特許拒絶査定不服審判
2018-009488
遊技機
- 審判番号
- 2018-009488
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-035082外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年07月10日
- 審決日
- 2019年07月29日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ソフイア
- 【請求人代理人】荒船 良男
- 【請求人代理人】特許業務法人光陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-35082号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年8月31日出願公開、特開2017-148334号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年2月26日の出願であって、同年12月5日に手続補正書が提出され、平成29年9月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年4月6日付け(送達日:同年同月17日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成31年2月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成31年4月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「A 始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、前記変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生する遊技機において、
B 遊技に関する情報を表示可能な表示装置と、
C 前記始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき前記変動表示ゲームの実行権利を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段と、
D 前記始動記憶手段に記憶された始動記憶に関する情報を示す保留表示を前記表示装置に表示可能な始動記憶表示手段と、を備え、
E 前記始動記憶表示手段は、
E1 前記変動表示ゲームの実行中において、前記保留表示として、第1保留表示と、第2保留表示とを表示可能であり、
E2 前記第2保留表示を、前記変動表示ゲームの演出表示領域とは区画した状態で表示し、
E3 前記変動表示ゲームにおける所定の特定演出の実行中において、前記第2保留表示の前記演出表示領域と区画した状態での表示を継続する一方で、前記第1保留表示を非表示とするとともに、前記識別情報を前記演出表示領域の隅に当該演出表示領域と区画しない状態で表示するように構成され、
E4 前記特定演出の実行中に新たな始動記憶が発生した場合には、前記第2保留表示については前記新たな始動記憶の発生に伴い表示を更新し、前記第1保留表示については前記特定演出が終了して当該第1保留表示の表示が再開される際に前記新たな始動記憶の発生に伴う増加分を反映した状態で表示を行うように構成され、
F 前記特定演出の実行中は、前記新たな始動記憶に対応する前記変動表示ゲームに関する事前報知を行うか否かの抽選を行わず、当該特定演出が終了して前記第1保留表示の表示が再開された後に前記抽選を行うようにしたことを特徴とする遊技機。」(記号A~Fは、分説するため合議体が付した。)
3 拒絶の理由
当審による拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
(1)(新規性)この出願の請求項1、3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)(進歩性)この出願の請求項1、3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2014-198158号公報
4 引用文献に記載された発明
当審による拒絶理由において引用され、本願の出願前に頒布された引用文献1である特開2014-198158号公報には、図面とともに次の事項が記載されていると認められる(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(1)記載事項
ア 「【0024】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像(動画像または静止画像)を表示するための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208c、第4図柄表示領域208eおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、第4図柄表示領域208eには第4図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208d、208eの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。図3に示す例では、第4図柄表示領域208eの表示位置は、装飾図柄表示装置208の表示画面のうちの下端部に固定されている。また図3に示す例では、特図1および特図2のそれぞれに対応する第4図柄表示領域208eが1つずつ(計2つ)設けられているが、特図1および特図2の双方に対応する共通の第4図柄表示領域208eが1つのみ設けられていてもよい。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。」
イ 「【0060】
図5(c)は装飾図柄の一例を示したものである。本実施形態の装飾図柄には、「装飾1」~「装飾10」の10種類がある。「装飾1」~「装飾9」および「装飾10」は、それぞれ数字の「1」~「9」および「0」を表している。特図1始動口230または特図2始動口232に球が入賞したこと、すなわち、特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと、あるいは特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・→「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行う。」
ウ 「【0102】
また、特図2変動遊技の結果が大当りであれば、大当りフラグがオンにされる。大当りフラグがオンの場合には、所定の停止表示期間が終了したタイミング(特図2停止時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)における特図2状態更新処理では、RAM308の設定領域に特図2作動中を設定するとともに、所定の入賞演出期間(例えば3秒間)すなわち装飾図柄表示装置208による大当りを開始することを遊技者に報知する画像を表示している期間待機するために、RAM308に設けた特図2待機時間管理用タイマの記憶領域に入賞演出期間を示す情報を設定する。また、コマンド設定送信処理(ステップS233)で入賞演出設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶する。」
エ 「【0129】
図8は、入賞受付処理(ステップS217)で実行される特図先読み処理の流れの一例を示すフローチャートである。特図先読み処理では、主制御部300は、特図1および特図2のそれぞれにおいて増加した始動情報(新たに取得した始動情報)を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定し、事前判定結果(特図先読み結果)をRAM308内の先読み結果記憶部(図9(a)~(c)参照)に記憶する。
【0130】
ここで、RAM308内には、特図1の先読み結果を記憶する特図1用先読み結果記憶部と、特図1用先読み結果記憶部に記憶されている特図1先読み結果の数を特図1先読み数として記憶する特図1先読み数記憶領域とが設けられている。特図1用先読み結果記憶部は、本例では4個まで先読み結果を格納できるようになっている。特図1用先読み結果記憶部では、特図1先読み数が1つ減るごとに順位が最上位(最先)の特図1先読み結果のデータが消去されるとともに、残余の特図1先読み結果のデータの順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図1先読み数が1つ増えるごとに、順位が最下位(最後)の特図1先読み結果のデータの次の順位に新たな特図1先読み結果のデータが書き込まれる。」
オ 「【0205】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100において実行される演出の具体例について説明する。
【0206】
(実施例1-1)
図18~20は、本実施の形態の実施例1-1における演出表示の例を時系列で示している。図18および後述する各図では、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cにおける装飾図柄の変動を白抜き太矢印で表している。また、特図1表示装置212、特図2表示装置214、特図1保留ランプ218および特図2保留ランプ220の消灯部分を白抜きで表し、点灯部分を黒塗りで表している。また、特図1表示装置212または特図2表示装置214において全てのセグメントが白抜きで表された状態は、特図1または特図2の変動表示が行われていることを示している。
【0207】
また、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの左下部には、変動アイコン表示領域800が設けられている。変動アイコン表示領域800には、開口端を上に向けた土管の画像が表示されている。本実施例の変動アイコン表示領域800では、変動アイコンが土管の開口部の中に入っていく変動アイコン消去アニメーションが実行される。なお、変動アイコンは、後述する保留アイコン表示領域900に表示される保留アイコンとは異なる表示サイズ(例えば、保留アイコンよりも大きい表示サイズ)で表示されるようにしてもよい。これにより、変動アイコンと保留アイコンとの識別が容易になる場合がある。
【0208】
また、変動アイコン表示領域800の右方の横長の領域は、保留アイコン表示領域900として用いられる。保留アイコン表示領域900では、1つまたは複数の保留アイコンを表示することが可能である。保留アイコン表示領域900では、表示される保留アイコンの個数によって特図変動遊技の保留数を報知することが可能であるとともに、各保留アイコンの表示態様によって各保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能である。本例の保留アイコン表示領域900は最大4つの保留アイコンを表示可能であり、左から右に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の4つの領域に大まかに分かれている。第1~第4の各領域は、それぞれ1番目~4番目の保留順位に対応している。すなわち、第1領域には最先の(最も過去に記憶された)保留に対応する保留アイコンが表示可能となっており、同様に第2~第4領域には2~4個目の保留に対応する保留アイコンがそれぞれ表示可能となっている。本例では、保留アイコン表示領域900の第1~第4領域のそれぞれの位置は明示されていないが、例えば第1~第4領域のそれぞれに1~4の数字を表示することにより、第1~第4領域の位置を明示するようにしてもよい。また本例の保留アイコン表示領域900では、特図1の保留アイコンのみを表示するが、特図2の保留アイコンのみを表示してもよいし、特図1と特図2の保留アイコンを併せて表示してもよい。
・・・
【0210】
また、保留アイコン表示領域900の右方に、特図1保留数表示領域a1と、特図2保留数表示領域a2とが設けられている。特図1保留数表示領域a1と特図2保留数表示領域a2とは、正方形状の表示領域をそれぞれ有し、上からこの順に並んで配置されている。特図1保留数表示領域a1には、特図1変動遊技の保留数が「0」~「4」の数字で表示される。特図2保留数表示領域a2には、特図2変動遊技の保留数が「0」~「4」の数字で表示される。
・・・
【0216】
また、当該特図1変動遊技では、本実施例によるパチンコ機100で登場するキャラクタ(例えば、吉宗、悪代官、悪徳商人越後屋)で行われる大江戸運動会アニメーション演出が実行される。これから大江戸運動会アニメーションが開始されることを報知するために、演出表示領域208dの中央には、「大江戸運動会」という文字列が表示される。また、「吉宗が一等賞なら大当たり」という文字列が表示され、アニメーション演出で吉宗が勝利すると大当たりになることが示唆される。また、アニメーション演出が実行される場合には、図18(b)に示すように、図柄表示領域208a~208cは、装飾図柄表示装置208の表示領域内の右上方に移動する。」
カ 「【0297】
また、巻き戻し再生時に、順方向再生時と異なる態様で実行されるアニメーションは、遊技者の設定操作部137の操作に関するアニメーション(図22(e)参照)だけに限らず、例えば、図28~29に示すような、変動アイコン801に関するアニメーションであってもよい。このような場合には、図29(a)で表示が復帰された変動アイコン801の表示態様が先読み予告が行われた場合の表示態様(デフォルト(白色円形)以外)になっていてもよい。また、アニメーションが巻き戻し再生されたことで、大当り信頼度の低い態様である白色の状態で消去された変動アイコン801が白色よりも大当り信頼度が高い緑色で表示が復帰されてもよい。」
キ 「【0307】
(1)上記パチンコ機100は、
画像を少なくとも表示可能な画像表示手段(例えば、装飾図柄表示装置208)と、
前記画像表示手段を少なくとも制御可能な制御手段(例えば、第1副制御部400)と、
を備えた遊技台であって、
前記画像表示手段は、複数のアニメーションを少なくとも表示可能なものであり、
前記複数のアニメーションのうちの少なくとも一つは、第一のアニメーション(例えば、順方向再生のアニメーション演出)であり、
前記複数のアニメーションのうちの少なくとも一つは、第二のアニメーション(例えば、ビデオ演出)であり、
前記制御手段は、第一の条件の成立があった場合に、第一の制御を少なくとも実行可能であり、
前記制御手段は、第二の条件の成立があった場合に、第二の制御を少なくとも実行可能であり、
前記第一の制御は、前記画像表示手段に前記第一のアニメーションを少なくとも表示させる制御であり、
前記第二の制御は、前記画像表示手段に前記第二のアニメーションを少なくとも表示させる制御であり、
前記第二のアニメーションの表示態様は、前記第一のアニメーションの再生状態が変更された表示態様である、
ことを特徴とする。」
ク 「【0324】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る遊技台について説明する。本実施の形態によるパチンコ機100の構成等については、第1の実施の形態によるパチンコ機100と同様であるため説明を省略し、第1の実施の形態と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。
・・・
【0345】
(実施例2-2)
図33、図34は、本実施の形態の実施例2-2における演出表示の例を時系列で示している。図33(a)は、特図1変動遊技が終了した状態を示している。図33(a)に示すように、特図1表示装置212では、当該特図1変動遊技の当否判定結果がはずれであったことを示す「特図G」が停止表示されている。また、特図2表示装置214には直近の特図2変動遊技の停止図柄である「特図d」が表示されている。特図1保留ランプ218は、左から1~3番目のLEDをそれぞれ点灯させて特図1の作動保留球の数(特図1の保留数)が3つであることを表示しており、特図2保留ランプ220は、全てのLEDを消灯させて特図2の作動保留球の数(特図2の保留数)が0であることを表示している。
【0346】
装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cでは、当該特図1変動遊技の当否判定結果がはずれであったことを示す、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾8-装飾0-装飾3」が停止表示されている。保留アイコン表示領域900には保留アイコン901、保留アイコン902、保留アイコン903がそれぞれ表示されている。また、特図1保留数表示領域a1には、特図1の保留数を示す数字「3」が表示され、特図2保留数表示領域a2には、特図2の保留数を示す数字「0」が表示されている。また、特図1用第4図柄表示領域e1には、当該特図1変動遊技の当否判定結果がはずれであったことを示す「×」が停止表示され、特図2用第4図柄表示領域e2には、直近の特図2変動遊技がはずれであったことを示す「×」が停止表示されている。
【0347】
特図1表示装置212が停止表示してから所定時間経過後、次の特図1変動遊技が開始される。図33(b)に示すように、特図1表示装置212では、図5(e)に示す特図変動パターン(特図アニメ)の特図1の変動表示が開始される。特図1保留ランプ218は、左から3番目のLEDを消灯することにより、特図1の保留数が3から2に減少したことを表示する。特図1保留ランプ218では、特図1の保留数が減少したことが特図1変動遊技の開始とほぼ同時に報知される。また、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cでは、装飾図柄が図中の下向きの矢印に示す方向に順次移動(回転)する装飾図柄変動表示が開始される。また、特図1用第4図柄表示領域e1では、第4図柄の変動表示が開始される。また、特図1保留数表示領域a1には、特図1の保留数を示す数字の「2」が表示される。また、保留アイコン消去アニメーションが実行され、保留アイコン901が消去される。また、保留アイコン移動アニメーションが実行され、保留アイコン902が保留アイコン表示領域900の第1領域に移動し、保留アイコン903が保留アイコン表示領域900の第2領域に移動する。
【0348】
図33(c)は、左右図柄表示領域208a、208cに「装飾4」が表示され、リーチ演出が開始された状態を示している。本例では、リーチ演出が開始されると、図33(d)に示すように、吉宗c4が勝負を挑む態様のアニメーションが表示されて、スーパーリーチ演出が開始される。スーパーリーチ演出が開始されると、変動アイコン表示領域800と保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンは非表示にされる。
【0349】
本例のスーパーリーチ演出では、図33(e)に示すように、吉宗c4と剣豪c7とが対決する剣豪対決のアニメーション演出が実行される。剣豪対決のアニメーション演出では、図33(f)に示すように、吉宗c4と剣豪c7のアップの動画像が演出表示領域208dに表示される。
【0350】
また、特図1入賞口230に1個の遊技球が入賞して特図1変動遊技が新たに1個保留される。このため、特図1保留ランプ218は、左から3番目のLEDを点灯させて特図1の保留数が3に増加したことを表示し、特図1保留数表示領域a1には、特図1の保留数を示す数字の「3」が表示される。次いで、図33(g)に示すように、吉宗c4と剣豪c7とが斬り合う動画像が表示される。」
ケ 「【0358】
図34(d)は、巻き戻し再生により、スーパーリーチ演出開始前まで巻き戻された状態を示している。スーパーリーチ演出が実行されていない場合には、変動アイコン表示領域800と、保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンが演出表示領域208dに表示される。このように、巻き戻し再生により、中断されていた表示が再開される場合がある。本例では、巻き戻し再生により、保留アイコンの表示が再開される。このため、保留アイコン表示領域900には、保留アイコン901、902、903が表示される。このため、保留アイコンの表示が中断されている時(スーパーリーチ演出実行時)に特図1の保留が増加していたことを遊技者は容易に把握することができる場合がある。」
(2)認定事項
コ 引用文献1には、「本発明の第1の実施の形態の実施例1-1における演出の例を示す図(その1)である」【図18】に関して、
【0216】に「特図1変動遊技では、・・・アニメーション演出が実行される場合には、図18(b)に示すように、図柄表示領域208a~208cは、装飾図柄表示装置208の表示領域内の右上方に移動する。」と記載されている。
また、引用文献1には、「本発明の第2の実施の形態の実施例2-2における演出の例を示す図(その1)である」【図33】に関して、
【0348】に「図33(d)に示すように、吉宗c4が勝負を挑む態様のアニメーションが表示されて、スーパーリーチ演出が開始される。」と記載されている。
そして、「図33(d)」も、「図18(b)」と同様に、図柄表示領域208a~208cが、装飾図柄表示装置208の表示領域内の右上方に移動表示されることが看取できる。
さらに、引用文献1の【0307】に「画像表示手段(例えば、装飾図柄表示装置208)と、・・・前記画像表示手段を少なくとも制御可能な制御手段(例えば、第1副制御部400)・・・」と記載されている。
これらのことからみて、引用文献1には、第1副制御部400が、スーパーリーチ演出が開始されると、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cを、装飾図柄表示装置208の表示領域内の右上方に移動表示させることが示されているものと認められる。
サ 引用文献1の【0307】に「画像表示手段(例えば、装飾図柄表示装置208)と、・・・前記画像表示手段を少なくとも制御可能な制御手段(例えば、第1副制御部400)・・・」と記載され、【0346】に「装飾図柄表示装置208の・・・特図1保留数表示領域a1には、特図1の保留数を示す数字「3」が表示され、特図2保留数表示領域a2には、特図2の保留数を示す数字「0」が表示されている。」と記載され、【0348】に「図33(d)に示すように、吉宗c4が勝負を挑む態様のアニメーションが表示されて、スーパーリーチ演出が開始される。スーパーリーチ演出が開始されると、・・・保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンは非表示にされる。」と記載されている。
これらの記載からみて、引用文献1の【図33】(d)には、装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に特図1の保留数を示す数字が表示されるが、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンは非表示にされることが図示されている。
さらに、引用文献1の【0348】に「図33(d)に示すように、吉宗c4が勝負を挑む態様のアニメーションが表示されて、スーパーリーチ演出が開始される。」と記載されている。
これらのことからみて、引用文献1には、第1副制御部400が、スーパーリーチ演出が開始されると、装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に特図1~2の保留数を示す数字を表示させるが、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンを非表示にさせることも示されているものと認められる。
シ 引用文献1の【0206】に「・・・装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208c・・・」と記載され、【0207】に「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの左下部には、変動アイコン表示領域800が設けられている。・・・」と記載され、【0208】に「変動アイコン表示領域800の右方の横長の領域は、保留アイコン表示領域900として用いられる。・・・」と記載され、【0210】に「保留アイコン表示領域900の右方に、特図1保留数表示領域a1と、特図2保留数表示領域a2とが設けられている。・・・正方形状の表示領域を・・・有し、特図1保留数表示領域a1には、特図1変動遊技の保留数が「0」~「4」の数字で表示される。特図2保留数表示領域a2には、特図2変動遊技の保留数が「0」~「4」の数字で表示される。」と記載されている。
また、【図33】(a)~(c)には、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cの下部右方の正方形状の特図1~2の保留数表示領域a1~a2に、特図1~2の保留数を示す数字を表示することが図示されている。
これらのことからみて、引用文献1の図33(a)~(c)には、第1副制御部400が、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cの下部右方の正方形状の特図1~2保留数表示領域a1~a2に、特図1~2の保留数を示す数字を表示させることが示されているものと認められる。
(3)引用発明
上記(1)の記載事項ア~ケ、上記(2)の認定事項コ~シ、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(a~fは、本願発明のA~Fに対応させて合議体が付した。)。
「a 特図1始動口230または特図2始動口232に球が入賞したことを条件にして、装飾図柄表示装置208において装飾図柄の変動表示を行い(【0060】)、
特図2変動遊技の結果が大当りであれば、装飾図柄表示装置208による大当りを開始することを遊技者に報知する画像を表示するパチンコ機100(【0102】、【0205】)であって、
b 装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像(動画像または静止画像)を表示する装飾図柄表示装置208と(【0024】)、
c 新たに取得した始動情報を先読みした特図先読み結果を、4個まで格納できるRAM308内の先読み結果記憶部(【0129】~【0130】)と、
d 装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に保留アイコンを表示し、また、装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に特図1~2の保留数を示す数字を表示するように制御可能な第1副制御部400(【0307】、【0346】)と、を備え、
e 第1副制御部400は、
e1 次の特図1変動遊技が開始されると、装飾図柄表示装置208の特図1保留数表示領域a1に特図1の保留数を示す数字の「2」を表示させ、保留アイコン902を保留アイコン表示領域900の第1領域に移動させ、保留アイコン903を保留アイコン表示領域900の第2領域に移動させ(【0307】、【0346】~【0347】)、
e2 装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cの下部右方の正方形状の特図1~2保留数表示領域a1~a2に、特図1~2の保留数を示す数字を表示させ(認定事項シ)、
e3 スーパーリーチ演出が開始されると、装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に特図1~2の保留数を示す数字を表示させるが、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンを非表示にさせると共に、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cを、装飾図柄表示装置208の表示領域内の右上方に移動表示させ(認定事項コ~サ)、
e4 保留アイコンの表示が中断され、再開されるまでのスーパーリーチ演出の実行時に、特図1入賞口230に1個の遊技球が入賞して特図1変動遊技が新たに1個保留されると、特図1保留数表示領域a1に、特図1の保留数を示す数字の「3」を表示させ(【0307】、【0346】、【0349】~【0350】、【0358】)、
スーパーリーチ演出が実行されていない場合に保留アイコンの表示が再開されると、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に保留アイコン901、902、903を表示させ(【0307】、【0346】、【0358】)、
f 各保留アイコンの表示態様によって各保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能である(【0208】)
パチンコ機100。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(なお、記号a~fについては、本願発明1のA~Fに対応させて合議体が付した。)。
5 対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)引用発明における「特図1始動口230または特図2始動口232に球が入賞したことを条件にして、装飾図柄表示装置208において装飾図柄の変動表示を行」うことは、構成e3より、「装飾図柄の変動表示」が「図柄表示領域208a~208c」の3箇所において行われるといえるから、本願発明における「始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行」することに相当する。
そして、引用発明における「特図2変動遊技の結果が大当りであ」ることは、本願発明における「変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合」に相当すし、引用発明における「大当りを開始する」ことは、本願発明における「遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生する」ことに相当する。
また、引用発明における「パチンコ機100」は、本願発明における「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明における構成aの「特図1始動口230または特図2始動口232に球が入賞したことを条件にして、装飾図柄表示装置208において装飾図柄の変動表示を行い、特図2変動遊技の結果が大当りであれば、装飾図柄表示装置208による大当りを開始することを遊技者に報知する画像を表示するパチンコ機100」は、本願発明における構成Aの「始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、前記変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生する遊技機」に相当する。
(b)引用発明における「装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像(動画像または静止画像)」は、本願発明における「遊技に関する情報」に相当する。
したがって、引用発明における構成bの「装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像(動画像または静止画像)を表示する装飾図柄表示装置208」は、本願発明における構成Bの「遊技に関する情報を表示可能な表示装置」に相当する。
(c)引用発明における「新たに取得した始動情報を先読みした特図先読み結果」は、当該「特図先読み結果」に基づいて「装飾図柄の変動表示」が行われることから、本願発明における「始動入賞領域への遊技球の入賞に基づ」く「始動記憶として」の「変動表示ゲームの実行権利」に相当する。
そして、引用発明における「4個まで格納できる」ことは、本願発明における「所定の上限数まで記憶可能な」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成cの「新たに取得した始動情報を先読みした特図先読み結果を、4個まで格納できるRAM308内の先読み結果記憶部」は、本願発明における構成Cの「始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき変動表示ゲームの実行権利を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段」に相当する。
(d)引用発明における「保留アイコン」及び「特図1~2の保留数を示す数字」は、構成cより、「RAM308内の先読み結果記憶部」に4個まで保留して記憶された「特図先読み結果」に係る情報を表示したものであるから、本願発明における「始動記憶手段に記憶された始動記憶に関する情報を示す保留表示」に相当する。
そして、引用発明における構成dの「装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に」「表示」「するように制御可能な」こと、及び、「装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に」「表示するように制御可能な」ことは、本願発明における構成Dの「表示装置に表示可能」なことに相当する。
したがって、引用発明における構成dの「装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に保留アイコンを表示し、また、装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2には、特図1~2の保留数を示す数字を表示するように制御可能な第1副制御部400」は、本願発明における構成Dの「始動記憶手段に記憶された始動記憶に関する情報を示す保留表示を表示装置に表示可能な始動記憶表示手段」としての機能を有する。
(e、e1)引用発明における「次の特図1変動遊技が開始される」ことは、特図1変動遊技の実行状態となることであるから、本願発明における「変動表示ゲームの実行中」に相当する。
そして、上記(d)より、引用発明における「保留アイコン902、903」は、本願発明における「保留表示として」の「第1保留表示」に相当する。
また、引用発明における「特図1の保留数を示す数字」は、本願発明における「保留表示として」の「第2保留表示」に相当する。
したがって、引用発明における構成e、e1の「次の特図1変動遊技が開始されると、装飾図柄表示装置208の特図1保留数表示領域a1に特図1の保留数を示す数字の「2」を表示させ、保留アイコン902を保留アイコン表示領域900の第1領域に移動させ、保留アイコン903を保留アイコン表示領域900の第2領域に移動させ」る「第1副制御部400」は、本願発明における構成E、E1の「変動表示ゲームの実行中において、保留表示として、第1保留表示と、第2保留表示とを表示可能であ」る「始動記憶表示手段」としての機能を有する。
(e、e2)上記(d)~(e、e1)より、引用発明における「特図1~2の保留数を示す数字」は、本願発明における「第2保留表示」に相当する。
そして、引用発明における「装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cの下部右方の正方形状の特図1~2保留数表示領域a1~a2に」「表示させ」ることは、「正方形状の特図1~2保留数表示領域a1~a2」を「図柄表示領域208a~208c」から区画して表示させるものであるから、本願発明における「変動表示ゲームの演出表示領域とは区画した状態で表示すること」に相当する。
したがって、引用発明における構成e、e2の「装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cの下部右方の正方形状の特図1~2保留数表示領域a1~a2に、特図1~2の保留数を示す数字を表示させ」る「第1副制御部400」は、本願発明における構成E、E2の「第2保留表示を、変動表示ゲームの演出表示領域とは区画した状態で表示」する「始動記憶表示手段」としての機能を有する。
(e、e3)引用発明における「スーパーリーチ演出が開始される」ことは、スーパーリーチ演出の実行中となることであるから、本願発明における「変動表示ゲームにおける所定の特定演出の実行中」に相当する。
そして、引用発明における「装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に特図1~2の保留数を示す数字を表示させ」ることは、構成(e、e2)より、「特図1~2の保留数を示す数字」を「図柄表示領域208a~208cの下部右方の正方形状」に区画された領域である「特図1~2保留数表示領域a1~a2」に表示させるものであることから、本願発明における「第2保留表示の演出表示領域と区画した状態での表示を継続する」ことに相当する。
また、引用発明における「保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンを非表示にさせる」ことは、本願発明における「第1保留表示を非表示とする」ことに相当する。
さらに、引用発明における「図柄表示領域208a~208cは、装飾図柄表示装置208の表示領域内の右上方に移動表示され」ることは、本願発明における「識別情報を演出表示領域の隅に当該演出表示領域と区画しない状態で表示する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成e、e3の「スーパーリーチ演出が開始されると、装飾図柄表示装置208の特図1~2保留数表示領域a1~a2に特図1~2の保留数を示す数字を表示させるが、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンを非表示にさせると共に、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a~208cを、表示領域内の右上方に移動表示させ」る「第1副制御部400」は、本願発明における構成E、E3の「変動表示ゲームにおける所定の特定演出の実行中において、第2保留表示の演出表示領域と区画した状態での表示を継続する一方で、第1保留表示を非表示とするとともに、識別情報を前記演出表示領域の隅に当該演出表示領域と区画しない状態で表示するように構成され」る「始動記憶表示手段」としての機能を有する。
(e、e4)引用発明における「保留アイコンの表示が中断され、再開されるまでのスーパーリーチ演出の実行時」は、保留アイコンの表示が中断されている期間に亘って、スーパーリーチ演出が実行されていることを意味するから、本願発明における「特定演出の実行中」に相当する。
そして、引用発明における「特図1入賞口230に1個の遊技球が入賞して特図1変動遊技が新たに1個保留される」ことは、本願発明における「新たな始動記憶が発生した場合」に相当する。
また、引用発明における「特図1保留数表示領域a1には、特図1の保留数を示す数字の「3」を表示させ」ることは、「特図1変動遊技が新たに1個保留される」ことにより、保留数が「2」から「3」に更新されたことを示すものであるから、本願発明における「第2保留表示については新たな始動記憶の発生に伴い表示を更新」することに相当する。
さらに、引用発明における「スーパーリーチ演出が実行されていない場合に保留アイコンの表示が再開されると、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に保留アイコン901、902、903を表示させ」ることは、一旦「開始」された「スーパーリーチ演出が実行されていない場合」となったことに伴い、中断されていた保留アイコンの表示を再開し、保留アイコンの表示数を2から3に増加更新して表示することであるから、本願発明における「第1保留表示については特定演出が終了して当該第1保留表示の表示が再開される際に新たな始動記憶の発生に伴う増加分を反映した状態で表示を行う」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成e、e4の「保留アイコンの表示が中断され、再開されるまでのスーパーリーチ演出の実行時に、特図1入賞口230に1個の遊技球が入賞して特図1変動遊技が新たに1個保留されると、特図1保留数表示領域a1に、特図1の保留数を示す数字の「3」を表示させ、スーパーリーチ演出が実行されていない場合に保留アイコンの表示が再開されると、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に保留アイコン901、902、903を表示させ」る「第1副制御部400」は、本願発明における構成E、E4の「特定演出の実行中に新たな始動記憶が発生した場合には、第2保留表示については新たな始動記憶の発生に伴い表示を更新し、第1保留表示については特定演出が終了して当該第1保留表示の表示が再開される際に新たな始動記憶の発生に伴う増加分を反映した状態で表示を行うように構成され」る「始動記憶表示手段」としての機能を有する。
(f)引用発明における「各保留アイコンの表示態様によって各保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能である」ことと、本願発明における「特定演出の実行中は、新たな始動記憶に対応する変動表示ゲームに関する事前報知を行うか否かの抽選を行わず、当該特定演出が終了して第1保留表示の表示が再開された後に抽選を行う」こととは、「新たな始動記憶に対応する変動表示ゲームに関する事前報知を行う」ことで共通する。
上記(a)~(f)における本願発明と引用発明との対比から、本願発明と引用発明とは、
「A 始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、前記変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生する遊技機において、
B 遊技に関する情報を表示可能な表示装置と、
C 前記始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき前記変動表示ゲームの実行権利を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段と、
D 前記始動記憶手段に記憶された始動記憶に関する情報を示す保留表示を前記表示装置に表示可能な始動記憶表示手段と、を備え、
E 前記始動記憶表示手段は、
E1 前記変動表示ゲームの実行中において、前記保留表示として、第1保留表示と、第2保留表示とを表示可能であり、
E2 前記第2保留表示を、前記変動表示ゲームの演出表示領域とは区画した状態で表示し、
E3 前記変動表示ゲームにおける所定の特定演出の実行中において、前記第2保留表示の前記演出表示領域と区画した状態での表示を継続する一方で、前記第1保留表示を非表示とするとともに、前記識別情報を前記演出表示領域の隅に当該演出表示領域と区画しない状態で表示するように構成され、
E4 前記特定演出の実行中に新たな始動記憶が発生した場合には、前記第2保留表示については前記新たな始動記憶の発生に伴い表示を更新し、前記第1保留表示については前記特定演出が終了して当該第1保留表示の表示が再開される際に前記新たな始動記憶の発生に伴う増加分を反映した状態で表示を行うように構成され、
F’前記新たな始動記憶に対応する前記変動表示ゲームに関する事前報知を行う遊技機。」の点で一致し、構成Fに関し、次の点で相違する。
[相違点](構成F)
事前報知に関し、本願発明は、特定演出の実行中は、新たな始動記憶に対応する変動表示ゲームに関する事前報知を行うか否かの抽選を行わず、当該特定演出が終了して第1保留表示の表示が再開された後に抽選を行うのに対して、引用発明は、「各保留の当否を所定の信頼度で報知」する先読み予告を行うことが可能であるが、先読み予告の抽選をどのタイミングで行うか明らかでない点。
6 当審の判断
上記相違点について検討する。
(1)引用発明に周知の技術事項を適用した場合について
遊技機の技術分野において、特定演出の実行中は、新たな始動記憶に対応する変動表示ゲームに関する事前報知を行うか否かの抽選を行わず、当該特定演出が終了して第1保留表示の表示が再開された後に前記抽選を行うようにしたことは、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知の技術事項」という。例えば、特開2014-212940号公報の【0389】~【0390】や、特開2015-97952号公報の【0378】~【0379】には、「新たな始動入賞が発生して始動入賞時にコマンドを受信しても、可動物予告演出やスーパーリーチ演出の実行中である場合には、保留予告演出の判定を延期し保留予告演出を直ちに開始しないようにし、保留予告演出が制限される(なお、この場合、後述する保留表示復帰処理が実行されることによって、可動物予告演出やスーパーリーチ演出の終了時に、非表示制御中に発生した始動入賞の分だけ保留表示を増加させた状態で保留表示を表示した状態に復帰する)。」ことが記載されている。)である。
そして、引用発明も上記周知の技術事項も、先読み予告を実行するにあたり、その実行の有無の判定に係る処理の処理負担を抑え、処理効率を向上させる必要があるという自明の課題を内在するものである。
したがって、引用発明は、構成fにより「先読み予告」(事前報知)を行うものであるが、その「先読み予告」を行うか否かの判定(抽選)を、上記周知の技術事項を適用することにより、「スーパーリーチ演出」中に行わず、「スーパーリーチ演出」が終了して、「保留アイコンの表示が再開されたとき」に実行するようにし、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(2)引用発明に基づく場合について
引用発明は、「各保留アイコンの表示態様によって各保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能」(構成f)なものであるが、「スーパーリーチ演出が開始されると」「保留アイコン表示領域900と全ての保留アイコンを非表示にさせ」(構成e3)ることからみて、「スーパーリーチ演出の実行時」は、「先読み予告」は実行されず、その後、「スーパーリーチ演出が実行されていない場合に保留アイコンの表示が再開されると、装飾図柄表示装置208の保留アイコン表示領域900に保留アイコン901、902、903を表示させ」(構成e4)るものである。
このように、引用発明は、「先読み予告」を「保留アイコンの表示が再開される」ときに実行可能とするものである。
そして、引用発明において、「先読み予告」(事前報知)によって「各保留の当否を所定の信頼度で報知」するために「先読み予告」を行うか否かの判定を抽選を用いて行うことは、当業者に自明である。
また、その判定(抽選)は、「先読み予告」が行われる「保留アイコンの表示が再開され」、その後、「先読み予告」を行うときまでに行われていればよいものであって、その判定のタイミングを「保留アイコンの表示が再開され」る前に行うか、「保留アイコンの表示が再開され」た後に行うのかは、例えば、次の処理負担や、処理効率を考慮して当業者が適宜決定し得たものである。
ア:スーパーリーチ演出の実行時に始動入賞が複数回、若しくは、1回発生した場合に生じる、「先読み予告」の判定処理に要する処理負担、
イ:始動入賞の発生に伴い、「先読み予告」の判定を行うことによって、実行中の他の処理の処理効率に与える影響。
ところで、引用文献1の【0297】に「表示が復帰された変動アイコン801の表示態様が先読み予告が行われた場合の表示態様(デフォルト(白色円形)以外)になっていてもよい。」こと(以下「引用文献1に記載された技術事項」という。)、すなわち、「先読み予告」を保留アイコンの表示の再開と同時に行うことが可能である旨、記載されている。
したがって、引用発明における「先読み予告」について、「先読み予告」の判定を行うタイミングを、「保留アイコンの表示が再開され」る前に行うか、「保留アイコンの表示が再開され」た後のうち、再開と同時に行うのかは、先読み予告の実行の有無の判定に係る処理の処理負担や、処理効率を考慮して当業者が適宜決定し得たものである。
よって、引用発明における「先読み予告」について、その実行の有無の判定を、「保留アイコンの表示が再開される」タイミングで行い、判定と同時に「先読み予告」を実行可能とし、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(3)請求人の主張について
平成31年4月12日付け意見書において、請求人は次の主張をする。
「引用文献1には、スーパーリーチ中に保留アイコンを非表示とし、非表示中に始動記憶が増加した場合には表示の再開後に保留アイコンでの表示数を更新する遊技機が記載されています。
この引用文献1に対して本願発明は、上記(a)の構成を特徴としています。この本願特有の構成上の特徴は、引用文献1に記載も示唆もなく、引用文献1から容易に想到できるものではありません。
引用文献1の遊技機では、スーパーリーチ中に新たな始動記憶が発生した場合に、当該始動記憶についての事前報知を行うかの抽選をいつ行うかについては記載されておりません。特に、アニメーションの巻き戻し再生が行われた場合に事前報知(先読み予告)を開始しても良いとの記載があることから(0297)、事前報知についての抽選が保留表示の非表示中に行われる可能性が高いと推測されます。
このため、非表示中に行う事前報知についての抽選タイミングと、非表示の終了後に行う抽選結果に基づく事前報知の開始タイミングとが離れたタイミングとなり、これらのタイミングを計る必要があるため処理が複雑化していまいます。
これに対して補正後の本願請求項1の発明では、上記(a)に記載のように非表示の期間が終了して表示が再開された際に事前報知についての抽選を行うので、事前報知についての抽選のタイミングと抽選結果に基づく事前報知の開始タイミングとにずれがなく、これらのタイミングを計る必要がないため処理を効率化でき、制御の負担を軽減することができます。
また、スーパーリーチの期間のような長い期間にわたり非表示の状態が継続する場合には、当該非表示の期間に複数の始動記憶が発生する可能性が高くなります。複数の始動記憶が発生した場合に、非表示の期間が終了してから当該複数の始動記憶に対する事前報知についての処理をまとめて行うことで、各々の始動記憶についての判定結果を互いに考慮した事前報知を行うことが可能となり、より興趣の高い事前報知を行うことが可能となります。」(4.本願発明と引用文献に記載された発明との対比)
なお、本願発明についての「上記(a)」は、本願発明の構成Fに相当する。
そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記(2)において検討したように、引用発明における「先読み予告」(事前報知)について、先読み予告の判定を行うタイミングは、「先読み予告」の実行の有無の判定に係る処理の処理負担や、処理効率を考慮して当業者が適宜決定し得たものである。
そして、上記(2)において検討したように、引用発明における先読み予告について、その実行の有無の判定を、「保留アイコンの表示が再開される」タイミングで行い、判定と同時に「先読み予告」を実行可能とすることは、当業者が容易になし得たものであり、これにより、引用発明に基づくパチンコ機は、スーパーリーチ演出の実行時に始動入賞が複数回発生した場合でも、先読み予告の実行の有無の判定を「保留アイコンの表示が再開される」タイミングでまとめて行うことができ、処理負担を軽減させると共に、処理効率を向上させるという効果を奏することは自明である。
また、引用発明に基づくパチンコ機において、スーパーリーチ演出の実行時に複数回発生する始動入賞に係る「先読み予告」の実行の有無の判定をまとめて行うことにより、「先読み予告」の実行の有無を判定するタイミングにおいて、個々の「先読み予告」の判定結果を考慮することが可能となることから、引用発明に基づく「パチンコ機」についても、請求人が主張する上記「各々の始動記憶についての判定結果を互いに考慮した事前報知を行うことが可能とな」る効果と同様の効果を奏することは明らかである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(4)小括
本願発明により奏される効果は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、若しくは、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基づいて当業者が予測し得る効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
よって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、若しくは、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-009488