審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-007849

駐車設備

審判番号
2023-007849
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-032910
請求日
2023年05月15日
審決日
2024年03月18日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】三菱重工機械システム株式会社
  • 【請求人代理人】藤田 考晴
  • 【請求人代理人】川上 美紀
  • 【請求人代理人】長田 大輔
審判長/審判官
  • 審判長 古屋野 浩志
  • 審判官 太田 恒明
  • 審判官 ▲高▼橋 祐介
分類
P18 .113-Z (E04H) / P18 .121-Z (E04H) / P18 .575-Z (E04H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 32910「駐車設備」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月31日出願公開、特開2020-133380〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成31年2月26日の出願であって、令和4年11月16日付けで拒絶の理由が通知され、令和5年1月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年2月6日付け(謄本送達日:同月14日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、同年8月14日に上申書が提出されたものである。 第2 令和5年5月15日に提出された手続補正書による補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年5月15日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、令和5年1月30日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、 「車両を格納する格納部と、 前記車両の前後方向に沿って配置される複数の給電コイルを有し、前記格納部に設けられる給電部と、 前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部と、 前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部と、 前記決定部が決定した1又は複数の前記給電コイルによって給電を行うように前記給電部を制御する給電制御部と、を備えた駐車設備。」とあったものを、 「 車両を格納する格納部と、 前記車両の前後方向に沿って配置される複数の給電コイルを有し、前記格納部に設けられる給電部と、 前記車両の製造メーカ及び/又は車種及び/又は前記車両の年式及び/又は前記車両の形状の情報である車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部と、 前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部と、 前記決定部が決定した1又は複数の前記給電コイルによって給電を行うように前記給電部を制御する給電制御部と、を備えた駐車設備。」とする補正を含むものである。なお、下線は当審で付した。以下同様。 2 補正の目的について 本件補正における請求項1の補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定部」が「前記車両に設けられた受電部の位置を特定する」ことに関し、「前記車両の製造メーカ及び/又は車種及び/又は前記車両の年式及び/又は前記車両の形状の情報である車両情報に基づ」くことを限定するものである。 また、本件補正前の請求項1に記載した発明と、本件補正後の請求項1に記載した発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正における請求項1の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 3 新規事項について 本件補正における請求項1の補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0048】等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 4 独立特許要件について そこで、本件補正における請求項1の補正が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、検討する。 (1)補正発明 補正発明は、次のとおり分説することができる。なお、符号A等は、分説するため当審で付した。以下、符号に基づき、分説された補正発明の発明特定事項を「補正発明特定事項A」等という。 「A 車両を格納する格納部と、 B 前記車両の前後方向に沿って配置される複数の給電コイルを有し、前記格納部に設けられる給電部と、 C 前記車両の製造メーカ及び/又は車種及び/又は前記車両の年式及び/又は前記車両の形状の情報である車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部と、 D 前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部と、 E 前記決定部が決定した1又は複数の前記給電コイルによって給電を行うように前記給電部を制御する給電制御部と、を備えた F 駐車設備。」 (2)引用文献1 ア 記載事項 原査定の拒絶理由において引用文献1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-154603号公報(平成27年8月24日公開。以下、原査定と同様に「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。 (ア)「【技術分野】 【0001】 この発明は、送電装置と車両との間で電力を授受する非接触電力伝送システムに関する。 …… 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ここで、車両と充電ステーションとを含む非接触電力伝送システムにおいて、送電装置が複数の送電コイルを含む場合に、あるコイルから微弱電力を送電して受電装置と送電装置との位置合わせを実施したとしても、微弱電力を送電したコイル、すなわち位置合わせを実施した送電コイルとは別の送電コイルの方が送電効率が高い場合も考えられる。 【0006】 一方で、位置合わせに使用するコイルが適切でないと、車両のサイズや受電装置が搭載された位置によっては、駐車スペースから車両がはみ出したり、駐車スペースの境界に余裕をもって駐車されない場合も考えられる。 【0007】 しかし、上記の従来技術にはそのような課題および解決手段について記載も示唆もされていない。 【0008】 本発明の目的は、複数の送電コイルを有する送電装置と車両との位置合わせを行なうことが可能であるとともに送受電時の効率を向上させることができる非接触電力伝送システムを提供することである。」 (イ)「【0014】 (非接触電力伝送システムの概要の説明) 図1は、本発明の実施の形態の一例である非接触電力伝送システムの全体構成図である。図2は、車両が充電ステーション内の駐車位置に駐車する様子を説明するための図である。最初に、本実施の形態についての概要を、図1、図2を用いて説明する。 【0015】 図1、図2を参照して、本実施の形態の非接触電力伝送システムは、受電装置120を含む車両10と、車両10の進入方向に沿って配列された複数の送電コイル700A~700D,701A~701Dを含む送電装置20,21と、複数の送電コイル700A~700D,701A~701Dの送電を制御する電源ECU(Electronic Control Unit)800とを備える。 【0016】 複数の送電コイル700A~700D,701A~701Dは、配列方向の中央部に位置する第1コイル700Cを有する。電源ECU800は、受電装置120と送電装置20または21との位置合わせ時に第1コイル(コイル700C,701C)に電力を送電させ、受電装置120と送電装置20または21との位置合わせ後に複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dに個々に電力をテスト送電させ、受電装置の受電電圧VRと受電電流と受電効率との少なくとも1つを含むパラメータに基づき、複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちからパラメータが最も高い送電コイルを選択し、選択したコイルにテスト送電よりも電力を増加させた送電を実行させる。 【0017】 上記構成とすれば、中央部に位置する第1コイル(コイル700C,701C)から微弱電力を送信して位置合わせを車両に実行させるので、他のコイル(たとえば、端部のコイル700A,700Dまたは701A,701D)を使用するよりも車両が駐車枠内に誘導される確率が高くなる。たとえば、車両10は、車両サイズや受電コイルの搭載位置がさまざまであることが想定される。そして、送電装置は複数の車両に対応可能であることが望ましい。そのような場合には、中央部に位置するコイルから微弱電力を送信して位置合わせを行なうことが特に好ましい。そして車両の位置が確定した後に他のコイルも含めて効率が良い送電コイルを選択するので、高効率で本送電を行なうことが可能となる。」 (ウ)「【0022】 たとえば、図2に示されるように、送電装置20,21がそれぞれ、駐車枠0,1の地表または地中に設けられ、受電装置120は、車体下部に配置される。なお、受電装置120の配置箇所はこれに限定されるものではない。たとえば、仮に送電装置20,21が車両10上方または側方に設けられる場合には、受電装置120を車体上部または車体周面(前面、後面、側面)に設けてもよい。」 (エ)「【0051】 以上において車両の位置が決定すると、送電部に含まれる複数の送電コイルのうち送電効率が最大となるコイルを充電ステーション90が選択する。この時の送電コイルの選択は、車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて行なわれても良いし、実際に複数のコイルでテスト送電を行なって受電電圧VRが最大となるコイルを選択しても良い。」 (オ)「【図1】 [図:0001410993000001.jpg] 」 (カ)「【図2】 [図:0001410993000002.jpg] 」 イ 引用発明 上記アから、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記し、また、分説された引用発明の発明特定事項に補正発明特定事項の符号A等に概ね対応させたa等を含む符号を付した(以下、符号に基づき、分説された引用発明の発明特定事項を「引用発明特定事項a」等ということがある。)。 「a 駐車枠0,1と(【0022】)、 b 車両10の進入方向に沿って配列された複数の送電コイル700A~700D,701A~701Dを含み、それぞれ、駐車枠0,1の地表または地中に設けられる送電装置20,21と(【0015】、【0022】)、 e 複数の送電コイル700A~700D,701A~701Dの送電を制御する電源ECU(Electronic Control Unit)800を備え(【0015】)、 cd 電源ECU800は、受電装置120と送電装置20または21との位置合わせ時に中央部に位置する第1コイル(コイル700C,701C)に微弱電力を送電させて位置合わせを車両に実行させ、車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択し、選択したコイルに送電を実行させる(【0016】、【0017】、【0051】)、 f 充電ステーション(【0014】)。」 (3)引用文献2 ア 記載事項 原査定の拒絶理由において引用文献2として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-96947号公報(平成26年5月22日公開。以下、原査定と同様に「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、給電を受けることをできる車両に給電する車両給電装置に係る。 …… 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構造によりエネルギーロスが少なく、利用の容易な給電ができる車両給電装置を提供する。」 (イ)「【0035】 …… 取得手段34は、車両に設けられる給電用2次コイルの位置に対応する位置情報を取得する手段である。 取得手段34により取得した前記位置情報に応じて、車両姿勢位置調整機構30が車両10の向き又は位置を変えて車両を貯留スペースRに置く。」 (ウ)「【0041】 取得手段34は、記憶手段35と情報取得手段36とで構成されてもよい。 記憶手段35は、車両10の車種情報と車両10に設けられる給電用2次コイル22の位置に対応する位置情報とを関連づけて記憶する手段である。 情報取得手段36は、車両10の車種情報を受け取り、記憶手段35から車種情報に関連づけられた位置情報を取得する手段である。 情報取得手段36により取得した位置情報に応じて前記車両姿勢位置調整機構が車両の向き又は位置を変えて車両を貯留スペースに置く。 情報取得手段36により取得した位置情報に応じて車両姿勢位置調整機構が前記給電用1次コイルから車両に設けられる給電用2次コイルへ効率良く非接触給電できる様に前記車両姿勢位置調整機構が車両の向き又は位置を変えて車両を貯留スペースに置く。」 イ 引用文献2記載の技術事項 上記アから、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。 「車両に設けられる給電用2次コイルの位置に対応する位置情報を取得する手段である取得手段34(【0035】)を構成する情報取得手段36は、車両10の車種情報を受け取り、記憶手段35から車種情報に関連づけられた車両10に設けられる給電用2次コイル22の位置に対応する位置情報を取得する手段であること(【0041】)。」 (4)対比 補正発明と引用発明とを対比する。 ア 補正発明特定事項A 引用発明特定事項aにおける「駐車枠0,1」は、補正発明特定事項Aにおける「車両を格納する格納部」に相当する。 よって、引用発明は、補正発明特定事項Aに相当する構成を含む。 イ 補正発明特定事項B 上記アより、引用発明特定事項bにおける「駐車枠0,1」は、補正発明特定事項Bにおける「前記格納部」に相当する。 引用発明特定事項bにおける「車両10の進入方向に沿って配列された複数の送電コイル700A~700D,701A~701D」は、補正発明特定事項Bにおける「前記車両の前後方向に沿って配置される複数の給電コイル」に相当する。 また、引用発明特定事項bにおける「車両10の進入方向に沿って配列された複数の送電コイル700A~700D,701A~701Dを含み、それぞれ、駐車枠0,1の地表または地中に設けられる送電装置20,21」は、補正発明特定事項Bにおける「前記車両の前後方向に沿って配置される複数の給電コイルを有し、前記格納部に設けられる給電部」に相当する。 よって、引用発明は、補正発明特定事項Bに相当する構成を含む。 ウ 補正発明特定事項C 引用発明特定事項cdによれば、「電源ECU800は、」「車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択し、選択したコイルに送電を実行させ」るところ、上記(2)ア(イ)で引用したように、引用文献1の【0017】には、「車両10は、車両サイズや受電コイルの搭載位置がさまざまであることが想定される。……そして車両の位置が確定した後に他のコイルも含めて効率が良い送電コイルを選択するので、高効率で本送電を行なうことが可能となる。」と記載されているから、引用発明の「電源ECU800」が「選択したコイルに送電を実行させ」る際に「車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択」するために、「前記車両に設けられた受電部の位置を特定」することは明らかであるといえる。そうすると、引用発明は「前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」の構成を含むといえる。 加えて、引用発明特定事項cdにおける「車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)」は、車両に固有の情報であることは明らかであるから、補正発明特定事項Cにおける「車両情報」に相当するところ、引用発明特定事項cdによれば、「送電コイルの選択は、車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて行なわれる」から、引用発明は「車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」の構成を含むといえる。 よって、引用発明特定事項cdは、補正発明特定事項Cと、「車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」を備える点で共通する。 エ 補正発明特定事項D 引用発明特定事項cdによれば、「電源ECU800は、」「車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択し、選択したコイルに送電を実行させ」るところ、上記ウで述べたように、引用発明は「車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」の構成を含むといえるから、引用発明の「電源ECU800」が「選択したコイルに送電を実行させ」るために「複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択」することは、「前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する」ことであるといえる。そうすると、引用発明は「前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部」の構成を含むといえる。 よって、引用発明は、補正発明特定事項Dに相当する構成を含む。 オ 補正発明特定事項E 上記エで述べたように、引用発明は「前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部」の構成を含むといえる。 また、引用発明の「電源ECU800」が「選択したコイルに送電を実行させ」ることは、「前記決定部が決定した1又は複数の前記給電コイルによって給電を行うように前記給電部を制御する」ことであるといえる。そうすると、引用発明は「前記決定部が決定した1又は複数の前記給電コイルによって給電を行うように前記給電部を制御する給電制御部」の構成を含むといえる。 よって、引用発明は、補正発明特定事項Eに相当する構成を含む。 カ 補正発明特定事項F 引用発明特定事項fにおける「充電ステーション」は、「駐車枠0,1」を含むものであるから、補正発明特定事項Fにおける「駐車設備」に相当する。 よって、引用発明は、補正発明特定事項Fに相当する構成を含む。 キ 一致点・相違点 上記ア~カからみて、補正発明と引用発明とは、 「A 車両を格納する格納部と、 B 前記車両の前後方向に沿って配置される複数の給電コイルを有し、前記格納部に設けられる給電部と、 C’ 車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部と、 D 前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部と、 E 前記決定部が決定した1又は複数の前記給電コイルによって給電を行うように前記給電部を制御する給電制御部と、を備えた F 駐車設備。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1(補正発明特定事項C) 補正発明と引用発明とは、「車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」を備える点で共通するものの、「特定部」が「前記車両に設けられた受電部の位置を特定する」際に用いる「車両情報」に関して、 補正発明では、「前記車両の製造メーカ及び/又は車種及び/又は前記車両の年式及び/又は前記車両の形状の情報である」のに対し、 引用発明では、そのようなことが特定されていない点。 (5)判断 ア 相違点1について 引用文献2記載の技術事項における「車両に設けられる給電用2次コイルの位置に対応する位置情報を取得する手段である取得手段34」は、補正発明の「前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」に相当する。 また、引用文献2記載の技術事項において、「車両に設けられる給電用2次コイルの位置に対応する位置情報を取得する手段である取得手段34を構成する情報取得手段36」が「記憶手段35から車種情報に関連づけられた車両10に設けられる給電用2次コイル22の位置に対応する位置情報を取得する」際に「受け取」る「車両10の車種情報」は、補正発明特定事項Cにおける「特定部」が「前記車両に設けられた受電部の位置を特定する」際に用いる「前記車両の」「車種」「の情報である車両情報」に相当する。 そして、引用文献2記載の技術事項は、「給電を受けることをできる車両に給電する」技術である点で、「送電装置と車両との間で電力を授受する」技術である引用発明と共通する。また、引用文献2記載の技術事項は、「エネルギーロスが少な」い「車両給電装置を提供する」という課題を解決しようとする点で、「送受電時の効率を向上させることができる非接触電力伝送システムを提供する」という課題を解決しようとする引用発明と共通する。 したがって、引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用して、相違点1に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 補正発明の奏する効果について 補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び引用文献2記載の技術事項の奏する効果から、予測することができた程度のものである。 ウ 請求人の主張について (ア)請求人は、令和5年8月14日提出の上申書において、以下のとおり主張する。 「(2)意見1 審査官殿は、前置報告書において、「引用文献1において、受電装置と送電装置との位置合わせを行う際に、受電装置の位置を特定していることは明らかであり、受電装置の位置に基づいて、送電コイルを選択している」と記載されています。 しかしながら、引用文献1に記載の発明では、位置合わせで特定した受電装置の位置を、位置合わせにしか利用していません。本願発明のように、特定した受電装置の位置に基づいて給電コイルを決定してはいません。換言すれば、特定した受電装置の位置を、給電コイルの決定には利用していません。 具体的には、引用文献1に記載の発明は、位置合わせを行った後に、別途、受電装置の受電電圧VRと受電電流と受電効率との少なくとも1つをパラメータとして給電コイルを決定しています(引用文献1の段落[0016][0017]等参照)。このように、引用文献1に記載の発明は、特定した受電装置の位置に基づいて給電コイルを決定しているわけではありません。すなわち、受電部の位置を特定する「特定部」と、給電コイルを決定する「決定部」とは、全く別に機能しています。 このように、引用文献1には、受電部の位置を特定する「特定部」と、給電コイルを決定する「決定部」との結びつけるとの技術思想が開示も示唆もされていないと思料致します。 換言すれば、引用文献1には、本願発明の特徴的な構成の1つである「前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部」との構成が開示も示唆もされていないと思料致します。 (3)意見2 また、審査官殿は、前置報告書において、引用文献1には、「(エ)車両の位置が決定すると、送電部に含まれる複数の送電コイルのうち送電効率が最大となるコイルを充電ステーション90が選択する。この時の送電コイルの選択は、車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて行なわれても良いこと(段落[0051]参照)」が開示されていると記載されています。 たしかに、引用文献1の段落[0051]には、車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置等)に基づいて送電コイルの選択を行うことが開示されています。しかしながら、これはあくまでも車両が記憶している情報(コイル取付位置等)に基づいて送電コイルを決定しているだけですので、本願発明のように、車両情報に基づいて特定した受電部の位置に基づいて送電コイルを決定しているわけではありません。 このように、引用文献1には、そもそも、車両情報(車両が記憶している情報ではなく、あくまでも車両から読み取れる情報(車両情報))から受電部の位置を特定するとの技術思想が開示も示唆もされていません。すなわち、本願発明の特徴的な構成の1つである「前記車両の製造メーカ及び/又は車種及び/又は前記車両の年式及び/又は前記車両の形状の情報である車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」との構成が開示も示唆もされていないと思料致します。 してみますと、引用文献1には、車両情報から受電部の位置を特定する「特定部」と、給電コイルを決定する「決定部」との結びつけるとの技術思想が開示も示唆もされていないと思料致します。 また、引用文献2には、そもそも複数の給電コイルが開示も示唆もされていませんので、給電コイルを決定するとの技術思想が開示も示唆もされていません。 してみますと、引用文献1及び引用文献2のいずれにも、「特定部」と「決定部」とを結びつける、との本願発明特有の技術思想が開示も示唆もされていないと思料致します。 このように、本願発明特有の技術思想が開示も示唆もされていない引用文献1及び引用文献2を組み合わせたとしても、本願発明には容易に想到することはできないと思料致します。」 しかしながら、上記(4)ウ~エで示したように、引用発明は「車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」の構成と「前記特定部が特定した前記受電部の位置に基づいて、前記受電部へ給電する1又は複数の前記給電コイルを決定する決定部」の構成を含むといえる。これに対し、上記意見(1)は、引用文献1の【0051】を踏まえて認定できる引用発明の「車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択」するという構成を看過している。したがって、上記意見(1)は妥当ではない。 また、上記(4)ウで示したように、引用発明は「車両情報に基づいて、前記車両に設けられた受電部の位置を特定する特定部」の構成を含み、上記アで示したように、引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用して、相違点1に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。これに対し、上記意見(2)は、引用文献1の【0051】を踏まえて認定できる引用発明の「車両から送信された情報(コイルサイズやコイル取付位置など)に基づいて複数の送電コイル700A~700Dまたは701A~701Dのうちから送電コイルを選択」するという構成を看過している。また、上記意見(2)において、補正発明の「車両情報」が「車両が記憶している情報ではなく、あくまでも車両から読み取れる情報」であるように述べているが、補正発明においてそのようなことは特定されていない。したがって、上記意見(2)は妥当ではない。 (イ)なお、令和5年8月14日提出の上申書には、以下のことも記載されている。 「3.補正の準備 また、請求人は、上述させていただいた意見が認められない場合には、下記のとおり、拒絶が通知されている請求項に対して補正を行う用意があります。上記意見が認められない場合には、補正をする機会をいただきたく、よろしくお願いいたします。 具体的には、請求項1に対して、令和5年2月14日付の拒絶査定において拒絶の理由を発見しないと判断された請求項2を追加する補正を行う用意があります。 また、請求人は、上記意見が認められない場合には、上記の補正とは別に、本願を基礎とした分割出願を考えており、分割出願の機会をいただきたく、よろしくお願いいたします。」 しかしながら、令和4年11月16日付けの拒絶理由通知書では、出願当初の請求項3に係る発明については拒絶の理由を発見しないことが記載されていた。また、令和5年2月6日付けの拒絶査定でも、令和5年1月30日付け手続補正書による補正後の請求項2に係る発明については拒絶の理由を発見しないことが記載されていた。したがって、請求人には、これまでに少なくとも2回の補正の機会及び分割出願の機会があった。 そして、そのような機会を与えたのにかかわらず、当該請求項に限定する補正を行わず、また、分割出願を行わなかったのであるから、平等性の観点から、さらなる補正の機会を与える必要はないと認められる。 (6)小括 以上のとおり、補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 補正の却下の決定についてのむすび 補正発明は、上記4のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年1月30日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 (新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献等については引用文献等一覧参照) ●特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項について ・請求項 1 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2015-154603号公報 3 引用文献 引用文献1は、上記第2[理由]4(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明(上記第2[理由]1)は、補正発明(上記第2[理由]4(1))から、本件補正により限定された事項(上記第2[理由]2で述べた限定事項)を削除したものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは相違点がなく、全ての発明特定事項で一致する。 また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができず、また、同条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-007849

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決28件(三菱重工機械システム株式会社)
  • 2024-008118拒絶査定不服審判 / 2025-09-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)包装搬送装置および包装入り製品の製造方法
    同じ当事者: 三菱重工機械システム株式会社
  • 2023-011596拒絶査定不服審判 / 2025-02-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)オートパイロットプリンティング、オートパイロット、パイロット、プリンティング
    同じ当事者: 三菱重工機械システム株式会社
  • 2023-007202拒絶査定不服審判 / 2024-07-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)安全確認システム、機械式駐車装置、安全確認方法、及び安全確認プログラム
    同じ当事者: 三菱重工機械システム株式会社
  • 2023-007828拒絶査定不服審判 / 2024-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)カード処理機及び料金収受システム
    同じ当事者: 三菱重工機械システム株式会社
  • 2022-015767拒絶査定不服審判 / 2024-02-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源…
    同じ当事者: 三菱重工機械システム株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)135件(113・E04H、121・E04H、575・E04H)
  • 2021-005905拒絶査定不服審判 / 2022-08-22 / 請求不成立免震ピロティ等建築物
    共通の審決分類: 113・E04H、121・E04H、575・E04H
  • 2016-002219拒絶査定不服審判 / 2017-03-13 / 請求不成立膜構造物、およびその組立方法
    共通の審決分類: 113・E04H、121・E04H、575・E04H
  • 2023-002344拒絶査定不服審判 / 2025-03-03 / 請求不成立建物モジュール、建物モジュールを生産する方法
    共通の審決分類: 113・E04H、121・E04H
  • 2022-002927拒絶査定不服審判 / 2024-01-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)耐力壁の剛性を増大させた木造住宅及び耐力壁の耐力を増大させる方法
    共通の審決分類: 113・E04H、121・E04H
  • 2022-017998拒絶査定不服審判 / 2023-12-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)住居構造
    共通の審決分類: 113・E04H、121・E04H

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存