特許訂正審判
2018-390086
遊技機
- 審判番号
- 2018-390086
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-161476外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月21日
- 審決日
- 2018年07月10日
- 公報発行日
- 2018年10月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 大一商会
- 分類
- P141 .851-Y (A63F) / P141 .853-Y (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6066515号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6066515号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6066515号(以下、「本件特許」という。)は、平成21年7月16日に出願した特願2009-168322号の一部を平成26年3月19日に新たな特許出願(特願2014-56636号)とし、さらにその一部を平成27年8月19日に新たな特許出願(特願2015-161476号)としたものであって、平成29年1月6日に特許権の設定登録がなされ、平成30年5月21日に訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)、特許請求の範囲(以下「訂正前特許請求の範囲」ともいう。)を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
1.訂正事項1
訂正前特許請求の範囲の請求項1に「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」と記載されているのを、「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」に訂正する。(下線は訂正箇所を示すため当審にて付与。以下同様。)
2.訂正事項2
本件特許明細書の段落【0010】に「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」と記載されているのを、「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」に訂正する。
3.訂正事項3
訂正前特許請求の範囲の請求項2を削除する。
4.訂正事項4
訂正前特許請求の範囲の請求項3を削除する。
第4 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 明瞭でない記載の存在について
訂正箇所に係る、訂正前特許請求の範囲の請求項1における「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」なる記載(以下「記載1」という。下線は説明のため当審にて付与。)は、「示す」という動詞のあとに、ものや時点などを示す名詞に引き続いて用いられるべき「において」が記載されている点、及び、「・・・実行可能である」ことの主語が見当たらない点で、当該記載自体の日本語としての意味が不明瞭であるといえる。
また、動詞である前記「示す」なる記載は、これを以て文を終了するか、または修飾されるべき名詞が引き続いて記載されるべきところ、当該記載の箇所は文末ではないから、引き続いて記載されるべき修飾対象としての名詞(節)が脱落していることが明らかであり、そのために、前記記載は、前記修飾対象である「・・・大当り期待度を示す」対象となるものが何であるのかが不明瞭である点で、それ自体意味が不明瞭な記載であるといえる。
同様に、前記「において」に先行すべき「ものや時点」を示す名詞(節)も脱落していることが明らかであり、そのために、前記記載において「実行された以降」という期間の起点が不明瞭である点で、前記記載はそれ自体意味が不明瞭な記載であるといえる。
以上から、訂正前特許請求の範囲の請求項1には、前記記載1において、記載上の不備が生じているといえる。
イ 明瞭でない記載の釈明に該当するか、について
(ア)訂正前特許請求の範囲の請求項1では、上記記載1の前段に「前記第二演出制御手段は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち、前記特別の演出態様が出現するまでの前期間において前記別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能であるとともに、前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能に構成されてなり、」なる記載(以下「記載2」という。)があり、ここでは、「第二演出制御手段」が
a.「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち、前記特別の演出態様が出現するまでの前期間において前記別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能」(以下「演出記載a」という。)であり、
b.「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能」(以下「演出記載b」という。)
であると特定している。
上記記載1は冒頭に「前記第二演出制御手段により実行された・・・」と記載されていることから、前記記載2で特定された「第二演出制御手段」の制御内容に関連する記載であると推察されるところ、記載1の「示すにおいて」なる記載の直前部にわたる「未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す」なる記載は、前記記載2の演出記載bに含まれる「未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」なる記載(以下「共通記載1」という。)の一部に一致し、前記演出記載aには一致する記載がない。
よって、前記「示すにおいて」なる不明瞭な記載のうち「示す」の後には、前記共通記載1で「・・・示す」に後続する「演出」が脱落したものであると推認され、これを補って、前記記載1の前半部分である「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す」を、「第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」と訂正したことは、前記脱落による明瞭でない記載の釈明にあたるといえる(下線は説明のため当審にて付与。以下同様。)。
(イ)前記記載1では、「示すにおいて」なる記載の後続部分にわたり、「において実行された以降・・・実行条件が成立するまで実行可能」と、「実行可能」な期間の始点と終点について記載されていることから、ここでの「において」は、「実行」の始点すなわち開始時点を示す意図で用いられたものと推認される。
一方、前記(ア)で推認された、記載1の「示すにおいて」なる記載の「示す」に後続すべき記載を含めた「第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」は、前記演出記載bにおいて「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において・・・実行可能」であると記載されている。
そうすると、前記「示すにおいて」なる記載の「において」の直前部からは、前記演出記載bの「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間」なる記載が脱落しているものと推認される。
また、前記「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間」は、前記記載1に先行する前記記載2の演出記載bにおいて既に記載されたものであるから、記載1ではこれを省略して「前記後期間」と記載しても明瞭性を欠くとはいえない。
さらに、「後期間」は、前記記載2において、「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち」なる期間に含まれる期間として、前記演出記載aの「前期間」と共に規定されたものであるから、前記「前記後期間」が「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち」に含まれるものであることを明確化するため、前記「前記後期間」を「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間」と書き換えることは、文意の変更を伴わず、明瞭でない記載の釈明にあたるといえる。
ウ 補正の経緯について
訂正前特許請求の範囲の請求項1は、平成27年11月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載(以下「補正前請求項1」という。)が、特許査定前の平成28年6月16日付け手続補正により補正されたものであるが、該補正については同日付意見書において、特許権者により、「補正前の「別の(未だ保留の状態にある)大当たり判定処理に関する演出」の記載を「別の(未だ保留の状態にある)大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」にそれぞれ変更する補正」であると説明されている。(下線は説明のため当審にて付与した。以下同様。)
そして、前記補正前請求項1には前記「補正前の「別の(未だ保留の状態にある)大当たり判定処理に関する演出」に該当する記載が4箇所存在したところ、前記手続補正により、そのうち3箇所については、前記意見書のとおり補正、すなわち「に関する」が「についての大当たり期待度を示す」に変更されたものの、上記記載1に対応する補正前請求項1の記載である
「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理に関する演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」
については、補正前の「に関する」のみならず「に関する演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間」までの記載が「についての大当たり期待度を示す」に変更されて、
「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」
と補正された。
よって、前記意見書における補正の主旨についての主張からみて、前記記載1に対応する補正前請求項1の記載については、前記補正により、本来変更を意図していなかった「演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間」なる記載までもが錯誤により削除されてしまったものと推認される。
そして、特許権者が請求する上記訂正事項1に係る訂正は、前記補正における錯誤により過剰に削除されたことで不明瞭となった記載事項を復元するものと理解して矛盾はない。
エ 小括
以上、ア~ウのとおりであるから、前記記載1の「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」を、上記訂正事項1のとおり、「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」と訂正することは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無について
上記(1)イで検討したとおり、訂正事項1によって上記記載1に加入された事項は何れも、訂正前特許請求の範囲の請求項1、すなわち、設定登録された時点の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項であるから、訂正事項1は特許がされた明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
上記(1)、(2)のとおり、訂正事項1は、明瞭でない事項の釈明を目的として、特許がされた特許請求の範囲の請求項1に記載された事項の範囲内で記載事項の欠落を補うものであるから、特許請求の範囲の拡張または変更に該当しないことが明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0010】の記載を、上記第3の1.「訂正事項1」による、請求項1の訂正に伴い、整合性を図るためにする訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2は、訂正事項1による請求項1の訂正に伴い整合性を図るためにする訂正であり、上記1.(2)で説示したとおり、訂正事項1に係る請求項1の訂正が、特許がされた明細書、特許請求の範囲等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから、該訂正事項1と訂正内容が共通する訂正事項2もまた、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記1.(3)で説示したとおり、訂正事項1による特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、該訂正事項1と訂正内容が共通する訂正事項2も、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3.訂正事項3~4について
(1)訂正の目的について
訂正前特許請求の範囲には請求項1~3があるところ、訂正事項3~4は、訂正前の請求項2~3を削除する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3~4は、訂正前特許請求の範囲の請求項2~3を削除する訂正であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、訂正事項3~4は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3~4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
4.独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。
したがって、訂正事項1~4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5 むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5~7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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