審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2018-008096

カメラによる生命徴候測定システム

審判番号
2018-008096
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-516721外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年06月13日
審決日
2019年08月16日
公報発行日
2020年02月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-516721「カメラによる生命徴候測定システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月19日国際公開、WO2013/186696、平成27年 8月13日国内公表、特表2015-523132〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)6月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年6月12日、同年12月20日、ともに米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年5月25日付けで拒絶理由が通知され、同年9月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成30年2月6日付けで拒絶査定がなされたのに対し、平成30年6月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、その後、当審において平成31年4月18日付けで拒絶理由が通知され、令和元年7月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~14に係る発明は、令和元年7月16日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 対象者の生命徴候を求めるためのシステムであって、前記システムは、 対象者のビデオデータを得るための撮像ユニットと、 対象者の体に取り付け可能なマーカーであって、当該対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンを含む、前記マーカーと、 前記ビデオデータ内の前記マーカーを検出し、前記グラフィカルパターンから前記符号化データを求めるための画像処理ユニットと、 前記ビデオデータから対象者の前記生命徴候に関する生命徴候パラメータを抽出し、前記生命徴候パラメータから前記生命徴候を求める解析ユニットと を含む、システム。」 第3 拒絶の理由について 平成31年4月18日付けで当審が通知した拒絶理由は、平成29年9月4日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(上記本願発明に対応する)に対する以下の拒絶理由を含むものである。 上記請求項1に係る発明は、本願の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特表2006-507088号公報 引用文献2:特表2010-534503号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。 (1a)「【0008】 一実施例にしたがって、乳幼児の呼吸パターンを識別する方法が、まずマーカーを乳幼児に接近して配置すること、マーカーを少なくともひとつのカメラで観察すること、カメラにより観察された、識別されたマーカーの画像座標を生成すること、画像座標をマーカー用の基準座標と比較すること、その後に乳幼児の呼吸の動きを判定することを含む。コンピュータ装置は、呼吸パターンを解析し、不規則性が検出されたならばリポート装置を作動させる。不規則性は、限定はしないが、呼吸パターンにおける周期性の欠如、呼吸動作がなくなることを含む。複数の乳幼児または患者に関連した多数のマーカーが、本システムおよび方法を使用して同時にモニターされ得る。さらに、本アプローチは、成人患者および人間以外の動物を含む対象をモニターするために使用することができる。 【0009】 本発明のこれらおよび他の態様、目的、効果は詳細な説明、図面および特許請求の範囲に示されている。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明の実施例の態様は乳幼児の呼吸動作の周期性および不規則性を検出する方法である。また乳幼児の呼吸活動の周期性および不規則性を検出し、リポートするシステムおよび装置が開示される。 【0011】 乳幼児の呼吸をモニタリングするシステム 図1は乳幼児の呼吸動作動のモニタリング(呼吸動作を表わすデータは光学画像化装置により収集される)のためのシステム100の実施例の要素を示す。ビデオカメラ108のような、光学的またはビデオ画像装置が乳幼児106の少なくとも一部がカメラの視野に入るように向けられる。カメラ108は呼吸活動に関連した動きについて、乳幼児106をモニターする。たとえば、カメラ108は乳幼児の胸部の動きをモニターするために配置することができる。一実施例では、カメラ108は、乳幼児106の水平方向の縦軸に関して、20度から70度の間で傾斜した軸線をもつように、天井、壁または他の支持構造物上に配置される。一実施例では、カメラ108はベビーベッドまたは乳幼児を支持する構造物の端部に直接設けられる。さらに、ビデオの視野画像は患者の胸部の約30cm×30cmの領域を見るために向けられる。図示だけのために、ひとつのカメラ108が図1に示されている。しかし、本発明に使用できるカメラ108の数はその数を超えてもよい。 【0012】 一実施例では、カメラ当たりのひとつの照明源(好適実施例では、赤外線源である)が処理テーブル104上の乳幼児106に光を投射する。発生した光は、乳幼児の体上にあるひとつ以上の標識点(ランドマーク)で反射する。カメラ108(乳幼児106に向けられている)は、ひとつ以上の標識点からの反射光を捕捉し、検出する(標識点は好適に、患者の胸部上のひとつ以上の位置に配置され、カメラ108により見ることができる)。 【0013】 カメラ108の出力信号は、ビデオ画像を受信する機能をもつコンピュータ110または他のタイプの処理ユニットに送信される。特定の実施例では、コンピュータ110は、システムにおいて利用される各ビデオ源に対して別個のチャネルをもつビデオフレーム取り込みカードを含む。カメラ108により記録された画像は処理のためにコンピュータ110に送られる。カメラ108がアナログ出力を形成するときは、フレーム取り込み装置は、カメラの信号を、コンピュータ110による処理に先だって、デジタル信号に変換する。コンピュータ110により受信された、分析されたビデオ信号に基づき、コンピュータ110は警報装置116を操作するために制御信号を送ることができる。 【0014】 警報装置116はコンピュータ110に埋め込まれても、別体でもよい。一実施例では、コンピュータ110からの制御信号を受信した際に、警報装置116は、SIDSの可能性のある乳幼児の介護人または親に警告するために、警報信号(可聴音、視覚信号またはその両方)を送信する。警報信号はまた、SIDSの発生を減少させるために、乳幼児を目覚めさせるべく送信してもよい。単に図示の目的であるが、図1はコンピュータ110に結線した警報装置116を示す。しかし、ワイヤレスも、結線に代え、または結線とともに使用することができる。さらに、本発明に使用される警報装置116の数は変化させることができる。一例として、警報信号が送信されたとき、乳幼児の介護人または親を警告する機会を最大にするために、複数の場所に警報装置116を配置してもよい。 【0015】 一実施例において、ひとつ以上の受動マーカー114が、呼吸動作を検出すべき、乳幼児の領域に配置される。各マーカー114は好適に、光(可視光であろうとも、可視的でないものであろうとも)を反射することができる、反射性または逆反射性材料からなる。照明源がカメラ108と同じ位置に配置されている場合は、マーカー114は好適に、照明源へと大部分の光を反射する逆反射性材料からなる。これに代えて、各マーカー114は自ら光源を含んでもよい。マーカー114は乳幼児の呼吸動作を検出するために、カメラ108により画像化される乳幼児の体の上の身体的な標識点に代えて、またはこれと併用して用いられる。マーカー114は好適に、このようなマーカー114がカメラ108により形成されたビデオ画像を介して、検出され、より正確に追跡され得ることから、身体標識点に代えて利用できる。好適なマーカー114の反射または逆反射の特性から、マーカー114は本質的に、カメラ108のような光検出装置、とりわけカメラ108と照明源とが一緒に配置されているときに、ビデオ画像に優れたコントラストを与える。 ・・・ 【0019】 カメラ108からコンピュータ110に送られるビデオ画像信号は、乳幼児の身体上のマーカー114の動きおよび/または標識点の構造を示す動きを表わす信号を発生させ、追跡するために使用される。図2は、或る測定期間内での、マーカー114の動きに関する情報を含む呼動作に対する動き信号チャート200の例を示す。横軸は時間を示し、縦軸はマーカー114の相対的な位置または動作を示す。一実施例では、図2に図示の信号は、動作信号チャート200にそった、複数のデータ点からなる。」 (1b)「【0024】 他の実施例としては、マーカー114はその表面にひとつ以上の基準位置をもつ剛直なマーカーブロックからなってもよい。マーカーブロックは、光学画像装置による乳幼児の身体上の特定の位置を検出するために、個々の逆反射性マーカー114に代え、またはこれと共に使用される。マーカー上の各基準位置は好適に、カメラ108のような光学画像装置により検出可能な逆反射性または反射性材料からなる。逆反射性要素は、図7aおよび図7bの逆反射性マーカーを構成するために使用されるのと同じ材料から作られてもよい。マーカーブロックは好適に、乳幼児の通常の呼吸の邪魔にならないように十分に軽量な材料から作られる。 【0025】 基準位置の大きさ、間隔、および位置が、カメラまたは他の光学画像装置から眺め易く、マーカーブロックの位置を正確に示す画像が得られるかぎり、マーカーブロックはいかなる形状、大きさで作られてもよい。マーカーブロックは特定の身体の部分と整合する形状をもつように作られてもよい。たとえば、身体上の特定の位置に整合する成形物または鋳造物がマーカーブロックとして使用されてもよい。身体の或る領域に整合する形状をもつマーカーブロックは乳幼児の特定の位置に、マーカーブロックを繰り返して配置することを容易にする。これに代えて、マーカーブロックは、乳幼児の身体に付着された固定物に整合するように作られてもよい。他の実施例としては、固定物が反射性または逆反射性マーカーをもつ、マーカーブロックと一体となってもよい。マーカーブロックの他の実施例として、その表面にひとつ基準位置/反射要素のみをもつ。」 (1c)「【0065】 多数の対象のモニタリング 図12は、光学モニタリングシステム1200を使用して、多数の対象1202a-dをモニターする本発明の実施例を示す。各対象には、マーカーブロック1204a-dまたは個々のマーカー(図示せず)のセットが関連付けられ、または付着される。上記のプロセスは対象の呼吸パターンまたは動作における不規則性を検出するために実行される。 【0066】 システム1200は、モニターが望まれる対象のすべてに対して、マーカーまたはマーカーブロックを眺めるためにカメラ1206の視野が定められるように設定される。ひとつのカメラが対象の位置および向きを決定するために使用されるとき、少なくとも三つのマーカーが、モニターされる各対象に対して見ることができるように配置されなければならない。カメラ1200の視野が全ての対象を眺めることができるように、十分に広くないときは、追加のカメラが視野を広めるために使用してもよい。ひとつのアプローチでは、対象をサブグループに分け、カメラは各サブグループと関連付けられる。各カメラはモニター位置の特定の位置/領域にある対象をモニターするように配置される。サブグループはカメラに対する対象の特定の位置に基づき定められる。 【0067】 動作において、カメラ1206は、モニターされる対象に対して、可視的なマーカーの画像を含む画像フレームを捉える。たとえば、四つの対象がモニターされるとき、マーカーの四つのセット(たとえば、マーカーブロック1204a-dに対応)が画像フレームを捉える。 【0068】 多数の対象の同時モニターを実行するとき、行うひとつの動作は、画像フレームで識別されるマーカーのセットを適切な対象に関連付けることである。一実施例では、各マーカーを対象と結びつけることはシステム1200の使用者により行われる。このことは、使用者が、特定のマーカーまたはマーカーのセットを対象と結びつけるGUIを導入することにより実行される。」 (1d)「【0071】 ひとつの対象上の複数のマーカーブックをモニターするために同様のアプローチを取ることができる。多数のマーカーブロックは、ひとつの対象上の異なる複数の位置の動きを同時にモニターするために使用することができる。 【0072】 図13には、複数のマーカーブロックに関連付けられ、または付着された対象1302が示されている。特に、第一のマーカーブロック1304aが対象1302の胴の下方に付着され、第二のマーカーブロック1304bが同じく胴の上方に付着され、第三のマーカーブロック1304cが同じく腕/肩の上方に付着されている。 【0073】 マーカーをマーカーブロックに関連付ける上記の動作は、個々のマーカーをマーカーブロック(身体の各位置に関連する)に対応付けるために使用することができる。マーカーの各セットは、関連付けられたマーカーブロックの動きおよび/または位置を独立してモニターするために、個々に処理される。このアプローチにより得られる利点は、異なる警報/エラーの閾値レベルを、異なるマーカーブロックに対して定めることができるとともに、ひとつのカメラシステムで同時のモニターをすることができることである。このことは、対象の異なる部位が、異なるタイプや範囲の動き、および動きの不規則性に従うことから有益である。他の利点は、対象の位置や動きまたは対象上の特定の位置についてより正確な測定をなすことができることである。比較的大きな身体領域の位置/動きを決定するために使用されたひとつのマーカーブロックに代え、複数のマーカーブロックが、測定される小さく粒状の身体領域を画定するために使用される。 【0074】 一実施例では、多数の対象(ひとつ以上のモニターの対象が多数のマーカーブロックと関連付けられる)をモニターするためにシステムが実施される。マーカーをマーカーブロックに関連づけ、マーカーブロックを各身体位置に関連付けるために、同様の手順が続く。しかし、多数のマーカーブロックは対象上の異なる身体位置をモニターするために、同じ対象に関連付けられる。」(なお、【0071】の「マーカーブック」は「マーカーブロック」の誤記と認められる。) (1e)上記図1、12及び13として、以下の図面が記載されている。 【図1】 【図12】 【図13】 (2)引用発明について ア 記載事項の整理 (ア)摘記(1b)「【0024】他の実施例」と記載されているものの、「他の実施例としては、マーカー114はその表面にひとつ以上の基準位置をもつ剛直なマーカーブロックからなってもよい。」と記載されているとおり、「マーカー」の下位概念として「マーカーブロック」を使用したことを「他の実施例」と記載したものであるから、下記の引用発明では表記を統一し上位概念として「マーカーブロック」も「マーカー」と記載する。 (イ)摘記(1c)は「多数の対象のモニタリング」について記載されている箇所であるが、「対象」が「多数」になっただけで、そこで用いられている技術は、摘記(1a)、(1b)及び(1d)と共通するもので別の技術ではないことから、下記の引用発明では当該部分も踏まえて認定している。 (ウ)摘記(1d)は「ひとつの対象上の複数のマーカーブロックをモニター」することについて記載されている箇所であるが、「マーカー」が「ひとつの対象上の複数」になっただけで、そこで用いられている技術は、摘記(1a)、(1b)及び(1c)と共通するもので別の技術ではないことから、下記の引用発明では当該部分も踏まえて認定している。 (エ)下記の引用発明では、「乳幼児」及び「対象」は「乳幼児」と、「コンピュータ110」及び「コンピュータ装置」は「コンピュータ」と記載することにする。 イ 引用発明 上記(1)の摘記事項、及び、上記アの記載事項の整理を踏まえれば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。なお、図面番号については省略した。 「乳幼児の呼吸活動の周期性および不規則性を検出し、リポートするシステムであって、 カメラは、呼吸活動に関連した動きについて、乳幼児をモニターし、カメラの出力信号は、ビデオ画像を受信する機能をもつコンピュータに送信され、カメラからコンピュータに送られるビデオ画像信号は、乳幼児の身体上のマーカーの動きを表わす信号を発生させ、追跡するために使用され、 マーカーは、カメラにより形成されたビデオ画像を介して、検出され、より正確に追跡され得るもので、光学画像装置による乳幼児の身体上の特定の位置を検出するために使用され、個々のマーカーを身体の各位置に関連するように対応付けるために使用されるもので、マーカーの各セットは、関連付けられたマーカーの動きおよび/または位置を独立してモニターするために、個々に処理されるものであり、 また、マーカーは、特定の身体の部分と整合する形状をもつように作られ、乳幼児の特定の位置に、マーカーを繰り返して配置することを容易にするものであり、 コンピュータは、呼吸パターンを解析し、不規則性が検出されたならばリポート装置を作動させ、 複数の乳幼児に関連した多数のマーカーが、本システムを使用して同時にモニターされ得るもので、多数の乳幼児の同時モニターを実行するとき、画像フレームで識別されるマーカーのセットを適切な乳幼児に関連付けるものである、 システム。」 2 引用文献2について 引用文献2には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。 (2a)「【0003】 患者の運動能力を評価し、適切なフィードバックを提供するため、患者の動きに関するデータが必要とされる。この目的のため、センサ又はマーカは、患者の身体の異なる位置に取り付けられる。使用されるセンサ又はマーカの絶対的な方向は決定可能であるが、これらの空間的な絶対的な位置は、決定することができない。方向測定を体の動き及び姿勢に変換するため、センサが取り付けられた身体の部分を知ることが必要である。 【0004】 現在、この情報は、身体の部分をユニークなセンサ識別情報と関連付けることによって、手動でデータ処理ユニットに供給される。この手続きは、センサが常に身体に取り付けられていることを必要とする。これが人間の相互作用を必要とするので、誤りが発生しやすいだけでなく、このようなシステムを使用するとき、特に障害のある患者にとって支障をきたす。」 (2b)「【0008】 位置認識ユニットは、人体の所定の位置に位置される装置又はマーキングとして理解されるべきである。これは、他の装置によって読み取られ得るユニークな識別情報を有する。この識別情報は、英数字、グラフィカルシンボル等で表現される2進数、10進数、16進数、又は他の形態である。ユニークであるということは、システム内に同じ識別情報を有する他のユニットがないという事実に関する。識別情報は、例えば32ビット又は64ビットの2進数で識別情報を表現することにより、これまで製造された全てのユニットに対してユニークであるようにも選択され得る。ユニットの所定の位置は、例えば人の頭部、上腕、下腕、肩、指、手、胴、太もも、下肢や足のような位置であり得る。」 (2c)「【0020】 本発明の一実施例において、位置認識ユニットのユニークな識別情報は、光学的手段によって読むことができる形態で記憶される。このようなストレージ形態の例は、バーコード及び2次元ピクセル配列を含む。好ましくは、これらのマーキングは、レーザビームを介してスキャンされる。識別情報の光学的な読み取りの利点は、印刷されたシールを使用することによって単純に達成され得るので、低コストで情報を展開可能であることを含む。したがって、最も単純な形態の位置認識ユニットは、バーコードラベルである。」 (2d)「【0025】 ・・・ 視覚的な追跡するための光学的マーキングも有利に使用される。これらは、人の姿勢又は動きを示すため、カメラによって識別され得る。」 (2e)「【実施例1】 【0035】 図1は、本発明によるシステムを有する人を概略的に示す。片方の腕に、この人物は、位置認識ユニット(1)を構成するバーコードの形態の光学的マーキングを有する。更に、この人物は、胸の周りに着用されたベルト(6)のポケット内に第2位置認識ユニット(1')を着用する。例として、この人は、自身の脚に第3位置認識ユニット(1")も有する。このユニットは、1つの所定の方向のみでアクセスされ得るように形成される。各ユニット(1,1',1")のユニークな識別情報及びこれらの位置は、データベース(5)に記憶される。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)生命徴候、生命徴候パラメータ等について 引用発明の「乳幼児」は、本願発明の「対象者」に相当する。 また、本願発明の「生命徴候」及び「生命徴候パラメータ」に関して、本願明細書では前者について「「生命徴候」という用語は対象者の生理学的パラメータを指す。」(【0011】)、後者について「生命徴候パラメータが呼吸運動」(【0047)と記載されていることから、引用発明の「呼吸活動に関連した動き」及び「呼吸動作の周期性および不規則性」が、本願発明の「生命徴候パラメータ」及び「生命徴候」に相当する。 そして、引用発明の「乳幼児の呼吸活動の周期性および不規則性を検出」「するシステム」は、本願発明の「対象者の生命徴候を求めるためのシステム」に相当する。 (2)撮像ユニットについて 引用発明の「呼吸活動に関連した動きについて、乳幼児をモニターし」、「ビデオ画像信号」を「コンピュータに送信」する「カメラ」は、本願発明の「対象者のビデオデータを得るための撮像ユニット」に相当する。 (3)マーカーについて 引用発明の「特定の身体の部分と整合する形状をもつように作られ、乳幼児の特定の位置に、マーカーを繰り返して配置することを容易にするものであ」る「マーカー」は、「特定の身体の部分と整合する形状」で「繰り返して」使用されるものであるから、身体に取り付けたり外したりすることができるもの、すなわち取り付け可能なものといえることから、本願発明の「対象者の体に取り付け可能なマーカー」に相当する。 (4)画像処理ユニット及び解析ユニットについて 引用発明の「カメラから」「送られるビデオ画像信号」において「乳幼児の身体上のマーカーの動きを表わす信号を」「追跡」し、「マーカー」を「カメラにより形成されたビデオ画像を介して、検出」する「コンピュータ」は、本願発明の「前記ビデオデータ内の前記マーカーを検出」する「画像処理ユニット」に相当する。 そして、引用発明の「ビデオ画像信号」において「乳幼児の身体上のマーカーの動き」すなわち「呼吸活動に関連した動き」「を表わす信号を」「追跡」し、「呼吸パターンを解析」し、「乳幼児の呼吸活動の周期性および不規則性を検出」する「コンピュータ」は、上記(1)を踏まえると、本願発明の「前記ビデオデータから対象者の前記生命徴候に関する生命徴候パラメータを抽出し、前記生命徴候パラメータから前記生命徴候を求める解析ユニット」にも相当するものである。 2 一致点・相違点 上記対比を踏まえれば、本願発明と引用発明とは、 「対象者の生命徴候を求めるためのシステムであって、前記システムは、 対象者のビデオデータを得るための撮像ユニットと、 対象者の体に取り付け可能なマーカーと、 前記ビデオデータ内の前記マーカーを検出する画像処理ユニットと、 前記ビデオデータから対象者の前記生命徴候に関する生命徴候パラメータを抽出し、前記生命徴候パラメータから前記生命徴候を求める解析ユニットと を含む、システム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 本願発明は、マーカーが「対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンを含む」もので、画像処理ユニットが「前記グラフィカルパターンから前記符号化データを求めるための」ものであるのに対し、 引用発明では、マーカーが「対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンを含む」ものではなく、コンピュータが「前記グラフィカルパターンから前記符号化データを求めるための」ものではない点。 第6 判断 1 相違点に対する判断 本願発明の「対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターン」について、本願明細書には「例えばビデオデータ内のマーカーの位置及び/又は向きを画像処理ユニットによって突き止めることを可能にする機械可読パターンを設けることにより、マーカーの向き及び/又は位置がグラフィカルパターンから求められても良い。」(【0023】)、「本発明の更なる実施形態によれば、マーカーが符号化データを更に含む。非接触測定のために、測定システムとモニタされている対象者との間に物理的結合はない。しかし、測定システムによって取得される情報が、モニタされる対象者に正しく割り当てられることをモニタリングシステムが確実にすることが極めて重要である。従って、符号化データは、患者名、病棟、患者識別情報等の患者に関するデータを含むことができる。」(【0033】)、「符号化データを含むグラフィカルパターンは、任意の種類の機械可読コード、例えば白黒の又は単一の若しくは様々な色を有する、QRコード(登録商標)、バーコード、機械可読の英数字の文字やシーケンス、マーカーの大きさ及び/又は形状を含む図像や幾何学模様、マーカー内の開口部の配列とすることができる。」(【0038】)と記載されているとおり、具体的には、患者の識別、マーカーの位置を示すQRコード、バーコードのようなものを含むといえる。 一方、引用発明は、マーカーについて、「乳幼児の身体上の特定の位置を検出するために使用され、個々のマーカーを身体の各位置に関連するようにに対応付けるために使用されるもので、マーカーの各セットは、関連付けられたマーカーの動きおよび/または位置を独立してモニターするために、個々に処理されるものであ」り、「複数の乳幼児に関連した多数のマーカーが、本システムを使用して同時にモニターされ得るもので、多数の乳幼児の同時モニターを実行するとき、画像フレームで識別されるマーカーのセットを適切な乳幼児に関連付けるものである」と特定されており、引用発明の「マーカー」は、「乳幼児の」「身体の各位置に関連するように対応付ける」ものであり、「複数の乳幼児」を「適切」に「識別」する「乳幼児に関連付ける」ものである。 そして、上記引用文献2(特に下線部参照)には、マーカを患者の身体の異なる位置に取り付ける際に、その取り付けられた身体の部分を知るために、マーカをカメラによって識別され得るバーコード又は2次元ピクセル配列(QRコード)を含む識別情報を有するものとすることによって、身体の部分と関連付ける技術が記載されており、また、患者の識別を患者に配置したバーコード、QRコードによって行うことは本願優先日前の慣用手段(例えば、特開2001-175791号公報、特開2007-249925号公報、特表2010-537672号公報等)である。 してみれば、引用発明の「マーカー」は、「乳幼児の」「身体の各位置に関連するように対応付ける」ものであり、「複数の乳幼児」を「適切」に「識別」する「乳幼児に関連付ける」ものであるから、マーカーを、乳幼児の身体の部分における位置及び複数の乳幼児を識別するQRコード、バーコードのようなものを含むもの、すなわち「対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンを含む」ものとすることは、上記引用文献2の記載及び慣用手段に鑑みて、当業者が容易になし得たことであり、そして、マーカーが「符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンを含む」ものであると、「コンピュータ」は「前記グラフィカルパターンから前記符号化データを求める」ことを行うことになる。 2 効果について 本願発明において、マーカーとして「対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンを含む」ものを用いたことによる効果は、バーコード、QRコード等を用いることによる当業者が予期しうる効果を超えるものではない。 3 請求人の主張について 請求人は、令和元年7月16日提出の意見書で、「引用文献1の上記構成において、マーカー104及びマーカーブロック802、806、877には、本願発明1等でいう、対象者の固有のデータを含む符号化データを含んだ機械可読グラフィカルパターンに対応する構成が設けられていない。」、「引用文献2の上記構成において、バーコード及び2次元クセル配列は、単に身体の部分を示すものであり、人物(対象者)の固有のデータを含むものでない。」(なお、「2次元クセル配列」は「2次元ピクセル配列」の誤記である)と主張しているが、引用文献1の記載、引用文献2の記載のそれぞれと本願発明が相違する点を主張するのみであるから、上記1で述べた相違点に対する判断を覆すものではない。 4 小括 よって、本願発明は、引用発明、並びに、引用文献2に記載された事項及び慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2018-008096

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決676件(コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ)
  • 2025-016706拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)医療装置のための放熱構成及び関連する装置、システム、及び方法
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2025-017720拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)コンピュータ断層撮像における動きアーティファクトの抑制
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2025-010540拒絶査定不服審判 / 2026-07-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)酸素PEPカニューレ
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2024-016354拒絶査定不服審判 / 2026-07-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気パーソナルケア装置
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2024-020307拒絶査定不服審判 / 2026-07-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)誘発応答の定量化に基づいて感覚刺激を与える方法及びシステム
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2025-013059拒絶査定不服審判 / 2026-07-06 / 請求不成立超音波トランスデューサ、超音波探触子、超音波診断装置および超音波トランスデューサ…
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-011631拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立超音波トランスデューサ、超音波探触子、超音波診断装置および超音波トランスデューサ…
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-013876拒絶査定不服審判 / 2026-05-19 / 請求不成立医用画像表示装置、医用画像表示方法および医用画像表示プログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-000057拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 請求不成立心不全管理のための感知
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-017922拒絶査定不服審判 / 2026-02-17 / 請求不成立神経活動を検出するための方法及びシステム
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,956件(121・A61B)
  • 2024-014320拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)生理学的データのモニタリング方法
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2025-010743拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)乳房の病変を同定する方法及びモデル
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2024-019207拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)少なくとも1つの呼吸パラメータを決定するための測定装置及び方法
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2025-016546拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)診断デバイス
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2025-015249拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)感情推定装置
    共通の審決分類: 121・A61B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存