特許異議申立
2018-700323
地盤改良装置および地盤改良方法
- 審判番号
- 2018-700323
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-162218
- 登録番号
- 特許第6216479号(P6216479)
- 請求日
- 2018年04月17日
- 審決日
- 2018年11月30日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】青山機工株式会社
- 【権利者代理人】山口 朔生
- 【権利者代理人】大島 信之
- 【権利者代理人】山口 真二郎
- 【異議申立人】エポコラム機工 株式会社
- 【異議申立人代理人】内野 美洋
- 審判長/審判官
- 審判長 小野 忠悦
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.121-YAA(E02D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6216479号発明「地盤改良装置および地盤改良方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6216479号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第6216479号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6216479号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成29年8月25日に特許出願され、平成29年9月29日にその特許権の設定登録がされ、平成29年10月18日に特許公報が発行されたものである。
その後、その特許について、平成30年4月17日に特許異議申立人エポコラム機工株式会社(以下、「申立人」という。)により、請求項1ないし6に対して特許異議の申立てがされ、平成30年6月25日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年8月24日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から平成30年10月11日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載の
「前記削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けて削孔液または地盤改良材を吐出可能とした、先端吐出口」を、
「前記削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けつつ、前記削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし6も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に記載の
「前記縦翼の両側端に、内側から外側に向かって先細形状としてある先細部を設けてある」を、
「前記縦翼の両側端に、内側から外側に向かって先細形状としてある先細部を設け、前記先細部の内側が円弧面である」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5ないし6も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に記載の
「(D)前記上部吐出口から地盤改良材を吐出しながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程」を、
「(D)最深度地点から前記上部吐出口による地盤改良材の吐出を行いながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0006】に記載の
「上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業とを行うための地盤改良装置であって、削孔方向を回転軸として回転する、中軸と、前記中軸の周面から外側へと延伸してある、内翼と、前記中軸の下端に設ける、削孔刃体と、前記削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けて削孔液または地盤改良材を吐出可能とした、先端吐出口と、前記中軸の外周との間で隙間を設けるように配置する円筒状の部材からなる外軸であって、該外軸の下端から前記中軸を露出するように構成し、前記中軸の回転方向と反対方向に回転する、外軸と、前記外軸よりも下方の位置で、上下に間隔を設けて配置してあり、前記外軸と共に回転するように取り付けてある、複数の支持体と、前記支持体の周面から外側へと延伸してある、外翼と、前記支持体に設けた外翼同士を上下につなぐように配置してある、縦翼と、前記外軸の下端周辺に設け、前記先端吐出口への流路とは独立した流路でもって地盤改良材を吐出可能とした、上部吐出口と、を少なくとも具備することを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記中軸と外軸との間の隙間に、前記上部吐出口へと連通する流路を設けてあることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記内翼を、前記中軸の周面から螺旋階段状に配置してあることを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明のうち少なくとも何れかの発明において、前記縦翼の両側端に、内側から外側に向かって先細形状としてある先細部を設けてあることを特徴とする。
また、本願の第5発明は、前記第1発明乃至第4発明のうち少なくとも何れかの発明において、前記外軸の外周に、連続する螺旋羽からなる補助翼を略全長にわたって設けてあることを特徴とする。
また、本願の第6発明は、前記第1発明乃至第5発明のうち少なくとも何れかに記載の地盤改良装置でもって、地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業と、を少なくとも実施する地盤改良方法であって、(A)地盤改良装置でもって、最深度まで地盤を削孔する工程と、(B)地盤改良装置を所定の位置まで引き上げてから前記先端吐出口から地盤改良材を吐出しながら、地盤改良装置を再度最深度まで進行させる工程と、(C)最深度到達後に、前記先端吐出口からの地盤改良材の吐出を停止して、静止状態で撹拌を行う工程と、(D)前記上部吐出口から地盤改良材を吐出しながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。」を、
「上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業とを行うための地盤改良装置であって、削孔方向を回転軸として回転する、中軸と、前記中軸の周面から外側へと延伸してある、内翼と、前記中軸の下端に設ける、削孔刃体と、前記削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けつつ、前記削孔体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を吐出可能とした、先端吐出口と、前記中軸の外周との間で隙間を設けるように配置する円筒状の部材からなる外軸であって、該外軸の下端から前記中軸を露出するように構成し、前記中軸の回転方向と反対方向に回転する、外軸と、前記外軸よりも下方の位置で、上下に間隔を設けて配置してあり、前記外軸と共に回転するように取り付けてある、複数の支持体と、前記支持体の周面から外側へと延伸してある、外翼と、前記支持体に設けた外翼同士を上下につなぐように配置してある、縦翼と、前記外軸の下端周辺に設け、前記先端吐出口への流路とは独立した流路でもって地盤改良材を吐出可能とした、上部吐出口と、を少なくとも具備することを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記中軸と外軸との間の隙間に、前記上部吐出口へと連通する流路を設けてあることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記内翼を、前記中軸の周面から螺旋階段状に配置してあることを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明のうち少なくとも何れかの発明において、前記縦翼の両側端に、内側から外側に向かって先細形状としてある先細部を設け、前記先細部の内側が円弧面であることを特徴とする。
また、本願の第5発明は、前記第1発明乃至第4発明のうち少なくとも何れかの発明において、前記外軸の外周に、連続する螺旋羽からなる補助翼を略全長にわたって設けてあることを特徴とする。
また、本願の第6発明は、前記第1発明乃至第5発明のうち少なくとも何れかに記載の地盤改良装置でもって、地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業と、を少なくとも実施する地盤改良方法であって、(A)地盤改良装置でもって、最深度まで地盤を削孔する工程と、(B)地盤改良装置を所定の位置まで引き上げてから前記先端吐出口から地盤改良材を吐出しながら、地盤改良装置を再度最深度まで進行させる工程と、(C)最深度到達後に、前記先端吐出口からの地盤改良材の吐出を停止して、静止状態で撹拌を行う工程と、(D)最深度地点から前記上部吐出口による地盤改良材の吐出を行いながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0026】に記載の
「改良体の先端部の混合撹拌が終了したあとは、上部吐出口90から地盤改良材の吐出を始めて、地盤改良装置Aの引き抜きながら」を、
「改良体の先端部の混合撹拌が終了したあとは、上部吐出口90から地盤改良材の吐出を始めて、地盤改良装置Aを引き抜きながら」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0026】に記載の
「このように、上部吐出区間Dにおいては、先端吐出口40から」を、
「このように、上部吐出区間Dにおいては、上部吐出口90から」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0027】に記載の
「地盤Bの削孔深さが予め定めらまっている場合」を、
「地盤Bの削孔深さが予め定まっている場合」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1に関連して、明細書の段落【0015】には「本実施例では、中軸10の内部に設けた流路(第1の流路41)を経由して切削刃体30の側部に先端吐出口40を切削刃体30と一体化するように設けている。」と記載されている。また図1には、先端吐出口40が切削刃体30の側部で、切削刃体30の回転軸となる中軸10の範囲から外側に偏移した箇所に、切削刃体30から横方向に吐出口を開口する形で設けた様子が、図示されている。これらのことから、「先端吐出口」を「切削刃体の回転軸から外側に偏移した位置から」削孔液または地盤改良材を「横方向に」吐出可能とする発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。
上記訂正事項1は、明細書又は図面に記載された事項の範囲内において、訂正前の請求項1における「先端吐出口」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
上記訂正事項2に関連して、明細書の段落【0021】には「本実施例では、図2に示すように、縦翼80の全長において、両側端を内側から外側に向かって円弧軌跡を呈するように先細形状とした先細部83を設けている。」と記載されている。また図2には、縦翼80の両側部に先細部83が設けられ、先細部83のうち上部取付片81a側、すなわち回転する縦翼80の内側の部分が、円弧形状となっている様子が、図示されている。これらのことから、「縦翼」の「先細部」について、「先細部の内側が円弧面である」発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。
上記訂正事項2は、明細書又は図面に記載された事項の範囲内において、訂正前の請求項4における「先細部」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
上記訂正事項3に関連して、明細書の段落【0025】-【0026】には、「・・・ 地盤改良装置Aを所定の位置まで引き上げたあとは、前記先端吐出口40から地盤改良材を吐出しながら再度地盤改良装置Aを最深度B1まで進行させたあと、先端吐出口40からの地盤改良材の吐出を停止して、静止状態で撹拌を行う。このとき上部吐出口90は常に無吐出の状態である。・・・・ 改良体の先端部の混合撹拌が終了したあとは、上部吐出口90から地盤改良材の吐出を始めて、地盤改良装置Aの引き抜きながら、混合撹拌を行っていく。・・・」と記載されている。ここで、「最深度B1」での「静止状態」での「撹拌」の後、「上部吐出口90」からの「地盤改良材の吐出」及び「地盤改良装置Aの引き抜き」を開始するより前に、「静止状態」の地盤改良装置Aを「最深度B1」とは異なる深度に動かすことは、記載されていない。また図4cには、地盤改良装置が最深度に位置した状態における上部吐出口90付近から上方が「上部吐出区間D」と表示され、地盤改良装置の引き抜き動作を示す上向き矢印及び回転撹拌動作を示す捻り矢印が図示されている。これらのことから、「上部吐出口による地盤改良材の吐出」を行いながら、「地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程」を、「最深度地点から」実施する発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。
上記訂正事項3は、明細書又は図面に記載された事項の範囲内において、訂正前の請求項6における「地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程」の開始位置を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4ないし7について
訂正事項4は、上記訂正事項1~3に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項5~7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであることが明らかである。
これらの訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を直接又は間接に引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるものである。
すなわち、請求項1~6、及び請求項1~6に係る発明に関する発明の詳細な説明についてなされた、訂正事項1ないし7の訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし6に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
本件発明1
「【請求項1】
地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業とを行うための地盤改良装置であって、
削孔方向を回転軸として回転する、中軸と、
前記中軸の周面から外側へと延伸してある、内翼と、
前記中軸の下端に設ける、削孔刃体と、
前記削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けつつ、前記削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口と、
前記中軸の外周との間で隙間を設けるように配置する円筒状の部材からなる外軸であって、該外軸の下端から前記中軸を露出するように構成し、前記中軸の回転方向と反対方向に回転する、外軸と、
前記外軸よりも下方の位置で、上下に間隔を設けて配置してあり、前記外軸と共に回転するように取り付けてある、複数の支持体と、
前記支持体の周面から外側へと延伸してある、外翼と、
前記支持体に設けた外翼同士を上下につなぐように配置してある、縦翼と、
前記外軸の下端周辺に設け、前記先端吐出口への流路とは独立した流路でもって地盤改良材を吐出可能とした、上部吐出口と、
を少なくとも具備することを特徴とする、地盤改良装置。」
本件発明2
「【請求項2】
前記中軸と外軸との間の隙間に、前記上部吐出口へと連通する流路を設けてあることを特徴とする、
請求項1に記載の地盤改良装置。」
本件発明3
「【請求項3】
前記内翼を、前記中軸の周面から螺旋階段状に配置してあることを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良装置。」
本件発明4
「【請求項4】
前記縦翼の両側端に、内側から外側に向かって先細形状としてある先細部を設け、前記先細部の内側が円弧面であることを特徴とする、
請求項1乃至3のうち少なくとも何れか1項に記載の地盤改良装置。」
本件発明5
「【請求項5】
前記外軸の外周に、連続する螺旋羽からなる補助翼を略全長にわたって設けてあることを特徴とする、
請求項1乃至4のうち少なくとも何れか1項に記載の地盤改良装置。」
本件発明6
「【請求項6】
請求項1乃至5のうち少なくとも何れか1項に記載の地盤改良装置でもって、地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業と、を少なくとも実施する地盤改良方法であって、
(A)地盤改良装置でもって、最深度まで地盤を削孔する工程と、
(B)地盤改良装置を所定の位置まで引き上げてから前記先端吐出口から地盤改良材を吐出しながら、地盤改良装置を再度最深度まで進行させる工程と、
(C)最深度到達後に、前記先端吐出口からの地盤改良材の吐出を停止して、静止状態で撹拌を行う工程と、
(D)最深度地点から前記上部吐出口による地盤改良材の吐出を行いながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする、
地盤改良方法。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし6に係る特許に対して、平成30年6月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1及び2に係る特許は、取り消されるべきものである。
イ 請求項3に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項3に係る特許は、取り消されるべきものである。
ウ 請求項4に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第7号証に記載された発明並びに周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項4に係る特許は、取り消されるべきものである。
エ 請求項5に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第7号証及び甲第8号証に記載された発明並びに周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項5に係る特許は、取り消されるべきものである。
オ 請求項6に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第7号証、甲第8号証及び甲第10号証に記載された発明並びに周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項6に係る特許は、取り消されるべきものである。
3 各証拠の記載
(1)証拠について
ア 取消理由で引用した証拠(異議申立書と同時に提出された証拠)
甲第1号証:特開平9-165739号公報 (公開日:平成9年6月24日)
甲第2号証:実願平4-1490号(実開平5-61225号)のCD-ROM(公開日:平成5年8月13日)
甲第3号証:特開2008-25247号公報(公開日:平成20年2月7日)
甲第4号証:特開平6-33447号公報(公開日:平成6年2月8日)
甲第5号証:実願平1-80476号(実開平3-21446号)のマイクロフィルム(公開日:平成3年3月4日)
甲第6号証:実願平2-29873号(実開平3-122127号)のマイクロフィルム(公開日:平成3年12月13日)
甲第7号証:特開2002-332631号公報(公開日:平成14年11月22日)
甲第8号証:特開2013-167139号公報(公開日:平成25年8月29日)
甲第9号証:一般財団法人日本建築総合試験所、“建築技術性能証明評価シート”、[online]、インターネット<http://www.gbrc.or.jp/assets/documents/center/gijyutu_ninsho_pdf/gbrcat_16-14.pdf#search=%27%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%B7%A5%E6%B3%95%27> (性能証明発効日:2016年7月12日)(出力日:平成30年4月11日)
甲第10号証:株式会社トラバースのウェブサイト、[online]、インターネット <http://www.travers.co.jp/aimark02_02.html>(出力日:平成30年4月11日)
甲第11号証:甲第10号証の株式会社トラバースのウェブサイト(http://www.travers.co.jp/aimark02_02.html)の更新日をインターネットエクスプローラのjavascriptを用いて表示させた画面を出力したもの、[online]、(出力日:平成30年1月15日)
イ 平成30年10月11日付け意見書とともに提出された証拠
参考資料1
:特開2004-19160号公報(公開日:平成16年1月22日)
参考資料2
:特開2013-231319号公報(公開日:平成25年11月14日)
参考資料3
:特開2016-156123号公報(公開日:平成28年9月1日)
(2)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当決定で付した。以下、同様。)。
(ア)
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤改良装置の攪拌機、更に詳しくは、互いに反対方向に回転させられる中軸及び外軸からなる掘削軸を備えた地盤改良装置の攪拌機に関する。」
(イ)
「【0011】次に、地盤改良装置2に適用されている、本発明に従って構成された攪拌機14の実施の形態について説明する。図2~図4を参照して、掘削軸12は、中軸20と、中軸20の外周に対し間隔を置いて配置された円筒状の外軸22とを含んでいる。中軸20は、外軸22の下端部から下方に延び出るよう配置されている。24は上外翼支持体であって、中軸20に回転自在に支持されている。26は削孔刃体(削孔ヘッド)であって、中軸20の延出部分の下端部、すなわち中軸20の最下端部に装着されている。削孔刃体26は、中軸20の周面からその軸線に直交する両方向に羽根状に延出するよう構成され、その下端に掘削刃が櫛状に形成されている。28は下外翼支持体であって、削孔刃体26より上方における中軸20の延出部分に回転自在に支持されている。攪拌機14の貫入時(掘削時)には、中軸20は、駆動装置8によって上方から見て時計方向(図4の矢印A方向)に回転駆動され、また外軸22は、上方から見て反時計方向(図4の矢印B方向)に回転駆動される。」
(ウ)
「【0012】図3に示すように、中軸20は、中空円筒体20a及びその下端部に離脱自在に連結されたジョイント部20bを含んでいる。ジョイント部20bにはその軸線と共通の軸線を有する貫通孔(縦孔)21が形成されている。上外翼支持体24は、ジョイント部20bに軸受30及び32を介して回転自在に支持された環状の主支持部材34と、主支持部材34の上部に重合・連結された環状の部材35及び36と、主支持部材34の下部に重合・連結された環状の部材37及び38とを備えている。部材35及び37とジョイント部20bの外周面との間には複数のパッキン及びOリングが介在され、部材36及び38とジョイント部20bの外周面との間には複数のOリングが介在されている。上外翼支持体24の潤滑部にはグリスが封入されるよう構成されている。図3から明らかなように、上外翼支持体24は、ジョイント部20bに対し回転自在であるが軸方向には移動できないよう支持されている。外軸22は中空円筒体22aを含み、中空円筒体22aの下端は、上外翼支持体24の部材36の上端部に離脱自在に連結されている。したがって、外軸22は上外翼支持体24を含み、上外翼支持体24は外軸22の下端部を規定している。
【0013】図2に示すように、ジョイント部20bの下方には中軸20の一部を構成する中空軸20cが離脱自在に連結され、更に、中空軸20cの下端には他のジョイント部20dが離脱自在に連結されている。ジョイント部20dには前記下外翼支持体28が回転自在に支持され、ジョイント部20dの最下端部に前記削孔刃体26が離脱自在に装着されている。ジョイント部20bの、上外翼支持体24より下方の部分、中空軸20c及びジョイント部20dは、中軸20の前記延出部分を規定している。下外翼支持体28は上外翼支持体24と実質上同一の構成を有しているので、説明は省略する。なお、中軸20の前記貫通孔21を含む中空部は固化材の流路を規定している。この流路には、中軸20の上端部に設けられた図示しないスイベルジョイントを介して固化材が供給されるよう構成されている。この固化材は中軸20の下端部に設けられた図示しない吐出口から吐出される。中軸20における固化材の供給、吐出に関する前記のような構成は周知である。
【0014】主として図2及び図4を参照して、中軸20の前記延出部分の外周面には、一対の水平翼40と、一対の水平翼42とからなる内翼が取り付けられている。水平翼40の各々は、矩形の板状部材からなり、中軸20の外周面から互いに反対方向にかつ水平に延出するよう、それぞれの一端が該外周面に固定されている。各水平翼40に対して軸方向下方に位置する水平翼42は、各水平翼40と実質上同一の構成を有し、同様な形態でそれぞれの一端が該外周面に固定されている。各水平翼40及び42はそれぞれ、攪拌機14の貫入時における中軸20の回転方向(時計方向)に向かって下方に傾斜して取り付けられている。
【0015】次に、外軸22の下端部に連結され、それと一体に回転する外翼50について説明する。52はそれぞれ実質上同一の構成をなす三つの縦翼であって、それぞれ細長い板状部材から形成されている。54は周方向に間隔を置いて配置された三つの上水平翼であって、縦翼52の各々の上端部と上外翼支持体24との間を離脱自在にかつそれぞれ半径方向の長さを変えることができるよう連結している。56は周方向に間隔を置いて配置された三つの下水平翼であって、縦翼52の各々の下端部と下外翼支持体28との間を離脱自在にかつそれぞれ半径方向の長さを変えることができるよう連結している。」
(エ)
「【0019】次に、以上のように構成された攪拌機14を備えた地盤改良装置2の作用について説明する。図1、図2及び図4を参照して、先ず、地盤改良装置2は所定の位置に移動させられ、据え付けが行なわれる。駆動装置8によって、掘削軸12の中軸20を時計方向に、また外軸22を反時計方向にそれぞれ回転させながら攪拌機14を降下させて地盤Gに貫入させる。地盤Gの掘削は、中軸20の下端に装着され、攪拌機14の最下端を規定する削孔刃体26が時計方向に回転しながら地盤Gに作用することにより遂行される。なおこの掘削作業時には、中軸20の下端に設けられた図示しない吐出口から固化材(この実施の形態ではセメント系固化材)が吐出される。削孔刃体26により掘削された掘削土は、次に、削孔刃体26の上部に位置する外翼50及び内翼(40、42)からなる攪拌部分により固化材と攪拌・混練される。内翼である水平翼40及び42は削孔刃体26と一体的に時計方向に回転し、外翼50の縦翼52、上水平翼54、中間水平翼58及び下水平翼56は反時計方向に回転するので、前記攪拌作用は効果的に遂行される。以上のようにして、削孔刃体26を含む攪拌機14は所定深さまで地盤Gを掘削、攪拌・混練して垂直孔18を形成する。
【0020】次いで中軸20及び外軸22をそれぞれ前記と逆方向に回転させながら攪拌機14を垂直孔18から引き抜く。この引抜きの際には固化材の供給は停止される。以上により地盤中には強固な改良柱体が造成される。」
イ 上記記載から、甲第1号証には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア)上記ア(エ)より、甲第1号証には、「地盤改良装置2」に関して、「地盤Gの掘削は、中軸20の下端に装着され、攪拌機14の最下端を規定する削孔刃体26が時計方向に回転しながら地盤Gに作用することにより遂行」される、という技術的事項が記載されている。
また、同じく上記ア(エ)より、甲第1号証には、「掘削作業時には、中軸20の下端に設けられた吐出口から固化材が吐出され、削孔刃体26を含む攪拌機14は所定深さまで地盤Gを掘削、攪拌・混練して垂直孔18を形成し、次いで中軸20及び外軸22をそれぞれ前記と逆方向に回転させながら、固化材の供給は停止して攪拌機14を垂直孔18から引き抜くことで、地盤中に強固な改良柱体が造成される」という技術的事項も記載されている。
(イ)上記ア(イ)より、甲第1号証には、「掘削軸12」は、「中軸20」を含んでおり、「中軸20の最下端部には削孔刃体26が装着されており、攪拌機14の貫入時(掘削時)には、中軸20は、駆動装置8によって上方から見て時計方向に回転駆動」される、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(イ)より、甲第1号証には、「掘削軸12」は、「中軸20の外周に対し間隔を置いて配置された円筒状の外軸22」も含んでおり、「中軸20は外軸22の下端部から下方に延び出る延出部分を有するよう配置」されており、「攪拌機14の貫入時(掘削時)には、外軸22は、上方から見て反時計方向に回転駆動」される、という技術的事項も記載されている。
(ウ)
上記ア(ウ)の段落【0014】より、甲第1号証には、「中軸20の延出部分の外周面には、一対の水平翼40と、一対の水平翼42とからなる内翼が取り付けられ」ている、という技術的事項が記載されている。
(エ)
上記ア(ウ)の段落【0012】、【0013】及び【0015】より、甲第1号証には、「外軸22」は「外軸22の下端部を規定する上外翼支持体24」を含み、「上外翼支持体24より下方のジョイント部20dには下外翼支持体28が支持」される、という技術的事項が記載されている。
また、同じく上記ア(ウ)の段落【0012】、【0013】及び【0015】より、甲第1号証には、「外軸22と一体に回転する外翼50」が、「縦翼52と、縦翼52の上端と上外翼支持体24との間を連結する上水平翼54と、縦翼52の下端と下外翼支持体28との間を連結する下水平翼56と」を備える、という技術的事項も記載されている。
(オ)
上記ア(ウ)の段落【0013】より、甲第1号証には、「中軸20の中空部は、中軸20の下端部の吐出口に固化材を供給する流路を規定している」、という技術的事項が記載されている。
ウ 甲第1号証に記載された発明の認定
甲第1号証には、上記ア及びイを踏まえると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「地盤Gの掘削は、中軸20の下端に装着され、攪拌機14の最下端を規定する削孔刃体26が時計方向に回転しながら地盤Gに作用することにより遂行され、
掘削作業時には、中軸20の下端に設けられた吐出口から固化材が吐出され、削孔刃体26を含む攪拌機14は所定深さまで地盤Gを掘削、攪拌・混練して垂直孔18を形成し、次いで中軸20及び外軸22をそれぞれ前記と逆方向に回転させながら、固化材の供給は停止して攪拌機14を垂直孔18から引き抜くことで、地盤中に強固な改良柱体が造成される、地盤改良装置2であって、
掘削軸12は、中軸20を含んでおり、中軸20の最下端部には削孔刃体26が装着されており、攪拌機14の貫入時(掘削時)には、中軸20は、駆動装置8によって上方から見て時計方向に回転駆動され、
掘削軸12は、中軸20の外周に対し間隔を置いて配置された円筒状の外軸22も含んでおり、中軸20は外軸22の下端部から下方に延び出る延出部分を有するよう配置されており、攪拌機14の貫入時(掘削時)には、外軸22は、上方から見て反時計方向に回転駆動され、
中軸20の延出部分の外周面には、一対の水平翼40と、一対の水平翼42とからなる内翼が取り付けられており、
外軸22は、外軸22の下端部を規定する上外翼支持体24を含み、上外翼支持体24より下方の中軸の延出部分には下外翼支持体28が支持され、
外軸22と一体に回転する外翼50は、縦翼52と、縦翼52の上端と上外翼支持体24との間を連結する上水平翼54と、縦翼52の下端と下外翼支持体28との間を連結する下水平翼56とを備え、
中軸20の中空部は、中軸20の下端部の吐出口に固化材を供給する流路を規定している、
地盤改良装置2。」
(3)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載
甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 掘削孔を穿設すると共に、同掘削孔内の掘削土を撹拌可能とした地盤改良装置の掘削軸構造において、
掘削軸を、内部に内側改良材供給流路を形成した内筒軸と、同内筒軸の外周に一定の間隔を開けて配置して、内筒軸との間に外側改良材供給流路を形成する中空の外筒軸とから形成し、
内筒軸の下端を外筒軸の下端よりも下方向へ伸延させて、同内筒軸の下端部外周面と外筒軸の下端部外周面との間に撹拌翼を跨架状に取付けると共に、内筒軸の下端に掘削刃体を取付けて、
掘削刃体の近傍に位置する内筒軸の下端部分に設けた改良材吐出部より内側改良材供給流路を通して改良材を吐出可能とし、かつ、撹拌翼の近傍に位置する外筒軸の下端部分に設けた改良材吐出部より外側改良材供給流路を通して改良材を吐出可能としたことを特徴とする地盤改良装置の掘削軸構造。」
(イ)
「【0015】
すなわち、掘削軸3は、図2~図5に示すように、内筒軸10の外周に外筒軸11を一定の間隔を開けて配置し、内筒軸10の下端を外筒軸11の下端よりも下方向へ伸延させて、同内筒軸10の下端部外周面と外筒軸11の下端部外周面との間に内外側二枚の撹拌翼12,13を跨架状に取付けると共に、内筒軸10の下端に掘削刃体14を取付けている。
【0016】
そして、内筒軸10と外筒軸11は、図3に示すように、駆動装置4により相対的に反対方向に回動するようにしており、内筒軸10の下端に取付けた掘削刃体14と、その直上方に配置した内側の撹拌翼12とを内筒軸10と一体的に同一方向に回動させる一方、外側の撹拌翼13を外筒軸11と一体的に内側の撹拌翼12等とは反対方向に回動させて、掘削刃体14により掘削孔Hを穿設すると共に、内外側の撹拌翼12,13により同掘削孔H内の掘削土を撹拌可能としている。
【0017】
しかも、図2及び図3に示すように、内筒軸10内には内側改良材供給流路形成管15を同一軸芯線上に配置して、同流路形成管15の上端に上側スイベルジョイント5を介して改良材供給装置7を接続すると共に、同流路形成管15の下端を内筒軸10の下端に設けた改良材吐出部16に接続して、同流路形成管15内に形成される内側改良材供給流路17を通して改良材を改良材吐出部16より下方向へ吐出可能としている。
【0018】
さらには、内筒軸10の外周面と外筒軸11の内周面との間には、図4及び図5に示すように、干渉防止管18を同一軸芯線上に配置して、同干渉防止管18の一部と、外筒軸11の外周面に張設した円弧状筒体形成片19aと、両端筒体形成片19b,19bとにより流路形成用筒体19を形成し、同筒体19の上端を下側スイベルジョイント6に設けた改良材供給接続部20に接続すると共に、同筒体19の下端を外筒軸11の下端部に設けた改良材吐出部21に接続して、同筒体19内に形成される外側改良材供給流路22を通して改良材を改良材吐出部21より横方向(外筒軸11の半径方向)へ吐出可能としている。25は閉塞片、26は閉塞Cリングである。」
(ウ)
「【0021】
上記のように構成した土壌改良装置Aによる土壌改良作業は、次のようにして行なう。
【0022】
すなわち、ベースマシン1を移動させて掘削孔Hを穿設する位置に掘削軸3を位置させ、掘削刃体14と撹拌翼12,13を回転させながら、掘削軸3を降下させて地盤G中に掘進させることにより、一定深さの掘削孔Hを穿設する。
【0023】
次いで、掘削刃体14と撹拌翼12,13とを回転させながら掘削軸3を上昇させると共に、掘削軸3の内筒軸10内に形成した内側改良材供給流路17を通して改良材を内筒軸10の下端部分に設けた改良材吐出部16より下方向へ向けて吐出させる一方、内筒軸10と外筒軸11との間に形成した外側改良材供給流路22を通して改良材を外筒軸11の下端部分に設けた改良材吐出部21より横側方へ向けて吐出させて、撹拌翼12,13により掘削土と改良材とを撹拌して混和させることにより、同改良材により掘削土を固化させる。
【0024】
この際、改良材は、掘削刃体14の近傍に位置する内筒軸10の下端部分に設けた改良材吐出部16と、撹拌翼12,13の近傍に位置する外筒軸11の下端部分に設けた改良材吐出部21とから、それぞれ吐出させるようにしているために、掘削孔H中の掘削土を撹拌翼12,13により確実かつ均一に改良材と混和することができて、地盤改良を効率よく行なうことができる。」
イ 甲第2号証に記載された発明の認定
甲第2号証には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「内筒軸10の外周に外筒軸11を一定の間隔を開けて配置した、掘削軸3を有し、
内筒軸10の下端を外筒軸11の下端よりも下方向へ伸延させて、同内筒軸10の下端部外周面と外筒軸11の下端部外周面との間に撹拌翼12,13を跨架状に取付けると共に、
内筒軸10の下端に掘削刃体14を取付けており、
内筒軸10と外筒軸11とは、相対的に反対方向に回動するようにした、
地盤改良装置において、
内筒軸10内に配置した内側改良材供給流路17を通して、内筒軸10の下端に設けた改良材吐出部16より、改良材を下方向へ吐出可能とし、
内筒軸10の外周面と外筒軸11の内周面との間に配置した外側改良材供給流路22を通して、外筒軸11の下端部に設けた改良材吐出部21より、改良材を横方向へ吐出可能とし、
土壌改良作業は、
掘削刃体14と撹拌翼12,13を回転させながら掘削軸3を降下させて、一定深さの掘削孔Hを穿設し、
次いで、掘削刃体14と撹拌翼12,13とを回転させながら掘削軸3を上昇させると共に、改良材を、掘削刃体14の近傍に位置する内筒軸10の下端部分に設けた改良材吐出部16より下方向へ向けて吐出させる一方、内筒軸10の下端部外周面と外筒軸11の下端部外周面との間に跨架状に取付けた撹拌翼12,13の近傍に位置し、外筒軸11の下端部分に設けた改良材吐出部21より横側方へ向けて吐出させる、
地盤改良装置。」
(4)甲第3号証
ア 甲第3号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0021】
前記掘削翼16は、図1及び図3に示すように、前記掘削ロッド16の回転により地盤を掘削する複数のビット23と、前記流路を介して固化材を吐出する吐出口24と、この吐出口24内への掘削土の進入を防止する逆止弁39とを備えている。」
(イ)
「【0037】
また、本発明は、図11に示すように、各段の両攪拌翼19毎に延設位置が周方向に90度ずれている攪拌装置40にも適用することができる。この場合にも任意の攪拌翼19に採取器が着脱自在に取り付けられている(図11では、最下段の下側の攪拌翼19に開閉自在に取り付けられている。)。」
(ウ)
図1及び図3には、地盤改良用撹拌装置10の掘削翼17の回転軸となる部材の周面に、吐出口24が設けられた様子が図示されている。
(エ)
図11には、地盤改良用撹拌装置10のハウジング22の外周面に、周方向に90度ずれて各段の攪拌翼19が設けられた様子が図示されている。
イ 甲第3号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「地盤改良用撹拌装置10の掘削翼17の回転軸となる部材の周面に、固化材を吐出する吐出口24を設けるとともに、ハウジング22の外周面に、周方向に90度ずれて各段の攪拌翼19が設けること。」
(5)甲第4号証
ア 甲第4号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0010】図示実施例は軟弱地盤の改良において、先行掘削による削孔土壌を削孔部位とは別の部位に設置されたバッチャープラントに於て改良材としてのセメントと混合攪拌して改良土(混練土)とし、再び、当該削孔内に圧送充填して削孔土壌と置換的に充填させて経時的に固化させ、ソイルセメントコラムを形成させる態様であり、当該改良対象地盤1の所定部位に図3に示す様に、図10の在来態様同様に、所定の台車2を搬入セットし、併せて、該台車2にその所定範囲内に近接して混合プラント7を設置し、図1,図2,図3,図4に示すオーガー4を台車2のリーダー3に沿って吊設し、上部の所定の静圧付与、及び、回転駆動付与装置5により供されて所定に削孔を掘削し、掘削土壌を排土プラント6' を介し固った土壌を壊砕、又は、分離除去した後、パイプ、又は、ホース輸送により流量計16を介し混合プラント7の所定の混合攪拌槽17にてサイロ8からの改良材としてのセメントを供給装置18を介しミキサーにより均一に混合攪拌して圧送ポンプ10' を介し、パイプ、又は、ホース11' によりオーガー4の上部に設けられたスイーベルジョイント12を介し、該オーガー4のシャンク13' に圧送し、その先端のノズル45より改良土14のジェットを削孔土壌内に置換的に充填して改良土14の基礎杭を形成するようにした施工を行うものであり、オーガー4は図1,図2の上部オーガー4' と図3,図4に示す下部オーガー4''から成り、該上部オーガー4' は上端部のスイーベルジョイント12と接合する連結穴48を有するジョイント41に接続する内部に輸送通路を有する中空タイプのシャンク13' はその下端に連結穴48を有する下部ジョイント42を増径状にして一体的に有し上端から下端にかけ1条スクリュウのスパイラルフイン43が螺設されてあり、更に、該スパイラルフイン43には所定間隔で薄板状のパドル44,44…が一体的に溶接固定されて外延されている。
【0011】この場合、スパイラルフイン43とパドル44とはノズル45から供給される水と掘削土壌とを特にパドル44によって土壌を壊砕し、攪拌してスラリー化すると共に、壊砕出来ない土塊をスパイラルフイン43の外側に押しやり、スラリー化した掘削土壌を該スパイラルフイン43により上昇させる。」
(イ)
「【0031】而して、図8,図9に示す実施例においては上部オーガー4' の変形例であってオーガー4''が上部、或いは、下部にスパイラルフイン43を、又、逆に下部、或いは、上部にパドル44,44…を一体的に分離して設けた態様であり、該スパイラルフイン43、及び、パドル44,44…が共に掘削土壌の水との混合攪拌,土砂の壊砕、及び、掘削土壌スラリーの上昇、並びに、沈下防止を図る機能は上述実施例同様であり、又、設計変更的にはパドル44に部分的ながらスパイラル状のひねりを付与し、スパイラルフイン43と協働する機能を有するようにしても良い。」
(ウ)
図1及び図8には、上部オーガーにおいて、パドル44をシャンク13’の周面から螺旋階段状に配置した様子が、図示されている。
イ 甲第4号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「掘削を行うオーガーにおいて、パドル44をシャンク13’の周面から螺旋階段状に配置すること。」
(6)甲第5号証
ア 甲第5号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「2 実用新案登録請求の範囲
1.基端部が掘削機の回転駆動機構に連結され先端に掘削ヘッドが取付けられるシャフト部と、このシャフト部の先端部外周に設けられ前記掘削ヘッドの正回転時に掘削土を基端部側へ送る螺旋状のスクリュー羽根と、前記シャフト部の外周の略全域にわたって間欠的に設けられ前記スクリュー羽根とは逆向きの螺旋状をなすスクリュー羽根と、前記スクリュー羽根間に位置して前記シャフト部の外周に突設された掘削土撹拌用の翼片とを具備してなる掘削ロッド。」
(イ)
「上記実施例では、翼片20をシャフト部17回りに90°間隔で設けるようにしたが、第5図に示すように、翼片24をシャフト部17回りに例えば120°間隔で設けるようにしても良い。」(明細書第11頁11行~14行)
(ウ)
第1図~第5図には、掘削ロッドのシャフト部17の周面に、90°間隔又は120°間隔で螺旋階段状に翼片20又は24を配置した様子が、図示されている。
イ 甲第5号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「掘削ロッドのシャフト部17の周面に、90°間隔又は120°間隔で螺旋階段状に翼片20又は24を配置すること。」
(7)甲第6号証
ア 甲第6号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「2.実用新案登録請求の範囲
先端に掘削ヘッドが取付けられた中空掘削軸と、該掘削軸に外嵌され且つ外周面に攪拌羽根が取付けられた中空攪拌軸がそれぞれ回転駆動可能に設けられてなるオーガマシンにおいて、上記掘削軸の外周に、該掘削軸が中空攪拌軸の内壁で支持されるためのメタル軸受が軸方向に螺旋状に突設されてなるアースオーガ。」
(イ)
第1図及び第2図には、攪拌羽根6が、攪拌軸7上に左右互い違いに設けられた様子が図示されている。
また第1図には、セメントミルク吐出口9が、掘削軸5の下端に設けられた様子が、側面図で図示されている。
イ 甲第6号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「掘削を行うアースオーガにおいて、攪拌羽根6を、攪拌軸7上に左右互い違いに設けるとともに、セメントミルク吐出口9を、掘削軸5の下端に設けること。」
(8)甲第7号証
ア 甲第7号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0036】図1に示すAは、本発明に係る地盤改良装置であり、同地盤改良装置Aは、ベースマシン1と固化材供給部2とを装備している。」
(イ)
「【0039】掘削軸体7は、図2及び図3にも示すように、上下方向に伸延させて形成した筒状の内側軸20と、同内側軸20の外周を囲繞する状態に上下方向に伸延させて形成した筒状の外側軸21とから内外側二重軸構造に構成しており、内側軸20と外側軸21は、駆動用モータ6により二重反転歯車機構8を介して同一軸芯廻りに相互に反対方向に回転するようにしている。
【0040】そして、内側軸20中には上下方向に伸延させて形成した筒状体22を挿通して、同筒状体22中に内側固化材供給路23を形成する一方、同筒状体22の外周面と内側軸20の内周面との間に外側固化材供給路24を形成している。
【0041】しかも、内側軸20の上端部には連通路(図示せず)を形成して、同連通路を介して内側固化材供給路23と外側固化材供給路24とを連通させ、固化材供給ホース11を通して供給される固化材を、内側固化材供給路23と外側固化材供給路24とに分流させて供給することができるようにしている。
【0042】ここで、内側軸20の下端部には刃体取付体13を介して掘削刃体10を取り付けており、同刃体取付体13に第1固化材吐出部29を設けている。
【0043】そして、第1固化材吐出部29は、筒状に形成した刃体取付体13の周壁に円形状の第1固化材吐出孔29aを形成し、同第1固化材吐出孔29aを内側固化材供給路23に接続して、同内側固化材供給路23を通して供給される固化材は、第1固化材吐出孔29aより直下方へ向けて吐出されるようにしている。」
(ウ)
「【0052】また、内側撹拌翼27には、固化材を吐出する第2固化材吐出部32を設けており、以下にかかる第2固化材吐出部32について説明する。
【0053】すなわち、図2及び図3に示すように、内側撹拌翼27の縦翼片27cと中間横翼片27dとの交差部には第2固化材吐出部32を設けており、同第2固化材吐出部32は、縦翼片27cの背面(回転方向側の面とは反対側の面)に上下方向に伸延する第2固化材吐出縦長孔32aを形成すると共に、中間横翼片27dの背面(回転方向側の面とは反対側の面)に水平方向に伸延する第2固化材吐出横長孔32bを形成して、両孔32a,32bをT字状に連通させている。
【0054】そして、第2固化材吐出縦・横長孔32a,32bは、中間横翼片27d中に形成した固化材導入路33を通して外側固化材供給路24に接続している。」
(エ)
「【0063】上記のような構成において、本発明の要旨は、図2及び図3に示すように、内・外側撹拌翼27,28の横断面幅を中央部27e,28eから回転方向側の端面27f,27g,28f,28gに向けて漸次細幅に形成して、内側面をテーパー面27h,27i,28h,28iとなしたことにある。」
イ 甲第7号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「地盤改良装置Aにおいて、内・外側撹拌翼27,28の横断面幅を中央部27e,28eから回転方向側の端面27f,27g,28f,28gに向けて漸次細幅に形成して、内側面をテーパー面27h,27i,28h,28iとなすとともに、筒状に形成した刃体取付体13の周壁に円形状の第1固化材吐出孔29aを形成し、内側撹拌翼27には、固化材を吐出する第2固化材吐出部32を設けること。」
(9)甲第8号証
ア 甲第8号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0054】
(a0)は本発明の地盤改良装置1の先端部分を示しており、この例では、掘削撹拌ヘッド2の先端に掘削翼3、その上方に端部をつないだ上下2枚の共回り防止翼4、上下の共回り防止翼4間に撹拌翼5が1段、上側の共回り防止翼4の上方に2段配設され、掘削撹拌ヘッド2の上方にスクリューロッド7が接続されている。
【0055】
掘削撹拌ヘッド2の先端の掘削翼3の高さに下吐出口6が設けられ、スクリューロッド7の外周に設けられたらせん状のスクリュー翼8の下端の直下に上吐出口9が設けられている。」
(イ)
図2には、「下吐出口6」が、掘削翼3の回転軸となる部材上の周面に設けられた様子が、側面図で図示されている。
イ 甲第8号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「地盤改良装置1において、スクリューロッド7の外周にらせん状のスクリュー翼8を設け、スクリュー翼8の下端の直下に上吐出口9を設け、掘削撹拌ヘッド2の先端の掘削翼3の高さに下吐出口6を設けること。」
(10)甲第9号証
ア 甲第9号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【技術の概要】
本技術は、独自に開発した撹拌装置、施工装置、および未固化ソイルセメント採取器等を用いて高品質なソイルセメントコラムを築造するスラリー系機械撹拌式深層混合処理工法である。本工法の特徴は、地盤状況や施工機の仕様に合わせて4種類の撹拌装置を使い分けること、および撹拌装置の上部にもスラリー吐出弁を装着することで、引き上げ時にもスラリーを注入しながらの混合撹拌を可能としていることである。」
イ 甲第9号証には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「撹拌装置において、撹拌装置の上部にもスラリー吐出弁を設けることで、引き上げ時にもスラリーを注入しながらの混合撹拌を可能とすること。」
(11)甲第10号証
ア 甲第10号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
図4-4には、「上下吐出型標準施工サイクル図」と題された図が示されている。
同図中には、地盤に対する掘削機の位置、及び地盤中の切削孔の状態が、左から右に向かって11段階、示されている。また、11段階の状態中、隣り合う2つの状態の間は、「空掘、土抜き」が行われたことを示す青線、「混合攪拌+注入液吐出」が行われたことを示す赤線、「混合攪拌」が行われたことを示す緑線の、いずれかで結ばれている。線の上下位置は、左から9番目の状態を除き、全て掘削機の下端の「下部吐出口」の箇所と合致しており、左から9番目の状態のみ掘削機の下端とずれて「上部吐出口」の箇所と合致している。図の下方には、11段階の状態を遷移する間にどのような作業が行われたかについて、「引上攪拌(逆転)」等の付記がされている。
以下、同図の左から順に、11段階の状態を、便宜上「状態1」「状態2」等という。
状態6から状態7; 掘削機の絵は下降して切削孔の最深部に至る。その間は「混合攪拌+注入液吐出」の赤線が斜め下に向かって、状態7の切削孔最深部まで引かれている。下方には、「下部吐出口による注入 混合攪拌 (正転)」と付記されている。
状態7から状態8; 掘削機の絵は切削孔の最深部にとどまっている。その間は「混合攪拌」の緑線が水平に、切削孔の最深部に引かれている。下方には、「先端停止 20秒攪拌(適宜)」と付記されている。
状態8から状態9; 掘削機の絵は切削孔の最深部にとどまっているが、その間は「混合攪拌」の緑線が斜め上に向かって引かれており、状態9では掘削機の「上部吐出口」の位置まで上がっている。下方には、「引上攪拌(逆点)」と付記されている。
状態9から状態11まで; 掘削機の絵は上昇している。その間は「混合攪拌+注入液吐出」の赤線が斜め上に向かって引かれている。状態9で掘削機の絵の下端からずれた線の位置は、状態10及び11では再び掘削機の下端の「下部吐出口」の位置と合致している。下方には、「上部吐出口による注入混合攪拌(逆点)」と付記されている。」
(イ)
図4-8(b)には、「先端処理の例」「上下吐出型の施工例」と題された図が示されている。
中央に折れ線グラフ、グラフの左側に掘削機の絵、グラフの右側に切削孔の絵が示されている。
折れ線グラフは、左上端の始点及び右端の終点を含めて、折れ線の色または傾きが変わる点を7点、直線で結んでいる。
以下、始点を1として、左から順に「点1」、「点2」等という。
点1から点2; 地表の始点1から切削孔最深度の点2まで、「セメントスラリー吐出時」を示す青線が、斜め下方に向かって引かれている。グラフ内の下方には「掘削速度1.5m/min」と付記され、グラフ外には「先端練り返し部の引上速度1.5m/min」と付記されている。
点2から点3; 最深度の点2から掘削機の絵の「上部吐出口」の高さの点3まで、「混合撹拌時」を示す黒線が、斜め上方に向かって引かれている。グラフ内下方の付記、グラフ外の付記はない。
点3から点4; 掘削機の絵の「上部吐出口」の高さの点3から最深度の点4まで、「セメントスラリー吐出時」を示す青線が、斜め下方に向かって引かれている。グラフ内下方の付記、グラフ外の付記はない。
点4から点5; 最深度の点4から最深度の点5まで、「混合撹拌時」を示す黒線が、水平に引かれている。グラフ内下方には、「20秒」の付記がある。グラフ外には「先端練返し部の掘進速度1.5m/min」の付記がある。
点5から点6; 最深度の点5から掘削機の絵の「上部吐出口」の高さの点6まで、「混合撹拌時」を示す黒線が、斜め上方に向かって引かれている。グラフ内下方には「引上速度1.5m/min」の付記が、グラフ外には「先端練返し部の掘進速度1.5m/min」の付記がある。
点6から点7; 掘削機の絵の「上部吐出口」の高さの点6から右上端の終点7まで、「セメントスラリー吐出時」を示す青線が、斜め上方に向かって引かれている。グラフ内下方には「引上速度1.5m/min」の付記が、グラフ外には「先端練返し部の掘進速度1.5m/min」の付記がある。
イ 上記記載から、甲第10号証には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「掘削機により最深度まで掘削を行ったあと、掘削機を引上げながら撹拌を行うこと。その際、少なくとも途中からは「上部吐出口による注入混合攪拌」を行うこと。」
ただし、いずれの図中にも絵や付記に不整合な点があること、図4-4,図4-8のいずれにも最深度から「引上攪拌」のみを行っている変化段階が示されていることから、「上部吐出口」による吐出を最深度から開始することを示しているかは不明である。
(12)甲第11号証
甲第11号証には、パソコン画面のハードコピーと思われるカラー画像上で、左側1/3までの上下方向中央部に、甲第10号証の図4-4の右3/4程度の範囲に類似した図が示され、中央部の小さな白色ウィンドウ内に「Webページからのメッセージ」として「07/11/2017 11:06:41」と日時が表示されている。
(13)参考資料1
ア 参考資料1には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【請求項1】
上下方向に伸延する掘削軸体と、同掘削軸体の下端部より半径方向に伸延させて形成した掘削刃体とを具備する地盤改良装置において、
掘削刃体にその伸延方向に沿って改良材吐出流路を設け、同改良材吐出流路を通して改良材を掘削刃体の伸延幅の略全幅にわたって吐出させるようにしたことを特徴とする地盤改良装置。」
(イ)
「【0040】
〔第1実施例〕
第1実施例としての改良材吐出構造は、図2~図4に示すように、二個の各掘削刃本体10a中にその伸延方向に沿って改良材吐出流路40を形成し、各改良材吐出流路40に連通させて掘削刃本体10aの後端縁部に改良材吐出口41を形成すると共に、各改良材吐出口41は、掘削刃本体10aの伸延幅の略全幅にわたって伸延させてスリット状に形成している。
【0041】
しかも、各改良材吐出口41は、掘削刃本体10aの基端部側より先端部側に向けて上下幅を漸次広幅に形成して、掘削刃本体10aの基端部側より先端部側にいくにしたがって改良材が流出し易いようにして、同改良材吐出口41の伸延幅の全幅より略均等に改良材Kが吐出されるようにしている。Qは、掘削刃体10の回転軌跡である。
【0042】
さらには、二個の掘削刃本体10a,10a中にそれぞれ形成した改良材吐出流路40,40は、一方を第2改良材供給路r2に連通させると共に、他方を第3改良材供給路r3に連通させている。
【0043】
このようにして、第2改良材供給路r2→改良材吐出流路40→改良材吐出口41より改良材を吐出させると共に、第3改良材供給路r3→改良材吐出流路40→改良材吐出口41より改良材を吐出させるようにして、各改良材吐出口41,41より改良材を偏りなく確実に吐出させることができるようにしている。」
(ウ)
「【0058】
〔変容例〕
図10は、第1実施例としての地盤改良装置Aの変容例を示しており、かかる変容例としての地盤改良装置Aは、基本的構造を前記した第1実施例としての地盤改良装置Aと同じくしているが、掘削軸体7の下部周面に相対撹拌翼体9を取り付けた点において異なる。
【0059】
相対撹拌翼体9は、図11及び図12にも示すように、最内側撹拌翼26と、同最内側撹拌翼26の外周を相対的に反対方向に回転する内側撹拌翼27と、同内側撹拌翼27の外周を相対的に反対方向に回転する外側撹拌翼28とを具備しており、内側撹拌翼27と外側撹拌翼28は、略相似形に形成して、両撹拌翼27,28間に形成される間隙を、両撹拌翼27,28のほぼ全域にわたってほぼ等しい幅員となすことにより、掘削土壌の共回り現象を防止することができると共に、緻密な撹拌機能を発揮させることができるようにしている。」
(エ)
「【0065】
〔第5実施例〕
図13は、第5実施例としての改良材吐出構造を示しており、同改良材吐出構造は、前記した変容例として地盤改良装置Aの改良材吐出構造と基本的構造を同じくしているが、改良材吐出流路40を掘削刃体10とは別個に設けた改良材吐出体43中に形成した点において異なる。」
イ 参考資料1には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「上下方向に伸延する掘削軸体7と、同掘削軸体7の下端部より半径方向に伸延させて形成した掘削刃体10とを具備する地盤改良装置において、
掘削刃体10にその伸延方向に沿って改良材吐出流路40を設け、同改良材吐出流路40を通して改良材を掘削刃体の伸延幅の略全幅に設けた改良材吐出口41から吐出させるとともに、
掘削軸体7の下部周面に、最内側撹拌翼26と、同最内側撹拌翼26の外周を相対的に反対方向に回転する内側撹拌翼27と、同内側撹拌翼27の外周を相対的に反対方向に回転する外側撹拌翼28とからなる、相対撹拌翼体9を取り付けること。」
(14)参考資料2
ア 参考資料2には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0017】
次に、本発明の第1の実施の形態における固化処理杭造成装置を図1~図4を参照して説明する。固化処理杭造成装置10は、回転駆動手段により回転される中空の回転軸1と、回転軸1の下方に放射状に設けた1以上の撹拌翼2と、回転軸1の中空部に配設され、一端が地上の供給手段8aに接続される第1圧縮空気供給管3及び分岐の一端が地上の低減剤供給手段6に接続される撹拌抵抗を低減させる低減剤又は分岐の他端が地上の固化材供給手段7に接続される地盤を改良する固化材を供給する兼用供給管4と、兼用供給管4から導入される低減剤又は固化材を、第1圧縮空気供給管8aから導入される圧縮空気に同伴させて吐出する撹拌翼2内に付設される第1混合エジェクター5と、制御手段20とを備える。なお、低減剤及び固化材は共に、液状物として使用する。
【0018】
兼用供給管4の分岐点に設置される切替弁11は、切替えにより、兼用供給管4と低減剤供給手段6の接続、兼用供給管4と固化材供給手段7の接続及び兼用供給管4と低減剤供給手段6及び固化材供給手段7との接続を可能にしている。すなわち、切替弁11の切替えにより、兼用供給管4に、低減剤のみの供給、固化材のみの供給及び低減剤と固化材両方の供給と3通りの供給を可能にするものである。これにより、例えば、固化材のみを吐出中に、低減剤を吐出して、固化材と低減剤の双方の供給が可能となる。
【0019】
第1混合エジェクター5は、撹拌翼2内に設置されるが、特に、撹拌翼2の中央近傍に位置させ、且つ吐出口51を撹拌翼2の正回転方向前方に向けて付設することが、低減剤と圧縮空気の噴流物が撹拌翼の回転方向正面に位置する原位置土に高速でぶつけることができ、土の塊を粉砕する作用力が高まる点で好ましい。撹拌翼2の中央近傍とは、放射状に設けた撹拌翼2の放射方向(杭の径方向)における中央付近であり、多少の前後はあってもよい。また、第1混合エジェクター5は、上から見て撹拌翼内に納まる形状とすることが、撹拌翼2から突出する部分が無くなる点で好ましい。撹拌翼2から突出する部分があると、撹拌抵抗により損傷する恐れがでてくる。」
(イ)
図1,図5,図8には、地盤を改良する固化処理杭造成装置10の撹拌翼2の回転軸1から外側に外れた位置に、吐出口51が設けられた様子が、図示されている。
イ 参考資料2には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「地盤を改良する固化処理杭造成装置10において、撹拌翼2の回転軸1から外側に外れた位置に、吐出口51を設けること。」
(15)参考資料3
ア 参考資料3には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0022】以下に、本発明に係る地盤改良装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。」
(イ)
「【0033】
この撹拌翼16は、図4に示すように、地盤2の内部において掘削した土壌に向けて地盤改良材を注入するために、内側撹拌翼25の上部(内側撹拌翼上部片29)や中途部(内側撹拌翼中途部片30)や下部(内側撹拌翼下部片31)や、外側撹拌翼26の上部(外側撹拌翼上部片38)や中途部(外側撹拌翼中途部片39)や下部(外側撹拌翼下部片40)に地盤改良材注入口44~49を形成している。各地盤改良材注入口44~49は、地盤改良材供給機構6にそれぞれ注入装置50~55を介して接続されている。各注入装置50~55には、制御装置21が接続されており、制御装置21でそれぞれ独立して注入制御される。なお、地盤改良注入口43~48は、全てを設ける必要はなく、適宜選択して設けてもよく、また、掘削軸14や掘削翼15などに設けてもよい。」
(ウ)
「【0040】
さらに、内側撹拌翼25や外側撹拌翼26は、図5に示すように、水平断面形状を様々な形状とすることもできる。
【0041】
内側撹拌翼25や外側撹拌翼26の断面形状は、改良する地盤2の土壌性状などに応じて適宜選択することができる。たとえば、四角形断面は、砂質土等のように翼への付着が少なく翼通過に伴う土壌の分散範囲が広いような土壌において撹拌混合度を高めたい場合に適する。菱形断面は、粘着力の高い粘土地盤等のように回転速度を高めて翼への付着を防止し粘土塊の解砕を行いたい場合に適する。台形断面や三角形断面や半円弧断面は、翼の回転に伴って土壌を翼内に取り込み、周辺地盤への撒き出しや側方変位を防止したい場合に適する。直角三角形断面は、深度によって粘性土層と砂質土層とがあって回転方向を変えることでそれぞれの層を良好に撹拌混合させる必要がある場合に適する。
【0042】
また、断面形状を、図5(a)~(d)に示すように、回転軸の法線(図5中に一点鎖線で示す。)に対して左回り側の断面(図5中の一点鎖線よりも上側の断面)と右回り側の断面(図5中の一点鎖線よりも下側の断面)とが同一(対称)で、かつ、内周側の断面(図5中の二点鎖線よりも左側の断面)と外周側の断面(図5中の二点鎖線よりも右側の断面)とが同一(対称)の形状となるようにした場合には、回転する内側撹拌翼25や外側撹拌翼26において掘削した地盤2に面する形状(左回りに回転する場合は、図5中の一点鎖線よりも上側の断面の形状であり、右回りに回転する場合は、図5中の一点鎖線よりも下側の断面の形状である。)を内側撹拌翼25や外側撹拌翼26回転方向によらず同一の形状となる。この場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26をいずれの方向に回転させても同一の態様で掘削した地盤2の撹拌混合を行うことができる。また、この場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側と外周側とで同一の態様で掘削土を内周側に取り込み、外周側に撒き出すことになる。
【0043】
また、断面形状を図6(a)~(f)に示すように、回転軸の法線(図6中に一点鎖線で示す。)に対して左回り側の断面(図6中の一点鎖線よりも上側の断面)と右回り側の断面(図6中の一点鎖線よりも下側の断面)とが同一(対称)で、かつ、内周側の断面(図6中の二点鎖線よりも左側の断面)と外周側の断面(図6中の二点鎖線よりも右側の断面)とが異なる(非対称)の形状となるようにした場合には、回転する内側撹拌翼25や外側撹拌翼26において掘削した地盤2に面する形状(左回りに回転する場合は、図6中の一点鎖線よりも上側の断面の形状であり、右回りに回転する場合は、図6中の一点鎖線よりも下側の断面の形状である。)を内側撹拌翼25や外側撹拌翼26回転方向によらず同一の形状となる。この場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26をいずれの方向に回転させても同一の態様で掘削した地盤2の撹拌混合を行うことができる。また、この場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側と外周側とで異なる態様で掘削土を内周側に取り込み、外周側に撒き出すことになる。特に、図6(a)~(c)に示すように、外周側を平面状に形成するとともに内周側に膨出させた形状の場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側に掘削土を多く取り込み、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の外周側に掘削土を撒き出さないようにすることができる。この場合、外周側は、平坦面にした場合に限られず、円弧面にしてもよく、掘削面を均して滑らかにするいわゆるコテあてによる効果を発揮させることもできる。また、図6(d)~(f)に示すように、内周側を平面状に形成するとともに外周側に膨出させた形状の場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側に掘削土を取り込まず、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の外周側に掘削土を多く撒き出させることができる。この場合、掘削した土を掘削面に押圧して排土量を低減することができる。
【0044】
一方、断面形状を、図7(a)~(e)に示すように、回転軸の法線(図7中に一点鎖線で示す。)に対して左回り側の断面(図7中の一点鎖線よりも上側の断面)と右回り側の断面(図7中の一点鎖線よりも下側の断面)とが異なる(非対称な)形状となるようにした場合には、回転する内側撹拌翼25や外側撹拌翼26において掘削した地盤2に面する形状(左回りに回転する場合は、図7中の一点鎖線よりも上側の断面の形状であり、右回りに回転する場合は、図7中の一点鎖線よりも下側の断面の形状である。)を内側撹拌翼25や外側撹拌翼26回転方向によって異なる形状となる。この場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の回転方向によって異なる態様で撹拌混合を行うことができる。また、この場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の回転方向によって異なる態様で掘削土を内周側に取り込み、外周側に撒き出すことになる。特に、図7(d),(e)に示すように、左回り側の断面を先鋭形状とし、内周側を平面状に形成するとともに外周側に膨出させた形状の場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26を左回りに回転させたときに、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側に掘削土を取り込まず、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の外周側に掘削土を多く撒き出させることができ、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26を右回りに回転させたときに、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側及び外周側に掘削土を多く撒き出させて拡散させることができる。また、図7(f),(g)に示すように、左回り側の断面を先鋭形状とし、外周側を平面状に形成するとともに内周側に膨出させた形状の場合には、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26を左回りに回転させたときに、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側に掘削土を多く取り込み、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の外周側に掘削土を撒き出さないようにすることができ、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26を右回りに回転させたときに、内側撹拌翼25又は外側撹拌翼26の内周側及び外周側に掘削土を多く撒き出させて拡散させることができる。この場合も、外周側は、平坦面にした場合に限られず、円弧面にしてもよく、掘削面を均して滑らかにするいわゆるコテあてによる効果を発揮させることもできる。」
イ 参考資料3には、上記アを踏まえると、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「地盤改良装置において、内側撹拌翼25や外側撹拌翼26に地盤改良材注入口44~49を形成するとともに、内側撹拌翼25や外側撹拌翼26の水平断面形状を様々な形状とすること。」
4 判断
(1) 取消理由通知に記載した取消理由について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明において、「地盤Gの掘削は、中軸20の下端に装着され、攪拌機14の最下端を規定する削孔刃体26が時計方向に回転しながら地盤Gに作用することにより遂行」されることは、本件発明1における「地盤を削孔する作業」に相当する。また甲1発明において、「掘削作業時には、中軸20の下端に設けられた吐出口から固化材が吐出され、削孔刃体26を含む攪拌機14は所定深さまで地盤Gを掘削、攪拌・混練して垂直孔18を形成し、次いで中軸20及び外軸22をそれぞれ前記と逆方向に回転させながら、固化材の供給は停止して攪拌機14を垂直孔18から引き抜くことで、地盤中に強固な改良柱体が造成される」ことは、本件発明1における「地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業」に相当する。そして、甲1発明における「地盤改良装置2」は、本件発明1における「地盤改良装置」に相当する。
甲1発明において、「掘削軸12は、中軸20を含んでおり、中軸20の最下端部には削孔刃体26が装着されており、攪拌機14の貫入時(掘削時)には、中軸20は、駆動装置8によって上方から見て時計方向に回転駆動され」る点は、本件発明1が「削孔方向を回転軸として回転する、中軸」及び「前記中軸の下端に設ける、削孔刃体」を具備する点に相当する。また、甲1発明において「掘削軸12は、中軸20の外周に対し間隔を置いて配置された円筒状の外軸22も含んでおり、中軸20は外軸22の下端部から下方に延び出る延出部分を有するよう配置されており、攪拌機14の貫入時(掘削時)には、外軸22は、上方から見て反時計方向に回転駆動され」る点は、本件発明1が「前記中軸の外周との間で隙間を設けるように配置する円筒状の部材からなる外軸であって、該外軸の下端から前記中軸を露出するように構成し、前記中軸の回転方向と反対方向に回転する、外軸」を具備する点に相当する。
甲1発明において、「中軸20の延出部分の外周面には、一対の水平翼40と、一対の水平翼42とからなる内翼が取り付けられて」いる点は、本件発明1が、「前記中軸の周面から外側へと延伸してある、内翼」を具備する点に、相当する。
甲1発明において、「外軸22は、外軸22の下端部を規定する上外翼支持体24を含み、上外翼支持体24より下方の中軸の延出部分には下外翼支持体28が支持され」るとともに、これら「上外翼支持体24」及び「下外翼支持体28」に連結された「外翼50」が「外軸22と一体に回転する」ことは、本件発明1が「前記外軸よりも下方の位置で、上下に間隔を設けて配置してあり、前記外軸と共に回転するように取り付けてある、複数の支持体」を具備する点に相当する。また甲1発明が、「縦翼52と、縦翼52の上端と上外翼支持体24との間を連結する上水平翼54と、縦翼52の下端と下外翼支持体28との間を連結する下水平翼56とを備える」点は、本件発明1が「前記支持体の周面から外側へと延伸してある、外翼」及び「前記支持体に設けた外翼同士を上下につなぐように配置してある、縦翼」を具備する点に、相当する。
そして、甲1発明において「中軸20の下端に設けられた吐出口から固化材が吐出され」る点と、本件発明1において「削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けつつ、前記削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口」を具備する点とは、「削孔刃体の近傍に地盤改良材を吐出可能とした先端吐出口」を備えるという点で共通する。また、甲1発明において「中軸20の中空部は、中軸20の下端部の吐出口に固化材を供給する流路を規定している」点と、本件発明1において「前記外軸の下端部周辺に設け、前記先端吐出口への流路とは独立した流路でもって地盤改良材を吐出可能とした、上部吐出口」を具備する点とは、「先端吐出口への流路」を備えるという限度で共通する。
以上より、甲1発明と本件発明1とは、以下の点で一致する。
「地盤を削孔する作業と、地盤内に地盤改良材と土砂とを混合撹拌してなる改良体を造成する作業とを行うための地盤改良装置であって、
削孔方向を回転軸として回転する、中軸と、
前記中軸の周面から外側へと延伸してある、内翼と、
前記中軸の下端に設ける、削孔刃体と、
前記削孔刃体の近傍に地盤改良材を吐出可能とした先端吐出口と、
前記中軸の外周との間で隙間を設けるように配置する円筒状の部材からなる外軸であって、該外軸の下端から前記中軸を露出するように構成し、前記中軸の回転方向と反対方向に回転する、外軸と、
前記外軸よりも下方の位置で、上下に間隔を設けて配置してあり、前記外軸と共に回転するように取り付けてある、複数の支持体と、
前記支持体の周面から外側へと延伸してある、外翼と、
前記支持体に設けた外翼同士を上下につなぐように配置してある、縦翼と、
前記先端吐出口への流路と、
を具備する、地盤改良装置。」
そして両者は、以下の点で相違する。
【相違点1】
本件発明1では、「先端吐出口」が「前記削孔刃体の近傍または該削孔刃体と一体化するように設けつつ、前記削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした」ものであるとともに、「外軸の下端周辺に設け、前記先端吐出口への流路とは独立した流路でもって地盤改良材を吐出可能とした、上部吐出口」を併せて具備する、
のに対し、
甲1発明では、そうなっていない点。
(イ)判断
甲1発明は、上記相違点1の構成を有しておらず、甲第1号証には本件発明1の相違点1に係る構成は記載も示唆もされていない。
ここで、甲2発明は、掘削軸の中筒軸と外筒軸とが互いに反対方向に回転するという点で、甲1発明と共通する地盤改良装置において、内筒軸10の下端部に「改良材吐出部16」を、内筒軸10の下端部外周面と外筒軸11の下端部外周面との間に跨架状に取付けた撹拌翼12,13の近傍である外筒軸11の下端部分に「改良材吐出部21」を設け、「改良材吐出部16」に対しては「内側改良材供給流路17」を通して、また「改良材吐出部21」に対しては「外側改良材供給流路22」を通して、各々改良材を供給する、というものである。
すなわち甲2発明は、相違点1に係る構成のうち、「削孔刃体の近傍」に設けた「先端吐出口」と、「外軸の下端周辺」に設け「先端吐出口への流路とは独立した流路」を用いる「上部吐出口」とを、併せて具備する構成に相当する。
しかしながら、甲2発明の「改良材吐出部16」は、「内筒軸10の下端」に設けられており、改良材を「下方」に吐出するものであるから、甲1発明に甲2発明を適用しても、相違点1に係る本件発明1の構成のうち、「先端吐出部」が「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置」から削孔液または地盤改良材を「横方向に」吐出可能である、という構成には至らない。
また、甲2発明の「改良材吐出部21」が設けられる箇所は、「内筒軸10の下端部外周面と外筒軸11の下端部外周面」との間に「跨架状に取付け」られた「撹拌翼12,13」の「近傍」である「外筒軸11の下端部分」であり、図3の具体例で見ると撹拌翼12,13が上下方向に延在する範囲の略中央である。これに対して、甲1発明の「外軸22」は、「上外翼支持体24」が「下端部を規定」しており、図2の具体例で見ても「外軸22」の下端が撹拌を行う「縦翼52」の上下方向存在範囲まで届いていない。そのため、甲1発明に甲2発明を適用する際には、本件発明1の「上部吐出口」に対応する甲2発明の「改良材吐出部21」を追加する位置について、「外軸22」の下端より下の「縦翼52」による撹拌領域とするのか、「外軸22」の下端位置を変更して「外軸22の下端周辺」がすなわち「縦翼22」による上下方向撹拌領域と一致するようにするのか等について、検討が必要となる。
ここにおいて、甲1発明において甲2発明の構成を採用しつつ、「上部吐出口」の配置位置を、相違点1に係る構成の如く「外軸よりも下方の位置」にある「複数の支持体」及び該「支持体」に連結された「外翼」「縦翼」等の撹拌領域より上の「外軸の下端周辺」とする一方、同時に「先端吐出口」については、甲2発明における「改良材吐出部16」と配置の位置及び向きを変更して、相違点1に係る構成の如く「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置」から「横方向に」吐出を行うものに変更することは、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されておらず、示唆されているということもできない。
また、甲1発明に甲2発明を適用したうえで、上述したような変更を重ねることは、その他の甲号証等の証拠を考慮しても、示唆されていたということができない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2ないし5について
本件発明2ないし5は、いずれも本件発明1の構成を全て含み、本件発明1をさらに限定したものである。
そして、訂正前の請求項3に係る発明に関する周知技術として検討した甲第3号証ないし甲第6号証、訂正前の請求項4に係る発明に関して併せて検討した甲第7号証、訂正前の請求項5に係る発明について併せて検討した甲第8号証のいずれにも、上記アで検討した相違点1に係る本件発明1の構成に至る記載や示唆は、見いだせない。
したがって、本件発明2ないし5も、甲1発明及び甲2発明、甲第3号証ないし甲第6号証に示される周知技術、並びに甲第7号証及び甲第8号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1ないし5のいずれかの地盤改良装置を用いた、地盤改良方法である。
そして、上記アで検討した相違点1に係る本件発明1の地盤改良装置の構成に至る記載や示唆は、訂正前の請求項6に係る発明について検討した甲第9号証、及び甲第10号証にも見いだせない。
なお、甲第10号証はインターネット・ウェブサイトの情報であるが、申立人の提出した証拠説明書によると、甲第10号証自体の出力日が平成30年4月11日とされる一方、同ウェブサイトの更新日が本件出願前の平成29年7月11日であったことをjavascriptを用いて表示したとする甲第11号証の出力日は、平成30年1月15日とされている。そのため、平成30年4月15日に出力された甲第10号証のインターネット・ウェブサイトは、同ウェブサイトの更新日を出力したとする平成30年1月15日より後に、平成30年4月15日までの間に再度更新された可能性があり、甲第10号証の内容が本件出願日である平成29年8月25日より前に公知であった内容と同一であるとの確証はない。
また、仮に甲第10号証の内容が本件出願日より前に公知であった内容と同一であったとしても、甲第10号証は上記3(11)に示したとおり、図4-4,図4-8のいずれにも不整合な点があるとともに、最深度から「引上攪拌」のみを行っている変化段階が示されていることから、訂正によって限定された「(D)最深度から前記上部吐出口による地盤改良材の吐出を行いながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合攪拌を行う工程」が記載されているということはできない。
したがって、本件発明6も、甲1発明及び甲2発明、甲第3号証ないし甲第6号証に示される周知技術、並びに甲第7号証ないし甲第10号証に記載された発明に基いて、本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
上記ア~ウのとおり、本件発明1ないし6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によって、取り消されるべきものではない。
(2)申立人の意見について
申立人は、平成30年10月11日付け意見書(以下、「意見書」という。)において、訂正により限定された事項は周知技術であるから、本件発明1ないし6に係る発明は進歩性を有さず、取り消されるべきである旨を主張している。
ア 本件発明1について
(ア)申立人の主張
申立人は、本件発明1の「削孔刃体の回転軸」とは中軸の中心点を結んだ中心線そのものであり、該中心線上にない吐出口であれば、訂正により限定された「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置」にある吐出口に該当する、と主張している。
そして、甲第2号証には段落【0023】に「改良材を外筒軸11の下端部分に設けた改良材吐出部21より横方向へ向けて吐出させ」と記載されているから、「削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とする」ことが示唆されている旨を主張している。
また、甲第3号証には、図1及び図3に、掘削翼17の円筒形状部分の側壁に円形孔状の「吐出口24」が形成された構成が図示されているから、「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口」が示されている旨を主張している。
同様に、甲第6号証の第1図には、掘削ヘッド4の「セメントミルク吐出口9」が側面図中に図示されており、甲第8号証の図2にも、掘削ヘッド2の先端の掘削翼3の高さに、「下吐出口6」が側面図中で図示されているから、甲第6号証及び甲第8号証にも「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口」が示されている旨を主張している。
さらに、同意見書とともに提出した参考資料1には、請求項1に「上下方向に伸延する掘削軸体と、同掘削軸体の下端部より半径方向に伸延させて形成した掘削刃体とを具備する地盤改良装置において、掘削刃体にその伸延方向に沿って改良材吐出流路を設け、同改良材吐出流路を通して改良材を掘削刃体の伸延幅の略全幅にわたって吐出させるようにしたことを特徴とする地盤改良装置。」と記載され、また図2,図3,図5,図6~図9にも、回転軸から外側に偏移した位置から横方向に固化材を吐出可能とした「改良材吐出口41」が示されている旨を主張している。
また、同意見書とともに提出した参考資料2にも、段落【0019】に「第1混合エジェクター5は、撹拌翼2内に設置されるが、特に、撹拌翼2の中央近傍に位置させ、且つ吐出口51を撹拌翼2の正回転方向前方に向けて付設する」と記載され、また図1,図3,図5,図8にも、回転軸から外側に偏移した位置から横方向に固化材を吐出可能とした「吐出口5」が図示されている旨を主張している。
そのうえで、申立人は、これらの証拠に示されるとおり、訂正により限定された「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とする」点は周知技術であるから、本件発明1は進歩性を有さず、取り消されるべきである旨を主張している(意見書第2頁下から9行~第4頁下から5行)。
(イ)判断
上記(1)ア(ア)に示したとおり、甲1発明は本件発明1の相違点1に係る構成を有さず、当該相違点1に係る構成は上記(1)ア(イ)に指摘したとおり、当業者にとって想到容易ということができない。
申立人は、本件発明1の「削孔刃体の回転軸」とは中軸の中心点を結んだ中心線そのものであり、該中心線上から少しでも外れた位置にある吐出口は「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置」にある吐出口に該当する旨を主張している。しかしながら、当該訂正の根拠となった図1を見ても、「先端吐出口40」は削孔刃体30の回転軸となる中軸10より大きく外側に外れた位置に設けられているから、本件発明1における「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口」とは、少なくとも削孔刃体の回転軸となる部材よりも外側に偏移した位置にあると解することが妥当である。
そして、申立人が(ア)に主張する、甲第3号証の図1及び図3が示す「吐出口24」、甲第6号証の第1図が示す「セメントミルク吐出口9」、甲第8号証の図2が示す「下吐出口6」は、いずれも回転しながら削孔を行う刃体部分に対してその回転軸となる部材上に吐出口を設けたものであるから、甲1発明に甲2発明を適用しつつ、しかも相違点1に係る「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置から削孔液または地盤改良材を横方向に吐出可能とした、先端吐出口」という構成へと改変を行うことを示唆するものとは言えない。
また、申立人が(ア)に主張する、甲第2号証の段落【0023】の「改良材を外筒軸11の下端部分に設けた改良材吐出部21より横方向へ向けて吐出させ」という記載は、甲2発明が有する2つの吐出口のうち、「外筒軸11の下端」から「攪拌翼12,13」に向かって吐出を行う「改良材吐出部21」に関する記述であり、「内筒軸10の下端部分に設けた改良材吐出部16」の吐出方向については、同段落に「下方向」であると記載されている。そのため、当該段落【0023】の記載が、甲1発明に甲2発明を適用しつつ、「下方向」に吐出を行っている「内筒軸10の下端部分に設けた改良材吐出部16」の吐出方向を「横方向」に変更し、しかも当該吐出部16の位置を「削孔刃体の回転軸から外側に偏移した位置」へと変更することを、示唆しているということはできない。
申立人が(ア)に主張する、参考資料1の請求項1及び図2,図3,図5,図6~図9には、掘削刃体10の延伸幅の略全幅にわたって改良材吐出口41を設けることが記載されているが、その他の記載を総合しても、改良材吐出口は内側軸20の下端部に設けた掘削刃体10の近傍に存在するのみで、外軸の下端周辺により上方の別途の吐出口を有したうえで、掘削刃体10の延伸幅の略全幅に改良材吐出口41を設ける記載はない。そのため、甲1発明に甲2発明を適用したうえで、さらに相違点1に係る本件発明1の構成の如く「先端吐出口」と「上部吐出口」とを調整することを示唆しているということはできない。また、甲1発明に直接参考資料1に記載された発明を適用して、本件発明1の構成に至るものでもない。
申立人が(ア)に主張する、参考資料2の段落【0019】及び図1,図3,図5,図8等には、「吐出口51」が撹拌翼2の回転軸1から外れた箇所に設ける例が示されているが、その他の記載を総合しても、「吐出口51」より上方に離間した箇所に別途の吐出口を有したうえで、「吐出口51」をそのように配置することは記載されていない。そのため、甲1発明に甲2発明を適用したうえで、さらに相違点1に係る本件発明1の構成の如く「先端吐出口」と「上部吐出口」とを調整することを示唆しているということはできず、また甲1発明に直接参考資料2に記載された発明を適用して、本件発明1の構成に至るものでもない。
したがって、申立人の主張を考慮しても、本件発明1が甲1発明、甲2発明及び申立人が主張する証拠に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 本件発明2~5について
(ア)申立人の主張
申立人は意見書において、本件発明2~3は本件発明1に従属する発明であり、訂正により限定された本件発明1が上記ア(ア)のとおり進歩性を有さないから、本件発明1の限定により限定された本件発明2~3も進歩性を有さない旨を主張している。
また、本件発明4において訂正によりさらに限定された「先細部の内側が円弧面である」という点は、甲第7号証の図2及び図3ならびに参考資料3の段落【0040】及び図5(c),(d),図6(c),図7(c)に示唆されているから、訂正により限定された本件発明4も進歩性を有さない旨を主張している。
そして、本件発明5は本件発明1~4に従属し、本件発明1において訂正で限定された点、または本件発明1及び4において訂正で限定された点で限定されているが、当該限定された本件発明1~4が進歩性を有さないから、訂正により限定された本件発明5も進歩性を有さない旨を主張している。(意見書第4頁下から4行~第5頁下から3行)。
(イ)判断
しかしながら、上記ア(イ)に検討したとおり、本件発明1について、申立人の意見書による主張を考慮しても、甲1発明、甲2発明及び申立人が主張する証拠に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明1に従属する本件発明2~5についても、申立人が主張する証拠に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 本件発明6について
(ア)申立人の主張
申立人は意見書において、訂正により本件発明1が限定された点は上記ア(ア)のとおり周知技術である旨を主張している。
そのうえで、訂正により本件発明6が限定された「最深度地点から上部吐出口による地盤改良材の吐出を行いながら、地盤改良装置を引抜きつつ混合撹拌を行う工程」も、甲第9号証及び甲第10号証に示されるとおり本件出願日前に周知技術であったから、訂正後の本件発明1に従属する本件発明6も、進歩性を有さない旨を主張している。(意見書第5頁下から2行~第7頁最終行)。
(イ)判断
しかしながら、上記ア(イ)に検討したとおり、本件発明1について、申立人の意見書による主張を考慮しても、甲1発明、甲2発明及び申立人が主張する証拠に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明1に従属する本件発明6についても、申立人が主張する証拠に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
また、本件発明6における限定事項が本件出願前の周知技術であるかという点についても、甲第9号証の記載は、単に「撹拌装置の上部にもスラリー吐出弁を装着することで、引上げ時にもスラリーを注入しながらの混合撹拌を可能としている。」というだけのものであり、引上げ時には必ずスラリーが吐出されることを示したものではないから、「最深度地点から」スラリーを吐出しながら引抜きつつ混合撹拌を行うことを示しているということはできない。
一方、甲第10号証については、上記(1)ウに指摘したとおり、申立人が言及する図4-4及び図4-8(b)中の付記や絵の相互に整合しない箇所があるとともに、いずれの図にも最深度から「引上撹拌」のみを行った後に「吐出」と引上げながらの「撹拌」とに移行すると見られる記載が存在することから(図4-4の状態8から状態9への「引上撹拌(逆点)」の付記、及び斜め上に向かう緑色の線、及び、図4-8(b)の「20秒」の静止の後の「引上速度1.5m/min」の領域における「混合撹拌時」を示す黒の斜め線部分を参照)、甲第10号証が「最深度地点から」上部吐出口による吐出及び装置を引上げながらの混合撹拌を行うことを、適切に示しているということはできない。それだけでなく、上記(1)ウに指摘したとおり、平成30年4月15日に出力された甲第10号証のインターネット・ウェブサイトは、同ウェブサイトの更新日を出力したとする平成30年1月15日より後に、平成30年4月15日までの間に再度更新された可能性があり、甲第10号証の内容が本件出願日である平成29年8月25日より前に公知であった内容と同一であるとの確証もない。
したがって、申立人の意見書における主張を考慮しても、本件発明6について、申立人が主張する証拠に記載された発明及び周知技術に基いて、本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-700323