特許訂正審判
2017-390158
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- 審判番号
- 2017-390158
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-091131外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月26日
- 審決日
- 2018年02月19日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第41条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6004505号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6004505号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6004505号(以下,「本件特許」という。)は,特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成24年11月21日(優先日:平成23年12月27日,出願番号:特願2011-286668号)に出願された特願2012-255729号の一部を平成26年3月13日に新たな特許出願である特願2014-50188号として出願され,そのまた一部を平成27年4月28日に新たな特許出願である特願2015-91131号として出願されたものであって,その請求項1~2に係る発明は,平成28年9月16日に特許権の設定登録がなされ,平成29年12月26日に訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求は,本件特許の明細書(以下,「本件特許明細書」という。),特許請求の範囲(以下,「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1における
「前記特典付与選択手段は,前記特定の役決定結果が前記役決定手段により選出されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に特典を付与しないように構成されている」という記載を,
「前記特典付与選択手段は,前記特定の役決定結果が前記役決定手段により選出されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に前記特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しないように構成されている」と訂正する(下線は,訂正箇所を示す。以下同じ。)。
2 訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項2における
「前記特典付与選択手段は,前記特定の図柄組合せが停止表示されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に特典を付与しないように構成されている」という記載を,
「前記特典付与選択手段は,前記特定の図柄組合せが停止表示されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に前記特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しないように構成されている」と訂正する。
3 訂正事項3
本件特許明細書の【0019】の第1段落における
「特典付与選択手段は,前記特定の役決定結果が前記役決定手段により選出されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に特典を付与可能とし,設定変更手段により役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に特典を付与しないように構成されている」という記載を,
「特典付与選択手段は,前記特定の役決定結果が前記役決定手段により選出されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に前記特典を付与可能とし,設定変更手段により役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しないように構成されている」と訂正する。
4 訂正事項4
本件特許明細書の【0019】の第2段落における
「特典付与選択手段は,前記特定の図柄組合せが停止表示されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に特典を付与可能とし,設定変更手段により役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に特典を付与しないように構成されている」という記載を,
「特典付与選択手段は,前記特定の図柄組合せが停止表示されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に前記特典を付与可能とし,設定変更手段により役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しないように構成されている」と訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1には「所定の契機により遊技者に対する特典を付与可能とする特典付与選択手段」「を備え,」「前記特典付与選択手段は,前記特定の役決定結果が前記役決定手段により選出されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に特典を付与しないように構成されている」(下線は当審で付した。以下同じ。)と記載されているが,「遊技者に特典を付与可能」という記載(以下,「2番目の「特典を」の記載」という。)及び「遊技者に特典を付与しない」という記載(以下,「3番目の「特典を」の記載」という。)の「特典を」の前に「前記」と記載されていないため,2~3番目の「特典を」の記載が,「所定の契機により遊技者に対する特典を付与可能」という記載(以下,「1番目の「特典を」の記載」という。)の「特典」と同じ「特典」を意味するのか不明確であった。
訂正事項1は,上記1~3番目の「特典を」という記載の「特典」が,同じ「特典」を意味することを明確にするための訂正であるから,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明に該当する。
(2)新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
本件特許明細書の【0102】には「上記特典付与選択手段113(図4参照)は,後述のRT2遊技状態中において特有の遊技結果(後述の再遊技役5~8の何れかの成立)が得られた場合に,遊技者に対する特典としての,上記アシスト可能回数の上乗せ回数を,後述のアシスト可能回数上乗せ抽選より決定するように構成されている。ただし,上述のRT1復帰継続期間またはRT2復帰継続期間においては,特有の遊技結果が得られた場合であってもアシスト可能回数上乗せ抽選は行わないように構成されている。」と記載され(下線は当審で付した。以下同じ。),
本件特許明細書の【0359】には「また,上述の実施形態では,ATが設定されたRT2遊技状態において,再遊技役5~8の何れかが成立することを,アシスト可能回数上乗せ抽選が行われるための条件としているが,ATが設定されたRT2遊技状態において,再遊技役5~8の何れかが当選すること(役決定結果A31~A33の何れかがが選出されること)を,アシスト可能回数上乗せ抽選が行われるための条件としてもよい。」と記載され,
本件特許明細書の【0229】には「なお,上述の「3択押し順リプレイZ」において,押し順正解時に何れかが成立する再遊技役5~8の対応図柄は,有効ライン29上に停止表示されることが遊技者への特典付与の契機とされる特有の図柄組合せとなっている。本実施形態においては,RT2遊技状態において役決定結果A31~A33の何れかが選出されて「3択押し順リプレイZ」が設定され,その際に,ストップスイッチ26a,26b,26cが正解押し順で操作された場合には再遊技役5~8の何れかが成立し,これを契機として後述のアシスト可能回数上乗せ抽選が行われるようになっている。」と記載され,
本件特許明細書の【0242】には「先述したように,RT2遊技状態中(上述のRT1復帰継続期間またはRT2復帰継続期間は除く)において再遊技役5~8の何れかが成立した場合には,上記特典付与選択手段113(図4参照)によりアシスト可能回数上乗せ抽選が行われる。このアシスト可能回数上乗せ抽選は,遊技者に対する特典としての,上記アシスト可能回数の上乗せ回数を決定するための抽選であり,本実施形態では,図28に示すアシスト可能回数上乗せ抽選テーブルを用いて行われる。このアシスト可能回数上乗せ抽選テーブルでは,アシスト可能回数に上乗せされる回数が10,20,30,40,50回の何れかの回数(回数の具体的数値については適宜変更し得る)の中から選択されるように,かつそれらが選択される確率が全て1/5に設定されている(回数によって確率の設定を変えるなど,確率の具体的数値については適宜変更し得る)。」と記載されている。
上記【0102】,【0229】,【0242】,【0359】の記載を参照すると,特典付与選択手段113は,RT2遊技状態において,役決定結果A31~A33の何れかが選出される(という特定の状態の発生を所定の契機とする)ことにより,特典としてアシスト可能回数の上乗せをする点が記載されているといえる。
このことから,上記【0102】及び【0242】の「アシスト可能回数の上乗せ」が,本件特許請求の範囲の請求項1における「特典」に対応し,
上記【0102】には「特典付与選択手段113」が,本件特許請求の範囲の請求項1における「特典付与選択手段」に対応し,
上記【0359】の「役決定結果A31~A33の何れかがが選出されること」が,本件特許請求の範囲の請求項1における「所定の契機」に対応し,
上記【0229】及び【0359】の「役決定結果A31~A33」が,本件特許請求の範囲の請求項1における「所定の役決定結果」に対応し,
上記【0359】の「役決定結果A31~A33の何れかがが選出され」る状態が,本件特許請求の範囲の請求項1における「特定の状態」に対応するといえる。
また,本件特許明細書の【0019】には「予め設定された役決定確率に基づき特定の役決定結果(例えば,役決定結果A31~A33)及び所定の役決定結果(例えば,役決定結果A6~A17)を含む複数の役決定結果(例えば,役決定結果A1~A38)の中から少なくとも1つの役決定結果を選出可能である役決定手段」と記載され,
本件特許明細書の【0074】には「役決定手段101」と記載されている。
上記【0019】及び【0074】の記載を参照すると,役決定結果A31~A33が役決定手段101により選出される点が記載されているといえる。
このことから,上記【0074】「役決定手段101」が,本件特許請求の範囲の請求項1における「役決定手段」に対応するといえる。
そして,本件特許明細書の【0234】には「役決定により上述の役決定結果A4(図12参照)が選出されること(以下,適宜「スイカ当選」と称する)を契機として,上記ナビ権設定選択手段1111(図6参照)によりナビ権設定抽選が行われる。・・・このナビ権設定抽選において「当り」の抽選結果が得られた場合には,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定される。」と記載され,
本件特許明細書の【0238】には「上記ナビ権設定抽選の結果,ナビ権が設定された場合には,先述したように上記規定遊技回数設定手段1112(図6参照)により規定遊技回数設定抽選が行われる。・・・規定遊技回数が8,12,16,20,24,28,32回の何れかの回数(回数の具体的数値については適宜変更し得る)の中から選択されるように,かつそれらが選択される確率が全て1/7に設定されている」と記載され,
本件特許明細書の【0239】には「規定遊技回数が決定されると,先述したように,規定遊技回数が決定された後に行われた全ての遊技の回数が実行遊技回数としてカウントされる(上述のRT1復帰継続期間中またはRT2復帰継続期間中は,実行遊技回数はカウントされず通常遊技状態に移行してからカウントが開始される)。そして,カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定される。」と記載され,
本件特許明細書の【0240】には「ATが設定された状態において,通常遊技状態からRT1遊技状態へ移行すると,上記アシスト可能回数管理手段1124(図7参照)によりアシスト可能回数が設定,管理される。アシスト可能回数は,RT1遊技状態中またはRT1遊技状態から移行したRT2遊技状態中において押し順ナビ演出(通常の押し順ナビ演出)を行うことが可能な回数であり」と記載され,
本件特許明細書の【0241】には「すなわち,RT1遊技状態に移行する前にストックされたナビ権の数(ナビ権ストック数)に50(他の数値としてもよい)を乗じて得られた数値を,アシスト可能回数の初期値に設定する(例えば,ナビ権ストック数が2の場合は,100となる)。また,初期値が設定されたアシスト可能回数は,RT1遊技状態またはRT2遊技状態において,押し順ナビ演出が行われたか否かに関係なく,遊技が行われる毎に1つずつ減少するように管理される。なお,設定されたATは,上記アシスト可能回数が0となった場合,またはRT1遊技状態から通常遊技状態またはBB遊技状態への移行条件(図9に示す条件Rまたは条件S)が満足されてRT1遊技状態が終了した場合に終了するようになっている。」と記載されている。
上記【0234】,【0238】~【0241】の記載の記載だけでなく,既に検討した上記【0229】,【0242】,【0359】の記載を参照すると,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行してアシスト可能回数が設定されて押し順ナビ演出を行うことが可能になってから,アシスト可能回数が0となるまで,またはRT1遊技状態から通常遊技状態またはBB遊技状態への移行条件が満足されてRT1遊技状態が終了してATが終了するまでの期間において,RT1遊技状態から移行したRT2遊技状態に,役決定結果A31~A33の何れかが選出されるという特定の状態の発生した場合に,特典としてアシスト可能回数の上乗せをする点が記載されているといえる。
このことから,上記【0234】,【0238】~【0240】のナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になることが,本件特許請求の範囲の請求項1における「所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において」という記載の「所定のアシスト演出開始条件」(以下,「2番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載」という。)に対応し,
上記【0241】の「アシスト可能回数が0となった」こと,「RT1遊技状態から通常遊技状態またはBB遊技状態への移行条件」「が満足されてRT1遊技状態が終了した」ことが,本件特許請求の範囲の請求項1における「所定の終了条件」に対応するといえる。
さらに,本件特許明細書の【0076】には「上記設定変更手段103は,設定変更スイッチ84が受け付けた設定変更指令操作に基づき役決定確率等の設定を,例えば6段階(設定値1~設定値6)で変更する設定変更を行うように構成されている。」と記載され,
本件特許明細書の【0093】には「ただし,上記設定変更手段103(図3参照)による設定変更後に後述のRT1遊技状態に復帰され,かつ後述の通常遊技状態に移行されるまでの期間(本実施形態における有利設定状態継続期間。以下,適宜「RT1復帰継続期間」と称する)において,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定された場合には,上記規定遊技回数が別途のアシスト演出開始条件として設定される。その場合,RT1復帰継続期間中は実行遊技回数をカウントせず,通常遊技状態に移行してからカウントを開始するように構成されている。通常遊技状態に移行してからカウントを開始された実行遊技回数が規定遊技回数に達すると上記AT設定条件が充足されてATが設定され,後述の押し順ナビ演出(通常の押し順ナビ演出)の実行が許可される。」と記載され,
本件特許明細書の【0094】には「同様に,設定変更後に後述のRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(本実施形態における特定設定状態継続期間。以下,適宜「RT2復帰継続期間」と称する)において,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定された場合には,上記規定遊技回数が別途他のアシスト演出開始条件として設定される。その場合も,RT2復帰継続期間中は実行遊技回数をカウントせず,通常遊技状態に移行してからカウントを開始するように構成されている。通常遊技状態に移行してからカウントを開始された実行遊技回数が規定遊技回数に達すると上記AT設定条件が充足されてATが設定され,後述の押し順ナビ演出(通常の押し順ナビ演出)の実行が許可される。」と記載されている。
上記【0076】,【0093】~【0094】の記載の記載だけでなく,既に検討した上記【0102】,【0240】,【0359】の記載を参照すると,設定変更手段103による設定変更後にRT1又はRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)においては,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,通常遊技状態に移行してからカウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になり,RT2に移行するまで,役決定結果A31~A33の何れかがが選出されてもアシスト可能回数上乗せは行わない点が記載されているといえる。
このことから,上記【0076】及び【0093】の「設定変更手段103」が,本件特許請求の範囲の請求項1における「設定変更手段」に対応し,
上記【0093】~【0094】,【0102】,【0240】の設定変更手段103による設定変更後にRT1又はRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)においては,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,通常遊技状態に移行してからカウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になることが,本件特許請求の範囲の請求項1における「所定のアシスト演出開始条件を充足するまで」という記載の「所定のアシスト演出開始条件」(以下,「3番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載」という。)に対応し,
上記【0093】~【0094】,【0102】,【0359】の(通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)においては,)役決定結果A31~A33の何れかがが選出されてもアシスト可能回数上乗せは行わないことが,本件特許請求の範囲の請求項1における「特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しない」ことに対応するといえる。
ここで,本件特許請求の範囲の請求項1における2~3番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載に対応する内容について検討する。
3番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載に対応する内容は,2番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載に対応する内容と,「設定変更手段103による設定変更後にRT1又はRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)」であることを前提としている点,実行遊技回数をカウントするのが「通常遊技状態に移行してから」であることを含む点で異なる。
しかしながら,2~3番目の「所定のアシスト演出開始条件」は,共に「ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,」「カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になること」である点で共通すると共に,2~3番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載の前には「前記」等の記載はなく,2番目と3番目の「所定のアシスト演出開始条件」の内容が同じである必要はないから,2~3番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載は,本件特許明細書の記載に基づく記載である。
これらのことから,本件特許の願書に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,「本件特許明細書等」という。)には,「所定の遊技状態変更条件が充足されたことを契機として,複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段」「を備え,」「前記特典付与選択手段は,前記特定の役決定結果が前記役決定手段により選出されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に前記特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しないように構成されている」点が記載されているといえる共に,本件特許請求の範囲の請求項1の1~3番目の「特典を」の記載の「特典」は,いずれも「アシスト可能回数の上乗せ」であり,同じものを指すといえる。
以上のことから,訂正事項1は,本件特許明細書の【0019】,【0074】,【0076】,【0093】~【0094】,【0102】,【0229】,【0234】,【0238】~【0242】,【0359】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項1は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
したがって,訂正事項1は,特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項2には「所定の契機により遊技者に対する特典を付与可能とする特典付与選択手段」「を備え,」「前記特典付与選択手段は,前記特定の図柄組合せが停止表示されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に特典を付与しないように構成されている」(下線は当審で付した。以下同じ。)と記載されているが,「遊技者に特典を付与可能」という記載(以下,「5番目の「特典を」の記載」という。)及び「遊技者に特典を付与しない」という記載(以下,「6番目の「特典を」の記載」という。)の「特典を」の前に「前記」と記載されていないため,5~6番目の「特典を」の記載が,「所定の契機により遊技者に対する特典を付与可能」という記載(以下,「4番目の「特典を」の記載」という。)の「特典」と同じ「特典」を意味するのか不明確であった。
訂正事項2は,上記4~6番目の「特典を」という記載の「特典」が,同じ「特典」を意味することを明確にするための訂正であるから,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明に該当する。
(2)新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
上記1(2)に摘記された本件特許明細書の上記【0102】,【0229】,【0242】の記載を参照すると,特典付与選択手段113は,RT2遊技状態において,再遊技役5~8の対応図柄が停止表示される(という特定の状態の発生を所定の契機とする)ことにより,特典としてアシスト可能回数の上乗せをする点が記載されているといえる。
このことから,上記【0102】及び【0242】の「アシスト可能回数の上乗せ」が,本件特許請求の範囲の請求項2における「特典」に対応し,
上記【0102】には「特典付与選択手段113」が,本件特許請求の範囲の請求項2における「特典付与選択手段」に対応し,
上記【0229】の「再遊技役5~8の対応図柄が停止表示される」ことが,本件特許請求の範囲の請求項2における「所定の契機」に対応し,
上記【0229】の「再遊技役5~8の対応図柄」が,本件特許請求の範囲の請求項2における「特定の図柄組合せ」に対応し,
上記【0229】の「再遊技役5~8の対応図柄が停止表示される」状態が,本件特許請求の範囲の請求項2における「特定の状態」に対応するといえる。
そして,上記1(2)に摘記された本件特許明細書の上記【0234】,【0238】~【0241】の記載の記載だけでなく,既に検討した上記【0229】及び【0242】の記載を参照すると,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行してアシスト可能回数が設定されて押し順ナビ演出を行うことが可能になってから,アシスト可能回数が0となるまで,またはRT1遊技状態から通常遊技状態またはBB遊技状態への移行条件が満足されてRT1遊技状態が終了してATが終了するまでの期間において,RT1遊技状態から移行したRT2遊技状態において,再遊技役5~8の対応図柄が停止表示されるという特定の状態の発生した場合に,特典としてアシスト可能回数の上乗せをする点が記載されているといえる。
このことから,上記【0234】,【0238】~【0240】のナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になることが,本件特許請求の範囲の請求項2における「所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において」という記載の「所定のアシスト演出開始条件」(以下,「5番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載」という。)に対応し,
上記【0241】の「アシスト可能回数が0となった」こと,「RT1遊技状態から通常遊技状態またはBB遊技状態への移行条件」「が満足されてRT1遊技状態が終了した」ことが,本件特許請求の範囲の請求項2における「所定の終了条件」に対応するといえる。
さらに,上記1(2)に摘記された本件特許明細書の上記【0076】,【0093】~【0094】の記載の記載だけでなく,既に検討した上記【0102】,【0240】の記載を参照すると,設定変更手段103による設定変更後にRT1又はRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)においては,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,通常遊技状態に移行してからカウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になることが可能になり、RT2に移行するまで,再遊技役5~8の対応図柄が停止表示されてもアシスト可能回数上乗せは行わない点が記載されているといえる。
このことから,上記【0076】及び【0093】の「設定変更手段103」が,本件特許請求の範囲の請求項2における「設定変更手段」に対応し,
上記【0093】~【0094】,【0102】,【0240】の設定変更手段103による設定変更後にRT1又はRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)においては,ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,通常遊技状態に移行してからカウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になることが,本件特許請求の範囲の請求項1における「所定のアシスト演出開始条件を充足するまで」という記載の「所定のアシスト演出開始条件」(以下,「6番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載」という。)に対応し,
上記【0093】~【0094】,【0102】の(通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)においては,)再遊技役5~8の対応図柄が停止表示されてもアシスト可能回数上乗せは行わないことが,本件特許請求の範囲の請求項2における「特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しない」ことに対応するといえる。
ここで,本件特許請求の範囲の請求項2における5~6番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載に対応する内容について検討する。
6番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載に対応する内容は,5番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載に対応する内容と,「設定変更手段103による設定変更後にRT1又はRT2遊技状態に復帰され,かつ通常遊技状態に移行されるまでの期間(RT1復帰継続期間,又は,RT2復帰継続期間)」であることを前提としている点,実行遊技回数をカウントするのが「通常遊技状態に移行してから」であることを含む点で異なる。
しかしながら,5~6番目の「所定のアシスト演出開始条件」は,共に「ナビ権設定選択手段1111によりナビ権が設定され,」「カウントされた実行遊技回数が規定遊技回数に達するとATが設定され,RT1遊技状態に移行して押し順ナビ演出を行うことが可能になること」である点で共通すると共に,5~6番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載の前には「前記」等の記載はなく,5番目と6番目の「所定のアシスト演出開始条件」の内容が同じである必要はないから,5~6番目の「所定のアシスト演出開始条件」の記載は,本件特許明細書の記載に基づく記載である。
これらのことから,本件特許明細書等には,「所定の遊技状態変更条件が充足されたことを契機として,複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段」「を備え,」「前記特典付与選択手段は,前記特定の図柄組合せが停止表示されるという特定の状態の発生を前記所定の契機とし,所定のアシスト演出開始条件が充足されてから所定の終了条件を満たすまでの期間において,前記特定の状態が発生した場合は遊技者に前記特典を付与可能とし,前記設定変更手段により前記役決定確率が設定変更された際には所定のアシスト演出開始条件を充足するまで,前記特定の状態が発生した場合であっても遊技者に前記特典を付与しないように構成されている」点が記載されているといえる共に,本件特許請求の範囲の請求項2の4~6番目の「特典を」の記載の「特典」は,いずれも「アシスト可能回数の上乗せ」であり,同じものを指すといえる。
以上のことから,訂正事項2は,本件特許明細書の【0076】,【0093】~【0094】,【0102】,【0229】,【0234】,【0238】~【0242】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項2は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
したがって,訂正事項2は,特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 訂正事項3~4について
(1)訂正の目的について
訂正事項3~4は,本件特許明細書の段落【0019】の記載を,上記第3「1 訂正事項1」~「2 訂正事項2」による訂正後の記載に整合させるものであるから,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3~4は,本件特許請求の範囲の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項3~4は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
したがって,訂正事項3~4は,特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
第5 むすび
したがって,本件訂正審判の請求は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって,結論のとおり審決する。
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2017-390158