特許拒絶査定不服審判
2018-011035
冷蔵庫
- 審判番号
- 2018-011035
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-089952外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年08月10日
- 審決日
- 2020年03月03日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人きさ特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F25D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017- 89952「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月31日出願公開、特開2017-150811〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、2014年6月5日(優先権主張平成25年6月7日、平成25年8月19日)を国際出願日とする特願2015-521492号の一部を平成29年4月28日に新たな特許出願としたものであって、平成30年2月26日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年4月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年5月16日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和1年10月9日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年12月10日に意見書が提出されたものである。
2 本願発明
この出願の請求項1~24に係る発明は、平成30年8月10日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~24に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
上部に配置された冷蔵室、下部に配置された冷凍室、前記冷蔵室の下方で前記冷凍室の上方に配置された野菜室、を含む前面に開口部を有する複数の貯蔵室と、
前記冷蔵室の側壁の内面を形成する内箱と前記冷蔵室の背面壁の内面を形成する内箱とのコーナー部に形成され前記背面壁の内面よりも前面側に突出するように設けられた凸部と、
前記背面壁の内面を形成する内箱と前記背面壁の外面を形成する外箱との間に設けられた平板状の第1の真空断熱材と、
前記凸部、及び前記第1の真空断熱材と前記背面壁の内面を形成する内箱との間に充填もしくは封入されて、前記内箱と前記第1の真空断熱材とを接着、固着、もしくは固定している第1の介在部材と、
前記第1の真空断熱材と前記外箱とを接着、固着、もしくは固定している、前記第1の介在部材とは異なる第2の介在部材と、
前記冷蔵室の背面の少なくとも一部を覆うカバー部材と、
前記凸部の側面と前記背面壁とによって形成され、前記カバー部材を取り付けるための第1の取り付け部が設けられた凹部と、
前記複数の貯蔵室を区画する仕切壁と、
前記仕切壁の内部空間に配置された第2の真空断熱材と、を備え、
前記第1の介在部材がウレタンフォームであり、
前記カバー部材には、前記第1の取り付け部に取り付けられる第2の取り付け部が設けられており、
前記カバー部材の前記第2の取り付け部が前記第1の取り付け部に取り付けられて前記凹部が風路として利用される冷蔵庫。」
3 拒絶の理由
令和1年10月9日付けで当審が通知した拒絶の理由における理由1は次のとおりである。
この出願の請求項1~24に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1~10に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用例等一覧>
1.特開2002-295948号公報
2.特開2004-28349号公報
3.特開2011-247534号公報
4.特開2013-2654号公報
5.特開昭62-200178号公報
6.特開2012-87993号公報
7.特開平3-225182号公報
8.特開2011-69560号公報
9.特開平11-237155号公報
10.登録実用新案第3106793号公報
4 引用例
(1)引用例1
当審の拒絶の理由に引用例1として引用された特開2002-295948号公報には、次の事項が図面とともに記載されている(「・・・」は記載の省略を意味し、下線は当審にて付した。以下同様。)。
(1-a)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上述べた問題点を解決し、断熱冷気通路の冷気漏れを無くし、冷却効率を向上した電気冷蔵庫を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するため、外箱と内箱との間に断熱材を封入し、前面を開放する断熱箱体と、同断熱箱体の前面に設けた扉とからなる筐体内を複数の貯蔵室と機械室とに区画すると共に、前記断熱箱体の内箱に設けた凹部にコ字状断熱材を被着して断熱冷気通路を形成し、前記機械室に蒸発器と送風機とを配置し、前記蒸発器にて冷却された冷気を、前記送風機により前記断熱冷気通路を通して前記貯蔵室に設けた吹出口より同貯蔵室内に流通して各貯蔵室内を所定の設定温度に冷却し、前記機械室との間に設けた吸込口から前記蒸発器に循環する電気冷蔵庫において、前記凹部背面両側に凹溝を設ける一方、前記コ字状断熱材の先端に延出部を設け、同延出部を前記凹溝に嵌入するようにした電気冷蔵庫としている。」
(1-b)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明による電気冷蔵庫を詳細に説明する。図1は本発明による電気冷蔵庫の一実施例を示す要部側断面図、図3は本発明による電気冷蔵庫の一実施例を示す図で、図1の要部A-A矢視断面図である。図1及び図3に示すように、外箱1aと内箱1bとの間に断熱材1cを封入し、前面を開放する断熱箱体1と、同断熱箱体1の前面に開閉される扉2とから電気冷蔵庫の筐体を構成している。前記筐体内は複数の貯蔵室3と機械室4とに区画されており、前記貯蔵室3の背面側の断熱箱体1の内箱1bには凹部5が形成されている。図3に示すように、この凹部5の背面両側には凹溝5aが設けられている。この凹溝5aには発泡スチロールにより形成されたコ字状断熱材12の先端に設けた延出部12aが嵌入され、前記凹部5とコ字状断熱材12とにより断熱冷気通路13が形成されている。そして、前記凹部5の側面に設けた係止穴5bにカバー6の係止爪6aが係止されるようにカバー6を被着してコ字状断熱材12が外れないように押えている。そして、図1に示すように、前記機械室4に蒸発器8と送風機9とを配置し、前記蒸発器8により冷却された冷気を、前記送風機9により前記断熱冷気通路13を通して、前記各貯蔵室3に設けた、前記断熱冷気通路13に連通する吹出口10より各貯蔵室3内に流通して各貯蔵室3内を所定の設定温度に冷却し、前記機械室4との間に設けた吸込口11から前記蒸発器8に循環するようにしている。」
(1-c)「
」
(1-d)「
」
(1-e)図1には、上部に配置された冷蔵室、冷蔵室の下方に配置された野菜室とを含む複数の貯蔵室を備えた電気冷蔵庫が示されている。
(1-f)図3には、貯蔵室3の側壁の内面を形成する内箱1bと貯蔵室3の背面壁の内面を形成する内箱1bとのコーナー部に形成され背面壁の内面よりも前面側に突出するように設けられた凸部及び凸部に断熱材1cが封入されている点が示されている。
なお、側壁及び背面壁は、貯蔵室3の内箱1b、断熱材1c、外箱1aで構成される。
(1-g)図3には、カバー6及びコ字状断熱材12が、貯蔵室3の背面の一部を覆う点、及び凹部が凸部の側面と背面壁の内面とで形成される点が示されている。
よって、以上の記載事項(1-a)~(1-g)を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「引用発明」という。)。
「上部に配置された冷蔵室、冷蔵室の下方に配置された野菜室を含み前面を開放する複数の貯蔵室3と、
貯蔵室3の側壁の内面を形成する内箱1bと貯蔵室3の背面壁の内面を形成する内箱1bとのコーナー部に形成され背面壁の内面よりも前面側に突出するように設けられた凸部と、
凸部、及び外箱1aと内箱1bとの間に封入された断熱材1cと、
貯蔵室3の背面の一部を覆うカバー6及びコ字状断熱材12と、
凸部の側面と背面壁の内面とで形成され、コ字状断熱材12の延出部12aが嵌入される凹溝5aとカバー6の係止爪6aが係止される係止穴5bとが設けられた凹部5と、
を備え、
凹部5とコ字状断熱材12とにより断熱冷気通路13が形成される電気冷蔵庫。」
(2)引用例2
当審の拒絶の理由に引用例2として引用された特開2004-28349号公報には、次の事項が図面とともに記載されている。
(2-a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空断熱材を利用した冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵庫の省エネルギー化や省スペース化を狙いに、冷蔵庫の断熱性能を高める一手段として、高断熱性能を有する真空断熱材を利用する方法があり、省エネルギーの要請が益々高まる今日では、硬質ウレタンフォームと比較して数倍から10倍程度の断熱性能を有する真空断熱材を適切な範囲内で最大限に利用することにより断熱性能を向上させていくことが急務であるといえる。一方、真空断熱材を冷蔵庫の断熱箱体に硬質ウレタンフォームと複層して適用した場合、硬質ウレタンフォームと真空断熱材の収縮率の違いにより、断熱箱体の外観に変形が生じるという課題を有していた。そして、上記課題を解決する手段としては、実開昭61-141690号公報に記載されたものが知られている。」
(2-b)「【0063】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の冷蔵庫の正面図、図2は同実施の形態の冷蔵庫の側面断面図、図3は同実施の形態の冷蔵庫の正面断面図、図4は同実施の形態の冷蔵庫の冷蔵室扉の発泡前の分解図、図5は図4の発泡後の断面図、図6は同実施の形態の冷蔵庫の冷凍室扉の断面図である。
【0064】
図において、10は冷蔵庫本体であり、ABSなどの合成樹脂からなる内箱11と鉄板などの金属からなる外箱12とから形成される空間に硬質ウレタンフォーム13が充填されている。14は断熱区画壁で、断熱区画壁14の上部に冷蔵室15、野菜室16を、下部に切替室17、製氷室18、冷凍室19を形成している。20は、冷蔵庫本体10の後部下方に配置した機械室で、内部に圧縮機21を配設している。22は冷蔵用冷却器、23は冷蔵用送風機、24は冷凍用冷却器、25は冷凍用送風機で、26は、冷蔵庫本体10の底面部に配設した凝縮器である。
【0065】
冷蔵庫本体10の前面開口部には、一端を支点として回動するヒンジ式の冷蔵室用扉27、それぞれ引出し式の野菜室用扉28、切替室用扉29、製氷室用扉30、冷凍室用扉31が設けられている。32、33、34、35、36、37、38、39、40、41は真空断熱材で、硬質ウレタンフォーム13とともに冷蔵庫本体10を構成している。
【0066】
ここで、真空断熱材32、33、34、36は、外箱11のそれぞれ天面、背面、側面、機械室構成面の内側に接して貼り付けられている。また、真空断熱材35は、内箱12の底面に接して貼り付けられている。また、真空断熱材37は、断熱区画壁14内に配設されている。
【0067】
また、冷蔵庫本体10の前面開口部に配置するヒンジ式の冷蔵室用扉27の内部には内箱に接するように真空断熱材38が、引出し式の野菜室用扉28、切替室用扉29、冷凍室用扉31の内部にはそれぞれ真空断熱材39、40、41が、各扉の外側鉄板と内箱の中間部に位置するように配設されている。
【0068】
また、冷凍領域の冷凍室19、切替室17を囲む硬質ウレタンフォーム13と真空断熱材33、34、35、36で形成される断熱箱体の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25~50mmの分布に、冷蔵領域の冷蔵室15,野菜室16を囲む硬質ウレタンフォーム13と真空断熱材32、33、34、で形成される断熱箱体の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25~40mmの分布としている。」
(2-c)「
」
(2-d)図2には、真空断熱材33と内箱11との間に硬質ウレタンフォーム13が充填されている点が示されている。
よって、以上の記載事項(2-a)、(2-b)を総合すると、引用例2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「引用例2記載の事項」という。)。
「内箱11と外箱12とから形成される空間に硬質ウレタンフォーム13が充填され、
断熱区画壁14の上部に冷蔵室15、野菜室16を、下部に切替室17、製氷室18、冷凍室19を形成し、
真空断熱材33は、外箱11の背面の内側に接して貼り付けられ、真空断熱材33と内箱11との間に硬質ウレタンフォーム13が充填され、
真空断熱材37は、断熱区画壁14内に配設された冷蔵庫。」
5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「前面を開放する複数の貯蔵室3」は、本願発明の「前面に開口部を有する複数の貯蔵室」に相当する。
よって、引用発明の「上部に配置された冷蔵室、冷蔵室の下方に配置された野菜室を含み前面を開放する複数の貯蔵室3」と、本願発明の「上部に配置された冷蔵室、下部に配置された冷凍室、前記冷蔵室の下方で前記冷凍室の上方に配置された野菜室、を含む前面に開口部を有する複数の貯蔵室」とは、「上部に配置された冷蔵室、前記冷蔵室の下方に配置された野菜室、を含む前面に開口部を有する複数の貯蔵室」である点で共通する。
イ 引用発明の「貯蔵室3」は冷蔵室を含むから、本願発明の「冷蔵室」に相当する。
よって、引用発明の「貯蔵室3の側壁の内面を形成する内箱1bと貯蔵室3の背面壁の内面を形成する内箱1bとのコーナー部に形成され背面壁の内面よりも前面側に突出するように設けられた凸部」は、本願発明の「前記冷蔵室の側壁の内面を形成する内箱と前記冷蔵室の背面壁の内面を形成する内箱とのコーナー部に形成され前記背面壁の内面よりも前面側に突出するように設けられた凸部」に相当する。
ウ 引用発明の「凸部、及び外箱1aと内箱1bとの間に封入された断熱材1c」と、本願発明の「凸部、及び第1の真空断熱材と背面壁の内面を形成する内箱との間に充填もしくは封入されて、内箱と第1の真空断熱材とを接着、固着、もしくは固定している第1の介在部材」とは、「凸部などに封入された第1の介在部材」である点で共通する。
エ 引用発明の「カバー6及びコ字状断熱材12」は、本願発明の「カバー部材」に相当する。
よって、引用発明の「貯蔵室3の背面の一部を覆うカバー6及びコ字状断熱材21」は、本願発明の「冷蔵室の背面の少なくとも一部を覆うカバー部材」に相当する。
オ 引用発明の「凹溝5a」及び「係止穴5b」は、本願発明の「第1の取り付け部」に相当し、引用発明の「延出部12a」及び「係止爪6a」は、本願発明の「第2の取り付け部」に相当する。
よって、引用発明の「凸部の側面と背面側の内箱1bとで形成され、コ字状断熱材12の延出部12aが嵌入される凹溝5aとカバー6の係止爪6aが係止される係止穴5bとが設けられた凹部5」は、本願発明の「凸部の側面と背面壁とによって形成され、カバー部材を取り付けるための第1の取り付け部が設けられた凹部」に相当する。
また、引用発明の「カバー6及びコ字状断熱材12」は、「凹溝5a」及び「係止穴5b」に取り付けられる「延出部12a」及び「係止爪6a」を有しているから、引用発明は、本願発明の「前記カバー部材には、前記第1の取り付け部に取り付けられる第2の取り付け部が設けられて」いる点に相当する構成も備えている。
カ 引用発明の「断熱冷気通路13」は、本願発明の「風路」に相当する。 そして、引用発明において「延出部12a」及び「係止爪6a」(第2の取り付け部)が、「凹溝5a」及び「係止穴5b」(第1の取り付け部)に取り付けられて、凹部5が断熱冷気通路13として利用されることは、これらの構造からみて明らかである。
よって、引用発明の「凹部5とコ字状断熱材12とにより断熱冷気通路13が形成される電気冷蔵庫」は、本願発明の「カバー部材の第2の取り付け部が第1の取り付け部に取り付けられて凹部が風路として利用される冷蔵庫」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「上部に配置された冷蔵室、前記冷蔵室の下方に配置された野菜室、を含む前面に開口部を有する複数の貯蔵室と、
前記冷蔵室の側壁の内面を形成する内箱と前記冷蔵室の背面壁の内面を形成する内箱とのコーナー部に形成され前記背面壁の内面よりも前面側に突出するように設けられた凸部と、
前記凸部などに封入された第1の介在部材と、
前記冷蔵室の背面の少なくとも一部を覆うカバー部材と、
前記凸部の側面と前記背面壁とによって形成され、前記カバー部材を取り付けるための第1の取り付け部が設けられた凹部と、を備え、
前記カバー部材には、前記第1の取り付け部に取り付けられる第2の取り付け部が設けられており、
前記カバー部材の前記第2の取り付け部が前記第1の取り付け部に取り付けられて前記凹部が風路として利用される冷蔵庫。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
貯蔵室に関して、本願発明では、「下部に配置された冷凍室、前記冷蔵室の下方で前記冷凍室の上方に配置された野菜室」を含むのに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。
[相違点2]
本願発明は、「前記背面壁の内面を形成する内箱と前記背面壁の外面を形成する外箱との間に設けられた平板状の第1の真空断熱材」、「前記凸部、及び前記第1の真空断熱材と前記背面壁の内面を形成する内箱との間に充填もしくは封入されて、前記内箱と前記第1の真空断熱材とを接着、固着、もしくは固定している第1の介在部材」、「前記第1の真空断熱材と前記外箱とを接着、固着、もしくは固定している、前記第1の介在部材とは異なる第2の介在部材」を備え、「前記第1の介在部材がウレタンフォーム」であるのに対し、引用発明は、「第1の真空断熱材」及び「第2の介在部材」を備えておらず、「第1の介在部材」が、外箱と内箱との間に封入された断熱材1cである点。
[相違点3]
本願発明が「前記複数の貯蔵室を区画する仕切壁」と、「前記仕切壁の内部空間に配置された第2の真空断熱材」とを備えているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
6 判断
ア 上記相違点1について検討する。
引用例2記載の事項には、冷蔵室15の下部に冷凍室19を配置し、冷凍室19の上方に野菜室16配置した冷蔵庫が開示されている。
よって、引用発明に引用例2記載の事項を適用し、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
イ 上記相違点2について検討する。
引用例2記載の事項において、「硬質ウレタンフォーム13」(本願発明の「第1の介在部材」に相当する。)は、「内箱11と外箱12とから形成される空間に充填され」ており、「真空断熱材33」は、「外箱11の背面の内側に接して貼り付けられ」ているから、真空断熱材33は、背面の外箱12と内箱11との間に設けられているといえる。
そして、引用例2記載の事項の「硬質ウレタンフォーム13」は、真空断熱材33と内箱11との間に充填されるものであって、接着力を有することは周知の技術であるから(例えば、特開2013-19451号公報の段落【0023】、特開2012-202603号公報の段落【0005】、特開2009-36358号公報の段落【0014】、特開2008-170150号公報の段落【0036】を参照のこと。)、真空断熱材33と内箱11とを接着、固着、もしくは固定していることは明らかである
ここで、冷蔵庫の技術分野において、省エネルギー化や省スペース化を図ることは周知の課題であり(例えば、引用例2の段落【0002】参照)、上記課題を解決するために高断熱性能を有する真空断熱材等を外箱と内箱の間に設けることもよく知られているところ、引用発明の電気冷蔵庫においてもこのような課題を内在するといえる。
したがって、引用発明に引用例2記載の事項を適用し、第1の介在部材をウレタンフォームとし、外箱の背面に真空断熱材を貼り付けるように構成することは、当業者にとって格別困難なことではない。そして、真空断熱材と外箱とは両面テープ等により貼り付けることが普通であるから、真空断熱材と外箱とを貼り付ける第2の介在部材をウレタンフォームで構成される第1の介在部材と異なるものとすることは当業者が適宜なし得たことである。
よって、引用発明に引用例2記載の事項を適用し、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 上記相違点3について検討する。
引用例2記載の事項には、冷蔵室15、野菜室16と、切替室17、製氷室18、冷凍室19との間に断熱区画壁14を形成し、断熱区画壁14内に真空断熱材37を配設した点が開示されている。
よって、引用発明に引用例2記載の事項を適用し、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
エ 本願発明が奏する効果について
上記相違点1~3によって本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明及び引用例2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
オ 請求人の主張
請求人は、令和1年12月10日付け意見書の「2.1A」において、「引用文献2の図10において、真空断熱材53の内箱12側のウレタンフォーム55は、外箱51側の軟質部材53の厚みよりも大きく図示されており、ウレタンフォーム55が、真空断熱材53と内箱11の背面の内面とを接着、固着、もしくは固定することは、記載も示唆もされておりません。」と主張する。
しかしながら、上記「6イ」で検討したとおり、「硬質ウレタンフォーム13」は、真空断熱材33と内箱11との間に充填されるものであるから、直接的な記載がないとしても、真空断熱材33と内箱11とを接着、固着、もしくは固定していることは明らかである。
また、請求人は同意見書の「2.1A」において、「また、引用文献1は、真空断熱材を用いた冷蔵庫ではないため、真空断熱材を傷つけないで断熱材を薄型化するという課題を有しておりません。
引用文献2においても、真空断熱材を冷蔵庫に用いた場合に生じる外面の変形を抑制することを目的としたものであり、真空断熱材を傷つけないで断熱材を薄型化するという課題の言及はありません。
そのため、当業者は、引用文献1に引用文献2の構成を採用し、「前記凸部、及び前記第1の真空断熱材と前記背面壁の内面を形成する内箱との間に充填もしくは封入されて、前記内箱と前記第1の真空断熱材とを接着、固着、もしくは固定している第1の介在部材と、前記第1の真空断熱材と前記外箱とを接着、固着、もしくは固定している、前記第1の介在部材とは異なる第2の介在部材と」を備えた構成とする動機付けはないと考えます。」と主張する。
しかしながら、上記「6イ」で検討したとおり、冷蔵庫の技術分野において、省エネルギー化や省スペース化を図ることは周知の課題であり、引用発明においてもこのような課題を内在するといえるから、真空断熱材を冷蔵庫に用いた引用例2記載の事項を適用する動機付けを有している。
さらに、引用例2記載の事項は、真空断熱材を冷蔵庫に用いた場合に生じる外面の変形を抑制するとの目的に関連するものでもない。
したがって、引用発明の電気冷蔵庫において引用例2記載の事項の真空断熱材を用いることは、当業者にとって格別困難なこととはいえない。
よって、請求人の主張は採用できない。
カ したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-011035