特許異議申立
2017-700823
AMPK活性化剤
- 審判番号
- 2017-700823
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-154973
- 登録番号
- 特許第6086953号(P6086953)
- 請求日
- 2017年09月01日
- 審決日
- 2018年03月19日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】オリザ油化株式会社
- 【異議申立人】杉本 好章
- 審判長/審判官
- 審判長 内藤 伸一
- 審判官 蔵野 雅昭
- 審判官 前田 佳与子
- 分類
- P1651.111-ZC (A61K) / P1651.113-ZC (A61K) / P1651.121-ZC (A61K) / P1651.536-ZC (A61K) / P1651.537-ZC (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項1号特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第1号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6086953号発明「AMPK活性化剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6086953号の請求項2に係る特許を取り消す。
同請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6086953号の請求項1~2に係る特許は、平成29年2月10日付けでその特許権の設定登録がされ、同年3月1日にその特許掲載公報が発行されたものである。
その後、平成29年9月1日に特許異議申立人杉本好章より請求項1~2に対して特許異議の申立てがなされ、平成29年11月10日付けで請求項2に係る特許について取消理由が通知され、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかったものである。
第2 本件特許発明
特許第6086953号の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
黒ショウガ抽出物を有効成分とするAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)。
【請求項2】
5,7-ジメトキシフラボンを有効成分とするAMPK活性化剤。」
第3 当審の判断
1 本件請求項2に係る特許について
本件請求項2に係る特許について、平成29年11月10日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
そして、上記の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件請求項2に係る特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。
2 本件請求項1に係る特許について
(1) 本件請求項1に係る特許について特許異議申立人杉本好章が申し立てた取消理由の概要
特許異議申立人本田史樹は、本件請求項1に係る特許は取り消すべきものである旨主張し、その理由として、以下の理由3~7を主張し、証拠方法として甲第1~12号証を提出している。
取消理由3
本件特許発明1は、甲第5号証に記載された発明と、甲第1、4、6、7号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由4
本件特許発明1は、甲第8号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由5
本件特許発明1は、甲第9号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、甲第9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由6
本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許発明1は特許を受けることができないものであり、本件特許発明1に係る本件特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由7
本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許発明1は特許を受けることができないものであり、本件特許発明1に係る本件特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
証拠方法
甲第1号証 Youngwoo Song、5,7-Dimethoxyflavone attenuates obesity by inhibiting adipogenesis and enhances exercise capacity by increaing mitochondrial biogenesis and skeletal muscle mass、Youngwoo Song氏修士論文、online、2015年3月16日公開、延世大学校ホームページ (http://dcollection.yonsei.ac.kr/jsp/common/DcLoOrgPer.jsp?sItemId=000000138402)
甲第4号証 Nutrition and Medicine,2015年,vol.3, no.S1
甲第5号証-1 日本栄養・食糧学会のウェブページにおいて、2014年5月2日に公開された、第68回日本栄養・食糧学会大会講演要旨であって、発表番号が3H-05pである講演の講演詳細が記載されている頁、公益社団法人日本栄養・食糧学会ウェブページ https://member.jsnfs.or.jp/eishoku_db/index.php?t_search_seq=1020
甲第5号証-2 日本栄養・食糧学会のウェブページにおいて、「第68回大会講演要旨閲覧サイト公開のお知らせ」との記載がある頁、公益社団法人日本栄養・食糧学会ウェブページ http://www.jsnfs.or.jp/news/news_20130430.html
甲第5号証-3 日本栄養・食糧学会のウェブページにおいて、お知らせとその掲載日が表の形式で記載されている頁、公益社団法人日本栄養・食糧学会ウェブページ,http://www.jsnfs.or.jp/news/
甲第6号証 Proc Natl Acad Sci USA,2007年,vol.104, no.29, pp. 12017-12022
甲第7号証 FOOD STYLE 21,2012年,Vol.16,No.11,pp. 52-55
甲第8号証 特開2014-31368号公報
甲第9号証 特開2014-114216号公報
甲第10号証 特願2015-154973 平成29年1月25日付け意見書
甲第11号証 オリザ油化株式会社 ニュースリリースのプリントアウト,http://www.oryza.co.jp/news
甲第12号証 Cell Cycle,2011年,vol.10,issue 16, pp.2640-2646
(2) 判断
ア 取消理由3について
(ア) 甲号証の記載
甲第5号証-1には、以下の記載がある。
なお、甲第5号証-1は、第68回日本栄養・食糧学会大会講演要旨を掲載した日本栄養・食糧学会のウェブページに関するものであるところ、甲第5号証-2に「4月30日(水)午前10時より第68回大会講演要旨閲覧サイトが公開となりました。」と記載されており、甲第5号証-3に第68回大会講演要旨閲覧サイト公開のお知らせの掲載日が 2014.05.02であることが記載されていることから、甲第5号証-1に記載されている事項の掲載日は、遅くとも、2014年5月2日であると認められる。
したがって、甲第5号証-1に記載されている発明は、本件特許の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能になった発明に該当する。
記載事項5-1
「【目的】ブラックジンジャー(Kaempferia parviflora)はタイ王国やラオスなどの東南アジアを原産とするショウガ科植物で、関節痛予防、血流改善や滋養強壮などに経験的に用いられている。我々は、これまでに食餌性肥満モデルマウスおよびヒトにおいて、ブラックジンジャー抽出物(KP抽出物)の抗肥満作用を確認しているが、その際に除脂肪量の増加という筋肉の増強が考えられる作用を見出した。近年、健康志向の高まりでエクササイズの普及が著しいと共に、ロコモティブシンドロームやサルコペニア(加齢性筋肉減少症)といった、高齢者向けの筋肉低下予防に関する認識が広まっており、筋肉増強素材に注目が集まっている。そこで、in vitroおよび in vivoにおいて、KP抽出物の筋肉におよぼす作用を検討した。
【方法】マウス骨格筋由来筋芽細胞(C2C12)を用いて、細胞の増殖、分化およびミトコンドリア機能について検討した。また6週齢のC57BL/6J雄性マウスにKP抽出物を50および150mg/kgの投与量で1週間に5日経口投与し、2ヵ月間飼育した。試験最終日に、筋力として握力およびワイヤーぶら下がり時間を測定し、筋肉量としてヒラメ筋および腓腹筋の重量を測定した。その他に採血を行い、脂肪量として腎周囲脂肪量を測定した。
【結果】KP抽出物はC2C12に対して、細胞増殖作用を示し、分化誘導時に発現するPgc-1α、Myodl及びMyogのmRNA発現促進作用を示した。また糖取り込みに関わるGlut4、β酸化に関わるAcabのmRNA発現促進作用も示した。さらに筋管形成後のミトコンドリア機能増強作用を示した。KP抽出物はin vivoにおいて、筋力および筋肉量の増加、腎周囲脂肪量の減少が認められた。よって、ブラックジンジャー抽出物の継続摂取により筋肉増強作用を得られることが示唆された。」(“要旨”の項)
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。なお、原文は英語で表記されているので、当審による邦訳を示す。
記載事項6-1
「我々はここに、PGC-1α、GLUT4、およびミトコンドリア遺伝子の誘導を含む、骨格筋での遺伝子発現における活性化AMPKによる多くの効果が、PGC-1タンパク質の存在を必要とすることを示す。」(第12017頁右欄第34行~第37行)
記載事項6-2
「したがって、野生型(WT)およびPGC-1α-/-マウス(40)から単離された初代筋肉細胞を、筋管に分化させ、続いて500μM AICAR、1mMメトホルミンまたはビヒクルで16時間処理した。両方の細胞型においてこれらの条件下でAMPKが活性化されたことを、抗pACCおよび抗pAMPKα抗体を用いたウエスタンブロッティングによって示した(図1A)。これらの処理は、PGC-1α[エキソン2内で測定された。なお、PGC-1α-/-マウスにも依然として存在する(参考文献40)]、GLUT4、ならびにシトクロムc、UCP-2およびUCP-3といったミトコンドリアにおけるいくつかのAMPKの標的遺伝子をコードするmRNAの発現において、有意な増加を誘導した(図1BおよびCおよび2A-C)。驚くべきことに、PGC-1を欠損した細胞では、この誘導の完全な切除を示した(図1BおよびCおよび2A-C)。さらに、遺伝子発現のこれらの増加は、AMPK阻害剤8-BrAMP(1mM)(41)とプレインキュベートした細胞ではほぼ完全にブロックされた(図1BおよびCおよび2A-C)。PGC-1βの発現は、AMPK活性化においても変化はなく、活性型AMPKがPGC-1αを特異的に誘導することが示された(図1D)。この知見は、AMPK活性化を介したGLUT4およびミトコンドリア遺伝子の誘導のために、PGC-1αが絶対に必要であることを示す。」(第12018頁左欄第4行~第12019頁左欄第5行)
記載事項6-3
「
」(第12018頁)
記載事項6-4
「PGC-1αの直接リン酸化を介した、骨格筋におけるAMPKの作用」(第12018頁 タイトル)
甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
記載事項7-1
「黒ショウガは熱帯地方で栽培するショウガ科ケンペリア属の植物で、学術名をKaempferia parvifloraという。日本では「黒ショウガ」または「黒ウコン」と呼ばれている。」(第52頁左欄下から13行目~下から10行目)
記載事項7-2
「黒ショウガは機能性成分として十数種類のフラボノイド類を含有している。中でも特徴的な成分としては、ポリメトキシフラボン化合物である。当社では京都薬科大学との共同研究において、黒ショウガエキスの中に、8種類のポリメトキシフラボンを同定し、その中で最も含有量の多い成分が5,7-ジメトキシフラボンであることを確認した(図2)。」(第52頁右欄下から6行目~第53頁左欄1行目)
記載事項7-3
「
」(第52頁右欄図2)
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。なお、必要に応じ、当審による訳で示す。
記載事項1-1
「
」(表紙)
記載事項1-2
「5,7-Dimethoxyflavone(DMF)・・」(ABSTRACTのvi頁1行)
記載事項1-3
「DMFがミトコンドリア発生に関連する転写因子を制御するかどうかを調べるために、PGC-1α、NRF-1、TFAM、ERRα、PPARδ、およびAMPKの発現を調べた。DMFは、PGC-1αのタンパク質およびmRNAレベルを上方制御した。PGC-1αによって活性化されるNRF-1、TFAM、ERRαおよびPPARδ、ならびにPGC-1αを活性化するAMPKの発現もまた増加した(図13)。」(本文34頁11~15行)
記載事項1-4
「
」(本文35頁)
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。なお、必要に応じ、当審による訳を示す。
記載事項4-1
「International Symposium on Phytochemicals in Medicine and Food(ISPMF2015)は、欧州植物化学物質学会(PSE)およびアジア植物化学物質学会(PSA)の共催により、2015年6月26日~29日に中国上海で開催されました。」(序文の本文1~3行)
記載事項4-2
「Refreshment Break / Poster section 1 (No.1-60)(Room 5)」(Programme of the International Symposium on Phytochemicals in Medicine and Food(ISPMF2015)と題する表の「26 June, Friday」の「15:55-16:55」の行)
記載事項4-3
「・・
P: Posters ...............................................................................80
・・・
P33: Effect of 5,7-dimethoxyflavone on exercise capacity by increasing mitochondrial biogenesis ..............................................................................112
Jae-Kwan Hwang(Republic of Korea)」(Table of Contents の6~8頁)
記載事項4-4
「結果:L6骨格筋細胞において、DMFは、活性酸素種(ROS)産生の変化なしにミトコンドリア量を増加させた。DMFは、PGC-1αの発現を誘導するAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の発現を増加させた。また、DMFは、いずれもミトコンドリア生合成関連因子である、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ共役因子-1α(PGC-1α)、核呼吸因子-1(NRF-1)、ミトコンドリア転写因子A(TFAM)、エストロゲン関連受容体α(ERRα)、およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(PPARδ)の発現を正に制御した。」(112頁11~17行)
(イ) 検討
甲第5号証-1には、KP抽出物が、マウス骨格筋由来筋芽細胞(C2C12)において、分化誘導時に発現するPgc-1α、糖取り込みに関わるGlut4のmRNA発現促進作用を示したことが記載されている(記載事項5-1)。
ここで、甲第5号証-1のKP(Kaempferia parviflora)は、本件特許発明1の「黒ショウガ」と同一である(要すれば、本件明細書【0011】)。
そうすると、甲第5号証-1には以下の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「黒ショウガ抽出物を有効成分とする、Pgc-1αおよびGlut4のmRNA発現促進剤。」
本件特許発明1と甲5発明を対比すると、その一致点、相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「黒ショウガ抽出物を有効成分とする剤。」
<相違点1>
「剤」の用途について、本件特許発明1は、「AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)」であるのに対し、甲5発明では「Pgc-1αおよびGlut4のmRNA発現促進剤」である点。
相違点1について
甲第6号証には、野生型およびPGC-1α-/-マウスから単離された初代筋肉細胞を、筋管に分化させ、続いて500μM AICAR、1mMメトホルミンまたはビヒクルで16時間処理したところ、両方の細胞型においてAMPKが活性化されたこと、これらの処理は、PGC-1α(PGC-1α-/-マウスにも存在する。)、GLUT4などのミトコンドリアにおけるいくつかのAMPKの標的遺伝子をコードするmRNAの発現において、有意な増加を誘導し、驚くべきことに、PGC-1を欠損した細胞では、全く誘導されなかったこと、したがって、AMPK活性化を介したGLUT4およびミトコンドリア遺伝子の誘導のために、PGC-1αが絶対に必要であることが記載されている。
そうすると、甲第6号証の記載内容は、AMPKの作用について検討したところ、AMPKを活性化するとPGC-1αのmRNAの発現が誘導されることや、AMPKを活性化することによってミトコンドリア遺伝子であるGLUT4の発現を誘導するためにはPGC-1αが絶対に必要であることを発見した、というものであって、それとは逆に、PGC-1α及びGLUT4のmRNA発現が促進している場合にはAMPKが活性化されている、などということは記載も示唆もされていない。
してみれば、甲5発明においてもAMPKが活性化されていると甲第6号証から強く示唆されているとはいえない。
他方、甲第1号証には、DMF(5,7-ジメトキシフラボン)は、PGC-1αのタンパク質およびmRNAレベルを上方制御すること、ならびにPGC-1αを活性化するAMPKの発現も増加することが記載されており(記載事項1-3)、甲第4号証には、DMFが、PGC-1αの発現を誘導するAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の発現を増加させたこと、ミトコンドリア生合成関連因子である、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ共役因子-1α(PGC-1α)の発現を正に制御したことが記載されており(記載事項4-4)、甲第7号証には、黒ショウガは機能性成分として十数種類のフラボノイド類を含有していること、中でも特徴的な成分は、ポリメトキシフラボン化合物であること、黒ショウガエキスの中に、8種類のポリメトキシフラボンが同定され、その中で最も含有量の多い成分が5,7-ジメトキシフラボン(以下、「DMF」と表記する。)であることが記載されている。
そうすると、甲第1、4、7号証の記載を併せ見た当業者は、黒ショウガに含まれている機能性成分であるDMFは、筋肉細胞において、AMPKの活性化を介してPGC-1αのmRNA発現を誘導するという性質を有することは理解できるといえる。
しかしながら、甲5発明に接した当業者が甲5発明の用途を変更しようと試みた場合、黒ショウガそれ自体の性質を利用するのならばともかく、まず甲第7号証の記載をもとに、黒ショウガに多数含まれる機能性成分の一つに過ぎないDMFに着目し、さらに甲第1及び4号証に記載のAMPKの発現を増加するというDMFの性質を利用することまでもが格別の創意を要することなくなし得たこととはいえない。
以上のとおり、甲第5、6、7、1、4号証の記載に基いて、甲5発明の黒ショウガ抽出物を有効成分とするPgc-1αおよびGlut4のmRNA発現促進剤において、その用途を、AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)に変更することを、当業者が格別の創意を要することなく想到し得たとはいえない。
また、本件特許発明1は、黒ショウガ抽出物において、AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)という新たな用途を提供するという効果を奏し得たものであるところ、かかる効果は、甲第5、6、7、1、4号証の記載を総合しても当業者が予測することのできないものであると認められる。
したがって、本件特許発明1は、甲第5号証に記載された発明と、甲第1、4、6、7号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ) 小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲第5号証に記載された発明と、甲第1、4、6、7号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許発明1に係る特許は、取消理由3によって取り消すべきものであるとはいえない。
イ 取消理由4について
(ア) 甲号証の記載
甲第8号証には、以下の事項が記載されている。
記載事項8-1
「【0010】
本発明者らは、黒生姜の根茎の粉砕物、根茎の絞り汁または抽出物、これらの乾燥物、あるいは、その粉末化物等の黒生姜の根茎、茎、葉または花等の加工物が、交感神経系の働きを高めて褐色脂肪細胞の活動を増進させることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0011】
(1)黒生姜加工物品を含有することを特徴とする褐色脂肪細胞発化剤。
【0012】
(2)前記黒生姜加工物品が黒生姜の根茎を利用したものである(1)記載の褐色脂肪細胞活発化剤。」(段落【0010】~【0012】)
記載事項8-2
「【0023】
本願発明の褐色脂肪細胞活発化剤は、交感神経系の働きを高めて褐色脂肪細胞の活動を増進させることから、肥満症またはその合併症の予防または治療を目的として、動物あるいはヒトに与えることができる。通常の抗肥満剤は、脂肪細胞の代謝を活発化させるものが多いのに対し、本願発明の褐色脂肪細胞活発化剤による抗肥満効果は、その作用機序において異なる。
【0024】
さらに、本願発明の褐色脂肪細胞活発化剤は、褐色脂肪細胞の活動を増進し体温調節機能を向上したり基礎体温を上昇したりする働きを有すことから、これを摂取することにより、上記肥満症等の予防または治療以外にも、冷え症、低体温症等の予防や治療、ウイルスに対する免疫力の向上等に資することができる。さらにこれらに加えて、褐色脂肪細胞の活動低下を起因とする、高血圧、耐糖能低下、脂質代謝異常等の疾病の予防や改善を図ったり、安眠への誘導を行ったりすることも可能である。」(段落【0023】~【0024】)
(イ) 検討
甲第8号証には、黒生姜抽出物等の黒生姜加工物品が褐色脂肪細胞の活動を増進させ(記載事項8-1)、「肥満症またはその合併症」、「高血圧」、「耐糖能低下」、「脂質代謝異常」等の疾病の予防や改善を行うことができる(記載事項8-2)と記載されている。
したがって、甲第8号証には、以下の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されていると認められる。
「黒ショウガ抽出物を有効成分とする、肥満症もしくはその合併症、高血圧、耐糖能低下、または脂質代謝異常の予防または改善剤。」
本件特許発明1と甲8発明を対比すると、その一致点、相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「黒ショウガ抽出物を有効成分とする、剤」
<相違点2>
「剤」の用途について、本件特許発明1は、「AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)」であるのに対し、甲8発明では「肥満症もしくはその合併症、高血圧、耐糖能低下、または脂質代謝異常の予防または改善剤」である点。
相違点2について
甲第8号証には、黒生姜の抽出物等の黒生姜加工物品をAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)とすることについては記載も示唆もされていない。
この点について異議申立人は、本件特許発明1の「AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)」と、甲8発明の「肥満症もしくはその合併症、高血圧、耐糖能低下、または脂質代謝異常の予防または改善剤」は、いずれも黒ショウガ抽出物を「耐糖能異常」「高脂血症」「高血圧」「肥満」の予防及び治療用途に用いる点で一致するから、本件特許発明1に係る「AMPK活性化剤」との規定は、甲8発明と重複する医薬用途を新たな作用機序で表現したものにすぎず、本件特許発明1と甲8発明とは、有効成分および医薬用途の二つの観点において区別できないし、また、甲第8号証の開示内容に基づいて、黒ショウガ抽出物を「耐糖能異常」「高脂血症」「高血圧」「肥満」の予防及び治療用途に用いることは当業者にとって容易であると主張する。(異議申立書33頁)
しかしながら、本件特許明細書の【0001】によれば、本件特許発明1に係るAMPK活性化剤は、耐糖能異常、高脂血症、高血圧、肥満の予防及び治療の用途のみならず、運動代替、細胞賦活、皮膚外用という用途も有するものである。してみると、本件特許発明1のAMPK活性化剤という用途は、甲8発明の用途を作用機序で表現したものとはいえない。また、甲8発明の褐色脂肪細胞活発化という作用と本件特許発明1のAMPK活性化という作用が同じものであるとはいえないから、かかる両作用に基づく治療対象の疾患が耐糖能異常、高脂血症、高血圧、肥満の点で重複しているとしても、該疾患に対する作用は互いに異なるものと解すべきである。
したがって、本件特許発明1と甲8発明は、医薬用途の点において別異のものであるし、AMPK活性化に基づく上記疾患に対する治療作用に想到することが当業者にとって容易であるともいえない。
そうすると、異議申立人の主張は、採用できない。
したがって、本件特許発明1は、甲8発明であるとはいえない。
また、甲8発明の用途をAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)に変更することを、当業者が格別の創意を要することなく想到し得たとはいえない。
(ウ) 小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲第8号証に記載された発明であるとはいえず、また、甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないから、本件特許発明1に係る特許は、取消理由4によって取り消すべきものであるとはいえない。
ウ 取消理由5について
(ア) 甲号証の記載
甲第9号証には、以下の事項が記載されている。
記載事項9-1
「【0002】
更年期障害とは、更年期におこる生理的な変化のためにおこるさまざまな障害をいう。更年期障害には、いわゆる更年期症状(狭義の更年期障害であり、更年期不定愁訴ともいわれる。)、高脂血症(動脈硬化症、高血圧、虚血性血管障害などがある。)、骨粗鬆症などがある。
【0003】
かかる更年期障害の原因としては、更年期における性ホルモンの低下が主たる原因として挙げられる。更年期においては、特に、性ホルモンの低下がみられ、これに伴い更年期障害が現れる。性ホルモンの低下は、特に女性において顕著であり、このため、更年期障害も女性においてより顕著に現れる。
ここで、女性ホルモンを上昇させることによって更年期障害を予防、治療作用を有するものとして、例えば、Jatropha macranthaを含有するものが知られている(特許文献1参照)。」(段落【0002】~【0003】)
記載事項9-2
「上記課題を解決するための本発明の技術的特徴は以下のとおりである。
1.黒ショウガ及び/または黒ショウガ抽出物を有効成分とするエストラジオール生成促進剤。
2.上記1.に記載のエストラジオール生成促進剤を有効成分とする更年期症状予防、治療剤。」(段落【0006】)
記載事項9-3
「結果及び実施例の効果
図1に示すように、コントロール郡と比べて、黒ショウガエキス15mg/kg群において、血清中Estradiol含量の増加傾向がみられた。さらに、黒ショウガエキス45mg/kg群では、血清中Estradiol含量が有意に上昇された(**:P<0.01)。
以上により、本実施例の黒ショウガ抽出物は、高齢マウスにおいて、血清中のエストラジオール含量を増加するので、生体内においてエストラジオールの生成を促進する作用を有し、これにより、更年期障害改善、骨粗鬆症などの予防・治療効果を有することが判る。」(段落【0047】)
(イ) 検討
甲第9号証には、黒ショウガ抽出物が生体内においてエストラジオールの生成を促進する作用を有し、「黒ショウガ及び/または黒ショウガ抽出物を有効成分とするエストラジオール生成促進剤」とすることができ、これを有効成分とすることにより、更年期症状の予防、治療剤とすることができること、黒ショウガ抽出物は、生体内においてエストラジオールの生成を促進する作用を有し、これにより、更年期障害改善、骨粗鬆症などの予防・治療効果を有することが記載されている(記載事項9-2、9-3参照)。
ここで、甲第9号証における「更年期障害」には、高脂血症(動脈硬化症、高血圧、虚血性血管障害などがある。)が含まれる(記載事項9-1)ので、甲第9号証には、以下の発明(以下、「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。
「黒ショウガ抽出物を有効成分とする、高脂血症(動脈硬化症、高血圧、虚血性血管障害などがある。)の予防または治療剤。」
本件特許発明1と甲9発明を対比すると、その一致点、相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「黒ショウガ抽出物を有効成分とする剤。」
<相違点3>
「剤」の用途について、本件特許発明1は、「AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)」であるのに対し、甲9発明では「高脂血症(動脈硬化症、高血圧、虚血性血管障害などがある。)の予防または治療剤」である点。
相違点3について
甲第9号証には、黒生姜の抽出物等の黒生姜加工物品をAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)とすることについては記載も示唆もされていない。
この点について異議申立人は、本件特許発明1の「AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)」と、甲9発明の「高脂血症(動脈硬化症、高血圧、虚血性血管障害などがある。)の予防または治療剤」は、いずれも黒ショウガ抽出物を「高脂血症」「動脈硬化症」「高血圧」の予防及び治療用途に用いる点で一致するから、本件特許発明1に係る「AMPK活性化剤」との規定は、甲9発明と重複する医薬用途を新たな作用機序で表現したものにすぎず、本件特許発明1と甲9発明とは、有効成分および医薬用途の二つの観点において区別できないし、また、甲第9号証の開示内容に基づいて、黒ショウガ抽出物を「高脂血症」「動脈硬化症」「高血圧」の予防及び治療用途に用いることは当業者にとって容易であると主張する。(異議申立書34頁)
しかしながら、本件特許明細書の【0001】によれば、本件特許発明1に係るAMPK活性化剤は、高脂血症、動脈硬化症、高血圧の予防及び治療用途のみならず、運動代替、細胞賦活、皮膚外用という用途も有するものである。してみると、本件特許発明1のAMPK活性化剤という用途は、甲9発明の用途を作用機序で表現したものとはいえない。また、甲9発明のエストラジオールの生成促進という作用と本件特許発明1のAMPK活性化という作用が同じものであるとはいえないから、かかる両作用に基づく治療対象の疾患が高脂血症、動脈硬化症、高血圧の点で重複しているとしても、該疾患に対する作用は互いに異なるものと解すべきである。
したがって、本件特許発明1と甲9発明は、医薬用途の点において別異のものであるし、AMPK活性化に基づく上記疾患に対する治療作用に想到することが当業者にとって容易であるともいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲9発明であるとはいえない。
また、甲9発明の用途をAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)に変更することを、当業者が格別の創意を要することなく想到し得たとはいえない。
(ウ) 小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲第9号証に記載された発明であるとはいえず、また、甲第9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないから、本件特許発明1に係る特許は、取消理由5によって取り消すべきものであるとはいえない。
オ 取消理由6(実施可能要件)について
(ア) 異議申立人の主張の要旨
取消理由6の要旨は、以下のとおりである。
本件特許発明1は、その用途として筋肉における代謝効率を高める用途を含むと認められるところ、AMPKにはαサブユニットがα1の場合とα2の場合とで少なくとも2通りの触媒アイソフォームが存在する。また、AMPKα1とAMPKα2とでは筋肉における機能が異なっており、AMPKα1は機械的負荷に応答した筋肥大に寄与するのに対し、AMPKα2はエネルギー欠乏に応答した骨格筋の代謝適応を制御することが知られている。
しかしながら、本件明細書に記載の実施例では、黒ショウガ抽出物が、AMPKα1とAMPKα2とのどちらを活性化しているのかについて、全く記載されていないから、発明の詳細な説明を参照しても、黒ショウガ抽出物を「筋肉における代謝効率を高める用途」に使用し得ることを当業者は理解することができない。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1に係るAMPK活性化剤(特に、その中でも「筋肉における代謝効率を高める用途」)の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。
(イ) 検討
発明の詳細な説明(段落【0037】)には、本件特許発明1について、マウス筋芽細胞株C2C12を60mm dishに播種し、7日間分化誘導用培地で分化誘導を行った後、黒ショウガエキス(KPE)10μg/mlの濃度で添加して培養した後、DMEMで細胞をwashし、RIPAbufを加え細胞を回収しLysate調整を行い、得られたLysateを用いてWestern Blottingを行い、活性型pAMPK及びTotal AMPKの発現量を調べたこと、及び、その結果が図1に記載されており、これらの記載によれば、黒ショウガエキスがAMPKの発現を活性化していることを確認することができる。
そうすると、当業者は、発明の詳細な説明の記載により、本件特許発明1の剤をAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)として使用することができるといえる。
これに対し、特許異議申立人は、甲第10~12号証の記載に言及しつつ、本件特許発明1は、筋肉における代謝効率を高める用途を包含するが、発明の詳細な説明には、黒ショウガ抽出物を筋肉における代謝効率を高める用途に使用し得ると理解できるような記載がないと主張する(異議申立書35~37頁)
しかしながら、本件特許発明1の剤の用途は、AMPK活性化剤であって、当業者がこの用途に本件特許発明1の剤を使用できることは上述のとおりである。異議申立人の上記主張は、独自の見解に基づくものであって、採用できない。
以上のとおりであるから、明細書の発明の詳細な説明の記載には、取消理由6にいう記載上の不備はなく、本件特許発明1に係る特許は、取消理由6によって取り消すべきものであるとはいえない。
カ 取消理由7(サポート要件)について
(ア) 異議申立人の主張の要旨
取消理由7の要旨は、以下のとおりである。
発明の詳細な説明に開示された内容からは、黒ショウガ抽出物を「筋肉における代謝効率を高める用途」に使用し得るとはいえないから、当該用途を包含する、本件特許発明1の「AMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)」の範囲にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
(イ) 検討
発明の詳細な説明の記載には、「【発明が解決しようとする課題】」と題して、段落【0008】に「 即ち、本発明は、新規なAMPK活性化剤を提供することを目的とする。」と記載されている。
したがって、本件特許発明1が解決しようとする課題は、「新規なAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)を提供すること」であると認められる。
発明の詳細な説明(段落【0037】)には、本件特許発明1について、マウス筋芽細胞株C2C12を60mm dishに播種し、7日間分化誘導用培地で分化誘導を行った後、黒ショウガエキス(KPE)10μg/mlの濃度で添加して培養した後、DMEMで細胞をwashし、RIPAbufを加え細胞を回収しLysate調整を行い、得られたLysateを用いてWestern Blottingを行い、活性型pAMPK及びTotal AMPKの発現量を調べたこと、及び、その結果が図1に記載されている。
そして、これらの記載によれば、黒ショウガエキスがAMPKの発現を活性化していることを確認することができるから、本件特許発明1は、新規なAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)を提供することという課題を解決することができるものであると認められる。
これに対し、特許異議申立人は、甲第10~12号証の記載に言及しつつ、本件特許発明1が解決しようとする課題は、筋肉における代謝効率を高める用途を包含するが、発明の詳細な説明には、黒ショウガ抽出物を筋肉における代謝効率を高める用途に使用し得ると理解できるような記載がないと主張する(異議申立書35~37頁)
しかしながら、本件特許発明1が解決しようとする課題は、新規なAMPK活性化剤(筋持久力増強剤を除く)を提供することであって、本件特許発明1がこの課題を解決することができるものであることは上述のとおりである。異議申立人の上記主張は、独自の見解に基づくものであって、採用できない。
以上のとおりであるから、特許請求の範囲の記載には、取消理由7にいう記載上の不備はなく、本件特許発明1に係る特許は、取消理由7によって取り消すべきものであるとはいえない。
第4 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許発明1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、平成29年11月10日付け取消理由通知で説示したように、本件特許発明2は、引用文献1に記載された発明であるから、本件特許発明2に係る本件特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない発明に対してなされたものであり、
本件特許発明2は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明2に係る本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
引用文献4によれば、本件特許発明2は、本件特許の出願前公然知られた発明であるから、本件特許発明2に係る本件特許は、特許法第29条第1項第1号に該当し特許を受けることができない発明に対してなされたものであり、
引用文献4によれば、本件特許発明2は、本件特許の出願前公然知られた発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明2に係る本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
したがって、本件特許発明2に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700823