審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2017-700016

異なる表示機能の間で知覚ルミナンス非線形性ベースの画像データ交換を改善する装置および方法

審判番号
2017-700016
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-042448外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年01月11日
審決日
2017年12月20日
公報発行日
2018年03月30日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.536-YAA(H04N) / P1651.537-YAA(H04N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5951827号発明「異なる表示機能の間で知覚ルミナンス非線形性ベースの画像データ交換を改善する装置および方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5951827号の特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1-22〕について訂正することを認める。 特許第5951827号の請求項1ないし22に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5951827号の請求項1-22に係る特許についての出願は、2012年12月6日(パリ条約による優先権主張日外国庁受理2011年12月6日、米国、2012年7月23日、米国、2012年9月20日、米国)を国際出願日とする特許出願(特願2014-546070号)の一部を平成27年3月4日に新たな特許出願(特願2015-42448号)としたものであって、平成28年6月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人松田純一により特許異議の申立てがされ、平成29年3月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年6月16日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ、その訂正の請求に対して特許異議申立人松田純一から平成29年8月7日付けで意見書が提出され、平成29年8月23日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年10月24日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ(以下、「本件訂正請求」という。)、その訂正の請求に対して特許異議申立人松田純一から平成29年12月6日付けで意見書が提出されたものである。 なお、平成29年6月16日に提出した訂正請求書による訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)、(2)のとおりである。 (1) 請求項1に係る訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「……【数13】で表わされる関数モデルに少なくとも部分的に基づいて決定され」とあるのを、「……【数13】で表わされる関数モデルに基づいて決定され」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2-22も同様に訂正する)。 (2) 図11に係る訂正事項2 図11に「2.5166」とあるのを、「3.3555」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1について 訂正事項1に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明には、 段落【0072】に、 「【0072】 〈7.関数モデル〉 本稿に記載されるGSDF(参照GSDFまたは装置固有のGSDF)におけるデジタル符号値とグレーレベルとの間のマッピングを得るために、一つまたは複数の解析的な関数が使用されてもよい。該一つまたは複数の解析的な関数は、独自のもの、標準に基づくものまたは標準に基づく関数からの表式であってもよい。いくつかの実施形態では、GSDF生成器(たとえば図5の504)は、前記一つまたは複数の解析的な関数(または公式)に基づいて、一つまたは複数の順ルックアップテーブル(LUT)および/または一つまたは複数の逆LUTの形のGSDFを生成してもよい。これらのLUTの少なくともいくつかは、参照画像データをエンコードする目的で参照グレーレベルと参照デジタル符号レベルの間で変換する際に使用されるために、多様な画像データ・コーデック(たとえば図5の506)または幅広い多様な表示装置に提供されてもよい。追加的、任意的または代替的に、(係数が整数または浮動小数点表現である)前記解析的な関数のうち少なくともいくつかは、本稿に記載されるGSDFにおけるデジタル符号値とグレーレベルとの間のマッピングを得ることおよび/または画像データをエンコードする目的のためにグレーレベルとデジタル符号レベルの間で変換をすることにおいて使用されるために、画像データ・コーデックまたは幅広い多様な表示装置に直接提供されてもよい。」と記載され、 段落【0075】に、 「【0075】 いくつかの実施形態では、解析的な関数は、式(9)の順関数に対応する逆関数であり、次式のように、対応するデジタル符号値に基づいてルミナンス値を予測するために使用されてもよい。」と記載され、 段落【0076】に、 「【0076】 【数7】 式(9)を使って複数のルミナンス値に基づいて予測されるデジタル符号値は観察されるデジタル符号値と比較されてもよい。観察されるデジタル符号値は、先に論じたようなCSFモデルに基づく数値計算であってもよいが、それに限られない。ある実施形態では、予測されるデジタル符号値と観察されるデジタル符号値との間の偏差が計算され、式(9)におけるパラメータn、m、c1、c2およびc3の最適な値を導出するためにこの偏差が最小にされてもよい。」 と記載されており、請求項1中の「関数【数13】」は上記式(10)にほかならないから、 「前記参照マッピングおよび前記装置固有マッピングの少なくとも一方は関数【数13】で表わされる関数モデルに基づいて決定され」る発明は、明細書に記載されているものと認められる。 上記訂正事項1の訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において、「前記参照マッピングおよび前記装置固有マッピング」と「関数【数13】」との関係を、「少なくとも部分的に」との記載を削除することによって、限定したものといえるから、特許特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2) 訂正事項2について ア 本件明細書に接した当業者が、明細書の記載は原則として正しい記載であることを前提として、本件訂正前の本件明細書に何らかの誤記があることに気付くかどうか 上記訂正事項2に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明には、段落【0081】に、次の記載がある。 「図11は、ある例示的な実施形態に基づいて式(9)および(10)において使用されうるパラメータの値を示している。いくつかの実施形態では、図のように、本稿に記載される関数モデルの具体的実装におけるこれらの非整数値を表現/近似するために、整数ベースの公式が使用される。他のいくつかの実施形態では、本稿に記載される関数モデルの具体的実装におけるこれらの非整数値を表現/近似するために、一つまたは複数の精度(たとえば14-、16-または32ビット)の一つをもつ固定小数点、浮動小数点値が使用されてもよい。」 上記記載から、図11は「式(9)および(10)において使用されうるパラメータの値」を示すものであって、「パラメータの値」としては、「非整数値」による表現と、「これらの非整数値を表現/近似するため」の「整数ベースの公式」による表現とがあるといえる。 訂正前の図11には、「パラメータ」欄に、 「n:0.16956、 m:77.968、 c1:0.96484、 c2:3.7627、 c3:2.5166」 と記載され、「公式」欄に、 「n:(2778/4096)/4、 m:(2495/4096)*128、 c1:(3952/4096)、 c2:(3853/4096)*4、 c3:(3436/4096)*4」 と記載されている。 整数の乗除算で表現されている「公式」の値を、実際に計算すると、下記となる。 「n:(2778/4096)/4=0.169556… m:(2495/4096)*128=77.9687… c1:(3952/4096)=0.964843… c2:(3853/4096)*4=3.76269… c3:(3436/4096)*4=3.35546…」 これらのパラメータのうち「n、m、c1、c2」の値は、「パラメータ」欄と「公式」欄の値がいずれも略一致しており、上記段落【0081】記載のとおり、「整数ベースの公式」が、「これらの非整数値を表現/近似する」ものである。 しかし、パラメータ「c3」の値は、「パラメータ」欄(「非整数値」)「2.5166」が、「公式」欄の値「(3436/4096)*4」、すなわち、「3.3555」と一致しない。 よって、図11に接した当業者であれば、パラメータ「c3」の値の不整合により、図11に誤記があることに気付くものと認められる。 イ 図11のパラメータ「c3」の値の不整合と、それに伴う誤記の存在を認識した当業者が、「2.5166」が誤記であると分かるかどうか 図11の誤記に気付いた当業者にとって、図11に記載されたパラメータ「c3」の2つの値を他のパラメータの値とともに式(10)に代入し、さらに、デジタル符号値Dの値を12ビットの主要値(1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024、2048、4096)としたときの、グレーレベルLの値を計算で求めて確認することは容易であるところ、以下に示すように、パラメータ「c3」の値を「2.5166」とすると、本件明細書の記載と整合しないことが理解できる。 (ア) パラメータ「c3」の値を「2.5166」とすると、(特許異議申立書6ページの表のとおり)次表となる。 D  |  L 1 | 7.2714×10-10 2 | 3.07541×10-9 4 | 1.02813×10-8 8 | 2.92441×10-8 16 | 7.39692×10-8 32 | 1.71198×10-7 64 | 3.69738×10-7 128 | 7.55695×10-7 256 | 1.47705×10-6 512 | 2.78306×10-6 1024 | 5.08697×10-6 2048 | 9.0658×10-6 4096 | 1.58187×10-5 (イ) パラメータ「c3」の値を「公式」欄の「c3:(3436/4096)*4」、すなわち、「3.3555」とすると、(平成29年10月24日付け意見書3ページの表のとおり)次表となる。 D  |  L 1 | 5.32546×10-7 2 | 3.17539×10-6 4 | 1.55592×10-5 8 | 6.7979×10-5 16 | 0.000279705 32 | 0.001131404 64 | 0.004682198 128 | 0.020716167 256 | 0.103776178 512 | 0.642438204 1024 | 5.75639263 2048 | 106.5692656 4096 | 13548.13129 (ウ) パラメータ「c3」の値が「2.5166」の場合、12ビットの最大値(D=4096)でも、グレーレベルLが1.58187×10-5ニト(cd/m2)となるが、「10-5ニト」は、「ディスプレイ装置が一般に達成できるより低くてもよいある暗い黒レベル」(段落【0051】「…いくつかの実施形態では、Lminは0の値をもっていてもよい。他のいくつかの実施形態では、Lminは0でない値(たとえば、ディスプレイ装置が一般に達成できるより低くてもよいある暗い黒レベル、10-5ニト、10-7ニトなど)をもっていてもよい。…」の記載を参照。)であるから、一般的なディスプレイ装置が達成可能な黒レベルよりも暗いL値(グレーレベル)にしかならず、適正なL値が得られない。 一方、パラメータ「c3」の値が「(3436/4096)*4」、すなわち、「3.3555」の場合、対応するグレーレベルLの値は、下限(D=1)が5.32546×10-7、上限(D=4096)が13548.13129となるから、適正なL値が得られる(段落【0059】-【0060】「いくつかの実施形態では、参照GSDFモデルは大きなルミナンス範囲をカバーする。たとえば、参照GSDFモデルによって表現されるグレーレベルまたは量子化されたルミナンス値は0または約0(たとえば10-7cd/m2)から12,000cd/m2の範囲にわたる。参照GSDFモデルにおける表現されるルミナンス値の下限は、10-7cd/m2またはより低いもしくはより高い値 (たとえば0、10-5、10-8、10-9cd/m2など)でありうる。……(中略)……参照GSDFモデルにおける表現されるルミナンス値の上限は12,000cd/m2またはより低いもしくはより高い値(たとえば、6000-8000、8000-10000、10000-12000、12000-15000cd/m2など)であってもよい。…」の記載を参照。)。 そうすると、明細書の記載を参照して、図11の記載をできるだけ合理的に理解すると、図11の「c3」の「2.5166」の記載は、「(3436/4096)*4」、すなわち、「3.3555」の誤記であると認められる。 ウ 訂正事項2についてのまとめ 上記ア、イから、本件明細書に接した当業者であれば、訂正事項2に係る図11の「2.5166」の記載が誤りであることに気付いて、これを「(3436/4096)*4」、すなわち、「3.3555」の趣旨に理解するのが当然であるといえる。 したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるといえる。 また、上記のとおり、本件明細書に接した当業者であれば、訂正事項2に係る図11の「2.5166」の記載が誤りであることに気付いて、これを「(3436/4096)*4」、すなわち、「3.3555」の趣旨に理解するのが当然であるといえるから、訂正後の記載である「3.3555」は、本件訂正前の明細書等の記載から自明な事項として定まるものであるということができ、訂正事項2によって新たな技術的事項が導入されたとは認められない。 よって、上記訂正事項2の訂正は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-22〕について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認容されるので、本件訂正請求により訂正された訂正請求項1-22に係る発明(以下「本件発明1」-「本件発明22という。)は、平成29年10月24日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1-22に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 取消理由の概要 本件特許に対して平成29年8月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1及びこれを前提とする本件発明2-22を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。 よって、請求項1-22に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 3 判断 (1) 平成29年8月23日付け取消理由通知に記載した取消理由(特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反))について 図11の「2.5166」との記載は、訂正により「3.3555」と訂正されたため、上記第2、2「(2) 訂正事項2について」イ(ウ)のとおり、図11に示されたパラメータの値から計算されるグレーレベルLの値として、適正なL値が得られるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1及びこれを前提とする本件発明2-22を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとなった。 (2) 平成29年8月23日付け取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反))について 特許異議申立人松田純一は、特許異議申立書(3(4)イ(ア)、第11ページ第18行-第15ページ第2行)において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1-22に係る発明では、「前記参照マッピングおよび前記装置固有マッピングの少なくとも一方は関数【数13】…で表わされる関数モデルに少なくとも部分的に基づいて決定され」という事項については、詳細な説明の具体的な記載との対応関係が不明瞭であって、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないから、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない旨を主張している。 しかし、特許請求の範囲の請求項1において、訂正前に「……【数13】で表わされる関数モデルに少なくとも部分的に基づいて決定され」と記載されていたものが、訂正後に「……【数13】で表わされる関数モデルに基づいて決定され」と訂正されることで、訂正後の請求項1-22は、「少なくとも部分的に」との記載が削除されたから、かかる主張は理由がない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-22に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1-22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700016

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決38件(ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション、松田 純一)
  • 2021-700414異議申立 / 2021-10-29 / 維持双方向メディアガイダンスアプリケーションを使用してオーディオコンテンツを識別する…
    同じ当事者: 松田 純一
  • 2020-700232異議申立 / 2020-10-16 / 維持パーソナルビデオレコーダ機能を備えた双方向番組ガイド・システム及び方法
    同じ当事者: 松田 純一
  • 2018-700723異議申立 / 2019-09-17 / 訂正認容2つのディジタル・メディア装置間でデータを転送する方法
    同じ当事者: 松田 純一
  • 2018-700464異議申立 / 2019-06-14 / 訂正認容向上された特殊再生機能のためのシステムおよび方法
    同じ当事者: 松田 純一
  • 2017-701148異議申立 / 2019-04-26 / 請求成立(取消)興味が低い番組を適宜に録画するためのシステムおよび方法
    同じ当事者: 松田 純一
同じ論点・分野の審決(審決分類)726件(536・H04N、537・H04N)
  • 2026-700344異議申立 / 2026-08-04 / 維持歯科診療用立体視撮像装置及び歯科診療用立体視観察システム
    共通の審決分類: 536・H04N、537・H04N
  • 2023-700192異議申立 / 2024-04-26 / 訂正認容グラフィカル・インディケータ
    共通の審決分類: 536・H04N、537・H04N
  • 2022-701139異議申立 / 2023-04-07 / 維持警備システム及び監視表示装置
    共通の審決分類: 536・H04N、537・H04N
  • 2020-700222異議申立 / 2021-03-05 / 訂正認容画像読取装置及び画像形成装置
    共通の審決分類: 536・H04N、537・H04N
  • 2018-700302異議申立 / 2019-09-30 / 訂正認容スタックトチップイメージングシステム
    共通の審決分類: 536・H04N、537・H04N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存