特許異議申立
2016-701202
ディスプレイバックライトユニット及びディスプレイバックライトユニットの形成方法
- 審判番号
- 2016-701202
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-538785
- 登録番号
- 特許第5940079号(P5940079)
- 請求日
- 2016年12月28日
- 審決日
- 2018年03月13日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ナノシス・インク.
- 【権利者代理人】稲葉 良幸
- 【権利者代理人】大貫 敏史
- 【権利者代理人】江口 昭彦
- 【権利者代理人】内藤 和彦
- 【異議申立人】野本 玲司
- 【異議申立人】戸田 りえ
- 審判長/審判官
- 審判長 氏原 康宏
- 審判官 平田 信勝
- 審判官 島田 信一
- 分類
- P1651.121-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5940079号発明「ディスプレイバックライトユニット及びディスプレイバックライトユニットの形成方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5940079号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~68、70~92〕、69、〔93~102〕について訂正することを認める。
特許第5940079号の請求項1~46、50、52~63、69~75、77~85、87~102に係る特許を維持する。
特許第5940079号の請求項47~49、51、64~68、76及び86に係る特許についての特許異議申立を却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5940079号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2011年11月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年11月10日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年5月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許の請求項1~102に係る特許について、特許異議申立人 野本玲司(以下、「申立人1」という。)により特許異議の申立てがされ、また、その特許の請求項1~3、6、33~35、93に係る特許について、特許異議申立人 戸田りえ(以下、「申立人2」という。)により特許異議の申立てがされ、特許異議申立以降の手続の経緯は次のとおりである。
平成28年12月28日 申立人1による特許異議申立書(以下、「
特許異議申立書1」という。)の提出
12月28日 申立人2による特許異議申立書(以下、「
特許異議申立書2」という。)の提出
平成29年 3月10日 手続補正書の提出(申立人1)
3月21日 手続補正書の提出(申立人2)
6月 6日付け 取消理由通知
9月11日 意見書及び訂正請求書(訂正特許請求の範
囲を添付)の提出
10月10日付け 訂正拒絶理由通知
12月 5日 意見書及び手続補正書の提出
12月13日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知(特許
法第120条の5第5項)
そして、平成29年12月13日付けの通知により、申立人1及び申立人2に、期間を指定して訂正の請求に対して意見書を提出する機会を与えたが、何らの応答もなかった。
第2 訂正の適否についての判断
特許権者は、平成29年9月11日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めた(以下、「本件訂正」という。)。
その後、当審からの訂正拒絶理由通知に対して、特許権者は平成29年12月5日に手続補正書を提出して、訂正請求書及び訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲について補正することを求めた(以下、「本件補正」という。)。
以下に、本件補正が訂正請求書の要旨を変更するものか否かを検討した後、訂正の適否について検討する。
1.本件補正の適否について
本件補正は、本件訂正の訂正事項11を補正するものであり、補正前の訂正事項11が、
「特許請求の範囲の請求項76を削除する。」
という訂正であったものを、
「特許請求の範囲の請求項47~49、51、64~68、76及び86を削除する。」
とするものであり、訂正により削除する請求項を追加するものである。
特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項は、「前条第1項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない。」と規定しており、その趣旨は、審理対象の拡張変更による審理遅延を防止することと解されるところ、請求項の削除は審理の対象がなくなることにすぎず、審理遅延を生じさせるものではないと考えられる。
よって、本件補正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するといえる。
2.本件訂正の訂正事項及びその適否について
(1)訂正事項
本件訂正における訂正事項は次のとおりである。
なお、下線は訂正箇所を示す。以下、この項において同様。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置される、」
とあるのを、
「前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置され、散乱特徴部を含む前記リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する、」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~32、82、85、87~90及び92も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに直接隣接して配置される、」
とあるのを、
「前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに前記第1バリアフィルム又は第2バリアフィルムを介して配置される、」
に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項20に、
「前記ビーズは、前記マトリックス材料のものよりも高い屈折率を有する、」
とあるのを、
「前記マトリックス材料のものよりも高い屈折率を有するビーズをさらに含む、」
に訂正する。
請求項20の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項33に、
「前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置される、」
とあるのを、
「前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置され、前記リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する、」
に訂正する。
請求項33の記載を引用する請求項34~68及び70~92も同様に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項35に、
「前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに直接隣接して配置される、」
とあるのを、
「前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに前記第1バリアフィルム又は第2バリアフィルムを介して配置される、」
に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項53に、
「・・・請求項41に記載の・・・」
とあるのを、
「・・・請求項43に記載の・・・」
に訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項58に、
「前記散乱ビーズは、前記マトリックス材料に埋め込まれ、周囲のマトリックス材料のものよりも高い屈折率を有する、」
とあるのを、
「前記マトリックス材料に埋め込まれ、周囲のマトリックス材料のものよりも高い屈折率を有する散乱ビーズを更に含む、」
に訂正する。
請求項58の記載を引用する請求項59も同様に訂正する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項69の記載を引用形式から独立形式に改め、次のとおりに訂正する。
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団と、前記QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部と、を有する、リモート蛍光体フィルムと、
第1バリアフィルムと、
第2バリアフィルムと、を備え、
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて、前記リモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部が、前記少なくとも1つのQD集団によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記QDによって再放出され、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置され、
前記散乱特徴部は、一次光を吸収して青色光を放出する、発光QDの集団を含む、ディスプレイBLU。」
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項74に、
「前記パターンは、無作為の細かい凸凹パターン、プリズム、ピッチ、レンズ、隆起、波、またはドームを含む、」
とあるのを、
「前記一次光散乱表面パターンは、無作為の細かい凸凹パターン、プリズム、ピッチ、レンズ、隆起、波、またはドームを含む、」
に訂正する。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項75に、
「前記特徴部は、約5μm以下、約2μm以下、約1.5μm以下、約1μm以下、または約0.5μm以下の寸法を有する、」
とあるのを、
「前記散乱特徴部は、約5μm以下、約2μm以下、約1.5μm以下、約1μm以下、または約0.5μm以下の寸法を有する、」
に訂正する。
サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項47~49、51、64~68、76及び86を削除する。
シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項93に、
「前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記蛍光体フィルム層に隣接して配置される、」
とあるのを、
「前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記蛍光体フィルム層に隣接して配置され、散乱特徴部を含む前記蛍光体フィルム層は、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する、」
に訂正する。
請求項93の記載を引用する請求項94~102も同様に訂正する。
(2)本件訂正の適否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「リモート蛍光体フィルム」について、「散乱特徴部を含む」ことと「拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」ことを限定したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項1は、訂正前の請求項76の記載、及び、本件特許の明細書の段落【0148】等の記載に基づき導き出される事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項3に係る発明が、訂正前の請求項1に係る発明と整合していなかったものを、両者の整合を図るためにされた訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項2は、本件特許の明細書の段落【0031】、【0032】等の記載、及び、【図6A】~【図6C】等の記載に基づき導き出される事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、請求項3に係る発明を、請求項3が引用する請求項1に係る発明の発明特定事項と整合するようになされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項20に係る発明の「前記ビーズ」との事項が「前記」されておらず明瞭でなかったものを、明瞭にするための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、訂正前の請求項20に係る発明の「ビーズ」に関する形容の仕方を改めるに過ぎず、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは明らかといえ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項33に係る発明の「リモート蛍光体フィルム」について、「拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」ことを限定したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項4は、訂正前の請求項76の記載、及び、本件特許の明細書の段落【0148】等の記載に基づき導き出される事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、訂正前の請求項33に係る発明の発明特定事項を限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。
オ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項35に係る発明が、訂正前の請求項33に係る発明と整合していなかったものを、両者の整合を図るためにされた訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項5は、本件特許の明細書の段落【0031】、【0032】等の記載、及び、【図6A】~【図6C】等の記載に基づき導き出される事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、請求項35に係る発明を、請求項35が引用する請求項33に係る発明の発明特定事項と整合するようになされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。
カ 訂正事項6について
(ア)訂正の目的
訂正事項6は、請求項53に「前記少なくとも1つの底部バリアフィルム」と記載されているところ、訂正前の請求項53が引用する請求項41及び請求項41と直列的な引用関係にある請求項33及び請求項40には「底部バリアフィルム」が記載されておらず整合しないため、請求項33及び請求項40と直列的な引用関係にあり「底部バリアフィルム」との用語を用いている請求項43を引用するよう改める訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」あるいは第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項6は、本件特許の明細書の段落【0113】、【0114】等の記載、及び、【図14B】~【図14C】等の記載に基づき導き出される事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、訂正前の請求項53の明らかな誤記を訂正するものあるいは明瞭でない記載を釈明するものであり、訂正前後において発明の要旨に何ら影響を及ぼすものとはいえないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。
キ 訂正事項7について
(ア)訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項58に係る発明の「前記散乱ビーズ」との事項が「前記」されておらず明瞭でなかったものを、明瞭にするための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、訂正前の請求項58に発明の「散乱ビーズ」に関する形容の仕方を改めるに過ぎず、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことは明らかといえ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
ク 訂正事項8について
(ア)訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の請求項33を引用する記載であった訂正前の請求項69の記載を、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
ケ 訂正事項9について
(ア)訂正の目的
訂正事項9は、訂正前の請求項74の「前記パターン」との記載が明瞭でなかったものを、引用する請求項73の記載に倣い「前記一次光散乱表面パターン」に訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、訂正前の請求項74で用いている用語を、請求項74が引用する請求項73に記載の用語に倣い訂正するものであり、本件特許の明細書の段落【0156】の記載から導き出せる事項でもあり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるといえる。
また、訂正事項9は、請求項74の用語を明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは明らかである。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
コ 訂正事項10について
(ア)訂正の目的
訂正事項10は、訂正前の請求項75の「前記特徴部」との記載が明瞭でなかったものを、引用する請求項33の記載に倣い「前記散乱特徴部」に訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、訂正前の請求項75で用いている用語を、請求項75が引用する請求項33に記載の用語に倣い訂正するものであり、本件特許の明細書の段落【0154】、【0156】の記載から導き出せる事項でもあり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるといえる。
また、訂正事項10は、請求項75の用語を明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは明らかである。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
サ 訂正事項11について
(ア)訂正の目的
訂正事項11は、請求項47~49、51、64~68、76及び86を削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、請求項47~49、51、64~68、76及び86を削除する訂正であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。
シ 訂正事項12について
(ア)訂正の目的
訂正事項12は、訂正前の請求項93に係る発明の「蛍光体フィルム層」について、「散乱特徴部を含む」ことと「拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」ことを限定したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項12は、訂正前の請求項76の記載、及び、本件特許の明細書の段落【0148】等の記載に基づき導き出される事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は、訂正前の請求項93に係る発明の発明特定事項を限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。
ス 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正前の全請求項である請求項1~102に対して申立人1から特許異議の申立てがされているので、「特許請求の範囲の減縮」あるいは「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正事項1、4、6、11、12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。
セ 一群の請求項
訂正前の請求項1~32、82、85、87~90及び92について、訂正前の請求項2~32、82、85、87~90及び92は訂正前の請求項1を直接または間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正前の請求項33~92について、訂正前の請求項34~92は訂正前の請求項33を直接または間接的に引用するものであり、訂正事項4によって記載が訂正される請求項33に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項1~92は、一群の請求項である。
訂正前の請求項93~102について、訂正前の請求項94~102は訂正前の請求項93を引用するものであり、訂正事項12によって記載が訂正される請求項93に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項93~102は、一群の請求項である。
よって、訂正事項1~12は、一群の請求項ごとに請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
(3)別の訂正単位とする求め
特許権者は、訂正事項8による訂正後の請求項69についての訂正が認められる場合には、請求項69は、請求項1とは別途訂正することを求めており(訂正請求書を補正する平成29年12月5日の手続補正書の「(別紙)」15頁下から4~末行)、これを認め、訂正後の請求項69を訂正後の請求項1を含む一群の他の請求項とは別の訂正単位とすることを認める。
(4)小括
以上のとおりであるので、訂正事項1~12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号~第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~68、70~92〕、69、〔93~102〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1.本件発明
本件訂正により訂正された請求項1~102に係る発明(以下、「本件発明1~102」という。)は、平成29年9月11日の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲(平成29年12月5日の手続補正により補正されたもの)の請求項1~102に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を含むリモート蛍光体フィルムであって、前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて前記リモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つのQD集団によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記QDによって再放出される、リモート蛍光体フィルムと、
第1バリアフィルムと、
第2バリアフィルムと、を備え、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置され、
散乱特徴部を含む前記リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する、
ディスプレイバックライトユニット。
【請求項2】
前記ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)である、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項3】
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに前記第1バリアフィルム又は第2バリアフィルムを介して配置される、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項4】
前記LGPの真下に反射フィルムをさらに備え、前記反射フィルムが、前記リモート蛍光体フィルム内の前記QDに向かって前記一次光を反射させる、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項5】
前記LGPの底部表面、前記LGPの上部表面、または前記LGPの底部および上部表面に、1つ以上の拡散層または光抽出層をさらに備え、それによって、前記1つ以上の拡散層または光抽出層が、前記LGPの上の前記リモート蛍光体フィルムに向かって一次光を反射または屈折させる、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項6】
1つ以上の輝度強化フィルム(BEF)をさらに備え、前記リモート蛍光体フィルムが、前記LGPの上に配置され、前記1つ以上のBEFが、前記リモート蛍光体フィルムの上に配置され、前記一次光の第1の部分が、前記1つ以上のBEFを通じて伝送され、前記一次光の第2の部分が、前記1つ以上のBEFによって前記リモート蛍光体フィルムに向かって反射される、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項7】
前記BLUは、少なくとも2つのBEFを備える、請求項6に記載のディスプレイBLU。
【請求項8】
前記リモート蛍光体フィルムは、マトリックス材料に埋め込まれた前記少なくとも1つのQD集団を含む、少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層を含む、QD蛍光体材料フィルムを備える、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項9】
前記少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層は、エポキシマトリックス材料に埋め込まれた前記少なくとも1つのQD集団を含み、前記QDは、アミノポリスチレン(APS)リガンド材料でコーティングされ、前記エポキシマトリックス材料に埋め込まれる、請求項8に記載のディスプレイBLU。
【請求項10】
前記少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層は、エポキシマトリックス材料に埋め込まれた前記少なくとも1つのQD集団を含み、前記QDは、ポリエチレンイミンまたは修飾されたポリエチレンイミンのリガンド材料でコーティングされ、前記エポキシマトリックス材料に埋め込まれる、請求項8に記載のディスプレイBLU。
【請求項11】
前記リモート蛍光体フィルムは、少なくとも1つの上部バリアフィルムと少なくとも1つの底部バリアフィルムとの間に配置される、少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層を備え、前記上部および底部バリアフィルムは、それぞれ、前記QD蛍光体材料フィルムの反対側面で、前記QD蛍光体材料フィルムに隣接して配置される、請求項8に記載のディスプレイBLU。
【請求項12】
前記少なくとも1つの上部バリアフィルムは、2つ以上のバリアフィルムを含み、前記少なくとも1つの底部バリアフィルムは、2つ以上の底部バリアフィルムを含む、請求項11に記載のディスプレイBLU。
【請求項13】
前記バリアフィルムのそれぞれは、酸化物層でコーティングされた、ガラス、ポリマー、またはポリマーフィルムを含む透明材料を含む、請求項11に記載のディスプレイBLU。
【請求項14】
前記ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、前記酸化物層は、酸化ケイ素を含む、請求項13に記載のディスプレイBLU。
【請求項15】
前記リモート蛍光体フィルムは、少なくとも1つの散乱粒子集団をさらに含み、前記散乱粒子は、前記QDの少なくとも一部分に向かって、一次光の少なくとも一部分を散乱させる、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項16】
前記散乱粒子は、前記リモート蛍光体フィルム内の前記一次光の光路距離を増加させる、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項17】
前記散乱粒子の少なくとも一部分は、前記QDの少なくとも一部分の下に配置される、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項18】
前記一次光の少なくとも一部分は、前記散乱粒子によって散乱され、続いて前記QDによって吸収され、二次光として再放出される、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項19】
前記QD蛍光体材料フィルムは、少なくとも1つのマトリックス材料をさらに含み、前記少なくとも1つのQD集団および前記少なくとも1つの散乱粒子集団が、前記マトリックス材料に埋め込まれる、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項20】
前記マトリックス材料のものよりも高い屈折率を有するビーズをさらに含む、請求項19に記載のディスプレイBLU。
【請求項21】
前記散乱粒子は、約2以上、2を上回る、または約2の屈折率を有する、請求項20に記載のディスプレイBLU。
【請求項22】
前記散乱粒子は、約0.5μm~約2μmの直径、約0.5μmの直径、または約1μmの直径を有する、球状ビーズを含む、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項23】
前記散乱粒子は、シリカ、ホウケイ酸塩、およびポリスチレンからなる群から選択される、少なくとも1つの材料を含む球状ビーズを含む、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項24】
前記散乱粒子は、空隙を含む、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項25】
前記QD蛍光体材料フィルムは、約1体積%~約15体積%の散乱粒子、約2体積%~約10体積%の散乱粒子、または約5体積%の散乱粒子から構成される、請求項15に記載のディスプレイBLU。
【請求項26】
前記少なくとも1つのQD集団および前記少なくとも1つの散乱粒子集団は、前記QD蛍光体材料フィルム全体に均一に分散される、請求項19に記載のディスプレイBLU。
【請求項27】
前記BLUは、白色光BLUであり、前記一次光源は、1つ以上の青色発光ダイオード(LED)を含み、前記リモート蛍光体フィルムは、赤色の二次光を放出する第1のQD集団と、緑色の二次光を放出する第2のQD集団と、を含み、前記BLUによって放出される前記白色光は、前記青色の一次光、前記赤色の二次光、および前記緑色の二次光を含
む、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項28】
前記QD蛍光体材料フィルムは、
赤色の二次光を放出する第1のQD集団を含む、第1のフィルム層と、
緑色の二次光を放出する第2のQD集団を含む、第2のフィルム層と、
前記第1のフィルム層、前記第2のフィルム層、前記第1および第2のフィルム層とは異なる第3のフィルム層、またはそれらの組み合わせの中に配置される、少なくとも1つの散乱粒子集団と、を含む、請求項19に記載のディスプレイBLU。
【請求項29】
前記少なくとも1つの一次光源は、前記LGPの1つ以上の端部に結合された1つ以上の青色LEDを含み、それにより、前記1つ以上のLEDは、前記LGPと同じ平面内に配置される、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項30】
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LCDの表示面表面全域を被覆する、平らなフィルムである、請求項2に記載のディスプレイBLU。
【請求項31】
前記QD蛍光体材料フィルムは、前記ディスプレイの表示面表面全域にわたって、均一な厚さを有する、請求項8に記載のディスプレイBLU。
【請求項32】
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに直接物理的に結合せず、前記リモート蛍光体フィルムは、第1の二次光を放出する第1の発光量子ドット(QD)集団と前記第1の二次光とは異なる波長の第2の二次光を放出する第2のQD集団とを含む二つのQD集団を備え、前記一次光の少なくとも一部は、前記二つのQD集団によって吸収され、前記第1及び第2の二次光として前記二つのQD集団によって再放出される、請求項1に記載のディスプレイBLU。
【請求項33】
ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団と、前記QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部と、を有する、リモート蛍光体フィルムと、
第1バリアフィルムと、
第2バリアフィルムと、を備え、
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて、前記リモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部が、前記少なくとも1つのQD集団によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記QDによって再放出され、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置され、
前記リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する、ディスプレイバックライトユニット。
【請求項34】
前記ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)である、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項35】
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに前記第1バリアフィルム又は第2バリアフィルムを介して配置される、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項36】
前記LGPの真下に反射フィルムをさらに備え、前記反射フィルムは、前記リモート蛍光体フィルム内の前記QDに向かって、一次光を反射させる、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項37】
前記LGPの底部表面、前記LGPの上部表面、または前記LGPの底部および上部表
面に、1つ以上の拡散層または光抽出層をさらに備え、それによって、前記1つ以上の拡散層または光抽出層が、前記LGPの上の前記リモート蛍光体フィルムに向かって、一次光を反射または屈折させる、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項38】
1つ以上の輝度強化フィルム(BEF)をさらに備え、前記リモート蛍光体フィルムが、前記LGPの上に配置され、前記1つ以上のBEFが、前記リモート蛍光体フィルムの上に配置され、前記一次光の第1の部分が、前記1つ以上のBEFを通じて伝送され、前記一次光の第2の部分が、前記1つ以上のBEFによって、前記リモート蛍光体フィルムに向かって反射される、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項39】
前記BLUは、少なくとも2つのBEFを備える、請求項38に記載のディスプレイBLU。
【請求項40】
前記リモート蛍光体フィルムは、少なくとも1つのマトリックス材料を含む、少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層を含む、QD蛍光体材料フィルムを備え、前記少なくとも1つのQD集団が、前記少なくとも1つのマトリックス材料に埋め込まれる、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項41】
前記少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層は、エポキシマトリックス材料に埋め込まれた少なくとも1つのQD集団を含み、前記QDは、アミノポリスチレン(APS)リガンド材料でコーティングされ、前記エポキシマトリックス材料に埋め込まれる、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項42】
前記少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層は、エポキシマトリックス材料に埋め込まれた前記少なくとも1つのQD集団を含み、前記QDは、ポリエチレンイミンまたは修飾されたポリエチレンイミンのリガンド材料でコーティングされ、前記エポキシマトリックス材料に埋め込まれる、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項43】
前記リモート蛍光体フィルムは、少なくとも1つの上部バリアフィルムと少なくとも1つの底部バリアフィルムとの間に配置される少なくとも1つのQD蛍光体材料フィルム層を含み、前記上部および底部バリアフィルムは、それぞれ、前記QD蛍光体材料フィルムの反対側面で、前記QD蛍光体材料フィルムに隣接して配置される、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項44】
前記散乱特徴部は、前記リモート蛍光体フィルム内の前記一次光の光路距離を増加させ、それによって、前記QDによって吸収され、二次光として再放出される一次光の量を増加させる、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項45】
前記散乱特徴部によって散乱される前記一次光の少なくとも一部分は、続いて前記QDによって吸収され、二次光として再放出される、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項46】
前記散乱特徴部の少なくとも一部分は、前記散乱特徴部の少なくとも一部分が、前記QDの少なくとも一部分と前記少なくとも1つの一次光源との間に配置されるように、前記QDの少なくとも一部分の下に配置される、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項47】(削除)
【請求項48】(削除)
【請求項49】(削除)
【請求項50】
前記1つ以上の一次光散乱特徴部は、前記QD蛍光体材料フィルムの複数の層の間に配置される、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項51】(削除)
【請求項52】
前記1つ以上の一次光散乱特徴部は、前記QD蛍光体材料フィルムと1つ以上のバリアフィルムとの間に分散される、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項53】
前記少なくとも1つの底部バリアフィルムは、第1のバリアフィルムと少なくとも第2のバリアフィルムを含み、前記1つ以上の一次光散乱特徴部は、前記第1のバリアフィルムと前記少なくとも第2のバリアフィルムとの間に分散される、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項54】
前記少なくとも1つの上部バリアフィルムは、第1のバリアフィルムと少なくとも第2のバリアフィルムとを含み、前記1つ以上の一次光散乱特徴部が、前記第1のバリアフィルムと少なくとも前記第2のバリアフィルムとの間に分散される、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項55】
前記1つ以上の一次光散乱特徴部は、散乱粒子を含む、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項56】
前記散乱粒子は、球状散乱ビーズを含む、請求項55に記載のディスプレイBLU。
【請求項57】
前記散乱ビーズは、シリカ、ホウケイ酸塩、またはポリスチレンビーズを含む、請求項56に記載のディスプレイBLU。
【請求項58】
前記マトリックス材料に埋め込まれ、周囲のマトリックス材料のものよりも高い屈折率を有する散乱ビーズを更に含む、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項59】
前記散乱粒子は、約2以上、2を上回る、または約2の屈折率を有する、請求項58に記載のディスプレイBLU。
【請求項60】
前記散乱粒子は、約0.5μm~約2μmの直径、約0.5μmの直径、または約1μmの直径を有する、球状ビーズを含む、請求項56に記載のディスプレイBLU。
【請求項61】
前記QD蛍光体材料フィルムは、約1体積%~約15体積%の散乱粒子、約2体積%~約10体積%の散乱粒子、または約5体積%の散乱粒子から構成される、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項62】
前記一次光散乱特徴部は、空隙を含む、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項63】
前記一次光散乱特徴部は、中空ビーズを含む、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項64】(削除)
【請求項65】(削除)
【請求項66】(削除)
【請求項67】(削除)
【請求項68】(削除)
【請求項69】
ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団と、前記QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部と、を有する、リモート蛍光体フィルムと、
第1バリアフィルムと、
第2バリアフィルムと、を備え、
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて、前記リモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部が、前記少なくとも1つのQD集団によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記QDによって再放出され、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置され、
前記散乱特徴部は、一次光を吸収して青色光を放出する、発光QDの集団を含む、ディスプレイBLU。
【請求項70】
前記散乱特徴部は、少なくとも1つの前記バリアフィルムの表面に形成される、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項71】
前記散乱特徴部は、バリアフィルム表面が前記QD蛍光体材料フィルムと直接接触する、少なくとも1つのバリアフィルムの少なくとも1つの表面に形成される、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項72】
前記散乱特徴部は、少なくとも1つの前記バリアフィルムの表面に形成される、一次光散乱表面パターンを備え、前記パターンは、細かい凸凹、プリズム、ピッチ、ピラミッド、溝、レンズ、隆起、波、スクラッチ、またはドームを含む、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項73】
前記散乱特徴部は、前記LGPの表面に形成される、一次光散乱表面パターンを備える、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項74】
前記一次光散乱表面パターンは、無作為の細かい凸凹パターン、プリズム、ピッチ、レンズ、隆起、波、またはドームを含む、請求項73に記載のディスプレイBLU。
【請求項75】
前記散乱特徴部は、約5μm以下、約2μm以下、約1.5μm以下、約1μm以下、または約0.5μm以下の寸法を有する、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項76】(削除)
【請求項77】
前記BLUは、白色光BLUであり、前記一次光源は、1つ以上の青色発光ダイオード(LED)を含み、前記リモート蛍光体フィルムは、赤色の二次光を放出する第1のQD集団と、緑色の二次光を放出する第2のQD集団とを含み、前記BLUによって放出される前記白色光は、前記青色の一次光、前記赤色の二次光、および前記緑色の二次光を含む、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項78】
前記QD蛍光体材料フィルムは、赤色の二次光を放出する第1のQD集団を含む第1のフィルム層と、緑色の二次光を放出する第2のQD集団を含む第2のフィルム層と、前記第1のフィルム層、前記第2のフィルム層、前記第1および第2のフィルム層とは異なる第3のフィルム層のうちの1つ以上に配置される、少なくとも1つの散乱粒子集団と、を含む、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項79】
前記少なくとも1つの一次光源は、前記LGPの1つ以上の端部に結合された1つ以上の青色LEDを含み、それにより、前記1つ以上のLEDは、前記LGPと同じ平面内に配置される、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項80】
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LCDの表示面表面全域を被覆する、平らなフィルムである、請求項33に記載のディスプレイBLU。
【請求項81】
前記QD蛍光体材料フィルムは、前記ディスプレイの表示面表面全域にわたって、均一な厚さを有する、請求項40に記載のディスプレイBLU。
【請求項82】
前記QD蛍光体材料フィルムは、500μm以下、250μm以下、200μm以下、50~150μm、50~100μm、約100μm、または約50μmの厚さを有する、請求項8または40に記載のディスプレイBLU。
【請求項83】
前記散乱粒子は、前記LGPと前記QDとの間で、前記QDの下の層に配置される、請求項55に記載のディスプレイBLU。
【請求項84】
前記散乱特徴部は、少なくとも1つの前記底部バリアフィルムに埋め込まれた散乱粒子を含む、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項85】
前記QD蛍光体材料フィルムは、約20体積%未満、20体積%未満、約15体積%未満、15体積%未満、約10体積%未満、約5体積%未満、5体積%未満、1体積%未満、または約1体積%未満のQDを含む、請求項8または40に記載のディスプレイBLU。
【請求項86】(削除)
【請求項87】
前記QD蛍光体材料は、前記バリアフィルムの間に密封され、前記密封は、末端シール、気密シール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11または43に記載のディスプレイBLU。
【請求項88】
前記QD蛍光体材料は、前記バリアフィルムの間に密封され、前記バリアフィルムの周囲端部は、ピンチシールまたはフリットシールされる、請求項11または43に記載のディスプレイBLU。
【請求項89】
前記QD蛍光体材料は、前記リモート蛍光体フィルムの周囲周辺に、不活性領域を含む、請求項11または43に記載のディスプレイBLU。
【請求項90】
前記不活性領域は、約1mm、約1mm以下、または1mm未満の幅を有する、請求項89に記載のディスプレイBLU。
【請求項91】
前記バリアフィルムのそれぞれは、酸化物層でコーティングされた、ガラス、ポリマー、またはポリマーフィルムを含む、透明材料を含む、請求項43に記載のディスプレイBLU。
【請求項92】
前記上部バリアフィルムおよび底部バリアフィルムのうち少なくとも1つは、少なくとも2つのバリアフィルムであって、その間に密封された真空またはガス充填間隙を有する、少なくとも2つのバリアフィルムを含む、請求項11または43に記載のディスプレイBLU。
【請求項93】
ディスプレイバックライトユニット(BLU)を形成する方法であって、
(a)一次光を放出する少なくとも1つの一次光源を提供することと、
(b)前記一次光を吸収すると、二次光を放出する、少なくとも1つの量子ドット(QD)集団を含む、下方変換蛍光体フィルム層を提供することと、
(c)導光平面(LGP)と1つ以上の輝度強化フィルム(BEF)との間に、前記蛍光体フィルム層を配置することと、
(d)前記蛍光体フィルム層の第1面に第1バリアフィルムを配置し、前記蛍光体フィルム層の第2面に第2バリアフィルムを配置することと、を含み、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記蛍光体フィルム層に隣接して配置され、
散乱特徴部を含む前記蛍光体フィルム層は、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する、方法。
【請求項94】
前記LGPは、前記QDに向かって前記一次光を反射させる、反射フィルムまたは反射特徴部を備える、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記1つ以上のBEFは、前記QDに向かって、前記一次光の少なくとも一部分を反射させる、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記蛍光体フィルム層および前記少なくとも1つの一次光源が、前記LGPによって分離されるように、前記蛍光体フィルム層を前記LGPの上に配置すること、をさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
ステップ(b)の前記提供することは、前記QDを少なくとも1つの透明マトリックス材料に埋め込むことと、2つ以上の透明バリアフィルムの間に、QD蛍光体材料フィルムを形成することと、を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
前記バリアフィルムは、積層フィルムを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
ステップ(b)の前記提供することは、散乱ビーズの集団を前記マトリックス材料に埋め込むことであって、前記散乱ビーズが、前記QDに向かって一次光を散乱させること、をさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
ステップ(b)の前記提供することは、
赤色の二次光を放出する第1のQD集団を含む、第1のQD蛍光体材料フィルム層を形成することと、
緑色の二次光を放出する第2のQD集団を含む、第2のQD蛍光体材料フィルム層を形成することと、をさらに含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記第1の層、前記第2の層、前記第1および第2の層とは異なる第3の層、またはそれらの組み合わせ内に、散乱粒子の集団を提供すること、をさらに含む、請求項100に
記載の方法。
【請求項102】
前記BLUは、白色発光BLUであり、前記一次光が、青色の一次光を含み、前記QDが、赤色光を放出する第1のQD集団と、緑色光を放出する第2のQD集団と、を含み、前記白色光は、前記青色の一次光、前記赤色の二次光、および前記緑色の二次光を含む、請求項93に記載の方法。」
2.取消理由の概要
訂正前の請求項に係る特許に対して平成29年6月6日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由1-1]
本件特許の請求項1~49、51、55~63、73~75、77~82、85、87~90、92~102に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1~11及び13に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
[取消理由1-2]
本件特許の請求項1~3、6、33~35、93に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献12、13、1及び6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
[取消理由2]本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである。
記
引用文献1:特開2006-73202号公報
引用文献2:特許第5418762号公報
引用文献3:特開2007-5098号公報
引用文献4:国際公開第2010/077226号
引用文献5:特開2011-202148号公報
引用文献6:特表2008-503034号公報
引用文献7:特開2007-192805号公報
引用文献8:特開2006-146115号公報
引用文献9:国際公開第2009/098857号
引用文献10:特開2009-157276号公報
引用文献11:特開2004-239713号公報
引用文献12:特開2009-231273号公報
引用文献13:特表2010-533976号公報
なお、引用文献1~11は、それぞれ、申立人1による特許異議申立書1の甲第1~4、6~8、10~12、9号証である。
また、引用文献12、13は、それぞれ、申立人2による特許異議申立書2の甲第1、2号証である。
なお、本件訂正により特許請求の範囲の請求項47~49、51、64~68、76及び86は削除されたので(上記「第2 2.(1)サ 訂正事項11」参照)、上記[取消理由1-1]が対象としていた請求項のうち、請求項47~49、51に対する取消理由はなくなった。
3.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明1、2
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、下線は当審で付したものである。以下同様。
ア
「【請求項1】
光源と、前記光源からの光を伝達する導光板と、を有する発光装置であって、
前記光源は第1の発光素子と、前記第1の発光素子が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つ第2の発光素子と、を有し、
前記導光板は、前記第1の発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長の光を発する蛍光物質を有し、
少なくとも前記第2の発光素子からの光及び前記蛍光物質からの光が混合されて外部に放出されることを特徴とする発光装置。
・・・
【請求項4】
前記蛍光物質は、前記第1の発光素子が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
・・・
【請求項6】
前記蛍光物質は、量子ドットであることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
・・・
【請求項12】
前記導光板は、拡散材が含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項11に記載の発光装置。
・・・
【請求項18】
前記発光装置は、前記光源と前記導光板との間に光拡散部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
・・・」
イ
「【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、液晶のバックライトなどに用いられる発光素子及び蛍光物質を用いた発光装置に関する。特に、レーザーダイオード及び蛍光物質を用いた白色系に発光する発光装置に関する。」
ウ
「【0051】
<発光装置>
第1の実施の形態に係る発光装置は、光源100と、光源100からの光を伝達する導光板200と、光源100と導光板200との間に設けられる光拡散部材300と、を有する。光源100は第1の発光素子101と、第2の発光素子102とを持つ。第2の発光素子102は、第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持っている。導光板200は、第1の発光素子101からの光の一部を吸収して異なる波長の光を発する蛍光物質400を光取り出し面200aに有している。ここでは蛍光物質400を含む被膜を導光板200の光取り出し面200aに被着している。導光板200内部は透光性の部材から成っており、底面200b及び側面200cは反射部材を設けている。導光板200の光取り出し面200aは、導光板200内部で反射・散乱された光を外部に放出するように構成されている。光拡散部材300は、光源100からの光を拡散すると共に、集光レンズとして働き導光板200内部に効率よく光を導くものである。蛍光物質400は、第1の発光素子101からの光の一部を吸収して異なる波長の光を発する。これに対し、蛍光物質400は、第2の発光素子102の持つ発光ピーク波長よりも短波長側に発光ピーク波長を持つため、第2の発光素子102からの光では、蛍光物質400は、ほとんど波長変換されない。よって第2の発光素子102からの光は、蛍光物質400で波長変換されることなく、光取り出し面200aから外部に放出される。
【0052】
発光装置は、以下のような作用で発光する。
【0053】
第1の発光素子101及び第2の発光素子102とを持つ光源100からの光は、光拡散部材300を通り、導光板200の側面部位から内部に入射される。このとき光源から放出された光は光拡散作用により拡がるが、その光が光拡散部材300に入射されると光拡散部材300の集光レンズにより集光され、光源からの光が効率よく導光板200の側面部位に入射される。導光板200内部に入射された光は、導光板200の底面200b及び側面200cにて反射され、光取り出し面200aから外部に放出される。導光板200の光取り出し面200aには、蛍光物質400を含有する被膜を被着しており、第1の発光素子101からの光を波長変換して異なる波長の光を外部に放出している。このとき光取り出し面200aから放出される光は、蛍光物質400からの光と、第2の発光素子102からの光との混色光となる。例えば、第1の発光素子101が紫外光の場合は、蛍光物質400からの光(例えば、青緑色光)と、第2の発光素子102からの光(例えば、赤色光)との混色光(白色光)が導光板200の光取り出し面200aから放出される。これに対し、第1の発光素子101が可視光(例えば、青色光)の場合は、蛍光物質400からの光(例えば、緑色光)と、第2の発光素子102からの光(例えば、赤色光)との混色光(白色光)が導光板200の光取り出し面200aから放出される。これは第1の発光素子101からの光の全てが蛍光物質400に吸収されるものではなく、第1の発光素子101からの光の一部が蛍光物質400に吸収されず導光板200等中を透過して外部に放出されるものである。」
エ
「【0102】
<光拡散部材>
発光装置は、光源100と導光板200との間に光拡散部材300を設けることが好ましい。光源100と導光板200との間とは、光源100から出射された光が導光板200に入射する経路の間の意味であり、光源100から出射された光が導光板200に直接入射する場合の間だけでなく、光源100から出射された光が間接部材を介して導光板200に入射する場合の間も含む。また、光拡散部材300は、導光板200と別部品として構成されていることが好ましいが、一体の部品として構成されていてもよい。光拡散部材300は、光源100から出射された光を拡散するための部材の意味である。例えば、光源100にレーザーダイオードを用いた場合、レーザー光の直進性が強いため、導光板200に入射した際、光の拡散が生じ難く光取り出し面200aから均一に光を取り出し難いからである。さらに光拡散部材300はレーザー光の形を変えることができる場合もある。」
オ
「【0104】
<蛍光物質>
蛍光物質400は、第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つものを使用することができる。これにより効率よく発光させることができる。
【0105】
また、蛍光物質400は、第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長と第2の発光素子102が持つ発光ピーク波長との間に発光ピーク波長を持つものも使用することができる。これにより第1の発光素子101からの光によって主として蛍光物質400の光を調整することができるため、蛍光物質400からの光と第2の発光素子102との光の混色を容易に調整することができる。また、蛍光物質400の光の吸収は、第2の発光素子の発光ピーク波長よりも短波長側にあり、ほとんど波長変換されず反射されるため、蛍光物質400が光拡散作用を持つと考えられる。
【0106】
蛍光物質400は、導光板200内部に混入させて導光板200を形成してもよい。蛍光物質400は導光板200中に均一に分散されている構成を採ることができるほか、蛍光物質400の粒子の比重により導光板200中に沈降若しくは浮上させ光取り出し面200a若しくは底面200b側に配置させる構成を採ることもできる。このほか、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの被膜中に蛍光物質400を混入させ、平板上のシートを形成させ、このシート状の被膜を導光板200に被着させてもよい。さらに、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの被膜中に蛍光物質400を混入させ、印刷手段、インクジェット噴霧手段などを用いて導光板200の表面に塗布、接着させてもよい。蛍光物質400は、1種類のみである必要はなく2種類以上のものを混合等して用いてもよい。」
カ
「【0122】
そのほか、蛍光物質として量子ドット(ナノ粒子)を使用することもできる。量子ドット(ナノ粒子)は、粒子サイズによって発光色が異なるナノサイズの粒子である。例えば、ナノサイズのセレン化カドミウム粒子(CdSe)などの粒子ドットを用いることもできる。これは粒径が大きくなるに従って長波長側の光を放出するものである。例えば、平均粒径2.4nmでは青色、2.8nmでは緑色、3.4nmでは黄色、3.8nmでは橙色、4.2nmでは赤色である。」
キ
「【0123】
<拡散材>
更に、導光板200中に拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等が好適に用いられる。これによって光源100から入射された光が分散して、光取り出し面200aから均一な光が放出される。
【0124】
<第2の実施の形態>
図3は、本発明に係る発光装置を示す概略平面図である。図4は、本発明に係る発光装置を示す概略断面図である。図4は、図3のII-IIで切断した際の概略断面図である。第1の実施の形態とほぼ同様の部分については説明を省略する。
【0125】
第2の実施の形態に係る発光装置は、・・・導光板210は、拡散材510が含有されており、ほぼ均一に光が分散される。」
ク
「【0136】
<第7の実施の形態>
第7の実施の形態は導光板240の内部の光取り出し面側に蛍光物質440を配置させたものである。図9は、導光板を示す概略断面図である。
【0137】
導光板240の内部には蛍光物質440と拡散材520とが混入されている。蛍光物質440は導光板240の光取り出し面側にほぼ均一に配置されている。拡散剤520は、導光板240の内部に均一に拡散されている。・・・これにより導光板240の側面から入射された光は、拡散剤520に照射して光が拡散される。この拡散された光は底面及び側面に照射して反射され光取り出し面側に配置されている蛍光物質440に照射される。この蛍光物質440で吸収、波長変換された光は光取り出し面から外部に放出される。一方、底面及び側面に照射されず直接蛍光物質440に照射することもあり得る。
・・・
【0141】
<第8の実施の形態>
第8の実施の形態は、第7の実施の形態と蛍光物質450の配置が異なる以外ほぼ同じである。図10は、導光板を示す概略断面図である。
【0142】
導光板250の内部に蛍光物質450と拡散剤530とが配置されている。蛍光物質450は導光板250の底面に配置する。・・・
【0143】
<第9の実施の形態>
第9の実施の形態は、導光板260内部に拡散剤540と蛍光物質460とを均一に拡散させている。図11は、導光板を示す概略断面図である。」
引用文献1には、上記ア~カの事項及び【図1】、【図2】の記載による「第1の実施の形態」に関する記載からみて、次の2つの発明(以下、「引用発明1」、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明1〕
「光源100と、前記光源100からの光を伝達する導光板200と、光源100と導光板200との間に設けられる光拡散部材300と、を有するディスプレイ、液晶のバックライトなどに用いられる発光装置であって、
前記光源100は、第1の発光素子101と、第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つ第2の発光素子102と、を有し、
前記導光板200はその光取り出し面200aに、前記第1の発光素子101からの光の少なくとも一部を吸収して前記第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側の光を発する量子ドットである蛍光物質400を含む被膜を被着し、
少なくとも前記第2の発光素子102からの光及び前記蛍光物質400からの光が混合されて外部に放出される、発光装置。」
〔引用発明2〕
「光源100と、前記光源100からの光を伝達する導光板200と、を有するディスプレイ、液晶のバックライトなどに用いられる発光装置を形成する方法であって、
前記光源100として、第1の発光素子101と、第1の発光素子が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つ第2の発光素子102と、を提供し、
前記導光板200はその光取り出し面200aに、前記第1の発光素子101からの光の少なくとも一部を吸収して前記第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側の光を発する量子ドットである蛍光物質400を含む被膜を被着することで、
少なくとも前記第2の発光素子102からの光及び前記蛍光物質400からの光が混合されて外部に放出される、発光装置を形成する方法。」
(2)引用文献12に記載された事項及び引用発明3、4
引用文献12には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア
「【0001】
本発明は、非自発光型の表示素子を照明する照明装置、及び、電子機器に用いられる表示装置に関する。特に、携帯情報機器や携帯電話などに用いられる液晶表示装置、及び表示素子を照明するバックライトなどの照明装置に関する。」
イ
「【0011】
本発明によれば、緑色変換体から発光された緑色光が赤色変換体の励起光となることなく、青色と赤色と緑色の三色の加法混色による白色光を得ることができる。そのため、発光効率の高い照明装置が実現できる。また、LED素子と緑色変換体を分離しているのでLEDパッケージ内部の反射特性の劣化を起こさない。そのため、長寿命の照明装置が実現できる。さらに、本発明の照明装置をLCDパネルと組み合わせることで、色再現性が高く、高輝度で長寿命の液晶表示装置が実現できる。」
ウ
「【0022】
そして、本発明の表示装置は、前述のいずれかの構成の照明装置の照射面側に非自発光型の表示素子設けた構成である。」
エ
「【0024】
本実施例の照明装置を図面に基づいて説明する。図2は、本実施例の照明装置の概要を模式的に表す外観図である。LEDパッケージ11が発光した光が導光体4に入射するように構成され、導光体4の出光面から出た光が緑色変換体2に入射するように構成されている。ここで、LEDパッケージ11は赤色蛍光体粒子が分散された樹脂で青色LED素子をポッティングした構成である。この赤色蛍光体粒子を含んだ樹脂が赤色変換体に相当している。また、照射面積に応じた個数のLEDパッケージ11が回路基板8に実装されている。ここで、導光体4の材料としてはポリカーボネートやアクリル樹脂などが挙げられる。
【0025】
このような構成によれば、青色LED素子が発光した光(青色光)は、その一部が赤色に変換され、残りは青色のまま導光体4に入射される。すなわち、発光ダイオードパッケージ11は450nm~480nmと600nm~680nmの2つの波長をピークとするスペクトルを有する光(紫光)を出光する。そして、この紫光が導光体4に入射されることになる。導光体4に入射した紫光は、導光体4の内部で反射と屈折を繰り返し、導光体4の出光面から均一に出射されて、緑色蛍光体粒子を含んだ緑色変換体に届く。緑色変換体に入射した光のうち、一部の光はそのまま(青色光と赤色光のまま)透過し、一部の光は緑色蛍光体粒子で緑色光に変換されて通過する。このとき、緑色蛍光体粒子に届いた赤色成分の光の多くは反射および回折することになる。このように、通過した紫色光と緑色光が混色して白色光が得られることになる。すなわち、導光体4の出光面から出射された光は緑色変換体2を通ることで加法混色し白色光となる。」
オ
「【0030】
次に、緑色蛍光体粒子を含んだ緑色変換体の構成について説明する。図4は、緑色変換体の構成を模式的に示す断面図である。透明基材21を基材として、一方の表面に緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20が塗布され、他方の表面に透明ビーズ7を分散した拡散層22を設けた構成である。透明樹脂20には、アクリル系樹脂などの透過率が高いものが望ましい。また透明基材21は、PETやポリカーボネートやアクリルやゼオノア等の透明性が高いものが好ましい。緑色蛍光体粒子6の材料としては、II属金属チオガレートと希土類ドーパントからなる蛍光材料や、酸化物と希土類ドーパントからなる蛍光材料、Sr-SIONと希土類ドーパントからなる蛍光材料等を用いることができる。すなわち、YAG蛍光体以上の輝度効率を有するものが適している。
【0031】
緑色蛍光体粒子に水分との化学反応が懸念されるものを使用する場合、色変換体の構成を図5のようにすることが必要となる。図5は、ガスバリア性透明基材25を挟んで、その間に緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20を設け、出光面側に拡散層22を形成した構成を示している。この場合、ガスバリア性透明基材は水蒸気などの水分を遮断する機能を持っている。透明基材にガスバリア性の効果を持たせる例として、SnO2 やSiO2 ,Al2O3などのバリア層を透明フィルムに設けるものが挙げられる。中でも、Al2O3は他のバリア層と比較して、分光透過率が高く透過率が高くなるため、Al2O3を用いたものが好ましい。バリア層の層構成は単層とは限らず複数の層を形成するほうがガスバリア性の効果は高くなる。また、フィルム透過率はフィルムの厚みにも起因するため、なるべく薄いものを使用する。そのため、使用する透明基材は、厚み12μmのフィルムに先に述べた各種バリア層を設けたものが望ましい。
【0032】
図5の緑色変換体2の製造方法としては、まずガスバリア性透明基材25に、あらかじめ熱可塑性等の透明接着材を塗布しておき、その上に緑色蛍光体粒子6が分散された樹脂20を塗布し、硬化させる。このとき、透明接着層は粘着層であってもかまわない。緑色蛍光体粒子6を含んだ透明樹脂20が端面から外部の空気層と触れることを避けるため、透明樹脂20の端面を覆うように、透明接着層をさらに外周部に設ける必要がある。そのため、緑色蛍光体粒子6を含んだ透明樹脂20を塗布する方法としては、マスク印刷が可能なスクリーン印刷などが好ましい。樹脂を塗布したガスバリア性透明基材25の上からさらに、別のガスバリア性透明基材25をラミネートする。このような構成により、蛍光体粒子を効果的に水分から保護することが可能になる。そのため、緑色変換体の劣化を抑えることができ、実使用条件に耐えうる信頼性を得ることが可能となる。更に、樹脂に5~30μm程度のシリカやアクリルの透明ビーズ7を分散した樹脂を拡散層22として、ガスバリア性透明基材25の片面に設ける。この拡散層22は、フィルムから空気層への光の出射効率を高める効果を有し、かつ拡散効果により、広視野角化や面内のムラ隠しの効果を得ることが可能となる。」
カ
「【0034】
図8は、本発明の表示装置の構成を模式的に示す断面図である。青色発光素子3が発光した光は、導光体4に入光し全反射を繰り返しながら導光体4の内部を導波していく。途中、導光体4に設けられた光出射構造体30に光が照射された場合、屈折もしくは反射により光が出射するような構造になっている。出射された光は導光体4の上部に設けられた緑色変換体2、光学シート31を通って、最終的に液晶表示パネル32が照明されることになる。導光体4から出射される光は、導光体4の面方向に垂直に出る成分は少なく、導光体4の面の垂線方向から60度~80度の角度にピークを持った分布になるため、光学シート31による補正が必要となる。緑色変換体2は、青色発光素子3から出射された青色光を色変換させる機能を有するともに、出光面側に設けられた拡散層22により、導光体4から出光する光を補正する機能も有している。このとき、緑色変換体2に入光する光は、青色発光素子3からの青色光と、赤色変換体1に含まれる赤色蛍光体粒子5により変換された赤色光である。さらに青色光の一部は緑色変換体2に含まれた緑色蛍光体粒子6により変換された緑色光に変換される。このとき、緑色蛍光体粒子6から発光される緑色光は全方向に出射される。一方、青色光と赤色光は導光体4から出射された方向を維持したまま、緑色変換体を通ることになる。このとき、緑色光と青色光,赤色光はそれぞれ異なる光線方向を持つため、緑色変換体から出光する際の光線方向も異なる。出光された光は、その他の光学シート31へ入光し、正面方向へ光線方向の補正が行なわれるが、入光する際の光線方向が異なるため、最終的に緑色光と、その他の色光の光線分布に違いが生じる。そのため表示装置を視る角度によっては、色が変化するという現象が発生することになる。」
キ
「【0045】
高い色再現性を要求する液晶表示装置に用いることが可能である。」
引用文献12には、上記ア~キの事項及び【図2】、【図5】、【図8】の記載からみて、次の2つの発明(以下、「引用発明3」、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明3〕
「非自発光型の表示素子を照明する液晶表示装置に用いられるバックライトなどの照明装置であって、
青色LED素子の青色光を発するLEDパッケージ11と、
LEDパッケージ11が発光した光が入射する導光体4と、
青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20で形成された緑色変換体2を、導光体4上に配置し、導光体4の発光面から出て緑色変換体2に入射した青色光の一部が緑色光に変換されて通過し、
ガスバリア性透明基材25の間に緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20が配置され、
ガスバリア性透明基材25の出光面側に拡散層22を形成した、照明装置。」
〔引用発明4〕
「非自発光型の表示素子を照明する液晶表示装置に用いられるバックライトなどの照明装置を形成する方法であって、
青色LED素子の青色光を発するLEDパッケージ11を提供し、
入射した青色光の一部が緑色光に変換されて通過する、青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20で形成された緑色変換体2を提供し、
緑色色変換体2を導光体4上に配置し、
ガスバリア性透明基材25の間に緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20が配置され、
ガスバリア性透明基材25の出光面側に拡散層22を形成した、照明装置を形成する方法。」
4.判断
(1)取消理由1-1について
ア 本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比する。
後者の「ディスプレイ、液晶のバックライトなどに用いられる発光装置」は、前者の「ディスプレイバックライトユニット(BLU)」に相当する。
後者の「第1の発光素子101」と「第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つ第2の発光素子102」は、前者の「一次光を放出する少なくとも1つの一次光源」に相当する。
後者の「第1の発光素子101」と「第2の発光素子102」とを有した「光源100からの光を伝達する導光板200」は、その機能からみて、前者の「少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、一次光が、LGPを通じて均一に伝送される、導光パネル」に相当する。
後者の「量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」は、前者の「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を含むリモート蛍光体フィルム」に相当する。
後者の「量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」が「導光板200」の「光取り出し面200aに」「被着」されることは、前者の「リモート蛍光体フィルムは、LGP上に配置され」ることに相当し、前者の「一次光は、LGPを通じてリモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され」る構成を備えているといえる。
後者の「量子ドットである蛍光物質400」が「第1の発光素子101からの光の少なくとも一部を吸収して前記第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側の光を発する」ことは、前者の「一次光の少なくとも一部分が、少なくとも1つのQD集団によって吸収され、一次光よりも長い波長を有する二次光としてQDによって再放出される」ことに相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1〕
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を含むリモート蛍光体フィルムであって、前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて前記リモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つのQD集団によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記QDによって再放出される、リモート蛍光体フィルムと、
を備えた、ディスプレイバックライトユニット。」
〔相違点1〕
本件発明1は、「第1バリアフィルム」と「第2バリアフィルム」とを備え、「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、リモート蛍光体フィルムの両側に配置され」と特定されているのに対して、引用発明1はそのように特定されていない点。
〔相違点2〕
本件発明1は、「散乱特徴部を含むリモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」と特定されているのに対して、引用発明1は、「光源100と導光板200との間に設けられる光拡散部材300」を有し、「量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」が拡散体と組み合わされているとは特定されていない点。
事案に鑑み、相違点2について検討する。
〔相違点2について〕
引用発明1の「光源100と導光板200との間に設けられる光拡散部材300」は、引用文献1の段落【0102】(上記「3.(1)エ」を参照)の記載によれば、光源100からの光を拡散して導光板200内に伝えるためのものであり、当該光拡散部材300を導光板200の光取り出し面200aの側に配置する動機付けはないといえる。
また、引用文献1には「第2・第7・第8の実施の形態」として、導光板に拡散剤を含有させることも記載されているが(上記「3.(1)キ、ク」を参照)、導光板の光取り出し面に設けた、量子ドットである蛍光物質を含む被膜に、拡散剤を組み合わせることを示唆するものではない。
引用文献2(段落【0006】、【0015】、【0018】、【0020】~【0021】、【図1】、【図2】参照)及び引用文献3(段落【0006】~【0010】、【0034】、【図2】参照)には、蛍光体を含んだ層の両面に不透水性・非通水性のシートを配置することが記載されている。
引用文献4(段落[0002]、[0003]、[0007]、[0036]参照)及び引用文献5(段落【0055】、【0066】等を参照)は、量子ドットが、一般的な蛍光体と同様に、空気中の酸素や水分により劣化することから、空気に曝されないようにすることが周知の事項であることを示すに過ぎない。
引用文献6(段落【0051】~【0052】、【図11】参照)には、2枚の輝度強化フィルムを用いることが記載されている。
引用文献7(段落【0066】参照)には、ナノ粒子を多官能有機リガンド分子で被覆することが記載されている。
引用文献8(段落【0023】、【0028】、【0031】~【0034】、【図3】、【図4】、【図7】参照)には、光励起物質30と拡散物質40とを1つのフィルム状の光励起拡散シート100、110bに形成することが記載されている。
引用文献9(段落[0037]参照)には、拡散膜に散乱粒子として透明ビーズを添加することが記載されている。
引用文献10(段落【0078】~【0082】参照)には、青色LED22の出射側に、青色光により励起され赤色光を発する赤色蛍光物質25と青色光により励起され緑色光を発する緑色蛍光物質26とを分散させた透明材24を配置すること、または、赤色蛍光物質を分散させた赤色蛍光層と緑色蛍光物質を分散させた緑色蛍光層とを積層して配置することで、白色光を得ることが記載されている。
引用文献11(【図1】参照)には、防湿性保護フィルム13、14の末端同士を密着させることが記載されている。
引用文献13(段落【0115】参照)は、光散乱粒子として、気泡(空隙)を導光路に設けることが周知の事項であることを示す例示である。
そうすると、引用文献2~11及び13は、相違点2に係る本件発明1の「拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせ」るとの事項を何ら示唆するものではないし、また他に当該事項が周知の事項であることを示す証拠もない。
したがって、引用発明1を相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ 本件発明2~32、82、85、87~90、92について
本件発明2~32、82、85、87~90、92(以下、「本件発明2等」という。)は、本件発明1のすべての発明特定事項を含みさらに限定を付加したものである。
本件発明2等と引用発明1とを対比すると、両者は、少なくとも上記「ア」で挙げた〔相違点2〕で相違するといえる。
そして、上記「ア」で検討したと同様の理由により、引用発明1を相違点2に係る本件発明2等の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、本件発明2~32、82、85、87~90、92は、引用発明1及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ウ 本件発明33について
本件発明33と引用発明1とを対比する。
後者の「ディスプレイ、液晶のバックライトなどに用いられる発光装置」は、前者の「ディスプレイバックライトユニット(BLU)」に相当する。
後者の「第1の発光素子101」と「第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側に発光ピーク波長を持つ第2の発光素子102」は、前者の「一次光を放出する少なくとも1つの一次光源」に相当する。
後者の「第1の発光素子101」と「第2の発光素子102」とを有した「光源100からの光を伝達する導光板200」は、その機能からみて、前者の「少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、一次光が、LGPを通じて均一に伝送される、導光パネル」に相当する。
後者の「量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」は、前者の「リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団と、前記QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部と、を有する、リモート蛍光体フィルム」と、「リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を有するリモート蛍光体フィルム」である限りにおいて一致する。
後者の「量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」が「導光板200」の「光取り出し面200aに」「被着」されることは、前者の「リモート蛍光体フィルムは、LGP上に配置され」ることに相当し、前者の「一次光は、LGPを通じてリモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され」る構成を備えているといえる。
後者の「量子ドットである蛍光物質400」が「第1の発光素子101からの光の少なくとも一部を吸収して前記第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側の光を発する」ことは、前者の「一次光の少なくとも一部が、少なくとも1つのQD集団によって吸収され、一次光よりも長い波長を有する二次光としてQDによって再放出され」ることに相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2〕
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を有する、リモート蛍光体フィルムと、
前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて、前記リモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部が、前記少なくとも1つのQD集団によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記QDによって再放出される、
ディスプレイバックライトユニット。」
〔相違点3〕
本件発明33は、「第1バリアフィルム」と「第2バリアフィルム」とを備え、「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、リモート蛍光体フィルムの両側に配置され」と特定されているのに対して、引用発明1はそのように特定されていない点。
〔相違点4〕
本件発明33は、「リモート蛍光体フィルム」が「QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部」を有し、「リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」と特定されているのに対して、引用発明1は、「光源100と導光板200との間に設けられる光拡散部材300」を有し、「量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」が拡散体のフィルムと組み合わせたものとは特定されていない点。
事案に鑑み、相違点4について検討する。
〔相違点4について〕
相違点4は、実質的に相違点2と同様の事項といえる。
そうすると、引用発明1を相違点4に係る本件発明33の構成とすることは、上記「ア」の〔相違点2について〕で述べたと同様の理由により、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明33は、引用発明1及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
エ 本件発明34~46、55~63、73~75、77~82、85、87~90、92について
本件発明34~46、55~63、73~75、77~82、85、87~90、92(以下、「本件発明34等」という。)は、本件発明33のすべての発明特定事項を含みさらに限定を付加したものである。
本件発明34等と引用発明1とを対比すると、両者は、少なくとも上記「ウ」で挙げた〔相違点4〕で相違するといえる。
そして、上記「ウ」で検討したと同様の理由により、引用発明1を相違点4に係る本件発明34等の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、本件発明34~46、55~63、73~75、77~82、85、87~90、92は、引用発明1及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
オ 本件発明93について
本件発明93と引用発明2とを対比する。
後者の「光源100と、前記光源100からの光を伝達する導光板200と、を有するディスプレイ、液晶のバックライトなどに用いられる発光装置を形成する方法」は、前者の「ディスプレイバックライトユニット(BLU)を形成する方法」に相当する。
後者の「青色光を発する第1の発光素子101」と「赤色光を発する第2の発光素子102」とを「提供」することは、前者の「一次光を放出する少なくとも1つの一次光源を提供すること」に相当する。
後者の「第1の発光素子101からの光の少なくとも一部を吸収して第1の発光素子101が持つ発光ピーク波長よりも長波長側の光を発する量子ドットである蛍光物質400を含む被膜」を備えることは、前者の「一次光を吸収すると、二次光を放出する、少なくとも1つの量子ドット(QD)集団を含む、下方変換蛍光体フィルム層を提供すること」に相当する。
後者の「導光板200はその光取り出し面200aに」「蛍光物質400を含む被膜を被着」することは、前者の「導光平面(LGP)と1つ以上の輝度強化フィルム(BEF)との間に、蛍光体フィルム層を配置すること」と、「導光平面(LGP)に、蛍光体フィルム層を配置すること」である限りにおいて一致する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点3〕
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)を形成する方法であって、
(a)一次光を放出する少なくとも1つの一次光源を提供することと、
(b)前記一次光を吸収すると、二次光を放出する、少なくとも1つの量子ドット(QD)集団を含む、下方変換蛍光体フィルム層を提供することと、
(c)導光平面(LGP)に、前記蛍光体フィルム層を配置する、
方法。」
〔相違点5〕
本件発明93は、「導光平面(LGP)と1つ以上の輝度強化フィルム(BEF)との間に蛍光体フィルム層を配置する」と特定されているのに対して、引用発明2は、導光板200の光取り出し面200aに量子ドットである蛍光物質400を含む被膜を被着するものであり、輝度強化フィルムについて特定されていない点。
〔相違点6〕
本件発明93は、「蛍光体フィルム層の第1面に第1バリアフィルムを配置し、蛍光体フィルム層の第2面に第2バリアフィルムを配置することと、を含み、第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、蛍光体フィルム層に隣接して配置される」と特定されているのに対して、引用発明2はそのように特定されていない点。
〔相違点7〕
本件発明93は、「散乱特徴部を含む蛍光体フィルム層は、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」と特定されているのに対して、引用発明2は、蛍光物質400を含む被膜について、そのように特定されていない点。
事案に鑑み、相違点7について検討する。
〔相違点7について〕
相違点7は、実質的に相違点2と同様の事項といえる。
そうすると、引用発明2を相違点7に係る本件発明93の構成とすることは、上記「ア」の〔相違点2について〕で述べたと同様の理由により、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点5、6について検討するまでもなく、本件発明93は、引用発明2及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
カ 本件発明94~102について
本件発明94~102(以下、「本件発明94等」という。)は、本件発明93のすべての発明特定事項を含みさらに限定を付加したものである。
本件発明94等と引用発明2とを対比すると、両者は、少なくとも上記「オ」で挙げた〔相違点7〕で相違するといえる。
そして、上記「オ」で検討したと同様の理由により、引用発明2を相違点7に係る本件発明94等の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、本件発明94~102は、引用発明2及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)取消理由1-2について
ア 本件発明1について
本件発明1と引用発明3とを対比する。
後者の「非自発光型の表示素子を照明する液晶表示装置に用いられるバックライトなどの照明装置」は、前者の「ディスプレイバックライトユニット(BLU)」に相当する。
後者の「青色LED素子の青色光を発するLEDパッケージ11」は、前者の「一次光を放出する少なくとも1つの一次光源」に相当する。
後者の「LEDパッケージ11が発光した光が入射する導光体4」は、その機能からみて、前者の「少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、一次光が、LGPを通じて均一に伝送される、導光パネル」に相当する。
後者の「緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20」は、その製造方法からみて(引用文献12の段落【0032】、上記「3.(2)オ」を参照)層状であることは明らかなので、前者の「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を含むリモート蛍光体フィルム」と、「蛍光体を含む層」である限りにおいて一致する。
後者の「緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20で形成された緑色変換体2を、導光体4上に配置」することは、前者の「リモート蛍光体フィルムは、LGP上に配置され」ることと、「蛍光体を含む層は、LPG上に配置され」る限りにおいて一致し、上述の「一次光源」、「導光パネル」の相当関係を踏まえると、後者は、前者の「一次光は、LGPを通じてリモート蛍光体フィルムへ均一に伝送され」る構成に関して、「一次光は、LGPを通じて蛍光体を含む層へ均一に伝送され」る限りの構成を具備しているといえる。
後者の「青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20」にあって、「導光体4の発光面から出て緑色変換体2に入射した青色光の一部が緑色光に変換されて通過」することは、青色光と緑色光の波長の関係からみて、前者の「一次光の少なくとも一部分が、少なくとも1つのQD集団によって吸収され、一次光よりも長い波長を有する二次光としてQDによって再放出される」ことと、「一次光の少なくとも一部分が、蛍光体によって吸収され、一次光よりも長い波長を有する二次光として蛍光体によって再放出される」限りにおいて一致する。
後者の「ガスバリア性透明基材25」は、その機能及び配置からみて、前者の「第1バリアフィルム」及び「第2バリアフィルム」に相当し、後者の「ガスバリア性透明基材25」がその間に「緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20が配置され」ることは、前者の「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、リモート蛍光体フィルムの両側に配置され」ることと、「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、蛍光体を含む層に隣接して配置され、且つ、蛍光体を含む層の両側に配置され」る限りにおいて一致する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点4〕
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
蛍光体を含む層であって、前記蛍光体を含む層は、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて前記蛍光体を含む層へ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部分が、前記蛍光体によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記蛍光体によって再放出される、蛍光体を含む層と、
第1バリアフィルムと、
第2バリアフィルムと、を備え、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記蛍光体を含む層に隣接して配置され、且つ、前記蛍光体を含む層の両側に配置される、
ディスプレイバックライトユニット。」
〔相違点8〕
「蛍光体を含む層」に関して、本件発明1は、「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を含むリモート蛍光体フィルム」であり、当該「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団」が一次光を二次光に変換すると特定されているのに対して、引用発明3は、「緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20」でありフィルムとは特定されておらず、当該緑色蛍光体粒子6が青色光を緑色光に変換するものであり発光量子ドット(QD)集団とは特定されていない点。
〔相違点9〕
本件発明1は、「散乱特徴部を含むリモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」と特定されているのに対して、引用発明3は、「ガスバリア性透明基材25の出光面側に拡散層22を形成した」ものであり、ガスバリア性透明基材25の間の、緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20に拡散層はない点。
事案に鑑み、相違点9について検討する。
〔相違点9について〕
引用発明3の「ガスバリア性透明基材25の出光面側に拡散層22を形成した」との事項は、引用文献12の段落【0032】の記載(上記「3.(2)オ」を参照)によれば、「フィルムから空気層への光の出射効率を高める効果」のための配置と理解でき、当該拡散層22をガスバリア性透明基材25の内側に配置することは何ら示唆されておらず、また動機付けもないといえ、そうすると、拡散層22をガスバリア性透明基材25の内側に位置する緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20に組み合わせる動機付けはないといえる。
また、引用文献13及び6には、上記「(1)ア 本件発明1について」の〔相違点2について〕で述べたとおり、相違点9に係る本件発明1の構成を何ら示唆するものでもないし、引用文献1にも、「拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせ」ることは記載されていない(上記「3.(1)」の〔引用発明1、2〕を参照)。そして、他に当該事項が周知の事項であることを示す証拠もない。
したがって、引用発明3を相違点9に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点8について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明3及び引用文献1、6及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ 本件発明2、3、6について
本件発明2、3、6は、本件発明1のすべての発明特定事項を含みさらに限定を付加したものである。
本件発明2、3、6と引用発明3とを対比すると、両者は、少なくとも上記「ア」で挙げた〔相違点9〕で相違するといえる。
そして、上記「ア」で検討したと同様の理由により、引用発明3を相違点9に係る本件発明2、3、6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、本件発明2、3、6は、引用発明3及び引用文献1、6、13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ウ 本件発明33について
本件発明33と引用発明3とを対比すると、上記「ア」で述べたと同様の相当関係を有するので、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点5〕
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)であって、
一次光を放出する少なくとも1つの一次光源と、
前記少なくとも1つの一次光源に光学的に結合される導光パネル(LGP)であって、それによって、前記一次光が、前記LGPを通じて均一に伝送される、導光パネルと、
蛍光体を含む層であって、蛍光体を有する、リモート蛍光体フィルムと、
第1バリアフィルムと、
第2バリアフィルムと、を備え、
前記蛍光体を含む層は、前記LGP上に配置され、前記一次光は、前記LGPを通じて、前記蛍光体を含む層へ均一に伝送され、それによって、前記一次光の少なくとも一部が、前記蛍光体によって吸収され、前記一次光よりも長い波長を有する二次光として前記蛍光体によって再放出され、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記蛍光体を含む層に隣接して配置され、且つ、前記蛍光体を含む層の両側に配置される、
ディスプレイバックライトユニット。
〔相違点10〕
「蛍光体を含む層」に関して、本件発明33は、「リモート蛍光体フィルムであって、少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団」を有するものであり、当該「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団」が一次光を二次光に変換すると特定されているのに対して、引用発明3は、「緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20」でありフィルムとは特定されておらず、当該緑色蛍光体粒子6が青色光を緑色光に変換するものであり発光量子ドット(QD)集団とは特定されていない点。
〔相違点11〕
本件発明33は、「リモート蛍光体フィルム」が「QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部」を有し、「リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」と特定されているのに対して、引用発明3は、「ガスバリア性透明基材25の出光面側に拡散層22を形成した」ものである点。
事案に鑑み、相違点11について検討する。
〔相違点11について〕
相違点11は、実質的に相違点9と同様の事項といえる。
そうすると、引用発明3を相違点11に係る本件発明33の構成とすることは、上記「ア」の〔相違点9について〕で述べたと同様の理由により、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点10について検討するまでもなく、本件発明33は、引用発明3及び引用文献1、6、13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
エ 本件発明34、35について
本件発明34、35は、本件発明33のすべての発明特定事項を含みさらに限定を付加したものである。
本件発明34、35と引用発明3とを対比すると、両者は、少なくとも上記「ウ」で挙げた〔相違点11〕で相違するといえる。
そして、上記「ウ」で検討したと同様の理由により、引用発明3を相違点11に係る本件発明34、35の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、本件発明34、35は、引用発明3及び引用文献1、6、13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
オ 本件発明93について
本件発明93と引用発明4とを対比する。
後者の「非自発光型の表示素子を照明する液晶表示装置に用いられるバックライトなどの照明装置を形成する方法」は、前者の「ディスプレイバックライトユニット(BLU)を形成する方法」に相当する。
後者の「青色LED素子の青色光を発するLEDパッケージ11を提供」することは、前者の「一次光を放出する少なくとも1つの一次光源を提供すること」に相当する。
後者の「入射した青色光の一部が緑色光に変換されて通過する、青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20」を「提供」することは、前者の「一次光を吸収すると、二次光を放出する、少なくとも1つの量子ドット(QD)集団を含む、下方変換蛍光体フィルム層を提供すること」と、「一次光を吸収すると、二次光を放出する、蛍光体を含む層を提供すること」である限りにおいて一致する。
後者の「青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20で形成された緑色変換体2」を「導光体4上に配置」することは、前者の「導光平面(LGP)と1つ以上の輝度強化フィルム(BEF)との間に、蛍光体フィルム層を配置すること」と、「導光平面(LGP)に、蛍光体を含む層を配置すること」である限りにおいて一致する。
後者の「ガスバリア性透明基材25の間に緑色蛍光体粒子6が混合された透明樹脂20が配置され」ることは、前者の「蛍光体フィルム層の第1面に第1バリアフィルムを配置し、蛍光体フィルム層の第2面に第2バリアフィルムを配置すること」と、「蛍光体を含む層の第1面に第1バリアフィルムを配置し、蛍光体を含む層の第2面に第2バリアフィルムを配置すること」である限りにおいて一致するとともに、前者の「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、蛍光体フィルム層に隣接して配置」されることと、「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、蛍光体を含む層に隣接して配置」される限りにおいて一致する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点6〕
「ディスプレイバックライトユニット(BLU)を形成する方法であって、
(a)一次光を放出する少なくとも1つの一次光源を提供することと、
(b)前記一次光を吸収すると、二次光を放出する、蛍光体を含む層を提供することと、
(c)導光平面(LGP)に、前記蛍光体を含む層を配置することと、
(d)前記蛍光体を含む層の第1面に第1バリアフィルムを配置し、前記蛍光体を含む層の第2面に第2バリアフィルムを配置することと、を含み、
前記第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記蛍光体を含む層に隣接して配置される、方法。」
〔相違点12〕
「蛍光体を含む層」に関して、本件発明93は、「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団を含む下方変換蛍光体フィルム層」であり、当該「少なくとも1つの発光量子ドット(QD)集団」が一次光を二次光に変換すると特定されているのに対して、引用発明4は、「緑色蛍光体粒子6が分散された透明樹脂20」でありフィルムとは特定されておらず、当該緑色蛍光体粒子6が青色光を緑色光に変換するものであり発光量子ドット(QD)集団とは特定されていない点。
〔相違点13〕
本件発明93は、「散乱特徴部を含む蛍光体フィルム層は、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」と特定されているのに対して、引用発明3は、「ガスバリア性透明基材25の出光面側に拡散層22を形成した」ものである点。
事案に鑑み、相違点13について検討する。
〔相違点13について〕
相違点13は、実質的に相違点9と同様の事項といえる。
そうすると、引用発明4を相違点13に係る本件発明93の構成とすることは、上記「ア」の〔相違点9について〕で述べたと同様の理由により、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点12について検討するまでもなく、本件発明93は、引用発明4及び引用文献1、6、13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)取消理由2について
〔取消理由2〕は、訂正前の特許請求の範囲の記載について、以下の点が明確でないというものであった。
ア 請求項3、35の「前記リモート蛍光体フィルムは、前記LGPに直接隣接して配置される」との記載は、当該請求項が引用する請求項1、33の「第1及び第2バリアフィルムは、それぞれ、前記リモート蛍光体フィルムに隣接して配置され、且つ、前記リモート蛍光体フィルムの両側に配置される」と記載から理解できる構成と矛盾している。
イ 請求項20には「前記ビーズ」と記載されているが、引用する請求項には「ビーズ」は記載されていない。
ウ 請求項58には「前記散乱ビーズは」と記載されているが、引用する請求項には「散乱ビーズ」は記載されていない。
エ 請求項74の「前記パターン」、請求項75の「前記特徴部」との記載に関して、引用する請求項には単なる「パターン」、「特徴部」との記載はない。
上記の事項については、本件訂正による訂正により、取消理由が解消した。
(4)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア
申立人1は特許異議申立書1において、甲第3号証(引用文献3)を主引用例として、本件発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとする取消理由を主張している(特許異議申立書1の11頁下から6行~13頁1行)。
しかしながら、引用文献3は、上記「(1)ア」で述べた〔相違点2〕に係る本件発明1の構成を示すものではないので、当該主張は理由がないといえる。
イ
申立人1は特許異議申立書1において、平成29年6月6日付けで特許権者に通知した取消理由で対象とした請求項以外の請求項50、52~54、64~72、76、83、84、86、91に係る特許に対する取消理由を主張している。
(ア)
本件発明64~68、76、86は、訂正により削除された。
(イ)
本件発明50、52~54、70~72、83、84、91は、本件発明33のすべての発明特定事項を含みさらに限定を付加したものであるので、本件発明33が当業者により容易に想到し得ないとした理由(上記「(1)ウ」参照)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(ウ)
本件発明69は、本件発明33の「前記リモート蛍光体フィルムは、拡散体および蛍光体のフィルムを組み合わせたものであり、それによって、前記ディスプレイBLU内の別個の蛍光体と拡散体のフィルムの必要性を低減または排除する」との事項に代えて、「前記散乱特徴部は、一次光を吸収して青色光を放出する、発光QDの集団を含む」との事項を有するものである。
本件発明69と引用発明1とを対比すると、上記「(1)エ」で述べた本件発明33と同様の相当関係を有するといえ、両者は、〔一致点2〕と同様の点で一致し、〔相違点3〕に加えて、次の点で相違するといえる。
〔相違点14〕
本件発明69は、「リモート蛍光体フィルム」が「QDに向かって一次光を散乱させる、1つ以上の一次光散乱特徴部」を有し、「前記散乱特徴部は、一次光を吸収して青色光を放出する、発光QDの集団を含む」と特定されているのに対して、引用発明1は、「光源100と導光板200との間に設けられる光拡散部材300」を有し、光拡散部材300が一次光を吸収して青色光を放出する、発光QDの集団を含むとは特定されていない点。
事案に鑑み、相違点14について検討する。
〔相違点14について〕
上記「(1)ア」で述べたとおり、引用文献2~11及び13には、一次光を吸収して青色光を放出するような発光QDを、他のQDに向かって光を散乱させる部位に設けることは何ら開示されていないし、また他に当該事項が周知の事項であることを示す証拠もない。
したがって、引用発明1を相違点14に係る本件発明69の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明69は、引用発明1及び引用文献2~11及び13に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
以上のとおりであるので、上記の請求項に係る特許に対する申立人1の特許異議申立書1における主張は理由がないといえる。
第4 むすび
以上のとおりであるので、請求項1~46、50、52~63、69~75、77~85、87~102に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書1及び2に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことができず、他に当該請求項に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項47~49、51、64~68、76及び86に係る特許は、訂正により削除されたため、当該請求項に対して申立人1がした特許異議の申立については、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-701202