特許異議申立
2017-700386
防災情報表示システム
- 審判番号
- 2017-700386
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-187120
- 登録番号
- 特許第6009863号(P6009863)
- 請求日
- 2017年04月19日
- 審決日
- 2018年02月01日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ホーチキ株式会社
- 【権利者代理人】竹内 進
- 【異議申立人】吉田 悠希
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 内田 博之
- 審判官 中川 隆司
- 分類
- P1651.121-YAA(G08B) / P1651.841-YAA(G08B) / P1651.851-YAA(G08B) / P1651.853-YAA(G08B) / P1651.854-YAA(G08B) / P1651.855-YAA(G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6009863号発明「防災情報表示システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6009863号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
特許第6009863号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6009863号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成24年8月28日の出願であって、平成28年9月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年4月19日に、本件特許について、特許異議申立人吉田悠希(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年7月12日付けで取消理由が通知され、その指定期間である同年9月19日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、本件訂正請求に対して異議申立人から同年11月16日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。下線は特許権者が付した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「所定の警戒区域に設置された火災感知手段から火災検知信号を受信した場合に、前記警戒区域へ感知器発報移報信号を送信し、その後、復旧操作がされた場合は、前記警戒区域へ移報停止信号を送信し、火災確定操作がされた場合は、火災警報を出力すると共に前記警戒区域へ火災移報信号を送信する防災受信手段と、
前記警戒区域に設置され、通常は、所定の施設関連情報を表示し、前記防災受信手段から前記感知器発報移報信号を受信した場合は、火災感知手段作動情報に切り替えて表示し、その後、前記防災受信手段から前記移報停止信号を受信した場合は、火災非発生情報を表示し、前記防災受信手段から前記火災移報信号を受信した場合は、火災発生情報に切り替えて表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする防災情報表示システム。」との記載を、
「所定の警戒区域に設置された火災感知手段から火災検知信号を受信した場合に、前記警戒区域へ感知器発報移報信号を送信し、その後、復旧操作がされた場合は、前記警戒区域へ移報停止信号を送信し、火災確定操作がされた場合は、前記警戒区域に火災警報音を出力すると共に前記警戒区域へ火災移報信号を送信する防災受信手段と、
前記警戒区域に設置され、所定の火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報が予め記憶され、通常は、所定の施設関連情報を表示し、前記防災受信手段から前記感知器発報移報信号を受信した場合は、前記火災感知手段作動情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、その後、前記防災受信手段から前記移報停止信号を受信した場合は、前記火災非発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、前記防災受信手段から前記火災移報信号を受信した場合は、前記火災発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする防災情報表示システム。」に訂正する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0010】の
「(防災情報表示システム)
本発明は、防災情報表示システムに於いて、
所定の警戒区域に設置された火災感知手段から火災検知信号を受信した場合に、警戒区域へ感知器発報移報信号を送信し、その後、復旧操作がされた場合は、警戒区域へ移報停止信号を送信し、火災確定操作がされた場合は、火災警報を出力すると共に警戒区域へ火災移報信号を送信する防災受信手段と、
警戒区域に設置され、通常は、所定の施設関連情報を表示し、防災受信手段から感知器発報移報信号を受信した場合は、火災感知手段作動情報に切り替えて表示し、その後、防災受信手段から移報停止信号を受信した場合は、火災非発生情報を表示し、防災受信手段から火災移報信号を受信した場合は、火災発生情報に切り替えて表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする。」との記載を、
「(防災情報表示システム)
本発明は、防災情報表示システムに於いて、
所定の警戒区域に設置された火災感知手段から火災検知信号を受信した場合に、警戒区域へ感知器発報移報信号を送信し、その後、復旧操作がされた場合は、警戒区域へ移報停止信号を送信し、火災確定操作がされた場合は、警戒区域に火災警報音を出力すると共に警戒区域へ火災移報信号を送信する防災受信手段と、
警戒区域に設置され、所定の火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報が予め記憶され、通常は、所定の施設関連情報を表示し、防災受信手段から感知器発報移報信号を受信した場合は、火災感知手段作動情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、その後、防災受信手段から移報停止信号を受信した場合は、火災非発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、防災受信手段から火災移報信号を受信した場合は、火災発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項1の「火災警報を出力する」を「前記警戒区域に火災警報音を出力する」に限定し、広告表示手段について「所定の火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報が予め記憶され、」との事項を付加し、「火災感知手段作動情報に切り替えて表示し、」を「前記火災感知手段作動情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、」に限定し、「火災非発生情報を表示し、」を「前記火災非発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、」に限定し、「火災発生情報に切り替えて表示する」を「前記火災発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示する」に限定するものであり、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするとともに、限定を付したことに伴い生じた用語の前後関係から「前記」を付したものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもある。
そして、本件特許の願書に添付した明細書の段落【0025】に「警戒区域に設置している地区音響装置から火災警報音を出力させ、」と記載されており、訂正後の請求項1の「前記警戒区域に火災警報音を出力」との事項は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものである。
また、明細書の段落【0030】に「広告ディスプレイ装置16に記憶する防災情報としては、」と記載されており、段落【0038】に「広告ディスプレイ装置16は感知器発報に対応した防災情報を予め記憶しており、・・・(中略)・・・感知器発報移報信号を受信した場合に、対応する防災情報を読出し、例えば図5に示すように、感知器発報画面25cの表示に切り替える。」と記載され、段落【0039】に「感知器発報画面25cは、感知器作動情報30cとして「感知器発報」と「Caution」を表示すると共に詳細情報32cとして「火災感知器が作動しました 係員が確認しています しばらくお待ちください」を表示し、更に、避難口の方向を示す文字と図形を組み合わせた避難情報34cを表示する。」と記載されており、【図5】の34cから避難口の方向を示す図形の画像が看取できる。
そうすると、訂正後の請求項1の、広告表示手段についての「所定の火災感知手段作動情報」が「予め記憶され、」との事項及び「前記火災感知手段作動情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、」との事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。
さらに、明細書の段落【0030】に「広告ディスプレイ装置16に記憶する防災情報としては、」と記載され、段落【0042】に「また、・・・(中略)・・・広告ディスプレイ装置16は通信アダプタ18又は中継アダプタ20からの移報停止信号を受信した場合に、例えば詳細情報32cを「火災感知器が作動しましたが 火災は発生していませんので ご安心ください」といった表示に切り替えて一定時間表示した後に、通常画面25aの表示に切り替える。」と記載されているから、火災非発生情報には、「火災感知器が作動しましたが 火災は発生していませんので ご安心ください」との表示に対応する文字と、火災感知手段作動情報から火災非発生情報に切り替わったことが認識できる程度に、例えば不要となった避難口の方向を示す図形の画像と置き換えるための画像が必要であることは自明である。
そうすると、訂正後の請求項1の、広告表示手段についての「所定の」「火災非発生情報」が「予め記憶され、」との事項及び「前記火災非発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、」との事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。
そして、明細書の段落【0030】に「広告ディスプレイ装置16に記憶する防災情報としては、」と記載され、段落【0036】に「図4(B)は通常画面25aから切り替え表示した防災情報画面25bであり、火災発生情報30として「火災発生」と「Emegency」を表示すると共に火災発生シンボル32を表示し、更に、避難口の方向を示す文字と図形を組み合わせた避難情報34を表示する。」と記載されており、【図5】の34から避難口の方向を示す図形の画像が看取できる。
そうすると、訂正後の請求項1の、広告表示手段についての「所定の」「火災発生情報が予め記憶され、」との事項及び「前記火災発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示する」との事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項1の訂正は、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内において火災警報及び広告表示手段を限定したものといえ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の段落【0010】の記載を訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、これらの訂正事項1及び2は、一群の請求項〔1-8〕に対して請求されたものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立について
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
所定の警戒区域に設置された火災感知手段から火災検知信号を受信した場合に、前記警戒区域へ感知器発報移報信号を送信し、その後、復旧操作がされた場合は、前記警戒区域へ移報停止信号を送信し、火災確定操作がされた場合は、前記警戒区域に火災警報音を出力すると共に前記警戒区域へ火災移報信号を送信する防災受信手段と、
前記警戒区域に設置され、所定の火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報が予め記憶され、通常は、所定の施設関連情報を表示し、前記防災受信手段から前記感知器発報移報信号を受信した場合は、前記火災感知手段作動情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、その後、前記防災受信手段から前記移報停止信号を受信した場合は、前記火災非発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示し、前記防災受信手段から前記火災移報信号を受信した場合は、前記火災発生情報に切り替えて音を出力することなく文字及び画像により表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の防災情報表示システムに於いて、前記防災受信手段は、前記感知器発報移報信号、移報停止信号及び火災移報信号を前記警戒区域に無線送信する移報通信手段を内蔵又は外部接続したことを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の防災情報表示システムに於いて、前記警戒区域に、前記移報通信手段からの感知器発報移報信号、移報停止信号及び火災移報信号を受信して中継送信する中継手段を備えたことを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項4】
請求項1記載の防災情報表示システムに於いて、前記広告表示手段は、通常は、前記施設関連情報として所定の店舗広告情報又は施設案内情報の少なくとも何れかを表示し、前記火災移報信号を受信した場合は、前記防災情報として火災発生情報又は火災発生情報と避難情報に切り替えて表示することを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項5】
請求項4記載の防災情報表示システムに於いて、前記広告表示手段に表示される前記避難情報は、避難口を示す避難口情報又は避難口を示す施設地図情報の少なくとも何れかを含むことを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項6】
請求項1記載の防災情報表示システムに於いて、前記広告表示手段は、
文字及び画像を表示する画面表示手段と、
設置場所に対応した所定の店舗広告情報又は施設案内情報を予め記憶した第1記憶手段と、
前記火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報を少なくとも含む所定の防災情報を予め記憶した第2記憶手段と、
前記感知器発報移報信号、移報停止信号及び火災移報信号を受信する移報受信手段と、
通常は、前記第1記憶手段に記憶された前記店舗広告情報又は施設案内情報を読み出して前記画面表示手段に表示し、前記感知器発報移報信号、移報停止信号又は火災移報信号を受信した場合は、前記第2記憶手段に記憶された前記防災情報を読み出して前記画面表示手段に切り替え表示する制御手段と、
を備えたことを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項7】
請求項1記載の防災情報表示システムに於いて、更に、
地震情報受信手段により所定の地震情報信号を受信した場合に、前記警戒区域へ地震移報信号を無線送信する移報通信手段を備え、
前記警戒区域に設置された広告表示手段は、前記地震移報信号を受信した場合は、所定の地震情報に切り替えて表示することを特徴とする防災情報表示システム。
【請求項8】
請求項1記載の防災情報表示システムに於いて、更に、
地震情報受信手段により所定の津波警報信号を受信した場合に、前記警戒区域へ津波警報移報信号を無線送信する移報通信手段を備え、
前記警戒区域に設置された広告表示手段は、前記津波警報移報信号を受信した場合は、所定の津波警報情報に切り替えて表示することを特徴とする防災情報表示システム。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし8に係る特許に対して平成29年7月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
記
刊行物1 特開平11-353563号公報(異議申立人提出の甲第1号証)
刊行物2 特開平10-228596号公報(同甲第2号証)
刊行物3 特開平11-96473号公報(同甲第3号証)
刊行物4 特開2004-206503号公報(同甲第4号証)
刊行物5 特開平10-289390号公報(同甲第5号証)
刊行物6 特開2011-243219号公報(同甲第6号証)
3 各刊行物及び甲第7号証の記載
(1)刊行物1及び引用発明
刊行物1(特開平11-353563号公報)には、図面(特に【図2】ないし【図6】参照。)とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付した。以下同様。)
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】公共施設に設置される情報表示システムに関わり、特に弱視者や難聴者に対して優しい、お知らせ番組と避難誘導番組とを組み合わせた情報表示システムに係わる。
【0002】
【従来の技術】大規模な公共施設に設置されている情報表示システムは、施設の案内、お知らせ、行事案内、広告、娯楽番組などを表示する番組表示システムと、火災などの非常事態の通報および避難誘導などの避難誘導システムとは全く別の情報表示システムを構成している。また弱視者や難聴者に対する非常事態の通報、避難誘導などの情報表示は適切に行われていない。さらに施設内には、多数の情報表示装置や火災報知装置、火災センサなどが設置されているにも係わらず、両システムは独立分離したシステムで運用されており、設備の重複投資や緊急時などに避難誘導の表示装置が不足すると言った問題点が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明した問題点に鑑み、本発明は前述の番組表示システムと避難誘導システムとをブリッジして、通常時は、表示装置を番組表示システムとして用い、火災発生などの避難誘導時には弱視者や難聴者に配慮した避難誘導表示が可能な情報表示システムの提案を目的とする。」
イ「【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明による情報表示システムの第一の実施例のシステム構成図、図2は本発明による情報表示システムの第二の実施例のシステム構成図である。図1を用いて第一の実施例のシステムの動作を説明する。第一の実施例のシステムは、火災・発煙などを報知するフロア毎に複数設置されたセンサS、火災などを確認報知する確認端末6、センサ6および確認端末7よりの報知信号を受信し、センサSおよび確認端末6の設置場所を判別して障害コード信号を送出する防災センター装置1、施設案内、お知らせなどの番組と火災発生時などに退避指示など複数の番組を受信し、映像および音声で表示出力する表示装置7,7’,7、防災センター装置1の送出した障害コード信号を受信復調し、避難誘導データを生成し、表示装置にパラレル出力する防災表示装置2、複数のAV機器9a,9bおよびコンピュータ機器9cなどからの施設案内、お知らせなどの番組を選択して、複数のチャンネルの番組として表示装置に送出する番組送出装置3、通常は番組送出装置からの番組を表示出力し、防災表示装置より避難誘導データがパラレル出力された時には、所定の避難誘導番組を選択表示するよう表示装置7を制御する表示装置制御信号をパラレル出力8cする表示制御装置4などで構成されてる。
【0020】防災センター装置1は施設内の防災管理を一手に行う防災システムのセンター装置であるが、実施例のシステムでは接続回線を介して、障害の報知情報を共有している。センサS1乃到Snは、熱感知、煙感知、ガス感知、地震感知など複数種類のセンサがあり、施設内の要所に設置され施設マップ上の位置データは予め登録されている。確認端末6,6’,6”は、火災報知器をも兼ね非常時には誰でも通報することが出来ると共に施設職員による発火確認、発煙確認、誤報などの現場確認入力も出来る。センサS及び確認端末6からの入力は防災センター装置1の各々に入力1A,8Dされ、該装置は設置場所、障害種別などを含む障害コード信号を生成し、防災表示装置2に送出する。
【0021】防災表示装置2は、障害コード信号を受信すると、映像と音声で『4階の○○室で火災発生の通報がありました』『只今職員が確認中です』などの通報番組を作成してパラレル回線8Bを経由して全表示装置7,7’,7”に送出する。さら退避や避難とうが必要な事態になると避難誘導番組を表示装置の設置場所別に作成し、繰り返して送出する。この通報番組および避難誘導番組の送出と同時に番組毎にどの表示装置が選択すべきかの表示装置制御信号を表示制御装置4に送出する。
【0022】番組送出装置3は、館内の案内番組、お知らせ番組、娯楽番組、教育番組、あるいは検索情報などを複数のチャンネルに分けて、全表示装置にパラレル出力8Aする。これらの番組は予め制作され、VTR、CD、DVDなどのAV機器9b、コンピュータ機器9cなどに収録されている。又テレビ放送9aなども活用されている。装置内には入力3Aの選択機能、番組切替機能、自動送出機能、情報検索機能など多岐に渡る館内放送機能を有しているが、本発明の主題とは直接関係しないので此らの説明を省略する。チャンネル毎の時間と番組データは表示制御装置4に送出される。
【0023】表示制御装置4は、緊急時や全館一斉の番組表示が必要な時、全ての表示装置の番組選択制御を強制的に行う。此れ以外の時は、各表示装置は手動で選択操作がなされるが、館内案内や掲示板などの特定の表示装置については、表示制御装置内に予め作成された番組編成スージュールに沿って制御される。一方、防災表示装置2から表示装置制御信号を受信すると、表示装置が通報番組を選択表示する表示装置制御信号をパラレル出力8cする。
【0024】表示装置7は、42型のPDP表示部、ステレオスピーカ、複数チャンネルの映像および音声入力端子、表示装置制御信号の入力端子、番組選択機能などを有し、館内の主要箇所に多数設置されている。使用目的は、館内案内、掲示板、情報検索、PR、教育、娯楽など多用途と成っており、表示画面も20型から42型まで各種表示サイズのものが混在している。又補助音声出力用の音声指向性の高いスピーカを表示装置7から離れた位置に追加設置されたものもある。この音声指向性の高いスピーカは避難誘導の際鋭い音声ビーコンを発し、弱視者や視界不良時の健常者に退避方向を誘導するのに用いられる。さらに、館内停電時に対処するため、一部の表示装置7”と確認端末6”には2次電池などの小容量バックアップ電源装置が追加設置されており、避難誘導に要する数十分間の表示出力を保証している。」
ウ「【0026】図4は、本発明による防災センター装置の実施例の装置の要部ブロック図を示す。実施例の装置は、複数のセンサーSと確認端末6よりの報知信号を受信制御するセンサ&端末I/O部11、受信した前記報知信号より前記センサおよび確認端末の設置場所を判定し位置データを出力する位置判別部12、同じく火災、発煙、確認報知などの報知種別を判定し種別データを出力する種別判定部13、位置データおよび種別データを合成して障害コードを信号を生成出力する障害コード生成部14、障害コードを防災表示装置に送出する送出部15とで構成されている。構内通信回線5を用いる場合には、送出部15に替えて障害コードを防災表示装置2に構内通信回線5経由で送出する通信制御部16としている。センサS及び確認端末6からの報知入力は防災センター装置1に各々入力1A、8Dされる、センサ&端末I/O部11は、センサSおよび確認端末7の番号別に報知データを変換出力する。位置判別部12は予め記憶して番号別の設置位置データを照合して報知位置データを出力する。種別判定部13は火災、発煙、確認報知などの報知種別を判定し種別データを出力する。障害コード生成部14は、報知位置データおよび種別データより障害コードを信号を生成し出力する。この障害コードを信号は、送出部15により防災表示装置2に入力される。又構内通信回線5を用いるシステムにおいては、確認端末よりの入力および障害コードを信号出力は通信制御部16により通信接続される。
【0027】図3は、本発明による防災表示装置の実施例の要部ブロック図ある。防災表示装置2は、防災センター装置1よりの障害コード信号の入力制御を行う障害コードI/O部21、入力した障害コード信号を位置データおよび障害種別データに復調する障害コード復調部22、公共施設の地図データを予め記憶しているマップメモリ24、表示装置の設置場所と障害発生場所に対応した退避路データを予め記憶している退避路データメモリ25、避難指示のための避難指示データを予め記憶している避難指示データメモリ26、復調した前記障害コード信号に基づき前記地図データ、退避路データなどを読出し、避難誘導データを生成する避難誘導データ生成部23、避難誘導データより映像表示用の表示データを生成する表示データ生成部27、複数の出力表示データを一時記憶する出力表示データメモリ28、避難誘導データより音声表示用の音声データを合成する音声合成部29、複数の出力音声データを一時記憶する出力音声データメモリ30、出力表示データおよび出力音声データをアナログ映像信号およびアナログ音声信号に変換し、表示装置にパラレル伝送手段で出力8Bするパラレル出力部39、避難誘導データを所定の表示装置に出力させる表示制御データを生成する表示制御データ生成部32とで構成基本構成されている。パラレル出力部39は、ディジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するD/A(Digital/Analog Converter)35、アナログ映像信号をパラレル出力する映像分配器36、ディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するD/A(Digital/Analog Converter)37、アナログ音声信号をパラレル出力する音声分配器38で構成されている。」
エ 「【0029】障害コードI/O部21は、防災センター装置1よりの障害コードデータを受信21Aし、障害コード復調部22に出力され、位置データおよび障害種別データに復調される。避難誘導データ生成部23は、受信した位置データおよび障害種別データに基づいて、マップメモリ24を参照して避難指示メモリ26内の避難指示データを読み出すと共に退避路データメモリ25より表示装置別の退避路データをも読み出され、両データに基づき複数の通報番組および避難誘導番組のための避難誘導データを生成出力する。表示データ生成部27は該避難誘導データより映像表示に必要な表示データを生成し、表示出力データメモリ28に一時記憶入力する。同じく音声合成部29は音声出力に必要な音声データを合成し、音声出力データメモリ30に一時記憶入力する。表示出力データおよび音声出力データは、D/A35,37でアナログ信号に変換され、映像分配器36および音声分配器38により番組のチャンネル別に複数のパラレル回線8Bを経由して表示装置7,7’,7”などに送出される。又、表示制御データ生成部32は、送出された番組のチャンネル毎にどの表示装置が選択出力すべきかの表示装置制御信号を、表示制御装置4に送出32Aする。」
オ 「【0032】図5は、本発明による表示制御装置4の一実施例の要部ブロック図である。本装置は、表示装置毎に複数チャンネルの番組より所定の番組を選択する番組制御データを生成する番組制御データ生成部41、番組制御データを一時記憶する番組制御データメモリ42、防災表示装置2より受信した表示制御データに基づき表示装置7への割り込み制御指令を判断する表示制御データ判断部43、表示制御データを一時記憶する表示制御データメモリ44、番組制御データメモリ42および表示制御データメモリ44のデータに基づき全ての表示装置7,7’,7”の表示制御を行うための表示装置制御データを出力する表示装置制御部45、表示装置制御データをパラレル信号回線8cを経由して表示装置7にパラレル出力する回線制御部46とで基本構成されている。」
カ 「【0035】図6は、本発明による通報番組および避難誘導番組の作成過程を表す概略フローである。センサSもしくは確認端末7より報知信号を受信ST1すると、防災センター装置1は、センサSもしくは確認端末7の番号と報知の種別を判断しST2、障害コード信号を防災表示装置2に送出する。火災報知の場合は、『只今火災が発生しました、職員が確認したいます』などの通報番組を送出ST3する。施設の職員は発生現場に急行し障害内容の確認を行い、確認端末6に設置されている、火災、発煙、誤報などのボタンを操作ST4する。確認端末6より確認通報を受信し火災発生などが確認ST5されると、防災表示装置2は表示装置7,7’,7”が設置されている区域毎に各々異なった避難誘導番組を生成し、表示装置に一斉に送出ST6する。この際、表示制御装置4は、防災表示装置2からの表示制御データに基づき、各表示装置毎に避難誘導番組のチャンネル選択指令を行う表示装置制御信号を送出する。職員による確認の結果、誤報であった場合は、『只今の火災情報は確認の結果誤報でした』などの訂正通報番組を作成送出ST7し、一定時間経過の後、システムを定常表示モードに復旧させる。
【0036】避難誘導番組の情報の認知は、難聴者や弱視者に対して絶対的に必要とされる為、幾つかの工夫が成されている。第一は、現在居る場所からどの方向に退避したら良いかを表示するため、表示装置7の設置されている区画毎に対応した避難誘導番組を映像と音声とで表示出力する。第二は、表示装置に文字だけではなく退避方向を表す大きな矢印マークなどをフラッシング(点滅)表示し、表示装置7,7’,7”伝いに退避出来るようにしている。第三は、補助音声出力部と表示装置の音声出力部を活用して、音声ビーコンにより退避方向に誘導する誘導番組を表示出力し、弱視者や発煙などで視野不良の際の健常者に対して有効な退避手段を提供している。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上に説明した内容で実施され、以下に述べる効果を奏する。表示装置は、番組送出装置が送出する施設案内、お知らせなどの番組を選択表示出力し、火災などの障害発生時には、防災表示装置より送出される避難誘導番組を表示指示装置よりの表示制御指令に基づき、映像および音声で表示出力することにより、番組表示システムと避難誘導システムとをブリッジした情報表示システムの提案が出来た。さらに、表示装置の設置されている区画毎に対応した避難誘導番組を映像と音声とで表示出力し、木目細かな避難誘導情報の提供を可能とした。さらに、文字だけではなく退避方向を表す大きな矢印マークなどをフラッシング表示し、表示装置伝いに退避出来るようにした。さらに、補助音声出力部と表示装置の音声出力部を活用して、音声ビーコンにより退避方向に誘導する誘導番組を表示出力し、弱視者や発煙などで視野不良の際の健常者に対して有効な退避手段の提供が可能となった。」
キ 【図6】からは、通報番組及び訂正通報番組それぞれの表示内容が看取できる。
上記記載事項及び図示内容を総合し、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
「公共施設内に設置されたセンサSから報知信号を受信した場合に、前記公共施設内へ障害種別が火災報知を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号を送信し、その後、誤報のボタンが操作された場合は、前記公共施設内へ障害種別が誤報を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号を送信し、火災のボタンが操作された場合は、前記公共施設内へ障害種別が確認報知を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号を送信する防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4と、
前記公共施設内に設置され、通常は、館内案内、掲示板、情報検索、PR、教育、娯楽などを表示し、前記防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4から前記障害種別が火災報知を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号を受信した場合は、通報番組に切り替えて文字、映像及び音声により表示し、その後、前記防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4から前記障害種別が誤報を示す障害信号コードに基づく表示装置制御信号を受信した場合は、訂正通報番組に切り替えて表示し、前記防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4から前記障害種別が確認報知を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号を受信した場合は、避難誘導番組に切り替えて文字、映像及び音声により表示する表示装置7と、
を備えた情報表示システム。」
(2)刊行物2
刊行物2(特開平10-228596号公報)には、図面(特に【図1】ないし【図4】参照。)とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0011】このため煙草や調理の煙等によって煙感知器回線の発報受信があっても、この場合は火災は未確定として他の住戸で注意警報が出され、火災の確定に備えることができる。そして現場確認により非火災であった場合には、復旧操作により警報を停止させた後に取消スイッチを操作することで、他の住戸では異常がなかったことの報知が行われ、非火災で直ちに火災警報とした場合のようなトラブルは起きない。」
イ「【0021】また警報受信機10には警報停止スイッチ32と火災警報状態から通常監視状態に復旧させる復旧スイッチ34が設けられる。警報受信機10に対し設けられたグループモニタ装置12Aは、この実施形態にあっては、スイッチユニット16とモニタユニット14で構成される。スイッチユニット16は、モニタユニット14に対する警報受信機10からの発報移報回線AL1~AL5の入力インタフェースとして設けられ、更に火災確定操作及び警報取消操作のために火災確定スイッチ50、取消スイッチ52、火災確定灯54及び取消灯56を設けている。
【0022】モニタユニット14は、スイッチユニット16を介して警報受信機10の移報回線AL1~AL5によって受信した発報移報信号に基づいて、火災が確定か未確定かを判断し、火災確定であれば直ちに他の住戸1B~1Hに対し火災確定情報を通報して、相互監視のための警報表示を行わせる。また警報受信機10からの発報移報について、火災が未確定と判断した場合には、他の住戸1B~1Hに対し火災未確定情報を送信して注意警報を行わせる。また他の住戸1B~1Hに対する火災未確定または火災確定の通報により注意警報あるいは火災警報を行わせた後に復旧スイッチ34の操作による警報受信機10の復旧を検出した場合、他の住戸1B~1Hに復旧情報を送って注意警報または異常警報を復旧停止させる。
【0023】更に本発明にあっては、火災未確定情報や火災確定情報の通報により他の住戸1B~1Hで注意警報や火災警報を行わせた後に警報受信機10を復旧して警報停止を行い、その後にスイッチユニット16の取消スイッチ52を操作した場合、他の住戸1B~1Hに警報取消情報を送信して、警報停止と異常がなかったことを報知させることができる。」
ウ「【0031】また異常確定通報部64から他の住戸に対する火災確定情報を通報した場合、通報を受けた住戸のモニタユニット14にあっては、火災確定灯38を点滅すると同時に住戸灯42A~42Hの対応する住戸灯を点滅する。この場合の火災警報については、音声合成部76より例えば「ウーウー 火災です 助けに来てください」と火災警報を連続的に出力する。
【0032】モニタ処理部60に設けた復旧通報部66は、図1の警報受信機10の復旧スイッチ34により復旧操作が行われた場合の発報移報信号の停止に基づき、他の住戸に復旧情報を送信して、既に出力している注意警報または異常警報の出力を停止させる。この復旧通報部66からの復旧情報の通報を受けた他の住戸のモニタユニット14にあっては、図1の火災灯36もしくは確定灯38を消灯し、また住戸灯42A~42Hの中の点滅表示していた対応する住戸灯も消灯する。更に音声合成部76より出力していた注意警報のための警報音と音声メッセージ、あるいは火災警報のための警報音と音声メッセージの音声出力を停止する。」
エ「【0044】図4は図3のグループモニタ送信処理により送信された火災未確定情報(注意情報)、火災確定情報、復旧情報及び警報取消情報に対するグループモニタ装置の受信処理のフローチャートである。ここで説明を簡単にするため、図1の住戸1Aで住戸1Bからの通報を受信した場合を例にとって説明する。まずステップS1で火災未確定情報による注意通報の受信を判別すると、ステップS2に進み、図1の住戸1Aのモニタユニット14において火災灯36を点滅し、また異常が起きた住戸1Bを示す住戸灯42Bを点滅する。また音声合成部76によりスピーカ48より「ウーウー 感知器発報 火災の可能性があります」とする注意警報を出す。
【0045】次にステップS3で火災確定情報による確定通報を受信すると、ステップS4に進み、住戸1Aのモニタユニット14における確定灯38を点滅し、異常が起きた住戸1Bの住戸灯42Bを点滅する。また、このときステップS2の注意警報の警報音声Aあるいは後の説明で明らかにするステップS8の取消通報の警報音声Cが出力されていれば、これを停止し、火災確定の警報音声Bとして「ウーウー 火災です 助けに来てください」を音声合成により出力する。」
オ「【0055】ガス漏れによる警報音声としては、例えば「ポッポッ ガス漏れが発生しました」を出力し、また非常発生については「ピーポーピーポー 緊急事態が発生しました」が出力されることになる。更に上記の実施形態は8住戸で1グループを構成する場合を例にとっているが、グループを構成する住戸の数は適宜に定めることができる。実用的には最大でも10数戸程度が望ましい。」
(3)刊行物3
刊行物3(特開平11-96473号公報)には、図面(特に【図1】参照。)とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0022】また、階別信号を受けた後、火災確認信号を受けないで、感知器Sの作動が誤りであったことを確認した人などによって操作部16の操作などがなされ、火災受信機1から復旧信号を受けると、「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。ご安心ください。」といった放送(非火災放送)を行う。」
(4)刊行物4
刊行物4(特開2004-206503号公報)には、図面(特に【図2】参照。)とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0029】
図2は本発明の誘導案内システムの一例を示すブロック図である。本発明の誘導案内システム21は、複数の災害検知装置22が接続された防災管理装置23と接続され、複数の中継装置25を介して複数の誘導表示装置26と通信が可能な指示装置24とで構成されている。」
イ「【0032】
中継装置25は、建物内のエリア別、階層別に設置されており、指示装置24から中継装置25および誘導表示装置26へのデータ転送は、有線通信、無線通信等の汎用の通信技術が使用できる。中継装置25から誘導表示装置26へのデータ転送は、特に、無線通信が好ましい。」
(5)刊行物5
刊行物5(特開平10-289390号公報)には、図面(特に【図1】及び【図2】参照。)とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0017】電子表示装置1には、表示データに基づいて画像を表示するPDP表示器(以下表示器とする)2が設けられている。図2に示すように、表示データは、(a)に示す「新製品の案内」のような本来のPOP広告用の表示画像である表示画像Aの「通常時表示データ」と、(b)や(c)に示す「避難経路」のような非常時用の表示画像である表示画像Bの「非常時表示データ」とである。」
(6)刊行物6
刊行物6(特開2011-243219号公報)には、図面(特に【図11】参照。)とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0191】
続いてステップS43で緊急地震速報のチャイム音受信有無を解析部94の解析処理を通じて検出しており、チャイム音受信を検出するとステップS44に進み、音声増幅部76を動作することで、そのとき受信している緊急地震速報の放送をスピーカ78から所定の設定音量で出力する。
イ「【0193】
続いてステップS48で津波警報信号の受信有無を解析部94の解析処理を通じて検出しており、津波警報信号の有効受信有りを検出するとステップS49に進み、音声増幅部76を動作することで、そのとき受信している緊急警報放送による津波警報をスピーカ78から設定音量で出力する。」
(7)甲第7号証
平成29年11月16日付け意見書において提示された甲第7号証(特開2004-310629号公報)には、図面(特に【図1】ないし【図6】)とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0004】
更に、非常放送設備には火災発生時に自動的に非常放送を行う機能が設けられる場合もある。非常放送設備は、火災受信機の火災受信に連動して動作し、例えば火災発生階と直上階に対し火災発生を通知し避難誘導を促す所定の音声メッセージを放送する。」
イ「【0008】
更に非常放送設備が火災連動により火災発生階と直上階に非常放送を行った場合にも、それぞれの階のフロアに設置している表示盤の音響警報により非常放送が聞き取りづらいという同様の問題を生じている。」
ウ「【0016】
このため各階のフロア等に設置した表示盤が音響警報を出している状態で、火災発生階及び直上階で非常放送が行われると、非常放送の間、表示盤の音響警報が自動的に停止し、放送内容を明瞭に聞き取ることができる。」
エ「【0050】
図4において、防災受信機1は図1の実施形態と同じものであり、伝送路2に火災又はガス漏れを検知する伝送機能を備えた検知器3を接続し、制御線4には地区ベルとして機能する地区音響装置5を接続し、更に伝送路6には副受信機として機能する表示盤7を各階のフロアごとに設置している。
【0051】
このような防災受信機1側に対し、この第2実施形態にあっては非常放送設備28を設けている。非常放送設備28からは各階に引き出された音声信号線29に非常放送用スピーカ30を接続している。」
オ「【0056】
受信機用MPU12に設けた表示盤管理部20は基本的には図2の実施形態と同じであるが、図2の実施形態におけるマイク検出信号の代わりに通信部31から得られる放送中信号に基づいて音響警報の起動情報、音響警報の停止情報及び音響警報の停止解除情報の表示盤7に対する伝送をシリアル通信部15からの電文フォーマットにより行う。
【0057】
即ち、監視制御部19で火災が判断された場合、表示盤管理部20は火災警報情報と音響警報の起動情報を含む電文フォーマットをシリアル通信部15により表示盤7に送信する。その後、非常放送設備28より放送中信号を受信すると音響警報停止情報を含む電文フォーマットを非常放送を行っている箇所に設置された表示盤7に送信する。さらに受信した放送中信号が受信されなくなると音響警報の停止解除情報を含む電文フォーマットを表示盤7に送信する。
【0058】
表示盤7は表示盤用MPU21、表示部22、音響警報装置23、シリアル通信部24、音響停止スイッチ25を備え、更に表示盤用MPU21にはプログラム制御により実現される表示制御部26と音響制御部27を設けている。この表示盤7の機能構成及び処理動作は図2の実施形態と同じである。
【0059】
即ち、防災受信機1で火災又はガス漏れが判断された時の電文フォーマットを解析して表示部22に警報表示を行うと共に音響警報の出力を行う。続いて防災受信機1からの電文フォーマットより非常放送に伴って音響警報の停止情報が解読されると音響警報装置23による音響出力を停止させる。その後、非常放送が終了して放送中信号がなくなるとその時受信される電文フォーマットから音響警報の停止解除情報を解読し、音響警報装置23による音響出力再開させる。
【0060】
図6は図4,図5における防災受信機1側の監視制御処理のフローチャートである。このフローチャートはステップS1~S6の火災監視処理は図3の第1実施形態の場合と同じであるが、ステップS7~S11の表示盤に対する音響警報の制御処理がマイク検出信号ではなく非常放送設備28からの放送中信号に基づいて行われている点が相違する。
【0061】
即ち、ステップS6で表示盤7に火災情報を送信して火災警報表示と音響警報の出力を行わせた後、ステップS7で非常放送設備28から非常放送中を示す放送中信号の入力オンを検出すると、ステップS8で表示盤7に音響停止情報を送信し、音響出力を停止させる。
【0062】
音響出力を停止させた状態にあってはステップS9で非常放送設備28の放送中信号がなくなる入力オフを判別すると、ステップS10で表示盤7に対し音響停止の解除情報を送信して音響出力を再開させる。」
4 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「公共施設内」は、その技術的意義及び機能からみて本件発明1の「所定の警戒区域」に相当し、以下同様に、「センサS」は「火災感知手段」に、「報知信号」は「火災検知信号」に、「障害種別が火災報知を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号」は「感知器発報移報信号」に、「誤報のボタンが操作された場合」は「復旧操作がされた場合」に、「障害種別が誤報を示す障害信号コードに基づく表示装置制御信号」は「移報停止信号」に、「映像」は「画像」に、「火災のボタンが操作された場合」は「火災確定操作がされた場合」に、「障害種別が確認報知を示す障害コード信号に基づく表示装置制御信号」は「火災移報信号」に、「防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4」は「防災受信手段」に、「館内案内、掲示板、情報検索、PR、教育、娯楽などを表示」は「所定の施設関連情報を表示」に、「通報番組」は「火災感知手段作動情報」に、「訂正通報番組」は「火災非発生情報」に、「避難誘導番組」は「火災発生情報」に、「表示装置7」は「広告表示手段」に、「情報表示システム」は「防災情報表示システム」に、それぞれ相当する。
したがって、本件発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点1及び相違点2で相違する。
[一致点]
「所定の警戒区域に設置された火災感知手段から火災検知信号を受信した場合に、前記警戒区域へ感知器発報移報信号を送信し、その後、復旧操作がされた場合は、前記警戒区域へ移報停止信号を送信し、火災確定操作がされた場合は、前記警戒区域へ火災移報信号を送信する防災受信手段と、
前記警戒区域に設置され、通常は、所定の施設関連情報を表示し、前記防災受信手段から前記感知器発報移報信号を受信した場合は、火災感知手段作動情報に切り替えて文字及び画像により表示し、その後、前記防災受信手段から前記移報停止信号を受信した場合は、火災非発生情報に切り替えて表示し、前記防災受信手段から前記火災移報信号を受信した場合は、火災発生情報に切り替えて文字及び画像により表示する広告表示手段と、
を備えた防災情報表示システム。」
[相違点1]
火災確定操作がされた場合、本件発明1の「防災受信手段」は火災警報音を出力するのに対し、引用発明の「防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4」が公共施設内に火災警報音を出力するか不明な点。
[相違点2]
本件発明1の「広告表示手段」は、「所定の火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報が予め記憶され」ており、火災感知手段作動情報、火災非発生情報及び火災発生情報が、それぞれ「音を出力することなく文字及び画像により表示」されるのに対し、引用発明の「表示装置7」は、「通報番組」及び「避難誘導番組」を「文字、映像及び音声により表示」し、「訂正通報番組」は「音を出力することなく」とは特定されていない点。
(2)相違点1の検討
まず、上記相違点1について検討する。
刊行物2の段落【0031】、【0044】、【0045】に記載された「ウ-ウ-」や、段落【0055】に記載された「ポッポッ」「ピーポーピーポー」といった火災警報音の出力は周知技術と認められる。
そして、刊行物1には「確認端末6,6’、6”は、火災報知器をも兼ね非常時には誰でも通報することが出来ると共に施設職員による発火確認、発煙確認、誤報などの現場確認入力も出来る。」(段落【0020】)と記載されており、確認端末が火災報知器を兼ねることが記載されている。また、「弱視者や難聴者に対して優しい」(段落【0001】)と記載されており、特に「弱視者」との記載に注目すれば、情報表示システムが、表示装置7に必ずしも依存しないことが理解できる。
そうすると、引用発明において、「防災センター装置1、防災表示装置2及び表示制御装置4」の「防災センター装置1」を操作する「確認端末」に、刊行物1に記載された「火災報知器」を兼ねさせるにあたり、上記周知技術を適用することで、公共施設内に火災警報音を出力する構成を、表示装置7に依存しない形態で付加することは、当業者にとって容易である。
したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が引用発明、刊行物1に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に成し得たことと認められる。
(3)相違点2の検討
次に、上記相違点2について検討する。
引用発明の「表示装置7」は、「火災発生などの避難誘導時には弱視者や難聴者に配慮した避難誘導表示」(段落【0003】)のために「映像及び音声で表示出力」(段落【0037】)する表示装置であり、表示出力から音声を削除又は省略する動機付けはない。
そして、刊行物1ないし6のいずれにも、映像及び音声で表示出力可能な状態の表示装置において、音声による出力を削除又は省略し、文字や映像の表示出力とする技術手段は記載又は示唆されていない。
そうすると、引用発明に刊行物1ないし6に記載された事項を組み合わせても、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易にはなし得ないと認められる。
したがって、本件発明1は、引用発明、刊行物1ないし6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、特許法第29条第2項の規定に違反しない。
5 本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、本件発明1を更に減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2ないし8は、引用発明及び刊行物1ないし6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、特許法第29条第2項の規定に違反しない。
6 平成29年11月16日付け意見書の主張について
異議申立人は、平成29年11月16日付け意見書において、甲第7号証(特開2004-310629号公報)を提示し、本件発明1ないし8は刊行物1ないし6に甲第7号証に示される課題解決技術を適用することで当業者が容易に発明をすることができた旨主張している。
しかしながら、甲第7号証に記載された課題解決技術は、音声メッセージによる非常放送を明瞭に聞き取るために、音響警報を停止する技術(特に甲第7号証の段落【0004】及び【0016】参照。)である。
そうすると、甲第7号証に記載された課題解決技術により停止されるのは、「ウ-ウ-」「ポッポッ」「ピーポーピーポー」等の火災警報音であり、「只今火災が発生しました、職員が確認しています」等の音声ではないから、引用発明に甲第7号証に記載された課題解決技術を適用できたとしても、引用発明の「表示装置7」から発せられる「音声」(刊行物1の段落【0021】参照。)を停止することはできず、上記4(1)の相違点2に係る本件発明1の構成に至らない。
したがって、平成29年11月16日付け意見書における異議申立人の主張は採用できない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。そして、他に本件発明1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-700386