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特許拒絶査定不服審判

2018-004160

高ダイナミックレンジ画像センサ

審判番号
2018-004160
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-242442外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年03月27日
審決日
2019年12月09日
公報発行日
2020年06月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-242442「高ダイナミックレンジ画像センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月26日出願公開、特開2016- 96558〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 経緯及び本願発明 1 経緯 本件出願は、2011年(平成26年)8月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月1日、米国)を国際出願日とする出願である特願2013-527289号の一部を平成27年12月11日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成28年 1月12日:手続補正 平成28年 4月26日:手続補正 平成29年 2月24日:拒絶理由の通知 平成29年 6月 7日:意見書の提出、手続補正 平成29年11月22日:拒絶査定 平成29年11月28日:拒絶査定の謄本の送達 平成30年 3月27日:拒絶査定不服審判の請求 平成30年 3月27日:手続補正 令和 1年 5月23日:拒絶理由の通知(当審) 令和 1年 9月30日:意見書の提出、手続補正 2 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由は、概略、次のとおりである。 [当審拒絶理由] この出願の請求項1~28に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2002-190983号公報 引用文献2:特開2008-277894号公報 引用文献3:特開2006-287612号公報 引用文献4:特表2010-520707号公報 引用文献5:特開2003-219281号公報 引用文献6:特開2005-295336号公報 なお、引用文献5は、請求項5、12、19、26、28に係る発明に対し、引用文献6は、請求項7、14、21、28に係る発明に対し、引用されたものである。 3 本願発明 本願の請求項1~28に係る発明は、令和1年9月30日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1~28に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 なお、(A)~(G)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」~「構成要件G」という。 (本願発明) (A)第1のサンプルを生成するため1回目に第1の露光時間で画像センサの複数の偶数番号のラインまたは奇数番号のラインの第1の画素セル信号をサンプリングすることと; (B)第2のサンプルを生成するため2回目に前記第1の露光時間より長い第2の露光時間で前記画像センサの前記複数の奇数番号のラインまたは偶数番号のラインのうちの他方の第2の画素セル信号をサンプリングすることと; (C)第1の関数に基づいて規定される第1の可変重み付け係数を前記第1のサンプルに適用することと; (D)第2の関数に基づいて規定される第2の可変重み付け係数を前記第2のサンプルに適用することと; (E)重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを次式に従って合成することと; SCOMBINED(i,j)=SLONG(i,j)*M(i,j)+n*SSHORT(i,j)*(1-M(i,j)) 但し、SCOMBINEDは、(i,j)に位置する画素セルについて、SSHORTによって示された前記第1のサンプルと、SLONGによって示された前記第2のサンプルとの合成を示し、nは、前記1回目と前記2回目との間の露光時間の差に依存するスカラ値を示し、M(i,j)は前記第2の可変重み付け係数を示す、 (F)重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを合成することは、重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを前記画像センサ上で合成することを含む、 (G)を備える、方法。 第2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載事項 当審拒絶理由に引用された引用文献1(特開2002-190983号公報)には、「画像合成回路」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ビデオカメラなどに用いられる画像合成回路に関するものである。 【0002】 【従来の技術】露光量の異なる画像を合成してダイナミックレンジの広い映像信号を得るための画像合成回路が従来よりいくつか提案されている。 【0003】 以下、従来の画像合成回路について図面を参照しながら説明する。従来の画像合成回路としては特開平7-75026号公報があげられる。図25は従来の画像合成回路の構成を示すブロック図である。 【0004】図25において、符号の101aは露光時間が長い長時間露光信号Slongの入力端子、101bは前記長時間露光信号Slongよりも露光時間が短い短時間露光信号Sshortの入力端子、102は短時間露光信号Sshortの信号レベルを長時間露光信号Slongの信号レベルまで増幅してレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を出力するゲイン調整手段としての増幅回路、103は長時間露光信号Slongに対してレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を合成するときの重み付け係数としての制御信号Kを長時間露光信号Slongに基づいて生成する制御信号生成手段、104は長時間露光信号Slongとレベル補正後の短時間露光信号Sshort2とを制御信号Kに基づいて合成し合成画像信号Smixとして出力する画像合成手段、105は合成画像信号Smixの出力端子である。 【0005】図26に長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの入射光量と信号レベルの関係を実線で示す。図26において、横軸は入射光量、縦軸は信号レベルである。長時間露光信号Slongは露光量の大きい信号であり、短時間露光信号Sshortは露光量の小さい信号である。長時間露光信号Slongは露光量が大きいため入射光量の小さい暗い被写体でも信号レベルは高くなるが、入射光量がある程度大きくなると信号レベルが飽和レベルSsatで飽和する。短時間露光信号Sshortは露光量が小さいため、入射光量が小さい暗い被写体では信号レベルは小さいが、入射光量が大きい明るい被写体でも信号が飽和しにくい。 【0006】 入力端子101bより入力された露光量の小さい短時間露光信号Sshortは、増幅回路102に入力され、長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの露光量の比に相当する増幅率で信号レベルの補正が行われ、レベル補正後の短時間露光信号Sshort2として出力される。図26にレベル補正後の短時間露光信号Sshort2の入射光量と信号レベルの関係を破線で示す。長時間露光信号Slongとレベル補正後の短時間露光信号Sshort2とは、長時間露光信号Slongが飽和する前の入射光量の小さい範囲では信号レベルが同じになっている(図では理解を助けるため、少しずらして描いてある)。 【0007】 制御信号生成手段103は長時間露光信号Slongを入力し、その長時間露光信号Slongの信号レベルに応じた制御信号Kを出力する。図26に、入力した長時間露光信号Slongと制御信号Kの関係を示す。制御信号Kは入力した長時間露光信号Slongが大きくなれば大きく、小さくなれば小さくなるように設定されている。 【0008】 画像合成手段104では、長時間露光信号Slongとレベル補正後の短時間露光信号Sshort2と制御信号Kを入力し、制御信号Kが0~1の範囲で大きい場合はレベル補正後の短時間露光信号Sshort2の重みを大きくし、制御信号Kが0~1の範囲で小さい場合には長時間露光信号Slongの重みを大きくするようにして、2つの入力信号を加重平均により合成することにより合成画像信号Smixを得ている。図26に合成画像信号Smixを太線で示す。 【0009】 入射光量が小さいP1の範囲では、制御信号Kは0であり、合成画像信号Smixとしては長時間露光信号Slongのみを使用し、レベル補正後の短時間露光信号Sshort2は使用しない。入射光量が大きいP3の範囲では、制御信号Kは1であり、合成画像信号Smixとしてはレベル補正後の短時間露光信号Sshort2のみを使用し、長時間露光信号Slongは使用しない。入射光量が中間のP2の範囲では、制御信号Kは0から1までの値を長時間露光信号Slongのレベルに応じて比例的に変化させるようになっており、レベル補正後の短時間露光信号Sshort2に制御信号Kを重み付け係数として乗算し、長時間露光信号Slongに(1-K)を乗算し、それらを加算したものを合成画像信号Smixとしている。すなわち、 Smix=Sshort2×K+Slong×(1-K) である。なお、この式で示す関係は、範囲P1でもP3でも当てはまる。ちなみに、範囲P1では、K=0であるので、Smix=Slongであり、範囲P3では、K=1であるので、Smix=Sshort2である。 【0010】 以上のような構成により、入射光量が小さい場合は長時間露光信号Slongを使用し、入射光量が大きい場合はレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を使用することになるので、暗い被写体では長時間露光信号Slongを使用し、信号量が大きいためS/Nが高く、また、明るい被写体ではレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を使用し、飽和しないダイナミックレンジの広い信号が得られる。」 「【0015】このように、上記のような構成では、撮像素子などで、長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortを露光期間が異なる2度の露光によって得るような場合で、その異なる露光期間の間に被写体が移動(ここで、移動というのは、被写体がカメラに対して移動する場合だけでなく、カメラが被写体に対して移動する場合や、カメラと被写体がともに移動する場合を含む。」 「【図25】 」 「【図26】 」 (2)引用文献1に記載された発明 段落【0004】、図25には、 「露光時間が長い長時間露光信号Slongの入力端子101a、前記長時間露光信号Slongよりも露光時間が短い短時間露光信号Sshortの入力端子101b、短時間露光信号Sshortの信号レベルを長時間露光信号Slongの信号レベルまで増幅してレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を出力するゲイン調整手段としての増幅回路102、長時間露光信号Slongに対してレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を合成するときの重み付け係数としての制御信号Kを長時間露光信号Slongに基づいて生成する制御信号生成手段103、長時間露光信号Slongとレベル補正後の短時間露光信号Sshort2とを制御信号Kに基づいて合成し合成画像信号Smixとして出力する画像合成手段104、合成画像信号Smixの出力端子105を備える画像合成回路」 が記載されている。 段落【0002】によると、画像合成回路は、露光量の異なる画像を合成してダイナミックレンジの広い映像信号を得るためのものである。 また、段落【0001】、【0015】によると、露光時間が長い長時間露光信号Slong、前記長時間露光信号Slongよりも露光時間が短い短時間露光信号Sshortは、撮像素子からの信号である。 さらに、段落【0004】における「増幅回路102」は、段落【0006】によると、「長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの露光量の比に相当する増幅率で信号レベルの補正が行われ」るものである。 段落【0009】によると、合成画像信号Smixは、次式で計算される。 Smix=Sshort2×K+Slong×(1-K) ここで、制御信号Kは、入射光量が小さい範囲では0であり、入射光量が大きい範囲では1であり、入射光量が中間の範囲では0から1までの値を長時間露光信号Slongのレベルに応じて比例的に変化させるものである。 以上の画像合成回路の動作を方法の発明(以下「引用発明」という。)として認定すると、次のとおりである。 (引用発明) (a)撮像素子からの露光時間が長い長時間露光信号Slongを入力し、 (b)撮像素子からの前記長時間露光信号Slongよりも露光時間が短い短時間露光信号Sshortを入力し、 (c)前記短時間露光信号Sshortの信号レベルを、長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの露光量の比に相当する増幅率で、前記長時間露光信号Slongの信号レベルまで増幅してレベル補正後の短時間露光信号Sshort2を生成し、 (d)合成画像信号Smixを次式により計算する、 Smix=Sshort2×K+Slong×(1-K) (d-1)ここで、Kは、制御信号であって、入射光量が小さい範囲では0であり、入射光量が大きい範囲では1であり、入射光量が中間の範囲では0から1までの値を長時間露光信号Slongのレベルに応じて比例的に変化させるものである、 (e)ダイナミックレンジの広い映像信号を得るための画像信号合成方法。 なお、(a)~(e)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」~「構成e」という。 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載事項 当審拒絶理由に引用された引用文献2(特開2008-277894号公報)には、「撮像装置、撮像方法および集積回路」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0001】 本発明は、撮像素子の駆動方法と信号処理の組み合わせにより、解像度の劣化がなく、動画に対応でき、ダイナミックレンジを拡大することができる撮像装置、撮像方法および集積回路に関するものである。」 「【0016】 第9の発明は、撮像部と、電荷蓄積時間設定部と、駆動部と、L/S分離部と、飽和検出部と、補正値算出部と、乗算部と、第1補間部と、第1選択部と、第2補間部と、差レベル検出部と、第1選択部と、第3補間部と、第2選択部と、L/S合成部と、を備える集積回路である。撮像部は、1画素毎に異なる電荷蓄積時間を設定することができる複数の画素により構成される撮像素子であって、画素から構成され第1電荷蓄積時間で電荷を蓄積する第1画素群と、画素から構成され第1電荷蓄積時間より長い時間である第2電荷蓄積時間で電荷を蓄積する第2画素群とを含む撮像素子を有し、被写体からの光を電気信号に変換することで映像信号を取得する。電荷蓄積時間設定部は、第1電荷蓄積時間および第2電荷蓄積時間を設定する。駆動部は、第1電荷蓄積時間および第2電荷蓄積時間に基づいて撮像部を駆動する。L/S分離部は、撮像部から出力される映像信号を、第1電荷蓄積時間により取得された映像信号であるshort信号と、第2電荷蓄積時間により取得された映像信号であるlong信号とに分離する。飽和検出部は、long信号の信号レベルを検出する。補正値算出部は、第1電荷蓄積時間と第2電荷蓄積時間とに基づいて、short信号の信号レベルをlong信号の信号レベルに補正するための補正値を算出する。乗算部は、補正値算出部により算出された補正値を、short信号に乗算することにより修正short信号を取得する。第1補間部は、修正short信号を内挿してlong信号と同タイミングの信号である補間long信号を取得する。第1選択部は、飽和検出部により、long信号の信号レベルが所定値以下であると判断された場合、long信号を選択し、飽和検出部により、long信号の信号レベルが所定値を超えると判断された場合、補間long信号を選択し、選択された信号を最終long信号として取得する。第2補間部は、long信号を内挿して修正short信号と同タイミングの信号である補間short信号を取得する。差レベル検出部は、修正short信号の信号レベルと補間short信号の信号レベルとの差を検出する。第1選択部は、飽和検出部により、long信号の信号レベルが所定値以下であると判断された場合、long信号を選択し、飽和検出部により、long信号の信号レベルが所定値を超えると判断された場合、補間long信号を選択し、選択された信号を最終long信号として取得する。第3補間部は、飽和検出部の出力を内挿してshort信号と同タイミングの飽和検出short信号を取得する。第2選択部は、飽和検出short信号により、long信号が所定レベルを超えていると判断された場合、修正short信号を選択し、飽和検出short信号により、long信号が所定レベルを超えていないと判断された場合であって、差レベル検出部により、修正short信号の信号レベルと補間short信号の信号レベルと差が所定値を超えていると判断されたときは、修正short信号を選択し、飽和検出short信号により、long信号が所定レベルを超えていないと判断された場合であって、差レベル検出部により、修正short信号の信号レベルと補間short信号の信号レベルと差が所定値を超えていないと判断されたときは、補間short信号を選択し、選択された信号を最終short信号として出力する。L/S合成部は、第1選択部から出力される最終long信号と第2選択部から出力される最終short信号とを順次切り替えることにより出力映像信号を生成する。 これにより、第1の発明と同様の効果を奏する集積回路を実現することができる。」 「【0028】 <撮像装置の動作> 以上のように構成された撮像装置100の動作について、図1から図3を用いて説明する。 図3は、図1に示した撮像装置100の各点(a点~l点)における信号波形を示したタイミングチャート図である。図3の縦軸は信号レベル、横軸は時間である。 まず、図2の撮像部1(CMOS型イメージセンサー)において、奇数列の画素についての電荷蓄積時間が長くなるように設定し、偶数列の画素についての電荷蓄積時間が短くなるように設定する。この設定は、第1垂直レジスタ・シャッター17および第2垂直レジスタ・シャッター18の設定により行われる。撮像部1において、第1垂直レジスタ・シャッター17、および第2垂直レジスタ・シャッター18により、画素ごとに異なる駆動が容易に行えるので、シャッター速度も画素ごとに設定できる。なお、このような画素ごとの制御は、撮像素子にCCDを用いた場合は困難である。 【0029】 奇数列の画素から取得された電荷蓄積時間の長い信号および偶数列の画素から取得された電荷蓄積時間の短い信号は、水平レジスタ19により、水平方向に並んだスイッチトランジスタ20がON状態とされることで、出力アンプ21を介して出力端子22へ出力される。この撮像部1(CMOS型イメージセンサー)の出力信号の一例を、図3(a)に示す。 図3において、最上段に記載している番号が奇数番号である部分の信号は、電荷蓄積時間の長いlong信号を示し、偶数番号である部分の信号は、電荷蓄積時間の短いshort信号を示す。撮像部1からの出力信号は、L/S分離部3により、long信号とshort信号とに分離される。図3(b)にL/S分離部3で分離されたlong信号を、図3(c)にL/S分離部3で分離されたshort信号を示す。 【0030】 L/S分離部3から出力されたshort信号は、乗算部6で、補正値算出部5により算出された補正係数(=(長い方の電荷蓄積時間)/(短い方の電荷蓄積時間))を乗算されることにより、修正short信号に変換される。図3(e)に修正short信号を示す。 次に、修正short信号は、第1補間部7で補間され、L/S分離部3から出力されるlong信号と同タイミングの信号に変換される。この変換された信号が補間long信号である。図3(f)にこの補間long信号を示す。なお、ここで、第1補間部7は、例えば、前後2つの修正short信号を平均した信号を生成し、その生成した信号のタイミングをlong信号と一致させることで、補間long信号を生成する。具体的には、図3の(2)の部分の修正short信号と(4)の部分の修正short信号とを加算平均した信号を生成し、その信号のタイミングを、(3)の部分のlong信号と一致させることで、補間long信号を作成する。なお、これ以外にも修正short信号を単にディレーさせて、long信号とタイミングを一致させることで生成した信号を、補間long信号としてもよい。 【0031】 第1選択部8により、L/S分離部3から出力されるlong信号および第1補間部7から出力される補間long信号が、飽和検出部4の検出結果(図3(d3)に示す信号がこれに相当。)に基づいて選択されることで、最終long信号が生成される。これについて、図3を用いて説明する。図3において、図3に点線で示した信号レベルを所定値として説明する。long信号が所定値を超えていない(1)、(3)、(5)、(7)、および(9)の部分においては、第1選択部8によりlong信号が選択され、long信号が最終long信号として出力される。long信号が所定値を超える(11)、(13)、および(15)の部分においては、第1選択部8により補間long信号が選択され、補間long信号が修正long信号として出力される。図3(g)に、この最終long信号を示す。 【0032】 次に、long信号は、第2補間部9で補間され、乗算部6から出力される修正short信号と同タイミングの信号に変換される。この変換された信号が補間short信号である。図3(h)にこの補間short信号を示す。なお、ここで、第2補間部9は、例えば、前後2つのlong信号を平均した信号を生成し、その生成した信号のタイミングを修正short信号と一致させることで、補間short信号を生成する。具体的には、図3の(1)の部分のlong信号と(3)の部分のlong信号とを加算平均した信号を生成し、その信号のタイミングを、(2)の部分の修正short信号と一致させることで、補間short信号を作成する。なお、これ以外にもlong信号を単にディレー(遅延)させて、修正short信号とタイミングを一致させることで生成した信号を、補間short信号としてもよい。 【0033】 修正short信号および補間shortは、差レベル検出部10および第2選択部12に入力される。 差レベル検出部10により、修正short信号の信号レベルと補間short信号の信号レベルと差が検出され、その差が所定値を超えているか否かが検出される。そして、差レベル検出部10での検出結果を示す信号が第2選択部12に出力される。 また、第3補間部により、飽和検出部4からの出力信号は、補間short信号および修正short信号のタイミングに一致するようにタイミング調整され、第2選択部12に出力される。第3補間部からの出力信号を図3(j)に示す。 第3補間部により、long信号が所定レベルを超えていると判断された場合、第2選択部12により、修正short信号が選択され、修正short信号が最終short信号として出力される。また、第3補間部により、long信号が所定レベルを超えていないと判断された場合であって、差レベル検出部10により、修正short信号の信号レベルと補間short信号の信号レベルと差が所定値を超えていると判断されたときは、第2選択部12により、修正short信号が選択され、修正short信号が最終short信号として出力される。そして、第3補間部により、long信号が所定レベルを超えていないと判断された場合であって、差レベル検出部10により、修正short信号の信号レベルと補間short信号の信号レベルと差が所定値を超えていないと判断されたときは、第2選択部12により、補間short信号が選択され、補間short信号が最終short信号として出力される。図3(i)に差レベル検出部10の出力信号を、図3(k)に最終short信号を、それぞれ示す。 【0034】 最後に、L/S合成部13により、最終short信号と最終long信号とを順次取り出すことで合成された信号が、映像信号として、L/S合成部13から出力される。図3(l)に、この映像信号を示す。図3(l)から分かるように、撮像部1からの出力信号では、信号レベルが飽和していた(11)、(13)および(15)の部分の信号も飽和することなく再現されており、広いダイナミックレンジが実現されている。つまり、この撮像装置100では、撮像部1のすべての画素の信号が飽和することなく再現されているので、解像度の高い映像信号を得ることができる。 また、本発明の撮像装置100では、電荷蓄積時間の長くS/N比の良いlong信号をできるだけ多く使用し、long信号を使用すると、撮像装置からの出力信号の品質が落ちる可能性がある部分のみをshort信号を使用するという処理を行っている。つまり、本発明の撮像装置100により取得される映像信号は、S/N比が良いものとなる。さらに、1フレーム(またはフィールド)期間内に激しい動きのある映像を、本発明の撮像装置100で処理する場合でも、ダイナミックレンジを拡大させる効果を維持しつつ、映像ブレの発生を効果的に抑制することできる。」 「【0036】 また、本発明の撮像装置100では、short信号のレベルを補正する構成としたが、long信号のレベルを補正する構成としても同様の効果が得られるのはいうまでもない。 [他の実施形態] なお、上記実施形態では、フレームを基準に処理する場合について説明したが、フィールドを基準に処理してもよい。 また、上記実施形態で説明した撮像装置において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。 なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。」 「【図1】 」 「【図2】 」 「【図3】 」 (2)引用文献2に記載された技術 段落【0001】、【0028】~【0034】によると、引用文献2には、次のとおりの技術(以下「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献2に記載された技術) 「撮像部の奇数列の画素から取得された電荷蓄積時間の長い信号および撮像部の偶数列の画素から取得された電荷蓄積時間の短い信号を用いて、ダイナミックレンジを拡大する技術」 3 周知技術 (1)引用文献3の記載事項 当審拒絶理由に引用された引用文献3(特開2006-287612号公報)には、「固体撮像装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 この発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、画質の低下を招くことなくダイナミックレンジを拡大できる固体撮像装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0004】 この発明の一態様に係る固体撮像装置は、光電変換手段と、入射光を前記光電変換手段で光電変換して得た電荷を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積した電荷を、電荷蓄積部を有する検出手段に読み出す読出し手段と、前記検出手段に読み出した電荷を増幅して出力する増幅手段と、前記検出手段をリセットするためのリセット手段とを備えたセルが半導体基板上に二次元的に配置された画素部と、前記増幅手段から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するように構成されたAD変換回路と、前記画素部及び前記AD変換回路を制御し、1フレームの電荷の蓄積期間における蓄積時間が異なる複数のアナログ信号を前記AD変換回路でAD変換させる制御回路と、前記AD変換回路から出力された前記蓄積時間が異なる複数のアナログ信号に対応するデジタル信号を加算するように構成された加算回路とを具備する。 【発明の効果】 【0005】 この発明によれば、画質の低下を招くことなくダイナミックレンジを拡大できる固体撮像装置が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 [第1の実施形態] 図1は、この発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置について説明するためのもので、増幅型CMOSイメージセンサの概略構成を示すブロック図である。センサコア部11には、画素部12、カラム型ノイズキャンセル(CDS)回路13、カラム型アナログデジタルコンバータ(ADC)14、ラッチ回路15、及び水平シフトレジスタ16などが配置されている。上記画素部12には、レンズ17を介して光が入射され、光電変換によって入射光量に応じた電荷が生成される。発生した電荷に対応するアナログ信号は、CDS13を介してADC14に供給され、デジタル信号に変換されてラッチ回路15にラッチされる。このラッチ回路15にラッチされたデジタル信号は、シフトレジスタ16により順次転送されて読み出される。上記シフトレジスタ16から読み出されたデジタル信号OUT0~OUT9は、ワイドダイナミックレンジミックス(WDM)回路18に供給される。」 「【0010】 上記WDM回路18は、切り替えスイッチ31、信号なしレベル(OBレベル)の64LSBを減算処理する減算回路32、この減算回路32の出力を増幅するゲイン(GAIN)回路33、判定回路34、スイッチ35、加算回路36、ラインメモリW37、及び20ビットの速度変換用ラインメモリ(ラインメモリOUT)38を備えて構成されている。ラッチ回路15から出力されるデジタル信号OUT0~OUT9がWDM回路18に入力されると、切り替えスイッチ31に蓄積時間が長いことを示す信号STLが入力されている時は、これらの信号OUT0~OUT9はラインメモリW37に入力される。 【0011】 一方、切り替えスイッチ31に蓄積時間が短いことを示す信号STSが入力されている時は、信号なしレベル(OBレベル)の64LSBを減算回路32で減算処理してゲイン回路33で増幅する。本実施形態では、蓄積時間が長い場合の信号OUT0~OUT9が1024LSBでクリップしているので、短い場合の信号OUT0~OUT9とスムーズに合成できる。 【0012】 上記ラインメモリW37の出力は、加算回路36と判定回路34へ入力される。判定回路34でラインメモリW37の出力が1023LSBで飽和していると判定された場合、スイッチ35をオンにして増幅した信号STSを加算回路36へ入力して信号STLと加算する。この加算結果はラインメモリOUT38へ入力して1/2の低速でセンサから出力する。」 「【0031】 上述したように、この発明の第1,第2の実施形態に係る固体撮像装置は、わずかなラインメモリ数とデジタル信号の増幅回路である乗算器と加算回路の2つの信号を加算する加算回路を設けることで、画質の低下を招くことなくダイナミックレンジを拡大できる。また、センサの出力信号はデジタル信号のため、ラインメモリで速度変換してセンサより出力することで従来と同等の出力信号周波数が得られる。更に、基準波形の振幅をVREFTLとVREFTSとで異ならせることで、信号STSのAD変換時にVREFTSの振幅を小さくしてアナログ的に増幅し、デジタル的なゲインを小さくすることで量子化誤差を低減できる。更にまた、ラインメモリW37の出力信号の判定がデジタル出力のため1023LSBを判定すれば良く、アナログ信号では所定のレベル以上で判定するため加算時の信号の連続性が悪い問題があったが、本実施形態では信号の連続性が改善できる。」 (2)引用文献4の記載事項 当審拒絶理由に引用された引用文献4(特表2010-520707号公報)には、「画像センサのダイナミックレンジを向上及び制御する方法及び装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0022】 一般的には、本発明は、最小合計センサ雑音(minimum aggregate sensor noise、全雑音源の区分求積和(quadrature sum):画素+アナログ信号チェーン+デジタイザ)に対する最大瞬時線形信号振幅(maximum instantaneous linear signal swing、エンドツーエンド信号パスによってサポートされる)の比によって定まるダイナミックレンジが、画像センサの典型的な実際の限界を超えて能動的に拡大された自己内蔵型(self-contained)のCMOS撮像システムオンチップである。A/D変換器のビット数をNとすると、ダイナミックレンジは、露出の設定に応じて、標準値(standard value)から最大の20×log(2N)dBまで強化される。実際には、本発明のダイナミックレンジ強化の目標は、12ビットの公称ダイナミックレンジ(nominal nominal dynamic range)が、信号処理能力を効果的に増加させ、雑音を減らすことによって、16ビットのダイナミックレンジに広がるように、通常、24dBとしている。 【0023】 本発明は、通常、その一般要求事項(general requirements)が低雑音センサベースの増幅と、オンチップのデジタル化及び信号処理能力とを含むものとして、多くの新たな撮像SoC製品(imaging SoC products)に適用することができる。最大の利点は、低雑音のオンチップのデジタル化によって達成され、センサの合計雑音(aggregate noise)は、画素雑音によって支配され、ビデオレートとは殆ど無関係であり、したがって、競合するCCD画像センサよりも優れている。本発明は、CMOSiSoCによって提供される高速処理能力をフルに活用する。列バッファからの多重化信号を、最終段のビデオバッファの直ぐ近くに配置された1つ又は比較的少ない数の高速A/D変換器でデジタル化することによって、iSoCセンサの性能が、CMOS画素の時間暗雑音(temporal noise floor)によってのみ制限されることを保証する。瞬時ダイナミックレンジが、A/D変換の誤差(inaccuracy)を含む全雑音に対するA/D変換器の入力における最大信号振幅(maximum signal swing)の比であるのに対し、ダイナミックレンジ強化後の全ダイナミックレンジは、主に、ダイナミックレンジの追加のビットを抽出するオンチップの混合信号処理回路(mixed-signal processing)の精度によって制限される。 【0024】 本発明の好ましい実施の形態では、A/D変換の前のアナログダイナミックレンジを最大にし、それによって、ダイナミックレンジ強化の効果を最大にする自動パターン雑音抑圧回路(automatic pattern noise suppression)を備える。また、タイミングスーパバイザ(timing supervisor)が、ビデオの各ラインの連続した読出及びリセットを含む画像操作を最適に制御するために用いられる。タイミングスーパバイザは、画素の各ラインを、少なくとも、名目上は期間の1つのラインである2回目の露出(second exposure)及びリセット期間(reset interval)を、途切れなくサポートすることによって、ダイナミックレンジ強化を制御する。最後に、CMOS撮像装置は、標準蓄積時間(standard integration epoch)に亘って形成された最初のNビットサンプルに、短い2回目の露出の間に形成されたNビットまでの第2のサンプルをデジタル的に混合する埋込信号処理回路(embedded signal processing)を備える。混合データ(combined data)は、ダイナミックレンジを、通常利用可能な普通のNビットレベルを超えて強化する。ダイナミックレンジを更に強化するために、更なるダイナミックレンジ露出(dynamic range exposure、以下、DREという。)を実行してもよい。」 「【0032】 図4は、本発明を適用した撮像装置の構成を示すブロック図である。撮像システムオンチップ(imaging system-on-chip、以下、iSoCという。)300は、画像センサ画素アレー302を備え、画像センサ画素アレー302の雑音は、iSoC300において支配的であり、したがって、先細のリセット(tapered reset)を3T及び5T画素実装に適用し、kTC雑音を抑圧することによって、あるいは4T画素を交互に用いることによって、最小にされる。先細のリセットの実装の場合、必要な補助回路は、引用により本明細書に援用される米国特許第6,493,030号及び米国特許第6,535,247号に開示されているように、列バッファ304及び水平タイミング制御回路802に含まれる。特定の画素実装に関わらず、列バッファ304は、画素信号を読み出し、相関二重サンプリングして固定パターン雑音を取り除き、雑音を最小にすると同時に、信号振幅を最大にするために、背景照明(scene illumination)に応じて増幅し、各列バッファ304で発生する電気的オフセットを、列毎に抑圧する。」 「【0034】 安定化ブロック700は、アナログ回路とデジタル回路の両方を含む混合信号システムオンチップ解決法(mixed-signal System-on-Chip solution)を有し、ダイナミックレンジ強化の前に、アナログ領域の残留雑音を最小にする。安定化ブロック700の安定化動作は、好ましい実装とともに、引用により本明細書に援用される米国特許出願番号未定、発明の名称「画像センサの黒レベルを安定化する装置及び方法(APPARATUS AND METHOD FOR STABILIZING IMAGE SENSOR BLACK LEVEL)」に開示されている。安定化ブロック700は、デジタル信号ストリームを、本発明のダイナミックレンジ強化(Dynamic Range Enrichment、以下、DREという。)ブロック100に供給し、DREブロック100は、DREサブブロック102のデジタル論理回路と、補助DREメモリ104とを備え、本発明の水平タイミング制御回路802によって取得された2つのサンプルを最適に加算する。DREブロック100は、続いて、拡張ビデオストリームを、デジタルプログラマブルゲイン段314に供給し、デジタルプログラマブルゲイン段314は、最終出力の利得を調整する。このデジタルプログラマブルゲイン段314は、例えば、2003年6月11日に出願された米国特許出願第10/460,014号、発明の名称「CMOS画像センサ用の高分解能を有するデジタルプログラマブルゲイン段(DIGITAL PROGRAMMABLE GAIN STAGE WITH HIGH RESOLUTION FOR CMOS IMAGE SENSORS)」に開示されており、引用により本願に援用される。デジタルデータストリームは、画像センサからI/Oポート600を介して出力される。 【0035】 ダイナミックレンジは、DREブロック100において、画素の各ラインの連続した2つのサンプルを用いて強化され、ここにおいて、各ラインは、典型的な画像センサにおいては、互いに10の係数から100の係数又は1000の係数だけ異なる2つの蓄積時間に生成される。なお、蓄積時間の比は、2の累乗で割り切れることが好ましい。CMOSiSoCにおけるオンチップ集積化及びライン毎の読出の内部特性を利用することによって、連続した画像処理サイクルにおいて、2つのサンプルを連続して生成し、ダイナミックレンジ強化は、最終結果を除いて、カメラの電子回路に対して透過的である。」 (3)周知技術 上記2(1)の段落【0001】、【0016】、【0036】及び上記(1)、(2)に記載されているように、画像センサ上にダイナミックレンジを拡大するための回路を設けることは周知技術である。 第3 対比 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)構成要件A、Bと構成a、bとを対比する。 構成aの「長時間露光信号Slong」、構成bの「短時間露光信号Sshort」は撮像素子からの信号であって、撮像素子の画素セルの信号であり、サンプリングすることにより得られることは明らかである。したがって、「短時間露光信号Sshort」、「長時間露光信号Slong」は、それぞれサンプルといえ、それぞれ「第1のサンプル」、「第2のサンプル」ともいえる。 構成aは長時間露光に関する構成であるから、構成要件Bに対応し、構成bは短時間露光に関する構成であるから構成要件Aに対応する。 (1-1)構成要件Aと構成bとを対比すると、「第1のサンプルを生成するため1回目に第1の露光時間で第1の画素セル信号をサンプリングすること」として共通する。 しかしながら、「第1の画素セル信号をサンプリングすること」が、構成要件Aにおいては、「画像センサの複数の偶数番号のラインまたは奇数番号のラインの」第1の画素セル信号をサンプリングすることであるのに対し、構成bにおいては、「画像センサの複数の偶数番号のラインまたは奇数番号のラインの」第1の画素セル信号をサンプリングすることと特定されていない点で相違する。 (1-2)構成要件Bと構成aとを対比すると、「第2のサンプルを生成するため2回目に前記第1の露光時間より長い第2の露光時間で第2の画素セル信号をサンプリングすること」として共通する。 しかしながら、「第2の画素セル信号をサンプリングすること」が、構成要件Bにおいては、「前記画像センサの前記複数の奇数番号のラインまたは偶数番号のラインのうちの他方の」第2の画素セル信号をサンプリングすることであるのに対し、構成aにおいては、「前記画像センサの前記複数の奇数番号のラインまたは偶数番号のラインのうちの他方の」第2の画素セル信号をサンプリングすることと特定されていない点で相違する。 (2)構成要件Cと構成c、d、d-1とを対比する。 構成cによると、「レベル補正後の短時間露光信号Sshort2」は、「第1のサンプル」に相当する「短時間露光信号Sshort」の信号レベルを、「長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの露光量の比に相当する増幅率で」増幅したものである。 構成dにおけるSshort2の係数Kは、Sshortに適用されているともいえる。 そして、構成d-1によると、Kは関数といえるから、「第1の関数」ともいえ、また、Kは、第1の可変重み付け係数ともいえる。 したがって、構成c、d、d-1におけるSshort2に係数Kを適用することは、「第1の関数に基づいて規定される第1の可変重み付け係数を前記第1のサンプルに適用すること」として、構成要件Cと一致する。 (3)構成要件Dと構成d、d-1とを対比する。 構成dにおけるSlongの係数「1-K」は、Slongに適用されているといえる。 Kは構成d-1によると関数であるから、構成dにおけるSlong(「第2のサンプル」に相当)の係数「1-K」も関数であって、「第2の関数」ともいえ、また、「1-K」は第2の可変重み係数といえる。 したがって、構成d、d-1におけるSlongに係数「1-K」を適用することは、「第2の関数に基づいて規定される第2の可変重み付け係数を前記第2のサンプルに適用すること」として、構成要件Dと一致する。 (4)構成要件Eと構成c、d、d-1とを対比する。 構成cによると、構成dにおけるSshort2は、「前記短時間露光信号Sshortの信号レベルを、長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの露光量の比に相当する増幅率で、前記長時間露光信号Slongの信号レベルまで増幅」したものであるから、「長時間露光信号Slongと短時間露光信号Sshortの露光量の比に相当する増幅率」は、構成要件Eにおける「前記1回目と前記2回目との間の露光時間の差に依存するスカラ値」、「n」に相当する。そして、構成dにおける「Sshort2」は、構成要件Eにおける「n*SSHORT(i,j)」に相当する。 構成dにおけるSmixは、構成要件EにおけるSCOMBINED(i,j)に相当し、構成dにおける「1-K」は、構成要件Eにおける「M(i,j)」に相当する。 したがって、構成要件Eと構成c、d、d-1とは、 「重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを次式に従って合成することと; SCOMBINED(i,j)=SLONG(i,j)*M(i,j)+n*SSHORT(i,j)*(1-M(i,j)) 但し、SCOMBINEDは、(i,j)に位置する画素セルについて、SSHORTによって示された前記第1のサンプルと、SLONGによって示された前記第2のサンプルとの合成を示し、nは、前記1回目と前記2回目との間の露光時間の差に依存するスカラ値を示し、M(i,j)は前記第2の可変重み付け係数を示す」 として一致する。 (5)構成要件Fについて 引用発明は、「重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを合成する」ものの、「前記画像センサ上で」合成すると特定されておらず、本願発明と相違する。 (6)構成要件Gと構成eとを対比すると、「方法」として一致する。 2 一致点、相違点 以上によると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。 なお、共通するものの相違点がある構成要件には、記号に「’」を付与した。 (一致点) (A’)第1のサンプルを生成するため1回目に第1の露光時間で第1の画素セル信号をサンプリングすることと; (B’)第2のサンプルを生成するため2回目に前記第1の露光時間より長い第2の露光時間で第2の画素セル信号をサンプリングすることと; (C)第1の関数に基づいて規定される第1の可変重み付け係数を前記第1のサンプルに適用することと; (D)第2の関数に基づいて規定される第2の可変重み付け係数を前記第2のサンプルに適用することと; (E)重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを次式に従って合成することと; SCOMBINED(i,j)=SLONG(i,j)*M(i,j)+n*SSHORT(i,j)*(1-M(i,j)) 但し、SCOMBINEDは、(i,j)に位置する画素セルについて、SSHORTによって示された前記第1のサンプルと、SLONGによって示された前記第2のサンプルとの合成を示し、nは、前記1回目と前記2回目との間の露光時間の差に依存するスカラ値を示し、M(i,j)は前記第2の可変重み付け係数を示す、 (G)を備える、方法。 (相違点1) 「第1の画像セル信号をサンプリングすること」における「第1の画像セル信号」が、本願発明においては、「画像センサの複数の偶数番号のラインまたは奇数番号のラインの第1の画像セル信号」であるのに対し、引用発明においては、「画像センサの複数の偶数番号のラインまたは奇数番号のラインの第1の画像セル信号」でなく、 「第2の画像セル信号をサンプリングすること」における「第2の画像セル信号」が、本願発明においては、「前記画像センサの前記複数の奇数番号のラインまたは偶数番号のラインのうちの他方の第2の画素セル信号」であるのに対し、引用発明においては、「前記画像センサの前記複数の奇数番号のラインまたは偶数番号のラインのうちの他方の第2の画素セル信号」でない点 (相違点2) 「重み付けられた前記第1のサンプルと重み付けられた前記第2のサンプルを合成する」ことが、本願発明においては、「前記画像センサ上で」合成するのに対し、引用発明においては、「前記画像センサ上で」合成すると特定していない点 第4 判断 各相違点について検討する。 1 相違点1について 引用発明は、撮像素子からの長時間露光信号Slongと、撮像素子からの短時間露光信号Sshortを用いて、ダイナミックレンジの広い映像信号を得るための方法である。 一方、引用発明と同じ、電荷蓄積時間の長い信号および短い信号を用いてダイナミックレンジを拡大する技術として、上記第2の2のとおり、引用文献2には、「撮像部の奇数列の画素から取得された電荷蓄積時間の長い信号および撮像部の偶数列の画素から取得された電荷蓄積時間の短い信号を用いて、ダイナミックレンジを拡大する技術」が記載されている。 引用文献2に記載された技術を、引用発明において、撮像素子から長時間および短時間の露光信号を得るための手法として採用することは、当業者にが容易に想到し得ることである。 したがって、引用発明において、引用文献2に記載された技術を採用し、撮像部の奇数列の画素から取得された電荷蓄積時間の長い信号および撮像部の偶数列の画素から取得された電荷蓄積時間の短い信号を用いて、ダイナミックレンジを拡大するようにすること、すなわち、「第1の画像セル信号」を「画像センサの複数の偶数番号のラインまたは奇数番号のラインの第1の画像セル信号」とし、「第2の画像セル信号」を「前記画像センサの前記複数の奇数番号のラインまたは偶数番号のラインのうちの他方の第2の画素セル信号」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 2 相違点2について 画像センサ上にダイナミックレンジを拡大するための回路を設けることは、上記第2の3のとおり周知技術であるから、引用発明に当該周知技術を適用し、引用発明において、画像センサ上で合成を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 3 効果 本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-004160

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