特許訂正審判
2017-390041
台輪、台輪の設置構造及び設置方法
- 審判番号
- 2017-390041
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2000-261372
- 登録番号
- 特許第4589502号(P4589502)
- 請求日
- 2017年06月02日
- 審決日
- 2017年07月18日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ミサワホーム 株式会社
- 【請求人代理人】岩坪 哲
- 【請求人代理人】溝内 伸治郎
- 【請求人】城東テクノ 株式会社
- 【請求人代理人】岩坪 哲
- 【請求人代理人】溝内 伸治郎
- 審判長/審判官
- 審判長 小野 忠悦
- 審判官 井上 博之
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P141 .851-Y (E04B) / P141 .852-Y (E04B) / P141 .856-Y (E04B) / P141 .857-Y (E04B) / P141 .121-Y (E04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4589502号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4589502号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔2-5〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4589502号(以下「本件特許」という。)は、平成12年8月30日に特許出願され、平成22年9月17日にその特許権の設定登録がなされ、その後、平成29年6月2日に請求項2~5からなる一群の請求項に係る発明について本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の要旨は、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、訂正後の請求項2~5について訂正すること認める、との審決を求めるものであって、その請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に、
「請求項1記載の台輪において、前記嵌合部は台輪本体の上下方向に延在する溝部を備え、前記被嵌合部は前記溝部に嵌る突部を備えることを特徴とする台輪。」
とあるのを、
「基礎上端に複数接続されて敷き込まれることで、基礎と基礎上に構築される建造物本体との間に介在される長尺板状に形成されたプラスチック製の台輪において、
複数の台輪のそれぞれは、
前記基礎の長手方向に沿って配置される台輪本体と、
この台輪本体の長手方向の両端部にそれぞれ設けられた接続部とを備え、
前記台輪本体の両端部の接続部には、それぞれ嵌合部と当該嵌合部に嵌合可能な形状の被嵌合部とが幅方向に並んで配置され、
前記両接続部の嵌合部と被嵌合部は、長手方向に隣接する他の台輪本体の接続部の被嵌合部と嵌合部に幅方向へ移動しないようにそれぞれ嵌合して接続するように構成されており、
前記嵌合部と前記被嵌合部との形成位置が前記台輪本体の長手方向の向きを逆にしても接続可能となっており、
前記嵌合部は台輪本体の上下面に渡って形成された上下方向に延在する溝部を備え、
前記被嵌合部は前記溝部に嵌る突部を備えること
を特徴とする台輪。」
に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に、
「基礎上端に請求項1~4のいずれかに記載の台輪が基礎の長手方向に沿って複数接続して敷き込まれ、これら複数の台輪を隣接する台輪の接続部どうしが互いに嵌合し接続された状態で、基礎上に設置する台輪の設置方法であって、
嵌合する接続部のうちの一方を前記基礎上面に固定すること
を特徴とする台輪の設置方法。」
とあるのを、
「基礎上端に請求項1~3のいずれかに記載の台輪が基礎の長手方向に沿って複数接続して敷き込まれ、これら複数の台輪を隣接する台輪の接続部どうしが互いに嵌合し接続された状態で、基礎上に設置する台輪の設置方法であって、
嵌合する接続部のうちの一方を前記基礎上面に固定すること
を特徴とする台輪の設置方法。」
に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0016】に、
「請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、前記嵌合部32は台輪本体2の上下方向に延在する溝部32aを備え、前記被嵌合部31は前記溝部32aに嵌る突部31aを備えるので、前記嵌合部32と被嵌合部31とが嵌合した際に、前記溝部32aに前記突部31aが嵌合して、これら溝部32a及び突部31aを有する嵌合部32及び被嵌合部31の一方に対する幅方向の移動が抑止される。
よって、前記嵌合部32に、台輪本体2の上下方向に延在する溝部32aを形成し、前記被嵌合部31に前記溝部32aに嵌る突部31aを形成するだけで、つまり、簡易な構造で、接続部どうしを接続して基礎上に複数の台輪1を接続した際に、台輪1を幅方向に移動しないように接続することができる。」
とあるのを、
「請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、前記嵌合部32は台輪本体2の上下面に渡って形成された上下方向に延在する溝部32aを備え、前記被嵌合部31は前記溝部32aに嵌る突部31aを備えるので、前記嵌合部32と被嵌合部31とが嵌合した際に、前記溝部32aに前記突部31aが嵌合して、これら溝部32a及び突部31aを有する嵌合部32及び被嵌合部31の一方に対する幅方向の移動が抑止される。
よって、前記嵌合部32に、長尺板状に形成されたプラスチック製の台輪本体2の上下面に渡って形成された上下方向に延在する溝部32aを形成し、前記被嵌合部31に前記溝部32aに嵌る突部31aを形成するだけで、つまり、簡易な構造で、接続部どうしを接続して基礎上に複数の台輪1を接続した際に、台輪1を幅方向に移動しないように接続することができる。」
と訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0065】に「請求項2記載の」とあるのを、「請求項3記載の」に訂正する。
5 訂正事項5
明細書の段落【0066】に「請求項3記載の」とあるのを、「請求項4記載の」に訂正する。
6 訂正事項6
明細書の段落【0067】に「請求項4記載の」とあるのを、「請求項5記載の」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正事項1の一部(以下「訂正事項1一部分」という。)は、請求項2に関して、請求項1を引用する記載を、請求項1を引用しないものとするものであり、すなわち独立形式請求項に改めるものであり、当該訂正は他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項1の残りの部分(以下「訂正事項1他部分」という。)は、上記訂正事項1一部分に加えて、本件訂正前の請求項2の「台輪」の形状及び材料を「長尺板状に形成されたプラスチック製」と限定すること、及び本件訂正前の請求項2の「溝部」の形状について「上下面に渡って形成された」と限定することであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~5についても、同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
上記訂正事項1一部分については、請求項1に記載されていた内容であるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、上記訂正事項1他部分に関する「台輪」が「長尺板状に形成されたプラスチック製」であるとの訂正については、願書に添付した明細書には、「【0003】・・・本出願人などにより、図16に示すようなプラスチック製の台輪110を基礎上端に敷き込み・・・」、「【0026】詳細には、台輪本体2は、長尺板状に形成され、・・・」と記載されている(下線は審決で付与。以下同様。)。ここで、前記【0003】の記載は【背景の技術】に関するものであるが、本件特許は背景の技術と比較して台輪の材料を変えることを目的とするものではなく、本件特許において台輪をプラスチック製とすることは当然想定されていることであるから、台輪をプラスチック製とすることは願書に添付した明細書に記載されているに等しい事項といえる。
また、上記訂正事項1他部分に関する「溝部」について「上下面に渡って形成された」との訂正について、図15において溝部32aは台輪の上下面に達して形成されていることが看て取れるため、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1は、上記「1(1)」のとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
2 訂正事項2
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、請求項5について請求項1~4を引用する記載から請求項1~3を引用する記載に変更するものであるが、訂正前の請求項5には「請求項1~4のいずれかに記載の台輪が・・・台輪の設置方法」と記載されているところ、請求項1~3は「台輪」であるのに対して、請求項4は「台輪の設置構造」であるから、訂正前の請求項5の請求項4を引用する記載は誤記であることは明らかである。
よって、訂正事項2は誤記の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項について
訂正事項2は、上記「2(1)」のとおり、引用する請求項番号の誤記であるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項を逸脱するものではなく、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2は、上記「2(1)」のとおり、誤記の訂正を目的とするものであり、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 訂正事項3
訂正事項3は、上記訂正事項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
4 訂正事項4~6
(1)訂正の目的について
訂正事項4~6は、本件特許明細書の【0065】、【0066】、【0067】について、それぞれ「請求項2」、「請求項3」、「請求項4」の記載を「請求項3」、「請求項4」、「請求項5」と訂正するものであるが、【0065】、【0066】、【0067】の記載内容は、それぞれ「請求項3」、「請求項4」、「請求項5」に関する記載であることは明らかである。
よって、訂正事項4~6は誤記の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項について
訂正事項4~6は、上記「4(1)」のとおり、請求項番号の誤記であることは明らかであるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項を逸脱するものではなく、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項4~6は、上記「4(1)」のとおり、誤記の訂正を目的とするものであり、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
5 独立特許要件について
上記「1」で検討したとおり、訂正事項1は、請求項2~5に関して、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記「2」「4」で検討したとおり、訂正事項2、4~6は、請求項3~5に関して、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項2~5に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
(1)訂正後の請求項2~5に係る発明
上記訂正請求により訂正された請求項2~5に係る発明(以下「本件発明2」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項2~5に記載された、以下のとおりのものである。(下線は訂正箇所を示す。)
本件発明2
「基礎上端に複数接続されて敷き込まれることで、基礎と基礎上に構築される建造物本体との間に介在される長尺板状に形成されたプラスチック製の台輪において、
複数の台輪のそれぞれは、
前記基礎の長手方向に沿って配置される台輪本体と、
この台輪本体の長手方向の両端部にそれぞれ設けられた接続部とを備え、
前記台輪本体の両端部の接続部には、それぞれ嵌合部と当該嵌合部に嵌合可能な形状の被嵌合部とが幅方向に並んで配置され、
前記両接続部の嵌合部と被嵌合部は、長手方向に隣接する他の台輪本体の接続部の被嵌合部と嵌合部に幅方向へ移動しないようにそれぞれ嵌合して接続するように構成されており、
前記嵌合部と前記被嵌合部との形成位置が前記台輪本体の長手方向の向きを逆にしても接続可能となっており、
前記嵌合部は台輪本体の上下面に渡って形成された上下方向に延在する溝部を備え、
前記被嵌合部は前記溝部に嵌る突部を備えること
を特徴とする台輪。」
本件発明3
「請求項1又は2に記載の台輪において、
前記台輪本体には、換気孔が前記台輪本体の幅方向に貫通するようにして形成されていることを
特徴とする台輪。」
本件発明4
「請求項1~3のいずれかに記載の台輪が基礎上端に基礎の長手方向に沿って複数接続されて敷き込まれ、基礎と基礎上に構築される構造物本体との間に介在された台輪の設置構造であって、
隣接する台輪どうしは接続部どうしを嵌合することで接続され、
嵌合した接続部のうちの一方が前記基礎に固定されていること
を特徴とする台輪の設置構造。」
本件発明5
「基礎上端に請求項1~3のいずれかに記載の台輪が基礎の長手方向に沿って複数接続して敷き込まれ、これら複数の台輪を隣接する台輪の接続部どうしが互いに嵌合し接続された状態で、基礎上に設置する台輪の設置方法であって、
嵌合する接続部のうちの一方を前記基礎上面に固定すること
を特徴とする台輪の設置方法。」
(2)甲各号証の記載
ア 甲第1号証(実願昭58-74578号(実開昭59-181103号)のマイクロフィルム)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与。以下同様。)。
(ア)「2.実用新案登録請求の範囲
方形若しくは長方形基盤1の板面中央部に、平面略太十字状をなすアンカーボルト2の挿通孔Hを穿ち且つ基盤1の片側壁に突部tを突設すると共に反対側壁には該突部と係合する凹部hを形成し然して前記挿通孔の周辺に釘孔rを穿設した建築における基礎と土台間に介装する台座。」
(イ)「即ち実施例の図面に示したように、ポリプロピレン、硬質ポリエチレン等の合成樹脂より成る略方形の基盤1の板面中央部に平面略太十字状をなすアンカーボルト2の挿通孔Hを形成し且つ該基盤の片側壁に楔状突部tを突設すると共に反対側壁に該突部と係合する凹部hを形成し然して前記挿通孔の4辺に釘孔rを穿設して成るものであって、なお図面中3はコンクリート基礎、4は土台、5は土台4上に設立した柱、6はラス等の下地材、7は締着用ナツト、8は座金を示した。」(明細書2頁3行~13行)
(ウ)「然して又本案は以上のほか基盤1の片側壁に楔状突部t、反対側壁に該突部と係合する楔状凹部hが形成されてあるので基礎3及び土台4が長間であつたり、或はこれらが平面鍵形若しくはT字形に構成されてある場合は第4図に示したように上記突部と凹部を順次係合して接続することにより耐荷力を増大したり各形状に順応して介在固着せられる利点をも具有するものである。」(明細書3頁12行~末行)
(エ)上記(ア)~(ウ)で摘記した事項を踏まえると、第1図、第3図、第4図から、「台座はコンクリート基礎3とコンクリート基礎3上に構築される土台4、柱5との間に、コンクリート基礎3の長手方向に沿って介装されていること」、「突部と凹部はコンクリート基礎3の幅方向に並んで配置されていること」、「突部と凹部は、台座をコンクリート基礎3の幅方向へ移動しないように係合して接続すること」が看て取れる。
(オ)以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
甲1発明
「コンクリート基礎と、コンクリート基礎上に構築される土台、柱との間に、コンクリート基礎の長手方向に沿って介装される台座であって、
ポリプロピレン、硬質ポリエチレン等の合成樹脂より成る略方形の基盤の片側壁に楔状突部を突設すると共に反対側壁に該突部と係合する凹部を形成し、それぞれ突部と凹部はコンクリート基礎の幅方向に並んで配置されており、
上記突部と凹部を順次係合して接続することにより、コンクリート基礎の幅方向へ移動しないように、耐荷力を増大したり各形状に順応して介在固着する、
建築におけるコンクリート基礎と土台間に介装する台座」
イ 甲第2号証(実願平4-55570号(実開平6-10413号)のCD-ROM)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0016】
図1の11は、ゴム,合成ゴム,合成樹脂その他の同効性質をもつ弾性材料からなる長尺の保護板であって、該保護板11の表面全域に、テーパー構造の突起12を一体に形成したものである。この突起12は図で示すような截頭円錐形状に形成してあるが、截頭角錐形状や角柱,円柱構造でも同様な作用効果が得られるので、図示実施例のものに特定されることはない。
ちなみに、前記突起12の上辺径は約9mm,基部径は約11mm,高さを6mm(荷重による歪1mm)としたものである。また、図1においては突起12は碁盤目状に配設形成されているが、千鳥状に配設形成してもよい。
【0017】
前記保護板11の長さ、および、形状は任意であるが、保護板11の一端中央部には突起12をもつ係合突片13が、また、保護板11の他端中央部には前記係合突片13が適嵌する係合凹所14が形成してあり、連設される保護板11間に間隙が生じないようにしてある。また、少くとも前記保護板11の巾は、コンクリート基礎15の巾、および、土台となる角材16の巾と略同一にすることが好ましい。また、保護板11の任意個所には、前記コンクリート基礎15に植設したアンカーボルト17が挿通する孔が穿設可能であることは当然である。図7は、図1に示す係合突片13と係合凹所14の平面形状を楔形状とし、土台である角材16をコンクリート基礎15上に保護板11を敷き込みする際に、保護板11同志が引っ張り方向に移動したり、分離したりするのを防止させるようにしたものである。」
ウ 甲第3号証(特開平11-100911号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】布基礎上に載置されアンカボルトの挿通孔が設けられたパッキンと、端面視U字形状をなし前記パッキン上に載置され、底部に前記アンカボルトの挿通孔が設けられると共に側部に釘孔が設けられ、土台を受け且つ釘固定する金具と、前記アンカボルトに螺合して前記金具と前記パッキンとを前記布基礎に固定するナットとを備えたことを特徴とする土台の締結装置。」
(イ)「【0024】図7は、金具の他の実施例を示す。図7において金具25は、2分割タイプとされ、2つのL形の金具26と27とから成り、金具26、27は、底部26a、27aに各対抗する端面に開口する略半円状の切欠26b、27bが設けられ、これらの切欠26b、27bの両側に互いに噛み合うように、櫛状の突起26cとスリット27d、突起27cとスリット状の切欠26dとを設け、対抗する側部26eと27eとの間隔を任意に調節可能としたものである。そして、中央の対抗する半円形状の切欠26bと27bとによりアンカボルトの挿通孔が形成される。これにより土台の幅寸法に応じて側部26eと27eとの間隔を自由に調節することができ、土台の両側面に確実に側部26e、27eを当接することができる。また、汎用性があり、土台の寸法毎の金具を備える必要がなくなり、在庫品を少なくすることができる。」
エ 甲第4号証(意匠登録第1044570号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「本物品は、芝生を保護するために用いられるもので、合成樹脂により一体的に成形される。本物品は、その四辺に設けた連結部により順次連結して面を構成し」(意匠公報説明)
(イ)平面図の連結部の形状から、連結部が芝生保護材の向きを逆にしても接続可能となっていることが看て取れる。
オ 甲第5号証(実用新案登録第2586977号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「[産業上の利用分野]
本考案は、鉄道、高速道路等で使用する情報ケーブル等各種の配線を収容保護する配線路を構築敷設するための配線路用ブロックに関するものである。」(3欄23行~26行)
(イ)「上記において、ブロック本体aの底板1の長手方向一端面1′に所要の間隔をおいて形成した突起部4′及び受入凹部5′と、両長手方向他端面1″に形成する受入凹部5″及び突起部4″を互いに対応させるとともに、左右側壁2、3の長手方向一端面2′、3′に形成した突起部6′あるいは受入凹部7′に同長手方向他端面2″、3″に形成する受入凹部7″あるいは突起部6″を互いに対応させておく。
さらに、ブロック蓋板b、あるいはブロック蓋板cの長手方向一端面b′、c′に所要の間隔をおいて形成した突起部10′、12′及び受入孔11′、13′と、長手方向他端面b″、c″に形成する受入孔11″、13″及び突起部10″、12″を対応させておく。そしてこれらを噛合させ、配線路用ブロックを接続する。
これによって、これらブロック本体a及びブロック蓋板b、あるいはブロック蓋板cは、いずれもその前後方向に動くことがなく一体のものとなる。」(5欄26行~42行)
(ウ)上記(イ)で摘記した事項を踏まえると、第1図、第2図から、突起部4′及び受入凹部5′、又は突起部10′及び受入孔11′は向きを逆にしても接続可能となっていることが看て取れる。
カ 甲第6号証(特開平10-113475号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乗用玩具とともに用いられる乗用玩具用レールに関するものである。」
(イ)「【0029】図3ないし図5は、1つの直線レールユニット2を示すもので、図3は平面図、図4は正面図、図5は左側面図である。直線レールユニット2は、その幅方向中心線に沿って位置し、かつ直線状に延びるガイド凸部16aを有している。このレールユニット2の一方端部であって、ガイド凸部16aの一方側には、第1形式の連結部17が設けられ、同じく他方側には、第2形式の連結部18が設けられる。他方、レールユニット2の他方端部であって、ガイド凸部16aの一方側には、第2形式の連結部18が設けられ、同じく他方側には、第1形式の連結部17が設けられる。これら第1形式および第2形式の連結部17および18の詳細については後述するが、第1形式の連結部17と第2形式の連結部18とは、互いに着脱可能に係合され得る構造を有している。」
(ウ)上記(イ)で摘記した事項を踏まえると、図3、6~9から、レールユニット2の左右の連結部は向きを逆にしても接続可能となっていることが看て取れる。
(3)判断
ア 本件発明2について
(ア)甲1発明の「コンクリート基礎」、「土台、柱」は、それぞれ本件発明2の「基礎」、「基礎上に構築される建造物本体」に相当する。
(イ)甲1発明の「台座」は、「コンクリート基礎と、コンクリート基礎上に構築される土台、柱との間に、コンクリート基礎の長手方向に沿って介装され」、「ポリプロピレン、硬質ポリエチレン等の合成樹脂より成る略方形」の基盤からなっているので、本件発明2の「台輪」に相当し、本件発明2と「基礎上端に複数接続されて敷き込まれることで、基礎と基礎上に構築される建造物本体との間に介在される方形板状に形成されたプラスチック製」である点で共通し、「前記基礎の長手方向に沿って配置される」点で一致する。
(ウ)甲1発明の「突部」、「凹部」は、「台座」の「片側壁」と「反対側壁」に形成され、「台座」を「順次係合して接続することにより、コンクリート基礎の幅方向へ移動しないように」するので、本件発明2の「嵌合部」、「被嵌合部」に相当する。また、甲1発明の「コンクリート基礎の幅方向」は、本件発明2の台輪の「幅方向」に一致するので、甲1発明は本件発明2と「この台輪本体の長手方向の両端部にそれぞれ設けられた接続部とを備え、前記台輪本体の両端部の接続部には、それぞれ嵌合部と当該嵌合部に嵌合可能な形状の被嵌合部とが幅方向に並んで配置され、前記両接続部の嵌合部と被嵌合部は、長手方向に隣接する他の台輪本体の接続部の被嵌合部と嵌合部に幅方向へ移動しないようにそれぞれ嵌合して接続するように構成されて」いる点で一致する。
(エ)これらのことから、本件発明2と甲1発明は
「基礎上端に複数接続されて敷き込まれることで、基礎と基礎上に構築される建造物本体との間に介在される方形板状に形成されたプラスチック製の台輪において、
複数の台輪のそれぞれは、
前記基礎の長手方向に沿って配置される台輪本体と、
この台輪本体の長手方向の両端部にそれぞれ設けられた接続部とを備え、
前記台輪本体の両端部の接続部には、それぞれ嵌合部と当該嵌合部に嵌合可能な形状の被嵌合部とが幅方向に並んで配置され、
前記両接続部の嵌合部と被嵌合部は、長手方向に隣接する他の台輪本体の接続部の被嵌合部と嵌合部に幅方向へ移動しないようにそれぞれ嵌合して接続するように構成されている、
台輪。」
の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
本件発明2は、台輪を長尺板状に形成しているのに対し、甲1発明は、台座を略方形に形成している点
(相違点2)
本件発明2は、「前記嵌合部と前記被嵌合部との形成位置が前記台輪本体の長手方向の向きを逆にしても接続可能となって」いるのに対し、甲1発明はそのような特定がなされていない点
(相違点3)
本件発明2は、「前記嵌合部は台輪本体の上下面に渡って形成された上下方向に延在する溝部を備え、前記被嵌合部は前記溝部に嵌る突部を備える」のに対し、甲1発明はそのような特定がなされていない点
相違点2について検討するに、本件発明2の「前記嵌合部と前記被嵌合部との形成位置が前記台輪本体の長手方向の向きを逆にしても接続可能となって」いる構成に関して、甲第4~6号証には、向きを逆にしても接続可能となる嵌合部、被嵌合部が記載されている(上記(2)エ(イ)、(2)オ(ウ)、(2)カ(ウ)参照)。
しかしながら、甲第4号証は芝生保護材に関するものであり、甲第5号証は鉄道、高速道路等で使用する情報ケーブル等各種の配線を収容保護する配線路を構築敷設するための配線路用ブロックに関するものであり、甲第6号証は乗用玩具とともに用いられる乗用玩具用レールに関するものであり、甲1発明の建築における基礎と土台間に介装する台座と比較して、それぞれ、その適用箇所、技術分野が大きく異なるものであるから、甲第4~6号証に記載された技術を、甲1発明に適用する動機付けはないというべきである。
したがって、甲1発明に甲第4~6号証に記載された技術事項を適用することにより、本件発明2のようにすることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
なお、相違点2に関して、甲第2号証においては、土台保護板に関するものであり、本件発明2の台輪と共通する技術分野であるが(上記(2)イ参照)、係合突片13、係合凹所14は「向きを逆にしても接続可能」となっておらず、相違点2に関する技術事項は記載されていない。また、甲第3号証においては、2分割タイプの金具の噛み合い部として切欠、突起が記載されており(上記(2)ウ(イ)参照)、切欠、突起の形状は本件発明2と似通っている部分はあるものの、これらは2つの金具の接合に関するものであり、「向きを逆にしても接続可能」とはなっていないし、また、そのようにする必要性もないものであるので、相違点2に関する技術事項とはいえない。
よって、相違点1、3については検討するまでもなく、本件発明2は甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明3~5について
本件発明3~5は、本件発明2を減縮したものであり、本件発明2と同様の理由(上記(3)ア(エ)参照)で、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)小括
上記(1)~(3)で検討した事項に加え、本件発明2~5が、独立して特許を受けることができないとするその他の理由は見いだせない。
したがって、本件発明2~5は、特許出願の際に独立して特許を受けることができない発明とすることはできないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、訂正事項1~6は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390041