特許拒絶査定不服審判
2018-002465
蓄電モジュール
- 審判番号
- 2018-002465
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-078555外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月21日
- 審決日
- 2019年03月04日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H01M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 78555「蓄電モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月29日出願公開、特開2015- 18790〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成26年4月7日(優先権主張 平成25年6月14日)の出願であって、平成29年6月2日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年8月10日付けで手続補正がなされたが、同年11月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年2月21日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成29年8月10日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
1以上の蓄電素子と、前記1以上の蓄電素子が保持されるモジュールケースとを有する単位モジュールを備える蓄電モジュールであって、
前記1以上の蓄電素子のうちの少なくとも1つの蓄電素子の底面である蓄電素子底面と、前記蓄電素子底面に対向する前記モジュールケースの面である第一ケース面とで第一空間が形成されるように、前記蓄電素子底面及び前記第一ケース面のうちの少なくとも一方から突出する第一突出部を備え、
前記第一突出部は、前記蓄電素子底面の法線方向から見て、前記蓄電素子底面内において周囲が前記第一空間で囲まれ、かつ、前記蓄電素子底面の長手方向に延びるように配置される突出部を有している
蓄電モジュール。」
3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実公昭12-16820号公報(以下、「引用例」という。)には、「集合蓄電池」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
(1)「・・本考案ハ電氣車其他ノ震動ヲ受クヘキ場所ニ使用スル集合蓄電池ノ改良ニ關シ數個ノ蓄電池(1)ヲ集結シテ各一個ノ内筐(2)ニ収納シ各蓄電池間並ニ蓄電池ト内筐間ニハ適宜ノ間隔體(3)ニヨリ空隙(4)ヲ形成セシメ之等數組ヲ更ニ一個ノ外槽(5)内ニ配列スルニ當リ内筐(2)ノ各壁面ニ適宜形状ノ窓(6)ヲ穿ツト共ニ底面ニ多數ノ透孔(7)ヲ設ケ且ツ各内筐間及内筐ト外槽間ニモ適宜ノ間隔體(3)ニヨリ空隙(8)ヲ生セシメ該空隙(8)ト内筐内部ノ空隙(4)トヲ前記窓(6)及透孔(7)ニヨリ互ニ相連通セシムル如クシ以テ充電中電池ヲ冷却スルニ當リ外槽下側ニ設ケタル管(9)ヨリ冷水又ハ冷氣ヲ導入シ若クハ自然通風ニヨリ前記内筐内外ノ各空隙(8)(4)間ヲ隈ナク循環セシメ各電池ヲ冷却シツツ最後ニ外槽上側ノ管(10)ヨリ之ヲ槽外ニ排出スヘクナセルモノナリ」(1頁3~8行)
(2)「
」(第一図)
(3)「
」(第二図)
・上記引用例に記載の「集合蓄電池」は、上記(1)の記載事項、及び第一図(上記(2))、第二図(上記(3))によれば、数個の蓄電池(1)を各1個の内筐(2)に収納して1組としたものの数組を更に1個の外槽(5)内に配列してなるものである。
・上記(1)の記載事項、及び第一図(上記(2))によれば、蓄電池(1)底面と内筐(2)との間には、空隙(4)を形成するための適宜の間隔體(3)が設けられてなるものである。
・第一図(上記(2))のみからでは、蓄電池(1)底面と内筐(2)との間に設けられてなる間隔體(3)の正確な形状(特に、蓄電池(1)底面の法線方向から見た形状)は分からないが、間隔體(3)は、蓄電池(1)底面の端部よりも内側に配置されており、少なくとも当該間隔體(3)の周囲は空隙(4)で囲まれていると見て取ることができる。
したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「数個の蓄電池を各1個の内筐に収納して1組としたものの数組を更に1個の外槽内に配列してなる集合蓄電池であって、
前記蓄電池底面と前記内筐との間には、空隙を形成するための適宜の間隔體が設けられ、
前記間隔體の周囲は前記空隙で囲まれている、集合蓄電池。」
4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明における「数個の蓄電池を各1個の内筐に収納して1組としたものの数組を更に1個の外槽内に配列してなる集合蓄電池であって」によれば、
引用発明における「蓄電池」、蓄電池が収納される「内筐」は、それぞれ本願発明でいう「蓄電素子」、蓄電素子が保持される「モジュールケース」に相当し、
引用発明における、数個の蓄電池とこれを収納した1個の内筐とからなる「1組」が、本願発明でいう「単位モジュール」に相当し、そして、これら数組を1個の外槽内に配列して備える「集合蓄電池」は、本願発明でいう「蓄電モジュール」に相当するということができる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「1以上の蓄電素子と、前記1以上の蓄電素子が保持されるモジュールケースとを有する単位モジュールを備える蓄電モジュール」である点で一致するといえる。
(2)引用発明における「前記蓄電池底面と前記内筐との間には、空隙を形成するための適宜の間隔體が設けられ」によれば、
引用発明における、蓄電池底面と内筐との間に設けられた「間隔體」は、蓄電池底面とこれに対向する内筐の面(本願発明でいう「第一ケース面」)のうちの少なくとも一方から突出するとみることができるものであり、本願発明でいう「第一突出部」に相当し、かかる「間隔體」を設けることによって形成される「空隙」が、本願発明でいう「第一空間」に相当するといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記1以上の蓄電素子のうちの少なくとも1つの蓄電素子の底面である蓄電素子底面と、前記蓄電素子底面に対向する前記モジュールケースの面である第一ケース面とで第一空間が形成されるように、前記蓄電素子底面及び前記第一ケース面のうちの少なくとも一方から突出する第一突出部」を備えるものである点で一致する。
(3)引用発明における「前記間隔體の周囲は前記空隙で囲まれている・・」によれば、
本願発明と引用発明とは、「前記第一突出部は、前記蓄電素子底面の法線方向から見て、前記蓄電素子底面内において周囲が前記第一空間で囲まれるように配置される突出部を有している」点で共通するということができる。
ただし、周囲が第一空間で囲まれるように配置される当該突出部について、本願発明では、「前記蓄電素子底面の長手方向に延びる」ものである旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点で相違している。
よって、本願発明と引用発明とは、
「1以上の蓄電素子と、前記1以上の蓄電素子が保持されるモジュールケースとを有する単位モジュールを備える蓄電モジュールであって、
前記1以上の蓄電素子のうちの少なくとも1つの蓄電素子の底面である蓄電素子底面と、前記蓄電素子底面に対向する前記モジュールケースの面である第一ケース面とで第一空間が形成されるように、前記蓄電素子底面及び前記第一ケース面のうちの少なくとも一方から突出する第一突出部を備え、
前記第一突出部は、前記蓄電素子底面の法線方向から見て、前記蓄電素子底面内において周囲が前記第一空間で囲まれるように配置される突出部を有している
蓄電モジュール。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
第一突出部が有する、蓄電素子底面の法線方向から見て、蓄電素子底面内において周囲が第一空間で囲まれるように配置されてなる突出部について、本願発明では、「前記蓄電素子底面の長手方向に延びる」ものである旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。
5.判断
上記相違点について検討する。
引用例の第一図、第二図を見るかぎり、蓄電池底面と内筐との間に設けられた「間隔體」は、蓄電池側面と内筐との間などに設けられた間隔體(3)も参考にすると、円柱形状であるようにも解されるが、当該「間隔體」は、蓄電池底面と内筐との間に空隙を形成するために、蓄電池底面を支持するように設けられるものであるところ、安定して支持できるようにその形状や配置個数等が定められるのは当然のことである。そして、特に形状に着目した場合、より安定して支持できるように、支持する物体の長手方向に延びる形状が採用されることもごく一般的な技術事項であるから、引用発明においても、蓄電池底面と内筐との間に設けられる間隔體を、蓄電池底面の長手方向に延びる形状のものとし、相違点に係る構成とすることは当業者であれば適宜なし得ることである。
そして、本願発明が奏する効果についてみても、引用発明から当業者が予測し得る程度のものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。
なお、請求人は審判請求書において、本願発明が奏する効果の1つとして、「蓄電素子から発せられた熱が、突出部の周囲の第一空間を介して放熱されるため、モジュールケース内の蓄電素子を効率よく冷却することができる」旨主張しているが、本願請求項1には、「第一空間」と外部空間とがつながっており、冷却媒体が当該「第一空間」に流入・流出することができるといったことを導き出すことができるような特定はなされておらず、「第一空間」としては完全に閉ざされた空間も含まれるといえることを踏まえると、請求人の上記主張は必ずしも特許請求の範囲(請求項1)の記載に基づかないものであり、採用できない。
6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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