特許拒絶査定不服審判
2018-015556
サーバとこのサーバにより認証されるクライアント装置
- 審判番号
- 2018-015556
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-060504外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年11月26日
- 審決日
- 2020年12月09日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーサー・クラウド・テクノロジイ・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山川 茂樹
- 【請求人代理人】山川 政樹
- 分類
- P18 .121-WZ (H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第44条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017- 60504「サーバとこのサーバにより認証されるクライアント装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日出願公開,特開2017-139793〕について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本願は,2007年9月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年11月9日,2006年11月16日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2009-536227号の一部を,特許法44条1項の規定により,平成25年10月15日に新たな特許出願とした,特願2013-214440号の一部を,特許法44条1項の規定により,平成27年7月29日に新たな特許出願とした,特願2015-149224号の一部を,特許法44条1項の規定により,平成29年3月27日に新たな特許出願としたものであって,
平成29年3月27日付けで審査請求がなされ,平成29年10月30日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成30年2月14日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成30年7月6日付けで審査官により平成30年2月14日付けの手続補正が却下されると共に同日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達;平成30年7月24日),これに対して平成30年11月26日付けで審判請求がなされ,令和1年8月19日付けで当審により拒絶理由が通知され,これに対して令和2年1月27日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされ,令和2年3月31日付けで当審により最後の拒絶理由が通知され,これに対して令和2年7月14日付けで意見書の提出がなされたものである。
第2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,令和2年1月27日付けの手続補正により補正された,特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。
「数発生器と,
証明書リクエストモジュールと,
証明書検証モジュールと,
前記数発生器,前記証明書リクエストモジュール,及び前記証明書検証モジュールに接続するインターフェースとを備えるとともに,不揮発性メモリを有したクライアント装置を認証するためのサーバであって
動作において,
前記数発生器が第1の数を生成し,
前記証明書リクエストモジュールは,デバイス証明書のリクエストを生成し,
前記第1の数と前記デバイス証明書のリクエストは前記インターフェースを介してクライアント装置に送られ,
前記第1の数と,
前記クライアント装置において該クライアント装置の製造中にプログラムされたプライベートキーと前記サーバの数発生器が作成した第1の数を使用して生成される第2の署名と,
前記クライアント装置の装置ID,発行者ID,前記プライベートキーの関数である公開鍵及び前記クライアント装置の不揮発性メモリから読み出された第1の署名の関数として生成されたデバイス証明書と
を含むレスポンスが前記インターフェースで受け取られ,
前記証明書検証モジュールは前記デバイス証明書と第2の署名とを認証し,前記サーバの数発生器が発生した第1の数と前記クライアント装置からの第1の数が一致しているか否かを検証する
ことを特徴とするサーバ。」
第3.当審拒絶理由
当審による令和2年3月31日付けの拒絶理由(以下,これを「当審拒絶理由」という)は,概略,次のとおりである。
「本願の請求項1に係る発明は,下記の引用文献に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献一覧
1.特開2006-092281号公報(2006年4月6日公開)
2.特開2004-135325号公報(2004年4月30日公開)
3.特開2006-018709号公報(2006年1月19日公開)
4.特開2003-323342号公報(2003年11月14日公開)
」
第4.引用文献に記載の事項
1.本願の原出願の第1国出願前に既に公知である,特開2006-092281号公報(2006年4月6日公開,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。
A.「【0013】
以下,本発明の実施の形態を,図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に,本発明の第1の実施の形態におけるセキュリティデバイス102と情報端末101のシステム構成を示す。
【0014】
セキュリティデバイス102は,耐タンパ機構を有し,その内部で安全なデータ処理を行う耐タンパデータ処理部150と,耐タンパデータ処理部150が処理したデータを格納するフラッシュメモリ151と,耐タンパデータ処理部150が情報端末101などのホスト機器との通信を制御するホスト機器通信手段157と,によって構成される。
【0015】
耐タンパデータ処理部150は,内部にCPUやROM,EEPROM,RAM,更には,暗号処理用のコプロセッサを有し,ROMおよびEEPROMに格納されたプログラムに基づいてCPUがRAMおよびフラッシュメモリ151を用いてデータ処理を行う。
【0016】
耐タンパデータ処理部150には,ホスト機器通信手段157を介して外部から端末アプリケーションを受信するアプリケーション取得手段153と,
端末アプリケーションに対して,認証情報の埋め込みや,電子署名などの加工処理を施すアプリケーション加工手段152と,加工処理を施した端末アプリケーションを情報端末101に対して発行するアプリケーション発行手段154と,があり,これらは,実際には,耐タンパデータ処理部150の内部のROMやEEPROMに格納されているプログラムを耐タンパデータ処理部150のCPUが実行することによって実現される。
【0017】
また,フラッシュメモリ151には,アプリケーション取得手段153が外部から受信した加工処理を行う前の端末アプリケーションを格納する領域であるオリジナルアプリケーション記憶部155と,アプリケーション加工手段152が加工処理を施した後の端末アプリケーションを格納する領域である加工済みアプリケーション記憶部156と,がある。CPUが端末アプリケーションをオリジナルアプリケーション記憶部155または加工済みアプリケーション記憶部156に格納する場合,端末アプリケーションは,CPUおよびコプロセッサによって,暗号化されてそれぞれの記憶部に格納され,また,オリジナルアプリケーション記憶部155または加工済みアプリケーション記憶部156に暗号化された状態で格納されている端末アプリケーションをCPUが読み出した場合,端末アプリケーションはCPUおよびコプロセッサによって復号化される。」
B.「【0019】
また,情報端末101は,プログラムに基づいてデータ処理を行うデータ処理部110と,セキュリティデバイス102との通信を制御するセキュリティデバイス通信手段116と,ネット上のサーバ機器や他の情報端末との無線通信を行う無線通信手段115と,キー入力スイッチなどの入力手段117と,データ処理部110が処理したデータを表示するLCDなどの表示手段118と,によって構成される。
【0020】
データ処理部110は,内部にCPUやROM,EEPROM,RAMを有し,ROMおよびEEPROMに格納されたプログラムに基づいてCPUがRAMおよびEEPROMを用いてデータ処理を行う。
【0021】
データ処理部110には,端末アプリケーションのプログラムコードを解釈して実行するアプリケーション実行手段111と,端末アプリケーションのセキュリティデバイス102へのダウンロード,および,セキュリティデバイス102に格納された端末アプリケーションの情報端末101へのロードを行うアプリケーション管理手段113と,情報端末101に次にロードされる端末アプリケーションを準備するアプリケーション準備手段112と,端末アプリケーションに施された電子署名を検証して,その有効性を検証するアプリケーション検証手段114と,があり,これらは,実際には,データ処理部110の内部のROMやEEPROMに格納されているプログラムをデータ処理部110のCPUが実行することによって実現される。
【0022】
アプリケーション検証手段114には,電子署名を検証する際に利用するルートCA証明書119(CAはCertificate Authorityを意味する)と,アプリケーション検証手段114が行う端末アプリケーションの検証処理の仕様を示す検証プロファイル120と,が保持されている。アプリケーション検証手段114はルートCA証明書119を複数個,保持していても良い。」
C.「【0049】
次に,図8を用いて,CP303からセキュリティデバイス102に端末アプリケーションをダウンロードするシーケンス,及び,セキュリティデバイス証明書をダウンロードするシーケンスについて説明する。
【0050】
まず,入力手段117から入力されたユーザ操作に基づいて,情報端末101が無線通信手段115を介し無線通信によってCP303に端末アプリケーションを要求するメッセージを送信すると(アプリケーション要求801),CP303は,情報端末101に装着されたセキュリティデバイス102に対して,セキュリティデバイス証明書を要求するメッセージを送信する(セキュリティデバイス証明書要求802または811)。
【0051】
セキュリティデバイス証明書要求802(または811)には,CP303が生成した乱数が含まれており,情報端末101のセキュリティデバイス通信手段を介してセキュリティデバイス102に送信される。
【0052】
セキュリティデバイス証明書要求802を受信したセキュリティデバイス102は,アプリケーション取得手段153がアプリケーション加工手段152に保持されているセキュリティデバイス証明書を調べ,CP303が発行したセキュリティデバイス証明書が保有されている場合には,アプリケーション取得手段153がアプリケーションの発行を要求するメッセージを生成して(アプリケーション発行要求生成813)CP303に送信し(アプリケーション発行要求813),セキュリティデバイス証明書を保有していない場合には,アプリケーション取得手段153がCPにセキュリティデバイス証明書の発行を要求するメッセージを生成して(証明書発行要求生成803)CP303に送信する(証明書発行要求804)。
【0053】
この時,アプリケーション発行要求813には,CP303が発行したセキュリティデバイス証明書と,アプリケーション取得手段153がそのセキュリティデバイス証明書に対応するセキュリティデバイス秘密鍵を用いてセキュリティデバイス証明書要求802(または811)に含まれていた乱数に対して施した電子署名が含まれ,証明書発行要求804には,その他のセキュリティデバイス証明書と,アプリケーション取得手段153がそのセキュリティデバイス証明書に対応するセキュリティデバイス秘密鍵を用いてセキュリティデバイス証明書要求802に含まれていた乱数に対して施した電子署名が含まれる。」
D.「【0057】
アプリケーション発行要求813を受信したCP303は,アプリケーション発行要求813に含まれていた電子署名(セキュリティデバイス証明書要求802または811に含まれていた乱数に対する電子署名)を同じくアプリケーション発行要求813に含まれていたCP303が発行したセキュリティデバイス証明書を用いて検証して(署名検証814),セキュリティデバイス102がCP303が発行したセキュリティデバイス証明書に対応するセキュリティデバイス秘密鍵を保持していることを検証し,さらにCP303は,そのセキュリティデバイス証明書に含まれるセキュリティデバイス公開鍵を用いて発行する端末アプリケーションを暗号化して(アプリケーション暗号化815),セキュリティデバイス102に送信する(暗号化されたアプリケーション816)。」
2.本願の原出願の第1国出願前に既に公知である,特開2004-135325号公報(2004年4月30日公開,以下,これを「引用文献2」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。
E.「【0124】
まず,ステップS151において,ユーザ端末3aから認証サーバ1に,試用開始認証依頼を送信する。サーバでは,この依頼を受信した時刻を一時記憶装置に記録する。次にステップS152において,生成した時刻を埋め込んだ乱数を生成し,生成した乱数を,乱数暗号化キー記憶装置106に記録されたサーバの乱数暗号化キーで暗号化し,乱数チェックコードを生成する。ステップS153において,生成した乱数,乱数チェックコードを送信する。これにより,認証サーバ1でのユーザ端末3aのセション管理を容易に行うことができる。又,乱数チェックコードを送信し,認証サーバで受信することにより,乱数が改竄されていないかチェックすることができる。又,送信した乱数を再び返してもらうことにより,送信した乱数と受信した乱数が一致するか,更にチェックを行うことができるので,より高い不正利用の防止を行うことができる。
【0125】
更に,ステップS156において,乱数暗号化キー記憶装置106に記録された乱数暗号化キーで暗号化することにより,ステップS155で送信された乱数が,認証サーバ1で生成した乱数であるか,又,送信された乱数チェックコードが正しいかチェックする。認証サーバ1で生成した乱数でない場合,或いは送信された乱数チェックコードが不正な場合,ユーザ端末3aにおいて,不正な行為がなされたと見なし,認証を行わない。」
3.本願の原出願の第1国出願前に既に公知である,特開2006-018709号公報(2006年1月19日公開,以下,これを「引用文献3」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。
F.「【0110】
クライアントIDが登録済みである場合は,ステップS145に進み,サーバは,クライアントの保持するコピーコンテンツに対応するコンテンツIDリストの送信をクライアントに要求する。なお,この要求をクライアントに送信する際,サーバは,サーバクライアント間で転送されるコンテンツIDリストの安全性,正当性を確保するために適用するデータとして,乱数値(Random challenge)とサーバの保持するデバイス証明書(公開鍵証明書)をクライアントに送信する。
【0111】
クライアントは,ステップS244において,乱数値とデバイス証明書を伴ったコンテンツIDリスト要求を受信し,ステップS245において,利用期間の更新要求対象としたコンテンツを受領したサーバのサーバIDに対応付けられたコピーコンテンツのコンテンツIDからなるリストを生成して,サーバに送信する。このリスト送信に際して,クライアントは,クライアントが生成した乱数値と,クライアントのデバイス証明書(公開鍵証明書)を送信する。」
G.「【0114】
図9(b)に,リストに併せて送信されるデバイス証明書(公開鍵証明書)のデータ構成例を示す。デバイス証明書(公開鍵証明書)は以下のデータを含む。
デバイスID[Device ID]=クライアントID
デバイス公開鍵[Device Public Key]
発行元電子署名[Signature by LA]
【0115】
図9(b)に示す公開鍵証明書は,一般的な公開鍵証明書の構成であり,デバイスID,デバイス公開鍵と,発行元の電子署名を含む。例えばクライアントの公開鍵を格納したクライアントデバイス公開鍵証明書を受領したサーバは,受領した公開鍵証明書に設定された署名に基づく検証を実行して,証明書の改竄のないことの確認を行なった後に,格納されたクライアントの公開鍵を取得する。サーバは,取得したクライアント公開鍵を適用して,図9(a)に示すコンテンツIDリストに設定された電子署名,すなわちクライアント秘密鍵を適用して生成された署名の検証を実行することができる。」
(4)本願の原出願の第1国出願前に既に公知である,特開2003-323342号公報(2003年11月14日公開,以下,これを「引用文献4」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。
H.「【0080】不揮発メモリ100には,このアクセス制御部60を搭載したデバイスが,正当なデバイスであることを証明するデバイス証明書101と,アクセス制御部60の公開鍵暗号用秘密鍵であるデバイス秘密鍵105と,デバイス証明書100を発行した認証機関の公開鍵106とが格納されている。」
I.「【0105】デバイス証明<当審注;「デバイス証明書」の誤記>(図2の101)には,デバイスID(図2の102)と,デバイス公開鍵(図2の103)と,これらの記述に対する電子署名(図2の103)(認証機関の秘密鍵により作成さえた)を含む。デバイス証明<当審注;「デバイス証明書」の誤記>の正当性は,その電子署名を認証機関の公開鍵(図2の106)で正しく復号できるかどうかにより確認される。第三者がデバイス証明を偽造しようとしても,認証機関の秘密鍵を知らないので,正しい電子署名(図2の103)を作成することができない。」
第5.引用文献1に記載の発明
1.上記Cの「CP303は,情報端末101に装着されたセキュリティデバイス102に対して,セキュリティデバイス証明書を要求するメッセージを送信する」という記載から,引用文献1に記載の「CP303」が,
“情報端末101に装着されたセキュリティデバイス102に対して,セキュリティデバイス証明書を要求するメッセージを送信する,証明書要求部”を有していることは明らかである。
2.同じく,上記Cの「セキュリティデバイス証明書要求802(または811)には,CP303が生成した乱数が含まれており,情報端末101のセキュリティデバイス通信手段を介してセキュリティデバイス102に送信される」という記載いから,引用文献1に記載の「CP303」が,
“乱数生成部”を有していることは明らかである。
3.同じく,上記Cの「アプリケーション取得手段153がアプリケーションの発行を要求するメッセージを生成して(アプリケーション発行要求生成813)CP303に送信し(アプリケーション発行要求813)」という記載,同じく,上記Cの「アプリケーション発行要求813には,CP303が発行したセキュリティデバイス証明書と,アプリケーション取得手段153がそのセキュリティデバイス証明書に対応するセキュリティデバイス秘密鍵を用いてセキュリティデバイス証明書要求802(または811)に含まれていた乱数に対して施した電子署名が含まれ」という記載,及び,上記Dの「アプリケーション発行要求813を受信したCP303は,アプリケーション発行要求813に含まれていた電子署名(セキュリティデバイス証明書要求802または811に含まれていた乱数に対する電子署名)を同じくアプリケーション発行要求813に含まれていたCP303が発行したセキュリティデバイス証明書を用いて検証して(署名検証814),セキュリティデバイス102がCP303が発行したセキュリティデバイス証明書に対応するセキュリティデバイス秘密鍵を保持していることを検証し」という記載と,上記1.において検討した事項から,引用文献1に記載の「CP303」は,
セキュリティデバイス102が送信した,セキュリティデバイス証明書と,CP303から送信された乱数に対して施した電子署名とを受信し,前記セキュリティデバイス証明書の正当性を検証する,
“証明書検証部”を有していることは明らかである。
4.上記Aの「セキュリティデバイス102は,耐タンパ機構を有し,その内部で安全なデータ処理を行う耐タンパデータ処理部150と,耐タンパデータ処理部150が処理したデータを格納するフラッシュメモリ151と,耐タンパデータ処理部150が情報端末101などのホスト機器との通信を制御するホスト機器通信手段157と,によって構成される」という記載から,引用文献1には,
“フラッシュメモリ151を有するセキュリティデバイス102”が記載されていることが読み取れる。
5.上記3.で検討した事項から,引用文献1に記載の「CP303」は,同じく,引用文献1に記載の「セキュリティデバイス102」から送信された,「セキュリティデバイス証明書」の検証を行っているのであるから,このことは,「セキュリティデバイス102」の認証を行うことに他ならない。
6.上記2.において検討した事項から,引用文献1において,
“乱数生成部は,乱数を生成する”ことは明らかである。
7.上記1.において検討した事項,及び,上記2.において引用した上記Cの記載内容から,引用文献1において,
“証明書要求部は,乱数生成部が生成した乱数を含む,セキュリティデバイス証明書を要求するリクエストを生成して,前記リクエストを,セキュリティデバイス102に送信する”ものであることが読み取れる。
8.上記3.において引用した上記Cの記載内容から,引用文献1において,
「CP303」が,“セキュリティデバイス102から,セキュリティデバイス証明書と,CP303から送信された乱数に対して施した電子署名とを応答として受信する”ものであることが読み取れる。
9.上記3.において引用した上記Cの記載内容から,引用文献1において,
「CP303」が,“電子署名をセキュリティデバイス証明書を用いて検証する”ものであることが読み取れる。
10.上記1.~上記9.において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。
「証明書要求部と,
乱数生成部と,
証明書検証部を有し,フラッシュメモリ151を有するセキュリティデバイス102の認証を行う,CP303であって,
前記乱数生成部は,乱数を生成し,
前記証明書要求部は,前記乱数を含む,セキュリティデバイス証明書を要求するリクエストを生成して,前記リクエストを,前記セキュリティデバイス102に送信し,
前記セキュリティデバイス102から,セキュリティデバイス証明書と,前記乱数に対して施した電子署名とを応答として受信し,
前記電子署名を前記セキュリティデバイス証明書を用いて検証する,CP303。」
第6.本願発明と引用発明との対比
1.引用発明における「乱数生成部」,「証明書要求部」,「証明書検証部」,「CP303」,「フラッシュメモリ」,及び,「セキュリティデバイス102」が,それぞれ,
本願発明における「数発生器」,「証明書リクエストモジュール」,「証明書検証モジュール」,「サーバ」,「不揮発性メモリ」,及び,「クライアント装置」に相当するので,
引用発明における,
「証明書要求部と,
乱数生成部と,
証明書検証部を有し,フラッシュメモリ151を有するセキュリティデバイス102の認証を行う,CP303」と,
本願発明における,
「数発生器と,
証明書リクエストモジュールと,
証明書検証モジュールと,
前記数発生器,前記証明書リクエストモジュール,及び前記証明書検証モジュールに接続するインターフェースとを備えるとともに,不揮発性メモリを有したクライアント装置を認証するためのサーバ」とは,
“数発生器と,
証明書リクエストモジュールと,
証明書検証モジュールとを備えるとともに,
不揮発性メモリを有したクライアント装置を認証するためのサーバ”である点で共通する。
2.引用発明における「乱数」が,本願発明における「第1の数」に相当し,
引用発明における「セキュリティデバイス証明書」が,本願発明における「デバイス証明書」に相当し,
引用発明における「前記乱数生成部は,乱数を生成し,
前記証明書要求部は,前記乱数を含む,セキュリティデバイス証明書を要求するリクエストを生成して,前記リクエストを,前記セキュリティデバイス102に送信し」と,
本願発明における「動作において,
前記数発生器が第1の数を生成し,
前記証明書リクエストモジュールは,デバイス証明書のリクエストを生成し,
前記第1の数と前記デバイス証明書のリクエストは前記インターフェースを介してクライアント装置に送られ」ることとは,
“動作において,
前記数発生器が第1の数を生成し,
前記証明書リクエストモジュールは,デバイス証明書のリクエストを生成し,
前記第1の数と前記デバイス証明書のリクエストはクライアント装置に送られる”点で共通する。
3.引用発明において,「電子署名」は,「セキュリティデバイス102」の「秘密鍵」によって,「乱数」に対して署名を施したものであり,引用発明は,当該「秘密鍵」は,当該「セキュリティデバイス102」の製造時に,組み込まれる態様を含むことは,明らかであるから,
引用発明における「乱数に施した電子署名」が,
本願発明における「クライアント装置において該クライアント装置の製造中にプログラムされたプライベートキーと前記サーバの数発生器が作成した第1の数を使用して生成される第2の署名」に相当し,
引用発明における「応答」が,本願発明における「レスポンス」に相当するので,
引用発明における「セキュリティデバイス102から,セキュリティデバイス証明書と,前記乱数に対して施した電子署名とを応答として受信し」と,
本願発明における「第1の数と,
前記クライアント装置において該クライアント装置の製造中にプログラムされたプライベートキーと前記サーバの数発生器が作成した第1の数を使用して生成される第2の署名と,
前記クライアント装置の装置ID,発行者ID,前記プライベートキーの関数である公開鍵及び前記クライアント装置の不揮発性メモリから読み出された第1の署名の関数として生成されたデバイス証明書と
を含むレスポンスが前記インターフェースで受け取られ」とは,
“クライアント装置において該クライアント装置の製造中にプログラムされたプライベートキーと前記サーバの数発生器が作成した第1の数を使用して生成される第2の署名と,証明書とを含むレスポンスが受け取られ”るものである点で共通する。
4.そして,上記3.において検討した事項を踏まえると,引用発明における「電子署名を前記セキュリティデバイス証明書を用いて検証する」ことは,
本願発明における「証明書検証モジュールは前記デバイス証明書と第2の署名とを認証」ことと,
“証明書検証モジュールは証明書と第2の署名とを認証する”ものである点で共通する。
5.以上,上記1.~上記4.において検討した事項から,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。
[一致点]
数発生器と,
証明書リクエストモジュールと,
証明書検証モジュールとを備えるとともに,
不揮発性メモリを有したクライアント装置を認証するためのサーバであって,
前記数発生器が第1の数を生成し,
前記証明書リクエストモジュールは,証明書のリクエストを生成し,
前記第1の数と前記証明書のリクエストは前記クライアント装置に送られ,
前記クライアント装置において該クライアント装置の製造中にプログラムされたプライベートキーと前記サーバの数発生器が作成した第1の数を使用して生成される第2の署名と,証明書と
を含むレスポンスが受け取られ,
前記証明書検証モジュールは前記証明書と第2の署名とを認証する,サーバ。
[相違点1]
本願発明は,「数発生器,前記証明書リクエストモジュール,及び前記証明書検証モジュールに接続するインターフェース」を備えるものであるのに対して,
引用発明においては,「インターフェース」について,特に,言及されていない点。
[相違点2]
“証明書”に関して,
本願発明においては,「クライアント装置の装置ID,発行者ID,前記プライベートキーの関数である公開鍵及び前記クライアント装置の不揮発性メモリから読み出された第1の署名の関数として生成されたデバイス証明書」であるのに対して,
引用発明においては,「セキュリティデバイス証明書」の詳細については,特に,言及されていない点。
[相違点3]
“リクエスト”に関して,
本願発明においては,「リクエストは前記インターフェースを介してクライアント装置に送られ」るものであるのに対して,
引用発明においては,「リクエスト」が,「インターフェース」を介して送信されることについては,特に,言及されていない点。
[相違点4]
“レスポンス”に関して,
本願発明においては,「レスポンス」が,「第1の数」を含むものであるのに対して,
引用発明においては,「応答」が,「乱数」を含む点については,特に,言及されていない点。
[相違点5]
本願発明においては,「レスポンスが前記インターフェースで受け取られ」るものであるのに対して,
引用発明においては,「応答」が,「インターフェース」で受信されることについては,特に,言及されていない点。
[相違点6]
本願発明においては,「サーバの数発生器が発生した第1の数と前記クライアント装置からの第1の数が一致しているか否かを検証する」ものであるのに対して,
引用発明においては,「乱数」の一致に関しては,特に,言及されていない点。
第7.相違点についての当審の判断
1.[相違点1],[相違点3],及び,[相違点5]について
装置間,装置内の構成要素間等の通知において,「インターフェース」を介することは,引用文献を提示するまでもなく,本願の原出願の第1国出願前において,当業者には周知の技術事項である。
したがって,引用発明においても,「乱数生成部」,「証明書要求部」,及び,「証明書検証部」を「インターフェース」に接続すること,及び,「リクエスト」を,「CP303」から,「セキュリティデバイス102」に,「インターフェース」を介して送信し,その「応答」を,前記「セキュリティデバイス102」から,前記「CP303」に,前記「インターフェース」を介して受信するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点1],[相違点3],及び,[相違点5]は,格別のものではない。
2.[相違点2]について
「デバイスID」,「署名」を含む「デバイス証明書」については,引用文献3の上記F,及び,上記Gに引用した記載内容と,引用文献4の上記H,及び,上記Iに引用した記載内容にもあるとおり,本願の原出願の第1国出願前に,当業者には周知の技術事項である。「証明書」に,「発行者ID」を含ませることも,引用文献を提示するまでもなく,当業者には周知の技術事項であるから,引用発明においても,「セキュリティデバイス証明書」に,「セキュリティデバイス102」のID,及び,「CP303」のID等を含ませるよう構成することは,当業者が必要に応じて適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。
3.[相違点4],及び,[相違点6]について
「レスポンス」として,送信側が送信した「乱数」をそのまま返信し,返信された「乱数」が,送信側が送信した「乱数」と一致するかを検証する点については,上記Eに引用した引用文献2の記載内容にもあるとおり,本願の原出願の第1国出願前に,当業者には,広く知られた技術事項である。
そして,引用発明も,引用文献2に記載の技術事項も認証に関するものであるから,
引用発明においても,電子署名の検証に加えて,引用文献2に記載の「乱数」の一致を検証する構成を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点4],及び,[相違点6]は,格別のものではない。
4.上記で検討したごとく,[相違点1]~[相違点6]は,いずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。
なお,請求人は,令和2年7月14日付けの意見書において,
『この引用文献1には、本願発明の
「 前記クライアント装置において該クライアント装置の製造中にプログラムされたプライベートキーと前記サーバの数発生器が作成した第1の数を使用して生成される第2の署名と,
前記クライアント装置の装置ID,発行者ID,前記プライベートキーの関数である公開鍵及び前記クライアント装置の不揮発性メモリから読み出された第1の署名の関数として生成されたデバイス証明書と
を含むレスポンスが前記インターフェースで受け取られ,
前記証明書検証モジュールは前記デバイス証明書と第2の署名とを認証し」
との特徴については何ら開示されておりません。』
旨主張しているが,上記主張点は,本願発明と,引用発明との[相違点2]に該当するものであり,当該[相違点2]については,上記「第7.相違点についての当審の判断」の「2.[相違点2]について」において言及したとおりであるから,請求人の意見書における主張は採用できない。
第8.むすび
したがって,本願発明は,引用発明,及び,引用文献2~引用文献4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
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2018-015556