特許訂正審判
2018-390119
QMFベースのオーディオコーデックの出力信号のリサンプリング
- 審判番号
- 2018-390119
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2013-523621
- 登録番号
- 特許第5665987号(P5665987)
- 請求日
- 2018年08月15日
- 審決日
- 2018年10月15日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
- 【請求人代理人】岡田 全啓
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 正一
- 審判官 小池 正彦
- 審判官 樫本 剛
- 分類
- P141 .853-Y (G10L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5665987号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5665987号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 経緯
本件特許第5665987号に係る発明についての出願は、2011年(平成23年)8月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年8月12日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年12月19日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成30年8月15日付けで本件審判が請求されたものである。
第2 請求
1 請求の趣旨
本件審判請求の趣旨は、特許第5665987号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正事項
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「 前記合成フィルタバンク(140)のオーディオ信号出力(s2)が、」と記載されているのを、「 前記合成フィルタバンク(130)のオーディオ信号出力(s2)が、」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)に供給された構成設定(conf)によって、」と記載されているのを、「前記構成可能な第1のオーディオ信号処理装置(110)に供給された構成設定(conf)によって、」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8に「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信するために、」と記載されているのを、「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を生成するために、」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1
(1)訂正の目的
特許請求の範囲の請求項1の「前記合成フィルタバンク(140)」の記載の前には、「合成フィルタバンク(130)」と「第2のオーディオ処理装置(140)」の記載があるものの、「合成フィルタバンク(140)」の記載はなく、「前記合成フィルタバンク(140)」の記載は明瞭でない記載である。
願書に添付した明細書の段落【0025】及び図1によると、「合成フィルタバンク」の図番は「130」であり、「オーディオ信号出力(s2)」を出力するものは、「合成フィルタバンク(130)」であるから、特許請求の範囲の請求項1に「 前記合成フィルタバンク(140)のオーディオ信号出力(s2)が、」と記載されているのを、「 前記合成フィルタバンク(130)のオーディオ信号出力(s2)が、」に訂正することにより、記載が明瞭となる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1に「 前記合成フィルタバンク(140)のオーディオ信号出力(s2)が、」と記載されているのを、「 前記合成フィルタバンク(130)のオーディオ信号出力(s2)が、」に訂正することは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
上記(1)のとおり訂正事項1は請求項1の構成要件に実質的な変更を加えるものではないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でない。
(3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
「前記合成フィルタバンク(130)のオーディオ信号出力(s2)」は、願書に添付した明細書の段落【0025】、図1に記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(4)まとめ
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2
(1)訂正の目的
「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)」の記載の前には、「構成可能な第1のオーディオ信号処理装置(110)」、「分析フィルタバンク(120)」、「合成フィルタバンク(130)」、「第2のオーディオ処理装置(140)」、「前記合成フィルタバンク(140)」(上記1のとおり明瞭でない記載であって、「前記合成フィルタバンク(130)」に訂正されることにより明瞭になる。)の記載はあるものの、「構成可能な第1のフィルタバンク(140)」の記載はなく、「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)」の記載は明瞭でない記載である。
ここで、「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)」の記載の前において、「構成可能な」という修飾語をもつものは「第1のオーディオ信号処理装置(110)」である。
また、請求項1における「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)に供給された構成設定(conf)によって、前記第1の数(c1)の分析フィルタバンクチャネルおよび前記第2の数(c2)の合成フィルタバンクチャネルを制御するための制御装置(150)」との記載によれば、「構成設定(conf)」は、「第1のフィルタバンク(140)」及び「制御装置(150)」に供給されるものであるが、願書に添付した明細書の段落【0025】、図1によると、「構成設定(conf)」が供給されるものは、「第1のオーディオ信号処理装置(110)」と「制御装置(150)」である。
以上によると、特許請求の範囲の請求項1に「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)に供給された構成設定(conf)によって、」と記載されているのを、「前記構成可能な第1のオーディオ信号処理装置(110)に供給された構成設定(conf)によって、」に訂正することにより、記載が明瞭となる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1に「前記構成可能な第1のフィルタバンク(140)に供給された構成設定(conf)によって、」と記載されているのを、「前記構成可能な第1のオーディオ信号処理装置(110)に供給された構成設定(conf)によって、」に訂正することは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
上記(1)のとおり訂正事項2は請求項1の構成要件に実質的な変更を加えるものではないから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でない。
(3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
「前記構成可能な第1のオーディオ信号処理装置(110)に供給された構成設定(conf)」は、願書に添付した明細書の段落【0025】、図1に記載されている。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(4)まとめ
訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 訂正事項3
(1)訂正前後の請求項8に係る発明
訂正事項3を判断するに当たり、訂正前の特許請求の範囲の請求項8に係る発明(以下「訂正前発明8」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項8に係る発明(以下「訂正後発明8」という。)を分説すると次のとおりである。下線は、訂正の箇所である。
「8A」~「8C」は、構成要件を区別するために当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件8A」~「構成要件8C」という。「構成要件8B’」は、訂正された「構成要件B」である。
(訂正前発明8)
8A 前記装置は、第1の合成サンプリングレートを有する合成フィルタバンク出力信号(s2)を受信するように構成されている追加のリサンプラ(170)を更に含み、
8B 前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信するために、前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすること
8C を特徴とする、請求項1~請求項7のいずれかに記載の装置。
(訂正後発明8)
8A 前記装置は、第1の合成サンプリングレートを有する合成フィルタバンク出力信号(s2)を受信するように構成されている追加のリサンプラ(170)を更に含み、
8B’ 前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を生成するために、前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすること
8C を特徴とする、請求項1~請求項7のいずれかに記載の装置。
(2)訂正の目的
構成要件8Bによると、「追加リサンプラ」は、「第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信するために、」「前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングする」ものである。
しかしながら、「前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングする」こと自体は明瞭であるが、「第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信する」機能を発揮するために、前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすることは、技術的に想定されることではないから、構成要件8Bの記載は明瞭でない記載である。
ここで、願書に添付した明細書の段落【0086】によると、追加のリサンプラは、請求項8の「第1の合成サンプリングレート」に相当するサンプリングレートsr2から、請求項8の「第2の合成サンプリングレート」に相当するサンプリングレートsr2’=c4/c3・sr2=c4/c3・c2/c1・sr1に、オーディオ信号をリサンプリングするものであって、リサンプリングすることは、実質的にはリサンプリングされた出力信号を生成することといえる。
以上によると、特許請求の範囲の請求項8に「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信するために、」と記載されているのを、「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を生成するために、」に訂正することにより、記載が明瞭となる。
したがって、特許請求の範囲の請求項8に「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信するために、」と記載されているのを、「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を生成するために、」に訂正することは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項3は、「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を受信するために、」前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすることを、「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を生成するために、」前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすることに訂正するものである。
訂正事項3は、「前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすること」の目的が、明瞭でないものから、「前記追加のリサンプラは、第2の合成サンプリングレートを有するリサンプリングされた出力信号を生成するため」という目的に明瞭化されたのみであって、訂正前と訂正後において、「前記リサンプラ」が「前記合成フィルタバンク出力信号をリサンプリングすること」という構成要件自体に実質的な変更がないから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でない。
(4)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(2)のとおり、訂正事項3は、願書に添付した明細書の段落【0086】の記載に基づいて、明瞭でない記載の釈明を行うものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(5)まとめ
訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
第4 むすび
以上、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に揚げる事項を目的とし、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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