特許異議申立
2017-700789
開閉装置
- 審判番号
- 2017-700789
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-165020
- 登録番号
- 特許第6083971号(P6083971)
- 請求日
- 2017年08月14日
- 審決日
- 2018年07月31日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】文化シヤッター株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人 英知国際特許事務所
- 【権利者代理人】小橋 立昌
- 【異議申立人】三和シヤッター工業 株式会社
- 【異議申立人代理人】稲葉 滋
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 博之
- 審判官 住田 秀弘
- 審判官 小野 忠悦
- 分類
- P1652.121-ZDA(E06B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6083971号発明「開閉装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6083971号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4-9〕について訂正することを認める。
特許第6083971号の請求項1、7ないし9に係る特許を取り消す。
特許第6083971号の請求項4ないし6に係る特許を維持する。
特許第6083971号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6083971号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成24年7月25日に特許出願され、平成29年2月3日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1、2、4~9に係る特許について、平成29年8月14日に特許異議申立人三和シヤッター工業株式会社(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、平成29年10月27日付けで取消理由が通知され、平成29年12月14日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成30年2月14日に申立人より意見書が提出され、平成30年3月28日付けで取消理由(決定の予告)が通知されて、期間を指定して意見書を提出する機会を与えられたが、特許権者からは応答がなかったものである。
第2 訂正の適否
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)~(8)のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記送信部は、前記可動部が下方側から前記揺動部材によって押し動かされるように設けられている」とあるのを、
「前記送信部は、前記可動部が下方側から前記揺動部材によって押し動かされるように設けられ、
前記本体部は、前記感知信号を含む信号を電波により無線送信する送信機を、ケース部内に具備し、
前記ケース部は、前記可動部を下向きに出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖している」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項4、7、8、9も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
ア 訂正事項3-1
特許請求の範囲の請求項4に「前記送信部は、前記開閉体の下端側に着脱可能に設けられていること」とあるのを、「前記送信部は、前記開閉体の下端側の切欠部に挿通されて着脱可能に止着され、前記開閉体の下端側には、前記切欠部及び前記送信部を上方側から覆うようにカバー部材が着脱可能に装着されていること」に訂正する。
イ 訂正事項3-2
同じく請求項4に「特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。」とあるのを、「特徴とする請求項1又は3記載の開閉装置。」に訂正する。
(上記ア及びイともに、請求項4を引用する請求項7、8、9も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「前記本体部は、ケース部内に発電機を具備し、前記ケース部は、前記可動部を出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖していることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。」とあるうち、請求項1、2、4を引用するものを削除し、
「前記本体部は、ケース部内に発電機を具備し、前記ケース部は、前記可動部を出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖していることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。」に訂正する。
(請求項5を引用する請求項6、7、8、9も同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に「前記送信部は、前記可動部が押動される一回の動作につき、信号を、間隔を置いて3回以上送信するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の開閉装置。」とあるうち、請求項2を引用するものを削除し、
「前記送信部は、前記可動部が押動される一回の動作につき、信号を、間隔を置いて3回以上送信するように構成されていることを特徴とする請求項1、3乃至6何れか1項記載の開閉装置。」に訂正する。
(請求項7を引用する請求項8、9も同様に訂正する。)
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に「前記発電機は、前記可動部が押圧された場合に発電を行い、前記可動部が戻された場合には発電を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の開閉装置。」とあるうち、請求項2を引用するものを削除し、
「前記発電機は、前記可動部が押圧された場合に発電を行い、前記可動部が戻された場合には発電を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1、3乃至7何れか1項記載の開閉装置。」に訂正する。
(請求項8を引用する請求項9も同様に訂正する。)
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9に「前記開閉体本体の下端側には、前記揺動部材の揺動経路中に、前記揺動部材の上方への揺動を規制する揺動規制突起が設けられ、
前記揺動部材の揺動端側には、前記可動部へ向かって突出する突起が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の開閉装置。」とあるうち、請求項2を引用するものを削除し、
「前記開閉体本体の下端側には、前記揺動部材の揺動経路中に、前記揺動部材の上方への揺動を規制する揺動規制突起が設けられ、
前記揺動部材の揺動端側には、前記可動部へ向かって突出する突起が設けられていることを特徴とする請求項1、3乃至8何れか1項記載の開閉装置。」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落0006に「前記送信部は、前記可動部が下方側から前記揺動部材によって押し動かされることを特徴とする。」とあるのを、
「前記送信部は、前記可動部が下方側から前記揺動部材によって押し動かされるように設けられ、前記本体部は、前記感知信号を含む信号を電波により無線送信する送信機を、ケース部内に具備し、前記ケース部は、前記可動部を下向きに出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖していることを特徴とする。」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、「本体部」について、「前記感知信号を含む信号を電波により無線送信する送信機を、ケース部内に具備し、前記ケース部は、前記可動部を下向きに出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖している」構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は、「本体部」の構成を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
本件訂正前の請求項1を引用する請求項2に「前記送信部と前記受信部は、前記感知信号を無線で送受信するように構成されていること」と、同じく請求項2を引用する請求項5に「前記本体部は、ケース部内に発電機を具備し、前記ケース部は、前記可動部を出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を閉鎖していること」と記載されていることからみて、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(3)訂正事項3
ア 訂正事項3-1
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項3-1は、「送信部」が「前記開閉体の下端側に着脱可能に設けられる」態様について、「前記開閉体の下端側の切欠部に挿通されて着脱可能に止着され」る構成に限定し、さらに「前記開閉体の下端側には、前記切欠部及び前記送信部を上方側から覆うようにカバー部材が着脱可能に装着されている」構成を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記(ア)で説示したように、訂正事項3-1は、「送信部」の構成を限定し、さらに構成を付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
発明の詳細な説明に、
「【0021】
固定座板11bは、開閉体10の横幅方向の略全長にわたって下方を開口した断面略凹状に形成され、その内部に揺動部材11cを支持するとともに、上部側に切欠部11b1を有し、該切欠部11b1に第四の送信部13を挿通させている。
第四の送信部13は、図2の一例によれば、可動部42側の部分を略真下へ向けて固定座板11b内に挿入させるとともに、その逆側である上側部分を、切欠部11b1を介して固定座板11bの外部に露出しており、固定座板11bに対し着脱可能に止着されている。また、固定座板11bの外側には、必要に応じて第四の送信部13及び切欠部11b1を覆うカバー部材11b3が着脱可能に装着される。 ・・・」と記載されていることから、訂正事項3-1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
イ 訂正事項3-2
訂正事項3-2は、上記訂正事項2で請求項2を削除したことに伴い、請求項2を引用しないものに訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項1、2、4を引用しないものに訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、上記訂正事項2で請求項2を削除したことに伴い、請求項2を引用しないものに訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(6)訂正事項6
訂正事項6は、上記訂正事項2で請求項2を削除したことに伴い、請求項2を引用しないものに訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(7)訂正事項7
訂正事項7は、上記訂正事項2で請求項2を削除したことに伴い、請求項2を引用しないものに訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(8)訂正事項8
訂正事項8は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、特許請求の範囲を拡張または変更するものではなく、新規事項の追加にあたらないことは明らかである。
(9)一群の請求項について
訂正前の請求項1、2、4~9について、請求項2、4~9はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正前の請求項1、2、4~9に対応する訂正後の請求項1、2、4~9は、一群の請求項である。
(10)明細書の訂正と関係する請求項について
上記(9)のとおり、訂正後の請求項1、2、4~9は一群の請求項であるところ、訂正事項8に係る段落0006の訂正は、請求項1に関係するものであるから、訂正事項8は、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項全てについて行うものである。
3 小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1ないし8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号または第4号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1、2、4~9について訂正を認める。
第3 当審の判断
1 訂正後の請求項1、4ないし9に係る発明
上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1、4ないし9に係る発明(以下、それぞれの発明を「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1、4ないし9に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
空間を仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の開閉経路又は該経路の近傍に物体が存在することを接触感知してその感知信号を送信部から送信する物体感知手段と、前記感知信号を受信して作動信号を送信する受信部と、該受信部から受信する作動信号に応じて制御指令を発する制御部とを備えた開閉装置において、
前記送信部は、発電機を内在する本体部と、該本体部に対し接近離隔する可動部とを備え、前記可動部が本体部側へ押し動かされることで自己発電し、この際の発電電力によって前記感知信号を含む信号を送信するように構成され、
前記開閉体は、開閉体本体と、前記開閉体本体に相対して上下方向へ移動するように該開閉体本体の下端側に接続された可動座板と、前記開閉体本体の下端側に開閉体幅方向へわたる揺動支点部を中心にして揺動するように支持されるとともに上方へ移動した際の前記可動座板に当接されて上方へ揺動可能な揺動部材とを具備してなり、
前記送信部は、前記可動部が下方側から前記揺動部材によって押し動かされるように設けられ、
前記本体部は、前記感知信号を含む信号を電波により無線送信する送信機を、ケース部内に具備し、
前記ケース部は、前記可動部を下向きに出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖していることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記開閉体の下端側の切欠部に挿通されて着脱可能に止着され、前記開閉体の下端側には、前記切欠部及び前記送信部を上方側から覆うようにカバー部材が着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1又は3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記本体部は、ケース部内に発電機を具備し、
前記ケース部は、前記可動部を出没させる面を開放するとともに、前記面以外の面を略閉鎖していることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項6】
前記ケース部内には、前記発電機と、信号を送信する送信機とが具備されていることを特徴とする請求項5記載の開閉装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記可動部が押動される一回の動作につき、信号を、間隔を置いて3回以上送信するように構成されていることを特徴とする請求項1、3乃至6何れか1項記載の開閉装置。
【請求項8】
前記発電機は、前記可動部が押圧された場合に発電を行い、前記可動部が戻された場合には発電を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1、3乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項9】
前記開閉体本体の下端側には、前記揺動部材の揺動経路中に、前記揺動部材の上方への揺動を規制する揺動規制突起が設けられ、
前記揺動部材の揺動端側には、前記可動部へ向かって突出する突起が設けられていることを特徴とする請求項1、3乃至8何れか1項記載の開閉装置。」
2 刊行物の記載
(1)取消理由通知において引用した甲第1号証(特開平8-105280号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は「異議の決定」において付与した。以下同様。)
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電動シャッターなどの建物の開口に付設される開閉体の安全機構として用いられる開閉体の障害物感知装置に関するものである。」
イ 「【0011】そこで本発明は、上記問題点を解消するために、シャッターなどの開閉体の閉鎖動作時に障害物がある場合、この障害物を確実に精度良く感知でき、かつ見栄えの良い開閉体の障害物感知装置を提供することを目的としている。」
ウ 「【0018】
【実施例】図1は本発明による開閉体の障害物感知装置が配設されるシャッターの概略正面図である。この開閉体の障害物感知装置1は、図1に示すように、建物開口2に配設される電動シャッターSなどに設けられている。
【0019】この電動シャッターSは、開閉体としてスラットカーテン3より構成される軽量シャッターや、開閉体としてパネル板より構成されるパネルシャッター(図示せず)などで、開閉体(スラットカーテン)3の最下端である水切部分に、本発明の障害物感知装置1が配設される。
【0020】はじめに、本発明の障害物感知装置の第一実施例を説明する。図2は開閉体の障害物感知装置の第一実施例を示す側断面図である。この実施例による障害物感知装置1は、枠体10と、感知片20と、作動片30と、検知手段40とで大略構成されている。
【0021】まず、枠体10は、スラットカーテン3の最下端であって、建物開口2を開閉するための移動端であり、建物開口2の下縁部2a、すなわち床面に対向するスラットカーテン3の下側端面に、建物開口2の幅(左右)方向となる長手方向に全通して設けられている。
【0022】また、枠体10は、図2に示すように、スラットカーテン3と係合される係合片11を有した上板12と、上板12の両端より下方に延出するとともに互いに対向する一対の側板13,13とを有し、下側(床面)に向かって溝開口14が形成された断面略コ字状に形成されている。
【0023】この枠体10の溝開口14には、溝開口14の両縁部をなす各側板13,13の下端13a近傍より、この溝開口14の開口幅を狭める一対の支持条片15,15が、枠体10と一体に形成されている。
【0024】この一対の支持条片15,15は、前記枠体10の溝開口14に対して内方向、本実施例では図2に示すように、各側板13,13の内側面下方より一体に延出する断面略L字形状の段部16,16を介してそれぞれ設けられている。また、両側板13,13の下端13a,13aと各段部16,16との間には、下方(床面2a)に向かって開口する狭溝17,17が形成されている。さらに、この枠体10の上板12の下面である内面には、断面略J字形状の受片18が鉛直方向に突設されている。この受片18は、溝状の凹部18aを上方に向けて形成されるとともに、湾曲した下側面に小条片18cが突設形成されている。
【0025】次に、感知片20は、前記枠体10の長手方向に沿って形成され、この枠体10の溝開口14を閉塞可能な平板状の基板21を有している。そして、図2に示すように、基板21には、その上面である一方の面に対して垂直に延出するとともに幅方向で対に設けられた突条22,22が、基板21と一体に形成されている。
【0026】また、各突条22,22の先端には、基板21と平行して外(幅)方向に向き、略鉤状に形成された鉤状先端23,23がそれぞれ突条22,22と一体に形成されている。さらに、各突条22,22の先端の間には、基板21と平行な平行片24が各突条22,22と一体に形成されるとともに、この平行片24の上面であって、感知片20を枠体10に取り付けた状態で前記受片18に対向する位置となる一方の突条22(図2中右側)の先端近傍には、平行片24より垂直に延出された突片25が一体に形成されている。
【0027】また、基板21の幅方向両端部近傍には、上側垂直方向に延出する直立片26,26が形成されている。
【0028】そして、この感知片20は、一対の突条22,22の各鉤状先端23,23が前記各支持条片15,15に掛かって懸垂状態となるように枠体10に取り付け支持され、枠体10の溝開口14に対して出入り自在、すなわち上下動自在に設けられるようになっており、この取付状態において、平行片24および突片25が枠体10の溝開口14の内方向にそれぞれ延出するようになるとともに、各直立片26,26が枠体10の各狭溝17,17の内方向にそれぞれ遊嵌状態となって延出するようになっている。
【0029】次に、作動片30は、前記感知片20と同様に長手方向に全通し、図2に示すように、平板状の翼板31を基部としている。この翼板31の一側縁には、中途が折曲して断面略Z字状に形成された振り子板32が連続して設けられている。また、振り子板32が設けられる翼板31の一側縁、すなわち振り子板32と翼板31との間には、断面略逆U字形状のフック片33が形成され、このフック片33の下向きの先端33aが前記枠体10の受片18の凹部18aに吊下状態に係合し、この作動片30が、このフック片先端33aを中心に枠体10内にて揺動自在となって取り付けられている。そして、振り子板32の先端である自由端32aには、下方向に延出形成される重り片34が設けられている。なお、フック片33の先端33aと振り子板32の上面とは、所定距離をあけて対向して形成され、この距離は、前述した受片18の凹部18a底面と小条片18c先端(下端)との長さよりやや長尺となるように設定されている。
【0030】また、この作動片30の基部をなす翼板31の下面には、翼板31の板面に対して垂直下方に延出する垂直板35と、この垂直板35の下端に連続形成され翼板31と平行となるとともに下面が底面36aとなる底板36と、この底板36の端縁より仰角方向(図2中右上方)に傾斜して連続形成されるとともに外面が当接面37aとなり先端部が前記振り子板32の一部に連続形成される傾斜板37とで構成され、翼板31とともに断面中空な各パイプ形状に形成される揺動体38が設けられている。
【0031】この揺動体38は、その重量が作動片30をフック片33にて吊下状態とした際に、振り子板32の重り片34を水平より上方となるように設定され、すなわち、この重り片34によって揺動体38が図2中時計回り方向への揺動を助勢するようになっており、障害物Bを感知していない通常の状態では、図2に示すように枠体10内において、前記感知片20の平行片24の上面に底板36の底面36aが当接し、かつ、感知片20の突片25の先端に傾斜板37の当接面37aが当接するようになっている。
【0032】そして、この作動片30は、前記感知片20が枠体10に対して進入、すなわち図3に示すように感知片20が上昇した際に、平行片24および/または突片25によって押し上げられ、フック片先端33aを中心として枠体10の奥方向、すなわち上方に揺動されるようになっている。
【0033】次に、検知手段40は、アクチュエータ42が下面に配設されるマイクロスイッチ41よりなり、図2に示すように、枠体10の上板12に対して、アクチュエータ42の先端が枠体10内部に延出するように取り付けられている。
【0034】このマイクロスイッチ41のアクチュエータ42の先端は、枠体10内部にて、前述した作動片30の翼板31上面に対接するように位置し、そして、この翼板31が作動片30の揺動により仰角方向に上方へ揺動することで、これを検知し、このマイクロスイッチ41と接続される送信機43が感知信号を送出するようになっている。
【0035】なお、このマイクロスイッチ41及びこれに接続される送信機43は、略一体に構成され、図1に示すように、枠体10の長手方向の一端近傍に1ヵ所のみ配設されており、また、この送信機43に対応する受信機44は、建物開口2の上縁に配設されるスラットカーテン3の収納部4の底面に設けられ、スラットカーテン3の昇降を制御する制御装置(図示せず)と接続されている。
【0036】以下、上記のような構成による第一実施例の障害物感知装置1の動作について説明する。まず、スラットカーテン3が閉鎖動作で降下する際に、その下方に障害物Bがある場合、感知片20の基板21がその障害物Bに当接する。感知片20は、図3に示すように、この障害物Bにより上昇し、この感知片20の平行片24および突片25が作動片30の揺動体38の底板36aおよび当接面37aと当接することによって作動片30をフック片33の先端33aを中心として上方に揺動させる。
【0037】このとき、作動片30の揺動の際において、振り子板32の自由端に設けられた重り片34の重量により揺動体38のみの重量を上昇させることにならず、作動片30の揺動、すなわち上昇に対する負荷が軽減され、作動片30は負荷の少ない状態で揺動される。なお、この上昇の際、フック片33が受片18より浮き上がらないように、受片18の小条片18cが作動片30の振り子板32の上面に当接し、この浮上を規制するようになっている。
【0038】そして、この作動片30の翼板31はマイクロスイッチ41のアクチュエータ42を押し込み、これによりマイクロスイッチ41は検出信号を出力し、送信機43を介して受信機44へとこの信号を例えば赤外線などの無線にて送る。
【0039】受信機44側では、この検出信号を図示しない制御部へ送出して、これにより図1に示す駆動モータMの停止、あるいは反転駆動を行い、スラットカーテン3の下降を停止、あるいは反転上昇の動作が行われる。」
エ 【図2】をみると、検知手段40の送信機43は、ケース体に収納されていることが看取できる。
さらに、上記ウの「【0033】次に、検知手段40は、アクチュエータ42が下面に配設されるマイクロスイッチ41よりなり、図2に示すように、枠体10の上板12に対して、アクチュエータ42の先端が枠体10内部に延出するように取り付けられている。」との記載を参照して【図2】をみると、ケース体は、マイクロスイッチ41のアクチュエータ42を下向きに出没させる面が開放していることは明らかである。
オ 上記アないしエからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されてるものと認める。
「スラットカーテン3より構成され、建物開口2に配設される電動シャッターSであって、
スラットカーテン3の最下端に障害物感知装置1が配設され、
障害物感知装置1は、枠体10と、感知片20と、作動片30と,検知手段40とで構成され、
枠体10は、床面に対向するスラットカーテン3の下側端面に、建物開口2の幅(左右)方向となる長手方向に全通して設けられ、下側(床面)に向かって溝開口14が形成された断面略コ字状に形成されており、内面には、断面略J字形状の受片18が鉛直方向に突設され、この受片18は、溝状の凹部18aを上方に向けて形成され、
感知片20は、前記枠体10の長手方向に沿って形成され、枠体10の溝開口14に対して出入り自在、すなわち上下動自在に設けられ、
作動片30は、平板状の翼板31を基部とし、翼板の一端縁には、断面略逆U字状のフック片33が形成され、このフック片33の下向きの先端33aが前記枠体10の受片18の凹部18aに吊下状態に係合し、このフック片先端33aを中心に枠体10内にて揺動自在となって取り付けられており、感知片20が上昇した際に押し上げられ、フック片先端33aを中心として上方に揺動されるようになっており、
検知手段40は、アクチュエータ42が下面に配設されるマイクロスイッチ41よりなり、マイクロスイッチ41と接続され略一体に構成された送信機43が感知信号を送出するようになっており、
送信機43は、ケース体に収納され、ケース体は、マイクロスイッチ41のアクチュエータ42を下向きに出没させる面が開放しており、
この送信機43に対応する受信機44は、建物開口2の上縁に配設されるスラットカーテン3の収納部4の底面に設けられ、スラットカーテン3の昇降を制御する制御装置と接続され、
スラットカーテン3が閉鎖動作で降下する際に、その下方に障害物Bがある場合、感知片20がその障害物Bに当接し、感知片20は、この障害物Bにより上昇し、この感知片20が作動片30と当接することによって作動片30をフック片33の先端33aを中心として上方に揺動させ、作動片30の翼板31はマイクロスイッチ41のアクチュエータ42を押し込み、これによりマイクロスイッチ42は検出信号を出力し、送信機43を介して受信機44へとこの信号を赤外線などの無線にて送り、受信機44側では、この検出信号を制御部へ送出して、駆動モータMの停止、あるいは反転駆動を行い、スラットカーテン3の下降を停止、あるいは反転上昇の動作が行われる、
電動シャッターS。」
(2)取消理由通知において引用した甲第2号証(特開2011-32733号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターにおける無線式障害物検知装置に係り、好ましい態様では防火・防煙シャッターにおける障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防火・防煙シャッターは障害物検知手段として図13に示すようなコードリールを用いて障害物検知信号を制御部に送信している。しかしながらコードリールを用いた有線方式で障害物検知を行なうものでは、無線方式に比べて施工性、意匠性の面で課題があり、また、断線の危惧もある。
【0003】
赤外線や電波、音波を用いた無線方式の障害物検知手段も提案されているが、電源が別途必要となり、電源としては一般的にバッテリが用いられる。しかしながらバッテリを用いるものでは、定期的に電池交換が必要となって、利用者や管理者に交換する手間が発生し、また、電池交換を忘れるおそれもある。
【0004】
特許文献1には、座板スイッチがオンとなる時(通常動作の閉鎖時)に障害物感知信号送出部が内蔵する電池の電圧を検知し、電池切れの場合には電池切れ+感知信号を受信部へ送信する電動シャッターが開示されている。しかしながら、防火・防煙シャッターは通常動作しないため、この手法を防火・防煙シャッターに適用することは困難である。
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、バッテリを電源とした無線式の障害物検知装置において、バッテリが消耗しているような場合であっても、障害物検知信号を送信可能な障害物検知装置を提供することにある。」
ウ 「【0019】
防火・防煙シャッター装置には障害物検知装置が設けてある。障害物検知装置は、座板4に設けた障害物検知手段と、座板4に設けた障害物検知信号の送信手段と、天井部に設けた障害物検知信号の受信手段と、を備えており、受信手段で受信された障害物検知信号は制御部に送られる。障害物検知信号は座板側の送信手段から天井部側の受信手段へ無線で送信される。無線通信としては、赤外線を用いた送受信、電波を用いた送受信が挙げられる。」
エ 「【0021】
シャッターカーテン1の降下中に、シャッターカーテン1の下端の座板4に障害物等が当接すると、下側の可動部4bが上側の固定部4aに対して相対的に上動することに基づいて座板4に設けられた検知手段が障害物を検知し、検知信号が送信部から無線で受信部に送信され、受信部に入力された検知信号に基づいて制御部からの信号で開閉機5のブレーキが復帰してシャッターカーテン1の降下が停止する。非停電時であれば、開閉機5によりシャッターカーテン1が所定距離だけ上昇し(いわゆるタッチアップ)、障害物等が取り除かれると、送信部から座板復帰信号が無線で受信部に送信され、制御部からの信号で自動閉鎖装置6によりシャッターカーテン1が再下降する。停電時には、シャッターカーテン1の下降は一時停止後、タッチアップせず、障害物等が取り除かれると、送信部から座板復帰信号が無線で受信部に送信され、制御部からの信号で自動閉鎖装置6によりシャッターカーテン1が再下降する。
【0022】
座板4には、障害物検知装置を構成する障害物検知ユニットが設けてある。障害物検知ユニットは、マイクロコンピュータとバッテリを備え、座板4の可動部4bの上動・下動に基づいて障害物検知、座板復帰を検出し、障害物検知信号・復帰信号を送信する送信手段と、可動部4bの上下動に連動して回転して発電する発電モータMを備えた発電部と、を備えている。送信手段には、発電部からも電力供給が可能であり、すなわち、送信手段は、バッテリ及び発電部の2種類の電源を備えている。送信手段は、バッテリあるいは発電部から電力供給を受けて作動し、発電部あるいはバッテリの電力を用いて障害物検知信号、復帰信号を送信する。 」
オ 「【0027】
図5、図6に基づいて、発電部について説明する。発電部は、座板4内に設けた発電モータMを主要構成要素している。発電モータMは座板4の可動部4bの微小な動き(例えば15mm程度の上動)で送信手段の動作可能電圧を発電可能な機構を有している。座板4は、上側の固定部4aと、下側の可動部4bと、からなり、可動部4bは固定部4aに対して相対的に上下動可能に支持されている。固定部4aの下面には、可動部4bの内部空間に突出するように第1回動体4cと第2回動体4dとが傾斜姿勢で設けてある。第1回動体4cと第2回動体4dとはワイヤWで連結されており、可動部4bが固定部4aに対して相対的に上動あるいは下動(上動した状態から)すると第1回動体4cが回動し、第1回動体4cの回動に連動してワイヤを介して第2回動体4dが回動する。
【0028】
第2回動体4dには概ね円弧状の周面を備えた第1ギアG1が固定されており、第1ギアG1の円弧状の周面は第2ギアG2に噛合している。第2ギアG2は発電モータMの回転軸M1に噛合している。第1回動体4cが回動すると、ワイヤWを介して第2回動体4dが回動し、第2回動体4dの回動に伴って第1ギアG1が回動すると、第2ギアG2の回転を介して、発電モータMの回転軸M1が回転し、回転軸M1の回転によって発電が行なわれる。ギア比やギア機構を構成するギアの数を増やすことで、第2回動体4dの回動から発電に十分な発電モータMの回転軸M1の回転数を出力することが可能であることが当業者に理解される。整流回路Lによって整流された電流はコンデンサCに蓄えられる。このように第1ギアG1、第2ギアG2、発電モータM、整流回路L、コンデンサCから発電部が構成されており、発電部は座板4の上側の固定部4aに固定された箱状のケーシングに収納されている。発電は、座板4の可動部4bが上下動する時に、上下動に伴って継続して行なわれ、以下に述べる第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のON・OFFとは独立している。」
(3)甲第3号証
取消理由通知において引用した甲第3号証(特開2002-147151号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動シャッターの障害物検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電動シャッターの障害物検知装置としては、シャッターケース側(建物の開口上部側)に受光機を設け、昇降動作するシャッターカーテンの下端側に、電池を電源とし、座板スイッチにより操作される発光機を設け、シャッターカーテンの下降中にシャッターカーテン下端の座板が人や物等の障害物に当接することにより、座板スイッチがONして、発光機が上方に向けて光を照射し、これをシャッターケース側に設けた受光機が受光して、シャッターカーテンの下降を停止させるように構成したものが、例えば特開平11-315686号公報、特開平11-315687号公報等によって知られており、実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の電動シャッターの障害物検知装置においては、昇降動作するシャッターカーテン下端側に設けられた発光機の電源として電池が使用されているので、電池切れの状態では、障害物検知の機能を果たせず、定期的に電池交換を行う必要があるため、メンテナンスが面倒であり、コストも高く付く。
【0004】本発明は、従来技術の上記欠点を解消したものであって、その目的とするところは、シャッターカーテン下端側に電池の不要な発光手段を設けることにより、電池切れによる電源中断がなくて、障害物検知システムが恒常化し、安全性の向上に寄与すると共に、電池交換のメンテナンスが不要になるため、コストダウンを図り得る電動シャッターの障害物検知装置を提供することにある。」
イ 「【0013】即ち、図1、図2に示すように、固定側であるシャッターケース2側(建物の開口上部側)に、受光機10を設ける一方、昇降動作するシャッターカーテン3の下端側には、図3、図4に示すように、前記受光機10に向けて光を照射させることが可能な圧電発光手段11と、シャッターカーテン下端の座板9がシャッターカーテン3に対して相対的に上動することによって前記圧電発光手段11を加圧する加圧手段12とを設け、シャッターカーテン3の下降中にシャッターカーテン下端の座板9が障害物に当接することにより、前記加圧手段12が前記圧電発光手段11を加圧し、前記圧電発光手段11が前記受光機10に向けて光aを照射することにより、シャッターカーテン3の下降を停止させるように構成してある。
【0014】より詳しく説明すると、図3、図4に示すように、シャッターカーテン3の座板9を、上面中央にスリットを有する箱状に形成し、この箱状の座板9をシャッターカーテン3下端に形成された逆T字状の折曲板部13に遊動自在に係合させることによって、座板9がシャッターカーテン3に対して一定範囲内で上下に自由に移動できるように構成してある。座板9のスリットから上方へ突出した折曲板部13の側面板部には、上面に透明な窓14を有する箱状のケース15を、前記窓14が受光機10の真下に位置するように取り付けてある。
【0015】ケース15内には、図5に示すように、前記圧電発光手段11として、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電体16aと、電気で光を発する発光素子(例えば発光ダイオード)16bとを、電気的に配線することによって構成された圧電発光手段16が取り付けられており、ケース15内に設けた加圧手段12が圧電体16aを加圧することにより、発光素子16bが発光し、その光aが窓14を経て受光機10に照射されるように構成されている。
【0016】前記加圧手段12の構成は、次のとおりである。即ち、ケース15内の圧電体16a近傍位置に、圧電体16aを打撃するための加圧端17aとレバー17bとを備えた可動体17が、圧電体16aを打撃する第1姿勢と圧電体16aから離れた第2姿勢とにわたって移動自在に設けられており、バネ18によって第1姿勢に付勢されている。
【0017】一方、ケース15には、水平軸芯周りに回転するピニオンギヤ19が軸架されており、このピニオンギヤ19と噛み合うラックギヤ20を備えた上下方向のロッド21が昇降自在に架設され、且つ、スプリング22により下方に付勢されている。ロッド21の下端は、ケース15の下面から突出しており、座板9の上板部分と当接している。
【0018】ピニオンギヤ19の支軸23には、一方向クラッチ24を介してリング状の回転体25が装着されており、ピニオンギヤ19が一方向に回転(図5においては右回転)するときにのみ回転体25に回転力が伝達され、ピニオンギヤ19が逆方向に回転(図5においては左回転)するときには回転体25に回転力が伝達されないようになっている。また、回転体25とケース15との間には、ピニオンギヤ19が逆方向に回転するときに、回転体25が同方向に共回りしないようにするための摩擦ブレーキ26が設けられている。回転体25の外周部には、放射状をなす複数本(図示の例では6本)の突起25aが、その回転軌跡を前記レバー17bとラップさせた状態に突設されている。
【0019】上記の構成によれば、図3の(A),(B)に示すように、シャッターカーテン3下端の座板9が障害物Xに当接した際のシャッターカーテン3に対する座板9の相対的な上動によって、つまり、座板9の下降が障害物Xによって阻止された後、シャッターカーテン3の折曲板部13が座板9に対して下降することにより、ロッド21が座板9によって突き上げられ、ケース15に対して上昇する。
【0020】ロッド21が上昇すると、ラックギヤ20と噛み合うピニオンギヤ19が一方向に回転し、一方向クラッチ24を介して回転体25が図5に示す矢印方向に回転(右回転)する。回転体25が回転することにより、突起25aがバネ18の付勢力に抗して可動体17のレバー17bを押し動かし、突起25aがレバー17bから外れることにより、可動体17がバネ18の力で元の位置に復帰し、加圧端17aが圧電体16aを打撃する。
【0021】ロッド21の一回の上昇により、この動作が複数回繰り返されるので、圧電体16aは、可動体17の加圧端17aで間歇的に打撃されることになり、その都度、圧電体16aからはパルス信号的に電気が発生し、これが発光素子16bに印加されるので、発光素子16bがパルス信号的な光aを発し、その光aが受光機10に照射される。これにより、受光機10から制御盤6に障害物検知信号が出力され、それ以上のシャッターカーテン3の下降が停止されるのである。従って、昇降動作するシャッターカーテン3の下端側には、発光用の電源としての電池が不要であり、電池交換の必要がなく、メンテナンスが容易で、コストダウンが可能であり、しかも、電池切れによる電源中断がなくなることにより、障害物検知システムが恒常化し、安全性の向上に寄与するのである。」
(4)甲第5号証
取消理由通知において引用した甲第5号証(特開2004-282571号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非開閉体側通信装置に関し、例えば、シャッター、ドア、窓、オーバーヘッドドア、門扉、ゲート(駐車場などのゲート)、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの遠隔操作システム(リモコンシステム)などのリモコン送信機等に適用し得るものである。
【0002】
また、本発明は、このような非開閉体側通信装置と通信する開閉体側通信装置に関するものである。
【0003】
さらに本発明は、このような非開閉体側通信装置と開閉体側通信装置を構成要素として備える開閉システムに関するものである。
【0004】
【従来の技術】
従来、シャッターの無線リモコンシステムでは、ユーザが携帯したり、シャッター近傍の壁面などに固着する形式で、リモコン送信機を設ける。
【0005】
携帯タイプ、壁面固着タイプいずれであっても、リモコン送信機上に設けられた所定の操作スイッチをユーザが操作すると、リモコン送信機はユーザの操作内容(開動作、閉動作、停止などの指示)に応じた無線信号を送信し、この無線信号を受信したリモコン受信機が当該操作内容に応じたシャッター動作を実行する。
【0006】
一方、前記無線リモコンシステムには、当該リモコン送信機とは異質な無線送信機が含まれることがある。例えば、障害物を感知したことを伝えるために無線信号をリモコン受信機に送信する障害物感知装置などがこの無線送信機に該当する。
【0007】
たとえ前記リモコン送信機からの無線信号に応じて閉動作の継続中であったとしても、障害物感知装置がこの無線信号により障害物の感知を伝えてきた場合、リモコン受信機は、その閉動作を停止してシャッターが障害物に当接することを防止する。」
イ 「【0070】
本実施形態においてリモコン送信機12(プロセッサ56)は同じ内容のフレームWL1を所定回数(ここでは一例として、3回とする)繰り返して送信するが、その際、各フレームの送信タイミング(フレーム系列)が、この繰り返し規則PT1によって決まる。」
ウ 「【0081】
障害物感知装置14は、前記シャッター下端部13Aに取り付けられており、障害物などへの当接を感知したとき自動的にフレームWL2を送信する装置である。このフレームWL2を受信したリモコン受信機11は、そのときシャッター13が閉動作中であったとしても、強制的に、停止させたり、または停止後に反転して開動作を実行させる。」
エ 「【0089】
この場合、外観は別として、機能上は、障害物感知装置14はリモコン送信機12とほぼ同じであってよい。ただし、リモコン送信機12が3つの動作指示スイッチ51~53を有していたのに対し、障害物(前記床面なども含む)に当接するための1つのスイッチを有していればよい点などの相違があるのは当然である。障害物に当接したときにシャッター13の動作を停止させたい場合には、このスイッチは、例えば、前記停止動作スイッチ53に相当するものであってよい。」
オ 「【0158】
障害物感知装置14はシャッター下端部13Aが障害物や床面に当接するときに前記フレームWL2を図7(B)に示す繰り返し規則PT6にしたがって3回送信する。
【0159】
同様に、ユーザU10が、所望のタイミングでリモコン送信機12の動作指示スイッチ51~53を操作すると、前記フレームWL1が図7(A)に示す繰り返し規則PT5にしたがって3回送信される。」
カ 「【0189】
また、上記実施形態では、フレームWL1は周波数帯域が300MHzや400MHz程度で、送信電力が数mW~10mW程度の微弱な電波によって送信されたが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。これよりも高い周波数や低い周波数の電波を使用してもよく、赤外線などを使用してもよい。また、送信電力もこれよりも大きくしてもよく、小さくしてもよい。」
(5)甲第6号証
取消理由通知において引用した甲第6号証(特開平10-46962号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動シャッターなどの建物の開口に付設される開閉体の安全機構として用いられる開閉体の障害物感知装置に関するものである。」
イ 「【0020】この障害物感知装置1は、枠体5と、感知片16と、作動片22と、検知手段32とで大略構成されている。
【0021】まず、枠体5は、図2に示すように、スラットカーテン4と係合される連結板6が固定される垂直な係合片7を有した上板8と、上板8の両端縁より垂直下方に延出するとともに、互いに対向する一対の側板9,10とを有し、下方(床面)となる建物開口2の縁部2aに向かうとともに、建物開口2の幅方向を長手方向として連続する溝開口11が形成された断面略コ字状に形成されている。
【0022】この枠体5の溝開口11には、この溝開口11の両縁部をなす各側板9,10の下端より、この枠体5の溝開口11の互いに内方向へ延出して、この溝開口11の開口幅を狭めるように、一対の支持条片12が枠体5と一体に形成され設けられている。
【0023】また、この枠体5の両側板9,10の内側面9a,10aには、互いに対向する中途位置に、枠体5の内方向に水平に延出するように一対の片部13,14が、枠体5の長手方向に連続して設けられている。これら片部13,14の一方の内側面9aに設けられる一方の片部13は、先端に断面円形の軸部15が膨出形成されている。」
ウ 「【0028】本実施の形態では、中途部25の中空部28の形状が、図2に示すように、径の異なる1/4円弧よりなる扇形状を2つ組み合わせて連続した空間部分を形成した略S字状に形成され、軸受部24を略中心とする上向き湾曲面29と、この上向き湾曲面29と逆向きの下向き湾曲面30とを有しており、各当接部26,27の一方の当接部26は、基端部の軸受部24に対して中空部28を介し、かつ上向き湾曲面29を介して真直に延出する平板状に形成され、また、他方の当接部27は、一方の当接部26より下方に位置し、中空部28の下向き湾曲面30に連続する湾曲した短尺な板状に形成されている。なお、一方の当接部26の中途部25寄りの上面には、略蒲鉾状の接触凸部31が形成されている。」
エ 「【0031】このマイクロスイッチ32の傾き角度は、前記作動片22の揺動による一方の当接部26の上面に形成されている接触凸部31の移動軌跡の接線方向と同方向となるように設定され、すなわちこのマイクロスイッチ32の作動子33の真直な進退方向が前記接線方向となるように設定され、このマイクロスイッチ32が配設されている。
【0032】なお、このマイクロスイッチ32の作動子33は、マイクロスイッチ32自体のアクチュエータ部35と、このアクチュエータ部35に常に接触状態とされる中途が屈曲形成された略V字状の板バネ36とで構成され、この板バネ36の先端は、作動片22の一方の当接部26上面の接触凸部31に対向状態となるように設定されている。そして、このマイクロスイッチ32は、作動片22の揺動、すなわち作動片22の枠体5内方向の揺動を検知する。」
オ 「【0040】なお、作動片22の揺動(回動)は、枠体5に形成されている他方の内側面10aの片部14に一方の当接部26の上面が当接することでその揺動が規制され、すなわち、この作動片22の揺動範囲が設定されており、マイクロスイッチ32を作動子33とともに破損させることはない。」
(6)甲第7号証
取消理由通知において引用した甲第7号証(特開2007-162427号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シャッターなどの建物の開口に付設される開閉体の安全機構として用いられる障害物感知装置を備えた開閉体の構造に関する。
イ 「【0038】
この障害物感知装置1は、図2に示すように、枠体5と、感知片16と、作動片22と、検知手段32とで大略構成されている。
【0039】
まず、枠体5は、板金材からなるカバー部材41によって外周が覆われる。カバー部材41には、スラットカーテン4と係合される連結板6が固定される垂直な係合片7を有する。枠体5は、上板8と、上板8の両端縁より垂直下方に延出するとともに、互いに対向する一対の側板9,10とを有し、下方(床面)となる建物開口2の縁部2aに向かうとともに、建物開口2の幅方向を長手方向として連続する溝開口11が形成された断面略コ字状に形成されている。
【0040】
この枠体5の溝開口11には、この溝開口11の両縁部をなす各側板9,10の下端より、この枠体5の溝開口11の互いに内方向へ延出して、この溝開口11の開口幅を狭めるように、一対の支持条片12が枠体5と一体に形成され設けられている。
【0041】
また、この枠体5の両側板9,10の内側面9a,10aには、互いに対向する中途位置に、枠体5の内方向に水平に延出するように一対の片部13,14が、枠体5の長手方向に連続して設けられている。これら片部13,14の一方の内側面9aに設けられる一方の片部13は、先端に断面円形の軸部15が膨出形成されている。」
(7)甲第8号証
取消理由通知において引用した甲第8号証(実願平3-44892号(実開平5-10695号)のCD-ROM)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、シャッターカーテンの下端部に配置され障害物を検知するためのシャッター用障害物検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のシャッター用障害物検出装置としては、シャッターカーテンの下端部に設けられ、シャッターカーテンの下降時に障害物を検知できるようにした、次に説明する座板スイッチが従来、公知である。」
イ 「【0022】
一方、座板28の内部には、図1に鎖線で示すように、検出手段を構成するマイクロスイッチ66が設けられている。マイクロスイッチ66は、図2に示すように、座板28の右端部において、マイクロスイッチ66の作動押圧部68を下向きにした態様で、座板28の上片34の下面に取り付けられている。作動押圧部68は、回転体40の図1で反時計方向(矢印C)への回転による旋回片52の旋回に伴い押し上げられ、これにより、マイクロスイッチ66がオンする。
【0023】
また、マイクロスイッチ66の近傍には、図2に示すように、座板28の上片34の上面に、送信機70が取り付けられており、送信機70はマイクロスイッチ66がオンしたときに赤外線を射出する発光部72を備えている。なお、送信機70には、乾電池や蓄電池等のバツテリーを含む電源回路74が接続されている。一方、まぐさ部10には、発光部72に対応して受光部76が取り付けられ、受光部76は受信機78を介して上記制御回路24に接続されている。」
(8)甲第9号証
取消理由通知において引用した甲第9号証(実願平3-22749号(実開平4-95996号)のマイクロフィルム)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、シャッターカーテンの下端部に配置され障害物を検知するためのシャッター用障害物検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シャッターカーテンの下端部にはシャッターカーテンの下降時に障害物を検知する障害物検出装置としての座板スイッチが設けられている。」
イ 「【0012】
複数枚のスラットを連結して構成されたシャッターカーテン10は、まぐさ部11から床面13まで掛け渡された断面形状が略コ字状の金属製ガイドレール15に両端部が案内されて上下動するように構成されている。このシャッターカーテン10の上端部は巻取りシヤフト17へ取付られており、この巻取りシヤフト17をチエーン19を介してモータ21により回転することによりシャッターカーテン10を上下動させることができる。なお、モータ21はマイクロコンピュータを備えた制御回路35により停止あるいは正逆両方向へ回転される。
【0013】
シャッターカーテン10の下端部には、障害物等が当接したときにオンする座板スイッチ23および座板スイッチ23がオンしたときに赤外線を射出する発光部25を備えた送信機27が取付られている。また、この送信機27には、乾電池や蓄電池等のバツテリーを含む電源回路29が接続されている。さらにまぐさ部11には、受光部31が取付られ、この受光部31は受信機33を介して制御回路35に接続されている。制御回路35には、シャッターカーテン10を上昇、下降、停止させる操作器37が接続されている。」
(9)甲第10号証
平成30年2月14日付け意見書に添付された甲第10号証(実用新案登録第2560653号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【考案の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本考案は、障害物検出装置に係り、特にシヤツターカーテンの下端部等に取りつけられ障害物を検出したときに信号を出力する送信機を備えた障害物検出装置に関する。」(3欄2~7行)
イ 「シヤツターカーテン10の下端部には、第4図にも示される如く、障害物検出装置37がビス49によりシヤツターカーテン10の幅方向両端部が座板12に固定された状態で配置されている。
障害物検出装置37は、樹脂等により形成された箱型の収納部材39を備えている。収納部材39の下板39Aの略中央部には、収納部材39の内部と連通する孔43Aを有する円筒部43が形成されている。
また、第3図及び第4図に示される如く、収納部材39には、押圧部41Aを備え押圧部41Aが押圧されたときにオンするマイクロスイツチ41に収納部が収納されている。さら材39には、マイクロスイツチ41がオンしたときに発光する発光ダイオード25を備えた送信機27が収納されている。この送信機27には、乾電池や蓄電池等のバツテリーを含む電源回路29が接続されている。
また、収納部材39には、前記孔43Aに当接部45Cが挿入された状態でアクチユエータ45が配置されている。アクチユエータ45は、略円柱状に形成されており、前記押圧部41Aを押圧する先端部45A側に円板状のストツパ45Bが形成されている。アクチユエータ45の先端部45Aと反対側には当接部45Cが形成されている。ストツパ45Bと収納部材39内の図示しない固定部との間には、ばね部材47が介在されている。アクチユエータ45は、ばね部材47により床面13へ向けて下方へ付勢されている。そして、当接部45Cに第1図及び第2図に示す可動部材34の底板34Aが当接されていない状態では、第3図に示される如くストツパ45Bは下板39Aの内面に当接している。アクチユエータ45は、当接部45Cに可動部材34の底板34Aが当接していない状態では先端部45Aが押圧部41Aと離反しており、当接部45Cに底板34Aが当接した状態でシヤツターカーテン10が下方に移動したときに先端部45Aが押圧部41Aに当接して押圧部41Aを押圧できるように収納部材39に配置されている。
シヤツターカーテン10の下端部には、下方が開放すると共に上板18を備えた座板12が設けられている。上板18には、第2図に示される如く、挿入孔18Aが形成され、この挿入孔18Aに円筒部43が挿入された状態で障害物検出装置37が配置されている。座板12はシヤツターカーテン10の幅方向(第1図左右方向)に長手方向を向けて配置されている。座板12の下端部には第2図及び第4図に示される如く、互いに内側へ略直角に屈曲されたストツパ14が形成されている。」(5欄37行~6欄28行)
ウ 「次に本実施例の作用を説明する。
シヤツターカータテン10の下端部に障害物検出装置37を取りつける場合には、座板12の上板18Aの挿入孔18Aに収納部材39の円筒部43を挿入してシヤツターカーテン10の下端部にビス49により障害物検出装置37を固定する。本実施例では、送信機27とマイクロスイツチ41とが収納部材39に収納されており、送信機27とマイクロスイツチ41を別個に取付ける必要がないので、障害物検出装置37の取付けが簡単に行える。さらに本実施例では、上記の如くマイクロスイツチ41と送信機27とが収納部材39に収納され、外部と遮断されているので、防水を考慮する必要がなくなり、従来必要であった防水コネクターが不要となる。」(6欄42行~7欄4行)
エ 第2図~第5図を参照すると、収納部材39は、アクチユエータ45が付勢される方向の面以外の面は、閉鎖されていることが看取できる。
(10)甲第11号証
平成30年2月14日付け意見書に添付された甲第11号証(特開2001-317278号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビル、住宅等の建造物の窓や出入り口等の開口部に建付けられる建築用電動シャッターにおける障害物検知装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種建築用電動シャッターのなかには、シャッターカーテンの閉鎖作動時に障害物があったような場合に、該障害物を検知して緊急停止させるための障害物検知装置が設けられているものがある。このような障害物検知装置としては、シャッターカーテン最下端に設けられる座板を上側座板と下側座板とに分割し、下側座板を上側座板に対して上下動自在に構成し、下側座板の上動に基づいて障害物検知をするようにしたものが知られている。そしてこの場合に、障害物検知装置としては、障害物検知に基づいて出力する検知スイッチからの検知信号を受けて、躯体上方に配した光受信部に対し遠赤外線等の光を送信する光送信部を配したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、このような光送信式のものでは、精度の高い光軸合せが要求されるため、シャッターカーテンの左右方向位置を撓みの大きい左右方向中央部ではなく一側部に位置させると共に、シャッターカーテンの前後方向一側面(例えば屋内側面)から突出する状態で設ける必要がある。このため、送信部がシャッターカーテンのカーテン面から大きくはみ出す状態となっていて、設計の自由度が損なわれたり、意匠性に劣るばかりでなく、シャッターカーテンを全開状態とするためにまぐさ部に大開口を形成しなければならない等の問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題があった。」
イ 「【0006】前記シャッターカーテン1は、一連状にインターロック結合された複数枚のスラット1aの最下端に座板7が連結されたものに構成されている。前記座板7は、前記スラット1aのうち最下端のスラット1aに連結される上側座板9と、該上側座板9に対し相対的に上下動自在に形成された下側座板10とにより構成されている。・・・」
ウ 「【0008】一方、11、12は、樹脂材で形成され、上側座板取付けスペースS1に取付けられる障害物検知装置のケーシングであって、各ケーシング11、12に障害物検知をする検知部と、該検知に伴い前記受信部5bに対して検知信号を送信する送信部とを構成するための必要部材をそれぞれ配することで、検知部と送信部とがそれぞれ分割可能に構成されている。前記検知部ケーシング11には検知レバー11aが上下揺動自在に支持され、該検知レバー11aの下端部がケーシングの下片および上側座板中間片部9cに開設された貫通孔9iを介して検知スペースS2側に突出し、下側座板10が上側座板9に対して吊持される自然状態で下側座板抜止め片部10bの上面に近接対向する設定(丁度当接する設定でもよい)となっている。そして、下側座板10が障害物との当接等に基づいて相対上動したとき、下側座板抜止め片部10bが検知レバー11aを上側に押圧して、検知部ケーシング11内に配されたマイクロスイッチ(図示せず)をスイッチ切換えするように設定され、これによって障害物の検知がなされる。
【0009】一方、送信部ケーシング12にはバッテリ(図示せず)が組込まれ、該バッテリに接続され、かつ検知部ケーシング11側のマイクロスイッチに接続される送信部回路を組込んだ基盤13が内装されている。前記基盤13は、送信部ケーシング12を上側座板取付けスペースS1に収納したとき取付けスペースS1の溝奥側、つまり屋外側に位置するようケーシング12に組込まれている。そして、前記基盤13に信号送信用のアンテナ14が電気的に接続されるが、該アンテナ14は、基端部が基盤13の上方位置で接続され、先端部が屋内側に向けて突出する都合三本の第一、第二、第三のアンテナ片14a、14b、14cと、前記第一、第二アンテナ片14a、14bの先端部間を連結する第一突出部14dと、第二、第三アンテナ片4b、14cの先端部間を連結する第二突出部14eとで形成されている。そして、前記第一突出部14dは第一、第二アンテナ片14a、14bを直線状に連結しており、これによって、該第一突出部14dが屋内側、つまり検知スペースS2の開口側に偏寄して位置するように設定されている。また、第二突出部14eはU字形状に折曲形成されており、中間部の折曲片部14fがアンテナ14の基盤13取付け位置よりも下方に位置し、ケース体12の上側片、つまり取付けスペースS1を構成する上側の溝側面となる上片部9bからは離間する側に偏寄して位置するよう配されている。そして、検知部ケーシング11側のマイクロスイッチのスイッチ切換えがあった場合に、送信部ケーシング12側のアンテナ14から電波による無線の検知信号が出力される設定となっている。そして、この検知信号は、躯体開口部上方の制御部5aに接続される前記受信用のアンテナ5bを介して受信され、これに基づいて制御部5aが開閉機5に対して緊急停止指令を出力し、シャッターカーテン1の作動停止(障害物回避動作)がなされるように設定されている。
【0010】・・・因みに、検知部と送信部とが一体に形成されているものであってもよく、分離型とした場合では、本実施の形態のように隣接状に配設することによって、配線コードの露出が回避される。」
エ 図3及び図5を参照すると、検知部ケーシング11は、貫通孔9iが開設された下片以外の面は、閉鎖されていることが看取できる。
3 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、
「空間を仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の開閉経路又は該経路の近傍に物体が存在することを接触感知してその感知信号を送信部から送信する物体感知手段と、前記感知信号を受信して作動信号を送信する受信部と、該受信部から受信する作動信号に応じて制御指令を発する制御部とを備えた開閉装置において、
前記送信部は、本体部と、該本体部に対し接近離隔する可動部とを備え、前記可動部が本体部側へ押し動かされることで、感知信号を含む信号を送信するように構成され、
前記開閉体は、開閉体本体と、前記開閉体本体に相対して上下方向へ移動するように該開閉体本体の下端側に接続された可動座板と、前記開閉体本体の下端側に開閉体幅方向へわたる揺動支点部を中心にして揺動するように支持されるとともに上方へ移動した際の前記可動座板に当接されて上方へ揺動可能な揺動部材とを具備してなり、
前記送信部は、前記可動部が下方側から前記揺動部材によって押し動かされるように設けられ、
前記本体部は、前記感知信号を含む信号を無線送信する送信機を、ケース部内に具備し、
前記ケース部は、前記可動部を下向きに出没させる面を開放する開閉装置。」で一致し、以下の3点で相違している。
(相違点1)送信部について、本件発明1は、可動部が本体部側へ押し動かされることで自己発電し、この際の発電電力によって前記感知信号を含む信号を送信する発電機を本体部に内在するのに対し、甲1発明は、そのような発電機を内在していない点。
(相違点2)送信機の無線送信について、本件発明1は、電波によるのに対し、甲1発明は、赤外線である点。
(相違点3)ケース部の可動部を下向きに出没させる面以外の面について、本件発明1は、閉塞しているのに対し、甲1発明は、閉塞しているかどうか特定されていない点。
イ 判断
上記相違点1~3について検討する。
(ア)相違点1
シャッターの可動部側に設けられている送信部の電力として、バッテリー等を用いることは本件特許の出願前に一般的に行われていたところ(上記2の(2)、(3)、(7)及び(8)で摘記した甲第2、3、8及び9号証参照。)、バッテリー等には電池切れの課題があり、電池交換のメンテナンスを省略するために、発電機等で自己発電することは、甲第2号証や甲第3号証に記載されているように、本件出願前に周知の技術である。
また、その甲第3号証には、可動部が本体部側へ押し動かされることで自己発電し、この際の発電電力によって前記感知信号を含む信号を送信する発電機を本体部に内在することが記載されている。
したがって、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、甲1発明及び甲第3号証に記載された技術事項、又は甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(イ)相違点2
感知信号を含む信号を電波により無線送信することは、甲第2号証、甲第5号証及び甲第11号証に記載されているように、本件出願前に周知の技術であるから、甲1発明において、赤外線の代わりに電波を用いて、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)相違点3
上記相違点3として示したとおり、甲1発明のケース部において、可動部を下向きに出没させる面以外の面を略閉鎖しているかどうか特定されていないが、電子部品を格納したケース体であれば、周囲を略閉鎖することが一般的であり、また、甲1発明において、該出没させる面以外の面において、何らかの部材を出し入れする等の事情も見当たらないから、甲1発明の可動部を下向きに出没させる面以外の面を略閉鎖することは、当業者が適宜採用する構成といえる。
また、可動部を下向きに出没させる面以外の面を略閉鎖することは、甲第3号証に記載されており、さらには、甲第10号証及び甲第11号証にも記載されているように、本件出願前に公知の技術であるから、甲1発明のケース部を、可動部を下向きに出没させる面以外の面を略閉鎖することは、当業者が容易に想到し得たものである。
なお、本件発明1は、閉鎖の程度を「完全に閉鎖ではなく「略閉鎖」程度にしか限定していないから、甲第3号証のロッド21が貫通する孔以外の部分を閉鎖したものも含んでいる。
(エ)特許権者の主張について
特許権者は、意見書において、無線信号に赤外線ではなく電波を用いた本件発明の効果を主張しているが、無線信号として、赤外線や電波は、一般的に用いられているものであって、その効果についても、一般的に良く知られたものであるから、無線信号に電波を用いた本件発明の効果は、当業者であれば、容易に予測し得るものである。
また、可動部を下向きに出没させる面以外の面を略閉鎖する点についても、上記(ウ)で説示したとおりであり、その水密性の効果も当業者が容易に予測し得るものである。
よって、意見書における特許権者の主張は採用することができない。
(オ)本件発明1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、甲第3号証、甲第10号証、甲第11号証の記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 本件発明4について
本件発明4と甲1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明4は、前記開閉体の下端側には、前記切欠部及び前記送信部を上方側から覆うようにカバー部材が着脱可能に装着されているのに対し、甲1発明は、そのようなカバー部材が装着されていない点で相違している。
そして、該相違点に係る本件発明4の構成は、申立人が提出した他の証拠にも記載されておらず、示唆する記載もない。
申立人は、意見書において、甲第10号証の「収納部材39」、または甲第11号証の「検知部ケーシング11」と「送信部ケーシング12」が、本件発明4の「カバー部材」に相当するごとく主張している(6頁13行、6頁末行~7頁1行)。
しかしながら、上記「収納部39」や「検知部ケーシング11」と「送信部ケーシング12」は、ともに、本件発明4(が引用する本件発明1)の「ケース部」に相当するものであるから、申立人の主張は採用できない。
以上のとおり、本件発明4は、甲1発明、及び申立人が提示するその他の証拠に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 本件発明5について
本件発明5と甲1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明5(が引用する本件発明3)の「前記送信部を前記ガイドレール内に配置するとともに前記受信部を前記収納部内に配置し、前記ガイドレールを前記送信部から送信される電波を導く導波管として用いるようにした」構成を備えるのに対し、甲1発明は、そのような構成を備えていない点で相違している。
そして、該相違点に係る本件発明5の構成は、申立人が提出した他の証拠にも当該構成は記載されておらず、示唆する記載もない。
よって、本件発明5は、甲1発明、及び申立人が提示するその他の証拠に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 本件発明6について
本件発明6は、本件発明5の構成をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記5で説示したことと同様の理由により、甲1発明、及び申立人が提示するその他の証拠に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 本件発明7について
請求項7で限定された「前記送信部は、前記可動部が押動される一回の動作につき、信号を、間隔を置いて3回以上送信するように構成されている」ことは、甲第5号証に記載されていることから、上記1で説示したことをふまえると、本件発明7は、甲1発明、甲第3号証、甲第5号証、甲第10号証、甲第11号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 本件発明8について
請求項8で限定された「前記発電部は、前記可動部が押圧された場合に発電を行い、前記可動部が戻された場合には発電を行わないように構成されている」ことについては、甲第3号証(上記1(3)参照。段落【0017】~【0021】に、ロッドが押圧された場合に発電を行うことが記載されており、そうすると、逆の動作の場合は、一方向クラッチ24により回転力が伝達されないことから、発電を行わないと認められる。)に記載されていることから、上記1及び7で説示したことをふまえると、本件発明8は、甲1発明、甲第3号証、甲第5号証、甲第10号証、甲第11号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
9 本件発明9について
請求項9で限定された「前記開閉体本体の下端側には、前記揺動部材の揺動経路中に、前記揺動部材の上方への揺動を規制する揺動規制突起が設けられ、前記揺動部材の揺動端側には、前記可動部へ向かって突出する突起が設けられている」ことについては、甲第6号証及び甲第7号証に記載されていることから、上記1、7及び8で説示したことをふまえると、本件発明9は、甲1発明、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第10号証、甲第11号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
10 請求項2に対する特許異議の申立てについて
上記第2のとおり、請求項2を削除する本件訂正が認められたので、請求項2に対する本件特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。
したがって、請求項2に対する本件特許異議の申立ては、不適法な特許異議の申立てであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきである。
第4 むすび
以上のとおり、本件発明1、7ないし9は、甲1発明、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第10号証、甲第11号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、7ないし9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1、7ないし9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明4、5、6に係る特許については、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。他に本件発明4、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2に対する本件特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700789