は、巻締装置4で蓋が巻締されて密封されラインコンベヤ5により次工程に搬送される。 以上の缶詰製造ラインは、従来のものと同様である。本実施例では、ラインコンベヤ5の途中に、該ラインコンベヤから分岐するサンプリング検査コンベヤ10が配設され、サンプリング検査コンベヤ分岐部6にはラインコンベヤによって搬送される缶詰を制御部からのサンプリング開始信号によりサンプリング検査コンベヤに所定本数のサンプリング缶詰を移載する移載装置が設けられている。該移載装置は、図示されていないが、ラインコンベヤから缶詰をシリンダで駆動されるプッシャーによりサンプリング検査コンベヤに押し出すプッシャー式であっても、缶の搬送路をガイドによりサンプリング検査コンベヤに切り替えるガイド式等、従来公知の手段が適宜採用できる。ラインコンベヤ5は、サンプリング検査コンベヤ分岐部6を経て、さらにツイスタ7、アキュムレート部8を経て、その下流に前記サンプリング検査コンベヤの下流端が合流するサンプリング検査コンベヤ合流部9が設けられ、缶詰を次の処理工程に搬送するようになっている。 サンプリング検査コンベヤ合流部9には、サンプリング検査コンベヤで搬送されてくる缶詰を再びラインコンベヤに戻すための適宜の移載手段が設けられている。 【0010】 前記サンプリング検査コンベヤ10は、缶詰製造ラインA、Bの中間に配置され、上流部が図示のように左右に二つに分岐して、右側の缶詰製造ラインAのラインコンベヤ5と、左側の缶詰製造ラインBのラインコンベヤ5に夫々接続され、合流部11を経て1本となり、その途中に外寸計測機12、内寸計測機13等の缶詰寸法計測機、充填量計測機14、及び酸素量計測装置20が順に配置されて、自動的に検査や計測が行なわれるようになっている。そして、それらのサンプリング検査のうち、非破壊検査のみで検査された缶詰のうち合格した缶詰は、検査終了後再び元のラインコンベヤに戻すことができるように、サンプリング検査コンベヤ10の下流端部は2つに分岐して左右のラインコンベヤに夫々合流するようになっている。なお、図中16は検査終了缶を反転してラインコンベヤによって搬送される缶詰と同姿勢にするためのツイスタである。」 上記の記載事項を総合すると、引用文献8には、次の事項(以下「引用文献8記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「内溶液が充填された缶は、巻締装置で蓋が巻締されて密封されラインコンベヤにより次工程に搬送され、 自動サンプリング検査システムにおいて、 ラインコンベヤの途中に、該ラインコンベヤから分岐するサンプリング検査コンベヤが配設され、サンプリング検査コンベヤ分岐部にはラインコンベヤによって搬送される缶詰をサンプリング検査コンベヤに所定本数のサンプリング缶詰を移載する移載装置が設けられており、 ラインコンベヤは、サンプリング検査コンベヤ分岐部を経て、その下流に前記サンプリング検査コンベヤの下流端が合流するサンプリング検査コンベヤ合流部が設けられ、サンプリング検査コンベヤ合流部には、サンプリング検査コンベヤで搬送されてくる缶詰を再びラインコンベヤに戻すための適宜の移載手段が設けられており、 前記サンプリング検査コンベヤは、その途中に自動的に検査や計測が行なわれるようになっており、それらのサンプリング検査のうち、非破壊検査のみで検査された缶詰のうち合格した缶詰は、検査終了後再び元のラインコンベヤに戻すことができるように、サンプリング検査コンベヤの下流端部はラインコンベヤに合流するようになっている点。」 2.判断 (1)請求項1 ア.対比 本件訂正特許発明1と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1の「缶である円筒状容器」は、前者の「缶」に相当する。 (イ)引用発明1は「円筒状容器の上に印刷されるそれぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカーと、インカーに対応する印刷版が取り付けられたインカーホイールを有し」ているところ、引用発明1の「印刷版」は、「それぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカー」に対応するから、「それぞれの色のインク」にも対応するといえ、本件訂正特許発明1の「異なる色を印刷するための複数の版胴」に相当する。 (ウ)引用発明1においては「複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイール」、「複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットは、前記マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイール」、「円筒状容器の上に印刷されるそれぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカー」及び「インカーに対応する印刷版が取り付けられたインカーホイール」の各装置が協働して印刷を行っていると認められるところ、引用発明1のこれらの装置は、本件訂正特許発明1の「缶への印刷を行う印刷機」に相当する。 (エ)引用発明1の「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査し、欠陥又は変動情報を生成する検査システム」は、本件訂正特許発明1の「印刷状態の検査を行う検缶機」に相当する。 (オ)上記「(ア)ないし(エ)」の検討を踏まえると、引用発明1の「缶である円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステム」は、前者の「異なる色を印刷するための複数の版胴を有し缶への印刷を行う印刷機と、印刷状態の検査を行う検缶機とを備えている缶印刷装置」に相当する。 (カ)引用発明1の「4つのカメラ」は、「円筒状容器の周面の全周を撮影」するから、本件訂正特許発明1の「缶の画像を撮影する缶撮影装置」に相当し、また、「缶全体の画像を撮影する第1のカメラ」にも相当する。 (キ)引用発明1の「中央ビジョンコンピュータ」は、「カメラで撮影された画像情報」に「更なる処理」を行うから、本件訂正特許発明1の「撮影した画像を処理する画像処理装置」に相当する。 (ク)引用文献1の段落[0059]の「本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である」(上記「1.(1)オ.」参照)との記載によれば、「印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥」に関する情報は「印刷された缶の画像」を解析することによって得られるものであるから、引用発明1の「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査し、欠陥又は変動情報を生成する検査システム」が、「印刷された缶の画像」である「カメラで撮影された画像情報」を用いることは明らかである。そうすると、引用発明1の当該「検査システム」と、本件訂正特許発明1の「第1のカメラで撮影された画像を使用して、マスター画像と比較して正しく印刷されているかを検査する画像検査手段」とは、「第1のカメラで撮影された画像を使用して、正しく印刷されているかを検査する画像検査手段」である点で共通する。 (ケ)引用発明1は、「円筒状容器をマンドレルホイールに供給する装置を有し」、「印刷された円筒状容器は、マンドレルホイールのそれぞれのマンドレル上で回転を続けながら、オーバーバニッシュ・ホイールに、一致した周速度で接触し、ワニスの塗布の後に、ワニス塗布及び印刷が完了した円筒状容器は、マンドレルホイール上の回転経路に沿って進み、ピンチェーン移載ホイールに渡され、ピンチェーン移載ホイール上の円筒状容器は、それぞれピンチェーンのピンとかみ合って、ピンチェーン搬送システムで、ピンチェーン・オーブンでの硬化に向けて運び出され、装飾された円筒状容器がピンチェーンコンベヤで進んだ後に、円筒状容器が検査トンネルを通って進む」ところ、引用発明1の当該「円筒状容器をマンドレルホイールに供給する装置」、「マンドレルホイール」、「ピンチェーン移載ホイール」及び「ピンチェーンコンベヤ」と、本件訂正特許発明1の「缶を印刷機に供給して、印刷された缶を後流に送っていく主ラインと、主ラインにある多数の缶の内の一部を検缶機に送る抜き取りラインと、検缶機において良品とされた缶を主ラインに戻す戻しラインとを有する搬送装置」とは、「缶を印刷機に供給して、印刷された缶を後流に送っていく主ラインを有する搬送装置」である点で共通する。 (コ)引用文献1に「個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品」(上記「1.(1)ク.」参照)と記載されていることからみて、引用発明1の「機械構成部品」は、上記「(ウ)」で本件訂正特許発明1の「缶への印刷を行う印刷機」に相当するとした引用発明1の各装置の部品であって、これら「機械構成部品」への推奨調整を自動で実行するように機能する「制御システム」は当該各装置とと一体のものと考えることができる。また、引用発明1において、「欠陥又は変動情報」は、本件訂正特許発明1の「検缶機」に相当する「検査システム」によって生成されるから、「制御システム」が「検査システム」から「欠陥又は変動情報」を受け取ることは明らかである。 そうすると、引用発明1の「前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能し、調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する、制御システムと、を備え」と、本件訂正特許発明1の「印刷機は、検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置を有し」とは、「印刷機は、検缶機で測定された値に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置を有し」の点で共通する。 (サ)本件訂正特許発明1の「版胴」は「缶印刷装置」を構成する部品であって「機械構成部品」であるといえるから、引用発明1の「前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能し、調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する」と、本件訂正特許発明1の「印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果は、即座に印刷機にフィードバックされ、印刷ズレ値測定結果に基づいて、見当合わせ装置によって、自動的に版胴の位置が調整される」とは、「測定結果に基づいて、自動的に機械構成部品が調整される」点で共通する。 そうすると、本件訂正特許発明1と引用発明1とは、 「異なる色を印刷するための複数の版胴を有し缶への印刷を行う印刷機と、印刷状態の検査を行う検缶機とを備えている缶印刷装置であって、 検缶機は、缶の画像を撮影する缶撮影装置と、撮影した画像を処理する画像処理装置とを備え、 缶撮影装置は、缶全体の画像を撮影する第1のカメラと、第1のカメラで撮影された画像を使用して、正しく印刷されているかを検査する画像検査手段とを有しており、 缶を印刷機に供給して、印刷された缶を後流に送っていく主ラインを有する搬送装置をさらに備えているとともに、印刷機は、検缶機で測定された値に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置を有し、 測定結果に基づいて、自動的に機械構成部品が調整される缶印刷装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 検缶機に関して、本件訂正特許発明1が「缶を回転させる缶回転装置」を有するのに対して、引用発明1はそのような装置を有さない点。 [相違点2] 缶撮影装置に関して、本件訂正特許発明1が「缶の開口側端部の画像を撮影する第2のカメラ」を有するのに対して、引用発明1はそのようなカメラを有さない点。 [相違点3] 画像検査手段に関して、本件訂正特許発明1が「マスター画像と比較して」正しく印刷されているかを検査するのに対して、引用発明1はマスター画像と比較するか明らかでない点。 [相違点4] 本件訂正特許発明1が「第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段」を有するのに対して、引用発明1はそのような手段を有さない点。 [相違点5] 搬送装置に関して、本件訂正特許発明1が「主ラインにある多数の缶の内の一部を検缶機に送る抜き取りラインと、主ラインにおいて良品とされた缶を主ラインに戻す戻しラインとを有する」のに対して、引用発明1はそのようなものでない点。 [相違点6] 本件訂正特許発明1が、「検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置」を有するのに対して、引用発明1は「検缶機で測定された値に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置」を有するものの、当該装置は「印刷ズレ値」に基づいて、「版胴の見当合わせ」を自動で行う「見当合わせ装置」ではない点。 [相違点7] 本件訂正特許発明1は「印刷機の各版胴」が「各版胴の印刷ズレ値検出のために使用される検査用マークを缶の開口側の端部に印刷する」のに対して、引用発明1はそのようなものでない点。 [相違点8] 本件訂正特許発明1においては「印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果は、即座に印刷機にフィードバックされ、印刷ズレ値測定結果に基づいて、見当合わせ装置によって自動的に版胴の位置が調整される」のに対して、引用発明1においては測定結果に基づいて、自動的に機械構成部品が調整されるものの、測定結果が「印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果」であり、測定結果が「即座に印刷機にフィードバックされ」、「見当合わせ装置」によって「版胴の位置」を調整するとは特定されていない点。 イ.検討 上記各相違点について検討する。 (ア)相違点1について 引用発明2は上記「1.(2)」のとおりであって、その「円筒缶の缶定速回転装置」は、本件訂正特許発明1の「缶を回転させる缶回転装置」に相当する。 そして、引用発明1は「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査し、欠陥又は変動情報を生成する検査システム」を備える「缶である円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステム」に係るものであり、引用発明2は「模様印刷した規格標準円筒缶と、同一模様を印刷して製造工程途中から抜取った被検査円筒缶とにつき外表面を撮影して比較検査する装置」に係るものであるから、両者は印刷された缶の検査を行う装置である点で技術分野が共通しており、また、引用発明1においては「4つのカメラが……円筒状容器の周面の全周を撮影し」、引用発明2においては「一次元走査カメラ」が「缶定速回転装置で回転する円筒缶を筒長方向に全幅に渡って線走査して缶の全周を撮影し外表面の全体映像データを得る」のだから、両者はカメラによって缶の全周を撮影する点で作用・機能が共通する。 そうすると、引用発明1に引用発明2を適用して、「円筒缶の缶定速回転装置」を採用して、上記相違点1にかかる本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (イ)相違点2について 本件訂正特許発明1の「缶の開口側端部の画像を撮影する第2のカメラ」と、引用発明2の「被検査円筒缶の外表面の特定細部を面走査して特定細部映像データを得る二次元走査カメラ」とは、「缶の開口側端部」は缶の特定の部分であって「缶の特定細部」であるといえるから、「缶の特定細部の画像を撮影する第2のカメラ」である点で共通する。 また、本件訂正特許発明1の「第2のカメラ」は「缶の開口側端部の画像を撮影する」ものであるところ、本件訂正特許発明1は「各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段」を有し、「印刷機の各版胴は、各版胴の印刷ズレ値検出のために使用される検査用マークを缶の開口側の端部に印刷するものとされている」から、本件訂正特許発明1における「缶の開口側端部」は「印刷ズレ検査用マーク」が印刷される位置であると解される。 一方、引用発明2は、「その缶定速回転装置で回転する円筒缶を筒長方向に全幅に渡って線走査して缶の全周を撮影し外表面の全体映像データを得る一次元走査カメラ」に加えて、「被検査円筒缶の外表面の特定細部を面走査して特定細部映像データを得る二次元走査カメラ」を有するものであって、引用発明2において「二次元走査カメラ」が走査する「検査エリア」は「見当マーク」を含むものであるから、この場合の「被検査円筒缶の外表面の特定細部」は「見当マーク」を含むものである。 そうすると、本件訂正特許発明1においても引用発明2においても、「第2のカメラ」が撮影する「缶の特定細部」は、印刷ズレ検査用マークが印刷される位置であるといえる。 引用発明1及び引用発明2は、ともに印刷された缶の検査を行う装置の分野に属する技術である。また、引用文献1の段落[0059]には「本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である。」と記載されているから、引用文献1には引用発明1において「ズレ」を含む複数の種類の欠陥を検査することが示唆されているといえるし、印刷ズレを調整することは印刷装置の分野において一般的な課題であるから、当該課題は印刷されたパターンの欠陥又は変動の調整を行う引用発明1にも内在する課題であると認められる。 そうすると、引用発明1に引用発明2を適用して「缶の特定細部の画像を撮影する第2のカメラ」を設けることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、上述のとおり、「第2のカメラ」が撮影する「缶の特定細部」は、印刷ズレ検査用マークが印刷される位置であるところ、引用文献4記載事項の「複数の塗色の印刷位置の位置ずれを修正するための位置決めマーク」は、本件訂正特許発明1の「印刷ズレ検査用マーク」に相当する。また、本件訂正特許発明1の「缶の開口側端部」について、本件特許明細書には「缶の開口側端部は、蓋が被せられる部分で、従来の缶では、印刷が施されておらず、検査する必要がなかった箇所である。」(段落【0010】)と記載されており、これを踏まえると、引用文献4記載事項の「缶の上端部の缶蓋が取り付けられた時に缶蓋により覆われて見えなくなる位置」は、本件訂正特許発明1の「缶の開口側端部」に相当するから、「缶の開口側端部」に「印刷ズレ検査用マーク」を印刷することは、本件特許の出願前に公知であったといえる。また、引用文献5記載事項からは、缶に異なる種類の印刷・加工をする際の位置合わせ用のマークを、缶蓋が取り付けられた時に見えなくなる缶胴の開口端部近傍に設けることが、本件特許の出願前に公知であったといえる。 してみると、引用発明1に引用発明2を適用する際に、これらの公知の技術を踏まえて印刷ズレ検査用マークを缶蓋が取り付けられた時に見えなくなる位置である缶の開口側の端部に印刷し、上記相違点2にかかる本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得た事項である。 以上のとおりであるから、引用発明1に引用発明2を適用して、上記相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ)相違点3について 引用文献2には、段落【0009】に「画像処理装置5、13」と記載される一方、段落【0019】に「第1の画像処理装置5」と、また、段落【0022】に「第2の画像処理装置13」と記載されているから(上記「1.(2)イ.ないしエ.」参照)、各記載における符号を照合すると、「画像処理装置」は「第1の画像処理装置」及び「第2の画像処理装置」の総称であると認められる。 そして、これを踏まえて、引用発明2の「画像処理装置は、各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較し、全体映像データからは被検査缶の全体の相違の有無を認識し、特定細部映像データからは被検査円筒缶の特定細部のデータ又は/及び該特定細部の相違を算定する判別回路を併設し」という事項と、「第1の画像処理装置は、規格標準缶全周の映像データと被検査缶の全周の映像データとを、第1の比較判別回路によって突き合わせ、規格標準缶と被検査缶との間の明度差がしきい値を超えている画素の有無を認識し、その画素数をパーソナルコンピュータに送り」及び「第2の画像処理装置は第2の比較判別回路を有し、規格標準缶の特定細部映像データと被検査缶の特定細部映像データとを検査エリアごとに突き合わせ、色度を測定し、赤、青、緑の平均値を求め、それをL* a* b* 色度値に換算し、これらの情報は制御用パーソナルコンピュータに送り、被検査缶に見当マークの位置ずれがあればその距離を測定し、これらの算定結果は制御用パーソナルコンピュータに送り」という事項とを対照すると、「画像処理装置は、各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較し、全体映像データからは被検査缶の全体の相違の有無を認識し、特定細部映像データからは被検査円筒缶の特定細部のデータ又は/及び該特定細部の相違を算定する判別回路を併設し」という事項のうち、「画像処理装置は、各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較し、全体映像データからは被検査缶の全体の相違の有無を認識……する判別回路を併設し」との事項は「第1の画像処理装置」及び「第1の比較判別回路」に係るものであり、「画像処理装置は、各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較し、……特定細部映像データからは被検査円筒缶の特定細部のデータ又は/及び該特定細部の相違を算定する判別回路を併設し」との事項は「第2の画像処理装置」及び「第2の比較判別回路」に係るものであると理解することができる。 このような理解を踏まえると、引用発明2の「第1の画像処理装置」は「各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較」する「判別回路を併設」するものであり、「規格標準缶全周の映像データと被検査缶の全周の映像データとを、第1の比較判別回路によって突き合わせ、規格標準缶と被検査缶との間の明度差がしきい値を超えている画素の有無を認識し、その画素数をパーソナルコンピュータに送」るものであって、本件訂正特許発明1の「マスター画像と比較して正しく印刷されているかを検査する画像検査手段」に相当する。 引用発明1及び引用発明2は、ともに印刷された缶の検査を行う装置の分野に属する技術であり、引用発明1の「検査システム」は、「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査し、欠陥又は変動情報を生成する」ものであるところ、「個々の円筒状容器に印刷されたパターン」の「欠陥又は変動がないか」を検査するためには、その基準となる「個々の円筒状容器に印刷されたパターン」が必要であることは明らかである。 そうすると、引用発明1において検査の基準として、引用発明2の「規格標準円筒缶映像データ」(「マスター画像」)を採用して、上記相違点3にかかる本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (エ)相違点4について 上記「(ウ)」における検討を踏まえると、引用発明2の「第2の画像処理装置」は、「各走査カメラが順次送る被検査円筒缶の映像データと記憶してある規格標準円筒缶映像データとを比較し」、「特定細部映像データからは被検査円筒缶の特定細部のデータ又は/及び該特定細部の相違を算定する判別回路を併設し」たものであって、「第2の比較判別回路を有し、規格標準缶の特定細部映像データと被検査缶の特定細部映像データとを検査エリアごとに突き合わせ、色度を測定し、赤、青、緑の平均値を求め、それをL* a* b* 色度値に換算し、これらの情報は制御用パーソナルコンピュータに送り、被検査缶に見当マークの位置ずれがあればその距離を測定し、これらの算定結果は制御用パーソナルコンピュータに送」るものであり、また、このうち「見当マーク」は「模様装飾に用いている各インクの種類ごとに設けてあ」るから、引用発明2の当該「第2の画像処理装置」と、本件訂正特許発明1の「第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の開口側端部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段」とは、「第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の特定細部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段」である点で共通する。 上記「(イ)」での検討のとおり、引用発明1及び引用発明2は、ともに印刷された缶の検査を行う装置の分野に属する技術であり、また、引用文献1には引用発明1において「ズレ」を含む複数の種類の欠陥を検査することが示唆されているととともに、印刷ズレを調整することは引用発明1にも内在する課題であると認められる。 そうすると、引用発明1に引用発明2を適用して「第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の特定細部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段」を設けることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、上記「(イ)」で検討したとおり、印刷ズレ検査用マークを缶蓋が取り付けられた時に見えなくなる位置である缶の開口側の端部に設けることは、当業者が適宜なし得た事項であるから、引用発明1に引用発明2を適用する際に、印刷ズレ検査用マークが印刷される位置を缶の開口側の端部として、上記相違点4にかかる本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (オ)相違点5について 製造された缶を後流に送っていく主ラインと、主ラインにある多数の缶の内の一部を検缶機に送る抜き取りラインと、検缶機において良品とされた缶を主ラインに戻す戻しラインとを有する搬送装置は、例えば、引用文献6記載事項ないし引用文献8記載事項のように、本件特許の出願前に周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。 そうすると、引用発明1の「搬送装置」の具体化手段として周知技術1を採用し、上記相違点5に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (カ)相違点6について 引用発明1は、「検缶機で測定された値に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置」を有するものであるところ、上記「(エ)」で検討したとおり、引用発明1に引用発明2を適用して「第2のカメラで撮影された画像を使用して、各色ごとに缶の特定細部に印刷された印刷ズレ検査用マークの設定位置に対するズレ値を測定する印刷ズレ値測定手段」を設けることは、当業者が容易に想到することができたものであるから、「印刷ズレ値測定手段」で測定した「ズレ値」に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置を設けることも、当業者が容易に想到することができたものである。そして、例えば引用発明3のように、受領した情報に基づき印刷ズレの修正を版胴の位置の調整によって行うことは、本件特許の出願前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)であるから、「ズレ値」に基づく調整のために版胴の見当合わせを行うことは、当業者であれば適宜なし得ることである。 そうすると、引用発明1に引用発明2を適用するとともに、その適用の際に調整のための具体的手段として周知技術2を採用して、上記相違点6に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (キ)相違点7について 上記「(イ)」で検討したとおり、引用発明1に引用発明2を適用するとともに、その適用の際に引用文献4記載事項及び引用文献5記載事項を踏まえて、印刷ズレ検査用マークを缶の開口側の端部に印刷することは、当業者が容易になし得たことである。 そして、引用発明1の「印刷版」は上記「ア.(イ)」で検討したとおり「それぞれの色のインク」に対応するものであり、引用発明2の「見当マーク」は「模様装飾に用いている各インクの種類ごとに設けてあ」るのだから、引用発明1に引用発明2を適用すれば、当然、「それぞれの色のインク」に対応した各「印刷版」が、「各インクの種類ごとに設け」た「見当マーク」を印刷することになる。 そうすると、引用発明1に引用発明2を適用して、上記相違点7に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (ク)相違点8について 上記「(エ)」での検討を踏まえると、引用発明2の「第2の画像処理装置」において「被検査缶」の「見当マークの位置ずれ」の「距離を測定し」た「算定結果」は、本件訂正特許発明1の「印刷ズレ値測定手段によって求められた印刷ズレ値測定結果」に相当する。 また、引用発明2においては、「算定結果」を「制御用パーソナルコンピュータに送り、パーソナルコンピュータは」、「見当ずれについての検査結果の情報を、製造条件の修正のためのフィードバック信号に変換して出力」するところ、引用発明2において、「比較検査」の対象とする「被検査円筒缶」が「同一模様を印刷して製造工程途中から抜取った」ものであることや、「フィードバック信号」が「見当ずれについての検査結果の情報」から変換されるものであることからみて、引用発明2の「製造ライン」は印刷を含むラインであることは明らかであって、当該「製造ライン」は本件訂正特許発明1の「印刷機」に相当する装置を備え、「フィードバック信号」は当該「印刷機」に相当する装置に出力されるものと認められるから、引用発明2は、「印刷ズレ値測定結果」が「即座に印刷機にフィードバックされ」るとの事項を備えるものであるといえる。 引用発明2における「見当ずれについての検査結果の情報を、製造条件の修正のためのフィードバック信号に変換して出力」する処理は「制御用パーソナルコンピュータ」等によって行われるのだから、その処理に時間を要さないことは明らかである。また、引用発明2は「生産ラインの制御方向が不良品を発生させるおそれのある方向にあれば、自動的な修正も可能である」ものであるから、不良品が発生する前に修正が可能となるように早期に「フィードバック信号」を出力するものであって、引用発明2は、「印刷ズレ値測定結果」が「即座に印刷機にフィードバックされ」るものであるといえる。 そして、上記「(カ)」のとおり、受領した情報に基づき印刷ズレの修正を版胴の位置の調整によって行うことは、本件特許の出願前に周知の技術(「周知技術2」)であって、そのような調整を行う装置は「見当合わせ装置」といい得るものである。 そうすると、引用発明1に引用発明2を適用するとともに、その適用の際に調整のための具体的手段として周知技術2を採用して、上記相違点8に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ.小括 相違点1ないし8については上記「イ.(ア)ないし(ク)」のとおりであって、本件訂正特許発明1の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1及び2、周知技術1及び2、並びに、引用文献4及び5に記載された公知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。 そうすると、本件訂正特許発明1は、引用発明1及び2、周知技術1及び2、並びに、引用文献4及び5に記載された公知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。 エ.特許権者の主張について (ア)特許権者は、令和1年12月27日提出の意見書において、以下のとおり主張している。 a.「ここで、両者(当審注:本件発明1及び引用発明1)の最大の相違点は、缶を例えば1秒間に30缶という高速で印刷するに際して、本件発明1においては、主ラインの最終地点には、印刷ズレ値を含む印刷完全良品だけが送り出されてくるのに対し、引用発明1においては、そのような印刷完全良品が得られない点にあります。」(第3ページ第4~8行) b.「本件発明1によれば、抜き取り検査全数OKから次の抜き取り検査も全数OKであれば、途中の缶に対する検査は実質的に不要と考えられ、抜き取り検査で不良品が発見された場合には、全数OKだった前回検査以降に印刷された缶を全数検査することで、必要な検査工程の効率化(省人化・省時間化)が実現できます。」(第3ページ第20~25行) (イ)上記「a.」の主張については、意見書の全体を見てもどのような構成・作用・機能によって「主ラインの最終地点には、印刷ズレ値を含む印刷完全良品だけが送り出されてくる」のかは明らかでないものの、本件特許明細書の段落【0019】における「この発明の缶印刷装置によれば、上記のように、検缶機における印刷ズレ値測定結果が即座に印刷機にフィードバックされ、これにより、印刷ズレ不良品が出る前に印刷ズレを修正することができ、印刷ズレ不良品の発生を防止することができる。」との記載を参酌すると、印刷ズレ値が印刷ズレ不良品か否かを判定する閾値を超えるまで増大して印刷ズレ不良品が発生する前に、印刷ズレ値測定結果が即座に印刷機にフィードバックされることにより、印刷ズレ不良品の発生を防止することができることを指すものと解することができる。 そうすると、上記「イ.(ク)」で指摘したように、引用発明2は「生産ラインの制御方向が不良品を発生させるおそれのある方向にあれば、自動的な修正も可能である」から、不良品が発生する前に修正を行うものであって、引用発明1に引用発明2を適用すれば、「印刷完全良品だけが送り出されてくる」ようにすることができるものと認められる。 (ウ)上記「b.」において主張される効果は、請求項1記載の主ライン、抜き取りライン及び戻しラインを備えるという構成のみならず、特許請求の範囲に記載のない「抜き取り検査で不良品が発見された場合には、全数OKだった前回検査以降に印刷された缶を全数検査する」という運用と相まって奏されるものであると認められる。 そうすると、当該効果は特許請求の範囲の記載に基づくものではない。また、上記「イ.(オ)」で検討した周知技術1のものも、主ライン、抜き取りライン及び戻しラインを備えるものであるから、上記「b.」と同様の運用を行うことにより、同様の効果を奏することができるものと認められる。 (エ)以上のとおりであるから、特許権者の主張はいずれも採用することができない。 (2)請求項2 ア.対比 本件訂正特許発明2と引用発明1とを対比すると、本件訂正特許発明2のうち請求項1を引用する部分については上記「(1)ア.」のとおりであるから、両者は上記「(1)ア.」の相違点1ないし8に加えて、以下の相違点8において相違し、その余の点で一致する。 [相違点9] 本件訂正特許発明2は、「検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置を有し、 見当合わせ装置は、版胴を軸方向に移動させる軸方向移動手段と、版胴を周方向に移動させる周方向移動手段とを備えており、 軸方向移動手段は、回転不可能かつ軸方向に移動可能にハウジングに支持されて版胴軸と一体で軸方向に移動する軸方向移動部材を備え、軸方向移動部材を移動させる軸方向駆動手段は、軸方向に移動不可能に支持された第1回転軸と、回転不可能に支持されて第1回転軸に設けられたおねじ部にねじ合わされた第1めねじ部材と、第1回転軸を駆動する第1モータとを備えており、 周方向移動手段は、一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に版胴軸に取り付けられるとともに、軸方向移動不可能に設けられたはす歯歯車と噛み合わされ、軸方向に移動することで版胴軸を周方向に移動させる周方向移動部材を備えており、周方向移動部材を移動させる周方向駆動手段は、軸方向に移動不可能に支持された第2回転軸と、回転不可能に支持されて第2回転軸に設けられたおねじ部にねじ合わされた第2めねじ部材と、第2回転軸を駆動する第2モータとを備えており、 第1モータを制御する制御装置は、印刷ズレ値測定手段における缶の高さ方向の印刷ズレ値に応じて第1モータを駆動させることで版胴の軸方向位置を調整し、第2モータを制御する制御装置は、印刷ズレ値測定手段における缶の周方向の印刷ズレ値に応じて第2モータを駆動させることで版胴の周方向位置を調整するものとされている」のに対して、引用発明1はそのような装置を有さない点。 イ.検討 上記各相違点について検討する。 (ア)相違点1ないし8について 相違点1ないし8については、それぞれ上記「(1)イ.(ア)ないし(ク)」において検討したとおりである。 (イ)相違点9について a.引用発明3の「多色刷印刷機」は、「検出器から伝送されたレジスターマーク情報を受領すると、印刷見当ズレの変化を演算し、版胴の各見当調整機構の駆動モーターに接続され、モーターの駆動を制御し、適宜の印刷部における版胴から生ずる色のレジスターマークを基準にし、版胴の周面に装着された刷版のブランケット胴周面に対する接触位相を、円周方向および軸方向に変位させ、刷版で印刷される画線が基準の画線に対してずらすことで印刷見当ズレを修正」する「見当制御手段」を備えるものであるところ、「検出器から伝送されたレジスターマーク情報を受領」し「印刷見当ズレの変化を演算」することにより、「印刷見当ズレ」の値が得られることは明らかである。 また、引用発明3の「版胴の各見当調整機構の駆動モーターに接続され、モーターの駆動を制御し、適宜の印刷部における版胴から生ずる色のレジスターマークを基準にし、版胴の周面に装着された刷版のブランケット胴周面に対する接触位相を、円周方向および軸方向に変位させ、刷版で印刷される画線が基準の画線に対してずらすことで印刷見当ズレを修正」することは、「検出器から伝送されたレジスターマーク情報を受領」し「印刷見当ズレの変化を演算」した後に行われることであって、演算した「印刷見当ズレの変化」に基づいて行われることは明らかである。 そうすると、本件訂正特許発明2の「検缶機」と引用発明3の「見当制御手段」の「検出器から伝送されたレジスターマーク情報を受領すると、印刷見当ズレの変化を演算」する手段とは、ともに被印刷物を検査するものであって「検査機」であると言えるから、本件訂正特許発明1の「検缶機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置」と引用発明3の「版胴の各見当調整機構の駆動モーターに接続され、モーターの駆動を制御し、適宜の印刷部における版胴から生ずる色のレジスターマークを基準にし、版胴の周面に装着された刷版のブランケット胴周面に対する接触位相を、円周方向および軸方向に変位させ、刷版で印刷される画線が基準の画線に対してずらすことで印刷見当ズレを修正」する「見当制御手段」とは、「検査機で測定された印刷ズレ値に基づいて、版胴の見当合わせを自動で行う見当合わせ装置」である点で共通する。 b.本件訂正特許発明2の「軸方向移動手段」に係る事項について検討する。 引用発明3の「版胴の軸と一体の補助軸」との事項を踏まえると、引用発明3の「補助軸」は、本件訂正特許発明2の「軸方向移動部材」に対応する。 引用発明3の「軸受ホルダー135と一体の大径ギヤ136」との事項を踏まえると、引用発明3の「軸受ホルダー135」及び「大径ギヤ136」は、本件訂正特許発明2の「第1回転軸」に対応し、「軸受ホルダー135の外周面には雄ねじ137が刻設され」との事項を踏まえると、「雄ねじ部137」は「第1回転軸に設けられたおねじ部」に対応する。 引用発明3の「雌ねじ部138」は、本件訂正特許発明2の「第1めねじ部材」に対応する。 引用発明3の「左右微動調整作用駆動部」は、本件訂正特許発明2の「第1モータ」に相当する。 以上を踏まえると、引用発明3の「軸受ホルダー135」、「雄ねじ137」を含む「大径ギヤ136」、「雌ねじ部138」及び「左右微動調整作用駆動部」から成る部分は、本件訂正特許発明2の「軸方向駆動手段」に対応する。 そして、本件訂正特許発明2と引用発明3とはいずれも、「第1モータ」(「左右微動調整作用駆動部」)による「第1回転軸」(「軸受ホルダー135」及び「大径ギヤ136」)の回転を、「第1回転軸に設けられたおねじ部」及び「第1めねじ部材」(「雄ねじ部137」及び「雌ねじ部138」)の組み合わせによって「軸方向移動部材」(「補助軸」)の軸方向の移動に変換して、「版胴軸」(「版胴の軸」)を軸方向に移動させるものであると認められるところ、各部材の回転や軸方向の移動は相対的なものであって、いずれの部材の回転や軸方向の移動を可能とし、他の部材の回転や軸方向の移動を不可能とするかは、当業者が適宜選択することができる設計的事項である。 c.本件訂正特許発明2の「周方向移動手段」に係る事項について検討する。 引用発明3の「はすばギヤ115」は、本件訂正特許発明2のはす歯歯車」に対応する。 引用発明3の「内歯ギヤ117は、軸とキー119を介して一体の外歯ギヤ118と軸方向の摺動変位可能に係合する」との事項を踏まえると、引用発明3の「はすばギヤ116」及び「内歯ギヤ117」は、本件訂正特許発明2の「周方向移動部材」に対応する。 引用発明3の「軸受ホルダー145と一体の大径ギヤ146」との事項を踏まえると、引用発明3の「軸受ホルダー145」及び「大径ギヤ146」は、本件訂正特許発明2の「第2回転軸」に対応し、「軸受ホルダー145の外周面には雄ねじ部147が刻設され」との事項を踏まえると、「雄ねじ部147」は「第2回転軸に設けられたおねじ部」に対応する。 引用発明3の「雌ねじ部148」は、本件訂正特許発明2の「第2めねじ部材」に対応する。 引用発明3の「円周方向微動調整作用駆動部」は、本件訂正特許発明2の「第2モータ」に相当する。 以上を踏まえると、引用発明3の「軸受ホルダー145」、「雄ねじ147」を含む「大径ギヤ146」、「雌ねじ部148」及び「円周方向微動調整作用駆動部」から成る部分は、本件訂正特許発明2の「周方向駆動手段」に対応する。 そして、本件訂正特許発明2と引用発明3とはいずれも、「第2モータ」(「円周方向微動調整作用駆動部」)による「第2回転軸」(「軸受ホルダー145」及び「大径ギヤ146」)の回転を、「第2回転軸に設けられたおねじ部」及び「第2めねじ部材」(「雄ねじ部147」及び「雌ねじ部148」)の組み合わせによって「周方向移動部材」(「はすばギヤ116」及び「内歯ギヤ117」)の軸方向の移動に変換して、「版胴軸」(「版胴の軸」)を周方向に移動させるものであるところ、各部材の回転や軸方向の移動は相対的なものであって、いずれの部材の回転や軸方向の移動を可能とし、他の部材の回転や軸方向の移動を不可能とするかは、当業者が適宜選択することができる設計的事項である。 d.引用発明3の「見当制御手段」は「検出器から伝送されたレジスターマーク情報を受領すると、印刷見当ズレの変化を演算し、版胴の各見当調整機構の駆動モーターに接続され、モーターの駆動を制御し、適宜の印刷部における版胴から生ずる色のレジスターマークを基準にし、版胴の周面に装着された刷版のブランケット胴周面に対する接触位相を、円周方向および軸方向に変位させ、刷版で印刷される画線が基準の画線に対してずらすことで印刷見当ズレを修正」するから、本件訂正特許発明2の「印刷ズレ値測定手段における缶の高さ方向の印刷ズレ値に応じて第1モータを駆動させることで版胴の軸方向位置を調整」する「第1モータを制御する制御装置」、及び、「印刷ズレ値測定手段における缶の周方向の印刷ズレ値に応じて第2モータを駆動させることで版胴の周方向位置を調整する」「第2モータを制御する制御装置」に相当する。 e.引用発明1は、「検缶機で測定された値に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置」を有するものであり、引用文献1の段落[0059]には「本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である。」と記載されており、引用発明1が測定し調整する対象となる「欠陥又は変動」に「ズレ」が含まれることが示唆されているといえる。また、印刷ズレを調整することは印刷装置の分野において一般的な課題であって、当該課題は印刷されたパターンの欠陥又は変動の調整を行う引用発明1にも内在する課題であると認められる。 そうすると、引用発明1において「検缶機で測定された値に基づいて、機械構成部品の調整を自動で行う装置」として、上記「a.ないしd.」で検討した引用発明3の「見当制御手段」を採用して、上記相違点9に係る本件訂正特許発明2の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ.小括 相違点1ないし9については上記「イ.(ア)及び(イ)」のとおりであって、本件訂正特許発明2の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1ないし3、周知技術1及び2、並びに、引用文献4及び5に記載された公知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。 そうすると、本件訂正特許発明2は、引用発明1ないし3、周知技術1及び2並びに、引用文献4及び5に記載された公知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。 第6 特許異議申立理由の概要 1.申立人がした申立ての理由の概要は以下のとおりである。 「本件の請求項1~3に記載された特許発明は、甲第1号証と甲第2号証、及び甲第3~7号証に記載されるような周知慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項に違反している。」(特許異議申立書第18ページ第11~14行) 2.申立人の証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証 国際公開第2012/054655号 (取消理由(決定の予告)における引用文献1) 甲第2号証 特開平5-120412号公報 (取消理由(決定の予告)における引用文献2) 甲第3号証 特開平7-186374号公報 甲第4号証 特開平2-29338号公報 甲第5号証 特開昭63-71352号公報 甲第6号証 特開平7-195812号公報 (取消理由(決定の予告)における引用文献3) 甲第7号証 特開2002-282977号公報 (取消理由(決定の予告)における引用文献4) 3.申立人は令和1年7月2日提出の意見書で、以下の参考資料を提示している。 参考資料1 特開2003-302350号公報 参考資料2 特開平2-4625号公報 (取消理由(決定の予告)における引用文献5) 参考資料3 特開昭58-223715号公報 (取消理由(決定の予告)における引用文献6) 参考資料4 特開平4-315943号公報 (取消理由(決定の予告)における引用文献7) 参考資料5 特開平6-174646号公報 第7 取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由についての判断 取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由のうち、取消理由を通知していない本件訂正特許発明3に係る特許に対する特許法第29条第2項に関する申立理由について検討する。 1.対比 本件訂正特許発明3と引用発明1とを対比すると、本件訂正特許発明3のうち請求項1を引用する部分については上記「第5 2.(1)ア.」のとおりであるから、本件訂正特許発明3と引用発明1とは上記「第5 2.(1)ア.」の相違点1ないし8に加えて、以下の相違点10において相違し、その余の点で一致する。 [相違点10] 前者は、「印刷機のインキ供給装置は、インキ壺を構成するインキ壺ローラに近接して、インキ壺ローラの長さ方向に分割された複数のインキ呼び出しローラが配置され、各インキ呼び出しローラが、インキ壺ローラに接触する呼び出し位置とインキ壺ローラから離れる非呼び出し位置とに個別に切り換えられるようになされており、インキ供給装置の制御装置は、所定の間隔をおいた呼び出しタイミングごとに、所要のインキ呼び出しローラの位置を切り換えてインキを呼び出し、インキ呼び出しローラごとに、インキ壺ローラに接触してから離れるまでのインキ壺ローラの回転角度を制御することにより、インキ呼び出しローラとインキ壺ローラとの接触長を制御するものであり、 検缶機の画像処理装置は、缶に印刷された画像の濃度を各色ごとにかつ各インキ呼び出しローラに対応する所定箇所ごとに測定して、インキ供給装置の制御装置に出力する濃度測定手段をさらに有しており、インキ供給装置の制御装置は、検缶機の濃度測定手段から出力された各濃度値に基づいて各色ごとに各インキ呼び出しローラとインキ壺ローラとの接触長を調整する」のに対して、後者はそのような装置を有さない点。 2.検討 相違点10について検討する。 (1)取消理由(決定の予告)における引用文献1(特許異議申立書における甲第1号証)には、上記「第5 1.(1)ウ.」で摘記したとおり、「印刷用ブランケットの各々の保持を担う個々の機械構造」について「その位置又は印刷接触圧の調整」を行うことが記載されている。 また、「印刷用ブランケット」の「印刷接触圧」を調整することにより、印刷される画像の濃度が調整されることは印刷装置の分野における技術常識であるといえる。 (2)しかしながら、引用文献1には上記相違点10に係る「各インキ呼び出しローラとインキ壺ローラとの接触長を調整する」点については、記載も示唆もされていない。 また、「印刷接触圧の調整」に代えて「各インキ呼び出しローラとインキ壺ローラとの接触長を調整する」ことが、当業者が適宜選択することができる設計的事項であるとする理由もない。 (3)取消理由(決定の予告)における引用文献2ないし8(特許異議申立書における甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証及び甲第7号証、並びに、令和1年7月2日提出の意見書における参考資料2ないし4)、特許異議申立書における甲第4号証及び甲第5号証、並びに、令和1年7月2日提出の意見書における参考資料1及び5にも、上記相違点10に係る本件訂正特許発明3の発明特定事項は、記載も示唆もされていない。 3.小括 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正特許発明3は、引用発明1ないし3、周知技術1及び2、引用文献4及び5に記載された公知技術、並びに、甲第4号証及び甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。 第8 付記 申立人は、特許異議申立書において特許法第120条の5第5項に係る意見書の提出を希望している。 しかしながら、上記「第5 2.」のとおり、本件訂正特許発明1及び2は特許法第29条第2項に該当し特許を受けることができないものであって、その特許は取り消されるべきものである。 また、請求項3に係る発明については、先の訂正請求の際にすでに意見書提出の機会を与えており、その後に行われた本件訂正は、請求項3のうち請求項1を引用する事項以外の発明特定事項(すなわち、上記「第7 1.」における相違点10に係る事項)を変更するものではなく、請求項3に係る本件特許異議の申立てについての実質的な判断に影響を与えるものではない。 したがって、本件訂正請求については、申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないものと判断した。 第9 むすび 以上のとおり、本件訂正特許発明1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 本件訂正特許発明3に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。また、他に本件訂正特許発明3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700792

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