特許拒絶査定不服審判
2018-009330
表示装置及びプログラム
- 審判番号
- 2018-009330
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-173416外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年07月05日
- 審決日
- 2019年09月24日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】カシオ計算機株式会社
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .572-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-173416「表示装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 7日出願公開、特開2016- 48489〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月28日の出願であって、平成29年5月18日に手続補正がされ、平成30年2月9日付けで拒絶理由が通知され、平成30年3月1日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたが、平成30年6月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年7月5日に審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成30年7月5日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成30年7月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所である。)
「売上データ処理装置に外部機器として接続される表示装置であって、
前記売上データ処理装置が売上登録対象として受け付けた商品情報を、売上金額情報とともに前記売上データ処理装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した商品情報に対応させて所定の広告情報を表示させるための第1の表示領域が確保されるように、前記受信した売上金額情報を前記受信した商品情報とともに第2の表示領域に表示させる第1表示制御手段と、
前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させる第2表示制御手段と、
を備え、
前記第2表示制御手段は、前記第1表示制御手段が前記第2の表示領域に前記受信した商品情報または売上金額情報を表示させている期間に前記広告情報が表示されるように、前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させることを特徴とする表示装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年3月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「売上データ処理装置に外部機器として接続される表示装置であって、
前記売上データ処理装置が売上登録対象として受け付けた商品情報を、売上金額情報とともに前記売上データ処理装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した商品情報に対応させて所定の広告情報を表示させるための第1の表示領域が確保されるように、前記受信した売上金額情報を前記受信した商品情報とともに第2の表示領域に表示させる第1表示制御手段と、
前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させる第2表示制御手段と、
を備え、
前記第2表示制御手段は、前記広告情報の表示期間のうちの少なくとも一部の期間が、前記第1表示制御手段が前記第2の表示領域に前記受信した商品情報または売上金額情報を表示させている期間と重なるように、前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させることを特徴とする表示装置。」
2 補正の適否
本件補正は、上記のとおり、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2表示制御手段」について、「前記第2表示制御手段は、前記第1表示制御手段が前記第2の表示領域に前記受信した商品情報または売上金額情報を表示させている期間に前記広告情報が表示されるように、前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させる」との限定を付加することを含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開平11-144146号公報(平成11年5月28日公開。以下「引用例」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
ア 段落【0014】-【0015】
「【0014】このようにカスタマ端末装置をコンピュータネットワークに接続すれば、データ取得部あるいはデータ取得工程においてコンピュータネットワークに接続されたサーバからトランザクションデータに関連する品名、単価、バーゲン情報等のPOSデータを取得し、データ表示部あるいはデータ表示工程においてトランザクションデータおよびPOSデータを表示用データに変換してディスプレイ上に表示することが可能となる。このようにすれば、オペレータ端末の負荷をさらに少なくし、また、より顧客のニーズにマッチした内容をディスプレイ上に表示させることができる。例えば、ポテトが本日の特売商品であるときに、サーバから通常のポテトの売価情報を取得し、ディスプレイ上に本日の売価と共に通常の売価の双方を同時に表示させるといったことが可能となり、顧客は一目で値下げ幅やその割引率を知ることができる。
【0015】また、カスタマ端末装置をコンピュータネットワークに接続した場合には、データ取得部あるいはデータ取得工程においてサーバからトランザクションデータに関連したPOSデータだけではなく、付加価値情報、例えば、店舗のレイアウト情報、お勧め商品の紹介の情報、タイムサービス情報等を取得し、その情報をディスプレイ上に表示できる。従って、顧客はカスタマ端末装置からさらに役立つ情報を入手でき、いっそう快適に満足の行く買物ができる。また、ポイントカードの勧誘広告等の表示手段としても使用することができ、店舗側における利点も高い。なお、付加価値情報のみをディスプレイ上に表示しても良いが、トランザクションデータと共に付加価値情報を表示しても良いのは勿論である。このような情報の表示は、ブラウザソフトを利用することが可能であり、インターネットと接続することにより、さらにカスタマ端末装置に広範囲の機能を持たせることができる。」
イ 段落【0023】
「【0023】(POSシステムの全体構成)図1にPOSシステムの基本的な構成をブロック図を用いて示してある。図1に示すように、本例のPOSシステム1は、入力された売上データからコード化された品名情報および数量情報等のトランザクションファイル等に記録される様式のデータ(本明細書においてはトランザクションデータ)を送信可能なオペレータ端末2と、このオペレータ端末2から送信されたトランザクションデータを、画面編集などの処理が行われた表示用データに変換してディスプレイに出力可能なカスタマ端末3とを有している。これらの端末3、4(当審注:「2、3」の誤記と認める。)は、10baseまたは100base規格のインターフェース等のネットワーク接続用のインターフェースが搭載されており、それぞれイーサネット等のコンピュータネットワーク4に接続され、相互にTCP/IP等のプロトコルを用いてデータの送受信ができるようになっている。また、それぞれの端末2、3はコンピュータネットワーク4を介してストアサーバ5ともデータの送受信が可能となっている。」
ウ 段落【0034】
「【0034】(カスタマ端末3のソフトウェア構成)図4に本例のカスタマ端末3の機能ブロック図を示してある。本例の本体50には、カスタマアプリケーションプログラム70がインストールされており、本体50のオペレーティングシステム(OS)80上で動作するようになっている。アプリケーションプログラム70は、売上データφ1を入力可能なオペレータ端末2から送信されたトランザクションデータφ2を取得可能なデータ取得部71と、このトランザクションデータφ2に基づき表示用データφ6を作成してディスプレイ51に出力可能なデータ表示部72と、顧客が個人情報を含むカスタマデータφ7を入力可能なデータ入力部73と、このデータ入力部73を介して入力されたカスタマデータφ7をオペレータ端末宛あるいはストアサーバに送信可能なデータ送信部74とを備えている。また、顧客がディスプレイ51の表示状態を操作でき、また、顧客がトランザクションデータφ2の印刷の有無等の操作も可能な操作部75と、ディスプレイ51に表示されている内容などを印刷用データφ8に変換してレシートプリンタ54に出力可能なデータ印刷部76とを備えている。」
エ 段落【0041】-【0043】
「【0041】(カスタマ端末3の制御)図6にカスタマ端末3における表示プロセスのフローチャートを示してある。店の営業開始等においてカスタマ端末3に電源が投入されると、ステップST1において本体50の起動およびイニシャライズが行われ、ステップST2でOS80が起動される。そして、ステップST3でカスタマアプリケーションプログラム70が起動される。これにより、本体50に接続されているディスプレイ51、タッチパネル52、カードリーダ53およびレシートプリンタ54の周辺機器が使用可能な状態になり、また、カスタマ端末3がコンピュータネットワーク4に接続された状態となる。そして、ステップST4においてディスプレイ51の画面表示の制御が実行される。
【0042】カスタマ端末3がレディー状態になり、ステップST5においてコンピュータネットワーク4を介してオペレータ端末2およびストアサーバ5からカスタマ端末宛に送られてきたデータの受信処理を行う。次に、ステップST6において受信したデータがオペレータ端末2からのトランザクションデータφ2であれば、ステップST12でトランザクションデータφ2を表示データに変換する処理が行われる。一方、受信したデータがストアサーバ5から送信されたデータ(サーバデータ)であれば、ステップST13でそのデータを表示する処理が行われる。サーバデータには商品名、価格等を含んだ従来のカスタマディスプレイでも表示されていた内容をフォローするためのPOSデータと、従来のカスタマディスプレイでは表示できなかったディスカウント情報や店のレイアウト等の付加価値のある広範囲な付加価値データが含まれる。サーバデータのうち、POSデータは顧客がチェックインした時に購入明細などを表示するのに主に用いられる。そして付加価値データは購入明細と共にあるいは独立して顧客に対し情報提供される。付加価値データとしては、例えば、本日の特売情報、今週・今月の特売情報、タイムサービス、店が発行しているポイントカードの勧誘広告、お勧め商品の紹介、店内のレイアウト情報、商品情報等がある。これらの表示内容は、定期的に切り換わるようにしたり、表示画面上に複数の情報を同時に表示しても良い。また、店がインターネット上に提供しているWebページを表示したり、このWebページに上記の各種情報を掲載した内容を表示することも可能である。いずれの場合においても、ディスプレイ51における表示内容や画像のレイアウトは本体50のアプリケーションソフトウェア70で処理されており、表示用にブラウザソフトを用いることができる。
【0043】ステップST13で所定の内容がディスプレイ51の画面に表示されると、ステップST8でタッチパネル52またはカードリーダ53からデータを入力できる。ステップST9で入力があると、ステップST14でそれに従った処理ができる。従って、本例のカスタマ端末3は、コンピュータネットワーク4に接続されたサーバにストアされた情報あるいはインターネット上の情報等を顧客が選んで表示することができる。そして、顧客に向いたディスプレイ51に店の宣伝・広告を表示することができ、顧客に対してバーゲン情報や店のセールスポイント等をより明確に示すことができる。」
オ 段落【0046】-【0050】
「【0046】一方、チェックイン時においては、図7に示したような表示をディスプレイ51に行う。顧客がチェックインすると、オペレータ端末2の側では、オペレータがバーコードスキャナ13を用いて入力した売上データφ1に基づき品名情報および数量情報を少なくとも含むトランザクションデータφ2が作成され、このトランザクションデータφ2が売上情報としてコンピュータネットワーク4を介してストアサーバ5およびカスタマ端末3の双方に送信される。カスタマ端末3では、ステップST6でオペレータ端末2からのトランザクションデータφ2を取得して、このトランザクションデータφ2およびサーバデータ(POSデータ)に基づき表示用データφ6を作成し、ステップST12でその表示用データφ6を領域Aに表示する。図7に示すように、本例のカスタマ端末3では、トランザクションデータの品名コードおよび数量に基づき、商品名およびその単価等がPOS情報として得られ、これらが合成されて表示データとなり、ディスプレイ51の領域Aに売上表示として、ビール(beer)、ワイン(wine)、ホテト(当審注:「ポテト」の誤記と認める。)(potato)の商品名、その商品の単価(unit price)、その商品の数量(qty )、その商品の価格(price )が表示され、さらに、カスタマ端末側で算出された小計(subtotal)、税金(tax )、合計(total )、支払い(tender)、おつり(changes )が表示される。
【0047】また、ステップST7で得られたトランザクションデータφ2に関連した他のPOSデータをストアサーバ5から取得して、売上明細とは異なった領域Bに表示することもできる。本例では、領域Bに、酒税等の商品毎の税率(tax )、標準価格(std price )を表示することができる。また、売上品が特売商品であることを示す「sale price」や「bundle price」のメッセージを表示することができる。なお、特売商品のメッセージの他に、特売商品の表示のみをその他の商品と色分けするようにしても良い。
【0048】さらに、ステップST9において、クレジットカードやスマートカード等の個人情報が記録されているカードをカードリーダ53によって読み込んでカスタマデータを取得すると、そのカスタマデータがステップST11でストアサーバ5に送信され照合され、カードによる支払いが可能となる。また、カードリーダ53によってポイントカードを読み込んだ場合には、本日の買物によるポイント数や累計のポイント数をディスプレイ51に表示されるようになっている。さらに、それらカードから得られたカスタマデータから顧客の個人情報を取得して、その個人情報に関連したデータをサーバストア5から取得してディスプレイ51に表示させることもできる。例えば、カスタマデータから顧客の誕生日を知ることができるので、サーバーストア5から「Happy Birthday」のメッセージを表示するための付加価値データを取得して、ディスプレイ51の領域Cにメッセージを表示させることができる。本例では、さらに、パスワードを入力することにより、パスワードで保護された個人情報を表示したり、買物に使用することができる。この際、カスタマ端末3はオペレータ端末2と独立した端末なので、入力した情報がそのままオペレータに係わることなく、プライバシーの保護(個人情報の保護)の面でも優れている。
・・・(中略)・・・
【0050】なお、図7に示すディスプレイ51の表示内容は一例であってこの例に限定されない。例えば、ディスプレイ51上に商品を表示しておき、顧客がその表示された商品をタッチパネルで選択するとその商品を追加して購入することができるようにしても良い。ディスプレイ51に表示する商品としてはキャンペーン中の商品や特にお買い得になっている商品、あるいは顧客が持ち運ぶには適さない大きく重い商品等を表示するようにすれば良い。この場合、ディスプレイ51に表示した商品が小さい場合は、オペレータ側にその商品を置いておき、その商品が選択されたときにオペレータから顧客に直に手渡すようにすれば良い。また、大きく重い商品である場合には、後日配達するようにすれば良い。また、ディスプレイ51に表示する商品としては、顧客が購入した商品に関連した品、付属品、消耗品、例えば、線香を購入した場合にはマッチや蝋燭を、掃除機にはフィルターパックを、懐中電灯には電池を、甘味食品を多く購入した場合には紅茶やカルシウムを補うための食品などを表示し、また、顧客の過去の買物履歴を備えている場合には、その履歴から顧客の嗜好を分析してその嗜好に適した商品を表示するようにすれば良い。」
上記ア-オから、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「例えば、ポテトが本日の特売商品であるときに、サーバから通常のポテトの売価情報を取得し、ディスプレイ上に本日の売価と共に通常の売価の双方を同時に表示させるといったことが可能であり、
カスタマ端末装置は、データ取得部においてサーバからトランザクションデータに関連したPOSデータだけではなく、付加価値情報、例えば、店舗のレイアウト情報、お勧め商品の紹介の情報、タイムサービス情報等を取得し、その情報をディスプレイ上に表示でき、なお、付加価値情報のみをディスプレイ上に表示しても良いが、トランザクションデータと共に付加価値情報を表示しても良く、
入力された売上データからコード化された品名情報および数量情報等のトランザクションファイル等に記録される様式のデータ(トランザクションデータ)を送信可能なオペレータ端末2から送信されたトランザクションデータを、画面編集などの処理が行われた表示用データに変換してディスプレイに出力可能なカスタマ端末3であって、これらの端末2、3は、それぞれイーサネット等のコンピュータネットワーク4に接続され、相互にTCP/IP等のプロトコルを用いてデータの送受信ができ、また、それぞれの端末2、3はコンピュータネットワーク4を介してストアサーバ5ともデータの送受信が可能であり、
カスタマ端末3は、オペレータ端末2から送信されたトランザクションデータφ2を取得可能なデータ取得部71と、トランザクションデータφ2に基づき表示用データφ6を作成してディスプレイ51に出力可能なデータ表示部72とを備えており、
ステップST6において受信したデータがオペレータ端末2からのトランザクションデータφ2であれば、
ステップST12でトランザクションデータφ2を表示データに変換する処理が行われ、
受信したデータがストアサーバ5から送信されたデータ(サーバデータ)であれば、ステップST13でそのデータを表示する処理が行われ、
サーバデータには商品名、価格等を含んだ従来のカスタマディスプレイでも表示されていた内容をフォローするためのPOSデータと、従来のカスタマディスプレイでは表示できなかったディスカウント情報や店のレイアウト等の付加価値のある広範囲な付加価値データが含まれ、
POSデータは顧客がチェックインした時に購入明細などを表示するのに主に用いられ、
付加価値データは購入明細と共にあるいは独立して顧客に対し情報提供され、付加価値データとしては、例えば、本日の特売情報、今週・今月の特売情報、タイムサービス、店が発行しているポイントカードの勧誘広告、お勧め商品の紹介、店内のレイアウト情報、商品情報等があり、
従って、顧客に向いたディスプレイ51に店の宣伝・広告を表示することができ、顧客に対してバーゲン情報や店のセールスポイント等をより明確に示すことができ、
なお、ディスプレイ51上に商品を表示しておき、顧客がその表示された商品をタッチパネルで選択するとその商品を追加して購入することができるようにしても良く、ディスプレイ51に表示する商品としては、顧客が購入した商品に関連した品、付属品、消耗品、例えば、線香を購入した場合にはマッチや蝋燭を、掃除機にはフィルターパックを、懐中電灯には電池を、甘味食品を多く購入した場合には紅茶やカルシウムを補うための食品などを表示し、また、顧客の過去の買物履歴を備えている場合には、その履歴から顧客の嗜好を分析してその嗜好に適した商品を表示するようにすれば良い、
カスタマ端末3。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア) 引用発明の「カスタマ端末3(カスタマ端末装置)」は、本件補正発明の「表示装置」に対応する。
引用発明の「入力された売上データからコード化された品名情報および数量情報等のトランザクションファイル等に記録される様式のデータ(トランザクションデータ)を送信可能なオペレータ端末2」は、本件補正発明の「売上データ処理装置」に対応する。
よって、引用発明の「カスタマ端末3」が、「オペレータ端末2から送信されたトランザクションデータを、画面編集などの処理が行われた表示用データに変換してディスプレイに出力可能なカスタマ端末3であって、これらの端末2、3は、それぞれイーサネット等のコンピュータネットワーク4に接続され、相互にTCP/IP等のプロトコルを用いてデータの送受信ができ」ることは、本件補正発明の「売上データ処理装置に外部機器として接続される表示装置」に対応する。
(イ) 引用発明の「品名情報」は、本件補正発明の「商品情報」に対応する。
よって、引用発明の「カスタマ端末3」における「オペレータ端末2から送信されたトランザクションデータφ2を取得可能なデータ取得部71」は、「品名情報および数量情報等のトランザクションファイル等に記録される様式のデータ(トランザクションデータ)」を受信するから、本件補正発明の「前記売上データ処理装置が売上登録対象として受け付けた商品情報を、売上金額情報とともに前記売上データ処理装置から受信する受信手段」と「前記売上データ処理装置が売上登録対象として受け付けた商品情報を、前記売上データ処理装置から受信する受信手段」である点で共通するといえる。
(ウ) 引用発明の「商品名、価格等を含んだ従来のカスタマディスプレイでも表示されていた内容をフォローするためのPOSデータ」は、「例えば、ポテトが本日の特売商品であるときに、サーバから通常のポテトの売価情報を取得し、ディスプレイ上に本日の売価と共に通常の売価の双方を同時に表示させる」ものであるから、本件補正発明の「売上金額情報」に対応する。
また、引用発明の「付加価値データ」は、「購入明細と共にあるいは独立して顧客に対し情報提供され、付加価値データとしては、例えば、本日の特売情報、今週・今月の特売情報、タイムサービス、店が発行しているポイントカードの勧誘広告、お勧め商品の紹介、店内のレイアウト情報、商品情報等があり」、「従って、顧客に向いたディスプレイ51に店の宣伝・広告を表示することができ、顧客に対してバーゲン情報や店のセールスポイント等をより明確に示すことができ」るから、本件補正発明の「広告情報」に対応する。
よって、引用発明の「カスタマ端末3」における「トランザクションデータφ2に基づき表示用データφ6を作成してディスプレイ51に出力可能なデータ表示部72」は、「データ取得部においてサーバからトランザクションデータに関連したPOSデータだけではなく、付加価値情報、例えば、店舗のレイアウト情報、お勧め商品の紹介の情報、タイムサービス情報等を取得し、その情報をディスプレイ上に表示でき、なお、付加価値情報のみをディスプレイ上に表示しても良いが、トランザクションデータと共に付加価値情報を表示しても良く」、「なお、ディスプレイ51上に商品を表示しておき、顧客がその表示された商品をタッチパネルで選択するとその商品を追加して購入することができるようにしても良く、ディスプレイ51に表示する商品としては、顧客が購入した商品に関連した品、付属品、消耗品、例えば、線香を購入した場合にはマッチや蝋燭を、掃除機にはフィルターパックを、懐中電灯には電池を、甘味食品を多く購入した場合には紅茶やカルシウムを補うための食品などを表示し、また、顧客の過去の買物履歴を備えている場合には、その履歴から顧客の嗜好を分析してその嗜好に適した商品を表示するようにすれば良」いから、本件補正発明の「前記受信手段により受信した商品情報に対応させて所定の広告情報を表示させるための第1の表示領域が確保されるように、前記受信した売上金額情報を前記受信した商品情報とともに第2の表示領域に表示させる第1表示制御手段」、及び、「前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させる第2表示制御手段」に対応する。
イ 一致点・相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「売上データ処理装置に外部機器として接続される表示装置であって、
前記売上データ処理装置が売上登録対象として受け付けた商品情報を、前記売上データ処理装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した商品情報に対応させて所定の広告情報を表示させるための第1の表示領域が確保されるように、前記受信した売上金額情報を前記受信した商品情報とともに第2の表示領域に表示させる第1表示制御手段と、
前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させる第2表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。」
[相違点1]
本件補正発明の「表示端末」は、「前記売上データ処理装置が売上登録対象として受け付けた商品情報を、売上金額情報とともに前記売上データ処理装置から受信する受信手段」を備えるのに対し、引用発明の「カスタマ端末3」は、「商品名、価格等を含んだ」「POSデータ」(「売上金額情報」に相当する。)を、「ストアサーバ5」(「サーバ」)から受信しており、「オペレータ端末2」(「売上データ処理装置」に相当する。)からは受信していない点。
[相違点2]
本件補正発明では、「前記第2表示制御手段は、前記第1表示制御手段が前記第2の表示領域に前記受信した商品情報または売上金額情報を表示させている期間に前記広告情報が表示されるように、前記第1の表示領域に前記広告情報を表示させる」のに対し、引用発明では、「付加価値データ」(「広告情報」に相当する。)の表示のタイミングが、明確には特定されていない点。
(4)判断
[相違点1]について
引用例の段落【0046】には、以下の記載がある。
「オペレータ端末2の側では ・・・ 品名情報および数量情報を少なくとも含むトランザクションデータφ2が作成され、このトランザクションデータφ2が売上情報としてコンピュータネットワーク4を介してストアサーバ5およびカスタマ端末3の双方に送信される。・・・(以下略)」
この記載から、引用発明では、「オペレータ端末2」は、「品名情報および数量情報」等を含む「トランザクションデータ」を「ストアサーバ5」にも送信して、その後、「カスタマ端末3」は、「ストアサーバ5」から、「商品名、価格等を含んだ」「トランザクションデータに関連したPOSデータ」を受信している。すなわち、品名情報(商品コード)から対応する商品名や価格データを、ストアサーバ5において取得するものである。
ここで、POS端末や電子キャッシュレジスタ(ECR)において、商品コードから商品名、価格データを取得し、売上金額の合計処理を行うことは、周知技術である。
(必要ならば、例えば、特開平10-91868号公報、段落【0002】
「【0002】
【従来の技術】従来のPOS(ポイント・オブ・セールス)装置においては、外部から商品毎の金額や属する部門等の情報がキーボードを介して入力されると、入力された情報が内部に格納され、その後、商品のコードが読み取られた際に、PLU(プライスルックアップ)において、内部に格納されている情報のうち、読み取られたコードに該当する商品の金額や属する部門、商品名に関する情報が読み出され、ディスプレイに表示されると同時に、プリンタおいて会計レシートとして印字される。」との記載、
特開2000-172955号公報、段落【0031】-【0033】
「【0031】ここに、電子キャッシュレジスタ10の基本的機能を図7,図8を参照して説明する。例えば、スキャナ71を用いて商品データを入力(図7のST10でYES)すると、商品販売データ(商品名,単価等)を求め、これをもって商品登録(ST11)する。
【0032】この商品販売データは、液晶表示方式のオペレータ用表示器(FIU)61の図9に示す表示領域61A1,61A2に表示される。また、液晶表示方式の客用表示器(BIU)65の図11に示す表示領域65A2に表示(ST12)される。
【0033】当該客の全ての購入商品の商品登録が終わったら、1取引終了宣言としての締め操作を行なう(ST13のYES)。これにより、合計金額等が算出される(ST14)。この合計金額等も商品販売データであるから、両表示器61,65に表示(ST15)される。」との記載、
特開2005-310104号公報、段落【0060】-【0061】
「【0060】
POSサーバ40は、制御装置(CPU41)の他、ROM42やRAM43等のメモリを有し、ROM42内に記憶された制御プログラムにしたがって、RAM43内のバッファ43-6等に記憶された情報の処理を行う。RAM43内には、商品コードブロック43―1、商品名ブロック43-2、金額ブロック43-3、在庫ブロック43-4を有している。CPU41は、POS端末装置30より送信された商品情報に基づいて、商品コード、商品名、金額に関する情報を抽出し、レシートへの印刷およびPOS端末装置30の表示装置33の表示に用いる商品データを生成する。
【0061】
POS端末装置30は、入出力制御装置12に接続された入力装置32からの入力、すなわち、キーボードの入力またはバーコードリーダによるバーコードの読み取りによって商品に関する情報(商品情報)や顧客に関する情報(顧客情報)などの入力情報を、入出力制御装置12を介して取得する。また、入力装置32としてカードリーダを設けることにより、顧客のクレジットカードや会員カードを読み取り、クレジット清算に関する情報や会員番号等の会員に関する情報を取得することもできる。さらに、POSサーバ40から送信された商品データを元に生成した商品情報を、表示情報として入出力制御装置12を介して表示装置33(顧客用表示器)に送信することにより、顧客に購入商品の金額等を提示する。同様に、入出力制御装置12を介してPOS印刷装置34に印刷データが送信され、レシート印刷が実行される。」との記載を参照されたい。)
よって、引用発明の「オペレータ端末2」において、上記周知技術を採用することによって、価格等の売上金額情報を、「オペレータ端末2」(「売上データ処理装置」に相当する。)から受信する、上記[相違点1]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
[相違点2]について
引用発明は、「例えば、ポテトが本日の特売商品であるときに、サーバから通常のポテトの売価情報を取得し、ディスプレイ上に本日の売価と共に通常の売価の双方を同時に表示させるといったことが可能であ」るから、複数種類の情報を同時に表示にさせることが可能であると認められる。
また、引用発明は、「付加価値情報のみをディスプレイ上に表示しても良いが、トランザクションデータと共に付加価値情報を表示しても良」いものである。
よって、引用発明において、「付加価値情報」(「広告情報」)が「お勧め商品の紹介の情報」である場合、より具体的には「顧客が購入した商品に関連した品、付属品、消耗品、例えば、線香を購入した場合にはマッチや蝋燭を、掃除機にはフィルターパックを、懐中電灯には電池を、甘味食品を多く購入した場合には紅茶やカルシウムを補うための食品などを表示」するような場合に、広告の効果を考慮して、「付加価値情報」(「広告情報」)を、商品名などの「トランザクションデータ」や「POSデータ」と同時に表示させるように構成することで、上記[相違点2]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年7月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年3月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由(「理由2」)は、この出願の請求項1に係る発明は、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開平11-144146号公報
3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「第2表示制御手段」に係る限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-009330