特許拒絶査定不服審判
2018-000663
ファイル振分プログラム、ファイル振分方法およびファイル振分装置
- 審判番号
- 2018-000663
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-135485外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年01月17日
- 審決日
- 2018年12月17日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】富士通株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q) / P18 .561-WY (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-135485「ファイル振分プログラム、ファイル振分方法およびファイル振分装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月19日出願公開、特開2015- 11469、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月27日の出願であって、平成29年3月15日付けで拒絶理由通知がなされ、平成29年5月22日付けで手続補正がなされたが、平成29年10月13日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成30年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成30年1月17日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年1月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1、6、7を、次の通りに補正することを含むものである(下線は、請求人により付されたものである。)。
「【請求項1】
コンピュータに、
格納対象のデータに含まれる授業の年月日、学級、時限数の識別情報を抽出し、
学級ごとの時間割から、抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報を特定し、
特定した前記識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータに特定した情報を対応づけ前記第1の格納先へ格納し、
前記格納対象のデータから個人の識別情報が抽出できると判定した場合は、前記個人に関する識別情報と第2の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータを前記第2の格納先へ格納する、
処理を実行させることを特徴とするファイル振分プログラム。」
「【請求項6】
コンピュータが、
格納対象のデータに含まれる授業の年月日、学級、時限数の識別情報を抽出し、
学級ごとの時間割から、抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報を特定し、
特定した前記識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータに特定した情報を対応づけ前記第1の格納先へ格納し、
前記格納対象のデータから個人の識別情報が抽出できると判定した場合は、前記個人に関する識別情報と第2の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータを前記第2の格納先へ格納する、
処理を実行することを特徴とするファイル振分方法。」
「【請求項7】
格納対象のデータに含まれる授業の年月日、学級、時限数の識別情報を抽出する抽出部と、
学級ごとの時間割から、前記抽出部により抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報を特定し、特定した前記識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータに特定した情報を対応づけ前記第1の格納先へ格納し、前記格納対象のデータから個人の識別情報が抽出できると判定した場合は、前記個人に関する識別情報と第2の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータを前記第2の格納先へ格納する格納部と、
を有することを特徴とするファイル振分装置。」
2.新規事項の追加の有無について
(1)本件補正後の請求項1には、「特定した前記識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータに特定した情報を対応づけ前記第1の格納先へ格納し」が記載されている。
上記記載において、「特定した前記識別情報」は、その前に記載の「学級ごとの時間割から、抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報を特定し」によれば、「抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報」のことである。
したがって、請求項1に係る発明は、格納対象のデータから抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致した場合に、格納対象のデータをその第1の格納先へ格納する。
(2)これに対して、本願の出願当初の特許請求の範囲、明細書または図面(以下、「当初明細書等」という。)には、格納対象のデータの格納先について次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
ア.『【0051】
図6は、画像データが格納されるフォルダ構成の一例を示す図である。記憶部53は、記憶領域に「userdata」フォルダが設けられ、「userdata」フォルダ内に「img」フォルダが設けられ、「img」フォルダ内に年度毎のフォルダが設けられている。図6の例では、「img」フォルダ内に、年度毎のフォルダとして「2013」、「2014」が設けられている。また、記憶部53は、年度毎のフォルダ内に利用者のユーザID毎のフォルダが設けられ、ユーザIDのフォルダ内に当該ユーザIDの利用者の画像データ60が格納される。』
イ.「【0056】
時間割管理IDの項目は、各時間割のコマを識別する識別情報を記憶する領域である。」
ウ.「【0086】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係るファイル振分装置12が、端末装置11から格納対象のデータとしてアップロードされた画像データ30のファイルを識別情報に基づいて振り分けて格納するファイル振分処理の流れについて説明する。図14は、ファイル振分処理の手順の一例を示すフローチャートである。このファイル振分処理は、例えば、端末装置11から画像データ30を受信したタイミングで実行される。」
エ.「【0089】
格納部71は、生徒の識別情報が抽出できたか否かを判定する(S13)。例えば、格納部71は、処理対象の画像データ30のファイル名に学年、組、出席番号が含まれ、学年、組、出席番号を抽出できた場合、生徒の識別情報が抽出できたと判定する。生徒の識別情報が抽出できた場合(S13肯定)、格納部71は、抽出された学年、組、出席番号のレコードが在学学年マスタ61にあるか否かを判定する(S14)。レコードが存在する場合(S14肯定)、格納部71は、当該レコードから生徒のユーザIDを特定する(S15)。一方、レコードが存在しない場合(S14否定)および生徒の識別情報が抽出されない場合(S13否定)、格納部71は、画像データ30をインポートした教師のユーザIDを対応付けるユーザIDと特定する(S16)。」
オ.【0090】
そして、格納部71は、処理対象の画像データ30のファイル名から学年、組、年月日および時限数を抽出できたか否かを判定する(S17)。学年、組、年月日および時限数を抽出できた場合(S17肯定)、格納部71は、抽出された学年、組、年月日および時限数の時間割管理IDを時間割情報62から特定する(S18)。」
カ.「【0091】
格納部71は、画像データ30のファイル名から年月日が抽出された場合、抽出された年月日を含む年度とし、年月日が抽出されない場合、現在の年度として、特定されたユーザIDのフォルダに画像データ30を画像データ60として格納する(S19)。そして、格納部71は、格納した画像データ60に関する情報を画像保存情報63に格納する(S20)。例えば、格納部71は、画像データ60に新たな画像IDを付与して学校ID、画像パス、特定したユーザIDを画像保存情報63に格納する。また、格納部71は、画像データ30のファイル名から年月日、学年、組が抽出されている場合、抽出された年月日、学年、組を格納する。また、格納部71は、時間割管理IDが特定されている場合、特定された時間割管理IDを格納する。S20の処理後、処理は、上述のS10の処理へ移行する。」
前記ア.~カ.によれば、次のことがいえる。
A.前記ウ.の「本実施例に係るファイル振分装置12が、端末装置11から格納対象のデータとしてアップロードされた画像データ30のファイルを識別情報に基づいて振り分けて格納するファイル振分処理の流れについて説明する」の記載によれば、アップロードされた画像データのファイルが「格納対象のデータ」である。
B.前記イ.の「時間割管理IDの項目は、各時間割のコマを識別する識別情報を記憶する領域である」、前記オ.の「格納部71は、抽出された学年、組、年月日および時限数の時間割管理IDを時間割情報62から特定する(S18)」の記載によれば、「時間割管理ID」が、各時間割のコマを識別する識別情報であり、ファイル振分装置12は、抽出された授業の年月日、学年、組、時限数に対応する時間割管理IDを特定する。
C.前記ア.の『図6は、画像データが格納されるフォルダ構成の一例を示す図である。記憶部53は、記憶領域に「userdata」フォルダが設けられ、「userdata」フォルダ内に「img」フォルダが設けられ、「img」フォルダ内に年度毎のフォルダが設けられている。図6の例では、「img」フォルダ内に、年度毎のフォルダとして「2013」、「2014」が設けられている。また、記憶部53は、年度毎のフォルダ内に利用者のユーザID毎のフォルダが設けられ、ユーザIDのフォルダ内に当該ユーザIDの利用者の画像データ60が格納される。』の記載によれば、画像データを格納するフォルダ構成は、年度ごとの各フォルダ内にユーザIDごとのフォルダを設けた構成であり、画像データはユーザIDごとのフォルダ内に格納される。
D.前記エ.の「格納部71は、処理対象の画像データ30のファイル名に学年、組、出席番号が含まれ、学年、組、出席番号を抽出できた場合、生徒の識別情報が抽出できたと判定する。生徒の識別情報が抽出できた場合(S13肯定)、格納部71は、抽出された学年、組、出席番号のレコードが在学学年マスタ61にあるか否かを判定する(S14)。レコードが存在する場合(S14肯定)、格納部71は、当該レコードから生徒のユーザIDを特定する(S15)。一方、レコードが存在しない場合(S14否定)および生徒の識別情報が抽出されない場合(S13否定)、格納部71は、画像データ30をインポートした教師のユーザIDを対応付けるユーザIDと特定する(S16)。」の記載、
前記カ.の「格納部71は、画像データ30のファイル名から年月日が抽出された場合、抽出された年月日を含む年度とし、年月日が抽出されない場合、現在の年度として、特定されたユーザIDのフォルダに画像データ30を画像データ60として格納する(S19)。」の記載によれば、
ファイル振分装置は、画像データから生徒の識別情報を抽出し、この生徒の識別情報から生徒のユーザIDを特定し、また、生徒の識別情報が抽出されない場合は、画像データをインポートした教師のユーザIDを特定し、さらに、画像データから抽出された年月日から年度を特定し、年月日が抽出されない場合は現在の年度を特定し、画像データを、特定された年度のフォルダ内の、特定されたユーザIDのフォルダに格納する。
D.前記カ.の「そして、格納部71は、格納した画像データ60に関する情報を画像保存情報63に格納する(S20)。・・・(中略)・・・格納部71は、時間割管理IDが特定されている場合、特定された時間割管理IDを格納する。」の記載によれば、ファイル振分装置は、特定した時間割管理IDを画像保存情報63に格納する。
前記A.~D.によれば、当初明細書等には、画像データの格納先として、年度ごとの各フォルダ内に設けたユーザIDごとのフォルダが記載されているものの、時間割管理IDに対応するようなフォルダは記載されていない。
また、当初明細書等には、ファイル振分処理として、格納対象のデータから生徒の識別情報が抽出できた場合に、その生徒の識別情報から生徒のユーザIDを特定し、そのユーザIDのフォルダに格納対象のデータを格納し、また、格納対象のデータから抽出した授業の年月日、学年、組、時限数に対応する、時間割のコマを識別する識別情報を特定し、特定された当該識別情報を画像保存情報に格納することが記載されているものの、格納対象のデータから抽出した授業の年月日、学級、時限数に対応する時間割のコマを識別する識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致した場合に、格納対象のデータをその第1の格納先へ格納するような処理は記載されていない。
したがって、本件補正後の請求項1に記載された「特定した前記識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータに特定した情報を対応づけ前記第1の格納先へ格納し」は、当初明細書等に記載されておらず示唆もされていない。
(3)よって、請求項1に係る補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
また、本件補正後の請求項6、7にも、請求項1と同様に、「特定した前記識別情報と第1の格納先の識別情報とが一致する場合に、前記格納対象のデータに特定した情報を対応づけ前記第1の格納先へ格納し」が記載されているから、請求項6、7に係る補正も、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。
3.むすび
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3 本願発明について
平成30年1月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-6に係る発明は、平成29年5月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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