特許拒絶査定不服審判
2018-001652
車載器、及びスプーフィング検知方法
- 審判番号
- 2018-001652
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-139994外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月06日
- 審決日
- 2019年02月05日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱重工機械システム株式会社
- 【請求人代理人】狩野 芳正
- 分類
- P18 .113-WY (G01S) / P18 .121-WY (G01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-139994「車載器、及びスプーフィング検知方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月22日出願公開、特開2015- 14474、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月3日の出願であって、平成29年7月12日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年9月19日付けで意見書が提出され、平成29年11月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年2月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、平成30年10月17日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年12月7日付けで手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年11月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(理由1)
本願請求項1、4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(理由2)
本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2006-304193号公報
2.特開2009-38586号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2002-318276号公報(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献a、bに基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
a.欧州特許出願公開第2333582号明細書(当審において新たに引用した文献)
b.特開2009-38586号公報(原査定時の引用文献2)
第4 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成30年12月7日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、4は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を出力する衛星情報取得部と、
前記第1時刻情報に示される時刻に同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部と、
前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得し、前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部と
を具備する車載器。」
「【請求項4】
人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を出力する工程と、
現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部を前記第1時刻情報に示される時刻に同期させる工程と、
前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得する工程と、
前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する工程と
を具備する車載器のスプーフィング検知方法。」
本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明5-6は、本願発明4を減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献aについて
当審拒絶理由に引用された引用文献aには、図面とともに次の事項が記載されている(なお、引用文献aは原文が外国語であるため、当審による翻訳文で示す。また、下線は当審が付与した。)。
「説明
[0001] 本発明は、モバイル装置からの位置情報の送信における不正検出方法に関する。これは、特に、高速道路及び都市道路ETCシステムの分野、その他のロケーションベースの支払い装置に適用される。」
「[0003] 衛星測位システムは、高速道路及び都市道路におけるETCの実施に適している。しかし、配信される位置情報の信頼性は、車両に搭載されたGNSS受信機により送信される情報のみに依存し、位置サーバにより実行される課金の信頼性は、この位置情報に直接依存する。位置確定装置により位置サーバに返される位置情報の妥当性を損なう可能性がある測位誤差の多数の原因が存在する。測位誤差は、例えば、受信機の障害又は使用された衛星コンステレーションによって送信された情報の障害の様な、GNSS信号の受信に関する技術問題に起因する。この誤差は、税金を逃れ車両が実際に位置する場所と異なる場所に対応する情報を送信する等の、車両所有者による虚偽(ルアー)の意図的使用からも起因する。ルアーは、例えば、税金の対象とならない事前定義された軌跡プログラミング又はGNSS不正信号の発生器を使用する事ができる。」
「[0005] 本発明の目的は、これらの問題を解決し、既知の解決策の欠点を持たないモバイル装置による位置情報の送信における不正検出方法を提案する事であり、あらゆる状況において位置情報を効果的に検証できる。それらは、モバイル装置の座標を推定する事ができる測定又は座標の形式で表される。
1.この様に、本発明は、モバイル装置からの位置情報の送信による不正検出方法に関し、これらの位置情報は、衛星コンステレーションによって送信されたGNSSナビゲーション信号(30)からモバイル装置により取得され、通信モバイルのセルラーネットワークを介して位置サーバに送信され、ナビゲーション信号の受信から取得された各位置情報に対し、セルラーネットワークから送信された通信信号を取得し、受信されたナビゲーション信号に含まれる時間情報、及び受信された通信信号に含まれる時間情報を比較し、位置情報が正確であるか誤っているかを推測する事から成り、前記方法は、受信されたナビゲーション信号及び受信された通信信号に含まれる前記時間情報が、絶対時間の尺度にシンクロされた衛星及びセルラーネットワークそれぞれにより日付けられた前記信号の送信時点と、モバイル装置により測定された前記信号の受信時間とであることを特徴とする。
[0006] 有利な事に、ナビゲーション信号及び通信に含まれる時間比較情報は、ナビゲーション信号の送受信時点の分離差と、通信信号の送受信時点の分離差との間の差の絶対値の計算をする。
[0007] また有利な事に、この方法は、異なる信号の最大伝搬時間の予測を考慮して閾値を選択し、比較結果が、位置情報を有効とするための閾値未満であるかどうかを確認する。
[0008] 有利な事に、この方法は、同じ測定時点から成る、複数の異なる衛星からのナビゲーション信号からモバイル装置の複数の位置情報を取得する。受信された各ナビゲーション信号に含まれる時間情報を、受信された通信信号に含まれる時間情報と比較する。そして、取得された各情報について、閾値比較の結果が正当である場合、モバイル装置の位置を有効とする。
[0009] また有利な事に、この方法は、位置情報が誤っている場合に不正があると判断する事ができる。」
「[0011] 図1は、衛星による、例えば車両であるモバイル装置1の位置確定システムの一例を表す。位置確定システムは、車両1に搭載された、車両の位置又は速度の決定を目的とする位置確定及び放送装置2を備え、この位置情報を、保存又は利用を担う位置サーバ3に送信する。位置確定及び放送装置2は、GPS(英語で:全地球測位システム)又はガリレオ受信機等の、衛星コンステレーション5a、5bから送信されるナビゲーションGNSS(英語で:全地球測位衛星システム)信号の受信機4、及び、GSM(英語で:グローバル移動通信システム)、UMTS(英語で:ユニバーサル移動通信システム)又はCDMA(英語で:符号分割多元接続)タイプのセルラーネットワークによる通信モバイルの送信機―受信機6を備える。位置情報は、衛星5a、5bにより送信された信号13a及び13bを利用して、GNSS受信機4で計算される。衛星の数は、空間x、y、zにおける車両の位置及び時間tの4つの座標を決定するために、少なくとも4に等しくなければならない。この位置情報は、アプリケーションに依存するシーケンス処理に従う通信モバイルの送受信器6に供給され、シーケンス処理は、所定の周期性に従う様に制限可能で、モバイル装置1が位置するセルと呼ばれるカバーエリアをカバーする基地局7aを介して、通信チャネル12を介して位置サーバ3に前記位置情報を送信する。」
「 [0013] 図3の概略図は、位置情報の送信に関する不正検出方法の異なる工程を表す。この方法は、放送及び位置確定装置2における、受信機4で受信されたナビゲーション信号に含まれる時間情報と、通信の送受信機6で受信された通信信号に含まれる時間情報との比較から、GNSSナビゲーション信号受信機4により実行された測定と車両に従う実際の軌跡との間の不整合を、モバイル装置で検出する事から成る。
[0014]実際には、ナビゲーションシステムに属する全ての衛星及びセルラー通信ネットワークは、例えば、ミリ秒単位のUTCタイプ(英語で:協定世界時)の普遍的な絶対時間基準で、互いに同期している。各ナビゲーション受信機、又は通信型受信機に送信する信号で送られる時間は、互いに同期し、絶対時間と見なされる。
[0015] 放送及び位置確定装置2は、衛星時計に同期していない内部時計を備え、固有の時間尺度を受信機4及び通信型送受信機6に共通に配信し、絶対時間スケールよりも精度が低い。これら2つの受信機4,6に共通する時計により測定される時間は、数ミリ秒から10ミリ秒程度の精度を有する。この精度は、静止軌道衛星の100msから150ms程度であるナビゲーション信号の伝播時間よりも小さい測定誤差であるために十分である。
[0016] 本発明によると、この方法に含まれる第1工程40では、衛星に送信されたナビゲーション信号30が、モバイル装置1に搭載された、ナビゲーション受信機4によって受信32される。受信機4は、衛星から分離する擬似距離の測定33を実行し、信号の受信を検出した時点Tr、受信した信号中の、衛星によって日付された送信開始時点Tesatを検出する。放送及び位置確定装置2は、衛星によるナビゲーション信号の送信時点Tesatと、受信機4により測定されたナビゲーション信号の受信時点Tr間の差を計算する。この差は、衛星と受信機4間の伝播時間の推定値に対応するが、信号の実際の伝播時間に関してズレを含む。このズレは、衛星の絶対時間尺度と放送及び位置確定装置2の時間尺度との同期差に対応する。伝搬時間の推定値から、放送及び位置確定装置2は、衛星とモバイル装置1の間の擬似距離値を推定する。
[0017] 同じ工程40において、セルラーネットワークの基地局7aによって送信された通信信号31は、モバイル装置1に搭載された、通信型6の送受信機により受信34される。放送及び位置確定装置2は、基地局によって日付けられた通信信号の送信時点を検出し、通信信号の受信時点を測定し、通信信号の受信時点と送信時点との間の差、デルタコムを計算する。その通信信号の送受信時点の差は、通信信号の伝播時間に、放送及び位置確定装置2の時間尺度とセルラー通信ネットワークの時間尺度との同期差に対応するズレが加わったものに対応する。モバイル装置をセルラーネットワークの基地局7aから分離する距離は、例えば、モバイル装置1と衛星との間の距離、例えば、静止衛星の96000kmに対して、数十キロメートル程度と非常に小さく、通信信号の伝搬時間は、例えば0.1ミリ秒程度で、他の全ての測定時間に対して無視できる。通信信号における送受信時点を分離する差、デルタコムは、セルラー通信ネットワークの時間尺度と放送及び位置確定装置2の時間尺度との間の同期差に実質的に等しい。
[0018] この方法は、一方でナビゲーション信号から、他方では、通信信号から得られた伝播時間測定値を比較する工程41を含む。そのために、この方法は、ナビゲーション信号の送受信時点を分離する差、Tr-Tesatと、通信信号の送受信時点を分離する差、デルタコムとの相違を絶対値で計算する事から成る。次に、工程42で、この方法は、2つの差と、以前に選択された閾値とを比較する事から成り、この閾値は、異なる信号の最大伝播時間の推定値と測定誤差の可能性とを考慮して選択される。2つの偏差の差が、閾値未満である場合、ナビゲーション受信機により実行される擬似距離測定は有効43であり、それ以外の場合は無効44である。
衛星とナビゲーション受信機との間の信号伝播時間は、150ms未満である。ナビゲーション受信機における測定時点Trと送信時点Tesatとを分離する差は、1秒未満である。従って、200msと2sとの間に含まれる閾値を選択する事ができる。例えば、ナビゲーション受信機4により実行された位置測定が、正確らしいか誤りらしいかを区別するために、1秒に等しい閾値を初期値として選択する事ができる。閾値は、動作中に実際に確立された測定誤差に応じて調整する事ができる。
[0019] モバイル装置1の位置決定は、衛星コンステレーションのいくつかの衛星と比較して、擬似距離のいくつかの測定を必要とし、この方法における様々な工程は、各擬似距離測定値のために繰り返される。その位置測定は、対応する各擬似距離測定値について、閾値比較の結果が正当である場合にのみ、有効とされる。連続する位置値は、対応する比較の結果と共に位置サーバ3に送信される。位置サーバ3は、不正の可能性が存在するかを決定する。」
よって、引用文献aには、次の発明(以下、「引用発明a」という。)が記載されているものと認められる。
「車両1に搭載された位置確定及び放送装置2は、GNSS受信機4、及び、セルラーネットワークによる通信モバイルの送信機―受信機6を備え、位置情報は、衛星5a、5bにより送信された信号13a及び13bを利用して、GNSS受信機4で計算され、空間x、y、zにおける車両の位置及び時間tの4つの座標が決定され(段落[0011]より。以下、同様。)、
衛星コンステレーションによって送信されたナビゲーション信号の受信から取得された各位置情報に対し、セルラーネットワークから送信された通信信号を取得し、受信されたナビゲーション信号に含まれる時間情報、及び受信された通信信号に含まれる時間情報を比較し([0005])、比較結果が、位置情報を有効とするための閾値未満であるかどうかを確認し ([0007])、位置情報が正確であるか誤っているかを推測する事から成り([0005])、
位置情報が誤っている場合に([0009])、GNSS不正信号の発生器を使用する([0003])不正があると判断する([0009])、
車両1に搭載された位置確定及び放送装置2([0011])。」
2.引用文献bについて
当審拒絶理由に引用された引用文献bには、次の事項が記載されている。
「【0084】
なお、本実施形態では、路側機が、発信する情報を予め記憶しているのか、取得しているのかなどについて詳しく説明していないが、どちらでもよい(例えば、設置位置の情報や時刻情報は、GPS受信機を備えることにより得ることができる。また、時刻情報は、路側機に時計の機能を備えることにより取得することもできるし、外部の時計から取得してもよい。)。識別番号、設置位置の情報、時刻情報などを得る(又は記憶する)ことができればどのような手法を用いてもよい。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明aとを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明aにおける「決定」された「空間x、y、zにおける車両の位置及び時間t」のうちの「時間t」が、本願発明1における「現在時刻を示す第1時刻情報」に相当する。
イ 上記「ア」を踏まえると、引用発明aにおける「GNSS受信機4」は、「衛星5a、5bにより送信された信号13a及び13bを利用して」「空間x、y、zにおける車両の位置及び時間tの4つの座標」を「決定」しているから、本願発明1における「人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を出力する衛星情報取得部」とは、「人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を生成する衛星情報取得部」の点で共通する。
ウ 引用発明aにおける「位置確定及び放送装置2」は、「受信されたナビゲーション信号に含まれる時間情報、及び」、「セルラーネットワークによる通信モバイルの送信機―受信機6」で「受信された通信信号に含まれる時間情報を比較し、比較結果が、位置情報を有効とするための閾値未満であるかどうかを確認し」、「位置情報が誤っている場合に、GNSS不正信号の発生器を使用する不正があると判断」しているから、引用発明aの「位置確定及び放送装置2」においてかかる比較判断を行う部分と、本願発明1における「前記第1時刻情報に示される時刻に同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部と、前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得し、前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部」とは、「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得し、衛星信号に基づく時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部」の点で共通する。
エ 引用発明aにおける「車両1に搭載された位置確定及び放送装置2」が、本願発明1における「車載器」に相当する。
よって、本願発明1と引用発明aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を生成する衛星情報取得部と、
前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得し、衛星信号に基づく時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部と
を具備する車載器。」
(相違点1)
本願発明1では、測位を行い「出力」された「前記第1時刻情報に示される時刻に同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部」を具備し、処理部が「前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差」が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定しているのに対し、引用発明aでは、GNSS受信機4が計算する「空間x、y、zにおける車両の位置及び時間tの4つの座標」のうち「時間t」(本願発明1における「第1時刻情報」に相当する。)を出力することも、これに同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部を具備することも示されておらず、また、GNSS不正信号の発生器を使用する不正があるとの判断は、(「第1時刻情報」に相当する「時間t」ではなく)「受信されたナビゲーション信号に含まれる時間情報、及び受信された通信信号に含まれる時間情報」の「比較結果」が、閾値未満であるかどうかを確認することで行っている点。
(2)判断
上記相違点1について検討すると、
ア 本願発明1における「前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差」とは、要するに、測位の結果として出力される時刻情報(第1時刻情報)と実際の現在時刻(第2時刻情報)との差であるのに対し、引用発明aにおける「受信されたナビゲーション信号に含まれる時間情報、及び受信された通信信号に含まれる時間情報」の「比較結果」(FIG.3の工程41における「ABS(Tr - Tesat - DeltaCom」)とは、「衛星とナビゲーション受信機との間の信号伝播時間」(段落[0018])である。
イ つまり、本願発明1では、明細書段落【0022】に記載されているとおり、「スプーフィングの手法の一つとして、過去の衛星測位システムによる測位結果のデータを、現在の車両の位置データであるかのように偽装して使用する・・・場合、スプーフィング用の情報に含まれる時刻情報が現在時刻とは異なっている可能性がある。」ことを検出原理として、測位の結果として出力される時刻情報(第1時刻情報)と実際の現在時刻(第2時刻情報)との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定しているのに対し、引用発明aでは、GNSS不正信号の発生器を使用する不正がある場合、「衛星とナビゲーション受信機との間の信号伝播時間」、すなわち、車両と各衛星との「各擬似距離測定値」(引用文献aの[0019]参照。)が閾値より大きくなることを検出原理としているのである。
ウ したがって、本願発明1と引用発明aとでは、スプーフィングが発生したと判定するための原理が基本的に異なっているから、引用発明aにおいて、上記相違点1に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者といえども困難なことである。
エ また、引用文献bには、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。
オ 以上のとおり、本願発明1は、当業者であっても、引用発明a及び引用文献bに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2-3について
本願発明2-3は、本願発明1と同じく、測位を行い「出力」された「前記第1時刻情報に示される時刻に同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部」を具備し、処理部が「前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差」が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する構成を備えているから、本願発明1について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用発明a及び引用文献bに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.本願発明4について
本願発明4は、「現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部」を、測位を行い「出力」された「前記第1時刻情報に示される時刻に同期させる工程」と、「前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する工程」とを備えているから、本願発明1と同様、測位の結果として出力される時刻情報(第1時刻情報)と実際の現在時刻(第2時刻情報)との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定するものである。したがって、本願発明1について述べたのと同様の理由によって、当業者であっても、引用発明a及び引用文献bに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.本願発明5-6について
本願発明5-6は、本願発明4と同じく、「現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部」を、測位を行い「出力」された「前記第1時刻情報に示される時刻に同期させる工程」と、「前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する工程」とを備えているから、本願発明4について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用発明a及び引用文献bに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定で引用された引用文献等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、無線放送を用いて放送源の時刻情報と位置情報を配信する移動端末の位置及び時刻認証装置、方法及びプログラムに関する。」
「【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る時刻及び位置認証装置を内蔵した移動端末の構成を示す模式図である。この移動端末10は、カメラ付き携帯電話であり、内部時計11、内部時計更新時刻情報格納部12、耐タンパー性保証パラメータ格納部13、受信部14、受信情報格納部15、復調部16、認証子検証部17、時刻/位置情報算出部18、時刻情報比較検証部19、時刻情報格納部20、スイッチ21、タイミング制御部22、シャッター23、撮像素子24、電子ファイル生成部25、ハッシュ値生成部26、ディジタル署名生成部27、署名付き電子ファイル格納部28及び耐タンパー保護領域29を備えている。なお、移動端末10は、各機能を実現するためのハードウェア構成、又はハードウェアとソフトウエアとの組み合わせ構成として実現されている。ソフトウェアは、予め記憶媒体又はネットワークからインストールされ、その機能を実現させるためのプログラムからなる。ソフトウエアで実現可能な要素としては、例えば、復調部16、認証子検証部17、時刻/位置情報算出部18、時刻情報比較検証部19、電子ファイル生成部25、ハッシュ値生成部26及びディジタル署名生成部27が挙げられる。
【0016】
ここで、内部時計11は、耐タンパー保護領域29内で動作し、各放送源iの持つ時計と同期する高精度な時計であり、内部時刻情報を時刻情報格納部20に提供する機能と、不正操作を検知すると直ちに正常動作を停止する機能をもっている。なお、利用者1による内部時計11の操作は禁止されている。また、放送源iとしては、GPS衛星等の人工衛星に限らず、地上の基地局でもよく、船上の移動局でもよい。
【0017】
内部時計更新時刻情報格納部12は、管理センタにより更新記憶されるメモリであり、管理センタが内部時計11を同期させた時刻を示す同期時刻情報及び有効期限を保持し、撮影毎に、同期時刻情報及び有効期限をそれぞれディジタル署名生成部27及び署名付き電子ファイル格納部28に送出する機能をもっている。
【0018】
耐タンパー性保証パラメータ格納部13は、耐タンパー保護領域29に設けられ、耐タンパー性保証パラメータを格納するものであり、耐タンパー保護領域29に外部から不正操作が行われた場合、この不正操作を検知してただちに耐タンパー性保証パラメータをゼロ値にする機能をもっている。
【0019】
受信部14は、外部の放送源から無線で送信される送信時刻情報、放送源位置情報、及び放送源固有の認証子を含む無線放送を受信して受信情報を生成する機能を有し、具体的には無線による標準放送と補正放送のための高感度受信回路から成る。
【0020】
ここで、標準放送とは、例えばGPS測位衛星の送信情報のように、高精度な「放送源の位置情報」と「放送の発信時刻情報」の2つが含まれた無線放送を指す。さらに、送信情報の放送源を識別しその正当性を保証するため、例えば発信情報の内容を反映したディジタル署名など、放送源に固有な認証子が付加されている。相対測位システムを用いる場合、これに加え、予め正確な位置情報を知る基地局jが補正座標値を放送する。本実施形態では、この補正座標値を補正放送と呼ぶ。ここで、補正放送には、基地局jが補正放送を送信した正確な時刻と、補正座標値・送信時刻を反映したディジタル署名などの基地局j固有の認証子が付加されている。」
「【0025】
時刻/位置情報算出部18は、認証子検証部17により正当と認められた標準放送の受信情報から、受信時刻を示す受信時刻情報と移動端末10の位置情報を算出するものであり、受信時刻情報を時刻情報比較検証部19に送出する機能と、時刻情報比較検証部19からの制御により、位置情報をディジタル署名生成部27及び署名付き電子ファイル格納部28に送出する機能をもっている。」
「【0031】
時刻情報比較検証部19は、時刻/位置情報算出部18で標準放送から算出された受信時刻情報と時刻情報格納部20が取得した内部時刻情報とを比較し、両者の差に基づいて、無線放送の再送の有無を判定するものであり、具体的には、2つの時刻の差分が予め設定した しきい値Δtth以下であるか否かを検証する機能をもっている。なお、しきい値Δtth以下の場合、無線放送の再送無しを意味し、しきい値Δtthを超える場合、無線放送の再送有りを意味する。また、認証により保証される位置情報の距離精度をΔL、攻撃者の再送までにかかる処理時間をαとすると、しきい値Δtthは次式のように定義される。
【数2】
」
「【0038】
時刻情報格納部20は、タイミング制御部22から要求を受けると直ちに内部時計11から時刻情報を取得・記憶するものであり、時刻情報比較検証部19から許可を得た後、取得した時刻情報をディジタル署名生成部27に与える機能をもっている。」
「【0045】
ディジタル署名生成部27は、認証子検証部17による判定の結果が偽造無しを示し、且つ時刻情報比較検証部19による判定結果が再送無しを示す場合、内部時刻情報及び自装置の位置情報に基づいて、電子ファイルのデジタル署名を生成するものである。」
「【0067】
上述したように本実施形態によれば、無線で送信される送信時刻情報及び放送源位置情報に、放送源固有の認証子を付与し、この認証子に基づいて偽造の有無を判定することにより、偽造攻撃を阻止できる。さらに、無線放送の受信時刻を示す受信時刻情報と、内部時計11の内部時刻情報とを比較し、両者の差に基づいて再送の有無を判定することにより、再送攻撃を阻止できる。従って、無線を用いた位置認証に対する偽造攻撃及び再送攻撃を阻止し、信頼性を向上させることができる。
【0068】
詳しくは、移動体通信に用いる移動端末10に関して、放送等の一方向通信に含まれた時刻情報や位置情報を位置を固定することなく移動端末10で取得する。偽造攻撃に対しては、送信情報に付加された放送源i固有の認証子が正当か否か、あるいは放送源i自身の位置情報と時刻情報が公開された正しい情報と一致するか否か、を検証して防止する。再送攻撃に対しては、移動端末10の内部時計11と送信情報に含まれた時刻情報との差分が設定されたしきい値以下であるか否かを検証して防止する。従って、移動端末10の時刻情報と位置情報及び移動端末10が生成する電子ファイルに付加された時刻情報と位置情報の正当性を技術的に保証することができる。また、GPS等の放送型通信を利用して、電子ファイル生成を端末側で行い、端末を定位置に固定する必要がなくネットワーク接続の必要もない、偽りの位置情報を許さない安全な位置認証を実現することができる。」
「【0069】
(第2の実施形態)
図6は本発明の第2の実施形態に係る時刻及び位置認証装置を内蔵した移動端末の構成を示す模式図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説
明を省略する。
【0070】
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、移動端末10aとして、タクシー料金メータを用いた構成となっている。これに伴い、図1のスイッチ21、シャッター23及び撮像素子24に代えて、料金確定スイッチ21a及び料金カウント部30を備え、電子ファイル生成部25aがタクシー料金に関する電子ファイルを生成するものとなっている。」
引用文献1の段落【0069】には、(第2の実施形態)について「図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し」と記載されていることから、図1に関する(第1の実施形態)の記載を踏まえると、引用文献1には、(第2の実施形態)として、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「タクシー料金メータを用いた構成の移動端末10aであって(段落【0070】より。以下、同様。)、
移動端末10aは、内部時計11、受信部14、時刻/位置情報算出部18、時刻情報比較検証部19、時刻情報格納部20、電子ファイル生成部25、ディジタル署名生成部27、署名付き電子ファイル格納部28を備え(【0015】)、
内部時計11は、各放送源iの持つ時計と同期する高精度な時計であり、放送源iとしては、GPS衛星等の人工衛星(【0016】)でよく、
時刻/位置情報算出部18は、標準放送(例えばGPS測位衛星の送信情報(【0020】))の受信情報から、受信時刻を示す受信時刻情報と移動端末10の位置情報を算出するものであり、受信時刻情報を時刻情報比較検証部19に送出する機能をもっており(【0025】)、
時刻情報格納部20は、内部時計11から時刻情報を取得・記憶するものであり(【0038】)、
時刻情報比較検証部19は、時刻/位置情報算出部18で標準放送(例えばGPS測位衛星の送信情報(【0020】))から算出された受信時刻情報と時刻情報格納部20が取得した内部時刻情報とを比較し、両者の差に基づいて、無線放送の再送の有無を判定するものであり、具体的には、2つの時刻の差分が予め設定した しきい値Δtth以下であるか否かを検証する機能をもっており、しきい値Δtth以下の場合、無線放送の再送無しを意味し、しきい値Δtthを超える場合、無線放送の再送有りを意味し(【0031】)、
ディジタル署名生成部27は、時刻情報比較検証部19による判定結果が再送無しを示す場合、内部時刻情報及び自装置の位置情報に基づいて、電子ファイルのデジタル署名を生成するものであり(【0045】)、
無線放送の受信時刻を示す受信時刻情報と、内部時計11の内部時刻情報とを比較し、両者の差に基づいて再送の有無を判定することにより、再送攻撃を阻止できる(【0067】)、
移動端末10a(【0070】)。」
2.引用文献2について
引用文献2には、上記「第5」「2.」に記載したとおりの事項が記載されている。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0003】かなり弱いGPS信号状況では、GPS受信機はそれ自身ではGPS時間を決定することができない。こうした状況では、位置決定を実行するためには正確なGPS時間が回復されなければならない。さもないと位置決定を中止しなければならない。位置決定を中止せざるを得ないような状況を回避するためには、時間回復が援助されなければならないが、時間回復の実行においてGPS受信機を援助する方法は数多く存在し、その1つに、GSMネットワークなどのセルラネットワークから正確なGPS時間を配信するというものがある。」
第8 原査定の拒絶の理由について
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1における「時刻/位置情報算出部18」は、「標準放送(例えばGPS測位衛星の送信情報(【0020】))の受信情報から、受信時刻を示す受信時刻情報と移動端末10の位置情報を算出する」から、本願発明1における「人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を出力する衛星情報取得部」に相当する。
イ また、引用発明1における「時刻/位置情報算出部18」は、「受信時刻情報を時刻情報比較検証部19に送出する機能をもって」いるから、本願発明1における「前記第1時刻情報に示される時刻に同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部」とは、「前記第1時刻情報に示される時刻を用いて第3時刻情報を出力する時刻情報出力部」の点で共通する。
ウ 引用発明1における「時刻情報格納部20」及び「時刻情報比較検証部19」は、「時刻情報格納部20」が「内部時計11から時刻情報を取得」し、「時刻情報比較検証部19」が「時刻/位置情報算出部18で標準放送(例えばGPS測位衛星の送信情報)から算出された受信時刻情報と時刻情報格納部20が取得した内部時刻情報とを比較し、両者の差に基づいて、無線放送の再送の有無を判定する」ものであり、「具体的には、2つの時刻の差分が予め設定した しきい値Δtth以下であるか否かを検証する機能をもっており、しきい値Δtth以下の場合、無線放送の再送無し」と「判定」し、「しきい値Δtthを超える場合、無線放送の再送有り」と「判定」するものであるから、本願発明1における「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得し、前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部」とは、「第2時刻情報を取得し、前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部」の点で共通する。
エ 引用発明1における「タクシー料金メータを用いた構成の移動端末10a」が、本願発明1における「車載器」に相当する。
よって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「人工衛星から受信した衛星信号に基づいて測位を行い、現在時刻を示す第1時刻情報を出力する衛星情報取得部と、
前記第1時刻情報に示される時刻を用いて第3時刻情報を出力する時刻情報出力部と、
第2時刻情報を取得し、前記第3時刻情報に示される時刻と、前記第2時刻情報に示される時刻との差が閾値以上の場合にスプーフィングが発生したと判定する処理部と
を具備する車載器。」
(相違点2)
本願発明1は、「前記第1時刻情報に示される時刻に同期し、現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部」を具備しているのに対し、引用発明1では、そのような「クロック部」を具備しておらず、「時刻/位置情報算出部18」は、「受信時刻情報」をそのまま「時刻情報比較検証部19に送出」している点。
(相違点3)
本願発明1では、「処理部」が、「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる」時刻情報である「第2時刻情報」を取得しているのに対し、引用発明1では「時刻情報格納部20」が「内部時計11から時刻情報を取得」している点。
(2)判断
(理由1について)
本願発明1と引用発明1とは、上記相違点2及び相違点3の点で相違するから、本願発明1は、引用発明1と同一発明ではない。
(理由2について)
事案に鑑みて、まず、上記相違点3について検討する。
ア 引用文献2には、「時刻情報」を「GPS受信機を備えること」あるいは「路側機に時計の機能を備えること」により取得することもできることが記載されている。
また、引用文献3には、「正確なGPS時間」の「回復」のため、「GSMネットワークなどのセルラネットワークから正確なGPS時間を配信する」ことが記載されている。
イ しかし、上記引用文献2、3に記載された技術は、「GPS」の代わりに「路側機」や「GSMネットワークなどのセルラネットワーク」から時刻情報を取得することを示しているに過ぎないから、引用発明1に上記引用文献2、3に記載された技術を適用しても、引用発明1における「GPS測位衛星」が「路側機」や「GSMネットワークなどのセルラネットワーク」に代替されるだけであって、「内部時計11」に代えて「路側機」や「GSMネットワークなどのセルラネットワーク」から「時刻情報を取得」する構成(本願発明1でいう、「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる」「第2時刻情報」を取得する構成)とはならない。
ウ また、引用文献1の段落【0016】に「ここで、内部時計11は、耐タンパー保護領域29内で動作し、・・・不正操作を検知すると直ちに正常動作を停止する機能をもっている。」と記載されているとおり、引用発明1における「内部時計11」は、不正操作を極力排除すべきものとして採用されたものであるから、該「内部時計11」を、不正操作の可能性を高めてまで「路側機」や「GSMネットワークなどのセルラネットワーク」に代替することは、当業者に動機付けられないことである。
エ したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2、3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2-3について
本願発明2-3は、本願発明1と同じく、「処理部」が、「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる」時刻情報である「第2時刻情報」を取得する構成を備えているから、本願発明1について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2、3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.本願発明4について
(理由1について)
本願発明4は、上記相違点2及び相違点3に係る本願発明1の構成と同様な、「現在時刻を示す第3時刻情報を出力するクロック部を前記第1時刻情報に示される時刻に同期させる工程」と「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得する工程」を備えているから、本願発明4は、引用発明1と同一発明ではない。
(理由2について)
本願発明4は、「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得する工程」を備えており、本願発明1と同様に「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる」時刻情報である「第2時刻情報」を取得するものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由によって、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2、3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.本願発明5-6について
本願発明5-6は、本願発明4と同じく、「前記衛星信号とは異なる無線信号に含まれる第2時刻情報を取得する工程」を備えているから、本願発明4について述べたのと同じ理由によって、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2、3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
5.まとめ
本願発明1、4は、引用発明1と同一発明ではない。
また、本願発明1-6は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2、3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-001652