特許拒絶査定不服審判
2018-003953
遊技機
- 審判番号
- 2018-003953
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-077682外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月20日
- 審決日
- 2018年12月17日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社オリンピア
- 【請求人代理人】特許業務法人青海特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016- 77682号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月12日出願公開、特開2017-185113号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年4月7日の出願であって、平成29年7月4日に手続補正書が提出され、同年10月3日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し同年11月29日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年1月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年3月20日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成30年3月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年3月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含む補正であって、平成29年11月29日付け手続補正によって補正された本件補正前の請求項1に、
「スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段と、
複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段と、
を備え、
前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ、
前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり、
前記抽選テーブル同士は、前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され、
前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定することを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段と、
複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段と、
を備え、
前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ、
前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり、
前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく、前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され、
前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定することを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は、補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。
(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「抽選テーブル同士」について、「前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく」とする補正からなる。
2 本件補正の目的
(1)上記1(2)の補正事項は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面のうち、段落【0068】、【0098】ないし【0112】及び図9ないし図11の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「抽選テーブル同士」が「前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部」のもので「共通する当選領域において置数が等し」いものに限定するものである。
(2)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしGは、分説するため合議体が付した。
「A スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段と、
B 複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段と、
を備え、
C 前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ、
D 前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり、
E 前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく、前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され、
F 前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する
G ことを特徴とする遊技機。」
(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-125730号公報(平成20年6月5日出願公開、以下「引用例1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の遊技機について、図面を用いて具体的に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明の遊技機として、図柄を変動表示する3つの回転リールを備えた遊技機であって、コイン、メダルまたはトークンなどの他に、遊技者に付与されたカード等の遊技価値を用いて遊技することが可能な遊技機、いわゆるパチスロ遊技機を用いて説明する。また、以下の実施形態では、パチスロ遊技機を例に挙げて説明するが、本願発明の遊技機を限定するものではなく、パチンコ機やスロットマシンであってもよい。
【0016】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る遊技機の概観について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る遊技機1の斜視図である。
【0017】
遊技機1には、図1に示すように、リール3L、3C、3Rや後述の主制御回路60(図3参照)などを収容するキャビネット1aと、キャビネット1aに対して開閉可能に取り付けられる前面扉1bと、が設けられている。 ・・・略・・・
【0053】
スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6に対する遊技者の開始操作を検出し、単位遊技の開始を指令する開始信号をマイクロコンピュータ30に出力する。なお、本実施形態のスタートスイッチ6Sは、本発明の開始操作検出手段を構成する。
・・・略・・・
【0066】
また、スタートスイッチ6Sから開始信号が出力されると、乱数発生器36やサンプリング回路37により乱数値が抽出される。遊技機1では、乱数値が抽出されると、RAM33の乱数値記憶領域に記憶される。そして、乱数値記憶領域に記憶された乱数値に基づいて内部当籤役が決定される。」
(イ)「【0080】
次に、図5を参照して、後述する内部抽籤処理(図15参照)において用いられる内部抽籤テーブル決定テーブルについて説明する。なお、図5は、本実施形態における遊技機1の内部抽籤テーブル決定テーブルの例を示す図である。
【0081】
内部抽籤テーブル決定テーブルには、遊技状態毎に内部抽籤処理において内部当籤役を決定するために使用する内部抽籤テーブルと、抽籤回数が規定されている。具体的には、当該内部抽籤テーブル決定テーブルに基づいて、遊技状態が一般遊技状態である場合には、一般遊技状態用内部抽籤テーブルが使用されることが決定されるとともに抽籤回数としては「6」が決定され、遊技状態がMB遊技状態である場合には、MB遊技状態用内部抽籤テーブルが使用されることが決定されるとともに抽籤回数としては「2」が決定される。また、遊技状態がRB遊技状態である場合には、RB遊技状態用内部抽籤テーブルが使用されることが決定されるとともに抽籤回数としては「2」が決定され、遊技状態がSB遊技状態である場合には、SB遊技状態用内部抽籤テーブルが使用されることが決定されるとともに抽籤回数としては「7」が決定される。但し、遊技状態が一般遊技状態又はSB遊技状態である場合において、後述するBB1持越状態、BB2持越状態又はMB持越状態であるときには、内部抽籤処理において抽籤回数が「3」に更新される。
【0082】
次に、図6(1)~(4)を参照して、後述する内部抽籤処理(図15参照)において、内部当籤役を決定する際に使用する内部抽籤テーブルについて説明する。なお、図6(1)は、本実施形態における遊技機1の一般遊技状態用内部抽籤テーブルの例を示す図である。図6(2)は、本実施形態における遊技機1のRB遊技状態用内部抽籤テーブルの例を示す図である。図6(3)は、本実施形態における遊技機1のMB遊技状態用内部抽籤テーブルの例を示す図である。図6(4)は、本実施形態における遊技機1のSB遊技状態用内部抽籤テーブルの例を示す図である。
【0083】
一般遊技状態用内部抽籤テーブル、RB遊技状態用内部抽籤テーブル、MB遊技状態用内部抽籤テーブル及びSB遊技状態用内部抽籤テーブルの各内部抽籤テーブルは、何れの遊技状態であるかによって使い分けられる。
【0084】
内部抽籤テーブルには、当籤番号毎に抽籤値が規定されている。当籤番号は、内部抽籤テーブル毎に各役に対応しており、内部抽籤処理において内部当籤役を決定する際に用いられる番号である。また、抽籤値とは、後述する乱数値抽出処理において抽出される乱数値から減算する値である。具体的には、後述するように、メインCPU31は、「0~65535」の範囲から抽出された乱数値から抽籤値を減算し、その減算結果が負である場合に、当該抽籤値に対応する当籤番号を内部当籤役に対応する当籤番号として決定する。例えば、図6(1)の一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおいて、抽出した乱数値が「200」である場合、初めに、メインCPU31は、「200」から当籤番号「6」(MB)に対応する抽籤値「100」を減算する。減算結果は「200-100=100」であり、正である(すなわち、負ではない)。次いで、メインCPU31は、この減算後の値「100」から当籤番号「5」(BB2)に対応する抽籤値「150」を減算する。減算結果は「100-150=-50」であり、負である。したがって、メインCPU31は、内部当籤役として当籤番号「5」(BB2)を決定する。なお、メインCPU31は、乱数値から抽籤値を減算する際、より大きい当籤番号に対応する抽籤値から順に減算する。また、内部抽籤処理において、当籤番号「1」に対応する抽籤値まで減算した結果、負の値とならなかった場合には、内部抽籤に外れたこととなり、当籤番号として「0」が決定される。
【0085】
図6(1)に示すように、一般遊技状態用内部抽籤テーブルには、チェリー、ベル、リプレイ、BB1、BB2、MBに対応する当籤番号及び抽籤値が規定されている。一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」~「6」に対応する抽籤値の合計値は「18035」であることから、一般遊技状態用内部抽籤テーブルにより内部抽籤が行われる一般遊技状態においては、「18035/65536」の確率により何れかの役が内部当籤役に決定されることなる。また、後述するRT作動中フラグがオン(すなわち、RT作動状態)である場合には、当籤番号「3」(リプレイ)に対応する抽籤値が「8980」から「53000」に置換される。したがって、一般遊技状態であってRT作動状態である場合においては、「62055/65536」の確率により何れかの役が内部当籤役に決定されることなる。すなわち、遊技者は、RT作動状態である場合には、RT作動状態ではない場合と比較して、内部抽籤に外れる確率が低下するとともにリプレイが内部当籤役に決定される確率が増加することから、メダルの減少率を抑制することができる。なお、RT作動中フラグがオンである場合に、当籤番号「3」(リプレイ)に対応する抽籤値を「8980」から「53000」に置換した内部抽籤テーブルをRT作動状態用内部抽籤テーブルという。また、図6(1)においては、メダルの投入枚数が3枚である場合について規定している。
【0086】
図6(2)に示すように、RB遊技状態用内部抽籤テーブルには、リプレイ及び各種ボーナスに対応する当籤番号及び抽籤値が規定されていない。また、RB遊技状態用内部抽籤テーブルは、当籤番号「1」(チェリー)に対応する抽籤値を「655」と規定し、当籤番号「2」(ベル)に対応する抽籤値を「64880」と規定していることから、チェリー又はベルが内部当籤役に決定される確率は、「65535/65536」となっている。さらに、RB遊技状態においてメダルの投入枚数は1枚と規定されているとともに、メダルの投入枚数が1枚である場合にベルの成立によって払い出されるメダルの枚数が「15」枚(図8参照)と規定されていることから、RB遊技状態用内部抽籤テーブルが使用されるRB遊技状態においては、一般遊技状態用内部抽籤テーブルが使用される一般遊技状態と比較して、少ない単位遊技によって多くのメダルの払い出しが行われる。
【0087】
図6(3)に示すように、MB遊技状態用内部抽籤テーブルには、当籤番号「1」(チェリー及びベル)に対応する抽籤値として「62500」が規定されるとともに、当籤番号「2」(SB)に対応する抽籤値として「3036」が規定されている。したがって、MB遊技状態用内部抽籤テーブルにより内部抽籤が行われるMB遊技状態においては、「62500/65536」の確率によりチェリーとベルが同時に内部当籤役に決定され、また、「3036/65536」の確率によりSBが内部当籤役に決定される。したがって、遊技者は、「62500/65536」の確率により、チェリー又はベルの何れかを成立させることができる。また、抽籤値の合計値が「62500+3036=65536」であることから内部抽籤に外れることはない。なお、図6(3)においては、メダルの投入枚数が3枚である場合について規定している。
【0088】
図6(4)に示すように、SB遊技状態用内部抽籤テーブルは、一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対して、当籤番号「7」(SB)に対応する抽籤値を追加した構成となっている。また、SB遊技状態用内部抽籤テーブルは、RT作動中フラグがオンである場合には、当籤番号「3」(リプレイ)に対応する抽籤値が「8980」から「53000」に置換される。なお、図6(4)においては、メダルの投入枚数が3枚である場合について規定している。
【0089】
なお、本実施形態において各内部抽籤テーブルは、当籤番号に対応する抽籤値を規定しているが、当該抽籤値は、乱数値が抽出される範囲である「0~65535」に対する割合である。したがって、抽籤値に代えて、当籤番号に対応する乱数幅(例えば、「0~654」)を当籤範囲として規定することもできる。具体的には、乱数値が何れの当籤番号に対応する当籤範囲に含まれるかを判定することにより、内部当籤役を決定することができる。すなわち、各内部抽籤テーブルが抽籤値を規定することは、当籤範囲を規定することと同義である。」
(ウ)「【図6】
」
(エ)「【0114】
次に、図12~図20に示すフローチャートを参照して、主制御回路60のメインCPU31の制御動作について説明する。
・・・略・・・
【0120】
次に、メインCPU31は、スタートスイッチ6Sがオンされたと判別すると、内部当籤役を決定するための乱数値を抽出する(ステップS5)。具体的には、メインCPU31は、乱数発生器36とサンプリング回路37によって「0」~「65535」の範囲から乱数値を抽出し、抽出した乱数値をRAM33の乱数値記憶領域に記憶する。
・・・略・・・
【0122】
次に、メインCPU31は、後で図15を参照して説明する内部抽籤処理を行う(ステップS7)。この内部抽籤処理では、メインCPU31は、前述の内部抽籤テーブル決定テーブル(図5参照)、内部抽籤テーブル(図6参照)及び内部当籤役決定テーブル(図7参照)を参照して内部当籤役を決定する。
・・・略・・・
【0149】
次に、図15を参照して、内部抽籤処理について説明する。なお、図15は、本実施形態の主制御回路60で行われる内部抽籤処理のフローチャートを示す図である。
【0150】
初めに、メインCPU31は、内部抽籤テーブル決定テーブル(図5参照)を参照し、遊技状態に基づいて、内部抽籤テーブルの種別及び抽籤回数を決定する(ステップS61)。
【0151】
次に、メインCPU31は、持越役格納領域が、「00000000」であるか否かを判別する(ステップS62)。すなわち、メインCPU31は、BB1持越状態、BB2持越状態又はMB持越状態であるか否かを判別する。メインCPU31は、持越役格納領域が、「00000000」であると判別したとき、すなわち、BB1持越状態、BB2持越状態又はMB持越状態の何れの持越状態でもないと判別したときには、ステップS64の処理に移行する。
【0152】
一方、メインCPU31は、ステップS62の処理において、持越役格納領域が、「00000000」ではない、すなわち、BB1持越状態、BB2持越状態又はMB持越状態の何れかの持越状態であると判別したときには、抽籤回数を「3」に変更する(ステップS63)。メインCPU31は、抽籤回数を「3」に変更することにより、BB1持越状態、BB2持越状態又はMB持越状態であるにも拘わらず、後続の処理において再びBB1、BB2又はMBなどのボーナス役を内部当籤役に決定することを回避する。
【0153】
次に、メインCPU31は、ステップS62の処理において持越役格納領域が、「00000000」であると判別したとき、又は、ステップS63の処理において抽籤回数を「3」に変更したときには、次いで、抽籤回数と同じ値を当籤番号にセットする(ステップS64)。
【0154】
次に、メインCPU31は、決定した内部抽籤テーブル(図6参照)を参照し、当籤番号及び投入枚数カウンタに基づいて抽籤値を取得する(ステップS65)。次いで、メインCPU31は、乱数値から抽籤値を減算する(ステップS66)。
【0155】
次に、メインCPU31は、ステップS66の処理における減算処理の結果、桁かりが行われたか否か、すなわち、減算結果が負の値となったか否かを判別する(ステップS67)。このとき、メインCPU31は、桁かりが行われたと判別したときには、ステップS71の処理に移行する。一方、メインCPU31は、桁かりが行われていないと判別したときには、次いで、当籤番号から「1」を減算する(ステップS68)とともに、抽籤番号から「1」を減算する(ステップS69)。次いで、メインCPU31は、抽籤回数は「0」であるか否かを判別する(ステップS70)。
【0156】
メインCPU31は、ステップS70の処理において抽籤回数は「0」であると判別したときには、ステップS71の処理に移行する。一方、メインCPU31は、抽籤回数は「0」ではないと判別したときには、ステップS65の処理に移行する。この後、メインCPU31は、ステップS65からステップS69の処理(以下、「繰り返し処理」という)を、抽籤回数が「0」になるまで繰り返す。
【0157】
次に、メインCPU31は、ステップS67の処理において桁かりが行われたと判別したとき、又は、ステップS70の処理において抽籤回数は「0」であると判別したときには、内部当籤役決定テーブルを参照して、当籤番号に基づいて内部当籤役を決定し、内部当籤役格納領域を編集する(ステップS71)。具体的には、メインCPU31は、遊技状態に応じて、内部当籤役決定テーブルA又は内部当籤役決定テーブルBを選択し、当籤番号に対応する内部当籤役を示す2バイトのデータ(内部当籤役1及び内部当籤役2)に基づいて、内部当籤役1格納領域及び内部当籤役2格納領域を編集する。
【0158】
次に、メインCPU31は、内部当籤役2格納領域と持越役格納領域の論理和を、内部当籤役2格納領域と持越役格納領域に格納する(ステップS72)。この処理を終えると、メインCPU31は、内部抽籤処理を終了させる。
【0159】
メインCPU31は、内部抽籤処理を終了させると、図12のステップS8の処理に移行する。
【0160】
ここで、メインCPU31は、上記繰り返し処理を実行することにより、内部当籤役の抽籤を行っている。具体的には、メインCPU31は、抽出した乱数値から順次、抽籤値を減算していくことにより、桁かりが行われた際の当籤番号に対応する役を内部当籤役に決定する。また、内部当籤役としてBB1、BB2又はMBが決定された場合には、持越役格納領域の対応するビットに「1」をセットするために、ステップS72の処理を行う。
【0161】
また、メインCPU31は、減算処理を繰り返し行った結果、桁かりが行われなかった場合には、当籤番号が「0」の状態により繰り返し処理を終えることとなる。この場合、当該繰り返し処理において内部当籤役は決定されず、内部当籤役格納領域は「00000000」となるが、BB1持越状態、BB2持越状態又はMB持越状態であるときには、持越役格納領域の対応するビットに「1」がセットされている。メインCPU31は、このように内部抽籤に外れた場合であっても持越状態であるときには、内部当籤役2格納領域と持越役格納領域のビットパターンを同じビットパターンにするため、すなわち、持越役を内部当籤役とするためにステップS72の処理を行う。」
(オ)SB遊技状態用内部抽籤テーブルを示す図6(4)(上記(ウ))の記載及び「【0088】・・・・SB遊技状態用内部抽籤テーブルは、一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対して、当籤番号「7」(SB)に対応する抽籤値を追加した構成となっている。」(上記(イ))との記載からみて、SB遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」~「7」に対応する抽籤値の合計値は「21071」(=18035+3036(当籤番号「7」))であるといえる。
(カ)上記(ア)ないし(オ)からみて、引用例1には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしgについては本願補正発明のAないしGに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a スタートスイッチ6Sがオンされたと判別すると、内部当籤役を決定するための乱数値を「0」~「65535」の範囲から抽出し(【0120】)、
b 当籤番号毎に抽籤値が規定されている内部抽籤テーブルを用い、乱数値から順次抽籤値を減算し、その減算結果が負である場合に、当該抽籤値に対応する当籤番号を内部当籤役に対応する当籤番号として決定する(【0084】、【0160】)、
メインCPU31を備え、
c 内部抽籤テーブルは、何れの遊技状態であるかによって使い分けられる、一般遊技状態用内部抽籤テーブル、RB遊技状態用内部抽籤テーブル、MB遊技状態用内部抽籤テーブル及びSB遊技状態用内部抽籤テーブルを有し(【0083】)、
d 一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」~「6」に対応する抽籤値の合計値は「18035」(【0085】)、SB遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」~「7」に対応する抽籤値の合計値は「21071」であり(上記(オ))、
e、f SB遊技状態用内部抽籤テーブルは、一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対して、当籤番号「7」(SB)に対応する抽籤値を追加した構成となっており(【0088】)、抽出された乱数値から抽籤値を減算し、その減算結果が負である場合に、当該抽籤値に対応する当籤番号を内部当籤役に対応する当籤番号として決定するものであり、一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおいて、当籤番号「6」(MB)に対応する抽籤値を減算し、次いで、この減算後の値から当籤番号「5」(BB2)に対応する抽籤値を減算するというように、より大きい当籤番号に対応する抽籤値から順に減算して、当籤番号「1」に対応する抽籤値まで減算した結果、負の値とならなかった場合には、内部抽籤に外れたこととなる(【0084】)、
g 遊技機1(【0016】)。」(以下「引用発明1」という。)
イ 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-196348号公報(平成24年10月18日出願公開、以下「引用例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選テーブルを用いて遊技に関する抽選を実行する遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スロットマシンにおける各種の演出は、当選役の報知を行ったり、当選役への当選期待度を報知したり、また、ストップスイッチの操作態様に応じて遊技利益が異なる当選役に当選した場合に、遊技者にとって遊技利益が最も有利になる操作態様を報知(アシストタイム)したりする等、極めて重要な要素となっており、それに伴い、当選役の数や演出の種類は増加する傾向にある。
【0007】
通常、このような演出を決定するための抽選テーブルは、遊技の進行に応じて遷移する遊技状態毎に設けられるので、演出の種類が増えると、各遊技状態それぞれについて抽選テーブルの容量が増え、このような複数の抽選テーブルを保持するために膨大な記憶容量が必要となる。ここで、特許文献2の技術によっても記憶容量を低減することは可能であるが、その低減量は限られ、また、特許文献2の技術では、演出データテーブルを参照するために一旦置数検索データテーブルを検索しなくてはならず、処理が複雑になり時間がかかるといった問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、簡易な構成で、処理負荷が高くなるのを抑制しつつ、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、抽選テーブルの各遊技利益の配置を工夫し、複数の抽選テーブルを共通化(一本化)することで、処理負荷が高くなるのを抑制しつつ、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することが可能となる。」
(イ)「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理を説明する。
【0017】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための外観図であり、図2は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方で、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下方でメダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。」
(ウ)「【0036】
(主制御基板200のメイン処理)
図5は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
・・・略・・・
【0038】
(ステップS200)
次に、メインCPU200aは、メダル投入部124から規定数のメダルが投入されるか、あるいは規定数以上のクレジットが貯留されている状況でベットボタン126が操作されることにより、メダルのベットがなされ、スタートスイッチ128の操作待ち状態となる。そして、スタートスイッチ128の操作が検知されると、次のステップS300に処理が移される。
【0039】
(ステップS300)
次に、メインCPU200aは、乱数発生器256によって生成された第1内部抽選乱数に基づいて、複数設けられた当選役およびハズレのうちのいずれかを決定する内部抽選を行う。
【0040】
具体的に、スロットマシン100においては、遊技の進行に際して複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態および設定値に対応する複数の抽選テーブルがメインROM200bに格納されている。メインCPU200aは、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態と設定値とに応じて、対応する抽選テーブルを選択するとともに、選択した抽選テーブルに基づいて乱数が抽選テーブル内のいずれの当選役に対応するか判定する。
【0041】
ここで、各抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。また、各抽選テーブルにおける当選役の当選領域として、当選役が単独で抽出される単独当選領域と、複数の当選役が重複して抽出される重複当選領域とが存在する。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ライン上に揃った状態を表示(入賞)といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選という。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、次回の1遊技に際してメダルのベットが不要になる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより所定枚数のメダルの払い出しを受けることができるものである。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、遊技状態を、通常遊技状態からBB(ビッグボーナス)遊技状態に移行させることができる当選役である。
【0042】
なお、本実施形態においては、当選役の判定にあたり、遊技の進行にともなってメダルが減少するように小役の当選確率が設定された抽選テーブル(通常遊技状態用抽選テーブル)を用いる遊技状態を通常遊技状態とよぶ。これに対して、当選役の判定にあたり、メダルが増加するように小役の当選確率が設定された抽選テーブル(BB遊技状態用抽選テーブル)を用いる遊技状態をBB遊技状態とよぶ。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技上の利益について説明する。
・・・略・・・
【0054】
図7は、共通遊技状態用抽選テーブルを説明するための図である。このうち、図7(a)は、本実施形態における共通遊技状態用抽選テーブルであり、従来であれば、個別に設けられていた、例えば、図7(b)に示す通常遊技状態用抽選テーブル、図7(c)に示す内部中遊技状態用抽選テーブル、図7(d)に示すBB遊技状態用抽選テーブルといった抽選テーブル(軸)が共通化(一本化)されたものである。ここでは理解を容易にするため、まず、図7(b)~図7(d)に示す共通化前の各抽選テーブルを用いて当選領域と当選役との関係を説明する。
【0055】
図7(b)に示す通常遊技状態用抽選テーブルは、通常遊技状態において第1内部抽選乱数を判定する場合に用いられる。ここでは、第1内部抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域に区画されており、当選領域毎に当選役と、当選役が当選する数である当選数(置数)が対応付けられている。例えば、第1内部抽選乱数0~8999に相当する当選数9000の当選領域1には当選役「リプレイ」が対応付けられている。第1内部抽選乱数は0~65535まで設けられていることから、当選役「リプレイ」が内部当選する確率は9000/65536となる。同様に、第1内部抽選乱数9000~16999に相当する当選数8000の当選領域2には当選役「ベル」が対応付けられており、当選役「ベル」が内部当選する確率は、8000/65536となる。第1内部抽選乱数17000~17399に相当する当選数400の当選領域3には当選役「スイカ」が対応付けられており、当選役「スイカ」が内部当選する確率は、400/65536となる。第1内部抽選乱数17400~17499に相当する当選数100の当選領域4には当選役「BB」が単独で対応付けられており、当選役「BB」が単独で内部当選する確率は、100/65536となる。第1内部抽選乱数17500~17699に相当する当選数200の当選領域5には当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して対応付けられており、当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して内部当選する確率は、200/65536となる。このように、2以上の当選役が重複して内部当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるかについての停止条件が設定されている。また、第1内部抽選乱数17700~65535に相当する当選数47836の当選領域6には「ハズレ」が対応付けられている。
【0056】
ここで、重複当選(当選領域5)について説明する。第1内部抽選乱数が上記当選領域5に対応している場合、当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して当選し、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせと当選役「BB」に対応する図柄組み合わせのいずれの図柄組み合わせも有効ライン上に表示させることができる。ただし、小役とボーナス役とはいずれを優先的に停止するかが予め定められており、両当選役に対応する図柄組み合わせのいずれも有効ラインに表示可能な状態において、いずれの当選役に対応する図柄も有効ラインに停止することが可能なタイミングで遊技者の停止操作が為された場合、その優先停止制御に従って有効ライン上に表示される図柄組み合わせが決定される。
【0057】
このように、当選領域5に当選した場合、遊技者は、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせか当選役「BB」に対応する図柄組み合わせのいずれかを有効ラインに表示することができる。しかし、図6(b)に示したように、当選役「BB」の払出枚数が「0」であるのに対し当選役「スイカ」の払出枚数は「10」である。また、当選役「BB」は、内部当選フラグを次遊技に持ち越すことができ、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示することが可能であるのに対し、当選役「スイカ」は、内部当選フラグの次遊技への持ち越しはできない。したがって、遊技者は、当選領域5に当選している可能性がある場合、まず、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるように停止操作を行うことが想定される。
【0058】
ところで、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示された場合、その契機となる当選領域は、図7(b)に示すように、当選役「スイカ」が単独で当選する当選領域3と、当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して当選する当選領域5とがあり、いずれの当選領域が当選したかを容易に把握することはできないような停止制御が行われていたとする。したがって、当選役「スイカ」に当選した場合、遊技者は、1/3の確率で、さらに当選役「BB」にも当選していることを期待することができる。本実施形態では、当選役「スイカ」が当選している場合に当選役「BB」にも当選している可能性が高いことを報知する演出(「チャンス演出」)を行う。かかる演出については後ほど詳述する。
【0059】
図7(c)に示す内部中遊技状態用抽選テーブルは、内部中遊技状態において第1内部抽選乱数を判定する場合に用いられる。なお、内部中遊技状態は、BB内部当選フラグが持ち越される場合に設定され、当選役「BB」に入賞することにより終了する。この内部中遊技状態用抽選テーブルによれば、重ねてボーナス役に内部当選することがなく、また、当選役「リプレイ」の内部当選確率が、通常遊技状態用抽選テーブル(図7(b)参照)に比べて高く設定され、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示できない場合においてもメダルの新たな投入を抑えさせることができる。
【0060】
図7(d)に示すBB遊技状態用抽選テーブルは、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせに入賞して設定されるBB遊技状態において第1内部抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。このBB遊技状態用抽選テーブルによれば、重ねてボーナス役およびリプレイ役に内部当選することがなく、当選役「ベル」の内部当選確率が通常遊技状態用抽選テーブル(図7(b)参照)に比べて高く設定されている。
【0061】
本実施形態では、図7(a)に示す共通遊技状態用抽選テーブルのように、複数の抽選テーブルの共通化を図っている。かかる共通遊技状態用抽選テーブルには、図7(b)~図7(d)に示した各抽選テーブルにおいても対応付けられている当選役と当選数とに加え、抽選条件と参照順とが対応付けられている。例えば、遊技状態が通常遊技状態であった場合、抽選条件=通常遊技状態の列に示された参照順に、当選領域が参照され、その当選領域に対応付けられた当選数が順次累積され(当選総数)、累積された値と第1内部抽選乱数とが比較されて所定の条件を満たすと、その参照された当選領域の当選役が抽選結果として決定される。また、所定の条件を満たさないと、次の参照順の当選領域が参照される。こうして、第1内部抽選乱数に対応する当選役が決定されることとなる。
【0062】
したがって、共通遊技状態用抽選テーブルにおける当選領域(当選役)に対応付けられた当選数の総数(ここでは、178536)は、第1内部抽選乱数の所定の数値範囲(ここでは、65536)より大きくなり、また、通常遊技状態、内部中遊技状態、BB遊技状態のうち、任意の抽選条件に基づいて抽選され得る複数の当選領域(例えば、当選領域1、4、6~11)と他の抽選条件に基づいて抽選され得る当選領域(例えば、当選領域1、2、4、6、9、10)とは、少なくとも一部(例えば、当選領域1、4、6、9、10)が重複し、他の一部(当選領域2、7、8、11)が異なることとなる。共通遊技状態用抽選テーブルを用いた抽選処理は後ほど詳述する。
【0063】
このように、図5のステップS300の抽選処理においては、設定されている遊技状態に対応する抽選テーブルを決定するとともに、当該決定した抽選テーブルに基づいて取得した第1内部抽選乱数を判定することにより、いずれかの当選役またはハズレを決定することとなる。」
(エ)「【図7】
」
(オ)「【0087】
図9は、上記ステップS300の抽選処理の詳細を示す図である。
【0088】
(ステップS301)
上記のようにしてベット処理が終了すると、まず、メインCPU200aは、図7(a)に示す共通遊技状態用抽選テーブルをセットする。
【0089】
(ステップS302)
次に、メインCPU200aは、乱数発生器256によって更新された第1内部抽選乱数を抽出し、メインRAM200cの処理領域に記憶し、ステップS350に処理を移す。かかる第1内部抽選乱数の判定処理S350についてはサブルーチンとして後述する。
【0090】
(ステップS303)
ステップS350に示す第1内部抽選乱数の判定処理が完了すると、メインCPU200aは、上記ステップS350の判定結果に基づいて、内部当選フラグを設定する。例えば、上記ステップS350において、当選役「ベル」に当選していると判定された場合には当選役「ベル」に内部当選していることを示す内部当選フラグをONし、当選役「BB」に内部当選していると判定された場合には当選役「BB」に内部当選していることを示すBB内部当選フラグをONする。
【0091】
(ステップS304)
次に、メインCPU200aは、当該抽選処理における抽選結果を示すコマンドを副制御基板202に送信する抽選結果コマンド送信処理を行って、当該抽選処理を終了する。ここでは、いずれかの当選役に内部当選した場合には、その当選役に対応するコマンドが送信され、抽選結果がハズレであった場合には、ハズレに対応するコマンドが送信される。
【0092】
(ステップS350)
また、メインCPU200aは、セットされた共通遊技状態用抽選テーブルに基づいて、抽出した第1内部抽選乱数を判定する。この第1内部抽選乱数の判定処理について、図10を用いて説明する。
【0093】
(ステップS351)
まず、メインCPU200aは、現在の遊技状態がBB遊技状態であることを示すBB遊技フラグがON(成立)しているかを判定する。その結果、BB遊技フラグがONしていると判定した場合にはステップS352に処理を移し、BB遊技フラグはONしていないと判定した場合にはステップS353に処理を移す。
【0094】
(ステップS352)
上記ステップS351において、BB遊技フラグがONしていると判定した場合には、メインCPU200aは、共通遊技状態用抽選テーブルの抽選条件として「BB遊技状態」をセットして、ステップS356に処理を移す。
【0095】
(ステップS353)
一方、上記ステップS351において、BB遊技フラグはONしていないと判定した場合には、メインCPU200aは、現在の遊技状態が内部中遊技状態であることを示すBB内部当選フラグがON(成立)しているかを判定する。その結果、BB内部当選フラグがONしていると判定した場合にはステップS354に処理を移し、BB内部当選フラグはONしていないと判定した場合にはステップS355に処理を移す。
【0096】
(ステップS354)
上記ステップS353において、BB内部当選フラグがONしていると判定した場合には、メインCPU200aは、共通遊技状態用抽選テーブルの抽選条件として「内部中遊技状態」をセットして、ステップS356に処理を移す。
【0097】
(ステップS355)
一方、上記ステップS353において、BB内部当選フラグはONしていないと判定した場合には、メインCPU200aは、共通遊技状態用抽選テーブルの抽選条件として「通常遊技状態」をセットして、ステップS356に処理を移す。
【0098】
(ステップS356)
次に、メインCPU200aは、参照順カウンタに記憶されている参照順を「1」にセットするとともに、当選総数カウンタに記憶されている当選総数を「0」にセットする。ここで参照順カウンタは、第1内部抽選乱数に対応する当選領域を判定するために当選領域を参照する順が記憶されるものであり、当選総数カウンタは、参照された当選領域に対応付けられた当選数の合計である当選総数が記憶されるものである。
【0099】
(ステップS357)
続いて、メインCPU200aは、図7(a)に示した共通遊技状態用抽選テーブルを用い、上記ステップS352、ステップS354、ステップS355でセットされた抽選条件と、参照順カウンタに記憶されている参照順に従って1の当選領域を特定し、その当選領域に対応付けられた当選数を取得する。
【0100】
(ステップS358)
次に、メインCPU200aは、当選総数カウンタに記憶されている値に、新たに取得された当選数を加算した値を当選総数カウンタに記憶する。
【0101】
(ステップS359)
続いて、メインCPU200aは、ステップS302で抽出された第1内部抽選乱数が、当選総数カウンタに記憶された当選総数未満であるか判定する。その結果、第1内部抽選乱数が当選総数未満であると判定した場合にはステップS361に処理を移し、第1内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合にはステップS360に処理を移す。
【0102】
(ステップS360)
上記ステップS359において、第1内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合には、メインCPU200aは、参照順カウンタに記憶されている値に「1」を加算した値を、新たに参照順カウンタに記憶し、新たな参照順でステップS357からステップS359までの処理を繰り返す。
【0103】
(ステップS361)
上記ステップS359において、第1内部抽選乱数が当選総数未満であると判定した判定した場合には、メインCPU200aは、ステップS357で特定された当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果として決定し、当該第1内部抽選乱数の判定処理を終了する。
【0104】
このような第1内部抽選乱数の判定処理の流れを、図7(a)の共通遊技状態用抽選テーブルを用いて具体的に説明する。例えば、第1内部抽選乱数として「17211」が抽出され、抽選条件が「通常遊技状態」に、参照順が「1」に、当選総数が「0」にセットされたとする。まず、メインCPU200aは、抽選条件「通常遊技状態」における参照順「1」に対応した当選領域1の当選数「9000」を取得する。そして、メインCPU200aは、第1内部抽選乱数「17211」と、当選総数「0」に当選数「9000」を加算した新たな当選総数「9000」とを比較し、第1内部抽選乱数「17211」≧当選総数「9000」であると判定して、参照順カウンタを「2」に更新する。
【0105】
続いて、メインCPU200aは、抽選条件「通常遊技状態」における参照順「2」に対応した当選領域4の当選数「8000」を取得する。そして、メインCPU200aは、第1内部抽選乱数「17211」と、当選総数「9000」に当選数「8000」を加算した新たな当選総数「17000」とを比較し、第1内部抽選乱数「17211」≧当選総数「17000」であると判定して、参照順カウンタを「3」に更新する。
【0106】
次に、メインCPU200aは、抽選条件「通常遊技状態」における参照順「3」に対応した当選領域6の当選数「400」を取得する。そして、メインCPU200aは、第1内部抽選乱数「17211」と、当選総数「17000」に当選数「400」を加算した新たな当選総数「17400」とを比較する。ここでは、第1内部抽選乱数「17211」<当選総数「17400」となるため、メインCPU200aは、当該当選領域6に対応付けられた当選役「スイカ」を抽選結果として決定する。」
(カ)「【0171】
また、上記実施形態の第1内部抽選乱数の判定処理S350や抽選結果コマンド受信処理S1002aにおいて、第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数の抽選結果を導き出す際、対応する当選領域から当選数を取得し、その当選数を当選総数として積算し、その積算した当選総数と第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数とを比較する構成を述べたが、かかる場合に限られず、第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数から、対応する当選領域の当選数分だけ減算し、減算した値が0未満となったことをもってその当選領域を抽選結果としたり、予め当選領域に第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数の範囲を対応付けておき、第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数がどの範囲に含まれるかといった単純比較によって当選領域を特定する等、様々な導出方法によって抽選結果を導き出すことができる。」
(キ)共通遊技状態用抽選テーブルを示す図7(上記(エ))の記載から、共通遊技状態用抽選テーブルの当選領域1ないし11のうち、通常遊技状態では、当選領域1、4、6ないし11が順に参照され、内部中遊技状態では、当選領域1、2、4、6、9及び10が順に参照され、BB遊技状態では、当選領域4ないし6及び9が順に参照されるものであり、当選領域1は、通常遊技状態及び内部中遊技状態で参照され、当選領域2は、内部中遊技状態で参照され、当選領域4、6及び9は、通常遊技状態又は内部中遊技状態とBB遊技状態とで共通して参照されるように、当選領域1ないし11が配置され、当選領域9ないし11の当選役がハズレであることが看取できる。
(ク)上記(ア)ないし(キ)からみて、引用例2には、次の発明が記載されている。なお、aないしgについては本願補正発明のAないしGに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a スタートスイッチ128の操作が検知されると、乱数発生器256によって更新された第1内部抽選乱数を抽出し(【0038】、【0039】、【0089】)、
b 第1内部抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域に区画されており、当選領域毎に当選役と、当選役が当選する数である当選数(置数)が対応付けられている通常遊技状態用抽選テーブル、内部中遊技状態用抽選テーブル及びBB遊技状態用抽選テーブルの複数の抽選テーブルの共通化を図った共通遊技状態用抽選テーブルには、抽選条件と参照順とが対応付けられ、前記参照順に、当選領域が参照され、その当選領域に対応付けられた当選数が順次累積され、累積された値と第1内部抽選乱数とが比較されて所定の条件を満たすと、その参照された当選領域の当選役を抽選結果として決定する(【0055】、【0059】ないし【0061】、【0106】)、
メインCPU200aを備え、
c 共通遊技状態用抽選テーブルは、通常遊技状態、内部中遊技状態及びBB遊技状態のうち、任意の抽選条件に基づいて抽選され得る複数の当選領域と他の抽選条件に基づいて抽選され得る当選領域とを有し(【0062】)、
e、f 共通遊技状態用抽選テーブルの当選領域1ないし11のうち、通常遊技状態では、当選領域1、4、6ないし11が順に参照され、内部中遊技状態では、当選領域1、2、4、6、9及び10が順に参照され、BB遊技状態では、当選領域4ないし6及び9が順に参照されるものであり、当選領域1は、通常遊技状態及び内部中遊技状態で参照され、当選領域2は、内部中遊技状態で参照され、当選領域4、6及び9は、通常遊技状態又は内部中遊技状態とBB遊技状態とで共通して参照されるように、当選領域1ないし11が配置され、当選領域9ないし11の当選役がハズレである(上記(キ))、
g スロットマシン100(【0017】)。」(以下「引用発明2」という。)
(3)引用例1に基づく新規性(特許法第29条第1項第3号)について
ア 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、以下の見出し(a)~(g)は、本願補正発明のAないしGに対応させている。
(a)引用発明1の「スタートスイッチ6S」、「オン」、「乱数値」及び「「0」~「65535」の範囲」は、それぞれ、本願補正発明の「スタートスイッチ」、「操作」、「乱数」及び「所定の総数の範囲」に相当する。そして、引用発明1のメインCPU31は、「スタートスイッチ6S」(スタートスイッチ)が「オン」(操作)されたと判別すると、内部当籤役を決定するための「乱数値」(乱数)を「「0」~「65535」の範囲」(所定の総数の範囲)から抽出するのである。そうすると、引用発明1の「メインCPU31」は、本願補正発明の「A スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段」に相当する手段を備えるものである。
(b)引用発明1の「当籤番号」、「抽籤値」及び「内部抽籤テーブル」は、それぞれ本願補正発明の「当選領域」、「置数」及び「抽選テーブル」に相当する。そして、引用発明1の「内部抽籤テーブル」(抽選テーブル)は、「当籤番号」(当選領域)が、それ「毎」に「抽籤値」(置数)を規定しているのであるから、本願補正発明のように「複数の当選領域が対応付けられた」ものであるといえる。また、引用発明1の「メインCPU31」は、「乱数値」(乱数)から順次「抽籤値」(置数)を減算し、その減算結果が負である場合に、当該「抽籤値」(置数)に対応する「当籤番号」(当選領域)を内部当籤役に対応する「当籤番号」として決定するものであり、言い換えれば、予め定められた順に「抽籤値」(置数)を参照して前記「抽籤値」の範囲に「乱数値」(乱数)が含まれるか否か判定し、前記「乱数値」(乱数)に対応する「当籤番号」(当選領域)を決定しているものといえる。そうすると、引用発明1の「メインCPU31」は、本願補正発明の「B 複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段」に相当する手段を備えるものである。
(c)引用発明1の「内部抽籤テーブル」(抽選テーブル)は、何れの遊技状態であるかによって使い分けられる、一般遊技状態用内部抽籤テーブル、RB遊技状態用内部抽籤テーブル、MB遊技状態用内部抽籤テーブル及びSB遊技状態用内部抽籤テーブルを有するものであり、各内部抽籤テーブルの遊技利益は相互に異なることは明らかである。そうすると、引用発明1の特定事項cは、本願補正発明の「C 前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ」との特定事項に相当する。
(d)引用発明1において、各内部抽籤テーブルのうち、一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」ないし「6」に対応する抽籤値の合計値は「18035」で、SB遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」ないし「7」に対応する抽籤値の合計値は「21071」であり、いずれも、乱数値が抽出される「0」ないし「65535」の範囲の総数である65536未満である。そうすると、引用発明1の特定事項dは、本願補正発明の「D 前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり」との特定事項に相当する。
(e)引用発明1において、各内部抽籤テーブルのうち、SB遊技状態用内部抽籤テーブルは、一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」ないし「6」に対して、当籤番号「7」に対応する抽籤値を追加した構成となっているから、当籤番号「1」ないし「6」は、一般遊技状態用内部抽籤テーブル及びSB遊技状態用内部抽籤テーブルで、共通する当籤番号(当選領域)であるといえ、それぞれ抽籤値(置数)も等しくなっているといえる。そして、引用発明1は、より大きい当籤番号(当選領域)に対応する抽籤値(置数)から順に減算しているから、一般遊技状態では、当籤番号「6」ないし「1」の順に参照され、SB遊技状態では、当籤番号「7」ないし「1」の順に参照されるものである。そうすると、当籤番号「7」は、SB遊技状態でのみ参照されるように、当籤番号「6」ないし「1」は、一般遊技状態及びSB遊技状態(複数の遊技状態)で共通して参照されるように、各当籤番号(当選領域)が配置されているといえる。そうしてみると、引用発明1の特定事項e、fは、本願補正発明の「E 前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく、前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され」との特定事項を備える。
(f)上記(e)で示したように、引用発明1は、一般遊技状態では、当籤番号「6」ないし「1」の順に参照され、SB遊技状態では、当籤番号「7」ないし「1」の順に参照されるものであるから、本願補正発明のように「複数の抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始」するものといえる。また、引用発明1は、内部抽籤テーブル(抽選テーブル)のより大きい当籤番号に対応する抽籤値から順に減算して、当籤番号「1」に対応する抽籤値まで減算した結果、負の値とならなかった場合には、内部抽籤に外れとするから、本願補正発明のように「前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する」ものといえる。そしてまた、上記(b)からみて、引用発明1の特定事項e、fは、メインCPU11(当選領域決定手段)が行っていることが明らかである。そうすると、引用発明1の特定事項e、fは、本願補正発明の「F 前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する」との特定事項を備える。
(g)引用発明1の「遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
上記(a)~(g)からみて、本願補正発明と引用発明1とは、
「A スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段と、
B 複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段と、
を備え、
C 前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ、
D 前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり、
E 前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく、前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され、
F 前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する
G 遊技機。」である点で一致し、相違するところはない。
したがって、本願補正発明は、引用発明1と同一であり、引用例1に記載された発明である。
(4)引用例2に基づく進歩性(特許法第29条第2項)について
ア 対比
本願補正発明と引用発明2とを対比する。なお、以下の見出し(a)~(g)は、本願補正発明のAないしGに対応させている。
(a)引用発明2の「スタートスイッチ128」、「操作」、「第1内部抽選乱数」及び「総数(65536)」は、それぞれ、本願補正発明の「スタートスイッチ」、「操作」、「乱数」及び「所定の総数の範囲」に相当する。そして、引用発明2のメインCPU200aは、「スタートスイッチ128」(スタートスイッチ)の「操作」(操作)が検知されると、「第1内部抽選乱数」(乱数)を「総数(65536)」(所定の総数の範囲)から抽出するのである。そうすると、引用発明2の「メインCPU200a」は、本願補正発明の「A スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段」に相当する手段を備えるものである。
(b)引用発明2の「当選領域」、「『通常遊技状態用抽選テーブル』、『内部中遊技状態用抽選テーブル』、『BB遊技状態用抽選テーブル』又は『共通遊技状態用抽選テーブル』」及び「当選数(置数)」は、それぞれ、本願補正発明の「当選領域」、「抽選テーブル」及び「置数」に相当する。そして、引用発明2のメインCPU200aは、複数の当選領域に区画されており、当選領域毎に当選役と、当選役が当選する数である当選数(置数)と、参照順が対応付けられている「共通遊技状態用抽選テーブル」(抽選テーブル)において、前記参照順に、「当選領域」(当選領域)が参照され、その「当選領域」(当選領域)に対応付けられた「当選数」(置数)が順次累積され、累積された値と「第1内部抽選乱数」(乱数)とが比較されて所定の条件を満たすと、その参照された「当選領域」(当選領域)の当選役を抽選結果として決定するものである。そうすると、引用発明2の「メインCPU200a」は、本願補正発明の「B 複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段」に相当する手段を備えるものである。
(c)引用発明2の「共通遊技状態用抽選テーブル」は、通常遊技状態用抽選テーブル、内部中遊技状態用抽選テーブル及びBB遊技状態用抽選テーブルの複数の抽選テーブルの共通化を図ったものであり、遊技利益を互いに異にする通常遊技状態、内部中遊技状態及びBB遊技状態のうち、任意の抽選条件に基づいて抽選され得る複数の当選領域と他の抽選条件に基づいて抽選され得る当選領域とを有するものである。そうすると、引用発明2は、本願補正発明の「C 前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ」との特定事項を備えるものである。
(e)引用発明2の「共通遊技状態用抽選テーブル」は、通常遊技状態用抽選テーブル、内部中遊技状態用抽選テーブル及びBB遊技状態用抽選テーブルの複数の抽選テーブルの共通化を図ったものであるところ、複数の遊技状態それぞれに対応した抽選テーブルを実質的に備えているといえる。そして、引用発明2において、当選領域4、6及び9は、通常遊技状態又は内部中遊技状態とBB遊技状態とで共通して参照されるものであり、置数もそれぞれ等しいことは明らかである。そうすると、引用発明2の特定事項e、fと、本願補正発明の「E 前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく、前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され」ることとは、「E’前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等し」い点で一致する。
(f)引用発明2は、共通遊技状態用抽選テーブルにおいて、当選領域9ないし11の当選役がハズレであり、当選領域9ないし11のいずれかが抽選結果となったとき、ハズレ(不当選)とするものである。そうすると、引用発明2の特定事項e、fと、本願補正発明の「F 前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する」こととは、「F’前記当選領域決定手段は、不当選を決定する」点で一致する。
(g)引用発明2の「スロットマシン100」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
上記(a)~(g)からみて、本願補正発明と引用発明2とは、
「A スタートスイッチの操作に応じて、所定の総数の範囲から乱数を取得する乱数取得手段と、
B 複数の当選領域が対応付けられた抽選テーブルにおいて、予め定められた順に前記当選領域の当選範囲を示す数値である置数を参照して前記置数の範囲に前記乱数が含まれるか否か判定し、前記乱数に対応する当選領域を決定する当選領域決定手段と、
を備え、
C 前記抽選テーブルは、遊技利益を異にする複数の遊技状態それぞれに対応して設けられ、
E’前記複数の遊技状態それぞれに対応する前記抽選テーブルのうち、少なくとも一部の前記抽選テーブル同士は、共通する当選領域において置数が等しく、
F’前記当選領域決定手段は、不当選を決定する
G 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点1(特定事項D)
本願補正発明では、「前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であ」るのに対し、
引用発明2では、共通遊技状態用抽選テーブルにおいて、第1内部抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域に区画されており、当選領域全ての置数の合計は総数未満ではない点。
・相違点2(特定事項E)
「少なくとも一部の前記抽選テーブル同士」の「当選領域」の「配置」に関し、
本願補正発明では、「前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され」ているのに対し、
引用発明2では、そのように配置されているかどうかが明らかでない点。
・相違点3(特定事項F)
「前記当選領域決定手段」は、
本願補正発明では、「複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する」のに対し、
引用発明2では、共通遊技状態用抽選テーブルにおいて、当選領域9ないし11の当選役がハズレであり、異なる当選領域から参照を開始するものの、置数の範囲のいずれにも乱数が含まれていなければハズレ(不当選)を決定するものではない点。
イ 判断
以下、上記相違点について検討する。
(ア)相違点1及び3について
事案に鑑み、相違点1及び3をまとめて検討する。
a 上記(3)ア(d)及び(f)で、本願補正発明と引用発明1との対比として示したように、引用発明1は、上記相違点1に係る本願補正発明の「D 前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり」との特定事項、上記相違点3に係る本願補正発明の「F 前記当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する」との特定事項を備えるものである。
b 引用発明1と引用発明2とは、いずれも遊技機に関するもので共通する技術分野に属するものであり、引用発明2と同じ遊技機に関する引用発明1に接した当業者であれば、引用発明1の特定事項の一部を引用発明2に適用しようと試みようとするものである。具体的には、引用発明2は、共通遊技状態用抽選テーブルにおける参照順としては一番最後の当選領域9ないし11の当選役をハズレとするものであり、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することを課題とするもの(引用例2の【0008】等参照。)である。そうしてみると、引用発明2において、抽選テーブルの記憶容量を低減するために、当選領域9ないし11を存在させずに、引用発明1が備える「当選領域決定手段は、複数の前記抽選テーブルそれぞれにおいて、異なる当選領域から参照を開始し、前記複数の当選領域に対応付けられた置数の範囲のいずれにも前記乱数が含まれていなければ、不当選を決定する」との特定事項を適用して上記相違点3に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者にとって格別困難なことではない。
c 上記bのようになした際に、引用発明2は、自ずと引用発明1が備える「前記複数の遊技状態それぞれに対応する抽選テーブルのうち、少なくとも1の抽選テーブルに対応付けられた当選領域全ての置数の合計は前記総数未満であり」との特定事項も採用することとなるから、引用発明2において、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が引用発明1に基づいて適宜なし得たことである。
(イ)相違点2について
a 引用発明2の共通遊技状態用抽選テーブルにおいて、当選領域1は、通常遊技状態及び内部中遊技状態で参照され、当選領域2は、内部中遊技状態で参照され、当選領域4、6及び9は、通常遊技状態又は内部中遊技状態とBB遊技状態とで共通して参照され、当選領域5は、BB遊技状態でのみ参照され、当選領域7及び8は、通常遊技状態でのみ参照されるように、当選領域1ないし11が配置されているから、参照順にしたがって、先に参照される当選領域1から後に参照される当選領域11に向かう方向に、通常遊技状態又は内部中遊技状態で参照される当選領域1及び2、通常遊技状態又は内部中遊技状態とBB遊技状態とで共通して参照する当選領域4の順になるように当選領域が配置されているといえる。
b そして、本願補正発明は、「少なくとも一部の抽選テーブル同士は」、「前記予め定められた順において先に参照される方から後に参照される方に向かう方向に、いずれかの遊技状態で参照する当選領域、複数の遊技状態で共通して参照する当選領域の順となるように当選領域が配置され」としているだけで、全ての「いずれかの遊技状態で参照する当選領域」(以下「第1当選領域」という。)と全ての「複数の遊技状態で共通して参照する当選領域」(以下「第2当選領域」という。)が順に配置されていると限定するわけではなく、第1当選領域と第2当選領域の次に別の当選領域が配置されることを排除するわけではない。
c そうしてみると、上記a及びbからみて、上記相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。
d 本願補正発明において、全ての第1当選領域と全ての第2当選領域が順に配置されていると解して、仮に上記相違点2が実質的な相違点であるとして検討する。
まず、引用発明2は、処理負荷が高くなることを抑制しつつ、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することを課題とするものであり、当該課題を解決するために、例えば、第1当選領域及び第2当選領域をそれぞれ纏めて抽選テーブルの構成や参照順をシンプルにすることは当業者が容易に想起し得たことである。
そして、引用発明1と引用発明2とは、いずれも遊技機という共通する技術分野に属するものであり、引用発明2と同じ遊技機に関する引用発明1に接した当業者であれば、引用発明1の特定事項の一部を引用発明2に適用しようと試みようとする。具体的には、引用発明1のように、SB遊技状態用内部抽籤テーブルが一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対して、最初に参照される当籤番号「7」を追加した構成、すなわち、第1当選領域と第2当選領域だけが順に配置されている構成を引用発明2に適用して上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者にとって格別困難なことではない。
(5)審判請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、以下のとおり主張する。
「(4)本願発明と引用発明との対比
・・・略・・・
ここで、引用文献1の図6を参照すると、各内部抽籤テーブルそれぞれにおいて、内容に対応付けられた抽籤値が異なるので、内容や抽籤値を共通化することはできない。したがって、補正後の請求項1に係る発明および請求項1に従属する請求項2に係る発明は、構成eについて記載も示唆もない引用文献1の発明と異なる。
また、このように、引用文献1の図6には、内容や抽籤値の共通概念がないので、かかる技術に、テーブルを共通化するために当選領域の当選数を合わせた引用文献2を組み合わせる動機付けがない。
なお、仮に、引用文献1に引用文献2を組み合わせることができたとしても、引用文献2において、補正後の請求項1のように構成e、fの概念がない以上、組み合わせた技術は、単にテーブルが共通化されただけの技術にしかなり得ない。」
イ しかしながら、上記(3)ア(e)で述べたように、引用例1(引用文献1)には、SB遊技状態用内部抽籤テーブルが、一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおける当籤番号「1」ないし「6」に対して、当籤番号「7」に対応する抽籤値を追加した構成となっており、共通する当籤番号「1」~「6」に対応する抽選値が、ともに同じ抽籤値であることが記載されている。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(6)小括
よって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明であるか又は引用例2に記載された発明及び引用例1の記載事項に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し又は同法同条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年11月29日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のとおりのものである。
(1)理由3(新規性)
この出願の平成29年11月29日になされた手続補正により補正された請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)理由4(進歩性)
この出願の平成29年11月29日になされた手続補正により補正された請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2008-125730号公報
引用文献2.特開2012-196348号公報
3 引用例
引用例1(引用文献1)及び引用例2(引用文献2)の記載事項は、上記第2の3(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明1と同一であるか、引用発明2及び引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明1と同一であるか、引用発明2及び引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し又は同法同条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-003953