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特許拒絶査定不服審判

2018-006302

選択的な雑草防除方法

審判番号
2018-006302
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-555292外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年05月08日
審決日
2019年04月25日
公報発行日
2019年06月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (A01N) / P18 .121-WY (A01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-555292「選択的な雑草防除方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月31日国際公開、WO2014/116894、平成28年 3月31日国内公表、特表2016-509603、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願は、2014年1月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年1月25日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年8月23日付けで拒絶理由が通知され、同年10月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月25日付けで拒絶査定がされ、平成30年5月8日に拒絶査定に対する審判請求がされると同時に手続補正書が提出されたたものである。 なお、この出願の一部が平成30年5月8日に特願2018-90153号として分割出願されている。 第2 本願発明 この出願の発明は、平成30年5月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項1~11に係る発明をそれぞれ「本願発明1」~「本願発明11」という。) 「 【請求項1】 イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する除草剤組成物であって、 該組成物は4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩を含み、前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大10gae/haの施用量で施用される、除草剤組成物。 【請求項2】 前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大5gae/haの施用量で施用される、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大2.5gae/haの施用量で施用される、請求項1に記載の組成物。 【請求項4】 前記作物がイエローマスタードである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。 【請求項5】 前記作物がスプリングユンセアキャノーラである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。 【請求項6】 前記作物がハルケールである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。 【請求項7】 前記作物がハルカブである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。 【請求項8】 前記作物がハルルタバガである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。 【請求項9】 前記作物がスプリングウインフレッド飼料ブラッシカである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。 【請求項10】 前記望ましくない植生が、アメリカヤエムグラ(シラホシムグラ(Galium aparine))、ハコベ(コハコベ(Stellaria media))、アカザ(ヒユ属種(Amaranthus spp.))、チシマオドリコソウ(タヌキジソ(Galeopsis tetrahit))、シロザ(シロザ(Chenopodium album))、カラクサケマン(カラクサケマン属種(Fumaria spp.))、ノミヨケソウ(イズハハコ属種(Conyza spp.))、アザミゲシ(アザミゲシ(Argemone mexicana))、フウロソウの種(フウロソウ属種(Geranium spp.))、ブタクサ(ブタクサ属種(Ambrosia spp.))、オランダフウロ(オランダフウロ(Erodium cicutarium))、ゼニアオイ(ゼニアオイ属種(Malva spp.))、自生アマ(アマ(Linum usitatissimum))、自生アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、およびオドリコソウ(オドリコソウ属種(Lamium spp.))からなる群から選択される、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。 【請求項11】 イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する方法であって、除草有効量の4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩を施用するステップを含み、前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大10gae/haの施用量で施用される、方法。」 第3 原査定の理由 原査定の理由は、平成29年8月23日付けの拒絶理由通知における理由1及び理由2であり、理由1の概要は、この出願の請求項1~6、13及び14に係る発明は、その出願前に頒布された引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないというものであり、理由2の概要は、この出願の請求項1~6、13及び14に係る発明は、上記引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。その引用文献2は国際公開第2012/164013号(以下「刊行物1」という。)である。 本願発明1、2、3及び10は、上記刊行物1に基づく拒絶理由が通知された請求項1、3、4及び14に係る発明に対応する。 ただし、発明のカテゴリーが「・・・から選択される作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する方法」から「・・・から選択される作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する除草剤組成物」へと変更され、対象作物の種類が限定されている。 本願発明11は、上記刊行物1に基づく拒絶理由が通知された請求項2に係る発明に対応し、対象作物の種類が限定されている。 また、本願発明4~9は、上記刊行物1に基づく拒絶理由が通知されなかった請求項7~12に対応している。 第4 当審の判断 1 理由1について (1)刊行物 刊行物1:国際公開第2012/164013号 (2)刊行物に記載された事項 ア 刊行物1(以下、訳文により示す。) (1a)「1.作物植物を、式(I) [式中、Yは塩素又は臭素であり、Rは水素、C1-8 アルキル、C2-5 アルケニル、C3-5 アルキニル、アリールC1-2 アルキル、C1-4 アルコキシC1-4 アルキル又はC1-4 アルコキシC1-4 アルコキシC1-2 アルキルであり、R1 は塩素又は臭素であり、R2 はC1-2 アルコキシであり、R3 は塩素又はフッ素である。]の化合物又はその塩若しくはそのN-オキシドであるピリジン誘導体除草剤の有害な作用から保護するための組成物であって、上記式(I)のピリジン誘導体除草剤に加えて、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを含む、上記組成物。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 10.有用植物である作物を、請求項1~9の何れかに記載の式(I)の除草剤の有害な作用から保護するための方法であって、有用植物の所在場所に、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを適用することを含む、上記方法。」(35~36頁、請求の範囲の請求項1及び10) (1b)「この発明は、ある種の除草性ピリジン誘導体及び安全化剤を含む組成物、並びに栽培植物を除草性ピリジン誘導体の傷害性の作用から保護するための方法に関する。 望ましくない植物の生長を制御するために除草剤が用いられるときに、栽培植物に幾らかの傷害が起こり得ることが知られている。障害の程度は様々な要因によるであろうが、安全化剤と呼ばれる化合物を使用することにより、その除草剤の作用から栽培植物を保護できることがある。 驚くべきことに、このたび、ある種の除草性ピリジン誘導体が、N-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドにより安全化できることが見出された。 したがって、この発明は、作物植物を、式(I) [式中、 Yは塩素又は臭素であり、 Rは水素、C1-8 アルキル、C2-5 アルケニル、C3-5 アルキニル、アリールC1-2 アルキル、C1-4 アルコキシC1-4 アルキル又はC1-4 アルコキシC1-4 アルコキシC1-2 アルキルであり、 R1 は塩素又は臭素であり、 R2 はC1-2 アルコキシであり、 R3 は塩素又はフッ素である。]の化合物又はその塩若しくはそのN-オキシドであるピリジン誘導体除草剤の有害な作用から保護するための組成物であって、 上記式(I)のピリジン誘導体除草剤に加えて、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを含む、上記組成物を提供する。」(1頁2行~2頁3行) (1c)「以下に示す化合物は、この発明の組成物を特徴付ける式(I)の化合物の例である。以下の表1は、式(I)の50個の化合物(それぞれ1-1~1-50と呼ぶ。)を示す。 化合物          置換基 番号    Y   R1    R2     R3     R 1    Cl  Cl  OCH3    Cl    H 2    Cl  Br  OCH3    Cl    H 3    Cl  Cl OCH2CH3  Cl    H 4    Cl  Br OCH2CH3  Cl    H 5    Cl  Cl  OCH3     F     H 6    Cl  Br  OCH3     F     H 7    Cl  Cl OCH2CH3   F     H 8    Cl  Br OCH2CH3   F     H 9    Br  Cl  OCH3    Cl    H 10   Br  Br  OCH3    Cl    H 11   Br  Cl OCH2CH3  Cl    H 12   Br  Br OCH2CH3  Cl    H 13   Br  Cl  OCH3     F     H 14   Br  Br  OCH3     F     H 15   Br  Cl OCH2CH3   F     H 16   Br  Br OCH2CH3   F     H 17   Cl  Cl  OCH3    Cl   CH3 18   Cl  Br  OCH3    Cl   CH3 19   Cl  Cl OCH2CH3  Cl   CH3 20   Cl  Br OCH2CH3  Cl   CH3 21   Cl  Cl  OCH3     F    CH3 22   Cl  Br  OCH3     F    CH3 23   Cl  Cl OCH2CH3   F    CH3 24   Cl  Br OCH2CH3   F    CH3 25   Br  Cl  OCH3    Cl   CH3 26   Br  Br  OCH3    Cl   CH3 27   Br  Cl OCH2CH3  Cl   CH3 28   Br  Br OCH2CH3  Cl   CH3 29   Br  Cl  OCH3     F    CH3 30   Br  Br  OCH3     F    CH3 31   Br  Cl OCH2CH3   F    CH3 32   Br  Br OCH2CH3   F    CH3 33   Cl  Cl  OCH3    Cl  CH2CH3 34   Cl  Cl  OCH3     F   CH2CH3 35   Cl  Cl  OCH3    Cl CH2CH2CH3 36   Cl  Cl  OCH3     F  CH2CH2CH3 37   Cl  Cl  OCH3    Cl CH2CH2CH2CH3 38   Cl  Cl  OCH3    F  CH2CH2CH2CH3 39   Cl  Cl  OCH3    Cl CH2CH=CH2 化合物          置換基 番号    Y   R1    R2     R3     R 40   Cl  Cl  OCH3     F  CH2CH=CH2 41   Cl  Cl  OCH3    Cl  CH2C≡CH 42   Cl  Cl  OCH3     F   CH2C≡CH 43   Cl  Cl  OCH3    Cl CH2CH2OCH2CH2CH2CH3 44   Cl  Cl  OCH3     F  CH2CH2OCH2CH2CH2CH3 45   Cl  Cl  OCH3    Cl   Na塩 46   Cl  Cl  OCH3     F    Na塩 47   Cl  Cl  OCH3    Cl    K塩 48   Cl  Cl  OCH3     F     K塩 49   Cl  Cl  OCH3    Cl   Et3N塩 50   Cl  Cl  OCH3     F    Et3N塩 この発明の安全化された組成物で用いるピリジン化合物は、当業者ならば分かるように、適当な方法として従来技術(例えば国際公開第2007/082098号及び米国特許出願公開第2010/0311981号)に記述されている方法を適用又は採用して、製造することができる。」(5頁1行~6頁5行) (1d)「この発明の安全化剤は、欧州特許出願公開第0365484号に開示されており、そこに述べられている方法を使って製造することができる。」(6頁6~7行) (1e)「さらなる観点では、この発明は、有用植物である作物を、ここで定義される式(I)の除草剤の有害な作用から保護するための方法を提供し、その方法は、有用植物の所在場所に、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを適用することを含む。 もっとさらなる観点では、この発明は、有用植物である作物中の雑草と闘う方法を提供し、その方法は、有用植物、種子、その切ったもの、又は有用植物の所在場所を、同時に又は別の時期に、除草有効量の式(I)の化合物及び安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドで処理することを含む。 雑草/有用植物の作物、又はそれらの所在場所への適用方法は、農業で通常用いられてる方法を何れも使用でき、例えば、この発明の組成物を典型的には適切に希釈した後に噴霧又は散布法で適用できる。 ここで用いられる用語“所在場所”は、雑草が既に育っている場所だけでなく、雑草がまだ生えていない場所や、有用植物である作物を栽培中の場所を含む。栽培中の場所は、作物が既に育っている土地及びそのような作物をこれから栽培する土地を含む。 この発明の組成物が用いられるか、この発明の方法が適用される、有用植物である作物は、柑橘果物、ブドウ、ナッツ、アブラヤシ、オリーブ、梨、梅や桃及びゴムの木のような、多年生作物、並びに穀類例えば大麦及び小麦、ワタ、アブラナ、トウモロコシ(スイートコーンを含む)、稲、モロコシ、大豆、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、装飾用植物及び野菜のような、一年生作物を含む。特に、この発明の組成物は、トウモロコシ(スイートコーンを含む)、モロコシ、サトウキビ及び稲に用いられ、さらに特には、トウモロコシ、サトウキビ及び稲に用いられ、最も特には、トウモロコシに用いられる。 この発明の組成物及び方法は、芝生、牧草地、放牧地、通路等にも用いられる。特に、ゴルフコース、芝生、公園、運動場、レースコース等に用いられる。」(6頁10行~7頁18行) (1f)「ここでの用語“雑草”は、いかなる望ましくない植物をも含む。そのため、以下に述べる農業上重要な雑草のみならず、自生作物植物も含む。 式(I)の化合物は、多数の農業上重要な雑草に使用できる。制御されるべき雑草は、例えば、Alisma spp、Leptochloa chinensis、Stellaria、Nasturtium、Agrostis、Digitaria、Avena、Setaria、Sinapis、Lolium、Solarium、Echinochloa、Scirpus、Monochoria、Sagittaria、Bromus、Alopecurus、Sorghum、Rottboellia、Cyperus及び特にCyperus iria、Abutilon、Sida、Xanthium、Amaranthus、Chenopodium、Ipomoea、Chrysanthemum、Galium、Viola、Veronica、Bidens、Euphorbia、Ischaemum、Polygonum、Helianthus、Panicum、Eriochloa、Brachiaria、Cenchrus、Commelina、Spermacoce、Senna、Tridax、Richardia、Chamaesyce、及びConyza spp.のような、単子葉植物及び双子葉植物の両方を含む。」(8頁15~25行) (1g)「この発明に従う組成物は、例えば発芽前適用、発芽後適用及び種子被覆のような、農業における従来の適用方法の何れにも適している。意図する用途により、安全化剤は、作物種子の予備処理(種子又は切片の被覆)に用いてもよいし、種蒔きの前又は後に土壌に導入してもよい。しかし、安全化剤を単独で又は除草剤と一緒に、植物の発芽前又は発芽後に適用してもよい。植物又は種子の安全化剤による処理は、それゆえ、基本的に、除草剤の適用時期とは独立に行える。除草剤及び安全化剤の同時適用(例えばタンクミックス)による植物の処理は、概して好ましい。適用される除草剤に対する安全化剤の適用比率は、主に使用方法による。畑の処理では、通例0.001~5.0kg安全化剤/ha、好ましくは0.01~0.5kg安全化剤/ha、及び通例0.005~2kg除草剤/haであるが好ましくは0.001~1kg/haが適用される。種子被覆では、一般に0.001~10安全化剤/kg種子、好ましくは0.05~2g安全化剤/kg種子が適用される。安全化剤を播種直前に液体形態で適用し種子を濡らす場合は、安全化剤を1~10,000ppm、好ましくは100~1000ppmの濃度で含む安全化剤溶液を用いるのが適当である。」(8頁26行~9頁11行) (1h)「実施例1 トウモロコシの安全化 トウモロコシの種子をポット中の標準土壌に蒔き、温室内の制御した条件(昼/夜で24/18℃;16時間の光;65%湿度)で栽培した。 植物が3葉期になったときに、化合物(I)単独を含む水性噴霧溶液及び化合物(I)と幾つかの異なる除草剤安全化剤を組み合わせた水性噴霧溶液を噴霧した。噴霧溶液のために用いられた全ての化合物は、それぞれ乳剤又は懸濁製剤だった。加えて、非イオン界面活性剤(X-77 Spreader)を0.2%v/v溶液となるように加えた。 噴霧溶液は、キャビネットトラック噴霧器・・・で200L/haの体積・・・で適用した。 試験植物は、その後、温室内で制御した条件(昼/夜で24/18℃;16時間の光;65%湿度)で日に2回水を与えられて生長し続けた。21日後、試験を一般的な作物傷害(100%は植物の完全な傷害;0%は植物に傷害なし)で評価した。 結果は、以下の表1に、2つの同様な試験の見かけの薬害の平均%として示した。 表1 式(I)の化合物の単独による、及びN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド(安全化剤A)を含めた幾つかの安全化剤の存在下での、トウモロコシにもたらされた%傷害 組成物          適用割合(g a.i./ha) 10g/ha   50g/ha 化合物1-21単独        55.0   77.5 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-21 + 100g/ha安全化剤A 0.0    0.0 実施例2 トウモロコシ及びスイートコーンの安全化 スイートコーン及びトウモロコシの種子をトラフ中の標準土壌に蒔き、温室内の制御した条件(昼/夜で24/18℃;16時間の光;65%湿度)で栽培した。 植物が2葉期になったときに、化合物(I)単独を含む水性噴霧溶液及び化合物(I)と幾つかの異なる除草剤安全化剤を組み合わせた水性噴霧溶液を噴霧した。噴霧溶液のために用いられた全ての化合物は、工業用物質だった。加えて、非イオン界面活性剤(X-77 Spreader)を0.2%v/v溶液となるように加えた。 噴霧溶液は、キャビネットトラック噴霧器・・・で200L/haの体積・・・で適用した。 試験植物は、その後、温室内で制御した条件(昼/夜で24/18℃;16時間の光;65%湿度)で日に2回水を与えられて生長し続けた。21日後、試験を一般的な作物傷害(100%は植物の完全な傷害;0%は植物に傷害なし)で評価した。 結果は、以下の表2及び3に、3つの同様な試験の見かけの薬害の平均%として示した。 表2 式(I)の化合物の単独による、及びN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド(安全化剤A)を含めた幾つかの安全化剤の存在下での、トウモロコシ(品種Claxxon)にもたらされた%傷害 組成物          適用割合(g a.i./ha) 10g/ha   50g/ha 化合物1-5単独          27     65 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-5 + 10g/ha安全化剤A    0 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-5 + 50g/ha安全化剤A           0 化合物1-21単独         10     73 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-21 + 10g/ha安全化剤A   0 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-21 + 50g/ha安全化剤A         20 表3 式(I)の化合物の単独による、及びN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド(安全化剤A)を含めた幾つかの安全化剤の存在下での、スイートコーン(品種Sundance)にもたらされた%傷害 組成物          適用割合(g a.i./ha) 50g/ha   100g/ha 化合物1-5単独          47     80 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-5 + 50g/ha安全化剤A    0 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-5 + 100g/ha安全化剤A          0 化合物1-21単独         88     98 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-21 + 50g/ha安全化剤A   0 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-21 + 100g/ha安全化剤A         2 実施例3 サトウキビ(品種SP803280)の安全化 サトウキビの茎部をトラフ中の標準土壌に植え付け、温室内の制御した条件(昼/夜で30/20℃;18時間の光;75%湿度)で栽培した。 植物が3-4葉期になったときに、化合物(I)単独を含む水性噴霧溶液及び化合物(I)と幾つかの異なる除草剤安全化剤を組み合わせた水性噴霧溶液を噴霧した。噴霧溶液のために用いられた全ての化合物は、工業用物質だった。加えて、非イオン界面活性剤(X-77 Spreader)を0.2%v/v溶液となるように加えた。 噴霧溶液は、キャビネットトラック噴霧器・・・で200L/haの体積・・・で適用した。 試験植物は、その後、温室内で制御した条件(昼/夜で30/20℃;18時間の光;75%湿度)で日に2回水を与えられて生長し続けた。26日後、試験を一般的な作物傷害(100%は植物の完全な傷害;0%は植物に傷害なし)で評価した。 結果は、以下の表4に、4つの同様な試験の見かけの薬害の平均%として示した。 表4 式(I)の化合物の単独による、及びN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド(安全化剤A)を含めた幾つかの安全化剤の存在下での、サトウキビ(品種SP803280)にもたらされた%傷害 組成物          適用割合(g a.i./ha) 62.5g/ha  250g/ha 化合物1-5単独           3      34 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-5 + 100g/ha安全化剤A   0 化合物1-21単独         44     58 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1-21 + 100g/ha安全化剤A  0       0 」(28頁11行~34頁7行) (3)刊行物に記載された発明 刊行物1は、除草剤組成物に関する特許文献であり、当該刊行物1には、請求項1に記載される式(I) (置換基の説明は省略する。)の化合物又はその塩若しくはそのN-オキシドであるピリジン誘導体除草剤の有害な作用から作物を保護するために、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを使用することについて記載されている(摘示(1a)~(1h))。 当該刊行物1の請求項1には、上記除草剤及び上記安全化剤を含む組成物の発明が、また、同請求項10には、上記安全化剤を適用して作物を保護する方法の発明が、それぞれ記載されている(摘示(1a))。 そして、上記式(I)の化合物又は塩の例が50個、表の形式で示され(摘示(1c))、トウモロコシを含む対象作物の例が列挙され(摘示(1e))、上記組成物は発芽前適用、発芽後適用又は種子被覆の何れでも適用できることが記載され(摘示(1g))、畑に適用する場合に、安全化剤の施用量が通例0.001~5.0kg/ha好ましくは0.01~0.5kg/haであり、除草剤の施用量が通例0.005~2kg/haであるが好ましくは0.001~1kg/haであることの一般的な記載がある(摘示(1g))。 さらに、当該刊行物1の実施例(摘示(1h))には、上記表の5番目に記載された化合物1-5(Y=Cl、R1=Cl、R2=OCH3、R3=F、R=H)(審決注:化合物名は4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸)及び21番目に記載された化合物1-21(Y=Cl、R1=Cl、R2=OCH3、R3=F、R=CH3)(審決注:化合物名は4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチル)について、 トウモロコシに対して、化合物1-5を10g a.i./ha又は50g a.i./haで適用する際に上記安全化剤をそれぞれ10g/ha又は50g/haで併用する場合の効果(摘示(1h)表2)、化合物1-21を10g a.i./ha又は50g a.i./haで適用する際に上記安全化剤をそれぞれ100g/ha若しくは10g/ha又は100g/ha若しくは50g/haで併用する場合の効果(同表1及び表2)が、 スイートコーンに対して、化合物1-5を50g a.i./ha又は100g a.i./haで適用する際に上記安全化剤をそれぞれ50g/ha又は100g/haで併用する場合の効果(同表3)、化合物1-21を50g a.i./ha又は100g a.i./haで適用する際に上記安全化剤をそれぞれ50g/ha又は100g/haで併用する場合の効果(同表3)が、 サトウキビに対して、化合物1-5を62.5g a.i./ha又は250g a.i./haで適用する際に上記安全化剤を100g/haで併用する場合の効果(同表4)、化合物1-21を62.5g a.i./ha又は250g a.i./haで適用する際に上記安全化剤を100g/haで併用する場合の効果(同表3)が、それぞれ確認できる。 また、トウモロコシ及びスイートコーンについては、適用21日後の、サトウキビについては、適用26日後の、それぞれの作物の%傷害の数値により評価されている。 これらの実施例では、ピリジン誘導体除草剤の有害な作用から上記の作物を保護したことが確認できる。 以上によれば、刊行物1には、その請求項1に係る発明である、以下の 「作物植物を、式(I) [式中、Yは塩素又は臭素であり、Rは水素、C1-8 アルキル、C2-5 アルケニル、C3-5 アルキニル、アリールC1-2 アルキル、C1-4 アルコキシC1-4 アルキル又はC1-4 アルコキシC1-4 アルコキシC1-2 アルキルであり、R1 は塩素又は臭素であり、R2 はC1-2 アルコキシであり、R3 は塩素又はフッ素である。]の化合物又はその塩若しくはそのN-オキシドであるピリジン誘導体除草剤の有害な作用から保護するための組成物であって、上記式(I)のピリジン誘導体除草剤に加えて、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを含む、上記組成物」の発明(以下「引用発明1」という。)及び、その請求項10に係る発明である、以下の 「有用植物である作物を、式(I) [式中、Yは塩素又は臭素であり、Rは水素、C1-8 アルキル、C2-5 アルケニル、C3-5 アルキニル、アリールC1-2 アルキル、C1-4 アルコキシC1-4 アルキル又はC1-4 アルコキシC1-4 アルコキシC1-2 アルキルであり、R1 は塩素又は臭素であり、R2 はC1-2 アルコキシであり、R3 は塩素又はフッ素である。]の化合物又はその塩若しくはそのN-オキシドであるピリジン誘導体除草剤の有害な作用から保護するための方法であって、有用植物の所在場所に、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを適用することを含む、上記方法」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているということができる。 (4)対比・判断 ア 本願発明1について (ア)対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「式(I)・・・(中略)・・・の化合物又はその塩」は、そのRが水素以外にC1-8 アルキル等であってもよいのであるから、置換されたピリジン-2-カルボン酸以外に置換されたピリジン-2-カルボン酸エステルを含み、何れも除草剤であることを意図されたものであるから、そのエステルは当然に農業上許容されるエステルである。また、引用発明1の「式(I)・・・(中略)・・・の化合物又はその塩」の置換基Y、R1、R3 の選択肢の塩素、臭素、フッ素は、何れもハロゲン置換基であり、置換基名としては、それぞれクロロ、ブロモ、フルオロであり総称はハロである。 すると、本願発明1の「4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」と、引用発明1のピリジン誘導体除草剤である「式(I) [式中、Yは塩素又は臭素であり、Rは水素、C1-8 アルキル、C2-5 アルケニル、C3-5 アルキニル、アリールC1-2 アルキル、C1-4 アルコキシC1-4 アルキル又はC1-4 アルコキシC1-4 アルコキシC1-2 アルキルであり、R1 は塩素又は臭素であり、R2 はC1-2 アルコキシであり、R3 は塩素又はフッ素である。]の化合物又はその塩」は、何れも、「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又は農業上許容されるそのエステル若しくは塩」である限りにおいて一致しており、何れも、その下位概念に該当するものである。 また、引用発明1の「作物植物を・・・除草剤の有害な作用から保護するための組成物」は、全体としては除草剤組成物であり、除草有効量の上記化合物を含むものといえ、発芽後適用できるものであるから、本願発明1の「作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する除草剤組成物」に相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明1とは、「作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する除草剤組成物であって、該組成物は4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩を含む、除草剤組成物」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> (i)「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」の(ii)対象作物及び(iii)施用量について、 本願発明1は、(i)「4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」が(ii)「イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物」の存在下で(iii)「最大10gae/haの施用量で施用される」と特定されているのに対し、引用発明1は、(i)「4-アミノ-3-クロロ又はブロモ-6-(4-クロロ又はブロモ-2-クロロ又はフルオロ-3-C1-2 アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又は農業上許容されるそのエステルもしくは塩」の(ii)対象作物及び(iii)施用量が特定されていない点。 <相違点2> 除草剤組成物について、引用発明1は、さらに、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを含むのに対して、本願発明1にはこのような化合物を含むことが特定されていない点。 (イ)相違点1についての検討 (i)の点については、引用発明1における「式(I)・・・(中略)・・・の化合物又はその塩」は「4-アミノ-3-クロロ又はブロモ-6-(4-クロロ又はブロモ-2-クロロ又はフルオロ-3-C1-2 アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又は農業上許容されるそのエステルもしくは塩」ということができ、4箇所の置換基のそれぞれ2個の選択肢から1個ずつ選んだ16通りの2つが、本願発明1の「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」に相当すること、また、刊行物1の実施例において試験された化合物1-5は4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸であり、化合物1-21は4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチルであることからすると、引用発明1は、その「式(I)・・・(中略)・・・の化合物又はその塩」が、本願発明1と同じ「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」である態様を、含んでいるといえる。 しかし、上記(i)の「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」が(ii)の対象作物の存在下で(iii)の施用量で施用されることについては、引用発明1において特定されていない上に、刊行物1にそのような態様が開示されていないし、引用発明1の構成から当然に満足するものであるということもできない。 したがって、上記相違点1は、実質的な相違点である。 (ウ)相違点2についての検討 本願発明1には、4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩を含む組成物であると特定されていることに加えて、この出願の明細書(以下「本願明細書」という。)の段落【0023】には、この出願の発明に係る組成物は除草剤薬害軽減剤として1-[4-(N-(2-メトキシベンゾイル)スルファモイル)フェニル]-3-メチル尿素を組み合わせて使用してよいことが記載されている。 ここで、本願明細書の除草剤薬害軽減剤である「1-[4-(N-(2-メトキシベンゾイル)スルファモイル)フェニル]-3-メチル尿素」は、その名称から、引用発明1の安全化剤である「N-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド」と同じ化合物であると認められる。 そうすると、本願発明1は、他の成分として、引用発明1の組成物に含まれるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドと同じ化合物を、他の成分として、さらに含むことを許容しており、除外していると認められないから、上記相違点2は、本願発明1と引用発明1との相違点にはらならない。 (エ)小括 上記のとおり、本願発明1は、相違点2は実質的相違点ではないが、相違点1が実質的な相違点といえるから、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 イ 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、それぞれ本願発明1を引用し、さらに、「前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大5gae/haの施用量で施用される」及び「前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大2.5gae/haの施用量で施用される」と施用量を本願発明1の量よりも限定するものであるから、これらは、本願発明1と同様に、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 ウ 本願発明4~9について 本願発明4~9には、上記刊行物1に基づく拒絶理由が通知されていないが、念のため検討する。 本願発明4~9は、それぞれ本願発明1~3を引用し、「前記作物がイエローマスタードである」、「前記作物がスプリングユンセアキャノーラである」、「前記作物がハルケールである」、「前記作物がハルカブである」、「前記作物がハルルタバガである」及び「前記作物がスプリングウインフレッド飼料ブラッシカである」と特定されたものであり、本願発明1~3における対象植物6種をそれぞれ請求項4~9に記載した発明であるから、これらは、本願発明1~3と同様に、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 エ 本願発明10について 本願発明10は、本願発明1~9を引用し、「前記望ましくない植生が、アメリカヤエムグラ(シラホシムグラ(Galium aparine))、ハコベ(コハコベ(Stellaria media))、アカザ(ヒユ属種(Amaranthus spp.))、チシマオドリコソウ(タヌキジソ(Galeopsis tetrahit))、シロザ(シロザ(Chenopodium album))、カラクサケマン(カラクサケマン属種(Fumaria spp.))、ノミヨケソウ(イズハハコ属種(Conyza spp.))、アザミゲシ(アザミゲシ(Argemone mexicana))、フウロソウの種(フウロソウ属種(Geranium spp.))、ブタクサ(ブタクサ属種(Ambrosia spp.))、オランダフウロ(オランダフウロ(Erodium cicutarium))、ゼニアオイ(ゼニアオイ属種(Malva spp.))、自生アマ(アマ(Linum usitatissimum))、自生アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、およびオドリコソウ(オドリコソウ属種(Lamium spp.))からなる群から選択される」と特定されたものであるから、本願発明1~9と同様に、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 オ 本願発明11について (ア)対比 本願発明11と引用発明2とを対比する。 上記ア(ア)と同様に対比すると、本願発明11と引用発明2とは、 「作物の存在下で望ましくない植生を選択的に発芽後防除する方法であって、除草有効量の4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩を施用するステップを含む、方法」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点3> (i)「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」、(ii)対象作物及び(iii)施用量が、 本願発明1においては(i)「4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」が(ii)「イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物」の存在下で(iii)「最大10gae/haの施用量で施用される」と特定されているのに対し、 引用発明1においては(i)は「4-アミノ-3-クロロ又はブロモ-6-(4-クロロ又はブロモ-2-クロロ又はフルオロ-3-C1-2 アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又は農業上許容されるそのエステルもしくは塩」であり(ii)対象作物及び(iii)施用量が特定されていない点。 <相違点4> 除草剤組成物について、引用発明1は、さらに、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを含むのに対して、本願発明1にはこのような化合物を含むことが特定されていない点。 (イ)相違点についての検討 上記相違点3は、上記ア(イ)で検討した相違点1と同様であるから、実質的な相違点であるといえる。 また、上記相違点4は、上記ア(ウ)で検討した相違点2と同様であるから、本願発明1と引用発明2との実質的相違点にはならない。 (ウ)小括 したがって、上記のとおり、本願発明11は、相違点4は実質的相違点ではないが、相違点3が実質的な相違点といえるから、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 (5)まとめ したがって、本願発明1、2、3、10及び11は、本願優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないとすることはできない。 なお、本願発明4~9についても同様である。 2 理由2について (1)刊行物、刊行物に記載された事項及び刊行物に記載された発明 刊行物は、上記1(1)に記載したとおりであり、刊行物に記載された事項は、上記1(2)に記載したとおりであり、刊行物に記載された発明は、上記1(3)に記載したとおりである。 (2)対比・判断 ア 本願発明1について (ア)対比 本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点1~2は、上記1(4)ア(ア)に記載したとおりである。 (イ)相違点についての検討 上記相違点2については、上記1(4)ア(ウ)に記載したとおり、本願発明1と引用発明2との相違点にはならない。 さらに、上記相違点1について検討する。 (i)の点については、上記1(4)ア(イ)に記載したとおり、引用発明1は、その「式(I)・・・(中略)・・・の化合物又はその塩」が、本願発明1と同じ「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」である態様を、含んでいるといえる。 しかし、上記(i)の「4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩」が、(ii)の対象作物の存在下で(iii)の施用量で施用されることについては、以下に示すとおり、当業者が容易に想到できたとはいえない。 刊行物1には、その組成物を適用する対象作物について、「この発明の組成物が用いられるか、この発明の方法が適用される、有用植物である作物は、柑橘果物、ブドウ、ナッツ、アブラヤシ、オリーブ、梨、梅や桃及びゴムの木のような、多年生作物、並びに穀類例えば大麦及び小麦、ワタ、アブラナ、トウモロコシ(スイートコーンを含む)、稲、モロコシ、大豆、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、装飾用植物及び野菜のような、一年生作物を含む。特に、この発明の組成物は、トウモロコシ(スイートコーンを含む)、モロコシ、サトウキビ及び稲に用いられ、さらに特には、トウモロコシ、サトウキビ及び稲に用いられ、最も特には、トウモロコシに用いられる」(摘示(1e))との記載がある。また、施用量について、「畑の処理では、通例0.001~5.0kg安全化剤/ha、好ましくは0.01~0.5kg安全化剤/ha、及び通例0.005~2kg除草剤/haであるが好ましくは0.001~1kg/haが適用される」(摘示(1g))との一般的な記載がある。そして、実施例(摘示(1h))には、上記1(3)にも記載したとおり、ピリジン誘導体除草剤として化合物1-5(4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸)又は化合物1-21(4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチル)に、安全化剤であるN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドを併用して、トウモロコシ、スイートコーン又はサトウキビに適用し、上記ピリジン誘導体除草剤の有害な作用から上記の作物を保護したことが記載されている。実施例における化合物1-5又は化合物1-21の施用量は、何れも、トウモロコシに対して10g a.i./ha又は50g a.i./ha、スイートコーンに対して50g a.i./ha又は100g a.i./ha、サトウキビに対して62.5g a.i./ha又は250g a.i./haである(審決注:「g a.i./ha」は1ha当たりの有効成分の施用量のg数(エステルや塩は遊離酸に換算)であり、本願発明1における「gae/ha」と同じである。)。 そうすると、刊行物1に上記「通例0.005~2kg除草剤/haであるが好ましくは0.001~1kg/haが適用される」との記載があるとしても、それは一般的な記載にとどまり、かつ広範であり、一方、実施例を参照すると、トウモロコシに対して10g a.i./ha又は50g a.i./ha、スイートコーンに対して50g a.i./ha又は100g a.i./ha、サトウキビに対して62.5g a.i./ha又は250g a.i./haの施用量が試験されていて、このような施用量で上記の対象作物が十分に保護されるのであるから、引用発明1において、引用発明1の組成物を、トウモロコシ、スイートコーン、サトウキビ以外の対象作物に適用しようとするときに、10g a.i./haまでの施用量といった低施用量を敢えて選択する動機付けとなるものがない。 したがって、刊行物1の記載からは、相違点1に係る(ii)及び(iii)の、(ii)「イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物」の存在下で(iii)「最大10gae/haの施用量で施用される」との構成は、導かれない。 (ウ)発明の効果について 本願明細書の段落【0011】には、「化合物Iに対する作物の安全性レベルは様々であるが、一般に、≦10gae/haの発芽後施用量では、作物障害をほとんどからまったく引き起こさず、多くの場合、商業的に許容される閾値内とすることができる」と記載されている。同段落【0034】~【0058】の実施例では、4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチルを2.5gae/ha、5gae/ha、10gae/ha及び20gae/haの施用量で、ユンセアキャノーラ(カラシナ(Brassica juncea))、カブ(ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa))、ハルルタバガ(セイヨウアブラナ(Brassica napus))、ハルケール(ヤセイカンラン(Brassica oleracea))、ウインフレッド飼料ブラッシカ(ブラッシカ・ラパ×ヤセイカンラン(Brassica rapa x oleracea))又はイエローマスタード(シロガラシ(Sinapis alba))に施用して、施用後の所定時期にパーセント(%)作物傷害を調べたことが記載され、結果が表1~5、8に示されている。他に、4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチル又は4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸とトリエチルアミンとの塩を2.5gae/ha、5gae/ha、10gae/ha及び20gae/haの施用量で、ハルヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus))又はモロコシ(モロコシ(Sorghum vulgare))に施用して、施用後の所定時期にパーセント(%)作物傷害を調べたことが記載され、結果が表6、7に示されている。他に、4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチルを0.5gae/ha、1.0gae/ha、2.0gae/ha又は3.0gae/haの施用量で、テンサイ(テンサイ(Beta vulgaris subsp.vulgaris var.altissima))に施用して、施用後の所定時期にパーセント(%)作物傷害を調べたことが記載され、結果が表9に示されている。表9には、同施用量における雑草CHEAL(シロザ(Chenopodium album L.))及びPOLCO(ソバカズラ(Polygonum Convolvulus L.))のパーセント(%)防除も示されている。 これらの記載によれば、本願発明1の除草剤組成物は、4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又はそのエステル又はその塩を10gae/haまでの施用量で施用して、イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物に対して少ない作物傷害で、望ましくない植生を選択的に発芽後防除するという効果を奏するものと認められる。 このような効果は、特定の安全化剤を併用しつつ4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又はそのエステルを、トウモロコシに対して10g a.i./ha又は50g a.i./ha、スイートコーンに対して50g a.i./ha又は100g a.i./ha、サトウキビに対して62.5g a.i./ha又は250g a.i./haの施用量で施用する具体例しか開示していない刊行物1の記載から、当業者が予測することができないものである。 (エ)したがって、本願発明1は、上記のとおり、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、それぞれ本願発明1を引用し、さらに、「前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大5gae/haの施用量で施用される」及び「前記4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸または農業上許容されるそのエステルもしくは塩が、最大2.5gae/haの施用量で施用される」と施用量を本願発明1の量よりも限定したものであるから、これらは、本願発明1と同様に、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本願発明4~9について 本願発明4~9には、上記刊行物1に基づく拒絶理由が通知されていないが、念のため検討する。 本願発明4~9は、それぞれ本願発明1~3を引用し、「前記作物がイエローマスタードである」、「前記作物がスプリングユンセアキャノーラである」、「前記作物がハルケールである」、「前記作物がハルカブである」、「前記作物がハルルタバガである」及び「前記作物がスプリングウインフレッド飼料ブラッシカである」と特定されたものであり、本願発明1~3における対象植物6種をそれぞれ請求項4~9に記載した発明であるから、これらは、本願発明1~3と同様に、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 本願発明10について 本願発明10は、本願発明1~9を引用し、「前記望ましくない植生が、アメリカヤエムグラ(シラホシムグラ(Galium aparine))、ハコベ(コハコベ(Stellaria media))、アカザ(ヒユ属種(Amaranthus spp.))、チシマオドリコソウ(タヌキジソ(Galeopsis tetrahit))、シロザ(シロザ(Chenopodium album))、カラクサケマン(カラクサケマン属種(Fumaria spp.))、ノミヨケソウ(イズハハコ属種(Conyza spp.))、アザミゲシ(アザミゲシ(Argemone mexicana))、フウロソウの種(フウロソウ属種(Geranium spp.))、ブタクサ(ブタクサ属種(Ambrosia spp.))、オランダフウロ(オランダフウロ(Erodium cicutarium))、ゼニアオイ(ゼニアオイ属種(Malva spp.))、自生アマ(アマ(Linum usitatissimum))、自生アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、およびオドリコソウ(オドリコソウ属種(Lamium spp.))からなる群から選択される」と特定されたものであるから、本願発明1~9と同様に、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 オ 本願発明11について (ア)対比 本願発明11と引用発明2との一致点及び相違点3~4は、上記1(4)オ(ア)に記載したとおりである。 (イ)相違点についての検討 相違点3~4は、上記ア(ア)の相違点1~2と同様である。 そして、上記ア(イ)と同様に検討すると、刊行物1の記載からは、相違点3に係る(ii)及び(iii)の、(ii)「イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物」の存在下で(iii)「最大10gae/haの施用量で施用される」との構成は、導かれない。 (ウ)発明の効果について 上記ア(ウ)と同様に検討すると、本願発明11の方法は、4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又はそのエステル又はその塩を10gae/haまでの施用量で施用して、イエローマスタード、スプリングユンセアキャノーラ、ハルケール、ハルカブ、ハルルタバガ、およびスプリングウインフレッド飼料ブラッシカからなる群から選択される作物に対して少ない作物傷害で、望ましくない植生を選択的に発芽後防除するという効果を奏するものと認められる。 このような効果は、特定の安全化剤を併用しつつ4-アミノ-3-ハロ-6-(4-ハロ-2-ハロ-3-アルコキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸又はそのエステルを、トウモロコシに対して10g a.i./ha又は50g a.i./ha、スイートコーンに対して50g a.i./ha又は100g a.i./ha、サトウキビに対して62.5g a.i./ha又は250g a.i./haの施用量で施用する具体例しか開示していない刊行物1の記載から、当業者が予測することができないものである。 (エ)したがって、本願発明11は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)まとめ したがって、本願発明1、2、3、10及び11は、本願優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 なお、本願発明4~9についても同様である。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明1、2、3、10及び11は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないとすることはできず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることもできないから、原査定の理由によってこの出願を拒絶することはできない。 また、他にこの出願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-006302

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