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特許異議申立

2017-700549

広告配信システム及び方法、並びにプログラム

審判番号
2017-700549
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-248595
登録番号
特許第6034481号(P6034481)
請求日
2017年05月31日
審決日
2019年04月24日
公報発行日
2019年09月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社デジタルインテリジェンス
  • 【権利者代理人】伊藤 充
  • 【異議申立人】戸田 りえ
審判長/審判官
  • 審判長 鳥居 稔
  • 審判官 清水 正一
  • 審判官 渡辺 努
分類
P1651.121-ZDA(H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6034481号発明「広告配信システム及び方法、並びにプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6034481号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5、6、7、8について訂正することを認める。 特許第6034481号の請求項3~5に係る特許を維持する。 特許第6034481号の請求項6~8に係る特許を取り消す。 特許第6034481号の請求項1、2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第6034481号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成27年12月21日(優先権主張 平成27年6月4日)に出願され、平成28年11月4日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成28年11月30日)がされた。 その特許について、平成29年5月31日に特許異議申立人戸田りえにより請求項1~8に対して特許異議の申立てがなされた。その後の手続の経緯は次のとおりである。 平成29年 9月13日 取消理由通知 同年11月14日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者) 平成30年 3月 2日 意見書の提出(特許異議申立人) 同年 9月21日 取消理由通知(決定の予告) 同年11月26日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者) 平成31年 2月27日 意見書の提出(特許異議申立人) 第2 訂正の適否 1 訂正請求の趣旨 特許権者による平成30年11月26日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、「特許第6034481号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。 なお、下線は訂正箇所である。 (1)一群の請求項1~3に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に請求項1の内容を挿入し、独立形式に改め、請求項3に「前記現在の実績量は、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴に基づく実績量である、 請求項1に記載の広告配信システム。」と記載されているのを、 「 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得手段と、 前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定手段と、 前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段と、 を備え、 前記第1設定手段は、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 広告配信システム。」 に訂正する。 (2)請求項4に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項4に「を含む広告配信方法」と記載されているのを、 「を含み、 前記第1設定ステップでは、前記現在の実績量として、初回時は視恋者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 広告配信方法」 に訂正する。 (3)請求項5に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項5に「を含む制御処理を実行させるプログラム」と記載されているのを、 「を含む制御処理を実行させるプログラムであって、 前記第1設定ステップでは、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実係量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 プログラム」 に訂正する。 (4)請求項6に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項6に「を備える広告配信システム」と記載されているのを、 「を備え、 ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 広告配信システム」 に訂正する。 (5)請求項7に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項7に「を含む広告配信方法」と記載されているのを、 「を含み、 ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 広告配信方法」 に訂正する。 (6)請求項8に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項8に「を含む制御処理を実行させるプログラム」と記載されているのを、 「を含む制御処理を実行させ、 ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 プログラム」 に訂正する。 (7)請求項6~8に係る訂正について 訂正後の請求項6~8に記載される「結合データを生成し、該統合データを用いて」における「該統合データ」は、「該結合データ」の誤記であることは明かである。 よって、以下の検討において、「該統合データ」は「該結合データ」のことであるとして判断する。 3 訂正の適否の判断 本件訂正請求による訂正の適否について検討する。 以下、上記2(1)ア~ウの訂正事項を「本件訂正1」~「本件訂正3」と、上記2(2)ア~(6)アの訂正事項を「本件訂正4」~「本件訂正8」という。 (1)訂正の目的について ア 本件訂正1、2 本件訂正1、2は、請求項1、2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 よって、本件訂正1、2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 本件訂正3 本件訂正3は、請求項3が請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し独立形式請求項へ改めると共に、請求項3が引用する請求項1の構成要件である「第1設定手段」について、「現在の実績量」は「視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴に基づく実績量」であるとしていたものを、「現在の実績量」として、「初回時」は「視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴に基づく実績量」を用い、「初回時」ではなく「デジタル補完目標量が更新される場合」は、「TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加え」たものを用いるものに限定する訂正である。 よって、本件訂正3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」、及び同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 ウ 本件訂正4、5 本件訂正4、5は、請求項4、5の構成要件である「第1設定ステップ」について、「前記第1設定ステップでは、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる」という発明特定事項を追加する訂正である。 よって、本件訂正4、5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 エ 本件訂正6~8 本件訂正6~8は、請求項6~8に、「ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する」という発明特定事項を追加する訂正である。 よって、本件訂正6~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2)一群の請求項の訂正であるかについて ア 請求項1~3についての訂正 訂正前の請求項2、3は、訂正前の請求項1を引用しているものであるため、訂正前の請求項1~3は連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、一群の請求項を構成する。そして、本件訂正1~3は、一群の請求項に対して請求されたものである。 よって、本件訂正1~3は、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること ア 本件訂正1、2 本件訂正1、2は、請求項1、2を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 イ 本件訂正3 本件訂正3における請求項3を独立形式に改めるために請求項1の内容を挿入する訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。 また、訂正後の請求項3の「第1設定手段」に関し、本件特許の明細書の段落0053には、「補完目標設定部1413は、到達目標量(リーチ×FQ)に対する、現在の実績量の差分(不足数)に基づいて、デジタル補完目標量を設定する。ここで、現在の実績量は、上述したように、初回時には少なくともTVCMについての実績量が用いられるが、デジタル補完目標量が更新される場合(2回目以降に補完目標量が設定される場合)、デジタルCMが用いられてもよい。」と記載されている。 当該記載において、「補完目標設定部1413」は、「到達目標量(リーチ×FQ)に対する、現在の実績量の差分(不足数)に基づいて、デジタル補完目標量を設定する」ものであることから、訂正後の請求項3の「第1設定手段」は、この「補完目標設定部1413」が該当する。 そして、当該記載の技術的内容は、「補完目標設定部1413」において、「現在の実績量」として、初回時には「TVCMについての実績量」が用いられ、2回目以降は、初回時の「TVCMについての実績量」に代えて「デジタルCM」が用いられることであると解釈すると、到達目標量に対する差分(不足数)を算出するための現在の実績量は、2回目以降に「TVCMについての実績量」が反映されなくなり、正しい差分(不足数)が算出できないこととなるから、技術的に矛盾が生じる。 したがって、当該記載の技術的内容は、「補完目標設定部1413」において、「現在の実績量」として、初回時には「TVCMについての実績量」が用いられ、2回目以降は、初回時の「TVCMについての実績量」に加えて「デジタルCM」の実績量も用いられることと解釈するのが妥当である。 すなわち、本件特許の明細書には、補完目標設定部1413において、現在の実績量として、初回時には少なくともTVCMについての実績量が用いられ、デジタル補完目標量が更新される場合(2回目以降に補完目標量が設定される場合)、デジタルCMが加えて用いられるという技術事項が記載されていると認められる。 したがって、本件訂正3における「第1設定手段」に関する訂正は、本件特許の明細書の段落0053の記載に基づくものである。 よって、本件訂正3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 本件訂正4、5 本件特許の明細書の段落0018には、「テレビメーカログサーバ12は、テレビメーカログ提供者が管理するサーバであり、家H1乃至HNの全世帯のTV視聴履歴を取得して管理する 即ち、各住宅H1乃至HNの夫々において、テレビジョン受像機H10に接続されたルータH11から、当該テレビジョン受像機H10に対する視聴履歴が、ネットワークNを介して、当該テレビジョン受像機H10を製造販売したテレビメーカに送信される。即ち、テレビメーカは、自社製のテレビジョン受像機H10からルータH11及びネットワークN経由で送信される視聴履歴を蓄積し、保有している。 このように、テレビメーカが保有する視聴履歴(以下、「TV視聴履歴」と呼ぶ)は、ネットワークNを介して伝送されるので、伝送元のルータH11のIPアドレスが関連付けられている。 ここで、該ルータは、テレビジョン受像機H10以外の情報通信機器(図1の例では、スマホH121、スマホH122,及びPCH13)についても、同一のIPアドレスを用いてネットワークNとの通信を行う。 このため、住宅H1乃至HNのうちの所定の住宅でルータH11を介した情報通信が行われる場合、情報通信を行った端末等にかかわらず、これらの情報通信に用いられたIPアドレスは、TV視聴履歴に対応付けられたものと一致する。」と記載されており、TV視聴履歴が、テレビジョン受像機H10に接続されたルータH11から、ネットワークNを介して送信されることが記載されている。 よって、本件訂正4、5における「視恋者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量」についての訂正は、本件特許の明細書の段落0018に基づくものである。 訂正後の請求項4に係る特許発明は、訂正後の請求項3に記載の物の発明に対応する方法の発明であり、訂正後の請求項5に係る特許発明は、訂正後の請求項3に記載の発明である「広告配信システム」に対応する「プログラム」の発明である。そして、訂正後の請求項4、5の実質的な構成要件は、訂正後の請求項3の「手段」が「ステップ」とされている点を除き同じであるから、本件訂正4、5に関する訂正後の請求項4、5の「第1設定ステップ」は、訂正後の請求項3の「第1設定手段」に対応するものである。 本件特許の明細書の段落0053には、上記イにおいて検討したように、補完目標設定部1413において、現在の実績量として、初回時には少なくともTVCMについての実績量が用いられ、デジタル補完目標量が更新される場合(2回目以降に補完目標量が設定される場合)、デジタルCMが加えて用いられるという技術事項が記載されていると認められる。 そして、上記イにおいて検討したように、訂正後の請求項3の「第1設定手段」は「補完目標設定部1413」に該当するから、訂正後の請求項4、5の「第1設定ステップ」は、「補完目標設定部1413」の処理に対応するものといえる。 したがって、本件訂正4、5における「第1設定ステップ」に関する訂正は、本件特許の明細書の段落0018、0053の記載に基づくものである。 よって、本件訂正4、5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 エ 本件訂正6~8 訂正後の請求項6~8の「結合データ」に関し、本件特許の明細書には次のように記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付加したものである。 「【0107】 以上、集計結果出力サーバが出力する集計結果を説明した。 次に、パネルデータとモニタログを関連付ける場合のデータの流れを説明する 【0108】 図17は、本発明の一実施形態に係る広告配信システムにおけるデータの流れを説明する図である。 TV視聴データは、テレビ視聴率調査者がパネルデータサーバ10で管理するパネルデータ又はこれを集計させたものである。TV視聴者IDは調査協力世帯の居住者毎に一意に振られたIDであり、モニターでもある者については、TV視聴者→ネット利用者ID変換表により、ネット利用者IDに置換することができる。 【0109】 TV視聴者→ネット利用者ID変換表は、テレビ視聴率調査者及びオンライン行動調査者が保有する個人情報を突合して作成しておくことで、以後の個人特定情報の閲覧を不要とすることができる。 TV視聴データからは、任意のTVCMのFQを、調査協力世帯の居住者毎に、知ることができる。 【0110】 ネット広告視聴データは、オンライン行動調査者がモニタログサーバ19で管理するモニタログ又はこれを集計させたものである。 属性データは、オンライン行動調査者がサーバで管理するデモグラフィックデータである。 【0111】 ネット広告視聴データ及び属性データのネット利用者IDはモニター毎に一意に振られたIDである。調査協力世帯の居住者でもある者についてはネット利用者IDにより、TV視聴データとネット広告視聴データ及び属性データとを結合させた、結合データを生成することができる。 【0112】 ネット利用者IDは、更にネット利用者→外部用ID変換表により、外部用IDに置換することができる。これにより、個人の特定を、更に困難にすることができる。 なお外部用IDは、任意の一意ものを採用することができ、例えばTV視聴者IDと同じとしても良い。 【0113】 結合データは、TV放送連動サービス提供者が、本発明に係るデジタルCM配信結果の集計、レポート作成に利用する。また更には、本発明に係る広告配信システムにパネルデータとして受信させ、デジタルCMの配信を行わせても良い。 これにより本発明に係る広告配信システムは、デジタルCMの初回TV連動配信時時からTVCMについての実績量に加えて、デジタルCMについての実績量にも基づいて、精度良くデジタル補完目標量を設定することができる。」 当該記載によれば、本件特許の明細書には、本発明の広告配信システムの一実施形態として、TVCMについての実績量とデジタルCMについての実績量に基づいてデジタル補完目標量を設定するために、テレビ視聴率調査者がパネルデータサーバ10で管理するパネルデータから取得するTV視聴者IDを置換したネット利用者ID毎のTV視聴データ、オンライン行動調査者がモニタログサーバ19で管理するモニタログから取得するネット利用者ID毎のネット広告視聴データ及びオンライン行動調査者が管理するネット利用者ID毎の属性データを、ネット利用者IDにより結合して結合データを生成し、その結合データを広告配信システムにパネルデータとして受信させて、デジタルCMの配信を行わせることが記載されている。また、TV視聴データには、TVCMの視聴履歴が含まれていることが記載されている。 さらに、パネルデータに基づいてデジタル補完目標量を設定し、デジタルCMの配信を行わせることは、本件特許の明細書の段落0021~0025、0047~0058、0097~0104に、本発明の最初に記載された一実施形態に係る広告配信システムの説明において記載されていることであるから、上記記載における結合データを広告配信システムにパネルデータとして受信させて、デジタルCMの配信を行わせることも、本件特許の明細書に具体的に記載されていることである。 したがって、本件訂正6~8による訂正は、本件特許の明細書の段落0107~0113の記載に基づくものである。 よって、本件訂正6~8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと ア 本件訂正1、2 本件訂正1、2は、請求前の請求項1、2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 イ 本件訂正3 本件訂正3は、上記(1)イのとおり、「特許請求の範囲の減縮」、及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 よって、本件訂正3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 本件訂正4、5 本件訂正4、5は、上記(1)ウのとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 よって、本件訂正4、5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 本件訂正6~8 本件訂正6~8は、上記(1)エのとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 よって、本件訂正4、5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (5)小括 以上のように、上記訂正請求による本件訂正1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5、6、7、8について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~8に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 なお、請求項1及び請求項2は削除された。 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) (本件発明3) 【請求項3】 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得手段と、 前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定手段と、 前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段と、 を備え、 前記第1設定手段は、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 広告配信システム。 (本件発明4) 【請求項4】 広告配信システムが実行する広告配信方法であって、 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得ステップと、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得ステップと、 前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定ステップと、 前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定ステップと、 を含み、 前記第1設定ステップでは、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 広告配信方法。 (本件発明5) 【請求項5】 コンピュータに、 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得ステップと、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得ステップと、 前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定ステップと、 前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定ステップと、 を含む制御処理を実行させるプログラムであって、 前記第1設定ステップでは、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 プログラム。 (本件発明6) 【請求項6】 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得手段と、 TV視聴履歴として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVについての視聴履歴を、前記ネットワーク接続機器のIPアドレスと対応付けて取得する第3取得手段と、 前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定手段と、 を備え、 ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 広告配信システム。 (本件発明7) 【請求項7】 広告配信システムが実行する広告配信方法であって、 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得ステップと、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得ステップと、 TV視聴履歴として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVについての視聴履歴を、前記ネットワーク接続機器のIPアドレスと対応付けて取得する第3取得ステップと、 前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定ステップと、 を含み、 ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 広告配信方法。 (本件発明8) 【請求項8】 コンピュータに、 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得ステップと、 TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得ステップと、 TV視聴履歴として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVについての視聴履歴を、前記ネットワーク接続機器のIPアドレスと対応付けて取得する第3取得ステップと、 前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定ステップと、 を含む制御処理を実行させ、 ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 プログラム。 第4 特許異議の申立ての理由について 1 特許異議の申立ての理由の概要 特許異議申立人による特許異議の申立ての理由の要旨は、次のとおりである。 [特許異議の申立ての理由] 請求項1~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第9号証の記載事項に基いて当業者が容易に発明することができたものである。 [証拠方法] 甲第1号証:特表2015-504225号公報 甲第2号証:特開2014-56587号公報 甲第3号証:特開2011-216120号公報 甲第4号証:特開2007-133865号公報 甲第5号証:特開2014-93695号公報 甲第6号証:特開2015-37244号公報 甲第7号証:特開2015-18293号公報 甲第8号証:国際公開第2015/198474号 甲第9号証:特開2000-122949号公報 2 取消理由の概要 当審において、平成29年11月14日の特許権者による訂正請求により訂正された請求項3~8に係る発明に対して、平成30年9月21日付けの取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 なお、請求項1、2は、平成29年11月14日の訂正請求により削除されている。 [取消理由] 請求項3~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第7号証、甲第9号証に記載される周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1 甲各号証の記載及び甲各号証に記載された発明又は技術 (1)甲第1号証について ア 甲第1号証の記載事項 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第1号証(特表2015-504225号公報)には、「クロス媒体広告ネットワーク」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 なお、下線は説明のため当審において付与したものである(以下、甲各号証及び参考資料についても同様である。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、クロス媒体広告ネットワーク、さらに詳しくは、複数の広告媒体に亘っての広告の露出に基づき、かつ所与の広告用露出時間の所望の合計量のような広告主の広告露出目標に基づき、対象ユーザへの表示用の広告を選択することに関する。」 「【0005】 本発明の実施形態は、広告露出目標および広告露出の判定された量に基づいて、複数の広告の中から広告を選択する。広告および関連広告露出目標は、1以上の広告主から受信される。広告はテキスト広告、イメージ広告、ビデオ広告等であってよい。広告露出目標は、広告表示時間の所望の量または広告印象の所望の数であってよい。広告および広告露出目標に加えて、広告主は時間ベースの広告購入、時間ベースの広告値付け、および広告予算を提供することができる。」 「【0007】 広告露出情報は、制御された広告媒体および外部広告媒体の双方から受信することができる。広告媒体の例としては、ウェブ・ページ、ソーシャル・ネットワーキング・システム、テレビのコンテンツまたはサービス、ラジオのコンテンツまたはサービス、広告掲示板、雑誌、および広告をユーザに提示することができるいずれかの他の媒体が挙げられる。外部媒体での広告の露出は、例えば、外部広告媒体をモニターすることによって、または外部源から外部広告媒体についての広告露出情報を受信することによって見積もることができ、ユーザ当たりをベースとして、またはユーザのグループ当たりをベースとして見積もることができる。次いで、広告についての広告露出は、外部広告媒体に関連する見積もられた広告露出情報および制御された広告媒体に関連する受信された広告露出情報を集めることによって判定される。 【0008】 次いで、受信された広告露出目標および受信された広告に関連する判定された広告露出に基づいて広告が選択される。広告は、要求するクライアントの識別情報に基づいて選択することもできる。各々の広告についての広告露出はクライアントの識別情報によって判定することができ、広告は、確認されたクライアントについての広告露出および広告露出目標に基づいて選択することができる。クライアントの識別情報は、例えば、ソーシャル・ネットワーキング・システム・プラグイン、オンライン口座情報、クッキー情報、または1以上の異なる媒体における広告の受信者を確認するためのいずれかの他のメカニズムを用いて判定することができる。」 「【0012】 広告サーバ105は広告を選択し、選択された広告をユーザ130への表示のために制御された広告媒体120に送る。本明細書中で用いるように、「制御された広告媒体」は、ユーザ130への表示のために広告サーバ105から広告を検索するいずれの広告媒体を記載するのにも用いられる。広告はまた、ユーザ130に対して外部広告媒体125で表示される。本明細書中で用いるように、「外部広告媒体」は、広告サーバ105以外の源から広告を検索するいずれの広告媒体を記載するのにも用いられる。 【0013】 広告サーバ105は、因子の中でも、露出判定モジュール110によって収集された広告露出情報に基づいて表示用の広告を選択する。露出判定モジュール110は、源の中でも、制御された広告媒体120から広告露出情報を受信する。1つの実施形態においては、制御された広告媒体120は、ユーザ130に表示される広告を露出判定モジュール110に伝達する。別法として、広告サーバ105または制御された広告媒体120のいずれかは、露出判定モジュール110に対する表示広告を確認することができる。加えて、制御された広告媒体120は、広告のユーザ130への表示に関連する他の露出情報を露出判定モジュール110に送ることができる。 【0014】 露出情報の例としては、限定されるものではないが、ユーザ130に表示された広告の識別、広告がユーザ130に表示された回数(広告の印象)、広告がユーザ130に表示された時間の長さ(しばしば、露出時間を見積もらなければならない)、ユーザ130に関連するいずれかの他のユーザ情報の識別、表示された広告に関してユーザ130によって取られたいずれかの動作、表示された広告のセッティングまたはコンテクスト、または広告の表示に関連するいずれかの他の情報が挙げられる。同様に、露出情報としては、広告がユーザの全てまたはサブセットに表示された総回数、広告がユーザの全てまたはサブセットに表示された時間の総量、ユーザの全てまたはサブセットの識別等を挙げることができる。 【0015】 広告露出情報としては、広告が全てのユーザに表示される総回数(単一のユーザに対する多数の広告表示をカウントする)を挙げることができ、または広告が表示されたユニークなユーザの数に限定されることができる。広告露出情報は、広告が単一のユーザに表示された回数の計数を所定の閾値に制限することができ、所定の閾値は、広告をユーザに反復して表示する有効性を記載する判定された有効性閾値に基づいて設定することができる。」 「【0018】 露出判定モジュール110は、外部広告媒体125でユーザ130に表示された広告の広告露出情報も受信する。いくつかの実施形態において、外部広告媒体125に表示された広告コンテンツに対する制御または影響を有しないにも拘わらず、露出判定モジュール110は外部広告媒体125との直接的接触を有する。例えば、外部広告媒体125は外部広告媒体125でユーザ130に表示された広告の識別および他の広告露出情報を露出判定110に直接的に送ることができる。代替実施形態において、露出判定モジュール110は外部広告媒体125との直接的接触は有しておらず、その代り、露出情報を外部広告観察モジュール115から受信する。 【0019】 外部広告観察モジュール115は外部広告媒体125をモニターして、外部広告媒体125によるユーザ130への広告の表示に関連する露出情報を判定する。外部広告観察モジュール115は、外部広告媒体125を直接的にモニターすることができる。外部広告媒体125はテレビのチャンネルであってよく、外部広告観察モジュール115は、テレビのチャンネルのコンテンツを分析することによって外部広告媒体125を直接的にモニターして、テレビのチャンネルに表示された広告を確認することができる。同様に、外部広告媒体125はラジオのチャンネル、ウェブ・ページ、コンピュータ・アプリケーション、モバイル・アプリケーション、雑誌、広告掲示板、新聞等であってよく、外部広告観察モジュール115は、これらの媒体についてのコンテンツを分析することによって外部広告媒体125を直接的にモニターして、ラジオ・チャンネルで放送された広告を確認することができる。そのような実施形態において、ユーザ130の識別情報は、広告サーバ105によって、かつ外部広告露出情報に関連して判定することができる。ユーザ130の識別情報を、外部広告媒体125の直接的モニタリングを用いてさえ判定するのは困難または不可能であり;そのような場合には、確率モデルを用いて、ユーザ130の識別情報を判定することができる。 【0020】 外部広告観察モジュール115は外部広告媒体125を間接的にモニターすることができる。そのような実施形態において、外部広告観察モジュール115は、コンテンツのリスト、ソーシャル・ネットワーキング・システムから、または広告主それ自身からのように、第三者源から外部広告媒体125の広告コンテンツの情報を受信することができる。そのような実施形態において、ユーザ130が広告を見る可能性は、外部広告観察モジュール115によって判定される。外部広告観察モジュール115はニールセン(Nielsen)視聴率を検索し、それを用いて、ユーザを記載する人口統計学的情報に基づいて、ユーザ130が広告を見た可能性を判定することができる。例えば、もしニールセン視聴率が、25歳および49歳の間の男性の40%が広告を含むテレビ番組を見たことを示すならば、外部広告観察モジュール115は、もしユーザ130が30歳の男性であるならば、ユーザ130は広告を見たという40%の可能性があると判定することができる。別法として、外部広告観察モジュール115はユーザ130に関するソーシャル・ネットワーキング・システム情報を検索して、ユーザが広告を見たかを判定することができる。例えば、もしユーザ130が、ソーシャル・ネットワーキング・システム・ポストにおいて、ユーザ130が広告の時間の20%を表示することが知られたモバイル・デバイスでアプリケーションを用いたことを示すならば、外部広告観察モジュール115は、ユーザ130が広告を見た20%の可能性があると判定することができる。そのような確率モデルを用いて、ユーザ130の識別情報を判定することができるか、またはそれを用いて、ユーザ130を記載する人口統計学的情報を判定することができる。 【0021】 1つの実施形態において、露出判定モジュール110および/または外部広告観察モジュール115は、ユーザ130によって用いられたデバイスから露出情報を受信して、制御された広告媒体120および/または外部広告媒体125から広告を受信し、表示する。例えば、ユーザ130によって用いられたデバイスはTVセット・トップ・ボックスまたはインターネット接続を備えたビデオ・ゲーム・システム、インターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータ、モバイル・デバイス等であってよい。そのような実施形態においては、デバイスは、ユーザ130の識別情報、広告の識別、広告がユーザ130に表示された時間の長さ等のような露出情報を露出判定モジュール110に直接的に伝達することができる。 【0022】 図1の実施形態において、露出判定モジュール110は、制御された広告媒体120および外部広告観察モジュール115から広告露出情報を受信するが、他の実施形態においては、露出判定モジュール110は、広告サーバ105、外部広告媒体125、ユーザ130によって用いられたデバイスから、またはいずかの他の源からのように、同様に他の源から広告露出情報を受信する。露出判定モジュール110は、この受信された情報を集め、分析し、そうでなければ組織化することができる。1つの実施形態において、露出判定モジュール110は、各広告の、各広告主の、各広告キャンペーンの、および/または各ユーザ130の総露出を集める。例えば、露出判定モジュール110は、特定のユーザに対する特定の広告または広告の組の露出時間の総量を判定することができ、広告サーバ105に対する総露出時間およびユーザを判定することができる。露出判定モジュール110は、受信されたおよび/または集められたまたは分析された情報を広告サーバ105に伝達する。」 「【0024】 前記で議論したように、少なくとも部分的には、(例えば、制御された広告媒体120および/または外部広告媒体125での広告露出について)露出判定モジュール110から受信した広告露出情報に基づいて、広告サーバ105は制御された広告媒体120への伝達用の広告を選択する。1つの実施形態において、広告サーバ105は広告主から広告の広告時間の量の購入を受信し、広告に関連する広告露出情報内の広告の表示時間の総量が広告の時間の購入された量を超えるか、またはそれに足りないかに基づいて、制御された広告媒体120への伝達用の広告を選択する。同様に、広告主は広告の組、または広告キャンペーンの広告時間の量を購入することができ、広告サーバ105は、広告キャンペーンまたは広告の組の表示時間の総量が購入された広告時間を超えるか否かに基づいて広告を選択することができる。同様に、広告主は1以上の広告の広告印象の数を買うことができ、広告サーバ105は、広告または広告の組の印象の総数が購入された広告時間を超えるか否かに基づいて、1以上の広告のうちの1つの広告を選択することができる。広告主は、広告の組み合わせの露出因子の組み合わせを広告キャンペーンの一部として買うこともでき、広告サーバ105は、広告キャンペーンの全露出情報に基づいて広告群のいずれかの広告を選択することができる。 【0025】 広告サーバ105は、広告に対する要求の受信に応じて、広告主によって供給された付け値に基づいて、または広告主によって供給された広告の全予算に基づいて、広告主から受信された広告内でオークションを行うことができる。1つの実施形態において、広告サーバ105は、各受信された広告の付け値(例えば、広告主によって供給された付け値、または広告の広告主の予算に基づいた付け値)を判定し、最高の付け値を持つ広告が選択される。」 「【0027】 広告主は特定の制御された広告媒体120への広告露出を購入するか、または値付けすることができる。そのような実施形態においては、広告の要求ユーザ130が特定の制御された広告媒体120を介して該広告を要求している場合のみ、広告サーバ105は広告を値付けし、または選択することができる。全てのユーザに亘って広告の広告印象の総数が広告印象の購入された数を超えない場合のみ、広告主は広告につき広告印象の数を購入することができ、広告サーバ105は広告を値付けし、または選択することができる。 システムの構成 図2は、1つの実施形態による、クロス媒体広告ネットワークの実施に適したシステム環境の高レベル・ブロック図である。システム環境は、広告システム205、制御された広告媒体120、外部広告媒体125、クライアント210、広告主220、および連結ネットワーク200を通じて通信するソーシャル・ネットワーキング・システム230を備えている。外部データ源のような他の構成要素は図2に示されていないが、同様に、図2の構成要素と通信することができる。1つの実施形態において、種々の構成要素は単一の構成要素において実施することができる。例えば、広告システム205または制御された広告媒体120はソーシャル・ネットワーキング・システム230内で実施することができる。」 「【0040】 図2に示されるように、広告システム205は広告主インターフェース240、広告データベース245、ユーザ確認モジュール250、広告サーバ105、露出判定モジュール110および外部広告観察モジュール115を備えている。1つの実施形態において、広告サーバ105、露出判定モジュール110、および外部広告観察モジュール105は図1からの各構成要素である。他の実施形態において、広告システム205はより多い、またはより少ない構成要素を備え、該構成要素はここに記載されるのとは異なる機能を行ってよい。 【0041】 広告主インターフェース240は、広告システム205と広告主220との間に通信インターフェースを提供する。広告システム205は広告主インターフェース240を介して広告および関連広告情報を広告主220から受信し、広告および広告情報を広告データベース245に格納する。広告主インターフェース240は、広告主220が、1以上の広告をアップロードし、(広告予算、最大広告付け値、所望の広告状況等のような)広告に関連する広告の拘束を特定し、(所望の広告露出、所望の広告対象ユーザ等のような)広告に関連する広告目標を特定し、広告に関連するいずれかの他の情報を特定するのを可能とすることができる。広告主インターフェース240は広告主220による使用のためのGUIを備えることができる。広告データベース245は広告主220から受信した広告および広告情報を格納し、要求に応じて、広告および広告情報を広告サーバ・モジュール105に供給する。広告主インターフェース240および広告データベース245は、図3に関連して後により詳細に議論する。 【0042】 ユーザ確認モジュール250は制御された広告媒体120を介して広告を要求するクライアント210に関連するユーザ130を確認することができ、ユーザの識別情報を広告サーバ105に提供することができる。ユーザ130は多数の方法で確認することができる。1つの実施形態において、ユーザ130は、広告の要求に関連する制御された広告媒体120内でプラグイン利用されるソーシャル・ネットワーキング・システムを介して確認される。ソーシャル・ネットワーキング・システム130は、ユーザ130にソーシャル・ネットワーキング・システム130にサインをするように要求することによってユーザ130を確認し、制御された広告媒体120にプラグイン・インストールされたソーシャル・ネットワーキング・システムはユーザ130の識別情報をユーザ確認モジュール250に中継する。別法として、ユーザ130は、ユーザ130に制御された広告媒体120にサインするように要求することによって、ユーザ130に関連するクライアント210にインストールされたクッキーによって、(MACアドレス、モバイル・デバイス数、通し番号、tvセット-頂部ボックス識別子等のような)クライアント210に関連するユニークな確認情報によって、eメール・アドレスによって、IPアドレスによって、またはいずれかの他の方法を介して確認することができる。1つの実施形態において、ユーザ確認モジュール250は、具体的には、ユーザに代えてユーザ130の家族を確認し、人口統計学的情報を用いて、ユーザ130が家族のどのメンバーなのか判定することができる。例えば、tvセット-頂部ボックスは、特定の家のメンバーが10歳と17歳との間で女性に訴えることが知られた特定の番組を見たことをユーザ確認モジュール250に中継することができ、ユーザ確認モジュール250は、女性であって、10歳と17歳との間にある家族のメンバーをユーザ130として確認することができる。 広告データベース 図3は、1つの実施形態による、1以上の広告主から広告および広告情報を受信するように構成された広告データベースを示すブロック図である。図3の広告データベース245は広告コンテンツ格納モジュール320および広告情報格納モジュール330を備えており、広告主インターフェース240を介して広告主220から1以上の広告300および関連広告情報310を受信する。他の実施形態において、広告データベース245は、追加のまたは少数の格納モジュールおよび他の構成要素、例えば広告コンテンツ格納モジュール320を備えており、広告情報格納モジュール330は単一の格納モジュールに組み合わせることができる。 【0043】 広告主インターフェース240は、広告主220と広告データベース245との間に通信インターフェースを提供する。1つの実施形態において、広告主インターフェース240は広告データベース245内に一体化される。広告主220から送られた(広告300および広告情報310のような)データは広告主インターフェース240によって広告データベース245に送られる。広告主220から広告300を受信するのに応じて、広告主インターフェース240は予算、広告目標、広告値付け、広告キャンペーン、または他の広告情報を、広告主220の識別情報、広告300のフォーマットまたはコンテンツ、またはいずれかの他の因子に基づいて広告主220に提案することができる。 【0044】 広告主220は1以上の広告300を広告データベース245にアップロードし、広告データベース245は1以上の広告300を広告コンテンツ格納モジュール320に格納する。広告主220は、また、アップロードされた1以上の広告300に関連する広告情報310を広告データベース245にアップロードし、広告データベース245はアップロードされた広告情報310を広告情報格納モジュール330に格納する。格納された広告300および関連広告情報310は格納され、その結果、各広告300に関連する広告情報310は広告データベース245内の広告に関連付けられる。これは、有利には、広告サーバ105が広告について広告データベース245に質問すると、広告サーバ105が、広告に関連する広告情報310を検索するのを可能とする。 【0045】 先に議論したように、広告主220によってアップロードされた広告情報310は予算、広告露出時間の購入、(印象当たりベース、露出の時間単位当たりベース等の)1以上の広告付け値、広告拘束(対象ユーザまたはユーザのグループの識別情報等)、および広告露出目標(印象の数、所望の露出時間等)を備えてよい。広告情報310は、広告のフォーマット、(もし広告が放送できるならば)広告の長さ、広告の寸法等の、広告を記載する情報も備えることができる。広告情報310は、広告の主題、広告に関連する会社または製品、および広告(例えば、特定の広告キャンペーンに関連する広告)の間の関連性を記載する情報等の、アップロードされた広告に関連する広告メタデータを備えていてもよい。 【0046】 広告データベース245は、必要に応じて、フォーマット、寸法または他の表示特徴、またはアップロードされた広告のメタデータを改変するように構成されていてよい。広告コンテンツ格納モジュール320または広告情報格納モジュール330は、1以上の格納された広告300に関連するソーシャル・ネットワーキング・システム230からのソーシャル・ネットワーキング・システム機能または状況を格納することもできる。広告情報格納モジュール330は、露出判定モジュール110から検索された露出情報、特定の広告の表示で出費された広告主の予算の量、特定の広告に関連する残りの予算、特定の広告の表示によって経過した購入された露出時間の量、および特定の広告に関連する残りの購入された露出時間の量のような、格納された広告に関連した履歴の統計量を格納することもできる。 操作 図4は、1つの実施形態による、時間ベースの広告購入に基づいた広告の選択および表示を説明するブロック図である。図4の実施形態は、制御された広告媒体120a、120b、および120cを備えているが、外部広告媒体は備えておらず;他の実施形態は、より少数の、または追加の制御された媒体を有してよく、1以上の外部広告媒体を有してよい。加えて、図4の実施形態においては、広告サーバ105は値付けモジュール420およびオークション・モジュール430を備えている。他の実施形態において、時間ベースの広告購入に基づいた広告の選択および表示は図4に示されていない追加の構成要素を備えていてよい。」 「【0050】 露出判定モジュール110は制御された広告媒体120から受信された広告露出時間情報440を集め、集められた広告露出時間情報450を広告サーバ105に送る。1つの実施形態において、収集は、全ての制御された広告媒体120に亘って各広告の広告露出時間の量を合計することを含む。かくして、もし特定の広告を、制御された広告媒体120aを介して10分間、制御された広告媒体120bを介して5分間、および制御された広告媒体120cを介して20分間ユーザに表示すれば、露出判定モジュール110は、集められた広告露出時間情報450において広告の露出時間の合計35分を備えるであろう。露出判定モジュール110は、広告が表示されたユーザの識別情報、各制御された広告媒体120に亘っての広告露出の内訳のような、集められた広告露出時間情報450における時間無関連情報を備えてよい。1つの実施形態において、広告サーバ105は、集められた広告露出時間情報450について露出判定モジュール110に質問する。別法として、露出判定モジュール110は、集められた広告露出時間情報450を広告サーバ105に周期的にまたは自動的に提供することができる。 【0051】 広告サーバ105は、広告および関連する時間ベースの広告情報410ならびに集められた広告露出時間情報450を受信し、この受信された情報に基づいて広告を選択し、表示広告470としての表示のために、選択された広告460を制御された広告媒体120aに送る。図4の実施形態において、広告サーバ105は、受信された広告情報に基づいて受信された広告の中からオークションを行う。値付けモジュール420は、選択された広告が表示されることが期待される時点に基づいて各受信された広告に付け値を判定することができる。広告主が(0.50ドル/分のような)時間の単位に基づいて広告露出に対して値付けを行う実施形態において、値付けモジュール420は、もし広告主が設定した予算の限度が満たされなければ広告主が作成した付け値と同等の値付けを行い、もし予算の限度が満足されれば値付けを行わなくてよい。」 「【0055】 ユーザ130は、コンテンツ要求500を、例えば、コンピュータ、携帯電話、またはテレビのようなクライアント・デバイスを介して制御された広告媒体120aに送る。制御された広告媒体120aは、例えば、ウェブサイト、モバイル・アプリケーション、またはテレビ・ストリーミング・サービスであってよい。コンテンツ要求500の受信に応じて、制御された広告媒体120aは広告要求505を広告サーバ105に送る。1つの実施形態において、制御された広告媒体120aは、ユーザ130の識別情報に基づいて、要求されたコンテンツのタイプに基づいて、制御された広告媒体120aに基づいて、またはコンテンツまたは広告に関連するいずれかの他の情報に基づいて、広告を要求する。図4の実施形態と同様に、広告要求505の受信に応答して、広告サーバ105は、予め、広告データベース245に質問し、1以上の広告および関連広告情報510を受信する。 【0056】 制御された広告媒体120aは、ユーザ130に関連するユーザ情報520をユーザ確認モジュール250に送る。ユーザ確認モジュール250は、ユーザ情報520に基づいてユーザ130を確認する。前記したように、ユーザ確認モジュール250は、プラグイン・インストールされたソーシャル・ネットワーキング・システム・プラグインのようなプラグインを用い、またはコンテンツ要求500の受信に応じて、ユーザ確認モジュール250に対してユーザ130を確認する制御された広告媒体120aで実行し、ユーザ130を確認することができる。1つの実施形態において、ユーザ情報520としては、人口統計学的情報、IPアドレスまたはMACアドレス情報、(ユーザ・ログイン情報、または制御された広告媒体120aにアクセスするのに用いられるユーザ識別情報のような)制御された広告媒体120aのユーザ認証情報、クッキー情報、口座情報、電話番号、ユニークな確認用数字、またはユーザ確認モジュール250によって用いられて、ユーザ130を確認でき、または部分的に確認できる、ユーザ130に関連するいずれかの他の情報を挙げることができる。」 「【0059】 図4の実施形態と同様に、広告サーバ105は、受信された広告および関連する広告情報510に基づいて、および/または集められた広告露出情報570に基づいて、広告を選択する。1つの実施形態において、広告サーバ105の値付けモジュール420は1以上の受信された広告に対して付け値を作成し、オークション・モジュール430は最高の付け値に関連する広告を選択する。広告サーバ105は、選択された広告580を制御された広告媒体120aに送り、制御された広告媒体120aは要求されたコンテンツを選択された広告580と組み合わせ、組み合わせられたコンテンツおよび広告590をユーザ130に送る。」 「【0062】 図7は、1つの実施形態による、広告露出情報に基づいた広告の選択を示すフローチャートである。広告および関連する広告露出目標は、1以上の広告主の各々から受信される700。広告露出目標は、広告が全てのユーザに表示される時間の所望の量、広告が対象ユーザに表示される時間の所望の量、全てのユーザの広告印象の所望の数、対象ユーザの広告印象の所望の数、特定の媒体における広告の露出時間の所望の量または広告印象の数、特定の広告セッティングの露出時間の所望の量または広告印象の数、ユーザのサブセットの露出時間の所望の量または広告印象の数、広告の所望の付け値、広告予算等を含むことができる。広告および関連する広告露出目標は引き続いての検索のために格納することができる。 【0063】 広告の要求は、制御された広告媒体において要求ユーザから受信される710。1つの実施形態において、要求ユーザは、例えば、ソーシャル・ネットワーキング・システム・プラグイン、クッキー情報、または他のユニークな確認情報を用いて確認される。1以上の制御された広告媒体および外部広告媒体を観察720して、要求ユーザに対する広告の露出の量を判定する。各広告媒体からの広告露出の量は、広告、広告主、広告キャンペーン、または広告セッティングによって集めることができ、広告が要求ユーザに表示された時間の総量、要求ユーザによる広告の印象の総数等を表すことができる。広告は、広告露出目標および要求ユーザに対する決定された広告露出に基づいて、要求ユーザへの表示のために選択される730。例えば、オークションを行うことができ、最高付け値を伴う広告を選択することができる。 まとめ 本発明の実施形態のこれまでの記載は説明の目的で提示されており、限定的であったり、または本発明を開示された正確な形態に限定する意図ではない。関連分野の当業者であれば、前記開示に徴して、多くの修飾および変形が可能であるのを認識することができる。」 「【0065】 本明細書中に記載された工程、操作、または処理のいずれも、単独で、または他のデバイスと組み合わせて、1以上のハードウェアまたはソフトウェア・モジュールで行い、または実行することができる。1つの実施形態において、ソフトウェア・モジュールは、記載された工程、操作、または処理のいずれかまたは全てを行うためのコンピュータ・プロセッサによって実行することができる、コンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータ・プログラム製品で実行される。」 「【図2】 」 イ 甲第1号証に記載された発明 上記甲第1号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して甲第1号証に記載された発明を認定する。 (ア)広告システム 甲第1号証の段落[0001]、[0005]、[0027]の記載によれば、甲第1号証には、『広告主の広告露出目標及び複数の広告に亘っての広告露出の判定された量に基づき、対象ユーザへの表示用の広告を選択するクロス媒体広告ネットワークに適合する広告システム』に関する発明が記載されている。 また、段落[0027]、図2の記載によれば、クロス媒体広告ネットワークの実施に適したシステム環境には、広告システム、制御された広告媒体、外部広告媒体、クライアント及び広告主が連結ネットワークで接続されている。さらに、段落[0040]、図2の記載によれば、『広告システムは、広告主インターフェース、広告データベース、ユーザ確認モジュール、広告サーバ、露出判定モジュール及び外部広告観察モジュールを備え』ている。 (イ)広告主インターフェース 甲第1号証の段落[0041]~[0045]の記載によれば、広告主インターフェースは、広告主がアップロードする広告に関連する広告露出目標、広告拘束などの広告情報を特定し、広告主から受信した広告情報を広告データベースに格納する。 また、段落[0005]、[0045]、[0062]の記載によれば、広告露出目標には、広告が全てのユーザに表示される時間の所望の量、広告が対象ユーザに表示される時間の所望の量、全てのユーザの広告印象の所望の数、対象ユーザの広告印象の所望の数、ユーザのサブセットの露出時間の所望の量又は広告印象の数などが含まれ、広告拘束は、対象ユーザまたはユーザのグループの識別情報等である。 すなわち、甲第1号証に記載される広告システムは、『広告主がアップロードする広告に関連する広告露出目標、広告拘束などの広告情報を特定し、広告主から受信した広告情報を広告データベースに格納する広告主インターフェース』を備え、『広告露出目標には、広告が全てのユーザに表示される時間の所望の量、広告が対象ユーザに表示される時間の所望の量、全てのユーザの広告印象の所望の数、対象ユーザの広告印象の所望の数、ユーザのサブセットの露出時間の所望の量又は広告印象の数などが含まれ、広告拘束は、対象ユーザまたはユーザのグループの識別情報等』である。 (ウ)露出判定モジュール 甲第1号証の段落[0007]、[0013]~[0015]、[0018]~[0022]、[0046]の記載によれば、露出判定モジュールは、制御された広告媒体から広告露出情報を収集すると共に、外部広告媒体から直接又は外部広告観察モジュールを介して広告露出情報を収集し、収集した広告露出情報を、分析、組織化し、各広告の、各広告主の、各ユーザの総露出を集計して広告データベースに格納するものである。ここで、広告露出情報には、ユーザの識別情報、広告の識別、広告が特定のユーザに表示された露出時間の長さ及び回数(広告印象の数)、広告が全てのユーザに表示された総露出時間及び総回数などが含まれる。 制御された広告媒体及び外部広告媒体の広告媒体は、ウェブ・ページ、テレビのコンテンツ又はサービスなどである(段落[0007])。 露出判定モジュールは、制御された広告媒体及び外部広告媒体である、ユーザによって用いられるTVセット・トップ・ボックス、インターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータ、モバイル・デバイスなどからは広告露出情報を直接的に受信する(段落[0021])。 また、その他に、露出判定モジュールは、外部広告観察モジュールが外部広告媒体を間接的にモニターして、第三者源から外部広告媒体の広告コンテンツの情報を受信すること、例えば、ニールセン(Nielsen)視聴率を検索し、それを用いて、ユーザを記載する人口統計学的情報に基づいて、ユーザが広告を見た可能性を判定することなどにより、広告露出情報を間接的に受信する(段落[0019]、[0020])。 すなわち、甲第1号証に記載される広告システムは、『ユーザによって用いられるテレビのコンテンツ又はサービスを提供するTVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ページを表示するウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータやモバイル・デバイスなどの制御された広告媒体及び外部広告媒体から広告露出情報を直接的に収集し、また、他の外部広告媒体を外部広告観察モジュールが間接的にモニターして、第三者源から外部広告媒体の広告コンテンツの情報を受信すること、例えば、ニールセン(Nielsen)視聴率を検索し、それを用いて、ユーザを記載する人口統計学的情報に基づいて、ユーザが広告を見た可能性を判定することなどにより広告露出情報を間接的に収集し、それらの収集した広告露出情報を、分析、組織化し、各広告の、各広告主の、各ユーザの総露出を集計して格納する露出判定モジュール』を備え、『広告露出情報には、ユーザの識別情報、広告の識別、広告が特定のユーザに表示された露出時間の長さ及び回数(広告印象の数)、広告が全てのユーザに表示された総露出時間及び総回数などが含まれる』ものである。 (エ)ユーザ確認モジュール 甲第1号証の段落[0042]、[0056]の記載によれば、ユーザ確認モジュールは、制御された広告媒体を介して広告を要求するクライアントに関連するユーザを、IPアドレス、MACアドレス情報などのユーザ情報によって確認する。 (オ)広告サーバ 甲第1号証の段落[0008]、[0012]、[0024]、[0050]、[0051]、[0055]、[0063]の記載によれば、広告サーバは、ユーザから広告の要求を受信し、広告露出目標と、露出判定モジュールから受信した広告露出情報とに基づいて、要求ユーザのための広告を選択し、選択された広告を、広告を要求するユーザの制御された広告媒体へ送信する。 また、段落[0025]、[0027]、[0059]、[0063]の記載によれば、広告サーバは、広告の要求に応じて、広告主によって供給された付け値などに基づいて、オークションを行うことにより最高付け値を伴う広告を選択する。 すなわち、甲第1号証に記載される広告システムは、『ユーザから広告の要求を受信し、広告露出目標と、広告を要求するユーザについての広告露出情報と、広告主によって供給された付け値などに基づいてオークションを行うことにより最高付け値を伴う広告を要求ユーザのための広告として選択し、選択された広告を、広告を要求するユーザの制御された広告媒体へ送信する広告サーバ』を備えている。 (カ)まとめ 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、説明のために(1a)~(1e)の符号を当審において付与した。以下、構成1a~構成1eと称することにする。 (甲1発明) (1a) 広告主の広告露出目標及び複数の広告に亘っての広告露出の判定された量に基づき、対象ユーザへの表示用の広告を選択するクロス媒体広告ネットワークに適合する広告システムであって、 (1b) 広告主がアップロードする広告に関連する広告露出目標、広告拘束などの広告情報を特定し、広告主から受信した広告情報を広告データベースに格納する広告主インターフェースと、 ここで、広告露出目標には、広告が全てのユーザに表示される時間の所望の量、広告が対象ユーザに表示される時間の所望の量、全てのユーザの広告印象の所望の数、対象ユーザの広告印象の所望の数、ユーザのサブセットの露出時間の所望の量又は広告印象の数、広告の所望の付け値、広告予算等が含まれ、広告拘束は、対象ユーザまたはユーザのグループの識別情報等であり、 (1c) ユーザによって用いられるテレビのコンテンツ又はサービスを提供するTVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ページを表示するウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータやモバイル・デバイスなどの制御された広告媒体及び外部広告媒体から広告露出情報を直接的に収集し、また、他の外部広告媒体を外部広告観察モジュールが間接的にモニターして、第三者源から外部広告媒体の広告コンテンツの情報を受信すること、例えば、ニールセン(Nielsen)視聴率を検索し、それを用いて、ユーザを記載する人口統計学的情報に基づいて、ユーザが広告を見た可能性を判定することなどにより広告露出情報を間接的に収集し、それらの収集した広告露出情報を、分析、組織化し、各広告の、各広告主の、各ユーザの総露出を集計して広告データベースに格納する露出判定モジュールと、 ここで、広告露出情報には、ユーザの識別情報、広告の識別、広告が特定のユーザに表示された露出時間の長さ及び回数(広告印象の数)、広告が全てのユーザに表示された総露出時間及び総回数などが含まれ、 (1d) 制御された広告媒体を介して広告を要求するクライアントに関連するユーザを、IPアドレス、MACアドレス情報などのユーザ情報によって確認するユーザ確認モジュールと、 (1e) ユーザから広告の要求を受信し、広告露出目標と、露出判定モジュールから受信した広告露出情報と、広告主によって供給された付け値などに基づいてオークションを行うことにより最高付け値を伴う広告を要求ユーザのための広告として選択し、選択された広告を、広告を要求するユーザの制御された広告媒体へ送信する広告サーバと、 (1a) を備える広告システム。 (2)甲第2号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第2号証(特開2014-56587号公報)には、「モバイル広告のマイクロ・ターゲッティングのためのキーワード追跡」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【発明を実施するための形態】 【0023】 マイクロ・ターゲッティングされた広告(micro-targeted advertisement)を選択するために、エンドツーエンド(end-to-end)モバイル広告システムが、モバイル通信デバイスに関するユーザ・ビヘイビア(user behavior)を特徴づける。具体的には、モバイルアプリケーションにおける「キーワード」の使用がベースとして役立つか、またはユーザ・ビヘイビア・プロファイル(user behavior profile)を増補することができる。監視されたキーワードのタイプが、ダイヤルされた電話メッセージ、ダウンロードされたアプレット(applet)またはトリグレット(triglet)、選択されたRSSフィード、およびワイヤレスWAPにおいて使用された検索語またはナビゲーションリンクなど、モバイル通信デバイスの特定のユーザインターフェース制限および使用に対処する。市場プラットフォームが、特定のスケジュールされたウィンドウ内での所望の顧客(「リーチ(reach)」)と、提示の適切な数(「フリークエンシー(frequency)」)と、効果的な継続時間(「時間(time)」)とについてネゴシエートされたタグに従って、モバイル通信デバイスに好適な提示のために必要なフォーマッティングを処理する。インプレッション広告の場合でも、ビヘイビアの変化を確かめるためにユーザロケーションおよび/または通信デバイスとのインタラクション(interaction)を監視することによって、有効性を測定する。」 「【0034】 ユーザ・ビヘイビア/人口統計プロファイリング構成要素51が、加入者レコード52と相互参照されるユーザ・ビヘイビア/人口統計プロファイルを作成し、更新し、改良することによって、広告のマイクロ・ターゲッティングを可能にする。それによって、それぞれの広告主55、56のための広告キャンペーン53、54では、露出の合計継続時間(時間(time))の間、指定回数(フリークエンシー(frequency))、広告を参照する特定のタイプのユーザ(リーチ(reach))を指定することができる。広告配信構成要素57が、該当する広告35をモバイル通信デバイス12に配信し、モバイル通信デバイス12は、広告選択および追跡構成要素45を用いて、R-F-Tメトリックが満たされていることを追跡(track)する。市場プラットフォーム46は追跡報告を周期的に受信し、追跡報告は、市場プラットフォーム46への適切なロイヤルティ料金を判断するモバイルアプリケーション使用追跡構成要素58によって処理される。」 「【0039】 市場プラットフォーム46は、69、70に示すように、広告主プラットフォーム55から広告キャンペーンを受信することによって、モバイル通信デバイス12への広告のマイクロ・ターゲッティングのために準備する。71に示すように、モバイル通信デバイス12の特定の構成のためにこれらの広告をフォーマットする。ブロック72に示すように、人口統計データなど、ユーザに関する何らかの情報にアクセスする。たとえば、ユーザのロケーションにより、地域制限を有する広告をターゲットとすることができる。73に示すように、これらの一般広告をモバイル通信デバイス12に配信し、74に示すように、モバイル通信デバイス12はそれらの広告を提示する。」 上記の記載事項及び図面の記載事項によれば、甲第2号証には次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲2技術) 「市場プラットフォームからモバイル通信デバイスへ広告を配信するエンドツーエンドモバイル広告システムにおいて、広告主の広告キャンペーンでは、露出の継続時間(時間(time))、指定回数(フリークエンシー(frequency))、広告を参照する特定のタイプのユーザ(リーチ(reach))を指定する技術」 (3)甲第3号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第3号証(特開2011-216120号公報)には、「広告サーバ及び広告管理方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0023】 図1は、Webページへの広告の配信方法を示す図である。 【0024】 Webページを管理するサーバは、ユーザからWebページにアクセスの要求を受けると、当該Webページポジション別に整理した広告のプールから、一定の規則により選択し、選択した広告へのリンクを埋め込んで当該Webページの情報をユーザのブラウザに送信する。」 「【0030】 リーチとは、バナー広告がユーザに届くこと、すなわちWebページにアクセスするユーザがバナー広告を見ることであり、これはユーザがアクセスするWebページに1度以上バナー広告が掲載されることを意味する。これは当該Webページへのすべてのアクセスにおいてバナー広告がまったく掲載されない確率を求め、これを1から引くことによって求められる。1人のユーザにリーチする確率をリーチ確率、リーチするユーザの数をリーチ数と呼ぶことにする。 【0031】 [広告サーバの機能構成図] 図2は、広告サーバの機能構成並びに広告サーバと周辺の要素との関係を示した図である。広告サーバは、上記のバナー広告の配信において、広告に係る処理を行うサーバである。 【0032】 広告サーバ1は、広告主端末8からネットワーク(図示せず)を介してアクセス可能であり、広告主指定値受付部2で、広告主端末8から広告を掲載すべきカテゴリ・ポジション、掲載期間、掲載回数の入力を受け付ける。これは、広告主端末8のカテゴリ・ポジション指定入力部8-1、掲載期間入力部8-2、掲載回数入力部8-3と、広告サーバ1にある広告主指定値受付部2のカテゴリ・ポジション指定受付部2-1、掲載期間受付部2-2、掲載回数受付部2-3との間で行われる。 【0033】 リーチ数予想部3は、広告主指定値受付部2で受け付けた情報に基づき、リーチ数の予想を行う。リーチ数予想部3は、過去ログ参照部3-1、掲載確率算出部3-2、リーチ確率算出部3-3、及び予想リーチ数算出部3-4から構成される。 【0034】 過去ログ参照部3-1は、アクセスログファイル10から、過去の同一期間における同一カテゴリに属するWebページ群へのアクセス記録を読み出し、指定されたカテゴリに属するWebページ群へのユーザ別のアクセス回数(フリクエンシ)と、それを集計した全ユーザのアクセス回数と、ユーザ別のアクセス回数によって分類したアクセス回数別ユーザ数を求める。各カテゴリに属するWebページ群へのユーザ別のアクセス回数は、カテゴリIDとユーザIDをキーとしてアクセス記録を集計すれば得られる。各カテゴリに属するWebページ群への全ユーザのアクセス回数は、カテゴリIDをキーとしてアクセス記録を集計すれば得られる。ユーザ別のアクセス回数によって分類したアクセス回数別ユーザ数は、ユーザごとの各カテゴリIDについてのアクセス回数を求め、アクセス回数が同じユーザ数を集計すれば得られる。」 「【0061】 [処理フロー] 以下、図8と図9に従い、広告サーバ1が行う処理の流れについて説明する。 【0062】 図8は、リーチ数を計算するためのリーチ計算テーブルであり、図9は計算手順を示したフローチャートである。 【0063】 広告サーバ1は、広告主端末8から入力された、バナー広告を掲載すべきカテゴリ・ポジション、掲載期間、掲載回数の入力を、広告主指定値受付部2で受け付ける(S1)。 【0064】 次に所望の掲載期間と同一の期間における当該Webページ群へのアクセス情報を過去のWebページアクセスログ(図6)から抽出する(S2)。抽出するのは、当該Webページへのアクセス回数とフリクエンシマップ(図7)に係る情報である。 【0065】 次に、所望の掲載回数とアクセス回数から掲載確率pを計算する(S3)。具体的には所望の掲載回数をアクセス回数で割ればよい。図8においては、掲載確率を0.1としている。 【0066】 次に、掲載確率pを用いて各フリクエンシfについてリーチ確率を計算する(S4)。リーチ確率は数式1で求めることができる。図8には、各フリクエンシについて計算したリーチ確率を表示している。 【0067】 次に、上記で求めたリーチ確率に各フリクエンシのユーザ数を掛けて各フリクエンシのユーザに対する予想リーチ数を求め(S5)、それを合計する(S6)。その合計値が全体の予想リーチ数となる。図8において、各フリクエンシごとに、ユーザ数にリーチ確率を掛けて予想リーチ数が求められている。それを合計したものが、全体の予想リーチ数である。 【0068】 そして最後に、求めた予想リーチ数を広告主に送信する(S7)。 【0069】 このようにして、広告サーバ1は、広告主から受け取った広告計画に基づいて、ユーザへの広告到達度(リーチ数)を予想し広告主に伝えることができるので、広告主は広告効果を考えながら広告計画を立てることができる。」 上記の記載事項及び図面の記載によれば、甲第3号証には次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲3技術) 「広告サーバからユーザのブラウザへバナー広告を配信するシステムにおいて、広告サーバは、広告主から広告を掲載すべきカテゴリ・ポジション、掲載期間、掲載回数を受信し、リーチ確率(1人のユーザにバナー広告が届く(リーチ)する確率)に各フリクエンシ(指定されたカテゴリに属するWebページ群へのユーザ別のアクセス回数)のユーザ数を掛けて各フリクエンシのユーザに対する予想リーチ数を求め、それを合計して全体の予測リーチ数を集計し、広告主に送信する技術」 (4)甲第4号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第4号証(特開2007-133865号公報)には、「コミュニケーション費用計算方法、この方法を用いた装置、システム、プログラムおよび記録媒体」(発明の名称)に関し、以下の事項が記載されている。 「【0017】 通常、マーケティングコミュニケーション実務は半期もしくは通年ごとに計画される。この期間中、顧客がある特定銘柄を購入するまでの一連の情報処理過程は、複数個の処理ベクトルから構成される。そして、商品が購入されるために必要な喚起回数(フリークエンシー)は各処理ベクトルによって異なる。ただし、これらのことは、着目した1人の顧客が自社商品を購入するために必要な各処理ベクトルの喚起回数(フリークエンシー)という意味である。これに、マーケティング目標(ターゲットとして狙った消費者全体のうち、自社商品を購入する消費者の割合=リーチ)を重ねあわせると、処理ベクトルごとに、マーケティング目標を達成するために必要な「のべ喚起量(=リーチ×フリークエンシー)」が求められる。以後、これを「必要喚起量」と呼ぶ。なお、具体的な求め方は後述する。次に、顧客接点に着目する。今日、企業が活用可能な顧客接点はますます多様化しており、上記の各処理ベクトルを喚起させる手段として、どの顧客接点を活用するかという意思決定は複雑である。1つの顧客接点は、いくつかの処理ベクトルを喚起するが、顧客接点ごとに喚起させることが得意な処理ベクトルと、喚起させることが不得意な処理ベクトルが存在する。また、各顧客接点が顧客に1回接触するのに要する費用は著しく異なる。そこで、その処理ベクトルを1回喚起するために必要な顧客接点の接触回数を顧客接点ごとに求め、そして、顧客接点ごとに、その顧客接点で顧客と1回接触するために必要な費用を求めることにより、マーケティング目標を達成するために、各顧客接点に投じるべき金額が定まる。各顧客接点に投じる金額を合計したものが、コミュニケーション総費用である。このように、同一のマーケティング目標であっても、どのように顧客接点を組み合わせるのかによってコミュニケーション総費用は異なる。そこで、本発明では、上記の原理を数式化し、コミュニケーション総費用が最小となる各顧客接点への投下金額を求める。」 上記の記載事項によれば、甲第4号証には次の技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲4技術) 「マーケティング目標を達成するために必要な「のべ喚起量(必要喚起量)」は、「マーケティング目標(ターゲットとして狙った消費者全体のうち、自社商品を購入する消費者の割合=リーチ)」×「着目した1人の顧客に商品が購入されるために必要な喚起回数(フリークエンシー)」により求められること」 (5)甲第5号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第5号証(特開2014-93695号公報)には、「広告提供装置、広告提供システム及び広告提供方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0011】 図1において、テレビジョン受信機(以下、TVという)20は、放送局からのデジタル放送信号に基づく映像を表示する機能を有する。例えば、TV20は、図示しないアンテナにより受信したデジタル放送に対する選局、復調、デコード、映像信号処理等によって、デジタル放送によって伝送された番組の映像信号を取得する図示しない回路部を有する。なお、このようなデジタル放送信号の受信処理を行う構成は既存システムと同様であり、図示及び説明を省略する。TV20の表示制御部21は、取得した番組等の映像信号を表示部22に与えて表示させる。 【0012】 本実施の形態においては、TV20は、TV20の固有の機器IDを記憶するID記憶部23を有する。また、TV20には、使用するユーザを登録する機能を有するID管理部24が設けられている。ID管理部24は、登録された各ユーザ毎のユーザIDをID記憶部23に記憶させる。ID管理部24は、番組を視聴中のユーザのユーザID及び機器IDを番組視聴管理部25に出力することもできるようになっている。TV20は、ユーザ認証部28を備えている。ユーザ認証部28は、ユーザのログイン操作や、図示しないカメラによるユーザの撮影出力に対する画像認識処理等の各種認証処理によって、視聴中のユーザを検出して検出結果をID管理部24に出力するようになっている。ID管理部24は、ユーザの検出結果に応じたユーザIDを取得して番組視聴管理部25に出力することもできる。 【0013】 番組視聴管理部25は、受信して表示した番組に関する情報、例えば、番組のチャンネルID、放送時間に関する情報等を視聴時間毎に管理して、視聴履歴記憶部26に視聴時間毎の視聴履歴として記録することができる。また、番組視聴管理部25は、各視聴履歴に対応して視聴中のユーザのユーザIDを視聴履歴記憶部26に記録させることもできる。 【0014】 番組視聴管理部25は、視聴履歴送信部27を制御して、所定のタイミングで、視聴履歴記憶部26に記憶されている視聴履歴の情報を読み出して、図示しないネットワークに送信させることができる。例えば、視聴履歴送信部27は、インターネット等のネットワークを介して視聴履歴を広告サーバ10に送信することができるようになっている。 【0015】 広告提供装置としての広告サーバ10は、テレビジョン放送の視聴履歴の情報を取得する。例えば、履歴情報受信部11は、図1のTV20と同様の構成を有して視聴履歴を送信可能な複数のテレビジョン受信機から、インターネット等のネットワークを介して視聴履歴の情報を受信する。履歴情報受信部11は受信した各視聴履歴を視聴履歴格納部12に与えて記憶させる。 【0016】 視聴履歴格納部12は、入力された各視聴履歴を各機器ID毎及び各機器の各ユーザID毎に管理して、視聴履歴テーブルとして記録するようになっている。」 「【0019】 視聴履歴テーブルは、視聴時間毎の視聴履歴を記録しており、図2の例では、各視聴履歴は、機器ID、ユーザID、チャンネルID、視聴開始時刻、視聴終了時刻の情報を含む。例えば、図2の上から3つ目のレコードでは、2012年10月18日17時12分22秒から20時01分10秒までの間において、機器IDが000001の機器において、ユーザIDが0Aの人物によって、チャンネルIDが8のデジタル放送によって放送された番組が視聴されたことが分かる。 【0020】 また、広告データテーブルは、各広告毎の情報を記録しており、図3の例では、各広告の情報は、全チャンネルの全広告のうちの各広告を特定するための広告ID、チャンネルID、広告の放送開始時刻、広告の放送終了時刻、ユーザが広告を識別する際の指標となる広告の名称、画像、URL等の情報を含む。更に、広告情報としては、広告が含まれる放送の番組名や番組内のコーナー名等を含んでいてもよく、URLとしてはショップングサイトを示すものであってもよい。また、広告の名称として、「○○番組の○○コーナーで紹介された○○です」等の商品等を紹介する文章を記述してもよい。 【0021】 例えば、図3の上から1つ目のレコードでは、2012年10月18日15時15分00秒から15時20分00秒までの間において、広告ID000003の広告がチャンネルID1のデジタル放送によって放送され、この広告の名称は、ラーメン○○であって、この広告に関する画像ファイルのファイル名が000001.jpgで、関連するURLがhttp://www.xxx.co.jpであることが分かる。 【0022】 即ち、広告データテーブルは、番組内において放送された商品等について、放送されたチャンネル及び時間帯の情報(以下、広告特定情報という)と、放送された商品等に関連する情報(以下、広告関連情報という)とを、広告情報として、各広告毎に記録したものである。なお、広告情報としては、ショッピングチャンネル等の番組内において商品販売等の広告の目的で放送されたものに限らず、情報番組等の番組内で特に紹介された商品であってもよく、或いは、番組に使用された商品等であってもよい。更に、広告情報としては、商品や食料品等の物に限らず、店舗や旅行情報等の各種情報等であってもよい。 【0023】 本実施の形態においては、広告サーバ10は、照合部14を有しており、照合部14は、視聴履歴と広告特定情報とを照合することで、各機器や各ユーザ毎に視聴した広告情報を特定するようになっている。照合部14には、広告要求受信部17から広告表示要求が与えられる。広告表示要求によって、広告表示要求を行った機器又はユーザを特定することができる。」 上記の記載事項及び図面の記載によれば、甲第5号証には次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲5技術) 「広告サーバは、ネットワークと接続された固有の機器IDを有するテレビジョン受像機から、受信して表示した番組に関する情報(番組のチャンネルID、放送時間に関する情報等)と、各機器ID毎及び各機器の各ユーザID毎の視聴履歴(機器ID、ユーザID、チャンネルID、視聴開始時刻、視聴終了時刻の情報)を取得し、広告サーバが記憶している各広告の情報(広告ID、広告特定情報(チャンネルID、広告の放送開始時刻、広告の放送終了時刻)、広告関連情報(ユーザが広告を識別する際の指標となる広告の名称、画像、URL等))のうちの広告特定情報と、テレビジョン受像機から取得した視聴履歴を照合することによって、各機器や各ユーザ毎に視聴した広告情報を特定する技術」 (6)甲第6号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第6号証(特開2015-37244号公報)には、「情報照合装置、情報処理システム、プログラム及び照合方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0039】 情報配信サーバ140の配信部142は、通信回線を10介して、1以上の無線端末に情報を配信する。配信部142は、広告枠などの情報配信枠の競争入札処理を実行してもよい。配信部142は、PUSH型の情報配信処理を実行してもよく、PULL型の情報配信処理を実行してもよい。配信部142によって配信された情報は、1以上の無線端末のそれぞれとの間で通信が確立されたアクセスポイントを介して、1以上の無線端末のそれぞれに配信されてもよく、基地局106を介して、1以上の無線端末のそれぞれに配信されてもよい。」 「【0177】 図15は、情報提供システム1000における処理の一例を概略的に示す。図15は、情報提供システム1000が、RTB(Real Time Bidding)において、SSPサーバ1500からのビッドリクエストに対して応答する処理の一例を概略的に示す。 【0178】 本実施形態において、まず、ステップ1502(ステップをSと省略する場合がある。)において、ユーザがWebページにアクセスしてインプレッションが発生する。インプレッションが発生すると、SSPサーバ1500は、Webページからの広告リクエストを受信する。S1504において、SSPサーバ1500は、広告リクエストを分析して、ビッドリクエストを生成する。ビッドリクエストには、ユーザのクッキーが含まれる。SSPサーバ1500は、生成されたビッドリクエストを、AdExchageを介して情報配信サーバ140に送信する。 【0179】 S1510において、情報配信サーバ140は、受信したビッドリクエストを分析する。例えば、受信したビッドリクエストからユーザのクッキーを抽出する。S1512において、情報配信サーバ140は、ビッドリクエストから抽出されたクッキーを統合サーバ1022に送信し、当該クッキーに対応付けられた属性情報と、当該クッキーにより識別されるユーザの現在位置に関する情報とを送信するよう、要求する。 【0180】 S1514において、要求受信部1162が、情報配信サーバ140からの要求を受け付ける。次に、統合情報制御部1164が、統合情報格納部1166に格納された統合情報を参照して、情報配信サーバ140から受信したクッキーに対応付けられた属性情報を抽出する。また、当該クッキーに対応付けられた無線端末の現在位置に関する情報を抽出する。S1516において、統合情報制御部1164は、抽出した情報を情報配信サーバ140に送信する。 【0181】 S1518において、情報配信サーバ140は、ビッドリクエストに含まれる情報と、統合サーバ1022から受信した情報とに基づいて、ビッドレスポンスを生成する。例えば、情報配信サーバ140は、ビッドリクエストに含まれる属性情報と、統合サーバ1022から受信した属性情報と、統合サーバ1022から受信した無線端末の現在位置に関する情報とに基づいて、配信する広告の種類及び入札価格を決定する。情報配信サーバ140は、生成されたビッドレスポンスを、AdExchageを介してSSPサーバ1500に送信する。S1520において、SSPサーバ1500がオークションを実施して、落札者を決定する。」 上記の記載事項及び図面の記載によれば、甲第6号証には次の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲6技術) 「SSPサーバが、Webページからの広告リクエストによりビットリクエストを生成して情報配信サーバへ送信すると、情報配信サーバは、SSPサーバから受信したビットリクエストによりビッドレスポンス(配信する広告の種類及び入札価格)を生成してSSPサーバへ送信し、SSPサーバが、情報配信サーバから受信したビッドレスポンスによりオークションを実施し、広告枠などの情報配信枠の落札者を決定するRTB(Real Time Bidding)技術」 (7)甲第7号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第7号証(特開2015-18293号公報)には、「広告配信方法、サーバ、システムおよびプログラム」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0025】 同様に、ホームページや広告メディアに関する情報(メディア情報)も送られ、オークションサーバ403はこれらの情報に基づき、入札要求を行って競争入札を開始する。また、オークションサーバ403は受信したIPアドレス等によりクライアント端末の大まかな設置位置を特定し、入札要求に含めて送信することができるが、これに限られず何らかの方法で取得したクライアント端末の位置情報等をDSPにおける広告決定の情報に用いるために送信することもできる。入札は、従来の本技術分野で知られたいずれかのRTBプロトコルに基づいて実行される。 【0026】 ここで、入札要求を受け取ったDSPは受信したクライアント端末の識別情報により、予め蓄積していたオーディエンス情報、例えばクライアントの性別や年齢層、嗜好あるいは閲覧履歴などをDSPが管理するデータベースから読み出し、受信したクライアント端末の位置に関する情報などに基づき、予め広告主との契約で入札に参加する予定の複数の広告から応札する広告および対価を決定して入札応答を送信する。本実施形態では、オーディエンス情報やメディア情報は、特定のサーバで記憶され、使用されるように説明したが、これに限られず、これらの情報の一部または全部を異なるサーバで記憶させておき、また異なるサーバで使用するように構成することもできる。なお、一般に媒体社は広告メディアサーバを所有または管理し、RTB広告はDSPから広告代理店など通して提供されるが、広告代理店や広告主が直接オークションに参加して(アドエクスチェンジシステムに入札応答を送信することによって)媒体社に応札することもできる。」 上記の記載事項及び図面の記載によれば、甲第7号証には次の技術(以下、「甲7技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲7技術) 「オークションサーバは、メディア情報に基づきDSPへ入札要求を行い、入札要求を受け取ったDSPは、受信したクライアント端末の識別情報に対応する予め蓄積していたオーディエンス情報に基づき、予め広告主との契約で入札に参加する予定の複数の広告から応札する広告および対価を決定し、オークションサーバへ入札応答を送信して、RTBプロトコルに基づく競争入札を行う技術」 (8)甲第8号証について 特許異議申立人が「広告配信の分野において、配信目標に対する実績の不足量に基づき、配信ユーザの数を決定すること」が一般的な技術であることを証明するために提出した甲第8号証(国際公開第2015/198474号明細書)は、2015年12月30日が国際公開日の文献であり、本件特許の優先日である平成27年(2015年)6月4日において公知のものではないので、証拠として採用しない。 (9)甲第9号証について 特許異議申立人が提出し、取消理由に引用した甲第9号証(特開2000-122949号公報)には、「コンテンツ管理方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0021】 【課題を解決するための手段】本発明は、コンテンツの公開開始日から所定の日までの該コンテンツに関する情報要求元のアクセス数を計数し、該アクセス数が所定の目標値に達しているか否か判定するコンテンツ管理方法を特徴とする。ここで所定の日及び該判定をする日は、それ以後情報の価値がなくなるか価値が減少する日(賞味期限)より以前の日である。 【0022】また本発明は、コンテンツのアクセス数が目標値に達していないとき、公開中のページコンテンツを代替ページに差し替えたり、広告コンテンツの表示頻度を増加するようにその表示頻度を変更するなどの対策処理を行うコンテンツ管理方法を特徴とする。」 「【0024】図1は、本実施形態の情報配信システムの構成例を示すブロック図である。図1において、コンテンツサーバ100は情報を配信する計算機である。コンテンツサーバ100において、102は配信されるコンテンツデータであり、コンテンツ管理者は、ディスプレイ104、キーボード106、マウス108といった入出力装置を介してコンテンツデータ102の登録、保守等の管理作業を行う。通信装置110はネットワーク130と接続しており、クライアント140と通信して、データの送受信を行う。メモリ(主記憶装置)としての記憶装置112には各種プログラムが格納されており、制御装置114がこれを読み出して各種機器を制御しながらコンテンツデータ102の配信と管理を行う。」 「【0044】図10は、チェック結果判定・対策処理の流れを示すフローチャートである。コンテンツサーバ100は、コンテンツチェックログ900上の次のコンテンツについて期限内904を参照して賞味期限を過ぎているか否か判定する(ステップ1002)。期限切れの場合には(ステップ1002YES)、コンテンツ管理者に対して期限切れ通知メッセージを発行し(ステップ1004)、ステップ1022へ行く。期限切れでなければ(ステップ1002NO)、当該コンテンツについてコンテンツチェックリスト400を参照し、判定値906が目標に達しているか否か判定する(ステップ1006)。判定値906≧期待値410×合格基準418であれば(ステップ1006YES)、目標達成としてステップ1022へ行く。目標達成していなければ(ステップ1006NO)、当該コンテンツについて対策方法420を参照し、代替ページへの差し替えの場合には(ステップ1008YES)、備考欄422に設定されているページが表示されるようにリンクの設定等の変更を行う(ステップ1012)。代替ページ422への差し替えが終了したとき、コンテンツ管理者に対してこのコンテンツが目標のアクセス数に達しなかったため設定に従って代替コンテンツに差し替えたことを通知し(ステップ1014)、ステップ1022へ行く。」 「【0057】また本実施形態の対策処理では、目標を達成しないコンテンツに関して一律にページ差し替えや表示頻度変更を行っているが、ユーザの属性を判定してコンテンツを使い分けているサイトであれば、ユーザの属性に応じた対策処理も考えられる。例えば広告であれば、その商品のターゲットユーザに対して重点的に表示するといったことである。その他、アンケートの回収率のよいユーザ層に対する露出を控え、反応の鈍い層には回答を促すページを出すといったことも考えられる。」 上記の記載事項及び図面の記載によれば、甲第9号証には次の技術(以下、「甲9技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲9技術) 「情報配信システムにおいて、コンテンツの公開開始日から所定の日までのアクセス数を計数し、該アクセス数が所定の目標値に達しているか否か判定し、コンテンツのアクセス数が目標値に達していないとき、広告コンテンツの表示頻度を増加するようにその表示頻度を変更するなどの対策処理を行うコンテンツ管理技術であって、その対策処理には、ユーザの属性に応じて、その商品のターゲットユーザに対して重点的に表示する処理が含まれるコンテンツ管理技術」 (10)参考資料について 特許異議申立人は、平成30年3月2日付け意見書において、甲第9号証の「ユーザの属性に応じて広告などを表示すること」に関して、「ユーザの属性にはテレビの視聴履歴が含まれること」を補足するための参考資料1~4を提出している。 それらの参考資料1~4には、以下の事項が記載されている。 ア 参考資料1(国際公開第2012/032628号明細書) 「サービス事業者によるターゲット広告などに有用なユーザ情報は、個人が特定できる情報を廃した匿名情報に限っても、多岐にわたる。上述した性別や年齢に限らず、例えば、都道府県や市町村の粒度にとどめた住所、職種、趣味、テレビの視聴履歴や、ネットでの購買履歴などを示す情報がユーザ情報のうちの個々のユーザ属性情報として挙げられる。」(段落0030) イ 参考資料2(特開2015-39094号公報) 「「コンテンツ提供装置」としては、テレビ受像機や汎用コンピュータ、スクリーンディスプレイ装置、などのディスプレイ装置が主として考えられるが、これらのディスプレイ装置に優先視聴者の属性情報を通知するための専用装置も含まれる。つまり、これらのディスプレイ装置に対して優先視聴者の属性情報を通知し、コンテンツ出力を含む視聴サービスの制御を行わせるような装置も含まれるものである。」(段落0012) 「ここで、認識情報から取得される視聴者の属性情報としては、視聴者のID、名前、性別、年齢・年代・年齢層、顔画像、全身画像、国籍、住所、所属、職業、経歴、好きな映像・音楽・文学のジャンル、視聴時間帯、起床時刻、通学・出勤時刻、帰宅時刻、就寝時刻、視力、聴力、使用言語・理解可能言語、語学力、好きなスポーツ・チーム・食べ物・有名人・動物などの情報の一以上が挙げられる。」(段落0015) 「ここで、視聴者の属性に応じた視聴履歴としては、視聴者IDごとの視聴履歴とすることも可能であるし、視聴者の性別・年齢層ごとの視聴履歴とすることも可能である。視聴履歴の内容としては、視聴日時・曜日・時間帯の情報や、視聴コンテンツのジャンルの情報、視聴時間の情報、視聴回数の情報、一緒に視聴した人の視聴者IDなどが挙げられる。」(段落0041) ウ 参考資料3(特開2015-97343号公報) 「次に、本発明の第3実施形態による映像配信システムを説明する。第3実施形態おける映像配信システムは、利用者の属性に応じて予測配信するタイルを変更することが、第1、第2実施形態と異なる点である。」(段落0037) 「ここでは属性として性別を利用したが、年齢や特定の被写体の好み、過去の視聴コンテンツの種別等でルールが作られても構わない。これにより、個人の嗜好に合わせた予測映像の高解像度タイルの配信が可能となる。」(段落0039) エ 参考資料4(特開2015-92750号公報) 「配信コンピュータ2の配信手段5は、あるユーザに対して多視点動画データを配信する場合に、ユーザ視聴行動履歴記憶手段6に記憶された他のユーザの視聴行動履歴を参照して、送信する多視点動画データの画面配置を変更した多視点動画データを配信する。」(段落0041) 「かかるユーザ属性としては、例えば、年齢などの静的属性が似ているユーザ群、視聴によって変化する動的な視聴傾向属性が似ているユーザ群、過去の視聴作品属性が似ているユーザ群、過去の視聴画面属性が似ているユーザ群等が採用可能である。例えば、特定の野球チームが好きなユーザは、同じ属性を有するユーザ群の行動履歴を参照すればよい。」(段落0088) オ 上記の記載事項によれば、参考資料1~4には次の技術(以下、「参考資料技術」という。)が記載されていると認められる。 (参考資料技術) 「コンテンツを配信するシステムにおいて、視聴者のユーザ情報には、ユーザの性別、年齢、嗜好及びコンテンツの視聴履歴などが含まれること」 2 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 2.1 本件発明3について (1)本件発明3 上記「第3 本件発明」に示した本件発明3を以下に再掲する。 なお、説明のために3A~3Fの符号を当審において付与した。以下、構成3A~構成3Fと称することにする。 (本件発明3) (3A) 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 (3B) TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得手段と、 (3C) 前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定手段と、 (3D) 前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段と、 を備え、 (3E) 前記第1設定手段は、前記現在の実績量として、初回時は視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、前記デジタル補完目標量が更新される場合は前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量を加えて用いる、 (3F) 広告配信システム。 (2)対比 本件発明3と甲1発明とを対比する。 ア 本件発明3の構成3Aと甲1発明の構成1bとの対比 甲1発明の構成1bの「広告主がアップロードする広告に関連する広告露出目標、広告拘束などの広告情報」のうちの「広告露出目標」は、広告主により設定された広告についての到達目標量といえる。そして、広告はCMであり、商品又は役務のCMであることも周知の事項である。 また、広告露出目標には、全てのユーザに表示される時間の所望の量、対象ユーザに表示される時間の所望の量、全てのユーザの広告印象の所望の数、対象ユーザの広告印象の所望の数、ユーザのサブセットの露出時間の所望の量又は広告印象の数が含まれる。すなわち、広告露出目標には、全てのユーザ、対象ユーザ、ユーザのサブセットの露出時間量又は広告印象の数が含まれている。 したがって、甲1発明の構成1bの「広告主がアップロードする広告に関連する広告露出目標、広告拘束などの広告情報を特定し、広告主から受信した広告情報を広告データベースに格納する広告主インターフェース」は、本件発明3の構成3Aと『商品又は役務のCMについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段』である点で共通するものである。 ただし、広告主により設定された「到達目標量」に関して、本件発明3は、商品又は役務のCMの「フリクエンシーとリーチについての到達目標量」であるのに対し、甲1発明は、商品又は役務のCMの「全てのユーザ、対象ユーザ、ユーザのサブセットの露出時間量又は広告印象の数についての広告露出目標」である点で相違する。 イ 本件発明3の構成3Bと甲1発明の構成1cとの対比 甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」は、「広告露出情報」を収集する対象として、ユーザによって用いられるテレビのコンテンツ又はサービスを提供するTVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビを有している。 また、広告露出情報には、ユーザの識別情報、広告の識別、広告が特定のユーザに表示された露出時間の長さ及び回数(広告印象の数)、広告が全てのユーザに表示された総露出時間及び総回数などが含まれており、上記アにおける検討と同様に、広告露出情報にはユーザの露出時間量又は広告印象の数が含まれている。 さらに、このような広告露出情報は、適時に繰り返して収集し集計するものであることは技術常識であり、ある時点における広告露出情報といえる。 よって、当該「広告露出情報」は、テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報を含むものであるから、『TVCMについての現在の実績量』といえる。 したがって、甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」は、本件発明3の構成3Bと『TVCMについての現在の実績量を取得する第2取得手段』である点で共通するものである。 ただし、「第2取得手段」における「TVCMについての現在の実績量」に関して、本件発明3は、「TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量」であるのに対し、甲1発明は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」であって、広告露出情報が視聴履歴とメタデータから得られるものであるとは特定されていない点で相違する。 ウ 本件発明3の構成3C、3Dと甲1発明の構成1eとの対比 甲1発明の構成1eの「広告サーバ」は、「広告露出目標と、露出判定モジュールから受信した広告露出情報と、広告主によって供給された付け値などに基づいてオークションを行うことにより最高付け値を伴う広告を要求ユーザのための広告として選択し、選択された広告を、広告を要求するユーザの制御された広告媒体へ送信する」ものである。 ここで、「選択された広告」は「広告を要求するユーザの制御された広告媒体」へ送信するものであり、構成1cによれば、「制御された広告媒体」は、TVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ページを表示するウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータやモバイル・デバイスなどのデジタル通信を行うデバイスであるから、当該「制御された広告媒体」へ送信する「選択された広告」は『デジタルCM』といえる。そして、その「選択された広告」の送信先である「制御された広告媒体」は『デジタル配信対象』といえる。 「広告露出目標」と「広告露出情報」は、上記ア、イにおいて検討したように、それぞれ本件発明3の「到達目標量」と「現在の実績量」に対応するものである。 そして、広告露出目標、広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択することは、「広告露出目標」対する「広告露出情報」の不足分を補うための広告の選択するものであることは明らかなことであるから、オークションを「広告露出目標」と「広告露出情報」の「差分」に基づいて行い、選択された広告とユーザの制御された広告媒体とを対応付けることといえる。 一方、本件発明3の「リアルタイムビッディング」は、リアルタイムにオークションを行って広告の入札を行う手法のことであり、「デジタルCMのデジタル配信対象を設定する」ことは、「デジタルCM」が配信される「デジタル配信対象」を決定することであり、「デジタルCM」と「デジタル配信対象」とが対応付けられることである。 よって、甲1発明の構成1eの、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する広告サーバと、本件発明3の構成3Dの「リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段」は、『オークションにより、デジタルCMとデジタル配信対象とを対応付けを設定する設定手段』である点で共通するものといえる。 以上のことから、甲1発明の構成1eの「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する広告サーバ」は、本件発明3の構成3Cの「第1設定手段」、構成3Dの「第2設定手段」と『前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、オークションにより、デジタルCMと配信するデジタル配信対象とを対応付けを設定する設定手段』である点で共通する。 ただし、「到達目標量」、「現在の実績量」が相違することは上記ア、イで上述したとおりであり、また、当該「設定手段」に関して、本件発明3は、前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、「リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定手段」と、当該「第1設定手段」が設定した「前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段」からなるものであるのに対し、甲1発明は、「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する広告サーバ」であって、本件発明3の「第1設定手段」、「第2設定手段」に係る構成を備えていない点で相違する。 エ 本件発明3の構成3Eと甲1発明の構成1c、1eとの対比 上記イにおいて検討したように、甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」が収集する「広告露出情報」は、テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報を含むものであるから、『TVCMについての現在の実績量』といえる。 また、構成1cの「ユーザによって用いられるテレビのコンテンツ又はサービスを提供するTVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ」から「広告露出情報」を収集することは、「広告露出情報」が、『視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信される』ことといえる。 よって、上記「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」は、『視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVCMについての現在の実績量』といえる。 以上のことから、甲1発明の構成1cの「広告露出情報」は、本件発明3の構成3Eの「視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量」と、『視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVに関する情報についての実績量』である点で共通する。 ただし、「TVに関する情報についての実績量」について、本件発明3は、「TV視聴履歴についての実績量」であるのに対し、甲1発明は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」である点で相違する。 また、構成1cの「露出判定モジュール」は、「広告露出情報」を収集する対象として、ユーザによって用いられるテレビのコンテンツ又はサービスを提供するTVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ページを表示するウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータやモバイル・デバイスを有している。 当該デバイスは、デジタル通信を行うデバイスであるから、当該デバイスにおける「広告露出情報」は、上記イにおける検討を援用すれば、デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報であって、『デジタルCMについての現在の実績量』といえる。 よって、甲1発明の構成1cの「広告露出情報」は、『視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVに関する情報についての現在の実績量』及び『デジタルCMについての現在の実績量』を含むものである。 上記ウにおいて検討したように、甲1発明の構成1eの「広告サーバ」は、本件発明3の構成3Cの「第1設定手段」、3Dの「第2設定手段」と「前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、オークションにより、デジタルCMと配信するデジタル配信対象とを対応付ける設定手段」である点で共通するものであり、「現在の実績量」を用いる「設定手段」という点で共通するものである。 以上のことから、甲1発明の構成1eの「広告サーバ」は、本件発明3の構成3Eと、『前記設定手段は、前記現在の実績量として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVに関する情報についての実績量及びデジタルCMについての実績量を用いる』ものである点で共通するものといえる。 ただし、「設定手段」が相違することは、上記ウで上述したとおりである。 また、当該「設定手段」の「TVに関する情報についての実績量」について、本件発明3は、「TV視聴履歴についての実績量」であるのに対し、甲1発明は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」である点で相違する。 さらに、当該「設定手段」に関して、本件発明3は、前記現在の実績量として、「初回時」は、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、「前記デジタル補完目標量が更新される場合」、すなわち『初回時にデジタル補完目標量が更新されたそれ以降』は、「前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量」を「加えて」用いる、というものであるのに対し、甲1発明は、現在の実績量として、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」と、「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を合わせて用いるものであるが、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」と、「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を、どのような場合に用いるかについて特定されておらず、初回時は、「テレビについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を用い、それ以降は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」に「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を加えて用いる、というものではない点で、両者は相違する。 オ 本件発明3の構成3Fと甲1発明の構成1aとの対比 甲1発明の構成1aの「広告システム」は、構成1b~1eを備え、選択された広告をユーザへ送信するものであるから、本件発明3の「広告配信システム」に相当する。 カ まとめ 上記ア~オのとおりであるから、本件発明3と甲1発明は、以下の点で一致ないし相違している。 <一致点> 商品又は役務のCMについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 TVCMについての現在の実績量を取得する第2取得手段と、 前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、オークションにより、デジタルCMとデジタル配信対象との対応付けを設定する設定手段と、 を備え、 前記設定手段は、前記現在の実績量として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVに関する情報についての実績量及びデジタルCMについての実績量を用いる、 広告配信システム。 <相違点> (相違点1) 広告主により設定された「到達目標量」に関して、本件発明3は、商品又は役務のCMの「フリクエンシーとリーチについての到達目標量」であるのに対し、甲1発明は、商品又は役務のCMの「全てのユーザ、対象ユーザ、ユーザのサブセットの露出時間量又は広告印象の数についての広告露出目標」である点。 (相違点2) 「第2取得手段」における「TVCMについての現在の実績量」に関して、本件発明3は、「TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量」であるのに対し、甲1発明は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」であって、広告露出情報が視聴履歴とメタデータから得られるものであるとは特定されていない点。 (相違点3) 「設定手段」に関して、本件発明3は、前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、「リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定手段」と、当該「第1設定手段」が設定した「前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段」からなるものであるのに対し、甲1発明は、「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する広告サーバ」であって、本件発明3の「第1設定手段」、「第2設定手段」に係る構成を備えていない点。 (相違点4) 「設定手段」の「TVに関する情報についての実績量」について、本件発明3は、「TV視聴履歴についての実績量」であるのに対し、甲1発明は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」である点。 (相違点5) 「設定手段」に関して、本件発明3は、前記現在の実績量として、「初回時」は、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTV視聴履歴についての実績量を用い、「前記デジタル補完目標量が更新される場合」、すなわち『初回時にデジタル補完目標量が更新されたそれ以降』は、「前記TV視聴履歴についての実績量にデジタルCMについての実績量」を「加えて」用いる、というものであるのに対し、甲1発明は、現在の実績量として、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」と、「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を合わせて用いるものであるが、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」と、「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を、どのような場合に用いるかについて特定されておらず、初回時は、「テレビについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を用い、それ以降は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」に「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を加えて用いる、というものではない点。 (3)相違点の判断 ア 相違点1について 広告を配信する広告配信技術において、広告主が設定する広告の到達目標をフリクエンシーとリーチにより設定することは、上記1(2)~(4)で認定した甲2技術、甲3技術、甲4技術に示されるように当該技術分野における周知技術である。 そして、当該周知技術を甲1発明に適用することにより、甲1発明の「広告露出目標」を「フリクエンシーとリーチについての到達目標量」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 イ 相違点2について 上記1(5)で認定した甲5技術は「番組に関する情報(番組のチャンネルID、放送時間に関する情報等)」、「各機器ID毎及び各機器の各ユーザID毎の視聴履歴(機器ID、ユーザID、チャンネルID、視聴開始時刻、視聴終了時刻の情報)」、「広告特定情報(チャンネルID、広告の放送開始時刻、広告の放送終了時刻)」により「各機器や各ユーザ毎に視聴した広告情報を特定する技術」である。 本件の明細書の段落0017の「ここで、本実施形態でいうメタデータとは、チャンネル毎の番組及びテレビCMの各放送時間帯を少なくとも含む情報をいう。」という記載を参酌すれば、甲5技術の「番組に関する情報(番組のチャンネルID、放送時間に関する情報等)」、「広告特定情報(チャンネルID、広告の放送開始時刻、広告の放送終了時刻)」は、メタデータである。 甲5技術にも示されるように、広告を配信する広告配信技術において、TVCMについてのユーザの視聴実績量を、各機器及び各ユーザの視聴履歴と番組及びTVCMのメタデータにより取得する技術は、当該技術分野における周知技術である。 そして、当該周知技術を甲1発明に適用することにより、甲1発明の「広告露出情報」を、TVの視聴履歴とTV番組及びTVCMに関するメタデータを利用して得るものとし、「TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 ウ 相違点3について まず、本件発明3が「デジタルCMのデジタル配信対象を設定する」ものであるのに対し、甲1発明は「ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する」ものであることに関して検討する。 甲1発明は、構成1bのように、広告主は、広告露出目標の他に広告の対象ユーザを特定する広告拘束を設定するものであり、広告露出目標には、全てのユーザに関する目標量の他に対象ユーザに関する目標量が含まれていること、また、構成1cのように、広告露出情報には、ユーザの識別情報が含まれているから、全てのユーザに関する露出量の他に特定のユーザに関する露出量が含まれているといえる。よって、甲1発明において、「ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する」際に、ユーザの制御された広告媒体がいかなる属性のものであるかを問わずに送信する広告が選択されるのではなく、広告主が広告拘束で設定した条件に対応する対象ユーザの制御された広告媒体へ送信するように設定されるものであることが示唆されているといえる。 また、上記1(9)で認定した甲9技術に示されるように、広告のアクセス数の目標を達成するためにユーザに広告を表示する際に、そのユーザの属性に応じて、その商品のターゲットユーザに対して重点的に表示するようすること、すなわち広告を表示するターゲットユーザを設定することは、当該技術分野において一般的に行われていることである。 これらのことから、甲1発明において、「ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する」際に、広告の対象ユーザに対応する「ユーザの制御された広告媒体」を設定するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることといえる。 また、広告の入札を、リアルタイムビッディングの技術に基づくオークションにより実施する技術は、上記1(6)、(7)で認定した甲6技術、甲7技術に示されるように当該技術分野における周知技術である。 さらに、上記アの「相違点1について」で認定したように、甲1発明の「広告露出目標」を「フリクエンシーとリーチについての到達目標量」とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるから、甲1発明において、広告露出目標と広告露出情報に基づいて、「デジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量」を設定するように構成することも当業者が容易に想到し得ることである。 そして、「設定手段」に対応する広告サーバを、「デジタル補完目標量を設定する第1設定手段」と、「デジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段」の2つの手段からなる構成とすることも、当業者が適宜なし得ることである。 以上のことから、甲1発明の「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択する広告サーバ」を、相違点3に係る、前記到達目標量と、前記現在の実績量との差分に基づいて、「リアルタイムビッディングによるデジタルCMのフリクエンシーとリーチの目標量であるデジタル補完目標量を設定する第1設定手段」と、「前記デジタル補完目標量に基づいて、前記リアルタイムビッディングによるデジタルCMのデジタル配信対象を設定する第2設定手段」とすることは、当業者が容易になし得ることといえる。 エ 相違点4について 上記イにおいて検討したように、TVCMについてのユーザの視聴実績量を、各機器及び各ユーザの視聴履歴と番組及びTVCMのメタデータにより取得する技術は、当該技術分野における周知技術であり、当該周知技術を甲1発明に適用することにより、甲1発明の「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を、テレビについての広告露出を集計することのみに限らず、広告を含むTV番組全体の視聴に関する情報について集計することとし、「TV視聴履歴についての実績量」とすることは、当業者が容易になし得ることといえる。 オ 相違点5について 甲1発明においては、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」と、「デジタルデバイスについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を、区別せずに、常に合わせて利用する技術であり、当該2つの「広告露出情報」を区別して扱うこととする示唆もない。 さらに、初回時は、「テレビについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」を用いて、テレビのCMについての広告配信の実績量のみを評価する構成とするための動機付けも、何ら存在しない。 また、これらの点は、周知技術である甲2技術~甲7技術、甲9技術及び参考資料技術からも導出できるものではない。 一方、本件発明3は、相違点5に係る構成を有することにより、本件特許の明細書の段落0025に記載されるように、「これにより、デジタル配信対象をIPアドレスに基づいて設定し、例えばTVCMとは異なるデジタルCMを配信させることができる。このようにして、TVCMでの一の矢に継ぐ二の矢のデジタルCMのRTB(リアルタイムビッディング)が実現され、その結果として、高い広告効果が得られるようになる。」という作用効果を有するものである。 したがって、本件発明3の相違点5に係る構成は、甲1発明、周知技術である甲2技術~甲7技術、甲9技術及び参考資料技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)まとめ 以上のように、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由によっては、上記相違点5に係る構成を、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明3を取り消すことはできない。 2.2 本件発明4、5について 本件発明4、5は、本件発明3の広告配信システムの発明に対応した広告配信方法、及びプログラムの発明であり、システムの各構成に対応したステップを有するものである。 そして、甲第1号証には、上記1(1)アに摘記した段落0065に「本明細書中に記載された工程、操作、または処理のいずれも、単独で、または他のデバイスと組み合わせて、1以上のハードウェアまたはソフトウェア・モジュールで行い、または実行することができる。」、また「1つの実施形態において、ソフトウェア・モジュールは、記載された工程、操作、または処理のいずれかまたは全てを行うためのコンピュータ・プロセッサによって実行することができる、コンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータ・プログラム製品で実行される。」と記載されていることから、甲第1号証に記載された発明を、方法及びプログラムの発明として認定することが可能である。 したがって、本件発明4、5は、上記2.1に示した本件発明3と同様の理由により、甲1発明、周知技術である甲2技術~甲7技術、甲9技術及び参考資料技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由によっては、本件発明4、5を取り消すことはできない。 2.3 本件発明6について (1)本件発明6 上記「第3 本件発明」に示した本件発明6を以下に再掲する。 なお、説明のために6A~6Fの符号を当審において付与した。以下、構成6A~構成6Fと称することにする。 (本件発明6) (6A) 商品又は役務のCMのフリクエンシーとリーチについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 (6B) TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量を取得する第2取得手段と、 (6C) TV視聴履歴として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVについての視聴履歴を、前記ネットワーク接続機器のIPアドレスと対応付けて取得する第3取得手段と、 (6D) 前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定手段と、 を備え、 (6E) ネット利用者IDにより、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データを用いて前記配信対象に前記デジタルCMを配信する、 (6F) 広告配信システム。 (2)対比 本件発明6と甲1発明とを対比する。 ア 本件発明6の構成6Aについて 構成6Aは、上記2.1(1)で示した本件発明3の構成3Aと同じ構成であり、上記2.1(2)アにおける検討を援用すると、甲1発明の構成1bの「広告主インターフェース」は、本件発明6の構成6Aと『商品又は役務のCMについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段』である点で共通するものの、広告主により設定された「到達目標量」に関して、本件発明6は、商品又は役務のCMの「フリクエンシーとリーチについての到達目標量」であるのに対し、甲1発明は、商品又は役務のCMの「全てのユーザ、対象ユーザ、ユーザのサブセットの露出時間量又は広告印象の数についての広告露出目標」である点で相違する。 イ 本件発明6の構成6Bについて 構成6Bは、上記2.1(1)で示した本件発明3の構成3Bと同じ構成であり、上記2.1(2)イにおける検討を援用すると、甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」は、本件発明6の構成6Bと『TVCMについての現在の実績量を取得する第2取得手段』である点で共通するものの、「第2取得手段」における「TVCMについての現在の実績量」に関して、本件発明6は、「TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量」であるのに対し、甲1発明は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」であって、広告露出情報が視聴履歴とメタデータから得られるものであるとは特定されていない点で相違する。 ウ 本件発明6の構成6Cと甲1発明の構成1cとの対比 上記2.1(2)エにおけて検討したように、甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」が収集する「広告露出情報」は、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」であり、『視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVCMについての現在の実績量』といえる。 また、甲1発明は、「ユーザ確認モジュール」が「制御された広告媒体を介して広告を要求するクライアントに関連するユーザを、IPアドレス、MACアドレス情報などのユーザ情報によって確認する」(構成1d)ものであり、「露出判定モジュール」が収集する「広告露出情報」には「ユーザの識別情報」が含まれている(構成1c)ことから、甲1発明の「露出判定モジュール」は、「広告露出情報」を収集する際に、『広告露出情報を、制御された広告媒体のIPアドレスと対応付けて取得する』ものといえる。 本件発明6の「第3取得手段」は「TV視聴履歴」として「TVについての視聴履歴」を取得するものであるのに対し、甲1発明の「露出判定モジュール」は「広告露出情報」を取得するものである点において両者は相違するが、これら本件発明6の「TV視聴履歴」、「TVについての視聴履歴」と甲1発明の「広告露出情報」は、『TVに関する情報』、『TVについての関連情報』という点において共通するものといえる。 以上のことから、甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」は、本件発明6の構成6Cの「TVに関する情報として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVについての関連情報を、前記ネットワーク接続機器のIPアドレスと対応付けて取得する第3取得手段」である点で共通する。 ただし、第3取得手段」における「TVに関する情報」、「TVについての関連情報」に関して、本件発明6では、「TV視聴履歴」、「TVについての視聴履歴」であるのに対し、甲1発明では、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」である点で両者は相違する。 エ 本件発明6の構成6Dと甲1発明の構成1eとの対比 甲1発明の構成1eの「広告サーバ」は、「広告露出目標と、露出判定モジュールから受信した広告露出情報と、広告主によって供給された付け値などに基づいてオークションを行うことにより最高付け値を伴う広告を要求ユーザのための広告として選択し、選択された広告を、広告を要求するユーザの制御された広告媒体へ送信する」ものである。 ここで、「選択された広告」は「広告を要求するユーザの制御された広告媒体」へ送信するものであり、構成1cによれば、「制御された広告媒体」は、TVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ページを表示するウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータやモバイル・デバイスなどのデジタル通信を行うデバイスであるから、当該「制御された広告媒体」へ送信する「選択された広告」は『デジタルCM』といえる。そして、その「選択された広告」の送信先である「制御された広告媒体」は『デジタルCMの配信対象』といえる。 「広告露出目標」と「広告露出情報」は、上記ア、イにおいて援用した上記2.1(2)ア、イの検討のように、それぞれ本件発明6の「到達目標量」と「現在の実績量」に対応するものである。 そして、広告露出目標、広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体へ送信する広告を選択することは、選択された広告をユーザの制御された広告媒体に対応付けることといえる。 さらに、甲1発明は、「ユーザ確認モジュール」が、「制御された広告媒体を介して広告を要求するクライアントに関連するユーザを、IPアドレス、MACアドレス情報などのユーザ情報によって確認する」(構成1d)ものであるから、選択された広告をユーザの制御された広告媒体に対応付ける際に、制御された広告媒体にIPアドレスを単位として対応付けるものといえる。 一方、本件発明6の「リアルタイムビッディング」は、リアルタイムにオークションを行って広告の入札を行う手法のことであり、「デジタルCMの配信対象を設定する」ことは、「デジタルCM」が配信される「デジタルCMの配信対象」を決定することであるから、「デジタルCM」と「デジタルCMの配信対象」とが対応付けられることである。 以上のことから、甲1発明の構成1eの、「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体のIPアドレスへ送信する広告を選択する広告サーバ」は、本件発明6の構成6Dと『前記到達目標量、前記現在の実績量に基づいて、オークションにより、デジタルCMをデジタルCMの配信対象に前記IPアドレスを単位として対応付けを設定する設定手段』である点で共通する。 ただし、「到達目標量」、「現在の実績量」が相違することは上記ア、イで上述したとおりである。 また、当該「設定手段」において、本件発明6は、「第3取得手段」が取得する「TV視聴履歴」を利用するのに対し、甲1発明は、そのような構成ではない点で相違する。 さらに、当該「設定手段」に関して、本件発明6は、前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、「リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定手段」であるのに対し、甲1発明は、「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体のIPアドレスへ送信する広告を選択する広告サーバ」である点で相違する。 オ 本件発明6の構成6Eと甲1発明の構成1c、1eとの対比 上記2.1(2)エにおける検討を援用すると、甲1発明の構成1cの「露出判定モジュール」が収集する「広告露出情報」は、「ある時点でのテレビについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」と「ある時点でのデジタルデバイスについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」が含まれるものである。 そして、「ある時点でのテレビについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」は、『TVCMについての露出情報』といえ、「ある時点でのデジタルデバイスについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」は、『デジタルCMについての露出情報』といえる。 甲1発明の構成1cによれば、「広告露出情報」には、ユーザの識別情報が含まれるから、「広告露出情報」は「ユーザの識別情報」に関連付けられた情報である。 また、構成1cの「広告露出情報」は、集計され広告データベースに格納される情報であるから、一元的に管理されるものといえる。 すなわち、「広告露出情報」は、『ユーザの識別情報に関連付けられたTVCMについての露出情報とデジタルCMについての露出情報とが一元的に管理される広告露出情報』である。 さらに、上記エにおける検討を援用すると、甲1発明の構成1eの「広告サーバ」は、「広告露出情報」に基づいて『デジタルCMの配信対象』へ『デジタルCM』を配信するものといえる。 以上のことから、甲1発明の構成1c、1eと本件発明6の構成6Eは、『TVCMについての露出情報と、デジタルCMについての露出情報を用いて前記配信対象にデジタルCMを配信する』ものである点で共通する。 ただし、「TVCMについての露出情報」、「デジタルCMについての露出情報」について、本件発明6は、「TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データ」、「デジタルCM視聴データ」であるのに対し、甲1発明の「広告露出情報」は、「視聴データ」という形態の情報であることが特定されていない点、また、本件発明6は、「ネット利用者IDにより」、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、「属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データ」を用いて配信するものであるのに対し、甲1発明は、「ユーザの識別情報に関連付けられたTVCMについての露出情報とデジタルCMについての露出情報とが一元的に管理される広告露出情報」を用いて配信するものである点で相違する。 カ 本件発明6の構成6Eと甲1発明の構成1aとの対比 甲1発明の構成1aの「広告システム」は、構成1b~1eを備え、選択された広告をユーザへ送信するものであるから、本件発明6の「広告配信システム」に相当する。 キ まとめ 上記ア~カのとおりであるから、本件発明6と甲1発明は、以下の点で一致ないし相違している。 <一致点> 商品又は役務のCMについて、広告主により設定された到達目標量を取得する第1取得手段と、 TVCMについての現在の実績量を取得する第2取得手段と、 TVに関する情報として、視聴者のテレビジョン受像機からネットワーク接続機器及びネットワークを介して送信されたTVについての関連情報を、前記ネットワーク接続機器のIPアドレスと対応付けて取得する第3取得手段と、 前記到達目標量、前記現在の実績量に基づいて、オークションにより、デジタルCMをデジタルCMの配信対象に前記IPアドレスを単位として対応付けを設定する設定手段と、 を備え、 TVCMについての露出情報と、デジタルCMについての露出情報を用いて前記配信対象にデジタルCMを配信する、 広告配信システム。 <相違点> (相違点6) 広告主により設定された「到達目標量」に関して、本件発明6は、商品又は役務のCMの「フリクエンシーとリーチについての到達目標量」であるのに対し、甲1発明は、商品又は役務のCMの「全てのユーザ、対象ユーザ、ユーザのサブセットの露出時間量又は広告印象の数についての広告露出目標」である点。 (相違点7) 「第2取得手段」における「TVCMについての現在の実績量」に関して、本件発明6は、「TVCMについての視聴履歴とメタデータから得られる現在の実績量」であるのに対し、甲1発明は、「ある時点でのテレビについての広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」であって、広告露出情報が視聴履歴とメタデータから得られるものであるとは特定されていない点。 (相違点8) 「第3取得手段」における「TVに関する情報」、「TVについての関連情報」に関して、本件発明6では、「TV視聴履歴」、「TVについての視聴履歴」であるのに対し、甲1発明では、「テレビについてのある時点での広告露出(広告が表示された露出時間の長さ及び回数等)を集計する広告露出情報」である点。 (相違点9) 「設定手段」において、本件発明6は、「第3取得手段」が取得する「TV視聴履歴」を利用するのに対し、甲1発明は、そのような構成ではない点。 (相違点10) 「設定手段」に関して、本件発明6は、前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、「リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定手段」であるのに対し、甲1発明は、「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体のIPアドレスへ送信する広告を選択する広告サーバ」である点。 (相違点11) 「TVCMについての露出情報」、「デジタルCMについての露出情報」について、本件発明6は、「TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データ」、「デジタルCM視聴データ」であるのに対し、甲1発明の「広告露出情報」は、「視聴データ」という形態の情報であることが特定されていない点。 (相違点12) 本件発明6は、「ネット利用者IDにより」、前記TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データと、デジタルCM視聴データと、「属性データとを結合させた、結合データを生成し、該統合データ」を用いて配信するものであるのに対し、甲1発明は、「ユーザの識別情報に関連付けられたTVCMについての露出情報とデジタルCMについての露出情報とが一元的に管理される広告露出情報」を用いて配信するものである点。 (3)相違点の判断 ア 相違点6について 相違点6は、上記2.1(2)の「相違点1」と同じであるので、上記2.1(3)アの「相違点1について」の判断と同じく、甲2技術、甲3技術、甲4技術に示される周知技術を甲1発明に適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。 イ 相違点7について 相違点7は、上記2.1(2)の「相違点2」と同じであるので、上記2.1(3)イの「相違点2について」の判断と同じく、甲5技術などに示される周知技術を甲1発明に適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。 ウ 相違点8について 上記2.1(3)イ、エの「相違点2について」及び「相違点4について」の判断を援用すれば、TVCMについてのユーザの視聴実績量を、各機器及び各ユーザの視聴履歴と番組及びTVCMのメタデータにより取得する技術は、当該技術分野における周知技術であるから、甲1発明において、「広告露出情報」を取得する際に、テレビについての広告露出を集計することのみに限らず、広告を含むTV番組全体の視聴に関する情報についても集計することは、当業者が適宜なし得ることである。 よって、甲1発明において、「広告露出情報」とは別に、「第3取得手段」においてTV番組全体の視聴に関する情報、すなわち、「TV視聴履歴」、「TVについての視聴履歴」を取得するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 エ 相違点9について 上記ウにおいて検討したように、甲1発明において、「TV視聴履歴」、「TVについての視聴履歴」を取得するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることであるから、甲1発明の「広告サーバ」において、「広告露出情報」に加え、「第3取得手段」が取得する「TV視聴履歴」を合わせて利用することは、当業者が適宜なし得ることである。 オ 相違点10について まず、上記2.1(3)ウの「相違点3について」の判断を援用すれば、甲1発明において、「ユーザの制御された広告媒体のIPアドレスへ送信する広告を選択する」際に、広告の対象ユーザに対応する「ユーザの制御された広告媒体のIPアドレス」を設定するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることといえる。 また、広告の入札を、リアルタイムビッディングの技術に基づくオークションにより実施する技術は、上記2.1(3)ウにおいて検討したとおり、当該技術分野における周知技術である。 以上のことから、当該周知技術を甲1発明に適用することにより、甲1発明の「広告露出目標と広告露出情報に基づいて、オークションを行うことにより、ユーザの制御された広告媒体のIPアドレスへ送信する広告を選択する広告サーバ」を、相違点10に係る、前記到達目標量、前記現在の実績量、及び前記TV視聴履歴に基づいて、「リアルタイムビッディングによるデジタルCMの配信対象を前記IPアドレスを単位として設定する設定手段」とすることは、当業者が容易になし得ることといえる。 カ 相違点11について 上記2.1(3)イの「相違点2について」の判断を援用すれば、TVCMについてのユーザの視聴実績量を、各機器及び各ユーザの視聴履歴と番組及びTVCMのメタデータにより取得する技術は、当該技術分野における周知技術であり、TVCMについてのユーザの視聴実績量は、各機器及び各ユーザの視聴履歴から得られるものであるから、甲1発明の「TVCMについての露出情報」、「デジタルCMについての露出情報」を、視聴に関するデータである「視聴データ」という形態の情報として、「TVCMについての視聴履歴に基づくTV視聴データ」、「デジタルCM視聴データ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 キ 相違点12について 甲1発明は、「ユーザの識別情報に関連付けられたTVCMについての露出情報とデジタルCMについての露出情報とが一元的に管理される広告露出情報」を用いて配信するものであり、「TVCMについての露出情報」と「デジタルCMについての露出情報」とを、「ユーザの識別情報」をキーにして統合して用いているものである。 甲1発明において、「露出判定モジュール」が「広告露出情報」を収集する、TVセット・トップ・ボックスやインターネット接続性を備えたテレビ、ウェブ・ページを表示するウェブ・ブラウザーを実行するコンピュータやモバイル・デバイスなどのデジタル通信を行うデバイスは、通常、ネット利用時のID、すなわち「ネット利用者ID」を有しているものであるから、甲1発明において、「TVCMについての露出情報」と「デジタルCMについての露出情報」とを統合するキーとして、「ユーザの識別情報」の代わりに、デジタルデバイスが通常有する「ネット利用者ID」とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 また、上記1(10)で認定した参考資料技術に示されるように、「コンテンツを配信するシステムにおいて、視聴者のユーザ情報には、ユーザの性別、年齢、嗜好及びコンテンツの視聴履歴などが含まれること」は周知技術であって、ユーザの視聴履歴を取得する際に、ユーザの属性を合わせて取得することが周知技術である。 よって、当該周知技術を甲1発明に適用することにより、甲1発明において、「広告露出情報」を収集する際に、ユーザの属性データを合わせて収集し、「TVCMについての露出情報」と「デジタルCMについての露出情報」と「属性データ」とを統合して用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 以上のことから、甲1発明において、「TVCMについての露出情報」と「デジタルCMについての露出情報」と「属性データ」とを統合して用い、それらを統合するキーとして「ネット利用者ID」を用いることとすることによって、相違点12に係る構成を導出することは、当業者が容易になし得ることである。 (4)まとめ 上記のとおりであるから、本件発明6は、甲1発明及び周知技術である甲2技術~甲7技術、甲9技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、本件発明6が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。 2.4 本件発明7、8について 本件発明7、8は、本件発明6の広告配信システムの発明に対応した広告配信方法、及びプログラムの発明であり、システムの各構成に対応したステップ及び発明特定事項を有するものである。 そして、上記2.2に示したように、甲第1号証に記載された発明を、方法及びプログラムの発明として認定することが可能である。 したがって、本件発明7、8は、上記2.3に示した本件発明6と同様の理由により、甲1発明及び周知技術である甲2技術~甲7技術、甲9技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2.5 小括 以上のように、訂正後の請求項3~5に係る発明(本件発明3~5)は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証~甲第7号証、甲第9号証及び参考資料1~4に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、訂正後の請求項6~8に係る発明(本件発明6~8)は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証~甲第7号証、甲第9号証及び参考資料1~4に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 特許異議の申立ての理由について 特許異議の申立ての理由は、当審において通知した取消理由に対し、「配信ユーザの数を決定すること」に関する一般的な技術を証明するための甲第8号証を加えて特許異議の申立ての理由を構成するものである。 しかし、上記1(8)に示したように、甲第8号証は本件特許の優先日において公知の文献ではないので、甲第8号証を加えた特許異議の申立ての理由によっては、本件発明3~5を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおり、請求項3~5に係る発明については、取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由及び特許異議申立人による特許異議の申立ての理由によっては、本件請求項3~5に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項3~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項6~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証~甲第7号証、甲第9号証及び参考資料1~4に記載される周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項6~8 に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件請求項6~8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件請求項1、2に係る特許は、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1、2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700549

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