特許異議申立
2018-700240
空気清浄機
- 審判番号
- 2018-700240
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-556387
- 登録番号
- 特許第6202219号(P6202219)
- 請求日
- 2018年03月23日
- 審決日
- 2018年11月02日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】高田 守
- 【権利者代理人】高橋 英樹
- 【権利者代理人】小澤 次郎
- 【異議申立人】鈴木 里美
- 審判長/審判官
- 審判長 紀本 孝
- 審判官 宮崎 賢司
- 審判官 佐々木 正章
- 分類
- P1652.113-YAA(F24F) / P1652.121-YAA(F24F) / P1652.161-YAA(F24F) / P1652.537-YAA(F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第184条の4第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6202219号発明「空気清浄機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6202219号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
特許第6202219号の請求項1~5、請求項9、請求項10、請求項12に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6202219号の請求項1~12に係る特許についての出願は、2015年6月29日(優先権主張2014年10月31日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年9月8日にその特許権の設定登録がされ、平成29年9月27日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~5、9、10、12に係る特許について、平成30年3月23日に特許異議申立人鈴木里美により特許異議の申立てがされ、当審は、平成30年6月4日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成30年8月3日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、特許異議申立人鈴木里美は、平成30年9月20日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成30年8月3日の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6202219号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。下線は、訂正箇所を示す。)の内容は、以下のとおりである。
(訂正事項1)
請求項1に係る「空気を送風するように構成された送風機と、前記送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段と、」を「ケーシングと、空気を送風するように構成された送風機と、前記送風機により送風される空気を前記ケーシング内で清浄化するように構成された清浄化手段と、」に訂正し、「前記ガス検出器により前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化する空気清浄機。」を「前記ガス検出器により前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機。」に訂正する。
(訂正事項2)
請求項2に係る「紫外線を検出するように構成された光検出器と、」を「室内の紫外線を検出するように構成された光検出器と、」に訂正し、「前記光検出器により前記紫外線が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化する空気清浄機。」を「前記光検出器により前記紫外線が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機。」に訂正する。
(訂正事項3)
発明の詳細な説明の段落【0007】の「本発明に係る空気清浄機は、空気を送風するように構成された送風機と、送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段と、」を「本発明に係る空気清浄機は、ケーシングと、空気を送風するように構成された送風機と、送風機により送風される空気をケーシング内で清浄化するように構成された清浄化手段と、」に訂正し、「ガス検出器により活性種が検出されたときに、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化する。」を「ガス検出器により活性種が検出されたときに、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする。」に訂正する。
(訂正事項4)
発明の詳細な説明の段落【0007】の「紫外線を検出するように構成された光検出器と、」を「室内の紫外線を検出するように構成された光検出器と、」に訂正し、「光検出器により紫外線が検出されたときに、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化する。」を「光検出器により紫外線が検出されたときに、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする。」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、請求項1の空気清浄機がケーシングを備えることを特定するとともに、清浄化手段について、前記ケーシング内で清浄化するものに限定し、さらに、ガス検出器により活性種が検出されたときの、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態の変化について、空気清浄化能力を高くするものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項1を直接又は間接に引用する請求項3、5~12についても、同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、上記アのとおりであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
本件特許明細書の段落0013の「ケーシング1の上面部には、清浄化手段5により清浄化された空気を吹出す略四角形状の吹出口3が設けられている。」という記載、段落0015の「清浄化手段5は、ケーシング1内を流れる空気を清浄化するように構成されたクリーナーである。清浄化手段5は、吸込口2と吹出口3との間に設けられている。」、「詳しく述べると、清浄化手段5は、集塵フィルタ、脱臭フィルタ、電圧印加デバイス等の機器により構成されるか、これらの機器を組み合わせることにより構成されている。」という記載からみて、本件特許明細書には、「前記送風機により送風される空気を前記ケーシング内で清浄化するように構成された清浄化手段」が記載されているといえる。
また、本件特許明細書の段落0023の「空気清浄化能力アップ運転は、当該運転の非実行時と比較して、空気清浄機の空気清浄化能力を高くするものであり、換言すれば、清浄化手段5により汚染物質を除去、不活性化、分解、吸着する速度を高くする運転モードである。汚染物質は、前述のように、空気中の粒子、煙、花粉、ウイルス、カビ、菌、アレルゲン、臭気物質、イオン、ラジカル、光化学反応物等により構成される。空気清浄化能力アップ運転では、例えば送風機4の回転数を増加させ、ケーシング1の内部に吸込む空気の量を増加させることにより、清浄化手段5を通過する風量を増加させてもよい。これにより、除去・不活性化する速度を高速化することができる。」という記載、段落0029の「ステップS110に移行し、活性種検出手段8により室内の活性種を検出する。続いて、ステップS112では、活性種検出手段8の検出結果に基いて、活性種の有無を判定する。ステップS112の判定が成立した場合には、室内に活性種が存在するので、ステップS114に移行し、空気清浄化能力アップ運転を実行する。」という記載からみて、本件特許明細書には、「前記ガス検出器により前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機」が記載されているといえる。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、請求項2の空気清浄機において、光検出器で検出する紫外線について、室内の紫外線に限定し、さらに、光検出器により紫外線が検出されたときの清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態の変化について、空気清浄化能力を高くするものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項2を直接又は間接に引用する請求項4、9、12についても、同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、上記アのとおりであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
本件特許明細書の段落0017の「光検出手段7は、室内の光の強度を検出するもので、例えばフォトダイオードにより光を検出するセンサ、または、紫外線を検出するUVセンサ等により構成されている。」という記載からみて、本件特許明細書には、「室内の紫外線を検出するように構成された光検出器」が記載されているといえる。
また、上記(1)ウと同様、本件特許明細書の段落0023、0029の記載からみて、本件特許明細書には、「前記光検出器により前記紫外線が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機」が記載されているといえる。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正事項1に伴って、本件特許明細書の対応する記載を同様に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
上記(1)ウのとおり、訂正事項3も、訂正事項1と同様、本件特許明細書の段落0011~0015、0023、0029の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正事項2に伴って、本件特許明細書の対応する記載を同様に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
上記(2)ウのとおり、訂正事項4も、訂正事項2と同様、本件特許明細書の段落0017、0023、0029の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(5)請求項6~8、11についての独立特許要件について
特許異議の申立てがされていない請求項6~8、11について、本件訂正1により特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がなされたから、独立特許要件について検討する。
請求項6~8、11に係る発明は、請求項1に係る発明を更に減縮したものであるところ、後述のとおり「第4」、「第5」に示す取消理由によって、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
よって、請求項6~8、11に係る発明も同様に、同取消理由によっては、特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえない。
また、他に請求項6~8、11に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、請求項6~8、11についての訂正は、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第7項に適合するものである。
(6)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~12〕についての訂正を認める。
第3 訂正後の本件発明
上記のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正請求により訂正された請求項1~5、9、10、12に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明5」、「本件発明9」、「本件発明10」、「本件発明12」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5、9、10、12に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
本件発明1「ケーシングと、
空気を送風するように構成された送風機と、
前記送風機により送風される空気を前記ケーシング内で清浄化するように構成された清浄化手段と、
活性種を含むガスを検出するように構成されたガス検出器と、を備え、
前記ガス検出器により前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機。」
本件発明2「空気を送風するように構成された送風機と、
前記送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段と、
室内の紫外線を検出するように構成された光検出器と、を備え、
前記光検出器により前記紫外線が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機。」
本件発明3「前記ガス検出器の検出結果に基いて前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方を制御するコントローラを備えた請求項1に記載の空気清浄機。」
本件発明4「前記光検出器の検出結果に基いて前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方を制御するコントローラを備えた請求項2に記載の空気清浄機。」
本件発明5「光を検出するように構成された光検出器と、
前記ガス検出器及び前記光検出器の検出結果に基いて前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方を制御するコントローラと、
を備えた請求項1に記載の空気清浄機。」
本件発明9「前記清浄化手段は、少なくとも臭気物質を清浄化する機能を備えた請求項3から8のうち何れか1項に記載の空気清浄機。」
本件発明10「前記清浄化手段により清浄化された空気を吹出す吹出口と、
前記吹出口を回転させる回転機構と、を備え、
前記コントローラは、空気清浄機の空気清浄化能力を高くするときに、前記回転機構を駆動して前記吹出口を回転させる請求項6から8のうち何れか1項に記載の空気清浄機。」
本件発明12「前記コントローラは時計機能を備え、室内に日光が入る前の時刻に前記検出結果に基いて空気清浄機の運転を制御する請求項3から11のうち何れか1項に記載の空気清浄機。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1~5、9、10、12に係る特許に対して、当審が平成30年6月4日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)サポート要件
訂正前の請求項1に係る発明は、ガス検出器により活性種が検出されたときに、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化する空気清浄機であるところ、駆動状態の変化としては、空気清浄化能力を高くすることだけではなく、空気清浄能力を低くすることも含まれる。しかし、空気清浄機の空気清浄化能力を低くするような実施形態は発明の詳細な説明に記載されていないし、そのような場合には発明の課題が解決できないことが明らかである。訂正前の請求項2~5,9,12に係る発明についても同様である。
よって、本件請求項1~5,9,12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2)新規性
本件特許の請求項1、3、9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(3)進歩性
本件特許の請求項1、3、9、12に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(4)拡大先願
本件特許の請求項2、4に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開された外国語特許出願である下記の引用出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「先願の当初明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が引用出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が引用出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである(同法第184条の13参照)。
記
引用文献:特開2012-34771号公報
引用出願:PCT/KR2014/11758号(国際公開第2015/88174号、特表2017-503162号公報)
2 取消理由についての当審の判断
(1)サポート要件について
ア 本件訂正により、本件発明1~5,9,12の空気清浄機の、清浄化手段と送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化することについて、空気清浄化能力を高くすることが特定されたので、当該取消理由は解消した。
イ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、平成30年9月20日提出の意見書(第2、3頁)において、「また、本件特許発明の明細書の段落【0024】には、『また、清浄化手段5に電圧印加デバイスを搭載している場合には、空気清浄化能力アップ運転において、電圧印加デバイスに印加する電圧を高くすることにより、汚染物質を除去・不活性化する速度を増加させてもよい。』と記載されています。そして、上記の電圧印加デバイスは、引用発明1に記載されているオゾン生成器を含みます。なぜならば、引用発明1に記載のオゾン生成器は、電圧を印加することにより、電極間で放電させ生ずるプラズマによりオゾンを生成する機器であるためです。
従いまして、訂正後の本件特許発明1は、活性種がオゾンであり、清浄化手段がオゾン生成器である態様を含んでいます。この態様では、ガス検出器によりオゾンが検出されたときに、オゾン生成器の駆動状態が変化して、オゾンの生成量を増やすことにより、空気清浄化能力を高くします。すなわち、オゾンが検出されると、オゾンの量が増加し続けることになってしまいます。」と主張する。
しかし、請求項1には、「オゾンの量が増加し続ける」ことは記載されていないし、オゾン濃度が所定値以上高くなると人の健康に悪影響を及ぼすという出願時の技術常識を踏まえると、本件発明1が、健康に悪影響を与えてもなお「オゾンの量が増加し続ける」空気清浄機を含むとは解されない。
よって、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。
ウ 以上のことから、本件発明1~5,9,12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえない。
(2)新規性及び進歩性について
ア 甲1に記載の発明
甲1には、以下の記載がある(なお、下線は理解の一助のために当審で付与した。)。
(ア)「【0012】
図1はオゾン滅菌装置1の外観図、図2はオゾン濃度制御装置3の正面図、図3はオゾン濃度制御装置3の側面図、図4はオゾン滅菌装置1の構成図である。
オゾン滅菌装置1は、オゾン発生装置2およびオゾン濃度制御装置3で構成される。
オゾン発生装置2は、オゾン生成器、ファンおよび入力部12等が金属製のケースに収容されて形成される。オゾン生成器は、電極間で放電させ生ずるプラズマによりオゾンを生成させるオゾン発生体である。オゾン生成器として短波長紫外線を発するオゾンランプを使用してもよい。オゾン生成器には、公知の技術を利用することができる。」
(イ)「【0013】
ファンは、オゾン発生体に空気を送り込み、発生したオゾンが含まれる空気を、前面の吹き出し口13から室内に送り出すものである。また、ファンは、オゾン発生体の表面に空気を送ることによりオゾン発生体の過熱を防止する役割も果たす。
入力部12は、信号・電源ケーブル4を通じて送られるオゾン濃度制御装置3からの制御信号によってオゾン生成器およびファンへの電源の供給および停止を行う、デジタルリレー等で形成される。」
(ウ)「【0015】
オゾン濃度制御装置3は、オゾン滅菌装置1が置かれた空間(部屋)のオゾン濃度に応じて、オゾン発生体の稼働およびファンの稼働を制御するためのものである。」
(エ)「【0016】
オゾン濃度検出部14は、空気中のオゾンの濃度を検出する機能を有し、感ガス素子としてインジウム-スズ複合酸化物が用いられた半導体センサである。」
(オ)「【0021】
オゾン滅菌装置1による室内空間の除菌(滅菌)処理は、通常、オゾン濃度検出部14が検出するオゾン濃度が、ロータリースイッチ11により設定された上限値と下限値の範囲に収まるように、オゾン濃度制御装置3がオゾン生成器の起動および停止を交互に繰り返すことにより行われる。ファンは、オゾン生成器の起動と同時に起動され、オゾン生成器が停止された場合には、オゾン生成器が停止した後に、演算部16の内部タイマーにより所定時間経過後に停止される。オゾン滅菌装置1は、殺菌目的だけではなく、脱臭目的にも使用される。
【0022】
オゾン滅菌装置1は、ロータリースイッチ11によって、オゾン濃度の管理(制御)における上限値および下限値に種々の値を設定できる。そのため、オゾン滅菌装置1は、例えば開業医院の待合室に設置する場合に、小児科、産婦人科等の抵抗力の弱い人が集まる場所ではオゾン濃度の上限値を低くし、例えば人の滞在時間が短くかつ脱臭等を行いたいトイレには、オゾンの上限値を高くする等、設置環境に応じた最適なオゾン濃度の管理を簡便に行うことができる。」
(カ)「【0026】
オゾン滅菌装置1は、このようなオゾン生成器の頻繁な起動、停止を防止し、電力消費量を削減するために、オゾン発生装置2の稼働を次のように行わせる。
図6はオゾン濃度制御装置3によるオゾン発生装置2の制御のフローチャートである。
オゾン滅菌装置1は、オゾン発生装置2の電源スイッチ22を入れることにより起動される。オゾン発生装置2は、オゾン生成器およびファンが稼働を開始し、吹き出し口13から生成したオゾンを含む空気が室内に送り出される。同時に、オゾン濃度制御装置3のパイロットランプが点灯される。オゾン濃度検出部14は、オゾン滅菌装置1が設置された空間(部屋)のオゾン濃度を測定し、測定したオゾン濃度がロータリースイッチ11で設定された制御上限値に達したら、オゾン生成器を停止させる。この後、パイロットランプ21は、測定したオゾン濃度が制御上限値を超える間点滅され、オゾン濃度が制御上限値を下回ったときに消灯される。
(キ)「【0033】
サンプリングされたオゾン濃度Csがオゾン濃度の制御下限値よりも低い場合(S8でNO)、オゾン濃度制御装置3は、オゾン生成器およびファンを起動させ(S9)、パイロットランプ21を点灯させる。
以後、オゾン生成器は、オゾン濃度検出部14が検出するオゾン濃度が制御上限値を超えるまで稼働する(S10,S11)。」
(ク)「
図1
」
(ケ)「
図4
」
(コ)「
図6
」
以上の記載を総合すると、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「ケースと、
空気を室内に送り出すファンと、
室内空間の除菌(滅菌)、脱臭を行うためのオゾンを生成するオゾン生成器と、
空気中のオゾンの濃度を検出するオゾン濃度検出部14と、を備え、
前記オゾン濃度検出部14により検出するオゾン濃度が、設定された上限値と下限値の範囲に収まるように、オゾン生成器の起動および停止を交互に繰り返し、オゾン生成器の起動と同時にファンを起動するオゾン滅菌装置1。」が記載されている。
イ 対比
本件発明1と、甲1発明とを対比する。
甲1発明の「オゾン滅菌装置1」は、本件発明1の「空気清浄機」に相当し、甲1発明の「ケース」は、本件発明1の「ケーシング」に相当する。
甲1発明の「空気を室内に送り出すファン」は、本件発明1の「空気を送風するように構成された送風機」に相当する。
甲1発明の「オゾン」は、本件発明1の「活性種」に相当する。
甲1発明の「室内空間の除菌(滅菌)、脱臭を行うためのオゾンを生成するオゾン生成器」は、本件発明1にいう「前記送風機により送風される空気」を「清浄化するように構成された清浄化手段」であるという限りにおいて一致する。
甲1発明の「空気中のオゾンの濃度を検出するオゾン濃度検出部14」は、少なくともオゾンを含むガスを検出しているのであるから、本件発明1の「活性種を含むガスを検出するように構成されたガス検出器」に相当する。
したがって、本件発明1と、甲1発明は、以下の点で一致し、以下の点で少なくとも相違する。
(一致点)
「ケーシングと、
空気を送風するように構成された送風機と、
前記送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段と、
活性種を含むガスを検出するように構成されたガス検出器と、を備えた空気清浄機。」
(相違点1)
本件発明1は、「前記ガス検出器により前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする」のに対して、甲1発明は、「前記オゾン濃度検出部14により検出するオゾン濃度が、設定された上限値と下限値の範囲に収まるように、オゾン生成器の起動および停止を交互に繰り返し、オゾン生成器の起動と同時にファンを起動する」点。
(相違点2)
本件発明1の清浄化手段は、送風機により送風される空気を、ケーシング内で清浄化するように構成されているのに対して、甲1発明のオゾン生成器は、オゾンの生成により、室内空間の除菌(滅菌)、脱臭を行う点。
ウ 当審の判断
相違点1について検討する。
甲1発明の、オゾンの濃度が上限値と下限値の範囲に収まるようにオゾン生成器の起動及び停止を繰り返すことは、オゾンの濃度を所定範囲内に維持するものであるから、本件発明1の「前記ガス検出器により前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする」こととは、実質的に異なる動作である。
よって、相違点1は、実質的な相違点である。
そして、オゾンを検出したときに、オゾン生成器の能力を高くすることが周知であるという証拠がない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
エ 小括
以上のことから、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
ゆえに、本件発明1についての特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえない。
オ 本件発明3、9、12について
本件発明3は、本件発明1を更に減縮したものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
ゆえに、本件発明3についての特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえない。
本件発明9は、本件発明1又は本件発明2を更に減縮したものであるところ、本件発明1について上記エのとおりであり、本件発明2について新規性及び進歩性の取消理由が通知されなかったことを踏まえると、本件発明9についての特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえない。
また、本件発明12は、本件発明1又は本件発明2を更に減縮したものであるところ、本件発明1について上記エのとおりであり、本件発明2について新規性及び進歩性の取消理由が通知されなかったことを踏まえると、本件発明12についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
(3)拡大先願について
ア 先願の当初明細書等の記載
先願の当初明細書等には、以下の記載がある(なお、先願の当初明細書等の記載事項として、対応する公表特許公報である特表2017-503162号公報(特許異議申立人が甲第2号証としたものであり、以下、「甲2」という。)の記載事項を示す。また、下線は理解の一助のために当審で付与した。)。
(ア)「【0025】
【図1】本発明の一実施例によるバイオセンサーの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例による空気清浄機の構成を示す概略図である。」
(イ)「【0028】
まず、図1を参照して、本発明の一実施例によるバイオセンサーについて見る。ここで、図1は本発明の一実施例によるバイオセンサーの構成を示す概略図である。
【0029】
図1に示されているように、本発明の一実施例によるバイオセンサー100は、流路部110、光照射部120、紫外線感知部130、及び散乱光感知部140を含み、上記流路部110の入口側に備えられる空気加熱部150をさらに含むことができる。
【0030】
上記流路部110は、内側に外部空気が流入されて流動することができる空気流動経路を構成することができる。
【0031】
このような流路部110の内側には、後述する光照射部120、紫外線感知部130、散乱光感知部140、及び空気加熱部150を備えることができる。」
(ウ)「【0033】
上記光照射部120は、流路部110の内側に流入された空気中に光を照射することができる。」
(エ)「【0038】
上記紫外線感知部130は、光照射部120で照射した光が空気中の浮遊細菌にぶつかって散乱された紫外線を感知することができる。
【0039】
参考までに、光が浮遊細菌にぶつかると、光が単に折れて散乱される現像に加えて紫外線が散乱される現像を生じる。
【0040】
これにより、上記紫外線感知部130は、浮遊細菌によって散乱された紫外線を感知して、空気中の細菌濃度を測定することができる。
【0041】
一実施例において、紫外線感知部130は、E.Coli(大腸菌)及びSubstilusのような浮遊細菌によって散乱される紫外線の波長に対応して、300nm~360nmの波長の光に対する感応力に優れた紫外線感知装置で構成することができるが、これに限定されるものではない。」
(オ)「【0043】
一方、紫外線感知部130は、感知した紫外線の感知量を電気信号に変換して外部要素に伝達することができる。ここで、上記外部要素は、図2を参照して後述する本発明の一実施例による空気清浄機200に備えられる制御部270とすることができる。」
(カ)「【0055】
図2に示されているように、本発明の一実施例による空気清浄機200は、ハウジング210、送風部220、殺菌部230、制御部270、及びバイオセンサー100を含み、加湿部250、除湿部240、及び空気浄化フィルタ260をさらに含むことができる。」
(キ)「【0057】
また、図面に示されてはいないが、このようなハウジング210は、一側の空気流入部及び他側の空気吐出部を備え、後述する送風部220の駆動によって空気が空気流入部を通じてハウジング210の内部に流入された後、空気吐出部を通じて外部に排出できるように構成される。」
(ク)「【0060】
上記殺菌部230は、ハウジング210の内部に備えられ、ハウジング210の内部に流入された空気を殺菌することができる。」
(ケ)「【0077】
一方、このような本発明の一実施例による空気清浄機200において、制御部270は、紫外線感知部130で感知される紫外線の有無に応じて殺菌部230を作動させることができる。
【0078】
即ち、紫外線感知部130で紫外線が感知される場合は室内空気中に浮遊細菌が存在することを意味するため、制御部270は、紫外線感知部130の電気信号を受けて殺菌部230及び送風部220を作動させることにより、室内空気が殺菌されるようにすることができる。」
(コ)「【0084】
また、紫外線感知部130で紫外線が感知され、散乱光感知部140で散乱光も感知される場合、制御部270は、送風部220及び殺菌部230を作動させ、送風部220の風量を増加させることにより、室内空気の殺菌及び浄化が高い水準で行われるようにすることができる。」
(サ)「
図1
」
(シ)「
図2
」
以上の記載を総合すると、甲2には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
「送風部220と、
前記送風部220により送風される空気を殺菌する殺菌部230と、
ハウジング210に収容された流路部110の内側に備える光照射部120で照射した光が浮遊細菌にぶつかって散乱された紫外線を感知する紫外線感知部130と、
前記紫外線感知部130で紫外線が感知される場合、前記殺菌部230を作動させ、前記送風部220の風量を増加させることにより、殺菌及び浄化が高い水準で行われるようにする空気清浄機200。」
イ 対比
本件発明2と、先願発明とを対比する。
先願発明の「空気清浄機200」は、本件発明2の「空気清浄機」に相当する。
先願発明の「送風部220」は、本件発明2の「空気を送風するように構成された送風機」に相当する。
先願発明の「前記送風部220により送風される空気を殺菌する殺菌部230」は、本件発明2の「前記送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段」に相当する。
先願発明の「紫外線を感知する紫外線感知部130」は、本件発明2の「紫外線を検出するように構成された光検出器」に相当する。
先願発明の「前記紫外線感知部130で紫外線が感知される場合、前記殺菌部230を作動させ、前記送風部220の風量を増加させることにより、殺菌及び浄化が高い水準で行われるようにする」点は、本件発明2の「前記光検出器により前記紫外線が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする」点に相当する。
したがって、本件発明2と、先願発明は、以下の点で一致し、以下の点で相違する。
(一致点)
「空気を送風するように構成された送風機と、
前記送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段と、
紫外線を検出するように構成された光検出器と、を備え、
前記光検出器により前記紫外線が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の駆動状態が変化して空気清浄化能力を高くする空気清浄機。」
(相違点3)
本件発明2の「光検出器」は、室内の紫外線を検出するように構成されるのに対して、先願発明の「紫外線感知部130」は、ハウジング210に収容された流路部110の内側に備える光照射部120で照射した光が浮遊細菌にぶつかって散乱された紫外線を感知する点。
ウ 当審の判断
(相違点3について)
本件発明2の「光検出器」は、室内の紫外線自体を検出するのに対して、先願発明の「紫外線感知部130」が検出している紫外線は、室内の紫外線ではなく、ハウジング210に収容された流路部110の内側に備える光照射部120で照射した光が浮遊細菌にぶつかって散乱された紫外線を感知するものであるから、相違点3は実質的な相違点であると共に、相違点3が設計上の微差であるということもできない。
したがって、本件発明2は、先願発明と同一とはいえない。
エ 小括
したがって、本件発明2は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないとはいえないから、その発明に係る特許は取り消すべきものであるとはいえない。
オ 本件発明4について
本件発明2を引用する本件発明4も、同様の理由で、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないとはいえないから、その発明に係る特許は取り消すべきものであるとはいえない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 明確性(特許法第36条第6項第2号)について
特許異議申立人は、特許異議申立書(第21頁)において、「本件特許発明1には、「前記送風機により送風される空気を清浄化するように構成された清浄化手段」との記載がある。すなわち、本件特許発明1には、空気を清浄化するためにオゾンを生成する形態が含まれている。
本件特許発明1には、「前記ガス検出器により前記前記活性種が検出されたときに、前記清浄化手段と前記送風機のうち少なくとも一方の前記駆動状態が変化する」との記載がある。すなわち、本件特許発明1には、オゾンが検出されたときに、オゾンの生成量を増加させるように構成された形態が含まれている。
しかしながら、オゾンが検出されたときに、オゾンの生成量を増加させると、人に悪影響を受けない許容できるオゾン濃度を超えてしまう恐れがある。なお、甲第1号証の段落0005に記載のように、人が悪影響を受けない許容できるオゾンの濃度については、0.1ppm(100ppb)以下とする考え方が一般的である。
このように、本件特許発明1は、人に悪影響を及ぼす恐れを有する形態が含まれるように記載されており、明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」と主張している。
しかし、オゾンが検出されたときに、オゾンの生成量を増加させることは、本件特許明細書に記載されていないし、オゾン濃度が所定値以上高くなると人の健康に悪影響を及ぼすという出願時の技術常識を踏まえると、本件発明1に、オゾンが検出されたときに、健康に悪影響を与えるほど、オゾンの生成量を増加させる形態が含まれているとも解されない。
よって、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。
したがって、本件発明1が明確でないとはいえないから、本件訂正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たす。
2 本件発明5、10の進歩性(特許法第29条第2項)について
本件発明5、10は、本件発明1を更に減縮したものであるところ、本件発明1について上記第4の2(2)エのとおりであるから、本件発明5、10についての特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~5、9、10、12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~5、9、10、12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700240