特許拒絶査定不服審判
2021-016672
テキスト編集方法、装置及び電子機器
- 審判番号
- 2021-016672
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-553454
- 請求日
- 2021年12月03日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】北京捜狗科技▲発▼展有限公司
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 審判長/審判官
- 審判長 高瀬 勤
- 審判官 渡邊 聡
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .572-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-553454「テキスト編集方法、装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日国際公開、WO2018/176977、令和 2年 6月11日国内公表、特表2020-516994〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 経緯
1.手続
本願は、2018年(平成30年)1月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2017年3月29日、中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :令和2年10月23日(起案日)
意見書・手続補正書 :令和3年 1月26日
拒絶査定 :令和3年 7月27日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :令和3年12月 3日
手続補正 :令和3年12月 3日
前置報告書 :令和4年 2月24日
2.原査定
原審での拒絶査定の理由は、概略、以下のとおりである。
本願の請求項1-53に係る発明(令和3年1月26日にされた手続補正による)は、下記引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2009-217665号公報
引用文献2:特開2000-268033号公報
引用文献3:特開2013-041567号公報
引用文献4:特開平08-044737号公報
引用文献5:特開2008-090624号公報
引用文献6:特開2013-134753号公報
引用文献7:特開2010-079705号公報
引用文献8:特開平03-233669号公報
第2 補正却下の決定
令和3年12月3日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)について次のとおり決定する。
《結論》 令和3年12月3日にされた手続補正を却下する。
《理由》
1.本件補正の内容
本件補正は、本件補正前の請求項17の記載を本件補正後の請求項16の記載とする以下のとおりの補正事項を含むものである。
(本件補正前)
【請求項1】
第1の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップと、
生成モジュールにより、トリガ操作を受信すると、編集領域を生成するステップと、
第1の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを前記編集領域に分割表示するステップと、
第1の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップと、を含み、
前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは、
前記編集対象のテキストの画面表示シーケンスに基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップ、又は、
前記編集対象のテキストに対する意味解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含み、
前記編集領域に前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップの後、さらに、
前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップと、
前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップと、を含むことを特徴とするテキスト編集方法。
【請求項5】
前記編集領域に前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップの後、さらに、
前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップと、前記N個のテキストセグメントに誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップと、
前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記誤ったテキストセグメントを置換するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】((A)~(G)は当審が付与した。)
(A)テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用し、
(B)第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップと、
(C)第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップと、
(D)第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップと、を含み、
(E)前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは、
(E1)前記編集対象のテキストの画面表示シーケンスに基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップ、又は、
(E2)前記編集対象のテキストに対する意味解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含み、
(F)前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップと、
(G)前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップと、
(H)をさらに含むことを特徴とするテキスト編集方法。
(本件補正後)
【請求項16】(下線は補正箇所、(A)~(I)は当審が付与した。)
(A)テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用し、
(B)第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップと、
(C)第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップと、
(D)第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップと、を含み、
(E)前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは、
(E1)前記編集対象のテキストの画面表示シーケンスに基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップ、又は、
(E2)前記編集対象のテキストに対する意味解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含み、
(F)前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップと、
(G)前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップと、
(I)前記誤ったテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップと、
(J)前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記誤ったテキストセグメントを置換するステップと、
(H)をさらに含むことを特徴とするテキスト編集方法。
2.補正の目的について
(2-1)補正の範囲
本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0084】【0086】の記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする補正であるから、特許法第17条の2第3項に違反するものではなく、また、同第4項に違反するものでもない。
(2-2)補正の目的
上記補正事項は、本件補正前の請求項17に記載された方法発明において、方法発明の発明特定事項をなす各ステップとは別に、上記(I)、(J)にて特定されるステップをさらに付加する補正であり、本件補正前の特定事項には、「置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップ」、「置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップ」、「誤ったテキストセグメントを置換するステップ」に関する特定事項はないから、上記補正事項は、本件補正前の請求項17に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。
よって、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない。
また、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる「請求項の削除」、同第3号に掲げる「誤記の訂正」、同第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)」のいずれの事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
なお、事案に鑑み、本件補正後の請求項16と本件補正前の請求項1の記載を引用する請求項5との対応についても検討すると、本件補正後の請求項16は、本件補正前の請求項1の記載を引用する請求項5の「生成モジュールにより、トリガ操作を受信すると、編集領域を生成するステップ」を有しないから、本件補正後の請求項16が、本件補正前の請求項1の記載を引用する請求項5を補正したものであるとしても、「生成モジュールにより、トリガ操作を受信すると、編集領域を生成するステップ」を削除する補正が、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる「請求項の削除」、同第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、同第3号に掲げる「誤記の訂正」、同第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)」のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって、補正後の請求項16についての補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
3.独立特許要件について
本件補正後の請求項16についての補正は、上記2.で検討したように、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないが、本件補正前の請求項17の特定事項に、上記(I)、(J)にて特定されるステップをさらに付加する補正が、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであると仮定して、以下検討する。
補正の目的が、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものである場合、補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けるものでなければならない(特許法17条の2第6項)から、本件補正後の請求項16に係る発明(以下、補正後発明という。)の独立特許要件について検討する。
(1)補正後発明
本件補正後の請求項16に係る発明(以下「補正後発明」という。)は、以下のとおりである。(再掲)
【請求項16】(下線は補正箇所、(A)~(J)は当審が付与した。)
(A)テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用し、
(B)第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップと、
(C)第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップと、
(D)第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップと、を含み、
(E)前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは、
(E1)前記編集対象のテキストの画面表示シーケンスに基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップ、又は、
(E2)前記編集対象のテキストに対する意味解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含み、
(F)前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップと、
(G)前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップと、
(I)前記誤ったテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップと、
(J)前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記誤ったテキストセグメントを置換するステップと、
(H)をさらに含むことを特徴とするテキスト編集方法。
(2)各引用文献の記載・引用発明
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-217665号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA端末などの移動体端末や、パーソナルコンピュータなどでの文章編集を好適なものとする文章編集装置、および文章編集方法(プログラム)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PDA、パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成する場合においては、かな漢字方式によって文字入力を行ない、文章を作成するのが一般的である。すなわち平仮名もしくは片仮名によるヨミを入力文字列とし、それに対応する変換候補文字列を一覧で表示し、ユーザは端末のキー操作によって、変換候補を選択する。
【0003】
ここでユーザが一度作成した文章に対して、一部表現を変えたいという場合がある。もしくは送信済のメール本文などの過去に作成した文章を流用し、一部を変更して文章を作成したい場合がある。たとえば図1に示すように、「明日会社に行きます」という文章に対し、「会社に」を「御社に」に置き換え、「行きます」を「伺います」に置き換えて「明日御社に伺います」と変更したい場合がある。
【0004】
このような場合「会社に」、「行きます」を削除し、かな漢字変換によって「御社に」、「伺います」という文字列を入力する方法がある。しかしその場合、文字列の削除や文字列変換に多くのキー操作を要する。
【0005】
また図2に示すように「壮麗な上野公園の桜が見たい」という文章について、意味をより明確化するために「上野公園の壮麗な桜が見たい」と語順を並びかえたい場合がある。このような場合「壮麗な」という語を削除し、カーソルを移動して再度かな漢字変換によって「壮麗な」と入力するか、もしくはカット&ペースト機能により、「壮麗な」という単語を範囲指定して切り取り、カーソルを移動して「上野公園の」の前に貼り付ける操作が必要となる。
【0006】
このような編集操作において、特に携帯電話やPDAのようなキー数の限られた装置によって入力する場合はより操作が煩雑となる。
【0056】
「第一文章取得部」(0301)は、文章を取得するよう構成されている。取得する手段としては、あらゆる手段が考えられる。例えば、利用者がキー操作により入力した文章を取得してもよい。または、利用者が過去に入力して保存しておいた文章を、内部メモリなどから取得してもよい。さらには、インターネット上で公開されている文章をダウンロードなどの手段により取得してもよい。
【0057】
「第一文章表示部」(0302)は、文章を取得してディスプレイなどに表示するよう構成されている。第一文章表示部(0302)は、前記第一文章取得部(0301)が取得した文章を取得して表示するほか、以下で説明する第一置換後文章出力部(0307)が出力した文章をも取得してディスプレイなどに表示するよう構成されている。その詳細については以下で説明する。
【0058】
「第一辞書部」(0303)は、相互に置換可能な置換候補となりうる文字列を形態素単位で関連付けた形態素辞書を保持するよう構成されている。ここで、「形態素」とは、意味を有する最小単位の文字列である。例えば、「明日会社にいきます。」という文章に含まれる形態素は、「明日」、「会社」、「に」、「いき」、「ます」の五つである。形態素単位で文字列を関連付けるルールとしては、例えば、同じ読みの形態素どうしを関連付けるようなものでもよい。具体的には、「明日」と「あす」、「会社」と「下位者」、「に」と「二」、「いき」と「行き」「生き」「息」「意気」、「ます」と「増す」「枡」「益す」などである。
【0059】
「第一被置換文字列選択部」(0304)は、第一文章表示部が表示している文章から形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるよう構成されている。「被置換文字列」とは、第一文章表示部が表示している文章の中で、利用者が他の文字列に置換する処理を希望する文字列である。例えば、「明日会社にいきます。」を「明日会社に行きます。」と変更する編集を希望する場合には、「いき」が被置換文字列として選択されることとなる。
【0060】
ここで、形態素単位で被置換文字列の選択を受付ける手段としては、以下のような例が考えられる。例えば、図4(A)に示すように、ディスプレイなどに表示されている編集する文章に含まれる形態素を、前から順番に自動的に拡大表示していき、利用者のキー操作により決定入力された際に拡大表示している形態素を被置換文字列として選択受付けしてもよい。また、前記手段において「形態素を順に拡大表示する」のを、「形態素を順に点滅表示」、「形態素を順に色を変えて表示」などに変更してもよい。その他、文章に含まれる形態素を順に自動的に拡大表示などするのでなく、十字キーなどにより拡大表示などする形態素を利用者が変更できてもよい。なお、図4(A)においては、第一文章表示部が表示している文章は一文のみであるが、複数の文が表示されている場合には、まず、一文ずつ順に拡大表示などして一つの文の選択入力を受付け、その後、選択された文に含まれる形態素の中から被置換文字列の選択入力を前記手段により受付けてもよい。
【0061】
その他の形態素単位で被置換文字列の選択を受付ける手段としては、図4(B)に示すように、ディスプレイなどに表示されている編集する文章に含まれる形態素に通し番号を付与し、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として選択受付けしてもよい。また、表示している文章が複数の文からなる場合には、まず、一文ずつに通し番号を付与して一つの文の選択入力を受付け、その後、選択された文に含まれる形態素に通し番号を付与して、一つの形態素の選択入力を受付けてもよい。
【0064】
ここで、本実施形態の文章編集装置は、第一被置換文字列選択部(0304)による、前記のような形態素単位での被置換文字列の選択受付けを実現するために、形態素解析プログラムを保有し、第一文章表示部が表示している文章を形態素解析して、その結果を示す文章解析テーブルを保持するように構成してもよい。そして、第一被置換文字列選択部は、前記文章解析テーブルを利用可能に構成することで、前記のような形態素単位での被置換文字列の選択受付けを実現してもよい。図5は、形態素解析プログラムにより文章を形態素解析した結果を示す文章解析テーブルのデータ構造の一例を模式的に示した図である。図に示している「文章中形態素番号」は、第一文章表示部で表示されている文章のすべての形態素に対して、最初の形態素から付した通し番号である。「文番号」は、第一文章表示部で表示されている文章のすべての文に対して、最初の文から付した通し番号である。「文中形態素番号」は、各文の形態素に対して、最初の形態素から付した通し番号である。「表示文字列」は、第一文章表示部で表示されている形態素を示す。「読み」は、各形態素の読み仮名を、「頭文字」は、各形態素の最初の読みを示す。「基本形文字列」は、各形態素の基本形を示す。「品詞」は、各形態素の品詞を、「品詞付加情報」は、各形態素の品詞の付加情報を、「活用」は、各形態素の品詞が用言であればその活用形を示す。なお、前記解析結果の項目は一例であり、その他の項目を解析し保持してもよい。
【0065】
かかる場合、文章編集装置は、形態素解析プログラムによる前記形態素解析に利用する「形態素テーブル」、「活用形テーブル」、「構文解析ルール」を保持してもよい。
【0066】
図6は、形態素テーブルのデータ構造の一例を模式的に示した図である。形態素テーブルは形態素レコードからなり、個々の形態素レコードは「基本形文字列情報」、「品詞情報」、「品詞付加情報」などを備えている。
【0067】
図7は、活用形テーブルのデータ構造の一例を模式的に示した図である。活用形テーブルは活用語の「品詞情報」および「品詞付加情報」の各活用形(未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形)における語尾の対応を表す。
【0068】
図8は、構文解析ルールのデータ構造の一例を模式的に示した図である。構文解析ルールは再帰的に定義された書換規則の等式として表すことができる。
【0069】
形態素解析プログラムは、前記テーブルなどを利用して文章を形態素単位に分割すると、構文解析ルールを利用して、文法的に正しい並びとなるように各形態素の品詞を判別などする。そして、図5に示すような、形態素解析した結果を示す文章解析テーブルを生成してもよい。
【0070】
「第一置換候補文字列表示部」(0305)は、第一被置換候補文字列選択部で選択された形態素単位の文字列に対し、置換候補の文字列を第一辞書部(0303)が保持している第一形態素辞書より取得し、リスト表示するよう構成されている。リスト表示する手段としては特段制限されないが、置換候補が複数ある場合には、図9に示すように、被置換文字列と同じ品詞の置換候補を優先的に表示してもよい。
【0071】
「第一置換文字列選択部」(0306)は、第一置換候補文字列表示部が表示している置換候補文字列の一を置換文字列とする選択を受付けるよう構成されている。「置換文字列」とは、選択されている被置換文字列に対して置き換える文字列である。選択を受付ける手段としては、第一被置換文字列選択部(0304)が被置換文字列の選択を受付けた手段と同様の手段が利用できる。例えば、図9に示すように、ディスプレイなどに表示されている各置換候補文字列には通し番号を付与し(0901)、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された置換候補文字列を置換文字列として選択受付けしてもよい。または、各置換候補を順に拡大表示などしていき、利用者がキー操作により決定入力した際に拡大表示している置換候補文字列を置換文字列として選択受付けしてもよい。
【0072】
「第一置換後文章出力部」(0307)は、選択された置換文字列を被置換文字列と置換した文章を出力するよう構成されている。第一置換後文章出力部が出力した文章は、第一文章表示部(0302)に取得され、ディスプレイなどに表示されることとなる。ここで、第一置換後文章出力部が、選択された置換文字列を被置換文字列と置換した文章を作成する手段としては、以下のような例が考えられる。例えば、前記文章解析テーブル(図5)を利用可能に構成しておき、選択された置換文字列データを取得すると、文章解析テーブルを利用して、置換文字列を被置換文字列と置換した文章を作成してもよい。または、第一文章表示部(0302)がディスプレイなどに表示するために保持している文章データを取得可能に構成しておき、選択された置換文字列データを取得すると、前記文章データを利用して、置換文字列を被置換文字列と置換した文章を作成してもよい。
【0078】
文章編集装置の電源を入れると、CPU(1001)が制御プログラムを実行し、それによって初期設定が行なわれ、ユーザの入力待ち状態となる。そして、文章編集装置が入力インターフェース(1005)を介して所定のユーザ操作を検知すると、CPU(1001)によって画面データ作成プログラムが実行され、2次記憶装置に保存されている文章データを取り出す。そして、取り出した文章データをもとに画面イメージを作成し、画面データとして主記憶装置(1003)のデータ領域に格納する。さらに、CPU(1001)が制御プログラムを実行し、出力インターフェース(1006)を介して画面データを液晶ディスプレイなどに出力する。
【0079】
ここからさらに所定のユーザ操作を検知すると、CPU(1001)は形態素解析プログラムを実行し、文章の解析結果を文章解析テーブルとして主記憶装置(1003)に格納する。続いて、CPU(1001)は、画面データ作成プログラムを実行して、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面イメージを文章解析テーブルに基づいて作成し、画面データとして主記憶装置(1003)に格納する。そして、CPU(1001)は制御プログラムを実行して形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面データを液晶ディスプレイなどに出力する。
【0080】
その後、CPU(1001)は、入力インターフェース(1005)を介して、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行し、形態素辞書を利用して被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出す。そして、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、出力インターフェース(1006)を介して、液晶ディスプレイなどに出力する。
【0081】
次に、文章編集装置が入力インターフェース(1006)を介して、置換文字列の選択を受付けると、CPU(1001)は文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして主記憶装置(1003)に格納する。さらに、CPU(1001)は画面データ作成プログラムを実行して置換後文章データに基づいた画面データを作成すると、制御プログラムを実行して作成した画面データを、出力インターフェース(1006)を介して液晶ディスプレイなどに出力する。
<実施形態1-1の処理の流れ>
【0082】
本実施形態の処理の流れの一例を図11のフローチャートに示す。
【0083】
まず、文章を液晶ディスプレイなどに表示している状態で(S1101)、表示している文章を編集する機能を開始する指示信号を受付けると(S1102)、表示している文章を形態素解析し、解析結果を格納する(S1103)。
【0084】
そして、形態素解析の結果を利用して、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると(S1104)、形態素辞書を利用して、選択を受付けた被置換文字列と関連付けられている文字列を取り出し、リスト表示する(S1105)。
【0085】
次に、リスト表示した文字列の中から置換文字列の選択を受付けると(S1106)、被置換文字列を置換文字列に置き換えた文章を生成し、液晶ディスプレイなどに表示する(S1107)。
【0086】
その後、表示している文章の編集を終了する指示信号を受付けるまで(S1108)、前記処理(S1104~S1107)を繰り返す。そして、表示している文章の編集を終了する指示信号を受付けると(S1108)、機能を終了する。
<実施形態1-2の機能的構成>
【0087】
図12は、本実施形態の機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように本実施形態の「文章編集装置」(1200)は、「第二文章取得部」(1201)と、「第二文章表示部」(1202)と、「第二辞書部」(1203)と、「第二被置換文字列選択部」(1204)と、「第二置換候補文字列表示部」(1205)と、「第二置換文字列選択部」(1206)と、「第二置換後文章出力部」(1207)を有する。
【0088】
なお、「第二文章取得部」(1201)は実施形態1-1で説明した「第一文章取得部」と、「第二文章表示部」(1202)は実施形態1-1で説明した「第一文章表示部」と、「第二辞書部」(1203)は実施形態1-1で説明した「第一辞書部」と、「第二置換文字列選択部」(1206)は実施形態1-1で説明した「第一置換文字列選択部」と、「第二置換後文章出力部」(1207)は実施形態1-1で説明した「第一置換後文章出力部」と同様の機能を有する。よって、ここでの詳細な説明は省略する。
【0089】
以下、「第二被置換文字列選択部」(1204)と「第二置換候補文字列表示部」(1205)の機能的構成について説明する。
【0090】
「第二被置換文字列選択部」(1204)は、第二文章表示部が表示している文章から文節単位で被置換文字列の選択を受付けるよう構成されている。ここで、「文節」とは、文章を意味が理解できる単位で区切った文字列である。例えば、「明日会社にいきます。」という文章に含まれる文節は、「明日」、「会社に」、「いきます」の三つである。また、「被置換文字列」とは、第二文章表示部が表示している文章の中で、利用者が他の文字列に置換する処理を希望する文字列である。例えば、「明日会社にいきます。」を「明日会社に行きます。」と変更する編集を希望する場合には、「いきます」が文節単位の被置換文字列として選択されることとなる。
【0091】
なお、文節単位で被置換文字列の選択を受付ける手段としては、実施形態1-1で説明した、形態素単位で被置換文字列の選択を受付ける手段において、形態素単位を文節単位に変更した手段などが考えられる。第二被置換文字列選択部は、前記文節単位での被置換文字列の選択を受付ける手段を実現するために、文章解析テーブル(図5)を利用可能に構成していてもよい。かかる場合、文章解析テーブルは、図5に示すように、一つの文(例:「明日会社にいきます。」)の中に含まれる文節(例:「明日」、「会社に」、「いきます」)に通し番号を付したデータ(「文中文節番号」)を保持してもよい。形態素解析の結果(図5)を利用して、文章を文節単位に分割する手段としては、まず、文章中の形態素の中に付属語(「助詞」、「助動詞」など)が含まれるか判断する。そして、付属語(「助詞」、「助動詞」など)が含まれる場合には、その付属語を直前の自立語(「名詞」、「代名詞」、「動詞」、「形容詞」、「形容動詞」、「連体詞」、「副詞」、「接続詞」、「感動詞」など)と結び付けて一つの文節を構成させる。このようにして、形態素解析の結果を利用して文章を文節単位に分割してもよい。具体的には、「あす会社にいきます。」の文章を形態素に分解すると「あす」、「会社」、「に」、「いき」、「ます」の五つに分割され、その中の付属語「に」、「ます」は直前の自立語「会社」、「いき」と結び付ける。このようにして、「あす」、「会社に」、「いきます」の三つの文節に分解する。
<<実施形態2>>
<実施形態2の概要>
【0096】
本実施形態の文章編集装置は実施形態1を基本とし、さらに、相互に置換可能な文字列を形態素単位で関連付けて保持している第一辞書部または第二辞書部は、類義関係にある文字列(例:「行く」、「伺う」、「出向く」、「出かける」、「訪ねる」など)をも置換可能な文字列として形態素単位で関連付けて保持することを特徴とする。
<実施形態2-1の機能的構成>
【0097】
図13は、本実施形態の機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように本実施形態の「文章編集装置」(1300)は、「第一文章取得部」(1301)と、「第一文章表示部」(1302)と、「第一辞書部」(1303)と、「第一被置換文字列選択部」(1304)と、「第一置換候補文字列表示部」(1305)と、「第一置換文字列選択部」(1306)と、「第一置換後文章出力部」(1307)を有し、さらに、「第一辞書部」(1303)は「第一類義辞書保持手段」を、「第一置換候補文字列表示部」(1305)は「第一類義文字列取得手段」と「第一置換候補類義文字列表示手段」を有する。
【0098】
なお、「第一文章取得部」(1301)と、「第一文章表示部」(1302)と、「第一被置換文字列選択部」(1304)と、「第一置換文字列選択部」(1306)と、「第一置換後文章出力部」(1307)の機能的構成については、実施形態1-1と同様であるのでここでの詳細な説明は省略する。以下、「第一辞書部」(1303)の「第一類義辞書保持手段」と、「第一置換候補文字列表示部」(1305)の「第一類義文字列取得手段」と「第一置換候補類義文字列表示手段」の機能的構成について説明する。
【0099】
「第一辞書部」(1303)の「第一類義辞書保持手段」は、類義関係にある文字列を形態素単位で関連付けた第一形態素類義辞書を保持するよう構成されている。ここで、「類義関係」とは、語形は異なっているが似た意味を有する文字列どうしの関係をいう。例えば、「ホテル」と「旅館」の関係などである。なお、本実施形態においては、いわゆる「同義語」どうしも「類義関係」に該当する。「同義語」とは、語形は異なるが同じ意味を有する文字列どうしであり、例えば、「あなた」と「君」、「貴殿」、「おまえ」などである。
【0100】
「第一置換候補文字列表示部」(1305)の「第一類義文字列取得手段」は、第一被置換文字列選択部(1304)で選択された文字列(被置換文字列)と類義関係にある類義文字列を、第一類義辞書保持手段に保持された第一形態素類義辞書を利用して取得するよう構成されている。すなわち、第一類義文字列取得手段は、被置換文字列選択部(1604)が選択受付けした被置換文字列を認識すると、2次記憶装置に格納されている第一形態素類義辞書を利用して、被置換文字列と関連付けられている類義文字列を取得する。
【0101】
「第一置換候補文字列表示部」(1305)の「第一置換候補類義文字列表示手段」は、第一類義文字列取得手段にて取得した類義文字列を置換候補の文字列として出力するよう構成されている。出力された文字列は、液晶ディスプレイなどにリスト表示されてもよい。リスト表示する手段としては特段制限されないが、置換候補文字列が複数ある場合には、被置換文字列と同じ品詞の置換候補文字列を優先的に表示してもよい。
図4B
[図:0001400965000001.jpg]
図9
[図:0001400965000002.jpg]
以上の引用文献1の記載によれば、以下のことがいえる。
(ア)上記【0001】、【0002】の記載によれば、引用文献1には、パーソナルコンピュータでの文章編集を好適なものとする文章編集方法に関する発明が記載されており、パーソナルコンピュータでの文章編集は、パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成する際の編集も含むことが記載されているといえる。
(イ)上記【0056】の記載によれば、引用文献1の文章編集方法は、第一文章取得部により文章を取得している。
(ウ)【0057】の記載によれば、第一文章表示部は、前記第一文章取得部が取得した文章を取得してディスプレイに表示している。
また、【0061】、図4Bの記載によれば、ディスプレイに表示されている編集する文章は、文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示されている。
【0065】~【0069】の記載によれば、形態素解析プログラムは、「形態素テーブル」、「活用形テーブル」などを利用して文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別するものである。
また、【0079】には、「CPU(1001)は形態素解析プログラムを実行し、文章の解析結果を文章解析テーブルとして主記憶装置(1003)に格納する。続いて、CPU(1001)は、画面データ作成プログラムを実行して、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面イメージを文章解析テーブルに基づいて作成し、画面データとして主記憶装置(1003)に格納する。そして、CPU(1001)は制御プログラムを実行して形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面データを液晶ディスプレイなどに出力する。」と記載されている。
これらの記載によれば、CPUは、形態素解析プログラムを実行することにより、文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別し、画面データ作成プログラムを実行することにより、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面データを液晶ディスプレイなどに出力し、ディスプレイに表示されている編集する文章は、文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示されるものであることが記載されているといえる。
(エ)【0061】の記載によれば「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として選択受付け」することが記載されている。
また、【0080】、【0081】の記載によれば、CPUは、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、文章編集装置が入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力することが記載されている。
これらの記載によれば、上記(ア)の「文章編集方法」は、「CPUは、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力」している。
(オ)【0096】には、実施形態2として「本実施形態の文章編集装置は実施形態1を基本とし、さらに、相互に置換可能な文字列を形態素単位で関連付けて保持している第一辞書部または第二辞書部は、類義関係にある文字列(例:「行く」、「伺う」、「出向く」、「出かける」、「訪ねる」など)をも置換可能な文字列として形態素単位で関連付けて保持することを特徴とする。」と記載されているから、上記(ア)~(エ)の構成に加えて、さらに、実施形態2の構成を付加した発明が記載されているといえる。そして、【0096】-【0101】の記載をみると、実施形態2にて付加される構成として、「相互に置換可能な文字列を形態素単位で関連付けて保持するために、類義関係にある文字列を形態素単位で関連付けた第一形態素類義辞書を保持」し、「第一形態素類義辞書を利用して、被置換文字列と関連付けられている類義文字列を取得」し、「取得した類義文字列を置換候補の文字列として出力」し、「置換候補文字列が複数ある場合には、被置換文字列と同じ品詞の置換候補文字列を優先的に表示」する構成が開示され、また、「類義関係」とは、語形は異なっているが似た意味を有する文字列どうしの関係をいうものである」ということがみてとれる。
(カ)まとめ(引用発明)
以上(ア)から(オ)をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成する際の文章編集を好適なものとする文章編集方法であって、
第一文章取得部により文章を取得し、
CPUは、形態素解析プログラムを実行することにより、文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別し、画面データ作成プログラムを実行することにより、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面データを液晶ディスプレイなどに出力し、ディスプレイに表示されている編集する文章は、文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示され、
CPUは、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力し、
さらに、相互に置換可能な文字列を形態素単位で関連付けて保持するために、類義関係にある文字列を形態素単位で関連付けた第一形態素類義辞書を保持し、
第一形態素類義辞書を利用して、被置換文字列と関連付けられている類義文字列を取得し、
取得した類義文字列を置換候補の文字列として出力し、
置換候補文字列が複数ある場合には、被置換文字列と同じ品詞の置換候補文字列を優先的に表示するものであって、
上記「類義関係」とは、語形は異なっているが似た意味を有する文字列どうしの関係をいうものである、
文章編集方法。
イ 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-268033号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータによる自然言語処理システムに用いて好適であって、情報列に対してタグ情報を付与するための方法および装置ならびに同方法が記録される記録媒体に関する。
【0015】まず、入力手段11は、入出力装置2を介して入力される情報列から単語列である「千葉」,「総裁」を取り込み、これらを形態素解析手段12へ渡す(図2ステップS21)。形態素解析手段12は、単語から品詞などの形態素情報を判定して当該単語に付加する(ステップS22)。形態素解析の手法は、例えば、「長尾 真 編:自然言語処理,岩波書店,1996発行」の文献に詳細に述べられている。基本的には、磁気ディスク装置3に格納され、必要に応じてコンピュータ本体1の主記憶装置にローディングされ使用される単語辞書から単語を探し、前後の単語から最適な品詞を選択することによって実現される。
【0016】ここでは、各単語の品詞につき、「千葉」は固有名詞,「総裁」は普通名詞と判定されたとする。これらの品詞は、単語の後に半角スペースを挿入し、図5に示すように付与される。そして、この結果は意味解析手段13に渡される。意味解析手段13は各単語に対して意味カテゴリを付与する(ステップS23)。なお、意味カテゴリとはその単語が意味している内容を表すカテゴリである。例えば、「千葉」という単語には「人間」と「場所」の2つの意味があり、「総裁」には「役職」という意味があると考えられる。意味解析の手法は上述した同様の文献に述べられている。基本的には、各単語について意味辞書を索引して最適な意味カテゴリを選択することによって実現される。そして、意味解析手段13は意味カテゴリをさらに形態素情報の後に付加して置換手段14に渡す。尚、意味カテゴリは複数の可能性がありうるため、図8(a)に示すように角括孤で括ることにする。但し、本実施形態ではこの意味表現形式の制限を受けるものではない。
以上の記載によれば、引用文献2には、自然言語処理を行う際に、入力された情報列から形態素解析手段を用いて品詞などの形態素情報を判定し、その後、意味解析手段により意味カテゴリを付与することが記載されている。
ウ 引用文献8の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平03-233669号公報(以下、「引用文献8」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
「(従来の技術)情報処理技術の発展に伴い、日本語処理技術の発達にも目覚ましいものがあり、種々の文書作成装置が開発されている。特に入力仮名文字列を仮名漢字変換処理し、仮名・漢字混じりの日本語文章を作成する日本語ワードプロセッサの普及により、簡易に日本語文書を作成・編集し、これを清書化して印刷出力することが日常化している。
ところで、文書作成装置にて作成された文書に対する形態素解析,構文解析,文体チェック,表記のゆれ解析,括弧の整合性チェック等の文章チェックを、装置に準備された知的処理機能を用いて実行することが種々試みられている。例えば文書データ中から一文を抽出し、その文についての形態素解析や構文解析を行なって用語の間違った使用がなされていないか否かをチェックしたり、「行なう」と「行う」のような表記のゆれや括弧の整合性がとれているか否かをチェックすることが試みられている。またこのような文章チェックは、誤りのないより良い文章を作成する上で非常に重要となる。
このような装置にあっては、一般的には文書作成が終了した時点で作成文書の全体を、或いは特定の文書範囲を指定してチェック機能を起動することにより文章チェックが実行される。この時、文章チェックによって検出された誤り箇所は、その誤りの種別やレベルが判断できるように警告表示されるようになっている。
このような文書作成に対する支援システムの多くは、その内部に辞書等のデータベースが用意されている。文章チェックは、データベースを検索して、登録された内容と異なるもの、すなわち文章上の誤りを検出して指摘するようになっている。そして、指摘表示された文章部分を判断し、必要に応じて修正しながら文章校正処理を進めるものとなっている。」(1頁右下欄下から3行~2頁右上欄13行)
「なお、出力部24は表示装置を備えて構成され、編集制御部22の制御を受けて文章データ(文字列によって示される文書情報)の表示や文章チェックにより検出された文書情報中の誤り箇所の識別強調表示、更には各種のメッセージ表示等を行なうものとなっている。
ここで文章チェック部25は、チェック項目設定部25a,誤りチェック部25b,警告出力部25cを備えて構成され、例えば前記入力部21からの文書チェック命令を受けて起動される。すなわち、この文章チェック部25は文章チェック命令を受けたとき、チェック項目設定部25aにより予めチェック項目表26に設定されているチェック項目の情報に従って誤りチェック部25bを駆動し、前記文章メモリ23に格納されている文章データに対して、上記チェック項目表26に設定されているチェック項目について辞書メモリ27を参照して文章チェックを行なう。そしてこの文章チェックにおいて誤りが検出されたとき、その誤り検出情報を該当する誤り箇所に対応して警告出力バッファ28に順次格納し、警告出力部25cにてその誤り検出情報を前記出力部24を介して表示出力する。
この出力部24による誤り検出情報の表示出力は、該当誤り箇所の文字を反転表示や網掛け表示したり、或いは下線等の情報を付加して表示する等、他の文字と識別して強調表示することにより行なわれる。このようにして識別表示された文章チェック結果を参照してオペレータによる文書誤りの修正処理が前記入力部21を介して行なわれることになる。」(6頁右上欄11行~6頁左下欄最下行)
以上の記載によれば、引用文献8には、文書作成装置にて作成された文書に対する形態素解析,構文解析,文体チェック,表記のゆれ解析,括弧の整合性チェック等の文章チェックを、装置に準備された知的処理機能を用いて実行し、文章チェックによって検出された誤り箇所は、その誤りの種別やレベルが判断できるように警告表示されることは従来から周知の技術であり、上記警告表示としての誤り検出情報の表示出力は、該当誤り箇所の文字を反転表示や網掛け表示したり、或いは下線等の情報を付加して表示する等、他の文字と識別して強調表示することにより行なわれることが記載されている。
エ 引用文献9の記載事項
前置報告書において挙げられた特開2010-066957号公報(以下、「引用文献9」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
【0001】
本発明は、文書中の表記を推敲する技術に関し、具体的には表記のゆらぎ、誤りを正確に統一、修正するための誤り表記検出装置、誤り表記生成装置、それらの方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【0009】
〔第1実施形態〕
図1に本発明の誤り表記検出装置100の機能構成例を、図2にその処理フロー例を示す。誤り表記検出装置100は、形態素解析部110と第1表記判定部120と言語スコア計算部130と第2表記判定部140とから構成され、入力された誤り表記検出対象文書1の各単語それぞれについて正解表記であるか誤り表記であるかを判定し結果を出力する。
【0010】
形態素解析部110は、誤り表記を検出する対象文書である、n個の単語からなる誤り表記検出対象文書1が入力され、文書を単語単位に分割して単語列w1、w2、・・・、wnを出力する(S1)。例えば、図2に示すように「それでは、今日はその問題について」という文書が入力された時、「それでは」「、」「今日」「は」「その」「問題」「について」というように分割した単語列を出力する。
【0011】
第1表記判定部120は、形態素解析部110で分割された単語列w1、w2、・・・、wnが入力され、それぞれの単語wk(1≦k≦n)について、正解表記とその正しい発音と当該発音の正解表記以外の表記(誤り表記)との組がリスト化された正誤表記対照表3を参照して、単語wkが正解表記のみに存在するか又は正解表記と誤り表記のいずれにも存在しない場合には正しい表記であると判定し、誤り表記のみに存在する場合には誤った表記であると判定して、それぞれの単語ごとに判定結果を出力する。また、単語wkが正解表記と誤り表記のいずれにも存在する場合には、単語wkと、単語wkが誤り表記として含まれる組の正解表記(比較表記)wk´とを出力する(S2)。例えば、「それでは」「、」「今日」「は」「その」「問題」「について」という単語列が入力された場合において、正誤表記対照表3が図2に示すような内容である時、正解表記と誤り表記のいずれにも存在するのは「今日」のみであり、その他の単語はいずれにも存在しないため、「今日」と、「今日」が誤り表記として含まれる組の正解表記(比較表記)である「きょう」とを言語スコア計算部130に向けて出力し、それ以外の単語については正しい表記であるとの判定結果を出力する。
【0012】
なお、ここで参照する正誤表記対照表3は、手作業で作成することも可能であるが、正解表記に対する誤り表記は必ずしも一つではないため、誤り候補を予め準備するための準備に手間がかかる。そのため、正誤表記対照表3を後述する誤り表記生成装置300により生成することで準備を省力化を図ることで、本発明による誤り表記検出処理をより円滑に行うことが可能となる。
【0013】
言語スコア計算部130は、第1表記判定部120にて単語wkが上記正誤表記対照表の正解表記と誤り表記のいずれにも存在すると確認された場合に、形態素解析部110で分割された単語列w1、w2、・・・、wnと、単語wkと上記比較表記wk´とが入力され、当該単語列において単語wkをそのままにした場合の言語スコアPc(S)と、比較表記wk´に置き換えた場合の言語スコアPe(S)をそれぞれ、統計的言語モデル4を用いて計算して単語wkとともに出力する(S3)。
【0020】
〔参考文献7〕古井貞煕、"一里塚としての「日本語話し言葉コーパス」"、[online]、2006年3月、日本音響学会講演論文集、p.1192、[2008年9月3日検索]、インターネット <URL: http://www.furui.cs.titech.ac.jp/publication/2006/0232_3-1-4.pdf>
第2表記判定部140は、単語wkと、当該単語wkについて求めた言語スコアPc(S)、Pe(S)が入力され、単語wkの表記が正しい表記であるか誤った表記であるかを判定して、判定結果を出力する(S4)。判定方法は、例えば単純に、Pe(S)>Pc(S)である場合に単語wkの表記は誤っていると判定してもよいし、正誤判定の性能を調整するために、Pe(S)>α・Pc(S)(αは正の定数)である場合に単語wkの表記は誤っていると判定してもよい。後者の場合、αが小さいほど単語を誤りとして検出しやすくなる。なお、単語wkが誤り表記として含まれる組が複数ある場合は、それぞれの組の比較表記wk´について言語スコアPe(S)を算出し、算出した全てのPe(S)のうち最もスコアが高いものを選択して上記のようにPc(S)との比較判定を行う。
以上のように誤り表記検出装置を構成することで、誤り検出を表記に加えて発音も用いて行うため、同じ表記であるにもかかわらず、ある読み方としては誤りであり、ある読み方としては正解であるような場合にも、高い精度で表記のゆらぎや誤りを自動検出することができる。
【0027】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の誤り表記検出装置101及び201は、図1及び図3の点線で示すように、第1実施形態の誤り表記検出装置100及び第2実施形態の誤り表記検出装置200の判定結果出力端に、それぞれメッセージ表示部151を接続した構成である。メッセージ表示部151は、第1表記判定部120(220)、第2表記判定部140及び発音判定部260での判定結果が入力され、誤った表記であると判定された単語wkについて、誤っている旨のメッセージを表示するか、誤り表記検出対象文書全体を表示する中でその他の単語と別の色で表示するか、又は正しい表記への訂正を促すメッセージを表示する。 このようにメッセージを表示することで、表記の誤りを直接視認することができる。
以上の記載によれば、引用文献9には、文書中の表記を推敲する際に、形態素解析部で分割された単語列の単語ごとに正解表記であるか誤り表記であるか判定して、それぞれの単語ごとに判定結果を出力すること、および、誤り表記であると判定された単語について、誤っている旨のメッセージを表示するか、誤り表記検出対象文書全体を表示する中でその他の単語と別の色で表示するか、又は正しい表記への訂正を促すメッセージを表示するなどの強調表示を行うことが記載されている。
(3)対比
補正後発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「文章編集方法」は、第一文章取得部により文章を取得し、パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成するものであるところ、取得される文章は、置換などの編集の対象となるテキストであるから、補正後発明と同様の「テキスト編集方法」である。
また、補正後発明の「インプットメソッドに適用」とは、本願の発明の詳細な説明(段落【0092】、【0115】)を参酌すると、編集対象のテキストを取得し、編集対象のテキストの編集を行うものとして装置にインストールされるインプットメソッドアプリケーションへの適用を含むものである。そして、引用発明は、「パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成する」際の「文章編集方法」であり、文章を取得し、文章の編集を行うためのアプリケーションに適用される方法といえるから、補正後発明と同様に「インプットメソッドに適用」される方法であるといえる。
したがって、引用発明は、補正後発明と同様の「テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用するテキスト編集方法」であるといえる。
イ 引用発明では、「第一文章取得部」が編集対象のテキストを「取得し」ており、引用発明の「第一文章取得部により文章を取得」することは、補正後発明の「第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップ」に相当する。
ウ 引用発明では、取得された編集対象のテキストが分割されて所定数の(つまり「N」個の)「形態素単位」の「文字列」として「表示」されることから、引用発明の「形態素単位」の「文字列」は、補正後発明の「テキストセグメント」に相当する。
引用発明において、「CPUは、形態素解析プログラムを実行することにより文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別し」ているから、上記形態素解析を行うプログラムを実行することによるCPUの機能は、編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するモジュール(分割モジュール)といえる。
またCPUは、「画面データ作成プログラムを実行することにより、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面データを液晶ディスプレイなどに出力し、ディスプレイに表示されている編集する文章は、文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示し」ているから、画面データ作成プログラムを実行することによるCPUの機能は、「前記N個のテキストセグメントを分割表示」するモジュールといえる。
補正後発明の「分割モジュール」に付された「第2の」という特定事項は、補正後発明では、分割モジュールが複数あるわけでもなく、他のモジュールと区別する格別の意味は無いから、引用発明の「形態素解析を行うプログラム、及び、画面データを作成するプログラムを実行するCPU」の機能を「第2の分割モジュール」と称してもよいことは明らかである。
したがって、引用発明のCPUが「形態素解析プログラム」を実行することにより行う機能により「文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別」すること、及び、CPUが「画面データ作成プログラム」を実行することにより行う機能により、「文章に含まれる形態素ごとに分割」し、「形態素に通し番号を付与して表示」することは、補正後発明の「第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップ」に相当する。
エ 引用発明では、「CPUは、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として選択受付け、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力」している。
すなわち、引用発明の文章編集プログラム等を実行しているCPUは、被置換文字列を受付け、上記被置換文字列に対して置換文字列の選択を受け付けると、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を作成しているといえる。
上記「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素」は、表示ステップにて「文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示」された形態素であるから、補正後発明の「前記N個のテキストセグメント」のうちの一つのセグメントに相当する。
したがって、引用発明において、「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付け」ることは、補正後発明の「前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信」することに相当し、引用発明の「被置換文字列を受付け、上記被置換文字列に対して置換文字列の選択を受け付けると、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を作成」することは、補正後発明の「前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集する」ことに相当する。
補正後発明の「第2の編集モジュール」の「第2の」という特定事項は、他の編集モジュールと区別をする格別の意味は無いから、引用発明の、文章編集プログラムなどを実行して上記編集処理を行うCPUの機能を、「第2の編集モジュール」と称してもよいことは明らかである。
したがって、引用発明の「文章編集プログラム等」を実行するCPUにより、「文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示」された形態素であって、「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素」を「被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付け」、「上記被置換文字列に対して置換文字列の選択を受け付けると、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を作成」することは、補正後発明の「第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップ」に相当する。
オ 補正後発明の(E)の(E1)、(E2)は、その記載からみて、接続詞である「又は」で接続される択一的な特定事項であるから、当審では、(E2)について検討する。
補正後発明では「前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは」「前記編集対象のテキストに対する意味解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含」んでいる。一方、引用発明では、編集テキストに対する分割を、「形態素解析」を用いて行っているから、両者は「前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは」「前記編集対象のテキストに対する解析に基づき」、「前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップ」を含んでいる点で共通するものの、上記「解析」が、補正後発明では「前記編集対象のテキストに対する意味解析」であるのに対し、引用発明では「前記編集対象のテキストに対する形態素解析」である点で相違する。
カ 引用発明では、誤ったテキストに対する処理について特定する構成を有していないから、補正後発明の特定事項である(F)、(G)を含んでいない点で相違する。
キ 引用発明では「CPUは、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力」している。
上記引用発明の「被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力」することは、置換される文字列(テキストセグメント)を置換するためのテキストセグメントを取り出し、リストを生成して表示しているから、複数の置換テキストセグメント(置換テキストセグメント集合)を取得し表示するものである。
よって、引用発明の「被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力」することと、補正後発明の「前記誤ったテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップ」とは、「置換すべきテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップ」といえる点で共通する。
もっとも、補正後発明の「置換すべきテキストセグメント」は、「前記誤ったテキストセグメント」すなわち、補正後発明の特定事項(F)(G)で特定される「誤ったテキストセグメント」であるのに対し、引用発明では、「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として選択受付け」た文字列、すなわち、ユーザが選択した文字列である点で相違する。
ク 補正後発明の「前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップ」は、上記エで引用発明と一致するとした構成である。
上記エで補正後発明と一致するとした引用発明の構成は、「CPUは、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力」する構成である。
上記引用発明の「被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付ける」構成の「置換文字列リスト」は、上記キで検討したとおり、補正後発明の「置換テキストセグメント集合」に相当し、引用発明の、当該リストから「置換文字列の選択を受付ける」ことは、補正後発明の「ターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信する」ことに相当する。
そして、引用発明の「置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成」することは、補正後発明の、「選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記置換すべきテキストセグメントを置換するステップ」に相当する。
以上まとめると、引用発明の「被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し」、「(当該リストから)置換文字列の選択を受付け」、「置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成」することと、補正後発明の「前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記誤ったテキストセグメントを置換するステップ」は、「前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで置換すべきテキストセグメントを置換するステップ」である点で共通するといえる。
もっとも、上記キで検討したのと同様、補正後発明では、「置換すべきテキストセグメント」が「前記誤ったテキストセグメント」であるのに対し、引用発明では、ユーザが選択した文字列である点で相違する。
ケ まとめ(一致点・相違点)
以上まとめると、補正後発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
(一致点)
テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用し、
第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップと、
第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップと、
第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップと、を含み、
前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは、
前記編集対象のテキストに対する解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含み、
置換すべきテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップと、
前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記置換すべきテキストセグメントを置換するステップ
をさらに含むことを特徴とするテキスト編集方法。
(相違点)
相違点1
「解析」が、本願発明では「前記編集対象のテキストに対する意味解析」であるのに対し、引用発明では「前記編集対象のテキストに対する形態素解析」である点
相違点2
本願発明では、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップ」、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップ」を含んでいるのに対し、引用発明では、当該構成を含んでおらず、したがって、「置換すべきテキストセグメントの置換テキストセグメント集合を取得して表示するステップ」、「前記した前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップは、前記置換テキストセグメント集合からターゲット置換テキストセグメントを選択する選択操作を受信するステップと、前記選択操作に基づき、前記ターゲット置換テキストセグメントで前記置換すべきテキストセグメントを置換するステップ」の「置換すべきテキストセグメント」が、補正後発明では「前記誤ったテキストセグメント」であるのに対し、引用発明では、「ユーザが選択した文字列」である点
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明は、
「形態素解析プログラムを実行することにより、文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別」するものであり、
「さらに、相互に置換可能な文字列を形態素単位で関連付けて保持するために、類義関係にある文字列を形態素単位で関連付けた第一形態素類義辞書を保持し、
第一形態素類義辞書を利用して、被置換文字列と関連付けられている類義文字列を取得し、
取得した類義文字列を置換候補の文字列として出力し、
置換候補文字列が複数ある場合には、被置換文字列と同じ品詞の置換候補文字列を優先的に表示するものであって、
上記「類義関係」とは、語形は異なっているが似た意味を有する文字列どうしの関係をいうものである、」
なる構成を有している。
すなわち、引用発明の「形態素解析」とは、入力された文章(テキスト)について、形態素単位に分割した後に、「構文解析ルール」により、各形態素の「品詞」を判別し、「類義関係」を判定できるような意味解析といえるものである。そして、入力された情報列から形態素解析手段を用いて品詞などの形態素情報を判定し、その後、意味解析手段により意味カテゴリを付与することは引用文献2にあるとおりよく知られたことであるから、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用し、相違点1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
入力された文章(テキスト)を校正する装置において、入力されたテキストセグメントについて、誤ったセグメントがないか判定し、誤っていると判定されたセグメントについて、強調表示することは、上記の引用文献8、9に記載されているように本願の優先日前周知の技術であるから、引用発明において、ディスプレイに、編集対象として文章に含まれる形態素ごと(テキストセグメント)に分割して表示する際に、上記周知の技術を適用し、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップ」、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップ」を付加することは当業者が容易になし得たことである。
そして、引用発明において、上記周知の技術を適用すれば、例えば引用文献1の図4Bのように「編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割」した表示において、誤っていると判定されたセグメントについて、強調表示されれば、ユーザは、上記強調表示されたセグメントについて編集しようとするのが普通であって、強調表示は、誤ったと判定されたセグメントの修正をユーザに促すものといえ、修正を促されたユーザが選択した強調表示されたセグメントは、補正後発明の「誤ったテキストセグメント」といいうるものである。そして、引用発明では、ユーザが選択した文字列について、「置換テキストセグメント集合を取得して表示」し、「置換」しているのであるから、引用発明に対して、上記周知の技術を適用すれば、相違点2の構成となることは当業者であれば普通に想定できることである。
ウ 請求人の主張
請求人は、審判請求書の請求の理由において、上記相違点2について
「本願発明のテキスト編集方法は、「N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップ」を含んでおります。
一方、引用文献1には、当該ステップを含むことについては、何らの記載・示唆もされていません。
ここで、審査官殿は、引用文献8に引用して、「文章チェックにおいて誤りが検出された場合、誤り箇所の文字を他の文字と識別して強調表示する技術は周知技術である」と指摘されておられます。
しかし、引用文献1の図9を見ますと、引用文献1では、既に強調表示として、ユーザが選択した非置換文節(原文ママ)を他の文節と区別して表示しています。これは、引用文献1では、選択した文節を強調表示すること以外のこと、即ち例えば誤りの検出等を行うことについては想定されていないことを意味しています。なぜなら、誤り等の検出にも強調表示をする場合、ユーザはこれが選択した文節を意味するのか、それとも誤りを意味するのか混乱してしまうことになるためです。
よって、引用文献8の誤りの検出することを、引用文献1に適用することすると、ユーザを混乱させることになり、阻害容易(原文ママ)が存在しますので、引用文献8と引用文献1と組み合わせることができないと思料いたします。」
と主張している。
しかし、引用発明において、引用文献8、引用文献9に記載されている周知の技術を適用すると、上記イのとおり誤りがあるとして強調表示される文字列(セグメント)は、ユーザが誤りを編集すべき文字列(セグメント)であるから、ユーザが文節を選択する前に強調表示が行われるものとなるのであり混乱を生じない。
また、誤りがあるとして強調表示された文字列を他の文字列で置換した後に、他の文節と同様にさらに被置換文字列として選択することも可能なわけであるから、引用発明に引用文献8、引用文献9に記載されている周知の技術を適用することに阻害要因が存在するものでもない。
エ 効果について
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、補正後発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び本願の優先日前周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない
オ したがって、補正後発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び本願の優先日前周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4.まとめ
以上のとおり、本件補正後の請求項16についての補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
仮に、本件補正後の請求項16についての補正が、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであったとしても、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する
第3 本願発明について
1.本願発明
令和3年12月3日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし請求項53に係る発明は、令和3年1月26日にされた手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項53に係る発明のとおりであるところ、そのうち、請求項17に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前掲「第2 1.」の(本件補正前)【請求項17】に記載された事項により特定されるものである。
2.各引用文献の記載・引用発明
各引用文献の記載及び引用発明は、上記第2 3.(2)に記載したとおりである。
3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「文章編集方法」は、第一文章取得部により文章を取得し、パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成するものであるところ、取得される文章は、置換などの編集の対象となるテキストであるから、本願発明と同様の「テキスト編集方法」である。
また、本願発明の「インプットメソッドに適用」とは、本願の発明の詳細な説明(段落【0092】、【0115】)を参酌すると、編集対象のテキストを取得し、編集対象のテキストの編集を行うものとして装置にインストールされるインプットメソッドアプリケーションへの適用を含むものである。そして、引用発明は、「パーソナルコンピュータで文章作成アプリケーションを用いて文章を作成する」際の「文章編集方法」であり、文章を取得し、文章の編集を行うためのアプリケーションに適用される方法といえるから、本願発明と同様に「インプットメソッドに適用」される方法であるといえる。
したがって、引用発明は、本願発明と同様の「テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用するテキスト編集方法」であるといえる。
イ 引用発明では、「第一文章取得部」が編集対象のテキストを「取得し」ており、引用発明の「第一文章取得部により文章を取得」することは、本願発明の「第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップ」に相当する。
ウ 引用発明では、取得された編集対象のテキストが分割されて所定数の(つまり「N」個の)「形態素単位」の「文字列」として「表示」されることから、引用発明の「形態素単位」の「文字列」は、本願発明の「テキストセグメント」に相当する。
引用発明において、「CPUは、形態素解析プログラムを実行することにより文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別し」ているから、上記形態素解析を行うプログラムを実行することによるCPUの機能は、編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するモジュール(分割モジュール)といえる。
またCPUは、「画面データ作成プログラムを実行することにより、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けるための画面データを液晶ディスプレイなどに出力し、ディスプレイに表示されている編集する文章は、文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示し」ているから、画面データ作成プログラムを実行することによるCPUの機能は、「前記N個のテキストセグメントを分割表示」するモジュールといえる。
本願発明の「分割モジュール」に付された「第2の」という特定事項は、本願発明では、分割モジュールが複数あるわけでもなく、他のモジュールと区別する格別の意味は無いから、引用発明の「形態素解析を行うプログラム、及び、画面データを作成するプログラムを実行するCPU」の機能を「第2の分割モジュール」と称してもよいことは明らかである。
したがって、引用発明のCPUが「形態素解析プログラム」を実行することにより行う機能により「文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別」すること、及び、CPUが「画面データ作成プログラム」を実行することにより行う機能により、「文章に含まれる形態素ごとに分割」し、「形態素に通し番号を付与して表示」することは、本願発明の「第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップ」に相当する。
エ 引用発明では、「CPUは、利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として選択受付け、形態素単位で被置換文字列の選択を受付けると、置換文字列リスト表示プログラムを実行することにより、被置換文字列と関連付けられた置換文字列のデータを取り出し、取り出した置換文字列のデータを利用して置換文字列リストを生成し、液晶ディスプレイなどに出力し、入力インターフェースを介して、置換文字列の選択を受付けると、文章編集プログラムを実行し、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を生成し、置換後文章データとして液晶ディスプレイなどに出力」している。
すなわち、引用発明の文章編集プログラム等を実行しているCPUは、被置換文字列を受付け、上記被置換文字列に対して置換文字列の選択を受け付けると、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を作成しているといえる。
上記「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素」は、表示ステップにて「文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示」された形態素であるから、本願発明の「前記N個のテキストセグメント」のうちの一つのセグメントに相当する。
したがって、引用発明において、「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素を被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付け」ることは、本願発明の「前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信」することに相当し、引用発明の「被置換文字列を受付け、上記被置換文字列に対して置換文字列の選択を受け付けると、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を作成」することは、本願発明の「前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集する」ことに相当する。
本願発明の「第2の編集モジュール」の「第2の」という特定事項は、他の編集モジュールと区別をする格別の意味は無いから、引用発明の、文章編集プログラムなどを実行して上記編集処理を行うCPUの機能を、「第2の編集モジュール」と称してもよいことは明らかである。
したがって、引用発明の「文章編集プログラム等」を実行するCPUにより、「文章に含まれる形態素ごとに分割され、形態素に通し番号を付与して表示」された形態素であって、「利用者が押下した数字キーと同じ通し番号を付与された形態素」を「被置換文字列として、形態素単位で被置換文字列の選択を受付け」、「上記被置換文字列に対して置換文字列の選択を受け付けると、被置換文字列を置換文字列に置換した文章を作成」することは、本願発明の「第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップ」に相当する。
オ 本願発明の(E)の(E1)、(E2)は、その記載からみて、接続詞である「又は」で接続される択一的な特定事項であるから、当審では、(E2)について検討する。
本願発明では「前記編集対象のテキストに対する意味解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを含」んでいる。一方、引用発明では、編集テキストに対する分割を、「形態素解析」を用いて行っているから、両者は「前記編集対象のテキストに対する解析に基づき」、「前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップ」を含んでいる点で共通するものの、上記「解析」が、本願発明では「前記編集対象のテキストに対する意味解析」であるのに対し、引用発明では「前記編集対象のテキストに対する形態素解析」である点で相違する。
カ 引用発明では、誤ったテキストに対する処理について特定する構成を有していないから、本願発明の特定事項である(F)、(G)を含んでいない点で相違する。
キ まとめ(一致点・相違点)
以上まとめると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
(一致点)
テキスト編集方法であって、インプットメソッドに適用し、
第2の取得モジュールにより、編集対象のテキストを取得するステップと、
第2の分割モジュールにより、前記編集対象のテキストをN(Nは1より大きい正の整数)個のテキストセグメントに分割し、前記N個のテキストセグメントを分割表示するステップと、
第2の編集モジュールにより、前記N個のテキストセグメントに対する編集操作を受信した後、前記編集操作に基づき、前記N個のテキストセグメントを編集するステップと、を含み、
前記した前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップは、
前記編集対象のテキストに対する解析に基づき、前記編集対象のテキストをN個のテキストセグメントに分割するステップを、
含むことを特徴とするテキスト編集方法。
(相違点)
相違点1
「解析」が、本願発明では「前記編集対象のテキストに対する意味解析」であるのに対し、引用発明では「前記編集対象のテキストに対する形態素解析」である点
相違点2
本願発明では、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップ」、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップ」を含んでいるのに対し、引用発明では、当該構成を含んでいない点。
4.判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明は、
「形態素解析プログラムを実行することにより、文章を形態素単位に分割し、構文解析ルールを利用して各形態素の品詞を判別」するものであり、
「さらに、相互に置換可能な文字列を形態素単位で関連付けて保持するために、類義関係にある文字列を形態素単位で関連付けた第一形態素類義辞書を保持し、
第一形態素類義辞書を利用して、被置換文字列と関連付けられている類義文字列を取得し、
取得した類義文字列を置換候補の文字列として出力し、
置換候補文字列が複数ある場合には、被置換文字列と同じ品詞の置換候補文字列を優先的に表示するものであって、
上記「類義関係」とは、語形は異なっているが似た意味を有する文字列どうしの関係をいうものである、」
なる構成を有している。
すなわち、引用発明の「形態素解析」とは、入力された文章(テキスト)について、形態素単位に分割した後に、「構文解析ルール」により、各形態素の「品詞」を判別し、「類義関係」を判定できるような意味解析といえるものである。そして、入力された情報列から形態素解析手段を用いて品詞などの形態素情報を判定し、その後、意味解析手段により意味カテゴリを付与することは引用文献2にあるとおりよく知られたことであるから、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用し、相違点1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
入力された文章(テキスト)を校正する装置において、入力されたテキストセグメントについて、誤ったセグメントがないか判定し、誤っていると判定されたセグメントについて、強調表示することは、上記の引用文献8、9に記載されているように本願の優先日前周知の技術であるから、引用発明において、ディスプレイに、編集対象として文章に含まれる形態素ごと(テキストセグメント)に分割して表示する際に、上記周知の技術を適用し、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがあるか否かを判断するステップ」、「前記N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップ」を付加することは当業者が容易になし得たことである。
ウ 請求人の主張
請求人は、審判請求書の請求の理由において、上記相違点2について
「本願発明のテキスト編集方法は、「N個のテキストセグメントには誤ったテキストセグメントがある場合、前記誤ったテキストセグメントを強調表示するステップ」を含んでおります。
一方、引用文献1には、当該ステップを含むことについては、何らの記載・示唆もされていません。
ここで、審査官殿は、引用文献8に引用して、「文章チェックにおいて誤りが検出された場合、誤り箇所の文字を他の文字と識別して強調表示する技術は周知技術である」と指摘されておられます。
しかし、引用文献1の図9を見ますと、引用文献1では、既に強調表示として、ユーザが選択した非置換文節(原文ママ)を他の文節と区別して表示しています。これは、引用文献1では、選択した文節を強調表示すること以外のこと、即ち例えば誤りの検出等を行うことについては想定されていないことを意味しています。なぜなら、誤り等の検出にも強調表示をする場合、ユーザはこれが選択した文節を意味するのか、それとも誤りを意味するのか混乱してしまうことになるためです。
よって、引用文献8の誤りの検出することを、引用文献1に適用することすると、ユーザを混乱させることになり、阻害容易(原文ママ)が存在しますので、引用文献8と引用文献1と組み合わせることができないと思料いたします。」
と主張している。
しかし、引用発明において、引用文献8、引用文献9に記載されている周知の技術を適用すると、上記イのとおり誤りがあるとして強調表示される文字列(セグメント)は、ユーザが誤りを編集すべき文字列(セグメント)であるから、ユーザが文節を選択する前に強調表示が行われるものとなるのであり混乱を生じない。
また、誤りがあるとして強調表示された文字列を他の文字列で置換した後に、他の文節と同様にさらに被置換文字列として選択することも可能なわけであるから、引用発明に引用文献8、引用文献9に記載されている周知の技術を適用することに阻害要因が存在するものでもない。
エ 効果について
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び本願の優先日前周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない
オ したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び本願の優先日前周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
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2021-016672