特許異議申立
2017-701148
興味が低い番組を適宜に録画するためのシステムおよび方法
- 審判番号
- 2017-701148
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-010362
- 登録番号
- 特許第6142018号(P6142018)
- 請求日
- 2017年12月06日
- 審決日
- 2019年04月26日
- 公報発行日
- 2019年12月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ロヴィ ガイズ, インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】山本 秀策
- 【権利者代理人】森下 夏樹
- 【権利者代理人】飯田 貴敏
- 【権利者代理人】石川 大輔
- 【権利者代理人】山本 健策
- 【異議申立人】松田 純一
- 審判長/審判官
- 審判長 鳥居 稔
- 審判官 清水 正一
- 審判官 樫本 剛
- 分類
- P1651.537-ZC (H04N) / P1651.121-ZC (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6142018号発明「興味が低い番組を適宜に録画するためのシステムおよび方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
特許第6142018号の請求項2、4、6及び8に係る特許を取り消す。
特許第6142018号の請求項1、3、5及び7に係る特許を維持する。
理由
第1 手続の経緯
特許第6142018号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、2006年(平成18年)年9月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年9月27日、米国)を国際出願日とする出願である特願2008-533481号の一部を、数次の分割を経て平成28年1月22日に新たな特許出願としたものであって、平成29年5月12日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成29年6月7日)がされた。
その後、本件特許について、平成29年12月6日に特許異議申立人松田純一により請求項1~8に対して特許異議の申立てがされ、平成30年2月8日付けで取消理由を、平成30年11月20日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、それぞれ期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、いずれも特許権者から応答がなかったものである。
第2 本件発明
特許第6142018号の請求項1~8に係る発明(以下、各請求項の項番にしたがい「本件発明1」~「本件発明8」という。また、これらの総称を「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、本件発明の各構成には、特許異議申立人が付した符号を援用して、A~Zの符号を当審において付与した。以下、構成A~構成Zと称する。
[本件発明1]
【請求項1】
A 番組を録画する方法であって、前記方法は、
B 録画装置上に第1の番組を録画するために空間が必要とされるか否かを決定することと、
C 前記録画装置上の録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有する、ことと、
D 前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより、前記第1の番組のための前記録画装置上の空間を解放することと、
E 録画のために、前記識別された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールすることであって、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送は、前記第1の番組を録画するために空間が必要とされることを決定することと、前記録画された番組または番組の一部分を識別することとに基づいて、録画のためにスケジュールされる、ことと、
F 前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内に少なくとも部分的に前記第1の番組を録画することと
を含む、方法。
[本件発明2]
【請求項2】
G 録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、既に視聴されているが、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有していない、ことと、
H 前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分を削除することと、
I 録画のために、前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送をスケジュールすることと
をさらに含む、
J 請求項1に記載の方法。
[本件発明3]
【請求項3】
K 録画のために、前記識別された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送をスケジュールすることは、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送を録画するためのユーザ定義された録画優先度を設定することをさらに含む、
J 請求項1に記載の方法。
[本件発明4]
【請求項4】
L 識別することおよび削除することは、前記第1の番組を録画するために十分な空間を解放するために必要な、前記録画された番組または番組の一部分の削除および将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有する多くの録画された番組または番組の一部分を識別することおよび削除することを含み、
M 前記第1の番組を録画することは、前記十分な空間のために必要なすべての番組および番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内のエンティティの中に前記第1の番組を録画することを含む、
J 請求項1に記載の方法。
[本件発明5]
【請求項5】
N 番組を録画するシステムであって、前記システムは、
録画装置と、
制御回路と
を含み、
O 前記制御回路は、
録画装置上に第1の番組を録画するために空間が必要とされるか否かを決定することと、
P 前記録画装置上の録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有する、ことと、
Q 前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより、前記第1の番組のための前記録画装置上の空間を解放することと、
R 録画のために、前記識別された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールすることであって、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送は、前記第1の番組を録画するために空間が必要とされることを決定することと、前記録画された番組または番組の一部分を識別することとに基づいて、録画のためにスケジュールされる、ことと、
S 前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内に少なくとも部分的に前記第1の番組を録画することと
を行うように構成されている、システム。
[本件発明6]
【請求項6】
T 前記制御回路は、
録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、既に視聴されているが、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有していない、ことと、
U 前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分を削除することと、
V 録画のために、前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送をスケジュールすることと
を行うようにさらに構成されている、
W 請求項5に記載のシステム。
[本件発明7]
【請求項7】
X 前記制御回路は、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送を録画するためのユーザ定義された録画優先度を設定するようにさらに構成されている、
W 請求項5に記載のシステム。
[本件発明8]
【請求項8】
Y 前記制御回路は、
前記第1の番組を録画するために十分な空間を解放するために必要な、前記録画された番組または番組の一部分の削除および将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有する多くの録画された番組または番組の一部分を識別することおよび削除することと、
Z 前記十分な空間のために必要なすべての番組および番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内のエンティティの中に前記第1の番組を録画することと
を行うようにさらに構成されている、
W 請求項5に記載のシステム。
第3 特許異議の申立ての理由について
1.特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人による特許異議の申立ての理由の要旨は、次のとおりである。
[特許異議の申立ての理由]
(申立ての理由1)
本件特許の請求項1~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(申立ての理由2)
本件特許の請求項1、2、4、5、6及び8の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、取り消されるべきものである。
[証拠方法]
甲第1号証:特開2004-328603号公報
甲第2号証:特開2001-275072号公報
甲第3号証:特開2002-93119号公報
甲第4号証:特開2005-176406号公報
2.取消理由の概要
当審において、平成30年11月20日付けの取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由]
本件特許の請求項2、4、6及び8の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1.取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)特許法第36条第6項第1号について
a.請求項2について
(a)請求項2の記載事項
本件特許の請求項2には、
(構成G)「録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、既に視聴されているが、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有していない、こと」
(構成H)「前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分を削除することと」
(構成I)「録画のために、前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送をスケジュールすることと」
という記載がされている。
(b)本件特許の明細書の記載事項
一方、本件特許の発明の詳細な説明には、「既に視聴された録画番組」、「録画された番組の削除」、「録画された番組の将来の伝送の録画の許可(スケジュール)」及び「削除優先度」に関連する事項として、次のような記載がある(下線は、当審において付加したものである。)。
「【0040】
一部の場合において、衝突は録画装置の容量の不足によって発生する。この場合、双方向テレビアプリケーションは、衝突を解決するため削除優先度を使用してもよい(例えば、新規録画用に容量を空けるため、該当する場合、どの番組を削除するかを判断する)。一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、録画番組に対する削除優先度を自動的に指定してもよいか、あるいはユーザの指定を受信してもよい。削除優先度には、「適宜に」優先度(一部の実施形態において、唯一のオプションであってもよい)を含む。その他の優先度は、例えば、「私が削除するまで保存」、「高い」、「低い」であってもよい。」
「【0042】
双方向テレビアプリケーションは、いずれかの適切なアプローチを用いて、番組に対する削除優先度を自動的に指定してもよい。例えば、ユーザが番組を録画するために支払いを行った場合、ユーザはその番組に高い関心を持っている可能性が高いため、双方向テレビアプリケーションは、削除優先度を高く設定してもよい。別の例として、双方向テレビアプリケーションは、ユーザの視聴履歴に基づいて、番組がユーザにとってどれほど望ましいものであるかを判断してもよい。ユーザが非常に興味をもっており、見る可能性が高い番組であるとの判断に応じて、アプリケーションは、例えば、番組に高い優先度を指定してもよい。例えば、一般的に録画番組を見るためのユーザの一般的な待機期間、または特定のジャンルの録画を見るためのユーザの待機期間に、その他の番組の放送があると判断した際、番組を「適宜に」優先度に指定してもよい。一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、ユーザがすでに見たものを録画するために、削除優先度を「適宜に」優先度として指定してもよい。一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、「適宜に」録画優先度を有するいずれの番組に対しても、削除優先度を「適宜に」へ自動的に設定してもよい。
【0043】
録画に対する削除優先度の自動設定の代わりに、あるいはそれに加え、双方向テレビアプリケーションは、ユーザに削除優先度を促してもよい。例えば、ユーザは、ハイライト領域814を有する図8の録画ディスプレイ内で、リストをハイライトしたり、「適宜に」優先度アイコン810を選択してもよい。代替的に、ユーザは、録画済番組情報画面のアイコンまたはオプションを選択することによって、削除優先度を設定してもよい。
【0044】
録画済番組が「適宜に」削除優先度を有するとの判断に応答して、双方向テレビアプリケーションは、容量が利用可能な時(およびその他のいかなる衝突もない時)に、録画済番組を後で録画することができる場合、新しい番組のための容量を空けるため、録画済番組を削除する。一部の実施形態において、「適宜に」削除優先度を有する番組は、後の放送が置き換えに利用可能であるかどうかに関わらず、優先度のより高い番組のための容量を空けるため、削除されてもよい。「適宜に」削除優先度を有する番組が削除される際、双方向テレビアプリケーションは、別の放送が利用可能である場合、再録画のための番組を自動的に予約する。一部の実施形態において、予約された録画は、「適宜に」録画優先度に設定されてもよい。そして番組は、容量が利用可能となった時点で、再録画されてもよい。一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、「適宜に」録画優先度を有していないが、ユーザがすでに再生した番組を録画するため、削除および再予約をしてもよい。」
上記の段落0040、0042、0043によれば、本件特許の発明の詳細な説明には、『録画装置の双方向テレビアプリケーションは、録画番組に対する削除優先度を自動的に、あるいはユーザにより指定し、自動設定では、ユーザがすでに見たものを録画するために、削除優先度を「適宜に」優先度に指定すること』(記載事項A)が記載されている。
また、上記の段落0044によれば、本件特許の発明の詳細な説明には、『録画装置の双方向テレビアプリケーションは、録画済番組が「適宜に」削除優先度を有するとの判断に応答して、録画済番組を後で録画することができる場合、録画済番組を削除し、「適宜に」削除優先度を有する番組が削除される際、再録画のための番組を自動的に予約すること』(記載事項B)が記載されている。
即ち、本件特許の発明の詳細な説明には、『ユーザがすでに見た録画済番組の削除優先度を、自動的に「適宜に」優先度に指定すること』(記載事項A)および『「適宜に」削除優先度を有する録画済番組を、削除し、再録画のための番組を自動的に予約すること』(記載事項B)が記載されている。
(c)判断
上記(b)の記載事項Aによれば、本件特許の発明の詳細な説明には、既に視聴されているが削除優先度を有していない録画された番組というものは記載されておらず、構成Gの『前記録画された番組または番組の一部分は、既に視聴されているが、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有していない』という構成は、発明の詳細な説明に記載がないものである。
さらに、記載事項Bによれば、本件特許の発明の詳細な説明には、削除優先度を有する録画済番組を削除し予約することが記載されているのであって、削除優先度を有していない既に視聴されている録画済番組を削除し予約することは記載されておらず、構成Hの「前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分を削除することと」及び構成Iの「録画のために、前記識別された過去に視聴された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送をスケジュールすることと」は、発明の詳細な説明に記載がないものである。
以上のように、本件特許の請求項2の構成G、構成H及び構成Iは、発明の詳細な説明には記載も示唆もされておらず、また、発明の詳細な説明のその他の記載を参酌しても、当該事項が自明なことであるともいえない。
したがって、本件特許の請求項2は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
なお、上記の段落0044には、「一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、「適宜に」録画優先度を有していないが、ユーザがすでに再生した番組を録画するため、削除および再予約をしてもよい。」との記載があるが、当該記載は、録画優先度との関係を説明したものであり、削除優先度に関する記載事項ではない。
b.請求項6について
本件特許の請求項6の構成T、構成U及び構成Vには、請求項2の構成G、構成H及び構成Iと同じ構成が記載されている。
したがって、本件特許の請求項6は、上記aに示した請求項2と同様の理由により、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
c.請求項4について
本件特許の請求項4には、構成Mに「前記十分な空間のために必要なすべての番組および番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内のエンティティの中に前記第1の番組を録画すること」という記載がされている。
当該記載に関連する本件特許の発明の詳細な説明の記載としては、段落0063に「ステップ1170で双方向テレビアプリケーションは、さらに番組を録画するための容量を空けるため、録画番組または番組の一部を削除する。ステップ1180で双方向テレビアプリケーションは、録画番組が削除されたため、ユーザの機器が番組を全体として録画するための十分な容量があるかどうかを判断する。双方向テレビアプリケーションが、ユーザ機器が利用可能な十分な容量を有していると判断した場合、プロセス1100はステップ1190へ移動し、要求された番組を利用可能な容量に録画する。」との記載が存在するが、当該段落には「エンティティ」という用語で説明される事項は記載されていない。また、発明の詳細な説明の他の箇所にも「エンティティ」という用語で説明される事項は記載されていない。
したがって、本件特許の請求項4は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
d.請求項8について
本件特許の請求項8の構成Zには、請求項4の構成Mと同じ構成が記載されている。
したがって、本件特許の請求項8は、上記cに示した請求項4と同様の理由により、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
e.小括
以上のとおり、本件特許の請求項2、4、6及び8の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものである。
2.本決定において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第36条第6項第1号について
a.請求項1、5について
(a)異議申立人の主張
本件特許の請求項1及び請求項5は、「録画された番組または番組の一部分を削除する」(構成D、構成Q)及び「録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールする」(構成E、構成R)と記載されており、録画した単位の映像データの一部分だけ削除すること、録画した単位の映像データの一部分についてだけ、再放送を録画予約することを規定していると解される。
しかしながら、このように録画単位を割り込んで録画単位未満の部分を削除するための構成、及び番組の特定部分についてだけ再放送を録画予約するための構成は、当業者にとって明らかでないにもかかわらず、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、その記載が全くない。
したがって、本件特許の請求項1及び請求項5は、いずれも、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
(b)判断
本件特許の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【0007】
番組の録画に先立ち、双方向テレビアプリケーションは、番組の録画が、ユーザの機器での現在の予期された、あるいは予約されたリソースの使用と衝突するかどうかを判断する。例えば、双方向テレビアプリケーションは、録画するためにチューナが利用可能かどうか、または番組を録画するために利用可能な十分な容量があるかどうかを判断してもよい。衝突が発生している、あるいは発生する見込みがある場合、双方向テレビアプリケーションは、番組の録画優先度を調査する。録画優先度が「適宜に」である場合、双方向テレビアプリケーションは、衝突のない時間の別の番組の放送を検索し、録画のための放送を予約する。
【0008】
「適宜に」番組の単独の放送をリソースの衝突なしに全体として録画することができる時間がない場合がある。この場合、双方向テレビアプリケーションは、衝突しない「適宜に番組」のいくつかの異なった放送の一部分の録画を予約する。各部分が録画される際、またはすべての部分が録画された後、双方向テレビアプリケーションは、番組の断片をまとめ、完全な録画を実現する。代替的に、双方向テレビアプリケーションは、部分をまとめずに残し、ユーザが番組の再生を要求した時に、単にそれらを正しい順に再生してもよい。」
「【0035】
一部の場合、リソースの衝突なしには、「適宜に」番組の単独放送を全体として録画することができる時間がない場合がある。この場合、双方向テレビアプリケーションは、「適宜に番組」の衝突しない異なった放送の一部の録画を予約する。各部分が録画される際、あるいは全部が録画された後、双方向テレビアプリケーションは、番組の断片をまとめ、単一の完全な録画を実現してよい。代替的に、双方向テレビアプリケーションは、部分をまとめずに残し、ユーザが番組の再生を要求した時に、単にそれらを正しい順で再生してもよい。」
「【0048】
一部の実施形態において、録画番組リスト(例えば、リスト802)は、部分的に録画される番組のリストを含んでもよい。部分的な録画番組は、ユーザが視聴できるように、利用可能としてもよい。一部の実施形態において、不完全な番組のリストは、録画が完了した分の量の表示を含んでもよい。例えば、リスト816は「Biography」が70%のみ完了していることを示す。一部の実施形態において、この表示によって、どの部分が視聴のために利用可能か、および/またはどの部分がまだ録画されていないかをユーザに知らせる。一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、番組の録画が完了する予定日および時刻をユーザに提供してもよい。一部の実施形態において、完全に録画された番組のみが、番組リスト802に含まれてもよい。」
「【0051】
ステップ940では、録画優先度が選択されたものの代わりに、代替放送の録画を許可するとの判断に応じて、双方向テレビアプリケーションは、番組の代替放送を識別する。例えば、双方向テレビアプリケーションは、番組の代替放送時刻を、データソース24によって提供される番組予定データで検索してもよい。ステップ950では、双方向テレビアプリケーションは、最初に選択されていた放送または代替放送のいずれかから始め、番組のそれぞれの放送の部分が、現在の予期されたまたは予約されたユーザ機器のリソースの使用と衝突するかどうかを判断する。例えば、双方向テレビアプリケーションは、番組が、最初の放送および代替放送の一部を同時刻に録画するよう予約されているかどうか、または放送時に、個別の放送の全部を録画するため、録画装置14(図1)に十分な容量がないかどうかを判断してもよい。双方向テレビアプリケーションは、それぞれの放送の放送時刻まで何度でも、随時衝突の確認を行ってもよい。双方向テレビアプリケーションが、代替放送の一部が衝突していないと判断した場合、プロセス900は、衝突していない番組の代替放送の一部が録画される、ステップ960へ移動する。代わりに双方向テレビアプリケーションが、その代替放送の全体が衝突していると判断した場合、プロセス900は、別の放送が現在の予期された、または予約されたユーザの機器のリソースの使用と衝突するかどうかを判断するため、ステップ950へ戻る。」
「【0059】
代わりに双方向テレビアプリケーションが、まだ録画されていない放送の一部は、ユーザの機器のリソースの使用と衝突しない(例えば、ユーザの機器が、まだ録画されていない番組の一部を録画するために利用可能なリソースを有している)と判断した場合、プロセス1000はステップ1085へ戻る。ステップ1085で、双方向テレビアプリケーションは、ユーザの機器のリソースの使用と衝突しない番組の一部を録画する。ステップ1090で双方向テレビアプリケーションは、選択された番組の録画が完了したかどうかを判断する。双方向テレビアプリケーションが、録画が不完全であると判断した場合、プロセス1000は、番組の別の放送が選択される、ステップ1060へ戻る。代わりに双方向テレビアプリケーションが、録画が完了したと判断した場合、プロセス1090はステップ1092で終了する。」
これらの記載によれば、本件特許の発明の詳細な説明には、ユーザ機器のリソース(ここではチューナの利用や利用可能な容量である)が衝突する場合は、衝突しない放送の一部の録画を予約すること、それにより、録画番組のリストには、完全に録画された番組の他に部分的に録画された番組が存在することが記載されている。
また、本件特許の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【0044】
録画済番組が「適宜に」削除優先度を有するとの判断に応答して、双方向テレビアプリケーションは、容量が利用可能な時(およびその他のいかなる衝突もない時)に、録画済番組を後で録画することができる場合、新しい番組のための容量を空けるため、録画済番組を削除する。一部の実施形態において、「適宜に」削除優先度を有する番組は、後の放送が置き換えに利用可能であるかどうかに関わらず、優先度のより高い番組のための容量を空けるため、削除されてもよい。「適宜に」削除優先度を有する番組が削除される際、双方向テレビアプリケーションは、別の放送が利用可能である場合、再録画のための番組を自動的に予約する。一部の実施形態において、予約された録画は、「適宜に」録画優先度に設定されてもよい。そして番組は、容量が利用可能となった時点で、再録画されてもよい。一部の実施形態において、双方向テレビアプリケーションは、「適宜に」録画優先度を有していないが、ユーザがすでに再生した番組を録画するため、削除および再予約をしてもよい。」
「【0047】
リストディスプレイで「適宜に」削除優先度を有する番組をユーザが認識するために、双方向テレビアプリケーションは、番組に関連するリストでのアイコンの表示、リストの色の変更、またはいずれかの適切な方法によるリストのマークを行ってもよい。図8の例において、「Biography」および「Men In Black」のリストは、アイコン812によって、「適宜に」削除優先度を有すると識別される。一部の実施形態において、ユーザは、完全にあるいは部分的に録画された番組を、画面800から削除してもよい。」
「【0063】
代わりに双方向テレビアプリケーションが、録画番組または番組の一部は、ユーザの機器のリソースの使用と衝突しない今後の放送を有すると判断した場合、プロセス1100は、双方向テレビアプリケーションが録画するための今後の放送を予約する、ステップ1160へ移動する。ステップ1150および1160は、任意的であってもよい。たとえ録画するために予約することができる既知の今後の放送がない場合でも、双方向テレビアプリケーションは、「適宜に」削除優先度を有する番組または番組の一部を削除してもよい。ステップ1170で双方向テレビアプリケーションは、さらに番組を録画するための容量を空けるため、録画番組または番組の一部を削除する。ステップ1180で双方向テレビアプリケーションは、録画番組が削除されたため、ユーザの機器が番組を全体として録画するための十分な容量があるかどうかを判断する。双方向テレビアプリケーションが、ユーザ機器が利用可能な十分な容量を有していると判断した場合、プロセス1100はステップ1190へ移動し、要求された番組を利用可能な容量に録画する。代わりに双方向テレビアプリケーションが、ユーザの機器は十分な容量を有していないと判断した場合、プロセス1100はステップ1140へ戻り、上述のように、削除するために別の「適宜に」録画の検出を試みる。プロセス1100はステップ1192で終了する。」
これらの記載によれば、本件特許の発明の詳細な説明には、録画済番組を後で録画することができる場合に、新しい番組のための容量を空けるため、録画済番組を削除し、録画済番組が削除される際に、再録画のための番組の今後の放送を自動的に予約することが記載されている。
そして、録画済み番組は、上述したように、完全に録画された番組、または部分的に録画された番組を含みうる。
即ち、本件特許の発明の詳細な説明には、新しい番組のための容量を空けるために、『完全に録画された番組または部分的に録画された番組を削除する』こと、及び『完全に録画された番組または部分的に録画された番組の再録画のために今後の放送を自動的に予約する』ことが記載されている。
以上のことから、本件特許の請求項1及び請求項5の「録画された番組または番組の一部分を削除する」こと、及び「録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールする」ことは、これらの発明の詳細な説明の記載に基づくものであるといえる。
(c)小括
以上のとおり、本件特許の請求項1及び5の記載は、特許法第36条第6項第1号に違反するものではない。
(d)異議申立人の主張についての補足
異議申立人は、本件特許の請求項1及び請求項5の記載は、録画した単位の映像データの一部分だけ削除すること、録画した単位の映像データの一部分についてだけ、再放送を録画予約することを規定していると解され、このように録画単位を割り込んで録画単位未満の部分を削除するための構成、及び番組の特定部分についてだけ再放送を録画予約するための構成は、当業者にとって明らかでないと主張するが、請求項1及び請求項5には、「番組の一部分だけを削除する」や「番組の一部分だけの将来の伝送を自動的にスケジュールする」とは記載されておらず、また、発明の詳細な説明にもそのような技術事項は記載されていない。
よって、本件特許の請求項1及び請求項5の記載は、上述したように、発明の詳細な説明にサポートされている『完全に録画された番組または部分的に録画された番組である録画済番組を削除すること、及び完全に録画された番組または部分的に録画された番組である録画済番組を再録画のために今後の放送を自動的に予約すること』と解するのが適当である。
さらに、このような録画済番組の削除、及び録画済番組の再録画のための予約は、当業者が有する技術的知識により、普通に実現可能なものと認められる。
(2)特許法第29条第2項について
a.甲各号証について
(a)甲第1号証
ア.甲第1号証に記載された事項
甲第1号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るビデオレコーダ11の構成が示されている。このビデオレコーダ11は、例えばTV放送番組等の映像データをデジタル記録および再生することが可能な映像データ記録再生装置である。」
「【0015】
CPU111はビデオレコーダ11の動作を制御するプロセッサである。このCPU111は、メモリ112に記憶された制御プログラムに従って、映像データの記録/再生処理、録画予約処理、録画済タイトル一覧表示処理、および録画された映像データの削除/移動/コピー処理、等を実行する。映像データの削除/移動は、ハードディスクドライブ117の空き容量の不足が検出された時に自動的に実行される。」
「【0039】
次に、図5のフローチャートを参照して、ハードディスクドライブ117に空き容量を確保するためにCPU111によって実行される録画準備処理について説明する。
【0040】
この録画準備処理は、例えば、ある一定の時間間隔で定期的に実行される。CPU111は、まず、ハードディスクドライブ(HDD)117の空き記憶領域のサイズを検出し(ステップS201)、十分な空き記憶領域があるか否か、つまり検出された空き記憶領域のサイズが所定の基準値以上あるか否かを判別する(ステップS202)。基準値としては、予め決められた固定値、または現在録画予約されている全映像データの記録に必要な空き記憶領域のサイズを示す値が用いられる。
【0041】
もし、十分な空き容量があれば(ステップS202のYES)、録画準備処理は終了する。一方、十分な空き容量がない場合、つまり検出された空き記憶領域のサイズが所定の基準値よりも少ないならば、CPU111は、タイトル選択部205を用いて、削除/移動対象の映像データを選択する処理を実行する(ステップS203)。
【0042】
ステップS203においては、CPU111は、タイトル管理情報に基づいて、例えば、予め決められたジャンルの映像データなどを、削除対象の映像データとして選択する(ステップS204)。次いで、CPU111は、その選択した映像データのプレイ履歴からその映像データの視聴頻度等を調べることにより、選択した映像データがユーザにとって貴重な映像データであるかどうかを判別する(ステップS205)。例えば、一度も再生されていない未視聴の映像データ、または再生回数が所定値を越える視聴頻度の高い映像データは、ユーザにとって貴重な映像データであると判別される。」
「【0045】
一方、選択された映像データがユーザにとって貴重な映像データではないと判別されたならば(ステップS205のNO)、CPU111は、当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断し、データ削除部206を用いて、その映像データをハードディスクドライブ117から削除する(ステップS207)。この場合も、削除されるのは映像データの実体だけであり、その映像データに対応するタイトル管理情報は削除されずにハードディスクドライブ117内にそのまま保持される。
【0046】
十分な空き容量が確保されるまで、ステップS204~S207の処理は繰り返し実行される。」
「【0047】
次に、図6のフローチャートを参照して、映像データがユーザにとって貴重なものであるかどうかを判別するための具体的な処理の例について説明する。」
「【0049】
CPU111は、まず、ハードディスクドライブ117内に格納されている任意の映像データを選択し(ステップS301)、そのタイトル管理情報のプレイ履歴に基づいて、当該映像データが視聴済みの映像データ(再生されたことがある映像データ)であるかどうかを判別する(ステップS302)。視聴済みの映像データについては、以下の条件を満たすことを条件に、削除可能な映像データ(タイトル)として選択される。」
【0050】
(1)システムが自動的に録画したタイトル: ビデオレコーダ11は、録画予約された映像データ以外の映像データであっても、それがユーザによって予め指定された特定のジャンルに属する映像データであれば、それを自動的に録画する機能を有している(自動録画機能)。CPU111は、ステップS301で選択された映像データが自動録画された映像データであるかどうかを判別する(ステップS303)。自動録画された映像データであることが判別されると(ステップS303のYES)、その映像データはハードディスクドライブ117から削除される(ステップS311)。
【0051】
(2)ユーザが必要なしと指定したタイトル: CPU111は、タイトル管理情報の“その他の属性”を参照することにより、ステップS301で選択された映像データがユーザが予め明示的に不要であると指定した映像データ(あるいはユーザが予め不要であると指定した特定のジャンルに属する映像データ)であるかどうかを判別する(ステップS304)。ユーザが予め明示的に不要であると指定した映像データ(あるいはユーザが予め不要であると指定した特定のジャンルに属する映像データ)であることが判別されたならば(ステップS304のYES)、ステップS301で選択された映像データはハードディスクドライブ117から削除される(ステップS311)。
【0052】
(3)連続番組で、かつ、それら番組の一つが既にユーザによって削除されているタイトル: CPU111は、ステップS301で選択された映像データが連続ドラマのような連続番組に対応する映像データである場合、その連続ドラマに対応する他の映像データがユーザの操作によって既にハードディスクドライブ117から削除されているかどうかを判別する(ステップS305)。もしそうであれば(ステップS305のYES)、ステップS301で選択された映像データはハードディスクドライブ117から削除される(ステップS311)。ユーザの操作によって削除された映像データについてはそのジャンルを記録しておくなどの方法によって、上記(3)の判断を実現できる。
【0053】
(4)再放送予定がある番組: CPU111は、タイトル管理情報の“ジャンル”を参照することにより、ステップS301で選択された映像データが再放送予定がある番組の映像データであるかどうかを判別する(ステップS306)。再放送予定がある番組の映像データであることが判別されたならば(ステップS306のYES)、その映像データはハードディスクドライブ117から削除される(ステップS311)。
【0054】
(5)視聴頻度が低いタイトル: CPU111は、タイトル管理情報の“プレイ履歴”を参照することにより、ステップS301で選択された映像データが視聴頻度が低い映像データであるかどうかを判別する(ステップS307)。視聴頻度が低い映像データであることが判別されたならば(ステップS307のYES)、その映像データはハードディスクドライブ117から削除される(ステップS311)。
【0055】
以上のような条件により、削除可能な映像データであるかどうかが判別される。削除可能な映像データが見つかるまで、調査対象の映像データを変えながら、上記S302~S307の処理が繰り返し実行される(ステップS308,S309)。」
イ.甲第1号証に記載された発明
(ア)甲第1号証の段落0012によれば、甲第1号証には『ビデオレコーダにより、TV放送番組等の映像データをデジタル記録すること』に関する発明が記載されている。
(イ)段落0015、0039~0042によれば、ビデオレコーダは、CPU及びハードディスクドライブを備え、CPUは、ハードディスクドライブの空き記憶領域のサイズが現在録画予約されている全映像データの記録に必要な所定の空き記憶領域のサイズ以上あるか否かを判別し、前記空き記憶領域のサイズが前記所定の空き記憶領域のサイズよりも少ない場合、タイトル管理情報に基づいて、削除対象の映像データを選択する処理を実行する。
(ウ)段落0045、0046によれば、CPUは、選択された映像データがユーザにとって貴重な映像データではないと判別されると、当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断し、その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで、削除処理を繰り返し実行する。
また、段落0047、0049~0055によれば、映像データがユーザにとって貴重なものであるかどうかの判別は、視聴済みの映像データについて、選択された映像データが再放送予定がある番組の映像データであるという条件を満たすことである。
即ち、選択された映像データがユーザにとって貴重なものであるかどうかを判別することは、選択された映像データが視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データであるという削除条件に合致する属性を有する映像データであるどうかを判別することである。
以上のことから、甲第1号証には『CPU』は『選択された映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであるか否かを判別すること』、『当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断されると、その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで、削除処理を繰り返し実行すること』が記載され、また『削除条件は、選択された映像データが視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データであること』が記載されているといえる。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)をまとめると、甲第1号証には、次の方法の発明(以下、「甲1発明1」という。)、及び装置の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されている。
なお、甲1発明1については、発明の各構成に(1a)~(1f)の記号を付与し、以下、構成1a~1fと称する。
(甲1発明1)
(1a)ビデオレコーダにより、TV放送番組等の映像データをデジタル記録する方法であって、前記方法は、
(1b)ビデオレコーダのハードディスクドライブの空き記憶領域のサイズが現在録画予約されている全映像データの記録に必要な所定の空き記憶領域のサイズ以上あるか否かを判別することと、
(1c)前記空き記憶領域のサイズが前記所定の空き記憶領域のサイズよりも少ない場合、タイトル管理情報に基づいて、削除対象の映像データを選択する処理を実行することと、
(1d)選択された映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであるか否かを判別することと、
(1e)当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断されると、その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで削除処理を繰り返し実行することと、
(1f)削除条件は、選択された映像データが視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データであること
を含む、方法。
(甲1発明2)
TV放送番組等の映像データをデジタル記録するビデオレコーダであって、前記ビデオレコーダは、
CPU及びハードディスクドライブを備え、
CPUは、ハードディスクドライブの空き記憶領域のサイズが現在録画予約されている全映像データの記録に必要な所定の空き記憶領域のサイズ以上あるか否かを判別することと、
前記空き記憶領域のサイズが前記所定の空き記憶領域のサイズよりも少ない場合、削除対象の映像データを選択する処理を実行することと、
選択された映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであるか否かを判別することと、
当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断されると、その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで削除処理を繰り返し実行することと、
削除条件は、選択された映像データが視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データであること
を行うように構成されている、ビデオレコーダ。
(b)甲第2号証
ア.甲第2号証に記載された事項
甲第2号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る情報記録再生方法,情報記録再生装置,および番組情報配信システムについて図面を参照しながら説明する。(実施の形態1)以下、本発明の実施の形態1について図1、図2を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態1による情報記録再生装置(ハードディスクレコーダ)の構成を示すブロック図である。図において、101は入力部、102はMPEGエンコーダ、103は記憶装置、104はMPEGデコーダ、105は出力部、106は再放送記録部、107は再放送判別部、108は番組削除部、109は番組情報記録部、110は番組情報通知部である。
【0033】通常、放送されている番組を情報記録再生装置により記録するときには、まず放送されている番組を入力部101で受信し、受信した番組の映像音声データをMPEGエンコーダ102で圧縮し、圧縮した映像音声データを記憶装置103へ記録する。また、通常、情報記録再生装置により番組を再生するには、記憶装置103に記録されている番組の映像音声データをMPEGデコーダ104で復号し、復号した映像音声データを出力部105を通して再生する。
【0034】記憶装置103に録画されている番組は、メニュー形式による録画番組一覧表によりディスプレイ(図示せず)に表示される。ユーザーが録画番組一覧表から気に入った番組を永久保存したい際に、リモコンなどの操作手段(図示せず)を用いてメニュー表示されている録画番組から気に入った番組を選択する。
【0035】ユーザーからの番組録画予約の指示を受けた再放送判別部107は、最初に記憶装置103からEPGを取得し、取得したEPGを検索し、記憶装置103に記録されているユーザのお気に入り番組が再放送されるかどうかを判別する。なお、再放送判別部107によるEPGの取得方法は、他にもEPGを蓄積する情報記録装置を備えたデジタル放送受信装置からEPGを取得したり、また、EPGを配信するサーバーからネットワークを通じて取得する方法がある。
【0036】再放送判別部107により前記番組が再放送されることが判別した場合、再放送記録部106はこの再放送番組の録画予約を自動的に行う。その後、録画予約した番組が放送されるときに、番組削除部108は、記憶装置103に低ビットレートで記録されている同じ番組の映像音声データを消去する。同時に再放送記録部106は、入力部101で受信した前記番組をMPEGエンコーダ102で高ビットレートで圧縮し高い品質で記憶装置103へ記録する。また、再放送判別部107により前記番組が再放送されることが判別した場合、番組情報通知部110は再放送番組の番組情報をユーザーに通知し、再放送番組の録画予約をするかどうかユーザーに選択させてもよい。」
「【0038】次に、本発明の実施の形態1における情報記録再生装置による情報記録再生方法について図1,図2を用いて説明する。図2は本発明の実施の形態1による情報記憶再生方法のフローチャート図である。
【0039】まず、ステップS201において、ユーザーはメニュー表示されている録画番組の中に気に入っている番組があれば、その番組をリモコンなどの操作部を用いて選択する。ステップS202に進み、ユーザーが気に入った番組が記憶装置103に低い画質、即ち低ビットレートで記録されている場合はステップS203へ進み、番組がすでに最高画質で録画されている場合は再録画する必要はないのでENDへ進む。
【0040】ステップS203において、再放送判別部107は、記憶装置103に記録されているEPGを用いてユーザーのお気に入り番組の検索を行い、その番組が再放送される番組であるかどうかを判別する。ステップS204において、再放送判別部107により上記番組が再放送されることが判別した場合はステップS205へ進み、上記番組が再放送されないことが判別した場合はENDへ進む。」
イ.甲第2号証に記載された技術
甲第2号証の以上の記載によれば、甲第2号証には、番組の圧縮した映像音声データを記録する情報記録再生装置(ハードディスクレコーダ)において(段落0032、0033)、ユーザーが録画番組一覧表から気に入った永久保存したい番組を選択すると(段落0034)、ユーザのお気に入り番組が低ビットレートで記録されている場合は、再放送されるかどうかを判別し(段落0035、0039、0040)、前記番組が再放送されることが判別した場合、この再放送番組の録画予約を自動的に行い、その後、録画予約した再放送番組の放送が開始されるときに、低ビットレートで記録されている同じ番組を消去し、前記番組を高ビットレートで記録する(段落0036)ことが記載されている。
即ち、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されている。
(甲2技術)
情報記録再生装置(ハードディスクレコーダ)において、ユーザーが録画番組一覧表から永久保存したい番組を選択すると、当該番組が、低ビットレートで記録されている場合は、再放送されるかどうかを判別し、当該番組が再放送される場合には、再放送番組の録画予約を自動的に行い、その後、再放送番組の放送が開始されるときに、低ビットレートで記録されている同じ番組を消去し、再放送番組を高ビットレートで記録する技術。
(c)甲第3号証
ア.甲第3号証に記載された事項
甲第3号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、固定ディスク駆動装置を搭載したハードディスクビデオレコーダなどに適用して好適な記録再生装置及びファイル管理方法に関する。
【0002】詳しくは、ハードディスクビデオレコーダなどにおいて、固定ディスク駆動装置に記録されたデジタル情報内容をファイル管理する制御装置を備え、予め設定された記録容量以下になると消去条件に応じて記録済みのデジタル情報内容をファイル毎に消去して、予め設定した下限記録容量以上の空き領域を自動的に確保できるようにすると共に、所定の記録容量の中でデジタル情報内容をファイル毎に管理できるようにしたものである。」
「【0016】(1)実施形態
図1は本発明の実施形態としての記録再生装置10の構成例を示すブロック図である。この実施形態では、デジタル情報内容を記録及び再生する場合に、固定ディスク駆動装置に記録されたデジタル情報内容をファイル管理する制御装置を備え、予め設定された記録容量以下になると消去条件に応じて記録済みのデジタル情報内容をファイル毎に消去して、固定ディスク駆動装置に予め設定した下限記録容量以上の空き領域を自動的に確保できるようにすると共に、所定の記録容量の中でデジタル情報内容をファイル毎に管理できるようにしたものである。」
「【0020】この例では、操作部21によって制御装置5に対してファイル#iの消去優先度の順位を設定することもなされる。その際の消去優先度の順位は再生済みで記録再生年月日の古いファイル3iを最上位とし、以下、未再生分で記録年月日の古いファイル#iを次位とし、消去禁止情報D2を付加されたファイル#iを最下位となされる。制御装置5ではこの消去優先度の順位に従ってファイル#iに係るデジタル情報内容D1を消去(削除)するようになされる。」
イ.甲第3号証に記載された技術
甲第3号証の以上の記載によれば、甲第3号証には、記録再生装置(ハードディスクビデオレコーダ)において、固定ディスク駆動装置に予め設定した下限記録容量以上の空き領域を自動的に確保できるように、消去優先度に応じて記録済みのデジタル情報内容をファイル毎に消去するものであり、消去優先度の順位は、再生済みで記録再生年月日の古いファイルを最上位とし、以下、未再生分で記録年月日の古いファイルを次位とし、消去禁止情報を付加されたファイルを最下位とすることが記載されている。
即ち、甲第3号証には、次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されている。
(甲3技術)
記録再生装置(ハードディスクビデオレコーダ)において、記録容量の空き領域を確保するために、再生済みファイルを優先して消去する技術。
(d)甲第4号証
ア.甲第4号証に記載された事項
甲第4号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「【0009】
本発明の原理によれば、強化されたPVR関連機能を提供する双方向テレビ・アプリケーションが、テレビ・システム上で実現される。
【0010】
PVR及びセットトップ・ボックスの番組ガイド機能、機能性、及び、情報を統合した双方向テレビ・アプリケーションが実現される。例えば、ケーブル・セットトップ・ボックス上で動く双方向テレビ番組ガイドなどの双方向テレビ番組ガイドにおいてPVR機能、機能性、及び、情報を提供する双方向テレビ・アプリケーションが実現される。このような特徴を統合した他の構成が用いられてもよい。
【0011】
本双方向テレビ・アプリケーションは、番組一覧表オプション、ビデオ・オン・デマンド・オプション、ペイ・パー・ビュー(PPV)オプション、又は、現在の天気オプションなどの双方向サービスを行うオプションを含むメインメニュ・ディスプレイ画面を表示する。メインメニュ・ディスプレイ画面は、録画オプション、録画予約オプション、及び、消去優先度オプションなどのPVR関連オプションを含む。」
「【0086】
ステップ651において、本双方向テレビ・アプリケーションにより、ユーザは、番組に対して録画優先度を設定することができる。録画優先度オプションは、例えば、「見逃せない(can’t miss)」優先度、「できれば見逃したくない(if possible)」優先度、「望ましくは見逃したくない(desired)」優先度、又は、「スペースが空いていれば録画したい(if space available)」優先度、などのあらゆる適切な録画優先度を含む。「見逃せない」優先度は、例えば、同時に放送されている他のすべての番組に優先して録画されなければならず、その番組のためのスペースを空けるためであれば録画が消去されてもよい、ことを示す。「できれば見逃したくない」優先度は、例えば、その番組は、同時に放送されている「見逃せない」番組と重ならない限り、或いは、録画されている「見逃せない」番組を消去しなくて済む限り、可能であれば録画されるべきである、ことを示す。「望ましくは見逃したくない」優先度は、例えば、「見逃せない」優先度の番組又は「できれば見逃したくない」優先度の番組と重ならない限り、或いは、録画されている「見逃せない」優先度の番組又は「できれば見逃したくない」優先度の番組を消去しなくて済む限り、ユーザはその番組を録画したい、ことを示す。「スペースが空いていれば録画したい」優先度は、例えば、録画するスペースがあり、且つ、より高い優先度の番組のいずれとも重ならない場合に、録画されるべきである、ことを示す。」
「【0133】
必要に応じて、ある番組に対してセットされた録画優先度が、その番組の録画に対する消去優先度に変換可能であってもよい。この変換の一例として、例えば、録画優先度が「見逃せない」優先度にセットされた番組は、その番組が録画されたときに「絶対に消去してはならない(never delete)」消去優先度に変換される。残りの録画優先度オプションも、対応する消去優先度オプションを有する。」
「【0203】
本双方向テレビ・アプリケーションは、ストレージ・スペースを管理するために番組を自動的に消去する場合もある。消去優先度設定は、いずれの録画が双方向テレビ・アプリケーションによって消去されるかを管理するのに用いられる。図38は、双方向テレビ・アプリケーションによって提供される消去優先度セットアップ・ディスプレイ画面930を示す。ディスプレイ画面930により、ユーザは、1つの番組に対して消去優先度設定をセットすることができる。ディスプレイ画面930は、図37の消去優先度オプション2330がユーザによって選択されると表示される。ディスプレイ画面930は、消去プリファレンス・オプション932と、消去順序編集オプション942とを含む。
【0204】
本双方向テレビ・アプリケーションにより、ユーザは、消去プリファレンス・オプション932を用いて、録画に対する消去プリファレンスを選択することができる。ユーザは、オプション932を用いて、様々な消去プリファレンス設定をスクロールすることができる。録画に対してセットできる消去プリファレンス設定は、決して消去しない設定、好ましい録画として録画された録画用の設定、スペースが必要であれば消去する設定、見たら消去する設定、などの設定が考えられる。決して消去しない設定が選択されると、双方向テレビ・アプリケーションは、ユーザが具体的にその録画の消去を要求しない限り、その録画を消去しない。好ましい録画設定が選択されると、双方向テレビ・アプリケーションは、好ましい録画設定を有する録画を消去する前に好ましい録画設定を持たない録画を消去する。スペースが必要であれば消去する設定が選択されると、双方向テレビ・アプリケーションは、番組を録画するスペースが必要なとき、その番組を消去できる。必要に応じて、双方向テレビ・アプリケーションが、いずれの番組を消去するか判断する際に、最初に録画に対する優先度をチェックし、次いで、録画されてからの経過年数をチェックしてもよい。必要に応じて、番組は2つの消去優先度を持ってもよい。一方は番組を見る前に用いられるもの、他方は番組を見た後に用いられるものである。」
イ.甲第4号証に記載された技術
甲第4号証の以上の記載によれば、甲第4号証には、PVR及びセットトップ・ボックスにおいて実現される双方向テレビ・アプリケーションが(段落0009、0010)、番組に対して、決して消去しない設定、好ましい録画として録画された録画用の設定、スペースが必要であれば消去する設定、見たら消去する設定、などの録画優先度を設定し(段落0011、0086、0133、0204)、ストレージ・スペースを管理するために番組を自動的に消去する場合、消去優先度に従って番組を消去する(段落0203)ことが記載されている。
即ち、甲第4号証には、次の技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されている。
(甲4技術)
PVR及びセットトップ・ボックスにおいて実現される双方向テレビ・アプリケーションが、番組に対して、決して消去しない設定、好ましい録画として録画された録画用の設定、スペースが必要であれば消去する設定、見たら消去する設定、などの録画優先度を設定し、ストレージ・スペースを管理するために番組を自動的に消去する場合、消去優先度に従って番組を消去する技術。
b.本件発明1について
(a)本件発明1
本件発明1は、前記「第2 本件発明」に示した請求項1に係る発明であるが、ここに再掲する。
[本件発明1]
A 番組を録画する方法であって、前記方法は、
B 録画装置上に第1の番組を録画するために空間が必要とされるか否かを決定することと、
C 前記録画装置上の録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有する、ことと、
D 前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより、前記第1の番組のための前記録画装置上の空間を解放することと、
E 録画のために、前記識別された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールすることであって、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送は、前記第1の番組を録画するために空間が必要とされることを決定することと、前記録画された番組または番組の一部分を識別することとに基づいて、録画のためにスケジュールされる、ことと、
F 前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内に少なくとも部分的に前記第1の番組を録画することと
を含む、方法。
(b)本件発明1と甲1発明1との対比
本件発明1と、上記a(a)イにおいて認定した甲1発明1とを対比する。
ア.本件発明1の構成Aについて
甲1発明1の構成1aの「ビデオレコーダにより、TV放送番組等の映像データをデジタル記録する方法」は、TV放送番組を記録する方法であるから、本件発明1の構成Aの「番組を録画する方法」に相当する。
イ.本件発明1の構成Bについて
甲1発明1の「ビデオレコーダ」(構成1a)は、本件発明1の「録画装置」に対応する。また、甲1発明1の「現在録画予約されている全映像データ」(構成1b)は、録画装置に録画する番組の映像データであるから、本件発明1の「第1の番組」に対応する。
甲1発明1は、「ビデオレコーダのハードディスクドライブの空き記憶領域のサイズが現在録画予約されている全映像データの記録に必要な所定の空き記憶領域のサイズ以上あるか否かを判別」(構成1b)するものであって、甲1発明1の『空き記憶領域のサイズが必要なサイズ以上であるか否かを判別』することは、「番組を録画するために空間が必要とされるか否かを決定」することに相当する。
以上のことから、甲1発明1は、本件発明1の構成Bの「録画装置上に第1の番組を録画するために空間が必要とされるか否かを決定すること」を備えているといえる。
ウ.本件発明1の構成Cについて
(ア)甲1発明1は、「前記空き記憶領域のサイズが前記所定の空き記憶領域のサイズよりも少ない場合、削除対象の映像データを選択する処理を実行」(構成1c)し、「選択された映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであるか否かを判別」(構成1d)するものである。
ここで、甲1発明1の「選択された映像データ」は、ビデオレコーダのハードディスクドライブに記録されたTV放送番組等の映像データであるから、「録画装置上の録画された番組」といえる。
そして、本件発明1は「録画装置上の録画された番組または番組の一部分」という選択記載を有しており、甲1発明1の「選択された映像データ」は、本件発明1の選択的に記載された複数の発明の構成の「録画装置上の録画された番組」及び「録画装置上の録画された番組の一部分」のうちの一方の構成である「録画装置上の録画された番組」に相当する。
したがって、甲1発明1の「選択された映像データ」は、本件発明1の「録画装置上の録画された番組または番組の一部分」に対応するものといえる。
本件発明1の構成Cの「録画された番組または番組の一部分を識別すること」は、前記録画された番組または番組の一部分が削除優先度を有するものであるかを識別することと認められる。
そうすると、甲1発明1の「選択された映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであるか否かを判別」することは、選択された映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであるかを「識別する」ことといえる。
よって、甲1発明1は、本件発明1の構成Cの「前記録画装置上の録画された番組または番組の一部分を識別することであって」に対応する構成を有している。
(イ)甲1発明1において、「選択された映像データ」が属性として有する削除条件は、「視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データであること」(構成1f)である。
本件発明1においては、「前記録画された番組または番組の一部分は、前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度を有する」ものであるから、甲1発明1の「選択された映像データ」と本件発明1の「前記録画された番組または番組の一部分」は、番組を削除するために参照する情報である『番組削除情報』を有している点で共通する。
ただし、この『番組削除情報』について、本件発明1では、「前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度」であるのに対し、甲1発明1では「視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データである削除条件」である点で、両者は相違する。
(ウ)以上をまとめると、本件発明1と甲1発明1は、
「前記録画装置上の録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、番組削除情報を有する」ことで共通し、
「番組削除情報」について、本件発明1では、「前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度」であるのに対し、甲1発明1では「視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データである削除条件」である点で相違する。
エ.本件発明1の構成Dについて
甲1発明1は、「当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断されると、その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで削除処理を繰り返し実行する」(構成1e)ものである。
ここで、「当該映像データ」は「選択された映像データ」であり、「選択された映像データ」が「削除条件に合致する属性を有する映像データ」であると判断されたものであると、上記ウ(ア)の検討によれば、その「選択された映像データ」は、本件発明1の「識別された録画された番組または番組の一部分」に対応するものである。
また、「その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで削除処理を繰り返し実行する」ことは、甲1発明1の構成1bの「現在録画予約されている全映像データの記録に必要な」十分な空き記憶領域のサイズの容量を確保することといえ、空き記憶領域を確保することは、空間を解放することといえる。
そして、「現在録画予約されている全映像データ」は、上記イにおいて検討したように本件発明1の「第1の番組」に相当する。
以上のことから、甲1発明1は、本件発明1の構成Dの「前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより、前記第1の番組のための前記録画装置上の空間を解放すること」を備えているものといえる。
オ.本件発明1の構成Eについて
甲1発明1は、削除対象の映像データとして、再放送予定がある番組の映像データを選択するもの(構成1f)であるが、当該再放送予定がある番組の録画のために自動的にスケジュールする構成は備えていない。
したがって、甲1発明1は、本件発明1の構成Eの「録画のために、前記識別された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールすることであって、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送は、前記第1の番組を録画するために空間が必要とされることを決定することと、前記録画された番組または番組の一部分を識別することとに基づいて、録画のためにスケジュールされる」ことを備えていない点で、本件発明1と相違する。
カ.本件発明1の構成Fについて
上記エにおいて検討したように、甲1発明1の「当該映像データが削除条件に合致する属性を有する映像データであると判断されると、その映像データをハードディスクドライブから削除する処理を実行し、十分な空き容量が確保されるまで削除処理を繰り返し実行する」(構成1e)ことは、「現在録画予約されている全映像データの記録に必要な」十分な空き記憶領域のサイズの容量を確保するものであるから、甲1発明1において、その確保された空き記憶領域に現在録画予約されている全映像データを記録することは明らかなことである。また、削除条件に合致する属性を有する映像データを削除することにより確保された空き記憶領域は、当該映像データを削除することにより解放された空間といえる。
そして、「削除条件に合致する属性を有する映像データ」は、上記エにおいて検討したように、本件発明1の「識別された録画された番組または番組の一部分」に対応するものであり、「現在録画予約されている全映像データ」は、上記イにおいて検討したように本件発明1の「第1の番組」に相当する。
そうすると、甲1発明1は、「前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内に前記第1の番組を録画すること」という構成を備えている点で、本件発明1の構成Fと共通するものといえる。
しかしながら、本件発明1は、解放された前記空間内に「少なくとも部分的に」前記第1の番組を録画するのに対し、甲1発明1は、現在録画予約されている全映像データを全て記録するものであって、「少なくとも部分的に」記録するものではない点において、両者は相違する。
キ.まとめ
以上の対比結果をまとめると、本件発明1と甲1発明1との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。
[一致点]
番組を録画する方法であって、前記方法は、
録画装置上に第1の番組を録画するために空間が必要とされるか否かを決定することと、
前記録画装置上の録画された番組または番組の一部分を識別することであって、前記録画された番組または番組の一部分は、番組削除情報を有する、ことと、
前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより、前記第1の番組のための前記録画装置上の空間を解放することと、
前記識別された録画された番組または番組の一部分を削除することにより解放された前記空間内に前記第1の番組を録画することと
を含む、方法。
[相違点]
(相違点1)
「番組削除情報」について、本件発明1では、「前記録画された番組または番組の一部分の削除および前記録画された番組または番組の一部分の将来の伝送の録画を許可する削除優先度」であるのに対し、甲1発明1では「視聴済みの映像データであり、再放送予定がある番組の映像データである削除条件」である点。
(相違点2)
甲1発明1は、削除対象の映像データとして、再放送予定がある番組の映像データを選択するものであるが、当該再放送予定がある番組の録画のために自動的にスケジュールする構成は備えていないため、本件発明1の「録画のために、前記識別された録画された番組または番組の一部分の将来の伝送を自動的にスケジュールすることであって、前記識別された録画された番組または番組の一部分の前記将来の伝送は、前記第1の番組を録画するために空間が必要とされることを決定することと、前記録画された番組または番組の一部分を識別することとに基づいて、録画のためにスケジュールされる」ことを備えていない点。
(相違点3)
本件発明1は、解放された前記空間内に「少なくとも部分的に」前記第1の番組を録画するのに対し、甲1発明1は、現在録画予約されている全映像データを全て記録するものであって、「少なくとも部分的に」記録するものではない点。
(c)相違点の判断
まず、上記相違点2について検討する。
前記a(b)イに示したように、甲第2号証に記載される甲2技術は「情報記録再生装置(ハードディスクレコーダ)において、ユーザーが録画番組一覧表から永久保存したい番組を選択すると、当該番組が、低ビットレートで記録されている場合は、再放送されるかどうかを判別し、当該番組が再放送される場合には、再放送番組の録画予約を自動的に行い、その後、再放送番組の放送が開始されるときに、低ビットレートで記録されている同じ番組を消去し、再放送番組を高ビットレートで記録する技術」である。
甲2技術は、情報記録再生装置(ハードディスクレコーダ)において、番組を選択することを契機として、当該番組の「再放送番組の録画予約を自動的に行い」、「同じ番組を消去」する、即ち、再放送される録画番組を自動的に録画予約して削除する録画装置の方法である点においては、本件発明1の「識別された録画された番組」の「将来の伝送を自動的にスケジュール」し(相違点2、構成E)、当該「識別された録画された番組」を「削除する」こと(構成D)に相当するものといえる。
しかしながら、番組を選択することの契機とユーザが選択する番組について、甲2技術は、ユーザーが録画番組から永久保存したい番組を選択することを契機として、当該録画番組の再放送番組の録画予約と録画番組の削除を行う技術であって、甲1発明1の、ユーザが新たな番組を録画するために録画番組を削除することが必要となることを契機として、ユーザが選択した新たに録画する番組とは異なる再放送予定のある録画番組を削除する技術とは異なるものである。
即ち、甲2技術は、甲1発明1の『ユーザが新たな番組を録画するために録画番組を削除することが必要となることを契機として、ユーザが選択した新たに録画する番組とは異なる再放送予定がある録画番組を削除し、新たな番組を録画するための容量を確保する』という技術とは技術思想が異なるものであるから、甲1発明1に甲2技術を適用しようとする動機付けは見出せない。
さらに、たとえ甲2技術を甲1発明1に適用したとしても、甲2技術は『ユーザーが永久保存したい番組を選択することを契機として、当該録画済みの低ビットレートで記録された番組が再放送される場合には、再放送番組の録画予約を自動的に行い、未来の再放送番組の放送時に、再放送番組を高ビットレートで録画し、重複する低ビットレートで記録されている同じ番組は不要であるから消去する』という技術思想を有するものであり、本件発明1の『新たな番組を録画するために録画済み番組を削除することが必要となることを契機として、将来の伝送(再放送)がある録画済み番組を、将来の伝送(再放送)を自動的にスケジュール(録画予約)して削除する』という技術とは技術思想が異なるものであるから、本件発明1の構成に到達するものでもない。
また、前記a(c)イに示した甲3技術、前記a(d)イに示した甲4技術も、本件発明1の相違点2に係る構成を開示するものではない。
したがって、本件発明1は、当業者が相違点2に係る構成を容易に導き出すことはできないから、相違点1及び相違点3について検討するまでもなく、甲1発明1及び甲2~4技術から、当業者が容易になし得るものとはいえない。
(d)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に該当しない。
c.本件発明2~8について
(a)本件発明2~4
本件発明2~4は、本件発明1を引用する発明であるから、本件発明1と同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に該当しない。
(b)本件発明5~8
本件発明5は、本件発明1の方法の発明に対応するシステムの発明であって本件発明1に対応する構成を備えるものであるから、上記a(a)イにおいて認定した甲1発明2と対比すると、その判断は本件発明1と同様に甲1発明2及び甲2~4技術から、当業者が容易になし得るものとはいえない。
本件発明6~8は、本件発明5を引用する発明であるから、本件発明5と同様である。
したがって、本件発明5~8は、本件発明1と同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に該当しない。
第4 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項2、4、6及び8の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものである。
したがって、本件請求項2、4、6及び8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件請求項1、3、5及び7に係る特許ついては、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1、3、5及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-701148