特許訂正審判
2017-390052
環状アミン化合物および有害生物防除剤
- 審判番号
- 2017-390052
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2011-287665外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月27日
- 審決日
- 2017年08月15日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .852-Y (C07D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5767099号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5767099号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本件審判の請求に係る特許第5767099号(以下、「本件特許」という。)は、平成23年12月28日(優先権主張 平成23年6月16日及び平成23年7月28日)を出願日とする特願2011-287665号について、平成27年6月26日に設定登録がされたものであって、本件訂正審判は、平成29年6月27日に請求されたものである。
2.請求の趣旨と訂正事項
本件訂正審判の「請求の趣旨」は、『特許第5767099号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。』であり、その訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
願書に添付した明細書の段落0163に記載された表12に「
」とある化学構造式を「
」という化学構造式に訂正する。
3.当審の判断
(1)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」ともいう。)の段落0163の表12における「
」との記載にある化学構造式の右端にある「単結合」の一箇所を「二重結合」としての記載に改めることによって、当該化学構造式の右端にある「シクロヘキサジエニル基」を「フェニル基」に改める訂正からなるものである。
ここで、本件特許明細書の段落0158には「本発明に係る環状アミン化合物の製造に用いる製造中間体を表8~12に示す。」との記載がなされているところ、表12に記載された化学構造式で表される化合物番号e-1~e-16の化合物は「本発明に係る環状アミン化合物の製造に用いる製造中間体」として記載されているものと認められる。
一方、本件特許明細書の段落0127~0136には、実施例3として本発明に係る環状アミン化合物(化合物1-7)を製造するための一連の合成ステップが記載されているところ、訂正前の表12の化学構造式で示される化合物に合致するものはなく、一連の合成ステップの記載の中で最も類似した構造を有する製造中間体は、同段落0129の「
」との記載、及び同段落0132の「
」との記載にある「化合物(11)」であると理解される。
そして、当該「化合物(11)」は、表12における化合物番号e-7の化合物と、表12に記載された化学構造式の右端の環構造の点でのみ相違するものであるから、本件特許明細書の記載に接した当業者にしてみれば、その段落0163に記載された表12の化学構造式の記載と、その段落0129等に記載された化合物(11)の化学構造式の記載に、特に右端の環構造において何らかの誤記を伴う不整合があることに気付くものと認められる。
さらに、当該「化合物(11)」は、同段落0129の合成ステップの記載にあるように、右端にベンジル基(1個のメチレン鎖を介して結合したフェニル基)を有する「化合物(10)」を用いて合成されており、同段落0130の「3-エンド-ヒドロキシ-9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン(化合物(10))」との記載における「9-ベンジル」との記載をも参酌するに、上記「化合物(11)」の右端のメチレン鎖を介して結合したフェニル基(ベンジル基)の記載は、本件特許明細書の全体の記載と整合性のあるものと認められる。
このため、誤記の存在を認識した当業者にしてみれば、誤記が本件特許明細書の段落0129及び0132の「化合物(11)」の化学構造式にあるのではなく、同段落0163の表12の化学構造式にあると直ちに理解できるものと認められる。
また、本件特許明細書の段落0129等の「化合物(11)」の記載に接した当業者にしてみれば、同段落0163の表12に記載された「化合物番号e-7」の正しい化学構造が、当該「化合物(11)」について示される化学構造式に示されるとおりのものであることを直ちに理解することができるものと認められ、同段落0163の表12に記載された化合物番号e-1~e-16の化合物の化学構造式の右端の記載が、訂正前の「シクロヘキサジエニル基」に誤りがあり、正しくは「フェニル基」であることを直ちに理解することができるものと認められる。
してみると、訂正事項1は、訂正前の化学構造式の右端における「シクロヘキサジエチル基」の誤りを、技術的に正しい「フェニル基」としての記載に訂正することを目的としていることが明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。
(2)新規事項
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正の場合に該当するところ、本件特許の願書に最初に添付した明細書(以下「出願当初明細書」ともいう。)の段落0129及び0132には、本件特許明細書の段落0129及び0132に記載された「化合物(11)」に合致する化学構造式の記載がなされている。
そして、出願当初明細書の記載に接した当業者にしてみれば、本件特許明細書の段落0163の表12に記載された「化合物番号e-7」の正しい化学構造が、出願当初明細書の段落0129及び0132に記載された「化合物(11)」について示される化学構造式に示されるとおりのものであることを直ちに理解することができるものと認められ、また、同段落0163の表12に列挙される化合物番号e-1~e-16の各々の化学構造を示す化学構造式の右端の表記が、訂正前の「シクロヘキサジエニル基」ではなく、訂正後の「フェニル基」であることを直ちに理解できるものと認められるから、訂正事項1により導入される事項が、出願当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、訂正事項1が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかである。
してみると、訂正事項1が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上の拡張・変更
訂正事項1は、本件特許明細書の「製造中間体」に関する記載の一箇所のみを「誤記又は誤訳の訂正」を目的として訂正するものであるところ、本件特許の特許請求の範囲には当該「製造中間体」に関する事項が発明特定事項として記載されていないから、訂正事項1が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正の場合に該当するところ、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
4.むすび
以上総括するに、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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