特許訂正審判
2025-390048
スプライシングを調節するための方法および組成物
- 審判番号
- 2025-390048
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-545874
- 登録番号
- 7603592
- 請求日
- 2025年04月18日
- 審決日
- 2025年06月20日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】スカイホーク・セラピューティクス・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 【請求人代理人】寺地 拓己
- 【請求人代理人】宮脇 薫
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 典之
- 審判官 野田 定文
- 審判官 天野 皓己
- 分類
- P141 .851-Y (C07D) / P141 .852-Y (C07D) / P141 .841-Y (C07D) / P141 .854-Y (C07D) / P141 .855-Y (C07D) / P141 .856-Y (C07D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項2号特許法126条5項特許法126条6項特許法126条7項特許法184条の19
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第184条の19、特許法第126条第3項、特許法第184条の4第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7603592号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7603592号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7603592号(以下「本件特許」という。)は、2020年(令和2年)2月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年2月5日(8件)、2019年2月6日(4件) いずれも米国(US))を国際出願日とする外国語特許出願である特願2021-545874号の請求項1~15に係る発明について、令和6年12月12日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和7年4月18日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、
「特許第7603592号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」
というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は、審判請求書の記載及び審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載からみて、以下の訂正事項1~3のとおりであると認める。
なお、下線は訂正による記載の変更箇所を示す。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「環Qが、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、」
と記載されているのを、
「環Qが、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換の、5員もしくは6員単環ヘテロアリール、または置換もしくは非置換の、6-5もしくは5-6縮合ヘテロアリールであり、」
に訂正する。
請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2~15も同様に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9に、
「環Qが、
【化7】
[図:0001426777000001.jpg]
からなる群から選択されるか、または」
と記載されているのを、
「環Qが、
【化7】
[図:0001426777000002.jpg]
であるか、または」
に訂正する。
請求項9の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項11~15も同様に訂正する。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10に、
「二環式ヘトロアリールであり、前記二環式ヘトロアリールが」
と記載されているのを、
「二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールが」
に訂正する。
請求項10の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項11~15も同様に訂正する。
4 一群の請求項について
訂正前の請求項1~15について、請求項2~15は、請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~15は特許法第126条第3項に規定される一群の請求項に該当するものであり、本件訂正審判の請求は当該一群の請求項についてされたものである。
第4 当審の判断
以下の摘記において、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載されている式(I)の化合物における環Qの選択肢である「置換もしくは非置換ヘテロアリール」の「ヘテロアリール」について、「5員もしくは6員単環ヘテロアリール」又は「6-5もしくは5-6縮合ヘテロアリール」とし、環員数及び縮合の有無や態様を特定することにより、訂正後の請求項1に記載される式(I)に包含される化合物の範囲を減縮するものである。
また、訂正事項1に係る訂正は、訂正後の請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用して特定される、請求項2~15に記載される化合物の範囲も同様に減縮するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の願書に添付した明細書の【0124】には、「ヘテロアリールは、単環式または二環式である」と記載されており、「いくつかの実施形態では、単環式ヘテロアリールは、5員または6員ヘテロアリールである」と記載されているから、「ヘテロアリール」は「5員もしくは6員単環ヘテロアリール」であり得ることが記載されているといえる。
また、同【0112】には、「「二環式環系」という用語は、共通の単結合または二重結合を介して・・・互いに縮合している2つの環を意味する」と記載されており、同【0116】には、「縮合環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環または縮合ヘテロアリール環の・・・」との記載に続き、「融合へテロシクリルまたはヘテロアリール環構造の非限定的な例には、6-5縮合複素環、・・・5-6縮合複素環、・・・が挙げられる」と記載されているから(ここでの「融合」との記載は、前後の文脈からみて、「縮合」(fused)の明らかな誤記又は誤訳と認める。)、環構造である「ヘテロアリール」は「6-5もしくは5-6縮合ヘテロアリール」であり得ることも記載されているといえる。
そうすると、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、上記(2)で述べたとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、同条第7項に規定する、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないとの要件(いわゆる独立特許要件)を満たす必要があるところ、当該訂正後の請求項1~15に係る発明について、見直すべき新たな事情は存在せず、当該訂正により同法第36条第4項第1号及び第6項(第4号を除く。)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項9に列記されている環Qの選択肢から、択一的に記載された要素の一部を削除することにより、訂正後の請求項9に記載される化合物の範囲を減縮するものである。
また、訂正事項2に係る訂正は、訂正後の請求項9の記載を直接的に又は間接的に引用して特定される、請求項11~15に記載される化合物の範囲も同様に減縮するものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2に係る訂正は、環Qの選択肢から択一的に記載された要素の一部を削除するものであるから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)で述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、上記(2)で述べたとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、同条第7項に規定する、いわゆる独立特許要件を満たす必要があるところ、当該訂正後の請求項9、11~15に係る発明について、見直すべき新たな事情は存在せず、当該訂正により同法第36条第4項第1号及び第6項(第4号を除く。)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項10に記載されている環Qについての二箇所の「二環式ヘトロアリール」との記載を、「二環式ヘテロアリール」に訂正するものである。
請求人は、当該訂正事項について、誤記の訂正を目的とするものである旨を主張しており、訂正前の請求項10における「二環式ヘトロアリール」との記載は誤記であり、訂正後の「二環式ヘテロアリール」が正しい記載である旨を主張している(審判請求書6~7頁)。
そこで、当該訂正事項が誤記の訂正を目的とするものであるか検討する。
イ 「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、特許請求の範囲、明細書又は図面等から明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうと解される。
そして、特許請求の範囲の誤記の訂正は、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと、当事者その他一般第三者が理解する場合に限って許されることになる。
そこで、訂正前の請求項10における環Qについての「二環式ヘトロアリール」なる記載が明らかな誤りであり、当該記載が当然に「二環式ヘテロアリール」の意味であるといえるか否かについて、以下検討する。
ウ 環Qについて、訂正前の請求項10には、「環Qがオルトヒドロキシル基置換された二環式ヘトロアリールであり、」と記載されているのに対し、同項が記載を引用する訂正前の請求項1には、環Qについて、「環Qが、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、」と記載されているため、両者の記載には不整合があるところ、訂正前の請求項10に記載の「ヘトロアリール」なる用語は、一般的な技術用語ではなく、何を意味するのか一義的に明らかであるとはいえない。
そうすると、訂正前の請求項10に記載されている「二環式ヘトロアリール」との記載は、明らかな誤りであり、正しくは「二環式ヘテロアリール」と記載されるべきであったといえる。
これらのことは、請求項10の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項11~15についても同様である。
エ したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」のうち、「誤記の訂正」を目的とするものである。
(2)国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「国際出願時明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記第1のとおり、本件特許に係る出願は、外国語特許出願(特許法第184条の4第1項に規定する外国語でされた国際特許出願)であるから、誤記の訂正を目的とする、訂正事項3に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定により、国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなければならない。
上記(1)で述べたとおり、訂正事項3に係る訂正は、誤りであることが明らかな記載を、本来その意であることが明らかな記載に正すものであり、その根拠は、請求項1における環Qについての記載であるところ、本件特許の国際出願日における国際出願の請求の範囲の請求項1には、対応する環Qについての記載がある(要すれば、国際公開第2020/163405号の請求項1の記載を参照。)。
そうすると、訂正事項3に係る訂正は、本件特許の国際出願時明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許の国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)で述べたとおり、誤りであることが明らかな記載を、本来その意であることが明らかな記載に正すものであり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものでもない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであるから、同条第7項に規定する、いわゆる独立特許要件を満たす必要があるところ、当該訂正後の請求項10~15に係る発明について、見直すべき新たな事情は存在せず、当該訂正により同法第36条第4項第1号及び第6項(第4号を除く。)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、(同法第184条の19の規定により読み替えて適用する)同法第126条第5項の規定並びに同条第6項及び第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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