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特許無効審判

2015-800016

盗難防止タグ、指示信号発信装置、親指示信号発信装置及び盗難防止装置

審判番号
2015-800016
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願平8-64978
登録番号
特許第3099107号(P3099107)
請求日
2015年01月19日
審決日
2018年01月11日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アイアンドティテック 株式会社
  • 【請求人代理人】吉本 力
  • 【被請求人】株式会社 エスキューブ
  • 【被請求人代理人】河野 英仁
  • 【被請求人代理人】池田 眞一郎
  • 【被請求人代理人】水沼 明子
  • 【被請求人代理人】鈴木 正勇
  • 【被請求人代理人】濱田 真一郎
審判長/審判官
  • 審判長 平田 信勝
  • 審判官 滝谷 亮一
  • 審判官 中村 達之
分類
P1123.121-YAA(G08B) / P1123.537-YAA(G08B) / P1123.841-YAA(G08B) / P1123.853-YAA(G08B) / P1123.854-YAA(G08B) / P1123.855-YAA(G08B) / P1123.856-YAA(G08B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第134条の2第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第4項、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第3099107号「盗難防止タグ、指示信号発信装置、親指示信号発信装置及び盗難防止装置」の特許無効審判事件についてされた平成28年11月14日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成28年(行ケ)第10265号、平成29年10月3日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第3099107号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項〔1-9〕として訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第3099107号に係る発明についての出願(以下「本件出願」という。)は、平成8年3月21日の出願であって、平成12年8月18日にその発明について特許の設定登録がなされた。 以後の本件に係る手続の概要は、以下のとおりである。 平成27年 1月19日 本件無効審判の請求 同年 3月 4日 手続補正書(請求人) 同年 5月 8日 審判事件答弁書 同年 5月29日 上申書(被請求人) 同年 6月16日 審理事項通知書 同年 8月18日 口頭審理陳述要領書(請求人) 同年 8月19日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 同年 9月 9日 口頭審理 同年 9月30日 上申書(被請求人) 同年10月21日 上申書(請求人) 同年10月30日 上申書(被請求人) 平成28年 2月 2日 審決の予告 同年 3月14日 訂正請求書 同年 4月20日 審判事件弁駁書 同年 7月 8日 訂正拒絶理由通知書 同年 8月 8日 意見書(被請求人) 同年11月14日 審決(以下、「一次審決」という。) 平成29年10月 3日 知的高等裁判所において審決取消しの判決 (平成28年(行ケ)第10265号) 第2 請求人の主張の概要 請求人は、審判請求書において、「特許第3099107号の請求項1、2、3、4、6及び7に係る特許は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、審判請求書、手続補正書、口頭審理陳述要領書、口頭審理、上申書、及び審判事件弁駁書を総合すると、請求人が主張する無効理由は、概略、以下のとおりのものである。 なお、本件特許の登録時の願書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2、3、4、6及び7に記載された発明を、以下、それぞれ「本件特許発明1、2、3、4、5及び6」という。 1 無効理由1(記載不備)について 請求項1及び4に記載された「暗号コード」との文言は、電気通信分野における当業者が、甲第1号証に記載された「暗号」及び「コード」の定義から把握できる「特定の者以外にはその内容が解らないような、アルゴリズムと鍵から成るデータを表現するための一定の明確なルールあるいはそのルールに基づいて表現されたもの」との通常の意味と、本件特許明細書の段落【0073】の「4桁の暗号コード」との記載から把握される意味とが一致しないため、いずれと解すべきか不明であり、その結果、請求項1及び4については、特許を受けようとする発明が明確でない。 また、請求項3、6及び7に記載された「新暗号コード」との文言は、本件特許明細書に明確な定義がない上に、前述のとおり、「暗号コード」の意味が不明であるから、その結果、請求項3、6及び7については、特許を受けようとする発明が明確でない。 したがって、本件特許明細書の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。 2 無効理由2(進歩性)について (1)本件特許発明1 請求人の主な主張は次のとおりである。 ア 暗号コードを含む解除指示信号について 本件特許発明1には、「暗号コードを含む解除指示信号」と記載されているのみであり、暗号コード以外に如何なるコードが含まれているかは明記されていない。また、暗号コードの他に如何なるコードが解除指示信号に含まれているか明記されていない以上、「暗号コードを含む解除指示信号」は、解除指示信号の全てが暗号コードからなる場合も含む概念である。 したがって、本件特許発明1における「暗号コードを含む解除指示信号」という構成は、甲第2号証の「コード信号」という構成との関係で相違点ではない。 また、仮に、本件特許発明1における「暗号コードを含む解除指示信号」という構成が相違点と認定された場合であっても、識別コード(ID)に他の命令コードを含めた信号を送受信することは、電気通信分野に属する当業者にとっては周知技術に過ぎないから、解除指示信号に店舗毎の識別コードであるIDを含めることは当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。 イ コード信号の受信について 甲第2号証において、「第2のアンテナ」なる用語は記載されておらず、図5に示す第1のアンテナ51とは異なるアンテナを設けるとも明記されていない。また、仮に、第1のアンテナ51とは異なるアンテナであったとしても、それらを1つのアンテナとすることは当業者が容易に行い得ることであり、甲第3号証にも1つの共振回路で受信する構成が開示されている。 甲第2号証と甲第3号証とは技術分野が共通しているから、両者を組み合わせることに何ら困難性はなく、十分な動機づけがある。 ウ 識別手段について 本件特許発明1における識別手段は、「前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する」のであって、解除指示信号と所定信号以外の他の信号を識別するものではない。また、本件特許明細書の段落【0077】ないし段落【0079】の記載からも、暗号コード以外のコードを用いることなく所定信号と解除指示信号を識別できることは明らかであり、識別手段による識別のために暗号コード以外のコードを解除指示信号に含めることは、本件特許発明1の構成要件から当然に認められるものではない。 エ 警告音停止信号のコードの一致性の判断について 甲第3号証には、「コードを予め書き込んである指定コード設定回路22」という構成と、「1つの共振回路1で受信して信号処理回路により識別された警告音停止信号を変換し、予め書き込んである指定コード設定回路22で決定されるコードと一致するか否かを一致回路21で判断する」という構成とが開示されている。甲第3号証の請求項3、段落【0013】及び段落【0031】の記載によれば、警告音停止信号の繰り返すコード信号と予め設定されたコード信号との一致がカウントされることとなっており、警告音停止信号が識別された上で、予め設定されたコード信号との一致回数をカウントするという追加の判断が加えられる。 また、甲第3号証の図3には、実施例の一例が記載されているに過ぎず、図3の一致回路21を信号識別回路の前段又は後段のいずれに設けるかを選択することに何ら困難性はなく、当業者であれば適宜選択し得るものである。 したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された事項及び甲第3号証に記載された事項並びに甲第13号証ないし甲第15号証に示す周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2)本件特許発明2 甲第4号証は、物品の盗難を防止する監視装置という技術分野において、物品の盗難を防止するために読み取られた情報が記憶部に記憶されている情報と一致しない場合に警報器による通知が行われる構成が記載されている。 本件特許発明2の請求項2に記載された事項は、甲第4号証に記載された事項及び甲第5号証ないし甲第10号証に示すセキュリティに関する技術分野の周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件特許発明2は、甲第2号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)本件特許発明3 甲第11号証及び甲第12号証の第16図には、「物品ID」という前節(preamble)に続くIDについて、そのIDの変更を指示する信号を受信手段(RX/TX304)で受信するという発明が開示されている一方で、甲第11号証及び甲第12号証の第1図~第15図には、付け札20に対して終了メッセージを含む信号を送信する送信機ユニット16a、16b及び携帯送信機78が開示されており、終了メッセージを含む信号が前節(preamble)とともに送信される構成が開示されている。 そして、甲第11号証及び甲第12号証に、第16図の「付け札302(英文表記Tag )」を含むEASシステム及びその付け札系を、第1図~第15図の構成に拡張して適用できる旨示唆されていることに鑑みれば、甲第11号証及び甲第12号証には、終了メッセージ(ID)の変更を指示する信号を付け札20で受信するという構成が記載されているというべきである。 本件特許発明3の請求項3に記載された事項は、甲第11号証又は甲第12号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件特許発明3は、甲第2号証に記載された事項、甲第3号証に記載された事項、甲第11号証又は甲第12号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (4)本件特許発明4 本件特許発明4においては、暗号コードの他に如何なるコードを解除指示信号に含めるか明記されていない以上、「解除指示信号に含めるための暗号コード」は、解除指示信号の全てが暗号コードからなる場合も含む概念であり、甲第2号証の「コード信号」という構成との関係で相違点ではない。 また、仮に、本件特許発明4における「解除指示信号に含めるための暗号コード」という構成が相違点と認定された場合であっても、セキュリティ目的のための識別コード(ID)に他の命令コードを含めた信号を送受信することは、電気通信分野に属する当業者にとっては周知技術に過ぎない。 本件特許発明4の請求項4に記載された事項は、甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件特許発明4は、甲第2号証に記載された事項、甲第3号証に記載された事項、甲第11号証又は甲第12号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (5)本件特許発明5 本件特許発明5の「新暗号コードを含めて」は、暗号変更指示信号の全てが新暗号コードからなる場合も含む概念である。仮に、そうでないとしても、セキュリティ目的のための識別コード(ID)に他の命令コードを含めた信号を送受信することは、電気通信分野に属する当業者にとっては周知技術である。 甲第11号証及び甲第12号証の第16図には、「物品ID」という前節(preamble)に続くIDについて、そのIDの変更を指示する信号を受信手段(RX/TX304)で受信するという発明が開示されている一方で、甲第11号証及び甲第12号証の第1図~第15図には、付け札20に対して終了メッセージを含む信号を送信する送信機ユニット16a、16b及び携帯送信機78が開示されており、終了メッセージを含む信号は前節(preamble)とともに送信される構成が開示されている。 そして、甲第11号証及び甲第12号証には、第16図の「付け札302(英文表記Tag 1)」を含むEASシステム及びその付け札系を、第1図~第15図の構成に拡張して適用できる旨示唆されていることに鑑みれば、甲第11号証及び甲第12号証には、付け札20に対して終了メッセージ(ID)の変更を指示する信号を送信機ユニット16a、16bが送信するという構成が記載されているというべきである。 本件特許発明5の請求項6に記載された事項は、甲第11号証又は甲第12号証に記載された事項と甲第2号証に記載された事項とを組み合わせることで、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件特許発明5は、甲第2号証に記載された事項、甲第3号証に記載された事項、甲第11号証又は甲第12号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (6)本件特許発明6 本件特許発明6の「暗号変更指示信号に含まれる新暗号コード」は、暗号変更指示信号の全てが新暗号コードからなる場合も含む概念である。仮に、そうでないとしても、セキュリティ目的のための識別コード(ID)に他の命令コードを含めた信号を送受信することは、電気通信分野に属する当業者にとっては周知技術である。 甲第13号証では、ベースユニット700(英文表記base unit)とともに利用装置705(英文表記utilization device )を制御する「ポータブルユニット200(英文表記portable unit)」という構成が記載されている。 また、甲第11号証及び甲第12号証の第1図~第15図には、「携帯送信機78」の構成が開示されている。この携帯送信機78は、送信ユニット16a、16bとともに付け札20を制御する指示信号発信装置であり、その作用及び機能が甲第13号証に開示された「ポータブルユニット705」と一致している。 そうすると、甲第11号証又は甲第12号証と甲第13号証とを組み合わせることに何ら困難性はなく、十分な動機づけがある。 そして、甲第13号証のベースユニット700が信号の送信対象や送信方向の選択は、当業者であれば容易に変更し得る事項である。 本件特許発明6の請求項7に記載された事項は、甲第11号証又は甲第12号証及び甲第13号証の記載に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本件特許発明6は、甲第2号証に記載された事項、甲第3号証に記載された事項、甲第11号証又は甲第12号証に記載された事項、甲第13号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (7)まとめ 以上のとおり、本件特許発明1ないし6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許発明1ないし6に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 3 訂正請求について (1)訂正事項1 ア 「複数の指示信号を受信する盗難防止タグ」とする訂正 特許請求の範囲の請求項1において「盗難防止タグ」を「複数の指示信号を受信する盗難防止タグ」とする訂正について、「複数の指示信号」が如何なる信号を含むものであるのか明確でなく、本件特許の明細書等に記載された信号以外の信号をも含む文言となっている。したがって、「盗難防止タグ」を「複数の指示信号を受信する盗難防止タグ」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正には該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合していない。 また、「複数の指示信号を受信する」という動作の主体が明確でない。すなわち、「前記受信手段が複数の指示信号を受信する」とは規定されておらず、他の受信手段が複数の信号を受信することも含む文言となっている。このような、前記受信手段以外の受信手段が複数の指示信号を受信するような構成は、本件特許の明細書等に記載されていない上、盗難防止タグの機能を拡張又は変更するものであることは明らかである。 さらに、「複数の指示信号」が他の発明特定事項と如何なる関連性を有しているのか規定されていないため、盗難防止タグが複数の指示信号を受信することに何ら技術的意義はない。仮に、識別手段が、解除支持信号を所定信号以外の他の信号と識別することができるという技術的意義を主張するものであるとすれば、所定信号及び解除指示信号を識別するに過ぎない「識別手段」の機能を拡張又は変更するものであることも明らかである。 したがって、「盗難防止タグ」を「複数の指示信号を受信する盗難防止タグ」とする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項にも適合していない。 イ 「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とする訂正 特許請求の範囲の請求項1において、「暗号コードを含む解除指示信号」を「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とする訂正について、「解除指示信号」が暗号コード以外に如何なるコードを含むものであるか明確でなく、本件特許の明細書等に記載されたコード以外のコードを含む文言となっている。したがって、「暗号コードを含む解除指示信号」を「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正には該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合していない。 また、「暗号コードを一部に含む解除指示信号」において、暗号コード以外のコードが如何なるコードであるのか明確でなく、暗号コード以外の他の発明特定事項と如何なる関連性を有しているのか規定されていないため、解除指示信号が暗号コードを一部に含むことに何ら技術的意義はない。仮に、識別手段が、暗号コード以外のコードを用いることにより、解除指示信号を所定信号以外の他の信号と識別することができるという技術的意義を主張するものであるとすれば、所定信号及び解除指示信号を識別するに過ぎない「識別手段」の機能を拡張又は変更するものであることは明らかである。 したがって、「暗号コードを含む解除指示信号」を「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項にも適合していない。 ウ 独立特許要件 特許請求の範囲の請求項1において、「複数の指示信号を受信する盗難防止タグ」、及び「暗号コードを一部に含む解除指示信号」が、他の発明特定事項と如何なる関連性を有しているのか明確でないため、訂正後の請求項1の発明が特有の効果を奏するものとは認められない。 また、甲第11号証及び甲第12号証に、付け札に伝達すべき種々のメッセージについての記載があるように、盗難防止タグが複数の指示信号を受信するという構成は、本件特許の出願時において周知技術に過ぎない。 さらに、解除指示信号が暗号コードを一部に含むという構成については、甲第11号証~甲第15号証などに記載されているように、本件特許の出願時において周知技術に過ぎない。 したがって、訂正後の請求項1に従属する請求項5、8、9に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであり、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合していない。 (2)訂正事項2 ア 「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」とする訂正 特許請求の範囲の請求項3において、「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」を「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」とする訂正について、「新暗号コードを一部に含む」という文言は本件特許の明細書等には何ら記載されていないから、「暗号変更指示信号」が新暗号コード以外に如何なるコードを含むものであるか明確でなく、本件特許の明細書等に記載されたコード以外のコードを含む文言となっている。したがって、「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」を「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正には該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合していない。 また、特許請求の範囲の請求項3において、「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」を「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」とする訂正について、新暗号コード以外のコードが如何なるコードであるのか明確でなく、新暗号コード以外の他の発明特定事項と如何なる関連性を有しているのか規定されていないため、暗号変更指示信号が新暗号コードを一部に含むことに何ら技術的意義はない。仮に、識別手段が、新暗号コード以外のコードを用いることにより、暗号変更指示信号を解除指示信号などの他の信号と識別することができるという技術的意義を主張するものであるとすれば、所定信号及び解除指示信号を識別するに過ぎない「識別手段」の機能を拡張又は変更するものであることは明らかである。 したがって、「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」を「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」とする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項にも適合していない。 イ 独立特許要件 特許請求の範囲の請求項3において、「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」を「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」とする訂正は、他の発明特定事項と如何なる関連性を有しているのか明確でないため、訂正後の請求項3の発明が特有の効果を奏するものとは認められない。 また、暗号変更指示信号が新暗号コードを一部に含むという構成については、甲第11号証~甲第15号証などに記載された周知技術に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。 したがって、訂正後の請求項3に従属する請求項5、8、9に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであり、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合していない。 (3)訂正事項3ないし5 訂正事項3及び訂正事項4は、それぞれ明細書の段落【0021】、【0022】の記載を訂正後の請求項1と整合させるためのものであるが、このような訂正は、前記「(1)」の訂正事項1と同様の理由により訂正要件を満たしていない。 訂正事項5は、明細書の段落【0024】の記載を訂正後の請求項3と整合させるためのものであるが、このような訂正は、前記「(2)」の訂正事項2と同様の理由により訂正要件を満たしていない。 したがって、訂正事項3ないし5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正には該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合していない。 4 訂正後の請求項1、2、3、4、6及び7に係る発明について 前記「3(1)ないし(3)」のとおり、訂正事項1ないし5は、いずれの訂正要件も満たしていないが、仮に訂正要件を満たしていると判断された場合であっても、訂正後の請求項1、2、3、4、6及び7に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 甲11号証及び甲第12号証には、付け札に伝達すべき種々のメッセージについての記載があるように、盗難防止タグが複数の指示信号を受信するという構成は、本件特許の出願時において周知技術に過ぎない。また、解除指示信号が暗号コードを一部に含むという構成については、甲第11号証ないし甲第15号証などに記載されており、本件特許の出願時において周知技術に過ぎない。 したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない。 さらに、暗号変更指示信号が新暗号コードを一部に含むという構成についても、甲第11号証ないし甲第15号証などに記載された周知技術に基いて当業者が容易に想到することができるものであるから、訂正後の請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない。 同様に、訂正後の請求項1又は3に従属する請求項2、4、6及び7に係る発明についても、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない。 したがって、訂正後の請求項1、2、3、4、6及び7に係る発明は、特許報第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。 [証拠方法等] 甲第1号証:情報通信研究会編「情報通信用語辞典」株式会社ぎょうせい 甲第2号証:特開平6-318291号公報 甲第3号証:特開平7-210770号公報 甲第4号証:特公平7-75039号公報 甲第5号証:特開平7-325986号公報 甲第6号証:米国特許第4163215号明細書 甲第7号証:米国特許第5083122号明細書 甲第8号証:特開平4-276898号公報 甲第9号証:米国特許第4463340号明細書 甲第10号証:特開平4-232147号公報 甲第11号証:特公平3-45436号公報 甲第12号証:米国特許第5005125号明細書 甲第13号証:米国特許第5148159号明細書 甲第14号証:「NEC MOS集積回路 μPD6121,6122 データシート」NEC株式会社 甲第15号証:「半導体総合セレクション・ガイド 1994.10」 NEC半導体ソリューション技術本部 技術情報支援部 第3 被請求人の主張の概要 被請求人は、請求人が主張する無効理由に対して、審判事件答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書、口頭審理、平成27年5月29日付け、同年9月30日付け及び同年10月30日付けの各上申書、並びに平成28年8月8日付け意見書を総合すると、概略、以下のとおり主張する。 1 無効理由1(記載不備)について 請求項1及び4に記載された「暗号コード」の意味は、本件特許明細書の段落【0019】、段落【0022】、段落【0073】及び図7から把握でき、また、乙第1号証から把握できる出願時の技術常識を考慮した「暗号」の通常の意味とも矛盾しない。 したがって、請求項1及び4に係る発明は明確である。 また、請求項3、6及び7に記載された「新暗号コード」の意味は、本件特許明細書の段落【0066】及び段落【0068】からみて、「暗号コード」を変更または更新したものであることは当業者にとって明らかである。 したがって、請求項3、6及び7に係る発明は明確である。 2 無効理由2(進歩性)について ア 本件特許発明1 被請求人の主な主張は次のとおりである。 (ア)暗号コードを含む解除指示信号について 本件特許発明1における暗号コードを含む解除指示信号は、暗号コードが一部に含まれることが明細書の記載から明らかである。また、本件特許発明1の「暗号コードを含む解除指示信号」は、単に識別コード(ID)とコマンドを含む信号を送信する構成とは異なるのであって、仮に当該構成が周知技術であるとしても、本件特許発明1の「暗号コードを含む解除指示信号」が周知技術となるものではない。 (イ)コード信号の受信について 甲第2号証のタグは、図5に示すアンテナ51に加えて、第2のアンテナを付設し(段落【0054】)、2つのアンテナによりそれぞれ異なる情報を受信するものであるから、本件特許発明1と相違する。 (ウ)識別手段について 本件特許発明1の「識別手段」は、単に「所定信号」と「解除指示信号」の二つの信号との間でのみ識別するものではなく、受信手段が受信し得る信号との間において、受信手段が受信した「所定信号」を識別し、同様に当該受信手段が受信した「解除指示信号」を識別するものである。 (エ)警告音停止信号のコードの一致性の判断について 甲第3号証の一致回路21は、信号識別回路の前段に設けることは必須であり、同回路の後段に設けることができるようなものではない。 したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された事項及び甲第3号証に記載された事項並びに甲第13号証ないし甲第15号証に示す周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件特許発明2 甲第4号証の一致判定は、「物品が所定位置にない場合や、物品が対象のものと異なる場合」を知るために、「常時又は所定時間毎に読取り手段で読取った情報と予め収納された情報とを比較する」のものにすぎず、本件特許発明2のように、他の店舗から盗んで来た指示信号発信装置を使用してリセットする試みについて、解除指示信号に含まれる暗号コードと暗号記憶手段が記憶する暗号コードの不一致判定に警告を出力することにより露見するようにしたものではない。甲第4号証の物品監視装置を本件特許発明1の盗難防止用タグに転用できるものではない。 また、甲第5号証ないし第10号証は、単にコード等の一致判定において不一致の場合に信号等を発する点が共通するだけであり、当該構成が周知技術ではないことは明らかであり、本件特許発明1の盗難防止用タグに転用できるものではない。 したがって、本件特許発明2は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件特許発明3 甲第11号証及び甲第12号証の「物品ID」は、「価格付けデータ」とともに「貯蔵に割当てられた」際にアップデートされるものであり、「暗号コード」を更新するようなものではない。また、そもそも物品識別(ID)は、物品を特定するための固有のIDであり、物品の種類に応じて複数の異なる物品識別(ID)が必要となるものであるから、「新暗号コード」とは異なり、店舗毎に異なる物品識別(ID)を設定することは不可能である。このように、「物品ID」は「新暗号コード」とは全く性質の異なるものであり、当業者にとってみれば甲第11号証及び甲第12号証の「物品ID」を用いて本件特許発明3に想到する動機付けはない。 したがって、本件特許発明3は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件特許発明4 本件特許発明4は「前記解除指示信号を、該暗号記憶手段が記憶する暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える」ものであるから、「暗号コード」は「含めて発信する」ものである。これに対して、甲第2号証は、「コード信号を含めて送信する」ものではない。 したがって、本件特許発明4は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件特許発明5 甲第2号証は、コード信号の設定をタグとコード信号出力ユニットとで別々に行うことが記載されており、コード信号ユニットからコード信号が送信されてタグのコード信号が設定されることは記載されていない。 甲第11号証及び甲第12号証の信号は、貯蔵に割当られた付け札302の物品IDおよび価格付けデータをアップデートするためのものであり、本件特許発明5の「暗号変更指示信号」とは信号の内容が相違している。 本件特許発明5の「暗号変更指示信号」は、同時に複数の盗難防止タグの受信手段が受信することができること、複数の盗難防止タグにおいて同じ新暗号コードに更新することが盗難防止タグでは想定されているが、甲第11号証及び甲第12号証は、複数の付け札を同一の物品IDにアップデートするものではない点で相違している。 したがって、本件特許発明5は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 カ 本件特許発明6 甲第13号証のベースユニット700は、ガレージドア制御装置として使用され、同時に複数のポータブルユニットに識別コードを送信することはできず、更新する記憶内容は「識別コード」全体である。また、甲第13号証では、ベースユニットは同機の設定により識別コードを更新し、更新した識別コードをポータブルユニットに送信するだけのであって、単独で設定機能を備えていない指示信号発信装置と盗難防止タグにおいて同じ新暗号コードに更新できるようにする技術思想はない。 甲第13号証では、ベースユニットで識別コードを設定し、それをポータブルユニットに送信してポータブルユニットの識別コードを設定し、ポータブルユニットがベースユニットに識別コードとチャンネル番号を送信し、アクションを実行するものとしていることからすれば、当該構成は必須であり、当該構成以外の識別信号の送信対象、送信方向を選択する余地はなく、当業者が容易に変更できるものではない。 したがって、本件特許発明6は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 キ まとめ 以上のとおり、本件特許発明1ないし6は、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 3 訂正請求について 被請求人は、平成28年2月2日付けの審決の予告に対して、同年3月14日に訂正請求書を提出して訂正を求め、当審が通知した訂正拒絶理由に対して同年8月8日付けの意見書において、本件訂正発明8及び9は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるから、本件訂正請求は、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第7項の規定に適合する旨主張する。 [証拠方法等] 乙第1号証:広辞苑 第四版 発行 株式会社岩波書店 第4 訂正の可否に対する判断 1 請求の趣旨及び訂正内容 本件訂正請求は、本件特許第3099107号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし9について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「備えた盗難防止タグにおいて」と記載されているのを、「備えた複数の指示信号を受信する盗難防止タグにおいて」に訂正し、特許請求の範囲の請求項1に「解除を指示する、暗号コードを含む解除指示信号」と記載されているのを、「解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」と記載されているのを、「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」に訂正する。 (3)訂正事項3 願書に添付した明細書の段落【0021】に記載された「備えた盗難防止タグにおいて」と記載されているのを、「備えた複数の指示信号を受信する盗難防止タグにおいて」に訂正し、願書に添付した明細書の段落【0021】に記載された「解除を指示する、暗号コードを含む解除指示信号」を「解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号」に訂正する。 (4)訂正事項4 願書に添付した明細書の段落【0022】に記載された「解除を指示する、暗号コードを含む解除指示信号」を「解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号」に訂正する。 (5)訂正事項5 願書に添付した明細書の段落【0024】に記載された「新暗号コードへの変更を指示する暗号変更指示信号」を「新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号」に訂正する。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の目的 訂正事項1は、請求項1に係る発明の盗難防止タグが複数の指示信号を受信すること及び解除指示信号が暗号コードを一部に含むことを限定するものであり、また、訂正事項2は、請求項3に係る発明の暗号変更指示信号が新暗号コードを一部に含むことを限定するものである。 したがって、訂正事項1及び2は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項3ないし5は、明細書の記載を訂正後の請求項1又は3の記載と整合させるものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項 訂正事項1ないし5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項1ないし5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)拡張・変更の存否 訂正事項1及び2は、請求項1及び3に記載した発明特定事項を概念的により下位にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 また、訂正事項3ないし5は、上記訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るため、明細書の記載を訂正するものであるから、訂正事項1及び2と同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)明細書又は図面の訂正と関係する請求項について 訂正事項3ないし5は、一群の請求項1ないし9に関係する訂正である。 したがって、訂正事項3ないし5は、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合するものである。 (5)独立特許要件 ア 訂正後の請求項5、8及び9に係る発明 訂正後の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本件訂正発明1ないし9」という。)は、訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載されている事項により特定されるものと認められるところ、請求項5、8及び9は本件無効審判の請求がされていないから、訂正後の請求項5、8及び9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、以下に検討する。 訂正後の請求項1ないし9に係る発明は、 「【請求項1】 盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段と、非接触で信号を受信する受信手段と、前記検出手段が取り外し状態を検出したとき及び前記受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えた複数の指示信号を受信する盗難防止タグにおいて、 前記受信手段は、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号を受信することを可能とする一方、 前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する識別手段と、暗号コードを予め記憶する暗号記憶手段と、前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したときは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段とを備えることを特徴とする盗難防止タグ。 【請求項2】 前記一致判定手段が一致しないと判定したときに、警告を出力する警告出力手段を備える請求項1記載の盗難防止タグ。 【請求項3】前記暗号記憶手段は、前記受信手段が受信する、新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号により、その記憶内容を前記新暗号コードに更新する請求項1又は2記載の盗難防止タグ。 【請求項4】 請求項1~3の何れかに記載の盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき解除指示信号に含めるための暗号コードを記憶する暗号記憶手段と、前記解除指示信号を、該暗号記憶手段が記憶する暗号コードを含めて発信する発信手段とを備えることを特徴とする指示信号発信装置。 【請求項5】 非接触で信号を受信する受信手段と、該受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備える請求項4記載の指示信号発信装置。 【請求項6】 請求項3記載の盗難防止タグが備える暗号記憶手段が記憶すべき新暗号コードを設定する暗号設定手段と、盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき暗号変更指示信号を、前記暗号設定手段が設定した新暗号コードを含めて発信する発信手段とを備えることを特徴とする親指示信号発信装置。 【請求項7】 請求項6記載の親指示信号発信装置が発信する暗号変更指示信号を受信する受信手段を備え、前記暗号記憶手段は、該受信手段が受信した暗号変更指示信号に含まれる新暗号コードにより記憶内容を更新する請求項4又は5記載の指示信号発信装置。 【請求項8】 請求項1又は2記載の盗難防止タグと、盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき所定信号を発信する発信装置と、請求項4又は5記載の指示信号発信装置とを備えることを特徴とする盗難防止装置。 【請求項9】 請求項3記載の盗難防止タグと、盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき所定信号を発信する発信装置と、請求項6記載の親指示信号発信装置と、請求項7記載の指示信号発信装置とを備えることを特徴とする盗難防止装置。」 のとおりのものであるところ、 本件訂正発明1及び本件訂正発明4を含んだ本件訂正発明8は、次のとおりのものである。なお、( )内に引用請求項を当審で付記した。以下同様。 「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段と、非接触で信号を受信する受信手段と、前記検出手段が取り外し状態を検出したとき及び前記受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えた複数の指示信号を受信する盗難防止タグにおいて、 前記受信手段は、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号を受信することを可能とする一方、 前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する識別手段と、暗号コードを予め記憶する暗号記憶手段と、前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したときは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段とを備える盗難防止タグ(訂正請求項1)と、 盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき所定信号を発信する発信装置と、 盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき解除指示信号に含めるための暗号コードを記憶する暗号記憶手段と、前記解除指示信号を、該暗号記憶手段が記憶する暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える指示信号発信装置(訂正請求項4)とを備えることを特徴とする盗難防止装置。」 また、本件訂正発明1、本件訂正発明3、本件訂正発明4、本件訂正発明6、本件訂正発明7を含んだ本件訂正発明9は、次のとおりのものである。 「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段と、非接触で信号を受信する受信手段と、前記検出手段が取り外し状態を検出したとき及び前記受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えた複数の指示信号を受信する盗難防止タグにおいて、 前記受信手段は、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号を受信することを可能とする一方、 前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する識別手段と、暗号コードを予め記憶する暗号記憶手段と、前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したときは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段とを備える盗難防止タグ(訂正請求項1)であって、 前記暗号記憶手段は、前記受信手段が受信する、新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号により、その記憶内容を前記新暗号コードに更新する盗難防止タグ(訂正請求項3)と、 盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき所定信号を発信する発信装置と、 盗難防止タグが備える暗号記憶手段が記憶すべき新暗号コードを設定する暗号設定手段と、盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき暗号変更指示信号を、前記暗号設定手段が設定した新暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える親指示信号発信装置(訂正請求項6)と、 盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき解除指示信号に含めるための暗号コードを記憶する暗号記憶手段と、前記解除指示信号を、該暗号記憶手段が記憶する暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える指示信号発信装置(訂正請求項4)であって、 親指示信号発信装置が発信する暗号変更指示信号を受信する受信手段を備え、前記暗号記憶手段は、該受信手段が受信した暗号変更指示信号に含まれる新暗号コードにより記憶内容を更新する指示信号発信装置(訂正請求項7)とを備えることを特徴とする盗難防止装置。」 また、本件訂正発明1、本件訂正発明4を含んだ本件訂正発明5は、次のとおりのものである。 「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段と、非接触で信号を受信する受信手段と、前記検出手段が取り外し状態を検出したとき及び前記受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えた複数の指示信号を受信する盗難防止タグにおいて、 前記受信手段は、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号を受信することを可能とする一方、 前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する識別手段と、暗号コードを予め記憶する暗号記憶手段と、前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したときは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段とを備える盗難防止タグ(訂正請求項1)であって、 盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき解除指示信号に含めるための暗号コードを記憶する暗号記憶手段と、前記解除指示信号を、該暗号記憶手段が記憶する暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える指示信号発信装置(訂正請求項4)であって、 非接触で信号を受信する受信手段と、該受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えることを特徴とする指示信号発信装置(訂正請求項5)。」 イ 刊行物 (ア)甲第2号証 甲第2号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「タグの検知装置」に関して、図面(特に、図1ないし図6、図12、図13参照)とともに、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付した。以下同様。) [ア]「【0011】 【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。 【0012】図1乃至図3は、この発明に係わる検知装置の第1の実施例を示す斜視図である。図1は、この実施例におけるタグを示し、また図2は、この実施例におけるコード信号出力ユニットを示し、さらに図3は、この実施例における電波送出ユニットを示す。 【0013】図1に示すタグ1は、一対のリード線2,3を有し、一方のリード線2には、ピン4が接続され、他方のリード線3には、ソケット5が接続されている。これらのリード線2,3は、ピン4をソケット5に挿入することにより相互に接続される。また、ピン4を商品の一部(例えば衣料品のボタンを止める穴)を介してソケット5に挿入することにより、タグ1を商品に取り付けることができる。さらに、タグ1の壁面には、一対の平端子6,7が設けられている。これらの平端子6,7は、コード信号を入力するために用いられる。また、このタグ1には、アンテナ(後述する図4(当審注:「図5」の誤記)に示す)が内蔵されており、このアンテナは、所定の周波数の電波が送出されている検知エリアで該電波を受信する。 【0014】図2に示すコード信号出力ユニット11は、一対の棒端子12,13が突設されている。これらの棒端子12,13間には、予め定められたコード信号が印加されており、これらの棒端子12,13をタグ1の各平端子6,7にそれぞれ押し付けることにより、コード信号が各平端子6,7間にも印加される。 【0015】図3に示す電波送出ユニット21は、電波送出パネル22と、ダミーパネル23とからなる。電波送出パネル22は、所定の周波数の電波を送出するものであり、ダミーパネル23は、装飾的な目的で使用される。これらの電波送出パネル22およびダミーパネル23は、例えば店の出入口を挟むようにして配置される。この場合、電波送出パネル22から送出された電波は、店の出入口を通過するので、この出入口がタグ1の検知エリアとなる。したがって、タグ1は、この出入口で所定の周波数の電波を先に述べたアンテナにより受信することとなる。なお、ダミーパネル23を配置せずとも、電波送出パネル22のみを配置すれば、検知エリアを設定することができる。 【0016】図4には、コード信号出力ユニット11の構成が示されており、このコード信号出力ユニット11は、先に述べた各棒端子12,13と、予め定められたコード信号を発生して各棒端子12,13間に印加するコード信号発生器41とを備えている。 【0017】図5には、タグ1の構成が示されており、このタグ1は、先に述べた各平端子6,7と、先に述べたアンテナ51と、リミットスイッチ52と、警報音発生器53と、入出力部54と、中央処理装置(以下CPUと称する)55とを備えている。 【0018】リミットスイッチ52は、図1に示す各リード線2,3に該当し、ピン4をソケット5に挿入したときに「ON」となり、ピン4をソケット5から外したときに「OFF」となる。 【0019】CPU55は、各平端子6,7、アンテナ51、およびリミットスイッチ52からの信号を入出力部54を介して入力したり、警報音発生器53への信号を入出力部54を介して出力し、これによりタグ1を統括的に制御する。 【0020】このような構成において、タグ1で行われる処理を図6に示すフローチャートに従って述べる。 【0021】まず、タグ1のピン4を商品の一部を介してソケット5に挿入して、各リード線2,3を相互に接続し、リミットスイッチ52を「ON」にする。これに応答して、CPU55は、例えば「ピー」という警報音を一回だけ警報音発生器53から発音させる(ステップ101)。この「ピー」という警報音を一回だけ発音させることにより、タグ1がセットされたことを利用者に確認させる。 【0022】この後、CPU55は、リミットスイッチ52が「OFF」になったか否か(ステップ102)、電波を受信したか否か(ステップ103)、コード信号を入力したか否か(ステップ104)を順次判定し、リミットスイッチ52が「OFF」にならず(ステップ102,NO)、電波を受信せず(ステップ103,NO)、コード信号を入力しなければ(ステップ104,NO)、これらの判定を繰り返す。 【0023】ここで、例えばピン4をソケット5から外して、タグ1を商品から無断で取り外したとすると、CPU55は、リミットスイッチ52が「OFF」になったとを判定して(ステップ102,YES)、内示しているフラッグを「ON」に設定し、「ピー」という警報音を警報音発生器53から連続的に発音させる(ステップ105)。このフラッグが「ON」に設定されている限り、警報音発生器53からは警報音が持続的に発音される。 【0024】この状態で、コード信号出力ユニット11の各棒端子12,13をタグ1の各平端子6,7にそれぞれ押し付けると、CPU55は、コード信号出力ユニット11からのコード信号を入力し(ステップ104,YES)、内示しているフラッグを「OFF」に設定して、警報音発生器53による警報音の発音を停止させる(ステップ106)。 【0025】この後、CPU55は、リミットスイッチ52が「OFF」であることを確認してから(ステップ107,YES)、前記ステップ101に戻る。 【0026】したがって、タグ1を商品から無断で取り外した場合は、警報音が連続的に発音され、コード信号出力ユニット11からタグ1へとコード信号を入力しなければ、警報音の発音を停止することができない。 【0027】次に、リミットスイッチ52が「OFF」にならず(ステップ102,NO)、電波を受信せず(ステップ103,NO)、コード信号を入力せず(ステップ104,NO)、これらのステップを繰り返している際に、例えばタグ1を取り付けたままの商品を無断で持ち出そうとして、タグ1が出入口の検知エリアに入ると、CPU55は、アンテナ51からの受信入力に応答して、電波を受信したと判定し(ステップ103,YES)、内示しているフラッグを「ON」に設定し、警報音を警報音発生器53から連続的に発音させる(ステップ105)。 【0028】この状態で、CPU55は、コード信号出力ユニット11からのコード信号を入力すると(ステップ104,YES)、内示しているフラッグを「OFF」に設定して、警報音発生器53による警報音の発音を停止させる(ステップ106)。そして、CPU55は、リミットスイッチ52が「OFF」になるまで待機し(ステップ107,YES)、「OFF」になると前記ステップ101に戻る。 【0029】したがって、タグ1を取り付けたまま商品を検知エリアを通じて無断で持ち出そうとした場合も、警報音が連続的に発音され、コード信号出力ユニット11からタグ1へとコード信号を入力しない限り、警報音は発音され続ける。 【0030】次に、リミットスイッチ52が「OFF」にならず(ステップ102,NO)、電波を受信せず(ステップ103,NO)、コード信号を入力せず(ステップ104,NO)、これらのステップを繰り返している際に、例えばタグ1を取り付けたままの商品を店員に渡すと、店員は、コード信号出力ユニット11の各棒端子12,13をタグ1の各平端子6,7にそれぞれ押し付けることにより、警報動作を解除させる。すなわち、CPU55は、コード信号出力ユニット11からのコード信号を入力し(ステップ104,YES)、フラッグが「OFF」であることを確認する(ステップ106)。 【0031】なお、この場合は、フラッグを「ON」に設定することが無かったので、このフラッグは、最初から「OFF」のままで、一度も変更されない。 【0032】この後、店員がピン4をソケット5から外して、タグ1を商品から取り外しても、警報音が発音されることは無く、CPU55は、リミットスイッチ52が「OFF」になったことを確認して(ステップ107,YES)、前記ステップ101に戻る。 【0033】したがって、商品に取り付けられたタグ1に対してコード信号出力ユニット11からコード信号を入力した場合は、タグ1を商品から取り外しても、警報音は発音されることがない。 【0034】このようにコード信号出力ユニット11の各棒端子12,13をタグ1の各平端子6,7にそれぞれ押し付けて、コード信号をタグ1に入力するだけで、タグ1の警報動作を解除することができ、また警報動作を解除した後には、リミットスイッチ52を一旦「OFF」にしてから「ON」にするだけで、警報動作を再度設定することができるので、操作手順に煩雑さが無いと言える。 【0035】さらに、コード信号出力ユニット11から出力されるコード信号を調べて、このコード信号出力ユニット11の複製を作成することは容易でなく、このため盗難防止効果を大いに期待することができる。 【0036】なお、上記実施例では、コード信号を予め定められたものとして扱っているが、コード信号の設定機能をタグ1およびコード信号出力ユニット11にそれぞれ備付け、これらの設定機能によって所望のコード信号を設定できるようにしても構わない。この場合は、各店毎に、それぞれのコード信号を設定することができるので、防犯効果を更に期待することができる。また、警報は、音に限らず、光を利用して発しても良く、音と光を組み合わせた可視可聴による警報でも構わない。」 [イ]「【0050】ところで、上記各実施例では、コード信号出力ユニットからタグへと入力されるコード信号が電気信号であるが、光信号を用いても構わない。(省略) 【0054】また、コード信号出力ユニットから出力され、タグに入力されるコード信号は、電波信号であっても構わない。この場合、コード信号出力ユニットには、コード信号を入力する変調器と、この変調器の出力を送信するアンテナとが付設される。一方、タグには、電波を受信するアンテナと、アンテナの受信信号を復調してコード信号を出力する復調器とが付設される。 【0055】このコード信号出力ユニットは、図12に示すユニット83と同様に移動型であっても良いし、図13に示すユニット85と同様に据え付け型であっても構わない。移動型のユニットの場合、ボタンの押下に応答して、電波信号が該ユニットから送信されるようにする。また、据え付け型のユニットの場合、電波信号が所定の範囲に常に送信されるようにしておき、この範囲にタグを移動したときに、このタグによって電波信号が受信されるようにするのが好ましい。電波信号の送信範囲を特定するために、この電波信号の送信出力を適宜に設定したり、電磁波の遮蔽体によって該範囲を囲む。 【0056】一方、タグは、他のタグに対して送信された電波信号によって誤動作することが考えられる。このため、タグの受信入力が予め定められたしきい値を越えたときにのみ、タグが応答動作を行うようにしても構わない。」 [ウ]「【0057】 【効果】以上説明したように、この発明によれば、予め定められた信号を出力する出力手段と、この信号を入力して識別し、タグの警報動作を解除する解除手段とを備え、出力手段から解除手段へと信号を入力することによりタグの警報動作を解除するようにしているので、警報動作の速やかなる解除が可能となる。また、予め定められた信号のみによって警報動作が解除されるので、盗難防止効果を十分に期待することができる。」 [エ]上記[イ]の「上記各実施例では、コード信号出力ユニットからタグへと入力されるコード信号が電気信号であるが、光信号を用いても構わない」(段落【0050】)との記載及び「コード信号出力ユニットから出力され、タグに入力されるコード信号は、電波信号であっても構わない。この場合、コード信号出力ユニットには、コード信号を入力する変調器と、この変調器の出力を送信するアンテナとが付設される。一方、タグには、電波を受信するアンテナと、アンテナの受信信号を復調してコード信号を出力する復調器とが付設される」(段落【0054】)との記載によれば、上記[ア]に記載される第1の実施例のコード信号出力ユニット11として電波信号からなるコード信号を用いる態様が示唆されている。そして、その場合、タグ1へのコード信号の入力は、付設されたアンテナが電波信号からなるコード信号を受信して行われる。 上記の記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本件訂正発明8の記載ぶりに則って整理すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明2」という。)が記載されている。 「商品の一部を介してピン4をソケット5に挿入したときにONとなり、ピン4をソケット5から外したときにOFFとなるリミットスイッチ52と、電波送出パネル22が送出する所定の周波数の電波を受信するアンテナ51と、前記リミットスイッチ52がOFFになったと判定してフラッグをONに設定したとき及び前記アンテナ51が前記所定の周波数の電波を受信してフラッグをONに設定したときに、フラッグがONに設定されている限り警報音を連続的に発音させる警報音発生器53とを備えた電波信号からなるコード信号を受信するタグ1において、 付設されたアンテナは、リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際にタグ1の警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させる、前記コード信号を受信可能とする一方、 前記コード信号は設定機能によって所望のコード信号に設定でき、 前記アンテナ51が前記所定の周波数の電波を受信したと判定し及び前記付設されたアンテナが前記コード信号を受信したと判定するCPU55であって、前記コード信号をタグ1に受信したと判定したとき、フラッグのOFFを確認し及びフラッグをOFFに設定して、前記警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させるCPU55を備えるタグ1と、タグ1が備えるアンテナ51が受信すべき所定の周波数の電波を発信する電波送出パネル22と、コード信号出力ユニットとを備える検知装置。」 (イ)甲第3号証 甲第3号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「警告音発生装置」に関して、図面(特に、図2ないし図4参照)とともに、次の事項が記載されている。 [ア]「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、万引・盗難防止等に使用されるタグ(たれ札)等が自ら警報等を発する警告音発生装置に関するものである。」 [イ]「【0010】 【発明が解決しようとする課題】前記した電波による警告音解除の方が、機械式の警告音解除に比べて特殊な治具を会計者が使う必要もなくスムーズに会計作業を行えるという利点がある。然し乍ら、2つの異なる周波数を持つ信号をそれぞれ受信する共振回路の周波数選択特性はあまり良好でなく、たとえ周波数差を高く設定しても低周波信号の歪みによる高調波成分や、他の電子器機から出る不要輻射、静電性ノイズによって誤動作が起る可能性が高い。また、高感度の共振器とするためにはインダクターに高価なパーマロイのような強磁性体を使用しなければならないため、コストアップは免れないという問題がある。」 [ウ]「【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明では、第1の電波信号を受信して警告音を発生すると共に、第2の電波信号を受信して警告音を停止するように成された警告音発生装置において、前記第1及び第2の電波信号を受信する単一の電磁結合手段と、前記電磁結合手段で受信した信号を識別する信号識別手段と、該信号識別手段の出力に応じて警告音を発生する警告音発生手段とを備えた警告音発生装置を提供せんとするものである。」 [エ]「【0014】 【作用】上記の如く構成したので、1つの電磁結合手段によって第1の電波信号及び第2の電波信号とが受信されると共に、信号識別手段によって2つの信号が識別されて、第1の電波信号が受信された時には警告音発生手段より警告音が発せられると共に、第2の電波信号が受信された時には警告音発生手段が停止する。」 [オ]「【0017】 【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の実施例について詳述する。本発明は、警告音作動信号と警告音停止信号のキャリアー周波数を同一にして1つの共振回路(電磁結合手段)で両信号を受信させ、後段の信号処理回路で信号識別を行う点に特徴がある。 【0018】先ず、図1は本発明の警告音発生装置の回路ブロック図示す。そして図2に前記図1に示す回路の各経路における信号を示す。図2のA~Kの各信号は図1の回路にて同じ符号を付している各経路における信号を表している。 【0019】周波数f1で連続正弦波の信号である警告音作動信号Aをコンパレータ4で矩形波の信号Bに変換し、カウンタ9で波数(パルス数)をカウントして一定数nに達すると信号Cが出力される。 【0020】ここでカウンタ9が一定数nに達して信号Cが出力されるまでの時間をtn、モノステーブルマルチバイブレータ10から信号Dが出力されるまでの時間をt1、モノステーブルマルチバイブレータ11から信号Eが出力されるまでの時間をt2とし、前記カウンタ9が一定数nに達して信号Cが出力されるまでの時間tnにt2<tn<t1なる制限を与える。t1,t2,tnの関係は図2の信号C~Eに示す様になる。 【0021】このように構成にすると、t2<(n/f1)<t1から(n/t1)<f1<(n/t2)なる周波数選択特性を持つことになり、時間t1,時間t2を適当に設定することにより自由に信号処理回路で選択性を決定できる。 【0022】従って、t2<tn<t1を満足する警告音作動信号が受信された場合のみ、NAND回路12より警告音作動制御信号Fが出力されてブザー8を鳴らせることができる。 【0023】また、警告音停止信号A’は警告音作動信号Aと同じ基本周波数f1を持ち、3波毎に間欠した正弦波の信号Aである。コンパレータ4で矩形波の信号B’に変換し、ローパスフィルタ13を通した後(信号Gとなる)、カウンタ14で一定数mまでカウントすると信号Hが出力される。 【0024】ここで、カウンタ14が一定数mに達して信号Hが出力されるまでの時間をtm、モノステーブルマルチバイブレータ15から信号Iが出力されるまでの時間をt3、モノステーブルマルチバイブレータ16から信号Jが出力されるまでの時間をt4とすると、前記カウンタ14が一定数mに達して信号Hが出力されるまでの時間tmにt4<tm<t3なる制限を与え周波数選択特性を持たす。t3,t4,tmの関係は図2の信号H~Jに示す様になる。 【0025】従って、t4<tm<t3を満足する警告音停止信号が受信された場合のみ、NAND回路17より警告音停止制御信号Kが出力されてブザー8を停止させることができる。 【0026】この様にカウンタ,モノステーブルマルチバイブレータ,NAND回路,ローパスフィルタ等で構成される信号識別回路を設けることによって、1つの共振回路で警告音差動信号及び警告音停止信号の両信号を受信できるようになり、周波数選択特性を信号処理回路で任意に持たすことができる。このため、不要輻射や静電ノイズによる誤動作が大幅に低減でき、安価で小型の警告音盗難防止装置が実現できる。」 (ウ)甲第4号証 甲第4号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「物品監視装置」に関して、図面(特に、図1参照)とともに、次の事項が記載されている。 [ア]「この発明は、美術品や宝石等の物品の盗難を防止する監視装置に関するものである。」(第1欄第14行及び第15行) [イ]「この場合、物品が所定位置にない場合や、物品が対象のものと異なる場合は、読み取りの情報と収納情報とが不一致になるため、制御装置から表示装置に信号が出力され、その事実を知ることができる。」(第3欄第20行~23行) [ウ]「物品を識別するための情報は、複数桁の数を組み合せた数字群(例えば000001)や、複数のアルファベット等の記号を組み合せた記号群(例えばABCDEF)、或いは、上記数字群や記号群に使用者だけの秘密の符号を組み合せたものなどを利用することができる。」(第3欄第38行~第42行) [エ]「一方、上記制御装置5は、メモリ部9と比較制御部10を具備したものを使用し、メモリ部9には、予め識別部材3に収納された識別情報と同一の内容を、各識別部材3ごとに関連づけて登録しておく。 また、比較制御部10は、読取り手段4から情報信号が入力されると、その入力した情報と対応する登録情報をメモリ部9から引き出し、この登録情報と入力情報とを比較して、不一致の場合に表示装置6に信号を出力するように構成する。」(第4欄第17行~第25行) [オ]「表示装置6は、制御装置5が情報の不一致を判断した場合に警備員等の関係者に通知するためのもので、警報器や、異常の生じた物品及びその位置を表示する表示器、又はその両者を組み合せたものが使用できる。」(第4欄第33行~36行) (エ)甲第5号証 甲第5号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「警報システム」に関して、次の事項が記載されている。 [ア]「【請求項4】前記信号が前記固有の周波数の搬送波に重畳された固有のコードであり、前記信号検知回路は受信されたコードと予め記憶された前記固有のコードとを比較し、前記受信されたコードが前記固有のコードとして検知できないとき、前記警報器を作動させるコード比較回路であることを特徴とする請求項1記載の警報システム。」 [イ]「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両による現金、貴重品等の輸送時に発生が懸念される輸送袋の盗難、車両の乗り逃げ時に異常事態の発生を知らせる警報システムに係り、特に、乗務員の判断、操作を介さず、異常時には自動的に警報が発せられる警報システムに関する。」 (オ)甲第6号証 甲第6号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、図面(特に、Fig.3参照)とともに、次の事項が記載されている。仮訳は、平成27年3月4日に請求人が提出した翻訳文を参照して当審で作成した。 [ア]第1欄第5行~第9行 (仮訳) 本発明は、一般家庭、事務室などのような特定領域へのドアまたはゲートウェイのロックを行い、そして当該特定領域内のセキュリティを維持する安全ロックシステムに関する。 [イ]第3欄第52行~第60行 (仮訳) カードの挿入とカードリーダー20からカードの引き出し終わりの時、カードデータが格納されたデータと一致していない場合、および電気錠10が駆動信号によって正常に操作されていない場合に、制御装置30により、カードリーダ20の表示領域24に赤ランプを点灯させるとか、スピーカまたはブザーを作動させる。 (カ)甲第7号証 甲第7号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、図面(特に、Fig.9参照)とともに、次の事項が記載されている。仮訳は、平成27年3月4日に請求人が提出した翻訳文を参照して当審で作成した。 [ア]第1欄第4行~第8行 (仮訳) 本発明は、許可された個人の一つ以上のドアを通るアクセスの制御を可能にするセキュリティシステムに関し、特にそれがエントリの時間と個人の識別を記録することが望まれるアプリケーションに関する。 [イ]第9欄第74行~第10欄第1行 (仮訳) ステップGで、もし信号が有効でないと判定されれば、判定ステップHで、プログラムは、ステップH.A.の処理に切り替わる。そこでは不正エントリがメモリの監視ログ部に記録される。赤色光がステップH.B.で点滅する。 (キ)甲第8号証 甲第8号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「カードリーダ式の防犯警備システム及びそのシステムに用いる操作設定装置」に関して、図面(特に、図11参照)とともに、次の事項が記載されている。 [ア]「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、集合住宅や、ビルなどのエントランスに設置され、予め割当られた警備区域に設置された防犯システムを、カードリーダを用いた遠隔操作によって警備状態にしたり、警備解除の状態に設定できるようにした防犯警備システムと、このシステムに使用される防犯警備操作設定装置に関する。」 [イ]「【0026】 次に、本発明の防犯警備システムにおける防犯警備操作設定装置Aの制御動作をより具体的に説明する。図11のステップ200~213は、テンキー11を操作して暗証コードを入力させた遠隔制御を行なう場合の基本的動作手順を示したもので、カード5をカードリーダ1に読み込ませて、そのIDコードの登録を確認する(ステップ200~201参照)。信号処理部2においてIDコードの登録が確認された後は、暗証コードの入力指示ランプ1dが点灯して暗証コードの入力を促させ、テンキー11を操作して暗証コードを入力されると、入力した暗証コードが登録されている場合には、信号処理部2は、カード5内に記憶されたIDコードによって予め割当られた防犯システムCの現在の状態を判別して、警備の設定と解除動作を反転制御する。すなわち、防犯システムCの現在の状態が警備状態、つまり警戒中であれば、警備解除の状態にセットし、逆に解除状態であれば警備状態、つまり警戒の状態にセットする。 かくして、警戒セット、解除セットの状態に制御されると、それぞれの状態を音声メッセージにより報知して制御を終了させる(ステップ202~208参照)が、カードリーダ1によって読み込まれたカードが正しいものでない場合には、NG灯が2秒間点灯して異常を知らせ、誤ったカードの読込に対しては、以後3回目まで同様なNG灯を点灯させ、4回目に至るとアラームを10秒間鳴動させて異常を報知する(ステップ211~213参照)。また、一方、カードリーダ1に読み取らせたカード5のIDコードが正しいものであって、テンキー11を操作して入力された暗証コードに誤りがある場合には、テンキー11を操作して暗証コードを入力する毎に、エラー音を出力させ、カード5の入力操作から20秒以内に再度テンキーを操作したときには、再びテンキー11の操作による暗証コードの入力を許容するが、20秒経過したときには、制御を終了する(ステップ202,203,209~210参照)~。」 (ク)甲第9号証 甲第9号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、図面(特に、Fig.1参照)とともに、次の事項が記載されている。仮訳は、平成27年3月4日に請求人が提出した翻訳文を参照して当審で作成した。 [ア]第1欄第3行~第8行 (仮訳) このアプリケーションは、自動車などの電気的に制御され、または操作される装置のための制御システムの技術に関する。本発明は、自動車、トラック、および他の自動車の盗難防止システムにおいて、特定の用途があり、特にそれを参照して説明する。」 [イ]第4欄第46行~第48行 (仮訳) 無許可の問い合わせが試みられたとき、更にサイレンとかフラッシングライトのようなアラームを出すことが望ましい。 (ケ)甲第10号証 甲第10号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「セキュリティ装置」に関して、次の事項が記載されている。 [ア]「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はセキュリティ装置に係り、とくにオーディオ装置、TV装置、ビデオ装置など各種エンターテイメント機器の設置された車両や家庭等を対象とするリモコン式のセキュリティ装置に関する。」 [イ]「【0038】 なお、上記した実施例ではアンチセフトオン状態になっても特に表示はされないが、表示部にアンチセフトオン中の表示を行って賊に対するアピールを行い、セットの盗み出し意欲を削ぐようにしても良い。また、カーオーディオ装置に警報音信号発生部を設けて出力側をアンプの入力側と接続するとともに該警報音信号発生部とアンプを+B電源で給電し、アンチセフトオフ指令のIDコードがプログラマブルROMに登録されたIDコード一致しなかったとき、システムコントローラの警報制御で警報音信号発生部に警報音信号を発生させて、スピーカから警報音を出力させるようにしたり、アーム状態のときに異常が発生したときカーセキュリティ装置本体側から警報信号をカーオーディオ装置側のシステムコントローラへ出力し、システムコントローラの警報制御で警報音を発生させるようにしてもよい。」 (コ)甲第11号証 甲第11号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、「電子監視システム」に関して、図面(特に、FIG.1、FIG.3、FIG.4、FIG.5、FIG.6(a)、FIG.8、FIG.10、FIG.16、FIG.17参照。)とともに、次の事項が記載されている。 [ア]「産業上の分野 本発明は一般に窃盗防止に関し、更に詳細には物品に取付けられた受信装置と監視制御装置との間の通信を伴う型式の電子物品監視に関する。また本発明は関連した在庫および価格制御系および方法を有する電子物品監視(EAS)システムにも関する。」(3ページ左欄27行~33行) [イ]「本発明はまた、物品小売り施設において使用するために、EASメツセージと物品の価格付けおよび識別に関連した他のメツセージとから成る入射エネルギに応答し且つかかるEASメツセージに応答しかかる価格付けおよび物品識別データを受信し、記憶し発行するための回路構成を含む型式のEAS付け札と、付け札入射エネルギの形態をなすかかるEASおよび他のメツセージを送信するためのメツセージ発生装置と、付け札に尋問してかかる記憶された価格付けおよび識別データのかかる付け札からの発行を生ぜしめるための装置とを組合わせて提供するものである。」(4ページ右欄31行~42行) [ウ]「第1図において、設備10は取付けユニツト14a付きの着付け室14を両側に有する陳列領域12と、出納係、包装用デスクおよび関連した送信機ユニツト16a,16bを有する勘定所16と、送信機および受信機ユニツト18a,18bを有する出口領域18とを含む小売り施設である。付け札は20において三角形で示され、オーデイオ感知装置は種々の個所に円22により示されている。付け札20が好ましいように送信能力を有する場合には、各送信機は送信機能と受信機能の双方を有する送受信機として構成される。」(5ページ左欄26行~36行) [エ]「出口送信機ユニツト18aの出口発生器62は出口尋問メツセージを含む信号を線路64を経て出口送信機66に搬送するために常時作動可能である。」(5ページ右欄28行~31行) [オ]「第3図には携帯ユニツト74が示されている。そのスイツチ74aを閉成すると発生器76は終了メツセージを含む信号を携帯送信機78に印加する。」(5ページ右欄36行~39行) [カ]「受信機104の出力は線路114を経てメツセージデコーダ116に印加されるが、該メツセージデコーダは線路118および120を経てクロツクパルスを受取る。この受信機はまた受信され解読された尋問メツセージの指示を線路122を経て再送信シーケンス106に出力する。受信機104から制御装置90へは出力線路124aないし124fが延びており、これにより制御装置は受信され解読されたメツセージについて知らされる。」(6ページ左欄20行~29行) [キ]「制御装置90の入力および出力信号は第5図において信号の種類および第4図からのその発生系統のそのままの表示をもつて集められる。制御装置90への左側入力に示される解読されたメツセージは培動的包装(当審注:「能動的包装」の誤記)、オーデイオ包装、受動的包装、出口、保管および終了の各信号を含む。制御装置90への頂部入力にはピン開/閉および攻撃信号が示されている。制御装置90の右にはオーデイオ出力用の3つの異なる信号、即ち、警報オン/オフ、窃盗警告および照合警告信号が示されている。」(6ページ右欄3行~13行) [ク]「制御装置90の実行について第6図ないし第9図のフローチヤートに関連して論ずる」(6ページ右欄20行~21行) [ケ]「着用状態では、付け札警報および再送信は共にオフしている。線162,164,168および170で示すごとく、4つの質問通路がこの接合点で循環し、そのうちの第1のものはステツプ172-出口尋問は受けられたか-で開始される。出口尋問(メツセージ)が付け札によつて受けられている場合には、プログラムはステツプ174-出口へ行け-を介して下記の第8図の出口サブルーチンへ進む。」(6ページ右欄42行~7ページ左欄6行、FIG.6(a)) [コ]「第8図の出口サブルーチンにはステツプ254-警報オン、再送信オフ-で入る。この付け札状態はステツプ262の質問-終了警報尋問は受取られたか-が満足されるまで継続する。この質問への答えが肯定であれば、ステツプ260-付け札を着用状態にする-へ進む。」(8ページ11行~16行、FIG.8) [サ]「第10a図は12個のスロツトT1~T12から成る時間スケールを示し、これら12個のスロツトの各々は0.405ミリ秒を占め、総時間スケールは4.86ミリ秒である。第10b図には、デジタル構成101011001101から成る、能動的包装勘定モード用のメツセージを含むシステム信号送信が示されている。“1”指定の各時間スロツト内では、16サイクルのキヤリヤが送信され、例えば各サイクルが39.5キロヘルツで、“0”指定の各時間スロツト内では、キヤリヤは送信されない。時間スロツトT1~T7は送信される信号の前節、即ち付け札の受取人が送信される信号のメツセージを考慮するに先立つて識別せねばならないパターン(1010110)に供せられる。時間スロツトT8~T12は5つのスロツトから成り、その中で付け札に伝達すべき種々のメツセージまたは指令用語は時間スロツトの順列的使用により定められる。従つて能動的包装尋問または信号のためのメツセージ・パターンは第10b図と同様に01101である。オーデイオ包装信号のためのメツセージ・パターンは第10c図と同様に01011である。受動的包装信号のためのメツセージ・パターンは第10d図と同様に10100である。出口信号のためのメツセージ・パターンは第10eと同様に01010である。保管信号のためのメツセージ・パターンは第10f図と同様に10010である。終了警報信号のためのメツセージ・パターンは第10g図と同様に10011である。取付け信号のためのメツセージ・パターンは第10h図と同様に10101である。第10i図は例えば前節PR(preamble)と付け札へのシステム送信の指令用語IW(iustruction word)との間の分離を示す。」(8ページ左欄26行~右欄13行) [シ]「本発明は一面において、設備内で監視されるべき物品に解除可能に取付け可能な警報付け札を採用する型式の電子監視システムであつて、付け札用のそれぞれ異なるメツセージを含む信号を放射するための送信手段と、付け札を物品に解除可能に取り付けその取付け状態の出力表示を与えるための取付け手段を各々有する複数の警報付け札と、前記放射された信号を受信し且つその中に含まれるメツセージを解読するための受信手段と、取付け手段と受信手段とに接続され取付け手段の被表示状態と前記解読されたメツセージとに応答して出力警報表示を選択的に発生する付け札制御手段とから成る電子監視システムを提供するものである。 該設備は物品勘定所領域および出口領域を含んでよく、送信手段は異なるメツセージのうちの異なるものを含む信号の放射のためのそれぞれの勘定所および出口領域アンテナを含む。 付け札制御手段は出口領域アンテナにより放射された信号を受信すると無条件に出力警報表示を発生しうる。同様に、付け札制御手段は消費者が陳列領域内の取付け手段に働きかけている下で取付け手段の開放状態と同時に無条件に出力警報表示を発生しうる。また付け札制御手段は取付け手段の解放状態およびそれと同時的な、勘定所領域アンテナにより放射される信号の受信と同時に無条件に出力警報表示を発生しうる。 しかし、付け札制御手段は更に、取付け手段の状態に応答して出力警報表示を発生するに先立つて勘定所領域アンテナにより放射される信号の受信に続く所定の期間の終結を待つようにも作動しうる。 送信手段により放射される信号の一つは付け札出力警報表示の終了を示すメツセージを含んでよく、付け札制御手段はかかる終了メツセージ信号の受信と同時に作動して出力警報表示を中止させることができる。」(9ページ左欄下から2行~右欄35行) [ス]「第16図において、本発明の合成支持システム300は、図示したごとく線路312,314,316,317および318により相互接続された受信機/送信機(RX/TX)ユニツト304、EAS回路306、価格および物品同定(ID)回路308および表示ユニツト310を有するEAS付け札系302を含む。 EAS付け札302は形態的には選択的に与えられており、監視が望まれる物品に解除可能に取付け可能であり、開けると識別可能な電気的回路変化を生じる当業界公知の安全ピン式構体等の取付け装置を含んでよい。 第16図のシステムの他の構成素子としては、線路路322(当審注:「線路322」の誤記)により送信機324に接続されたEASメツセージ発生器320、線路334により受信機330に接続された勘定合計機ユニツト326、および線路334により受信機330に接続された在庫制御ユニツト332がある。 総合的組織において、複数のEAS付け札302はシステム300の残余と協力的な支持をなしており、送信機324の入射エネルギ送信を受信し且つ受信機330に出力送信を与える。付け札系302は第1図~第15図に関連して上述したEASメツセージ受取り兼処理系を更に含む。 EAS付け札302の好ましいシステム解釈を第17図に示す。RX/TXユニツト304はその出力(受信された)信号を線路312および314を経て第16図のEAS回路306の残余に出力を与えるメツセージ・デコーダ344に、またそれぞれ線路317aおよび317bを経て第16図の価格および物品同定回路308の構成素子である包装メツセージ検出器348および付け札貯蔵入力/アツプデート検出器350に供給する。 包装メツセージ検出器348は線路352上で一方の入力を一致検出器354に与え、他方の入力は線路356上で与えるが、これはEAS付け札取付け装置の状態を示す信号である。 付け札系のRAM(ランダム・アクセス・メモリ)インタフエース358は線路360上では一致検出器354の出力と共に供され、線路362上では付け札貯蔵入力/アツプデート検出器350の出力と共に供される。 各付け札系は物品識別(ID)RAM364と価格RAM366を含む。RAM364は線路368を経てインタフエース358と通じ、RAM366は線路370を経てインタフエース358と通じている。インタフエース358は線路312および316を経てRX/TXユニツト304に接続されている。表示ユニツト310は線路318aを経ての価格RAM366からの入力およびそれと同時的な、線路318bを経てのインタフエース358からの入力と同時に価格RAM366に記憶された価格を表示するように作動する。 第16図のシステム、特に第17図の付け札系において、かかる好ましい図示形態では、一方の動作モードは付け札系物品価格読出しのそれである。 発生器320はこのモード用の前節とそれに続く物品識別および価格を有する信号を線路322に印加し、送信機324は該信号をかかる物品に割当てるべき1つまたはそれ以上のEAS付け札に印加する。 受信された信号は付け札RX/TU304によりメツセージ・デコーダ344に印加され、このデコーダは受取つたすべてのメツセージを線路317aを経て包装メツセージ検出器348に印加する。 第10図に示したごとく、EASメツセージは前節とそれに続くメツセージの性質を示す5ビツトのパターンとを有し、このパターンはいくつかの包装(勘定)メツセージを識別するものである。かかるメツセージ受領の表示は線路352上で与えられる。物品勘定の過程で、勘定係は付け札取付けピンを開いて付け札を物品から取外す。この時、一致検出器354は線路360上に出力を発生し、それに応答してRAMインタフエース358が物品識別コード信号をRAM364から、また物品価格信号をRAM366から検索してこれを線路312および316を経てRX/TX304から自身に割当てられた前節を識別し受取つた信号中の価格および物品識別を検出するように構成された受信機330へ印加し、そこからこのデータは第16図のユニツト326および332へ送られる。 もう1つの動作モードにおいては、第17図の付け札系は付け札RAM364および366に情報を入力するように機能する。このモードでは、第16図の発生器320は作動して貯蔵に割当てられた前節をユニツト324から送信し物品識別および価格付けデータに伴つて与えられた物品または物品群の価格をアツプデートする。かかる送信を受ける付け札はそれを線路317bを経てメツセージ・デコーダ344から付け札貯蔵入力/アツプデート検出器350へ供給される。検出器350はそれをRAMインタフエース358に知らせ、次いでRAMインタフエース358は受取つた物品識別および価格付けデータを記憶および前述した付け札系物品価格読出しモードでの発行のためにRAM364および366に供給する。 液晶表示装置(LCD)でよい表示装置310は線路318aを経てRAM366から記憶された価格データを受取りこれをアツプデート時または価格データ初期記憶前を除いては絶えず供給されるRAMインタフエース358からの線路318b上の信号に応答して表示する。 第16図および第17図の合成システムを支持するEASシステムおよびその付け札系は好ましくは上記価格および物品識別メツセージを収容するためにメツセージ受信および検出と送信において拡張された第1図~第15図のそれである。」(10ページ左欄23行~11ページ右欄1行) [セ]甲第11号証の付け札は「放射された信号を受信し且つその中に含まれるメツセージを解読するための受信手段」([シ])を有するものであり、「受信機104の出力は線路114を経てメツセージデコーダ116に印加され・・・受信機104から制御装置90へは出力線路124aないし124fが延びており、これにより制御装置は受信され解読されたメツセージについて知らされ」([カ]、FIG.4)、放射された信号には、能動的包装、オーデイオ包装、受動的包装、出口、保管および終了のメッセージを含む各信号が含まれる([キ]、[サ]、FIG.5、FIG.10)ことからみて、甲第11号証には、次の事項が記載されている(以下「甲第11号証に記載された事項1」という。) 「それぞれ異なるメツセージを含む信号を受信し、受信機104が受信した出口メッセージを含む信号及び終了メッセージを含む信号を解読するメッセージデコーダ116を備える付け札。」 [ソ]上記[ス]の「物品識別(ID)RAM364」との記載、同「発生器320はこのモード用の前節とそれに続く物品識別および価格を有する信号を線路322に印加し、送信機324は該信号をかかる物品に割当てるべき1つまたはそれ以上のEAS付け札に印加する。」との記載、同「RAMインタフエース358が物品識別コード信号をRAM364から、また物品価格信号をRAM366から検索し」との記載、同「もう1つの動作モードにおいては、第17図の付け札系は付け札RAM364および366に情報を入力するように機能する。このモードでは、第16図の発生器320は作動して貯蔵に割当てられた前節をユニツト324から送信し物品識別および価格付けデータに伴つて与えられた物品または物品群の価格をアツプデートする。」との記載、及び同「RAMインタフエース358は受取つた物品識別および価格付けデータを記憶および前述した付け札系物品価格読出しモードでの発行のためにRAM364および366に供給する。」との記載からみて、甲第11号証には、「もう1つの動作モード」で「RAM364および366に情報を入力する」場合に関して、次の事項が記載されている(以下「甲第11号証に記載された事項2」という。)。 「物品識別RAM364は、受信機/送信機(RX/TX)ユニット304が受信する、貯蔵に割当てられた前節とそれに続く物品識別および価格を有する信号により、その記憶内容を、アップデートする物品識別コードとする付け札。」 [タ]また、甲第11号証の送信機324から送信される「前節とそれに続く物品識別および価格を有する信号」は0又は1からなる信号であり、付け札が付される物品の種類が多数であることが明らかであるから、EASメッセージ発生器320は、物品の種類に応じて、上記信号の物品識別及び価格を設定する設定手段を有すると解される。 それを踏まえ、上記[ス]及び[ソ]を総合すると、甲第11号証には、「もう1つの動作モード」で「RAM364および366に情報を入力する」場合に関して、次の事項が記載されている(以下「甲第11号証に記載された事項3」という。)。 「付け札が備える物品識別RAM364が記憶すべきアップデートする物品識別コードを設定する設定手段と、付け札が備える受信機/送信機(RX/TX)ユニット304が受信すべき貯蔵に割当てられた前節とそれに続く物品識別および価格を有する信号を、前記設定手段が設定した前記物品識別コードを含めて発信する送信機324とを備えるEASメッセージ発生器320及び送信機324。」 (サ)甲第12号証 甲第12号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、図面(特に、FIG.1ないしFIG.17参照)とともに、次の事項が記載されている。仮訳は、平成27年3月4日に請求人が提出した翻訳文を参照して当審で作成した。 [ア]第1欄第4行~第8行 (仮訳) 本発明は、物品の商業施設における在庫、価格制御に関するものであり、更に特定すると電子商品管理(EAS)システム及び在庫管理、価格管理システム及び方法に関係する。 [イ]第3欄第16行~第4欄第60行 (仮訳) 第16図において、本発明の合成支持システム300は、図示したごとく線路312,314,316,317および318により相互接続された受信機/送信機(RX/TX)ユニツト304、EAS回路306、価格および物品識別(ID)回路308および表示ユニツト310を有するEAS付け札(Tag)システム302を含む。 EAS付け札(Tag)302は形態的には選択的に与えられており、監視が望まれる物品に解除可能に取付け可能であり、取り外すと識別可能な電気的回路変化を生じる当業界公知の安全ピン式構造等の取付け装置を含んでよい。 第16図のシステムの他の構成素子としては、線路322により送信機324に接続されたEASメツセージ発生器320、線路334により受信機330に接続された勘定合計機ユニツト326、および線路334により受信機330に接続された在庫制御ユニツト332がある。 統合的組織において、複数のEAS付け札(Tag)302はシステム300の残余と協力的な支持をなしており、送信機324の入射エネルギ送信を受信し且つ受信機330に出力送信を与える。付け札系(タグシステム)302は第1図~第15図に関連して以下に述べるEASメツセージ受取り兼処理系を更に含む。 EAS付け札302の好ましいシステム解釈を第17図に示す。RX/TXユニツト304はその出力(受信された)信号を線路312および314を経て第16図のEAS回路306の残余に出力を与えるメツセージ・デコーダ344に、またそれぞれ線路317aおよび317bを経て第16図の価格および物品ID回路308の構成要素である包装メツセージ検出器348および付け札貯蔵入力/アツプデート検出器350に供給する。 包装メツセージ検出器348は線路352上で一方の入力を一致検出器354に与え、他方の入力は線路356上で与えるが、これはEAS付け札取付け装置の状態を示す信号である。 付け札系のRAM(ランダム・アクセス・メモリ)インタフエース358は線路360上では一致検出器354の出力と共に供され、線路362上では付け札貯蔵入力/アツプデート検出器350の出力と共に供される。 各付け札系(Tag system)は物品識別(ID)RAM364と価格RAM366を含む。物品識別(ID)RAM364は線路368を経てインタフエース358と通じ、価格RAM366は線路370を経てインタフエース358と通じている。インタフエース358は線路312および316を経てRX/TXユニツト304に接続されている。表示ユニツト310は線路318aを経ての価格RAM366からの入力およびそれと同時的な、線路318bを経てのインタフエース358からの入力と同時に価格RAM366に記憶された価格を表示するように作動する。 第16図のシステム、特に第17図の付け札系において、かかる好ましい図示形態では、一方の動作モードは付け札系物品価格読出しのそれである。 発生器320はこのモード用のプリアンブルとそれに続く物品識別(ID)および価格を有する信号を線路322に印加し、送信機324は該信号をかかる物品に割当てるべき1つまたはそれ以上のEAS付け札に印加する。 受信された信号は付け札RX/TX304によりメツセージ・デコーダ344に印加され、このデコーダは受取ったすべてのメツセージを線路317aを経て包装メツセージ検出器348に印加する。 第10図に示したごとく、EASメツセージはプリアンブルとそれに続くメツセージの性質を示す5ビットのパターンを有し、このパターンはいくつかの包装(勘定)メツセージを識別するものである。かかるメツセージ受領の表示は線路352上で与えられる。物品勘定の過程で、勘定係は付け札取付けピンを開いて付け札を物品から取外す。この時、一致検出器354は線路360上に出力を発生し、それに応答してRAMインタフエース358が物品識別(ID)コード信号をRAM364から、また物品価格信号をRAM366から検索してこれを線路312および316を経てRX/TX304から自身に割当てられたプリアンブルを識別し受取った信号中の価格および物品識別を検出するように構成された受信機330へ印加し、そこからこのデータは第16図のユニツト326および332へ送られる。 もう1つの動作モードにおいては、第17図の付け札系は付け札RAM364および366に情報を入力するように機能する。このモードでは、第16図の発生器320は作動して貯蔵に割当てられたプリアンブルをユニツト324から送信し物品識別および価格付けデータに伴って与えられた物品または物品群の価格をアツプデートする。かかる送信を受ける付け札はそれを線路317bを経てメツセージ・デコーダ344から付け札貯蔵入力/アツプデート検出器350へ供給される。検出器350はそれをRAMインタフエース358に知らせ、次いでRAMインタフエース358は受取った物品識別及び価格付けデータを記憶および前述した付け札系物品価格読み出しモードでの発行のためにRAM364および366に供給する。 液晶表示装置(LCD)でよい表示装置310は線路318aを経てRAM366から記憶された価格データを受取りこれをアツプデート時または価格データ初期化記憶前を除いては絶えず供給されるRAMインタフエース358からの線路318b上の信号に応答して表示する。 第16図および第17図の合成システムを支持するEASシステムおよびその付け札系は好ましくは上記価格および物品識別メツセージを収容するためにメツセージ受信および検出と送信において拡張された第1図~第15図のそれである。 第1図において、設備10は取付けユニツト14a付きの着付け室14を両側に有する陳列領域12と、出納係、包装用デスクおよび関連した送信機ユニツト16a,16bを有する勘定所16と、送信機および受信機ユニツト18a、18bを有する出口領域18とを含む小売り施設である。付け札は20において三角形で示され、オーデイオ感知装置は種々の個所に円22により示されている。付け札20が好ましいように送信能力を有する場合には、各送信機は送信機能と受信機能の双方を有する送受信機として構成される。 [ウ]第5欄第26行~第29行 (仮訳) 第3図には携帯ユニツト74が示されている。そのスイツチ74aを閉成すると発生器76は終了メツセージを含む信号を携帯送信機78に印加する。 (シ)甲第13号証 甲第13号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、図面(特に、FIG.1、FIG.2、FIG.6、FIG.7、FIG.9参照)とともに、次の事項が記載されている。仮訳は、平成27年3月4日に請求人が提出した翻訳文を参照して当審で作成した。 [ア]2欄47行~3欄6行 (仮訳) 発明の要旨 本発明は、1つ以上のポータブルユニットと1つのベースユニットを含むリモコンシステムである。各ポータブルユニットは、少なくとも1つの制御入力と、対応する識別コードのメモリを含む。リモコンシステムが、リモートガレージドアオペレータとして使用される好適な実施形態では、制御入力は手動の接触制御プッシュ・ボタンがある。特定の制御入力が入力されると、ポータブルユニットは、制御入力に対応する識別コードをメモリから読み出し、識別コードにより変調された無線周波数信号を送信する。ベースユニットは、同様に、特定の識別コードを格納するための識別コード・メモリを有する。ベースユニットは、好ましくは、ユーザーが特定の識別コードを指定することを可能にするいくつかの方法を含む。 ベースユニットは、ポータブルユニットによって送信される無線周波数信号を受信するように設定された無線周波数受信機を含む。ベースユニットは、ベースユニット内の識別コード・メモリに記憶された識別コードと受信された無線周波数信号に変調された識別コードとを比較する。ベースユニットは、例えばガレージドアのコントロールとして、受信された無線周波数信号がベースユニットに記憶された識別コードと同一の識別符号で符号化されている場合のみ機能を実行する。 [イ]5欄14行~33行 (仮訳) 図1は、本発明の好ましい実施形態による、複数のポータブルユニット200と単一のベースユニット700を含む、遠隔制御システムを示す。各携帯装置200は、4つの制御ボタン(201、202、203及び204)を含む。これらのコントロールボタンの各々は、好ましくは、瞬時接触押しボタンスイッチである。・・・また、無線周波数リモコン制御信号の送信のための隠されたアンテナも、図1に示されていない。このアンテナは公知技術により、ポータブルユニット200に含まれる。 ベースユニット700は、ポータブルユニット200のよって送信された無線周波数信号に応答する。これらの無線周波数信号は、アンテナ701を通して、ベースユニットで受信される。 [ウ]6欄3行~4行 (仮訳) 図2は、ポータブルユニット200の好ましい実施形態をブロック図形式で示す。 [エ]6欄30行~35行 (仮訳) 本発明の好ましい実施形態によれば、識別コード揮発性メモリ212は、無線周波数送信により、ポータブルユニット200によって使用されうる4bitマルチビット識別コードを記憶することができる。 [オ]13欄1行~5行 (仮訳) 図6は、論理シーケンスチャート形式のシリアルデータ伝送論理シーケンス311を示す。シリアルデータ送信ロジックシーケンス311は、ベースユニット700の制御のための特定のコードで変調された無線周波数信号の送信を引き起こす。 [カ]13欄39行~60行 (仮訳) 単一のコントロールボタンが押された場合、シリアルデータ転送ロジックシーケンス311は、この単一の制御ボタンに対応する識別コード・メモリがリセットされたか否かを判断する(決定ブロック609)テストを実行する。そうでない場合には、識別コードは、押下げられた特定の制御ボタン201、202、203または204に対応してたメモリに記憶された識別コードに等しい設定される(処理ブロック610)とともに、チャネル番号はチャネル1(処理ブロック611)に等しく設定される。押された単一のコントロールボタンの対応するメモリがリセットされた場合には、識別コードはメモリA(処理ブロック612)に記憶された識別コードに等しく設定され、チャネルは、上記デジタル識別に応じて、押下げられた特定の制御ボタンに対応して設定される(処理ブロック613)。 識別コード及びチャネルが設定されるにかかわらず、送信機240によって生成される出力は、この識別コードとチャネル番号の連結したものに相当する(処理ブロック614)。 [キ]14欄30行~32行 (仮訳) 無線周波数送信機240は、アンテナ241を介して、このように変調された無線周波数信号を送信する。 [ク]15欄24行~32行 (仮訳) ポータブルユニット200の1つから受信した無線周波数信号は、アンテナ701を介して受信し、周波数受信機714に結合される。受信された信号は、次に復調器715に供給され、使用される特定の変調技術に従って、受信された無線周波数信号に変調された識別コードに対応する識別コードを生成する。この識別コードは、中央処理装置711に供給される。 [ケ]16欄10行~12行 図8、図9、図10及び図11は共に、ベースユニット700の中央処理装置711を制御するための制御プログラムを説明する。 [コ]16欄57行~17欄51行 (仮訳) 図9は、無線周波数信号のサブルーチン802を示す。無線周波数信号サブルーチン802は、開始ブロック901を介して開始される。このサブルーチンの最初のテストでは、復調器715により復調された受信無線周波数信号の識別コードが、識別コード不揮発性メモリ712に格納されたベースユニット識別コードと一致するか否か(決定ブロック902)を判断する。そうでない場合、ベースユニット700はなんのアクションも取らなく、無線周波数信号サブルーチン802は、戻りブロック903を介して終了される。これは、図8に示す試験ループに制御を戻す。 受信された無線周波数信号がベースユニット識別コードと一致する識別コードを有している場合には、無線周波数信号サブルーチン802は受信された無線周波数信号のチャネル数に応じてアクションを実行する。無線周波数信号サブルーチン802は、受信された信号がチャネル番号1を含むか否か(決定ブロック904)を判断するテストを実施する。受信信号はチャネル番号1を示す場合には、無線周波数信号のサブルーチン802は、チャネル1機能(処理ブロック905)を活性化する。・・・ チャネル番号は、チャネル1でない場合には、無線周波数信号のサブルーチン802は、受信された信号がチャネル番号2を含むか否か(決定ブロック907)を判断するテストを実施する。受信信号が、チャネル番号2を含んでいる場合、無線周波数信号のサブルーチン802は、中央処理装置711によりチャネル2機能(処理ブロック908)を活性化させ、・・・もしチャネル番号14 (決定ブロック943)を受信した場合、チャネル番号14機能(処理ブロック944)が実行され、サブルーチン802は戻りブロック945を介して終了する。チャネル番号14が示されていない場合に、チャネル番号は、チャネル番号15だったにちがいない。この場合、チャネル番号15の機能が(処理ブロック946)実行され、その後、無線周波数信号のサブルーチン802は、戻りブロック947を介して終了する。 (ス)甲第14号証 甲第14号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、次の事項が記載されている。仮訳は、請求人が平成27年10月21日付けで提出した上申書に添付した翻訳文による。 [ア] (仮訳) [イ] (仮訳) (セ)甲第15号証 甲第15号証は、本件出願の出願前に頒布された刊行物であり、次の事項が記載されている。 [ア] [イ] ウ 本件訂正発明8について (ア)対比 本件訂正発明8と甲2発明2とを対比すると、後者の「商品の一部を介してピン4をソケット5に挿入したときにONとなり、ピン4をソケット5から外したときにOFFとなるリミットスイッチ52」は前者の「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段」に相当し、以下同様に、「電波送出パネル22が送出する所定の周波数の電波を受信するアンテナ51」は「非接触で信号を受信する受信手段」に、「前記リミットスイッチ52がOFFになったと判定してフラッグをONに設定したとき」は「前記検出手段が取り外し状態を検出したとき」に、「所定の周波数の電波」は「所定信号」に、「前記所定の周波数の電波を受信してフラッグをONに設定したとき」は「所定信号を受信したとき」に、「フラッグがONに設定されている限り警報音を連続的に発音させる警報音発生器53」は「警報を出力する警報出力手段」に、「タグ1」は「盗難防止タグ」に、「電波送出パネル22」は「発信装置」に、「コード信号出力ユニット」は「指示信号発信装置」に、「検知装置」は「盗難防止装置」にそれぞれ相当する。 後者の「リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際」は前者の「警報出力手段が作動可能である状態」に、後者の「警報音の連続的な発音」は前者の「警報出力状態」にそれぞれ相当するから、後者の「リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際に」「タグ1の警報動作を解除させ」ることは前者の「警報出力手段が作動可能である状態」「の解除を指示する」ことに相当し、同「警報音の連続的な発音を停止させる」ことは同「警報出力状態の解除を指示する」ことに相当する。 後者の「前記警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させるCPU55」は前者の「前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段」に相当する。 前者の「暗号コード」及び「解除指示信号」は、本件特許明細書の段落【0072】及び段落【0073】の記載並びに図6及び図7の図示内容によれば、0又は1で構成されたデータビットであるから、前者の「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とは、解除指示信号が暗号コードをデータビットとして一部に含んでいることを意味する。 他方、後者の「コード信号」は、「コード信号をタグ1に受信したと判定したとき、フラッグのOFFを確認し及びフラッグをOFFに設定して、前記警報動作を解除させ」るとともに、「設定機能によって所望のコード信号に設定でき」るため、「各店毎に、それぞれのコード信号を設定」し(甲第2号証の段落【0036】)、「予め定められた信号のみによって警報動作が解除されるので、盗難防止効果を十分に期待することができる」(同段落【0057】)ものである。 そうすると、後者の「コード信号」は前者の「暗号コード」に相当するとともに、前者の「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とは「解除指示信号」という限りで共通する。 そして、後者の「コード信号を受信する」ことと前者の「複数の指示信号を受信する」こととは、「指示信号を受信する」という限りで共通し、後者の「付設されたアンテナ」はタグ1に付設されたものであるから、後者の「付設されたアンテナは、リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際にタグ1の警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させる、前記コード信号を受信可能とする」ことと前者の「前記受信手段は、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号を受信することを可能とする」こととは、「盗難防止タグは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、解除指示信号を受信することを可能とする」という限りで共通する。 後者は、「前記コード信号は設定機能によって所望のコード信号に設定でき」るものであるから、タグ1がコード信号を予め記憶する記憶手段を備えることは明らかである。 また、後者は、CPU55が「前記コード信号をタグ1に受信したと判定」するものであるから、受信したコード信号及び上記記憶手段が記憶するコード信号が一致するか否かを判定する一致判定手段を備えることも明らかである。 そうすると、後者の「前記コード信号をタグ1に受信したと判定したとき」と前者の「解除指示信号に含まれる暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したとき」とは、「暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したとき」という限りで共通する。 したがって、両者は、 「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段と、非接触で信号を受信する受信手段と、前記検出手段が取り外し状態を検出したとき及び前記受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えた指示信号を受信する盗難防止タグにおいて、 盗難防止タグは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、解除指示信号を受信することを可能とする一方、 暗号コードを予め記憶する暗号記憶手段と、暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したときは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段とを備える盗難防止タグと、盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき所定信号を発信する発信装置と、指示信号発信装置とを備える盗難防止装置。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点1〕 前者では、解除指示信号は所定信号を受信する「受信手段」が受信するのに対し、 後者では、コード信号は所定の周波数の電波を受信するアンテナ51が受信するものではなく、「付設されたアンテナ」が受信するものである点。 〔相違点2〕 前者では、盗難防止タグが「複数の指示信号を受信」し、「前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する識別手段」を備え、解除指示信号が「暗号コードを一部に含」み、一致判定手段が「前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる」暗号コードが一致するか否かを判定するのに対し、 後者では、タグ1が「コード信号を受信」し、「前記アンテナ51が前記所定の周波数の電波を受信したと判定し及び前記付設されたアンテナが前記コード信号を受信したと判定するCPU55」を備える点。 〔相違点3〕 前者は、指示信号発信装置が「盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき解除指示信号に含めるための暗号コードを記憶する暗号記憶手段と、前記解除指示信号を、該暗号記憶手段が記憶する暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える」のに対し、 後者は、「コード信号出力ユニット」がかかる構成を備えていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、まず相違点2について検討する。 [ア]相違点2について 一次審決を取り消すとした平成29年10月3日言い渡しの判決(以下、「判決」という。)では、一次審決における「第4」の「2(5)ウ(イ)[イ]」について、 「エ 引用例3事項を適用した引用発明Aの構成 (ア)本件訂正発明8において,盗難防止タグは,警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除するに当たり,「一致判定手段が「前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる」暗号コードが一致するか否かを判定する」ものである。一致判定手段は,前記識別手段が解除指示信号を識別した後に,その解除指示信号に含まれる暗号コードと,暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定するから,識別手段による解除指示信号の識別に用いられるコードと,一致判定手段による暗号コードの一致判定に用いられるコードとは無関係なものということができる。 また,本件明細書に記載された実施例(【図7】)では,6ビット(D0ないしD5)のデータコード9種類のうち,データビットD0及びD1が「0,0」であるのは,リセットコード(解除指示信号)だけであるから,受信したデータコードがリセットコードであることは,データビットD0及びD1だけで識別することができる。そして,データコードD2ないしD5が,「暗号(0000~1111)」として用いられている。そうすると,実施例においても,リセットコードであることを示すデータコード「0,0」と,暗号である4桁のデータコードとは無関係なものとして記載されているということができる。 したがって,本件訂正発明8の盗難防止タグは,一致判定手段が,「前記解除指示信号」の一部に含まれる,解除指示信号の識別とは無関係な「暗号コード」と,記憶された暗号コードとの一致判定を行うものと認められる。 (イ) 一方,引用発明Aにおいて,タグ1は,警報動作を解除するに当たり,「コード信号」(警報動作を終了させる電波信号)の受信を判定する。そして,引用例3事項のメッセージデコーダ116は,受信した「それぞれ異なるメッセージを含む信号」から「終了メッセージを含む信号」(警報動作を終了させる電波信号)を解読するものである。したがって,引用例3事項を適用した引用発明Aにおいて,タグ1は,警報動作を解除するに当たり,受信した「コード信号」と,受信した「それぞれ異なるメッセージを含む信号」との解読を行う,すなわち,受信したコード信号と,記憶された「それぞれ異なるメッセージを含む信号」中の「コード信号」との一致判定を行うことになる。 (ウ) そうすると,警報動作を終了させるに当たり,本件訂正発明8の盗難防止タグは,解除信号の一部に含まれる,解除指示信号の識別とは無関係な「暗号コード」と,記憶された暗号コードとの一致判定を行うのに対し,引用例3事項を適用した引用発明Aのタグは,解除信号である「コード信号」と,記憶された「それぞれ異なるメッセージを含む信号」中の「コード信号」との一致判定を行うものである。 したがって,引用発明Aに引用例3事項を適用しても,相違点2に係る本件訂正発明8の構成に至らないというべきである。 オ 本件審決の判断について (ア)本件審決は,引用例3事項の「終了メッセージを含む信号」は,警報オフとする点において,「解除指示信号」と共通するとした上で,引用例3,甲5(米国特許第5148159号明細書。平成4年公開)及び甲6(「NEC MOS集積回路 μPD6121,6122データシート」NEC株式会社。平成7年公開)から,「信号が設定可能なコードを一部に含み,一致判定手段が前記信号に含まれる前記コードが一致するか否かを判定する」という周知技術(以下「審決認定周知技術」という。)が認められるから,引用例3事項を適用するに当たって,引用例3事項の「終了メッセージを含む信号」を,設定機能によって所望に設定できるコードを一部に含み,引用発明Aの一致判定手段において信号に含まれるコードが一致するか否かを判定するように構成することは,当業者にとって格別困難ではないと判断した。 (イ)本件審決は,引用発明Aに引用例3事項を適用するに当たり,周知技術を考慮して変更した引用例3事項を適用することによって,本件訂正発明8を容易に想到することができるとするものである。 しかしながら,前記エのとおり,引用発明Aに引用例3事項を適用しても,相違点2に係る本件訂正発明8の構成に至らないところ,さらに周知技術を考慮して引用例3事項を変更することには格別の努力が必要であるし,後記(ウ)のとおり,引用例3事項を適用するに当たり,これを変更する動機付けも認められない。主引用発明に副引用発明を適用するに当たり,当該副引用発明の構成を変更することは,通常容易なものではなく,仮にそのように容易想到性を判断する際には,副引用発明の構成を変更することの動機付けについて慎重に検討すべきであるから,本件審決の上記判断は,直ちに採用できるものではない。 (ウ) 引用例3事項の変更について a 引用発明A及び引用例3事項の内容 審決認定周知技術は,一致判定手段が,信号の一部に含まれるコードと,あらかじめ記憶されたコードとの一致判定を行うものであり,信号の具体的構成として,信号の一部に一致判定のためのコードが含まれるものである。 一方,引用発明Aが記載された引用例1には,「コード信号」の構成について,「なお,上記実施例では,コード信号を予め定められたものとして扱っているが,コード信号の設定機能をタグ1およびコード信号出力ユニット11にそれぞれ備付け,これらの設定機能によって所望のコード信号を設定できるようにしても構わない。この場合は,各店毎に,それぞれのコード信号を設定することができるので,防犯効果を更に期待することができる。」(【0036】)と記載されているにとどまる。引用例1には,「コード信号」(審決認定周知技術における「信号」に相当する。)の具体的な構成をどのようなものにするかについては記載も示唆もされていない。 また,引用例3には「終了警報信号のためのメッセージ・パターンは…10011である。」と記載され(8頁右欄7行~9行),「終了メッセージ」(審決認定周知技術における「信号」に相当する。)を変更することについての示唆はない。引用例3の付け札が,信号が送信されるごとに物品識別及び価格付けデータが変更されるものであったとしても(11頁左欄20行~34行),「終了メッセージ」を含む信号の一部に一致判定のためのコードを含むように構成を変更することと,物品識別及び価格付けデータを変更することとは,後者は一致判定のために使われるものではなく,その信号の意味が異なるから,後者の変更をもって,前者を変更することについて示唆があるということはできない。 このように,引用発明Aにも引用例3にも,審決認定周知技術を適用する示唆はないから,仮に審決認定周知技術が認められたとしても,引用発明Aに引用例3事項を適用するに当たり,審決認定周知技術を前提に,引用例3事項の構成を変更しようとは考えないというべきである。 b 引用発明A及び引用例3事項の目的効果 引用発明Aは,「コード信号は設定機能によって所望のコード信号に設定でき」るものである。これによって,引用発明Aは,「各店毎に,それぞれのコード信号を設定することができるので,防犯効果を更に期待することができる。」(【0036】),「予め定められた信号のみによって警報動作が解除されるので,盗難防止効果を十分に期待することができる」(【0057】)という効果を奏するものである。 そして,引用発明Aにおける所望のものに設定可能な「コード信号」について,審決認定周知技術のように,その一部に一致判定のためのコードを含ませることによって,さらに,何らかの効果が得られるかは不明である。前記1(3)に記載した本件各訂正発明が解決しようとする課題が,仮に周知であったとしても,引用発明Aのタグは,既に当該課題の解決手段を有するものである。 また,引用例3は,「電子物表監視システムにおける拡張された作動能力を提供すること」を目的とするものであり(4頁左欄28行~31行),引用例3事項の「終了メッセージを含む信号」における信号の構成を変更しても,この目的を達成することにはならない。 このように,引用発明A及び引用例3事項に,審決認定周知技術を適用しても,その目的とする効果が変わるものということはできないから,仮に審決認定周知技術が認められたとしても,引用発明Aに引用例3事項を適用するに当たり,審決認定周知技術を前提に,あえて引用例3事項の構成を変更しようとは考えないというべきである。 (エ) よって,仮に審決認定周知技術が認められたとしても,引用発明Aに引用例3事項を適用するに当たって,引用例3事項の「終了メッセージを含む信号」を,設定機能によって所望に設定できるコードを一部に含み,引用発明Aの一致判定手段において信号に含まれるコードが一致するか否かを判定するように構成することを,当業者は容易に想到することができるものとはいえない。」(判決の第31ページ第10行~第35ページ第17行)と判示されている。 なお、判決の引用発明Aは一次審決及び当審決の甲2発明2に相当し、以下同様に、引用例1は甲第2号証に、引用例3は甲11号証に、甲5は甲第13号証に、甲6は甲第14号証に、それぞれ相当する。 そして、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、一次審決を取り消した確定審決で示された裁判所の判断は、当審を拘束する。 したがって、甲2発明2に甲第11号証に記載された事項1を適用しても、相違点2に係る本件訂正発明8の構成には至らず、また、甲2発明2において、甲第11号証に記載された事項1を適用するに当たり、甲第11号証に記載された事項2、甲第13号証、甲第14号証に例示された「信号が設定可能なコードを一部に含み、一致判定手段が前記信号に含まれる前記コードが一致するか否かを判定すること」が周知技術であったとしても、甲第11号証に記載された事項1を変更することは容易ではないから、甲2発明2において、相違点2に係る本件訂正発明8の構成を備えるようにすることは、当業者には容易に想到し得たとはいえない。 また、甲第3号証ないし甲第10号証、甲第12号証及び甲第15号証にも、相違点2に係る本件訂正発明8の構成の記載及び示唆はない。 [イ]まとめ したがって、相違点2に係る本件訂正発明8の構成は容易に想到し得たものではないから、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲2発明2、甲2号証ないし甲第12号証並びに甲第15号証にそれぞれ記載された事項、及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、請求項8に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 エ 本件訂正発明9について (ア)対比 本件訂正発明9と甲2発明2とを対比する。 本件訂正発明9は、訂正後の請求項1及び請求項4を引用するから、前記「ウ(ア)」の一致点で一致し、相違点1ないし3で相違し、さらに以下の点においても相違する。 〔相違点4〕 前者は、盗難防止タグの「前記暗号記憶手段は、前記受信手段が受信する、新暗号コードへの変更を指示する新暗号コードを一部に含む暗号変更指示信号により、その記憶内容を前記新暗号コードに更新する」(訂正請求項3)のに対し、 後者は、タグ1が記憶手段を備えるが、当該記憶手段がかかる構成を備えていない点。 〔相違点5〕 前者は、「盗難防止タグが備える暗号記憶手段が記憶すべき新暗号コードを設定する暗号設定手段と、盗難防止タグが備える受信手段が受信すべき暗号変更指示信号を、前記暗号設定手段が設定した新暗号コードを含めて発信する発信手段とを備える親指示信号発信装置」(訂正請求項6)を備えるのに対し、 後者は、かかる構成を備えていない点。 〔相違点6〕 前者は、指示信号発信装置が「親指示信号発信装置が発信する暗号変更指示信号を受信する受信手段を備え、前記暗号記憶手段は、該受信手段が受信した暗号変更指示信号に含まれる新暗号コードにより記憶内容を更新する」(訂正請求項7)のに対し、 後者のコード信号出力ユニットは、かかる構成を備えていない点。 (イ)判断 相違点2についての判断は、前記「ウ(イ)」のとおりであるから、相違点1、3及び相違点4ないし相違点6について検討するまでもなく、本件訂正発明9は、甲2発明2、甲2号証ないし甲第12号証並びに甲第15号証にそれぞれ記載された事項、及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、請求項9に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 オ 本件訂正発明5について 判断 本件訂正発明5は、本件訂正発明8の相違点2に係る構成を含んでおり、相違点2についての判断は、前記「ウ(イ)」のとおりであるから、本件訂正発明5は、甲2発明2、甲2号証ないし甲第12号証並びに甲第15号証にそれぞれ記載された事項、及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、請求項5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 カ まとめ 以上のとおり、請求項5、8及び9に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 3 むすび よって、本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第7項に適合するので、本件訂正請求に係る一群の請求項〔1-9〕について適法な訂正と認める。 第5 本件訂正発明に対する判断 1 本件訂正発明 上記のとおり、平成28年3月14日付けの訂正は認められるので、本件特許第3099107号の請求項1ないし9に係る発明は、前記「第4」の「2(5)ア」の本件訂正発明1ないし9のとおりである。 2 当審の判断 (1)無効理由1(記載不備)について 「暗号」とは、請求人の主張する「秘密にしたい情報をかき混ぜて(暗号)特定の者以外にはその内容が解らないようにすること。暗号は、情報をかき混ぜる手順(アルゴリズム)とその手順を変化させるパラメータ(鍵)とから成る」(甲第1号証)との意味や、被請求人が主張する「秘密を保つために当事者間にのみ了解されるようにとり決めた特殊な記号・ことば。あいことば。」(乙第1号証)との意味があり、その意味は多義的なものである。 そこで、本件特許明細書をみると以下の記載がある。 「これらの盗難防止タグを使用する盗難防止装置を導入した店舗の間では、上述したリセットモードにするためのリセットコードが共通になる。そのため、例えば、互いに隣接する店舗に同じ盗難防止装置が導入されると、A店のリモートコントロールキーでその隣のB店の盗難防止タグをリセットモードにすることができるようになり、盗難防止に役立たない虞がある。また、一旦、ある店舗のリモートコントロールキーが盗まれたり、リセットコードが知られたりしてしまうと、その店舗は勿論のこと、その店舗と同じ盗難防止装置を導入した店舗全てにおいて、盗難防止装置がその機能を果たせなくなる問題がある。」(段落【0019】) 「この盗難防止タグでは、受信手段は、警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを含む解除指示信号を受信する。一方、識別手段は、受信手段が受信した所定信号及び解除指示信号を識別する。そして、一致判定手段は、識別手段が識別した解除指示信号に含まれる暗号コード及び暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定し、この一致判定手段が一致すると判定したときは、解除手段は、警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する。これにより、この盗難防止タグは、店舗毎に異なる解除指示信号を設定することができ、より確実に盗難を防止することができる。」(段落【0022】) 上記記載を参酌すると、本件特許においては乙第1号証に記載されるような当事者間にのみ了解されるようにとり決めたものとして「暗号」との文言を用いていることは明らかである。そして、そのように解釈することで特許請求の範囲の記載に矛盾が生じることもない。 また、「コード」は甲第1号証に記載があるように、データを表現するためにルールに基づいて表現されたものであって、本件特許においては0又は1で構成されたデータビットであることは明らかである。 したがって、本件特許の請求項1及び4に記載された「暗号コード」の意義は明確である。 また、「新暗号コード」は「暗号コード」を変更又は更新するためのものであることも明らかであるから、本件特許の請求項3、6及び7に記載された「新暗号コード」の意義は明確である。 したがって、本件特許の請求項1、3、4、6及び7の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合する。 (2)無効理由2(進歩性)について ア 刊行物 (ア)甲第2号証 甲第2号証には、図面(特に、図1ないし図6、図12、図13参照)とともに、前記「第4」の「2(5)イ(ア)」の[ア]~[エ]の記載がある。 上記の記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 「商品の一部を介してピン4をソケット5に挿入したときにONとなり、ピン4をソケット5から外したときにOFFとなるリミットスイッチ52と、電波送出パネル22が送出する所定の周波数の電波を受信するアンテナ51と、前記リミットスイッチ52がOFFになったと判定してフラッグをONに設定したとき及び前記アンテナ51が前記所定の周波数の電波を受信してフラッグをONに設定したときに、フラッグがONに設定されている限り警報音を連続的に発音させる警報音発生器53とを備えた電波信号からなるコード信号を受信するタグ1において、 付設されたアンテナは、リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際にタグ1の警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させる、前記コード信号を受信可能とする一方、 前記コード信号は設定機能によって所望のコード信号に設定でき、 前記アンテナ51が前記所定の周波数の電波を受信したと判定し及び前記付設されたアンテナが前記コード信号を受信したと判定するCPU55であって、前記コード信号をタグ1に受信したと判定したとき、フラッグのOFFを確認し及びフラッグをOFFに設定して、前記警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させるCPU55を備えるタグ1。」 (イ)甲第3号証~甲第15号証 甲第3号証~甲第15号証に記載された事項は、前記 「第4」の「2(5)イ(イ)」ないし「2(5)イ(セ)」のとおりである。 イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、後者の「商品の一部を介してピン4をソケット5に挿入したときにONとなり、ピン4をソケット5から外したときにOFFとなるリミットスイッチ52」は前者の「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段」に相当し、以下同様に、「電波送出パネル22が送出する所定の周波数の電波を受信するアンテナ51」は「非接触で信号を受信する受信手段」に、「前記リミットスイッチ52がOFFになったと判定してフラッグをONに設定したとき」は「前記検出手段が取り外し状態を検出したとき」に、「所定の周波数の電波」は「所定信号」に、「前記所定の周波数の電波を受信してフラッグをONに設定したとき」は「所定信号を受信したとき」に、「フラッグがONに設定されている限り警報音を連続的に発音させる警報音発生器53」は「警報を出力する警報出力手段」に、「タグ1」は「盗難防止タグ」に、「電波送出パネル22」は「発信装置」にそれぞれ相当する。 後者の「リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際」は前者の「警報出力手段が作動可能である状態」に、後者の「警報音の連続的な発音」は前者の「警報出力状態」にそれぞれ相当するから、後者の「リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際に」「タグ1の警報動作を解除させ」ることは前者の「警報出力手段が作動可能である状態」「の解除を指示する」ことに相当し、同「警報音の連続的な発音を停止させる」ことは同「警報出力状態の解除を指示する」ことに相当する。 後者の「前記警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させるCPU55」は前者の「前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段」に相当する。 前者の「暗号コード」及び「解除指示信号」は、本件特許明細書の段落【0072】及び段落【0073】の記載並びに図6及び図7の図示内容によれば、0又は1で構成されたデータビットであるから、前者の「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とは、解除指示信号が暗号コードをデータビットとして一部に含んでいることを意味する。 他方、後者の「コード信号」は、「コード信号をタグ1に受信したと判定したとき、フラッグのOFFを確認し及びフラッグをOFFに設定して、前記警報動作を解除させ」るとともに、「設定機能によって所望のコード信号に設定でき」るため、「各店毎に、それぞれのコード信号を設定」し(甲第2号証の段落【0036】)、「予め定められた信号のみによって警報動作が解除されるので、盗難防止効果を十分に期待することができる」(同段落【0057】)ものである。 そうすると、後者の「コード信号」は前者の「暗号コード」に相当するとともに、前者の「暗号コードを一部に含む解除指示信号」とは「解除指示信号」という限りで共通する。 そして、後者の「コード信号を受信する」ことと前者の「複数の指示信号を受信する」こととは、「指示信号を受信する」という限りで共通し、後者の「付設されたアンテナ」はタグ1に付設されたものであるから、後者の「付設されたアンテナは、リミットスイッチ52がOFFにならず、前記所定の周波数の電波を前記アンテナ51が受信せず、前記コード信号を受信せず、これらのステップを繰り返している際にタグ1の警報動作を解除させ及び警報音の連続的な発音を停止させる、前記コード信号を受信可能とする」ことと前者の「前記受信手段は、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、暗号コードを一部に含む解除指示信号を受信することを可能とする」こととは、「盗難防止タグは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、解除指示信号を受信することを可能とする」という限りで共通する。 後者は、「前記コード信号は設定機能によって所望のコード信号に設定でき」るものであるから、タグ1がコード信号を予め記憶する記憶手段を備えることは明らかである。 また、後者は、CPU55が「前記コード信号をタグ1に受信したと判定」するものであるから、受信したコード信号及び上記記憶手段が記憶するコード信号が一致するか否かを判定する一致判定手段を備えることも明らかである。 そうすると、後者の「前記コード信号をタグ1に受信したと判定したとき」と前者の「解除指示信号に含まれる暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したとき」とは、「暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したとき」という限りで共通する。 したがって、両者は、 「盗難防止対象物に対する取り付け状態及び取り外し状態を検出する検出手段と、非接触で信号を受信する受信手段と、前記検出手段が取り外し状態を検出したとき及び前記受信手段が所定信号を受信したときに、警報を出力する警報出力手段とを備えた指示信号を受信する盗難防止タグにおいて、 盗難防止タグは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態の解除を指示する、解除指示信号を受信することを可能とする一方、 暗号コードを予め記憶する暗号記憶手段と、暗号コード及び前記暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致するか否かを判定する一致判定手段と、該一致判定手段が一致すると判定したときは、前記警報出力手段が作動可能である状態及び警報出力状態を解除する解除手段とを備える盗難防止タグ。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点1〕 前者では、解除指示信号は所定信号を受信する「受信手段」が受信するのに対し、 後者では、コード信号は所定の周波数の電波を受信するアンテナ51が受信するものではなく、「付設されたアンテナ」が受信するものである点。 〔相違点2〕 前者では、盗難防止タグが「複数の指示信号を受信」し、「前記受信手段が受信した前記所定信号及び前記解除指示信号を識別する識別手段」を備え、解除指示信号が「暗号コードを一部に含」み、一致判定手段が「前記識別手段が識別した解除指示信号に含まれる」暗号コードが一致するか否かを判定するのに対し、 後者では、タグ1が「コード信号を受信」し、「前記アンテナ51が前記所定の周波数の電波を受信したと判定し及び前記付設されたアンテナが前記コード信号を受信したと判定するCPU55」を備える点。 (イ)判断 そこで、各相違点を検討する。 [ア]相違点1について 甲第3号証の「警告音作動信号」は本件訂正発明1の「所定信号」に相当し、甲第3号証の「警告音停止信号」は、警報出力状態を解除する点において、本件訂正発明1の「解除指示信号」と共通する。 そして、甲第3号証には「警告音作動信号と警告音停止信号のキャリアー周波数を同一にして1つの共振回路(電磁結合手段)で両信号を受信させ、後段の信号処理回路で信号識別を行う」(段落【0017】)との記載がある。 甲2発明と甲第3号証の警告音発生装置とは、盗難防止に使用されるタグに関する技術分野において共通するから、甲第3号証の上記記載を参酌して、甲2発明において、コード信号も「付設されたアンテナ」に替えて「アンテナ51」が受信するようにし、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 [イ]相違点2について 本件訂正発明1の相違点2に係る構成は、本件訂正発明8の相違点2に係る構成と同一の構成である。そして、そのような本件訂正発明1について、判決においては次のとおりに判示している。 「4 本件訂正発明1ないし4,6及び7の進歩性について 念のため,本件訂正発明1ないし4,6及び7の進歩性についても検討する。 本件訂正発明8の相違点2に係る構成は,本件訂正後の請求項1記載の盗難防止タグに関するものであるから,本件訂正発明1と引用発明Aとは,少なくとも相違点2において相違する。そして,前記3(1)と同様に,引用発明Aにおいて,相違点2に係る本件訂正発明1の構成を備えるようにすることを,当業者は容易に想到することができない。よって,本件訂正発明1は,当業者が引用発明Aに基づいて容易に発明をすることができたものということはできない。 また,本件訂正発明2ないし4,6及び7は,本件訂正発明1の発明特定事項を全て含み,さらに他の限定を付加したものであるから,本件訂正発明2ないし4,6及び7も,当業者が引用発明Aに基づいて容易に発明をすることができたものということはできない。」(判決の第36ページ第21行~第37ページ第6行) そして、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、一次審決を取り消した確定審決で示された裁判所の判断は、当審を拘束する。 したがって、甲2発明に甲第11号証に記載された事項1を適用しても、相違点2に係る本件訂正発明1の構成には至らず、また、甲2発明において、甲第11号証に記載された事項1を適用するに当たり、甲第11号証に記載された事項2、甲第13号証、甲第14号証に例示された「信号が設定可能なコードを一部に含み、一致判定手段が前記信号に含まれる前記コードが一致するか否かを判定すること」が周知技術であったとしても、甲第11号証に記載された事項1を変更することは容易ではないから、甲2発明において、相違点2に係る本件訂正発明1の構成を備えるようにすることは、当業者には容易に想到し得たとはいえない。 また、甲第3号証ないし甲第10号証並びに甲第12号証及び甲第15号証にも、相違点2に係る本件訂正発明1の構成の記載及び示唆はない。 [ウ]まとめ したがって、相違点2に係る本件訂正発明1の構成は容易に想到し得たものではないから、本件訂正発明1は、甲2発明、甲2号証ないし甲第12号証並びに甲第15号証にそれぞれ記載された事項、及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件訂正発明2ないし4並びに6及び7について 本件訂正発明2ないし4並びに6及び7は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、上記「イ(イ)[イ]」で摘示した判決の判示のとおり、本件訂正発明1と同様に、甲2発明、甲2号証ないし甲第12号証並びに甲第15号証にそれぞれ記載された事項、及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)むすび 以上のとおり、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-800016

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